説明

活性炭の使用及び活性炭を用いた薬剤調合品

【課題】本願発明の目的は、医療分野、特に人間医学又は獣医学の分野において、良好な使用特性を有する活性炭又は医療用カーボンを発見し、利用可能にすることである。
【解決手段】本願発明は、医学分野に関して、特に人間医学又は獣医学の分野に関して、又は医学的使用(いわゆる人間又は獣医学使用)のための薬剤の製造に関して、特に活性炭粒子の形状での微粒子状活性炭、好ましくは活性炭ビードの使用であり、使用される活性炭は、活性炭の合計孔隙量に基づいた大きなミクロ細孔容積含有量を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、医療用の活性炭(活性化されたカーボン)の領域に関する。特に、本願発明は、人間医療用又は獣医学用の高い細孔性を有する微粒子活性炭の使用に関する。さらに、本願発明は、この種の微粒子活性炭を含み、人間医療又は獣医学用に最適な薬剤調合品に関する。
【背景技術】
【0002】
活性炭、特に「医薬用カーボン」の形状の活性炭は、医学の分野で、特に有毒物質、バクテリア、ガス等の吸着のために、胃腸系に投与される。下痢病(下痢)及び中毒が、主な適用領域である。中毒に活性炭を投与する場合、活性炭は吸収を防止し、腸肝循環を必要とする物質(例えば、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニルブタゾン、テオフィリン等)での中毒の場合、それらの排除を促進させる。
【0003】
活性炭の医療用使用における詳細について、例えば非特許文献1及び非特許文献2を参照することができる。
【0004】
急性の下痢の処方についての医療分野について、経口中毒の場合における吸収の防止について、腸肝循環を必要とする物質での中毒における排出の促進について、「コンプレット」の形式での微粉状医療用活性炭に基づく商業的に適した製剤が適している。しかしながら、この微粉状活性炭は、上述した適用分野について最適な能力特性を常に提供するわけではない。
【0005】
さらに、0.05mm〜2mmの大きさを有する球状粒子の形式での活性炭は、医療用使用に関して、いわゆる痔疾患の治療(特許文献1)に関して、例えばクローン病又は潰瘍性大腸炎のような内臓の炎症性疾患の治療(特許文献2)に関して、且つ気孔の周縁炎症の治療に関して、すでに提案されている。しかしながら、上記公報に記載された球状活性炭は、医療用活性炭になされる要求を常に満足させるものではない。
【0006】
特許文献4による炭化及び活性化によって、フェノール樹脂から調合された活性炭もまた、医療用活性炭になされる要求を常に満足させるものではない。
【非特許文献1】ロンプケミエレクシコン[ロンプ化学百科事典]第10編、ゲオルグシーメ出版、スタットガルト/ニューヨーク、キーワード:「活性炭」及び「医療用カーボン」
【非特許文献2】プスキレンベルメディツィーニッシュベルターブーフ[プスクレンベル医療辞典]第257編、1993年、ニコル 出版株式会社、ハンブルグ、キーワード:「活性炭」及びそこで検証されたそれぞれの場合の文献
【特許文献1】EP 0 688 566 B1
【特許文献2】EP 0 688 567 B1
【特許文献3】EP 0 688 568 B1
【特許文献4】EP 1 440 692 B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえに、本願発明の目的は、人間医学又は獣医学の分野において、使用することのできる活性炭を発見し、又は利用可能にすることであり、少なくとも従来技術の上述した不利益点を解消し又は少なくとも減少させることにある。
【0008】
特に、本願発明の目的は、医療分野、特に人間医学又は獣医学の分野において、良好な使用特性を有する活性炭又は医療用カーボンを発見し、利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願人は、上述した課題が、活性炭の合計孔隙量に基づいた大きなミクロ細孔の容積含有量を有する活性炭によって解決することを見出した。
【0010】
本願発明の第1の様相によれば、本願発明の主題は、医学分野に関して、特に人間医学又は獣医学の分野に関して、又は医学的使用(いわゆる人間又は獣医学使用)のための薬剤の製造に関して、特に活性炭粒子の形状での微粒子状活性炭、好ましくは活性炭ビードの使用であり、使用される活性炭は、活性炭の合計孔隙量に基づいた大きなミクロ細孔容積含有量を有するものである。
【0011】
また、出願人は、大きなミクロ細孔容積含有量を有する微粒子、特に粒状、好ましくは小球状の活性炭が、特に良好な医薬用活性を有し、これが、医学のいろいろな領域への適用に最適であることを発見した。本願発明に関連して、医学分野が議論される時に、人間医学の分野及び獣医学の分野の両方が、これによって理解されるべきものである。
【0012】
所定の理論に委ねられることを要求することなしに、本願発明によって使用される大きなミクロ細孔容積含有量を有する微粒子活性炭の特別な効果は、微粒子が全孔壁にわたって吸着物と相互に反応することができ、特に有害物質、バクテリアやウィルスのような微生物、有害ガス等を効果的に吸着することができることから、活性炭が有害物質、バクテリアやウィルスのような微生物、有害ガス等を効果的に吸着することができるという事実に貢献する。
【0013】
これらの特性に関して、本願発明によって使用される活性炭は、特に、市場に出回る通常の製品と比較してより効果的であり、この結果として商業的に適当な活性炭製剤よりも低い投与量において使用されなければならない。
【0014】
本願発明に関するミクロ細孔の大きな容積含有量について質問がある場合、ミクロ細孔という言葉によって、活性炭内の細孔が、25オングストローム(2.5nm)以下の直径、特に20オングストローム(2.0nm)の直径を有することを意味している。
【0015】
本願発明によって使用される活性炭は、人間及び動物において、いくつかの病気の治療に適している。特に本願発明によって使用される活性炭は、胃腸系の疾患の治療に、又は胃腸系の疾患を治療する薬剤の製造に適している。例えば、本願発明によって使用される活性炭は、胃腸系の炎症性疾患の治療、特に胃腸系のバクテリア又はウィルス性疾患の治療に使用することができる。例えば、本願発明によって使用される活性炭は、特に小腸結腸炎である大腸及び/若しくは小腸の炎症性、特にバクテリア又はウィルスに関係した疾患の治療に使用することができる。さらに、本願発明によって使用される活性炭は、下痢疾患(下痢)の治療に使用することができる。最後に、本願発明によって使用される活性炭は、中毒、特に食中毒又は有害物質吸収後の中毒の治療に使用することができる。このように、本願発明によって使用される活性炭は、経口中毒の場合、身体による毒物の吸収を防止することができ、腸肝循環を必要とする物質(例えば、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニルブタゾン、テオフィリン等)での中毒の場合、それらの排出及び/若しくは除去を促進することができる。本願発明によって使用される活性炭の主な適用分野は、下痢疾患(下痢)及び中毒である。
【0016】
その医学用使用のために、本願発明によって使用される活性炭は、通常人に投与される。この目的のために、微粒子、特に小球状活性炭は、そのまま投与されるか、特別な投与形式(例えば、カプセル等)によって投与されるかのいずれかである。
【0017】
投与される量は、適応症又は使用の種類に依存する。中毒の治療においては、体重1Kg当たり約0.1〜5gの活性炭、特に体重1Kg当たり約0.2〜2gの活性炭が使用され、他の適応症の場合には、1人一日当たり合計100mg〜5,000mg、特には200mg〜4,500mg、好ましくは500mg〜4,000mgが投与される。これにかかわらず、いわゆる体重又は投与の形、個々の特性、処方の方法、及び投与される時間又は間隔に依存する前述した量から離れることも必要である。このように、ある場合には、上述した最小量よりも少ない量を処方することが十分であり、他の場合には上限を超えなければならない場合もある。通常、所定の期間にわたって投与を、いくつかの投与量に分割することも望ましい。
【0018】
本願発明によって使用される活性炭は、分離した活性炭粒子、好ましくは分離した活性炭ビードからなる。前記活性炭粒子、好ましくは活性炭ビードは、0.01〜2.0mmの範囲内、特には0.05〜1.0mmの範囲内、好ましくは0.1mm〜1.0mmの範囲内の平均粒子直径を有する。特に利益的には、活性炭は、機械的に安定しており、少なくとも5Nの破裂圧力、特には活性炭粒子又は活性炭ビード当たり5N〜20Nの破裂圧力を有するものが使用される。
【0019】
使用される活性炭は、700〜975g/cm3の範囲内、特には750〜950g/cm3の範囲内、好ましくは800〜900g/cm3の範囲内の未加工密度を有することが好ましい。さらに、それは、40%〜70%、特に45〜65%、好ましくは50〜60%の合計有孔率を有する。
【0020】
本願発明によれば、使用される活性炭は、0.1〜2.5cm3/gの範囲内、0.2〜2.0cm3/gの範囲内、好ましくは0.3〜1.5cm3/gの範囲内、特に好ましくは0.4〜1.0cm3/gの範囲内の合計孔隙量を有することが望ましい。ここで、36オングストローム以下の小孔直径を有する孔の含有量は、少なくとも65%、特には少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%であり、上限が95%、特には90%までであることが望ましい。
【0021】
医学的使用について、使用される活性炭は、少なくとも500g/m2、特には少なくとも750g/m2、好ましくは1,000g/m2、より好ましくは1,200g/m2の表面積(BET表面積)を有することが望ましい。慣例上、使用される活性炭は、500〜2,500g/m2の範囲内、特には750〜2,250g/m2の範囲内、好ましくは900〜2,000g/m2の範囲内、より好ましくは1,000〜1,750g/m2の範囲内の表面積(BET表面積)を有する。上述したBET値は、包括的に400オングストロームの孔直径を有する細孔に関する。BET法について、例えば、ロンプケミエレクシコン[ロンプ化学百科事典]第10編、ゲオルグシーメ出版、スタットガルト/ニューヨーク、キーワード:「BET法」及びそこに引用された文献、ビナッケル−キュックラー(第3編)、第7巻、93頁から、及びZ.Anal.238、187頁から193頁(1968)を参照すること。
【0022】
一般的に、本願発明によって使用される活性炭は、少なくとも250cm3/g、特に少なくとも300cm3/g、好ましくは少なくとも350cm3/g、より好ましくは400cm3/gの吸着量Vadsを有する。一般的に、使用される活性炭の吸着量Vadsは、250〜1,000cm3/gの範囲内、特に、300〜900cm3/gの範囲内、好ましくは350〜750cm3/gの範囲内である。上述した値は、包括的に400オングストロームまでの範囲内の細孔直径を有する細孔の0.995の部分圧力p/p0での吸着量の測定に関する。
【0023】
使用される活性炭は、少なくとも0.5cm3/g、特に0.55cm3/g、好ましくは0.6cm3/g、より好ましくは0.65cm3/g、特に好ましくは0,70cm3/gのグルヴィッチによる合計孔隙量を有することが好ましい。一般的に、使用される活性炭は、0.50〜0,90cm3/g、特には0.55〜0.85cm3/g、好ましくは0.60〜0.80cm3/g、特に好ましくは0.65〜0.75cm3/gのグルヴィッチによる合計孔隙量を有する。上述した値は、包括的に400オングストロームまでの範囲内の細孔直径を有する細孔の0.995の部分圧力p/p0での測定に関する。グルヴィッチによる合計孔隙量の測定に関する詳細については、L.グルヴィッチ(1915)、J.Phys.Chem.Soc.Russ.47.805、及びS.Lowell他、細孔個体及び粉末の特性化:表面積細孔サイズ及び密度、Kluwer Academic Publisher, Article Technology Series, 111頁から、を参照すること。
【0024】
下記に示される活性炭の全ての物理化学的データは、等しく0オングストロームより大きく400オングストロームまでの範囲内の細孔直径を有する細孔での測定に関する。
【0025】
上述したように、本願発明によって使用される活性炭の特徴は、特に高いミクロ細孔容量含有率に見られる。上記定義されるように、ミクロ細孔という言葉は、25オングストローム以下、特に20オングストローム以下の細孔直径を有するそれらの細孔を示す。この結果として、ミクロ細孔容量含有率は、25オングストローム以下、特に20オングストローム以下の細孔直径を有する細孔によって有効になる容量含有率を示すものである。本願発明によって使用される活性炭において、活性炭の合計細孔量に基づくミクロ細孔量の含有率は、少なくとも60%、特には少なくとも65%、好ましくは70%である。一般的に、活性炭の合計細孔量に基づく使用される活性炭のミクロ細孔容積含有量は、60〜95重量%の範囲内、特には65〜90重量%の範囲内、好ましくは70〜85重量%の範囲内である。出願人の研究は、この種のミクロ細孔活性炭が、医学的使用について特に適しており、特に良好な医学的活性を有することを示していた。
【0026】
一般的に、本願発明によって使用される活性炭は、少なくとも0.40cm3/g、特には0.45cm3/g、好ましくは0.50cm3/gのカーボンブラックによるミクロ細孔量、特に25オングストローム以下、好ましくは20オングストローム以下の細孔直径を有する細孔から形成されるミクロ細孔量を有する。一般的に、カーボンブラックによる使用される活性炭のミクロ細孔量(いわゆる25オングストローム以下、好ましくは20オングストローム以下の細孔直径を有する細孔から形成されたミクロ細孔量)は、0.40〜0.80cm3/gの範囲内、特に0.45〜0.75cm3/gの範囲内、好ましくは0.50〜0.6cm3/gの範囲内である。カーボンブラックによる細孔表面器の測定に関する詳細については、例えば、R.W.Magee、米国化学協会のゴム部門の会合で示された「窒素吸着によるカーボンブラックに外側表面積の評価」、1994年10月、例えば:クオンタクロームインストルメント、AUTOSORB-1, AS1 Win Version 1.50. 操作マニュアルP/N05061、クオンタクロームインストルメント2004、フロリダ、USA、71頁から、を参照すること。
【0027】
他かミクロ細孔容量含有率に加えて、本願発明によって使用される活性炭は、合計細孔表面積に関する高いミクロ細孔表面積含有率を有する。一般的に、活性炭の特定の合計表面積(BET)に基づく本願発明によって使用される活性炭は、少なくとも70%、特に少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも70%のミクロ細孔表面積含有量(特に25オングストローム以下、好ましくは20オングストローム以下の細孔直径を有する細孔から形成された所定のミクロ細孔表面積含有率)を有する。一般的に、所定の合計表面積(BET)に基づくミクロ細孔表面積含有率は、70〜95%の範囲内、好ましくは75〜95%範囲内、特に好ましくは80〜90%の範囲内である。
【0028】
一般的に、本願発明によって使用される活性炭は、少なくとも400g/m2、特に少なくとも800g/m2、好ましくは1,000g/m2、特に好ましくは1,200g/m2のカーボンブラックによるミクロ細孔表面積(いわゆる25オングストローム以下、好ましくは20オングストローム以下の細孔直径を有する細孔から形成されるカーボンブラックによるミクロ細孔表面積)を有する。一般的に、カーボンブラックによるミクロ細孔表面積は、400〜1,750g/m2の範囲内、特に800〜1,500g/m2の範囲内、好ましくは1,000〜1,400g/m2の範囲内、特に好ましくは1,100〜1,300g/m2の範囲内である。その高いミクロ細孔の結果として、本願発明によって使用される活性炭は、約35オングストローム、好ましくは約30オングストローム、好ましくは約25オングストロームの中間細孔直径(平均細孔直径)を有することが好ましい。一般的に、本願発明によって使用される活性炭の中間細孔直径(平均細孔直径)は、15〜35オングストロームの範囲内、特に15〜30オングストロームの範囲内、好ましくは20〜25オングストロームの範囲内である。
【0029】
出願人は、好ましくは粒状、特に好ましくは小球形状のスチレン/ジビニルベンゼン共重合体、特にジビニルベンゼン架橋ポリスチレンの炭化及び活性化によって得られる活性炭が、本願発明に関して特に効果的であることを発見した。良好な使用の結果は、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体に基づいて1〜15重量%の範囲内、2〜10重量%の範囲内の活性炭調剤のための開始材料として使用されるスチレン/ジビニルベンゼン共重合体のジビニルベンゼン含有量で得られる。たとえば、フェノール樹脂ビード(例えばEP1440692B1参照)から開始され調製されるこの種の活性炭は、その作用において優れている。
【0030】
上述した要求及び/若しくは上述した物理的化学的要求を含む仕様を満たす本願発明によって使用可能な活性炭は、例えば、ブリュッヒャーGmbH、エルクラス、ドイツ及び/若しくはアドソーテックGmbHプレムニッツェ、ドイツによって市販されている。
【0031】
この種の活性炭は、ジビニルベンゼン架橋スチレン樹脂ビードに基づく適当なミクロ細孔を有する開始材料のそれ自体が公知である条件下で実行される炭化及びそれに続く活性化によって調製される。これは、当業者には当然のことであるので、さらなる詳細な説明は必要としない。
【0032】
本願発明のさらなる様相によれば、本願発明は、特に活性炭粒子の形状、好ましくは活性炭ビードの形状の微粒子活性炭を具備し、活性炭の合計細孔量に基づく大きなミクロ細孔容量含有率を有する薬剤調合品に関する。本願発明にかかる薬剤調合品に使用される活性炭のさらなる詳細に関しては、薬剤調合品に関して適用される上記記載を参照すること。
【0033】
薬剤調合品という言葉は、本願発明に関してたいへん広く理解されるべきであり、可能な薬剤調合品、特に薬剤又は調合薬だけでなく、医療製品、ホメオパシー薬剤、食品添加物等の全ての型を含むものである。
【0034】
前記活性炭に加えて、本願発明に係る薬剤調合品は、薬理学的に許容可能な賦形剤又は補形薬を含むことも可能である。
【0035】
本願発明に係る薬剤調合品は、経口投与可能な投薬形式の形で、特にカプセル、タブレット、ペレット、コンプレット、ピル等の形で、存在する。一般的に、薬剤調合品は、100mg〜1,000mgの量の使用単位毎の活性炭、特に1個当たりのタブレット、カプセル、コンプレット、ペレット、ピル等を有するものである。
【0036】
本願発明のさらなる具体例、改良及び変形は、本願発明の範囲を離れることなしに、明細書を読み込むことによって当業者には何の問題もなく認識し理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本願発明は、下記する実施例によって示されるが、この実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0038】
胃腸感染症の結果としての急性下痢疾患(下痢)の30人の患者が、活性炭で治療され、10人の患者が本願発明によって使用される活性炭を受容し、残りの20人の患者の内10人の患者は、コンプレット(比較I)の形の活性炭パウダーに基づく商業的な適当な医療用活性炭を受容し、そして、EP1440692B1によるフェノール樹脂ビードから調製された球状活性炭(例1,約0.1mmの中間粒子半径)が残りの10人に投与された(比較II)。
【0039】
活性炭ビードの形状で使用される本願発明によって使用される活性炭は、アドソーテックGmbH、プレムニッツェ、ドイツから得られ、球状のスチレン/ジビル−ベンゼン共重合体粒子(スチレン/ジビニル−ベンゼン共重合体に基づく約5重量%のジビニルベンゼン含有量)の炭化及び活性化によって調製されるもので、本願発明によって使用される活性炭は、下記の特性を有する:
活性炭ビードは、約0.4〜0.6mmの中間粒子直径を有すること。
活性炭ビード当たりの破裂圧力:>5N
BET合計表面積:約1,400m2/g
吸収量Vads(p/p0=0.995):約470cm3/g
グルヴィッチによる合計細孔量:約0.72cm3/g
400オングストロームまでの合計細孔容量に基づく20オングストローム以下のミクロ細孔容量含有率:約70%
カーボンブラックによる20オングストローム以下のミクロ細孔量:約0.51cm3/g
BET合計表面積に基づくミクロ細孔表面積含有率:約89%
カーボンブラックによる20オングストローム以下のミクロ細孔表面積:約1,250m2/g
中間細孔直径(平均細孔直径):約21オングストローム
特定の未加工密度:約0.87〜0.89cm3/g
特定の合計細孔量:約0.64〜0.66cm3/g
36オングストローム以下の特定の細孔量:約0.50〜0.56cm3/g
【0040】
活性炭コンプレット(比較I)の形の活性炭パウダーに基づく商業的に適した医療用活性炭を受容した10人の患者において、治療は、治療上の効果が生じるまで、一日当たり約4,000mgの合計投与量で、5日間実行されなければならない。
【0041】
EP1440692B1によるフェノール樹脂ビードから調製された球状活性炭(比較II)が投与された10人の患者において、治療は、治療上の効果が生じるまで、一日当たり約4,000mgの合計投与量で、5日間実行されなければならない。
【0042】
しかしながら、スチレン/ジビニル−ベンゼン共重合体(アドソー−テック)に基づく上述されたタイプの活性炭ビードの形の本願発明によって使用されるミクロ細孔活性炭の場合において、本願発明によって使用される活性炭で治療された10人の患者における治療は、1日当たり2,000mgだけの合計投与量で、3週間後には完了した。
【0043】
上述した研究は、商業的に適当な医療用活性炭との比較及びフェノール樹脂を基礎とする活性炭との比較の両方において、スチレン/ジビニル−ベンゼン共重合体に基づくミクロ細孔活性炭ビードに基づく本願発明によって使用される活性炭の改善された効果を示す。
【0044】
本願発明は、スチレン/ジビニル−ベンゼン共重合体(すなわち、活性炭が、これらスチレン/ジビニルベンゼン共重合体の炭化及び活性化によって得られる)に基づいた微粒子、特に高いミクロ細孔性、いわゆる大きなミクロ細孔量及び大きなミクロ細孔表面含有率を有する粒子状又は球状の活性炭の改善された効力を証明するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医学の分野又は薬剤製造の分野について、特に活性炭粒子、好ましくは活性炭ビードの形の微粒子活性炭の使用において、
前記活性炭は、活性炭の合計細孔容量に基づく大きなミクロ細孔容積含有率を有することを特徴とする活性炭の使用。
【請求項2】
前記活性炭は、0.01〜2.0mmの範囲内、特に0.05〜1.0mmの範囲内、好ましくは0.1〜1.0mmの範囲内の中間粒子径を有する球状活性炭であり、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体の炭化及び活性化によって製造されることを特徴とする請求項1記載の活性炭の使用。
【請求項3】
前記活性炭は、500〜2,500g/m2の範囲内のBET表面積、250〜1,000cm3/gの範囲内の吸収容量Vads、及び0.50〜0.90cm3/gの範囲内のグルビッチによる合計細孔容量を有することを特徴とする請求項1又は2記載の活性炭の使用。
【請求項4】
前記活性炭は、活性炭の合計細孔容量に基づいて、60〜95%の範囲内、特に65〜90%の範囲内、好ましくは70〜85%の範囲内のミクロ細孔容量の含有率を有し、且つ前記活性炭は、25オングストローム以下の細孔直径を有する細孔から形成され、0.40〜0.80cm3/gの範囲内でカーボンブラック法によって測定されたミクロ細孔容量を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の活性炭の使用。
【請求項5】
活性炭の合計BET表面積に基づいて、前記活性炭は、70〜95%の範囲内、特に75〜95%の範囲内、好ましくは80〜90%の範囲内で、25オングストローム以下の細孔直径を有する細孔から形成されたミクロ細孔表面積含有量を有し、且つ前記活性炭は、25オングストローム以下の細孔直径を有する孔から形成され、400〜1750g/m2の範囲内でカーボンブラック法によって測定されたミクロ細孔表面積を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の活性炭の使用。
【請求項6】
前記活性炭は、約35オングストロームの中間細孔直径、好ましくは15〜35オングストロームの範囲内の中間細孔直径、より好ましくは15〜30オングストロームの範囲内の中間細孔直径を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の活性炭の使用。
【請求項7】
特に活性炭ビードの形の微粒子活性炭を具備する薬剤調合品において、
前記活性炭が、活性炭の合計細孔容量に基づく大きなミクロ細孔容量含有率を有することを特徴とする薬剤調合品。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれか一つに記載の活性炭を用いることを特徴とする請求項7記載の薬剤調合品。
【請求項9】
前記調合品が、さらに薬理学上受容可能な補形薬を含むこと、及び前記調合品が、特にタブレット、カプセル、コンプレット、ピル等の投与単位当たり100mg〜1000mgの量の活性炭を具備することを特徴とする請求項7又は8記載の薬剤調合品。

【公開番号】特開2007−169274(P2007−169274A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332840(P2006−332840)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(505065467)ブリュッヒャー ゲーエムベーハー (27)
【Fターム(参考)】