説明

活性微生物破壊燒結ガラスビーズフィルター

優れた圧力低下と低複雑性とを有する殺微生物フィルターシステムおよびこのシステムの製造法を提供する。このシステムは、複数のガラスビーズ(60)を備えており、ガラスビーズ間には空気の流れを通過させるための細孔が形成されている。この燒結ガラスビーズ(60)は、遷移金属酸化物と水とでコーティングされている。紫外線源(62)を用いて、遷移金属酸化物と水とを光触媒反応させる。殺微生物特性を有する遊離ヒドロキシルラジカルが生成される。二峰性の細孔径分布を生成させるために燒結前にガラスビーズ(12)間にウレタンフォーム(28a、28b)を挿入してもよいし、表面活性を変えるためにガラスビーズ(12)上に粒子(30a、30b、30c)を配置してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、エアフィルターシステム、より特定的には、ヒトが呼吸する空気から微小汚染物質を濾過するための活発な破壊能力を有する燒結ガラスビーズフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
(連邦政府支援研究開発に関する供述)
本発明は、連邦政府契約番号PEPS N65236−98−C−5820号に基づいて考案された。連邦政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
エアフィルターシステムは、多くの環境や多くの用途における健全な呼吸に重要である。例えば、大規模オフィスビルには、ビル内の人々の健康を守るために、ビル内循環空気を清浄にするように設計されたフィルターシステムを組み込む必要がある。病院では、衰弱している患者を病原体から隔離したり、患者を他の患者由来の伝染性疾患から隔離したりするためにエアフィルターシステムを用いる必要がある。また、米国内ではテロ発生率が増大しているために、近い将来、一般市民が意図的に生物兵器の標的とされる可能性が増大しているという認識が生じている。天然または人工の微小汚染物質にさらされる可能性が特に差し迫っている活動領域で恒常的に作業している軍人にとってエアフィルターシステムが特に重要であることは言うまでもない。これらの状況のいずれにおいても、関係者の健康、さらには生命さえも、自由に使えるエアフィルター装置の品質にかかっている。したがって、エアフィルターシステムは、世界がより複雑かつ危険な場所となりつつある故にもたらされる新たな課題に対処できるように進化し続けることが重要である。
【0004】
先行技術のエアフィルターシステムは多様な実施形態をとる。最も単純なフィルターは物理的フィルターである。単純な物理的フィルターは、布または他の多孔質材料からなる。この材料の細孔は、濾過される汚染物質より小さいが、空気を通過させるのに十分な大きさでなければならない。そのようなフィルターなら、汚染物質はブロックされ、空気の清浄な部分のみがフィルターを通過するであろう。物理的フィルターの明白な不利点は、フィルターがすぐ目詰まりして役に立たなくなること、および、物理的フィルターは、通常、特定のサイズより小さい粒子を捕捉し得ないことである。
【0005】
より高度なフィルターは活性炭フィルターである。活性炭フィルターは高多孔質活性炭要素を備え、同要素の空洞がロンドン力と静電気の力とによって1種の毛管現象で効果的に汚染物質を吸い込む。活性炭フィルターは、多種の小汚染物質を捕捉するという点で、単純な物理的フィルターより実質的に有効である。しかし、それでも、ある種の汚染物質は活性炭フィルターをうまく通り抜けるであろう。
【0006】
別のより高度なフィルターはイオンフィルターである。イオンフィルターは、空気中の粒子に結合する負に帯電したイオンを生成する。次いで、空気は正に帯電したフィルターを通過する。負に帯電したイオンは正電荷に引き付けられて、イオンに結合した粒子を運び、空気が正に帯電したフィルターを通過するときに空気から粒子を除去する。イオンフィルターは、活性炭フィルターと同様に、ある種の微小汚染物質に対しては単純な物理的フィルターより有効であるが、それでも、他の汚染物質を中和することはできない。
【0007】
さらに別の高度なフィルターは高性能粒子捕捉(HEPA)フィルターである。HEPAフィルターは、空気が通過する実表面積がフィルターの占める容積に比べて非常に大きくなるようにひだを取ったガラスファイバーフィルターを用いる。表面積を大きくすると
、フィルターを通過する際の圧力低下が減少する、すなわち、空気がフィルターを通過し易くなる。HEPAフィルターは、最も単純な形態では、本質的に改良型物理的フィルターである。
【0008】
現在の機械的フィルターは、一般に、多くの場合2種以上の上記方法を順に使用する多重レベルの濾過ステップを用いている。複雑な機械的フィルターは、空気の濾過では高レベルの有効性を発揮するが、多くの用途で用いるには複雑過ぎるという不利点を有する。
【0009】
その他の欠点に加えて、上述のフィルターはいずれも経時的に汚染物質で目詰まり状態になり、その結果、フィルターを通過する際の空気圧低下が生じるという共通の欠点を有する。すなわち、フィルターを使用するにつれ、空気がフィルターを通過しにくくなる。この問題に取り組んでいる最近の汚染物質除去技術は、殺微生物特性を有する遊離ヒドロキシル基を生成するために、遷移金属酸化物および水と紫外線源とを組み合わせて用いる。この方法は、例えば、ゴスワミ(Goswami )に付与された、「光触媒による空気滅菌(PHOTOCATALYTIC AIR DISINFECTION )」と題する特許文献1(「ゴスワミ」)に記載されている。水の存在下、遷移金属酸化物に紫外線を照射する。それに応答して、遷移金属酸化物は水と光触媒反応を行い、遊離ヒドロキシルラジカルを生成する。ヒドロキシルラジカルは汚染物質と反応して、汚染物質を中和する。
【0010】
上記方法はさまざまな用途に用いられている。例えば、ディマジオ(DiMarzio)らに付与された、「自己浄化する表面を製造する方法(METHOD FOR PRODUCING A SELF DECONTAMINATING SURFACE )」と題する特許文献2は、紫外線に暴露されると自己浄化状態になるようにこの方法を用いる表面を開示している。ゴスワミはこの方法を用いて作製したエアフィルターを開示している。しかし、先行技術の光触媒滅菌システムは、正常に機能させるためには紫外線に暴露する必要があるので、圧力低下を最小限にするために大きい表面積を有するという利点と、照射源および製造上の複雑度に関して設計が最大限に単純であるという利点とを組み合わせたフィルターを製造することは不可能であるという欠点を有している。したがって、光触媒濾過をより効果的にかつより広範に適用可能にするために、上記特徴を組み合わせ得る光触媒フィルターシステムを考案する必要がある。
【特許文献1】米国特許第5,933,702号明細書
【特許文献2】米国特許第6,235,351号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を持たない光触媒フィルターシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のフィルターシステムは、複数の燒結ガラスビーズを具備し、ガラスビーズ間には空気を通過させるための細孔が形成されている。好ましい実施形態において、燒結ガラスビーズは、ガラスビーズの転移温度より高い温度で燒結する。転移温度より高い温度で燒結すると、ガラスビーズ内の結晶化度が確実に選択閾値未満になる。結晶が形成されると透過性が低下するので、全ガラスビーズを確実に照射できるようにするために、紫外線がガラスビーズを選択された深さまで透過できるように選択閾値を選択する。
【0013】
燒結ガラスビーズは、基本的に微多孔質のガラス構造物を形成する。該構造物の厚さ当たりのガラスビーズ表面積は、ガラスビーズ間に細孔が形成されなかった場合と比べて大きい。圧力低下はガラスビーズの表面積に反比例するので、表面積が大きいと、フィルターシステムの圧力低下特性に有利になる。空気は、以下に説明するようにガラスビーズ間の蛇行経路をたどっている間に濾過される。細孔サイズによっては、燒結ガラスビーズは
物理的フィルターとしても使える。
【0014】
本発明のフィルターシステムはさらに、ガラスビーズ上に形成された、例えばTiOなどの遷移金属酸化物と水とからなるコーティングを有する。水分は、周囲の湿気または人工加湿により供給し得る。このシステムには紫外線源も備えられており、紫外線源は太陽でも人工源でもよい。紫外線源はガラスビーズに紫外線を投射するのに用いられる。ガラスビーズは実質的に紫外線透過性であるから、紫外線の少なくとも一部は、より近位のガラスビーズを通ってより遠位のガラスビーズに到達するであろう。その結果、すべてのガラスビーズの表面領域が照射される。紫外線は、コーティングの酸化チタンと水とを光触媒反応させ、殺微生物特性を有する遊離ヒドロキシルラジカルを生成する。ヒドロキシルラジカルは微小汚染物質を活発に破壊する。
【0015】
本発明のフィルターシステムのフィルターは、当業者には周知の方法で有利に構成し得る。例えば、フィルターは中空円筒として設計し得る。中空円筒デザインは、他の可能な形状の設計に比べて表面積が大きく、圧力低下を減少させる。フィルターの圧力低下が85リットル/分で392Pa(40mmHO)未満なら、補助装置なしでフィルターを介してヒトが呼吸できる。2cmの壁と15cmの高さを有するこの形状のフィルターは、十分にこの限度内の圧力低下を有しながら、全前面風速で98%を超える捕捉効率を保持することが証明された。
【0016】
さらなる実施形態によれば、燒結前にガラスビーズ間にウレタンフォームを挿入する。ウレタンフォームは燒結中に分解、酸化する。ウレタンフォームを用いると、二峰性の細孔径分布が生じる。大細孔と小細孔が存在する場合には、ガラスビーズ間経路はより蛇行性の高い経路をたどり、捕捉効率が向上すると思われる。
【0017】
さらに別の実施形態において、本発明のフィルターシステムには、ガラスビーズ上に配置された粒子も具備される。粒子は、例えば、ガラス粒子でもチョップト・ファイバーでもよい。これらの粒子はフィルターシステムの表面活性を変化させ、特定の用途では捕捉効率を向上させ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1を参照すると、ビルのエアダクト用に設計された先行技術の光触媒エアフィルターが示されている。空気はダクト2を通って4方向に流れる。空気は加湿器6で加湿される。空気は、加湿された後、紫外線バンク8およびメッシュ10を通過する。空気がメッシュを通過して流れている間、空気中の湿度の形態の水分が絶え間なくメッシュに運ばれる。紫外線バンク8はメッシュ10上に紫外線を投射する。メッシュ10はそれ自体、例えばTiOなどの遷移金属酸化物でコーティングされている。遷移金属酸化物と水は、紫外線の存在下に光触媒反応を起こし、遊離ヒドロキシル基を生成する。遊離ヒドロキシル基は、殺微生物作用を有することが明らかにされている。その結果、空気流中の微小汚染物質は、空気がメッシュ10を通過するときに活発に排除される。先に説明したように、このシステムの設計の可能性は、TiOコーティングされた表面を紫外線で照射する必要があるために制限される。具体的に言えば、メッシュ10は実質的に紫外線透過性ではないので、TiOでコーティングしようとするすべての表面積が紫外線バンク8に向い合う必要がある。そのために、メッシュ10の利用可能な表面積を増大させる唯一の方法は、例えば多面格子を代用して、より複雑なデザインを導入することである。表面積を最大にするには、実施上の限界もある。その結果、単純性と圧力低下特性が損なわれる。
【0019】
図2aを参照すると、本発明のフィルターシステムが具備する燒結ガラスビーズが顕微鏡レベルで示されている。複数のガラスビーズ12が燒結され、ビーズ間に空気を流通させるための細孔14が形成されている。ガラスビーズ12を並べて熱と圧力とを組み合わ
せて加える燒結は当業者には周知のプロセスである。熱と圧力により、ガラスビーズ12が結合する。本発明の好ましい実施形態において、燒結プロセスは、ガラスビーズ12の転移温度より高い温度で行う。ガラスビーズ12をその転移温度より高い温度で燒結すると、燒結プロセスが比較的迅速に達成される。実験では、燒結に15〜60分かかった。ガラスビーズ12は、その転移温度より低い温度で燒結すると、望ましくない失透度が生じるので、その転移温度より高い温度で燒結する。失透は、ガラスビーズ12中に結晶が形成されるプロセスである。結晶の形成は、ガラスビーズ12の屈折率を増大させ、それゆえ、ガラスビーズの紫外線分散度を増大させる。したがって、本発明の好ましい実施形態は、ガラスビーズ12内の紫外線の分散を軽減し、それによってガラスビーズの透過を促進するために、実質的に非結晶性であるガラスビーズ12を具備する。
【0020】
ガラスビーズ12は、燒結すると、基本的に単一の微孔質ガラス構造物を形成する。この構造物は、高多孔質で、例えば、約25%の多孔度を有し得る。これに関連して、この構造物の厚さ当たりのガラスビーズ12の表面積は、ガラスビーズ間に細孔が形成されなかった場合と比べると大きい。圧力低下はガラスビーズ12の表面積に反比例するので、本発明のフィルターシステムの圧力低下はそれに関して有利である。つまり、本発明の燒結ガラスビーズ12は、HEPAフィルターの場合とよく似た有利に大きい表面積を有する。細孔14は、多数のすき間と、高頻度の不規則な曲りやねじれを有することを特徴とし得るガラスビーズ12間の経路をたどる。この種の細孔を通過する空気の流れは、空気が連続的な空気摩擦にさらされ、ガラスビーズ12にたたきつけられるときに高捕捉効率をもたらす。
【0021】
さらに、用途によっては、以下に説明する単純な物理的フィルター作用および活発な破壊作用が得られるように細孔14のサイズを、当業者には周知の方法により選択し得ることは注目に値する。
【0022】
図2bを参照すると、1つのガラスビーズ12の断面が示されている。このフィルターシステムは、ガラスビーズ12の少なくとも一部の上に形成された遷移金属酸化物21と水23とからなるコーティング16を具備している。本明細書では二酸化チタン(TiO)が遷移金属酸化物の1例として用いられているが、他の遷移金属酸化物を用いてもよい。TiOの付着は当業者には周知の方法を用いて達成し得る。実験では、TiOの懸濁液を作り、これを燒結後にガラスビーズ12間に流し、それによってガラスビーズ12の表面にTiOを付着させた。水も種々の方法により付着させることができるし、種々の供給源から供給可能である。フィルターの使用環境やフィルタータイプによっては、水分は周囲の湿気から供給し得る。あるいは、本発明のフィルターシステムはある種の加湿装置を備え得る。
【0023】
図3を参照すると、本発明のフィルターシステム100全体が示されている。フィルターシステム100は、紫外線源18をさらに備えているのが分る。この場合も、フィルターシステム100の環境や用途によっては、紫外線源18は太陽であり得る。あるいは、紫外線源18は人工光源であり得る。紫外線源18はガラスビーズ12を照射する。具体的に言えば、紫外線源18は、燒結ガラスビーズ12で規定された微孔質のガラス構造物全体に紫外光線20a、b、cを投射する。ガラスビーズ12は実質的に紫外線透過性であるから、紫外光線20a、b、cの少なくとも一部はより近位のガラスビーズ12を通過してより遠位のガラスビーズ12に到達することができる。その結果、ガラスビーズ12は十分な深さ(したがって、より大きい表面積)を有する構造を規定するように燒結されるにもかかわらず、すべてのガラスビーズ12の全表面積が紫外線源18から照射を受ける。ガラスビーズ12上のコーティング16が紫外光線20a、b、cを受けると、コーティング16のTiOと水との光触媒反応が促進される。光触媒反応によって遊離ヒドロキシル基が生成する。先に説明したように、遊離ヒドロキシル基は殺微生物特性を有
することが明らかにされている。ガラスビーズ12間を通過する空気は、この遊離ヒドロキシル基との接触下に置かれ、その結果、空気中の微小汚染物質が活発に破壊される。
【0024】
図4を参照すると、本発明のフィルターシステム100(図3)が具備するフィルター22のデザインを当業者には周知の技術に従って有利に選択する方法が示されている。先に説明したように、ガラスビーズ12の表面積は性能に重要である。しかし、フィルター22の外面自体で規定される表面積も重要である。この実施例では、円筒形フィルター22がより小さい円筒形の開口部24を備えて構築される。空気は、ガラスビーズ12間を26a、b、c方向に流れて開口部24の上端から開口部24内に引き込まれる。幾何学の単純原理によれば、この構造は有利に大きい表面積を有する。したがって、この構造の圧力低下は望ましく低いであろう。フィルター22の圧力低下が85リットル/分で392Pa(40mmHO)未満であれば、ヒトが補助装置なしでフィルター22を介して呼吸することができる。したがって、本発明の1つの実施形態は、上記限度未満の圧力低下を有するフィルター22を具備する。図5を参照すると、壁厚2cm、高さ15cmの中空円筒形フィルターに関する流量対圧力低下のプロット50が示されている。このプロットから、このフィルターが85リットル/分で392Pa(40mmHO)を十分に下回る圧力低下を有することが分る。したがって、ヒトはこのフィルターを用いて補助装置なしで呼吸できる。厚さ2cmのフィルターの捕捉効率は、全前面風速で98%を超えることが証明された。これらの数字は先行技術に対する実質的な改良を表している。
【0025】
図6を参照すると、本発明のさらなる実施形態に従って、燒結前にガラスビーズ12間にウレタンフォーム28a、bが挿入されている。ウレタンフォーム28a、bは燒結中に分解、酸化する。ウレタンフォーム28a、bを使用すると、完成品に二峰性の細孔径分布が生じる。つまり、得られた構造物は、第1の平均細孔径を有する第1の細孔群と、第1の平均細孔径より大きい第2の平均細孔径を有する第2の細孔群とを有するであろう。これによって、ガラスビーズ12間により蛇行性の高い経路が生じ、捕捉効率が向上すると思われる。
【0026】
さらなる実施形態が図7に示されており、この図で、コーティング16は無機粒子30a、b、cを含み得ることが分る。無機粒子30a、b、cは、例えば、ガラス粒子またはチョップト・ファイバーであり得る。無機粒子30a、b、cを添加すると、表面活性が変化し、濾過される微小汚染物質によっては、捕捉効率が向上し得る。無機粒子の添加と、上述のウレタンフォームの使用とを組み合わせ得ることは勿論である。
【0027】
図8を参照すると、本発明のフィルターマスク32の拡大図が示されている。フィルターマスク32は、マスク要素36内に配置されたリザーバ34を備えている。リザーバ34は水を蓄え、水はコネクター38を介して補給可能である。リザーバには複数のチューブ40a、b、cが取り付けられている。各チューブ40a、b、cは、ポンプを用いる必要なく、毛管現象により水をチューブに沿って引き込むのに十分な小さい直径を有する。勿論、代替実施形態では、ポンプを用い得る。各チューブ40a、b、cは加湿装置42に結合されている。加湿装置42は、吸収要素46を収容するハウジング44を備えている。吸収要素46は、例えば、レイヤードクロスまたはスポンジなどの水を吸収するであろう任意の材料から構成し得る。チューブ40a、b、cの末端は吸収要素46に直接隣接して配置されている。したがって、吸収要素46はチューブ40a、b、cを介してリザーバ34から水を吸い込んで湿潤状態になるであろう。吸収要素46によって保持される水の量が増大するにつれて、リザーバ34内の水に対する吸収要素46の吸収力が上述の毛管現象を作動させるのに不十分になるまで低下し、この時点で吸水は停止する。この目的を達成するように、チューブ40a、b、cのサイズ、吸収要素46の吸収力、および他の変数を当業者には周知の方法で選択し得る。フィルターマスク32を使用しているとき、空気は、ユーザー自身の呼吸作用により、吸収要素46、次いで、先に詳細に説
明した酸化チタンを付着させた燒結ガラスビーズのガラス構造物48を介して吸い込まれる。空気は、吸収要素を通過するとき、吸収要素から水分を吸収する。この実施形態のガラス構造物48は、図4に開示されているものに類似した構造であり、空気を通過させるための開口部50を有する。開口部は、全体的ではなく部分的に紫外線ランプ52で占められており、紫外線ランプ52は、ガラス構造物48の内側からガラス構造物48全体に光を投射する。紫外線ランプ52への電力はバッテリー54から供給される。紫外線ランプ52から光が供給され、空気がガラス構造物を通過するときに必要な水分が空気中で運ばれると、空気は先に詳細に説明した方法で濾過される。次いで、空気は、保持装置56を通って、ユーザーが吸入するマスク要素36に流れ込む。呼気は逆の経路をたどる。示されている実施形態において、水分が空気を利用して吸収要素46とユーザーの肺との間を移動することは注目に値する。実施形態によっては、これは、水分をユーザー自身の身体からガラス構造物48まで運ぶことができ、リザーバ34への依存を排除または減少させるので望ましいと思われる。あるいは、フィルターマスク36にある種の水分分離装置(moisture isolater )を具備させてもよい。
【0028】
図9および図10は、本発明のフィルターシステムを基本的なシステム実行技術と組み合わせて、さまざまな用途に有用な多様な実施形態を創製する方法を示している。図9を参照すると、比較的単純な実施形態が示されている。空気供給源58からの空気は燒結ガラスビーズ60を通って流れる。燒結ガラスビーズ60は、紫外線ランプ62から紫外線を受ける。燒結ガラスビーズ60は加湿器64から水分供給を受ける。紫外線ランプ62と加湿器64は、例えばバッテリーなどの電源68から電力供給を受ける。空気は、燒結ガラスビーズ60を通過するときに先に説明した方法で濾過され、その後、ユーザーが呼吸し得る清浄空気スペース70に流れ込む。
【0029】
図10は、多様な追加機能を提供するように設定された実行可能な各種の複雑な構成を示している。例えば、このシステムは先行技術フィルター71を具備し得る。先行技術フィルター71は、活性炭フィルター、イオンフィルター、HEPAフィルター、または当業では周知の任意の他のタイプのフィルターであってよい。空気供給源58からの空気は、燒結ガラスビーズ60に到達する前に先行技術フィルター71で濾過される。これは、例えば、その適用が、大量の比較的大きな汚染物質、例えば灰または粉塵などへの暴露を伴うと予想されるような場合には望ましいと思われる。大きな汚染物質は、燒結ガラスビーズ60を目詰まりさせ得るが、これは、先行技術フィルター71を加えることによって容易に予防できる。これに関連して、先行技術の機械的フィルターにおけるように多重フィルターを本発明のシステムに具備し得る。
【0030】
本発明のフィルターシステムはさらに、電源68から電力供給を受け、燒結ガラスビーズ60で規定された構造物中の湿度レベルを感知し得る湿度センサー72を備え得る。湿度センサー72は、湿度レベルに関するデータを、これも電源68から電力供給を受ける加湿器制御装置74に送信する。加湿器制御装置74は、湿度センサー72から受信したデータに応じて、加湿器64から供給される湿度量を増減させて加湿器64を制御する。これに関連して、湿度センサー72と、加湿器制御装置74と、加湿器64とは、例えば、燒結ガラスビーズ60内の湿度を実質的に一定レベルに維持するようにフィードバック・ループとして作動し得る。
【0031】
本発明のフィルターシステムは、電源68から電力供給を受ける汚染物質センサー76をさらに備え得る。汚染物質センサー76は、清浄空気スペース70中の汚染レベルを検出する。汚染物質センサー76は、汚染レベルに関するデータを生成し、このデータを、いずれも電源68から電力供給を受ける加湿器制御装置74、ランプ制御装置78および/またはフィルター制御装置80に送信する。ランプ制御装置78は、紫外線ランプ62の紫外線出力レベルを調整して紫外線ランプ62を制御する。フィルター制御装置80は
、先行技術フィルター71の動作を調整する。これに関連して、汚染物質センサー76はデータを加湿器制御装置74、ランプ制御装置78および/またはフィルター制御装置80に送信するので、制御装置74、78、80は、清浄空気スペース70中の汚染物質レベルに応じて、それらの機能装置62、64、71それぞれを制御し得る。例えば、制御装置74、78、80は、紫外線ランプ62、加湿器64、および先行技術フィルター71の活動を、比較的高い汚染物質レベルに対応して増大させ、比較的低い汚染物質レベルに対応して低下させるように作動し得る。このことは、電力の節減と、例えば紫外線ランプ62など作動期間という点で当てにならない部品の寿命を増大させるという利点を有し得る。
【0032】
汚染物質センサー76で感知される汚染レベルは、清浄空気スペース70の代わりに空気供給源58の汚染レベルであるか、その両方であってよい。というのは、空気供給源58の汚染レベルにも対応して、ランプ制御装置78、加湿器制御装置74および/または先行技術フィルター71にデータを送信するのが望ましいからである。例えば、本発明のフィルターシステムは、通常、比較的汚染されていない環境で作動することになると予想される。もしそうなら、通常の状況下では、このシステムを完全にオフにしておくのが望ましいであろう。このために、汚染物質センサー76は、電源68から電力供給を受ける電源制御装置82にデータを送信し得る。電源制御装置は電源68を制御する。例えば、本発明のフィルターシステムは、汚染物質センサー76が空気供給源58中の汚染を選択レベル未満であると検知したら、電源制御装置82が電源68をオフにするように設定し得る。汚染物質センサー76が高レベルの汚染を検知したら、電源68をオンに戻し得る。電源68をオフにしている間に汚染物質センサー76と電源制御装置82に電力を供給するために第2電源84を備えてもよく、第2電源84自体は不要なときには第2電源制御装置86によりオフにし得る。別の論理設定では、汚染物質レベルが選択レベル未満のときには、紫外線ランプ62と加湿器64をオフにするが、先行技術フィルター71はオンのままにする。したがって、この設定において、システムは、特定レベルの汚染が検知されるまでは先行技術フィルターの機能を果たし、特定レベルの汚染が検出されたら、光触媒フィルターの機能も果たす。
【0033】
この時点で、システムが光触媒濾過を開始していることをユーザーに警告するために、電源68から電力供給を受ける警報装置88を作動させるのが望ましいであろう。これは、汚染物質センサー76にデータを警報装置88へ送信させ、警報装置をデータに応じて作動させるように設定することによって達成し得る。警報装置の作動は、システムが機能性モードに切り替わっていることをユーザーに警告し、さらに、ユーザーが比較的汚染度の高い領域に立ち入っていることをユーザーに警告するであろう。
【0034】
汚染物質センサー76はさらに、複数の汚染タイプを検出するように設定し得る。例えば、汚染物質センサーは、特定サイズより小さい汚染物質と、特定サイズより大きい汚染物質とを検出して区別するように設定し得る。次いで、汚染物質センサー76はこれらの多重の値のデータを制御装置74、78、80に送信し得る。次いで、制御装置74、78、80は、それらの値に応じて、それらの機能装置62、64、71それぞれを制御するであろう。例えば、大きな汚染物質のレベルは高いが、小さな汚染物質のレベルは低かった場合、システムは先行技術フィルター71のみを使用するように機能し得る。
【0035】
本発明のフィルターシステムはさらに、汚染物質センサー76に加えて、または汚染物質センサー76の代わりに、電源68から電力供給を受けるヒドロキシルセンサー90を備え得る。ヒドロキシルセンサー90は、燒結ガラスビーズ60で規定された構造物中に存在する遊離ヒドロキシルラジカルの量を検出する。ヒドロキシルセンサー90は、この測定値に関するデータを、ランプ制御装置78、加湿器制御装置74、および/または先行技術フィルター制御装置80に送信する。各制御装置74、78、80は、このデータ
に応じて、それらの装置64、62、71それぞれを制御するように設定されている。例えば、低いヒドロキシルラジカルレベルは、システムが十分なヒドロキシルラジカルを生成していないか、または、生成されているヒドロキシルラジカルが失われている、すなわち、微小汚染物質の破壊に用いられていることを示す。いずれの場合も、ヒドロキシルラジカルの生成量を増大させることが望ましい。これに関連して、ヒドロキシルセンサー90と関連制御装置および装置類は、燒結ガラスビーズ60内に選択レベルのヒドロキシラジカルの存在を維持するようにフィードバック・ループとして機能する。
【0036】
電源68から電力供給を受けるプロセッサ92を用いることにより、さらなる機能性が達成され得る。このプロセッサは、湿度センサー72、汚染物質センサー76、および/またはヒドロキシルセンサー90からデータを受信するように設定されている。プロセッサ92に追加データを供給するために、システムにさらなるセンサーを備え得ることは勿論である。例えば、電源68に貯蔵電力センサーを接続して、電源68に残されている電力量に関するデータをプロセッサ92に送信し得る。
【0037】
プロセッサ92は、受信したデータを処理し、それに対応する。プロセッサ92の対応はさまざまな形態をとり得る。プロセッサ92は、センサー72、76、90に2方向接続された状態で示されており、したがって、センサー72、76、90自体がデータを送信可能な、よって接続連鎖のさらに下位までデータを送信可能な任意の装置へとデータを送信する能力を有する。しかし、このプロセッサをシステム中の任意の装置に直接接続し得ることは明らかである。プロセッサ92の明白な用途は制御装置74、78、80の機能を提供することであり、その場合、制御装置74、78、80は排除し得る。また一方、プロセッサ92は、複数の個別制御装置では達成し得ない機能も果たし得る。
【0038】
例えば、ある装置が機能しない状況を考えてみよう。加湿器64は、予備水を使い果たしたために機能しなくなるかも知れない。この状況下では、湿度センサー72、ヒドロキシルセンサー90、および/または汚染物質センサー76はいずれも、加湿器制御装置74に対し、通常、加湿器制御装置74に加湿器64がもっと湿気を供給するようにさせるデータを送信しているであろう。しかし、加湿器64は筋書き通りには機能しないので、これでは期待された効果は得られないであろう。例えば、ヒドロキシルラジカルレベルと湿度レベルを一緒にモニターすれば、プロセッサ92は、予備水センサーの必要もなく、加湿器64に異常があることを識別するであろう。プロセッサ92は、何よりも、紫外線ランプ62をオフにして電力を節約し、それを補うために先行技術フィルター71を高レベルで運転して対応し得る。
【0039】
プロセッサ92が非常に有益であることを証明し得る他の状況例はたくさんある。例えば、空気供給源58の汚染レベルは低いが、清浄空気スペース70の汚染レベルが高い状況を考えてみよう。清浄空気スペース70の汚染レベルが高いために、汚染物質センサー76は、上述のように、システムをフル稼動させて対応するように設定されたデータを送信するであろう。しかし、この状況では、汚染が空気供給源58以外のどこか他所から、フィルターシステム自体からさえ発生している可能性があることが人には容易に見分けられるであろう。プロセッサ92は、値を比較して同様な区別をし得る。次いで、プロセッサ92は、警報装置を作動させるか、システムを停止させるか、または警報装置の作動とシステムの停止を行って対応し得る。
【0040】
当然のことながら、プロセッサ92をユーザーインターフェース94に接続して、使用するヒト(ユーザー)とプロセッサ92とを相互作用させることもできる。例えば、センサー72、76、90により生成されるデータを個人的にモニターすることはユーザーにとって興味深いであろう。ユーザーインターフェース94は、この目的を達成するディスプレイを備え得る。反対に、ユーザーインターフェース94は、ユーザーがプロセッサ9
2を介してシステムを制御することを可能にし得る。例えば、ユーザーが自由に使える別のフィルターシステムを持っていれば、ユーザーは局所的に高汚染が発生しているにもかかわらず、システムを完全にオフにしたいと思うかも知れない。勿論、当業者は、ユーザーインターフェース94をシステム中のプロセッサ92以外の種々の装置と直接連絡させ得ることに気が付くであろう。これは、比較的単純なフィルターシステム、例えば、図8に示されているフィルターマスクの場合に特に適切であろう。そのようなフィルターマスクは、例えば、単一のノブからなるユーザーインターフェース94を具備し得る。このノブは、紫外線ランプ62の出力と加湿器64の出力とを共に増大させるように機能するであろう。
【0041】
さらなる変更形態および実施形態は当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】ビルのエアダクト用に設計された先行技術の光触媒エアフィルターの図。
【図2a】本発明のフィルターシステムに具備されている燒結ガラスビーズの顕微鏡レベルで示す図。
【図2b】図2aに示されているガラスビーズ12の断面図。
【図3】紫外線源を含む完全フィルターシステムの図。
【図4】有利なフィルター構造の図。
【図5】本発明に従って設計された壁厚2cm、高さ15cmの中空円筒形フィルターに関して流量対圧力低下をプロットしたグラフ。
【図6】二峰性の細孔径分布を生成させるために燒結前にウレタンフォームを加えるさらなる実施形態の図。
【図7】燒結中に粒子を加えるさらなる実施形態の図。
【図8】フィルターマスクの拡大図。
【図9】本発明の基本的ブロック図。
【図10】本発明内に組み込み得る追加の構造および機能性を示すより詳細なブロック図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺微生物フィルターシステムであって、
a.複数の燒結ガラスビーズであって、空気を通過させるためにガラスビーズ間に形成された細孔を有すると共に、ガラスビーズをその転移温度より低い温度で燒結したときの失透度より低い失透度を有する燒結ガラスビーズと、
b.ガラスビーズの少なくとも一部の上に形成された遷移金属酸化物と水とのコーティングと、
c.ガラスビーズを照射し、コーティング内の光触媒反応を促進して、殺微生物特性を有する遊離ヒドロキシルラジカルを生成する紫外線源と
を含んでなる殺微生物フィルターシステム。
【請求項2】
水が周囲湿度から供給される、請求項1に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項3】
紫外線源が太陽光である、請求項1に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項4】
燒結ガラスビーズで側壁が規定された円筒形構造を有し、補助装置を使わずにフィルターシステムを介してヒトが呼吸できるように側壁を通過する際の圧力低下が85リットル/分で392Pa(40mmHO)未満である、請求項1に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項5】
細孔が、第1の平均細孔径を有する第1の細孔群と、第1の平均細孔径より大きい第2の平均細孔径を有する第2の細孔群とを含んでなる、請求項1に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項6】
コーティングが無機粒子をさらに含んでなる、請求項1に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項7】
殺微生物フィルターシステムの少なくとも1つの環境パラメータを感知して、該パラメータに対応する少なくとも1つの値を生成する少なくとも1つの環境センサーをさらに含んでなる、請求項1に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの環境センサーが、ガラスビーズ上の水分量を感知して、該水分量に対応する値を生成する湿度センサーを含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの環境センサーが、細孔内に存在する遊離ヒドロキシルラジカル量を感知して、その遊離ヒドロキシルラジカル量に対応する値を生成するヒドロキシルセンサーを含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの環境センサーが、
a.フィルターシステム用空気供給源と、
b.フィルターシステムを通る空気が流入する閉鎖された空間の空気と
からなる群の中に存在する少なくとも1つの汚染レベルを感知して、その汚染レベルに対応する少なくとも1つの値を生成する汚染物質センサーを含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの生成値が選択レベルを超えると警告音を発する警報装置をさらに含んでなる、請求項10に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項12】
ガラスビーズに水分を注入する加湿器をさらに含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項13】
少なくとも1つの生成値に応じて、加湿器から注入される水分量を調整する制御装置をさらに含んでなる、請求項12に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項14】
少なくとも1つの生成値に応じて、紫外線源の光の強さを調整する制御装置をさらに含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項15】
汚染物質プレフィルターをさらに含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項16】
少なくとも1つの生成値に応じて、汚染物質プレフィルターの少なくとも1つの動作パラメータを調整する制御装置をさらに含んでなる、請求項14に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項17】
少なくとも1つの生成値に応じて、フィルターシステムの少なくとも1つの動作パラメータを調整するプロセッサをさらに含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項18】
ヒトが操作するために少なくとも1つの生成値を表示するユーザーインターフェースをさらに含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項19】
ユーザーインターフェースにより、操作するヒトがさらにフィルターシステムの少なくとも1つの動作パラメータを制御できる、請求項18に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項20】
空気から微生物を濾過する方法であって、
a.複数のガラスビーズをガラスビーズの転移温度より高い温度で燒結して、ガラスビーズ間に空気を通過させる細孔を有する構造にするステップと、
b.ガラスビーズの少なくとも一部の上に遷移金属酸化物と水とのコーティングを付着させるステップと、
c.コーティング内の光触媒反応を促進して殺微生物特性を有する遊離ヒドロキシルラジカルを生成する紫外線でコーティングを照射するステップと
を含んでなる方法。
【請求項21】
遷移金属酸化物と水とのコーティングを付着させるステップが、ガラスビーズを空気中の湿気に暴露するステップを含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
コーティングを紫外線で照射するステップが、コーティングを太陽光に暴露するステップを含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
燒結前に、ガラスビーズ間に、燒結中に分解、酸化するウレタンフォームを配置するステップをさらに含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
ガラスビーズ上に無機粒子を配置するステップをさらに含んでなる、請求項20に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺微生物フィルターシステムであって、
a.複数のガラスビーズであって、その転移温度より高い温度で燒結され、空気を通過させるためにガラスビーズ間に形成された細孔を有するガラスビーズと、
b.ガラスビーズの少なくとも一部の上に形成された遷移金属酸化物と水とのコーティングと、
c.ガラスビーズを照射し、コーティング内の光触媒反応を促進して、殺微生物特性を有する遊離ヒドロキシルラジカルを生成する紫外線源と
を含んでなる殺微生物フィルターシステム。
【請求項2】
水が周囲湿度から供給される、請求項1に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項3】
紫外線源が太陽光である、請求項1に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項4】
燒結ガラスビーズで側壁が規定された円筒形構造を有し、補助装置を使わずにフィルターシステムを介してヒトが呼吸できるように側壁を通過する際の圧力低下が85リットル/分で392Pa(40mmHO)未満である、請求項1に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項5】
細孔が、第1の平均細孔径を有する第1の細孔群と、第1の平均細孔径より大きい第2の平均細孔径を有する第2の細孔群とを含んでなる、請求項1に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項6】
コーティングが無機粒子をさらに含んでなる、請求項1に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項7】
殺微生物フィルターシステムの少なくとも1つの環境パラメータを感知して、該パラメータに対応する少なくとも1つの値を生成する少なくとも1つの環境センサーをさらに含んでなる、請求項1に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの環境センサーが、ガラスビーズ上の水分量を感知して、該水分量に対応する値を生成する湿度センサーを含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの環境センサーが、細孔内に存在する遊離ヒドロキシルラジカル量を感知して、その遊離ヒドロキシルラジカル量に対応する値を生成するヒドロキシルセンサーを含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの環境センサーが、
a.フィルターシステム用空気供給源と、
b.フィルターシステムを通る空気が流入する閉鎖された空間の空気と
からなる群の中に存在する少なくとも1つの汚染レベルを感知して、その汚染レベルに対応する少なくとも1つの値を生成する汚染物質センサーを含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの生成値が選択レベルを超えると警告音を発する警報装置をさらに含んでなる、請求項10に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項12】
ガラスビーズに水分を注入する加湿器をさらに含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項13】
少なくとも1つの生成値に応じて、加湿器から注入される水分量を調整する制御装置をさらに含んでなる、請求項12に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項14】
少なくとも1つの生成値に応じて、紫外線源の光の強さを調整する制御装置をさらに含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項15】
汚染物質プレフィルターをさらに含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項16】
少なくとも1つの生成値に応じて、汚染物質プレフィルターの少なくとも1つの動作パラメータを調整する制御装置をさらに含んでなる、請求項14に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項17】
少なくとも1つの生成値に応じて、フィルターシステムの少なくとも1つの動作パラメータを調整するプロセッサをさらに含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項18】
ヒトが操作するために少なくとも1つの生成値を表示するユーザーインターフェースをさらに含んでなる、請求項7に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項19】
ユーザーインターフェースにより、操作するヒトがさらにフィルターシステムの少なくとも1つの動作パラメータを制御できる、請求項18に記載の殺微生物フィルターシステム。
【請求項20】
空気から微生物を濾過する方法であって、
a.複数のガラスビーズをガラスビーズの転移温度より高い温度で燒結して、ガラスビーズ間に空気を通過させる細孔を有する構造にするステップと、
b.ガラスビーズの少なくとも一部の上に遷移金属酸化物と水とのコーティングを付着
させるステップと、
c.コーティング内の光触媒反応を促進して殺微生物特性を有する遊離ヒドロキシルラジカルを生成する紫外線でコーティングを照射するステップと
を含んでなる方法。
【請求項21】
遷移金属酸化物と水とのコーティングを付着させるステップが、ガラスビーズを空気中の湿気に暴露するステップを含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
コーティングを紫外線で照射するステップが、コーティングを太陽光に暴露するステップを含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
燒結前に、ガラスビーズ間に、燒結中に分解、酸化するウレタンフォームを配置するステップをさらに含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
ガラスビーズ上に無機粒子を配置するステップをさらに含んでなる、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−501020(P2006−501020A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541491(P2004−541491)
【出願日】平成15年8月26日(2003.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/026619
【国際公開番号】WO2004/030808
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(397017191)ノースロップ グラマン コーポレーション (30)
【Fターム(参考)】