説明

活性成分を含むROMPポリマー粒子

本発明は、放出可能なようにポリマー性粒子中に含有される活性成分を含む徐放性の水性組成物の製造のためのプロセスに言及する。ポリマー性粒子は、ルテニウム触媒、乳化剤、および活性成分の存在下における水相中での、一般式(I)(式中、RおよびRは、明細書中に示されるものと同じ意味を有する)モノマーまたはそれらの混合物の開環メタセシス重合によって得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放出可能なようにポリマー性粒子内に含有される活性成分を含む、徐放性の水性組成物の製造のためのプロセスについて言及する。
【背景技術】
【0002】
香料、酸化防止剤、抗菌剤、およびUVフィルターなどの活性成分を含む洗剤およびコンディショナー、洗浄用製品、ならびに化粧用製品などの水性の家事用ケア製品およびパーソナルケア(personal care)製品の製造および保存の間に、前記の活性成分を保護するための新規の技術であって、また、使用の際に活性成分をゆっくり放出することができる新規の技術の提供に対する恒常的な需要が存在する。
【0003】
消費財への香りの付与において現在使用される主要な戦略は、香料を直接的に製品に混合することである。この戦略にはいくつかの欠点が存在する。香料の揮発性が高すぎて製造、保存、および使用の間の香りの消失を引き起こし得る。多くの香料はまた、時間とともに不安定になる。このことが、やはり、保存の間の消失を引き起こす。
【0004】
組成物からの活性成分の放出が、その活性成分をポリマー性粒子中に捕らえることによって制御され得ることもまた周知である。かかる粒子は、ポリマー性粒子を形成して、次いで活性成分を吸収することによって、または、粒子の形成中に活性成分を組み込むことによって得られる。例えば、特許文献1は、40重量%までの香水を含む固体粒子を提供するための、例えば、尿素、アクリロニトリル、もしくは酢酸ビニルの重合または重縮合による香水のカプセル化のためのプロセスを記載する。この香水は、重合プロセスが開始される前、または既に開始された後のいずれかに添加される。特許文献2は、香料の存在下における、不飽和モノマー、すなわち、アルキル(メト)アクリレートの乳剤重合によって得られるポリマー性組成物を開示する。これらの粒子は、非水溶性モノマーの水中油型乳剤重合によって形成され、これらの粒子中に、農業的生物情報物質(agricultural semiochemical)などの活性成分が溶解される。特許文献3は、半連続的な重合によって得ることができる、香り成分(olfactive component)を含むポリマー性ナノ粒子を開示する。架橋剤の存在下または非存在下において、モノマー成分としてスチレン誘導体およびアクリル酸誘導体が例示される。
【特許文献1】独国特許第967860号明細書
【特許文献2】欧州特許第0617051号明細書
【特許文献3】国際公開第01/79303号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚いたことに、本発明者らは、式(I):
【化1】

式中、
およびRは、別個に、メトキシメチルもしくは−COMe;または
およびRは、共に、2価の基−C(O)N(CH)C(O)−を形成し、これは、RおよびRが結合する炭素原子と共に5員の複素環を形成し;そして
C2とC3との間の結合は単結合であるか;または
C2とC3との間の結合は、点線と共に、二重結合を示す;
で表されるヘテロ多環式アルケンが、活性成分の徐放のための送達システムの提供に好適であることを見出した。
【0006】
開環メタセシス重合(ROMP)によるヘテロ多環式アルケンの重合は、一般に公知である(W. Kames Feastら、Journal of Molecular Catalysis, 65 (1991) 63-72)が、一方、これらのモノマーからのポリマー粒子の形成中の活性成分のカプセル化は、まだ記載されていない。開環メタセシス重合は、触媒の存在下において、環式の不飽和モノマーを直鎖式の不飽和ポリマーへと変換する重合方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
従って、本発明は、一局面において、活性成分を含有するポリマー粒子を含む水性乳剤に言及し、ここで、15℃と150℃との間のTgを有するそのポリマーは、ルテニウム触媒、乳化剤、および活性成分の存在下における水相中で、一般式(I):
【化2】

式中、
およびRは、別個に、メトキシメチルもしくは−COMe;または
およびRは、一緒になって、2価の基−C(O)N(CH)C(O)−であり、これは、RおよびRが結合する炭素原子と共に5員の複素環を形成し;そして
C2とC3との間の結合は単結合であるか;または
C2とC3との間の結合は、点線と共に、二重結合を示すか;
で表されるモノマーまたはそれらの混合物の開環メタセシス重合によって得られる。
【0008】
本発明のために特に有用であるルテニウム触媒は、例えば、Aldrich Chemical Co. Ltdから入手し得るルテニウム三塩化物(RuCl×3HO)、およびグラブスI触媒として公知のRuCl(PCyCHPhから選択される。ルテニウム三塩化物の使用が特に好ましい。なぜならば、ルテニウム三塩化物は取り扱いが容易であり、水溶性であり、そして安価であるからである。
【0009】
本発明によるポリマー粒子を形成するために使用されるポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。コポリマーは、二種または三種以上のモノマーを含み得る。
【0010】
50nm〜100μmの間、好ましくは100nmと1μmとの間、最も好ましくは150nmと400nmとの間の粒子サイズを有するポリマー粒子が好ましい。粒子サイズは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定してもよい。この方法はまた、粒子の表面上および内部の残留触媒の分布を決定するためにもよく適している。驚いたことに、触媒が粒子の表面上で均一に分布し、単分散した粒子が形成されることが見出された。
【0011】
活性成分、モノマー、および/または乳化剤の選択および量などのいくつかのパラメーターは、最終的なポリマーの性質に影響し得、従って、そのTg(ガラス転移温度)に影響し得る。ポリマーは、15℃と150℃との間、好ましくは35℃と130℃との間、最も好ましくは40℃と100℃との間のTgを有するべきであり、これは、当該分野において周知の標準的な方法によって決定してもよい。
【0012】
本発明によるカプセル化に適した活性成分は、カプセル化形態であることが望ましい任意の成分(例えば、昆虫忌避剤、抗菌剤、酸化防止剤、UVフィルター、および香料)であり得る。カプセル化に適した活性成分の量は、主に、最終生成物の所望の効果に依存する。例えば、活性成分が香料である場合、乳剤に基づいて、15重量%まで、好ましくは約1重量%〜約9重量%の量が適切である。
【0013】
好適な香料は、精油、アルコール、アルデヒドおよびケトン、エーテルおよびアセタール、エステルおよびラクトン、大環状分子および複素環などの、現在利用可能な広範囲の天然生成物および合成分子から選択され得る。好適な昆虫忌避剤として、N,N,−ジメチル−m−トルアミド(DEET)、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(WS−3)、N,N−ジエチル−ベンズアミド、メンチル2−ピロリドン−5−カルボキシレート、N−アリールネオアルカンアミドおよびN−シクロアルキルネオアルカンアミド、N−低級アルキルネオアルカンアミド、ネペタラクトン(nepetalacton)、ならびに昆虫忌避性質について知られている天然油が挙げられるが、これらに限定されない。かかる油の例として、シトロネラ油、キャットニップ油、ユーカリ油、イトスギ油、ガルバナム油、トルーバルサムおよびペルーバルサムが挙げられるが、これらに限定されない。好適なUVフィルターとして、p−メトキシ桂皮酸イソ−アミルエステル、桂皮酸エステル、サリチル酸エステル、ならびにベンゾフェノンおよび3−ベンジリデン(benzylidene)カンファーの4−アミノ安息香酸誘導体およびスルホン酸誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。好適な抗菌剤として、トリクロサン、ファルネソール、モノラウリン−グリセロール、および他のグリセロールエステルまたはグリセロールモノエーテルが挙げられるがこれらに限定されない。好適な酸化防止剤として、L−アスコルビン酸およびその塩、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレート、エリソルビン酸およびその塩、トコフェロール、没食子酸アルキル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ならびにレシチン類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
好ましくは、活性成分またはそれらの混合物は、親油性の特性を有する液体である。驚いたことに、香料成分の存在下において重合時間が減少することが見出された。従って、香料は、本発明に従うカプセル化に特に好ましい。
【0015】
本発明の重合プロセスにおいて、好適な乳化剤の選択は、より重要でない。アニオン性、カチオン性、および非イオン性の乳化剤が適しているが、アニオン性およびカチオン性の乳化剤が好ましい。しかし、驚いたことに、乳化剤の選択および濃度に起因して、最終生成物中のポリマー粒子の放出動態(例えば、衣類柔軟剤が衣類と接触した場合)が影響され得ることが見出された。乳化剤は、水相に基づいて、好ましくは1重量%〜8重量%の量、更に好ましくは4重量%と7重量%の間の量で使用される。より多くの乳化剤が使用されるとポリマー粒子の粒子サイズがより小さくなることは、当該分野において周知である。
【0016】
以下のリストは、本発明に従うポリマー粒子の調製に好適な乳化剤の例を含む:
−カチオン性乳化剤:例えば、リシノイル(ricinoyl)アミドプロピルトリメチル−アンモニウムメト硫酸塩、ココペンチルエトキシメチル−アンモニウムメト硫酸塩、塩化ココビス(2−ヒドロキシメチル)メチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸グリセリル、およびステアロマイドエチルジエチルアミン、またはこれらの混合物。最も好ましいカチオン性乳化剤として、GoldschmidtからRewoquat RTM50の商品名で入手可能であるリシノイルアミドプロピルトリメチル−アンモニウムメト硫酸塩が挙げられる。
−非イオン性乳化剤:例えば、酸化エチレン、酸化エチレン/酸化プロピレンブロックコポリマー(例えば、UniqemaからSynperonicの商品名で入手可能)を用いてエトキシ化(ethoxylated)されたC12〜C14脂肪アルコールなどのエトキシ化直鎖脂肪アルコール、ステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート、およびステアレート、またはこれらの混合物。
−アニオン性乳化剤:例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムノノキシノール(例えば、RhodiaからAbex EP-227の商品名で入手可能)、およびステアリン酸グリセリル、またはこれらの混合物。
【0017】
一般に、重合は、式(I)のモノマー、活性成分、乳化剤、および水を、室温または高温で混合して乳剤を得、その後ルテニウム触媒の添加によって重合反応を開始することによって行われる。重合反応は、好ましくは、約70℃までの高温下、より好ましくは約60℃または約60℃未満において行われる。モノマーと触媒との反応性に依存して、重合反応が完了するまでに、数時間の間(例えば、2時間〜3時間)から数日間を要し得る。重合プロセスが完了したか否かは、当業者に公知の方法によりモノマー濃度を測定することによって分析され得る。水相のモノマー濃度がより長期間にわたって安定である場合、重合反応は完了している。この濃度は、好ましくは48時間の間、より好ましくは24時間の間、最も好ましくは8時間の間、減少しない。乳剤中に含有されるポリマー粒子は、必要に応じて、触媒が可溶性となる液相(例えば、水、水/エタノール混合物、もしくは水/アセトン混合物)、またはCHCN、EDTA、もしくは2,2’−ビピリジルのようなルテニウム錯化剤を含む液相により洗浄される。
【0018】
あるいは、重合は、モノマーと活性成分とを混合し、そして別に水と乳化剤とを混合することによって行われる。予め混合されたモノマー/活性成分混合物は、次いで、水/乳化剤混合物を含む容器に、撹拌しながら加えられる。撹拌を継続しながら触媒が加えられ、生じる混合物は加熱される。水および乳化剤と混合する前に活性成分がモノマーに第一に加えられる場合に、より安定な乳剤が得られることが見出されている。
【0019】
従って、本発明は、さらなる局面において、以下の工程:
a)一般式(I)のモノマーまたはかかるモノマーの混合物、活性成分、水、および乳化剤を、室温で混合し;
b)工程a)から生じる混合物にルテニウム触媒を加え;そして
c)工程b)から生じる混合物を加熱し;そして
d)必要に応じて、重合反応が完了した後でポリマー粒子を洗浄する工程
を含むポリマー粒子を調製する方法に関する。
【0020】
ポリマー粒子を含む水溶性乳剤は、任意の液体ホームケア(home care)製品および衣類ケア製品(例えば、洗剤、衣類コンディショナー、衣類のためのすすぎ用コンディショナー、硬質面洗浄剤、身体洗浄用組成物および洗い流す髪用コンディショナーなどの化粧用製品、または噴霧用途(例えば、絨毯および家具に対して))に使用され得る。乳剤は、化粧品、髪および衣類のコンディショナーにおける用途に特に適している。フリー(free)な香料の代わりに香料を含有するポリマー粒子がコンディショナーへ加えられる場合、基質(例えば、衣類または髪)への香料の沈着が著しく改善されることが見出された。
【0021】
例えば、パウダーなどの化粧品の用途において使用される場合、ポリマー粒子は、好ましくは乾燥形態において使用される。乾燥形態におけるポリマー粒子は、水性のポリマー乳剤を当業者に公知の方法によって乾燥させることによって得られる。一般的に、乾燥温度が70℃または70℃未満であるような乾燥方法が好ましい。
【0022】
カプセル化された香料の場合、沈着の著しい改善とは、溶媒抽出または熱抽出によって測定される、基質上の香料濃度の測定可能な増大を意味する。
【0023】
本発明を、ここで、以下の非限定的な例への参照によってさらに説明する。
【0024】
例1:4−メチル−10−オキサ−4−アザ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デク−8−エン−3,5−ジオンの重合
【0025】
4−メチル−10−オキサ−4−アザ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デク−8−エン−3,5−ジオンを、(H. Kwartら、J. Am. Chem. Soc. 1952, 74, 3094に従った)フランとマレイン酸イミドとのディールズ・アルダー反応と、その後の(P. Campsら、Chem. Be. 1995, 127, 1933に従った)メチル化によって調製した。
【0026】
20gの4−メチル−10−オキサ−4−アザ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デク−8−エン−3,5−ジオン、6.68gのAbex2030、8.0gの香料組成物、および80mlの水を、Ultraturaxを用いて約5分間混合して、乳剤を得た。440mg(0.015当量)のRuCl×3HOを加え、反応を機械的に撹拌し、60℃で17時間加熱した。
Tg=137℃;
中間粒子サイズ:210nm(透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定した);
【0027】
本例において使用した香料組成物は、以下の香料成分を含有する:イソ−アミルアセテート(3−メチル−1−ブチルアセテート)、オイカリプトール、ジメチルオクテノン(Dimethyloctenon)、サイクラルC(Cyclal C)、リナロール、アルデヒドC12、ビリジン(Viridine)、テルピネオール、酢酸ベンジル、イリソネ・アルファ(Irisone Alpha)、ベルディルアセテート(Verdylacetate)、フェニルエタノール、ジフェニルオキシド、プルノリド(Prunolide)、およびリリアル(Lilial)。
【0028】
例2:7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2,3−ジカルボン酸ジメチルエステルの重合
【0029】
3gの7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン−2,3−ジカルボン酸ジメチルエステル(Eberbach, W.; Perroud-Argueelles, M.; Achenbach, H.; Druckrey, E.; Prinzbach, H. Helvetica Chim. Acta 1971, 54, 2579に従って調製した)、0.5gのRewoquat RTM50、0.6gの例1において記載するような香料組成物、および10mlの水を、Ultraturaxを用いて約5分間混合して乳剤を得た。56mg(0.015当量)のRuCl×3HOを加え、反応を機械的に撹拌し、60℃で4時間加熱した。
Tg=53℃
【0030】
例3:4−メチル−10−オキサ−4−アザ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デク−8−エン−3,5−ジオンと5,6−ビス−メトキシメチル−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンとの共重合
【0031】
5,6−ビス−メトキシメチル−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを、(H. Stockmann, J. Org. Chem. 1961, 26, 2025に従った)フランとマレイン酸無水物とのディールズ・アルダー反応、(J. Dasら、J. Med. Chem. 1988, 31, 930に従った)生じた生成物の還元、その後の(J. T. Mankaら、J. Org. Chem. 2000, 65, 5202に従った)ジオールのメチル化によって調製した。
【0032】
7gの4−メチル−10−オキサ−4−アザ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デク−8−エン−3,5−ジオン、3gの5,6−ビス−メトキシ−メチル−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、3.33gのAbex2030、4.0gの例1に記載するような香料組成物、および40mlの水を、Ultraturaxを用いて5分間混合して乳剤を得た。217mg(0.015当量)のRuCl×3HOを加え、反応を機械的に撹拌し、60℃で17時間加熱した。
Tg=70℃
【0033】
例4:4−メチル−10−オキサ−4−アザ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デク−8−エン−3,5−ジオンの重合
【0034】
ビーカーに60mlの水および2.02gのSynperonic PEF127を入れ、次いで予め混合されたモノマー/香料組成物(20g/6g)を少しずつ加えて、Ultraturaxを用いて約5分間混合して乳剤を得る。438mg(0.015当量)のRuCl×3HOを加え、反応を機械的に撹拌し、60℃で8時間加熱した。
Tg=127℃
【0035】
例5:活性成分の回収
【0036】
例1および例4に従って調製された乳剤の水を、超遠心機を使用してポリマー粒子から分離した。CHClを用いて水相を抽出し、これによって、ポリマー粒子がCHCl中に溶解した。水から分離された有機相とポリマー粒子との両方を、GCによって分析した。その結果を表1に示す。
表1:ポリマー粒子を含む乳剤からの活性成分の回収
【表1】

【0037】
水相は、部分的に最も親水性の化合物を含有する。使用された試験香料組成物について、75%までの総回収率が見出された。ビリジンなどのいくつかの化合物は、使用された重合条件下において不安定であり、理論により制約されることなく、ある香料成分はポリマーに化学的に結合し得、従ってもはやそれ自体は検出され得ないことが考えられる。
【0038】
例6:洗浄試験(例1)
【0039】
0.95%の香料を含有する衣類洗浄用コンディショナー(濃縮または希釈)のサンプルを調製した:一方はフリーの形態(ブランク)、そして一方は例2に従って調製されたポリマー中にカプセル化した。各々のサンプルについて、綿のタオル(20×20cm)を使用して、洗浄試験を実施した。フリーの香料を含む1.43gの柔軟剤、およびカプセル化された香料を含む1.62gの柔軟剤を使用した。タオルを、1リットルの衣類洗浄用コンディショナーを含む冷水中で10分間振とうし、30秒間遠心し、そして乾燥させた。例えば、B. G. GreenらによってChem. Senses 21: 323-334, 1996に記載される標識マグニチュード尺度(Labeled Magnitude Scale: LMS)を使用して、1〜5日間後に9人の熟練者の回答者による匂い試験を実施した。その平均の結果を表2において示す。
表2:希釈/濃縮カチオン性衣類洗浄用コンディショナーを使用した匂い試験
【表2】

【0040】
例7:安定性試験
例6のカプセル化形態の香料を含む衣類洗浄用コンディショナーの安定性を分析した。全てのサンプルが、4℃、20℃、および40℃の保存温度で、少なくとも1ヶ月間安定であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分を含有するポリマー粒子を含む水性乳剤であって、15℃と150℃との間のTgを有する該ポリマーは、ルテニウム触媒、乳化剤、および活性成分の存在下における水相中での、一般式(I):
【化1】

式中、
およびRは、別個に、メトキシメチルもしくは−COMe;または
およびRは、共に、2価の基−C(O)N(CH)C(O)−を形成し、これは、RおよびRが結合する炭素原子と共に5員の複素環を形成し;そして
C2とC3との間の結合は単結合であるか;または
C2とC3との間の結合は、点線と共に、二重結合を示す;
で表されるモノマーまたはそれらの混合物の開環メタセシス重合によって得られる、前記水性乳剤。
【請求項2】
活性成分が、昆虫忌避剤、抗菌剤、酸化防止剤、UVフィルター、および香料からなる群より選択される、請求項1に記載のポリマー粒子を含む水性乳剤。
【請求項3】
ポリマー粒子が15重量%までの香料を活性成分として含有する、請求項1または2に記載のポリマー粒子を含む水性乳剤。
【請求項4】
ポリマー粒子を調製する方法であって、以下の工程:
a.一般式(I):
【化2】

式中、
およびRは、別個に、メトキシメチルもしくは−COMe;または
およびRは、共に、2価の基−C(O)N(CH)C(O)−を形成し、これは、RおよびRが結合する炭素原子と共に5員の複素環を形成し;そして
C2とC3との間の結合は単結合であるか;または
C2とC3との間の結合は、点線と共に、二重結合を示す、
で表されるモノマーまたはそれらの混合物を、活性成分、水、および乳化剤と室温で混合する工程;
b.工程a)から生じる混合物にルテニウム触媒を加える工程;
c.工程b)から生じる混合物を加熱する工程;ならびに
d.必要に応じて、重合反応完了後にポリマー粒子を洗浄する工程
を含む、前記方法。
【請求項5】
工程a〜cの重合反応完了後にポリマー粒子を乾燥する工程をさらに包含する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
活性成分が、昆虫忌避剤、抗菌剤、酸化防止剤、UVフィルター、および香料からなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに従って得られた活性成分を含有するポリマー粒子を含む、ホームケア製品、衣類ケア製品、または化粧用製品。

【公表番号】特表2008−511695(P2008−511695A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528555(P2007−528555)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000500
【国際公開番号】WO2006/024184
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】