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活性剤の制御された送達のためのポリマーコーティング
説明

活性剤の制御された送達のためのポリマーコーティング

患者への導入のために適合され、ベース素材をその上に配置された構造物を有する埋め込み可能な医療装置。当該医療装置は、更に生物活性剤とポリマー物質を含む少なくとも1つの複合層と、複合層上に配置された少なくとも1つのバリヤ層を有し、該バリヤ層が少なくとも1つの生物活性剤の制御された放出を提供するに適切な厚さを有する。このバリヤ層は低エネルギープラズマ重合プロセスによりプラズマ装置において少なくとも1つの複合層が配置されそして少なくとも1つのモノマーガスが導入される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願はその全体が本願中で援用される、1998年8月28日出願の同時係属出願第09/143,521号の一部継続出願である。
【0002】
(技術分野)
本発明は、体内での生物活性剤の制御された局所型送達のための方法及び医療装置に関する。
【0003】
(背景技術)
静脈内手段によるなど薬剤の全身投与は、治療される疾患が局所性であっても体を全体として治療するものである。このため、患者又は患獣内の食道、気管、大腸、胆道、尿路、血管系又は他の部位など体腔へ部分的又は完全に植込可能な医療装置を導入することにより医学的状態を治療することが一般的になっている。例えば、血管系の多くの治療は、ステント、カテーテル、バルーン、ガイドワイヤ、カニューレ又はその種の他のものなど装置の導入を必要とする。血管系へ導入され、血管系を通じて操作されるこれらの装置の使用による従来の薬物送達の潜在的な欠点の1つは、血管壁が破壊されたり受傷したりすることがあるという点である。血栓形成や血栓症がしばしば受傷部位に結果として生じ、血管の狭窄(閉鎖)を引き起こす。
【0004】
狭窄の別の原因は血管疾患である。おそらく血管の狭窄を引き起こす最も一般的な疾患は、アテローム性動脈硬化症である。アテローム性動脈硬化症は一般に冠状動脈、大動脈、腸骨大腿骨動脈及び頸動脈を冒す状態である。
【0005】
アテローム硬化型疾患の治療ための多くの医療装置や治療法が知られている。ある特定のアテローム硬化型病変の1つの特定療法は、経皮的冠動脈形成術(PTCA)である。特定のアテローム硬化型病変の別の療法は、経皮的血管内血管形成術(PTA)である。PTA時には、収縮させたバルーン付きカテーテルを患者の動脈に挿入する。カテーテルの先端を粥状斑の側面に前進させる。バルーンの膨張が粥状斑を「分解(クラック)」し、血管を拡張することにより、少なくとも一部分の狭窄を軽減する。
【0006】
PTAは現在、広範囲に使用されているが、2つの主要な問題を抱えている。第1に、拡張手順の直後又は最初の4時間以内に血管が急性閉塞を被ることがある。このような閉塞は「突然閉塞」と呼ばれる。PTAにおいて遭遇する第2の主要な問題は、最初に成功した血管形成術後の動脈の再狭小化である。この再狭小化は「再狭窄」と呼ばれ、一般的に血管形成術後の最初の6か月以内に起こる。再狭窄は、動脈壁からの細胞成分の増殖及び移行により、また「リモデリング」と呼ばれる動脈壁における遺伝子の変化により生じると考えられている。
【0007】
ステントグラフトや被覆ステントをはじめとして血管内ステントなどの装置が、特に血管形成術後の急性閉鎖又は切迫閉鎖のいずれかの症例においてPTAの有効な補助となりうる。ステントは動脈の拡張区域に配置され、機械的に突然閉鎖すなわち再狭窄を予防する。残念ながら、ステントの植込みが積極的かつ正確な抗血小板及び抗凝固療法(一般的に全身投与による)により行われる場合でも、血栓性血管閉鎖又は他の血栓性合併症の発生率が有意であることに変わりはなく、再狭窄の予防は望まれるほど奏功していない。さらに、全身の抗血小板及び抗凝固療法の望ましくない副作用が、経皮侵入部位で最も頻度の高い出血性合併症の発生率増大である。
【0008】
他の状態や疾患も食道、気管、大腸、胆道、尿路及び体内の他の部位へ挿入されるステント、カテーテル、カニューレ及び他の装置により、又は整形外科的装置、インプラント、若しくは置換術などにより治療可能である。このような装置を用いた薬物送達の従来の手段の欠点の1つは、短期間(すなわち、装置挿入後の最初の数時間および数日)にわたり、及び長期間(装置挿入後の数週間及び数か月)にわたり生物活性剤を効率的に送達することの困難さである。薬物送達目的のステントの従来の使用による別の困難は、所望の生物活性剤、薬剤又は他の生物活性物質の送達速度の正確な制御を提供することである。「生物活性剤」という用語を本願中で用いるが、これは治療効果を有する医薬品又は薬物や他の物質などすべての薬剤を意味する。
【0009】
医療処置時又は処置後に、係る状態及び疾患を治療又は予防するために、例えば、経路、管腔又は血管など体の部分の突然閉鎖及び/又は再狭窄を予防するために、適切な量の治療剤、薬剤又は生物活性物質を体内へ直接、確実に送達するための装置及び方法を開発することが望ましい。
【0010】
従来の薬物送達の潜在的な欠点を考えて、体内の標的部位への活性剤、薬剤又は生物活性物質の制御された局所型送達を可能にする装置、方法及び製造方法の必要が存在する。
【0011】
(発明の開示)
前述の問題は、ステント又は医療装置が配置される体内の血管や他の系、又は他の部位への少なくとも1つの生物活性剤の制御された放出を提供する例示の血管ステント又は他の植込可能な医療装置において解決され、技術上の進歩が達成される。一態様において、本発明は、例えば、ステント、コイル、カテーテル等を患者へ導入するために適合された構造物を有する植込可能な医療装置を提供する。本発明の植込可能な医療装置は、生物活性剤とポリマー物質の少なくとも1つの複合層と、複合層又は層上に配置された少なくとも1つのバリヤ層とを含む。バリヤ層は生物活性物質の制御された放出を提供するに十分な厚さを有する。バリヤ層は、プラズマチャンバー内に複合被覆医療装置を配置することと、少なくとも1種類のモノマーガスをチャンバーへ導入し、少なくとも1つのバリヤ層を形成することを含む低エネルギープラズマ重合プロセスにより医療装置に適用される。本発明の別の実施形態において、バリヤ層は少なくとも1つの生物活性剤を含む。
【0012】
別の態様において、本発明は、体内の標的部位への生物活性剤の局所型送達のための方法を含む。この方法は、患者へ導入するために適合された構造物を有する医療装置を提供する第1ステップを含み、その構造物は原料物質、生物活性剤の少なくとも1つの複合層及び原料物質に適用されるポリマー物質からなる。少なくとも1つのバリヤ層が複合層上に配置され、低エネルギープラズマ重合プロセスにより複合層に適用される。バリヤ層は生物活性物質の制御された放出を提供するに十分な厚さを有する。プラズマ重合プロセスは、プラズマチャンバー内に複合被覆装置を配置するステップと、プラズマチャンバーへ少なくとも1種類のモノマーガスを導入し、複合被覆装置の外面上に少なくとも1つのバリヤ層を形成するステップとを含む。生物活性物質の局所型送達の方法は、標的部位への植込可能な医療装置を送達する第2ステップを含む。
【0013】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、体内の標的部位への生物活性剤の制御された局所型送達のための植込可能な医療装置及び方法を提供する。本願中で用いられる「制御された局所型送達」という用語は、固定位置での所望の時間にわたる生物活性剤の特徴的な放出速度として定義される。本発明の植込可能な医療装置は単純な構造を有し、最小限の断面プロファイルを提供し、活性薬剤、薬物及び生物活性剤の容易かつ再現可能な装填を可能にしうる。
【0014】
図1を参考にすると、本発明による植込可能な医療装置が示されており、これは患者への導入のために適合された構造物2を含む。「適合された」という用語が本願中では用いられるが、これは構造物2が係る導入のために成形されサイズ決めされていることを意味する。明快さのために、構造物2の一部分のみが図1に示されている。
【0015】
実例として、構造物2は患者の血管系への挿入のために特に適合されたステントとして構成されている。技術上周知のように、ステントは冠血管および末梢血管や動脈又は他の非血管性管腔、血管又は他の管状体腔に植込まれる管状支持構造物である。したがって、本発明は、例えば局所型薬物送達とステント配置の二重の目的に使用することができる。このステント構造物は、食道、気管、大腸、胆道、尿路、及び中でも尿管など非血管系や部位においても使用することができる。本発明により使用されるステント210は、図2に示されているように、適切なデザインであり、メッシュ型デザインで構成されている。
【0016】
図1に戻ってこれを参考にすると、構造物2は従来の血管又は他の医療装置として代わりに構成され、螺旋状に巻いた撚り糸、有孔円柱又はその種の他のものなど種々の従来のステント又は他の付属物のすべてを含む。したがって、構造物2は、体内へ挿入するために適合された医療装置の少なくとも1つ、又はいずれかの部分として構成される。このような医療装置の実例として、カテーテル、ガイドワイヤ、バルーン、フィルタ(例えば、大静脈フィルタ)、ステント、ステントグラフト、代用血管、腔内ペイビング装置、インプラント及び薬剤装填ポリマーコーティングと関連して使用される他の装置が挙げられる。このような装置は植込まれ、又はその他の点では、冠血管、食道、気管、大腸、胆道、尿路、前立腺、脳、その他同種類のものなど体腔や器官において利用される。適切な代用血管の実例は、米国特許第5,509,931号、第5,527,353号、及び第5,556,426号に記載されている。国際特許第96/12448号及び国際特許第96/17634号に記載されたような大静脈フィルタも本発明において使用することができる。番号で識別される前述の書類は、その全体が本願中で援用される。
【0017】
ステントグラフトを含め、本発明に従う生物活性剤ポリマー複合層を備えたグラフトは、一部または全体の血管の置換に使用される合成代用血管を含む。典型的な代用血管は、その各端が、疾患又はその他の点では損傷部分が除去されている血管の残存端と縫合されている合成管である。典型的なステントグラフトでは、合成管部の各端は疾患又はその他の点では損傷部分が除去されている血管の残存端のそれぞれに固定されているステントを含む。あるいは、ステントグラフトにおける置換血管は、大腿動脈又は その種の他のものの一部分など、患者の別の部位から除去された血管のセグメントであってもよい。合成グラフトの場合、グラフトは一般的に管状であり、例えば、編まれた、ニット又はベロア状のものであってもよい。好ましいグラフト用の原料物質及びステントグラフト用の被覆物質として、テレフタル酸ポリエチレンとポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。代用血管は、グラフト管材料の表面全体にわたる均一な強度を提供するために、例えば、螺旋体、リング等で強化さえてもよい。このようなグラフトが構成される物質は、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン及びポリウレタンなど熱可塑性物質を含むがこれらに限定されない生物学的に適合性のある物質である。好ましい物質として、ポリエステル繊維とPTFEが挙げられる。
【0018】
他の適切なグラフトの実施例は、米国特許第5,509,931号、第5,527,353号、及び5,556,426号に記載されており、そのすべてが本願中で援用される。本発明の最も好ましい実施形態において、グラフトにはポリマー物質/パクリタキセルの複合層が備えられ、最も好ましくは、ポリマー物質はポリウレタン及びその誘導体である。このポリマー/パクリタキセル複合被覆グラフトは、体内の所望の位置に配置されていると、その部位へのパクリタキセルの拡大された放出を提供する。
【0019】
図1に戻ると、構造物2は、構造物2の意図された使用と合致した原料物質3で構成されている。原料物質3は生体適合性であることが好ましい。
【0020】
種々の従来の物質を原料物質3として使用することができる。例えば、原料物質3は弾性又は非弾性のいずれであってもよい。原料物質3は生分解性又は非生分解性のいずれであってもよい。さらに、一部の生物学的作用物が、模範的な冠ステントにおいて特に有用でないとはいえ、構造物2の原料物質3として使用するに十分な強度を有する。
【0021】
したがって、原料物質3は、ステンレス鋼、タンタル、チタン、ニチノール、金、白金、インコネル、イリジウム、銀、タングステン、又は別の生体適合性金属、若しくはこれらのいずれかの合金; 炭素又は炭素繊維; 酢酸セルロース、硝酸セルロース; シリコーン、ポリエチレンテレフタラート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高分子ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、又は別の生体適合性ポリマー物質、若しくはこれらの混合物またはコポリマー; ポリ乳酸、ポリグリコール酸又はそのコポリマー; ポリ無水物、ポリカプロラクトン、吉草酸ポリヒドロキシ酪酸又は別の生分解性ポリマー、若しくはこれらの混合物又はコポリマー; タンパク質、細胞外基質成分、コラーゲン、フィブリン又は別の生物学的作用物; 又はこれらのいずれかの適切な混合物で形成することができる。ステンレス鋼及びニチノールは、構造物2が血管ステントとして構成されているときに、原料物質として特に有用である。
【0022】
本発明の植込可能な医療装置1は、少なくとも1つの生物活性剤の複合体及び生体適合性ポリマー又はコポリマー物質により形成される少なくとも1つの層5も含む。複数のポリマー生物活性剤の複合層を用いる場合、層は同一又は異なる生物活性剤及び/又は同一又は異なるポリマーを含有してもよい。生物活性剤とポリマーの併用は、生物活性剤のモノリシック基質デポーとして役立つ。このデポーは部分的に医療装置からの生物活性剤の放出速度に対する制御の提供に寄与する。
【0023】
複合層は、原料物質3の表面の少なくとも一部分に適用され、ポリマー生物活性剤複合層5を形成する溶液又は分散剤(例えば、懸濁液、乳濁液、又は半固体)から形成される。「生物活性剤」、「薬剤」及び「生物活性物質」という用語は、本願中で交換可能に用いられる。原料物質3の少なくとも一部分へのポリマー生物活性剤複合物5の適用は、噴霧、浸漬、塗布、静電的相互作用、物理的吸着などであるが、これらに限定されない物理的方法、又は原料物質3との化学的付着などであるが、これに限定されない共有結合的方法により行うことができる。ポリマー生物活性剤複合層5は、例えば、0.2μg/mm乃至20μg/mmなど実質的な量の生物活性剤を組み込み可能であることが好ましい。複合層5中の薬剤のパーセントは、1%乃至50%w/wのばらつきがありうる。ポリマー生物活性剤複合層5は、一般的に1ミクロンを上回る厚さで適用され、生物活性剤の投与量を調節するために厚さ約5〜50ミクロンが好ましく、また厚さ約5〜25ミクロンであることが最も好ましい。例えば、約0.2〜0.3ミクロンの極めて薄いポリマー生物活性剤複合物も可能である。任意に、複数のの層のポリマー活性剤複合物を構造物2の原料物質(又はその一部)の外面へ適用することもできる。このような複数の層は、同一又は異なるポリマー物質及び/又は生物活性剤でありうる。
【0024】
選択された生物活性物質が、プラズマ重合又は蒸着など、装置への生物活性剤重合複合物の適用に必要とされるプロセスを生き延びる限り、広大な範囲の生物活性剤を複合層5の中に組み込むことができる。本発明の実施において特に有用なのは、ステント術又は他の手術により以前に開放された血管の突然閉鎖や再狭窄を予防又は回復させる生物活性剤である。
【0025】
本発明において用いられる生物活性剤は、所望の適用によって多数の治療薬から選択される。例えば、これらの治療薬として、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソ二ド、エストロゲン、スルファサラジン、メサラミン、及びその類似物など抗炎症薬; パクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、チロシンキナーゼ阻害剤、及びその類似物など抗悪性腫瘍薬/抗増殖性/抗細胞分裂抑制薬; リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、及びその類似物など麻酔薬; 血管形成因子及び成長因子; 及び係る成長因子や他の抑制性又は刺激性タンパク質/因子をコード化する遺伝子が挙げられる。また、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、及びウイルスベクター(レトロ、アデノ、アデノ随伴、レンチ、エボラ、単純ヘルペス等)により運搬される遺伝子及び非ウイルス系(プラスミド、陽イオン性脂質物質、成形剤等)など核酸化合物が挙げられる。
【0026】
本発明に従う有用な生物活性剤は単独又は組合わせて用いることができる。例えば、パクリタキセルなど抗増殖性剤を、抗凝固薬、抗炎症薬、抗血栓剤、硝酸含有ポリマー、又はVEGFやFGFなど血管細胞プロモーターなど別の薬剤と併用することができる。
【0027】
パクリタキセルは、単独又は上記の別の薬剤との併用のいずれかで使用するために好ましい薬剤である。パクリタキセルは、抗増殖性活性を有することが明らかにされているPacific Yew Taxus brevifolia科(イチイ科)から抽出される複合アルカロイドである。本願中で用いられるように、パクリタキセルはアルカロイド及び薬学的活性誘導体又はその類似物を含む。したがって、パクリタキセルは天然発生形態とその誘導体とその半合成形態とを含む。TAXOL(登録商標)(Bristol-Meyers Squibb社)はパクリタキセルの市販形態である。これら及び他の化合物が、明細書に記載された同様の方法を用いるとともにルーチン的に試験されているポリマー物質に添加される。いかなる変形形態も当業者によりルーチン的になされる。
【0028】
生物活性剤ポリマー複合層を形成するために用いられる生体適合性ポリマー物質には、生物活性物質の存在下に固化複合層の形成能があるすべてのポリマー物質を含めることができる。本発明のポリマー物質は親水性又は疎水性であり、例えば、ポリカルボン酸、酢酸セルロース及び硝酸セルロースを含むセルロースポリマー、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、架橋結合ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸ポリマー、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリオレフィンを含むポリ無水物、EVA、ポリビニルエーテル、ポリビニル芳香族化合物、ポリエチレン酸化物、グリコサミノグリカン、多糖類などビニルモノマーのコポリマー、テレフタル酸ポリエチレン、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートを含むポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン及び高分子ポリエチレンを含むポリアルキレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリオルトエステル、タンパク質、ポリペプチド、シリコーン、シロキサンポリマー、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、吉草酸ポリヒドロキシ酪酸を含むハロゲン化ポリアルキレン及びその混合物やコポリーのほか、他の生物分解性、生体吸収性及び生体安定性ポリマーやコポリマーである。ポリウレタン分散剤(BAYDROL(登録商標)等)やアクリルラテックス分散剤などポリマー分散剤によるコーティングも本発明も範囲内である。ポリマーはタンパク質ポリマー、フィブリン、コラーゲン及びその誘導体、セルロース、デンプン、デキシトランなど多糖類及びこれら多糖類の誘導体、細胞外基質成分、ヒアルロン酸、又は別の生物薬剤若しくはこれらのいずれかの適切な混合物などであってもよい。複合層5には単一のポリマー又はコポリーを含めることができる。上記のいずれかのコポリマー又は物理的混合物を含んでもよい。本発明の一実施形態において、好ましいポリマーは、HYDROPUS(登録商標)(Boston Scientific Corporation社、Natick、マサチューセッツ州)として入手可能であり、その開示の全体が本願中で援用される米国特許第5,091,205号に記載されているポリアクリル酸である。米国特許第5,091,205号には、装置が体液に曝露されると即時に平滑になるように1種類以上のポリイソシアン酸塩でコーティングされた医療装置が記載されている。本発明の最も好ましい実施形態において、ポリマーはポリウレタンとその誘導体である。
【0029】
本発明における生物活性剤ポリマー複合層5の使用は、この層すなわち多重層が、最初にポリマーを適用した後に薬物コーティングするという先行技術の方法と反対に原料物質3への混合物の接着強化を可能にするという点で付加の利点を有する。生物活性剤ポリマー複合層5は、原料物質3へ配置される生物活性剤の量を調節する有効な方法も提供する。これは、生物活性剤/ポリマー比及び/又は生物活性剤ポリマー複合層の厚さを調節することにより行われる。また、複合層5は引き続くバリヤ層の相互協力面を提供し、医療装置の拡大時にバリヤ層の機械的統合性を維持する助けとなる。生物活性剤ポリマー複合物は、医療装置に対する血液適合性面を提供する付加の利点も有する。したがって、生体適合性ポリマー物質は、血管壁又は血流と植込可能な医療装置1との間の仲介として作用する。
【0030】
生物活性剤ポリマー複合層5からの薬物の放出プロフィールは、薬物溶解度、適用薬物量、複合層5における薬物とポリマーとの比及び複合層の厚さや多孔度を含む多くの因子により決定される。放出プロフィールは、蒸着プロセス又は低エネルギープラズマ重合プロセスにより形成される外側バリヤ層の存在によっても調節される。
【0031】
さらに図1を参考にすると、本発明の植込可能な医療装置1は、生物活性剤ポリマー複合層5上に配置された少なくとも1つのバリヤ層20も含む。このバリヤ層の目的は、装置1が患者の血管系又は他の体腔に配置されているときに生物活性物質のさらに制御された放出を提供することである。バリヤ層6の厚さは、係る制御を提供するように選ばれる。また、バリヤ層20は日常的な取扱いプロセスや薬物が標的部位に達するまで生理的環境から薬物を保護する。本発明の別の実施形態において、バリヤ層には生物活性剤ポリマー複合層の生物活性剤と同一又は異なる追加の生物活性剤を含有させることができる。
【0032】
バリヤ層20は、蒸着プロセス又は低エネルギープラズマ重合プロセスにより生物活性剤ポリマー複合層5の外面へ配置されたポリマー又はコポリマー層である。低エネルギープラズマ重合は、複合物被覆植込可能な医療装置をプラズマ重合プロセスの開始時にモノマーガスに曝露することにより行われる。生物活性剤ポリマー複合被覆装置は、プラズマチャンバー又は他の同様の装置に配置され、例えば、環式又は非環式シクロサン、シラン、シリルイミダゾールなどシリコーンベースモノマー; フルオロ炭化水素などフルオリンベースモノマー; 脂肪族又は芳香族炭化水素; 非環式モノマー; N−ビニルピロリドン; 酸化エチレン又はその組合せなどモノマーガスに曝露される。モノマーガスは官能基を有し、これらの官能基に固定することにより適切な薬物の共有結合付着を可能にする。2種類以上のモノマーガスを同時又は連続導入することにより、ホモポリマーの沈着に加えて、ポリマー混合物、コポリマー、又は相互浸透ネットワークを沈着させることができる。混合物として導入すると、モノマーガスの比を調節して所望の特性を得ることができよう。低エネルギー発生プロセスを得るために高周波エネルギー源などエネルギー源が用いられる。
【0033】
あるいは、バリヤ層は蒸着プロセスにより適用することができる。このようにして沈着できるポリマーの例は、パリレンとポリアミドである。このプロセスを用いたポリレンの沈着のために、そのダイマー形態の高温熱分解により形成されるp−キシリレンのモノマー蒸気を複合層の表面上で50C以下の温度で凝縮させ、バリヤ層ポリマーを形成する。
【0034】
低エネルギープラズマは循環モノマーガス中に活性種を発生させ、ポリマーが形成され、その後に既にコーティングされた装置の外面上に沈着する。プラズマはモノマーガスといっしょにコーティングされる装置上にも活性種を発生させる。これがプラズマ重合に加えてプラズマ移植を引き起こす。低エネルギープラズマ重合バリヤ層の特性(すなわち、形成されたポリマーの厚さ及び/又は架橋結合密度)は、例えば、モノマーの流量、圧力及び供給されるプラズマの出力、反応時間、及び生物活性剤の特性がマイナスに影響しないようにその組合せにより制御される。
【0035】
低エネルギープラズマ重合は、低エネルギープロセスは室温で生じるため、典型的な重合方法の熱の影響を除去するために使用される。また、モノマーはガス状の形態で導入されるため、プラズマチャンバーにおいて、溶媒を生物活性剤複合層に適用する必要はない。さらに、低エネルギープロセスに使用される時間枠は小さいため、生物活性剤に対する有害な影響の可能性は最小限である。
【0036】
バリヤ層の別の目的は、例えば、装置が所望の位置に配置されるまで体内で装置を操作している間など装置の取扱いから生じる損傷から生物活性剤ポリマー複合層の保護を提供することである。これは1種類以上の方法により達成できよう。
【0037】
例えば、プラズマ重合プロセスは、複合層5のポリマー基質へのバリヤ層20の共有結合固定を可能にする。複合層5とバリヤ層20との間の共有結合の形成は、引き続きバリヤ層20の強力な付着を提供し、先行技術に記載された他の方法により提供されるものと比較して、複合層5における薬物デポーの保護の強化を提供する。
【0038】
また、疎水性バリヤ層の場合、生理的環境からの水の拡散が制限されるため、生物活性剤の溶出環境との接触を制限する。
【0039】
さらに、プラズマ重合により形成されるバリヤ層は、先行技術に記載された他の方法により形成されるバリヤ層とは反対に本来、架橋結合される。架橋結合の程度は、出力などプラズマ重合プロセスを変化させることで変動しうる。架橋結合密度を増大させることにより追加の耐久性が得られ、より強固なバリヤ層となるが、架橋結合密度を低下させると、より柔軟なバリヤ層となる。
【0040】
本発明の少なくとも1つのバリヤ層20は、厚さが5000Å未満であることが好ましく、約50〜2000Åの厚さが最適である。
【0041】
ある。
【0042】
上述したように、医療装置からの生物活性剤の放出プロフィールは、バリヤ層の生物活性剤の溶解度、複合物及びバリヤ層の多孔度、架橋結合密度及びバリヤ層の厚さ、及びバリヤ層を通じる生物活性剤の輸送に対する抵抗性など多くの因子により決定される。
【0043】
図3は、生物活性剤の放出速度に対するプラズマ重合時間の増大の影響を示す。図3において、低エネルギープラズマ重合プロセスによるステントのパクリタキセルポリウレタン複合層上に、ポリウレタン及びポリカーボネートベース、ポリ尿素ベース、ポリエーテルベース、及びポリエステルベース誘導体を含むポリウレタンの誘導体を含むシロキサンバリヤ層が適用される。シリコン処理したポリウレタンなど相互浸透ネットワーク(INP)も含まれる。パクリタキセルポリウレタン被覆ステントはテトラメチルシクロテトラシロキサンのガス状のモノマーへ曝露され、次にパクリタキセルポリウレタンコーティングの表面上に低エネルギープラズマ重合により重合される。図3からわかるように、例えば、6秒から10秒乃至20秒にプラズマ重合時間を増大させることにより、パクリタキセルの連続的に低い放出プロフィールを達成することが可能である。重合時間の増大により、厚いシロキサンバリヤ層が形成され、パクリタキセル放出速度に対する支持効果を次々にもたらす。したがって、パクリタキセル又は他の生物活性剤の放出プロフィールは、低エネルギープラズマ重合プロセスの時間を変化させることで正確に制御される。
【0044】
さらに、プラズマ重合時間、モノマー流量、圧力、及び適用されるエネルギーなど基本的なプラズマパラメータの1つ又はそれ以上のいずれかの変更が、形成されるポリマーの厚さ及び/又は架橋結合密度のいずれかを変化させる可能性を提供する。次に、これらの特性の両方が、複合層からの薬物溶出に対する抵抗性の強化を提供することにより薬物放出を制御する手段を提供する。また、低エネルギープラズマ重合プロセスはポリマーの適用のために気相を利用するため、被覆ステント上のコーティング選択領域が容易に達成される(適切な領域をマスキングすることにより)が、これは溶液相のコーティング適用においては達成するのが困難である。
【0045】
別の実施形態において、生物活性物質はバリヤ層の外面の中又は上へ組み込まれる。例えば、第2の生物活性物質が、適切な方法によりバリヤ層20へ導入される。図4は、バリヤ層20に適用されて層25を得る、へパリンなど生物活性剤の外側コーティングを有するステントを示す。生物活性剤複合層の生物活性剤と同一又は異なる外側生物活性材料は溶液中に配置され、薬物溶液への被覆医療装置の浸漬又は噴霧など層20への溶液の適用を含む、適切な手段によりバリヤ層20に適用される。前者の方法において、生物活性剤の装填量は、バリヤ層が薬物溶液又は分散剤へ曝露される時間、ポリマー架橋結合の程度、溶液又は分散剤中の薬物の濃度及び/又は医療装置に適用されるバリヤ層の量を調節することにより制御される。
【0046】
第2の生物活性剤を有するバリヤ層は、第1のバリヤ層と同様の組成を有してもよく、物理的又は化学的に異なるものであってもよい。第2のバリヤ層の性質は、外面へ組み込まれる第2の薬物の物理化学的特性により決定されよう。例えば、へパリンなど親水性薬剤の組み込みのために、第2のバリヤ層にはプラズマ重合により形成される親水性/疎水性ポリマーネットワークを含めることができる。親水性成分は、N−ビニルピロリドン又は酸化エチレンなどモノマーのプラズマ重合により提供されるが、疎水性成分はシロキサンベースポリマーにより提供される。したがって、親水性生物活性剤の組み込みと放出は、親水性ポリマーのその高い親和性により促進される。係る条件下に、薬物放出は親水性ポリマー成分の溶解/侵食の後、疎水性相対物による拡散により起こる。
【0047】
層5において用いられる生物活性物質が層20の生物活性物質と同じである場合は、層5の生物活性物質は治療窓に達するに必要な初期ボーラス装填量を提供し、これはさらに生物活性剤ポリマー複合層5により維持される。
【0048】
層5の生物活性物質が層20で用いられる生物活性物質と異なる場合は、層20の生物活性物質は2つの生物活性物質の相乗的又は独立の生物活性のいずれかにより達成される生物学的効果の組合せを提供する。例えば、生物活性物質として副腎皮質ステロイド又は一酸化窒素若しくは一酸化窒素ドナーとパクリタキセルとの組合せは、相乗効果を提供する。再狭窄の治療に有用な独立した生物活性を提供する生物活性剤の組合せの例は、パクリタキセルとへパリンである。別の例において、へパリン、へパリン結合成長因子及び一酸化窒素ドナーがバリヤ層20内に組み込まれ、非血栓形成性及び内皮化強化の複数の利点を得る。別の実施形態において、層20はタンパク質又は生物学的分子を含み、さらに層20からの薬物放出を調節する。
【0049】
植込まれると、医療装置の生物活性剤ポリマー複合層5に含まれる生物活性物質の実質的な量が、長い時間にわたりかつ制御された様式で患部へ拡散する。
【0050】
本発明は、体内の標的部位へ活性剤、薬剤又は生物活性物質の局所型送達の制御する装置、治療方法及び製造方法を提供する。本発明は一部の例示的な実施形態に関して記載されているが、構成要素が実例として明示的に示されていない場合であっても、当業者には理解される上記実施形態の多くの他の変形形態がある。これらの修正形態は、本願に添付された特許請求の範囲にのみ限定されている、本発明の開示の範囲内にあることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1の好ましい実施形態を示す横断面図である。
【図2】
本発明の実施形態において使用されるステントを示す側面図及び端面図である。
【図3】
パクリタキセルが放出されるシロキサンバリヤ層のプラズマ重合時間の増大効果の放出プロフィールを示す図である。
【図4】
本発明の好ましい実施形態を示す横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 患者への導入のために適合された構造物であって、該構造物が原料物質を含む前記構造物と; 前記原料物質の外面の少なくとも一部分に適用される少なくとも1つの生物活性剤とポリマー物質を含む少なくとも1つの複合層と; 複合層上に配置された少なくとも1つのバリヤ層であって、該バリヤ層が少なくとも1つの生物活性剤の制御された放出を提供するに適切な厚さを有する前記バリヤ層とを含み; 前記バリヤ層がモノマーガスの低エネルギープラズマ重合プロセスによりインサイツ形成される、植込可能な医療装置。
【請求項2】 前記ポリマー物質が、ポリウレタン、ポリカルボン酸、ポリオルトエステル、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸ポリマー、ポリアミド、ポリビニルアルコール、酸化ポリエチレン、グリコサミノグリカン、タンパク質、ポリペプチド、シリコーン、多糖体、ポリエステル、ポリアクリルアミド、ポリエーテル、ビニルモノマーのコポリマー、及びその混合物とコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1の植込可能な装置。
【請求項3】 前記少なくとも1つの生物活性剤がパクリタキセルである、請求項1の装置。
【請求項4】 前記少なくとも1つの複合層が、前記少なくとも1つの生物活性剤及びポリマー物質の溶解、分散、吸収、又は吸着により形成される、請求項1の装置。
【請求項5】 前記少なくとも1つの複合層が生物活性剤の基質デポーを形成する、請求項1の装置。
【請求項6】 前記少なくとも1つの層の厚さが5000Å未満である、請求項1の装置。
【請求項7】 前記少なくとも1つの層の厚さが約50乃至2000Åである、請求項1の装置。
【請求項8】 医療装置が、カテーテル、ワイヤガイド、カニューレ、ステントグラフト、被覆ステント、代用血管又は他のグラフト、心臓ペースメーカーのリード又はリード先端部、血管形成装置又はその一部分; 及びそのいずれかの部分からなる群から選択される装置である、請求項1の装置。
【請求項9】 構造物の原料物質が金属又はポリマーの少なくとも1つを含む、請求項1の装置。
【請求項10】 前記モノマーガスが、環式又は非環式シクロサンシリコーンベースモノマー、シランシリコーンベースモノマー、シリルイミダゾールシリコーンベースモノマー、フルオロ炭化水素ベースモノマー; 脂肪族又は芳香族炭化水素ベースモノマー; 非環式モノマー; 及びその組合せからなる群から選択される、請求項1の装置。
【請求項11】 前記バリヤ層上に薬剤層をさらに含む、請求項1の装置。
【請求項12】 前記薬剤層がへパリンを含有する、請求項6の装置。
【請求項13】 A)患者へ導入するために適合されたコーティング構造物を含む植込可能な医療装置を提供するステップであって、該構造物は、a)原料物質; b)前記原料物質の外面の少なくとも一部分に適用される少なくとも1つの生物活性剤とポリマー物質を含む少なくとも1つの複合層を含むステップと; B)前記医療装置の複合層上にポリマーを含む少なくとも1つのバリヤ層を形成するステップであって、前記少なくとも1つのバリヤ層は少なくとも1つの生物活性剤の制御された放出を提供するに十分な厚さを有し、前記バリヤ層は、(i)チャンバー内に前記コーティング構造物を配置することと;(ii)前記チャンバーへ少なくとも1種類のモノマーガスを導入することと;(iii)ガスを低エネルギー源にさらすことにより、モノマーガスが医療装置の外面上にバリヤ層を形成することとを含む低エネルギープラズマ重合プロセスにより適用されるステップと; C)前記植込可能な医療装置を前記標的部位に送達するステップと、を含む体内の標的部位に薬剤を局所的に送達するための方法。
【請求項14】 浸漬プロセスにより前記少なくとも1つのバリヤ層へ追加の生物活性剤を導入するステップをさらに含む、請求項13の方法。
【請求項15】 低エネルギー源が低エネルギー高周波である、請求項13の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2002−531183(P2002−531183A)
【公表日】平成14年9月24日(2002.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−584944(P2000−584944)
【出願日】平成11年11月12日(1999.11.12)
【国際出願番号】PCT/US99/26887
【国際公開番号】WO00/32255
【国際公開日】平成12年6月8日(2000.6.8)
【出願人】
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック リミテッド
【Fターム(参考)】