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活性エネルギー線硬化性組成物及びその用途
説明

活性エネルギー線硬化性組成物及びその用途

【課題】低粘度で、高屈折率を有し、かつ、基材との密着性にも優れた硬化物を形成するのに有用な活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
【解決手段】成分(A)及び成分(B)を含有してなることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。成分(A):


成分(B):単官能(メタ)アクリレート系化合物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物に関し、更に詳しくは、低粘度であり、且つ高屈折率で基材との密着性に優れた硬化物を形成するのに有用な活性エネルギー線硬化性組成物及びその硬化物、更には、かかる活性エネルギー線硬化性組成物よりなるレンズ形成剤、コーティング剤、接着剤、及び封止剤等の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイや光通信、太陽電池、照明などの光関連産業の進展と共に、屈折率などの光学性能に優れた透明性樹脂が必要とされている。それらの中でもレンズ形成材料、コーティング剤、光学接着剤、封止剤への要望は強く、例えば、液晶ディスプレイに使用される光学フィルムにおいては、高輝度化を目的として基材上に微細なレンズを形成するためのレンズ形成材料、反射防止や干渉縞防止のためのコート層を形成するコーティング剤などが要望されている。
【0003】
レンズ形成材料に関しては、近年発展が著しい2P成形やナノインプリントといった微細成形プロセスに適用できる材料が望まれる。また、発光ダイオードを用いた固体照明においては、高輝度化のための高屈折率封止剤が望まれている。
【0004】
このような状況下、レンズ形成材料等の光学分野で用いられる透明性樹脂については、光機能の多様化や生産性の向上に対応するため、高屈折率及び速硬化性の双方を充足することが求められる。特許文献1(特開昭61−072748号公報)には、活性エネルギー線照射での硬化性に優れ、硬くて傷つきにくい透明な硬化物が得られる(メタ)アクリル系材料として、例えば、分子構造中に芳香族環、硫黄原子を導入した(メタ)アクリレート系化合物が提案されている。
【0005】
さらに、コーティング剤、接着剤、封止剤の用途では、各種プラスチックフィルム、ガラス、金属などへの密着性に優れる必要がある。特許文献2(特開2006−291148号公報)、特許文献3(特開2008−297293号公報)には、分子中に芳香族環、硫黄原子に加え、さらにウレタン結合を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−072748号公報
【特許文献2】特開2006−291148号公報
【特許文献3】特開2008−297293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている(メタ)アクリレート系化合物では、高屈折率ではあるものの、分子構造中にウレタン基などの密着性を向上させる構造単位がないため、レンズ形成材料、コーティング剤、接着剤、あるいは封止剤として使用したときに基材との密着性に劣るものである。
【0008】
また、特許文献2に開示されているウレタン(メタ)アクリレート化合物の場合、単一の化合物を製造することが非常に困難である。このため、合成されたウレタン(メタ)アクリレート化合物を分留等することなしに用いた場合、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の分子量のバラツキに起因して、化合物(組成物)の屈折率にバラツキが生じ、得られる硬化物の屈折率にもバラツキが生じやすく、最終的に得られる製品の品質ばらつきの原因となるおそれがある。
【0009】
特許文献3の開示のウレタン(メタ)アクリレートは高粘度の液体であることから、接着剤やコーティング剤として用いる場合、取り扱い性がよくない。特許文献3の実施例では、溶剤として酢酸エチル(段落番号0074)を用いて希釈したコーティング剤が開示されている。しかしながら、上述の2P成形やナノインプリントといった微細成形プロセスにおいては溶剤を使用できない場合が多いため、溶剤で希釈した組成物は、レンズ形成材料用途に使用することは困難である。
【0010】
溶剤以外に、他のエチレン性不飽和モノマーを、希釈用モノマーとして配合することにより、組成物粘度を下げることが考えられる。特許文献3においても、実施例は存在しないが、段落番号0050−0053に、他の共重合モノマーが列挙されている。しかしながら、これらの共重合モノマーを希釈用モノマーとして使用することにより粘度を下げてハンドリング性を高めることができたとしても、高屈折率をも保持することは非常に困難である。
【0011】
本発明ではこのような背景下において、溶剤で希釈しなくても、ハンドリング性に好適な低粘度の組成物であって、且つ高屈折率で密着性に優れた硬化物を形成することができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、以上のような事情に鑑み、種々のウレタン(メタ)アクリレート系化合物とエチレン性不飽和モノマーとしての単官能(メタ)アクリレート系化合物について検討した結果、組成物としての低粘度化を達成でき、且つ高屈折率で基材との密着性にも優れた硬化物を形成できる、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物と単官能(メタ)アクリレート系化合物との組合せを見出し、本発明を完成した。
【0013】
即ち、本発明の要旨は、下記成分(A)及び成分(B)を含有してなることを特徴とする活性エネルギー硬化性組成物に関するものである。
成分(A)は、下記一般式(1)及び/または(2)で示されるウレタン(メタ)アクリレート系化合物である。
【0014】
【化1】

【0015】
【化2】

式(1)において、R、Rは水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3の炭化水素基、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、aとbは同じでも異なってもよい0〜4の整数、Yは酸素又は硫黄である。
【0016】
式(2)において、R、Rは水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3の炭化水素基、Zは塩素、臭素、又はヨウ素、cは0〜4の整数、Wは酸素又は硫黄である。
【0017】
成分(B)は下記一般式(3)及び/または(4)で示される単官能(メタ)アクリレート系化合物である。
【0018】
【化3】

【0019】
【化4】

【0020】
式(3)において、Rは水素又はメチル基、R10は炭素数1〜3の炭化水素基である。
式(4)において、R11水素又はメチル基、R12は炭素数1〜3の炭化水素基である。
【0021】
更に、本発明は、かかる活性エネルギー線硬化性組成物よりなるレンズ形成剤、コーティング剤、接着剤、発光ダイオードの封止剤も提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、溶剤を含まなくても低粘度で取り扱い性に非常に優れたものであり、しかも活性エネルギー線の照射により得られる硬化物は、高屈折率で且つ基材との密着性にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明において、成分(A)として使用されるウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、特開2008−297293号公報(上記特許文献3)に例示される製造方法をもって製造することができる。即ち、以下の通りである。
【0024】
本発明で用いられる成分(A)のウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、上記の一般式(1)及び/または(2)で示されるものであり、分子構造中に芳香環、硫黄原子、必要に応じて塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子を有する。これらの原子や原子団は、化合物、及び重合後の硬化物の屈折率を向上させる。
【0025】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、下記一般式(5)または(6)で示される化合物と、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートを反応させることにより得られる。
【0026】
【化5】

【0027】
式(5)中、Rは炭素数1〜3の炭化水素基、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、aとbは同じでも異なってもよい0〜4の整数、Yは酸素又は硫黄である。
【0028】
【化6】

【0029】
式(6)中、Rは炭素数1〜3の炭化水素基、Zは塩素、臭素、又はヨウ素、cは0〜4の整数、Wは酸素又は硫黄である。
【0030】
上式(5)で示される化合物としては、例えば、4,4’−ビス〔β−ヒドロキシメチルチオ〕ジフェニルスルホン、4,4’−ビス〔β−ヒドロキシエチルチオ〕ジフェニルスルホン、4,4’−ビス〔β−ヒドロキシプロピルチオ〕ジフェニルスルホン、4,4’−ビス〔β−ヒドロキシエチルチオ〕−3,3’,5,5’−テトラクロロジフェニルスルホン、4,4’−ビス〔β−ヒドロキシエチルチオ〕−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルスルホンなどのジオール化合物;4,4’−ビス〔β−メルカプトメチルチオ〕ジフェニルスルホン、4,4’−ビス〔β−メルカプトエチルチオ〕ジフェニルスルホン、4,4’−ビス〔β−メルカプトプロピルチオ〕ジフェニルスルホン、4,4’−ビス〔β−メルカプトエチルチオ〕−3,3’,5,5’−テトラクロロジフェニルスルホン、4,4’−ビス〔β−メルカプトエチルチオ〕−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルスルホンなどのジチオール化合物などが挙げられる。
【0031】
これらの中でも、臭気の点からジオール化合物が好ましく、環境的な観点から非ハロゲン化合物がより好ましく、得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物の粘度の点から、特に好ましくは、下式(7)の化学構造を有する4,4’−ビス〔β−ヒドロキシエチルチオ〕ジフェニルスルホンである。
【0032】
【化7】

【0033】
上式(6)で示される化合物としては、ジオール化合物、ジチオール化合物が挙げられ、ジオール化合物に属する化合物としては、例えば、ヒドロキシメチルチオ−p−キシリレン、ヒドロキシメチルチオ−m−キシリレン、ヒドロキシメチルチオ−o−キシリレン、β−ヒドロキシエチルチオ−p−キシリレン、β−ヒドロキシエチルチオ−m−キシリレン、β−ヒドロキシエチルチオ−o−キシリレン、3−ヒドロキシプロピルチオ−p−キシリレン、3−ヒドロキシプロピルチオ−m−キシリレン、3−ヒドロキシプロピルチオ−o−キシリレン、1,4−ビス〔ヒドロキシメチルチオメチル〕−モノクロロベンゼン、1,4−ビス〔ヒドロキシメチルチオメチル〕−ジクロロベンゼン、1,4−ビス〔ヒドロキシメチルチオメチル〕−トリクロロベンゼン、1,4−ビス〔ヒドロキシメチルチオメチル〕−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン、1,3−ビス〔ヒドロキシメチルチオメチル〕−2,4,5,6−テトラクロロベンゼン、1,2−ビス〔ヒドロキシメチルチオメチル〕−3,4,5,6−テトラクロロベンゼン、1,4−ビス〔β−ヒドロキシエチルチオメチル〕−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン、1,3−ビス〔β−ヒドロキシエチルチオメチル〕−2,4,5,6−テトラクロロベンゼン、1,2−ビス〔β−ヒドロキシエチルチオメチル〕−3,4,5,6−テトラクロロベンゼン、1,4−ビス〔3−ヒドロキシプロピルチオメチル〕−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン、1,3−ビス〔3−ヒドロキシプロピルチオメチル〕−2,4,5,6−テトラクロロベンゼン、1,2−ビス〔3−ヒドロキシプロピルチオメチル〕−3,4,5,6−テトラクロロベンゼン、1,4−ビス〔ヒドロキシメチルチオメチル〕−2,3,5,6−テトラブロモベンゼン、1,3−ビス〔ヒドロキシメチルチオメチル〕−2,4,5,6−テトラブロモベンゼン、1,2−ビス〔ヒドロキシメチルチオメチル〕−3,4,5,6−テトラブロモベンゼン、1,4−ビス〔β−ヒドロキシエチルチオメチル〕−2,3,5,6−テトラブロモベンゼン、1,3−ビス〔β−ヒドロキシエチルチオメチル〕−2,4,5,6−テトラブロモベンゼン、1,2−ビス〔β−ヒドロキシエチルチオメチル〕−3,4,5,6−テトラブロモベンゼン、1,4−ビス〔3−ヒドロキシプロピルチオメチル〕−2,3,5,6−テトラブロモベンゼン、1,3−ビス〔3−ヒドロキシプロピルチオメチル〕−2,4,5,6−テトラブロモベンゼン、1,2−ビス〔3−ヒドロキシプロピルチオメチル〕−3,4,5,6−テトラブロモベンゼンなどが挙げられる。
【0034】
上式(6)で示された化合物のうち、ジチオール化合物に属する化合物としては、例えば、メルカプトメチルチオ−p−キシリレン、メルカプトメチルチオ−m−キシリレン、メルカプトメチルチオ−o−キシリレン、β−メルカプトエチルチオ−p−キシリレン、β−メルカプトエチルチオ−m−キシリレン、β−メルカプトエチルチオ−o−キシリレン、3−メルカプトプロピルチオ−p−キシリレン、3−メルカプトプロピルチオ−m−キシリレン、3−メルカプトプロピルチオ−o−キシリレン、1,4−ビス〔メルカプトメチルチオメチル〕−モノクロロベンゼン、1,4−ビス〔メルカプトメチルチオメチル〕−ジクロロベンゼン、1,4−ビス〔メルカプトメチルチオメチル〕−トリクロロベンゼン、1,4−ビス〔メルカプトメチルチオメチル〕−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン、1,3−ビス〔メルカプトメチルチオメチル〕−2,4,5,6−テトラクロロベンゼン、1,2−ビス〔メルカプトメチルチオメチル〕−3,4,5,6−テトラクロロベンゼン、1,4−ビス〔β−メルカプトエチルチオメチル〕−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン、1,3−ビス〔β−メルカプトエチルチオメチル〕−2,4,5,6−テトラクロロベンゼン、1,2−ビス〔β−メルカプトエチルチオメチル〕−3,4,5,6−テトラクロロベンゼン、1,4−ビス〔3−メルカプトプロピルチオメチル〕−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン、1,3−ビス〔3−メルカプトプロピルチオメチル〕−2,4,5,6−テトラクロロベンゼン、1,2−ビス〔3−メルカプトプロピルチオメチル〕−3,4,5,6−テトラクロロベンゼン、1,4−ビス〔メルカプトメチルチオメチル〕−2,3,5,6−テトラブロモベンゼン、1,3−ビス〔メルカプトメチルチオメチル〕−2,4,5,6−テトラブロモベンゼン、1,2−ビス〔メルカプトメチルチオメチル〕−3,4,5,6−テトラブロモベンゼン、1,4−ビス〔β−メルカプトエチルチオメチル〕−2,3,5,6−テトラブロモベンゼン、1,3−ビス〔β−メルカプトエチルチオメチル〕−2,4,5,6−テトラブロモベンゼン、1,2−ビス〔β−メルカプトエチルチオメチル〕−3,4,5,6−テトラブロモベンゼン、1,4−ビス〔3−メルカプトプロピルチオメチル〕−2,3,5,6−テトラブロモベンゼン、1,3−ビス〔3−メルカプトプロピルチオメチル〕−2,4,5,6−テトラブロモベンゼン、1,2−ビス〔3−メルカプトプロピルチオメチル〕−3,4,5,6−テトラブロモベンゼンなどが挙げられる。
【0035】
これらの中でも、臭気の点からジオール化合物が好ましく、環境的な観点から非ハロゲン化合物がより好ましく、特に好ましくは、得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物の粘度の点から、下式(8)の化学構造を有するβ−ヒドロキシエチルチオ−p−キシリレンである。
【0036】
【化8】

【0037】
イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、イソシアナトメチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、3−イソシアナトプロピル(メタ)アクリレートなどの脂肪族系イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0038】
これらの中でも、入手のしやすさから2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートが好ましく、特に好ましくは、得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物の速硬化性の点から2−イソシアナトエチルアクリレートである。
【0039】
上式(5)または(6)で示される化合物と、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートの反応における仕込み比率は、上式(5)または(6)で示される化合物1モルに対して、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートを2〜2.1モルであることが好ましい。少なすぎると反応後に水酸基末端やメルカプト基末端の化合物が反応系内に残るため、目的とするウレタン(メタ)アクリレート系化合物が収率よく得られない傾向があり、逆に、多すぎると、反応後に原料のイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートが反応系内に残るため、目的とするウレタン(メタ)アクリレート系化合物が収率よく得られない傾向がある。
【0040】
本発明においては、上式(5)または(6)で示される化合物を有機溶剤に溶解し、この溶液をイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートに滴下する反応方式が好ましい。使用される有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類等があげられる。中でも溶解性の点でテトラヒドロフランが特に好ましい。
【0041】
溶液中における上式(5)または(6)で示される化合物の濃度は、好ましくは1〜500重量部/L、より好ましくは10〜300重量部/L、更に好ましくは50〜200重量部/Lである。滴下速度の好ましい範囲は、上式(5)または(6)で示される化合物の全量を100モルとした時に、好ましくは1〜100モル/時間、より好ましくは5〜100モル/時間、更に好ましくは10〜100モル/時間である。滴下速度が遅すぎると生産性に劣る傾向があり、速すぎると反応が暴走し、その発熱により原料のイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートが重合してしまう傾向がある。
【0042】
本発明においては、反応を促進する目的でジブチルチンジラウレートのような金属触媒や、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のようなアミン系触媒等を用いることが好ましい。触媒の添加量は、上式(5)または(6)で示される化合物100重量部に対して、0.01重量部以上であることが好ましく、特には0.01〜0.1重量部、更には0.02〜0.05重量部であることが好ましい。添加量が少なすぎると生産性に劣る傾向となる。
【0043】
反応温度は、通常40〜80℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは55〜65℃の範囲である。反応温度が低すぎると生産性に劣る傾向となり、高すぎると原料のイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートが重合してしまう傾向がある。
【0044】
また、反応は、生成物の色相向上のため、不活性ガス下で行われることが好ましい。
反応の終点は、反応液中のイソシアネート量を滴定などの手法で確認することにより判断できる。滴定の手法としては、反応物の一部を採取し、ジ−n−ブチルアミンに加えて反応させ、残存するジ−n−ブチルアミンを塩酸で逆滴定することなどが挙げられる。
【0045】
得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、微量残存する原料のイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートなどを除くために洗浄してもよい。洗浄の手法としては、反応系内に一般式(1)または(2)の化合物の貧溶媒を投入し、貧溶媒層に移行したイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートを除去する。貧溶媒としては、メタノール、エタノール等の低級アルコール、及びこれらの混合溶媒が好ましい。
かくして本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)が得られる。
【0046】
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)は、分子構造の両末端に(メタ)アクリロイル基を有するため、紫外線などの活性エネルギー線により速やかに硬化し、高度な架橋構造を有する硬化物を形成する。この速硬化性はコーティング用途においては重要であり、少ない光量で十分に硬化させることができる。
【0047】
更に、かかるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)は、分子構造中にウレタン結合を有しているため、形成されるコート層は、プラスチックフィルム、ガラス、金属などの基材に高い密着性を有するものとなる。また、上述の製造方法に示されるとおり、比較的単純な反応で製造されるため、オリゴマー体や不純物が極めて少なく、屈折率の精度にも優れるものとなる。
【0048】
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート系化合物の屈折率精度は、好ましくは±0.001以内、より好ましくは±0.0005以内、特に好ましくは±0.0003以内である。かかる精度が上記範囲を超えるとコート層の光学設計が困難になる傾向がある。
本発明においては、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の中でも、高屈折率の点から一般式(1)で示される化合物が好ましい。
【0049】
本発明において、成分(B)として使用される単官能(メタ)アクリレート系化合物は、一般式(3)及び/または(4)で示されるものであり、その具体例としては、例えば、2−(o−フェニルフェノキシ)メチルアクリレート、2−(m−フェニルフェノキシ)メチルアクリレート、2−(p−フェニルフェノキシ)メチルアクリレート、2−(o−フェニルフェノキシ)エチルアクリレート、2−(m−フェニルフェノキシ)エチルアクリレート、2−(p−フェニルフェノキシ)エチルアクリレート、2−(o−フェニルフェノキシ)プロピルアクリレート、2−(m−フェニルフェノキシ)プロピルアクリレート、2−(p−フェニルフェノキシ)プロピルアクリレートなどの一般式(3)で示されるビフェニル系化合物;2−フェニル−2´−(β−(メタ)アクリロイルオキシメトキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2´−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2´−(β−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパンなどの一般式(4)で示されるビスフェノールA系化合物が挙げられる。これらの中でも、高屈折率の点から、一般式(3)で示されるビフェニル系化合物が好ましく、速硬化性の点から、アクリレートがより好ましく、低粘度の点から、2−(o−フェニルフェノキシ)エチルアクリレートが特に好ましい。
【0050】
本発明における、成分(B)の配合量は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して10〜90重量部、より好ましくは20〜80重量部、更に好ましくは30〜70重量部、特に好ましくは40〜60重量部である。成分(B)の配合量が少なすぎると、活性エネルギー線硬化性組成物の低粘度化が困難となる傾向にあり、逆に多すぎると、活性エネルギー線による速硬化性が低下し、かつ基材との密着性が低下する傾向にある。
【0051】
なお、硬化に必要な光量としては、例えば、紫外線による硬化を行う時には、0.1〜20J/cm2が好ましく、0.5〜10J/cm2がより好ましい。
【0052】
本発明で使用されるウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、分子構造中に芳香環、硫黄原子、必要に応じて塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子を有するため高屈折率であり、一方、本発明において使用される単官能(メタ)アクリレート系化合物も、分子構造中に芳香環を有し高屈折率であるため、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は高屈折率を有する硬化物を形成することができる。
【0053】
本発明においては、かかる硬化物の屈折率が重要であり、硬化物の屈折率は1.58以上であることが好ましく、より好ましくは1.58〜1.64、更には1.59〜1.63、特には1.60〜1.62であることが好ましい。硬化物の屈折率が低すぎると近年の高屈折率化の要望に対して対応することが困難となり、高すぎるとアッベ数が低下する傾向にある。
なお、本発明における屈折率は、NaD線を用いて23℃で測定される値である。
【0054】
本発明においては、アッベ数も重要であり、好ましくは25以上、より好ましくは25〜40、更に好ましくは26〜35、特に好ましくは26〜30である。アッベ数の低下は色分散の増大を意味し、低すぎると、レンズやコート膜に色むらが発生しやすい傾向がある。一般的に、アッベ数の向上は屈折率の低下を招くため、成分(B)の種類や配合量を適切に選定する必要が有る。例えば、成分(B)として、上記の中でも特にビスフェノールA系の化合物を選択したり、配合量としても成分(A)と(B)の合計100重量部に対して10重量部以上配合したりするなどが選択される。なお、通常、アッベ数の上限値は100である。
【0055】
本発明において、使用される単官能(メタ)アクリレート系化合物(B)は、室温付近で1Pa・s以下と低粘度であり、高粘度なウレタン(メタ)アクリレート系化合物に配合することにより、低粘度な組成物を調製することができる。
【0056】
ここで、高粘度なウレタン(メタ)アクリレート系化合物に低粘度の単官能(メタ)アクリレート系化合物を配合することは公知である。本発明においては、高いレベルでの屈折率を保持したまま、アッベ数の低下もなく、低粘度化を達成することができる単官能(メタ)アクリレート系化合物として、上記特定の一般式(3)及び/または(4)で示される化合物を選択したことに最大の特徴を有する。例えば、上記特許文献3の段落番号0050及び0051に記載の単官能(メタ)アクリレート系化合物を配合した活性エネルギー線硬化性組成物では本発明の効果を得られない。
【0057】
本発明においては、かかる活性エネルギー線硬化性組成物の粘度が重要であり、25℃における粘度が100Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1〜90Pa・s、更には2〜80Pa・s、特には3〜70Pa・sであることが好ましい。粘度が高すぎると、無溶剤でコーティングすることが困難となるし、低すぎると2P成形やナノインプリントなどの微細レンズ製造プロセスに適用することが困難となる。
【0058】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、上記の成分(A)及び成分(B)を含有してなるものであるが、好ましくは更に、成分(C)として光重合開始剤を含有する。
【0059】
かかる光重合開始剤としては、光の作用によりラジカルを発生するものであればよく、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピレンフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、4′,4″−ジエチルイソフタロフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、α−アシロキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン等が挙げられ、中でもベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが好適に用いられる。
【0060】
成分(C)の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜5重量部、特に好ましくは0.3〜3重量部である。かかる含有量が少なすぎると硬化速度が遅くなる傾向があり、多すぎると硬化物の色相が悪化する傾向がある。
【0061】
更に、上記光重合開始剤の助剤として、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
【0062】
また、本発明においては、成分(C)に加え、連鎖移動剤としてメルカプタン化合物を含有することも可能である。
【0063】
メルカプタン化合物としては、分子構造中に複数のチオール基を有する化合物が好ましい。複数のチオール基を有する化合物を用いることで、更なる高屈折率化や表面硬度の向上が可能になる。
【0064】
複数のチオール基を有するメルカプタン化合物としては、例えば、ベンゼンジチオール、キシリレンジチオール、ヘキサンジチオール、トリレントリチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ジエチレングリコールビス(β−チオプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(チオグリコレート)、トリエチレングリコールビス(β−チオプロピオネート)、トリエチレングリコールビス(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(チオグリコレート)、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス(2−チオグリコニルオキシエチル)トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス(2−チオグリコニルオキシエトキシエチル)トリイソシアヌレート、トリス[3−(β−チオプロピオニルオキシ)プロピル]トリイソシアヌレート、トリス(3−チオグリコニルオキシプロピル)トリイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0065】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で他の共重合性成分や各種添加剤を用いても良い。
【0066】
他の共重合成分としては、例えば、エチレン性不飽和モノマー(但し、成分(A)、成分(B)は除く。)が好ましい。かかるエチレン性不飽和モノマーとしては、1分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有するものであればよく、単官能モノマー(但し、成分(B)は除く。)、2官能モノマー(但し、成分(A)は除く。)、3官能以上のモノマーが挙げられる。
【0067】
単官能モノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート等のフタル酸誘導体のハーフエステル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートモノエステル等が挙げられる。
【0068】
また、単官能モノマーとして、上記の他にアクリル酸のミカエル付加物あるいは2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルも挙げられ、アクリル酸のミカエル付加物としては、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等が挙げられる。また、特定の置換基をもつカルボン酸である2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルとしては、例えば2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。更に、オリゴエステルアクリレートも挙げられる。
【0069】
2官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等が挙げられる。
【0070】
3官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記のエチレン性不飽和モノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0071】
上記エチレン性不飽和モノマーの含有量は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましい。多すぎると屈折率が低下する傾向がある。
【0072】
また、各種添加剤としては、シランカップリング剤、酸化防止剤、重合禁止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、フィラー、染顔料、油、可塑剤、ワックス類、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、乳化剤、ゲル化剤、安定剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤、難燃剤、充填剤、補強剤、艶消し剤、架橋剤などが挙げられる。
【0073】
かくして本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、溶剤を用いなくても低粘度であり、かつ、基材との密着性に優れた高屈折率な硬化物を形成することができ、レンズ形成材料、コーティング剤、接着剤、及び封止剤として好適に使用される。
【0074】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物をレンズ形成材料として使用する場合、レンズ形成の手法は特に限定されないが、例えば、注型成形や2P成形など公知の手法が用いられる。なお、ここでいうレンズとは、プリズムレンズ、フレネルレンズ、マイクロレンズアレイなどの光を屈折、回折、干渉させるものであれば限定されず、樹脂フィルムやガラスなどの基材上に、プリズム状の微小な凹凸を周期的あるいはランダムに形成したレンズフィルムなども好適な使用例として挙げられる。特に、本発明の好適な使用例として、高輝度化フィルムが挙げられる。高輝度化フィルムは、樹脂フィルム上に100μmサイズのプリズムを配列したものであり、ディスプレイの輝度向上や消費電力化のために、光源からの拡散光をある程度集光して前面に出射させる機能を有する光学フィルムである。
【0075】
高輝度化フィルムを2P成形で製造するには、先ず活性エネルギー線硬化性組成物を、表面が微細なプリズム形状に加工された母型に流延し、組成物の上部に透明樹脂フィルムをかぶせた後、樹脂フィルムの上部から活性エネルギー線を照射して組成物を硬化させ、このプリズム形状を有する硬化物を樹脂フィルムごと母型から剥離することにより製造される。母型としては、金型、ガラス型、樹脂型などを用いることができる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、アクリル系フィルムなどが挙げられる。
【0076】
活性エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、可視光線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
【0077】
紫外線照射により硬化させる方法としては、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて、0.1〜10J/cm2程度の紫外線を照射すればよい。紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
【0078】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物をコーティング剤として使用する場合、コーティングの手法は特に限定されないが、例えば、スピンコート、ディップコート、バーコート、グラビアコートなど公知の手法が用いられる。
【0079】
コーティング剤として使用する場合、本発明の主旨から溶剤希釈は好ましくないが、ハンドリング性の向上を目的に、少量の溶剤を添加することも可能である。その場合、溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類等の公知の有機溶剤が挙げられる。
【0080】
有機溶剤の配合量は、活性エネルギー線硬化性組成物100重量部に対して、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下、更に好ましくは5重量部以下である。多すぎると乾燥負荷が増大する傾向がある。
【0081】
本発明のコーティング剤は、これを基材にコーティングし、必要に応じて溶剤乾燥した後、活性エネルギー線を照射することにより硬化される。かかる基材としては、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、アクリル系フィルムなどの樹脂フィルム、ガラス等が挙げられる。
【0082】
以上のように、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、低粘度であり、高屈折率で且つ基材への密着性に優れた硬化物を形成することができ、レンズ形成材料、コーティング剤、接着剤、封止剤、粘着剤、塗料、インク、コーティングバインダーなどの種々の用途に有用である。中でも、基材上に、フレネルレンズやマイクロレンズアレイなどの微小レンズを形成するレンズ形成剤として好適に使用される。
【実施例】
【0083】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
各特性の測定条件は以下の通りである。
【0084】
(1)粘度
東京計器社製E型粘度計を用いて、25℃、回転数5rpm(EMD3°コーン)で測定した。
【0085】
(2)屈折率
アタゴ社製の「アッベ屈折計1T(NaD線)」を用いて25℃で測定した。
【0086】
(3)アッベ数
アタゴ社製の「アッベ屈折計1T」を用いて25℃で測定した。
【0087】
(4)密着性
JIS K 5600−5−6に準じて、ピールテスト(剥離速度10cm/秒)を行い、コート層がポリエチレンテレフタレート(PET)基材から剥がれたものを×、剥がれなかったものを○とした。
【0088】
〔ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の製造〕
滴下ロート、温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、2−イソシアナトエチルアクリレート52g(0.37モル)、ジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、一方、滴下ロートに4,4’−ビス〔β−ヒドロキシエチルチオ〕ジフェニルスルホン66.7g(0.18モル)とTHF(テトラヒドロフラン)700gの均一な溶液を仕込んだ。フラスコ内を60℃に昇温した後、滴下ロートより370g/時間で溶液を滴下して反応を行い、残存イソシアネート基が0.1%となった時点で反応を終了した。その後、重合禁止剤としてハイドロキノンメチルエーテル0.4gを加え、溶剤を留去して、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)を得た。得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の粘度は1640Pa・sであった。
【0089】
また、得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の13C−NMR、1H−NMR、赤外チャートから、このウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の構造は下記の通りであった。
【0090】
【化9】

【0091】
〔活性エネルギー線硬化性組成物の製造〕
上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、単官能(メタ)アクリレート(B)として2−(o−フェニルフェノキシ)エチルアクリレート(新中村化学工業社製NKエステル「A−LEN−10」)、2−フェニル−2’−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン(新中村化学工業社製NKエステル「A−CMP−1E」)、又は(B)成分に該当しない単官能(メタ)アクリレートとして、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(新中村化学工業社製NKエステル「702A」)、光重合開始剤(C)として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、「ダロキュア1173」(商品名))を、それぞれ表1に示す量を配合し、室温で1時間均一になるまで撹拌して活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。得られた各組成物の粘度は表1に示す通りである。
【0092】
〔コート層の形成〕
上記で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を、厚さ100μmのPETフィルム上に、バーコートした(膜厚測定のため板面の一部にテープを貼ってマスキングした)。高圧水銀灯ランプ80W、1灯を用いて、13cmの高さから4.3m/minのコンベア速度で1パスの紫外線照射(積算照射量1J/cm2)を行い、厚さ10μmのコート層を形成した。得られたコート層の屈折率、アッべ数を測定した。また、上記評価方法に基づいて密着性を評価した。結果を表1にあわせて示す。
【0093】
【表1】

【0094】
組成物No.1−4は本発明の実施例であり、組成物No.5、6は比較例である。
単官能モノマーとして、一般式(3)で示される化合物に属する2−(o−フェニルフェノキシ)エチルアクリレートを配合した組成物No.1−3、一般式(4)で示される化合物に属する2−フェニル−2’−(β−((メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパンを配合した組成物No.4では、いずれも低粘度の組成物でハンドリング性に優れたものであり、しかも得られる硬化物は、屈折率1.58以上と高く、アッべ数も26〜30と非常に良好な値であった。また、組成物No.1−4から得られる硬化物には、いずれも密着性に優れていた。
【0095】
一方、組成物No.6は、特許文献3で例示されていた単官能(メタ)アクリレートを配合したものである。単官能(メタ)アクリレートの配合量をNo.4と同量とすることにより、粘度をNo.4と同程度にまで低下することはできたが、屈折率が1.563と組成物No.1−4よりも低く、レンズ形成剤等の光学的用途の材料として不適当である。従って、特定構造を有する単官能(メタ)アクリレートを用いた場合(No.1−4)に限り、成分(A)としてのウレタン(メタ)アクリレートの高屈折率を損なうことなく、粘度低減を達成できることがわかる。
【0096】
組成物No.5は、希釈用単官能モノマーを含まない場合である。一般式(1)で示されるウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)に基づいて、屈折率をある程度高められた硬化物を得ることができたものの、単官能モノマーも溶剤も含まないため、高粘度でコート性に劣るものとなり、更に密着性も劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、低粘度で、高屈折率且つ基材への密着性に優れた硬化物を形成することができる。レンズ形成材料、コーティング剤、接着剤、封止剤、粘着剤、塗料、インク、コーティングバインダーなど、各種の被膜形成材料として有用であり、中でも、ディスプレイ用の基板や光学フィルム、レンズ、太陽電池やメモリーディスク等のコーティング剤として用いるのに非常に有用である。特に、基材上に、フレネルレンズやマイクロレンズアレイなどの微小レンズを形成するレンズ形成剤としても好適に使用される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)及び/または(2)で示されるウレタン(メタ)アクリレート系化合物;及び
(B)下記一般式(3)及び/または(4)で示される単官能(メタ)アクリレート系化合物
を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
【化1】

【化2】



成分(B):下記一般式(3)及び/または(4)で示される単官能(メタ)アクリレート系化合物。
【化3】

【化4】

((1)式中、R、Rは水素又はメチル基、R、R素数1〜3の炭化水素基、Xは塩素、臭素、又はヨウ素、aとbは同じでも異なってもよい0〜4の整数、Yは酸素又は硫黄であり、(2)式中、R、Rは水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3の炭化水素基、Zは塩素、臭素、又はヨウ素、cは0〜4の整数、Wは酸素又は硫黄であり、(3)式中、Rは水素又はメチル基、R10は炭素数1〜3の炭化水素基であり、(4)式中、R11水素又はメチル基、R12は炭素数1〜3の炭化水素基である。)
【請求項2】
更に、(C)光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項3】
25℃における粘度が100Pa・s以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項4】
硬化物の屈折率が1.58以上となることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物の活性エネルギー線照射により得られる硬化物であって、屈折率が1.58以上であることを特徴とする硬化物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物よりなることを特徴とするレンズ形成剤。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物よりなることを特徴とするコーティング剤。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物よりなることを特徴とする接着剤。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物よりなることを特徴とする発光ダイオードの封止剤。


【公開番号】特開2011−157543(P2011−157543A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272550(P2010−272550)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】