説明

活性有機材料を含む電子デバイスのための気密シール

デバイスのための気密シールが基板10及びカバー50を含む。基板上の第1のストリップ30が第1の表面濡れ性を有し、基板上の第2のストリップ32が第1の表面濡れ性とは異なる第2の表面濡れ性を有し、第1の基板ストリップと接触している。そのシールはさらに、第1の表面濡れ性を有し、第1の基板ストリップ30から離隔して配置される、カバー上の第1のカバーストリップ80と、第2の表面濡れ性を有し、第2の基板ストリップ32から離隔して配置され、第1のカバーストリップと接触している、カバー上の第2のカバーストリップ82とを含む。封止部材40は濡れて、第1の基板ストリップ及び第1のカバーストリップに接着するが、第2の基板ストリップ及び第2のカバーストリップには接着しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデバイスを湿気から保護するための気密シールに関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの感湿性デバイスがある。或る特定の種類のデバイスが有機発光ダイオードデバイス(OLED)である。そのようなデバイスは一般的に、基板と、アノードと、有機化合物から作製される正孔輸送層と、適切なドーパントを有する有機発光層と、有機電子輸送層と、カソードとを含む。OLEDデバイスは、駆動電圧が低く、ルミナンスが高く、視角が広く、フルカラーフラット放射ディスプレイを形成できることから魅力的である。米国特許第4,769,292号及び第4,885,211号において、Tang等は、この多層OLEDデバイスを記述した。
【0003】
OLEDディスプレイが抱える共通の問題が湿気に対して敏感なことある。通常の電子デバイスは、そのデバイスの指定された動作又は保管寿命内でデバイス性能が早期に劣化するのを防ぐために、約2500ppm(parts per million)から5000ppm未満までの範囲の湿度レベルを必要とする。パッケージされたデバイス内の環境をこの湿度レベル範囲に制御することは、通常、デバイスを封入することによって、又はカバー内にデバイス及び乾燥剤を封止することによって達成される。たとえば、分子篩材料、シリカゲル材料、及び一般的にドリエライト(Drierite)材料と呼ばれる材料等の乾燥剤を用いて、湿度レベルを上記の範囲内に保持する。特に高感湿性の電子デバイス、たとえば、有機発光デバイス(OLED)又はパネルは、約1000ppm未満のレベルまでの湿度制御を必要とし、中には、100ppm未満までの湿度制御を必要とするものもある。
【0004】
多数の刊行物が、密閉又は封入された電子デバイス内の湿度レベルを制御するための方法又は材料を記述している。特許文献1においてKawami他は、基板とトップシールとの間のOLEDディスプレイの有機層上に乾燥剤層を使用することを教示している。特許文献2においてBoroson他は、乾燥剤と適切な結合剤との注型可能な混合物を使用することを開示している。特許文献3においてKim他は、OLEDデバイスを包囲する2つの密封材を使用することを教示している。これは、密封材破損の可能性を低減する1つの方法とすることができるが、デバイス内への透湿速度を低減する際に、単一の広い密封材よりも有効でない。特許文献4においてWang他は、OLEDデバイスを包囲する2つのシールを使用し、それら2つのシール間に乾燥剤を用いることを開示しているが、OLEDデバイスを含む筐体内に乾燥剤はない。特許文献5においてPengも、2つのシールを使用し、それらのシール間に乾燥剤を用いることを教示している。たとえば、特許文献6において記述されているように、OLEDデバイスを金属シールで封止することも知られている。
【0005】
上記の参考文献において記述される方法は、透水速度を制限するのに、基板と筐体との間のシールに頼るが、デバイスの全寿命にわたって湿気を吸収するだけの十分な乾燥剤を保持するために、筐体内に十分な容積を必要とする。透湿速度が、乾燥剤による吸湿速度を超えないようにするために、これらの制限は非常に広いシール、それゆえ、表示エリアを越える広い縁部を必要とする可能性がある。そのような構成は、十分な量の乾燥剤を保持するだけの大きな、又は深い筐体を必要とする可能性がある。大抵の乾燥剤は透明ではなく、それゆえ、OLEDの放射エリア上に配置することはできないので、この筐体サイズ要件は、上面発光OLEDデバイスの場合に特に大きな問題となる可能性がある。上面発光OLEDデバイスの場合、乾燥剤は通常、表示エリアの外側であるが、それでも筐体内に配置されなければならないので、結果として、表示エリアを越える大きな縁部が生じる。所与のデバイスのサイズを最小限に抑えるために、かつ製造中に所与のマザーガラス基板上に製造されるデバイスの数を最大にするために、OLEDデバイスの表示エリアを越える縁部を小さくしておくことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,882,761号明細書
【特許文献2】米国特許第6,226,890号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0127976号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0122476号明細書
【特許文献5】米国特許第6,589,675号明細書
【特許文献6】米国特許第7,202,602号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、OLEDデバイスの表示エリアを越えて、必要とされる縁部のサイズに追加しないような方法で、OLEDデバイスのような高感湿性デバイス内への透湿速度を低減することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
a)内側基板表面、外側基板表面、及び該内側基板表面上の外周の内側に形成されるデバイスとを有する基板と、
b)第1の表面濡れ性を有し、前記デバイスと前記外周との間の前記内側基板表面上に配置される第1の基板ストリップと、
c)前記第1の表面濡れ性とは異なる第2の表面濡れ性を有し、前記デバイスと前記第1の基板ストリップとの間の前記内側基板表面上に配置され、前記第1の基板ストリップと接触している第2の基板ストリップと、
d)前記第1の基板濡れ性を有し、前記外周の内側に前記第1の基板ストリップから離隔して配置される第1のカバーストリップと、
e)前記第2の基板濡れ性を有し、前記第2の基板ストリップから離隔して配置され、前記第1のカバーストリップと接触している第2のカバーストリップと、
f)前記第1の基板ストリップ及び前記第1のカバーストリップを濡らすが、前記第2の基板ストリップ及び前記第2のカバーストリップは濡らさず、前記第1の表面濡れ性を有する前記第1の基板ストリップ及び前記第1のカバーストリップに接着されるが、前記第2の表面濡れ性を有する前記第2の基板ストリップ及び前記第2のカバーストリップには接着されない封止部材と、
g)前記第1のカバーストリップ及び前記第2のカバーストリップ上に配置されるカバーと、
を備える、デバイスのための気密シールが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の利点は、制御可能な幅の細いシールを設けながら、感湿性デバイスへの透湿レベルを低減することである。封止部材とストリップとの関係が、制御された濡れ性を有し、それにより、細い制御可能なシールにおいて低減された透湿性を提供するので、その封止部材は特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による、OLEDデバイスのエッジの部分断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による、OLEDデバイスの平面図である。
【図3】本発明の別の実施形態による、OLEDデバイスのエッジの部分断面図である。
【図4】本発明のさらに別の実施形態による、OLEDデバイスのエッジの部分断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による、OLEDデバイスのエッジ、及びエッジを封止するために用いられる加熱素子の部分断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による、拡張された電極を有するOLEDデバイスのエッジの部分断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による、拡張された電極及び絶縁体を有するOLEDデバイスのエッジの部分断面図である。
【図8】本発明の一実施形態による、OLEDデバイスのエッジの部分断面図である。
【0011】
層厚のようなデバイス機構寸法は多くの場合にサブマイクロメートル範囲にあるので、それらの図面は、寸法を正確にすることではなく、見やすくするための縮尺で描かれる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
用語「OLEDデバイス」又は「有機発光ディスプレイ」は、当該技術分野において認識されるように、ピクセルとして有機発光ダイオードを含むディスプレイデバイス、又は有機材料を有する有機発光ダイオードを含む照明デバイスの意味において用いられる。用語「上面発光」は、光が主に、デバイスが堆積される基板を通してではなく、基板の反対側にあるカバーを通して放射され、基板の反対側から視認されるディスプレイデバイスを指している。用語「高感湿性電子デバイス」は、1000ppmよりも高い周囲湿度レベルにおいてデバイスの性能が測定できるほどの劣化を受けやすい任意の電子デバイスを示すために用いられる。用語「基板」は、その上に1つ又は複数の高感湿性電子デバイスが形成される有機固体、無機固体、又は無機固体及び有機固体の組み合わせを示すために用いられる。用語「封止材料」は、封入筐体を基板に結合するために、かつ封止材料を通じた透湿を防ぐか又は制限することによって、1つ又は複数の感湿性電子デバイスを湿気から保護するために用いられる有機材料、無機材料、又は無機材料及び有機材料の組み合わせを示すために用いられる。封止部材は、基板とカバーとの間に形成され、環境内の汚染物が入るのを防ぐ封止材料を含む構成要素である。用語「乾燥剤」は、そのままでは高感湿性電子デバイスを損なうことになる湿気を物理的若しくは化学的に吸収するか、又は湿気と物理的若しくは化学的に反応するために用いられる有機材料又は無機材料を示すために用いられる。
【0013】
図1を参照すると、本発明の一実施形態において、デバイスのための気密シールは基板10を備えており、基板10は、内側基板表面12と、外側基板表面14と、基板10の外周を画定するエッジ16とを有し、デバイスは、内側基板表面12上の外周の内側に形成される。第1の表面濡れ性を有する第1の基板ストリップ30が、デバイスと外周との間の内側基板表面12上に配置される。本発明の好ましい実施形態では、第1の基板ストリップ30は、エッジ16の少なくとも一部と接触しており、エッジ16から第1の基板距離d1だけ延在し、外周全体にわたって延在することができる。しかしながら、第1の基板ストリップは、エッジ16まで途切れることなく延在する必要もなければ、外周全体にわたって延在する必要もない。第1の表面濡れ性とは異なる第2の表面濡れ性を有する第2の基板ストリップ32が、デバイスと、第1の基板ストリップ30との間の内側基板表面12上に配置され、第1の基板ストリップ30と接触している。本発明の好ましい実施形態では、第2の基板ストリップ32は、エッジ16から第1の距離d1の位置から、第2の基板距離d2だけ延在する。保護カバー50が、内側カバー表面52と、外側カバー表面54と、基板エッジ16に対応するエッジとを有する。内側カバー表面52は、内側基板表面12に面する。第1の表面濡れ性を有する第1のカバーストリップ80が、外周の内側に第1の基板ストリップ30から離隔して配置され、内側カバー表面52上に配置される。本発明の好ましい実施形態では、第1の基板ストリップ30は、エッジ16から第1のカバー距離d1だけ延在する。第2の表面濡れ性を有し、第1のカバーストリップ80の内側に、かつ第1のカバーストリップ80と接触して、第2の基板ストリップ32から離隔して配置される第2のカバーストリップ82が、内側カバー表面52上に配置される。本発明の好ましい実施形態では、第2のカバーストリップ82は、エッジ16から第1の距離d1の位置から、第2のカバー距離d2だけ延在する。第1の基板ストリップ30及び第1のカバーストリップ80を濡らすが、第2の基板ストリップ32及び第2のカバーストリップ82を濡らさない封止部材40が、エッジ16に沿って配置され、第1の基板ストリップ30及び第1のカバーストリップ80の両方と接触している。封止部材40は、エッジ16から、第1の基板距離d1以下の距離だけ延在し、第1の表面濡れ性を有する第1の基板ストリップ30及び第1のカバーストリップに接着するが、第2の表面濡れ性を有する第2の基板ストリップ32及び第2のカバーストリップ82には接着しない。シールの幅は、距離d1を調整することによって制御することができる。距離d1は、意図した用途の場合に、封止部材40がOLEDデバイスに適切な封止保護を与えるほど十分に大きくなるように選択される。
【0014】
本発明の実施形態によれば、封止部材材料は、第1のカバーストリップ80及び第1の基板ストリップ30を濡らすが、第2のカバーストリップ82及び第2の基板ストリップ32を濡らさない。しかしながら、第1のカバーストリップ80及び第1の基板ストリップ30が同じ濡れ性を有する必要もなければ、第2のカバーストリップ82及び第2の基板ストリップ32が同じ濡れ性を有する必要もない。封止部材40を構成する材料によって、第1の基板ストリップ30が第2の基板ストリップ32よりも濡れやすく、かつ第1のカバーストリップ80が第2のカバーストリップ82よりも濡れやすいことだけが必要とされる。同様に、カバー50上の距離d1は、基板10上の距離d1と同じである必要はなく、単に、いずれも所望の防湿性、及び封止部材40に接着するための所望の接触面積を与えるのに適した距離だけエッジ16から延在する。同様に、カバー50上の距離d2は基板10上の距離d2と同じである必要はなく、単に、カバー50上の距離d2は、所望の防湿性を与えるのに適したカバー50上の距離だけ、カバー50上の距離d1の位置から延在し、基板10上の距離d2は、所望の防湿性を与えるのに適した基板10上の距離だけ、基板10上の距離d1の位置から延在する。しかしながら、本発明の種々の実施形態において、カバー50上の距離d1は、基板10上の距離d1と概ね同じであるか、又はカバー50上の距離d2は基板10上の距離d2と概ね同じであるか、又はいずれも概ね同じである。「概ね」は、第1(又は第2)のストリップ80、82、30、32のうちの1つが、他の第1(又は第2)のストリップ80、82、30、32の幅の50%以内にあることを意味する。電極22及びOLED材料20は、基板10の内側基板表面12上に形成される。
【0015】
OLEDデバイスは電極を通して駆動され、電極は従来通りに、OLEDデバイスの外部にあるコントローラーに電気的に接続される。そのような接続を可能にするために、電極22は、図2の平面図及び図6の断面図に示されるように、通常デバイスの一方においてカバーを越えて延在する。この場合、そこから第1のカバー及び基板ストリップ30,80が延在するエッジ16は、対応する基板エッジ16ではなく、カバーのエッジとして画定される。基板10はエリア16’を設けるためにカバーエッジ16を越えて延在し、電極22はエリア16’まで延在し、電極22はエリア16’において外部から接続可能である。しかしながら、本発明の一実施形態では、外部から電極22に接続できるようになるエッジ16において、代替の封止構成を用いることができる。大部分のディスプレイデバイスは長方形であるので、本明細書において記述される封止機構は、図2に示されるように、外周全体にわたる4つのエッジ16のうちの1つ又は複数において利用することができる。図7に示されるように、封止部材40、第1の基板ストリップ30又は第2の基板ストリップ32と電極22との間の任意の電気的な干渉又は短絡を避けるために(特に封止部材40又はストリップ30、32が金属である場合)、電極22が封止部材40の真下に延在する場所において、封止部材40と電極22との間に電極絶縁層34を用いることができる。図に示されるように、電極22は、内側基板表面12と封止材料との間の内側基板表面12上に延在し、電極絶縁層34は、電極22と封止部材40との間に配置される。本発明の種々の実施形態は、基板10及びカバー50に対して、そして基板ストリップ30、32及びカバーストリップ80、82に対して異なる材料を用いることができる。たとえば、第1の基板ストリップ30は、基板10の無コーティング部分とすることができるか、若しくは第2の基板ストリップ32は基板10の無コーティング部分とすることができるか、又は第1のカバーストリップ80はカバー50の無コーティング部分とすることができるか、若しくは第2のカバーストリップ82はカバー50の無コーティング部分とすることができる。図8に示される一実施形態では、第1のカバーストリップ80若しくは第2のカバーストリップ82、又は第1の基板ストリップ30若しくは第2の基板ストリップ32は、基板10又はカバー50そのものの表面である。そのような実施形態では、基板上に形成される電極22が所望の経路に沿ってのみ電気を通すように、基板10を特に絶縁することが有用である。ガラス又はプラスチックが、そのような有用な材料の良い例である。代替の実施形態では、第1のカバーストリップ80若しくは第2のカバーストリップ82、又は第1の基板ストリップ30若しくは第2の基板ストリップ32は、カバー50又は基板10の材料とは異なる材料から形成される(図1)。たとえば、基板10のために金属が用いられる場合には、その金属を、封止部材40に対して所望の濡れ特性を有する非導電材料でコーティングすることができる。
【0016】
本発明の種々の実施形態によれば、封止部材40は、金属又は合金から形成することができる。特に有用な金属は、インジウム、スズ、ビスマス、鉛若しくははんだ、又はこれらの金属の合金を含む。特に有用な合金は、50:50、52:48、48:52、55:45又は45:55の比率のインジウム及びスズを含む。これらの材料は、1つには、相対的に低い溶融温度を有するので有用である。先行技術において知られているように、内側基板表面12上にコーティングされるOLED材料20、たとえば、温度に敏感な有機材料20は、熱によって損傷を受ける可能性があるが、低融点金属を用いることによって、OLED内の有機材料が損傷を受ける可能性が低減される。実際に、本出願人は、コーティングされたOLED材料が損傷を受ける温度よりも低い融点を有する封止部材として合金を使用できることを実証した。
【0017】
第1のカバーストリップ80及び第2のカバーストリップ82並びに第1の基板ストリップ30及び第2の基板ストリップ32のための有用な材料は、金属、合金及び金属酸化物、たとえば、銅、アルミニウム、銀及び酸化アルミニウムを含む。特に金属又は合金の封止材料と組み合わせる際に、樹脂、たとえば、フォトリソグラフィにおいて用いられる感光性樹脂も異なる濡れを与えるのに有用である。1つの特定の実施形態では、第1のカバーストリップ80及び第1の基板ストリップ30はガラス表面を有し、第2のカバーストリップ82及び第2の基板ストリップ32は酸化アルミニウム表面を有し、封止部材40は、スズ及びインジウムを含む合金である。別の特定の実施形態では、第1のカバーストリップ80及び第1の基板ストリップ30は金属表面又は金属酸化物表面であり、第2のカバーストリップ82及び第2の基板ストリップ32はガラス表面であり、封止部材40ははんだ合金である。第3の実施形態では、第1のカバーストリップ80及び第1の基板ストリップ30は銀表面を有し、第2のカバーストリップ82及び第2の基板ストリップ32は酸化アルミニウム表面を有し、封止部材40はスズ及びインジウムを含む合金である。一般的に、その要件は、封止部材40が第1のカバーストリップ80及び第1の基板ストリップ30を濡らすが、第2のカバーストリップ82及び第2の基板ストリップ32を濡らさないことである。
【0018】
図4を参照すると、本発明の代替の実施形態では、封止部材40の機能を補完するために、内側基板表面12と内側カバー表面52との間に接着剤及び乾燥剤を設けることもできる。通常、接着剤72及び乾燥剤70は、OLED材料20と封止部材40との間に配置され、第2のカバーストリップ82及び第2の基板ストリップ32の両方に接着する。代替的には、接着剤72及び乾燥剤70は、内側基板表面12及び内側カバー表面52の両方に接着する。乾燥剤70は、閉じ込められた湿気を吸収するのに有用である。封止部材40が必ずしも適切な接着を与えない場合があるので、接着剤72は、カバー50と基板10との間のロバストな接着を与える際に有用である。先行技術において教示されるように、乾燥剤70及び接着剤72(たとえば、エポキシ)は層を成して、1つ又は複数の障壁を形成することができる。トップエミッターの実施形態では、接着剤72及び乾燥剤70は、OLED材料20の周辺に配置され、一方、ボトムエミッターでは、乾燥剤はOLEDの背面上に配置することができる。基板10からのカバー50の間隔を制御するために、スペーサー素子60(図3に示される)を用いることができる。スペーサー素子60は、第2のカバー及び基板エリアD2内に配置することができるか、又はOLED材料20に向かってさらに離れた場所、たとえば、電極22上に配置することができる。
【0019】
フラットパネルOLEDデバイスは通常長方形の外形を有するので、上記の封止部材40は、OLEDデバイスの側面のうちの1つ又は全てにおいて用いることができる(図2に示される)。それゆえ、カバー50及び基板10の外周全体を同じ封止部材40で封止することができる。第1の表面属性及び第2の表面属性をそれぞれ有する第1のストリップ30、80及び第2のストリップ32、82は、外周全体にわたって内側カバー表面52及び内側基板表面12上に形成することができる。代替的には、封止部材40は、第1のカバーストリップ80及び第2のカバーストリップ82並びに第1の基板ストリップ30及び第2の基板ストリップ32と同様に、外周の一部のみに用いることができる。
【0020】
本発明の封止部材40は、種々の方法において構成することができる。これらの実施形態のそれぞれにおいて、第1のストリップ80、30及び第2のストリップ82、32は、たとえば、マスクを通して材料をスパッタリング若しくは蒸着することによって、又はフォトリソグラフィ法によって、又は表面がストリップとして用いられるときには、カバー50若しくは基板10の表面を単に洗浄することによって、カバー50及び基板10上に最初に形成される。ストリップ80、82、30、32が形成されると、たとえば、図3のスペーサー片60及び接着剤72を用いることによって、離隔して配置される所望の構成において、カバー50及び基板10が接着される。その後、基板10及びカバー50を一緒に溶融封止材料内に浸漬し、基板及びカバーを溶融封止材料から取り出して、それにより、封止材料が冷却し、硬化できるようにすることによって、封止部材40を形成することができる。代替的には、基板10とカバー50との間に溶融封止材料を堆積し、その後、溶融材料が冷却し、硬化できるようにすることによって、封止部材40を形成することができる。別の方法では、基板10とカバー50との間に封止材料を堆積し、封止材料を加熱し、その後、封止材料が冷却し、硬化できるようにすることによって、封止部材40を形成することができる。この後者の場合、封止材料はペーストとして塗布することができるか、又は分散系、たとえば、導電性ナノ粒子の分散系として塗布することができる。封止部材40が金属である場合には、封止材料はワイヤの形で適用することができ、第1の基板ストリップ30と第1のカバーストリップ80との間の空間内に金属ワイヤを位置決めし、金属ワイヤを溶融し、その後、溶融した材料を冷却して、封止部材40を形成することによって、封止部材40を作製することができる。封止材料が液体として塗布されない場合には、封止材料を加熱して、封止部材40を形成し、その部材を、濡らすことができる第1のカバー表面及び第1の基板表面に接着して、気密の湿気障壁を形成する。
【0021】
本出願人は、1mmスペーサーによって接着されるガラス及びカバー基板を用いることによって本発明を実証した。第1の一連の実験では、50%インジウム及び50%スズの混合物を128℃の温度で溶融し、内側ガラス表面(すなわち、第1のストリップはガラスであった)上にコーティングを用いることなく、ガラスカバーと基板との間に塗布し、ガラス表面をコーティングすることが示された。その後、エッジを研削して、基板とカバーとの間に研磨された滑らかな気密シールを形成した。第2の実験では、離隔して配置されるカバー及び基板上に酸化アルミニウムのストリップを用いて、50%混合物をはじくことを実証した。すなわち、それらのストリップは濡れなかった。第3の実験では、カバー及び基板上に蒸着されたアルミニウムを用いて第1のストリップを形成し、カバー及び基板が離隔して配置される構成において接着し、溶融金属として50%混合物を塗布した。その後、カバー、基板及び封止部材を研削して、気密障壁を形成した。第4の実験では、種々の溶融した市販用はんだがガラスを濡らさないが、たとえば、ガラス上に形成される金属層を濡らすことが示された。
【0022】
上記の実験は、離隔して配置されるカバー及び基板を合金の溶融池に浸漬することによって形成した。第2の一連の実験では、離隔して配置されるカバーと基板との間に材料を注ぎ、封止障壁を形成することによって、50%混合物を、同じストリップを有する離隔して配置される基板及びカバーに塗布した。その後、基板、カバー及び封止部材を研削し、気密障壁を形成することが示された。実際には、大きな基板のエッジを浸漬すること、又は基板とカバーとの間にそれ以外の方法で液体金属を塗布することは、大きな基板及びカバーを垂直な位置に向ける必要があるので難しい可能性がある。代替の実験では、上記のように同じストリップを有する離隔して配置される基板とカバーとの間の第1のストリップエリア内に、50%混合物を固体の形で(たとえば、ワイヤとして)適用し、その後、熱い金属表面を用いて加熱した。図5は、局所加熱器44(たとえば、ローラー)を用いる工程を示す。その後、金属封止部材40は障壁を形成し、その後、その障壁を研削し、気密障壁を形成することが示された。この工程では、封止部材が加熱表面に接着するのを防ぐために、加熱される表面は封止部材を濡らさないことが有用である。代替的な工程では、第1のストリップエリアにおいて離隔して配置される基板とカバーとの間に、金属粒子のペースト又は分散系を固体又は液体として塗布し、(必要に応じて)乾燥させることができる。ペースト又は分散系を局所的に加熱して、金属粒子を溶融させて、封止障壁を形成することができる。一実施形態では、金属粒子は、大きな金属粒子よりも低い溶融温度を有するナノ粒子である。
【0023】
本発明を用いて、OLEDデバイスに気密シールを設けることができる。50%混合物の溶融温度、すなわち、128℃は、OLEDデバイスを構成する有機材料が損傷を受ける温度よりもわずかに低いことに留意されたい。また、デバイス全体が加熱されるのではなく、OLEDデバイスの局所的な周辺のみが加熱されるので、OLEDデバイスの有機材料の温度は封止部材と同じ温度まで必ずしも上昇しないことにも留意されたい。
【0024】
本発明は、トップエミッター及びボトムエミッターの両方の構成において用いることができる。
【0025】
基板10は、有機物固体、無機物固体、又は有機物及び無機物固体の組み合わせとすることができる。基板10は、硬質又は可撓性とすることができ、シート若しくはウェーハのような別個の単品として、又は連続したロールとして処理することができる。通常の基板材料には、ガラス、プラスチック、金属、セラミック、半導体、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、半導体酸化物、半導体窒化物、半導体硫化物、炭素、若しくはその組み合わせ、又はパッシブマトリックスデバイス若しくはアクティブマトリックスデバイスとすることができるOLEDデバイスの形成において一般的に用いられる任意の他の材料が含まれる。基板10は、材料の均質混合物、材料の複合体、又は複数の複数の層とすることができる。基板320はOLED基板とすることができ、すなわち、OLEDデバイスを準備するために一般的に用いられる基板、たとえば、アクティブマトリックス低温ポリシリコン又はアモルファスシリコンTFT基板とすることができる。有用な実施形態では、基板10はガラスを含むことができる。
【0026】
カバー50は、基板10と同じか又は異なる材料を含むことができ、同じか又は異なる特性を有することができる。カバー50は有機固体、無機固体、又は有機固体及び無機固体の組み合わせとすることができる。保護カバー50は硬質又は可撓性とすることができ、シート又はウェハーのような別々の部品として、又は連続したロールとして処理することができる。通常の保護カバー材料は、ガラス、プラスチック、金属、セラミック、半導体、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、半導体酸化物、半導体窒化物、半導体硫化物、炭素、又はそれらの組み合わせを含む。有用な実施形態では、保護カバー50はガラスを含むことができる。
【0027】
さらに、保護カバー50は、OLEDデバイスに、又はその放射される光に所望の特性を与えるための1つ又は複数の光学活性層を含むことができる。有用な光学活性層の例は、放射される光の波長を制限するためのカラーフィルターアレイ、或る波長範囲を別の波長範囲に変換するための色変更モジュール(たとえば、蛍光層)、内部全反射に起因する損失を制限するための光抽出層、反射防止層、及び偏光層を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、UV又は熱硬化エポキシ樹脂、アクリラート、又は感圧接着剤を含む、任意の数の材料とすることができるポリマーバッファ層を、基板10と保護カバー50との間に配置することができる。
【0029】
通常の吸湿乾燥剤材料は、アルカリ金属(たとえば、Li、Na)、アルカリ土類金属(たとえば、Ba、Ca)又は他の感湿性金属(たとえば、Al、Fe)、アルカリ金属酸化物(たとえば、Li2O、Na2O)、アルカリ土類金属酸化物(たとえば、MgO、CaO、BaO)、硫酸エステル(たとえば、無水MgSO4)、ハロゲン化金属(たとえば、CaCl2)、過塩素酸塩(たとえば、Mg(ClO42)、分子篩、特に高温において処理された分子篩、米国特許第6,656,609号においてTakahashi他によって、さらには、米国特許出願公開第2003/011981号においてTsuruoka他によって記述されている有機金属化合物のような金属を含む。乾燥剤材料70は、単一の材料、材料の均質混合物、材料の複合体、又は材料の複数の層とすることができ、蒸気若しくは液体から堆積することができるか、又は粒子材料として、又は透過性パッケージ若しくはテープのような多孔性マトリックス内に形成される粒子材料として設けることができる。特に有用な乾燥剤材料は、米国特許第6,226,890号においてBoroson他によって記述されているような、パターニングすることができる高分子マトリックス内に形成される粒子材料である乾燥剤材料を含む。乾燥剤材料は、膨張乾燥剤又は非膨張乾燥剤とすることができる。膨張乾燥剤は、湿気を吸収する際に体積が膨張する乾燥剤を意味する。膨張乾燥剤の例には、Liのような反応性金属、又はCaOのような酸化物が含まれる。そのような乾燥剤は、基板とカバーとの間の空間全体を満たすべきではない。分子篩のような非膨張乾燥剤の1つの利点は、その空間全体を満たすことができることである。
【0030】
本発明において用いることができるOLEDデバイスは、当該技術分野において十分に説明されており、OLEDデバイスは、そのようなデバイスのために一般的に用いられる複数の層を含むことができる。OLED基板10上にボトム電極が形成され、最も一般的にはアノードとして構成されるが、本発明の実施はこの構成には限定されない。この用途のための例示的な導体には、限定はしないが、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム、プラチナ、アルミニウム又は銀が含まれる。所望のアノード材料は、蒸着、スパッタリング、化学気相成長、又は電気化学的工程のような任意の適切な方法によって堆積することができる。アノード材料は、既知のフォトリソグラフィ工程を用いてパターニングすることができる。
【0031】
必ずしも必要であるとは限らないが、多くの場合に、アノード上に正孔輸送層を形成し、配置することが有用である。所望の正孔輸送材料は、蒸着、スパッタリング、化学気相成長、電気化学的工程、熱伝達、又はドナー材料からのレーザ熱伝達のような任意の適切な方法によって堆積することができる。正孔輸送層において有用な正孔輸送材料は、芳香族第三アミンのような化合物を含むことがよく知られており、後者は、炭素原子のみに結合される少なくとも1つの三価窒素原子を含み、それらの炭素原子のうちの少なくとも1つは芳香環の一員である化合物であると理解される。
【0032】
OLEDデバイス内の正孔輸送層は、芳香族第三アミン化合物の単体又は混合物から形成することができる。具体的には、テトラアリールジアミンと組み合わせたトリアリールアミンを用いることができる。テトラアリールジアミンと組み合わせてトリアリールアミンが用いられるとき、テトラアリールジアミンは、トリアリールアミンと電子注入及び輸送層との間に介在する層として位置決めされる。別の種類の有用な正孔輸送材料は、欧州特許第1009041号において記述されているような多環式芳香族化合物を含む。さらに、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、及びPEDOT/PSSとも呼ばれるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)のようなコポリマー等のポリマー正孔輸送材料を用いることもできる。
【0033】
発光層は、正孔−電子再結合に応答して光を生成する。発光層は一般的に正孔輸送層上に配置される。望ましい有機発光材料は、蒸着、スパッタリング、化学気相成長、電気化学的工程、又はドナー材料からの放射熱転写のような任意の適切な方法によって堆積することができる。有用な有機発光材料は既知である。米国特許第4,769,292号及び同第5,935,721号においてさらに十分に記述されるように、OLED素子の発光層は発光材料又は蛍光材料を含み、この領域では、電子−正孔対再結合の結果として、エレクトロルミネセンスが引き起こされる。発光層は単一の材料を含むことができるが、さらに一般的には、ゲスト化合物又はドーパントをドープされたホスト材料を含み、その場合、主にドーパントから光放射が到来する。ドーパントは、特定のスペクトルを有する有色光を生成するように選択される。発光層内のホスト材料は、以下に規定されるような電子輸送材料、上記のような正孔輸送材料、又は正孔−電子再結合を支援する別の材料とすることができる。ドーパントは通常、蛍光性が高い色素から選択されるが、燐光性化合物、たとえば国際公開第98/55561号、同第00/18851号、同第00/57676号及び同第00/70655号において記述されるような遷移金属錯体も有用である。ドーパントは通常、ホスト材料内に、0.01重量%〜10重量%だけコーティングされる。有用であることがわかっているホスト及び発光分子には、限定はしないが、米国特許第4,768,292号、同第5,141,671号明細書、同第5,150,006号、同第5,151,629号、同第5,294,870号、同第5,405,709号、同第5,484,922号、同第5,593,788号、同第5,645,948号、同第5,683,823号、同第5,755,999号、同第5,928,802号、同第5,935,720号、同第5,935,721号及び同第6,020,078号において開示されているものが含まれる。
【0034】
発光層内のホスト材料は、9及び10の位置において炭化水素又は置換炭化水素置換基を有するアントラセン誘導体とすることができる。たとえば、9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセンの誘導体がエレクトロルミネセンスを支援することができる1つの種類の有用なホスト材料を構成し、400nmよりも長い波長、たとえば、青色、緑色、黄色、橙色及び赤色の光放射のために特に適している。
【0035】
ベンズアゾール誘導体がエレクトロルミネセンスを支援することができる別の種類の有用なホスト材料を構成し、400nmよりも長い波長、たとえば、青色、緑色、黄色、橙色及び赤色の光放射のために特に適している。有用なベンズアゾールの一例が2,2’,2’’−(1,3,5−フェニレン)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール]である。
【0036】
望ましい蛍光ドーパントは、フェニレン又はフェニレンの誘導体、アントラセンの誘導体、テトラセン、キサンテン、ルブレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム及びチアピリリウム化合物、ジスチリルベンゼン又はジスチリルビフェニルの誘導体、ビス(アジニル)メタンホウ素錯化合物、及びカルボスチリル化合物を含む。
【0037】
他の有機放射材料は、同じ譲受人に譲渡される米国特許出願第6,194,119号においてWolk他によって、及び該特許文献において列挙される参照文献によって教示されているような、高分子物質、たとえば、ポリフェニレンビニレン誘導体、ジアルコキシ−ポリフェニレンビニレン、ポリ−パラフェニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体とすることができる。
【0038】
必ずしも必要であるとは限らないが、発光層上に配置される電子輸送層を含むことが多くの場合に有用である。望ましい電子輸送材料は、蒸着、スパッタリング、化学気相成長、電気化学的工程、熱転写、又はドナー材料からのレーザ熱転写のような任意の適切な方法によって堆積することができ、本明細書において記述されるデバイス及び方法によって堆積することができる。電子輸送層において用いるのに好ましい電子輸送材料は、オキシン(一般的に、8−キノリノール又は8−ヒドロキシキノリンとも呼ばれる)そのもののキレートを含む、金属キレート化オキシノイド化合物である。そのような化合物は、電子を注入し、輸送するのを助け、共に高いレベルの性能を示し、かつ薄膜の形で容易に製造される。考えられるオキシノイド化合物の例は、上記で記述された、構造式Eを満たす化合物である。
【0039】
他の電子輸送材料は、米国特許第4,356,429号において開示されるような種々のブタジエン誘導体、及び米国特許第4,539,507号に記述されるような種々の複素環式蛍光増白剤を含む。或る特定のベンズアゾールも有用な電子輸送材料である。他の電子輸送材料は、高分子物質、たとえば、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリ−パラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリチオフェン、ポリアセチレン、及び当該技術分野において既知の他の導電性高分子有機材料とすることができる。
【0040】
最も一般的にはカソードとして構成される上側電極が、電子輸送層上に形成されるか、又は電子輸送層が用いられていない場合には発光層上に形成される。デバイスが上面発光である場合、電極は透明又はほぼ透明でなくてはならない。そのような応用例の場合、金属は薄くなければならない(好ましくは25mm未満)か、又は透過性の導電性酸化物(たとえばインジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物)、若しくはこれらの材料の組み合わせを用いなければならない。光学的に透過性のカソードは、米国特許第5,776,623号においてさらに詳細に記述されている。カソード材料は、蒸着、スパッタリング又は化学気相成長によって堆積することができる。必要に応じて、限定はしないが、スルーマスク堆積、米国特許第5,276,380号及び欧州特許第0732868号において記述されているようなインテグラルシャドーマスキング、レーザアブレーション、並びに選択性化学気相成長を含む、数多くの既知の方法を通じて、パターニングを達成することができる。
【0041】
OLEDデバイスは他の層も含むことができる。たとえば、米国特許第4,720,432号、同第6,208,075号、欧州特許出願公開第0 891 121号及び同第1 029 909号において記述されているように、アノード上に正孔注入層を形成することができる。カソードと電子輸送層との間に、アルカリ又はアルカリ土類金属、ハロゲン化アルカリ塩、又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属ドープ有機層のような電子注入層も存在することができる。
【符号の説明】
【0042】
d1 第1のカバー又は基板距離
d2 第2のカバー又は基板距離
10 基板
12 内側基板表面
14 外側基板表面
16 エッジ
16’ エリア
20 OLED材料
22 電極
30 第1の基板ストリップ
32 第2の基板ストリップ
34 電極絶縁層
40 封止部材
44 局所加熱器
50 保護カバー
52 内側カバー表面
54 外側カバー表面
60 スペーサー素子
70 乾燥剤材料
72 接着剤
80 第1のカバーストリップ
82 第2のカバーストリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)内側基板表面、外側基板表面、及び該内側基板表面上の外周の内側に形成されるデバイスとを有する基板と、
b)第1の表面濡れ性を有し、前記デバイスと前記外周との間の前記内側基板表面上に配置される第1の基板ストリップと、
c)前記第1の表面濡れ性とは異なる第2の表面濡れ性を有し、前記デバイスと前記第1の基板ストリップとの間の前記内側基板表面上に配置され、前記第1の基板ストリップと接触している第2の基板ストリップと、
d)前記第1の基板濡れ性を有し、前記外周の内側に前記第1の基板ストリップから離隔して配置される第1のカバーストリップと、
e)前記第2の基板濡れ性を有し、前記第2の基板ストリップから離隔して配置され、前記第1のカバーストリップと接触している第2のカバーストリップと、
f)前記第1の基板ストリップ及び前記第1のカバーストリップを濡らすが、前記第2の基板ストリップ及び前記第2のカバーストリップは濡らさず、前記第1の表面濡れ性を有する前記第1の基板ストリップ及び前記第1のカバーストリップに接着されるが、前記第2の表面濡れ性を有する前記第2の基板ストリップ及び前記第2のカバーストリップには接着されない封止部材と、
g)前記第1のカバーストリップ及び前記第2のカバーストリップ上に配置されるカバーと、
を備える、デバイスのための気密シール。
【請求項2】
前記第1のカバーストリップ若しくは前記第2のカバーストリップ、又は前記第1の基板ストリップ若しくは前記第2の基板ストリップは、前記カバー又は前記基板の材料とは異なる材料から形成される、請求項1に記載のシール。
【請求項3】
前記第1の基板ストリップは、前記基板の無コーティング部分である、請求項1に記載のシール。
【請求項4】
前記第2の基板ストリップは、前記基板の無コーティング部分である、請求項1に記載のシール。
【請求項5】
前記第1のカバーストリップは、前記カバーの無コーティング部分である、請求項1に記載のシール。
【請求項6】
前記第2のカバーストリップは、前記カバーの無コーティング部分である、請求項1に記載のシール。
【請求項7】
前記封止部材は金属又は合金から形成される、請求項1に記載のシール。
【請求項8】
前記合金は、インジウム、スズ、ビスマス、鉛若しくははんだを含むか、又は前記合金は、50:50、52:48、48:52、55:45若しくは45:55の比率のインジウム及びスズを含む、請求項4に記載のシール。
【請求項9】
前記デバイスは、温度に敏感な有機材料を含み、前記シールを形成する材料の融点は、該温度に敏感な有機材料が損傷を受ける温度よりも低い、請求項1に記載のシール。
【請求項10】
前記第1のカバーストリップ若しくは前記第2のカバーストリップ、又は前記第1の基板ストリップ若しくは前記第2の基板ストリップは金属、金属酸化物、銀、銅、酸化アルミニウム又は樹脂でコーティングされる、請求項1に記載のシール。
【請求項11】
前記第1のカバーストリップ及び前記第1の基板ストリップはガラス、銀又は銅表面を含み、前記第2のカバーストリップ及び前記第2の基板ストリップは酸化アルミニウム又は樹脂表面を含み、前記封止材料はスズ及びインジウムを含む合金である、請求項1に記載のシール。
【請求項12】
前記第1のカバーストリップ及び前記第1の基板ストリップは金属表面又は金属酸化物表面を含み、前記第2のカバーストリップ及び前記第2の基板ストリップはガラス表面を有し、前記封止材料ははんだ合金である、請求項1に記載のシール。
【請求項13】
前記第1の基板ストリップ及び前記第1のカバーストリップは実質的に同じ幅を有し、前記第2の基板ストリップ及び前記第2のカバーストリップは実質的に同じ幅を有する、請求項1に記載のシール。
【請求項14】
電極であって、該電極は前記内側基板表面と前記シールとの間の前記内側基板表面上に延在する、電極と、該電極と前記シールとの間に配置される電極絶縁層とをさらに備える、請求項1に記載のシール。
【請求項15】
前記内側基板表面と前記内側カバー表面との間に設けられる接着剤及び乾燥剤をさらに備える、請求項1に記載のシール。
【請求項16】
請求項1に記載の封止部材を作製する方法であって、基板及びカバーを溶融封止材料内に浸漬し、その後、該基板及び該カバーを取り出し、それにより、該封止材料が冷却し、硬化できるようにすることによって、該封止部材を作製する、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の封止部材を作製する方法であって、基板とカバーとの間に溶融封止材料を堆積し、その後、該封止材料が冷却し、硬化できるようにすることによって、該封止部材を作製する、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の封止部材を作製する方法であって、基板とカバーとの間に封止材料を堆積し、該封止材料を加熱し、その後、該封止材料が冷却し、硬化できるようにすることによって、該封止材料を作製する、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の封止部材を作製する方法であって、封止材料をペースト又は分散系として塗布することによって、該封止部材を作製する、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の封止部材を作製する方法であって、第1の基板ストリップと第1のカバーストリップとの間の空間内に金属ワイヤを位置決めし、該金属ワイヤを溶融し、該溶融した材料を冷却して、該封止部材を形成することによって、該封止部材を作製する、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2012−519938(P2012−519938A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552990(P2011−552990)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/025364
【国際公開番号】WO2010/101763
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(510048417)グローバル・オーエルイーディー・テクノロジー・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (95)
【氏名又は名称原語表記】GLOBAL OLED TECHNOLOGY LLC.
【住所又は居所原語表記】13873 Park Center Road, Suite 330, Herndon, VA 20171, United States of America
【Fターム(参考)】