説明

活性ポリマー押出物の調製

高温および/または高圧の高密度相、亜臨界または超臨界の可塑化条件下で、ポリマー基材およびゲスト物質を可塑化流体と接触させてポリマー基材を可塑化し、ゲスト物質を取り込むこと、ならびに高密度相、亜臨界または超臨界条件下でゲスト物質を取り込んでいるポリマー基材を、押出しオリフィスを通して回収区域または金型中に、同時にまたはそれに続いて圧力を解除しながら押し出すことを含み、これにより、オリフィスまたは金型により付与された形状のポリマーマトリックスおよびゲスト物質の固体混合材を含む押出物が得られる、ポリマーマトリックスおよびゲスト物質を含む活性ポリマー押出物を調製する方法;新規の押出物;これらの組成物およびこれらを調製する装置、ならびに繊維加工技法、薬物または画像化剤または診断薬などの医薬品などの送達、組織工学、および薬物、画像化剤および診断薬のための送達デバイスまたは助剤などの医薬デバイスまたは助剤における、縫合糸などの組織工学デバイスまたは助剤としての;例えば静菌力または殺菌力を有する抗菌薬としての;例えば、天然起源のまたは人工的に導入された毒物または毒素を、例えば、吸収、相互作用または反応により固定化することが可能な天然または合成バリアとしてなどの医学応用における;農芸化学または作物保護の応用における;染色、織物、電子機器などに使用する熱的に不安定な繊維の、ポリマーTg、Tmまたは溶融粘度未満での加工における;従来の方法、例えば溶融押出しなどでは形成することができなかった、染料およびその他の熱的に不安定な材料のポリマー中への取込みにおける;あるいは、ポリマー特性を制御するための繊維中への界面活性剤の取込みにおけるこれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーを可塑化し、オリフィスを通して押し出すことによる活性ポリマー押出物を調製する方法、新規押出物、これらの組成物、動物またはヒトの培養物質または非培養物質中におけるまたはこれらを伴うこれらの使用、およびこれらを調製する装置に関する。より詳細には、本発明は、ポリマーおよびゲスト物質を可塑化し、オリフィスを通して押し出すことにより、染料、薬物、タンパク質、金属またはその他の分子などのゲスト物質を取り込んでいる活性ポリマー押出物を調製する方法、シート、皮膜、チューブ、円柱、リボン、フィブリル、フィブロイド、繊維、不織物質などの形状の、ゲスト物質との固体混合材としての活性ポリマー押出物、これらの組成物、これらを調製する装置、およびこれらの繊維加工技法における、天然または合成バリアとしての医学の応用例、農芸化学または作物保護の応用例における、従来の方法により形成することのできない、染料およびその他の熱的に不安定なゲスト物質をポリマー中に取り込んで、染色、織物、電子機器などに使用する熱的に不安定な繊維の、ポリマーのTg、Tmまたは粘度未満での加工における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
無機材料をおよびより最近では生物学的活性種を、後者は活性度の損失なしに、ポリマーホスト中に取り込むために、超臨界流体(SCF)の混合を使用し得ることが知られている。例えば、COにより誘導された可塑化が、ポリ(DL−ラクチド)(PLA)、ポリラクチド−co−ポリグリコリド(PLGA)およびポリ(ε−カプロラクトン)などの生分解性ポリマーの粘度を、35℃、200バールなどの周囲に近い圧力で、ポリマー中に生物活性ゲストを混合できる程度にまで低下させるために利用されている。(Howdleら、Chem.Commun.2001、190)。こうした生物活性ゲストを取り込んでいるポリマーは、発泡性モノリス剤としておよび散剤として調製されており、これらは、組織工学、薬物放出などを含む広範な医学応用分野に適している。
【0003】
薬物放出の分野では、生物活性物質を取り込んでいる生分解性ポリマー繊維を調製することが知られており、これは分解してこれらの物質を放出する。この繊維を皮下にまたは筋肉内に注入するまたは挿入することができ、動き回るいくつかの粒子とは対照的に、単一繊維が定位置に留まることができるという利点を有する。繊維放出材料の、従来の散剤または粒剤の放出材料に対する利点は、所望の薬物放出または植込みのために繊維を正確に配置する能力である。
【0004】
ポリマー繊維中にゲスト物質を取り込む伝統的な方法としては、既存繊維のゲスト物質溶液による含浸がある。しかしこのことは、2段階の加工が必要であり非効率的である。さらに、含浸させるために溶媒の使用が必要であり、残留物、生物活性物質などの失活の問題が生じる。
【0005】
ポリマー繊維は、伝統的に溶融押出しにより形成され、これにより、ポリマービーズが溶融され、繊維を作製するようにオリフィスを通して溶融押出しされる。より最近、ポリマーを超臨界COで飽和させ、スピニングし、押し出して繊維を形成し、この加工がポリマーの溶融温度未満またはTg未満の温度で実施されることによる、ポリマー繊維を製造する方法が開発されている。しかし、これらの方法は、ある種のポリマー/ポリマータイプに対しては、典型的には200℃を超過する比較的高温で実施される。したがって、こうした方法は、温度不安定性ポリマーまたは温度に敏感な生物活性ゲスト物質に対しては適していないであろう。
【0006】
具体的には、SCFを用いたポリマー繊維製造方法には2種類、連続法および不連続法がある。両方共に、発泡を引き起こす圧力下で、ポリマーが液体またはガスで飽和され、次いで圧力を解除するか温度を上昇させることにより系をクエンチすることを基にしている。発泡は、ポリマーガス混合物が連続操作で押し出されるとき生じ、あるいは、発泡は、不連続操作で押出しに先立って、圧力の解除または加熱浴への浸漬により引き起こされる。これらの繊維を製造する方法は共に、飽和および発泡条件が対になっており、これにより繊維の加工の制御の程度量が低いという欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、SCF飽和条件、および流動性可塑化条件、およびポリマーの発泡条件の制御が独立している、単段のSCF加工を使ってゲスト物質を取り込んでいる繊維状ポリマー押出物を調製するための方法を提供することができることを見出した。これらの技法が、ポリマーがゲスト物質の取込みを可能にするのに十分な低粘度であるという必要条件とは大き異なって、典型的にはより高い分子量およびより粘性の材料にすることにより達成される、ポリマーが繊維を形成するのに十分な凝集性であるという必要条件に関して単段の方法に一体化し得ることは、特に有利であり、実際、特に驚くべきことである。しかし、本発明者らの研究により、本発明の方法は、温度および圧力の形態の加工条件、分子量および固有粘度の形態のポリマー特性、押出オリフィス寸法などのハードウエア特性、および特にSCF温度および押出背圧を操作することが可能であり、これにより、単段でゲスト物質の取込みおよび繊維の形成を達成することが可能であることの発見が導かれた。この方法は、必要に応じて溶媒なしに、ゲスト物質の活性が完全にまたは大部分保持される中間の温度で、およびゲスト物質を、所望の形状および寸法および多孔性などの所望の特性の押出物中に均一な分布で、所望通りに非常に低濃度、または中間濃度、または高濃度で取り込む操作が可能になる点で特に利益を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の最も広い態様では、したがって、高温および/または高圧の高密度相、亜臨界または超臨界の可塑化条件下で、ポリマー基材およびゲスト物質を可塑化流体と接触させてポリマー基材を可塑化し、ゲスト物質を取り込むこと、ならびに高密度相、亜臨界または超臨界条件下でゲスト物質を取り込んでいるポリマー基材を、押出しオリフィスを通して回収区域または金型中に、同時にまたは続いて圧力を解除しながら押し出すことを含み、これにより、オリフィスまたは金型により付与された形状のポリマーマトリックスおよびゲスト物質の固体混合材を含む押出物が得られる、ポリマーマトリックスおよびゲスト物質を含む活性ポリマー押出物を調製する方法が提供される。
【0009】
本発明による押出物は、形状を有し、あるいは少なくとも1つの次元に連続的または合着した任意の押出物を適切には含む。好ましくは、本発明による押出物は、シート、皮膜、チューブ、円柱、棒、リボン、フィブリル、フィラメント、フィブロイド、繊維、中実および中空の断面、メッシュ、織られたまたは不織の押出物などの形状の押出物を含む。したがって、この押出物は、当技術分野で知られており、ポリマーを高圧可塑化容器から低圧回収区域に噴射することにより得られてきた形状のない粒子および粉末を除外する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書では、押し出すまたは押出しとは、適当な材料、この場合はポリマー材料をラムまたは等価物でかけられた圧力により、例えばスクリュー駆動を用いてダイを通して押し込むことにより、高圧下で紡糸口金またはノズルの微細な穴を通して押し込んで、棒、チューブ、シート、皮膜、導線被覆および種々の中実および中空の断面を製造する操作を言う。この押出物は、回収室または回収区域中へ、あるいは、時には押出し成形として知られている、押し出された材料を次に成形するために金型中へ入る。本明細書では、押出物とは、押出しがそれを通して行われるダイにより、または、成形押出物としても知られている、押出しがその中で行われる金型により付与された形状または形を有するこうして得られた生成物を言う。
【0011】
本明細書では、固体混合材とは、ゲスト物質を典型的には相包含体、均一または不均一な粒子分散体などの形態で、あるいは任意のこうした所望の形態で取り込んでいるポリマーマトリックスを言う。例えば、ゲスト物質は、ポリマー基材により被覆の形態でカプセル化されていてもよく、あるいはポリマー基材全体に均一に分配されていてもよい。
【0012】
本発明の方法は、予期に反して、本発明者らは、ゲスト物質の取込みを助長させ、しかも、形状を有する押出物を形成するのに十分に凝集性があるポリマーを用いて押出物を調製することが可能であったという点で特に有利である。これらの物体は、異なる、通常は相互に排他的なポリマー特性が必要である。ゲスト物質の取込みには低粘度が必要であるが、一方、形状を有する押出物には凝集力を付与する比較的高分子量が必要である。本発明の方法において、ポリマーとゲスト物質の混合または組合せ、およびこれらの押出しは、単段で同時にまたは逐次に実施され、このことは、従来技術とは明らかに大きく異なる。本発明の特定の利点としては、この方法は、様々な形態(すなわち、様々な直径、様々な多孔性、様々な長さ)の押出物の調製、およびゲスト物質の活性度、例えば生物学的活性度などの保持が調整し得ることである。
【0013】
ポリマー基材は、この方法に導入するのに好都合な所望のいずれかの形態で適切に供給され、典型的には、溶融押出しの当技術分野で知られている固相粒子または顆粒またはペレットとして供給されるが、あるいは、固体ブロックまたはモノリスの形態で供給され得る。あるいは、ポリマーは、液状で供給され得るが、このことは好都合ではなく、有利でない。
【0014】
本発明の方法で使用される可塑化流体は、好ましくは、ガスのような液体のような両方の特性を特徴とする、任意の高密度相、亜臨界、超臨界または同様の流体でよい。詳細には、流体密度および溶解度特性は液体のものに似ており、一方、粘度、表面張力および任意の媒体中における流体拡散速度はガスのものに似ており、ガスのようなポリマー基材への浸透を可能にする。したがって、可塑化流体は、ポリマー基材を、ゲスト物質の取込み、およびポリマー基材の押出し、および所望の形状または構造、この場合は押出物への転換を助長させる可塑性の状態にすることができる。
【0015】
可塑化流体、特に超臨界流体は、多くのポリマーのガラス転位温度(T)、または溶融温度(T)または粘度の有意の低下を生じさせ、このことは、ポリマーが比較的低温度で液体の状態におかれることを意味することが知られている。温度もしくは圧力、またはこの両方を低下させることにより、ポリマーにより吸収される可塑化流体の量が減少し、これによって、T、Tmまたは粘度は、ポリマーに対するT、Tmまたは粘度が、ポリマーが固化してポリマー形状および構成が固定する、可塑化温度より高い温度に上昇を開始する。
【0016】
本発明の特定の利点は、したがって、この方法が、追加の溶媒が実質上存在せずに実施し得ることである。このことは、ゲスト物質が相転移または溶解により改変または破壊され得る所望の活性または特性を有する場合は、非常に重要であり得る。したがって、本発明の特定の利点としては、この方法は、溶媒感受性のゲスト物質を取り込んでおり、化学的形態が変らずおよび/または物理的形態が変らないポリマー押出物を調剤するのに適している。
【0017】
この方法は、任意の適当な方法で実施することができ、内容物を混合する手段を備え得る、温度および圧力上昇に適合する圧力室を備えている装置中で好ましくは実施される。この圧力室は、上記で定義されたオリフィスを通して内容物を、可塑化圧力より低圧または高圧である回収区域または金型中に押し出す手段を含む。この装置は、押出し中に所望の圧力を維持するために、一般に当技術分野で知られているように、圧力室を加圧しながら反応物および成分を導入する手段を備えている。適切には、押出しオリフィスは、所望の形状、寸法および長さのダイを備えており、1つまたは複数の押出物または複合材押出物を製造するための単一または複数のオリフィスを備え得る。回収区域は、回収プレート、トレーまたは室などの開放でも閉鎖でもよい。金型は、形状を付与するための、任意の開放または閉鎖の金型であってもよい。
【0018】
他の利点としては、本発明の方法は、供給されたポリマーまたは生物活性体中に存在し得る残留モノマーなどの非常に良好な除去を達成する。このことは、ヒトまたは動物の体中へのモノマーなどの放出がそれにより非常に望ましくなく、回避されるべき毒性の目的に対しては特に利点である。
【0019】
それにもかかわらず、ゲスト物質が溶媒非感受性である場合に、例えば、分散を容易にするため、あるいは押出物の形態(例えば多孔性)に特定の効果を及ぼすために、この方法を、部分的にまたは全体的に追加の溶媒の存在下で実施することが望ましい。こうした場合に、溶媒は、当技術分野で知られている任意の適当な溶媒を含み得、ポリマー基材および/またはゲスト物質は可溶または不溶の溶媒を含み得る。
【0020】
この方法は、ポリマーの可塑化およびゲスト物質の取込みを引き起こすのに必要な任意の適当な可塑化時間、例えば2ミリ秒〜72時間の範囲で操作することができる。72時間までのオーダーのより長い可塑化時間、例えば10分〜72時間または2分〜24時間または5分〜2時間が、安定なさもなければ非感受性の基材またはゲスト物質の場合に、およびゲスト物質を取り込むのに長時間が必要な場合に、適切であり得る。あるいは、2ミリ秒〜10分までのオーダーのより短い可塑化期間、好ましくは20ミリ秒〜5分、より好ましくは1秒〜1分、例えば2〜30秒または2〜15秒が、不安定なまたは感受性の高いポリマー基材またはゲスト物質の場合に、またはゲスト物質の不均一な分散が適当な場合に、適している。
【0021】
流体、ポリマー基材およびゲスト物質は、所望のいずれかの順序で、可塑化条件を適用する前または適用する間に組み合わせることができる。この方法は、可塑化流体を、ポリマーおよびゲスト物質と接触させる前に可塑化条件下で導入することにより操作してもよく、この場合は、可塑化期間は5時間のように長い。あるいは、流体は、要望どおり、徐々にまたは急速に、ポリマー基材およびゲスト物質の一方または両方と接触している可塑化条件にされてもよい。
【0022】
この方法は、ポリマー基材を前駆体モノマーまたはオリゴマーとして導入すること、およびin situで反応させて硬化されたポリマーを形成することを含み得、あるいは、ポリマー基材を所望の化学形態で導入することを含み得る。
【0023】
この方法は、上記で定義されたように、混合をしながらまたは混合なしに操作してよい。
【0024】
この方法は、−200〜+500℃の範囲の任意の適当な温度で操作し得る。典型的には、可塑化流体は、0と+300℃の間の温度で、7〜1000バールの標準的可塑化圧力で可塑化状態にされ得る。
【0025】
可塑化条件は、−200〜+500℃、好ましくは−200〜200℃の範囲の、流体臨界温度(Tc)未満、これと等しい、またはこれを超える所望の温度を含む。
【0026】
可塑化温度の選択は、部分的に、可塑化流体および可塑化されるポリマー基材の性質により決定される。しかし、本発明の特定の利点として、本発明者らは、この方法は、−200℃〜+200℃、より好ましくは−200℃〜+140℃、より好ましくは−150℃〜+100℃の範囲のより低い温度で操作するのを助けることを見出した。より好ましくは−100〜+100℃、より好ましくは−20〜+100℃、最も好ましくは3〜75℃。殆んどの流体について、この温度は、ほぼ10〜15℃、15〜25℃、25〜30℃、30〜35℃、35〜45℃または45〜55℃、最も好ましくはほぼ28〜33℃(CO)の範囲にある。他の下位範囲も意図され本発明の範囲内である。可塑化およびゲスト物質の取込みを達成するための、ポリマーのTg、Tmまたは粘度を十分低下させるための最も低い温度が好ましくは使用される。本発明の方法は、周囲温度で操作するために、圧力の増加による埋め合わせを必要とし得る。
【0027】
本発明の好ましい実施形態において、この方法は、200℃以下、例えば140℃以下の温度で操作され、ポリマー繊維押出物を調製するSCF押出し技術分野の全く新規の出発を意味している。従来は、SCF押出しは、ポリマーのガラス転位温度(Tg)、溶融温度(Tm)または高粘度状態を超える、典型的には200℃を超える高温で操作されている。SCF加工は、ポリマーが流動状態になる温度の低下を可能にすることが知られているが、それにもかかわらず、凝集性の繊維を形成する必要条件は、より高い分子量またはより高い粘度のポリマーを必要とし、より高い温度で操作することが当技術分野の一般的慣例であった。
【0028】
したがって、本発明の好ましい実施形態において、この方法は、200℃以下および/またはポリマー基材のTg、Tmまたは非粘性状態未満の温度で実施されることを特徴とし、ポリマー基材を可塑化してゲスト物質を取り込むために、高温および/または高圧の、高密度相、亜臨界または超臨界の可塑化条件下で、ポリマー基材およびゲスト物質を可塑化流体と接触させること、ならびに高密度相、亜臨界または超臨界条件下でゲスト物質を取り込んでいるポリマー基材を、押出しオリフィスを通して回収区域または金型中に、同時にまたはそれに続いて圧力を解除しながら押し出すことを含み、これにより、オリフィスまたは金型により付与された形状の、ポリマーマトリックスおよびゲスト物質の固体混合材を含む凝集性の押出物が得られる、ポリマーマトリックスおよびゲスト物質を含む活性ポリマー押出物を調製する方法が提供される。
【0029】
可塑化流体は、0〜+300℃の間の標準的な可塑化温度において、7〜1000バールの間の圧力で可塑化状態に典型的にはされ得る。可塑化条件は、1バールを超え1000バールまで、好ましくは2〜800バール、より好ましくは2〜400バール、より好ましくは5〜75バール例えば15〜73バール、または75〜380バール例えば110〜360バールの、可塑化流体臨界圧力(Pc)未満、これと等しい、またはこれ以上の所望の圧力を好ましくは含む。大部分の流体に対して、この圧力は、ほぼ30〜40バール、40〜50バール、50〜60バール、60〜75バールまたは75〜125バールまたは125〜380であり、最も好ましくは、高密度相、亜臨界または超臨界COのための、ほぼ34〜75バールである。他の下位範囲も意図され、本発明の範囲内である。
【0030】
しかし、可塑化条件は、所望の可塑化度を達成するために、当技術分野で知られているように適切に選択される。典型的には、所望の可塑化度により、ゲスト物質の取込みおよびポリマー基材の所望の形状および構造の押出物への押出しを可能にする、粘度または擬似粘度の低下が達成される。重要なことには、この粘度または擬似粘度の低下のレベルは、押出物の形状に影響するが、粘度低下は、ポリマー基材の分子量、オリフィス寸法および長さ、オリフィスにおける圧力低下などを含む、他の変数との複雑な相互作用である。
【0031】
絶対粘度または粘度の低下の測定は、直接的でもなく非常に正確なものでもなく、したがって、所望の低下は加工条件、基材および押出しのパラメータの制御により決定されることが便利である。さらに、ポリマー基材は、粘性ではない固体の形態であり得る。したがって、この方法は、最初に可塑化形態にすることおよび所望の粘度低下を与えることを含む。適当な粘度は、好ましくは1〜1000000センチポイズ、より好ましくは500〜500000センチポイズ、より好ましくは1000〜100000センチポイズの範囲にあり、粘度は、例えば毛細菅レオメータにより光学的に測定される。粘度の低下は、上記で定義された追加の溶媒の取込みにより促進され得る。あるいは、またはさらに、粘度の低下は、ポリマー基材をブレンドすること、混合すること、攪拌することなどにより促進され得る。ブレンドは、物理的にポンプ給送することさもなければポリマー基材を置き換えることによってもよい。攪拌は、エアレーションまたは流動化ガスフローなどによってもよい。ブレンドは、ポリマー基材中にゲスト物質の物理的混合の有りまたはなしで実施してもよく、ゲスト物質の導入に先立って、またはゲスト物質の存在下で実施してもよい。
【0032】
本発明の方法は、当技術分野で知られている所望のいずれかのポリマー基材により実施してよく、1〜10000キロダルトンの範囲の分子量のポリマーにより実施することが適切である。生物活性物質を取り込んでいるポリマー基材のSCF加工の現在の慣例では、加工室を減圧することによりin situでSCFを除去してモノリスを得ること、あるいは、ポリマー/生物活性体混合物を亜臨界条件下でスプレーすることにより圧力室から取り出して、粉末または所望の粒径の粒状ポリマーを得ることが知られている。こうした方法は、20キロダルトンのオーダーの分子量を有するポリマー基材により典型的には操作される。驚くべきことには、本発明者らは、より高い分子量を選択することにより、上記で定義された範囲のポリマー、好ましくは1〜1000キロダルトン、より好ましくは1〜500キロダルトン、より好ましくは1〜250キロダルトン、より好ましくは1〜200キロダルトン、例えば1〜50または50〜200キロダルトン、より好ましくは1〜150キロダルトン、例えばl〜30または30〜150キロダルトンの範囲のポリマー基材が、ゲスト物質の取込みおよび押出物の形成の両方に適していることを見出した。それにもかかわらず、分子量の選択は、ポリマー基材の性質および使用される粘度の低下条件に依存している。ポリマー基材は、分子間の内部凝集力が、押出し加工中に材料の破壊に耐えるのに十分強いものが選択されることが適切である。この方法により、たとえ周囲の温度および大気圧においても、細い繊維などの凝集性が不十分な押出物は抑制され、太い糸などの所望の寸法の高品質押出物を製造することができる。すなわち、強い内部凝集力を有するポリマーは、上記の範囲のより低い分子量で使用され得、より弱い内部凝集力を有するポリマーは、上記の範囲のより高い分子量で使用され得る。
【0033】
これにより、ポリマー基材の分子量が、押出物の形態に影響を与えることが分かる。押出物の形態に影響を与える追加の特性には、加工条件が含まれる。適当な基材の特性、加工条件などを選択することにより、押出物が所望の形態で得られることは本発明の特に有利な特色である。形態に影響を与える加工条件としては、オリフィス寸法および長さ、押出し時間、可塑化圧力、ポリマー基材がその中に押し出される背圧などがある。
【0034】
本発明の方法により加工されるポリマー基材は、1種または複数のポリマーを含むことができ、同じまたは異なる相であり得、同じまたは異なる特性(例えば、同じまたは異なる多孔性などの形成)であり得る。複数のポリマーは、ポリマーの混合物またはブレンドでもよく、あるいは別々であってもよい。1種または複数は多孔性であり、1種または複数は非多孔性であり、あるいは異なる多孔性であってよい。
【0035】
さらに、ゲスト物質は、単一または複数のゲスト物を含み得る。複数のゲスト物は、1つの意図される機能に対して1つのタイプのゲスト物質を、同じまたは異なる意図される機能に対する他のタイプのゲスト物質と一緒に、例えば1種または複数の薬物および1種または複数の賦形剤などを含み得る。
【0036】
複数のポリマータイプおよびゲスト物質タイプは、混合物として、または分離した成分として導入されてもよい。例えば、複数のポリマータイプが、分離した成分として可塑化流体と接触され、共押し出しされて、複数のポリマー層またはポリマー区域を有する複合材押出物を形成してもよい。複数のポリマー成分の少なくとも1つが、ゲスト物質を含む。
【0037】
例えば、1つのポリマー成分はゲスト物質を含み、第2ポリマー成分はゲストを含んでいなくてもよく、複合材押出物中の被覆層またはブランク層として(例えば、除放または間欠放出の応用のための)押し出され得る。あるいは、複数のポリマー成分が、それぞれが、同じまたは異なるゲスト物質を含み、異なる区域で異なる特性を有し、あるいは、複数の不適合性のゲストを含んでおりまたは放出し、あるいは複数のゲストを異なる放出プロファイルで放出するなどの複合材を提供してもよい。
【0038】
本発明による押出物または複合材押出物は、上記で定義された任意の形状でよく、好ましくは、チューブ、円柱、繊維、シートまたは皮膜もしくは形状を有するもしくは中空の形態であり、例えば、中空のもしくは充填された複合材のチューブもしくは円柱、同軸環状繊維もしくは被覆された繊維、モノフィラメントまたは織物技術で知られているように織られたもしくはより合わされたもしくは紡がれたマルチフィラメントなどまたは単層もしくは薄層状の皮膜もしくはシートであり得る。
【0039】
本発明の方法は、任意の適当なオリフィスの形状および寸法で操作される。オリフィスの形状および寸法は、押出物の形状、すなわち上記で定義された、シート状、チューブ、円柱、リボン、繊維、フィブリル、フィブロイドおよび織られたまたは不織の押出物に影響する。オリフィスの高さおよび幅または直径は、押出物の所望の高さおよび幅または直径に応じて通常選択される。それにもかかわらず、本発明の方法は、0.001〜10ミリメートル、より好ましくは0.001〜2ミリメートル、より好ましくは0.005〜2ミリメートル、より好ましくは0.005〜1ミリメートル、例えば0.01〜2ミリメートルまたは0.05〜1ミリメートルの範囲のオリフィス寸法で操作することが特に適している。当技術分野で知られているように、ポリマーを、押出しオリフィスを出ると同時に発泡させることができ、圧力、多孔性などに応じてより大きな寸法の押出物にすることができる。しかし、より重要なことには、本発明者らは、押出しオリフィスの長さが本発明の方法に対して非常に重要であることを見出した。具体的には、本発明者らは、比較的より長いオリフィスが、改善された凝集力をもたらし、より安定性が高く、特に繊維状の押出物を調製する場合はより長い押出物の形成を助長して、これらを大量に製造することを見出した。理論に限定されるわけではないが、本発明者らは、比較的より長いオリフィスを通してポリマー基材を通過させることにより、押出されたポリマーが軸方向に沿って切れることを助長して、押出し方向に沿ってポリマーが揃うことを助け、長い繊維などの細長い押出物をもたらすものと考える。したがって、オリフィスは、好ましくは0.1ミリメートル〜1メートル、より好ましくは0.2〜200ミリメートル、例えば0.5〜10ミリメートルまたは0.1〜1メートルの範囲の長さである。一般に、ノズルがより長いと製造される繊維がより長い。
【0040】
オリフィスは、長さに沿った連続的なプロファイルおよび寸法であり得、またはそうではない。オリフィスは、適切にはその長さに沿って寸法が増加し、好ましくは、軸に対して第1の角度で、場合によりオリフィス出口で軸に対して第2の角度で増加している。増加する角度は、一次元または二次元、例えば、シート押出物に対しては角度の増加は、高さのみ、または高さおよび幅でもよく、チューブ、円柱、繊維または同様の押出物に対しては、角度は2次元にあり、円錐形プロファイルのオリフィスを形成し得る。円錐形オリフィスは、好ましくは0を超え89.9度まで、より好ましくは45〜80度、より好ましくは50〜65度、例えば60度の範囲の角度(軸に対する角度)を持つ。オリフィスは、独立していてよく、あるいは隣接してまたは同軸上にまたは同心状に整列されていて、複数の単一材押出物を形成し、または上記で定義された複合材押出物を形成し得る複数のオリフィスの1つでよい。オリフィスは、加えてまたは代わりに、固体コアまたは同様なものを備えていてもよく、これにより、中空の押出物が得られ、例えば環状オリフィスは、チューブ、円柱などを提供することができる。
【0041】
本発明の一実施形態では、この方法は押出し成形方法であり、ポリマー/ゲスト物質混合物は、押出しオリフィスから出され、回収室または1つまたは複数の金型(mould)または金型(tool)を備えた区域に入る。金型(mould)または金型(tool)は、1つまたは複数の形状を有する押出物を収納する空洞を備え得て、例えば、金型は、金型押出物を繊維の形状にするようになされた、押出しオリフィスより小さな直径の1つまたは複数のチャネルを備え得る。
【0042】
本発明の方法は、押出しを駆動するために可塑化されたポリマー/ゲスト物質混合物に加えられた押出し力により作動する。押出し力は、当技術分野で知られているように、圧力差(押出し室対回収室)、あるいはロッドまたはラムまたはスクリューなどの物理的な力により好ましくは加えられる。押出し力は、一部は得られる押出物の性質を決定する。押出し力は、上記で定義された本発明による押出物を製造する任意の適当な力が好ましい。本発明に対して適当なものより強い押出し力で操作すると、いずれの凝集力も破壊するようにオリフィス中にポリマーを噴射する作用を有することになり、上記で定義されたような押出物は得られずに、むしろ粒子または粉末が得られるはずであることを理解されたい。本発明は、ゲスト物質の取込みを達成するのに必要な程度にTg、Tmまたは粘度を低下させるのに低分子量ポリマーMwを過剰な温度にする必要なしに、ゲスト物質を含んだ形状を有するポリマー生成物を押出物の形態で調製する手段を初めて提供する。
【0043】
本発明の方法は、ポリマー基材およびゲスト物質の連続的または断続的押出しにより操作してもよい。押出し時間は、ファクタの中でも、所望の押出物の形態とオリフィスの長さを組み合わせて選択される。スプレーの長さは、生成物の長さおよび/または形態に影響を与える。したがって、押出物の形態に利益のある、オリフィスで冷却作用を付与する安定な押出しで操作することが好都合であり得る。あるいは、この方法は、例えば、秒のオーダーの断続的押出しで操作することもできる。
【0044】
この方法は、上記で定義された任意の適当な圧力で操作してもよい。可塑化圧力は、ポリマー基材の粘度の低下に対して非常に重要であり、ポリマー基材がその中に押し出される圧力と組み合わせて、押出物の形態および性質に非常に有意の影響を有する。比較的低分子量のポリマー基材を押し出す方法は、より粘性でより高分子量のポリマーを押し出す方法より、圧力に非依存的である。したがって、本発明の操作の好ましい範囲では、可塑化圧力は非常に重要な変数である。したがって、本発明の方法は、上記で定義された範囲中で120バールを超える可塑化圧力で好ましくは作動し、ポリマー基材の粘度を大幅に低下させることを見出した。
【0045】
押出しは、超臨界流体加工の場合は、臨界もしくは亜臨界条件で、または亜高密度相条件あるいは周囲の条件で適切には実施される。
【0046】
本発明の方法は、周囲の雰囲気中、または高「背圧」の雰囲気中への押出しにより操作してもよい。本発明者らは、このことは押出物の形態を決定する有意のファクタであることを見出した。したがって実際には、この方法は、押出しオリフィスまたは金型を通過後、高圧に維持すること、高圧を変更することまたは圧力を解除することにより操作され得る。
【0047】
回収区域中で加えられる背圧は、繊維の形態に強く影響を及し、これにより、大気圧の空気中に押し出すと、空隙を含まない押出物が生じ、高圧の窒素などの任意の不活性ガスの背圧中に押し出すと、多孔性押出物が生じる。圧力室内の圧力が比較的低い(すなわち、140バール未満)場合は、ポリマーの固化が急速過ぎて、ノズルを詰まらせて、繊維の形成を妨げることがないように、回収区域中で背圧を好ましくは維持しなければならない。
【0048】
したがって、特に有利なことには、本発明により、回収室内の背圧を変化することにより多孔性の程度を制御することが可能になる。押出しは、可塑化圧力を超える、または未満の、好ましくは50〜140バールの範囲または1〜50バールの範囲にある、正圧、周囲圧または負圧の回収区域に入ることが好ましい。
【0049】
回収区域の圧力は、圧力室内の可塑化圧力を超えるまたは未満でもよく、適切には50〜140バール、好ましくは70〜140バール、より好ましくは80〜125バールの範囲、例えば90バール、または1〜50バール、好ましくは1〜30バール、より好ましくは5〜15バールの範囲、例えば10バールである。通常、この方法がより低いまたは大気圧の背圧で操作されると、ポリマー整列が良い微細な押出物がもたらされ、より高い背圧での操作により、ポリマー整列が劣るより厚い押出物がもたらされる。さらに、周囲のまたは低い背圧では、微細な多孔性構造または非多孔性構造を有する押出物の生成が有利に働き、一方、高い背圧における押出しでは、高度に多孔性または大きな孔構造を有する押出物の生成が有利に働く。
【0050】
本発明の方法は、当技術分野で知られているようにバッチ操作または連続操作でもよい。この方法は、適切にはバッチ操作であり、これにより基材は圧力室に導入され、この室は密閉されて可塑化条件に達し、これに続いて圧力室の連続的または断続的な排出により押出しが行われる。あるいは、この方法は連続操作であり、これにより基材は、連続的または断続的な内容物の排出中、所望の可塑化圧力に維持された圧力室に継続的に供給される。
【0051】
本発明の方法は、可塑化区域および押出し区域を提供する、上記で定義された圧力室および押出しオリフィスを備えている任意の適当な装置中で実施することができる。この方法は、例えば、この中に取り付けられている回転スクリュー部材を備え、および回転スクリュー部材を駆動する駆動モータを備えた押出機バレルを備えている任意の適当な押出し装置中で適切に実施される。この装置は、ポリマーが押出機バレル中に導入されるためのホッパまたはその他の貯蔵器を備え得る。この装置は、ゲスト物質をポリマーと一緒に導入するための統合手段を備え得て、またはゲスト物質を押出機バレルに直接導入するためのホッパまたは貯蔵器を備え得る。この押出機バレルは、加熱手段、例えばバレルを加熱するように取り付けられた複数のバレルヒーターを備えていることができる。この装置はさらに、加圧手段により選択された圧力に加圧された可塑化流体用の可塑化流体貯蔵器に結合する圧力導入口を備えていることができる。この圧力導入口は、押出機バレルに制御された速度で計量供給量を供給する手段を備えている。1つまたは複数の圧力導入口は、必要に応じて当技術分野で知られている圧力マニフォールドを介して、望むようにバレルに沿って1つまたはいくつかの位置に配置され得る。
【0052】
この装置は、複数のブレードなどの上記で定義された混合手段を備えることができ、あるいは押出しスクリューが適切な混合をもたらし得る。当技術分野で知られている装置は追加の核生成段階を含むが、これは、本発明で使用する装置には存在してもしなくてもよく、好ましくは存在しない。本発明の装置は、本明細書に定義された形状および寸法のダイまたはノズルを好ましくは備えた押出しオリフィスを備えている。この装置は、ポリマー、ゲスト物質および可塑化流体の流量を制御する手段を適切には備えている。流量を制御する手段は、当技術分野で知られており、押出しスクリュー、排出ポンプ、調量ポンプなどが含まれる。さらに、流量は、ポリマー、ゲスト物質および流体の入口の位置を設計することにより制御され得る。
【0053】
この装置は、本明細書に定義された押出しノズルの形態の、1つまたは複数の押出オリフィスを備えていることができる。この方法が、押出しオリフィスとして既知の長さおよび幅のノズルを備えた装置中で実施され、および粘性ポリマー/可塑化流体ブレンドを使用して実施される場合は、長さが増加し、幅が減少すると、ノズル中の摩擦のために圧力低下が生じる。本発明のこの装置は、押出しオリフィスの数およびオリフィス寸法を参照して適切に決定される。例えば、単一押出しオリフィスの使用では、直径および長さは、所望の最小圧力低下を超えるかなりの圧力低下をもたらすように適切に選択される。この圧力低下は、当技術分野で知られているように押出しオリフィスの配置を構成することにより制御し得る。適当な押出しオリフィスの選択により、圧力低下が決定され、装置内の圧力制御を制御することができ、可塑化圧力が維持され得る。連続的または断続的押出し中の押出しオリフィスにおける圧力損失を補正するために追加の正圧手段を設けることが有用であり得る。本発明の好ましい実施形態では、この押出しオリフィスは、連続的押出物形成をもたらし、およびオリフィスにおける所望の圧力低下をもたらすための十分な長さに対する必要条件を組み合わせて選択される。
【0054】
このポリマーは、意図した応用例に適している任意の知られているポリマーから選択され得る。ポリマーは、任意の非結晶性(固体、半固体または流体、例えば液体)あるいは半結晶性または結晶性ポリマーから適切には選択される。ヒトまたは動物の体あるいは生物体中へ、非毒性であるように導入するまたはこれらと結合するのに適したポリマーは、「Polymeric Biomaterials」Severian Dumitriu編、ISBN 0−8247−8969−5、Marcel Dekker出版、ニューヨーク、米国、1994、に開示されている合成生分解性ポリマー、合成非生分解性ポリマー、および天然ポリマーから選択され得る。このポリマーは、ホモポリマー、ブロックおよびランダムコポリマー、ポリマーブレンドおよび直鎖、(高)分岐または架橋されていてもよいモノマーの複合材から好ましくは選択される。
【0055】
ポリマーとしては、例示としてのみ示された以下のものがあるが、これに限定されるものではない:
ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、乳酸とグリコール酸のコポリマー、ポリ(エチレングリコール)を含む乳酸とグリコール酸のとのコポリマー、ポリγ−カプロラクトンおよびポリ(e−カプロラクトン)などのポリカプロラクトン、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリジオキセパノン、ポリ(フマル酸プロピレン)およびポリアルキレンオキサレートを含でいるポリエステル、
ACS Symposium Series 567、292〜305、1994にHellerにより記載された、ポリオール/ジケテンアセタール付加ポリマーを含むポリ(オルトエステル);
Journal of Biomaterials Science−Polymer edition、3、315〜353、1992にTamadaおよびLangerにより、およびHandbook of Biodegradable Polymers、Domb A.J.およびWiseman R.M.編、Harwood Academic Publishersの第8章にDombにより記載された、ポリ(無水セバシン酸)(PSA)、ポリ(カルボキシビスバルボキシフェノキシフェノキシヘキサン)(poly(carboxybisbarboxyphenoxyphenoxyhexane))(PCPP)、ポリ[ビス(p−カルボキシフェノキシ)メタン](PCPM)、SA、CPPおよびCPMのコポリマーを含むポリ無水物類;
ポリ(アミノ酸);
Controlled Drug Delivery Challenges and Strategies、American Chemical Society、ワシントンDCの389〜403頁にJamesおよびKohnにより記載されたものを含むポリ(擬似アミノ酸);
Biotechnology and Bioengineering、52、102〜108、1996にSchachtにより記載されたポリマー、ポリ[(ジクロロ)ホスファゼン]、ポリ[(オルガノ)ホスファゼン]の誘導体を含むポリホスファゼン;および
International Journal of Pharmaceutics、106、255〜260、1994にLloydにより記載されたものを含むアゾポリマー;
ポリエチレン、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)、ポリプロピレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、およびビニルアルコールと酢酸ビニルのコポリマーを含むビニルポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリレート、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ジメチルシロキサン)、エステルウレタンなどのポリウレタンまたはエポキシ、ビス−マレイミド、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸グリシジルなどのメタクリレート、炭酸トリ−メチレン、炭酸ジ−メチレントリ−メチレンなどのポリカーボネート、ポリスチレンおよび誘導体;
以下を含む炭水化物、ポリペプチドおよびタンパク質:
糖または糖類およびこれらの加工可能な誘導体、デンプン、セルロースおよびエチルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む誘導体;コラーゲン;ゼラチン;デキストランおよび誘導体;アルギネート;キチン;およびチトサン。
【0056】
このポリマーは、例えば、体液または薬剤として有効な薬品による浸透性、曲げ特性、放出特性、または一般的な機械的性質を改善する架橋の程度および性質を決定する、性能を高めるか制御作用を有する任意の追加のポリマー成分を含み得る。
【0057】
このゲスト物質は、所望のいずれかの応用のための、ポリマー中に取り込むことが望まれる任意の物質を含み得る。ゲスト物質は、
(1)(医薬品の)薬物および獣医学製品、
(2)害虫防除薬および植物の成長制御薬としての農薬、
(3)ヒトおよび動物用ヘルスケア製品、
(4)骨格、器官、歯牙構造体などの成長または修復または構築を意図した製品を含む、ヒトおよび動物の成長促進用製品、構造用製品または化粧品、
(5)毒物、毒素などに対する吸収性生体機能物質、
(6)複製、分裂、再生、成長、増殖などを特徴とする、任意の栄養依存性の生体物質などの機能性物質、
(7)織物、電子材料などの染色、構成に使用する有機または無機物質、
(8)SMART物質
を含むがこれには限定されない、生体機能物質または非生体機能物質を適切には含む。
(9)さらに、ゲスト物質は、機能性物質を安定化するまたは増強する配合剤を含んでいてもよい。
【0058】
生体機能物質は、上記で定義された生物体を含むか、さもなければ生物体を伴う、所望の生体部位で機能を果たすようになされた任意の物質から好ましくは選択される。生体機能物質は、生物活性、生物不活性、殺菌性などであり得る。生体機能物質は、所望のヒト、動物または生物体の宿主構造体の成長、強化、補充または増強を誘発する、あるいは宿主構造体または一般にヒトまたは動物の体への脅威を抑制するまたは防御するようになされることが好ましい。この物質は、その非臨界および超臨界状態のいずれかまたは両方の超臨界流体中に場合により実質上不溶性である、任意の無機または有機物質から選択され得る。
【0059】
好ましくは、ゲスト物質は、薬物などの医薬品および獣医学の製品、および画像化剤または診断薬などの医薬品;害虫防除薬および植物成長制御薬としての農薬;ヒトおよび動物の健康製品;骨格、器官、歯牙構造体などの成長、修復または構築を意図した製品を含む、ヒトおよび動物の成長促進用製品、構造用製品または化粧品;毒物、毒素などに対する吸収性生体機能物質;複製、分裂、再生、成長、増殖などを特徴とする、任意の栄養依存性の生体物質などの機能性物質を含む、しかしこれらに限定されない生体機能物質から選択され;あるいは成長促進剤などの機能増強成分を含んでおり;あるいは、織物、電子材料などの染色、構成に使用する有機または無機物質を含む。
【0060】
(1)薬剤および獣医学製品、すなわち、薬物とは、疾患を治療し、予防し、治癒し、緩和しまたは診断する目的で、生理プロセスを変更させる任意の薬理学的活性化合物と定義することができる。
【0061】
薬物は、無機または有機分子、ペプチド、タンパク質、酵素、オリゴ糖、炭水化物、核酸などから構成される。
【0062】
薬物としては、以下のものを治療するために作用する化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない:
抗ウイルス薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗原虫薬、駆虫薬などの感染症、例えば、抗菌薬としては、これに限定されない、ペニシリン例えばベンジルペニシリン、セファロスポリン例えばセフタジジム、テトラサイクリン例えばテテレサイクリン(teterecycline)、アミノグルコシド例えばゲンタマイシン、マクロライド例えばエリスロマイシンおよび以下のもの:クリンダマイシン、クロラムフェニコール、バンコマイシン、テイコプラニン、コロマイシン、コ−トリモキサゾールおよびトリメトプリムがある;
陽性筋収縮性薬、利尿薬、抗不整脈薬、ベータ−アドレナリン受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、交換神経興奮薬、抗凝固薬、抗血小板薬、繊維素溶解薬物、脂質低下薬などの心血管系;
制酸薬、鎮痙薬、潰瘍治癒薬、止痢薬、緩下薬、中枢神経系、催眠薬および抗不安薬などの胃腸系薬;
塩酸クロロプロマジンなどの抗精神病薬およびアミスルプリド、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、セルチンドール、デカン酸フルペンチキソール、デカン酸ハロペリドール、ピポチアジンパルミトレート(pipothiazine palmitrate)およびデカン酸ズクロペンチキソールなどの「非定型」抗精神病薬;
抗うつ薬、中枢神経系興奮薬、食欲抑制薬、悪心および嘔吐を治療するために使用される薬物、鎮痛薬、抗てんかん薬、パーキンソン症候群に使用される薬物、薬物依存症に使用される薬物;
細胞毒性薬、免疫応答調整薬、性ホルモンおよび悪性疾患のアンタゴニストなどの悪性疾患および免疫抑制薬;
気管支拡張薬、コルチコステロイド、クロモグリケートおよび関連する療法、抗ヒスタミン薬、呼吸刺激薬、肺サーファクタント、全身性鼻粘膜充血除去薬などの呼吸器系薬;
BCNUまたは1、3−ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソ尿素、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、4−デメトキシダウノルビシン−3’−デスアミン−3’−(3−シアノ−4−モルホリニル)−ドキソルビシン、4−デメトキシダウノルビシン−3’−デスアミン−3’−(2−メトキシ−4−モルホリニル)−ドキソルビシン、エトポシドおよびテニポシドなどの抗腫瘍薬;
リボヌクレアーゼ、リゾチーム、および「Novel Therapeutic Proteins」、Klaus Dembowsky(編集)、Peter Stadler(編集)、Wiley−VCH Verlag GmbH、D−69469、Weinheim、ドイツ、2001に列挙された治療用タンパク質および酵素、LHRHおよびLHRH類似体、副甲状腺ホルモンおよび類似体などの酵素およびホルモン;
受胎調節作用および/または酢酸メドロキシプロゲステロンまたは酢酸メゲストロールなどの抗腫瘍作用のステロイド(Steroideals);
リューマチ性疾患に使用される薬物などの筋骨格および関節疾患薬、神経筋障害に使用される薬物;ならびに
免疫製品およびワクチン。
【0063】
画像化剤または診断薬などの医薬品は、ヒトまたは動物の体の画像化または診断を助けるために供給される任意の蛍光または放射性薬品、例えば、がん、肺障害、肝臓および腎臓障害、腸障害などの病変を診断するために、体の組織または器官中に蓄積して、組織または器官を画像化することを可能にすることを意図した画像化剤または診断薬を含み得る。こうした薬品は、個々の技術分野で知られている。
【0064】
(2)農薬および作物保護製品とは、任意の害虫防除薬または植物成長制御薬、植物病害抑制薬、土壌改良剤などと定義することができる。例えば、害虫成長制御薬としては、殺虫剤、殺ダニ剤、殺鼠剤、軟体動物駆除剤、ナメクジ駆除剤、駆虫薬(線虫、駆虫薬)、土壌燻蒸剤、害虫忌避剤およびフェロモンなどの誘引剤、化学兵器、および微生物、捕食動物および天然産物などの生物学的制御剤がある;
植物成長制御薬としては、除草剤(herbicides)、除草剤(weedicides)、枯葉剤、乾燥剤、落果および結実制御剤、発根化合物、発芽抑制剤、成長促進剤および成長抑制剤、苔および苔癬抑制剤および植物遺伝制御剤または薬剤がある。
【0065】
植物病害抑制薬としては、殺真菌剤、抗ウイルス剤、木材防腐剤および殺菌剤がある;および
土壌改良剤としては、肥料、微量金属添加剤、細菌作用制御促進剤および土壌固化剤がある。
【0066】
(3)ヒトおよび動物用ヘルスケア製品とは、ビタミン、栄養素、ステロイドなどを含む、全般的な健康の目的のための上記の任意のものと定義することができる。
【0067】
(4)ヒトおよび動物成長促進製品、構造用製品または化粧品
上記に定義された、好ましいヒトおよび動物成長促進製品、構造用製品または化粧品としては、アパタイト誘導体のクラス、例えば、骨または歯の成分としての機能を果たすカルシウムヒドロキシアパタイト、組織構築成分としての機能を果たすケイ素、およびこれらの類似体、前駆体または官能性誘導体、コラーゲン、バイオガラスおよびバイオセラミックスなどの生物活性種、ならびに半月板、軟骨、組織等中にインプラントとしての取込に、あるいは、縫合糸などに使用するのに適合され、これらの宿主構造体のコラーゲン、線維芽細胞およびその他の天然成分の成長、構築、増強、強化を好ましくは助長させる成分が含まれる。
【0068】
上記で定義された有機または無機成分は、リン酸三カルシウムまたはアパタイト誘導体のクラス、例えば、骨または歯の成分として機能を果たし、生体適合性を助長するカルシウムヒドロキシアパタイト、組織構築成分としての機能を果たすケイ素、およびこれらの類似体、前駆体または官能性誘導体、コラーゲン、バイオガラスおよびバイオセラミックスなどの生物活性種、その他のミネラル、ヒアルラン、ポリエチレンオキシド、CMC(カルボキシメチルセルロース)、タンパク質、有機ポリマーなどならびに半月板、軟骨、組織等中にインプラントとしての取込みに適合され、これらの宿主構造体のコラーゲン、線維芽細胞およびその他の天然成分の成長、構築、増強、強化を好ましくは助長させる成分から選択される。
【0069】
上記で定義された機能増強成分は、成長促進剤、生体適合剤(biocompatibilisers)、ビタミン、タンパク質、糖タンパク質、酵素、核酸、炭水化物、ミネラル、栄養素、ステロイド、セラミックスなど、ならびに抗生物質(抗細菌薬)、抗精神病薬などの任意の形態をとる、薬物として上に記載の物質から選択される。特に、塩基性線維芽細胞成長因子、酸性線維芽細胞成長因子、表皮成長因子、ヒト成長因子、インスリン様成長因子、血小板誘導成長因子、神経成長因子、血管内皮成長因子、骨形成タンパク質−2、および形質転換成長因子などの成長因子から選択し得る。
【0070】
(5)毒物、毒素などに対する吸収性生体機能物質とは、天然起源のまたは人工的に導入された毒物または毒素を、吸収、相互作用、反応または他の方法により固定化することが可能な任意の天然物または合成物と定義することができる。
【0071】
(6)上記で定義された機能性物質は、任意のサブ細胞、細胞または多細胞物質および集合体、ならびにこれらの混合物から選択される。機能性物質は、(サブ細胞)細胞小器官を含む哺乳類、植物および細菌の細胞、および膵島または肝スフェロイド等、胞子、ウイルス、細菌等を含むこれらの集合体;場合により、リポソーム水(liposomic water)の存在下で高密度相流体に敏感になるタンパク質または酵素などの物質のキャリアとしての、リポソームなどの非細胞物質から好ましくは選択される。細胞物質は、より好ましくは、哺乳類および植物の原核細胞および真核細胞ならびにこれらの混合物および集合体、最も好ましくは、線維芽細胞、線維軟骨細胞、軟骨細胞、骨芽細胞および破骨細胞などの骨形成細胞、骨髄細胞、肝細胞、心筋細胞、血管形成細胞、ニューロン、筋芽細胞、マクロファージ、微小血管の内皮細胞およびこれらの混合物ならびにコラーゲンから選択される哺乳類の細胞から選択される。生物学的機能物質は、天然起源または合成のものでもよく、例えば、細胞は、成分を取り込む、除去するまたは修飾するために、知られている方法で遺伝的に修飾されるかまたは変異され得る。
【0072】
機能性物質は、植込みまたは取込みをすることが望ましい、宿主構造体の成分、またはこれらの前駆体、誘導体もしくは類似体から好ましくは選択され、ヒト、動物、植物またはその他の生物の宿主構造体、例えば骨格、器官、歯牙構造体などの成長または修復、遮蔽、保護、修飾もしくは構築、アンタゴニストとの戦い、毒物、毒素、廃物などの代謝、または有用な生成物の天然のプロセスによる合成、バイオレメディエーション、生合成、生体触媒などを意図した物質を好ましくは含む。
【0073】
特に有利なことには、本発明の方法では、足場を形成し、細胞を24または48時間にわたり播種する現時点での慣例とは対称的に、機能性物質を含む押出物、例えば細胞を含む押出物を、1ステップで即時に製造することが可能になる。このことは、患者に例えば幹細胞および前駆細胞を送達する場合に特別の利点となる。
【0074】
他の利点としては、本発明者らは、可塑化流体によりある程度の滅菌が付与され得て、これにより雰囲気中に存在する細菌などの保持されていない物質を選択的に不活性化するものと考える。
【0075】
(7)織物、電子材料などの染色、構成に使用する有機または無機物質、
(8)検出しようとする基材、例えば、環境への応用例では汚染物もしくはその他の検出物に対し、または、工程制御の応用では工業用ストリーム中の成分を測定することに対して応答する、さもなければそれを識別する物質;あるいは、光または熱に応答して色が変化し、織物などに使用し得る物質などの刺激またはその他の作用に応答して特性が変化する物質を含むセンサまたはプローブなどのSMART物質。その他のSMART物質およびこれらの応用は、当技術分野でよく知られている。
【0076】
(9)上記で定義されたゲスト物質と共に存在し得る配合剤は、賦形剤、キャリア、支持体、結合剤、希釈剤、充填剤、急速放出剤、粘着促進剤、安定剤、酸化防止剤、開始剤、促進剤、緩衝剤、硬化剤などから選択される。例えば、グルコース誘導体(マンニトールまたはソルビトール)などの糖、または酢酸亜鉛などの無機塩は、例えば緩衝剤として、放出を助け、活性ゲスト物質の活性を維持するために存在し得る。
【0077】
ゲスト物質は、機能を発揮するのに適した所望のいずれかの形態、例えば固体状、チキソトロープ状またはゲル状などの半固体状、ペーストまたは液体状などの半流動体状または流体状でよく、ポリマーおよび可塑化流体中に混和性または非混和性、可溶性または不溶性でよい。ゲスト物質の形態は、加工することおよび機能を発揮するのに好ましい形態にするように適合させることが好都合である。このゲスト物質は、所望の応用に応じて選択される粒径を有する固体粒子の形態が好ましい。粒径は、場合により任意の細孔の組成物形態の粒径と同等または未満のオーダー、好ましくは10−9m〜10−2m、例えばナノメートル、マイクロメートル、ミリメートルまたはセンチメートルのオーダーであることが好ましい。例えば、ゲスト物質の持続放出が、比較的より小さな押出物により得られる急速放出とは対照的に、比較的より大きな押出物の使用により得られる。
【0078】
ゲスト物質は、ポリマーに対しての所望いずれかの有効量で存在し得る。したがって、典型的な値は、1×10−12重量%もしくは1×10−9重量%から99.9重量%、好ましくは1×10−12から1×10−6または1×10−6から1重量%、より好ましくは1×10−12から1×10−9重量%、1×10−9から1×l0−6重量%または0.01もしくは0.1から1重量%または0.5重量%もしくは1.0重量%を超え50重量%までである。特に好ましい実施形態では、この方法は、5g量のポリマーに対してピコグラムおよびナノグラム濃度のオーダーの低量でゲスト物質の取込みが実施される。例えば、ポリマーに対するゲスト物質の濃度として示して、1×10〜1×10ng/mg、例えば5〜150ng/mgの範囲の低容量で存在し得る。このことは、酵素またはタンパク質分子など殆んどの生物学的活性分子について有効である。なぜなら、これらの治療上の濃度は非常に低いからである。例えば、組織工学における肝再生法の間に肝細胞中に治療上の応答をもたらすのに必要な成長因子HGF(肝細胞成長因子)の治療上の用量は、15ng/ml/日である。増殖性機能物質は、所望の出発濃度でこの方法において供給され、生存および後過程の成長を可能にする。
【0079】
例えば、押出物は、80重量%のヒドロキシアパタイト、10重量%の細胞、1重量%未満の成長因子および1重量%を超える抗生物質を含み得る。
【0080】
可塑化流体は、二酸化炭素、酸化二窒素、二硫化炭素、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、エチレンなどの脂肪族C2〜10炭化水素、および例えば、四フッ化炭素または四塩化炭素および一塩化三フッ化炭素、ならびにフルオロホルムまたはクロロホルムなどの上記炭化水素のハロゲン化誘導体、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどのC6〜10芳香族化合物、メタノールおよびエタノールなどのC1〜3アルコール、六フッ化イオウなどのハロゲン化イオウ、アンモニア、キセノン、クリプトンなどから選択される。典型的には、これらの流体は、超臨界可塑化条件、好ましくは0〜300℃の間の温度で、7〜1000バール、好ましくは12〜800バールの圧力に至らせることができる。流体の選択は、これらの、例えば拡散性および溶媒としての特性に応じてなされることを理解されたい。流体は、好ましくは、ポリマー基材の残存成分に対する溶媒として働くが、上記で定義されたゲスト物質に対してはそうは働かない。流体の選択は、上記で定義されたポリマーの工業的調製を容易にする臨界条件に関しても行われる。
【0081】
【表1】

【0082】
この流体は、上記で定義された任意の他の流体と場合により混合された、あるいは従来の溶媒、いわゆる「改質剤(modifier)」と混合された二酸化炭素を好ましくは含む。COは、医学の応用分野では規制機関により一般に認可されるており、化学的に不活性であり、残留物を残さず、自由に入手可能である。
【0083】
ポリマー押出物の製造中に取り込まれ得る追加の成分、例えば、開始剤、促進剤、硬化剤、安定剤、酸化防止剤、粘着促進剤、充填剤などが、ポリマーまたは賦形剤中に取り込まれ得る。マーカーおよび標識などが、押出物の投与または消費を、知られている技法によりトレースするかまたは検出するために、取り込まれ得る。
【0084】
ポリマー押出物中に粘着促進剤を導入することが望まれる場合、この促進剤は、ポリマーへの取込みに先立って、上記で定義された流体の存在または非存在下で、単純な混合、スプレーまたはその他の知られている被覆ステップを使って、ゲスト物質の粒子に含浸するかまたは粒子を被覆するために使用され得る。被覆は、上記で定義された流体と混合すると同時に好ましくは実施され、これにより優れた被覆が得られる。例えば、粘着促進剤が上記で定義された流体中に溶解され、この溶液が、上記で定義されたポリマーおよびゲスト物質の粒子に接触される。あるいは、粘着促進剤が、加工の間に導入され、所望のようにゲスト物質粒子に付着する。
【0085】
ゲスト物質を含む総充填剤の量は、0.01〜99.9重量%、好ましくは0.1〜99重量%、より好ましくは50または60重量%を超え、70または80重量%までの領域にあることが好ましい。
【0086】
ゲスト物質は、ポリマー中への取込みに先立ってまたは取込みの間に、ゲスト物質の性能または機械的性質を増強するようにされた任意の適切な物質により処理され得る。ゲスト物質は、物質のポリマー基材への粘着性を促進するようにされた結合剤、基材中での分散を向上させ、凝集の形成を防止し、可塑化流体中での懸濁液としての分散を向上させる分散剤、in situでの任意の生体機能物質の作用などを促進させる活性化剤などの成分で処理し得る。ヒドロキサパタイトを含む生体機能物質は、粒子のポリマー基材への粘着性を促進するために、シランなどの結合種により好ましくは処理され得る。
【0087】
理論に限定されることなしに、粘着促進剤は、ゲスト物質に付着し、ポリマーに結合することができる結合部位が曝されるかさもなければ選択されると考えられる。
【0088】
この粘着促進剤は、上記で定義された可塑化流体に好ましくは可溶であり、これにより、ゲスト物質またはポリマーに結合していない残留促進剤が、生成物のポリマー押出物からの流体または排気ガスによる抽出により除去される。
【0089】
本発明の他の態様では、上記で定義されたポリマーマトリックスおよびゲスト物質を含むポリマー押出物は、押出物形態の固体混合物として提供される。押出物は、多孔性または非多孔性でよく、上記で定義された様々な形態および多孔度でもよい。押出物は、シート、皮膜、チューブ、円柱、リボン、フィブリル、フィブロイド、繊維、織られたまたは不織の押出物の形状であることが適切である。押出物は、任意の適切な寸法であってよく、0.001〜10ミリメートル、より好ましくは0.001〜2ミリメートル、より好ましくは0.005〜2ミリメートル、より好ましくは0.005〜1ミリメートル例えば0.01〜2ミリメートルまたは0.05〜1ミリメートルの範囲の直径あるいは高さおよび/または幅が好ましい。押出物は、0.01ミリメートルを超える長さであり得て、有効な上限はなく、すなわち、継続的に製造されてkmの長さの押出物が可能になる、リールなどで収集することができる。押出物は、0.01ミリメートル〜100メートル、好ましくは0.05ミリメートル〜2メートル、より好ましくは0.1〜50ミリメートルの範囲の長さであることが好ましい。
【0090】
ポリマー密度および多孔性および生分解性の特性が、ヒトまたは動物の体または生物体中の/またはこれらを伴っている、薬物などのゲスト物質の放出における有利な効果になるように、および/またはヒトまたは動物の体または生物体中のまたはこれら伴っている構造体用インプラントとして、植込み部位の構造特性に対して適合性を持つように、利用され得ることは、本発明の特別の特色である。したがって、押出物は、多孔性または非多孔性であってよい。
【0091】
さらに、押出物の多孔度は、所望の機械的強度および柔軟性について選択され得る。このポリマーは、骨、半月板および軟骨、歯および組織構造体などの、多孔性のヒトおよび動物の宿主構造体の構造によく似ているようになされ、これにより構造用または放出用インプラントとしてのこの適合性が向上し、同時にこれらの生体適合性が改善される。
【0092】
多孔性押出物は、独立気泡型多孔または開放気泡型多孔であり得、ポリマー技術で知られている相互連結などを含み得る。
【0093】
本発明者らは、多孔度を低下させると強度および柔軟性が増加し、一方、多孔度が高い押出物では強度が低下して脆性になり得ることを見出した。多孔度は、1つまたは複数のオーダーでまたは規模で存在し得、所望の機械的性質または所望のゲスト物質の放出特性のいずれかまたは両方を付与するのに適し得る。適切な細孔は、当技術分野で知られている、それぞれ、>50nm、2〜50nmおよび<2nmの範囲の、マクロ孔、メソ孔またはミクロ孔オーダーである。適切な孔径は、例えば上記で定義されたよく似た多孔性宿主構造体のため、または上記で定義された所望の放出特性のために意図された応用により決まる。細孔のタイプおよび寸法は、圧力解放速度などの当技術分野で知られている技法により制御され得、例えば、急速な解放により開放気泡の形成が生じ、緩除な解放により独立気泡の形成が生じる。
【0094】
ゲスト物質を、希望どおりに押出物全体に均一にまたは非均一に分配し得る。ゲスト物質は、固体分散体として結晶の形態で存在し得る。この押出物は、上記で定義された異なるタイプのゲスト物質の組合せを含み得る。
【0095】
特に有利なことには、本発明の押出物は、形態、多孔性および取り込まれたゲスト物質の均一性の点において品質が優れている。
【0096】
本発明の他の態様において、上記で定義されたポリマー押出物を、押出物と、適切な支持体、結合剤、希釈剤などとの集合体として含む、または、個々の押出物を、例えば個々の足場などとして含む組成物を提供する。組成物は、クリーム剤、ゲル剤、シロップ剤、ペースト剤、スプレー剤、液剤、懸濁液剤、または、(局所的、経口、経直腸、非経口、皮膚上、皮下、粘膜、静脈内、筋肉内または呼吸器内の施用経路により投与される)形状体から選択される形態の;天然金属、プラスチック、炭素またはガラス繊維メッシュ、スクリムあるいはロッドの補強を含む構造体としての;粒剤、顆粒剤、(骨または歯の挿入物用の)充填材またはセメントから選択される配合物中の、または整形外科もしくは歯科のインプラントとしての、固体凝集物またはモノリスのピンまたは冠としてのポリマー押出物;保護される物体または物質を封入するさもなければ取り囲むようになされたバリアの皮膜、層、衣類またはシートとしてのポリマーマトリックスの支持されていない押出物、およびこれらの組合せを好ましくは含む。
【0097】
組成物は、カプセル粒剤、錠剤、座薬、膣座薬、コロイド状マトリックス、モノリスボーラスなどの形状体を形成するために成形され、サブミクロンの散剤からセンチメートルのオーダーのモノリスまでに成形された寸法を持つ押出物を好ましくは含む。
【0098】
本発明の他の態様において、温度および圧力が上昇するようになされた圧力室を備えており、この圧力室は、上記で定義されたオリフィスを通して内容物を低圧力の第2回収区域に押し出す手段を備えている、内容物を混合する手段を備えていてもよい、上記で定義されたポリマー押出物の調製に使用する装置を提供する。この装置は、当技術分野で一般に知られているように、圧力室を加圧しながら反応物および成分を導入し、押出し中に所望の圧力を維持する手段を備えている。押出しオリフィスは、上記で定義された所望の形状、寸法および長さのダイを適切には備えている。
【0099】
圧力室は、内容物を、入口端部あるいは第1室領域または区域から、可塑化およびときに混合領域または区域を介して、押出し領域または区域に前進させる手段を備えることができるオートクレーブが好ましい。前進させる手段としては、当技術分野で知られているスクリューまたはピストンあるいは任意の適切な等価物を備え得る。
【0100】
本発明の他の態様において、押出物もしくは押出物の組成物の、または上記で定義された薬物または画像化剤または診断薬などの医薬品などのヒトまたは動物の医学製品の送達のためのデバイスなどの制御放出性デバイスとして上記で定義された方法の、薬剤または獣医学の応用例における、例えば、ヒトまたは動物の健康製品または成長促進構造用製品または化粧品、天然または人工的インプラント、薬物送達またはDNA送達デバイス、縫合糸などの組織工学デバイスまたは助剤としての;例えば静菌力または殺菌力を有する抗菌薬としての;例えば、天然起源のまたは人工的に導入された毒物または毒素を、例えば、吸収、相互作用または反応により固定化することが可能な天然または合成バリアとしての;農芸化学または作物保護の応用例における;染色、織物、電子機器などに使用する熱的に不安定な繊維の、ポリマーTg、Tmまたは溶融粘度未満での加工における;従来の方法、例えば溶融押出しなどでは形成することができなかった、染料およびその他の熱的に不安定な材料のポリマー中への取込みにおける;あるいは、ポリマー特性を制御するための繊維中への界面活性剤の取込みにおける;使用を提供する。
【0101】
上記で定義された組成物は、薬理学的活性製品、好ましくは薬剤または獣医学製品、ヒトまたは動物の健康製品または成長促進用製品、構造用製品または化粧品、農薬または作物保護製品、天然起源のまたは人工的に導入された毒物、毒素などを、吸収、相互作用、反応などにより固定化することが可能な天然または合成バリアとして上記で定義された使用に好ましくは適している。
【0102】
押出物または組成物を所望の部位に内部的に導入させる場合は、注入、挿入、摂取などの所望のいずれかの手段により導入させ得る。
【0103】
ヒトまたは動物の宿主構造体中への乾式または湿式の挿入は、任意の知られている技法、例えば骨について、整形外科および補綴の応用における埋込み、歯科の応用または歯の再構築におけるセメントまたは冠としての埋込み、または緩除な放出インプラントとしての宿主構造体への埋込み、によることが適切である。このポリマーの使用は、化粧用/美観用または医学用の応用でもよい。生体機能物質を含む、上記で定義されたポリマーは、知られている方法で挿入されて、宿主構造体内の成長が促進され、これにより挿入物が宿主構造体と一体化するようになり得ることは、特別の利点である。
【0104】
上記で定義された放出のための使用は、所望の部位中にこの組成物を導入することが適切である。非生分解性ポリマー組成物は、ゲスト物質の放出を、遅延した水への浸透、ポリマーマトリックス中の空隙を通過する制限された速度の基材の拡散などによりもたらすことができ、ヒトまたは動物の体からマトリックスが排出または外科的に除去され、または希望どおりに任意の部位から除去される。生分解性押出物は、漸進的に分解して、この部位に押出物を漸進的に暴露させることにより、生分解する過程において放出をもたらす。
【0105】
本発明の他の態様において、200℃以下の温度で実施されることを特徴とし、ポリマー基材を可塑化するために、高温および/または高圧の、高密度相、亜臨界または超臨界の可塑化条件下でポリマー基材を可塑化流体と接触させること、ならびに高密度相、亜臨界または超臨界条件下でポリマー基材を、押出しオリフィスを通して回収区域または金型中に、同時にまたはそれに続いて圧力を解除しながら押し出すことを含み、これにより、押出物がオリフィスまたは金型により付与された形状で得られる、ポリマー押出物を調製する方法が提供される。ポリマー基材は、熱的に不安定なポリマーを含むことが好ましい。
【0106】
本発明を、以下の実施例および図を参照して例示するが、これに限定されるものではない。
【0107】
図1から3は、本発明により製造された繊維の画像を示す。
(比較例)
粉末の形成
ポリ(D,L−乳酸)(MW 8000)を高圧オートクレーブに加える。このオートクレーブに、二酸化炭素によるポリマーの可塑化を確保するのに十分な規定された温度および圧力(約35℃、300バール)において、二酸化炭素を充填する。内容物を、短い角度付きノズルを通して、大気圧の第2オートクレーブ中に放出することにより、粉末生成物を得る。
(本発明の実施例)
【実施例1】
【0108】
ポリ(D,L−乳酸)(MW 107000)を高圧オートクレーブに加える。このオートクレーブに、二酸化炭素によるポリマーの可塑化を確保するのに十分な規定された温度および圧力(約35℃、300バール)において、二酸化炭素を充填する。内容物を、短い角度付きノズルを通して、大気圧の第2オートクレーブ中に放出することにより、固体繊維状メッシュ生成物を得る。この繊維状生成物を図1に示す。
【実施例2】
【0109】
ポリ(D,L−乳酸)(MW 107000)を高圧オートクレーブに加える。このオートクレーブに、二酸化炭素によるポリマーの可塑化を確保するのに十分な規定された温度および圧力(約35℃、125バール)において、二酸化炭素を充填する。内容物を、短い角度付きノズルを通して、ガスの背圧(約90バール)を有する第2オートクレーブ中に放出することにより、より多孔性の単一繊維状生成物を得る。この繊維状生成物を図2に示す。
【実施例3】
【0110】
ポリ(D,L−乳酸)(MW 107000)を高圧オートクレーブに加える。このオートクレーブに、二酸化炭素によるポリマーの可塑化を確保するのに十分な規定された温度および圧力(約35℃、300バール)において、二酸化炭素を充填する。内容物を、より長い角度付きノズルを通して、大気圧の第2オートクレーブ中に放出することにより、実施例1と異なる形状の固体繊維状メッシュ生成物を得る。この繊維状生成物を図3に示す。
【実施例4】
【0111】
ポリ(グリコール酸−co−D,L−乳酸)(MW 158000)を高圧オートクレーブに加える。このオートクレーブに、二酸化炭素によるポリマーの可塑化を確保するのに十分な規定された温度および圧力(約35℃、300バール)において、二酸化炭素を充填する。内容物を、長い角度付きノズルを通して、大気圧の第2オートクレーブ中に放出することにより、単一固体繊維状生成物を得る。
【実施例5】
【0112】
ポリ(D,L−乳酸)(MW 71000)およびリボヌクレアーゼ酵素粉末を、規定された比率(約20:1重量対重量)で高圧オートクレーブに加える。このオートクレーブに、二酸化炭素によるポリマーの可塑化を確保するのに十分な規定された温度および圧力(約35℃、300バール)において、二酸化炭素を充填し、内容物を一緒に混合する。内容物を、より長い角度付きノズルを通して、大気圧の第2オートクレーブ中に放出することにより、実施例1と類似の形状の、リボヌクレアーゼを含有する固体繊維状メッシュ生成物を得る。このポリマーから遊離したとき、リボヌクレアーゼの生物学的活性度は、二酸化炭素処理を受けていないリボヌクレアーゼに比較して、この処理による影響を受けていない。リボヌクレアーゼの活性度を決定するために、文献に記載の標準活性度アッセイが使用される。
【実施例6】
【0113】
ポリ(D,L−乳酸)(MW 71000)およびリゾチーム酵素粉末を、規定された比率(約20:1重量対重量)で高圧オートクレーブに加える。このオートクレーブに、二酸化炭素によるポリマーの可塑化を確保するのに十分な規定された温度および圧力(約35℃、300バール)において、二酸化炭素を充填し、内容物を一緒に混合する。内容物を、より長い角度付きノズルを通して、大気圧の第2オートクレーブ中に放出することにより、実施例1と類似の形状の、リゾチームを含有する固体繊維状メッシュ生成物を得る。このポリマーから遊離したとき、リゾチームの生物学的活性度は、二酸化炭素処理を受けていないリゾチームに比較して、この処理による影響を受けていない。リゾチームの活性度を決定するために、文献に記載の標準活性度アッセイが使用される。
【0114】
実施例中で使用された短い角度付きノズルは、1mm未満の直径、2mm未満の長さおよび8〜20°のスプレー角度である。長い角度付きノズルは、1mm未満の直径、3〜8mmの長さおよび50〜75°のスプレー角度である。
【0115】
本発明の他の態様および利点は、前述のことから明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明により生産された繊維の像を示す。
【図2】本発明により生産された繊維の像を示す。
【図3】本発明により生産された繊維の像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温および/または高圧の高密度相、亜臨界または超臨界の可塑化条件下で、ポリマー基材およびゲスト物質を可塑化流体と接触させてポリマー基材を可塑化し、ゲスト物質を取り込むこと、ならびに高密度相、亜臨界または超臨界条件下でゲスト物質を取り込んでいるポリマー基材を、押出しオリフィスを通して回収区域または金型中に、同時にまたはそれに続いて圧力を解除しながら押し出すことを含み、これにより、オリフィスまたは金型により付与された形状のポリマーマトリックスおよびゲスト物質の固体混合材を含む押出物が得られる、ポリマーマトリックスおよびゲスト物質を含む活性ポリマー押出物を調製する方法。
【請求項2】
押出物が、シート、皮膜、チューブ、円柱、棒、リボン、フィブリル、フィラメント、フィブロイド、繊維、メッシュ、織られたまたは不織の押出物の形状である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
可塑化流体が、任意の高密度相、亜臨界または超臨界の流体から選択される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
追加の溶媒が実質上存在せずに実施される請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
2ミリ秒から72時間の範囲の可塑化時間で実施される請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
−200から+500℃の範囲の温度で実施される請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
高温および/または高圧の高密度相、亜臨界または超臨界の可塑化条件下で、ポリマー基材およびゲスト物質を可塑化流体と接触させてポリマー基材を可塑化し、ゲスト物質を取り込むこと、ならびに高密度相、亜臨界または超臨界条件下でゲスト物質を取り込んでいるポリマー基材を、押出しオリフィスを通して回収区域または金型中に、同時にまたはそれに続いて圧力を解除しながら押し出すことを含み、これにより、オリフィスまたは金型により付与された形状の、ポリマーマトリックスおよびゲスト物質の固体混合材を含む押出物が得られる、200℃以下および/またはポリマー基材のTg、Tmまたは非粘性状態未満の温度で実施されることを特徴とする、ポリマーマトリックスおよびゲスト物質を含む活性ポリマー押出物を調製する方法。
【請求項8】
可塑化条件が、1バールを超え1000バールまでの圧力を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
1〜1000000センチポイズ、より好ましくは500〜500000センチポイズ、より好ましくは1000〜100000センチポイズの範囲のポリマー基材粘度で実施される請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
1から10000キロダルトン、好ましくは1から250キロダルトンの範囲の分子量のポリマー基材で実施される請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ポリマー基材が、同じまたは異なる相の、同じまたは異なる特性でもよい、例えば、同じまたは異なる多孔を形成している、1種または複数のポリマーを含む請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
2またはそれ以上のポリマータイプが、別々の成分として可塑化流体と接触され、共押し出しされて、2またはそれ以上のポリマー層またはポリマー区域を有する複合材押出物が形成される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ゲスト物質が、単一または複数のゲスト存在物を含む請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
複数のゲスト物が、1つの意図される機能に対して1つのタイプのゲスト物質を、同じまたは異なる意図される機能に対する他のタイプのゲスト物質と一緒に、例えば1種または複数の薬物および1種または複数の賦形剤を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
0.001〜10ミリメートル、より好ましくは0.001〜2ミリメートルの範囲のオリフィス寸法、および0.1ミリメートル〜1メートルの範囲の長さで実施される請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
好ましくは軸に対して第1の角度で、場合によりオリフィス出口において軸に対して第2の角度で増加している、オリフィスの長さに沿って増加する寸法のオリフィスで実施される請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
オリフィスが、独立していてもよい、または隣接してもしくは同軸上にもしくは同心状に整列されて複数の単一材押出物を形成しまたは上記で定義された複合材押出物を形成し得る、および、加えてまたは代わりに、固体コアまたは同様なものを備えていてもよい、複数のオリフィスの1つであり、中空の押出物が得られる、例えば環状オリフィスがチューブ、円柱を提供する請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ポリマー基材およびゲスト物質の連続的または断続的押出しにより実施される請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
押出しが、可塑化圧力を超える、または未満でもよい、好ましくは50から140バールの範囲または1から50バールの範囲にある、正圧、周囲圧または負圧の回収区域中にされる請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ポリマー基体が、任意の非結晶性、半結晶性または結晶性ポリマー、適切には、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリ(擬似アミノ酸)、ポリホスファゼン、アゾポリマー;ビニルポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリレート、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリウレタン、エポキシ、ビス−マレイミド、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸グリシジルなどのメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレンおよび誘導体;炭水化物、ポリペプチドおよびタンパク質;およびこれらのコポリマーなどから選択される請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ゲスト物質が、
(1)(医薬品の)薬物および獣医学製品、
(2)害虫防除薬および植物の成長制御薬としての農薬、
(3)ヒトおよび動物用ヘルスケア製品、
(4)骨格、器官、歯牙構造体などの成長または修復または構築を意図した製品を含む、ヒトおよび動物の成長促進用製品、構造用製品または化粧品、
(5)毒物、毒素などに対する吸収性生体機能物質、
(6)複製、分裂、再生、成長、増殖などを特徴とする、任意の栄養依存性の生体物質などの機能性物質、
(7)織物、電子材料などの染色、構成に使用する有機または無機物質、
(8)SMART物質、
(9)機能性物質を安定化するまたは増強する配合剤
を含むがこれらに限定されない、生体機能物質または非生体機能物質から選択される請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ゲスト物質が、1×10−12から1×10−6重量%または1×10−6から1重量%の量で、より好ましくは1×10−12から1×10−9重量%、1×10−9から1×l0−6重量%または0.01もしくは0.1から1重量%の範囲の低量で存在する請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
可塑化流体が、高密度相、亜臨界または超臨界の二酸化炭素、酸化二窒素、二硫化炭素、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、エチレンなどの脂肪族C2〜10炭化水素、および例えば、四フッ化炭素または四塩化炭素および一塩化三フッ化炭素、ならびにフルオロホルムまたはクロロホルムなどのこれらのハロゲン化誘導体、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどのC6〜10芳香族化合物、メタノールおよびエタノールなどのC1〜3アルコール、六フッ化イオウなどのハロゲン化イオウ、アンモニア、キセノン、クリプトンなどから選択される請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
押出物の形態の固体混合材として請求項1から23のいずれかにおいて上記で定義された、ポリマーマトリックスおよびゲスト物質を含むポリマー押出物。
【請求項25】
上記請求項24に定義されたポリマー押出物と、および適当な支持体、結合剤、希釈剤、開始剤、促進剤、硬化剤、安定剤、酸化防止剤、粘着促進剤、充填剤などとの集合体として含む、または、個々の押出物を、例えば個々の足場などとして含む組成物。
【請求項26】
内容物を混合する手段を備えていてもよい、温度および圧力が上昇するようになされた圧力室を備えており、この圧力室は、上記で定義されたオリフィスを通して内容物を低圧力の第2回収容器に押し出す手段を備えている、請求項1から23のいずれかに上記で定義された方法を使用してポリマー押出物の調製において使用する装置。
【請求項27】
押出物もしくは押出物の組成物、または上記で定義された方法の生成物の、薬剤または獣医学の応用例における、例えば、ヒトまたは動物の健康製品または成長促進構造用製品または化粧品、天然または人工的インプラント、薬物送達またはDNA送達デバイスにおける;例えば静菌力または殺菌力を有する抗菌薬としての;例えば、天然起源のまたは人工的に導入された毒物または毒素を、例えば、吸収、相互作用または反応により固定化することが可能な天然または合成バリアとしての;農芸化学または作物保護の応用例における;染色、織物、電子機器などに使用する熱的に不安定な繊維の、ポリマーTg、Tmまたは溶融粘度未満での加工における;従来の方法、例えば溶融押出しなどでは形成することができなかった、染料およびその他の熱的に不安定な材料のポリマー中への取込みにおける;または、ポリマー特性を制御するための繊維中への界面活性剤の取込みにおける;薬物送達デバイスなどの制御放出性デバイスとしての使用。
【請求項28】
200℃以下の温度で実施されることを特徴とする、高温および/または高圧の高密度相、亜臨界または超臨界の可塑化条件下でポリマー基材を可塑化流体と接触させてポリマー基材を可塑化すること、ならびに高密度相、亜臨界または超臨界条件下でポリマー基材を、押出しオリフィスを通して回収区域または金型中に、同時にまたはそれに続いて圧力を解除しながら押し出すことを含み、これにより、押出物がオリフィスまたは金型により付与された形状で得られるポリマー押出物を調製する方法。
【請求項29】
ポリマー基材が、熱的に不安定なポリマー、例えば、ポリ(アクリロニトリル)およびこのコポリマーを含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
説明および図面において、実質上、上記に説明、例示または図示された方法、押出物、組成物、装置または使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−509220(P2007−509220A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536169(P2006−536169)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004470
【国際公開番号】WO2005/042623
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(506137664)ユニバーシテイ・オブ・ノツテインガム (1)
【Fターム(参考)】