説明

活性剤及び塩並びに副作用物質の遊離塩基形を含む経皮剤形

【課題】オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩を含有する経皮製剤に、不正加工防止を与える方法の提供。
【解決手段】オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩を含有する経皮製剤中に、遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬及び医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬の両方を導入することを含む方法。該オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩の量が0.1〜500mgであり、かつ、前記オピオイド、又はその医薬的に許容しうる塩の、前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬及び前記医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬の総量との重量比率が15:1〜1:5であることが好ましい。該オピオイドとしては、オキシコドン、ヒドロコドン、ブプレノルフィン、フェンタニル等であることが好ましい。該オピオイド拮抗薬としては、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン等であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、活性製剤例えばオピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用な経皮剤形
に関する。本発明はさらに、活性製剤又はその医薬的に許容しうる塩、及び活性製剤の副
作用物質(adverse agent)を含む不正加工防止経皮剤形(tamper-resistant transdermal
dosage forms)、遊離塩基副作用物質及び副作用物質の医薬的に許容しうる塩の両方を含
む副作用物質に関する。具体的には、本発明は、オピオイド又はその医薬的に許容しうる
塩、遊離塩基オピオイド拮抗薬、及びオピオイド拮抗薬の医薬的に許容しうる塩を含む不
正加工防止経皮剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
2.発明の背景
経皮剤形は、鎮痛剤例えばオピオイド鎮痛剤を含むがこれに限定されない多くの異なる
治療に有効な薬剤を送達するのに好都合である。代表的なオピオイド鎮痛剤としては、フ
ェンタニル、ブプレノルフィン、エトルフィン、及び他の高力価麻酔剤が挙げられるが、
これらに限定されない。経皮剤形を用いて送達されうる他の治療に有効な薬剤としては、
制吐薬 (例えば、スコポラミン)、心血管作動薬(例えば、硝酸塩及び クロニジン)、ホル
モン (例えば、エストロゲン及びテストステロン)、ニコチン、ビタミン、及び 栄養補助
食品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0003】
最も一般的な経皮剤形は、液体リザーバ又は接着剤中薬剤マトリックシステムのいずれ
かを用いる拡散駆動型経皮システム(特にパッチの形)である。他の経皮剤形としては、
局所ゲル、ローション、軟膏、経粘膜システム、及びデバイスのほか、電気泳動的(iont
ophoretic)(電気的拡散)送達システムが挙げられるが、これらに限定されない。例え
ば、哺乳動物の循環系へのオピオイドの経皮送達に有用とされる医薬組成物を開示してい
る、Aungstらの米国特許第4,626,539号明細書、モルフィナン麻酔鎮痛剤又は拮抗薬及び
皮膚浸透促進剤を含有する裏打ち層、接着性ポリマー層、及び固体ポリマーマトリックス
の隣接層を含む経皮吸収投与ユニットを開示しているChienらの米国特許第4,806,341号明
細書、及び積層複合パッチから経皮送達を用いてブプレノルフィンを持続的に投与するた
めの方法を開示しているSharmaらの米国特許第5,069,909号明細書を参照のこと。
【0004】
経皮剤形は、活性剤の時限放出及び持続放出に特に有用である。しかし、多くの剤形、
具体的には活性剤の時限及び持続放出を目的とするものは、大量の活性剤を、しばしば吸
収また送達される実際の用量の何倍もの量で含有する。また、使用者は時々推奨使用期間
の期限前にパッチを除去する。したがって、しばしば、相当な量の活性剤が使用者による
デバイスの使用及び除去後に剤形に残存している。未使用の剤形と使用後の剤形に残存す
る活性剤の一部は共に、特に活性剤が麻酔薬又は規制物質である場合は、潜在的に故意又
は不注意による乱用又は誤用されがちである。例えば、過剰なオピオイドを含有する不完
全に使用された剤形は、咀嚼により、又は薬物乱用者による抽出によって不正加工されう
る。使用剤形を注意深く廃棄しても、特にコンプライアンスが不完全又は部分的である場
合には、乱用の予防に完全に有効ではありえない。
【0005】
Yamanakaらの米国特許第5,830,497号明細書は、経皮吸収のための剤形としての薬用石
膏組成物を開示しているが、この組成物は、(1)基本的な薬品及び酸性物質、(2)基
本的な薬品の塩及び基本的な物質、又は(3)基本的な薬品及び基本的な薬品の塩のいず
れかを含有する。この特許は、活性剤の乱用の問題には対処しておらず、かかる乱用を予
防する拮抗薬の使用には対処していない。
【0006】
Cubbageらの米国特許第5,804,215号明細書は、医薬品例えばニコチンを含有する経皮パ
ッチ用の使い捨てシステムを開示しているが、これは、粘着性のコーティングされた、可
撓性、耐裂性の物質を含む。使用された経皮パッチは、カプセル化し、経皮パッチへのア
クセスを阻止するために物質に付着するとされている。ゴム性の接着剤が好ましいと開示
されている。
【0007】
Grangerらの米国特許第5,149,538号明細書は、不浸透性バリアによって分離されている
オピオイドと拮抗薬物質を含む経皮パッチを開示している。この拮抗薬物質は、摂取され
、又は実質的に溶媒に浸漬されるとパッチから放出しうるとされている。
【0008】
Leeらの米国特許第5,236,714号明細書は、乱用可能な物質及び乱用可能な物質の拮抗薬
を含む組成物を開示している。経口及び非経口活性拮抗薬の混合物が使用されうるとされ
ている。この特許は、異なる溶媒システムを使用する抽出の問題には対処しておらず、異
なる溶解度を有する複数の拮抗薬の使用を開示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
経皮剤形の不用意な誤用又は乱用は、依然として重要な健康問題である。したがって、
依然として、乱用を予防するために有効であるが、治療薬、例えばオピオイド又はその医
薬的に許容しうる塩を送達するために有用である改善された経皮剤形が当業界で必要とさ
れている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
3.発明の概要
1つの実施形態においては、本発明は、活性剤と、副作用物質の医薬的に許容しうる塩
と、遊離塩基の形の副作用物質とを含む経皮剤形に関する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、活性剤と、副作用物質の医薬的に許容しうる塩と、
遊離塩基の形の副作用物質とを、活性剤の少なくとも1つの生物学的効果を抑制するのに
十分な量を含む経皮剤形に関する。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩(以後「
オピオイド」)、遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬(以後「拮抗薬遊離塩基」)、及びオ
ピオイド拮抗薬の医薬的に許容しうる塩(以後「拮抗薬塩」)の鎮痛的有効量を、オピオ
イドの陶酔効果を抑制するのに十分な量を含む経皮剤形に関する。
【0013】
本発明はさらに、オピオイド、拮抗薬遊離塩基、及び拮抗薬塩の鎮痛的に有効な量を含
む経皮剤形と、オピオイドの陶酔効果を抑制するのに十分な量で、それを必要とする動物
の皮膚を接触させるステップを含み、前記接触が疼痛を治療又は予防するのに十分な時間
行われる、動物における疼痛を治療又は予防するための方法に関する。
【0014】
本発明は、以下の図面、詳細な説明、及び、本発明の非限定的な実施形態を例示するこ
とを目的としている実施例を参照することによって、より完全に理解されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
5.発明の詳細な説明
本発明は、活性剤、例えばオピオイドを動物に経皮投与するのに有用な経皮剤形に関し
、及び、疼痛を治療又は予防するような、患者を治療するのに十分な時間、本発明の経皮
剤形と、それを必要とする動物の皮膚を接触させるステップを含む、動物における疼痛を
治療又は予防する方法に関する。1つの実施形態においては、本発明の経皮剤形は、活性
剤、遊離塩基の形の副作用物質、及び副作用物質塩を含む。1つの実施形態においては、
副作用物質及び遊離塩基の形の副作用物質が、動物、より好ましくはヒトへ(口腔、経鼻
的、舌下、非経口、経直腸的、及び/又は経膣的等によって)投与される場合に、活性剤
の少なくとも1つの生物学的効果を抑制するのに十分な量の副作用物質塩が存在する。別
の実施形態においては、副作用物質及び副作用物質塩が、動物、より好ましくはヒトへ(
口腔、経鼻的、非経口、経直腸的、及び/又は経膣的等によって)投与される場合に、活
性剤の少なくとも1つの生物学的効果を抑制するのに十分な量の有機塩基の形の副作用物
質が存在する。別の実施形態においては、副作用物質、遊離塩基の形の副作用物質、及び
副作用物質塩が、動物、より好ましくはヒトへ(口腔、経鼻的、舌下、非経口、経直腸的
、及び/又は経膣的等によって)投与される場合に、活性剤の少なくとも1つの生物学的
効果を抑制するのに十分な総量の遊離塩基の形の副作用物質及び副作用物質塩が提供され
る。別の実施形態においては、経皮剤形が乱用又は誤用されやすい場合に、活性剤の少な
くとも1つの生物学的効果を抑制するのに十分な総量で有機塩基の形の副作用物質及び副
作用物質塩が提供される。別の実施形態においては、拮抗薬及び拮抗薬遊離塩基が、動物
、より好ましくは、ヒトに(口腔、経鼻的、舌下、非経口、経直腸的、及び/又は経膣的
等によって)投与される場合に、オピオイドの陶酔効果を抑制するのに十分な量で拮抗薬
塩が存在する。別の実施形態においては、拮抗薬及び拮抗薬遊離塩基が、動物、より好ま
しくは、ヒトに(口腔、経鼻的、非経口、経直腸的、及び/又は経膣的等によって)投与
される場合に、オピオイドの陶酔効果を抑制するのに十分な量で拮抗薬塩が存在する。別
の実施形態においては、拮抗薬、拮抗薬遊離塩基、及び拮抗薬塩が、動物、より好ましく
は、ヒトに(口腔、経鼻的、舌下、非経口、経直腸的、及び/又は経膣的等によって)投
与される場合に、オピオイドの陶酔効果を抑制するのに十分な総量で拮抗薬遊離塩基及び
拮抗薬塩が提供される。別の実施形態においては、経皮剤形が乱用又は誤用にされる場合
に、オピオイドの陶酔効果を抑制するのに十分な総量で拮抗薬遊離塩基及び拮抗薬塩が提
供される。
【0016】
動物の皮膚と接触すると、経皮剤形はオピオイドの経皮投与を可能にするが、(a)オ
ピオイドの鎮痛効果を抑制するために有効でない拮抗薬遊離塩基又は拮抗薬塩(それぞれ
が「拮抗薬」である)の量しか経皮投与を可能にしないか、又は(b)拮抗薬の経皮投与
を可能にしないかのいずれかである。しかし、本発明の経皮剤形が、経皮以外の経路、例
えば、口腔、鼻、経口、非経口、直腸、及び/又は膣経由で、オピオイドを送達するため
に使用される場合、又は経皮剤形が乱用又は誤用されやすい場合は、拮抗薬の1つ又は両
方がオピオイドの陶酔効果を抑制する。好ましくは、経皮剤形は、デバイスが疼痛を治療
又は予防するために動物によって使用される前後に関係なく、デバイスが経皮以外に使用
される場合には、オピオイドの陶酔効果を抑制する。
【0017】
本発明の経皮剤形は、乱用者が経皮剤形からオピオイドを抽出又は分離し、及びオピオ
イドを別の経路、例えば、ただしこれらに限定されないが、経口、非経口、鼻、又は口腔
、直腸、又は膣等により、すなわち、乱用者が好みうる「バースト」としても知られる即
効の陶酔ラッシュが生じうる投与経路によってオピオイドを自己投与する場合、乱用者が
オピオイドと共に一定量の拮抗薬を自己投与し、その拮抗薬量はオピオイドの陶酔効果を
抑制するのに有効であるという点で、不正加工防止的である。
【0018】
例えば、乱用者が、それを、唾液を含む溶媒中に置いて、経皮剤形からオピオイドを抽
出しようとする場合、一定量の拮抗薬が抽出され、オピオイドと拮抗薬の混合物が提供さ
れる。拮抗薬遊離塩基は一般に溶解度が高く、1つの実施形態においては、水溶液よりも
非水溶液中で生物学的利用能を示し、その上、拮抗薬塩は溶解度が高く、1つの実施形態
においては、非水溶液よりも水溶液中で生物学的利用能を示す。したがって、乱用者が、
非水溶液、例えばエーテル又はアルコール等を使用して経皮剤形からオピオイドを抽出し
ようとする場合、拮抗薬遊離塩基がオピオイドと共に抽出されて、オピオイドと拮抗薬の
混合物が提供される。あるいは、乱用者が、水溶液、例えば水又は唾液等を使用して経皮
剤形からオピオイドを抽出しようとする場合、拮抗薬塩がオピオイドと共に抽出されて、
オピオイドと拮抗薬の混合物が提供される。
【0019】
オピオイドと拮抗薬の混合物が所望の経皮経路以外の経路によって投与される場合は、
少なくとも1つの拮抗薬がその拮抗薬効果を発揮し、オピオイドの陶酔効果を抑制する。
【0020】
本発明はさらに、本発明の経皮剤形を用いて、オピオイドの鎮痛に有効な量をそれを必
要とする動物に経皮投与するステップを含む、動物における疼痛を治療又は予防するため
の方法に関する。
【0021】
5.1 定義
本明細書で使用される「経皮剤形」という語句は、動物の皮膚と接触させると、動物の
皮膚を介してオピオイド等の製剤等の生物学的活性剤を有効量、経皮的に送達できる任意
のデバイスを意味する。
【0022】
本明細書で使用される「剤形」と「送達デバイス」は同義語であり、置換可能である。
【0023】
本明細書で言及される活性剤、副作用物質、オピオイド作用薬、又はオピオイド拮抗薬
を含むが、これらに限定されない任意の製剤としては、別に指定されていない限り、遊離
形等かかる製剤の任意の医薬的に許容できる形態、任意の医薬的に許容しうる塩、任意の
医薬的に許容しうる塩基形、任意の医薬的に許容できる水和物、任意の医薬的に許容でき
る溶媒、任意の立体異性体、任意の光学異性体のほか、かかる製剤の任意のプロドラッグ
、及びかかる製剤の任意の薬理的活性類似体、及び前記のいずれかの混合物が挙げられる

【0024】
本明細書で使用される「活性剤」という語句は、製剤、治療薬、薬剤、及び/又は、患
者の血流に十分量が吸収されると生物学的効果を誘発する作用薬を指す。
【0025】
本明細書で使用される「副作用物質」なる語句は、製剤、薬剤、及び/又は、患者の血
流又は患者に十分な量が吸収されると、剤形に存在する活性剤の少なくとも1つの生物学
的効果、例えば、陶酔効果を部分的又は完全に阻止し、無効にし、減少させ、遅らせ、又
は逆転するか、又は1若しくはそれ以上の不愉快な生理的反応、例えば、嘔吐、悪心、下
痢、口内で不快な味を誘発する拮抗薬を指す。
【0026】
本明細書で使用される「オピオイド」又は「オピオイド作用薬」という用語は、患者の
血流又は患者に十分な量で吸収されると、アヘン又はモルヒネ様特性を示す活性剤を指す
。オピオイド作用薬は、場合により立体特的に、オピオイド受容体のいくつかの亜種の任
意の1若しくはそれ以上に結合し、作用活性を生じる。
【0027】
本明細書で使用される「オピオイド拮抗薬」という用語は、患者の血流又は患者に十分
な量で吸収されると、オピオイド作用薬の少なくとも1つの生物学的効果、例えば、陶酔
効果を部分的又は完全に阻止し、無効にし、減少させ、遅らせ、又は逆転する副作用物質
を指す。
【0028】
本明細書で使用される「医薬的に許容しうる塩」という語句は、酸及びオピオイドの塩
基性窒素基で形成される塩である。好ましい塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、
シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イ
ソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン
酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、
ゲンチシネート(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロネート(glucaronat
e)、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタ
ンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、グルビオン酸塩、及
びパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート)が挙げられ
るが、これらに限定されない。「医薬的に許容しうる塩」という用語は、カルボン酸等の
酸性官能基、又はスルホン酸官能基、及び医薬的に許容できる無機又は有機塩基を有する
オピオイドで調製された塩も指す。適切な塩基としては、ナトリウム、カリウム、及びリ
チウム等のアルカリ金属の水酸化物;カルシウム及びマグネシウム等のアルカリ土類金属
の水酸化物;アルミニウム及び亜鉛等の他の金属の水酸化物;アンモニア、及び有機アミ
ン、例えば非置換若しくはヒドロキシ置換モノ-、ジ-、又はトリアルキルアミン等;ジシ
クロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル、N-エチルアミン;ジエチ
ルアミン;トリエチルアミン;モノ-、ビス-、又はトリス-(2-ヒドロキシ-低アルキルア
ミン)、例えばモノ-、ビス-、又はトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン;2-ヒドロキシ-t
ert-ブチルアミン、又はトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N,-ジ-低アルキル-
N-(ヒドロキシ低アルキル)-アミン、例えばN,N,-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミ
ン;又はトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミン、N-メチル-D-グルカミン;及びアルギニン、
リシン等のアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で使用される「動物」としては、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ
、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、及びモルモットが挙
げられるが、より好ましくは、哺乳動物、及び最も好ましくは、ヒトである。
【0030】
本明細書で使用される「疼痛の治療」又は「疼痛を治療すること」は、動物における疼
痛の改善又は疼痛の停止を含む。
【0031】
本明細書で使用される「疼痛の予防」又は「疼痛を予防すること」は、動物における疼
痛発症の回避を含む。
【0032】
5.2 経皮剤形
治療薬、特にオピオイドを動物に経皮送達するための当業者に公知の任意のデバイスは
、本発明の経皮剤形に使用されうる。例えば、経皮剤形は、リザーバ型経皮剤形、ポリマ
ーマトリックス型経皮剤形、又は接着剤中薬剤型(drug-in-adhesive-type)経皮剤形で
ありうる(例えば、その内容が本明細書で参照により援用されるH.S.Tanら、経皮薬物送
達システムのための感圧接着剤(Pressure Sensitive Adhesives for Transdermal Drug
Delivery Systems、PSTT 2(2): 60-79 (1999)を参照)。経皮剤形は、動物の皮膚と
接触すると、治療薬、例えばオピオイドの鎮痛に有効な量が動物に経皮投与される。しか
し、動物の皮膚と接触すると、拮抗薬遊離塩基及び拮抗薬塩は経皮剤形に残存し、動物に
投与されないか、又は活性剤の鎮痛効果を抑制するには十分でない量が動物に投与される
かのいずれかである。
【0033】
リザーバ型経皮剤形は一般に、リザーバ、通常、感圧接着剤皮膚接触層で覆われている
不浸透性裏打ちフィルムと律速膜との間に配置された液体を含む。溶液又は分散液であり
うるリザーバは、オピオイド等の活性剤、拮抗薬遊離塩基、及び拮抗薬塩を含む。経皮剤
形は、不浸透性裏打ち材料によって支持され、接着剤表面は放出ライナーによって保護さ
れている。適切な裏打ち材料としては、ポリエチレン、ポリエチレン誘導体、ポリプロピ
レン、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン繊維、及び天然繊維が挙げられるが、これ
らに限定されない。適切な放出ライナーとしては、ポリエステルウェブ、ポリエチレンウ
ェブ、ポリスチレンウェブ、若しくは適切なフルオロポリマー又はシリコーン性コーティ
ングでコーティングされたポリエチレンコート紙等のシート材料を含む従来の放出ライナ
ーが挙げられるが、これらに限定されない。オピオイド等の活性剤を投与するには、放出
ライナーが除去され、感圧接着剤を露出して、感圧接着剤が皮膚と接触する。活性剤は律
速膜に浸透性であり、律速膜及び接着剤を介して浸透し、皮膚に接触し、次いで皮膚に浸
透する。オピオイド等の活性剤の送達速度は、活性剤が律速膜に浸透する速度によって部
分的に制御される。好ましくは、感圧接着剤は送達速度に有害な影響を及ぼすことがなく
、活性剤と化学的に反応することがない。送達速度は、オピオイド等の活性剤の鎮痛に有
効な量が動物に送達されるようになっている。オピオイド等の活性剤と対照的に、リザー
バのどこにも存在しうる拮抗薬は、好ましくは、律速膜に浸透せず、又、もし浸透したと
しても、活性剤の鎮痛効果を抑制するのに十分な量は浸透しない。
【0034】
図1は、リザーバ型経皮剤形の1つの実施形態を示す。経皮剤形10はリザーバ11を含む
、これは、一般に溶液又は分散液12の形で、その中にオピオイド13等の活性剤、拮抗薬遊
離塩基14、及び拮抗薬塩14aが分散されている。リザーバ11は、不浸透性裏打ちフィルム
15、律速膜16、及び感圧接着剤17の間に配置されている。放出ライナー18は、感圧接着剤
層17に付着しており、使用前に除去される。1つの実施形態においては、オピオイド13、
及び、そのうちの少なくとも1つは、拮抗薬遊離塩基塩14であり、少なくとも1つが拮抗
薬塩14aである拮抗薬14、14aはリザーバを介して分散されるが、均一に分散されている
必要はない。
【0035】
リザーバ型経皮剤形の変型が、ポリマーマトリックスデザインである。ポリマーマトリ
ックスデザインにおいては、オピオイド等の活性剤、及び拮抗薬は、活性剤の送達速度を
部分的に制御するポリマーマトリックス中に分散する。液体リザーバデザインと同様に、
ポリマーマトリックスリザーバは不浸透性裏打ち層で支持されている。しかし、連続的な
接着剤層を有するよりは、ポリマーマトリックスデザインは、通常、パッチの周縁に配置
された接着剤の周辺環を含む。放出ライナーが接着剤表面及びポリマーマトリックスの表
面を保護する。オピオイド等の活性剤を投与するには、放出ライナーが除去され、ポリマ
ーマトリックス及び感圧接着剤の環を露出し、デバイスは皮膚と接触する。接着剤の環は
、ポリマーマトリックスが皮膚に直接接触するように、皮膚に対してデバイスを保持する
。ポリマーマトリックスが皮膚と接触すると、オピオイド等の活性剤がポリマーマトリッ
クスから拡散し、動物の皮膚に接触し、皮膚に浸透する。拮抗薬の送達速度は、ポリマー
マトリックスからの拮抗薬の拡散速度によって部分的に制御される。送達速度は、オピオ
イド等の活性剤の鎮痛に有効な量が動物に送達されるようになっている。他方、ポリマー
マトリックスのどこにも存在しうる拮抗薬は、ポリマーマトリックスから拡散しないか、
又はもし拡散したとしても、活性剤の鎮痛効果を抑制するのに十分な量は拡散されない。
【0036】
図2は、本発明の代表的なポリマーマトリックス経皮剤形の実施形態を示す。経皮剤形
20は、ポリマーマトリックス22の形でリザーバ21を含み、その中にオピオイド23等の活性
剤、拮抗薬遊離塩基24、及び拮抗薬塩24aが分散されている。1つの実施形態においては
、オピオイド23、及び拮抗薬24、24aがポリマーマトリックスを介して分散するが、均一
である必要はない。ポリマーマトリックス21は、不浸透性裏打ち層25で支持されており、
パッチの周縁に配置された接着剤26の周辺環を有する。放出ライナー28が接着剤26の周辺
環及びポリマーマトリックス22に付着し、使用前に除去される。
【0037】
接着剤中薬剤型経皮剤形は、感圧接着剤マトリックスに直接分散されたオピオイド等の
活性剤、拮抗薬遊離塩基、及び拮抗薬塩を含む。接着剤マトリックスは通常、上側で不浸
透性裏打ち層により、皮膚に面した側で不浸透性放出ライナーによって支持されている。
オピオイド等の活性剤を投与するため、放出ライナーを除去し、接着剤マトリックスを露
出して、デバイスを皮膚と接触させる。接着剤マトリックスは、デバイスを皮膚に付着さ
せ、通常、オピオイド等の活性剤の送達速度を制御するように機能する。ポリマーマトリ
ックスデザインと同様に、接着剤中薬剤デザインは、接着剤マトリックスから活性剤を拡
散させ、動物の皮膚に接触させ、皮膚に浸透させる。オピオイド等の活性剤の送達速度は
、接着剤マトリックスからの活性剤の拡散速度によって部分的に左右される。送達速度は
、オピオイド等の活性剤の鎮痛に有効な量が動物に送達されるようになっている。他方、
接着剤マトリックスのどこにも存在しうる拮抗薬は、接着剤マトリックスから拡散しない
か、又は、活性剤の鎮痛効果を抑制するのに十分な量は拡散されない。
【0038】
図3は、本発明の代表的な接着剤中薬剤経皮剤形の実施形態を示す。経皮剤形30は、オ
ピオイド32等の活性剤、拮抗薬遊離塩基33、及び拮抗薬塩33a等の活性剤を介して分散さ
れるマトリックス31を含む。1つの実施形態においては、オピオイド32、及び拮抗薬33、
33aがポリマーマトリックスから分散するが、均一である必要はない。接着剤マトリック
ス31は、不浸透性裏打ち層34で支持されており、使用前に除去される、皮膚に面した側で
は不浸透性放出ライナー35がある。
【0039】
図3Aは、本発明の別の接着剤中薬剤経皮剤形の実施形態を示す。経皮剤形40は、活性
剤例えばオピオイド42を介して分散される第1接着剤マトリックス41、及び拮抗薬遊離塩
基44と拮抗薬塩44aを介して分散される第2接着剤マトリックス43を含む。第1及び第2
の層は、バリア層45によって分離される。好ましくは、オピオイド及び拮抗薬は接着剤マ
トリックスを介して分散するが、均一である必要はない。接着剤マトリックスシステムは
、不浸透性重畳裏打ち層46で支持されており、使用前に除去される、皮膚に面した側では
不浸透性放出ライナー47を有する。
【0040】
リザーバ型、ポリマーマトリックス型、及び接着剤中薬剤型経皮送達システムは当業者
に周知である(例えば、その内容が本明細書で参照により明示的に援用される、H.S. Tan
ら、経皮薬物送達システムのための感圧接着剤(Pressure Sensitive adhesives for Tra
nsdermal Drug Delivery Systems、PSTT 2(2): 60-79 (1999)を参照)。
【0041】
当業者に公知の律速膜が本発明の経皮剤形において使用されうる。1つの実施形態にお
いては、膜は、特に拮抗薬が動物の皮膚を浸透しうる場合に、それを介しては、いかなる
量の拮抗薬、又は検出可能な量を浸透させない。律速膜の適切な材料としては、ポリエチ
レン;ポリプロピレン;エチレン/プロピレンコポリマー;エチレン/エチルアクリレート
コポリマー;エチレン/ビニルアセテートコポリマー;ポリアクリレート;ポリメタクリ
レート;シリコーンエラストマー;医用ポリジメチルシロキサン;ネオプレンゴム;ポリ
イソブチレン;塩素化ポリエチレン;ポリビニルクロライド;ビニルクロライド-ビニル
アセテートコポリマー;ポリメタクリレートポリマー(ヒドロゲル) ;ポリ塩化ビニリデ
ン;ポリ(エチレンテレフタレート) ;ブチルゴム;エピクロロヒドリンゴム;エチレン-
ビニルアルコールコポリマー;エチレン-ビニルオキシエタノールコポリマー、シリコー
ンコポリマー、例えば、ポリシロキサン-ポリカーボネートコポリマー、ポリシロキサン-
ポリエチレンオキシドコポリマー、ポリシロキサン-ポリメタクリレートコポリマー、ポ
リシロキサン-アルキレンコポリマー(例えば、ポリシロキサン-エチレンコポリマー)、
ポリシロキサン-アルキレンシランコポリマー(例えば、ポリシロキサンエチレンシラン
コポリマー)等;
セルロースポリマー、例えば、メチル又はエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、及びセルロースエステル;ポリカーボネート;ポリテトラフルオロエチレン
;でんぷん;ゼラチン;天然及び合成ガム;他の天然又は合成ポリマー又は繊維;及びそ
の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
裏打ち層は、リザーバ区画、ポリマーマトリックス、又は接着剤マトリックスの内容物
に不浸透性であれば適切な材料でありうる。裏打ちフィルム用の適切な材料は、当業者に
周知であり、閉鎖(occlusive)ポリマー、例えばポリウレタン、ポリエステル、例えば、
ポリ (エチレンフタレート)、ポリエーテルアミド、コポリエステル、ポリイソブチレン
、ポリエステル、高及び低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロライド、
金属箔、及び適切なポリマーフィルムの金属箔積層体を含むが、これらに限定されない。
【0043】
ポリマーマトリックスの適切な材料は当業者に周知であり、ポリエチレン、ポリプロピ
レン;エチレン/プロピレンコポリマー;エチレン/エチルアクリレートコポリマー;エチ
レン/ビニルアセテートコポリマー;シリコーンエラストマー、特に、医用ポリジメチル
エチルシロキサン;ネオプレンゴム;ポリイソブチレン;塩素化ポリエチレン;ポリビニ
ルクロライド;ビニルクロライド-ビニルアセテートコポリマー;ポリメタクリレートポ
リマー(ヒドロゲル) ;ポリ塩化ビニリデン;ポリ(エチレンテレフタレート);ブチルゴ
ム;エピクロロヒドリンゴム;エチレン-ビニルアルコールコポリマー;エチレン-ビニル
オキシエタノールコポリマー;シリコーンコポリマー、例えば、ポリシロキサン-ポリカ
ーボネートコポリマー、ポリシロキサン-ポリエチレンオキシドコポリマー、ポリシロキ
サン-ポリメタクリレートコポリマー、ポリシロキサン-アルキレンコポリマー(例えば、
ポリシロキサン-エチレンコポリマー)、ポリシロキサン-アルキレンシランコポリマー(例
えば、ポリシロキサンエチレンシランコポリマー)等;セルロースポリマー、例えば、メ
チル又はエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びセルロースエス
テル;ポリカーボネート;ポリテトラフルオロエチレン;及びその組合せを含むが、これ
らに限定されない。1つの実施形態においては、ポリマーマトリックスは、室温未満のガ
ラス転移温度を有する。ポリマーは、室温で一定の結晶化度を有しうるが、必ずしも有す
る必要はない。架橋モノマー単位又は部位はポリマーに組込まれうる。例えば、架橋ポリ
マーは、ポリアクリレートポリマーに組込まれうる。架橋モノマーは、オピオイド等の活
性剤、及び拮抗薬等の副作用物質をポリマーにマイクロ分散化した後にポリマーマトリッ
クスを架橋するための部位を提供する。ポリアクリレートポリマーのための公知の架橋モ
ノマーとしては、ポリオールのポリメタクリルエステル、例えばブチレンジアクリレート
及びジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられるが、こ
れらに限定されない。架橋部位を提供する他のモノマーとしては、アリルアクリレート、
アリルメタクリレート、マレイン酸ジアリル等が挙げられる。1つの実施形態においては
、ポリマーマトリックスは、特に拮抗薬が動物の皮膚を浸透しうる場合に、それを介して
は、いかなる量の拮抗薬、又は検出可能な量を浸透させない。
【0044】
感圧接着剤マトリックスのための適切な材料は当業者には周知であり、ポリイソブチレ
ン、ポリシロキサン、及びポリアクリレートコポリマー(ポリアクリルエステル)、天然
ゴム/カラヤゴム性接着剤、ヒドロゲル、親水性ポリマー、及びポリウレタン、例えば、
その開示が本明細書で参照によって援用される、H.S. Tanら、経皮薬物送達システムのた
めの感圧接着剤(Pressure Sensitive Adhesives for Transdermal Drug Delivery Syste
ms)、PSTT 2(2): 60-79 (1999)に記載されているもの等が挙げられるが、これらに
限定されない。接着剤はさらに、所望の接着特性を付与する修飾モノマー、粘着付与剤、
可塑剤、充填剤、ワックス、油、及び他の接着剤を含みうる。同上。また、当業者は、開
始剤、架橋剤、及びコモノマー等の材料を組込んで所望の接着特性を容易に達成しうる。
1つの実施形態においては、感圧接着剤マトリックスは、特に拮抗薬が動物の皮膚を浸透
しうる場合に、それを介して、いかなる量拮抗薬、又は検出可能な量も浸透させない。
【0045】
本発明の剤形における使用に好ましい感圧接着剤としては、アクリレート、ポリイソブ
チレン、シリコーンポリマー、及びその混合物が挙げられる。有用なポリイソブチレン感
圧接着剤の例は、その開示が本明細書で参照によって援用される米国特許第5,985,317号
明細書(Venkateshwaranら)に記載されている。有用なアクリレート及びシリコーンポリ
マー感圧接着剤、及びその混合物の例は、その開示が本明細書で参照によって援用される
米国特許第5,474,783号明細書(Mirandaら)に記載されている。
【0046】
一般に、デバイスのサイズは、約1cm2〜200cm2超でありうるが、一般に約5〜500cm2
ある。経皮剤形を製造するための方法は、当業者に周知である。
【0047】
本発明の経皮剤形及び方法において有用なデバイスの例としては、その開示が本明細書
で参照によって援用される米国特許第4,806,341号明細書;同第5,069,909号明細書;同第
5,236,714号明細書;同第5,240,711号明細書;同第5,902,603号明細書;同第5,718,914号
明細書;同第5,968,547号明細書;同第6,162,456号明細書;及び同第6,344,212号明細書
に記載されているもの等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
経皮剤形は、場合により、オピオイド等の活性剤が動物の皮膚の中を浸透する速度を増
す、1若しくはそれ以上の浸透促進剤を含みうる。1つの実施形態においては、浸透促進
剤は、皮膚を通じる拮抗薬の浸透を促進しない。別の実施形態においては、浸透促進剤は
、動物の皮膚と接触し、オピオイド等の活性剤の動物の皮膚への浸透を改善しうるように
、律速膜を浸透するか、又はポリマーマトリックス若しくは接着剤マトリックスから拡散
させる。本明細書の経皮剤形及び方法における使用に適切な浸透促進剤としては、C2-C4
アルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、ポリエチレングリコールモノラウ
レート、ジエチルグリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール-3-ラウルア
ミド、ジメチルラウルアミド、ジメチルイソソルビド、ソルビタントリオレート、脂肪酸
、約10個〜約20個の炭素原子を有する脂肪酸エステル、モノエステルが10個〜20個の炭素
原子を有するものである、少なくとも約51%の総モノエステル含量を有する脂肪酸のモノ
グリセリド又はモノグリセリドの混合物、及び脂肪酸のモノ−グリセリド、ジ−グリセリ
ド、及びトリ−グリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。適切な脂肪酸として
は、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びパルミチ
ン酸が挙げられるが、これらに限定されない。モノグリセリド浸透促進剤としては、グリ
セロールモノオレエート、グリセロールモノラウレート、及びグリセロールモノリノレエ
ートが挙げられる。本発明の方法において有用な浸透促進剤の例としては、その開示が本
明細書で参照によって援用される米国特許第3,472,931号明細書;同第3,527,864号明細書
;同第3,896,238号明細書;同第3,903,256号明細書;同第3,952,099号明細書;同第3,989
,816号明細書;同第4,046,886号明細書;同第4,130,643号明細書;同第4,130,667号明細
書;同第4,299,826号明細書;同第4,335,115号明細書;同第4,343,798号明細書;同第4,3
79,454号明細書;同第4,405,616号明細書;同第4,746,515号明細書;同第4,316,893号明
細書;同第4,405,616号明細書;同第4,060,084号明細書;同第4,379,454号明細書;同第4
,560,553号明細書;同第4,863,952号明細書;同第4,863,970号明細書;同第4,879,275号
明細書;同第4,940,586号明細書;同第4,960,771号明細書;同第4,973,468号明細書;同
第5,066,648号明細書;同第5,164,406号明細書;同第5,227,169号明細書;同第5,229,130
号明細書;同第5,238,933号明細書;同第5,308,625号明細書;同第4,326,566号明細書;
同第5,378,730号明細書;同第5,420,106号明細書;同第5,641,504号明細書;同第5,716,6
38号明細書;同第5,750,137号明細書;同第5,785,991号明細書;同第5,837,289号明細書
;同第5,834,468号明細書;同第5,882,676号明細書;同第5,912,009号明細書;同第5,952
,000号明細書;同第6,004,578号明細書、及びIdson、J. Pharm. Sci. 64(b6):901−92
4 (1975)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
5.3 活性剤
経皮剤形は、(1)生存過程に影響を及ぼし、(2)動物に対する予防効果を有し、感染の予
防等望ましくない効果を予防し、(3)疾患、例えば、疼痛又は炎症によってひき起こされ
る状態、又はその症状を緩和し、及び/又は(4)動物から疾患、健康状態、又は症状を緩和
し、削減するか、又は除去する、所望の生物学的又は薬理学的効果を誘導しうる薬理的活
性剤を含みうる。活性剤の効果は、鎮痛効果の提供などのように局所的であるか、若しく
は全身的又はその組合せでありうる。活性剤の一般的なカテゴリーとしては、1つの実施
形態においては、オピオイド;ACE阻害剤;腺下垂体ホルモン;アドレナリン作動性ニューロ
ン遮断薬;副腎皮質ステロイド;副腎皮質ステロイド生合成阻害剤;α-アドレナリン作用薬
;α-アドレナリン拮抗薬;選択的α-2-アドレナリン作用薬;アンドロゲン;抗依存症薬;抗
男性ホルモン物質;抗炎症薬、例えば抗生物質、抗菌薬、及び抗ウイルス薬;鎮痛剤及び鎮
痛剤の組合せ;食欲減退薬;抗寄生虫薬;抗関節炎薬;抗喘息薬;抗痙攣薬;抗うつ薬;抗糖尿
病薬;抗下痢薬;制吐薬及び運動促進薬;抗てんかん薬;抗エストロゲン薬;抗真菌薬;抗ヒス
タミン薬;抗炎症薬;片頭痛製剤;抗ムスカリン薬;制嘔吐剤;抗新生物薬;駆虫剤;パーキン
ソン病治療薬;抗血小板薬;抗黄体ホルモン;かゆみ止め薬;抗精神病薬;解熱薬;鎮痙薬;抗
コリン作用薬;抗甲状腺薬;鎮咳薬;アザスピロデカネジオン;交感神経刺激薬;キサンチン
誘導体;カリウム及びカルシウムチャンネル遮断薬、アルファ遮断薬、ベータ遮断薬、及
び不整脈治療剤を含む心血管製剤;抗高血圧薬;利尿薬及び抗利尿薬;一般冠状、末梢、及
び中枢を含む血管拡張薬;中枢神経系刺激薬;血管収縮薬;充血除去剤を含む鎮咳薬及び感
冒薬;副腎皮質を含む、エストラジオール及び他のステロイド等のホルモン;睡眠薬;免疫
抑制剤;筋肉弛緩剤;副交感神経遮断薬;精神刺激薬;鎮痛薬;トランキライザー;ニコチン、
及びその酸付加塩;ベンゾジアゼピン;バルビツール酸系催眠薬;ベンゾサイアジアジド;β
-アドレナリン作用薬;β-アドレナリン拮抗薬;選択的β-1-アドレナリン拮抗薬;選択的β
-2-アドレナリン拮抗薬;胆汁塩;体液の体積及び組成に影響を及ぼす薬剤;ブチロフェノン
;石灰化に影響を及ぼす薬剤;カテコールアミン;コリン作用薬;コリンエステラーゼ再活性
化薬;外皮用剤;ジフェニルブチルピペリジン;麦角アルカロイド;神経節遮断薬;ヒダント
イン;胃酸調節及び消化性潰瘍治療用薬剤;血液製剤;ヒスタミン;5-ヒドロキシトリプタミ
ン拮抗薬;高脂タンパク血症治療薬;便秘薬;メチルキサンチン;モノアミンオキシダーゼ阻
害剤;神経筋遮断薬;有機硝酸塩;膵酵素;フェノチアジン;プロスタグランジン;レチノイド
;痙縮及び急性筋痙攣用治療薬;スクシンイミド;チオキサンチン;血栓溶解剤;甲状腺薬;有
機化合物の尿細管輸送阻害剤;子宮運動に影響を与える薬;ビタミン等;又はその組合せが
挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
経皮剤形は、酢酸フルオロゲストン、ヒドロキシロプロゲステロン、酢酸ヒドロキシプ
ロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシ−プロゲステロン
、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、ノルエチノドレル、デ
ゾゲストレル、3-ケトデゾゲストレル、ゲスタデン、レボノルゲストレル、エストラジオ
ール、安息酸エストラジオール、吉草酸エストラジオール、エストラジオールシプリオネ
ート(cyprionate)、デカン酸エストラジオール、酢酸エストラジオール、エチニルエスト
ラジオール、エストリオール、エストロン、メストラノール、ベータメタゾン、酢酸ベー
タメタゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、コルチコステロン
、フルオシノロンアセトニド、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、アル
ドステロン、アンドロステロン、テストステロン、メチルテストステロン、又はその組合
せを含みうる活性成分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
経皮剤形としては、a)副腎皮質、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾ
ロン、プロピオン酸ベクロメタゾン、デキサメタゾン、ベータメタゾン、フルメタゾン、
トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセ
トニド、酢酸フルオシノロン、プロピオン酸クロベタゾール等、又はその組合せ;b)鎮痛
性抗炎症薬、例えば、アセトアミノフェン、メフェナム酸、フルフェナム酸、インドメタ
シン、ジクロフェナック、ジクロフェナックナトリウム、アルクロフェナック、イブフェ
ナック、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、フルルビプロフェ
ン、ケトプロフェン、サルチル酸、メチルサリチレート、アセチルサリチル酸、l−メタ
ノール、樟脳、スリンダック(slindac)、トルメチンナトリウム、ナプロキセン、フェン
ブフェン等、又はその組合せ;c)睡眠薬、例えば、フェノバルビタール、アモバルビター
ル、シクロバルビタール、ロラゼパム、ハロぺリドール等、又はその組合せ;d)トランキ
ライザー、例えば、フルフェナジン、チオリダジン、ジアゼパム、フルラゼパム、クロロ
プロマジン等、又はその組合せ;e)降圧剤、例えば、クロニジン、塩酸クロニジン、ボピ
ニドル、チモロール、ピンドロール、プロプラノロール、塩酸プロプラノロール、ブプラ
ノロール、インデノロール、ブクモロール、ニフェジピン、ブニトロロール等、又はその
組合せ;f)降圧利尿剤、例えば、ベンドロフルメチアジド、ポリチアジド、メチルクロル
チアジド、トリクロルメチアジド、シクロペンチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド
、ヒドロクロロチアジド、ブメタニド等、又はその組合せ;g)抗生物質、例えば、ペニシ
リン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン
、ミノサイクリン、硫酸フラジオマイシン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール等
、又はその組合せ;h)麻酔薬、例えば、リドカイン、ベンゾカイン、アミノ安息香酸エチ
ル等、又はその組合せ;i)別の麻酔薬、例えば、アセチルサリチル酸、トリサルチル酸コ
リンマグネシウム、アセトアミノフェン、イブプロフェン、フェノプロフェン、ジフルシ
ナール、ナプロキセン等;j)止痒塗布薬、例えば、ビザボロール、カモミール油、カマズ
レン、アラントイン、D-パンテノール、グリシレテニン酸(glycyrrhetenic acid)、副腎
皮質、及び抗ヒスタミン薬等;k)抗菌剤、例えば、メチルヒドロ安息香酸塩、プロピルヒ
ドロキシ安息香酸塩、クロロクレゾール、ベンズアルコニウムクロライド、ニトロフラゾ
ン、ナイスタチン、スルファセタミド、クロトリアマゾール等、又はその組合せ;l)抗真
菌剤、例えば、ペンタマイシン、アンフォテリシンB、ピロルニトリン、クロトリマゾー
ル等、又はその組合せ;m)ビタミン、例えば、ビタミンA、エルゴカルシフェロール、コレ
カルシフェロール、オクトトリアミン、リボフラビン酪酸エステル等、又はその組合せ;n
)抗てんかん薬、例えば、ニトラゼパム、メプロバメート、クロナゼパム等、又はその組
合せ;o)抗ヒスタミン薬、例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、ジフ
ェニルイミダゾール等、又はその組合せ;p)鎮咳薬、例えば、デキストロメトルファン、
テルブタリン、エフェドリン、塩酸エフェドリン等、又はその組合せ;q)性ホルモン、例
えば、プロゲステロン、エストラジオール、エストリオール、エストロン等、又はその組
合せ;r)抗うつ薬、例えば、ドクサピン;s)血管拡張薬、例えば、ニトログリセリン、硝酸
イソソルビド、ニトログリコール、四硝酸ペンタエリトリット、ジピリダモール等、又は
その組合せ;t)他の薬剤、例えば、5-フルオロウラシル、ジヒドロエルゴタミン、デスモ
プレシン、ジゴキシン、メトクロプラミド、ドンペリドン、スコポラミン、塩酸スコポラ
ミン等、又はその組合せを含みうる活性成分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
経皮剤形に存在する活性剤の量は、ある程度、特定の活性剤、デバイスの種類、デバイ
スで使用される材料、及び活性剤が動物に送達される期間に依存する。しかし、経皮剤形
に存在する活性剤の量は、一般に約0.01〜約50mg/cm2であり、好ましくは約0.05〜約15mg
/cm2であり、及びより好ましくは約0.05〜約5.0mg/cm2である。当業者であれば、十分に
、特定の兆候に必要な活性剤の量を容易に判定することを予見できる。
【0053】
5.4 オピオイド
本発明の経皮剤形においては、任意のオピオイドを使用しうる。有用なオピオイドとし
ては、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジル
モルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイ
ン、デソモルヒネ、デキシトロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルフォン、
ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジヒドロモルフォン、ジヒドロイソモルヒネ、ジ
メノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレ
ート、ジピパノン、エプタゾシン、エトへプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチル
モルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニル、ヘロイ
ン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロモルフォドン、ヒドロキシペチジン、イソ
メタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニ
ル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフ
ィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン
、ナルブフェン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォ
ン、パントポン、パパベレツム、パレゴリック、ペンタゾシン、フェナドクソン、フェン
ジメトラジン、フェンジメトラゾン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン
、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポ
キシフェン、プロピルヘキセドリン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、その医
薬的に許容しうる塩、及びその2つ又はそれ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定
されない。
【0054】
特定の実施形態においては、オピオイドは、ヒドロコドン、モルヒネ、ヒドロモルフォ
ン、オキシコドン、コデイン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、オキシモルフ
ォン、ブプレノルフィン、フェンタニル、ジピパノン、ヘロイン、トラマドール、エトル
フィン、ジヒドロエトルフィン、ブトルファノール、レボルファノール、その医薬的に許
容しうる塩、及びその2つ又はそれ以上の混合物である。1つの実施形態においては、オ
ピオイドは、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、ブプレノルフィン、又はその
医薬的に許容しうる塩である。
【0055】
1つの実施形態においては、特に受動パッチについては、オピオイドは遊離塩基の形で
存在する。しかし、イオン導入を用いてオピオイドによる皮膚の浸透を促進する本発明の
パッチについては、オピオイドの医薬的に許容しうる塩が好ましい。
【0056】
経皮剤形に存在するオピオイドの鎮痛のための有効量は、ある程度特定のオピオイド、
デバイスの種類、デバイスで使用される材料、及びオピオイドが動物に送達される期間に
依存する。しかし、経皮剤形に存在するオピオイドの鎮痛のための有効量は、一般に約0.
01〜約50mg/cm2であり、好ましくは約0.05〜約15mg/cm2であり、及びより好ましくは約0.
05〜約5.0mg/cm2である。当業者であれば、十分に特定の兆候に必要なオピオイドの鎮痛
ための有効量を容易に判定することを予見できる。
【0057】
5.5 副作用物質
副作用物質は、活性剤の、少なくとも1つの生物学的効果を少なくとも部分的に削減又
は遮断するか、又は動物又は患者の血流に吸収されると不快な効果を起こす、任意の薬理
活性剤でありうる。副作用物質の例としては、任意の活性剤の拮抗薬があるが、これに限
定されない。オピオイド拮抗薬が本発明の剤形における活性剤として使用される場合、オ
ピオイド拮抗薬は副作用物質として使用されうる。同様に、ベンゾジアゼピンが本発明の
剤形において活性剤として使用されると、ベンゾジアゼピン拮抗薬が副作用物質として使
用されうる。バルビツール酸系催眠薬が本発明の剤形において活性剤として使用されると
、バルビツール酸系催眠薬拮抗薬が副作用物質として使用されうる。アンフェタミンが本
発明の剤形において活性剤として使用されると、アンフェタミン拮抗薬が副作用物質とし
て使用されうる。活性剤に毒性があり、その通常の治療範囲を超えて投与される場合、す
なわち、過剰投与量の可能性が顕著な場合、毒性活性剤の解毒剤が副作用物質として使用
されうる。
【0058】
本発明の副作用物質として使用されうるベンゾジアゼピン拮抗薬としては、フルマゼニ
ルが挙げられるが、これに限定されない。
【0059】
本発明の副作用物質として使用されうるバルビツール酸系催眠薬拮抗薬としては、アン
フェタミンが挙げられるが、これに限定されない。
【0060】
本発明の副作用物質として使用されうる刺激拮抗薬としては、ベンゾジアゼピンが挙げ
られるが、これに限定されない。
【0061】
本発明の別の実施形態においては、副作用物質は、嘔吐等望ましくない生理反応を誘発
する物質である。この種類の副作用物質は、オピオイド、ベンゾジアゼピン、バルビツー
ル酸系催眠薬、又は刺激剤を含む任意の種類の治療薬とともに使用されうる。本発明にお
ける副作用物質としての使用に適した催吐薬としては、トコン及びアポモルヒネを含むが
これらに限定されない、投与後に嘔吐を安全かつ効果的に誘発する、任意の薬剤が挙げら
れる。
【0062】
5.6 オピオイド拮抗薬
本発明の経皮剤形及び方法において使用されうるオピオイド拮抗薬としては、シクラゾ
シン、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナルブフィン、ナロルフィン、シク
ラザシン、レバロルファン、その医薬的に許容しうる塩、及びその混合物が挙げられるが
、これらに限定されない。特定の実施形態においては、拮抗薬は、ナルメフェン、ナロキ
ソン、ナルトレキソン、又はその医薬的に許容しうる塩である。拮抗薬遊離塩基及び拮抗
薬塩は、同一又は異なる拮抗薬に基づきうるが、例えば、拮抗薬遊離塩基及び拮抗薬塩は
それぞれ、ナロキソン及びナロキソンHClでありうる。
【0063】
1つの実施形態においては、有用な拮抗薬塩としては、酸及び拮抗薬の遊離塩基の形の
塩基性窒素基で形成される塩が挙げられる。拮抗薬塩の例としては、硫酸塩、クエン酸塩
、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リ
ン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸、酒石酸塩、オレイン酸塩
、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレ
イン酸塩、ゲンチシネート(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロネート
、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタン
スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、グルビオン酸塩、及び
パモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート)が挙げられる
が、これらに限定されない。
【0064】
他の拮抗薬塩としては、カルボン酸又はスルホン酸官能基等の酸性官能基、及び医薬的
に許容できる無機又は有機塩基を有する拮抗薬で調製される塩が挙げられる。適切な塩基
としては、ナトリウム、カリウム、及びリチウム等のアルカリ金属の水酸化物;カルシウ
ム及びマグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウム及び亜鉛等の他の金
属の水酸化物;アンモニア、及び非置換若しくはヒドロキシ置換モノ-、ジ-、トリアルキ
ルアミン等の有機アミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル
;N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ-、ビス-、又はトリス-(2-ヒド
ロキシ-低アルキルアミン)、例えばモノ-、ビス-、又はトリス-(2-ヒドロキシエチル)ア
ミン、2-ヒドロキシ-t-ブチルアミン、又はトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,
N,-ジ-低アルキル-N-(ヒドロキシ低アルキル)-アミン、例えば、N,N,-ジメチル-N-(2-ヒ
ドロキシエチル)アミン、又はトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミン;N-メチル-D-グルカミン
;及びアルギニン、リシン等のアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
経皮剤形に存在してオピオイド等活性剤の陶酔効果を抑制するのに十分な拮抗薬の量は
、ある程度デバイスで使用される特定の拮抗薬に依存する。通常、経皮剤形における拮抗
薬の総量に対するオピオイド等の活性剤の重量比は、約15:1〜約1:5であり、より好ま
しくは、約12:1〜約4:1である。例示的な拮抗薬の組合せとしては:
ナロキソンHCl:ナルトレキソン遊離塩基は、1つの実施形態では、重量比が約5:1〜約1
:5であり、別の実施形態では、約1:1〜約1:5であり;
ナロキソン遊離塩基:ナルトレキソンHClは、1つの実施形態では、重量比が約5:1〜約1
:5であり、別の実施形態では、約1:5〜約1:1であり;
ナロキソンHCl:ナルメフェン遊離塩基は、1つの実施形態では、重量比が約5:1〜約1:
5であり、別の実施形態では、約1:1〜約1:5であり;
ナルトレキソンHCl:ナルメフェン遊離塩基は、1つの実施形態では、重量比が約5:1〜
約1:5であり、別の実施形態では、約1:1〜約1:5であるものが、
挙げられる。
【0066】
1つの実施形態においては、オピオイドはフェンタニルである。例示的なフェンタニル
:拮抗薬の組合せとしては:
フェンタニル:ナルトレキソンHCl:ナルトレキソン遊離塩基は、1つの実施形態では、
フェンタニル:拮抗薬(総量)の組合せの重量比が約10:1〜約1:5であり、別の実施形
態では、約10:1〜約4:1であり;
フェンタニル:ナロキソン遊離塩基:ナルトレキソンHClは、1つの実施形態では、フェ
ンタニル:拮抗薬(総量)の組合せの重量比が約10:1〜約1:5であり、別の実施形態で
は、約10:1〜約4:1であり;
フェンタニル:ナロキソンHCl:ナルメフェン遊離塩基は、1つの実施形態では、フェン
タニル:拮抗薬(総量)の組合せの重量比が約15:1〜約1:5であり、別の実施形態では、
約12:1〜約4:1である、
フェンタニル:ナルトレキソンHCl:ナルメフェン遊離塩基は、1つの実施形態では、フ
ェンタニル:拮抗薬(総量)の組合せの重量比が約15:1〜約1:5であり、別の実施形態
では、約12:1〜約4:1であるものが、
挙げられる。
【0067】
当業者は、特定の兆候に必要な拮抗薬の量を容易に判定することができる。
【0068】
5.7 疼痛を治療又は予防するための方法
本発明の実施形態によれば、本発明の経皮剤形を用いて、動物、好ましくは哺乳動物、
より好ましくはヒトに、疼痛の治療又は予防のために、オピオイド等の活性剤の鎮痛に有
効な量を投与することができる。この経皮剤形を用いて急性又は慢性疼痛を治療又は予防
することができる。例えば、この経皮剤形は、癌性疼痛、中心性疼痛、陣痛、心筋梗塞性
疼痛、膵痛、結腸痛、術後痛、頭痛、筋肉痛、骨痛、及び集中治療と関連した疼痛の治療
又は予防ために使用されうるが、これらに限定されない。
【0069】
本発明の方法によれば、経皮剤形は動物の皮膚と接触し、オピオイド等の活性剤が経皮
剤形によって放出され、動物の皮膚を介して吸収されることになる。動物の中に吸収され
ると、オピオイド等の活性剤が、鎮痛に有効な量で提供される。経皮剤形は、活性剤の鎮
痛に有効な量の持続的かつ連続的な送達を提供しうる。1つの実施形態においては、本発
明の経皮剤形は、オピオイド等の活性剤のレベルを、動物の血流において、約16時間〜約
7日間、別の実施形態では約16時間〜約72時間、さらに別の実施形態では、少なくとも約2
4時間、血漿1ミリリットル当りの活性剤を約0.1〜約100ナノグラムで維持する。別の実
施形態では、本発明の経皮剤形は、オピオイド等の活性剤のレベルを、鎮痛効果を達成す
るのに十分に動物の血流において維持し、したがって、約15分〜約7日間、別の実施形態
では約1時間〜約72時間、さらに別の実施形態では少なくとも約24時間の間、疼痛を治療
又は予防する。
【0070】
本発明の経皮剤形は、疼痛を治療又は予防するのに十分な時間、例えば、約10分〜72時
間、本発明の経皮剤形と、それを必要とする動物の皮膚を接触させるステップを含む動物
における疼痛を治療又は予防するために有用である。1つの実施形態においては、時間の
量は約30分〜約24時間である。
【0071】
5.8 キット
本発明は、本発明の少なくとも1つの剤形を含むキットにも関する。1つの実施形態に
おいては、剤形は容器、例えばボトル又は箱の中にある。この別の実施形態においては、
このキットはさらに、例えば、疼痛に対する患者を治療する剤形の使用に関する一連の指
示を含む。1つの実施形態においては、これらの指示は、容器に添付された印刷ラベル、
又は容器上に印刷されうる。別の実施形態においては、これらの指示は、容器、又は容器
を含む包装へ挿入された印刷シートを含みうる。これらの指示には、剤形及び/又はその
用法が、剤形の乱用、誤用、又は転用を免れるように指定されていることも記載されうる

【0072】
本発明は、以下の態様も含むものである。
<1> 活性剤又はその医薬的に許容しうる塩;
遊離塩基の形の副作用物質(adverse agent);及び、
医薬的に許容しうる塩の形の副作用物質を含む経皮剤形;
<2> 前記遊離塩基の形の副作用物質が、活性剤又はその医薬的に許容しうる塩の少なくとも1つの生物学的効果を抑制するのに十分な量で存在する、上記<1>に記載の経皮剤形;
<3> 前記副作用物質の医薬的に許容しうる塩が、前記活性剤又はその医薬的に許容しうる塩の少なくとも1つの生物学的効果を抑制するのに十分な量で存在する、上記<1>に記載の経皮剤形;
<4> 前記遊離塩基の形の副作用物質と前記副作用物質の医薬的に許容しうる塩が共に、前記活性剤又はその医薬的に許容しうる塩の少なくとも1つの生物学的効果を抑制するのに十分な量で存在する、上記<1>に記載の経皮剤形;
<5> 前記副作用物質の医薬的に許容しうる塩及び前記遊離塩基の形の副作用物質が、同一の副作用物質に基づいている、上記<1>に記載の経皮剤形;
<6> 前記活性剤又はその医薬的に許容しうる塩の量が約0.1〜約500mgであり、かつ、前記活性剤、又はその医薬的に許容しうる塩の、遊離塩基の形の副作用物質及び副作用物質の医薬的に許容しうる塩の総量との重量比率が、約15:1〜約1:5である、上記<1>に記載の経皮剤形;
<7> 前記活性剤又はその医薬的に許容しうる塩の量が約0.1〜約500mgであり、かつ、前記活性剤、又はその医薬的に許容しうる塩の、遊離塩基の形の副作用物質及び副作用物質の医薬的に許容しうる塩の総量との比が、約12:1〜約4:1である、上記<1>に記載の経皮剤形;
<8> 前記経皮剤形が、活性剤、又はその医薬的に許容しうる塩、前記遊離塩基の形の副作用物質及び副作用物質の医薬的に許容しうる塩を含むリザーバを含む、上記<1>に記載の経皮剤形;
<9> 前記経皮剤形がポリマーマトリックス型経皮剤形である、上記<1>に記載の経皮剤形;
<10> 前記経皮剤形が接着剤中薬剤型(drug-in-adhesive-type)経皮剤形である、上記<1>に記載の経皮剤形;
<11> 前記活性剤がオピオイド又はその医薬的に許容しうる塩であり;かつ、前記遊離塩基の形の副作用物質と前記副作用物質の医薬的に許容しうる塩が共に、オピオイド拮抗薬である、上記<1>に記載の経皮剤形;
<12> 前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬が、前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩の陶酔効果を抑制するのに十分な量で存在する、上記<11>に記載の経皮剤形;
<13> 前記オピオイド拮抗薬の前記医薬的に許容しうる塩が、前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩の陶酔効果を抑制するのに十分な量で存在する、上記<11>に記載の経皮剤形;
<14> 前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬及び前記オピオイド拮抗薬の前記医薬的に許容しうる塩が共に、前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩の陶酔効果を抑制するのに十分な量で存在する、上記<11>に記載の経皮剤形;
<15> 前記オピオイド拮抗薬の前記医薬的に許容しうる塩及び前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬が、同一のオピオイド拮抗薬に基づいている、上記<11>に記載の経皮剤形;
<16> 前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩の量が約0.1〜約500mgであり、かつ、前記オピオイド、又はその医薬的に許容しうる塩の、遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬及びオピオイド拮抗薬の医薬的に許容しうる塩の総量との重量比率が約15:1〜約1:5である、上記<11>に記載の経皮剤形;
<17> 前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩の量が約0.1〜約500mgであり、かつ、前記オピオイド、又はその医薬的に許容しうる塩の、遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬及びオピオイド拮抗薬の医薬的に許容しうる塩の総量との重量比率が約12:1〜約4:1である、上記<11>に記載の経皮剤形;
<18> 前記経皮剤形が、オピオイド、又はその医薬的に許容しうる塩、前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬及びオピオイド拮抗薬の医薬的に許容しうる塩を含むリザーバを含む、上記<11>に記載の経皮剤形;
<19> 前記経皮剤形がポリマーマトリックス型経皮剤形である、上記<11>に記載の経皮剤形;
<20> 前記経皮剤形が接着剤中薬剤型経皮剤形である、上記<11>に記載の経皮剤形;
<21> オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩が、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジヒドロモルフォン、ジヒドロイソモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトへプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロモルフォドン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パントポン、パパベレツム、パレゴリック、ペンタゾシン、フェナドクソン、フェンジメトラジン、フェンジメトラゾン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェタジン(propheptazine)、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、プロピルヘキセドリン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、それらの医薬的に許容しうる塩、及びそれらのうちあらゆる2つ若しくはそれ以上の混合物からなる群から選択される、上記<11>に記載の経皮剤形;
<22> 前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩が、オキシコドン又はその医薬的に許容しうる塩である、上記<21>に記載の経皮剤形;
<23> 前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩が、ヒドロコドン又はその医薬的に許容しうる塩である、上記<21>に記載の経皮剤形;
<24> 前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩が、ブプレノルフィン又はその医薬的に許容しうる塩である、上記<21>に記載の経皮剤形;
<25> 前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩が、フェンタニル又はその医薬的に許容しうる塩である、上記<21>に記載の経皮剤形;
<26> 前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬及び前記医薬的に許容しうる塩がナロキソンHClである、上記<25>に記載の経皮剤形;
<27> 前記遊離塩基の形の前記オピオイド拮抗薬がナロキソンであり、前記医薬的に許容しうる塩がナルトレキソンHClである、上記<25>に記載の経皮剤形;
<28> 前記遊離塩基の形の前記オピオイド拮抗薬がナルメフェンであり、前記医薬的に許容しうる塩がナロキソンHClである、上記<25>に記載の経皮剤形;
<29> 前記遊離塩基の形の前記オピオイド拮抗薬がナルメフェンであり、前記医薬的に許容しうる塩がナルトレキソンHClである、上記<25>に記載の経皮剤形;
<30> 前記遊離塩基の形の前記オピオイド拮抗薬が、シクラゾシン、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナルブフィン、ナロルフィン、シクラザシン、及びレバロルファンからなる群から選択される、上記<11>に記載の経皮剤形;
<31> 前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬が、ナロキソン、ナルトレキソン、及びナルメフェンからなる群から選択される、上記<30>に記載の経皮剤形;
<32> オピオイド拮抗薬の前記医薬的に許容しうる塩が、シクラゾシン、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナルブフィン、ナロルフィン、シクラザシン、及びレバロルファンからなる群から選択されるオピオイド拮抗薬の医薬的に許容しうる塩である、上記<11>に記載の経皮剤形;
<33> オピオイド拮抗薬の前記医薬的に許容しうる塩が、ナロキソン、ナルトレキソン、及びナルメフェンからなる群から選択されるオピオイド拮抗薬の前記医薬的に許容しうる塩である、上記<32>に記載の経皮剤形;
<34> 患者の疼痛を治療するためのキットであって、
a)上記<11>に記載の経皮送達デバイス;及び、
b)疼痛を治療するための前記経皮剤形の使用に向けて印刷された一連の説明書と
を含む、前記キット;
<35> 疼痛を治療又は予防するために十分な時間、上記<11>に記載の経皮送達デバイスと、それを必要とする患者の皮膚を接触させるステップを含む、患者の疼痛を治療又は予防するための方法。
【0073】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために記載されており、もちろん、本明細書で
説明され、クレームされた発明を具体的に限定するものと理解してはならない。現在公知
であり、今後開発される全同等物を含む、当業者の範囲内にある本発明のかかる変型、及
び製剤における変更、又は実験的設計の些細な変更は、本明細書に組込まれた本発明の範
囲内にあると考えられる。
【0074】
6.実施例
以下の実施例は、上述のとおり、又は当業者に公知のとおり些細な変型による機能的で
あると考えられる、データの裏づけのない(prophetic)実施例である。これらの実施例
は本発明の範囲を限定するためではなく、例示するために役立つ。
【実施例1】
【0075】
図3Aに基づく経皮剤形を、接着剤中で15mg/cm2のフェンタニル遊離塩基を含む第1接
着剤層で調製した。第2接着剤層は接着剤中で15mg/cm2のナルメフェンHClを含んだ。デ
バイスのいくつかの2cm2部分を型抜きし、保護ライナーを除去し、各部分を固定化し、
試験管に添加した。経皮使い捨てデバイス内に含まれる一部の例でのデバイスから抽出可
能(及び潜在的に乱用に利用可能)なフェンタニル遊離塩基及びナルメフェンHClの量を
、以下の溶媒: リン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)、アルコール/水混合物、及びエチルエー
テル、を用いた抽出によって判定した。溶媒の15mL アリコートを各抽出で使用した。同
等量の0.1M リン酸緩衝液(pH6.5)と0.5M 塩化ナトリウム溶液を混合することによりPBS溶
液を調製した。アルコール/水混合物を75部の無水エタノールを25部の水と混合すること
により調製した。
【0076】
試験試料バイアルを実験ローラー上に配置し、20RPMで攪拌した。いくつかの1000μL
部分を5分間隔で抽出し、液体クロマトグラフィーで評価した。フェンタニル遊離塩基及
びナルメフェンHClの両方のアッセイを、液体クロマトグラフィーを用いて行った。
【0077】
フェンタニル遊離塩基のアッセイの結果は表1に示されており、ナメルフェンHClのア
ッセイの結果は表2に示されている。図4は、PBS、アルコール/水混合物、及びジエチル
エーテルによって、それぞれ、デバイスから抽出されたフェンタニル遊離塩基及びナルメ
フェンHClの量(マイクログラム/分)を示す。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【実施例2】
【0080】
図3Aによる経皮剤形を、接着剤中で15mg/cm2のフェンタニル遊離塩基を含む第1接着
剤層で、調製した。第2接着剤層は、接着剤中にほぼ同量のナルトレキソン及びナルメフ
ェンHClを、総添加量は15mg/cm2で含んでいた。デバイスのうち、2cm2部分をいくつか型
抜きし、保護ライナーを除去し、各部分を固定化し、試験管に添加した。経皮使い捨てシ
ステム内に含まれる一部の例でのデバイスから抽出可能(及び潜在的に乱用に利用可能)な
フェンタニル遊離塩基、ナルメフェンHCl、及びナルトレキソンの量を、以下の溶媒:PBS
、アルコール/水混合物、及びジエチルエーテル、を用いた抽出により測定した。溶媒の1
5mL アリコートを各抽出で使用した。0.1M リン酸緩衝液(pH6.5)と0.5M 塩化ナトリウム
溶液を等量混合することにより、PBS溶液を調製した。アルコール/水混合物を75部の無水
エタノールを25部の水と混合することにより調製した。
【0081】
試験試料バイアルを実験ローラー上に配置し、20RPMで攪拌した。いくつかの1000μL部
分を5分間隔で抽出し、液体クロマトグラフィーで評価した。フェンタニル遊離塩基、ナ
ルメフェンHCl、及びナルトレキソンのアッセイは、液体クロマトグラフィーを用いて行
った。
【0082】
フェンタニル遊離塩基、ナルメフェンHCl、及びナルトレキソンのアッセイの結果は各
々、表3、4、及び5に示されている。図5は、PBS、アルコール/水混合物、及びジエチ
ルエーテルにより、各々、デバイスから抽出されたフェンタニル遊離塩基、ナルメフェン
HCl、及びナルトレキソンの量(マイクログラム/分)を示す。
【0083】
【表3】

【0084】
【表4】

【0085】
【表5】

【実施例3】
【0086】
表6は、実施例1及び2で試験されたパッチの30分後に得られたデータを示す。
【0087】
【表6】

【0088】
列挙された比は、抽出拮抗薬の総量で割った抽出フェンタニルの量である。
【0089】
表6に示されているように、本発明の例示的な経皮剤形の抽出により、オピオイドと拮
抗薬の混合物が生じる。オピオイド、拮抗薬遊離塩基、及び拮抗薬塩を有するパッチにお
ける総抽出拮抗薬に対する抽出オピオイドの比は、オピオイド及び拮抗薬塩のみを有する
経皮デバイスの同比よりも低い。例示的な経皮剤形の抽出は、オピオイド及び拮抗薬塩の
みを含有するデバイスに関連する抽出拮抗薬に対する抽出オピオイドの比を低めるため、
本発明の経皮剤形は、オピオイド等の製剤の乱用を阻止又は予防するために有用である点
で有利である。
【実施例4】
【0090】
フェンタニル遊離塩基(5.0g)をエタノール(20g)に添加して混合する。ナロキソンHCl(2
.5g)を水(50g)及びプロピレングリコール(10g)に添加し、溶解するまで混合する。ナロ
キソンHCl溶液に、エタノール(10g)中でナルトレキソン(2.5g)を添加する。結果として生
じる溶液をフェンタニル溶液と混合し、リザーバ賦形剤を形成する。ヒドロキシプロピル
セルロースを、粘度調節のために溶液総重量の0.2〜5.0%で添加する。中間隔膜(COTRAN
9702、3M社)を皮膚接触接着剤(Solutina 737)でコーティングし、接着剤を可撤性放出ラ
イナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)によって保護する。裏打ちフィルム(COTRAN 9701、3M社)
を膜に積層し、部分的に開放してリザーバ賦形剤による垂直の充填を可能にする。リザー
バ賦形剤による充填で5.0mg/cm2フェンタニルのローディング後、開口を積層し、ヒート
シールリザーバ型経皮剤形を得る。リザーバは、総拮抗薬1部に対してフェンタニル1部
の比率を含有し、拮抗薬の比率は、ナルトレキソン1部に対してナロキソンHCl1部であ
る。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると同時に、オピオイドの乱用
を予防又は阻止するために有用である。
【実施例5】
【0091】
フェンタニル遊離塩基(5.0g)をエタノール(25g)に添加して混合する。ナロキソンHCl(0
.25g)を水(44g)及びプロピレングリコール(5g)に添加し、溶解するまで混合する。ナロキ
ソンHCl溶液に、エタノール(20g)中でナルトレキソン(0.25g)を添加する。結果として生
じる溶液をフェンタニル溶液と混合し、リザーバ賦形剤を形成する。ヒドロキシプロピル
セルロースを粘度調節のために溶液総重量の0.2〜5.0%で添加する。中間隔膜(Medifilm
390、Mylan)を皮膚接触接着剤(National Starch 387-2051)でコーティングし、接着剤を
可撤性放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)によって保護する。裏打ちフィルム(SCOTCH
PAK 9735、3M社)を膜に積層し、部分的に開放してリザーバ賦形剤による垂直の充填を可
能にする。リザーバ賦形剤による充填で5.0mg/cm2フェンタニルのローディング後、開口
を積層し、ヒートシールリザーバ型経皮剤形を得る。リザーバは、総拮抗薬1部に対する
フェンタニル10部の比率を含有し、拮抗薬の比はナルトレキソン1部に対してナロキソン
HCl1部である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると同時に、オピ
オイドの乱用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例6】
【0092】
フェンタニル遊離塩基(10g)をエタノール(20g)に添加して混合する。ナロキソンHCl(8g
)を水(37.5g)及びプロピレングリコール(7.5g)に添加し、溶解するまで混合する。ナロキ
ソンHCl溶液に、エタノール(15g)中でナルトレキソン(2g)を添加する。結果として生じる
溶液をフェンタニル溶液と混合し、リザーバ賦形剤を形成する。ヒドロキシプロピルセル
ロースを粘度調節のために溶液総重量の0.2〜5.0%で添加する。中間隔膜(COTRAN 9726、
3M社)を皮膚接触接着剤(Solutina 737)でコーティングし、接着剤を可撤性放出ライナー(
SCOTCHPAK 1022、3M社)によって保護する。裏打ちフィルム(SCOTCHPAK 9735、3M社)を
膜に積層し、部分的に開放してリザーバ賦形剤による垂直の充填を可能にする。リザーバ
賦形剤による充填で2.5mg/cm2フェンタニルのローディング後、開口を積層し、ヒートシ
ールリザーバ型経皮剤形を得る。リザーバは、総拮抗薬1部に対するフェンタニル1部の
比を含有し、拮抗薬の比はナルトレキソン1部に対してナロキソンHCl4部である。この
経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると同時に、オピオイドの乱用を予防又
は阻止するために有用である。
【実施例7】
【0093】
フェンタニル遊離塩基(10g)をエタノール(25g)に添加して混合する。ナロキソンHCl(2g
)を水(25g)及びプロピレングリコール(5g)に添加し、溶解するまで混合する。ナロキソン
HCl溶液に、エタノール(25g)中でナルトレキソン(8g)を添加する。結果として生じる溶
液をフェンタニル溶液と混合し、リザーバ賦形剤を形成する。ヒドロキシプロピルセルロ
ースを粘度調節のために、溶液総重量の0.2〜5.0%で添加する。中間隔膜(COTRAN 9726、
3M社)を皮膚接触接着剤(Solutina 737)でコーティングし、接着剤を可撤性放出ライナー(
SCOTCHPAK 1022、3M社)によって保護する。裏打ちフィルム(SCOTCHPAK 9735、3M社)を膜
に積層し、部分的に開放してリザーバ賦形剤による垂直の充填を可能にする。リザーバ賦
形剤による充填で2.5mg/cm2フェンタニルのローディング後、開口を積層し、ヒートシー
ルリザーバ型経皮剤形を得る。リザーバは、総拮抗薬1部に対するフェンタニル1部の比
を含有し、拮抗薬の比はナルトレキソン4部に対してナロキソンHCl1部である。この経
皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると同時に、オピオイドの乱用を予防又は
阻止するために有用である。
【実施例8】
【0094】
フェンタニル遊離塩基(5.0g)をエタノール(15g)に添加して混合する。ナロキソンHCl(0
.9g)を水(59g)及びプロピレングリコール(10g)に添加し、溶解するまで混合する。ナロキ
ソンHCl溶液に、エタノール(10g)中でナルトレキソン(0.1g)を添加する。結果として生じ
る溶液をフェンタニル溶液と混合し、リザーバ賦形剤を形成する。ヒドロキシプロピルセ
ルロースを粘度調節のために、溶液総重量の0.2〜5.0%で添加する。中間隔膜(COTRAN 97
26、3M社)を皮膚接触接着剤(Solutina 737)でコーティングし、接着剤を可撤性放出ライ
ナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)によって保護する。リザーバ賦形剤による充填で5.0mg/cm2
フェンタニルのローディング後、裏打ちフィルム(SCOTCHPAK 9735、3M社)を膜に積層し、
ヒートシールリザーバ型経皮剤形を得る。リザーバは、総拮抗薬1部に対するフェンタニ
ル5部の比を含有し、拮抗薬の比はナルトレキソン1部に対してナロキソンHCl9部であ
る。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると同時に、オピオイドの乱用
を予防又は阻止するために有用である。
【実施例9】
【0095】
フェンタニル遊離塩基(7.5g)をエタノール(12.5g)に添加して混合する。ナロキソンHCl
(0.25g)を水(68g)及びプロピレングリコール(3g)に添加し、溶解するまで混合する。ナロ
キソンHCl溶液に、エタノール(7.5g)中でナルトレキソン(1.25g)を添加する。結果として
生じる溶液をフェンタニル溶液と混合し、リザーバ賦形剤を形成する。ヒドロキシプロピ
ルセルロースを粘度調節のために溶液総重量の0.2〜5.0%で添加する。中間隔膜(COTRAN
9726、3M社)を皮膚接触接着剤(Solutina 737)でコーティングし、接着剤を可撤性放出ラ
イナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)によって保護する。リザーバ賦形剤による充填で5.0mg/cm
2フェンタニルのローディング後、裏打ちフィルム(SCOTCHPAK 9735、3M社)を膜に積層し
、ヒートシールリザーバ型経皮剤形を得る。リザーバは、総拮抗薬1部に対するフェンタ
ニル5部の比を含有し、拮抗薬の比はナルトレキソン5部に対してナロキソンHCl1部で
ある。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると同時に、オピオイドの乱
用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例10】
【0096】
フェンタニル遊離塩基(5.0g)及びラウリン酸(2.5g)をエタノール(15g)に添加して混合
する。ナロキソンHCl(2.5g)を水(45g)に添加し、溶解するまで混合する。ナロキソンHCl
溶液に、エタノール(15g)中でナルトレキソン(2.5g)を添加する。結果として生じる溶液
をフェンタニル溶液と混合し、リザーバ賦形剤を形成する。ヒドロキシプロピルセルロー
スを粘度調節のために、溶液総重量の0.2〜5.0%で添加する。中間隔膜(COTRAN 9726、3M
社)を皮膚接触接着剤(Solutina 737)でコーティングし、接着剤を可撤性放出ライナー(SC
OTCHPAK 1022、3M社)によって保護する。リザーバ賦形剤による充填で5.0mg/cm2フェンタ
ニルのローディング後、裏打ちフィルム(SCOTCHPAK 9735、3M社)を膜に積層し、ヒートシ
ールリザーバ型経皮剤形を得る。リザーバは、総拮抗薬1部に対するフェンタニル1部の
比を含有し、拮抗薬の比はナルトレキソン1部に対してナロキソンHCl1部である。この
経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると同時に、オピオイドの乱用を予防又
は阻止するために有用である。
【実施例11】
【0097】
フェンタニル遊離塩基(10g)をメタノール(90g)に添加して混合する。ナロキソン遊離塩
基(5g)をメタノール(25g)中で溶解し、ナルトレキソンHCl(5g)を水(25g)中で溶解し、2
つの溶液を混合して、フェンタニル溶液に添加する。溶媒性感圧接着剤(Dow Silicones#
7-4400)を、固体重量で90%接着剤固体、5%フェンタニル、2.5%ナロキソン遊離塩基、
及び2.5%ナルトレキソンHClを含有する結合溶液を生成するのに十分な量で溶液に加える
。フェンタニル-接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、乾
燥させて溶媒を除去する。コーティング層は15mg/cm2でローディングするフェンタニル遊
離塩基を含有する。ポリエチレンフィルム重畳裏打ちテープ(SCOTCHPAK 9732、3M社)を接
着剤層の上面に加熱積層する。結果として生じる経皮剤形は、総拮抗薬1部に対してフェ
ンタニル1部の比を含有し、拮抗薬の比はナルトレキソンHCl1部に対してナロキソン遊
離塩基1部である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると同時に、オ
ピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例12】
【0098】
フェンタニル遊離塩基(10g)をメタノール(90g)に添加して混合する。ナロキソン遊離塩
基(0.5g)をメタノール(25g)中で溶解し、ナルトレキソンHCl(0.5g)を水(25g)中で溶解し
、2つの溶液を混合し、フェンタニル溶液に添加する。溶媒性感圧接着剤(Dow Silicones
#7-4400)を、固体重量で94%接着剤固体、5%フェンタニル、0.25%ナロキソン遊離塩基
、及び0.25%ナルトレキソンHClを含有する結合溶液を生成するのに十分な量で溶液に加
える。フェンタニル-接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み
、乾燥させて溶媒を除去する。コーティング層は15mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のロー
ディングを含有する。ポリエチレンフィルム重畳裏打ちテープ(SCOTCHPAK 9732、3M社)
を接着剤層の上面に加熱積層する。結果として生じる経皮剤形は、総拮抗薬1部に対して
フェンタニル10部の比を含有し、拮抗薬の比はナルトレキソンHCl1部に対してナロキソ
ン遊離塩基1部である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると同時に
、オピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例13】
【0099】
フェンタニル遊離塩基(10g)をメタノール(90g)に添加して混合する。ナロキソン遊離塩
基(8g)をメタノール(45g)中で溶解し、ナルトレキソンHCl(2g)を水(25g)中で溶解し、2
つの溶液を混合し、フェンタニル溶液に添加する。溶媒性感圧接着剤(Solutina 737)を、
固体重量で90%接着剤固体、5%フェンタニル、4%ナロキソン遊離塩基、及び1%ナルト
レキソンHClを含有する結合溶液を生成するのに十分な量で溶液に加える。フェンタニル-
接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、乾燥させて溶媒を除
去する。コーティング層は15mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のローディングを含有する。
ポリエチレンフィルム重畳裏打ちテープ(SCOTCHPAK 9732、3M社)を接着剤層の上面に加熱
積層する。結果として生じる経皮剤形は、総拮抗薬1部に対してフェンタニル1部の比を
含有し、拮抗薬の比はナルトレキソンHCl1部に対してナロキソン遊離塩基4部である。
この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると同時に、オピオイドの乱用を予
防又は阻止するために有用である。
【実施例14】
【0100】
フェンタニル遊離塩基(10g)をメタノール(90g)に添加して混合する。ナロキソン遊離塩
基(2g)をメタノール(25g)中で溶解し、ナルトレキソンHCl(8g)を水(45g)中で溶解し、2
つの溶液を混合し、フェンタニル溶液に添加する。溶媒性感圧接着剤(Solutina 737)を、
固体重量で90%接着剤固体、5%フェンタニル、1%ナロキソン遊離塩基、及び4%ナルト
レキソンHClを含有する結合溶液を生成するのに十分な量で溶液に加える。フェンタニル
−接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、乾燥させて溶媒を
除去する。コーティング層は15mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のローディングを含有する
。ポリエチレンフィルム重畳裏打ちテープ(SCOTCHPAK 9732、3M社)を接着剤層の上面に加
熱積層する。結果として生じる経皮剤形は、総拮抗薬1部に対してフェンタニル1部の比
を含有し、拮抗薬の比はナルトレキソンHCl4部に対してナロキソン遊離塩基1部である
。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると同時に、オピオイドの乱用を
予防又は阻止するために有用である。
【実施例15】
【0101】
フェンタニル遊離塩基(10g)をメタノール(90g)に添加して混合する。ナロキソン遊離塩
基(1.8g)をメタノール(20g)中で溶解し、ナルトレキソンHCl(0.2g)を水(15g)中で溶解し
、2つの溶液を混合し、フェンタニル溶液に添加する。溶媒性感圧接着剤(Solutina 737)
を、固体重量で94%接着剤固体、5%フェンタニル、0.9%ナロキソン遊離塩基、及び0.1
%ナルトレキソンHClを含有する結合溶液を生成するのに十分な量で溶液に加える。フェ
ンタニル−接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、乾燥させ
て溶媒を除去する。コーティング層は15mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のローディングを
含有する。ポリエチレンフィルム重畳裏打ちテープ(SCOTCHPAK 9732、3M社)を接着剤層の
上面に加熱積層する。結果として生じる経皮剤形は、総拮抗薬1部に対してフェンタニル
5部の比を含有し、拮抗薬の比はナルトレキソンHCl1部に対してナロキソン遊離塩基9
部である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると同時に、オピオイド
の乱用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例16】
【0102】
フェンタニル遊離塩基(7.5g)をメタノール(90g)に添加して混合する。ナロキソン遊離
塩基(0.25g)をメタノール(20g)中で溶解し、ナルトレキソンHCl(1.25g)を水(20g)中で溶
解し、2つの溶液を混合し、フェンタニル溶液に添加する。溶媒性感圧接着剤(Solutina
737)を、固体重量で91%接着剤固体、7.5%フェンタニル、0.25%ナロキソン遊離塩基、
及び1.25%ナルトレキソンHClを含有する結合溶液を生成するのに十分な量で溶液に加え
る。フェンタニル−接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、
乾燥させて溶媒を除去する。コーティング層は15mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のローデ
ィングを含有する。ポリエチレンフィルム重畳裏打ちテープ(SCOTCHPAK 9732、3M社)を接
着剤層の上面に加熱積層する。結果として生じる経皮剤形は、総拮抗薬1部に対してフェ
ンタニル5部の比を含有し、拮抗薬の比はナルトレキソンHCl5部に対してナロキソン遊
離塩基1部である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると同時に、オ
ピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例17】
【0103】
フェンタニル 遊離塩基(10g)をメタノール(90g)に添加して混合する。溶媒性感圧接着
剤(Dow Silicones#7-4402)を、固体重量で90%接着剤固体と10%フェンタニルとを含有
する結合フェンタニル−接着剤混合物を生成するのに十分な量で溶液に加える。
【0104】
ナロキソンHCl(5g)を水(25g)中で溶解し、ナルメフェン遊離塩基(5g)をメタノール(25
g)中で溶解し、2つの溶液を結合し、上記のとおり接着剤混合物に添加し、固体重量で90
%接着剤固体、5%ナルメフェン遊離塩基、及び5%ナロキソンHClを含有するナロキソンH
Cl-ナルメフェン-接着剤混合物を形成する。
【0105】
フェンタニル-接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、乾
燥させて溶媒を除去する。コーティング層は15mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のローディ
ングを含有する。ナロキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を隔膜(SCOTCHPAK 1006、3M
社)上に流し込み、乾燥させて溶媒を除去する。ナロキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合
物コーティングは、15mg/cm2の結合ナロキソンHCl及びナルメフェンローティングを含有
する。次に、フェンタニル含有層が隔膜によって拮抗薬含有層から分離されるように、隔
膜を放出ライナー上に積層する。結果として生じる2層コートライナーをポリエステルフ
ィルムオーバーレイ(SCOTCHPAK 9732、3M社から入手可能)上に積層する。経皮剤形は、総
拮抗薬1部に対してフェンタニル1部の比を含有し、拮抗薬の比はナルメフェン1部に対
してナロキソンHCl1部である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防する
と同時に、オピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例18】
【0106】
フェンタニル 遊離塩基(10g)をメタノール(90g)に添加して混合する。溶媒性感圧接着
剤(Dow Silicones#7-4402)を、固体重量で90%接着剤固体と10%フェンタニルを含有す
る結合フェンタニル-接着剤混合物を生成するのに十分な量で溶液に加える。
【0107】
ナロキソンHCl(0.5g)を水(20g)中で溶解し、ナルメフェン遊離塩基(0.5g)をメタノール
(20g)中で溶解し、2つの溶液を結合し、上記のとおり接着剤混合物に添加し、固体重量で
99%接着剤固体、0.5%ナルメフェン遊離塩基、及び0.5%ナロキソンHClを含有するナロ
キソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を形成する。
【0108】
フェンタニル-接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、乾
燥させて溶媒を除去する。コーティング層は13.5mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のローデ
ィングを含有する。ナロキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を隔膜(SCOTCHPAK 1006、
3M社)上に流し込み、乾燥させて溶媒を除去する。ナロキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混
合物コーティングは、1.5mg/cm2の結合ナロキソンHCl及びナルメフェンローティングを含
有する。次に、フェンタニル含有層が隔膜によって拮抗薬含有層から分離されるように、
隔膜を放出ライナー上に積層する。結果として生じる2層コートライナーをポリエステル
フィルムオーバーレイ(SCOTCHPAK 9732、3M社から入手可能)上に積層する。経皮剤形は、
総拮抗薬1部に対してフェンタニル10部の比を含有し、拮抗薬の比はナルメフェン1部に
対してナロキソンHCl1部である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防す
ると同時に、オピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例19】
【0109】
フェンタニル 遊離塩基(10g)をメタノール(90g)に添加して混合する。溶媒性感圧接着
剤(Dow Silicones#7-4402)を、固体重量で90%接着剤固体と10%フェンタニルを含有す
る結合フェンタニル-接着剤混合物を生成するのに十分な量で溶液に加える。
【0110】
ナルトレキソンHCl(5g)を水(25g)中で溶解し、ナルメフェン遊離塩基(5g)をメタノール
(25g)中で溶解し、2つの溶液を結合し、上記のとおり接着剤混合物に添加し、固体重量
で90%接着剤固体、5%ナルメフェン遊離塩基、及び5%ナルトレキソンHClを含有するナ
ルトレキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を形成する。
【0111】
フェンタニル-接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、乾
燥させて溶媒を除去する。コーティング層は15mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のローディ
ングを含有する。ナルトレキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を隔膜(SCOTCHPAK 1006
、3M社)上に流し込み、乾燥させて溶媒を除去する。ナルトレキソンHCl-ナルメフェン-接
着剤混合物コーティングは、15mg/cm2の結合ナロキソンHCl及びナルメフェンローティン
グを含有する。次に、フェンタニル含有層が隔膜によって拮抗薬含有層から分離されるよ
うに、隔膜を放出ライナー上に積層する。結果として生じる2層コートライナーをポリエ
ステルフィルムオーバーレイ(SCOTCHPAK 9732、3M社から入手可能)上に積層する。経皮剤
形は、総拮抗薬1部に対してフェンタニル1部の比を含有し、拮抗薬の比はナルメフェン
1部に対してナルトレキソンHCl1部である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療
又は予防すると同時に、オピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例20】
【0112】
フェンタニル 遊離塩基(10g)をメタノール(90g)に添加して混合する。溶媒性感圧接着
剤(Dow Silicones#7-4402)を、固体重量で90%接着剤固体と10%フェンタニルを含有す
る結合フェンタニル-接着剤混合物を生成するのに十分な量で溶液に加える。
【0113】
ナルトレキソンHCl(0.5g)を水(20g)中で溶解し、ナルメフェン遊離塩基(0.5g)をメタノ
ール(20g)中で溶解し、2つの溶液を結合し、上記のとおり接着剤混合物に添加し、固体重
量で99%接着剤固体、0.5%ナルメフェン遊離塩基、及び0.5%ナルトレキソンHClを含有
するナルトレキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を形成する。
【0114】
フェンタニル−接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、
乾燥させて溶媒を除去する。コーティング層は13.5mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のロー
ディングを含有する。ナルトレキソンHCl−ナルメフェン−接着剤混合物を隔膜(SCOTCHP
AK 1006、3M社)上に流し込み、乾燥させて溶媒を除去する。ナルトレキソンHCl−ナルメ
フェン−接着剤混合物コーティングは、1.5mg/cm2の結合ナルトレキソンHCl及びナルメフ
ェンローティングを含有する。次に、フェンタニル含有層が隔膜によって拮抗薬含有層か
ら分離されるように、隔膜を放出ライナー上に積層する。結果として生じる2層コートラ
イナーをポリエステルフィルムオーバーレイ(SCOTCHPAK 9732、3M社から入手可能)上に
積層する。経皮剤形は、総拮抗薬1部に対してフェンタニル10部の比を含有し、拮抗薬の
比はナルメフェン1部に対してナルトレキソンHCl1部である。この経皮剤形は、動物に
おける疼痛を治療又は予防すると同時に、オピオイドの乱用を予防又は阻止するために有
用である。
【実施例21】
【0115】
フェンタニル 遊離塩基(5.0g)をメタノール(90g)に添加して混合する。溶媒性感圧接着
剤(Dow Silicones#7-4402)を、固体重量で90%接着剤固体と10%フェンタニルを含有す
る結合フェンタニル−接着剤混合物を生成するのに十分な量で溶液に加える。
【0116】
ナロキソンHCl(0.9g)を水(20g)中で溶解し、ナルメフェン遊離塩基(0.1g)をメタノール
(20g)中で溶解し、2つの溶液を結合し、上記のとおり接着剤混合物に添加し、固体重量
で99%接着剤固体、0.9%ナルメフェン遊離塩基、及び0.1%ナロキソンHClを含有するナ
ロキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を形成する。
【0117】
フェンタニル−接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、乾
燥させて溶媒を除去する。コーティング層は12mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のローディ
ングを含有する。ナロキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を隔膜(SCOTCHPAK 1006、3M
社)上に流し込み、乾燥させて溶媒を除去する。ナロキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合
物コーティングは、3mg/cm2の結合ナロキソンHCl及びナルメフェンローティングを含有す
る。次に、フェンタニル含有層が隔膜によって拮抗薬含有層から分離されるように、隔膜
を放出ライナー上に積層する。結果として生じる2層コートライナーをポリエステルフィ
ルムオーバーレイ(SCOTCHPAK 9732、3M社から入手可能)上に積層する。経皮剤形は、総拮
抗薬1部に対してフェンタニル5部の比を含有し、拮抗薬の比はナルメフェン1部に対し
てナロキソンHCl9部である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると
同時に、オピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例22】
【0118】
フェンタニル 遊離塩基(7.5g)をメタノール(75g)に添加して混合する。溶媒性感圧接着
剤(Dow Silicones#7-4402)を、固体重量で90%接着剤固体と10%フェンタニルを含有す
る結合フェンタニル−接着剤混合物を生成するのに十分な量で溶液に加える。
【0119】
ナロキソンHCl(0.25g)を水(20g)中で溶解し、ナルメフェン遊離塩基(1.25g)をメタノー
ル(20g)中で溶解し、2つの溶液を結合し、上記のとおり接着剤混合物に添加し、固体重量
で97.75%接着剤固体、0.375%ナルメフェン遊離塩基、及び1.875%ナロキソンHClを含有
するナロキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を形成する。
【0120】
フェンタニル-接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、乾
燥させて溶媒を除去する。コーティング層は15mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のローディ
ングを含有する。ナロキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を隔膜(SCOTCHPAK 1006、3M
社)上に流し込み、乾燥させて溶媒を除去する。ナロキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合
物コーティングは、3mg/cm2の結合ナロキソンHCl及びナルメフェンローティングを含有
する。次に、フェンタニル含有層が隔膜によって拮抗薬含有層から分離されるように、隔
膜を放出ライナー上に積層する。結果として生じる2層コートライナーをポリエステルフ
ィルムオーバーレイ(SCOTCHPAK 9732、3M社から入手可能)上に積層する。経皮剤形は、総
拮抗薬1部に対してフェンタニル5部の比を含有し、拮抗薬の比はナルメフェン5部に対
してナロキソンHCl1部である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防する
と同時に、オピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例23】
【0121】
フェンタニル 遊離塩基(10g)をメタノール(90g)に添加して混合する。溶媒性感圧接着
剤(Dow Silicones#7-4402)を、固体重量で90%接着剤固体と10%フェンタニルを含有す
る結合フェンタニル−接着剤混合物を生成するのに十分な量で溶液に加える。
【0122】
ナルトレキソンHCl(0.2g)を水(20g)中で溶解し、ナルメフェン遊離塩基(1.8g)をメタノ
ール(20g)中で溶解し、2つの溶液を結合し、上記のとおり接着剤混合物に添加し、固体
重量で98%接着剤固体、1.8%ナルメフェン遊離塩基、及び0.2%ナルトレキソンHClを含
有するナルトレキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を形成する。
【0123】
フェンタニル-接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、乾
燥させて溶媒を除去する。コーティング層は15mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のローディ
ングを含有する。ナルトレキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を隔膜(SCOTCHPAK 1006
、3M社)上に流し込み、乾燥させて溶媒を除去する。ナルトレキソンHCl-ナルメフェン-接
着剤混合物コーティングは、3mg/cm2の結合ナルトレキソンHCl及びナルメフェンローティ
ングを含有する。次に、フェンタニル含有層が隔膜によって拮抗薬含有層から分離される
ように、隔膜を放出ライナー上に積層する。結果として生じる2層コートライナーをポリ
エステルフィルムオーバーレイ(SCOTCHPAK 9732、3M社から入手可能)上に積層する。経皮
剤形は、総拮抗薬1部に対してフェンタニル5部の比を含有し、拮抗薬の比はナルメフェ
ン9部に対してナルトレキソンHCl1部である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療
又は予防すると同時に、オピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例24】
【0124】
フェンタニル 遊離塩基(7.5g)をメタノール(75g)に添加して混合する。溶媒性感圧接着
剤(Dow Silicones#7-4402)を、固体重量で90%接着剤固体と10%フェンタニルを含有す
る結合フェンタニル-接着剤混合物を生成するのに十分な量で溶液に加える。
【0125】
ナロキソンHCl(0.9g)を水(20g)中で溶解し、ナルメフェン遊離塩基(0.1g)をメタノール
(20g)中で溶解し、2つの溶液を結合し、上記のとおり接着剤混合物に添加し、固体重量
で99%接着剤固体、0.1%ナルメフェン遊離塩基、及び0.9%ナロキソンHClを含有するナ
ロキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を形成する。
【0126】
フェンタニル-接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、乾
燥させて溶媒を除去する。コーティング層は15mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のローディ
ングを含有する。ナロキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を隔膜(SCOTCHPAK 1006、3M
社)上に流し込み、乾燥させて溶媒を除去する。ナロキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合
物コーティングは、1.0mg/cm2の結合ナロキソンHCl及びナルメフェンローティングを含有
する。次に、フェンタニル含有層が隔膜によって拮抗薬含有層から分離されるように、隔
膜を放出ライナー上に積層する。結果として生じる2層コートライナーをポリエステルフ
ィルムオーバーレイ(SCOTCHPAK 9732、3M社から入手可能)上に積層する。経皮剤形は、
総拮抗薬1部に対してフェンタニル15部の比を含有し、拮抗薬の比はナルメフェン1部に
対してナロキソンHCl9部である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防す
ると同時に、オピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例25】
【0127】
フェンタニル 遊離塩基(21g)をメタノール(150g)に添加して混合する。溶媒性感圧接着
剤(Dow Silicones#7-4402)を、固体重量で90%接着剤固体と10%フェンタニルを含有す
る結合フェンタニル−接着剤混合物を生成するのに十分な量で溶液に加える。
【0128】
ナルトレキソンHCl(2g)を水(20g)中で溶解し、ナルメフェン遊離塩基(5g)をメタノール
(25g)中で溶解し、2つの溶液を結合し、上記のとおり接着剤混合物に添加し、固体重量で
95.975%接着剤固体、2.875%ナルメフェン遊離塩基、及び1.15%ナルトレキソンHClを含
有するナルトレキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を形成する。
【0129】
フェンタニル−接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、
乾燥させて溶媒を除去する。コーティング層は12mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のローデ
ィングを含有する。ナルトレキソンHCl−ナルメフェン−接着剤混合物を隔膜(SCOTCHPAK
1006、3M社)上に流し込み、乾燥させて溶媒を除去する。ナルトレキソンHCl−ナルメフ
ェン−接着剤混合物コーティングは、4mg/cm2の結合ナルトレキソンHCl及びナルメフェ
ンローティングを含有する。次に、フェンタニル含有層が隔膜によって拮抗薬含有層から
分離されるように、隔膜を放出ライナー上に積層する。結果として生じる2層コートライ
ナーをポリエステルフィルムオーバーレイ(SCOTCHPAK 9732、3M社から入手可能)上に積
層する。経皮剤形は、総拮抗薬1部に対してフェンタニル3部の比を含有し、拮抗薬の比
はナルメフェン2.5部に対してナルトレキソンHCl1部である。この経皮剤形は、動物にお
ける疼痛を治療又は予防すると同時に、オピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用
である。
【実施例26】
【0130】
フェンタニル 遊離塩基(6g)をメタノール(65g)に添加して混合する。溶媒性感圧接着剤
(Dow Silicones#7-4402)を、固体重量で88%接着剤固体と12%フェンタニルを含有する
結合フェンタニル−接着剤混合物を生成するのに十分な量で溶液に加える。
【0131】
ナルトレキソンHCl(0.33g)を水(15g)中で溶解し、ナルメフェン遊離塩基(0.67g)をメタ
ノール(20g)中で溶解し、2つの溶液を結合し、上記のとおり接着剤混合物に添加し、固体
重量で97%接着剤固体、2%ナルメフェン遊離塩基、及び1%ナルトレキソンHClを含有す
るナルトレキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を形成する。
【0132】
フェンタニル-接着剤混合物を放出ライナー(SCOTCHPAK 1022、3M社)上に流し込み、乾
燥させて溶媒を除去する。コーティング層は12mg/cm2のフェンタニル遊離塩基のローディ
ングを含有する。ナルトレキソンHCl-ナルメフェン-接着剤混合物を隔膜(SCOTCHPAK 1006
、3M社)上に流し込み、乾燥させて溶媒を除去する。ナルトレキソンHCl-ナルメフェン-接
着剤混合物コーティングは、2mg/cm2の結合ナルトレキソンHCl及びナルメフェンローティ
ングを含有する。次に、フェンタニル含有層が隔膜によって拮抗薬含有層から分離される
ように、隔膜を放出ライナー上に積層する。結果として生じる2層コートライナーをポリ
エステルフィルムオーバーレイ(SCOTCHPAK 9732、3M社から入手可能)上に積層する。経皮
剤形は、総拮抗薬1部に対してフェンタニル6部の比を含有し、拮抗薬の比はナルメフェ
ン2部に対してナルトレキソンHCl1部である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治
療又は予防すると同時に、オピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用である。
【実施例27】
【0133】
15mg/cm2フェンタニル経皮デバイス実施例17〜26に従い調製する。しかし、この実施例
においては、拮抗薬-接着剤層を、分離しているが隣接した2つの層として移動剤形に調
製し、組込み、第1層はナロキソンHCl接着剤混合物を含有し、ナロキソンHClローディン
グは7.5mg/cm2であり、第2層はナルメフェン-接着剤混合物を含有し、ナルメフェンロー
ディングは7.5mg/cm2である。この経皮剤形は、動物における疼痛を治療又は予防すると
同時に、オピオイドの乱用を予防又は阻止するために有用である。
【0134】
本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態によって範囲が限定されることにはな
らない。実際には、本明細書に記載されているものに加えて本発明の種々の変型が、上述
の説明及び添付の図面から当業者には明白になるであろう。かかる変型は、添付の特許請
求の範囲内に含まれることを目的としている。
【0135】
すべての引例文献は、本明細書中で参照によって援用される。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】リザーバ型経皮剤形を示す概略断面図である。
【図2】ポリマーマトリックス経皮剤形を示す概略断面図である。
【図3】接着剤中薬剤経皮剤形を示す概略断面図である。
【図3A】別の接着剤中薬剤経皮剤形を示す概略断面図である。
【図4】抽出オピオイド又は拮抗薬の量対時間を示すグラフである。
【図5】抽出オピオイド又は拮抗薬の量対時間を示すグラフである。
【符号の説明】
【0137】
10 経皮剤形
11 リザーバ
12 分散液
13 活性剤
14 拮抗訳遊離塩基
14a 拮抗薬塩
15 不浸透性裏打ちフィルム
16 律速膜
17 感圧接着剤
18 放出ライナー
20 経皮剤形
21 リザーバ
22 ポリマーマトリックス
23 活性剤
24 拮抗薬遊離塩基
24a 拮抗薬塩
25 不浸透性裏打ち層
26 接着剤
28 放出ライナー
30 経皮剤形
31 マトリックス
32 活性剤
33 拮抗薬遊離塩基
33a 活性剤
34 不浸透性裏打ち層
35 不浸透性放出ライナー
40 経皮剤形
41 第1接着剤マトリックス
42 活性剤
43 第2接着剤マトリックス
44 拮抗薬遊離塩基
44a 拮抗薬塩
45 バリア層
46 不浸透性重畳裏打ち層
47 不浸透性放出ライナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液及び/又は非水溶液中で抽出することによって、オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩を含有する経皮製剤に、不正加工防止を与える方法であって、前記経皮製剤中に、遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬及び医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬の両方を導入することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬が、前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩の陶酔効果を抑制するのに十分な量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬が、前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩の陶酔効果を抑制するのに十分な量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬及び前記医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬が共に、前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩の陶酔効果を抑制するのに十分な量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬及び前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬が、同一のオピオイド拮抗薬に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩の量が0.1〜500mgであり、かつ、前記オピオイド、又はその医薬的に許容しうる塩の、前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬及び前記医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬の総量との重量比率が15:1〜1:5である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩の量が0.1〜500mgであり、かつ、前記オピオイド、又はその医薬的に許容しうる塩の、前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬及び前記医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬の総量との重量比率が12:1〜4:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記経皮製剤が、オピオイド、又はその医薬的に許容しうる塩、前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬及び前記医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬を含むリザーバを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記経皮製剤がポリマーマトリックス型経皮製剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記経皮製剤が接着剤中薬剤型経皮製剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩が、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジヒドロモルフォン、ジヒドロイソモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトへプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロモルフォドン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パントポン、パパベレツム、パレゴリック、ペンタゾシン、フェナドクソン、フェンジメトラジン、フェンジメトラゾン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェタジン(propheptazine)、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、プロピルヘキセドリン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、それらの医薬的に許容しうる塩、及びそれらのうちあらゆる2つ若しくはそれ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩が、オキシコドン又はその医薬的に許容しうる塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩が、ヒドロコドン又はその医薬的に許容しうる塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩が、ブプレノルフィン又はその医薬的に許容しうる塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記オピオイド又はその医薬的に許容しうる塩が、フェンタニル又はその医薬的に許容しうる塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬がナルトレキソンであり、及び前記医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬がナロキソンHClである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬がナロキソンであり、前記医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬がナルトレキソンHClである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬がナルメフェンであり、前記医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬がナロキソンHClである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬がナルメフェンであり、前記医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬がナルトレキソンHClである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬が、シクラゾシン、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナルブフィン、ナロルフィン、シクラザシン、及びレバロルファンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記遊離塩基の形のオピオイド拮抗薬が、ナロキソン、ナルトレキソン、及びナルメフェンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬が、シクラゾシン、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナルブフィン、ナロルフィン、シクラザシン、及びレバロルファンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記医薬的に許容しうる塩の形のオピオイド拮抗薬が、ナロキソン、ナルトレキソン、及びナルメフェンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−163446(P2010−163446A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51569(P2010−51569)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【分割の表示】特願2004−531158(P2004−531158)の分割
【原出願日】平成15年8月20日(2003.8.20)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】