説明

活性化プロテインCおよび不活性化プロテインCに対するモノクロナール抗体

【課題】活性化プロテインCに対して選択的に結合するモノクローナル抗体およびその使用方法を提供する。
【解決手段】活性化プロテインCに選択的に結合しその抗凝血活性を阻害するが、不活性化プロテインCには結合しない、または不活性化プロテインCの活性化を阻害しない、あるいは内皮細胞プロテインC受容体またはリン脂質と活性化プロテインCまたは不活性化プロテインCとの結合を阻害し、かつ不活性化プロテインCの活性化を阻害する、モノクロナール抗体または抗体フラグメント、ならびに前記抗体を含む薬学的組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本出願は、全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2007年10月26日に出願された米国特許仮出願第60/983,092号の優先権の恩典を主張する。
【0002】
1. 発明の分野
本発明は一般に抗体の分野に関する。より具体的には、本発明は、活性化プロテインC(APC)に対して選択的に向けられるモノクロナール抗体および抗体フラグメントの同定および使用を記載する。
【背景技術】
【0003】
2. 関連技術の説明
血液凝固とは、最終的にはフィブリン血餅を生じさせる、様々な血液成分または因子の複雑な相互作用からなるプロセスである。一般に、凝固「カスケード」に関与する血液成分は、プロ酵素または酵素原(活性化因子の作用によって活性形態に転換される酵素的に不活性なタンパク質)である。血液凝固の制御は、大きくは、活性化プロテインC(APC)によって達成される第VaおよびVIIIaプロ凝固因子のタンパク分解不活性化によって酵素的に達成される(Esmon, 1989)。
【0004】
プロテインCは、APCの前駆体であり、強力な天然の抗凝血物質である。プロテインCは、トロンボモジュリン(TM)と複合したトロンビンによって活性化される。活性化は内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)によって増強される。Esmon(1999)によって考察されているように、TMおよびEPCRは、腫瘍壊死因子のような炎症伝達物質のせいで下方制御されることができる。TMおよびEPCRはまた、いくつかの形態の敗血症性ショック、特に髄膜炎菌血症において減少することがわかっている。EPCRおよびTMは内皮細胞で発現するため、血管を取り出さない限り、それらがいかに良好に機能しているのかを直接決定することは不可能である。
【0005】
APCは、プロ凝固因子をタンパク分解的に開裂し、かつ下方制御することにより、抗凝血物質として機能する。APCはまた、抗アポトーシス剤、抗炎症性分子および細胞保護物質として重要な機能を果たす。主要因の損失、たとえば血友病患者における第VIII因子の不在を通じてホメオスタシスが調節不全を起こす、または創傷プロセスが止血の一時的損失を生じさせる外傷患者における出血障害は、APCの除去によって治療することができる。しかし、そのような治療は、抗凝血活性の除去に加えて、APCの有益な機能を除く望まれない有害な結果を生じさせるおそれがある。したがって、APCの抗凝血活性を選択的に標的化しながらもこの分子の他の機能を無傷なまま残す治療剤を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
活性化プロテインCを認識するが、不活性化プロテインCを認識しないモノクロナール抗体の使用を含む、出血障害を治療する方法が開発され、本明細書に記載された。これに関して、本発明はまた、活性化プロテインCのタンパク分解活性部位に選択的に結合する、および/またはその部位を選択的にブロックするモノクロナール抗体を提供する。特定の態様において、そのような抗体は、活性化プロテインCの抗凝血活性を阻害することができるが、不活性化プロテインCの活性には影響することはない。特定の態様において、そのような抗体はまた、活性化プロテインCの細胞保護効果を保持することができる。したがって、本発明の方法はまた、活性化プロテインCの抗凝血活性を選択的に阻害することが望ましい場合、そのようなモノクロナール抗体を使用する治療を含む。
【0007】
したがって、本発明の特定の一般的局面は、活性化プロテインCに結合し、それを阻害するが、不活性化プロテインCには結合せず、それを阻害しないモノクロナール抗体を考える。たとえば、本発明の特定の態様は、活性化プロテインCに結合し、その抗凝血活性を阻害するが、不活性化プロテインCには結合せず、その活性化を阻害しないモノクロナール抗体を考える。特定の態様において、本発明のモノクロナール抗体はHAPC1573である。活性化プロテインCに結合し、その抗凝血活性を阻害する本発明の抗体は、インビボおよび/またはインビトロでそれを行うことができる。
【0008】
本発明の他のモノクロナール抗体、たとえば、内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)またはリン脂質の活性化プロテインC結合または不活性化プロテインC結合を阻害し、かつ不活性化プロテインCの活性化を阻害する抗体が考えられる。特定の局面において、そのような抗体は、マウス不活性化プロテインCのGlaドメインに結合する。そのような抗体は、インビトロまたはインビボ状況で使用することができる。
【0009】
本発明の抗体は、たとえば、マウス抗体であることができる。本発明の抗体は、たとえば、ヒト化抗体であることができる。本発明の抗体は薬学的組成物に含まれることができ、その場合、薬学的組成物はまた、薬学的に許容される担体をも含む。本発明の抗体はまた、抗体をインビトロまたはインビボで細胞と接触させる方法で使用することができる。
【0010】
同じく本発明によって考えられるものは、対象における活性化プロテインC抗凝血活性を阻害する方法であって、本発明の抗体の有効量を該対象(たとえば哺乳動物、たとえばヒト)に投与することを含む方法である。本発明の抗体の投与を含む本発明のこの方法または他の方法において、特定の態様において、活性化プロテインCの細胞保護効果は低下しない、すなわち、正常レベル内に留まることができる。
【0011】
また、対象における活性化プロテインCアミド分解活性を阻害する方法であって、本発明の抗体の有効量を該対象に投与することを含む方法が考えられる。
【0012】
同じく本発明によって考えられるものは、血液凝固を必要とする対象を治療する方法であって、本発明の抗体の有効量を該対象に投与することを含む方法である。そのような対象は、たとえば、血友病または出血を病む対象であることができる。
【0013】
また、敗血症を病む対象を治療する方法であって、本発明の抗体の有効量を投与することを含む方法が本明細書で考えられる。そのような方法もまた、活性化プロテインCの投与を使用することができる。
【0014】
同じく考えられるものは、血友病を病む対象を治療する方法であって、本発明の抗体の有効量を投与することを含む方法である。
【0015】
また、本発明の抗体は、たとえば、対象における止血を調節する、または対象における血栓症を調節する方法であって、本発明の抗体の有効量を投与することを含む方法に使用することができる。そのような方法もまた、活性化プロテインCの投与を使用することができる。
【0016】
本発明の特定の方法は、不活性化プロテインCの活性化を阻害する方法であって、本発明のモノクロナール抗体の有効量を対象に投与することを含む方法を考える。そのような方法に使用される抗体はまた、内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)またはリン脂質の活性化または不活性化プロテインC結合を阻害することができる。
【0017】
本発明の対象は、たとえば、哺乳動物、たとえばマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ウマまたはヒトであることができる。
【0018】
断りない限り、本明細書に記載される任意の抗体は抗体フラグメントであることができる。たとえば、抗体はさらに、いずれも周知のタイプの抗体フラグメントである、Fab'、Fab、F(ab')2、単一ドメイン抗体、FvまたはscFvとして定められることができる。断りない限り、本発明の抗体はまた、そのようなフラグメントを考える。
【0019】
用語「抗体」とは、抗原結合領域を有する抗体様分子を指すために使用され、以下に記載される抗体フラグメント、たとえばFab'、Fab、F(ab')2、単一ドメイン抗体(DAB)、Fv、scFv(単鎖Fv)などを含む。様々な抗体ベースのコンストラクトおよびフラグメントを調製し、使用する技術が当技術分野で周知である。抗体を調製し、特性決定するための手段もまた、当技術分野で周知である(たとえば、参照により本明細書に組み入れられるAntibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988を参照)。
【0020】
本発明のもう一つの局面は、交互にある相補性決定領域(CDR)とフレームワーク領域(FR)とを含む可変領域を考える。CDRは、一般に抗原特異性を付与する可変領域内の配列である。
【0021】
本発明はまた、抗原結合を付与するのに十分な可変領域配列を含む抗体の部分を包含する。抗体の部分は、無傷の抗体のタンパク分解開裂、たとえばパパインまたはペプシン開裂によって生成されるものであるか、無傷の重鎖および軽鎖のcDNAを操作して重鎖および軽鎖のフラグメントを別個に、または同じポリペプチドの一部として生成する組み換え法によって生成されるものであるかを問わず、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、SFv、scFv(単鎖Fv)を含むが、これらに限定されない。
【0022】
本発明の範囲内のmAbはまた、ヒト抗体、動物抗体およびそれらの組み合わせに対応する配列を含む。本明細書で使用される「キメラ抗体」とは、別の分子、たとえばヒト抗体に由来する定常ドメインに融合した動物抗体、たとえばラットまたはマウス抗体に由来する可変領域を有する抗体を含む。あるタイプのキメラ抗体である「ヒト化抗体」は、その可変領域を、ヒト可変領域の既知の配列に合致する(可能な限り)ように変化させている(突然変異誘発またはCDRグラフトによって)。CDRグラフトは、所望の特異性を有する抗体からのCDRをヒト抗体のFRにグラフトし、それにより、非ヒト配列の多くをヒト配列で置換することを含む。したがって、ヒト化抗体は、既知のヒト抗体の配列により近く合致する(アミノ酸配列において)。マウスモノクロナール抗体をヒト化することにより、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答の重度が減少する。本発明はさらに、HAMA応答を可能な限り回避させるであろう完全ヒト抗体を含む。ヒト化抗体の産生は、以下さらに詳細に説明する。
【0023】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」は、当業者に公知であるような、あらゆる溶剤、分散媒、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(たとえば抗菌剤、抗真菌剤)、等張化剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味料、矯味剤、染料、同様な物質およびそれらの組み合わせを含む(たとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition. Mack Printing Company, 1990, pp. 1289-1329を参照)。従来の担体が有効成分と非適合性である場合を除き、治療または薬学的組成物におけるその使用が考慮される。
【0024】
本明細書において、細胞に適用される場合の用語「接触」とは、本発明の化合物を標的細胞に送達する、または標的細胞と直接並列状態に配置するプロセスを指すために使用される。
【0025】
明細書および/または請求の範囲で使用される用語「有効」(たとえば「有効量」)とは、所望、予想または所期の結果を達成するのに十分であることをいう。
【0026】
用語「実質的」およびその変形は、当業者によって理解されるように、必ずしも全部ではないが大部分と定義され、一つの非限定的態様において、実質的は、10%以内、5%以内、1%以内または0.5%以内の範囲を指す。
【0027】
用語「阻害」、「減少」または「防止」もしくはそれらの語の変形は、明細書および/または請求の範囲で使用される場合、所望の結果を達成するための計測しうる減少または完全な阻害を含む。たとえば、通常に比べて5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれを超える、もしくはその中で導出可能な範囲の活性の減少であってもよい。
【0028】
本出願を通じて、用語「約」とは、ある値が、その値を決定するために使用される装置または方法に固有の誤差、すなわち、実験対象間に存在する変差を含むことを示すために使用される。たとえば、「約」は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、もっとも好ましくは0.5%以内であることができる。
【0029】
名詞の単数形は、請求の範囲および/または明細書における語「含む」に関連して使用される場合、「一つ」を意味することができるが、また、「一つまたは複数」、「少なくとも一つ」および「一つまたはそれ以上」の意味とも合致する。
【0030】
請求の範囲における「または」は、二者択一を指すということが明示されない限り、または二者が互いに排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、二者択一および「および/または」のみを指す定義を支持する。
【0031】
本明細書および請求の範囲で使用される語「含む」(およびその活用形)、「有する」(およびその活用形)または「含有する」(およびその活用形)は、非排他的または非限定的であり、言及されないさらなる要素または方法ステップを除外しない。
【0032】
本明細書で説明される態様は、本発明の化合物、方法または組成物に関して実現されることができ、その逆もまた可能であると考えられる。
【0033】
以下の詳細な説明から本発明の他の目的、特徴および利点が明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい態様を示すが、例示のためのみに記されるものであり、この詳細な説明から、本発明の真意および範囲内の様々な変形および改変が当業者には明らかになるということが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の局面をさらに説明するために含められる。これらの図面の一つまたは複数を本明細書に提示される具体的な態様の詳細な説明と合わせて参照することにより、本発明をより良く理解することができる。
【0035】
【図1】APC ELISA標準曲線。
【図2】HAP1573は内皮におけるAPC結合を増強する。
【図3】HAPC1573はEA細胞へのAPC内在化を促進する。
【図4】HAPC1573は色素産生性基質に対するAPCアミド分解活性を変化させる。
【図5】HAPC1573は血漿凝固アッセイにおいてAPC抗凝血活性をブロックする。
【図6】HAPC1573は、ヒストンを開裂するAPCを増強する。
【図7】ヒストンに対するAPC細胞保護に対するHAPC1573の効果。
【図8A】MPC1609およびMAPC1591はAPC抗凝血活性を阻害する。bEnd3細胞を、125nM MPC1609またはMAPC1591の非存在または存在において、100nM FL-APCとともに氷上で15分間インキュベートし、フローサイトメトリーに付した。
【図8B】MPC1609およびMAPC1591はAPC抗凝血活性を阻害する。bEnd3細胞を、100nM MPC1609またはMAPC1591の非存在または存在において、100nMプロテインCおよび5nMトロンビンとともに37℃で15分間インキュベートし、APC活性をPCa色素産生性基質によって計測した。
【図8C】MPC1609およびMAPC1591はAPC抗凝血活性を阻害する。5μg/ml MPC1609またはMAPC1591の非存在または存在において1ステージ血漿凝固時間を200ng/mlで計測した。プロテインC活性化および凝固アッセイを二重反復で実施し、すべての誤差は5%以内であった。
【図9】MPC1609(MAPC1591ではない)は亜致死量のLPSでマウスを死に至らせた。BL6マウスに対し、10mg/kg LPSを10mg/kg MPC1609またはMAPC1591とともに静脈注射し、生存率を示した。
【図10A】LPSおよびMPC1609またはMAPC1591で抗原投与したマウスの体温、血清IL-6、BUNおよびクレアチニンレベル。BL6マウス(各グループあたり4匹)に対し、食塩水、10mg/kg LPSまたは10mg/kg LPSを、10mg/kg MPC1609またはMAPC1591とともに静脈注射した。マウスに抗原投与して3または18時間後、マウス体温を計測した。
【図10B】LPSおよびMPC1609またはMAPC1591で抗原投与したマウスの体温、血清IL-6、BUNおよびクレアチニンレベル。BL6マウス(各グループあたり4匹)に対し、食塩水、10mg/kg LPSまたは10mg/kg LPSを、10mg/kg MPC1609またはMAPC1591とともに静脈注射した。マウスに抗原投与して3または18時間後、血清IL-6レベルを計測した。
【図10C】LPSおよびMPC1609またはMAPC1591で抗原投与したマウスの体温、血清IL-6、BUNおよびクレアチニンレベル。BL6マウス(各グループあたり4匹)に対し、食塩水、10mg/kg LPSまたは10mg/kg LPSを、10mg/kg MPC1609またはMAPC1591とともに静脈注射した。マウスに抗原投与して3または18時間後、血清BUNレベルを計測した。
【図10D】LPSおよびMPC1609またはMAPC1591で抗原投与したマウスの体温、血清IL-6、BUNおよびクレアチニンレベル。BL6マウス(各グループあたり4匹)に対し、食塩水、10mg/kg LPSまたは10mg/kg LPSを、10mg/kg MPC1609またはMAPC1591とともに静脈注射した。マウスに抗原投与して3または18時間後、血清クレアチニンレベルを計測した。
【図11A】MAPC1591は、ヒストンを開裂するAPCを増強する。Opti-MEM中100ug/ml子ウシ胸腺ヒストンH3(左パネル)またはH4(右パネル)を、200nM MAPC1591の非存在または存在において、100nM APCとともに、または100nM APCなしで、37℃で1時間インキュベートした。次いで、試料をSDS-PAGEおよびクマシーブルー染色に付した。
【図11B】MAPC1591は、ヒストンを開裂するAPCを増強する。EA.hy926細胞を、APC(100nM)およびMAPC1591(200nM)の非存在または存在において、子ウシ胸腺ヒストン(50μg/ml)とともに37℃で1時間培養した。PI(FL3)陽性染色に関して細胞死をフローサイトメトリーによって計測した。
【図11C】MAPC1591は、ヒストンを開裂するAPCを増強する。BL6マウスに対し、食塩水、10mg/kg LPSまたは10mg/kg LPSを、10mg/kg MAPC1591またはMPC1609とともに静脈注射した。抗原投与の18時間後に血漿試料を採取し、ヤギ抗ヒストンH3抗体を使用するSDS-PAGEおよびウエスタンブロッティングに付した。
【発明を実施するための形態】
【0036】
例示的態様の説明
本発明は、活性化プロテインCに選択的に結合し、不活性化プロテインCには結合せず、活性化プロテインCの抗凝血活性を特異的に阻害するモノクロナール抗体の発見に関する。本発明のこれらおよび他の局面を以下さらに詳細に説明する。
【0037】
A. 抗体構造
抗体は、共通の構造的特徴を有する糖タンパク質の大きなファミリーを含む。抗体は、Yの文字に似た三次元構造を形成する四つのポリペプチドで構成されている。通常、抗体は二つの異なるポリペプチド、すなわち重鎖および軽鎖で構成されている。抗体分子は一つまたは複数のY単位で構成され、各Yが二つの重鎖および二つの軽鎖を含む。
【0038】
抗体分子は通常、三つの機能ドメイン、すなわちFc、Fabおよび抗原結合部位からなる。FcドメインはYの幹部分に位置している。Yの枝部分はFabドメインを含む。抗原結合部位はYの各枝部分の末端に位置している。Yの枝の支点の区域はヒンジ領域である。
【0039】
α、δ、ε、γおよびμと指定される五つの異なるタイプの重鎖ポリペプチドがある。κおよびλと指定される二つの異なるタイプの軽鎖ポリペプチドがある。抗体は通常、一つのタイプの重鎖および一つのタイプの軽鎖のみを含むが、任意の軽鎖が任意の重鎖と会合することができる。
【0040】
各重鎖ポリペプチドのカルボキシル末端は定常(Fc)領域として知られる。各重鎖および軽鎖ポリペプチドのアミノ末端は可変(V)領域として知られる。鎖の可変領域内には、相補性決定領域(CDR)として知られる高頻度可変領域がある。一つの重鎖の可変領域と一つの軽鎖の可変領域とが会合して抗原結合部位を形成する。各重鎖および各軽鎖は三つのCDRを含む。抗原結合部位の六つのCDRが、抗原のための実際の結合部位を形成するアミノ酸残基を決定する。CDR可変性が抗原認識の多様性の原因である。
【0041】
B. 本発明のモノクロナール抗体の調製
本発明は、互いに「特異的に結合する」ことができる分子の製造および使用に関する。そのような結合が分子のそれぞれの構造に依存するならば、本明細書で使用される分子は、別の分子に「特異的に結合する」ことができるとされる。免疫原に結合する抗体の公知の能力が「特異的結合」の一例である。そのような相互作用は、化学構造にかかわらず化合物のクラスを含む非特異的結合(たとえば、ニトロセルロースへのタンパク質の結合など)とは対照的である。もっとも好ましくは、本発明の抗体は、近縁種の異種分子には結合することができない、または実質的に結合することができないような「高度に特異的な結合」を示す。実際、本発明の好ましいモノクロナール抗体は、活性化プロテインCに結合する能力を示すが、不活性化プロテインCには実質的に結合することができない。さらなる態様において、モノクロナール抗体は、APCのタンパク分解活性部位に結合し、それをブロックすることにより、APCの抗凝血活性のみを特異的に阻害する。
【0042】
したがって、一つの態様において、そのような分子は、たとえばmAbのタンパク分解開裂によって生成されるフラグメント(たとえば(F(ab')、F(ab')2)またはたとえば組み換え手段を介して生成可能な単鎖免疫グロブリンを含む。このような抗体誘導体は一価である。一つの態様において、そのようなフラグメントを互いまたは他の抗体フラグメントもしくは受容体配位子と組み合わせて「キメラ」結合分子を形成することができる。有意には、そのようなキメラ分子は、同じ分子の様々なエピトープに結合することができる置換基を含有することもできるし、活性化プロテインCエピトープおよび「不活性化プロテインC」エピトープに結合することもできる。
【0043】
モノクロナール抗体は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,196,265号で例示されているもののような周知の技術の使用によって容易に調製することができる。通常、技術は、まず、免疫応答を提供するのに十分なやり方で、適当な動物を選択された抗原(たとえば、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド)で免疫化することを含む。マウスおよびラットのような齧歯類が好ましい動物である。次いで、免疫化された動物からの脾臓細胞を不死骨髄腫細胞と融合させる。免疫化される動物がマウスである場合、好ましい骨髄腫細胞はマウスNS-1骨髄腫細胞である。
【0044】
融合させた脾臓/骨髄腫細胞を選択培地中で培養して、親細胞から融合脾臓/骨髄腫細胞を選択する。融合細胞は、たとえば組織培地中のヌクレオチドの新規合成をブロックする薬剤の添加により、非融合親細胞の混合物から分離させる。例示的かつ好ましい薬剤は、アミノプテリン、メトトレキサートおよびアザセリンである。アミノプテリンおよびメトトレキサートはプリンおよびピリミジン両方の新規合成をブロックし、アザセリンはプリン合成のみをブロックする。アミノプテリンまたはメトトレキサートが使用される場合、培地は、ヌクレオチドの供給源としてのヒポキサンチンおよびチミジンで補足される。アザセリンが使用される場合、培地はヒポキサンチンで補足される。
【0045】
この培養がハイブリドーマの集団を提供し、その集団から特定のハイブリドーマが選択される。通常、ハイブリドーマの選択は、マイクロタイタプレート中、単一クローン希釈によって細胞を培養したのち、個々のクローン上澄みを抗原−ポリペプチドとの反応性に関して試験することによって実施される。そして、選択されたクローンを無限に繁殖させてモノクロナール抗体を提供することができる。
【0046】
具体例として、モノクロナール抗体を製造するために、マウスに対し、ポリペプチドを含む抗原約1〜200μgを腹腔内注射する。アジュバント、たとえば完全フロイントアジュバント(死滅した結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を含有する免疫応答の非特異的刺激物質)と会合した抗原を注入することにより、Bリンパ球を刺激して増殖させる。最初の注射からしばらくして(たとえば少なくとも2週後)、不完全フロイントアジュバントと混合した抗原の第二の用量の注射により、マウスをブーストする。
【0047】
二回目の注射から数週後、マウスの尾から血を抜き、放射線標識抗原に対する免疫沈降によって血清を滴定する。好ましくは、適当な力価が達成されるまで、ブーストし、滴定するプロセスを繰り返す。最高の力価を有するマウスの脾臓を取り出し、その脾臓をシリンジでホモジナイズすることにより、脾臓リンパ球を得る。通常、免疫化マウスからの脾臓は約5×107〜2×108個のリンパ球を含有する。
【0048】
骨髄腫細胞として知られる突然変異リンパ球細胞は、そのような細胞の増殖が多様な周知の方法によって誘発されている実験動物から得られる。骨髄腫細胞はヌクレオチド生合成のサルベージ経路を欠く。骨髄腫細胞は腫瘍細胞であるため、組織培養で無限に繁殖させることができ、したがって、不死細胞と呼ばれる。マウスおよびラットからの骨髄腫細胞の数多くの培養細胞系、たとえばマウスNS-1骨髄腫細胞が樹立されている。
【0049】
骨髄腫細胞を、融合を促進するのに適切な条件下、抗原/ポリペプチドを注入されたマウスまたはラットの脾臓からの正常な抗体産生細胞と合わせる。融合条件は、たとえば、ポリエチレングリコールの存在を含む。得られる融合細胞がハイブリドーマ細胞である。骨髄腫細胞と同様、ハイブリドーマ細胞は培養で無限に増殖する。
【0050】
ハイブリドーマ細胞は、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)培地のような選択培地における培養により、非融合骨髄腫細胞から分離される。非融合骨髄腫細胞は、アミノプテリン、メトトレキサートまたはアザセリンの存在で死滅するため、サルベージ経路からヌクレオチドを合成するために必要な酵素を欠く。非融合リンパ球もまた、組織培養では増殖し続けない。したがって、うまく融合した細胞(ハイブリドーマ細胞)だけが選択培地中で増殖することができる。
【0051】
生存する各ハイブリドーマ細胞が1個の抗体を産生する。そして、これらの細胞を、抗原/ポリペプチドとで免疫反応性である特異的抗体の産生に関してスクリーニングする。ハイブリドーマの限界希釈が単細胞ハイブリドーマを単離する。ハイブリドーマを何度も連続希釈し、希釈後、増殖させ、モノクロナール抗体の存在に関して上澄みを試験する。そして、その抗体を産生するクローンを大量に培養して、抗体を好都合な量で産生する。
【0052】
全体として参照により本明細書に組み入れられるLiawら(2003)は、ヒト活性化およびヒト不活性化プロテインCに対する特定のマウスモノクロナール抗体の調製を記載している。
【0053】
抗体またはそのフラグメントが治療目的に意図される場合、免疫反応を減衰するためにそれらを「ヒト化」することが望ましいかもしれない。そのようなヒト化抗体は、インビトロまたはインビボ状況で研究することができる。ヒト化抗体は、たとえば、抗体の免疫原性部分を対応する非免疫原性部分で置換することによって産生することができる(すなわち、キメラ抗体)。いずれも参照により本明細書に組み入れられる、RobinsonらのPCT出願PCT/US86/02269、AkiraらのEP出願184,187、TaniguchiのEP出願171,496、MorrisonらのEP出願173,494、NeubergerらのPCT出願WO86/01533、CabillyらのEP出願125,023、Betterら(1988)、Liuら(1987)、Liuら(1987)、Sunら(1987)、Nishimuraら(1987)、Woodら(1985)、Shawら(1988)。「ヒト化」キメラ抗体の概説がMorrison(1985)およびOiら(1986)によって提供されている(これらの参考文献は、参照により本明細書に組み入れられる)。
【0054】
または、適当な「ヒト化」抗体は、CDRまたはCEA置換によって産生することもできる。参考文献のすべてが参照により本明細書に組み入れられる、Jonesら(1986)、Verhoeyanら(1988)、Beidlerら(1988)。
【0055】
D. 薬学的組成物
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体中に溶解または分散した一つまたは複数の抗体、治療剤またはさらなる薬剤の有効量を含む。本発明の水性組成物は、薬学的に許容される担体または水性媒体中に溶解または分散した抗体の有効量を含む。「薬学的または薬理学的に許容される」とは、適切に動物またはヒトに投与された場合、有害、アレルギーまたは他の不都合な反応を生じさせない分子体および組成物をいう。
【0056】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」は、当業者に公知であるような、あらゆる溶剤、分散媒、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(たとえば抗菌剤、抗真菌剤)、等張化剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味料、矯味剤、染料、同様な物質およびそれらの組み合わせを含む(たとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition. Mack Printing Company, 1990, pp. 1289-1329を参照)。薬学的活性物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は当技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が有効成分と非適合性である場合を除き、治療組成物におけるその使用が考慮される。また、補足的な有効成分が組成物に組み込まれてもよい。ヒトへの投与の場合、製剤は、FDA Office of Biological Standardsによって要求される無菌性、発熱原性、一般的安全性および純度基準を満たすべきである。
【0057】
生物学的材料は、望まれない低分子量分子を除去するために徹底的に透析される、および/または、所望の媒体へのより容易な調合のために凍結乾燥されるべきである。そして、有効化合物は、一般に、非経口投与のために、たとえば静脈内、筋内、皮下、鼻腔内、病巣内またはさらに腹腔内経路を介する注入のために調合される。通常、そのような組成物は、注射剤として、溶液または懸濁液のいずれかとして調合されることができ、注入の前に液体の添加によって溶液または懸濁液を調合するための使用に適した固体形態を使用することもでき、製剤を乳化することもできる。
【0058】
注射に適した医薬剤形は、無菌水溶液または分散液、ゴマ油、ラッカセイ油または水性プロピレングリコールを含む剤形および無菌注射溶液または分散液の即時調合のための無菌散剤を含む。すべての場合において、剤形は、無菌状態でなければならず、注射適性が得られる程度に流動性でなければならない。また、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、微生物、たとえばバクテリアおよび真菌の汚染作用に対して防腐処理されなければならない。
【0059】
遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての有効化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と好適に混合した水で調合することができる。また、分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物ならびに油で調合することができる。通常の貯蔵および使用条件下、これらの製剤は、微生物の増殖を防ぐための保存剤を含有する。
【0060】
本発明の抗体は、遊離塩基、中性または塩形態の組成物に調合することができる。薬学的に許容される塩は、無機酸、たとえば塩酸もしくはリン酸または有機酸、たとえば酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などとで形成される酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とで形成)を含む。また、遊離カルボキシル基とで形成される塩は、無機塩基、たとえばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄および有機塩基、たとえばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどから誘導することができる。
【0061】
担体もまた、たとえば水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適当な混合物および植物油を含有する溶剤または分散媒であることができる。適切な流動性は、たとえば、レシチンのようなコーティングの使用、分散液の場合に必要な粒度の維持および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の阻止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。多くの場合、等張化剤、たとえば糖または塩化ナトリウムを含めることが好ましいであろう。注射組成物の長期的な吸収は、吸収を遅らせる薬剤、たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に使用することによってもたらすことができる。
【0062】
無菌注射溶液は、所要量の有効化合物を、上記で挙げた他の様々な成分とともに適切な溶剤に配合したのち、滅菌ろ過することによって調合される。一般に、分散液は、様々な無菌有効成分を、塩基性分散媒および上記で挙げたものからの必要な他の成分を含有する無菌媒体に配合することによって調合される。無菌注射溶液を調合するための無菌粉末の場合、好ましい調合方法は、事前に滅菌ろ過した溶液から有効成分および任意のさらなる所望の成分の粉末を生じさせる真空乾燥および凍結乾燥技術である。また、溶剤としてのDMSOの使用がきわめて速やかな浸透を生じさせて、高濃度の有効薬剤を小さな区域に送達すると想定される直接注入のためのより高濃度の溶液の調製が考えられる。
【0063】
溶液は、調合されたならば、剤形と適合するやり方で、治療的に有効であるような量で投与される。製剤は、多様な剤形として、たとえば上記タイプの注射溶液として容易に投与されるが、薬物放出カプセルなどを使用することもできる。
【0064】
たとえば水溶液としての非経口投与の場合、必要ならば溶液を適当に緩衝し、液体希釈剤をまず十分な食塩水またはグルコースで等張状態にすべきである。これら特定の水溶液は、静脈内、筋内、皮下、鼻腔内および腹腔内投与に特に適している。これに関連して、本開示を考慮すると、使用することができる無菌水性媒体が当業者に察知されよう。たとえば、一つの用量を等張NaCl溶液1mlに溶解し、皮下注射流体1000mlに加えるか、提案注入部位に注射するかのいずれかができる(たとえば、"Remington's Pharmaceutical Sciences" 15th Edition, pages 1035-1038 and 1570-1580を参照)。治療される対象の状態に依存して、用量のいくらかの変動は必然的に起こる。いずれにしても、投与の責任を負う人物が個々の対象に適切な用量を決定する。
【0065】
静脈内または筋内注射のような非経口投与のために調合された化合物に加えて、他の薬学的に許容される剤形は、たとえば、錠剤または経口投与のための他の固形剤、リポソーム剤、徐放性カプセル剤および現在使用されている他の剤形、たとえばクリーム剤を含む。
【0066】
特定の態様において、抗体および/またはその類似物の調合および投与のためにリポソームおよび/またはナノ粒子の使用が考慮される。リポソームの形成および使用は一般に当業者に公知であり、以下にも記載されている。
【0067】
ナノカプセルは一般に、化合物を安定かつ再現可能な方法で閉じ込めることができる。細胞内ポリマー過負荷による副作用を避けるため、そのような超微粒子(粒度約0.1μm)は、インビボで分解させることができるポリマーを使用して設計されるべきである。これらの要件を満たす生分解性ポリアルキルシアノアクリレートナノ粒子が本発明における使用のために考慮され、そのような粒子は容易に製造される。
【0068】
リポソームは、水性媒体中に分散させると多重ラメラ同心二層小胞(多重ラメラ小胞(MLV)とも呼ばれる)を自発的に形成するリン脂質から形成される。MLVは一般に25nm〜4μmの直径を有する。MLVの音波処理が、水溶液をコアに含む、200〜500Åの範囲の直径を有する小さなユニラメラ小胞(SUV)の形成を生じさせる。
【0069】
また、以下の情報をリポソーム製剤の生成に利用することができる。リン脂質は、水に分散させると、脂質と水とのモル比に依存して、リポソーム以外にも多様な構造を形成することができる。低いモル比では、リポソームが好ましい構造である。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度および二価カチオンの存在に依存する。リポソームは、イオン性および極性物質に対して低い透過性を示すことができるが、高温では、その透過性を顕著に変化させる相転移を起こす。相転移は、ゲル状態として知られる最密秩序構造から、流体状態として知られる、よりゆるく非秩序的な構造への変化を含む。これは、特徴的な相転移温度で起こり、イオン、糖および薬物に対する透過性の増大を生じさせる。
【0070】
リポソームは、四つの異なる機構を介して細胞と相互作用する。すなわち、細網内皮系の食細胞、たとえばマクロファージおよび好中球によるエンドサイトーシス、非特異的な弱い疎水力もしくは静電力または細胞表面成分との特異的相互作用による細胞表面への吸着、血漿膜へのリポソームの脂質二層の挿入による血漿細胞膜との融合(同時にリポソームの中身が細胞質中に放出される)およびリポソームの中身が関係しない、細胞または細胞下膜へのリポソーム脂質の(またはその反対の)移行である。リポソーム製剤を変更すると、作用する機構を変えることができるが、一つまたはそれ以上の機構が同時に作用することもできる。
【0071】
治療剤は、固体形態で投与されるのか、液体形態で投与されるのか、エアロゾル形態で投与されるのかに依存して、また、注射のような投与経路の場合に無菌状態である必要があるのかどうかに依存して、異なるタイプの担体を含むことができる。本発明は、静脈内、皮内、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、鼻腔内、硝子体内、膣内、直腸内、局所的、腫瘍内、筋内、腹腔内、皮下的、結膜下、膀胱内、粘膜的、心膜内、臍帯内、眼球内、経口的、局所的、局在的、吸入(たとえばエアロゾル吸入)により、注射により、注入により、連続注入により、標的細胞を直接浸す局所かん流、カテーテルを介して、かん注を介して、クリーム剤として、脂質組成物(たとえばリポソーム)として、または当業者には公知であるような他の方法もしくは前記の組み合わせによって投与することができる(たとえば、参照により本明細書に組み入れられるRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990を参照)。
【0072】
動物患者に投与される本発明の組成物の実際の用量は、身体的および生理学的要因、たとえば体重、病状の重篤さ、治療される疾病のタイプ、以前または同時並行の治療処置、患者の突発性および投与経路によって決定することができる。いずれにしても、投与の責任を負う医師が、組成物中の有効成分の濃度および個々の対象に適切な用量を決定する。
【0073】
特定の態様において、薬学的組成物は、たとえば、有効化合物を少なくとも約0.1%含むことができる。他の態様において、有効化合物は、単位の重量の約2%〜約75%または約25%〜約60%、たとえばその中で導出可能な任意の範囲を構成することができる。他の非限定的な例において、用量はまた、1投与あたり、体重1kgあたり約1μg、体重1kgあたり約5μg、体重1kgあたり約10μg、体重1kgあたり約50μg、体重1kgあたり約100μg、体重1kgあたり約200μg、体重1kgあたり約350μg、体重1kgあたり約500μg、体重1kgあたり約1mg、体重1kgあたり約5mg、体重1kgあたり約10mg、体重1kgあたり約50mg、体重1kgあたり約100mg、体重1kgあたり約200mg、体重1kgあたり約350mg、体重1kgあたり約500mg、体重1kgあたり約1000mgまたはそれを超える用量およびその中で導出可能な任意の範囲を含むことができる。本明細書に挙げられた数値から導出可能な範囲の非限定的な例において、上記数値に基づいて、体重1kgあたり約5mg〜約100mg、体重1kgあたり約5μg〜約500mgなどを投与することができる。
【0074】
いずれにしても、組成物は、一つまたは複数の成分の酸化を遅らせるための様々な酸化防止剤を含むことができる。
【0075】
組成物が液体形態にある態様において、担体は、水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、脂質(たとえばトリグリセリド、植物油、リポソーム)およびそれらの組み合わせをはじめとする溶剤または分散媒であることができる。適当な流動性は、たとえば、レシチンのようなコーティングの使用、担体、たとえば液体ポリオールまたは脂質中への分散による必要な粒度の維持、界面活性剤、たとえばヒドロキシプロピルセルロースの使用またはそれらの組み合わせによって維持することができる。多くの場合、等張化剤、たとえば糖、塩化ナトリウムまたはそれらの組み合わせを含めることが好ましい。
【0076】
他の態様において、点眼剤、点鼻液またはスプレー、エアロゾルまたは吸入剤を本発明で使用することができる。そのような組成物は、一般に、標的組織タイプと適合性であるように設計されている。非限定的な例において、点鼻液は、通常、滴またはスプレーとして鼻腔通路に投与されるように設計された水溶液である。点鼻液は、正常な繊毛作用が維持されるように多くの点で鼻分泌物と似ているように調製される。したがって、好ましい態様において、水性点鼻液は通常、等張性であるか、約5.5〜約6.5のpHを維持するようにわずかに緩衝される。加えて、必要ならば、点眼剤に使用されるものと同様な抗微生物性保存剤、薬物または適切な薬物安定剤を製剤に含めることもできる。たとえば、様々な市販の点鼻剤が公知であり、抗生物質または抗ヒスタミン剤のような薬物を含む。
【0077】
特定の態様において、抗体は、経口摂取のような経路によって投与するために調製される。これらの態様において、固体組成物は、たとえば、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤(たとえばハードまたはソフトシェルのゼラチンカプセル)、徐放性剤、口腔組成物、トローチ剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、カシェ剤またはそれらの組み合わせを含むことができる。経口組成物は、食品に直接配合することもできる。経口投与に好ましい担体は、不活性希釈剤、吸収性可食担体またはそれらの組み合わせを含む。本発明の他の局面において、経口組成物は、シロップ剤またはエリキシル剤として調製することもできる。シロップ剤またはエリキシル剤は、たとえば、少なくとも一つの有効薬剤、甘味料、保存剤、矯味剤、染料、保存剤またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0078】
特定の好ましい態様において、経口組成物は、一つまたは複数の結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味剤およびそれらの組み合わせを含むことができる。特定の態様において、組成物は、結合剤、たとえばトラガカントガム、アカシア、コーンスターチ、ゼラチンまたはそれらの組み合わせ、賦形剤、たとえばリン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムまたはそれらの組み合わせ、崩壊剤、たとえばコーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸またはそれらの組み合わせ、滑沢剤、たとえばステアリン酸マグネシウム、甘味料、たとえばスクロース、ラクトース、サッカリンまたはそれらの組み合わせ、矯味剤、たとえばペパーミント、冬緑油、サクラ香料、オレンジ香料などまたは前記の組み合わせの一つまたは複数を含むことができる。単位剤形がカプセル剤である場合、上記タイプの材料に加えて、担体、たとえば液体担体を含有することもできる。様々な他の材料が、コーティングとして、または、用量単位の物理的形態を他のやり方で変更するために存在することができる。たとえば、錠剤、丸剤またはカプセル剤は、シェラック、糖または両方でコーティングされてもよい。
【0079】
他の投与形態に適したさらなる製剤は坐剤を含む。坐剤とは、通常は直腸、膣または尿道への挿入のために投薬される様々な重量および形状の固体剤形である。挿入後、坐剤は、腔流体中で軟化、溶融または溶解する。一般に、坐剤の場合、従来の担体は、たとえば、ポリアルキレングリコール、トリグリセリドまたはそれらの組み合わせを含むことができる。特定の態様において、坐剤は、たとえば有効成分を約0.5%〜約10%、好ましくは約1%〜約2%の範囲で含有する混合物から形成することができる。
【0080】
組成物は、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、微生物、たとえばバクテリアおよび真菌の汚染作用に対して防腐処理されなければならない。エンドトキシン汚染は、たとえばタンパク質1mgあたり0.5ng未満の安全レベルで最低限に維持されるべきであることが理解されよう。
【0081】
特定の態様において、注射組成物の長期的な吸収は、吸収を遅らせる薬剤、たとえばモノステアリン酸アルミニウム、ゼラチンまたはそれらの組み合わせを組成物中に使用することによってもたらすことができる。
【0082】
E. キット
本明細書に記載される組成物はキットに含められることができる。したがって、キットは、適当な容器手段中に、本発明の抗体および/またはさらなる薬剤を含む。本発明者らは、キットに含めることができる他の成分を想定している。本発明の治療キットは、適当な容器手段中、薬学的に許容される製剤中の抗体の薬学的に許容される製剤を含む。キットは、一つの容器手段を有してもよいし、化合物ごとに別々の容器手段を有してもよい。
【0083】
キットの成分が一つおよび/または複数の溶液中に提供される場合、その溶液は水溶液であり、無菌水溶液が特に好ましい。抗体はまた、注射に適した組成物に調合されることもでき、その場合、容器手段そのものがシリンジ、ピペットおよび/または他の同様な装置であることができ、それらの装置から、製剤を体の患部に適用したり、動物に注入したり、および/またはさらにキットの他の成分に適用したり、および/またはキットの他の成分と混合したりすることができる。
【0084】
しかし、キットの成分は、乾燥した粉末として提供することもできる。試薬および/または成分が乾燥粉末として提供される場合、その粉末は、適当な溶剤の添加によって戻すことができる。溶剤もまた、別の容器手段に提供されてもよいことが想定される。
【0085】
容器手段は一般に、少なくとも一つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジおよび/または、抗体/抗体製剤が中に配置され、好ましくは適切に分与される他の容器手段を含む。キットはまた、薬学的に許容される無菌緩衝剤および/または他の希釈剤を収容するための第二の容器手段を含むこともできる。
【0086】
本発明のキットはまた、一般に、市販のためにバイアルを密閉して収容するための手段、たとえば、所望のバイアルが中に保持される射出成形および/またはブロー成形されたプラスチック容器を含む。
【0087】
容器の数および/またはタイプにかかわらず、本発明のキットはまた、最終的な抗体を動物の体内に注入/投与および/または配置することを支援するための器具を含む、および/または器具とともに包装されることができる。そのような器具は、シリンジ、ピペット、鉗子および/またはそのような医学的に認められた送達媒介物であることができる。
【0088】
F. 実施例
本発明の好ましい態様を実証するために以下の実施例を含める。以下の実施例で開示される技術は、本発明の実施において良好に働くことが本発明者らによって見いだされた技術を代表し、したがって、その実施のための好ましい形態を構成すると考えられるということが当業者によって理解されよう。しかし、当業者は、本開示を考慮して、開示される特定の態様に多くの変更を加えることができ、それでもなお、本発明の真意および範囲を逸することなく同様な結果を得ることができることを理解するはずである。
【実施例】
【0089】
実施例1
本発明のヒトmAbのスクリーニング、同定および使用の方法
材料
ヒトプロテインC、ウシトロンビンを前記のようにして調製した(Esmon et al., 1993。全体として参照により本明細書に組み入れられる)。組み換えAPC(Xigris)はEli Lillyからのものであった。Spectroxyme PCaはAmerican Diagnosticaからのものであった。1-パルミトイル-2-オレオイル−ホスファチジルコリン(PC)、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルセリン(PS)および1-パルミトイル-2-オレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(PE)はAvanti Polar Lipids, Inc.からのものであった。ヒト内皮由来EA.hy926細胞を、10%ウシ胎児血清、L-グルタミンおよびHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)で補足したDMEM(ダルベッコ修飾イーグル培地)中に維持した。Molecular Probes社のフルオレセインEXタンパク質標識キットを用いて、製造者の取り扱い説明にしたがってフルオレセイン標識APC(FL-APC)を調製した。これらの実施例において、修飾語「活性化」なしの「プロテインC」は不活性化プロテインCを指す。
【0090】
マウス抗ヒトプロテインCおよびAPCモノクロナール抗体の産生
ヒトプロテインCまたはAPCに対するマウスモノクロナール抗体(mAb)を標準技術(Rezaie and Esmon, 1992)によって産生した。
【0091】
プロテインCまたはAPCに対して特異的なmAbのスクリーニング
EA.hy926細胞へのFL-APCの結合に対するmAbのブロッキング能力をFACSによってスクリーニングすることにより、ヒトプロテインC mAb1575および1580(HPC1575およびHPC1580)を得た。簡潔にいうと、EA.hy926細胞を、0.5%BSA、3mM CaCl2および0.6mM MgCl2を含有するHBSS(ハンクス液)緩衝液中、50nM FL-プロテインCおよび100nM様々な抗プロテインCモノクロナール抗体とともに、氷上で30分間インキュベートし、FACS分析に付した。プロテインCではなくAPCへのmAbの結合能力をELISAアッセイによってスクリーニングすることにより、ヒトAPC mAb1573(HAPC1573)を得た。簡潔にいうと、96穴MaxiSorpプレート(NUNC)を、15mM Na2CO3、35mM NaHCO3、pH9.6緩衝液中、5μg/ml様々なmAbで、4℃で夜通しコートした。プレートを、1mM CaCl2を含有するTTBS(0.05% Tween-20を含有するTBS)(TTBSカルシウム緩衝液)で洗浄し、TBS(20mMトリスHCl、150mM NaCl、pH7.5)中0.1%ゼラチンで1時間ブロックし、TTBSカルシウム緩衝液で再び洗浄し、TTBSカルシウム緩衝液中、100ng/mlプロテインCまたはAPCとともに1時間インキュベートした。TTBSカルシウム緩衝液で洗浄したのち、プレートを2μg/mlビオチン化HPC1580とともに1時間インキュベートし、TTBSカルシウム緩衝液で再び洗浄し、TTBSカルシウム緩衝液中、1μg/mlストレプトアビジン−アルカリホスファターゼコンジュゲートとともにさらに1時間インキュベートした。TTBSカルシウム緩衝液で最後に洗浄し、リン酸p-ニトロフェニル液体基質(Sigma)を加えたのち、405nmでの終点吸光度をVmaxマイクロプレートリーダ上で読み取った。
【0092】
血漿中APCのELISAアッセイ
このアッセイは、APCに対するmAbをスクリーニングするための前記ELISAアッセイを改変したものである。簡潔にいうと、プレートを5μg/ml HAPC1573でコートし、1×カゼインを含有するTBS(Vector Lab)でブロックし、TTBSカルシウム緩衝液で再び洗浄した。10mMベンズアミジン、1mM EDATおよび0.25×カゼイン緩衝液(希釈緩衝液)または1:4希釈ヒト血漿を含有するTTBS中、組み換えAPCを0〜8ng/mlでスパイクし、試料をプレート中で1時間インキュベートした。TTBSカルシウム緩衝液で洗浄したのち、プレートを、10mMベンズアミジン、5mM CaCl2および0.25×カゼイン緩衝液を含有するTTBS中、1ug/mlビオチン化HPC1575とともに1時間インキュベートした。TTBSカルシウム緩衝液で洗浄したのち、プレートを、10mMベンズアミジン、5mM CaCl2および0.25×カゼイン緩衝液を含有するTTBS中、0.5μg/mlストレプトアビジン−HRPとともにさらに1時間インキュベートし、TTBSカルシウム緩衝液で再び洗浄し、Ultra-TMB基質(Pierce)で発色させた。0.5M H2SO4を加えてHRP酵素反応を停止させたのち、OD405を読み取った。
【0093】
内皮におけるFL-APC結合に対するmAbの影響
EA.hy926細胞を、0.5% BSA、3mM CaCl2および0.6mM MgCl2を含有するHBSS緩衝液中、様々な濃度のHAPC1573またはHPC1575の非存在または存在において、50nM FL-APCとともに氷上で30分間インキュベートし、FACS分析に付した。
【0094】
血漿凝固アッセイにおけるAPC抗凝血活性に対するmAbの影響
ST4凝固計(Diagnostica Stago)を使用する修飾第Xa因子1ステージ凝固アッセイにおいて、血漿中のAPC抗凝血活性に対するmAbの影響を決定した。標準アッセイにおいて、ラッセルクサリヘビ蛇毒からの第X因子活性化酵素X-CPの調節量をヒト正常プール血漿に加えて、0.1% BSAを含有するTBS中、ホスホリド小胞(最終的に10μg/mlの40% PE、20% PSおよび40% PC、w/v)とCaCl2(6.25mM)との混合物中の30s凝固時間を得た。CaCl2添加によって凝血を開始させた。CaCl2添加の前にAPC(最終200ng/ml)またはHAPC1573(最終20μg/ml)を加えた。
【0095】
色素産生性基質に対するAPCアミド溶解活性に対するmAbの影響
HBSS緩衝液(0.1%ウシ血清アルブミン、3mM CaCl2、0.6mM MgCl2を含有するHBSS)中10nM APC50μlのアミド溶解活性を、66.7nM HPC1555またはHAPC1573の非存在または存在において、50mM HEPES、100mM NaCl、pH7.5緩衝液中0〜2mM連続希釈Spectrozyme PCa50μlを加えることによって測定した。
【0096】
ヒストン細胞毒性アッセイ
EA.hy926細胞を、Opti-MEM培地(Invitrogen)中、100nM APCおよび200nM HAPC1573の非存在または存在において、子ウシ胸腺ヒストンH3またはH4(Roche)とともに37℃で1時間インキュベートし、そして室温で5分後、10μg/mlヨウ化プロピジウム(PI)を加えた。細胞を洗浄し、EDTA/PBSで解離させ、PI陽性染色のためにフローサイトメトリーに付した。
【0097】
実施例2
本発明のヒトmAbのスクリーニング、同定および使用の結果
HAPC1573は内皮におけるAPC結合を増強する
HAPC1575が内皮におけるAPC結合に影響を有するかどうかを試験するため、本発明者らは、EA.hy926細胞をFL-APCとともにHAPC1573またはHAPC1575の非存在または存在においてインキュベートし、細胞におけるFL-APCの結合をフローサイトメトリーによって計測した。フローサイトメトリーのヒストグラムは、HAPC1573は内皮細胞におけるFL-APC結合を増強するが、HPC1575は細胞におけるFL-APCの結合を阻害するということを示した(図2)。HAPC1573は内皮におけるAPC内在化を促進する。FL-APCは、APCのGlaドメインと細胞上のEPCRとの相互作用を介してEA.hy926細胞中に内在化され、この内在化は、EPCRブロック性Ab(JRK1494)またはGlaドメインブロック性Ab(HPC1575)のいずれかによってブロックされた(図3)。HAPC1573は細胞へのFL-APC内在化を促進し、この効果は、EPCRブロック性Abによって完全にブロックされた(図3)。
【0098】
HAPC1573は色素産生性基質に対するAPCアミド溶解活性を変化させる
HAPC1573はELISAプレート上および内皮細胞上でAPCを認識したため、本発明者らは、HAPC1573が色素産生性基質に対するAPCのアミド溶解活性に影響することができるかどうかを調べた。合成ペプチド基質は通常、分子量およそ数百ダルトンの小さな分子であり、血漿中のセリンプロテアーゼに対する大部分の抗体はこれらの小さな基質に対する酵素活性に対してほとんど影響を有しない。しかし、HAPC1573は、APCの、その色素産生性基質Spectrozyme PCaに対する運動パラメータを劇的に変化させた(図4)。Spectrozyme PCaに対するAPCのkmは、Abの非存在またはHPC1555の存在における270nMと比較して、HAPC1573の存在においては15nMであった。Spectrozyme PCaに対するAPCのkcatは、Abの非存在またはHPC1555の存在における67と比較して、HAPC1573の存在においては18であった。HAPC1573の存在における小さなペプチド基質に対するAPCの甚大な変化は、このmAbがAPCの活性部位の近くのエピトープを認識し、Abと抗原との相互作用が、小さなペプチド基質に対するAPCの親和力を劇的に増大させるが、APC触媒部位からの産物のオフレートを低下させるということを示した。
【0099】
HAPC1573は血漿中でAPC抗凝血活性をブロックする
図5は、HAPC1573が、第Xa因子開始1ステージ血漿凝固アッセイにおけるAPCの延長効果をほぼ完全に消滅させたことを示して、HAPC1573とAPCとの相互作用が、APCが第Va因子を開裂することを阻止したことを示唆する。
【0100】
細胞外ヒストンを開裂するAPCに対するHAPC1573の影響
最近、本発明者らは、APCが細胞外ヒストンを開裂し、内皮をヒストンの細胞毒性から保護することができることを見いだした(原稿作成中)。HAPC1573は、色素産生性基質に対するAPCアミド溶解活性を変化させ、血漿中のAPC抗凝血活性をブロックするため、本発明者らは、このmAbが、細胞外ヒストンH3およびH4を開裂するAPCに影響し、かつ内皮におけるヒストンH3およびH4細胞毒性に対するAPC細胞保護に影響することができるかどうかを調べた。
【0101】
驚くことに、HAPC1573は、APCがヒストンH3およびH4を開裂することを阻害せず、実際には増大させた。(図6)。一貫して、HAPC1573は、内皮におけるヒストンH3およびH4に対するAPC細胞保護活性を阻害せず、わずかに増大させた(図7A〜B)。
【0102】
実施例3
本発明のヒトmAbのスクリーニング、同定および使用の説明
プロテインCは、内皮上のトロンボモジュリンと複合化したトロンビンによって活性化される。活性トロンビンのインビボで数秒の一過性寿命とは異なり、ヒトAPCは、その生成後、循環中で約20分の半減期を有する(Berg et al., 2003)。したがって、血漿中のAPCのレベルをうまく計測して、様々な病態生理学的条件下でのその制御を研究することができる。
【0103】
APCを計測するために現在利用可能な方法は、APCを捕獲する抗体を使用し、色素産生性基質によってAPC活性を計測する酵素捕獲アッセイに基づく。これらのアッセイで使用されるすべての抗体は、APCだけでなくその酵素原プロテインCをも認識し、プロテインC濃度は正常な循環中でAPCの約1000倍超であるため、これらの方法を使用するAPC計測は臨床的に妥当ではない。高速かつロバストなAPC計測法が診断および治療の両方で望ましい。上記結果は、mAbであるHAPC1573が、APCを認識するが、プロテインCを認識せず、血漿中のAPCレベルをインビボで計測するための好都合なELISA法の開発を実証するということを示す。通常、この方法を用いると、酵素捕獲アッセイの場合の19時間または数週間(Gruber and Griffen, 1992, Liaw et al., 2003)に比べて、APCを1ng/ml含有する血漿試料を計測するのに4時間未満しか要しない。
【0104】
最近の研究が、APCの抗凝血活性がその細胞保護機能にとって重要ではなく、PAR1に対するAPC開裂活性が、その抗アポトーシス効果にとって不可欠であるかもしれないということを示した(Mosnier et al., 2004)。しかし、APCの細胞保護効果は、EPCRを発現させる内皮細胞の中だけでなく、EPCRを細胞表面に発現させない他の細胞、たとえばニューロンおよびケラチノサイト上でも示されて(Guo et al., 2004, Berg et al., 2003)、PAR1媒介APCシグナル伝達以外の機構が存在することを示した。HAPC1573は、色素産生性ペプチド基質に対するAPC開裂活性を変化させ、また、血漿凝固アッセイにおいてAPC抗凝血活性をブロックして、このmAbがAPC活性部位の近くのエピトープを認識し、抗体抗原結合によってその触媒活性を変化させるということを示唆した。
【0105】
他方、HAPC1573は、APCが細胞外ヒストンを開裂することを阻害せず、実際には増強させ、内皮におけるヒストンに対するAPC細胞保護活性を増大させて、活性化第VおよびVIII因子を開裂するAPC抗凝血活性が、細胞外ヒストンを開裂することによるその細胞保護活性にとって必要ではないことを示した。細胞外ヒストンをその抗凝血活性から独立して開裂することは、APC制御炎症および細胞保護の分子機能の一つであるかもしれない。
【0106】
HAPC1573は、たとえば血友病A型患者の治療に使用することができる。APCは、第VIIIa因子および第Va因子の両方を開裂し、それにより、凝血をマイナスに制御する。血友病A型患者においては第VIII因子レベルが低く、APCによる第Va因子の不活性化が、おそらくは、これらの患者における止血および血栓症を制御するための主要な経路である。最近の臨床報告が、APC開裂に耐性である第V因子Laiden変異体が血友病A型患者にとってその出血症状に関して有益であることを実証した(van't Zant et al., 1997)。HAPC1573のようなmAbによって第Va因子に対するAPC抗凝血活性をインビボでブロックすることが、特に高レベルの第VIII因子阻害物質を有するせいで第VIII因子置換療法があまり効果的ではないであろう血友病A型患者にとって、血友病A型治療のための代替手法であるかもしれない。
【0107】
HAPC1573のもう一つの考えられる臨床用途は、ホメオスタシスが乱れ、過度な出血が起こりやすく、ホメオスタシスを回復するために外科的処置が遅れてしまう外傷患者の治療における用途である。HAPC1573による治療は、活性化プロテインCの細胞保護または抗炎症活性を除くことなく、凝血原状態を選択的に回復することができる。
【0108】
HAPC1573のもう一つの考えられる臨床用途は、敗血症治療におけるAPCとの組み合わせである。APCは、現在、重篤な敗血症のためのFDA認可されている唯一の薬である。患者におけるその出血性副作用はAPC抗凝血活性によるものである。HAPC1573は、APC細胞保護効果を維持し、さらには増強しながらも、APC抗凝血活性をブロックした。このmAb-APC複合体は、その出血性副作用に関して、APC単独よりも優れた治療薬であるかもしれない。
【0109】
実施例4
本発明のマウスモノクロナール抗体のスクリーニングおよび使用の方法
材料および方法
組み換えマウスプロテインC、APC、ラットmAb MPC1609およびMAPC1591を、標準的手法にしたがって当研究室で製造した。Molecular Probes社のフルオレセインEXタンパク質標識キットを用いて、製造者の取り扱い説明にしたがってフルオレセイン標識APC(FL-APC)を調製した。
【0110】
動物実験
この実験では、Oklahoma Medical Research FoundationのInstitutional Aminal Care and Use Committeesによって承認された実験動物プロトコルにしたがって、6〜12週齢オスBL6マウスを使用した。
【0111】
細胞培養
bEnd3細胞(マウス脳由来内皮細胞系)を、10%ウシ胎児血清およびL-グルタミンで補足したDMEM(ダルベッコ修飾イーグル培地)中で培養した。EA.hy926細胞(ヒト内皮細胞系)を、10%ウシ胎児血清、L-グルタミンおよびHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)で補足したDMEM中で培養した。
【0112】
内皮におけるFL-APC結合およびプロテインC活性化
bEnd3細胞を、0.5%BSA、3mM CaCl2および0.6mM MgCl2を含有するHBSS緩衝液中、125nM MPC1609またはMAPC1591の非存在または存在において、100nM FL-APCとともに氷上で15分間インキュベートし、FACS分析に付した。
【0113】
内皮細胞におけるプロテインC活性化に対するmAbの影響
24穴プレート中のbEnd3細胞をHBSS緩衝液(0.1%ウシ血清アルブミン、3mM CaCl2、0.6mM MgCl2を含有するHBSS)で一度洗浄し、0.1μMプロテインCを含有するHBSS緩衝液中、0.1μM MPC1609またはMAPC1591とともに5分間プレインキュベートした。0.2mlの合計量の5nMウシトロンビンの添加によって活性化反応を開始させた。37℃で15分後、ウシ抗トロンビンIII 50μl(1.67mg/ml)を反応物に添加することによって反応を停止させた。50μl上澄みを96穴マイクロプレートに移し、プロテインCの活性化速度を、100mM NaCl、50mM HEPES-NaOH、pH7.5緩衝液中、0.4mM Spectrozyme PCa基質50μlに対して405nmのVmaxで測定した。
【0114】
APC抗凝血活性アッセイ
ST4凝固計(Diagnostica Stago)を使用する修飾第Xa因子1ステージ凝固アッセイにおいて、血漿中のAPC抗凝血活性に対するmAbの影響を決定した。このアッセイにおいては、ラッセルクサリヘビ蛇毒からの第X因子活性化酵素X-CPの調節量を、血漿(50%マウス血漿および50%ヒト正常プール血漿)に加えて、0.1%BSAを含有する20mMトリスHCl、150mM NaCl緩衝液(pH7.5)中、リン脂質小胞(最終的に10μg/mlの40%ホスファチジルエタノールアミン、20%ホスファチジルセリンおよび40%ホスファチジルコリン、w/v)とCaCl2(6.35nM)との混合物中の30s凝固時間を得た。CaCl2添加によって凝固を開始させた。CaCl2添加の前にAPC(最終200ng/ml)およびMPC1609(最終5μg/ml)またはMAPC1591(最終5μg/ml)を加えた。
【0115】
ヒストン細胞毒性アッセイ
EA.hy926細胞を、Opti-MEM培地(Invitrogen)中、100nM APCおよび200nM MAPC1591の非存在または存在において、50μg/ml子ウシ胸腺ヒストン(Sigma)とともに37℃で1時間インキュベートし、そして室温で5分後、10μg/mlヨウ化プロピジウム(PI)を加えた。細胞を洗浄し、PBS中0.526mM EDTAで解離させ、PI陽性染色のためにフローサイトメトリーに付した。
【0116】
IL-6、BUNおよびクレアチニンアッセイ
BUNおよびクレアチニンに関して、マウス血清をVitros 250 Chemistry Analyzer(Ortho-Clinical Diagnostics)上で分析した。Quantikine Colorimetric Sandwich ELISA(R&D Sytems)によって血清IL-6を計測した。
【0117】
実施例5
本発明のマウスモノクロナール抗体のスクリーニングおよび使用の結果
MPC1609は、プロテインCおよびAPCの両方に抗するものであり、内皮におけるプロテインCおよびAPC結合を阻害した(図8A。データ示さず)。MAPC1591は、APCには抗したが、プロテインCには抗せず、内皮におけるAPC結合を増強した(図8A。データ示さず)。内皮におけるプロテインC活性化は、MPC1609の存在において劇的に低下した(図8B)。MAPC1591はまた、おそらくは細胞におけるAPC結合の増強のせいで、プロテインC活性化をいくらか低下させた(図8B)。MPC1609およびMAPC1591は、いずれも、血漿凝固アッセイにおいてAPC抗凝血活性を完全に阻害した(図8C)。これらのインビトロ実験に基づいて、本発明者らは、MPC1609が、内皮またはリン脂質におけるプロテインCまたはAPCの結合の原因であるプロテインCまたはAPCのGlaドメインを隠蔽することにより、内皮またはリン脂質におけるプロテインCおよびAPC結合を阻害すると結論づけた。MAPC1591は、APCの活性部位の周囲のエピトープとの相互作用を介してAPCを認識したが、プロテインCを認識せず、この相互作用が、おそらくはAPCが第Va因子を開裂することを防ぐことによってAPC抗凝血活性を阻害した。
【0118】
LPS誘発敗血症性ショックにおけるAPC保護効果の分子機構を探るため、本発明者らは、亜致死量のLPSをMPC1609またはMAPC1591とともにマウスに注射し、LPSおよびMPC1609を注射されたマウスはすべて48時間以内に死亡するが、LPSおよびMAPC1591を注射されたマウスはすべて生存するということを見いだした(図9)。注入から18時間後、LPSおよびMPC1609を注射されたマウスは、低体温、末梢血中の高い好中球、低いリンパ球および低い血小板カウント値を含む重篤な敗血症性ショック症状を示した(図10A。データ示さず)。これらのマウスにおいて血清IL-6レベルはきわめて高かったが(図10B)、これらのマウスと、LPS+MAPC1591を注射されたマウスとの間で、心臓、肺、肝臓、脾臓、胸腺および末梢血におけるIL-6 mRNAレベルの有意な差は認められず(データ示さず)、IL-6の新規合成が、敗血症性ショックマウスにおける持続的に高めのIL-6レベルの主要原因ではないことを示唆した。LPSおよびMPC1609を注射されたマウスにおける血清BUNおよびクレアチニンレベルは他のマウスよりも高く(図10C〜D)、これらのマウスにおいて急性腎不全が起こり、それがIL-6のクリアランスの遅れの原因であることを示した。興味深いことに、LPSおよびMAPC1591を注射されたマウスにおけるBUNおよびクレアチニンレベルは、LPSだけを注射されたマウスにおけるレベルよりも低く(図10C)、LPS抗原投与下のインビボでの腎臓保護に関してはMAPC1591およびAPC複合体がAPCよりも有効であることを示唆した。
【0119】
細胞外ヒストンが活性化好中球およびマクロファージならびにアポトーシス細胞上で見いだされ(Brinkmann et al., 2004, Radic et al., 2004)、哺乳動物細胞に対して細胞毒性であった(Abakushin et al., 1999、Currie et al., 1997, Kleine et al., 1997)。APCはヒストンH3およびヒストンH4を開裂し、MAPC1591は、APCがこれらのヒストンを開裂することを阻害せず、実際には増強した(図10A)。APCは内皮に対するヒストンの細胞毒性を低下させ、MAPC1591はこのAPC細胞保護活性を増強した(図11B)。実際、細胞外ヒストンは、LPSおよびMPC1609注射後の敗血症マウス血清中には検出されたが、LPSまたはLPSおよびMAPC1591を注射されたマウスでは検出されず(図11C)、不十分なプロテインC活性化と、循環中の細胞外ヒストンの存在と、敗血症性ショック下のマウスの致死率との間のインビボ相関が示された。これらのインビトロデータをインビボ観察結果と合わせて、本発明者らは、APCの細胞保護活性を、MAPC1591によるその抗凝血活性から区別し、抗凝血活性から独立したAPCによる細胞毒性ヒストンの開裂が、LPS誘発敗血症性ショックからマウスを保護するAPCの新たな分子機構を提供する。
【0120】
実施例6
本発明のマウスモノクロナール抗体のスクリーニングおよび使用の説明
プロテインC経路は凝血および炎症の制御において重要な役割を演じる(Esmon, 2006)。ヒトAPCが、重篤な敗血症における死亡率を有意に減らすことが実証され、重篤な敗血症の治療のための最初の薬として認められた(Bernard et al., 2001)。しかし、敗血症におけるAPC保護効果の分子機構は未だ理解が不十分である。突然変異誘発研究は、APCの抗凝血活性が、内皮細胞に対するAPC抗アポトーシス効果にとって重要でないことは明かであり(Mosnier et al., 2004)、APCシグナル伝達の抗炎症および抗アポトーシス効果が内皮細胞中でプロテアーゼ活性化受容体1(PAR-1)媒介的である(Reiwald et al., 2002)ことを示した。しかし、PAR-1欠乏マウスは、LPS抗原投与下、その野生型対照マウスに類似した表現型を有し、APCがインビボで炎症および細胞保護を制御するためにPAR-1が重要な役割を演じないことを示唆した(Pawlinski et al., 2004, Camerer 2006)。インビボで病態生理学的機能を制御するAPCの中心的役割を与えられて、本発明者らは、マウスプロテインCおよびマウスAPCに対する二つのmAbを生成し、それら二つのmAbを使用して、マウスにおけるLPS誘発敗血症性ショックにおける、十分に理解されていないAPC保護効果の機構を探った。
【0121】
本明細書で開示し、特許請求するすべての組成物および/または方法は、本開示を考慮すると、過度な実験を行うことなく成し、実行することができる。好ましい態様に関して本発明の組成物および方法を説明したが、当業者には、本発明の概念、真意および範囲を逸することなく、本明細書に記載される組成物および/または方法ならびに方法のステップまたはステップの順序に変更を加えることができることが明らかであろう。より具体的には、化学的および生理学的に関連する特定の薬剤を本明細書に記載される薬剤に代えて用いても、同じまたは類似した結果が達成されるということが明らかであろう。当業者には明らかであるそのような同様な代用および改変はすべて、請求の範囲によって画定される発明の真意、範囲および概念に入るものとみなされる。
【0122】
参考文献
本出願を通して挙げられた参考文献は、以下の参考文献を含め、本明細書に述べられたものを補足する例示的な手順または他の詳細を提供する程度に、参照により本明細書に組み入れられる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性化プロテインCに結合し、抗凝血活性を阻害するが、不活性化プロテインCには結合しない、または不活性化プロテインCの活性化を阻害しない、モノクロナール抗体。
【請求項2】
活性化プロテインCへの結合が、活性化プロテインCの活性部位で起こり、かつ活性化プロテインCの細胞保護効果を阻害しない、請求項1記載のモノクロナール抗体。
【請求項3】
HAPC1573としてさらに定められる、請求項1記載のモノクロナール抗体。
【請求項4】
活性化または不活性化プロテインCの阻害がインビボにおいてである、請求項1記載のモノクロナール抗体。
【請求項5】
活性化または不活性化プロテインCの阻害がインビトロにおいてである、請求項1記載のモノクロナール抗体。
【請求項6】
マウス抗体である、請求項1記載のモノクロナール抗体。
【請求項7】
ヒト抗体である、請求項1記載のモノクロナール抗体。
【請求項8】
ヒト化抗体である、請求項1記載のモノクロナール抗体。
【請求項9】
抗体フラグメントである、請求項1記載のモノクロナール抗体。
【請求項10】
抗体フラグメントが、Fab'、Fab、F(ab')2、単一ドメイン抗体、FvまたはscFvとしてさらに定められる、請求項9記載のモノクロナール抗体。
【請求項11】
内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)またはリン脂質と、活性化プロテインCまたは不活性化プロテインCとの結合を阻害し、かつ不活性化プロテインCの活性化を阻害する、モノクロナール抗体。
【請求項12】
マウス不活性化プロテインCのGlaドメインに結合する、請求項11記載のモノクロナール抗体。
【請求項13】
活性化または不活性化プロテインCの阻害がインビボにおいてである、請求項11記載のモノクロナール抗体。
【請求項14】
活性化または不活性化プロテインCの阻害がインビトロにおいてである、請求項11記載のモノクロナール抗体。
【請求項15】
マウス抗体である、請求項11記載のモノクロナール抗体。
【請求項16】
ヒト抗体である、請求項11記載の抗体。
【請求項17】
ヒト化抗体である、請求項11記載の抗体。
【請求項18】
抗体フラグメントである、請求項11記載の抗体。
【請求項19】
抗体フラグメントが、Fab'、Fab、F(ab')2、単一ドメイン抗体、FvまたはscFvとしてさらに定められる、請求項18記載の抗体。
【請求項20】
請求項1記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項21】
請求項11記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項22】
対象における活性化プロテインC抗凝血活性を阻害する方法であって、請求項1記載のモノクローナル抗体の有効量を該対象に投与することを含む、方法。
【請求項23】
活性化プロテインCの細胞保護効果がモノクロナール抗体によって低下しない、請求項22記載の方法。
【請求項24】
対象における活性化プロテインCアミド分解活性を阻害する方法であって、請求項1記載の抗体の有効量を該対象に投与することを含む、方法。
【請求項25】
血液凝固を必要とする対象を治療する方法であって、請求項1記載の抗体の有効量を該対象に投与することを含む、方法。
【請求項26】
血液凝固を必要とする対象を治療する方法であって、請求項11記載の抗体の有効量を該対象に投与することを含む、方法。
【請求項27】
敗血症を病む対象を治療する方法であって、請求項1記載の抗体の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項28】
活性化プロテインCの投与をさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
敗血症を病む対象を治療する方法であって、請求項11記載の抗体の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項30】
活性化プロテインCの投与をさらに含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
血友病を病む対象を治療する方法であって、請求項1記載の抗体の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項32】
血友病を病む対象を治療する方法であって、請求項11記載の抗体の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項33】
対象における止血を調節する方法であって、請求項1記載の抗体の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項34】
対象が外傷患者である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
対象における止血を調節する方法であって、請求項11記載の抗体の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項36】
対象が外傷患者である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
対象における血栓症を調節する方法であって、請求項1記載の抗体の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項38】
対象における血栓症を調節する方法であって、請求項11記載の抗体の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項39】
不活性化プロテインCの活性化を阻害する方法であって、請求項11記載のモノクロナール抗体の有効量を対象に投与することを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【公開番号】特開2013−49694(P2013−49694A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−236531(P2012−236531)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2010−531275(P2010−531275)の分割
【原出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(507140841)オクラホマ・メディカル・リサーチ・ファウンデーション (7)
【Fターム(参考)】