説明

活性化合物の持続放出のための分解性の取り外し可能なインプラント

製薬学的インプラントが、空洞を完全に取り囲む分解性ポリマーで作られた外壁を含んでなるチューブから成り、外壁が複数の開口部を有し、そして空洞が1組もしくはそれ以上の微粒子を含有し、これらの微粒子が活性薬剤または2つもしくはそれ以上の活性薬剤の組み合わせを含有し、そして微粒子の大部分が開口部を通過できないように微粒子のサイズが選択される、患者における1つもしくはそれ以上の薬剤の持続放出のための分解性の取り外し可能な製薬学的インプラント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮下腔に容易に導入され、必要が生じた場合に取り外され、そして薬剤送達機能が完了すると分解する埋め込み可能なデポーポリマー装置に関する。1つもしくは多数の薬剤を包含することができる。該装置は、薬剤の負荷(loading)およびマトリックスに選択されるポリマー特性を、患者の特定の要求を満たすように薬剤に対して個々に調整することができる、ある程度の柔軟性を取り入れる。
【背景技術】
【0002】
埋め込み可能な薬剤送達装置は当該技術分野において知られている。該装置はヒトもしくは動物患者の体内に外科的に埋め込まれ、そして薬剤は効果的な方法で放出される。そのような埋め込み可能な薬剤送達系は、長時間にわたって持続した速度で薬剤を送達するために特に有用である。このタイプの薬剤送達インプラントの例には、Norplant、Lupron DepotおよびGliadel Waferが包含される。
【0003】
当該技術分野で既知の埋め込み可能な薬剤送達系において、有効成分は中空針を介した皮下埋め込みを可能にするために十分に小型の円筒形に成形されるマトリックス材料に埋め込まれる。そのような送達系と関連する不都合は、体液がインプラントに侵入しそしてポリマーマトリックスを分解し始めなければならないので埋め込みと薬剤の送達の間に時間のずれがあることである。これはまた、放出パターンの不規則性をもたらすことも多い。
【0004】
さらに、そのような系は2つもしくはそれ以上の薬剤を同時に送達するように設計されていない。埋め込み可能な薬剤送達系の有用性は、これが利用可能になると劇的に増加する。より包括的な、相乗的な、もしくはより補完的な(complimentary)形で一緒に作用することができる2つもしくはそれ以上の活性薬剤を処置が含む場合に病状はより有効に対処されることが多い。この例は、抗生物質の2つの異なる種類のメンバーが単一のデポー系から放出される感染の処置もしくは予防である。各抗生物質の活性は異なる細菌株を標的とし、そしてこのようにしてより包括的な治療を提供する。有用性の別の例は、鎮痛薬の送達においてである。鎮痛薬の持続的放出は患者に長い無痛期間を提供することができ、それは経口療法に固有の薬剤のピークおよび谷(valleys)血漿濃度に比べて著しい改善である。しかしながら、別個の作用機序を有する多数の鎮痛薬の持続的放出は、著しく増大した疼痛管理をもたらし得る。
【0005】
多剤デポーのさらにより切実な例は、感染症、例えばHIV(ヒト免疫不全ウイルス)およびHBV(B型肝炎ウイルス)の処置において見出すことができる。HIVの標準的治療は少なくとも3つの薬剤の「混合物」を必要とする。HIVの持続放出治療は治療コンプライアンス(錠剤負担を減らすこと)に大きく貢献し、そして治療活性剤(actives)に対する耐性の発生の危険性を減らすことができる。埋め込み可能な持続放出製剤が1つの持続放出を有しそして他のものが経口療法のままであるよりむしろ薬剤混合物の全ての成分を含有する場合にこの治療の価値はさらに増す。このタイプの治療から利益を得る他の感染症は、マラリア、インフルエンザ、TBおよびC型肝炎である。多剤デポーはまた高リスク集団の暴露前環境、例えばHIV感染の暴露前予防において用いることもできる。
【0006】
別個の過程に2つの活性剤の調合を分離することは安定性を実質的に向上し、各々の薬剤負荷を増加することができ、そしてある薬剤をより早くもしくはより遅く放出するように調合することができるかまたはある薬剤を患者の状態により投薬量を増加するかもしく
は減らす柔軟性を組成的に取り入れる。
【0007】
持続放出適用において使用する薬剤の多くは強力でありそして重篤なさらに生命にかかわる反応を引き起こし得るので、埋め込み後に装置を取り外せることは重要である。いったん装置が生理的媒質と接触するとペレットもしくは微粒子は互いにすぐに分離し、完全に取り除くことを不可能にするので、特許文献1に記載の通り1つの単位に一緒に微粒子もしくはペレットを圧縮することさえ装置が取り外し可能であることを保証しない。
【0008】
特許文献2は、ホルモンの制御放出のための埋め込み可能な装置を記述する。該装置は、電気的に制御可能な放出系を各々含有する複数のリザーバーを有する基質を含んでなる。特許文献3は、薬剤を含有する既定のリザーバーおよびチャンネルを含んでなる既定の微細加工した特定のパターンを有するポリマー多層構造を記述する。該ポリマー多層構造は生物分解性であるが、送達される治療の期間より長い寿命を有する。ポリマー構造の幾何パターンは、治療の送達中に存続しながら治療の送達を制御する。該装置は高温で一緒に融合される層状に製造され、それはリザーバー形状の顕著な反りを引き起こし、装置における薬剤の総負荷もしくは薬剤の放出速度の著しい変化につながり得る。さらに、薬剤を装置に充填するためのこの空洞もしくはチャンネル方法は、薬剤の限られた容量を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US2001/0026804明細書
【特許文献2】US2004/0082937明細書
【特許文献3】US2006/0269475明細書
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ポリ(ジオキサノン)押出およびレーザー加工チューブ。穴の直径は50ミクロンであり、穴の横列の数は40であり、横列当たりの穴の数は60である。穴の総数は2400である。チューブの全長は30mmであり、そして穴を含有するチューブの全長は20mmである。チューブの内径は3mmである。
【図2】電界紡糸されているポリ(ジオキサノン)チューブの横断面。壁の厚さは500ミクロンである。内径は2mmである。
【図3】電界紡糸されているポリ(ジオキサノン)チューブの表面。繊維はランダムに配向され、そして繊維ネットワークにより形成される開口部のサイズは1〜20ミクロンの範囲においてである。
【図4】70%(w/w)TMC278および30%(w/w)PLGA 50/50 1Aを含有する微粒子の光学顕微鏡写真。倍率は100Xである。
【図5】70%(w/w)TMC114および30%(w/w)PLGA 50/50 2Aを含有する微粒子の光学顕微鏡写真。倍率は500Xである。
【発明の概要】
【0011】
発明の記述
本発明は、患者における1つもしくはそれ以上の薬剤の持続放出のための分解性の取り外し可能な製薬学的インプラントに関し、ここで、製薬学的インプラントは、空洞を完全に取り囲む分解性ポリマーで作られた外壁を含んでなるチューブから成り、ここで、外壁
は複数の開口部を有し、そしてここで、空洞は1もしくはそれ以上の組の微粒子を含有し、これらの微粒子は活性薬剤または2つもしくはそれ以上の活性薬剤の組み合わせを含有し、そしてここで、微粒子のサイズは微粒子の大部分が開口部を通過できないように選択される。
【0012】
チューブは分解性ポリマーから成る。微粒子は有効成分または2つもしくはそれ以上の有効成分の組み合わせを含有し、そして体液と接触するとそれらが有効成分を放出するように考案される。チューブがそれで作られている分解性ポリマーは、微粒子からの有効成分もしくは複数の成分の放出が実質的に完了する前にそれが実質的に分解しないように選択される。微粒子のタイプの選択およびそれらの相対量は、患者対象者の特定の要求に基づいている。
【0013】
本明細書において用いる場合、分解性もしくは生物分解性という用語は、本発明のインプラントを保有する患者、特に動物、さらに特にヒトにより分解可能であることを意味する。患者における分解過程は、例えば、酵素もしくは加水分解過程であることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1つの態様において、チューブは、各組が異なる有効成分を含有する2組もしくはそれ以上の微粒子を含有する。これは、薬剤の組み合わせが投与される必要がある多デポー系を可能にする。特定の態様において、多デポー系は少なくとも2つ、そして特に3つの抗HIV薬を含有し、そしてインプラントは抗HIV治療において使用され、それは抗HIV薬の組み合わせの投与に基づく。
【0015】
従って、本発明の1つの態様は、患者における1つの薬剤の持続放出のための分解性の取り外し可能な製薬学的インプラントに関し、ここで、製薬学的インプラントは、空洞を完全に取り囲む分解性ポリマーで作られた外壁を含んでなるチューブから成り、ここで、外壁は複数の開口部を有し、そしてここで、空洞は1組もしくはそれ以上の微粒子を含有し、これらの微粒子は該薬剤を含有し、そしてここで、微粒子のサイズは微粒子の大部分が開口部を通過できないように選択される。特に、空洞は1組の微粒子を含有し、これらの微粒子は薬剤を含有する。
【0016】
本発明の1つの態様は、患者における2つの薬剤の持続放出のための分解性の取り外し可能な製薬学的インプラントに関し、ここで、製薬学的インプラントは、空洞を完全に取り囲む分解性ポリマーで作られた外壁を含んでなるチューブから成り、ここで、外壁は複数の開口部を有し、そしてここで、空洞は2組の微粒子を含有し、各組の微粒子は異なる薬剤を含有し、そしてここで、微粒子のサイズは微粒子の大部分が開口部を通過できないように選択される。
【0017】
本発明の1つの態様は、患者における2つもしくはそれ以上の薬剤の持続放出のための分解性の取り外し可能な製薬学的インプラントに関し、ここで、製薬学的インプラントは、空洞を完全に取り囲む分解性ポリマーで作られた外壁を含んでなるチューブから成り、ここで、外壁は複数の開口部を有し、そしてここで、空洞は1組もしくはそれ以上の微粒子を含有し、これらの微粒子は該薬剤を含有し、ここで、1組の微粒子は全ての薬剤を含有するか、2つもしくはそれ以上の薬剤の組み合わせを含有するが全ての薬剤ではないか、もしくは1つの薬剤を含有し、そしてここで、微粒子のサイズは微粒子の大部分が開口部を通過できないように選択される。1つの態様において、1組の微粒子が全ての薬剤を含有する場合、好ましくは1組のみの微粒子がインプラントに存在する。1つの態様において、微粒子の各組は異なる薬剤を含有する。
【0018】
チューブの壁は、生理液を内部空洞に浸透させそれによって生理液が微粒子から薬剤も
しくは複数の薬剤を抽出することそしてさらにチューブの内部から外部への薬剤負荷生理液の拡散を促進することを可能にするための開口部を含有する。開口部は生理液を浸透させるように形成されるが、微粒子がチューブの内部から抜け出るためには小さすぎる。微粒子のあるものはインプラントから出る可能性があるが、開口部のサイズおよび微粒子のサイズは、微粒子の大部分がインプラントの空洞に閉じ込められるように設計される。微粒子の大部分がインプラントの空洞に閉じ込められるは、微粒子の少なくとも85%(w/w)がインプラントの空洞に閉じ込められる;好ましくは微粒子の少なくとも90%(w/w);より好ましくは少なくとも95%(w/w);さらにより好ましくは微粒子の少なくとも98%(w/w)もしくは99%(w/w)がインプラントの空洞に閉じ込められることを意味する。1つの態様において、微粒子のサイズは微粒子が開口部を通過できないように選択される。
【0019】
1組より多くの微粒子が存在する場合、微粒子の各組は、該組中の微粒子の各々の製造において使用されるポリマー特性を変えることにより様々な速度にわたって分解するように設計することができる。これは、持続した様々な時間にわたる薬剤送達を保証する。円筒状チューブを構成するポリマーの分解速度は、微粒子の分解の速度より遅い。これは、有害事象の場合にその中身を有するインプラントを取り外せることを保証する。
【0020】
従って、本発明の埋め込み可能な取り外しできる分解性インプラントは、持続した期間にわたって1つもしくはそれ以上の有効成分を送達することができるデポー系として機能する。本発明のインプラントは、1組もしくはそれ以上の微粒子を含有する穿孔チューブであり、微粒子の各組は1つもしくはそれ以上の活性薬剤を含有する。送達される活性剤のタイプの選択ならびにそれらが送達される速度は、患者の要求に合わせることができる。
【0021】
微粒子を包み込むチューブは、生体適合性、生物分解性ポリマーから成る。微粒子が分解した後にチューブが分解するように、チューブの組成の材料を注意深く選択する必要がある。これは、有害事象の場合に薬剤送達系の除去を可能にする。生物分解性ポリマーは、湿った生体組織にさらされると小断片に容易に分解する。これらの断片は次に体によって吸収されるかもしくは体を通過する。さらに特に、生物分解断片は、断片の永続する痕跡もしくは残渣が体によって保持されないように、体によって吸収されるかもしくは体から通り抜けるので、それらは永続する慢性異物反応を引き起こさない。生物分解性ポリマーはまた生体吸収性ポリマーと呼ぶこともでき、そして両方の用語を本発明の文脈内で同じ意味で用いることができる。
【0022】
適当な生体適合性、生物分解性ポリマーは、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(オルトエステル)、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含有するポリオキサエステル、ポリ(無水物)、ポリホスファゼン、およびその混合物を含んでなる。本発明の目的のために、脂肪族ポリエステルには、ラクチド(これにはd−、l−およびメソ乳酸、ならびにd−、l−およびメソラクチドが包含される)、グリコリド(グリコール酸を包含する)、イプシロン−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)およびトリメチレンカーボネートのホモポリマーおよびコポリマーが包含されるがこれらに限定されるものではない。1つの態様において、生体適合性、生物分解性ポリマーは、ラクチド(これにはd−、l−およびメソ乳酸、ならびにd−、l−およびメソラクチドが包含される)およびグリコリド(グリコール酸を包含する)のコポリマーである。別の態様において、生体適合性、生物分解性ポリマーはポリ(ジオキサノン)のホモポリマーである。
【0023】
1つの態様において、チューブは電界紡糸(electrostatic spinn
ing)により製造される。電界紡糸は、ポリマー溶液を繊維に転化するために電気力を使用する。紡糸繊維は非常に微細であり、そして全ての方向にランダムに配向される。チューブが作り上げられるまで繊維が連続して加えられるようにマンドレル上に繊維を紡糸することができる。マンドレルの直径はチューブの内径を決定し、十分な微粒子を含有することができそしてトロカールを通して容易に埋め込むことができるという実用的観点から、マンドレルの直径は好ましくは1〜5mmの間であるべきである。
【0024】
繊維の厚さは、電界紡糸を受ける溶液に使用するポリマーの濃度により制御することができる。しかしながら、実現可能な繊維には最低限のポリマー濃度が必要とされ、そしてあるポリマー濃度を越えると、実現可能な繊維を紡糸することはもはや可能ではない。該範囲はポリマーの固有粘度によって異なり得るが、典型的な範囲は1%〜30%(w/v)である。
【0025】
上記の通り、チューブの設計は、有害事象の場合にそれがその中身と共に完全に除去できるようにである。除去は、埋め込みの領域を触診し、触ることによってチューブを見出し、チューブに隣接する皮膚に小切開を入れそして切開を通してチューブを引き出すことにより成し遂げることができる。これは、チューブがこの過程中に完全なままであるように機械的特性を有することを必要とする。チューブを製造するために使用するポリマーの固有粘度は、機械的特性に影響を与えるための最も重要な因子である。適当な機械的特性を得るための固有粘度の範囲は、好ましくは1.5〜2.5dl/グラムである。
【0026】
電界紡糸チューブの多孔性(電界紡糸チューブの開口部)は、チューブの壁の厚さおよび紡糸繊維の直径により大体において制御される。より厚い壁は、より大きい厚みを生じさせるマンドレル上により多くの繊維を作り上げることにより製造される。より多くの繊維が加えられるにつれて形成されるネットワーク中の繊維のランダムな配向のために、チューブの全多孔性は減少する。多孔性は、内部で微粒子からの活性薬剤もしくは複数の薬剤の拡散を促進するためのチューブへの周囲の生理液の浸透の手段を提供するのでそれは必要である。多孔性は材料における空洞スペースの尺度であり、そして微小なオープンスペースにより占められる総容量の割合もしくはパーセンテージとして定義される。式の形において、多孔性は0〜1の間の割合としてもしくは0〜100%の間のパーセンテージとして表される総容量で割った空洞の容量である。微粒子はチューブの内側の中に含有されなければならないので多孔性には限度があるはずである。あるいはまた、多孔性は、生理液がチューブの内側に浸透するのを妨げるほどに最小化することはできない。理想的には多孔性は60〜90%の間であるべきであり、そしてこれは50〜500ミクロンの間である壁の厚みを有するチューブを製造する場合に成し遂げることができる。例えば、1〜20ミクロンの間である孔をこの方法で得ることができる。さらに、壁の厚みは、それがチューブの柔軟性を妨げるほど過度であるべきではない。
【0027】
あるいはまた、チューブは押出工程、続いて既定パターンにおける既定サイ ズの穴(開口部)のレーザー穿孔から製造することができる。上記の通り、チューブを製造するために使用するポリマーは生物分解性である。好ましい生物分解性ポリマーは、軟らかくそしてそれ故に柔軟性のあるものである。この好ましい群におけるポリマーの例は、ポリ(カプロラクトン)およびポリ(ジオキサノン)である。ここで、ポリマーの固有粘度の選択は最も重要である。固有粘度は、容易に押し出されそして既定のパターンにレーザーにより容易にエッチングされるポリマーを与えるものであるべきである。ポリマー化学において固有粘度はマルク−ホーインク式によってモル質量と関連している。固有粘度の決定のための実用的方法は、ウベローデ粘度計を用いてである。固有粘度(inherent
viscosity)および固有粘度(intrinsic viscosity)は、密接に関係している。固有粘度は(intrinsic viscosity)は、無限希釈の極限における固有粘度(inherent viscosity)として定義さ
れる。溶液濃度に対する固有粘度のグラフにおいて、y切片(c=0での)は固有粘度(intrinsic viscosity)に等しい。電界紡糸チューブの場合のように、チューブは有害事象がある場合に小切開からそれを引き出すことができる十分な機械的特性を有さなければならない。ポリマーの固有粘度は、チューブの機械的特性に直接影響を与える。これらの基準の全てを満たすために、ポリマーの固有粘度の範囲は好ましくは0.5〜5dl/gの間であるべきである。
【0028】
チューブ様形状を得るために、ポリマーは適切に設計されたダイスを装着した押出機から押し出される。一定の内径を維持するために、気流をチューブの中央に吹き込むことができる。あるいはまた、チューブを特定のサイズのマンドレルに沿って押し出すことができる。電界紡糸チューブの場合のように、内径は1〜5mmの間であることができる。最小の壁の厚さは好ましくは少なくとも25ミクロンであり;この値を下回ると壁は十分な機械的完全性を有さず、そしてチューブの取り扱いは困難である。最大の壁の厚さは好ましくは500ミクロンを越えるべきではなく;チューブの全径は皮下腔における快適な適合により制約されるのでこの値を上回るとチューブの内側のスペースは限定される。さらに、大きい壁の厚さでは、チューブの柔軟性は低くなり、さらに患者の快適さを落とし、そして拡散経路の増加はチューブの内側からの活性剤(1つもしくは複数)の拡散速度を減少し得る。壁の厚さの好ましい範囲は50〜500ミクロンである。チューブの外径は好ましくは5mmを越えるべきではなく;この値を上回るとインプラントは大きすぎて皮膚の下に十分に適合しない。
【0029】
孔(開口部)は、低エネルギーレーザーエッチング工程を用いてチューブの壁を通ってエッチングされる。前駆体チューブをレーザー加工ユニット上に取り付け、そして所望の配置もしくはパターンをその上に与えられた埋め込み可能な装置を形成するためにレーザービームからのエネルギーに供する。低エネルギーは、孔の形状および直径の低下した再現性をもたらすかもしくはさらにポリマーの分解につながり得るポリマーの加熱を防ぐために重要である。穴もしくは孔はチューブの外表面で10ミクロンの最小直径、レーザーが再現可能な形で穿孔することのできる最小直径孔を有する。直径の上限は粒子のサイズによって決定することができる。孔を通した微粒子の大部分の喪失を防ぐために、チューブの内表面での孔の直径は、チューブに詰めるために製剤において使用する微粒子の分布における最小直径微粒子のものより一桁未満大きいかもしくは同じであることが必要である。(レーザーエッチング工程は、チューブの内表面での直径より大きいチューブの外表面での直径を有する孔をもたらすことができる)
穴のパターンは、マスクの使用により装置に与えられる。所望の配置もしくはパターンを有するマスクを基質の上に置き、そしてレーザービームにより基質上に意図するパターンが与えられる。レーザー加工ユニットは、エッチング工程中にレーザービームをある方向にそして基質を別の方向に動かす協調的多動作ユニットを含んでなる。レーザービームはマスクを通って投射され、そして生体吸収性材料を除去し、そのようにしてマスクに対応する配置もしくはデザインを装置に与える。材料のレーザー切断中の水分および酸素関連作用を最小限に抑えるかもしくは防ぐレーザー切断環境において不活性気体を用いることができる。好ましくは、レーザービームは前駆体材料に到達する前にレンズを通してさらに配向される。レンズはビームを増大させ、そして基質に所望のパターンもしくは配置をより正確に与える。ビームホモジナイザーもまた、より均一なレーザービームエネルギーを生じさせるためにそしてビームが基質に当たる場合にレーザービームエネルギーの一貫性を維持するために用いることができる。ビームエネルギーは、レーザー切断時間を減らすように制御することができる。
【0030】
孔はまた、水混和性半固体、界面活性剤、ポリマーもしくは水溶性固体を壁ポリマーに含むことにより形成することもできる。水性媒質と接触すると水混和性もしくは可溶性物質が侵出される場合に孔が形成される。孔を形成するための侵出工程は埋め込みの前に行
うことができ、あるいはまた生理的媒質がチューブの表面と接触する場合には埋め込みの直後に起こることができる。適当な水混和性もしくは可溶性物質には、リン脂質、脂肪酸、Tween、PEG(PEG’s)が包含される。
【0031】
薬剤負荷微粒子は、チューブの内部に詰めるために製造される。薬剤負荷微粒子は、ポリマーに物理的に埋め込まれた薬剤を含んでなりそして1,000ミクロン未満の粒径を有する粒子を意味する。微粒子は、ミクロスフェア、マイクロカプセルもしくは微顆粒であることができる。ミクロスフェアは、薬剤がポリマーに均一に溶解しているかもしくは封入されている実質的に球状の微粒子を意味する。マイクロカプセルは、薬剤がポリマーで被覆される実質的に球状の粒子を意味する。微顆粒は、活性剤がポリマーに均一に溶解されるかもしくは封入される不規則な形の微粒子を意味する。
【0032】
微粒子の粒径分布は好ましくは約1〜1,000ミクロンの間、より好ましくは約10〜約500ミクロンの間、そしてさらにより好ましくは約25〜約250ミクロンの間である。
【0033】
微粒子のサイズもしくは粒径分布は、例えばレーザー回折もしくは顕微鏡検査のような、当業者に周知である技術により測定するかもしくは決定することができる。上記に示される通り、微粒子サイズは好ましくはチューブの開口部のサイズに、これら2つがチューブ内に微粒子を閉じ込めるために協調しているように、関連している。
【0034】
微粒子の粒径分布の範囲を最小限に抑えるために、本発明のインプラントに導入する前に微粒子をふるいにかけることができる。微粒子のふるいは、例えば当業者に周知である典型的なメッシュふるいを用いることにより行うことができる。
【0035】
薬剤負荷微粒子は、多数の既知の方法のいずれかを用いて製造することができる。高い薬剤負荷を有する微粒子をもたらすので好ましい、1つの好ましい方法は、US7261529に記述される方法のような回転ディスク(spinning disc)法である。最小スペースにできるだけ多くの薬剤を入れ、インプラントの最終的なサイズを最小限に抑えるために、少なくとも10%(w/w)の負荷を得ることが非常に推奨される。60〜80%(w/w)の薬剤負荷が好ましい。微粒子を製造するために、ポリマーは典型的に適当な溶媒における溶液中である。適当な溶媒には、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、塩化メチレンが包含される。薬剤は、典型的に適当な溶媒における溶液もしくは懸濁液中である。
【0036】
薬剤負荷微粒子を製造するための別の方法はエマルジョン法である。エマルジョン法を用いて微粒子を製造するために、活性薬剤を固体もしくは溶液状態のいずれかの有機ポリマー溶液に加える。急速攪拌もしくは超音波処理によりポリマー溶液全体にわたって活性薬剤は均一に分散される。有機溶液を次に界面活性剤を含有する水溶液に注ぎ込んで水相内にポリマー液滴を形成させ、そして連続して攪拌することにより有機溶媒を蒸発させる。次に混合物を大きいバットの水に移し、混合を続けて残留溶媒を抽出しそして液滴を微粒子に硬化した。薬剤負荷微粒子は濾過により集めることができる。
【0037】
薬剤という用語には、ある生物学的反応に影響を及ぼす全ての物質を包含するものとする。薬剤という用語には、ヒトを包含するがこれに限定されるものではない任意の哺乳類に有用な薬剤が包含される。薬剤という用語には、薬剤の以下の種類:治療薬、予防薬および診断薬が包含されるがこれらに限定されるものではない。ポリマーマトリックスに導入することができる薬剤の例は、麻薬性鎮痛剤、金塩、コルチコステロイド、ホルモン、抗マラリア薬、インドール誘導体、関節炎の処置のための薬剤、抗生物質、サルファ剤(sulfur drug)、抗腫瘍薬、中毒コントロール薬(addiction−co
ntrol drugs)、体重管理薬(weight control drugs)、甲状腺調節剤、鎮痛剤、抗高血圧薬、抗炎症剤、鎮咳薬、抗てんかん剤(anti−eleptics)、抗うつ剤、抗不整脈薬、血管拡張剤、降圧利尿薬、抗糖尿病薬、抗凝固剤、抗結核薬、精神病を処置するための薬剤、アルツハイマー病の処置のための薬剤、中枢神経系疾患もしくは症候群を処置するための薬剤、抗HIV薬、抗TB薬、肝炎の処置のための薬剤である。上記のリストは包括的であるものではなく、そして微粒子に導入することができる多種多様な薬剤の単に代表である。
【0038】
本明細書において、薬剤、活性剤、活性薬剤、有効成分、化合物、活性化合物という用語は同じ意味で用いられる。
【0039】
好ましい種類の薬剤は、HIVの処置もしくは予防において、特にHIVの処置において用いられるものである。これらには、プロテアーゼ阻害剤(PI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、ヌクレオシドおよびヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTIおよびNtRTI)が包含される。他の種類は、融合阻害剤を包含する侵入阻害剤およびインテグラーゼ阻害剤である。HIV処置にはいわゆる高活性抗レトロウイルス療法(HAART)組み合わせが好ましい。これらは、NNRTIともしくはPIと組み合わせた2つのヌクレオシド逆転写酵素阻害剤のバックボーンを典型的に含んでなる。PIはリトナビルのようないわゆる「ブースター」と組み合わされることが多い。
【0040】
1つの態様は、NNRTIリルピビリン(「TMC278」とも呼ばれる)もしくは塩酸塩のようなその製薬学的に許容しうる塩を含んでなる1組の微粒子を含有するインプラントに関する。好ましいのはリルピビリン(=遊離塩基)である。1つの態様は、1組の微粒子がNRTIを含有しそしてもう1組の微粒子がNNRTIを含有するインプラントに関する。
【0041】
1つの態様は、1組の微粒子がNNRTIを含有しそしてもう1組の微粒子がPIを含有するインプラントに関する。
【0042】
別の好ましい種類の薬剤は、C型肝炎の処置において使用されるものである。これらには、リバビリン、インターフェロン、HCV(C型肝炎ウイルス)プロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤が包含される。ここでもまた、組み合わせが好ましい。
【0043】
1つの態様は、微粒子がHIV阻害剤もしくはHCV阻害剤から選択される少なくとも1つの薬剤を含有するインプラントに関する。
【0044】
微粒子を製造するために使用するポリマーは、生体適合性、生物分解性ポリマーである。適当な生体適合性、生物分解性ポリマーは、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(オルトエステル)、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含有するポリオキサエステル、ポリ(無水物)、ポリホスファゼン、およびその混合物を含んでなる。本発明の目的のために、脂肪族ポリエステルには、ラクチド(これにはd−、l−およびメソ乳酸、ならびにd−、l−およびメソラクチドが包含される)、グリコリド(グリコール酸を包含する)、イプシロン−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)およびトリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)のホモポリマーおよびコポリマーが包含されるがこれらに限定されるものではない。1つの態様において、生体適合性、生物分解性ポリマーは、ラクチド(これにはd−、l−およびメソ乳酸、ならびにd−、l−およびメソラクチドが包含される)およびグリコリド(グリコール酸を包含する)のコポリマーである。別の態様において、生体適合性、生物分解性ポリマーは、85%〜50%の間であるラクチドのモルパ
ーセントを有するラクチドおよびグリコリドのコポリマーである。
【0045】
本発明の1つの態様において、微粒子はポリマーおよび1つもしくはそれ以上の薬剤に加えて界面活性剤を含有する。界面活性剤は疎水性成分の湿潤性を向上するために利用され、そしてそれらは典型的に親水性および親油性基の両方を含有する両親媒性分子である。親水性親油性バランス(HLB)数は、これらの基の比率の尺度として用いられる。それは、水もしくは油に対する界面活性剤の親和性を定義する0〜60の間の値である。HLB数は、分子の親水性および疎水性部分の分子量を用いて非イオン性界面活性剤に対して計算され、そしてこれらの界面活性剤は0〜20の間の数を有する。イオン性界面活性剤と関連するHLB値は計算されず、むしろそれらにはその相対的もしくは比較界面活性剤挙動に基づいた値が与えられる。
【0046】
HLB数>10を有する界面活性剤は水に対する親和性を有し(親水性)、そしてHLB数<10を有する界面活性剤は油に対する親和性を有する(親油性)。
【0047】
界面活性剤には非イオン性界面活性剤およびイオン性界面活性剤が包含される。イオン性界面活性剤には、脂肪酸塩、例えばオレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシネートナトリウム(sodium lauryl sarcosinate)、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム(sodium state)、リシノール酸ナトリウムなどのような;胆汁塩、例えばコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウムなどのような;リン脂質、例えば卵/大豆レシチン、水酸化レシチン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリンなどのような;リン酸エステル、例えばポリオキシエチレン−10オレイルエーテルリン酸ジエタノールアンモニウム、リン酸もしくは無水物と脂肪アルコールもしくは脂肪アルコールエトキシレートとのエステル化生成物のような;カルボキシレート、例えばスクシニル化モノグリセリド、フマル酸ステアリルナトリウム、コハク酸水素ステアロイルプロピレングリコール(stearoyl propylene glycol hydrogen succinate)、モノ−およびジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ−およびジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のグリセリル−ラクトエステル、脂肪酸の乳酸(lactylic)エステル、ステアロイル−2−乳酸カルシウム/ナトリウム、乳酸ステアロイルカルシウム/ナトリウム、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール、カルボン酸エーテルなどのような;サルフェートおよびスルホネート、例えばエトキシル化アルキルサルフェート、アルキルベンゼンサルフェート、アルファ−オレフィンスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート、アルキルグリセリルエーテルスルホネート、スルホコハク酸オクチルジナトリウム、ウンデシレンアミド−MEA−スルホコハク酸ジナトリウムなどのような;陽イオン性界面活性剤、例えばヘキサデシルトリアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、ジイソブチルフェノキシエトキシジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ベタイン(ラウリルベタイン)、エトキシル化アミン(ポリオキシエチレン−15−ココナッツアミン)などのような、陽イオン性、陰イオン性および両性イオン性界面活性剤が包含される。
【0048】
本発明において好ましい界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
【0049】
本発明において使用することができる適当な非イオン性界面活性剤は:
a)PEG6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、32、40、45、50、55、100、200、300、400、600などとラウリン酸、オレイン酸
、ステアリン酸、リシノール酸(ricinoic acid)などのエステルを含んでなるポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル、例えばラウリン酸もしくはステアリン酸PEG−6、オレイン酸もしくはラウリン酸PEG−7、ラウリン酸もしくはオレイン酸もしくはステアリン酸PEG−8、オレイン酸もしくはステアリン酸PEG−9、ラウリン酸もしくはオレイン酸もしくはステアリン酸PEG−10、ラウリン酸もしくはオレイン酸もしくはステアリン酸もしくはリシノール酸PEG−12、ステアリン酸もしくはオレイン酸PEG−15、ラウリン酸もしくはオレイン酸もしくはステアリン酸PEG−20、ステアリン酸PEG−25、ラウリン酸もしくはオレイン酸もしくはステアリン酸PEG−32、ステアリン酸PEG−30、ラウリン酸もしくはオレイン酸もしくはステアリン酸PEG−40、ステアリン酸PEG−45、ステアリン酸PEG−50、ステアリン酸PEG−55、オレイン酸もしくはステアリン酸PEG−100、オレイン酸PEG−200、オレイン酸PEG−400、オレイン酸PEG−600;(この群に属する界面活性剤は、例えばCithrol、Algon、Kessco、Lauridac、Mapeg、Cremophor、Emulgante、Nikkol、Myrj、Crodet、Albunol、Lactomulとして知られている)
b)PEG−8、10、12、20、32、400などとラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸(palmic acid)、オレイン酸などのジエステルを含んでなるポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、例えばジラウリン酸もしくはジステアリン酸PEG−8、ジパルミチン酸PEG−10、ジラウリン酸もしくはジステアリン酸もしくはジオレイン酸PEG−12、ジラウリン酸もしくはジステアリン酸もしくはジオレイン酸PEG−20、ジラウリン酸もしくはジステアリン酸もしくはジオレイン酸PEG−32、ジオレイン酸もしくはジステアリン酸PEG−400;(この群に属する界面活性剤は、例えばMapeg、Polyalso、Kessco、Cithrolとして知られている)
c)例えばモノおよびジラウリン酸PEG4−150、モノおよびジオレイン酸PEG4−150、モノおよびジステアリン酸PEG4−150などのようなポリエチレングリコール脂肪酸モノ−およびジエステル混合物;(この群に属する界面活性剤は、例えばKesscoとして知られている)
d)例えばラウリン酸グリセリルもしくはステアリン酸グリセリルもしくはオレイン酸グリセリルPEG−20、ラウリン酸グリセリルもしくはオレイン酸グリセリルPEG−30、ラウリン酸グリセリルPEG−15、ラウリン酸グリセリルPEG−40などのようなポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;(この群に属する界面活性剤は、例えばTagat、Glycerox L、Capmulとして畏知られている)
e)PEG−20ヒマシ油もしくは水素化ヒマシ油もしくはコーングリセリドもしくはアーモンドグリセリド、PEG−23ヒマシ油、PEG−25水素化ヒマシ油もしくはトリオレエート、PEG−35ヒマシ油、PEG−30ヒマシ油もしくは水素化ヒマシ油、PEG−38ヒマシ油、PEG−40ヒマシ油もしくは水素化ヒマシ油もしくはパーム核油、PEG−45水素化ヒマシ油、PEG−50ヒマシ油もしくは水素化ヒマシ油、PEG−56ヒマシ油、PEG−60ヒマシ油もしくは水素化ヒマシ油もしくはコーングリセリドもしくはアーモンドグリセリド、PEG−80水素化ヒマシ油、PEG−100ヒマシ油もしくは水素化ヒマシ油、PEG−200ヒマシ油、PEG−8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG−6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ラウロイルマクロゴール−32−グリセリド、ステアロイルマクロゴールグリセリド、コハク酸トコフェリルPEG−100(TPGS)のような、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、食用植物油、例えばコーンオイル、オリーブ油、ピーナッツ油、パーム核油、杏仁油、扁桃油などのような天然および/もしくは水素化油もしくは油溶性ビタミンとグリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ペンタエリトリトールなどのようなアルコールもしくはポリアルコールのエステルを含んでなるアルコール−油エステル交換生成物;(この群に属する界面活性剤は、例えばEmalex、Cremophor、Emulgante、
Eumulgin、Nikkol、Thornley、Simulsol、Cerex、Crovol、Labrasol、Softigen、Gelucire、ビタミンE TPGSとして知られている)
f)例えばラウリン酸もしくはオレイン酸もしくはステアリン酸ポリグリセリル−10、モノおよびジオレイン酸ポリグリセリル−10、ポリリシノール酸ポリグリセリルなどのような脂肪酸のポリグリセロールエステルを含んでなるポリグリセリル化(polyglycerized)脂肪酸(この群に属する界面活性剤は、Nikkol Decaglyn、CaprolもしくはPolymulsとして知られている)
g)PEG−24コレステロールエーテル、PEG−30コレスタノール、PEG−25植物ステロール、PEG−30大豆ステロールなどのようなステロールのポリエチレングリコール誘導体を含んでなるステロール誘導体;(この群に属する界面活性剤は、例えばSolulanTMもしくはNikkol BPSHとして知られている)
h)例えばPEG−10ソルビタンラウリン酸エステル、PEG−20ソルビタンモノラウリン酸エステルもしくはソルビタントリステアリン酸エステルもしくはソルビタンモノオレイン酸エステルもしくはソルビタントリオレイン酸エステルもしくはソルビタンモノイソステアリン酸エステルもしくはソルビタンモノパルミチン酸エステルもしくはソルビタンモノステアリン酸エステル、PEG−4ソルビタンモノラウリン酸エステル、PEG−5ソルビタンモノオレイン酸エステル、PEG−6ソルビタンモノオレイン酸エステルもしくはソルビタンモノラウリン酸エステルもしくはソルビタンモノステアリン酸エステル、PEG−8ソルビタンモノステアリン酸エステル、PEG−30ソルビタンテトラオレイン酸エステル、PEG−40ソルビタンオレイン酸エステルもしくはソルビタンテトラオレイン酸エステル、PEG−60ソルビタンテトラステアリン酸エステル、PEG−80ソルビタンモノラウリン酸エステル、PEGソルビトールヘキサオレイン酸エステル(Atlas G−1086)などのようなポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;(この群に属する界面活性剤は、例えばLiposorb、Tween、Dacol MSS,Nikkol、Emalex、Atlasとして知られている)
i)例えばPEG−10オレイルエーテルもしくはセチルエーテルもしくはステアリルエーテル、PEG−20オレイルエーテルもしくはセチルエーテルもしくはステアリルエーテル、PEG−9ラウリルエーテル、PEG−23ラウリルエーテル(laureth−23)、PEG−100ステアリルエーテルなどのようなポリエチレングリコールアルキルエーテル;(この群に属する界面活性剤は、例えばVolpo、Brijとして知られている)
j)例えばショ糖ジステアリン酸エステル/モノステアリン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステルもしくはモノパルミチン酸エステルもしくはモノラウリン酸エステルなどのような糖エステル;(この群に属する界面活性剤は、例えばSucroエステル、Crodesta、サッカロースモノラウリン酸エステルとして知られている)
k)例えばPEG−10−100ノニルフェノール(Triton Xシリーズ)、PEG15−100オクチルフェノールエーテル(Triton Nシリーズ)などのようなポリエチレングリコールアルキルフェノール;
l)例えばポロキサマー108、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー288などのようなポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(ポロキサマー);(この群に属する界面活性剤は、例えばSynperonic PE、Pluronic、Emkalyx、LutrolTM、Supronic、Monolan、Pluracare、Plurodacとして知られている)
を含んでなる。
【0050】
より好ましい界面活性剤は、20以下のHLB値を有する非イオン性界面活性剤である。適当な界面活性剤はF108(BASF)である。
【0051】
チューブへの微粒子の負荷を容易にするために、ヒドロゲルを結合剤として用いてチュ
ーブへの微粒子の負荷の前に微粒子の異なる組を一緒に結合することができる。結合剤は、結合するだけでなく特に微粒子が疎水性の薬剤から成る場合にチューブの内部に湿気を逃がして薬剤拡散を促進するための手段として働くように注意深く選択することができる。さらに、結合剤は微粒子に調合される水難溶性化合物の溶解度を実質的に高めるために選択することができる。これは、例えば低いpHでより可溶性である化合物に低いpH環境を与えることにより成し遂げることができる。あるいはまた、結合剤は、微粒子に導入される水難溶性薬剤に界面活性剤環境を与える水和系において自己乳化するポリマーであることができる。結合剤のいくつかの例には、アルブミン、カゼイン、ワックス、澱粉、架橋澱粉、単糖、グルコース、ポリスクロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、変性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−エチルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、ポリビニルピロリドン、無水ポリマレイン酸エステル、ポリオルトエステル、ポリエチレンアミン、グリコール、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリ(1,3ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパン−コ−セバシン酸無水物、N,N−ジエチルアミノアセテート、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのブロックコポリマー、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸誘導体、グアルゴム、イナゴマメ(carob ban)ゴム、キチン、自己乳化ポリマーもしくは薬剤が包含される。結合剤の有効量は、粒子を結合するために十分な粘度を有するがそれがチューブの内部において必要とするスペースの量を最小限に抑えるために低い固形分を有するものである。
【0052】
本発明の1つの態様において、ヒドロゲル自体は微粒子に存在する1つもしくはそれ以上の薬剤に加えて1つもしくはそれ以上の薬剤を含有する。これは、1つもしくはそれ以上の薬剤の高い初期血漿濃度を得ることを容易にする。
【0053】
微粒子もしくは微粒子/ヒドロゲル混合物は、手動技術によりもしくは自動技術によりチューブに導入することができる。手動技術には、チューブへのスパチュラによる混合物の移動が包含される。自動技術には、製薬産業において用いられる通常の充填機の使用が包含される。
【0054】
空洞を完全に取り囲むようにチューブを閉じるために、チューブの端を熱融着することができる。これは、例えばBovie低温手術用焼灼器を用いることにより成し遂げることができる。熱をかける前に、融着するチューブの端部にチューブ材料の小片を最初に挿入し、そして次に局所末端領域に熱をかけて材料を溶融させ;次に端を手で絞って融着することができる。チューブの一端を最初に融着し、そして次にチューブに指定内容物を詰める。その後に、開口端を同じように融着することができる。端を融着するための多数の他の可能な方法がある。例えば、融着するチューブの端部をシーラーの2つのへりの間に置く通常の熱シーラーを用いることができる。融着は、熱および圧力を同時にかけることにより成し遂げられる。端はまた、適当な接着剤を用いることにより接着剤融着することもでき;少量の接着剤を先端領域においてチューブの内部に入れることができ、そして次に圧力をかけて端の先端を圧縮する。典型的に、しっかりと融着するためには既定の保持時間が必要である。
【0055】
インプラントは、ディスク、球もしくは円柱が包含されるがこれらに限定されるものではない任意の形状を有することができるが、好ましくはインプラントは円柱である。円柱のサイズは直径1〜5mmそして長さ0.5〜5cmの間、より好ましくは直径1〜4mmそして長さ1〜5cmの間であることができる。それは抗HIV治療および抗肝炎治療のような抗ウイルス治療において特に有用である。
【0056】
実施例
【実施例1】
【0057】
結合剤溶液は、分子量125万キロダルトンのポリ(アクリル酸)(PAA)(Aldrich)を用いて調製した。ポリ(アクリル酸)を溶解するために脱イオン水を用いて3つのヒドロゲル溶液濃度を調製した。濃度は5%(w/w)、0.5%(w/w)、0.25%(w/w)であった。微粒子の混合物は3つ全てのヒドロゲルで得られたが、粘性が高すぎてヒドロゲル中の微粒子の分散を困難にすることがない点からそしてチューブへの容易な負荷にとって粘性が低すぎることがないヒドロゲルの点から最も作業しやすい混合物は0.5%(w/w)であった。各ヒドロゲルのpHはpH試験紙を用いて測定し、5%のヒドロゲルのpHは2〜3の間であり、他の2つのヒドロゲルは3と測定された。
【0058】
粒子/ヒドロゲル混合物は、それが1の割合のヒドロゲルと2の割合の微粒子であるように調製することができ、そしてこのようにしてゲルにより必要とされるチューブ中のスペースを最小限に抑えそして微粒子の内部スペースを最大にする。70%(w/w)TMC278および30%(w/w)乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)(DLG 5050 1A Surmodics Pharmaceuticals,Birmingham,AL)から成る微粒子を回転ディスク法を用いて製造した。一般に、回転ディスク法を用いて粒子を製造するために、特定のサイズのディスクを選択し、そしてディスク速度を制御するために調節可能な回転速度でモーター上に取り付ける。ポリマーを例えばアセトンのような適当な溶媒に溶解し、そして薬剤をポリマー溶液に加え、そして攪拌する。得られる混合物を特定の速度でディスクに供給する。ディスクが回転するにつれて、求心力によりディスクの外縁に液滴もしくは粒子が形成される。粒子は、温度の勾配であらかじめ設定される乾燥コーンに向けられる。この乾燥工程において粒子から溶媒が除かれ、粒子を硬化もしくは凝固させ、そして粒子を集める。
【0059】
本実施例において、4%(w/v)PLGA溶液はアセトンにおいて調製した。ディスク(Southwest Research Institute,San Antonio,TX)速度は9250rpmであり、ディスクサイズは7.62cmであり、供給速度は45g/分であり、コーン出口温度は45〜48℃の間であった。TMC278をPLGA溶液に加え、そして約15〜20分間攪拌し、その後でディスクに供給した。粒径分布は、Malvern Mastersizer(Malvern Instruments,Ltd,Worcestershire,UK)を用いて測定した。結果:d10は29ミクロンであり、d50は48ミクロンであり、そしてd90は69ミクロンであった。
【0060】
チューブは、ヘキサフルオロイソプロパノール中120mg/mlのポリ(ジオキサノン)の電界紡糸により製造した。チューブの内径は3mmであり、そして壁の厚さは500ミクロンであった。使用したチューブの長さは2.54cmであった。チューブの走査型電子顕微鏡検査(JEOL JSM 5900LV,Tokyo,Japan)分析により、ランダムに配向した繊維により形成されるネットワークにおける開口部(孔)は1〜20ミクロンの範囲であることが示された。最初に、チューブの一端を熱融着した。熱融着は、Bovie低温手術用焼灼器を用いて成し遂げた。熱をかける前に、融着するチューブの端部にチューブ材料の小片を最初に挿入し、そして次に局所末端領域に熱をかけて材料を溶融させ;次に端を手で絞って融着した。一端を融着した後に、チューブのもう一方の端にこの端を熱融着する場合に加えられるチューブ材料の小片と一緒にチューブを秤量し(空のチューブの質量を記録した)、そして次にスパチュラを用いて微粒子/ヒドロゲル混合物を詰めた。充填の後に上記に概説したのと同じ方法を用いてチューブのもう
一方の端を熱融着した(小片を加えて)。融着したチューブを秤量した。充填および非充填チューブ間の重量の差は、中身の質量に等しい。各チューブの中身の詳細を表1に要約する。
【0061】
【表1】

【0062】
500mlの溶出容器を用いてハンソン溶解テスター(Hanson Research Corp.,Chatsworth,CA)を使用して方法Iサンプリングシステムにサンプルを入れた。媒質は500mlの蒸留水であり、そしてサンプルを1、3、7、10および14日に採取した。放出データを表2に要約する。実験は37℃で行った。
【0063】
【表2】

【0064】
TMC278の溶解性は、pH=2で劇的に増加する。溶解性実験により、水における溶解性は7のpHに対して2のpHで950倍大きいことが示される。pHを効果的に下げることができる酸性結合剤ゲルの使用は、ポリマーマトリックスからのTMC278の溶出の速度を増加することができる。ゲル中の酸性ポリマーの濃度を上げることは、pHをなおさらに低下させることができる(表1)。表2に示されるように、pHが2〜3の間である5%(w/w)ポリ(アクリル酸)ゲルにTMC278微粒子を分散させることは、pHが3である濃度がより低いヒドロゲルに分散させたTMC278微粒子に対して微粒子から溶出するより多量のTMC278をもたらす。
【実施例2】
【0065】
3%(w/v)のカルボキシメチルセルロース(CMC;Hercules,7H3SFPH)ゲルをPBSにおいて調製した。水において調製する場合ゲルの粘度は3000〜6000cpsである。しかしながら、塩溶液において調製する場合ポリマーの粘度はイオン強度に対するその感受性のために2/3減少し、そしてそれ故に微粒子と容易に混ざる。70%(w/w)TMC278および30%(w/w)乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)(DLG 5050 1A,Surmodics Pharmaceuticals,Birmingham,AL)から成る微粒子を回転ディスク法を用いて製造した。簡潔に言えば、4%(w/v)ポリマー溶液をアセトンにおいて調製した。ディスク速度およびサイズは、それぞれ、9250rpmおよび7.62cmであった。供給速度は45g/分であり、そしてコーン出口温度は45〜48℃の間であった。TMC278をPLGA溶液に加え、そして約15〜20分間攪拌し、その後でディスクに供給した。粒径分布は、Malvern Mastersizer(Malvern Instruments,Worcestshire,UK)を用いて測定した。結果は、29ミクロンのd10、48ミクロンのd50そして69ミクロンのd90を示した。微粒子の2mgサンプルを2mlの3%CMCゲルと混合した。この混合物中のTMC278の総負荷は2.25%(w/w)であった。
【0066】
ラクチド/グリコリドの85/15のモル比を有する乳酸−グリコール酸共重合体を用いてチューブを製造した。1”シングルスクリュー押出機(Davis Standard)、水冷トラフ、プラー(puller)およびカッターを含んでなる小型業務用押出ラインを用いてチューブを押し出した。チューブの直径および丸みをモニターするためにインラインレーザー直径測定システムもまた使用した。押出工程において、樹脂形態の原料を上部に取り付けられたホッパーから押出機のバレルに供給し、そこで回転スクリューは、所望の融点まで加熱したバレルに樹脂を押し進めた。押出機の3つの加熱ゾーンにおいて、適当な温度プロフィールを設定し、そして維持した。これにより、プラスチック樹脂はそれがバレルを通って押されるにつれて徐々に溶融することが可能であった(ポリマーの分解を引き起こし得る過熱の危険性を減らす)。
【0067】
バレルの先端で、溶融プラスチックはスクリューから出て、そしてスクリーンパックを通過して溶融物中の任意の混入物質を除き、それはまたより安定な背圧を樹立するのにも役立った。ブレーカープレートを通過した後に溶融プラスチックはダイスに入った。ダイスは、管状プロフィールの生成のための環状構造を作り出すために中央にマンドレルを有する管状である。マンドレルの先端を通してポリマーチューブの内部に少量の空気を注入した(気流速度は気流制御装置により制御した)。チューブの形態の押出物は、チューブを冷却しそして凝固させる冷水トラフを通して下流のゴム製ローラーにより引っ張られた。プラーの下流はカッターであり、そこで最終サイズを有する押し出されたチューブは既定の長さに切断され、そして集められた。インラインレーザー直径測定システムは、押し出されたチューブ寸法の連続したインライン測定およびモニタリングのために冷却トラフの後にそしてプラーの前に組み込まれた。
【0068】
押し出されたチューブは、レーザーを用いて10ミクロンの穴で穿孔された。20横列x20縦列の穴のパターンを用いてポリマーチューブに穿孔した。チューブの内径は1.5mmであり、そして外径は1.6mmであった。2.54cmサンプルをチューブから切断し、そして一端で熱融着した(実施例1に記載のものと同じ方法に従って)。スパチュラを用いることにより微粒子/CMCゲル混合物の33.67mgサンプルを穿孔チューブに移し、そしてチューブのもう一方の端を上記の通り熱融着した。
【0069】
500ml容器を用いてハンソン溶解テスター(Chatsworth,CA)における方法Iサンプリングシステムにサンプルを入れた。媒質は500mlの蒸留水であった。サンプルを1、3、7、10および14日に採取した。放出データを表3に要約する。
実験は37℃で行った。
【0070】
【表3】

【実施例3】
【0071】
0.5%(w/w)ポリ(アクリル酸)(Aldrich)ゲルを水において調製し、そして400mgのゲルを960mgのTMC278粒子と混合した。微粒子は、70%(w/w)のTMC278および30%(w/w)の乳酸−グリコール酸共重合体(DLG 5050 1A,Surmodics Pharmaceuticals,Birmingham,AL)から成り、そして実施例1および2に記載の方法に従って製造した。微粒子の粒径分布は上記の通り測定し;d10は29であり、d50=48、そしてd90は68ミクロンであった。実施例2に記載の方法に従って製造したポリ(ジオキサノン)チューブに混合物を詰めた。上記の通りレーザー技術を用いてチューブに穿孔した。チューブは30mmの長さであり、各端から5mmの部分は穿孔しなかった。真ん中の部分の30mmの長さの穿孔は、40横列の穴および横列当たり2400個の穴に配置された。各穴の直径は50ミクロンであった。充填前のチューブの質量は102.01mgであった。充填後のチューブの質量は190.64mgであった(チューブ中のTMC278の計算濃度は43.4mgである)。
【0072】
もう2つのサンプルをこのようにして製造し、そしてチューブ中の微粒子/ゲル混合物の質量は、それぞれ、53.7mgおよび46.3mgであった。HPLC分析により、それぞれのチューブ中のTMC278の39.2mgおよび32.1mgの含有量が確かめられた。
【実施例4】
【0073】
ヘキサフルオロイソプロパノール中120mg/mlのポリマー溶液を用いて電界紡糸ポリ(ジオキサノン)チューブを製造した。チューブの壁の厚さは500ミクロンであった。d10=29、d50=48およびd90=68ミクロンの粒径分布を有する微粒子を用いて微粒子混合物を調製した。微粒子の組成は、70%(w/w)TMC278および30%(w/w)PLGA 50/50(0.1dl/g)であった。微粒子の1200mgのサンプルを500mgの0.5%ポリ(アクリル酸)水性ゲルと混合した。充填前に2cmの長さのチューブの質量は82.8mgであり、そして充填後には203.0mgであった。
【実施例5】
【0074】
実施例1において製造した通り、150mg/mlポリジオキサノン溶液から製造した電界紡糸チューブに詰めるために実施例4に記載の微粒子混合物を用いた。チューブの壁
の厚さは200ミクロンであった。充填前の2cmチューブの質量は29.0mgであり、そして充填後には129.3mgであった。
【実施例6】
【0075】
実施例1において製造した通り、60mg/mlポリジオキサノン溶液から製造した電界紡糸チューブに詰めるために実施例4に記載の微粒子混合物を用いた。チューブの壁の厚さは500ミクロンであった。充填前の2cmチューブの質量は55.4mgであり、そして充填後には151.9mgであった。
【実施例7】
【0076】
TMC278を含有する微粒子の2つの異なる組を製造した。1組の微粒子は、4%(w/v)乳酸−グリコール酸共重合体(DLG 5050 2A,Surmodics Pharmaceuticals,Birmingham,AL)アセトン溶液を用いて製造した。微粒子は、実施例1に記載の通り回転ディスク法を用いて製造した。ディスク速度は7500rpmであり、そしてディスクサイズは7.62cmであった。供給速度は45g/分であり、そしてコーン出口温度は45〜48℃であった。形成される粒子の大部分は50〜75ミクロンの範囲であり、そして粒子中のTMC278の負荷は70%(w/w)であった。第2組の微粒子は、アセトン溶液中4%(w/v)乳酸−グリコール酸共重合体(ラクチド−グリコリド(5050 DLG 1CA,Surmodics
Pharmaceutics,Birmingham,AL)の2.5%(w/w)オリゴマーを含有する、DLG 5050 1A)を用いて製造した。微粒子の第2組中のTMC278負荷もまた70%w/wであった。これらもまた回転ディスク法を用いて製造した。ディスク速度は9250rpmであり、供給速度は50〜55g/分であり、そしてコーン出口温度は45℃であった。DLG 5050 2Aポリマーから製造した606mgのTMC278微粒子およびDLG 1CAを加えたDLG 5050 1Aで製造した599mgのTMC278粒子と0.5%ポリ(アクリル酸)水性ゲルの519mgのサンプルを混合した。実施例3に記載の通りのポリ(ジオキサノン)穿孔チューブに微粒子混合物を詰めた。空のチューブの質量は85.01mgであり、そして微粒子混合物を詰めたチューブの質量は211mgであった。
【実施例8】
【0077】
2つの異なる組の微粒子を製造し、1組はHIVの処置のための強力な非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、TMC278を含有した。第2組は、ダルナビルとしても知られている、HIVの処置のためのプロテアーゼ阻害剤、TMC114を含有した。TMC278微粒子は、上記の通り回転ディスク法を用いて製造した。これらの粒子用に、7.5%(w/v)オリゴマーポリ(ラクチドコ−グリコリド)(5050 DLG 1CA,Surmodics Pharmaceutical,Birmingham,AL)を加えた4%(w/v)乳酸−グリコール酸共重合体(5050 DLG 1A,Surmodics Pharmaceuticals,Birmingham,AL)アセトン溶液を調製した。ポリマーに対するTMC278の負荷は70%(w/w)であった。粒径は20〜75ミクロンの間であった。
【0078】
第2組の微粒子は、TMC114を4%(w/v)ポリ(ラクチドコ−グリコリド)(5050 DLG 1A,Surmodics Pharmaceuticals,Birmingham,AL)アセトン溶液に溶解することにより製造した。45g/分の供給速度で9500rpmで回転している7.62cmディスク上に薬剤−ポリマー溶液を供給した。ディスクチャンバー出口温度(コーン出口温度)は42〜45℃であり、そして微粒子中のTMC114の負荷は70%(w/w)であった。微粒子の混合物は、0.5%(w/w)ポリ(アクリル酸)水性ゲルを調製しそして507mgのゲルを502mgのTMC78微粒子および507mgのTMC114微粒子と混合することにより製造
した。微粒子混合物をポリ(ジオキサノン)押出および穿孔チューブに詰めた(実施例3参照)。穿孔のパターンおよび穿孔のサイズは実施例3に記述される。前述の通り、チューブを最初に一端で熱融着し、混合物を詰め、そしてもう一端で熱融着した。5つの異なるサンプルを製造し、そして2つの薬剤の溶出速度を測定した(表4)。溶出速度を測定するために使用した媒質は、水にTMC278が非常に不溶性であるために90%(v/v)メタノールおよび10%(v/v)水であった。
【0079】
【表4】

【実施例9】
【0080】
2組の微粒子を含有する電界紡糸チューブのインビボ試験
100mg/mlポリジオキサノン(IVHFIP=1.99dl/g)ヘキサフルオロイソプロパノール溶液からチューブを電界紡糸した。4mmの一貫した内径を与えるために4mmマンドレルを用いた。マンドレルの回転速度は400rpmであり、充電電圧範囲は20/−10kVであり、そしてポンプ流速は10ml/時間であった。得られる壁の厚さは500ミクロンであった。繊維直径は1〜2ミクロンであり、そして繊維のネットワークから形成される平均孔径は、走査型電子顕微鏡検査により決定した場合に20ミクロンであった。
【0081】
微粒子は、3〜4%(w/w)の間の濃度を有するポリマー/アセトン溶液を用いて回転ディスク法により製造した。2組の微粒子を製造した。1組の目的組成は、70%(w/w)TMC278および30%(w/w)PLGA 50/50(Lakeshore
Biomaterials IVHFIP=0.79dl/g)であった。もう1組の微粒子の目的組成は、70%(w/w)の化合物1(=WO01/25240の化合物14)および30%(w/w)PLGA 50/50(Lakeshore Biomaterials IVHFIP=0.18dl/g)であった。この化合物1は以下の構造を有し、そして化合物1と以下で呼ばれる:
【0082】
【化1】

【0083】
ディスク速度は7300〜7500rpmの間であり、コーン入口および出口温度はそれぞれ56〜57℃および33.5℃であった。それぞれの微粒子中のTMC278および化合物1の負荷はHPLCにより測定し、そしてTMC278および化合物1濃度はそれぞれ65%(w/w)および35%(w/w)であった。化合物1の目的および実際濃度の間の違いは、化合物1のカプセル封入におけるより大きな困難を示す。
【0084】
微粒子サイズ範囲は、ランダムに選択したサンプルを光学顕微鏡のステージ上に置きそしてランダムに選択したサンプルにおける微粒子の様々なサイズを測定するために定規を使用することにより決定した。TMC278微粒子の得られるサイズ範囲は10〜100ミクロンであり、そして化合物1微粒子のものは20〜100ミクロンであった。
【0085】
微粒子の2つのタイプの混合は、両組の微粒子を50mLガラス製丸底フラスコに移しそしてガラス製かき混ぜ棒およびテフロンパドルを装着したオーバーヘッドミキサーで混合することにより成し遂げた。微粒子を100rpmで30分間(両微粒子の均一な再現性のある混合物を得るために十分な混合時間であるとあらかじめ決定した)乾燥混合した。スパチュラを用いて約133mgの微粒子混合物を静電的に製造したチューブに導入した。
【0086】
製造したチューブを250〜350グラムの間の体重の4匹のオススプラーグドーリーラットの背中の皮下腔に埋め込んだ。TMC278の用量は139mg/kgであり、そして化合物1の用量は64mg/kgであった。尾静脈を既定の時間点でサンプリングした。血液サンプルをすぐに遠心分離して血漿を抽出し、血漿をLC/MS/MSにより化合物1およびTMC278について分析した。定量の下限値は、それぞれ、TMC278および化合物1について0.4ng/mlおよび2ng/mlであった。各薬剤の各時間点での試験血漿濃度の値を表5に示す。
【0087】
【表5】

【実施例10】
【0088】
2組の微粒子を含有するレーザー穿孔溶融押出チューブのインビボ試験
チューブダイスを装着した3/4インチシングルスクリュー押出機を用いてポリジオキサノン(IVHFIP=1.99dl/g)から4.5mmの内径を有するチューブを押し出した。チューブの寸法はインラインレーザー直径測定システムを用いてモニターし、そしてプラーを用いて維持した。押出後にチューブにレーザー穿孔した。レーザー穿孔に備えて、相互に260ミクロン離して穴を配置するマスク設計を用意した。穴の内径および外径を区分するために走査型電子顕微鏡検査を用いた。結果は、外径が平均すると100ミクロンになりそして内径のものは平均すると30ミクロンになることを示した。微粒子は、実施例9に記載の通り製造した。約133mgの微粒子混合物をチューブに導入した。
【0089】
製造したチューブを250〜350グラムの間の体重の4匹のオススプラーグドーリーラットの背中の皮下腔に埋め込んだ。TMC278の用量は139mg/kgであり、そして化合物1の用量は64mg/kgであった。尾静脈を既定の時間点でサンプリングした。血液サンプルをすぐに遠心分離して血漿を抽出し、そして血漿をLC/MS/MSにより化合物1およびTMC278について分析した。TMC278および化合物1の定量の下限値は、それぞれ、0.4ng/mlおよび2.0ng/mlであった。各薬剤の各時間点での試験血漿濃度の値を表6に示す。
【0090】
【表6】

【実施例11】
【0091】
F108と調合した2組の微粒子を含有するレーザー穿孔溶融押出チューブのインビボ試験
レーザー穿孔溶融押出チューブを実施例10における上記の通り製造した。微粒子は、3%(w/w)ポリマー/アセトン溶液を用いて回転ディスク法により製造した。2組の微粒子を製造した。1組の目的組成は、70%(w/w)TMC278、20%(w/w)PLGA 50/50(Lakeshore Biomaterials IVHFIP=0.79dl/g)および10%(w/w)F108(BASF)であった。微粒子のもう1組の目的組成は、70%(w/w)化合物1、20%(w/w)PLGA 50/50(Lakeshore Biomaterials IVHFIP=0.18dl/g)および10%(w/w)F108であった。F108はポリマー溶液に加えた。
【0092】
ディスク速度ならびにコーン入口および出口温度の条件は、実施例9および10において使用したのと同じであった。微粒子中のTMC278および化合物1の負荷はHPLCにより測定し、得られる濃度はそれぞれ61%(w/w)および50%(w/w)であった。
【0093】
微粒子のサイズ範囲は、微粒子のサンプルをランダムに選択しそしてそれらを光学顕微鏡のステージ上に置きそしてランダムに選択したサンプルにおける微粒子の様々なサイズを測定するために定規を用いることにより決定した。TMC278および化合物1微粒子のサイズ範囲は、それぞれ、10〜100ミクロンおよび20〜100ミクロンであった。微粒子は、実施例9に記載の通り混合した。中身を移すためにスパチュラを用いて約133mgの微粒子混合物をチューブに導入した。
【0094】
製造したチューブを250〜350グラムの間の体重の4匹のオスのスプラーグドーリーラットの背中の皮下腔に埋め込んだ。TMC278および化合物1の用量は、それぞれ、109mg/kgおよび78mg/kgであった。尾静脈を既定の時間点でサンプリングした。血液サンプルをすぐに遠心分離して血漿を抽出し、血漿をLC/MS/MSにより化合物1およびTMC278について分析した。TMC278および化合物1の定量の下限値は、それぞれ、0.4ng/mlおよび2ng/mlであった。各薬剤の各事案点の試験血漿濃度の結果を表7に示す。
【0095】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
製薬学的インプラントが、空洞を完全に取り囲む分解性ポリマーで作られた外壁を含んでなるチューブから成り、外壁が複数の開口部を有し、そして空洞が1もしくはそれ以上の組の微粒子を含有し、これらの微粒子が活性薬剤または2つもしくはそれ以上の活性薬剤の組み合わせを含有し、そして微粒子の大部分が開口部を通過できないように微粒子のサイズが選択される、患者における1つもしくはそれ以上の薬剤の持続放出のための分解性の取り外し可能な製薬学的インプラント。
【請求項2】
空洞が2組もしくはそれ以上の微粒子を含有する請求項1のインプラント。
【請求項3】
微粒子がヒドロゲルに埋め込まれる請求項1のインプラント。
【請求項4】
チューブの分解性ポリマーが、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(オルトエステル)、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含有するポリオキサエステル、ポリ(無水物)、ポリホスファゼン、およびその混合物から選択される請求項1のインプラント。
【請求項5】
分解性ポリマーが、ラクチド(これにはd−、l−およびメソ乳酸、ならびにd−、l−およびメソラクチドが包含される)およびグリコリド(グリコール酸を包含する)のコポリマーから選択される請求項4のインプラント。
【請求項6】
分解性ポリマーがポリ(ジオキサノン)のホモポリマーである請求項4のインプラント。
【請求項7】
微粒子が、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(オルトエステル)、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含有するポリオキサエステル、ポリ(無水物)、ポリホスファゼン、およびその混合物から選択される生体適合性、生物分解性ポリマーから製造される請求項1のインプラント。
【請求項8】
微粒子を製造するために使用するポリマーが、ラクチド(これにはd−、l−およびメソ乳酸、ならびにd−、l−およびメソラクチドが包含される)、グリコリド(グリコール酸を包含する)、イプシロン−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)およびトリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)のホモポリマーおよびコポリマーから選択される生体適合性、生物分解性ポリマーである請求項7のインプラント。
【請求項9】
微粒子を製造するために使用するポリマーが、ラクチド(これにはd−、l−およびメソ乳酸、ならびにd−、l−およびメソラクチドが包含される)およびグリコリド(グリコール酸を包含する)のコポリマーから選択される生体適合性、生物分解性ポリマーである請求項7のインプラント。
【請求項10】
微粒子を製造するために使用するポリマーが、85%〜50%の間であるラクチドのモルパーセントを有するラクチドおよびグリコリドのコポリマーから選択される生体適合性、生物分解性ポリマーである請求項7のインプラント。
【請求項11】
微粒子がHIV阻害剤もしくはHCV阻害税から選択される少なくとも1つ薬剤を含有する前記請求項のいずれか1項のインプラント。
【請求項12】
1組の微粒子がNRTIを含有し、そしてもう1組の微粒子がNNRTIを含有する請求項2のインプラント。
【請求項13】
1組の微粒子がNNRTIを含有し、そしてもう1組の微粒子がPIを含有する請求項2のインプラント。
【請求項14】
リルピビリンを含有する前記請求項のいずれか1項のインプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−514971(P2013−514971A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543843(P2012−543843)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070246
【国際公開番号】WO2011/080141
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(512116125)
【Fターム(参考)】