説明

活性物質ドープ吸収性ポリマー粒子、重縮合体マトリックスと傷治療物質の放出のための吸収性ポリマーとを含む組成物

【課題】皮膚を治療したり、傷の治癒を促進すると共に、それらに適した吸水性組成物または吸水性組成物を含む手段を提供すること。
【解決手段】Φ1.活性物質として、活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子に基づいて0.001〜30重量%の治療物質または傷治療物質と、Φ2.活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子中、70〜99.999重量%の吸収体マトリックスと、を含み、吸収体マトリックスが、吸収体マトリックスに基づいて少なくとも90重量%の架橋ポリアクリル酸を含み、架橋ポリアクリル酸が、少なくとも30モル%が部分的に中和されたアクリル酸を前記架橋ポリアクリル酸に基づいて少なくとも90重量%含む活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子、吸水性組成物、吸水性組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子、吸水性組成物、吸水性組成物の製造方法、本発明の方法によって得られる吸水性組成物、本発明の吸水性組成物を含む複合体、本発明の吸水性組成物または吸水性組成物に含まれる吸水性ポリマーの傷治療物質の放出のための使用、本発明の吸水性組成物または吸水性組成物に含まれる吸水性ポリマーの傷治療手段の製造のための使用、本発明の吸水性組成物または吸水性組成物に含まれる吸水性ポリマーによって傷を治療するための方法、本発明の吸水性組成物または吸水性組成物に含まれる吸水性ポリマーの衛生用品または傷治療手段における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子を開示した多くの文献が知られている。例えば、米国特許出願公開第2003/0004479A1号は、吸水性ポリマーと活性物質としての植物粉末とを含む吸水性組成物を開示しており、吸水性ポリマーは表面領域で架橋されている。この組成物は、含有する活性物質によって不快な臭気を取り込むことができる。
【0003】
ドイツ特許出願公開第101 42 918 A1号は、皮膚の化粧または医薬治療あるいは薬物の全身投与のための活性物質でドープすることができる、中和されていないポリアクリレートからなる自己接着性ゲルマトリックスを開示している。しかし、ゲルマトリックスは接続層として基材に塗布されるため、活性物質の放出が制限されてしまう。
【0004】
ドイツ特許出願公開第102 57 002 A1号は、架橋酸性基含有発泡ポリマーからなる発泡ヒドロゲルを含む皮膚治療手段を開示している。平らな構造を有するポリマーは皮膚治療剤を含み、衛生用品に使用される。ゲルマトリックスは、コストをかけて構造を大きく変化させなければ、吸水性ポリマー粒子の使用を前提とした通常の衛生用品及び/または傷手当用品に組み込むことができない。
【0005】
マトリックス内における吸水性ポリマーとポリウレタンの組み合わせ及び傷手当用品や傷プラスターにおけるそれらの使用を開示した多くの文献も知られている。
【0006】
欧州特許出願公開第0 196 364 A2号は、アクリル酸−カリウム塩ポリマーからなる吸水性ポリマーで充填され、医薬用途に使用することができる親水性ポリウレタンフォームを開示している。
【0007】
また、ドイツ特許出願公開第42 33 289 A1号は、医薬に使用することができる吸水性ポリマーを有する親水性ポリウレタンゲルを開示している。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0004479A1号
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第101 42 918 A1号
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第102 57 002 A1号
【特許文献4】欧州特許出願公開第0 196 364 A2号
【特許文献5】ドイツ特許出願公開第42 33 289 A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、最新技術から生じる不利な点を少なくとも軽減し、でき得れば完全に克服することにある。
【0009】
特に、本発明の目的は、皮膚を治療すると共に皮膚の抵抗力を増加させることができる吸水性組成物または吸水性組成物を含む作用剤を提供することにある。この目的は、特に傷が発生した領域の場合に該当する。このような傷は、排泄物との長時間の接触及び/または長時間寝ている場合におむつの着用者に発生するものである。また、傷の発生を防止するために、失禁用品を着用する寝たきりの病人の皮膚の抵抗力を増加させることは有益である。
【0010】
また、本発明の目的は、皮膚を治療したり、傷の治癒を促進すると共に、それらに適した吸水性組成物または吸水性組成物を含む手段を提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、皮膚または傷プラスターの治療特性に悪影響を与えることなく、傷手当用品、皮膚プラスター、特に傷プラスターまたは衛生用品の着用感を向上させ、特に、傷手当用品、皮膚プラスター、特に傷プラスターまたは衛生用品またはそれらの液体吸収成分における粒子状吸水性ポリマーの移動や滑りを防止することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、湿気または水分による閉塞をもたらさないと共に、傷手当用品、皮膚プラスターまたは衛生用品の治療、傷防止または治療効果に悪影響を与えることなく、傷手当用品、皮膚プラスターまたは衛生用品をできるだけ長時間にわたって使用できるように傷手当用品、皮膚プラスター、特に傷プラスターまたは衛生用品における液体管理を設計することにある。
【0013】
また、本発明の目的は、キャリアマトリックスの形成時にキャリアマトリックスに混合される活性物質、好ましくは傷治療物質または治療物質の有効率が混合による活性物質の破壊によって著しく減少することを防止することにある。活性物質の破壊による有効性の減少は、特にマトリックスを製造する際に使用する化合物によって活性物質が化学的に変化する場合に発生する。特に、活性物質の官能基と反応することができる官能基を有するモノマーからなるポリマーをマトリックスが含む場合に当てはまり、活性物質の有効性や有効率が減少する。このような現象は、特に、イソシアネート基が活性物質の官能基と反応する重縮合体マトリックスに活性物質を混合する場合に発生する。
【0014】
また、本発明の目的は、特に床ずれや栄養不足による傷の発生や皮膚の痛みを防止し、それらを緩和すると共に治癒を促進することができ、優れた着用感と吸収能力を有する衛生用品を提供することにある。さらに、本発明の目的は、衛生用品に接触する皮膚を治療することができ、優れた着用感と吸収能力を有する衛生用品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は、以下に詳述する請求項の主題によって達成される。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するために、活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子であって、
Φ1.活性物質として、活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子に基づいて0.001〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%の治療物質、特に皮膚治療物質または傷治療物質、またはその塩と、
Φ2.活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子に基づいて70〜99.999重量%、好ましくは80〜99.9重量%、特に好ましくは90〜99重量%の吸収体マトリックスと、
を含み、
吸収体マトリックスが、吸収体マトリックスに基づいて少なくとも90重量%の架橋ポリアクリル酸を含み、
架橋ポリアクリル酸が、少なくとも30モル%が部分的に中和されたアクリル酸を架橋ポリアクリル酸に基づいて少なくとも90重量%含むことを特徴とする活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子においては、吸収体マトリックスの少なくとも70体積%、好ましくは少なくとも80体積%、特に好ましくは少なくとも90体積%、さらに好ましくは吸収体マトリックス全体に活性物質が分散されていることが好ましい。この場合、活性物質が吸収体マトリックス全体に均一に分散されていることが特に好ましい。
【0018】
好ましい実施形態では、活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子は、吸水性ポリマー粒子に基づいて500ppm未満、好ましくは300ppm未満、より好ましくは200ppm未満、さらに好ましくは146ppm未満の、吸水性ポリマー粒子を構成するモノマーの残留モノマー含有率を有することが好ましい。残留モノマー含有率はERT 410.l−99に従って測定する。
【0019】
別の実施形態では、活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子は、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも85重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%の、本明細書に記載する抽出試験によって測定した吸収体マトリックスに存在する活性物質の活性物質有効率(availability)を有することが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子は、粒子の少なくとも80重量%が、20〜900μm、好ましくは150〜600μm、特に好ましくは200〜400μmのERT420.1−99に従って測定した平均粒径を有する粒径分布を有することが好ましい。
【0021】
本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子は、100μm未満、好ましくは130μm未満、特に好ましくは150μm未満の粒径を有する粒子を、活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子に基づいて15重量%未満、好ましくは10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満の量で含むことが好ましい。
【0022】
本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子は、950μm、好ましくは850μm、特に好ましくは650μmを超える粒径を有する粒子を、活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子に基づいて15重量%未満、好ましくは10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満の量で含むことが好ましい。
【0023】
上述した粒径分布と粒子径は、活性物質の均一な供給と分散ならびに快適な着用感のために特に有利である。また、上述した粒径分布と粒子径は柔軟なマトリックスにおいて特に好適に採用することができ、プラスターまたは傷手当用品に採用した場合には、プラスターまたは傷手当用品の皮膚への適応性が向上し、特に傷手当用品の場合には傷の形状と動きに対する適応性が向上する。
【0024】
治療物質としては、a)皮膚を清潔にする、b)皮膚に香りを付ける、c)皮膚の外観を変化させる、d)皮膚を保護する、またはe)皮膚を良好な状態に維持する皮膚治療物質が有利である。
【0025】
特に好ましくは、治療剤は、上記特性a)〜e)の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、特に好ましくは少なくとも3つを有する作用剤である。本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子の好ましい実施形態では、治療物質は以下の特性または特性の組み合わせによって特徴付けられる。a,b,c,d,e,ab,ac,ad,ae,bc,bd,be,cd,ce,de,abc,abd,abe,acd,ace,ade,bcd,bce,bde,cde,abcd,abce,acde,bcde,abcde。
【0026】
好ましくは、植物抽出物を治療物質として使用する。特に好ましい治療物質は、脱臭作用を有さない治療物質である。
【0027】
本発明では、治療物質または治療物質の混合物の少なくとも1つの物質は、官能基として、二重結合、OH基、NH基、COOH基、これらの基の少なくとも1種の塩、好ましくはOH基を有することが好ましい。
【0028】
特に好ましい治療物質は、甘草抽出物(Glycyrrhiza glabra)から得られる18−β−グリシルレチン酸(好ましくは抽出物中の99%を超える純度を有する純物質)、セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)のアエスシン(Aescin)、アラントイン、アロエベラ(糖、アントラキノン、亜鉛などのミネラルを主に含む)、アラニン、アルギニン、セリン、リジンなどのアミノ酸、甘草抽出物から得られるグリチルリチン酸アンモニウム(好ましくは抽出物中のほぼ100%の純度を有する純物質)、カミツレ抽出物(matricaria recutita)から得られるアピゲニン(apigenine)、アルニカ(特にアルニカ(Arnica montana)またはアルニカカミッソニス(arnica chamissonis))、センテラ・アジアティカ抽出物中のasiaticosides及びmadecassosides、エンバク抽出物(avena sativa)から得られるavena anthramides、アボカド油、カミツレ抽出物(matricaria recutita)から得られるアズレン、ビオチン(ビタミンH)、カミツレ抽出物(matricaria recutita)から得られるビサボロール、褐藻類抽出物(ascophyllum nodosum)、スイカズラ(lonicera japonica)の水抽出物中のクロロゲン酸、コエンザイムQ10、クレアチン、デクスパンテノール、甘草抽出物から得られるグリチルリチン酸ジナトリウム(好ましくは抽出物中のほぼ100%の純度を有する純物質)、紅藻類(asparagopsis armata)の抽出物、カバノキ抽出物(betula alba)から得られるフラボノイド、トケイソウ(passiflora incarnata)抽出物中のフラボノイド及びビテキシン(vitexine)、リンデン抽出物(tilia platyphyllos)中のフラボノイド及びビテキシン(vitexine)、イチョウ抽出物(ginkgo biloba)中のイチョウフラボングルコシド及びテルペンラクトン、チョウセンニンジン抽出物(panax ginseng)中のギンセノシド、グリコゲン、グレープフルーツ抽出物、バージニアアメリカマンサク(hamamelis virgiana)から得られるハマメリス抽出物、ハチミツ、ギシギシ(trifolium pratense)抽出物中のイソフラボングルコシド、セントジョンワート(hypericum perforatum)から得られるセントジョンワート抽出物、ホホバ油、トウモロコシ油(zea mays)、メマツヨイグサ油、ニコチンアミド、rosebay willow−herb抽出物(epilobium angustifolium)中のエノテインB(Oenotheine B)、オリーブ抽出物(olea europea)中のoleurepein、phytocohesin(硫酸ナトリウム−β−シトステロール)、プランクトン抽出物(tetraselmis suecica、スピルリナ(spirulina)等)、ブドウの種(vitis vinifera)から得られるポリフェノール及びカテコール、緑茶(camellia sinensis)から得られるポリフェノール及びカテコール、マリーゴールド抽出物(calendula officinalis)、メリッサ抽出物(melissa officinalis)中のローズマリー酸、海クロウメモドキ油、エンバク(avena sativa)から得られるβ−グルカン、グリチルレチン酸ステアリル(18−β−グリチルレチン酸のステアリルエステル)、ステロール、イラクサ抽出物(urtica dioca)中のシトステロール、スウィートアーモンド油(prunus dulcis)、ビタミンC及びそのエステル、ビタミンE及びそのエステル、麦芽油、グルコン酸亜鉛/アスパラギン酸マグネシウム/グルコン酸銅、硫酸亜鉛または酸化亜鉛からなる群から選択される。
【0029】
本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子の好ましい実施形態では、吸水性ポリマー粒子は上記治療物質の少なくとも2種の混合物を治療物質として含む。本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子の別の好ましい実施形態では、吸水性ポリマー粒子は上記治療物質の少なくとも3種の混合物を治療物質として含む。
【0030】
傷治療物質としては、1998年12月11日版のドイツ薬事法(Arzneimittelgesetz)§2に規定された医薬(pharmaceuticals)に該当する傷治癒性を有する医薬活性物質が有利であり、2002年のレッドリスト(red list)に挙げられた傷治癒活性物質が特に好ましい。
【0031】
本発明における「傷治療物質」とは、傷部分における消毒作用、傷環境の恒常性促進、傷部における細胞成長に対する刺激、傷部分における皮膚細胞によるコラーゲンやエラスチンなどのタンパク質、プロテオグルカン(proteoglucane)またはメッセンジャー物質の分泌に対する刺激によって、単独または他の活性成分との組み合わせで傷の治癒を進行させることができる物質または少なくとも2つの物質の混合物である。
【0032】
有利には、本発明に係る傷治療物質は、官能基として、二重結合、OH基、NH基、COOH基、これらの基の少なくとも1種の塩、好ましくはOH基を有する。また、傷治療物質は、2〜100個の炭素原子と1〜20個の酸素原子を有することが好ましい。上記特性は、本発明に係る活性物質または医薬活性物質の場合にも同様に好ましい。
【0033】
植物抽出物からなる傷治療物質としては、スギナ(Equisetum arvense)、アロエ・バーバデンシス(Aloe barbadensis)、アルニカ(Arnica montana)、アルニカカミッソニス(Arnica chamissonis)、ヒレハリソウ(Symphytum officinale)、ソラヌム・ズルカマラ(Solanum dulcamara)、エキナセア・パリダ(Echinacea pallida)、ポテンチラエレクタ(Potentilla erecta)、フェヌグリーク(Trigonella foenum−graecum)、チョウセングルミ(Juglans regia)、アマ(Linum usitatissimum)、Terminalia sericea、メマツヨイグサ(Oenothera biennis)、ゴーツコラ(Centella asiatica)、ゴボウ(Arctium lappa)、ナズナ(Capsella bursa−pastoris)、ペルフォラートゥム(Hypericum perforatum)、カモミール(Matricaria recutita)、Chamomille recutita、アグリモニー(Agrimonia eupatoria)、ヤグルマギク(Centaurea cyanus)、クレオソートブッシュ(Larrea tridentata)、Populus spec.、Echinacea pupurea、キンセンカ(Calendula officinalis)、セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)、セージ(Salvia officinalis)、オオバコ(Plantago lanceolata)、イングリッシュオーク(Quercus robur)、Glycyrhiza glabra、シーサイルオーク(Quercus petraea)、ハマメリス(Hamamelis virgian)、フウセンカズラ(Cardiospermum halicacabum)、シラカンバ(Betula)、ネットル(Urtica dioica)、ホホバ(Buxus chinensis)、イングリッシュラベンダー(Lavandula angustifolia)、ラバンジン(Lavandula hybrida)、サフラン(Crocus sativus)、イタリアンベリー(Smilax aspera)、ティートゥリー(Melaleuca alternifolia)、アミノ酸、サンシキスミレ(viola tricolour)、それらの塩、それらの誘導体またはそれらの少なくとも2種の混合物を本発明で通常は使用する。
【0034】
その他の傷治療物質としては、ビタミン、硫酸グルコサミンアラントイン、ビオチン、硫酸コンドロイチン、コエンザイムQ10、デクスパンテノール、ハチミツ/ハチミツ抽出物、ニコチン酸アミド、プロポリス、ビタミンA及びそのエステル、ビタミンC及びそのエステル、ビタミンE及びそのエステル、それらの塩、誘導体、少なくともそれらの2種の混合物を本発明で使用することができる。
【0035】
本発明では、傷治療物質は、デクスパンテノール、マリーゴールドの抽出物(好ましくはキンセンカ油)、ハマメリスの抽出物(好ましくはD−hamelose)、カミツレの抽出物(好ましくはカミツレ花油、好ましくはビサボロールまたはアズレン)、上記物質の少なくとも2種の混合物であることが好ましい。
【0036】
また、本発明の好ましい実施形態において、上記傷治療物質の1種が主成分として混合物に含まれていてもよく、主成分は、混合物に基づいて少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%の量で含まれることが好ましい。
【0037】
好ましい治療物質を好ましい傷治療物質と比較すると、傷治癒作用と共に治療作用を有する化合物または組成物を活性物質として使用することができ、本発明においてはこのような活性物質が特に好ましい。このような活性物質としては、アラントイン、カミツレ(recutita)、アルニカ(特にアルニカまたはアルニカカミッソニス)、ビオチン、コエンザイムQ10、デクスパンテノール、ハチミツ/ハチミツ抽出物、アミノ酸、ニコチン酸アミド、ビタミンCまたはそのエステル、ビタミンEまたはそのエステルが挙げられる。
【0038】
活性物質としては、傷治癒物質と治療物質の混合物を使用することが好ましい。なお、本発明で挙げた活性物質は対応する活性塩も含む。
【0039】
活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子は、好ましくはおむつまたは生理用ナプキンなどの衛生用品に使用される。
【0040】
また、本発明は、上記課題を解決するために、吸水性組成物であって、
Γ1.少なくとも1つの重縮合体基を有する少なくとも1種の重縮合体モノマーからなる重縮合体マトリックスと、
Γ2.重縮合体基と反応して共有結合を形成することができる少なくとも1種の官能基を有する活性物質、好ましくは傷治療物質または皮膚治療物質、またはその塩を含む粒子状吸水性ポリマー、または本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子と、
を含み、
粒子状吸水性ポリマーまたは活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子の少なくとも一方が、少なくとも部分的に重縮合体マトリックスに取り囲まれており、
少なくとも粒子状吸水性ポリマーまたは活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子が、組成物に含まれる量に基づいて少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%の傷治療物質または活性物質の少なくとも一方を含み、
吸水性組成物が、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも70重量%、さらに好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の、本明細書に記載する抽出試験に従って測定した吸水性ポリマー組成物に含まれる活性物質の活性物質有効率を有することを特徴とする吸水性組成物に関する。
【0041】
本発明に係る組成物の好ましい実施形態では、組成物はΓ2において本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子を含む。
【0042】
本発明に係る組成物の別の好ましい実施形態では、組成物はΓ2において、共有結合を形成することによって重縮合体基と反応することができる少なくとも1種の官能基を有する活性物質、好ましくは傷治療物質または皮膚治療物質、またはその塩を含む粒子状吸水性ポリマーを含む。
【0043】
本発明において、「吸水性」とは、自らの重量の好ましくは少なくとも4倍、さらに好ましくは少なくとも10倍、特に好ましくは少なくとも100倍の水を吸収してヒドロゲルを形成する材料の能力に加えて、水性液体、特に尿、血液、膿(matter)、リンパ液または血清などの血液成分などの水性体液の吸収を意味する。
【0044】
傷治療物質及び治療物質としては、本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマーに関して好ましい傷治療物質及び治療物質として挙げた傷治療物質及び治療物質または傷治療物質と治療物質の混合物を有利に使用することができる。
【0045】
本発明に係る吸水性組成物の一実施形態によれば、組成物は、組成成分として、
a.吸水性組成物に基づいて5〜98.999重量%、好ましくは20〜95.9重量%、特に好ましくは30〜93.3重量%の重縮合体マトリックスと、
b.吸水性組成物に基づいて1〜70重量%、好ましくは3〜25重量%、特に好ましくは5〜15重量%の粒子状吸水性ポリマーと、
c.吸水性組成物に基づいて0.001〜25重量%、好ましくは0.001〜20重量%、特に好ましくは0.1〜15重量%の、粒子状吸水性ポリマーに含まれる活性物質、好ましくは傷治療物質または皮膚治療物質と、
d.吸水性組成物に対して0〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%、特に好ましくは1〜30重量%の1種以上の添加剤と、
を含む(組成成分a〜dの重量の合計は100重量%である)。
本実施形態の組成物は、傷手当用品及び皮膚プラスター、好ましくは傷プラスターに好ましく使用される。
【0046】
以下の皮膚治療剤の濃度と重量は、活性物質に関する本発明の実施形態でも同様に有効である。
【0047】
また、本発明は、吸水性組成物の製造方法であって、活性物質、好ましくは傷治療物質または皮膚治療物質を含む粒子状吸水性ポリマーを、少なくとも1種の重縮合体モノマーからなる重縮合体マトリックスに少なくとも部分的に混合し、活性物質を含む粒子状吸水性ポリマーまたは本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子またはそれらの混合物を、重縮合体マトリックスの生成が完了する前に重縮合体モノマーと接触させることを特徴とする方法に関する。
【0048】
本発明に係る方法では、吸水性ポリマーの生成が完了する前に活性物質を活性物質を含む吸水性ポリマーに混合することが好ましい。本発明によれば、吸水性ポリマーの生成は、吸水性ポリマーを構成するモノマーの残留モノマー含有率が、吸水性ポリマーに基づいて500ppm未満、好ましくは300ppm未満、さらに好ましくは200ppm未満、さらに好ましくは146ppm未満となった時に完了したとみなすことが好ましい。残留モノマー含有率はERT 410.l−99に従って測定する。
【0049】
残留モノマー含有率が低いと、傷治癒促進効果及び皮膚治療効果が得られ、皮膚プラスターまたは傷手当用品を長時間にわたって着用した際に発生しやすい組織、特に皮膚の炎症が減少するか、完全になくなるため、皮膚プラスター、特に傷プラスターまたは傷手当用品の着用感が改善される。
【0050】
また、活性物質は吸水性ポリマーを形成するための重合反応の開始前にモノマーに添加され、活性物質が重合反応時に吸水性ポリマーに混合されることが好ましい。
【0051】
吸水性ポリマーの重合反応時における活性物質の吸水性ポリマーへの混合は、当業者に公知の方法によって行うことができる。例えば、吸水性ポリマーの製造に使用される溶媒によって活性物質を吸水性ポリマーに混合することができる。また、吸水性ポリマーの製造に使用されるモノマー、オリゴマーまたはプレポリマーまたはそれらの少なくとも2種に活性物質を添加することができる。上記変形では、活性物質は溶液、エマルションまたは懸濁液として使用することができる。また、上記変形は互いに組み合わせることができる。
【0052】
本発明に係る方法の別の好ましい実施形態では、活性物質は、吸水性ポリマーの生成完了後またはさらなる処理時またはそれらの両方において混合する。このような混合は、吸水性ポリマーのゲル内で行うことが好ましい。活性物質をできるだけ均一に混合するために、ゲルは、吸水性ポリマーの0.2〜20倍、好ましくは1〜10倍、特に好ましくは2〜4倍の量の水を含むことが好ましい。
【0053】
上記工程は、活性物質を好ましくは溶解させる液体(多くの場合は水性)キャリアに活性物質を吸収させることによって行うことができる。さらなる処理時に活性物質を混合する場合には、必要に応じて後述する(表面架橋を行う)「後架橋」時に、液相(好ましくは水相)中の活性物質を吸水性ポリマーに混合することが好ましい。後架橋は、好ましくは後架橋剤を使用して行う。
【0054】
上記変形を組み合わせることもできる。吸水性ポリマーの生成完了前の活性物質の混合では、好ましくは吸水性ポリマーの均一なドーピングが行われる。活性物質を吸水性ポリマーの生成完了後またはさらなる処理時またはそれらの両方において混合する場合には、吸水性ポリマーのドーピングは好ましくは外側壁面領域で行われる。上記変形を組み合わせることによって、吸水性ポリマー粒子の内側領域と外側領域とで異なる濃度を有するポリマーが得られ、活性物質の濃度は外側領域で高い場合が多い。
【0055】
このようにして得られる活性物質でドープされた吸水性ポリマー(以下「ドープポリマー」という)は、通常は公知の方法によって重縮合体マトリックスに混合することができる。ドープポリマーは、生成完了前、すなわち、重縮合体マトリックスモノマーの実質的にすべての反応性官能基が反応する前に重縮合体マトリックスに混合することが好ましい。これは、重縮合体マトリックスの形成に使用される溶媒または重縮合体マトリックスモノマーにドープポリマーを添加することによって好ましくは行われる。重縮合体マトリックスモノマーにドープポリマーを添加することが好ましく、反応性官能基を有していない重縮合体マトリックスモノマー、好ましくはドープポリマーの官能基と反応することができる反応性官能基(重縮合体マトリックスとして好ましいポリウレタンマトリックスの場合にはポリオール)を有していない重縮合体マトリックスモノマーにドープポリマーを添加することが特に好ましい。
【0056】
また、本発明は、活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子の製造方法であって、
治療物質または傷治療物質を吸収体マトリックスに混合することを含み、
吸収体マトリックスが、吸収体マトリックスに基づいて少なくとも90重量%の架橋ポリアクリル酸を含み、
架橋ポリアクリル酸が、少なくとも30モル%が部分的に中和されたアクリル酸を架橋ポリアクリル酸に基づいて少なくとも90重量%含むことを特徴とする方法に関する。
【0057】
吸水性ポリマーとしては、本発明に係る吸水性組成物の製造方法に関して挙げたポリマーが好ましい。好ましい治療剤及び傷治療物質としては、本発明に係る活性物質ドープポリマー粒子に関して例示した治療剤及び傷治療物質が挙げられる。
【0058】
治療物質または傷治療物質は、本発明に係る吸水性組成物の製造方法における活性物質の吸水性ポリマーへの混合で述べたように、重合反応時、従って吸水性ポリマー粒子の生成完了前、または吸水性ポリマー粒子の生成完了後、またはさらなる処理時、またはそれらの両方において、吸収体マトリックスに混合することができる。上記方法を実施するための方法については、本発明に係る吸水性組成物の製造方法における活性物質の吸水性ポリマーへの混合に関連して述べた詳細を参照するものとする。
【0059】
本発明では、治療物質または傷治療物質は、得られる活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子が以下の成分から構成されるような量で吸収体マトリックスに混合する。
【0060】
Λ1.0.001〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%の治療物質または傷治療物質。
【0061】
Λ2.80〜99.9重量%、特に好ましくは90〜99重量%の吸収体マトリックス。
【0062】
なお、成分Λ1及びΛ2の合計は100重量%である。
【0063】
また、本発明は、上記方法によって得られる吸水性組成物及び活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子に関する。
【0064】
本発明に係る組成物及び活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子では、吸水性ポリマーは以下の特性の少なくとも1つ、好ましくは全てを有することが好ましい。
【0065】
Al)粒子の少なくとも80重量%が、20〜900μm、好ましくは150〜600μm、特に好ましくは200〜400μmのERT420.1−99に従って測定した平均粒径を有する粒径分布。
【0066】
A2)ERT441.1−99による遠心分離保持容量(CRC)が少なくとも10g/g、好ましくは少なくとも20g/g、特に好ましくは30〜50g/g。
【0067】
A3)ERT442.1−99による0.7psi(4826Pa)での圧力下吸収(AAP)が少なくとも4g/g、好ましくは少なくとも6g/g、特に好ましくは8〜25g/g。
【0068】
A4)ERT470.1−99による16時間の抽出後の水溶性ポリマー含有率が、吸水性ポリマーの全重量に基づいて25重量%未満、好ましくは20重量%未満、特に好ましくは15重量%未満。
【0069】
A5)ERT430.1−99による残留水分が、吸水性ポリマーの全重量に基づいて15重量%以下、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下。
【0070】
上記特性A1〜A5の各組み合わせは本発明に係る好ましい実施形態を示すものであり、以下の組み合わせはそれぞれが特に好ましい実施形態を示す。A1,A2,A1A2A3,A1A2A3A4,A1A3,A1A4,A1A3A4,A1A2A4,A2A3,A2A3A4,A2A4,A3A4。これらのうち、A1を含む組み合わせが特に好ましい。
【0071】
本発明に係る吸水性組成物及び活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子では、吸水性ポリマーは以下の成分からなることが好ましい。
【0072】
(α1)0.1〜99.999重量%、好ましくは20〜98.99重量%、特に好ましくは30〜98.95重量%のエチレン性不飽和酸性基含有モノマーまたはその塩、またはプロトン化または四級化窒素を含有するエチレン性不飽和含有モノマー、またはそれらの混合物であって、少なくともエチレン性不飽和酸性基含有モノマー、好ましくはアクリル酸を含む混合物が特に好ましい。
【0073】
(α2)0〜70重量%、好ましくは1〜60重量%、特に好ましくは1〜40重量%の、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー。
【0074】
(α3)0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜7重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%の1種以上の架橋剤。
【0075】
(α4)0〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは5〜10重量%の水溶性ポリマー。
【0076】
(α5)0〜20重量%、好ましくは0.01〜7重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%の1種以上の添加剤。
【0077】
なお、(α1)〜(α5)の重量の合計は100重量%である。
【0078】
モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、部分的または完全に中和されていてもよく、部分的に中和されていることが好ましい。モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーは、少なくとも25モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%、さらに好ましくは50〜90モル%が中和されていることが好ましい。モノマー(α1)の中和は、重合前または重合後に行うことができる。中和は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩を使用して行うことができる。また、酸とともに水溶性塩を形成する塩基を使用することもできる。異なる塩基を使用した混合中和も考えられる。アンモニアまたはアルカリ金属水酸化物を使用した中和が好ましく、水酸化ナトリウムまたはアンモニアを使用した中和が特に好ましい。
【0079】
好ましいモノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリロキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、2’−メチルイソクロトン酸、桂皮酸、p−クロロ桂皮酸、β−ステアリン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン、マレイン酸無水物であり、アクリル酸とメタクリル酸が特に好ましく、アクリル酸がさらに好ましい。
【0080】
これらのカルボキシレート基含有モノマー以外の好ましいモノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、エチレン性不飽和スルホン酸モノマーまたはエチレン性不飽和ホスホン酸モノマーである。
【0081】
好ましいエチレン性不飽和スルホン酸モノマーは、アリルスルホン酸、脂肪族または芳香族ビニルスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸である。好ましい脂肪族または芳香族ビニルスルホン酸は、ビニルスルホン酸、4−ビニルベンジルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸である。好ましいアクリルまたはメタクリルスルホン酸は、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルスルホン酸である。(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が好ましい。
【0082】
また、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、ビニルベンジルホスホン酸、(メタ)アクリルアミドアルキルホスホン酸、アクリルアミドアルキルジホスホン酸、ホスホノメチル化ビニルアミン、(メタ)アクリルホスホン酸誘導体等のエチレン性不飽和ホスホン酸モノマーも好ましい。
【0083】
本発明では、吸水性ポリマーが、カルボキシル基含有モノマーを少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%の量で含むことが好ましい。本発明では、吸水性ポリマーが、少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも50モル%、さらに好ましくは65〜85モル%が好ましくは水酸化ナトリウムによって中和されたアクリル酸を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%の量で含むことが好ましい。
【0084】
プロトン化窒素を含有する好ましいエチレン性不飽和モノマー(α1)は、プロトン化ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート−塩酸塩またはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート−硫酸塩、プロトン化ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド−塩酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド−塩酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド−硫酸塩またはジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド−硫酸塩である。
【0085】
四級化窒素を含有する好ましいエチレン性不飽和モノマー(α1)は、四級化ジアルキルアンモニウムアルキル(メタ)アクリレート、例えばトリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート−メト硫酸塩またはジメチルエチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート−エト硫酸塩、四級化(メタ)アクリルアミドアルキルジアルキルアミン、例えば塩酸(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、塩酸トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートまたは硫酸(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムである。
【0086】
(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0087】
アクリルアミド及びメタクリルアミド以外に使用できる(メタ)アクリルアミドは、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル置換(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリルアミドのアミノアルキル置換誘導体である。ビニルアミドとしては、例えばN−ビニルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルピロリドンを使用することができる。これらのモノマーのうち、アクリルアミドが特に好ましい。
【0088】
(α1)と共重合可能な好ましいモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、水分散性モノマーも挙げられる。好ましい水分散性モノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン、イソブチレンである。
【0089】
本発明に係る好ましい架橋剤(α3)は、1分子中に少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する化合物(架橋剤I)、縮合反応によってモノマー(α1)または(α2)の官能基と反応することができる官能基を少なくとも2つ有する化合物(=縮合架橋剤)や、付加反応または開環反応によってモノマー(α1)または(α2)の官能基と反応することができる官能基を少なくとも2つ有する化合物(架橋剤II)、少なくとも1つのエチレン性不飽和基と、縮合反応、付加反応または開環反応によってモノマー(α1)または(α2)の官能基と反応することができる官能基を少なくとも1つ有する化合物(架橋剤III)、多価金属カチオン(架橋剤IV)である。架橋剤Iの化合物を使用したポリマーの架橋は、架橋剤分子のエチレン性不飽和基とモノエチレン性不飽和モノマー(α1)または(α2)とのラジカル重合によって行われる。一方、架橋剤IIの化合物及び架橋剤IVの多価金属カチオンを使用したポリマーの架橋は、モノマー(α1)または(α2)の官能基の縮合反応(架橋剤II)または多価金属カチオン(架橋剤IV)とモノマー(α1)または(α2)の官能基との静電相互作用によって行われる。架橋剤IIIの化合物を使用したポリマーの架橋は、エチレン性不飽和基のラジカル重合または架橋剤の官能基とモノマー(α1)または(α2)の官能基との縮合反応によって行われる。
【0090】
架橋剤Iの好ましい化合物はポリ(メタ)アクリル酸エステルであり、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオール;アミノアルコール;ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミン;またはアルコキシ化ポリオールをアクリル酸またはメタクリル酸と反応させることによって得られる。架橋剤Iの好ましい化合物としては、ポリビニル化合物、ポリ(メタ)アリル化合物、モノビニル化合物の(メタ)アクリル酸エステル、モノ(メタ)アリル化合物、好ましくはポリオールまたはアミノアルコールのモノ(メタ)アリル化合物の(メタ)アクリル酸エステルも挙げられる。架橋剤Iに関しては、ドイツ特許第195 43 366号及びドイツ特許第195 43 368号を参照するものとする。これらの明細書の開示内容は、この参照によって本明細書の開示の一部として組み込まれるものとする。
【0091】
架橋剤Iの化合物の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,18−オクタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のアルケニルジ(メタ)アクリレート、N−メチルジ(メタ)アクリルアミド、N,N’−3−メチルブチリデンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアルケニルジ(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルコキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールA−ジ(メタ)アクリレート、ベンジリデンジ(メタ)アクリレート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパノール−2、ヒドロキノンジ(メタ)アクリレート、好ましくは水酸基1個に対して1〜30モルのアルキレンオキシドでアルコキシル化されたトリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸エステル、好ましくはエトキシ化トリメチロールプロパン、チオエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、チオプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、チオポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、チオポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル等のジビニルエーテル、アジピン酸ジビニル等のジビニルエステル、ブタジエン、1,6−ヘキサジエン等のアルカンジエン、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アリルフタラート、ジ(メタ)アリルスクシナート等のジ(メタ)アリル化合物、ジ(メタ)アリルジメチルアンモニウムクロリドのホモポリマーまたは共重合体、ジエチル(メタ)アリルアミノメチル(メタ)アクリレートアンモニウムクロリドのホモポリマーまたは共重合体、ビニル(メタ)アクリレート等のビニル(メタ)アクリル化合物、(メタ)アリル(メタ)アクリレート、水酸基1個に対して1〜30モルのエチレンオキシドでエトキシ化された(メタ)アリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アリル(メタ)アクリル化合物、ジ(メタ)アリルマレエート、ジ(メタ)アリルフマラート、ジ(メタ)アリルスクシナート、ジ(メタ)アリルテレフタラート等のポリカルボン酸のジ(メタ)アリルエステル、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の3個以上のエチレン性不飽和ラジカル重合性基を有する化合物、水酸基1個に対して好ましくは1〜30モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたグリセリンの(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、水酸基1個に対して好ましくは1〜30モルのアルキレンオキシドでアルコキシル化されたトリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステル、好ましくはエトキシ化トリメチロールプロパン、トリメタクリルアミド、(メタ)アリリデンジ(メタ)アクリレート、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルシアヌラート、トリ(メタ)アリルイソシアヌラート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、水酸基1個に対して好ましくは1〜30モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートトリ(メタ)アクリレート、トリビニルトリメリテート、ジ(メタ)アリルメチルアミン等のジ(メタ)アリルアルキルアミン、トリ(メタ)アリルホスファート、テトラ(メタ)アリルエチレンジアミン、ポリ(メタ)アリルエステル、テトラ(メタ)アリルオキシエタン、テトラ(メタ)アリルアンモニウムハライドが挙げられる。本発明では、ビニルイソシアネート、トリビニルトリメリテート、トリ(メタ)アリルイソシアヌラートが架橋剤Iとして好ましく、トリビニルトリメリテートが特に好ましい。
【0092】
好ましい架橋剤IIの化合物は、モノマー(α1)または(α2)の官能基、好ましくはモノマー(α1)の酸性基と、縮合反応(=縮合架橋剤)、付加反応または開環反応によって反応することができる官能基を少なくとも2つ有する化合物である。架橋剤IIの化合物の官能基の例としては、水酸基、アミノ基、アルデヒド基、グリシド基、イソシアネート基、カーボネート基、エピクロロ基が挙げられる。
【0093】
架橋剤IIの化合物の例としては、ポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコールなどのポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、アミノアルコール、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンまたはプロパノールアミン、ポリアミン化合物、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアアミン、ポリグリシジルエーテル化合物、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエーテル、1,4−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、グリシドール、ポリイソシアネート、好ましくは2,4−トルエンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネ−トなどのジイソシアネ−ト、ポリアジリジン化合物、例えば2,2−ビスヒドキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレン尿素及びジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’ジエチレン尿素、ハロゲン化エポキシド、例えばエピクロル及びエピブロムヒドリン及びα−メチルエピクロルヒドリン、アルキレン炭酸塩、例えば1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オン、ポリ−1,3−ジオキソラン−2−オン、ジメチルアミンとエピクロルヒドリンの縮合生成物などのポリ四級アミンが挙げられる。架橋剤IIの化合物としては、1,2−エチレンビスオキサゾリンなどのポリオキサゾリン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシラン基を有する架橋剤、2−オキサゾリジノン、ビス−、ポリ−2−オキサゾリジノンなどのオキサゾリジノン、ケイ酸ジグリコールも好ましい。
【0094】
架橋剤IIIの好ましい化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の水酸基またはアミノ基含有エステル、水酸基またはアミノ基含有(メタ)アクリルアミド、ジオールのモノ(メタ)アリル化合物が挙げられる。
【0095】
架橋剤IVの多価金属カチオンは、1価または多価カチオンから誘導することが好ましく、1価カチオンは、カリウム、ナトリウム、リチウムなどのアルカリ金属、好ましくはリチウムのカチオンである。好ましい2価カチオンは、亜鉛、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属から誘導され、マグネシウムから誘導されることが好ましい。本発明で使用できるより高い価数を有するカチオンは、アルミニウム、鉄、クロム、マンガン、チタニウム、ジルコニウム、その他の遷移金属、それらのカチオンの複塩、それらの塩の混合物のカチオンである。アルミニウム塩、ミョウバン、それらの水和物、例えばAlCl・6HO、NaAl(SO・12HO、KAl(SO・12HO、Al(SO・14−18HOを使用することが好ましい。
【0096】
Al(SO及びその水和物を架橋剤IVとして使用することが特に好ましい。
【0097】
好ましい吸水性ポリマーは、以下の架橋剤または架橋剤の組み合わせを使用して架橋された吸水性ポリマーである。Ι,II,III,IV,I II,Ι III,I IV,Ι II III,I II IV,I III IV,II III IV,II IV,III IV。上記の架橋剤の組み合わせは、それぞれが吸水性ポリマー粒子の架橋剤の好ましい実施形態である。
【0098】
別の好ましい実施形態は、上述した架橋剤Iのいずれかを使用して架橋された吸水性ポリマー粒子である。架橋剤Iのうち、水溶性架橋剤が好ましい。水溶性架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、塩化トリアリルメチルアンモニウム、塩化テトラアリルアンモニウム、アクリル酸1モル当たり9モルのエチレンオキシドを使用して得られたアリルノナエチレングリコールアクリレートが特に好ましい。
【0099】
水溶性ポリマー(α4)としては、部分的または完全にケン化されたポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコール、ポリアクリル酸などの水溶性ポリマーを本発明に係る吸水性ポリマーに含有させることができ、好ましくは重合させることができる。これらのポリマーの分子量は、ポリマーが水溶性であれば限定されない。好ましい水溶性ポリマーは、デンプン、デンプン誘導体、ポリビニルアルコールである。水溶性ポリマー、好ましくはポリビニルアルコールなどの合成ポリマーは、重合されるモノマーのグラフト基材としても機能することができる。
【0100】
添加剤(α5)としては、懸濁化剤、消臭剤、界面活性剤、酸化防止剤が好ましく使用される。
【0101】
吸水性ポリマーは、上記モノマー及び架橋剤を使用して各種重合手段によって製造することができる。例えば、好ましくは押出機等の混錬反応器内で行う塊状重合、ベルト重合、溶液重合、噴霧重合、逆乳化重合、逆懸濁重合が挙げられる。溶液重合は水を溶媒として行うことが好ましい。溶液重合は、上述したその他の重合と同様に連続的または非連続的に行うことができる。溶液重合は連続的なベルト重合として行うことが好ましい。従来技術においては、開始剤と反応溶液の温度、種類、量等の反応条件に関して幅広い様々な可能性があることが示されている。代表的な方法は、米国特許第4,286,082号、ドイツ特許第27 06 135号、米国特許第4,076,663号、ドイツ特許第35 03 458号、ドイツ特許第40 20 780号、ドイツ特許第42 44 548号、ドイツ特許第43 23 001号、ドイツ特許第43 33 056号、ドイツ特許第44 18 818号に記載されている。これらの開示内容は、この参照によって本明細書の開示の一部をなすものとする。上述した重合方法の場合には、上述した変形において対応する重合方法で使用される溶媒またはモノマーまたは各モノマーとの混合物として傷治療物質を重合に導入することが好ましい。
【0102】
吸水性ポリマーを製造するための別の方法としては、モノエチレン性不飽和モノマー(α1)または(α2)から未架橋(特に直鎖状)プレポリマーを好ましくはラジカル手段によって製造し、得られたプレポリマーを架橋剤(α3)として作用する試薬、好ましくは架橋剤II及びIVの試薬を使用して転化させる方法が挙げられる。この変形は、吸水性ポリマーを成形プロセスによって繊維、フィルムまたは織物、織布、ウェブ、不織材料等の平面構造体に加工し、その形態で架橋する場合に好ましく使用される。これらの製造方法に関しては、活性物質または治療物質をプレポリマーの製造において混合することができる。または、活性物質または治療物質をプレポリマーの架橋時に混合することができる。
【0103】
吸水性ポリマーの製造においては、吸水性ポリマーを製造するための公知の溶媒(好ましく水)、通常の温度範囲(好ましくは1〜100℃、特に好ましくは3〜60℃)、常圧範囲の圧力を使用する。
【0104】
例えば、固いゲルが望ましい場合などには、上述した方法で得られる吸水性ポリマーをさらに架橋させ、ポリマーの酸性基の一部を好ましくは表面領域で少なくとも二官能性化合物によって架橋させることができる。通常、この反応は「後架橋」と呼ばれる。後架橋の詳細については、以下の説明に加えてドイツ特許第40 20 780 C1号を参照するものとする。後架橋は、本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子または本発明に係る組成物が、例えば圧迫包帯の場合のように傷治療時に高い圧力に曝される場合に行うことができる。
【0105】
ポリマーの好ましい実施形態は、以下の架橋剤または架橋剤の組み合わせを使用して後架橋されたポリマーである。II,IV,II IV。後架橋剤としては、架橋剤として例示した架橋剤II及びIVの化合物が好ましい。
【0106】
これらの化合物のうち、後架橋剤としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン/オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オン、ポリ−1,3−ジオキソラン−2−オンが特に好ましい。
【0107】
特に好ましくは、炭酸エチレンを後架橋剤として使用する。
【0108】
ポリマーのさらなる好ましい実施形態は、架橋剤IIまたはIVのいずれかによって後架橋されたポリマーである。
【0109】
これらの化合物は、未処理のポリマーに基づいて0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%の量で使用することが好ましい。有機溶媒は、未処理のポリマーに基づいて0〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%、特に好ましくは0.2〜50重量%の量で混合物に添加することができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシドが好ましい。
【0110】
また、本発明に係る吸水性組成物では、重縮合体マトリックスが、重縮合体マトリックスに基づいて少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%のポリウレタンを含むことが好ましい。ポリウレタン以外の部分は、例えば共押出によってポリウレタンと混合する組成成分以外のポリマーであってもよい。
【0111】
そのようなポリマーは、非水溶性・非水膨張性の熱可塑性ポリマーであることが好ましい。
【0112】
当業者に公知のポリウレタンを本発明に係るポリウレタンとして使用することができる。好適なポリウレタンは、少なくとも以下のポリウレタン成分から得ることができる。
【0113】
(γ1)少なくとも2つのイソシアネート基を有する1種以上のポリイソシアネート、好ましくはメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシネナート(IPDI)、またはそれらの少なくとも2種の混合物。
【0114】
(γ2)好ましくは20〜112の平均OH価を有する1種以上のポリヒドロキシル化合物。
【0115】
(γ3)任意成分として、イソシアネート基とヒドロキシル基との反応のための1種以上の触媒または促進剤。
【0116】
(γ4)任意成分として、ポリウレタン化学で公知の充填材料及び添加剤。
【0117】
(γ1)〜(γ4)に関する詳細はドイツ特許出願公開第42 33 289 A1号及びドイツ特許出願公開第196 18 825 A1号に記載されており、これらの明細書の開示内容はこの参照によって本明細書の開示の一部をなすものとし、特にポリウレタンゲル及びその製造方法に関する詳細が該当する。
【0118】
好ましくは、本発明に係る吸水性組成物及び活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子は、以下の特性の少なくとも1つ、好ましくは全てを有することが好ましい。
【0119】
C1)ERT410.1−99に従って測定した吸水性ポリマーを形成するために使用したモノマーの残留モノマー含有率が、吸水性組成物または活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子に使用された吸水性ポリマーに基づいて、500ppm未満、好ましくは250ppm未満、特に好ましくは146ppm未満。
【0120】
C2)ERT470.1−99に従って測定した、吸水性ポリマーを形成するために使用したモノマーに基づく16時間の抽出後の可溶性ポリマー部分が、吸水性組成物または活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子に使用された吸水性ポリマーに基づいて、30重量%未満、好ましくは20重量%未満、特に好ましくは15重量%未満、さらに好ましくは12重量%未満。
【0121】
C3)本明細書に記載する抽出試験によって測定した、活性物質または治療物質の有効率が、吸水性組成物または活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子に含まれる活性物質または治療物質の少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも85重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%。
【0122】
C4)液体吸収率が少なくとも1g/l00cm、好ましくは少なくとも4g/l00cm、特に好ましくは少なくとも9g/l00cm
【0123】
C5)水蒸気透過率が少なくとも100g/(m×24h)、好ましくは少なくとも200g/(m×24h)、特に好ましくは少なくとも249g/(m×24h)。
【0124】
C6)酸素透過率が少なくとも100cm/(m×24h)、好ましくは少なくとも1000cm/(m×24h)、特に好ましくは少なくとも1999cm/(m×24h)。
【0125】
上記特性C1〜C6の各組み合わせは本発明に係る好ましい実施形態を示すものであり、以下の組み合わせはそれぞれが特に好ましい実施形態を示す。C2C3C4C5C6,C1C3C4C5C6,C1C2C3C4C6,C1C2C4C5C6,C1C4C5C6,C2C4C5C6,C3C4C5C6,C1C4C5,C1C5C6,C3C5C6,C4C5C6,C3C4,C3C5,C3C6,C1C2,C2C3,C1C3。
【0126】
本発明に係る吸水性組成物では、重縮合体マトリックスは発泡体であることが好ましい。発泡体は、ポリウレタンの形成時に公知の発泡剤によって得られる。発泡手段とその使用に関しては、ドイツ特許出願公開第42 33 289 A1号の詳細な説明を参照するものとする。
【0127】
また、本発明は、本発明に係る吸水性組成物または活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子を含む複合体に関する。
【0128】
複合体の設計において、複合体は以下の特性の少なくとも1つ、好ましくは全てを有することが好ましい。
【0129】
V1)粘弾性が0.1〜10tanδ、好ましくは0.15〜7tanδ、特に好ましくは2〜5tanδ(ω=0.3rad/秒)。
【0130】
V2)液体吸収率が少なくとも5g/l00cm、好ましくは少なくとも8g/l00cm、特に好ましくは10〜1000g/l00cm、さらに好ましくは10.5〜20g/l00cm
【0131】
V3)水蒸気透過率が少なくとも100g/(m×24h)、好ましくは少なくとも200g/(m×24h)、特に好ましくは少なくともg/(m×24h)。
【0132】
V4)酸素透過率が少なくとも100cm/(m×24h)、好ましくは少なくとも1000cm/(m×24h)、特に好ましくは1100〜10000cm/(m×24h)、さらに好ましくは1500〜3000cm/(m×24h)。
【0133】
上記特性V1〜V4の各組み合わせは複合体の本発明に係る好ましい実施形態を示すものであり、以下の組み合わせはそれぞれが特に好ましい実施形態を示す。V1V2,V1V3,V1V4,V1V2V3,V1V2V4,V1V3V4,V2V3V4,V1V2V3V4。
【0134】
本発明に係る実施形態では、複合体は、本発明に係る組成物または本発明に係るポリマー粒子以外に、好ましくは組成物またはポリマー粒子に直接隣接するフィルムを含む。特に好ましくは、薄膜上の組成物またはポリマー粒子が、フィルムの側面の表面の少なくとも40%、好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも90%を覆っている。また、フィルムと組成物またはポリマー粒子とは、互いに強固に接着されていることが好ましい。両者の接着は、好ましくは組成物に対するマトリックスの接着効果によって行う。フィルムは、100〜2000g/(m×24h)、好ましくは少なくとも300〜1500g/(m×24h)、特に好ましくは500〜1000g/(m×24h)の水蒸気透過率を有することが好ましい。フィルムとしては、当業者に公知であり、適当と考えられるあらゆる材料を使用することができる。フィルムとしては、プラスチックフィルム、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレンまたはそれらの混合物を主に含むプラスチックフィルムが好ましい。
【0135】
複合体が吸収性コア(吸収体層(「Sauglage」)ともいう)であるか、コアにほぼ含まれる場合、本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子、本発明に係る組成物または本発明に係る複合体を基材に混合する。本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子は、コアに基づいて少なくとも5重量%、好ましくは6〜50重量%、さらに好ましくは7〜15重量%の量でコアに存在することが好ましい。本発明の設計においては、コア内の吸水性ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも60重量%、さらに好ましくは少なくとも80重量%の、活性物質でドープされていない吸水性ポリマー粒子を、本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子に混合する。また、コアは、コアに基づいて40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%、特に好ましくは75〜85重量%の吸水性ポリマーを好ましくは粒子として含むことが好ましい。
【0136】
基材は繊維材料であることが好ましい。本発明で使用することができる繊維材料は、(変性または非変性)天然繊維及び合成繊維を含む。好適な非変性及び変性天然繊維としては、例えば、綿布、アフリカハネガヤ、サトウキビ、ケンプ、亜麻、絹、羊毛、セルロース、化学変性セルロース、黄麻、レーヨン、エチルセルロース、酢酸セルロースが挙げられる。好適な合成繊維は、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、Orion(登録商標)等のポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチルビニルアセテート、可溶性または不溶性のポリビニルアルコール、ポリエチレン(例えばPULPEX(登録商標))及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン等のポリアミド、DACRON(登録商標)またはKodel(登録商標)等のポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン等から製造することができる。使用される繊維は、天然繊維のみ、合成繊維のみ、または天然繊維と合成繊維の任意の組み合わせを含むことができる。
【0137】
コアは、上記繊維材料の他に熱可塑性材料を含むことができる。溶融すると、通常は毛管勾配によって、熱可塑性材料の少なくとも一部は繊維間を通って繊維の交点に至る。これらの交点は、熱可塑性材料の結合位置となる。素材を冷却すると、熱可塑性材料はこれらの交点で固化し、各層の繊維のマトリックスまたは組織を保持する結合位置を形成する。熱可塑性材料は、粒子、繊維または繊維と粒子の組み合わせなどの様々な形態で使用することができる。これらの材料は、ポリエチレン(例えば、PULPEX(登録商標))やポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、コポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸エチルビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート、ポリアミド、コポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、塩化ビニル/酢酸ビニルなどの上記材料のコポリマなどから選択することができる。コアの基材としては、セルロースを含有する材料、好ましくは繊維材料が挙げられる。
【0138】
コアはエアレイド法またはウェットレイド法によって製造することができ、エアレイド法によって製造したコアが好ましい。ウェットレイド法では、吸収性ポリマー構造の繊維または粒子を、別の基材繊維及び液体と共に不織布材料に加工する。エアレイド法では、吸収性ポリマー構造の繊維または粒子と基材繊維を乾燥状態で不織布材料に加工する。エアレイド法の詳細は米国特許第5,916,670号と米国特許第5,866,242号に記載されており、ウェットレイド法の詳細は米国特許第5,300,192号に記載されている。これらの明細書の開示内容は、この参照によって本明細書の開示の一部をなすものとする。
【0139】
本発明のさらなる主題は、本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子、本発明に係る組成物、本発明に係る複合体またはそれらの少なくとも2種を含む、衛生用品、好ましくは乳児用おむつ、生理用ナプキン、タンポンまたは成人用おむつ、特に好ましくは乳児用おむつである。通常、おむつとして使用される衛生用品は、非透水性の下層と、透水性、好ましくは疎水性の上層と、下層と上層との間に配置された、本発明に係る活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子、本発明に係る組成物、本発明に係る複合体またはそれらの少なくとも2種を含む層と、を含む。この層は、上述したコアであることが好ましい。下層は当業者に公知の材料を含むことができ、ポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましい。同様に、上層も公知の好適な材料を含むことができ、ポリエステル、ポリオレフィン、ビスコース等が好ましく、上層の十分な透液性を確保する十分な多孔性を有する層を形成することができる。これらに関しては、米国特許第5,061,295号、米国再発行特許第26,151号、米国特許第3,592,194号、米国特許第3,489,148号、米国特許第3,860,003号を参照するものとする。これらの明細書の開示内容は、この参照によって本明細書の開示の一部をなすものとする。
【0140】
また、本発明は、本発明に係る吸水性組成物の、活性物質、好ましくは傷治療物質または治療物質の放出のための使用に関する。また、本発明は、本発明に係る活性物質ドープポリマー粒子の、治療物質、好ましくは皮膚治療物質の放出のための使用に関する。また、本発明は、本発明に係る吸水性ポリマーの、活性物質、好ましくは傷治療物質または治療物質の重縮合体マトリックスからの放出のための使用に関する。ここでは、傷手当用品とプラスターが特に挙げられる。
【0141】
また、本発明は、本発明に係る吸水性組成物の、高等脊椎動物の傷を治療するための手段を製造するための使用または高等脊椎動物における傷の発生を防止するための使用に関する。好ましくは、本発明に係る高等脊椎動物とは、魚、鳥、哺乳動物またはヒト、特に好ましくは哺乳動物またはヒト、さらに好ましくはヒトを意味する。傷は、好ましくは切り傷、擦傷、手術または熱傷であり、衛生用品、特におむつの場合には、長時間寝ていることで生じる傷と皮膚の炎症である。
【0142】
また、本発明は、高等脊椎動物の傷を治療するための方法、高等脊椎動物における傷の発生を防止するための方法または高等脊椎動物の肌を治療するための方法であって、傷または皮膚を、本発明に係る吸水性組成物、本発明に係る活性物質ドープポリマー粒子または本発明に係る複合体で少なくとも部分的に被覆するか、本発明に係る吸水性組成物、本発明に係る活性物質ドープポリマー粒子または本発明に係る複合体に接触させることを含むことを特徴とする方法に関する。
【0143】
最後に、本発明は、本発明に係る吸水性組成物、本発明に係る活性物質ドープポリマー粒子または本発明に係る複合体の、衛生用品または傷治療手段における使用に関する。
【0144】
本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【0145】
試験方法
1.ERT
特に記載しない場合には、ERT法を吸水性ポリマーの特性を決定するために使用する。「ERT」はEDANA推奨試験(EDANA Recommended Test)を意味し、EDANAは欧州不織布協会(European Non−woven And Diaper Association)の略語である。
【0146】
2.抽出試験
活性物質ドープサンプル、好ましくは活性物質としてのデクスパンテノールを含む、部分的に中和され、軽度に架橋されたポリアクリル酸またはこれらを含むポリウレタンマトリックス0.5gを、化学てんびん上の125mlの広口フラスコ内に秤量した。0.9%食塩溶液(蒸留水に溶解)100mlと1滴の濃リン酸を添加した後、混合物をマグネティックスターラー上で350rpmで1時間攪拌した。次に、溶液2mlを取り出し、サンプルバイアル内で孔径が0.45μmのセルロースエステル濾過膜で濾過した。濾液をHPLCによって分析したところ、HPLC分析法で使用したサンプルは2.5〜3.0の酸性pH値を有していた。
【0147】
活性物質含有率は、HPLC解析結果を使用して外部較正によって決定した。活性物質は、化学てんびんを使用して100mlの目盛り付きフラスコ内で0.1mgの精度で少なくとも10mgを秤量した。次に、目盛り付きフラスコを超純水でマークまで満たした。次に、化学てんびん上で原液の濃度に対応する希釈液のアレイを調製した。この希釈液のアレイによって、検量線をHPLC分析によって生成した。1時間で抽出された活性物質の量を、対応する活性物質のHPLC解析結果と検量線との比較によって決定した。
【0148】
クロマトグラフ条件は活性物質に応じて最適化した。デクスパンテノールの場合には、Grom−Sil 300 ODS−5 5μm(250×4mm)のカラムを使用した。溶離液は3Lのビーカーに13.61gのKHPOを秤量することによって得、2000mlの超純水の添加後に溶解させた。pH値は、濃リン酸を使用して2.5〜3.0に調節した。デクスパンテノールの場合には、0.8ml/分の流量を較正した。注入は20μlのループで行った。
【0149】
3.レオロジー特性
プラスターの中心部から直径8mmのサンプルを打ち抜き、23±2℃の温度及び50±5%の相対湿度で1時間状態調整した。サンプルを8mmのプレートターンテーブルの中心部に貼り付け、温度調節用熱電気(Peltier)(例えば、HAAKEから入手できるRS−75)素子を有するせん断応力調節レオメーターを使用して測定した。サンプルは、下側プレート上で1.3Nの垂直力で押圧した。25±0.2℃で5分間状態調製した後、700Paのせん断応力とω=0.3〜30rad/秒の周波数で粘弾性(貯蔵弾性率と損失弾性率)を測定した。tanδは損失・貯蔵弾性率の比率から計算した。
【0150】
4.液体吸収率
プラスターの中心部から直径15mmのサンプルを打ち抜き、23±2℃の温度及び50±5%の相対湿度で1時間状態調整した。サンプルを秤量し、23±0.5℃の生理食塩水に3時間にわたって完全に浸漬した。サンプルを再秤量し、重量差から液体吸収率を計算した。
【0151】
5.水蒸気透過率
以下の点以外はASTM E96(水法:water method)に従って試験を行った。試験容器の開口部は804mmとした。材料は23±2℃の温度及び50±5%の相対湿度で24時間状態調整した。試験容器の水位とサンプルとの間の距離は35±5mmとした。37±1.5℃の温度及び30±3%の相対湿度のクライマチック・キャビネット(climatic cabinet)で24時間保管した後、サンプルを含む試験容器を再秤量した。
【0152】
6.O透過率
ASTM D3985−81に従って試験を行った。
【実施例】
【0153】
1.吸水性ポリマー組成物としてのデクスパンテノールドープ吸水性ポリマーの製造
【0154】
変形A:モノマー溶液へのデクスパンテノールの添加
架橋剤としてのトリアリルアミン0.45gを中和度が70モル%のアクリル酸ナトリウム水溶液(モノマー濃度:36.4%)944.77gに溶解した。次に、デクスパンテノールの75%水溶液50gを添加した。プラスチック製重合容器内でモノマー溶液に窒素を30分間吹き込み、溶解酸素を除去した。ペルオキシ二硫酸ナトリウム0.25gの蒸留水10g溶液、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパンジヒドロクロライド0.1gの蒸留水10g溶液、t−ブチルヒドロペルオキシド0.2gの蒸留水10g溶液、アスコルビン酸0.015gの蒸留水2g溶液を4℃で連続して添加して重合を開始させた。最終温度(100℃)に達した後、ゲルを肉挽き機(「フライシュヴォルフ(Fleischwolf)」)で粉砕し、空気循環オーブン内で乾燥した(乾燥温度・時間は以下の表に記載)。乾燥体を粗く粉砕した後に細かく粉砕し、さらなる加工のために粒径が150〜850μmの粒子を篩い分けた。吸収性ポリマーをポリウレタンマトリックスに混合するために、吸収性ポリマー粉末を粒径が300μm未満となるまで粉砕した。得られた吸水性ポリマーは、吸水性ポリマーに基づいて3重量%の残留水分を有していた。
【0155】
変形B:ポリマーゲルへのデクスパンテノールの添加
架橋剤としてのトリアリルアミン0.45gを中和度が70モル%のアクリル酸ナトリウム水溶液(モノマー濃度:36.4%)993.08gに溶解した。プラスチック製重合容器内でモノマー溶液に窒素を30分間吹き込み、溶解酸素を除去した。ペルオキシ二硫酸ナトリウム0.25gの蒸留水10g溶液、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパンジヒドロクロライド0.1gの蒸留水10g溶液、t−ブチルヒドロペルオキシド0.2gの蒸留水10g溶液、アスコルビン酸0.015gの蒸留水2g溶液を4℃で連続して添加して重合を開始させた。最終温度(約100℃)に達した後、ゲルを肉挽き機(「フライシュヴォルフ(Fleischwolf)」)で粉砕し、デクスパンテノールの75%水溶液50gを均一にスプレーし、混合した。次に、混合物を空気循環オーブン内で乾燥し(乾燥温度・時間は以下の表に記載)、乾燥体を粗く粉砕した後に粉砕し、さらなる加工のために粒径が150〜180μmの粒子を篩い分けた。超吸収体粉末をポリウレタンマトリックスに混合するために、超吸収体粉末を粒径が300μm未満となるまで粉砕した。得られた吸水性ポリマーは、吸水性ポリマーに基づいて3重量%の残留水分を有していた。
【0156】
以下の表1に示す吸水性ポリマーの残留水分は3%だった。
【0157】
【表1】

超吸収体粉末におけるデクスパンテノールの割合
使用したデクスパンテノール溶液の量
デクスパンテノール溶液の濃度
抽出試験によって1時間後に抽出された超吸収体粉末に使用したデクスパンテノールの割合
【0158】
2.デクスパンテノールドープ超吸収体を使用した傷手当用品の製造
2.1 成分の調製
【0159】
【表2】

エチレンオキシド末端ブロックを有するペンタエリスリトール+プロピレンオキシド+エチレンオキシド混合ポリマー 官能基数:4、OH価:35、平均分子量:6400(計算値)、粘度(23℃):1000mPas、エチレンオキシド含有率:20重量%
** モル比率が5:1のヘキサメチレンジイソシアネートとポリプロピレングリコール(平均分子量:220)から80℃で転化させ、HDIモノマー残留含有率が0.5重量%となるまで約0.5ミリバール(50Pa)で減圧蒸留して得たNCO−末端プレポリマー。NCO含有率:12.6重量%、粘度(23℃):5000mPas
*** 2,2−ジメチルオクタン酸3モルにBi(III)塩1モルの2,2−ジメチルオクタン酸溶液を溶解した溶液(ビスマス含有率:約17重量%)
【0160】
表2に記載した量は、秤量し、ロールボック上で24時間混合した値である。
【0161】
2.2 塗抹標本(smear)の作成
98重量%の成分1と2重量%の成分2を手作業で約40秒間均一に混合し、離型紙上に配置し、離型紙と750g/(m×24h)の水蒸気透過率を有するプラスチック箔との間の間隔を1mmに調整し、塗布バーによって染みを付けた。次に、乾燥棚内で60℃で5分間反応させた。得られた塗抹標本は850g/mの表面重量を有し、傷手当用品または特性測定に適した形状に切断または打ち抜くことができた。塗抹標本の特性を表3に示す。
【0162】
【表3】

複数の測定の平均値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子であって、
Φ1.活性物質として、前記活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子に基づいて0.001〜30重量%の治療物質または傷治療物質と、
Φ2.前記活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子に基づいて70〜99.999重量%の吸収体マトリックスと、
を含み、
前記吸収体マトリックスが、前記吸収体マトリックスに基づいて少なくとも90重量%の架橋ポリアクリル酸を含み、
前記架橋ポリアクリル酸が、少なくとも30モル%が部分的に中和されたアクリル酸を前記架橋ポリアクリル酸に基づいて少なくとも90重量%含むことを特徴とする活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子。
【請求項2】
前記活性物質が前記吸収体マトリックス全体に均一に分散されている請求項1に記載の活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子。
【請求項3】
前記吸水性ポリマー粒子を構成するモノマーの残留モノマー含有率が500ppm未満である請求項1又は2記載の活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子。
【請求項4】
明細書に記載した抽出試験による活性物質有効率が少なくとも40重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子。
【請求項5】
吸水性組成物であって、
Γ1.少なくとも1つの重縮合体基を有する少なくとも1種の重縮合体モノマーからなる重縮合体マトリックスと、
Γ2.前記重縮合体基と反応して共有結合を形成することができる少なくとも1種の官能基を有する活性物質、好ましくは傷治療物質または皮膚治療物質、またはその塩を含む粒子状吸水性ポリマーまたは請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子と、
を含み、
前記粒子状吸水性ポリマーが少なくとも部分的に前記重縮合体マトリックスに取り囲まれており、
少なくとも前記粒子状吸水性ポリマーが前記活性物質を含み、
前記吸水性組成物が少なくとも10重量%の明細書に記載した抽出試験による活性物質有効率を有することを特徴とする吸水性組成物。
【請求項6】
活性物質、好ましくは傷治療物質または治療物質を含む粒子状吸水性ポリマーを、少なくとも1種の重縮合体モノマーからなる重縮合体マトリックスに少なくとも部分的に混合し、前記活性物質を含む前記粒子状吸水性ポリマーまたは請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子を、前記重縮合体マトリックスの生成が完了する前に前記重縮合体モノマーと接触させることを特徴とする吸水性組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法によって得られることを特徴とする吸水性組成物。
【請求項8】
前記吸水性ポリマーが以下の特性;
Al)粒子の少なくとも80重量%が20〜900μmのERT420.1−99による平均粒径を有する粒径分布
A2)ERT441.1−99による遠心分離保持容量(CRC)が少なくとも10g/g、好ましくは少なくとも20g/g
A3)ERT442.1−99による0.7psiでの圧力下吸収(AAP)が少なくとも4g/g
A4)ERT470.1−99による16時間の抽出後の水溶性ポリマー含有率が前記吸水性ポリマーの全重量に基づいて25重量%未満
A5)ERT430.1−99による残留水分が前記吸水性ポリマーの全重量に基づいて15重量%以下
の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項5又は7に記載の吸水性組成物。
【請求項9】
前記吸水性ポリマーが以下の成分;
(α1)0.1〜99.999重量%のエチレン性不飽和酸性基含有モノマー、その塩、プロトン化または四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー、またはそれらの混合物
(α2)0〜70重量%の(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー
(α3)0.001〜10重量%の1種以上の架橋剤
(α4)0〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の水溶性ポリマー
(β5)0〜20重量%の1種以上の添加剤
を含み、(α1)〜(α5)の重量の合計は100重量%であることを特徴とする請求項5、7又は8に記載の吸水性組成物。
【請求項10】
前記重縮合体マトリックスが、前記重縮合体マトリックスに基づいて少なくとも10重量%のポリウレタンを含むことを特徴とする請求項5、7〜9のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
【請求項11】
前記重縮合体マトリックスが発泡体であることを特徴とする請求項5、7〜10のいずれか1項に記載の吸水性組成物。
【請求項12】
請求項5、7〜10のいずれか1項に記載の吸水性組成物を含むことを特徴とする複合体。
【請求項13】
以下の特性;
V1)粘弾性が0.1〜10tanδ(ω=0.3rad/秒)
V2)液体吸収率が少なくとも5g/l00cm
V3)水蒸気透過率が少なくとも100g/(m×24h)
V4)O透過率が少なくとも100cm/(m×24h)
の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項12に記載の複合体。
【請求項14】
請求項5、7〜11のいずれか1項に記載の吸水性組成物に加えてフィルムを含むことを特徴とする請求項12又は13に記載の複合体。
【請求項15】
前記フィルムが100〜2000g/(m×24h)の水蒸気透過率を有することを特徴とする請求項14に記載の複合体。
【請求項16】
前記組成物がシートに直接隣接していることを特徴とする請求項14または15に記載の複合体。
【請求項17】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子、請求項5、7〜11のいずれか1項に記載の組成物、請求項12〜16のいずれか1項に記載の複合体またはそれらの少なくとも2種を含むことを特徴とする衛生用品。
【請求項18】
請求項5、7〜11のいずれか1項に記載の吸水性組成物を傷治療物質の放出のために使用することを特徴とする吸水性組成物の使用方法。
【請求項19】
吸水性ポリマーを重縮合体マトリックスからの傷治療物質の放出に使用することを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子、請求項5、7〜11のいずれか1項に記載の吸水性組成物、請求項12〜16のいずれか1項に記載の複合体またはそれらの少なくとも2種を、高等脊椎動物の傷を治療するための手段を製造するために、または高等脊椎動物における傷の発生を防止するために使用することを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性物質ドープ吸水性ポリマー粒子、請求項5、7〜11のいずれか1項に記載の吸水性組成物、請求項12〜16のいずれか1項に記載の複合体またはそれらの少なくとも2種の衛生用品または傷治療手段における使用。

【公表番号】特表2009−513507(P2009−513507A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518078(P2006−518078)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007140
【国際公開番号】WO2005/004935
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(504341139)ストックハウゼン ゲーエムベーハー (35)
【Fターム(参考)】