説明

活性剤を含むシリコーン小胞

予め形成したシリコーン小胞分散物に疎水性活性剤を混入することによって疎水性活性剤取り込み小胞組成物を調製する方法を開示する。シリコーン小胞組成物は、様々なパーソナルケア及びヘルスケア組成物に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国法典第35編第119条(e)項の下で2006年の2月26日に出願された米国特許仮出願No.60/777,665の利益を主張するものである。米国特許仮出願No.60/777,665は、参照のためにここに取り込むこととする。
【0002】
本発明は、疎水性活性剤を予備調製したシリコーン小胞組成物に混入することによって、疎水性活性剤含有小胞組成物を調製する方法に関する。本発明はまた、本発明の方法によって調製される小胞組成物、並びに前記シリコーン小胞組成物を含むパーソナルケア組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
国際特許出願公報WO2005/103157には、オルガノポリシロキサンを水混和性揮発性溶媒中に分散させて水と共に水性分散物を形成し、次いで水混和性揮発性溶媒を除去して水性連続相中に小胞を形成させることによる、少なくとも一つの親水性置換基を有するオルガノポリシロキサンからのシリコーン小胞の調製方法が開示されている。こうしたタイプの小胞は、通常その製造に使用されるオルガノポリシロキサンが疎水性であり、水中への分散に際して自然に小胞を形成することがないため、「アッセンブリを要する小胞」と呼称しても良い。
【特許文献1】米国特許仮出願No.60/777,665
【特許文献2】国際特許出願公報WO2005/103157
【特許文献3】国際特許出願公報WO2005/102248
【非特許文献1】Perfume and Flavour Chemicals, 1969, S. Arctander, Montclair, New Jersey
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
国際特許出願公報WO2005/102248には、I) A)少なくとも一つの親水性置換基を有するオルガノポリシロキサン、B)水混和性揮発性溶媒、C)任意のシリコーンまたは有機オイル、D)パーソナルケア活性剤またはヘルスケア活性剤を水と混合して水性分散物を形成する工程、II)水性分散物を撹拌して小胞を形成する工程、及びIII)任意に水混和性揮発性溶媒を小胞から除去する工程を含む、活性剤含有小胞組成物の調製方法が記載されている。活性剤は、この方法に従ってアッセンブリを要する小胞に導入される。しかしながら、活性剤はこの方法の工程(I)に導入されることが必要である。活性剤が前記方法の小胞形成段階で導入されねばならないため、このことはこれら小胞の有用性を制限しうる。然るに、活性剤が小胞形成工程の間に存在することを必要とせずに上記シリコーン小胞中に様々な活性剤を導入する方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、形成されたシリコーン小胞に活性剤を「事後添加(post addition)」することにより上述のシリコーン小胞内に様々な活性剤を導入または捕捉可能であることを思いがけず見いだした。特に、疎水性活性剤を、上述のシリコーン小胞に添加し、更に撹拌することにより、シリコーン小胞内に疎水性活性剤が捕捉された安定な小胞組成物が得られる。
【0006】
本発明は、
I)A)少なくとも一つの親水性置換基を有するオルガノポリシロキサン、
B)水混和性揮発性溶媒、
C)任意にシリコーンまたは有機オイル、
を、水と混合して水性分散物を形成する工程;
II)前記水性分散物を撹拌して小胞分散物を形成する工程;
III)任意に前記小胞分散物から水混和性揮発性溶媒を除去する工程;次いで、
IV)前記小胞分散物に、
D)疎水性活性剤
を混入して疎水性活性剤含有小胞組成物を形成する工程;
を含む、疎水性活性剤含有小胞組成物の調製方法を提供する。
本発明はまた、本発明の方法によって調製される小胞組成物、並びにこれらの小胞組成物を含むパーソナルケア組成物にも関する。
【0007】
本発明の方法の工程I)には、
A)少なくとも一つの親水性置換基を有するオルガノポリシロキサン、
B)水混和性揮発性溶媒、
C)任意のシリコーンまたは有機オイル、
を、水と混合して水性分散物を形成することが含まれる。成分A)-C)を以下に説明する。
【0008】
A) オルガノポリシロキサン成分
成分A)は、少なくとも一つの親水性置換基を有するオルガノポリシロキサンである。オルガノポリシロキサンは、当業者には周知であり、しばしばあらゆる数の”M”シロキシ単位(R3SiO0.5)、”D”シロキシ単位(R2SiO)、”T”シロキシ単位(RSiO1.5)、または“Q”シロキシ単位(SiO2)(ここでRは個別にあらゆる炭化水素基である)を含む旨が指定される。本発明においては、オルガノポリシロキサンは少なくとも親水性置換基を有する。すなわち、オルガノポリシロキサン中に存在するR炭化水素基の少なくとも一つが親水性基である。本発明の目的のためには、“親水性基”は当業者に理解される意味であり、すなわち水を好む化学部分である。然るに親水性基は、様々な疎水性化学部分と組み合わせて通常に使用され、界面活性剤構造または界面活性挙動を有する分子を生成する、様々なカチオン性、アニオン性、双性イオン性、ポリオキシアルキレン、オキソアゾリン化学部分から選択可能である。
【0009】
オルガノポリシロキサン上の親水性置換基の量は、特定の化学成分に依存して異なってよい(但し、オルガノポリシロキサン上には少なくとも一つの親水性基が存在することを前提とする)。しかしながら、オルガノポリシロキサン中に存在する親水性基の量は、その重量パーセント、特に該オルガノポリシロキサンの重量パーセント及び該分子中に存在する全親水性基の重量パーセントによって説明することができる。典型的には、オルガノポリシロキサン中のシロキサン単位の重量パーセントは、20乃至85、あるいは30乃至85、あるいは35乃至80重量パーセントであってよく、一方で該オルガノポリシロキサンの残りの重量部分は親水性基である。
【0010】
本発明の一実施態様では、少なくとも一つの親水性置換基を有するオルガノポリシロキサンは、シリコーンポリエーテルから選択される。シリコーンポリエーテル(SPEs)とは、一般的に、ポリエーテルまたはポリオキシアルキレン基を含むシリコーンであって、多くの異なる構造形態をとりうるものを意味する。こうした一つの形態は、最も一般的にはアリルオキシ官能性ポリエーテルとのSiH官能性オルガノシロキサンのPt触媒存在下でのヒドロシリル化から得られるレーキタイプのSPEsである。この実施態様では、成分(A)は下式:
【化1】

のいずれかに表される構造を有するシリコーンポリエーテルである。
【0011】
これらの構造では、Rlは1-6の炭素原子を含むアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルを表し;R2は-(CH2)aO(C2H4O)b(C3H6O)cR3を表し;xは1-1,000、あるいは1-500、あるいは10-300の値を有し;yは1-500、あるいは1-100、あるいは2-50の値を有し;zは1-500、あるいは1-100の値を有し;aは3-6の値を有し;bは4-20の値を有し;cは0-5の値を有し;R3は水素、メチル基、またはアシル基、例えばアセチルである。典型的には、Rlはメチルであり;bは6-12であり;cはゼロであり;R3は水素である。
【0012】
好ましくは、レーキタイプのSPEシリコーンポリエーテルは、5/1乃至50/1、あるいは10/1乃至30/1、あるいは15/1乃至30/1のD/D’比(すなわちx/y比)を有する。
【0013】
第二の実施態様では、成分(A)は平均式:
[式1] -[R1(R2SiO)x’(R2SiR1O)(CmH2mO)y’]n-
[式中、x'及びy'は4より大なり、mは2乃至4であり、nは2より大なり、Rは個別に1乃至20の炭素原子を含む一価の有機基であり、R1は2乃至30の炭素原子を含む二価の炭化水素である]
を有する(AB)nブロックシリコーンポリエーテル(ポリオルガノシロキサン-ポリオキシアルキレンブロックコポリマー)である。
【0014】
式I中のシロキサンブロックは、式(R2SiO)x’(式中、Rは一価の有機基から個別に選択され、x'は4より大なる整数であるか、あるいはx'は20乃至100または30乃至75の範囲である)を有する、大部分は直鎖状のシロキサンポリマーである。
【0015】
シロキサンポリマー中のRによって表される有機基は、脂肪族不飽和を持たない。これら有機基は、脂肪族不飽和を持たない一価の炭化水素基及び一価のハロゲン化炭化水素基から、個別に選択されて良い。これら一価の基は、1乃至20の炭素原子、あるいは1乃至10の炭素原子を有してよく、以下に限定されるものではないが、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシル;シクロアルキル、例えばシクロヘキシル;アリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2-フェニルエチル;並びにハロゲン化炭化水素基、例えば3,3,3-トリフルオロプロピル、3-クロロプロピル、及びジクロロフェニルによって例示される。オルガノポリシロキサン中の有機基の少なくとも50パーセント、あるいは少なくとも80%がメチル(Meと表示)であってよい。典型的には、シロキサンブロックは、式 (Me2SiO)x’(x’は以上に定義される通りである)を有する大部分が直鎖状のポリジメチルシロキサンである。
【0016】
シリコーンポリエーテルのポリオキシアルキレンブロックは、式(CmH2mO)y’ (式中、mは2乃至4であり、y’は4より大であり、あるいはまたy’は5乃至30、または5乃至25である)によって表される。ポリオキシアルキレンブロックは、典型的にはオキシエチレン単位(C2H4O)y’、オキシプロピレン単位(C3H6O)y’、オキシブチレン単位(C4H8O)y’、またはこれらの混合物である。典型的には、ポリオキシアルキレンブロックにはオキシエチレン 単位(C2H4O)y’が含まれる。
【0017】
式I中の各ポリオキシアルキレンブロックの少なくとも一つの末端が、R1に示される二価の有機基によってシロキサンブロックに結合している。この結合鎖は(AB)nブロックシリコーンポリエーテルコポリマーを調製するために使用される反応によって決定される。R1の二価の有機基は、2乃至30の炭素原子を含む二価の炭化水素、及び2乃至30の炭素原子を含む二価の有機官能性炭化水素から個別に選択されうる。こうした二価の炭化水素基の代表的且つ非限定的な例には、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン等が含まれる。こうした二価の有機官能性炭化水素の代表的且つ非限定的な例には、アクリレート及びメタクリレートが含まれる。典型的には、R1はプロピレン(-CH2CH2CH2-)である。
【0018】
前記(AB)nブロックシリコーンポリエーテルは、末端ブロックされている。末端ブロック単位もまた、 (AB)nブロックシリコーンポリエーテルコポリマーの調製に使用される反応によって決定されるが、一般的には使用される反応物の残留反応基である。例えば、 (AB)nブロックシリコーンポリエーテルコポリマーは、ジアリルポリエーテル(すなわちアリル基が各分子末端に存在する)とSiH末端ポリオルガノシロキサンとの金属触媒ヒドロシリル化反応によって調製可能である。生成する(AB)nブロックシリコーンポリエーテルコポリマーは、プロピレンオキシ基(-CH2CH2CH2O-)を介してシリコーンブロックに結合するポリオキシアルキレンブロックを有することになり、僅かにモル過剰のアリルポリエーテルを使用すればアリル末端ブロック単位(-CH2CHCH2)が得られる。別の分子の添加により、シロキサンまたはポリエーテルブロック中間体と反応しうる(AB)nブロックシリコーンポリエーテルコポリマーを調製するために利用される反応において別の末端ブロック単位が生成しうる。例えば、モノ末端脂肪族不飽和を有する有機化合物(例えばモノアリル末端ポリエーテル)の添加により、この有機化合物により(AB)nブロックシリコーンポリエーテルコポリマーの末端キャッピングがもたらされうる。好ましくは、(AB)nブロックシリコーンポリエーテルの末端ブロック単位はアリルエーテル(CH2=CHCH2O-)またはアリルポリエーテルである。
【0019】
(AB)nブロックシリコーンポリエーテルコポリマーの分子量は、式I中の下付き文字nに示される反復シロキサン及びポリオキシエチレンブロックの数によって決定される。典型的には、nの値は、平均分子量(Mw)が1,500乃至150,000、あるいは10,000乃至100,000の範囲をとるようなものである。
【0020】
本発明の小胞組成物の(AB)n SPEsは、(AB)nブロックシリコーンポリエーテル中のポリオキシエチレン単位に対する全シロキサン単位の、所定のモル比を有する。この分子パラメータは、式I中のx’/(x’+y’)の値によって表される。x’/(x’+y’)の値は0.4乃至0.9、あるいは0.55乃至0.9で変化して良い。
【0021】
本発明の小胞組成物の調製に有用な(AB)n SPEsは、こうしたブロックコポリマーの調製のために当業者に知られる、あらゆる方法で調製可能である。しかしながら、典型的には、本発明の小胞組成物の調製に有用な(AB)n SPEsは、SiH末端オルガノポリシロキサンと各分子末端に不飽和炭化水素基を有するポリオキシエチレンとをヒドロシリル化反応で反応させる工程を含む方法から得られるが、この反応における不飽和炭化水素基のSiHに対するモル比は少なくとも1:1である。
【0022】
B) 水混和性揮発性溶媒成分
成分B)は、水混和性揮発性溶媒である。本明細書中で使用される“水混和性”とは、室温にて少なくとも数時間の間、水との分散物を形成する溶媒を意味する。“揮発性”とは、様々な温度において水よりも高い蒸気圧を有する溶媒を意味する。そのようなものとして、オルガノポリシロキサンと溶媒との水性分散物が溶媒を除去するための条件、例えば減圧下での加熱に処された場合、まず溶媒が主に除去され、全てまたはほとんどの水は組成物中に残留する 。
【0023】
小胞分散物調製に適当な水混和性揮発性溶媒には、有機溶媒、例えばアルコール、エーテル、グリコール、エステル、酸、ハロゲン化炭化水素、ジオールが含まれる。有機溶媒は、効果的にシリコーンを分散させ、安定且つ均一な分散物を経時的に維持する割合以下で水と混和性であるべきである。詳説のためには、水混和性アルコールにはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び高級炭化水素アルコールが含まれ;エーテルにはグリコールエーテル、メチルエチルエーテル、メチルイソブチルエーテル(MIBK)等が含まれ;グリコールにはプロピレングリコールが含まれ;エステルにはトリグリセロールのエステル、酸とアルコールとのエステル化生成物が含まれ;ハロゲン化炭化水素にはクロロホルムが含まれる。典型的には、水混和性有機溶媒は、比較的に低い沸点(<100°C)または早い蒸発速度をもつ溶媒であり、よってこれらは真空下で容易に除去されうる。本発明にとって最も好ましい水混和性有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びプロパノールを含む揮発性アルコールである。これらのアルコールは、シリコーン小胞分散物を含む水性混合物から、周囲温度での真空ストリッピングによって除去可能である。
【0024】
B) 任意のシリコーンまたは有機オイル成分
任意成分C)は、シリコーンまたは有機オイルである。このシリコーンは一般式RiSiO(4-i)/2(式中iは1乃至3の平均値を有し、Rは一価の有機基である)を有するあらゆるオルガノポリシロキサンであってよい。前記オルガノポリシロキサンは、環状、直鎖状、分枝状のもの、及びこれらの混合物であってよい。
【0025】
一実施例では、成分C)は、低分子量の直鎖状及び環状揮発性メチルシロキサンを含む揮発性メチルシロキサン(VMS)である。シクロメチコーンのCTFA定義に適合する揮発性メチルシロキサンは、低分子量シロキサンの定義に含まれると考えられる。
【0026】
直鎖状VMSは、式(CH3)3SiO{(CH3)2SiO}fSi(CH3)3を有する。fの値は、0乃至10である。環状VMSは、式{(CH3)2SiO}gを有する。gの値は3乃至6である。好ましくは、これらの揮発性メチルシロキサンは1,000未満の分子量;250℃の沸点;及び0.65乃至5.0センチストーク(mm2/s)、一般的には5.0センチストーク(mm2/s)以下の粘度を有する。
【0027】
代表的な直鎖状揮発性メチルシロキサンは、100℃の沸点、0.65mm2/sの粘度、及び式Me3SiOSiMe3を有するヘキサメチルジシロキサン(MM);152℃の沸点、1.04mm2/sの粘度、及び式Me3SiOMe2SiOSiMe3を有するオクタメチルトリシロキサン(MDM);194℃の沸点、1.53mm2/sの粘度、及び式Me3SiO(Me2SiO)2SiMe3を有するデカメチルテトラシロキサン (MD2M);229℃の沸点、2.06mm2/sの粘度、及び式Me3SiO(Me2SiO)3SiMe3を有するドデカメチルペンタシロキサン(MD3M);245℃の沸点、2.63mm2/sの粘度、及び式Me3SiO(Me2SiO)4SiMe3を有するテトラデカメチルヘキサシロキサン(MD4M);及び270℃の沸点、3.24 mm2/sの粘度、及び式Me3SiO(Me2SiO)5SiMe3を有するヘキサデカメチルヘプタシロキサン(MD5M)である。
【0028】
代表的な環状揮発性メチルシロキサンは、134℃の沸点、223の分子量、及び式{(Me2)SiO}3を有する固体であるヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3);176℃の沸点、2.3 mm2/sの粘度、297の分子量、及び式{(Me2)SiO}4を有するオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4);210℃の沸点、3.87 mm2/sの粘度、371の分子量、及び式{(Me2)SiO}5を有するデカメチルシクロペンタシロキサン(D5);245℃の沸点、6.62 mm2/sの粘度、445の分子量、及び式{(Me2)SiO}6を有するドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)である。
【0029】
成分C)として選択されるシリコーンは、いかなるポリジオルガノシロキサン溶液、ゴム、またはこれらの混合物であってもよい。前記ポリオルガノシロキサンが1000以上の分子量を有する場合には、これは上述の揮発性メチルシロキサンとブレンドしてよい。本発明に適当なポリジオルガノシロキサンゴムは、ジメチルシロキサン単位を必須に含み、他の単位はモノメチルシロキサン、トリメチルシロキサン、メチルビニルシロキサン、メチルエチルシロキサン、ジエチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン、エチルフェニルシロキサン、ビニルエチルシロキサン、フェニルビニルシロキサン、3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサン、ジメチルフェニルシロキサン、メチルフェニルビニルシロキサン、ジメチルエチルシロキサン、3,3,3-トリフルオロプロピルジメチルシロキサン,モノ-3,3,3-トリフルオロプロピルシロキサン、アミノアルキルシロキサン、モノフェニルシロキサン、モノビニルシロキサン等によって表される。
【0030】
成分C)が有機オイルである場合は、これはパーソナルケア、家庭用、またはヘルスケア製剤の調製における使用に適当であると当業者に知られる、あらゆる有機オイルから選択されてよい。適当な有機オイルには、以下に限定されるものではないが、天然オイル、例えばココナッツオイル;炭化水素油、例えば鉱油及び水添ポリイソブテン;脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール;エステル、例えばC12-C15アルキルベンゾエート;ジエステル、例えばプロピレンジペラルガネート;及びトリエステル、例えばグリセリルトリオクタノエートが含まれる。有機オイル成分はまた、低粘度オイルと高粘度オイルとの混合物であってもよい。適当な低粘度オイルは、25℃で5乃至100mPa・sの粘度を有し、一般的にRCO-OR’(式中、RCOはカルボン酸残基を表し、OR’はアルコール残基である)の構造を有するエステルである。これら低粘度オイルの例には、イソトリデシルイソノナノエート、PEG-4ジヘプタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、トリデシルネオペンタノエート、セチルオクタノエート、セチルパルミテート、セチルリシノレエート、セチルステアレート、セチルミリステート、ココ-ジカプリレート/カプレート、デシルイソステアレート、イソデシルオレエート、イソデシルネオペンタノエート、イソヘキシルネオペンタノエート、オクチルパルミテート、ジオクチルマレート、トリデシルオクタノエート、ミリスチルミリステート、オクトドデカノール、またはオクチルドデカノールの混合物、アセチル化ラノリンアルコール、セチルアセテート、イソドデカノール、ポリグリセリル-3-ジイソステアレート、またはこれらの混合物が含まれる。高粘度表面オイルは、一般的に25℃で200乃至1,000,000mPa・s 、好ましくは100,000乃至250,000mPa・sの粘度を有する。表面オイルには、蓖麻子油、ラノリン、及びラノリン誘導体、トリイソセチルシトレート、ソルビタンセスキオレエート、Cl0-18トリグリセリド、カプリル/カプリン/トリグリセリド、ココナッツオイル、コーンオイル、綿実油、グリセリルトリアセチルヒドロキシステアレート、グリセリルトアセチルリシノレート、グリセリルトリオクタノエート、水添蓖麻子油、亜麻仁油、ミンクオイル、オリーブオイル、パームオイル、イリッペ脂、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、獣脂、トリカプリン、トリヒドロキシステアリン、トリイソステアリン、トリラウリン、トリリノレイン、トリミリスチン、トリオレイン、トリパルミチン、トリステアリン、ウォルナッツオイル、小麦胚芽油、コレステロール、またはこれらの混合物が含まれる。任意の別の非シリコーン脂肪物質の中では、鉱油、例えば流動パラフィンまたは液化石油、動物油、例えばペルヒドロスクアレンまたはアララオイル、あるいは植物油、例えばスウィートアーモンドオイル、カロフィラムオイル、パームオイル、蓖麻子油、アボカドオイル、ホホバオイル、オリーブオイル、または小麦胚芽油を挙げてよい。例えばラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、またはミリスチン酸のエステル;アルコール、例えばオレイルアルコール、リノレイルまたはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、またはオクチルドデカノール;あるいはアルコールまたはポリアルコールのアセチルグリセリド、オクタノエート、デカノエート、またはリシノレエートを使用することもできる。あるいは、25℃で固体である水添油、例えば水添蓖麻子油、パームオイル、またはココナッツオイル、あるいは水添獣脂;モノ-、ジ-、トリ-、もしくはスクログリセリド;ラノリン;あるいは25℃で固体である脂肪エステルを使用することができる。
【0031】
成分A)、B)、及びC)の量は、方法において変化するが、典型的には下記:
A)2乃至50重量%、あるいは2乃至25重量%、あるいは1乃至20重量%、
B)1乃至50重量%、あるいは2乃至25重量%、あるいは2乃至15重量%、
C)0乃至50重量%、あるいは1乃至20重量%、あるいは2乃至10重量%、及び
の範囲であり、A)、B)、及びC)の重量%と水含量との合計を100%とする十分量の水が使用される。
【0032】
成分A)、B)、及びC)を水と混合する順序は重要でないが、典型的にはA)、B)、及びC)が最初に混合され、次いで水が添加されて成分A)乃至C)の水性分散物を形成する。
【0033】
本発明の方法における工程IIは、工程Iで形成された水性分散物を撹拌して小胞を形成する工程である。撹拌及び小胞の生成を達成するために必要な特段の要件または条件はない。撹拌技術は、単純な撹拌、均質化、超音波分解(sonalating)、及び水性分散物中の小胞の形成をもたらすとして当業者に知られる他の撹拌技術であってよい。撹拌は、バッチ毎、半連続的、または連続的方法によって実行可能である。
【0034】
小胞の形成は、当業者には一般的な技術によって確認することができる。典型的には、小胞は、偏光干渉顕微鏡で検査した場合に複屈折性を示すラメラ相構造を有する。あるいは、小胞の形成はCyro-Tran 放射型電子顕微鏡法(Cryo-TEM)技術によって証明されうる。オルガノポリシロキサンが小胞サイズの特色をよく示して水性媒質中に十分に分散していることを示すために、粒径測定もまた利用することができる。例えば、0.500μm(マイクロメートル)未満の平均粒径が、分散した小胞には典型的である。本発明の教示では、0.200μm未満、または0.100μm未満の平均粒径を有する小胞が生成しうる。
【0035】
本発明の方法における工程IIIは任意であり、水混和性の揮発性溶媒である成分B)の除去を含む。典型的には、水混和性揮発性溶媒は、当業者に既知の技術、例えば小胞組成物を任意に加熱しつつ減圧下に処することによって除去される。こうした技術を例示する装置には、回転式エバポレータ及び薄膜ストリッパが含まれる。
【0036】
本発明の方法における工程IV)には、小胞分散物に成分D)疎水性活性剤を混入する工程が含まれる。本明細書中に使用される“疎水性活性剤”は、パーソナルケア組成物またはヘルスケア組成物中に使用されて所望の美容(パーソナルケア組成物)または製薬(ヘルスケア組成物)効果をもたらしうる、あらゆる疎水性組成物を包含する。成分D)は単一の疎水性活性剤であっても、または数種の物質の混合物であってもよい(但し、その混合物全体が疎水性であると認められ、且つ少なくとも一つの“活性”成分を含むことを前提とする)。典型的な成分D)は、
D’)シリコーンオイル、
D”)パーソナルケア活性剤、
D’’’)ヘルスケア活性剤、及び
これらの混合物から選択される。
成分D)がD’)シリコーンオイルを含む場合は、このシリコーンオイルは成分C)として上述されるあらゆるシリコーンオイルから選択されても良い。好ましいシリコーンオイルには、ポリジメチルシロキサン、例えばDow Corning(登録商標)200 fluids (INCI名 ジメチコーン)、ジメチルシクロシロキサン、例えばDow Corning(登録商標)245 fluid (INCI名 シクロペンタシロキサン)、及びフェニル官能性シロキサン、例えばDow Coming(登録商標)556 fluid(INCI名 フェニルトリメチコーン)が含まれる。
【0037】
D”)パーソナルケアもしくはD’’’)ヘルスケア活性成分
成分D)は、パーソナルケアもしくはヘルスケア活性剤である。本明細書中に使用される “パーソナルケア活性剤”とは、典型的には髪または皮膚の処理を目的として添加されて美容及び/または美的効果をもたらすパーソナルケア製剤中の添加剤として当業者に知られたあらゆる化合物またはこうした化合物の混合物を意味する。“ヘルスケア活性剤”とは、製薬または医薬効果をもたらすことが当業者に知られたあらゆる化合物またはこうした化合物の混合物を意味する。然るに、“ヘルスケア活性剤”には通常使用される活性成分または活性薬剤成分と認められ、且つ米国保険社会福祉省食品医薬品局によって定義され、連邦規則集、第21編、第I章、第200-299部及び300-499部に含まれる物質が含まれる。
【0038】
然るに、活性成分は、疾患の診断、治癒、緩和、治療、または予防において製薬活性または別の直接的効果を付与すること、あるいは人または別の動物の身体のあらゆる構造またはあらゆる機能に影響を与えることを企図するいかなる成分を含んでも良い。この相は、薬剤製品の製造中に化学変化を経て、特定の作用または効果を付与することを企図する変性形態で薬剤製品中に存在しうるこうした成分を含有可能である。
【0039】
活性成分の代表例には、薬剤、ビタミン、ミネラル;ホルモン;局所抗微生物剤、例えば抗生物質活性成分、皮膚真菌症、頑癬、または白癬の治療のための抗真菌活性成分、及びざ瘡活性成分;収斂活性成分;脱臭活性成分;疣贅除去活性剤;ウオノメ及びタコ除去活性剤;頭部、陰部(毛ジラミ)、及びヒトジラミの処置のためのシラミ駆除活性成分;フケ、脂漏性皮膚炎、または乾癬の制御のための活性成分;及び日焼け予防及び治療剤が含まれる。
【0040】
シリコーン小胞の形態にすることによって、これらの活性成分が皮膚上で有効に維持され、当該製品のより長い効果をもたらす。更にまた、数種類の添加剤を処方することによって活性成分の経皮吸収の刺激または阻害を制御することができる。例えば、エタノールを揮発性成分として、エステルまたはメントールを経皮吸収の刺激剤として処方することにより、皮膚を通して効率よく吸収される活性成分がある。特に、水性活性成分と油溶性活性成分を含むシリコーン小胞とを組み合わせることには、これら成分の経皮吸収を刺激するという利点がある。
【0041】
本発明による方法における使用のために有用な活性成分には、ビタミン及び”プロビタミン”を含むその誘導体が含まれる。本明細書における有用なビタミンには、以下に限定されるものではないが、ビタミンA1、レチノール、レチノールのC2-C18エステル、ビタミンE、トコフェロール、ビタミンEのエステル、及びこれらの混合物が含まれる。レチノールには、トランスレチノール、1,3-シス-レチノール、11-シス-レチノール、9-シス-レチノール、及び3,4-ジデヒドロ-レチノール、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンB1、ビタミンB2、プロビタミンB5、パンテノール、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、及びパントテン酸が含まれる。ここに含まれる別の適当なビタミン及び懸かるビタミンのINCI名は、アスコルビルジパルミテート、アスコルビルメチルシラノールペクチネート、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、アスコルビルグルコシド、ナトリウムアスコルビルホスフェート、ナトリウムアスコルベート、二ナトリウムアスコルビルスルフェート、カリウム(アスコルビル/トコフェリル)ホスフェートである。
【0042】
レチノールとはビタミンAの、米国化粧品工業会(CTFA)(Washington DC)によって指定される国際命名法化粧品成分(INCI)名であることに留意されたい。ここに含まれる別の適当なビタミン及び懸かるビタミンのINCI名は、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、α-トコフェロール、トコフェルソラン、酢酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、ニコチン酸トコフェリル、及びコハク酸トコフェリルである。
【0043】
本発明での使用に適当な市販品を購入可能な製品の例は、酢酸ビタミンA及びビタミン Cエステル(いずれもFluka Chemie AG, Buchs (Switzerland)の製品);COVI-OX T-50(Henkel Corporation, La Grange (Illinois)のビタミンE製品);COVI-OX T-70 (Henkel Corporation, La Grange (Illinois)の別のビタミンE製品);及び酢酸ビタミンEエステル(Roche Vitamins & Fine Chemicals, Nutley (New Jersey))である。.
【0044】
本発明による方法で使用される活性成分は、活性医薬剤成分であってよい。使用可能な活性薬剤成分の代表例は、ヒドロコルチゾン、ケトプロフェン、チモロール、ピロカルピン、アドリアマイシン、ミトマイシンC、モルフィン、ヒドロモルフォン、ジルチアゼム、テオフィリン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ヘパリン、ペニシリンG、カルベニシリン、 セファロチン、セフォキシチン、セフォタキシム、5-フルオロウラシル、シタラビン、6-アザウリジン、6-チオグアニン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、硫酸ブレオマイシン、アウロチオグルコース、スラミン、メベンダゾール、クロニジン、スコポラミン、プロパノロール、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、ウアバイン、アトロピン、ハロペリドール、イソソルバイド、ニトログリセリン、イブプロフェン、ユビキノン、インドメタシン、プロスタグランジン、ナプロキセン、サルブタモール、グアナベンズ、ラベタロール、フェニラミン、メトリフォネート、及びステロイドである。
【0045】
本発明の目的のための活性薬剤成分としてここに含まれると認められるものは、抗ざ瘡剤、例えば過酸化ベンゾイル及びトレチノイン;抗菌剤、例えばグルコン酸クロロヘキサジエン;抗真菌剤、例えば硝酸ミコナゾール;抗炎症剤;コルチコステロイド薬剤;非ステロイド抗炎症剤、例えばジクロフェナック;抗乾癬剤、例えばプロピオン酸クロベタゾール;麻酔薬、例えばリドカイン;抗掻痒剤;抗皮膚炎剤;及び一般にバリア膜と見なされる作用剤である。
【0046】
本発明の活性成分D)は、タンパク質、例えば酵素であってよい。シリコーン小胞への酵素の内部封入には、酵素の失活を防ぎ、より長期に亘って酵素の生物活性を維持するという利点がある。酵素には、以下に限定されるものではないが、市販型、改良型、組換型、野生型、天然に見られない変異体、及びこれらの混合物が含まれる。例えば、適当な酵素には、加水分解酵素、クチナーゼ、酸化酵素、転移酵素、還元酵素、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、異性化酵素、ペクチナーゼ、イソメラーゼ、乳糖分解酵素、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼ、及びこれらの混合物が含まれる。加水分解酵素には、以下に限定されるものではないが、プロテアーゼ(細菌性、真菌性、酸性、中性、またはアルカリ性)、アミラーゼ(アルファまたはベータ)、リパーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、コラゲナーゼ、リソザイム(lisozymes)、スーパーオキサイドジスムターゼ、カタラーゼ、及びこれらの混合物が含まれる。前記プロテアーゼには、以下に限定されるものではないが、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、パンクレアチン、及び別の哺乳動物性酵素;パパイン、ブロメライン、及び別の植物性酵素;スブチリシン、エピデルミン、ナイシン、ナリギナーゼ(L-ラムノシダーゼ)、ウロキナーゼ、及び別の細菌性酵素が含まれる。前記リパーゼには、以下に限定されるものではないが、トリアシル-グリセロールリパーゼ、モノアシル-グリセロールリパーゼ、リポタンパク質リパーゼ、例えばステアプシン、エレプシン、ペプシン、別の哺乳動物性、植物性、細菌性リパーゼ並びに精製されたものが含まれる。天然パパインが、前記酵素として好ましい。更にまた、刺激ホルモン、例えばインスリンを、これら酵素と共に使用してこれらの有効性を増進させることができる。
【0047】
成分D)は、 サンスクリーン剤であってもよい。サンスクリーン剤は、日光への暴露の有害な作用から皮膚を保護することが当業者に知られるあらゆるサンスクリーンから選択可能である。サンスクリーン化合物は、典型的には、紫外(UV)線を吸収する有機化合物、無機化合物、またはこれらの混合物から選択される。然るに、サンスクリーン剤として使用可能な非限定的代表例には、アミノ安息香酸、シノキセート、ジエタノールアミンメトキシシンナメート、ジガロイルトリオレエート、ジオキシベンゾン、エチル=4-[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾエート、グリセリルアミノベンゾエート、ホモサレート、ジヒドロキシアセトンを有するローソン、メンチルアントラニレート、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、オキシベンゾン、パディメートO、フェニルベンズミダゾールスルホン酸、赤色ワセリン、スリソベンゾン、二酸化チタン、及びトロラミンサリチレート、セタミノサロール(cetaminosalol)、アラトインPABA、ベンザルフタリド、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン1-12、3-ベンジリデンカンファ、ベンジリデンカンファ加水分解コラーゲンスルホンアミド、ベンジリデンカンファスルホン酸、ベンジルサリチレート、ボルネロン、ブメトリオゾール(Bumetriozole)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ブチルPABA、酸化セリウム/シリカ、酸化セリウム/シリカタルク、シノキセート、DEA-メトキシシンナメート、ジベンゾキサゾールナフタレン、ジ-t-ブチルヒドロキシベンジリデンカンファ、ジガロイルトリオレエート、ジイソプロピルメチルシンナメート、ジメチルPABAエチルセテアリールジモニウムトシレート、ジオクチルブタミドトリアゾン、ジフェニルカルボメトキシアセトキシナフトピラン、二ナトリウムビスエチルフェニルチアミノトリアジンスチルベンジスルホネート(Disodium Bisethylphenyl Tiamminotriazine Stilbenedisulfonate)、二ナトリウムジスチリルビフェニルトリアミノトリアジンスチルベンジスルホネート、二ナトリウムジスチリルビフェニルジスルホネート、ドロメトリゾール、トロメトリゾールトリシロキサン、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルジイソプロピルシンナメート、エチルメトキシシンナメート、エチルPABA、エチルウロカネート、 エトロクリレンフェルラ酸、グリセリルオクタノエートジメトキシシンナメート、グリセリルPABA、グリコールサリチレート、ホモサレート、イソアミル=p-メトキシシンナメート、イソプロピルベンジルサリチレート、イソプロピルジベンゾリルメタン、イソプロピルメトキシシンナメート、メンチルアントラニレート、メンチルサリチレート、4-メチルベンジリデン、カンファ、オクトクリレン、オクトリゾール、オクチルジメチルPABA、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、オクチルトリアゾン、PABA、PEG-25 PABA、ペンチルジメチルPABA、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファ、カリウムメトキシシンナメート、カリウムフェニルベンズイミダゾールスルホネート、赤色ワセリン、ナトリウムフェニルベンズイミダゾールスルホネート、ナトリウムウロカネート、TEA-サリチレート、テレフタリリデンジカンファスルホン酸、二酸化チタン、二酸化亜鉛、二酸化セリウム、トリPABAパンテノール、ウロカン酸、及びVA/クロトネート/メタクリルオキシベンゾフェノン-1コポリマーが含まれる。
【0048】
これらのサンスクリーン剤としては、一つまたは1つ以上の組み合わせを選択可能である。さらにまた、前記シリコーン小胞は、一つのサンスクリーン剤を内部相に、別のサンスクリーン剤を外部相に含むことができ、例えばこのシリコーン小胞の内部相に油溶性サンスクリーン剤を、また外部相に水分散性サンスクリーン剤を含んで良い。有機サンスクリーン剤には二酸化チタンと直接接触することにより着色するものがあることから、この使用法では、前記シリコーン小胞は様々なサンスクリーンの組み合わせの安定化に有用である。
【0049】
あるいは、サンスクリーン剤はシンナメートベースの有機化合物であるかまたは、サンスクリーン剤はオクチルメトキシシンナメート、例えばParsol MCXまたはUvinul(登録商標) MC 80であり、これはパラ-メトキシ経皮酸と2-エチルヘキサノールとのエステルである。
【0050】
成分D)はまた、芳香成分または香料であってよい。香料は、香料業界で一般に使用されているあらゆる香料または芳香剤活性成分であって良い。これら組成物は、典型的には、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトレート、テルペン系炭化水素、複素環窒素または硫黄含有化合物、並びに天然もしくは合成由来の精油といった様々な化学種に属する。これら香料成分の多くは、標準的な参考文献、例えばPerfume and Flavour Chemicals, 1969, S. Arctander, Montclair, New Jersey等に詳細に説明されている。
【0051】
芳香成分は、以下に限定されるものではないが、ケトン香料及びアルデヒド香料によって例示されうる。ケトン香料の例は、ブコキシム;イソジャスモン;メチルベータナフチルケトン;ムスクインダノン;トナリド/ムスクプラス;アルファダマスコン、ベータダマスコン、デルタダマスコン、イソダマスコン、ダマセノン、ダマロース、メチルジヒドロジャスモネート、メントン、カルボン、カンファ、フェンコン、アルファロノン、ベータロノン、ガンマメチルいわゆるロノン、フルーラモン(Fleuramone)、ジヒドロジャスモン、シスジャスモン、イソEスーパー、メチルセドレニルケトン、またはメチルセドリロン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、パラメトキシアセトフェノン、メチルベータナフチルケトン、ベンジルアセトン、ベンゾフェノン、パラヒドロキシフェニルブタノン、セロリケトンまたはリベスコン(Livescone)、6-イソプロピルデカヒドロ-2-ナフトン、ジメチル-オクテノン、フレスコメンテ、4-(l-エトキシビニル)-3,3,5,5,-テトラメチルシクロヘキサノン、メチルヘプテノン、2-(2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-l-イル)プロピル)-シクロペンタノン、l-(p-メンテン-6(2)-イル)-l-プロパノン、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-ブタノン、2-アセチル-3,3-ジメチル-ノルボマン、6,7 -ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、4-ダマスコール、ダルシニル(Dulcinyl)またはカッシオーネ(Cassione)、ゲルソン(Gelsone)、ヘキサロン、イソシクレモン(Isocyclemone) E、メチルシクロシトロン、メチル-ラベンダー-ケトン、オリボン(Orivon)、パラ-第三級-ブチルシクロヘキサノン、ヴェルドン(Verdone)、デルフォン(Delphone)、ムスコン、ネオブテノン、プリカトン、ベルトン、2,4,4,7-テトラメチル-オクト-6-エン-3-オン、及びテトラメランである。
【0052】
より好ましくは、ケトン香料はその芳香特性のためにアルファダマスコン、デルタダマスコン、イソダマスコン、カルボン、ガンマメチルロノン、イソEスーパー、2,4,4,7-テトラメチル-オクト-6-エン-3-オン、ベンジルアセトン、ベータダマスコン、ダマセノン、メチルジヒドロジャスモネート、メチルセドリロン、及びこれらの混合物から選択される。
【0053】
好ましくは、アルデヒド香料は、その芳香特性のために、アドキサール;無水アニス酸;シマル(cymal);エチルバニリン;フロリドラル;ヘリオナール;ヘリオトロピン;ヒドロキシシトロネラール;コアボン;無水ラウリン酸;ライラル;メチルノニルアセトアルデヒド;P.T.ブシナール;フェニルアセトアルデヒド;無水ウンデシレン酸;バニリン;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、3-ドデセン-l-アール、アルファ-n-アミル経皮酸無水物、4-メトキシベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール、2-メチル-3-(パラ-メトキシフェニルプロパナール、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2(l)-シクロオヘキセン-l-イル)ブタナール、3-フェニル-2-プロペナール、シス-/トランス-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-アール、3,7-ジメチル-6-オクテン-l-アール、[(3,7-ジメチル-6-オクテニル)オキシ]アセトアルデヒド、4-イソプロピルベンズアルデヒド、1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-l-カルボキサルデヒド、2-メチル-3-(イソプロピルフェニル)プロパナール、1-デカナール;デシルアルデヒド、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、4-(トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]-デシリデン-8)-ブタナール、オクタヒドロ-4,7-メタノ-lH-インデンカルボキサルデヒド、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、パラ-エチル-アルファ,アルファ-ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、アルファ-メチル-3,4-(メチレンジオキシ)- ヒドロシンナムアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、アルファ-n-ヘキシル経皮酸無水物、m-シメン-7-カルボキサルデヒド、アルファ-メチルフェニルアセトアルデヒド、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、ウンデセナール、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-l-カルボキサルデヒド、4-(3)(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-カルボキサルデヒド、1-ドデカナール、2,4-ジメチルシクロヘキセン-3-カルボキサルデヒド、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-l-カルボキサルデヒド、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタン-l-アール、2-メチルウンデカナール、2-メチルデカナール、1-ノナナール、1-オクタナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、2-メチル-3-(4-tertブチル)プロパナール、ジヒドロ経皮酸無水物、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-l-カルボキサルデヒド、5または6メトキシ10ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-lまたは2-カルボキサルデヒド、3,7-ジメチルオクタン-l-アール、1-ウンデカナール、10-ウンデセン-l-アール、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、l-メチル-3-(4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナール、トランス-4-デセナール、2,6-ノナジエナール、パラトリルアセトアルデヒド;4-メチルフェニルアセトアルデヒド、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-l- シクロヘキセン-l-イル)-2-ブテナール、オルト-メトキシ経皮酸無水物、3,5,6-トリメチル-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド、3,7-ジメチル-2-メチレン-6-オクテナール、フェノキシアセトアルデヒド、5,9-ジメチル-4,8-デカジエナール、シャクヤクアルデヒド(6,10-ジメチル-3-オキサ-5,9-ウンデカジエン-l-アール)、ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-1-カルボキサルデヒド、2-メチルオクタナール、アルファ-メチル-4-(l-メチルエチル)ベンゼンアセトアルデヒド、6,6-ジメチル-2-ノルピネン-2- プロピオンアルデヒド、パラメチルフェノキシアセトアルデヒド、2-メチル-3-フェニル-2-プロペン-l-アール、3,5,5-トリメチルヘキサナール、ヘキサヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド、3-プロピル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-カルボアルデヒド、9-デセナール、3-メチル-5-フェニル-l-ペンタナール、メチルノニルアセトアルデヒド、ヘキサナール、トランス-2-ヘキセナール、1-p-メンテン-q-カルボキサルデヒド、及びこれらの混合物から選択される。
【0054】
より好ましいアルデヒドは、その芳香特性のために、1-デカナール、ベンズアルデヒド、フロリドラル、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-l-カルボキサルデヒド;シス/トランス-3,7- ジメチル-2,6-オクタジエン-l-アール;ヘリオトロピン;2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-l-カルボキサルデヒド;2,6-ノナジエナール;アルファ-n-アミル経皮酸無水物、アルファ-n-ヘキシル経皮酸無水物、P.T.ブシナール、ライラル、シマル、メチルノニルアセトアルデヒド、ヘキサナール、トランス-2-ヘキセナール、及びこれらの混合物から選択される。
【0055】
上記芳香成分の列挙において、幾つかは当業者に知られた、通常使用される商品名であり、異性体もまた含まれる。こうした異性体は本発明における使用にも適当である。
【0056】
成分D)はまた、1つ以上の植物抽出物であってよい。これら成分の例は以下の通りである:アシタバ抽出物、アボカド抽出物、アジサイ抽出物、アルテア抽出物、アルニカ抽出物、アロエ抽出物、杏抽出物、杏仁抽出物、イチョウ抽出物、フェンネル抽出物、ターメリック(クルクマ)抽出物、ウーロン茶抽出物、営実抽出物、エキナセア抽出物、オウゴン抽出物、オウバク抽出物、オウレン抽出物、大麦抽出物、オトギリソウ抽出物、白イラクサ抽出物、オランダガラシ抽出物、オレンジ抽出物、脱水塩水、海草抽出物、加水分解エラスチン、加水分解小麦粉、加水分解絹、カモミール抽出物、ニンジン抽出物、ヨモギ抽出物、甘草抽出物、ハイビスカス茶抽出物、カキョク果実抽出物、キーウィー抽出物、シンコナ抽出物、キュウリ抽出物、グアノシン、クチナシ抽出物、クマザサ抽出物、苦参抽出物、胡桃抽出物、グレープフルーツ抽出物、クレマチス抽出物、クロレラ抽出物、桑抽出物、ゲンチアナ抽出物、紅茶抽出物、酵母抽出物、ゴボウ抽出物、発酵米糠抽出物、米胚芽油、コンフリー抽出物、コラーゲン、コケモモ抽出物、サンサシ抽出物、サイシン抽出物、ブプレウルム族抽出物、臍の緒抽出物、サルビア抽出物、サポンソウ抽出物、竹抽出物、サンザシ抽出物、山椒抽出物、椎茸抽出物、ジオウ抽出物、ムラサキ抽出物、紫蘇抽出物、シナノキ抽出物、フィリペンデュラ抽出物、シャクヤク抽出物、ショウブ根抽出物、白樺抽出物、トクサ抽出物、セイヨウキズタ(アイビー)抽出物、セイヨウサンザシ抽出物、西洋ニワトコ抽出物、西洋ノコギリソウ抽出物、ペパーミント抽出物、セージ抽出物、ウスベニアオイ抽出物、センキュウ抽出物、センブリ抽出物、大豆抽出物、インドナツメ抽出物、タイム抽出物、茶抽出物、クローブ抽出物、イネ科チガヤ抽出物、陳皮抽出物、当帰抽出物、キンセンカ抽出物、桃仁抽出物、橙皮抽出物、ドクダミ抽出物、トマト抽出物、納豆抽出物、朝鮮人参抽出物、緑茶抽出物(トウチャ)、ブドウ種子抽出物、ニンニク抽出物、ワイルドローズ抽出物、ハイビスカス抽出物、バクモンドウ抽出物、蓮根抽出物、パセリ抽出物、蜂蜜、ハマメリス抽出物、ヒカゲミズ抽出物、ヒキオコシ抽出物、ビサボロール抽出物、ビワ葉抽出物、フキタンポポ抽出物、西洋フキ抽出物、ブクリョウ抽出物、ナギイカダの抽出物、ブドウ抽出物、プロポリス抽出物、ヘチマ抽出物、紅花抽出物、ペパーミント抽出物、シナノキ抽出物、シャクヤク抽出物、ホップ抽出物、マツノキ抽出物、ホースチェスナット抽出物、水芭蕉(ミズバショウ)抽出物、ムクロジ抽出物、メリッサ抽出物、桃抽出物、コーンフラワー抽出物、ユーカリ抽出物、ユキノシタ抽出物、シトロン抽出物、ジュズダマ抽出物、マグワート抽出物、ラベンダー抽出物、リンゴ抽出物、レタス抽出物、レモン抽出物、レンゲ抽出物、バラ抽出物、ローズマリー抽出物、ローマンカモミール抽出物、及びローヤルゼリー抽出物。
【0057】
成分D)の量は処理によって異なるが、典型的には以下の範囲をとる:小胞 組成物の0.05乃至40重量%、あるいは0.1乃至30重量%、あるいは0.1乃至20重量%。すなわち、A)、B)、C)、D)、及び水含量の重量%は100%となり、A)、B)、及びC)についての範囲は以上に定義される通りである。
【0058】
工程IV)中の“混入”には、本方法の工程III)で形成した小胞分散物に成分D)を添加し、撹拌することが含まれる。工程III)で形成した小胞分散物への成分D)の添加及び撹拌は、一工程で(すなわち添加と撹拌とが同時)あるいは二工程で行われてもよい。工程 IV)の混入に二工程が採用される場合には、成分D)をまず単純混合または撹拌技術を利用して小胞分散物に添加し、その後生じた混合物を剪断撹拌処理に処する。この剪断撹拌処理の代表的且つ非限定的例には、ホモジェナイザー、ソナレーター(sonalator)、マイクロフルイダイザー、ロータ・ステーター(Roto-Stator)、及び剪断混合をもたらすことが当業者に知られた別の技術が含まれる。
【0059】
いかなる理論に縛られることも望まないが、本発明者らは、成分D)を予め形成した小胞分散物に混入することによって疎水性活性剤が小胞構造体の疎水性シリコーン二重層内に捕捉されることになると考える。シリコーン小胞の二重層は剪断力に耐えるために十分な堅牢性を有する。剪断混合は、小胞構造体の粒径を更に縮小させ、捕捉された活性剤により高い貯蔵安定性をもたらしうる。
【0060】
然るに、この取り込み後/剪断方法は、ビタミン、サンスクリーン、芳香成分を含む非シリコーンパーソナルケア活性剤をシリコーン小胞で捕捉するために有用である。有機活性剤は直接、または好ましくは有機活性剤とシリコーン流体との混合物として、シリコーン小胞中に取り込みされてもよい。有機活性剤を取り込むためのシリコーン流体の使用は、取り込みされたシリコーン小胞に水または水含有パーソナルケア製剤中でのより優れた長期安定性をもたらしうる。
活性剤を含む小胞は、更にパーソナルケア製剤、例えば制汗剤、デオドラント、スキンクリーム、スキンケアローション、保湿剤、顔用トリートメント、皺除去剤、顔用洗浄剤、バスオイル、サンスクリーン、プレシェーブローション、アフターシェーブローション、液体石鹸、ひげそり用石鹸、ひげそり用ムース、髪用シャンプー、髪用コンディショナー、ヘアスプレー、ムース、パーマネント剤、髪用キューティクルコート、メイクアップ、着色化粧料、ファンデーション、頬紅、口紅、リップクリーム、アイライナー、マスカラ、マニキュア、及びパウダー等に導入されてよい。
【実施例】
【0061】
これらの実施例は、本発明を当業者に詳説することを企図しており、特許請求の範囲に示される本発明の範囲を制限すると解されるべきでない。
(実施例1(参照例):レーキSPEからの純(neat)シリコーン小胞の調製)
水分散物中のシリコーン小胞を、MD94D(EO12)6Mの構造を有するシリコーンポリエーテルである疎水性レーキシリコーンポリエーテル(ここではレーキSPEと記載)から調製した。このレーキSPEはMD94D’6Mとモノアリルポリエーテル、特に高い透明性を有するSPEをもたらす無塩タイプのモノアリルポリエーテルとの反応生成物である。市販のモノアリルポリエーテル(例えばDow ChemicalのAE501)から調製されるレーキSPEもまた、本発明のシリコーン小胞の調製に使用した。水分散物中のシリコーン小胞を、国際特許出願公報WO2005/103157に記載の方法に従って調製した。
【0062】
あるいは、純小胞の調製方法は、攪拌を継続しつつまずSPEをアルコールに加えることによって準備した。その後、攪拌を継続しつつ徐々に水を添加した。生成する最終混合物は均一な分散物であった。次にこの分散物をMicrofluidizerもしくは同等の高剪断装置で処理して小胞サイズを縮小させた。処理した分散物を更に真空及び常圧にてストリップし、回転式エバポレータ(Rotovapor)を使用して揮発性アルコールを除去した。最終小胞は、Nanotrac 粒子分析器で測定して0.072μmの平均粒径を有する半透明の水中分散物である。
【表1】

【0063】
水分散物中の純シリコーン小胞の別のバッチを、同様のレーキSPEから調製した。僅かに異なるアルコール/水組成物を使用した。最終小胞分散物は約0.150μmの平均粒径を有する。
【表2】

【0064】
(実施例2:シリコーン流体皮膚軟化剤含有シリコーン小胞の調製)
シリコーン流体の中にはパーソナルケア製剤中でこの上ない皮膚軟化効果を提供するものがあることが知られている。しかしながら、これらのシリコーン流体は疎水性オイルであり、水性媒質中に自己分散しない。本実施例は、本発明に記載される方法に従ってシリコーン流体皮膚軟化剤がシリコーン小胞中に導入され、水中の安定な均一相を形成しうることを示す。
【0065】
以下に詳説されるのは、三つのシリコーン流体皮膚軟化剤を含有する水中のシリコーン小胞である。DC 200 fluid(10 cSt)は10cStの粘度を有するポリジメチルシロキサンベースのシリコーン流体である。DC 556 fluidはフェニル(トリメチルシロキシル)シロキサンであり、DC345 fluidはドデシルメチルヘキサシクロシロキサンである。出発シリコーン小胞は、約20.0重量%のSPEを小胞として含み、残量が水連続相である、参照実施例#1Aである。シリコーン小胞の調製は前記部分に示される。
【0066】
これらの実施例は以下の操作に従って調製された。
1.シリコーン流体を水分散物中のシリコーン小胞に導入する、
2. メカニカルスターラー、シェイカー、またはバイブレーターを使用して攪拌または振盪してシリコーン流体を分散させる、
3. 上記混合物をMicrofluidizer(登録商標)または同等の高剪断装置に既定の圧力設定 (Microfluidizer(登録商標)の場合は10,000psi)でかける、
4. Microfluidizer(登録商標)処理混合物の流出物を再度の処理のために戻し、合計二回Microfluidizer(登録商標)を通す、
5. 最終混合物の外観及び粒径分布を検査する。
水分散物中のシリコーン流体含有シリコーン小胞の組成及び特性を以下の表に示す。ペイロードの重量%は活性剤(この場合はシリコーン流体)の量をシリコーン小胞と活性剤との合計で割ったものである。
【0067】
【表3】

使用したMicrofluidizer(登録商標)は、Microfluidics Corporation (Newton, Massachusetts)製造のM-110Y高圧空気圧式ユニットモデルであった。M-11OY Microfluidizer(登録商標)は、狭いチャネルを含む相互作用型チャンバに高圧(3,000乃至23,000psiの範囲)で媒質を押し通すことによって高剪断速度を生み出す固定形状型流体処理機である。
【0068】
シリコーン流体を取り込んだシリコーン小胞は、純小胞の場合(実施例1、表1参照)と同様の粒径を有する。シリコーン流体を取り込んだシリコーン小胞の水中分散物は均一である。オイル分離は観察されなかった。
シリコーン流体を取り込んだシリコーン小胞の粒径分布を、純小胞に対してグラフ化した。粒径プロフィールに顕著な相違は観察されなかった。このことは、シリコーン流体皮膚軟化剤が、著しい”膨張”もしくは小胞粒径の変化を引き起こすことなくシリコーン小胞の二層空間内に自由体積で”充填”されたことを示す。
【0069】
シリコーン流体を取り込んだシリコーン小胞のCryo-TEM画像が更に得られ、図1として参照される。単層単一小胞と多層小胞との混合物を有する微細なシリコーン小胞が、実施例2BのDC556 fluid封入シリコーン小胞に見いだされた。
【0070】
DC 345シリコーン流体を取り込んだシリコーン小胞のCryo-TEM画像が更に得られ、図2として参照される。単層単一小胞と多層小胞との混合物を有する微細なシリコーン小胞が、実施例2Cのこれら封入シリコーン小胞に見いだされる。
【0071】
(実施例3:シリコーン活性剤含有シリコーン小胞の調製)
ペイロードレベルのより高いシリコーン流体もまた、取り込み後/剪断方法に従ってシリコーン小胞中に封入しうる。表4に示されるのは、レーキSPEから調製される水中のシリコーン小胞、実施例1AのDC556フェニル(トリメチルシロキシル)シロキサン流体についての実施例である。出発シリコーン小胞分散物は、前述の通り0.150μmの平均サイズを有していた。ペイロードが約45重量%のDC556が首尾よく調製され、平均サイズが約0.10μmの取り込みシリコーン小胞が水分散物状態で得られた。取り込みシリコーン小胞の平均サイズは、出発純シリコーン小胞よりも小さく、これは小胞がMicrofluidizer(登録商標)により処理された高剪断の効果によると考えられる。
【0072】
【表4】

【0073】
表5にまとめた通り、ペイロードレベルの更に高いシリコーン流体を調製した。これはレーキSPEから調製された実施例1Bの水中シリコーン小胞中に約60重量%のペイロードでDC200 fluid(20cSt)を封入した実施例である。出発純シリコーン小胞(1B)は、19.5重量%のSPEを含み、0.150μmの平均径を有していた。生成したDC200 fluid取り込みシリコーン小胞は、約0.11μmの平均サイズを有する均一な分散物であった。
【0074】
【表5】

【0075】
(実施例4(参照例):(AB)n SPEからの純シリコーン小胞の調製)
水中のシリコーン小胞を、国際特許出願公報WO2005/103118の方法に従って(AB )nタイプのシリコーンポリエーテルブロックコポリマーから調製した。水中の純シリコーン小胞のバッチを、約50dpのシロキサン及びポリグリコールAA1200ジアリルポリエーテルの(AB)n SPEから調製した。出発シリコーン小胞は約0.450μmの平均径を有していた。
【0076】
(AB)n SPEタイプのシリコーン小胞を高剪断にかけると、水分散物中の処理された小胞は依然安定であり、表6にまとめた通りより小さなサイズを有していた。剪断後の分散小胞は、0.450μmから縮小された0.179μmの平均を有していた。
【0077】
【表6】

【0078】
(実施例5:(AB)n SPEから得られるシリコーン小胞へのシリコーン流体の封入)
DC200 fluid (20cSt)のシリコーン流体を表7にまとめた通り実施例4の水性(AB)n SPE小胞中に取り込んだ。シリコーン小胞とシリコーン流体との混合物をMicrofluidizerに10,000psiの圧力で二度通した。水連続分散物のままでもある均一な外観によって証明される通り、シリコーン流体は首尾よくシリコーン小胞中に取り込まれた。取り込みシリコーン小胞は、未処理の小胞 (実施例4Aについて0.45μm)より小さく、取り込みしていない処理済み小胞(処理済みの実施例4Bについて0.179μm)より幾分大きい平均サイズを有していた。
【0079】
【表7】

【0080】
(実施例6:シリコーン小胞中への芳香成分の封入)
現在の方法に従って、芳香成分、香料オイル、または香味剤化合物もまた、シリコーン小胞中に導入して水中で安定な分散物を形成しうる。表8に示されるのは、芳香成分を取り込んだ水中のシリコーン小胞の例である。これら実施例に使用される出発純シリコーン小胞は、MD94D(EO12)6M構造のレーキSPEから得られるAE501モノアリルポリエーテルから調製されたこと以外は実施例1Aと同様の純シリコーンである実施例6Aであった。
【0081】
これらの実施例は以下の操作に従って調製された。
1.芳香成分を水分散物中のシリコーン小胞に導入する、
2. メカニカルスターラー、シェイカー、またはバイブレーターを使用して攪拌または振盪して芳香成分を分散させる、
3. 上記混合物をMicrofluidizer(登録商標)または同等の高剪断装置に既定の圧力設定 (Microfluidizer(登録商標)の場合は17,000psi)でかける、
4. Microfluidizer(登録商標)処理混合物の流出物を再度の処理のために戻し、合計二回Microfluidizer(登録商標)を通す、
5. 最終混合物の外観及び粒径分布を検査する。
水分散物中の芳香成分含有シリコーン小胞の組成及び特性を以下の表8にまとめる。ペイロード(重量%)は芳香成分の量をシリコーン小胞と芳香成分との合計で割ったものである。
【0082】
【表8】

【0083】
芳香成分を取り込んだシリコーン小胞のさらなる実施例を、(AB)n SPEから調製したシリコーン小胞分散物を使用して調製した。(AB )n SPEは、50dp及びα,ω-ジアリル末端ポリ(オキシエチレン)グリコールのジメチルシロキシル末端PDMSのヒドロシリル化生成物であった。芳香成分を取り込んだシリコーン小胞分散物の組成及び特性は表9に示される。
【0084】
【表9】

【0085】
(実施例7:シリコーン小胞への芳香成分及びシリコーン流体の封入)
多くの点において、シリコーン流体皮膚軟化剤を使用して芳香成分とシリコーン流体との均一な混合物を形成することが望ましい。その後、芳香成分/シリコーン流体混合物はシリコーン小胞中に導入されて水中で均一な分散物を形成することができる。
この実施例は以下の操作を用いた。
1. 芳香成分と最適なシリコーン流体との均一混合物を調製する、
2. 芳香成分/シリコーン流体混合物を水分散物中のシリコーン小胞中に導入する、
3. メカニカルスターラー、シェイカー、またはバイブレーターを使用して攪拌または振盪する、
4. 上記混合物をMicrofluidizer(登録商標)または同等の高剪断装置に既定の圧力設定 (Microfluidizer(登録商標)の場合は17,000psi)でかける、
5. Microfluidizer(登録商標)処理混合物の流出物を再度の処理のために戻し、合計二回Microfluidizer(登録商標)を通す、
6. 最終混合物の外観及び粒径分布を検査する。
本実施例で調製した水分散物中の芳香成分/シリコーン流体を含むシリコーン小胞の組成及び特性を以下の表10に示す。ペイロード(重量%)は芳香成分の量をシリコーン小胞と芳香成分との合計で割ったものである。
【0086】
【表10】

【0087】
(実施例8:シリコーン小胞へのビタミンの封入)
ビタミンAパルミテート(VAP)を表11にまとめた通りシリコーン小胞分散物に導入した。この実施例では、実施例6Aの純シリコーン小胞を使用した。第一セットの実施例では、VAPを実施例6Aのシリコーン小胞に直接導入してVAP取り込み小胞を得た。第二セットの実施例では、VAPとDC 1-2287シリコーン流体との混合物を形成した後、これをシリコーン小胞に取り込んだ。
水分散物中の芳香成分含有シリコーン小胞の組成及び特性を以下の表11に示す。活性剤及びシリコーン流体のペイロード(重量%)は示される通りである。本実施例で使用したVAPは、約1.5重量%のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)安定剤を含む。
【0088】
【表11】

【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、実施例2BのDC556 fluidを封入したSi小胞のCryo-TEM画像である。
【図2】図2は、実施例2CのDC345シリコーン流体を封入したSi小胞である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
I)A)少なくとも一つの親水性置換基を有するオルガノポリシロキサン、
B)水混和性揮発性溶媒、
C)任意にシリコーンまたは有機オイル、
を、水と混合して水性分散物を形成する工程;
II)前記水性分散物を撹拌して小胞分散物を形成する工程;
III)任意に前記小胞分散物から水混和性揮発性溶媒を除去する工程;次いで、
IV)前記小胞分散物に、
D)疎水性活性剤
を混入して疎水性活性剤含有小胞組成物を形成する工程;
を含む、疎水性活性剤含有小胞組成物の調製方法。
【請求項2】
前記オルガノポリシロキサンが、下式:
【化1】

[式中、R1は1乃至6の炭素原子を含むアルキル基を表し;R2は-(CH2)aO(C2H4O)b(C3H6O)cR3を表し;xは1-1,000であり;yは1-500であり;zは1-500であり;aは3-6であり;bは4-20であり;cは0-5であり;さらにR3は水素、メチル基、またはアシル基である]
のいずれかを有するシリコーンポリエーテルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オルガノポリシロキサンが、下式:
-[R1(R2SiO)x’(R2SiR1O)(CmH2mO)y’]n -
[式中、x'及びy'は4より大であり、mは2乃至4であり、nは2より大であり、Rは個別に1乃至20の炭素原子を含む一価の有機基であり、R1は2乃至30の炭素原子を含む二価の炭化水素である]
を有する(AB)nブロックシリコーンポリエーテルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水混和性揮発性溶媒がアルコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルコールがエタノールまたはイソプロパノールである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
成分C)が存在し、これが揮発性メチルシロキサンである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記疎水性活性剤が、
D’)シリコーンオイル、
D”)パーソナルケア活性剤、
D’’’)ヘルスケア活性剤、
及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記シリコーンオイルがポリジメチルシロキサンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記シリコーンオイルがフェニル官能性オルガノポリシロキサンである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記シリコーンオイルがオルガノシクロシロキサンである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記疎水性活性剤が疎水性ビタミンである、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記パーソナルケア活性剤が、サンスクリーン剤である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記パーソナルケア活性剤が芳香成分または香料である、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記ヘルスケア活性剤が製薬剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程IV)における混入が剪断混合処理を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法に従って調製される小胞組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の小胞組成物を含むパーソナルケア製品。
【請求項18】
前記パーソナルケア製品が、制汗剤、デオドラント、スキンクリーム、スキンケアローション、保湿剤、顔用トリートメント、皺除去剤、顔用洗浄剤、バスオイル、サンスクリーン、プレシェーブローション、アフターシェーブローション、液体石鹸、ひげそり用石鹸、ひげそり用ムース、髪用シャンプー、髪用コンディショナー、ヘアスプレー、ムース、パーマネント剤、髪用キューティクルコート、メイクアップ、着色化粧料、ファンデーション、頬紅、口紅、リップクリーム、アイライナー、マスカラ、マニキュア、及びパウダーから選択される、請求項17に記載のパーソナルケア製品。

【公表番号】特表2009−528348(P2009−528348A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557259(P2008−557259)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/000833
【国際公開番号】WO2007/100416
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】