説明

活性種発生装置

【課題】本発明は針電極と対向電極の間の沿面距離を長くし、広い範囲で放電させることにより、安全性を向上させることを目的とするものである。
【解決手段】筒形状のケース部13の一端開口部からこのケース部13内に、その先端側を挿入した放電電極15と、絶縁性基板14とを備え、この絶縁性基板14は、孔部16と、この孔部16の外周に配置した吸着手段17と、この吸着手段17に通電する対向電極18とを有し、放電電極15は、ケース部13内において所定間隔離した位置で、ケース部13の一端開口部側から他端開口部側に向けて順次配置した第1の保持部20、第2の保持部21により保持し、第1の保持部20、第2の保持部21は、ケース部の一端開口部から他端開口部に向けて流れる送風が通過する通風開口部を有すると共に絶縁材料で形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間の除菌や脱臭等を行う活性種発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、空気中にラジカルなどの活性種を供給し、この活性種による清浄化作用により、この空気を清浄化する活性種発生装置が開発されている。
【0003】
従来のこの種、活性種発生装置は、本体ケースと、放電電極と、この放電電極に対向する対向電極と、これらの放電電極と対向電極とに電圧を印加する電源部と、対向電極の表面に設けた吸着手段とを備えた構成であった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−320613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の活性種発生装置では、放電電極と対向電極間に電圧を印加することで、コロナ放電を行わせ、これによって吸着手段に吸着した水分を分解し、活性種を発生させるようになっていた。
【0006】
このような構成において、放電電極の先端に埃が付着し、活性種の発生が不安定になる場合があった。
【0007】
そこで従来は、放電電極の上流側にフィルターを備えることにより、埃の付着を低減していた。しかし、微細な埃は通過するため、微細な埃が放電電極の先端へ付着する場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、放電電極の先端への微細な埃の付着を抑制し、活性種の発生を安定させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために本発明は、筒形状のケース部と、このケース部の一端開口部からこのケース部内に、その先端側を挿入した放電電極と、前記放電電極の先端側に所定間隔をおいて対向配置した絶縁性基板とを備え、前記絶縁性基板は、前記放電電極の先端側に対向する部分に配置した孔部と、この孔部の外周に配置した吸着手段と、この吸着手段に通電する対向電極とを有し、前記放電電極は、前記ケース部内において所定間隔離した位置で、ケース部の一端開口部側から他端開口部側に向けて順次配置した第1、第2の保持部により保持した構成とし、これら第1、第2の保持部は、前記ケース部の一端開口部から他端開口部に向けて流れる送風が通過する通風開口部を有すると共に第1、第2の保持部を絶縁材料で形成した構成とし、前記対向電極と前記放電電極には電源部から電圧を印加する構成とし、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明は、筒形状のケース部と、このケース部の一端開口部からこのケース部内に、その先端側を挿入した放電電極と、前記放電電極の先端側に所定間隔をおいて対向配置した絶縁性基板とを備え、前記絶縁性基板は、前記放電電極の先端側に対向する部分に配置した孔部と、この孔部の外周に配置した吸着手段と、この吸着手段に通電する対向電極とを有し、前記放電電極は、前記ケース部内において所定間隔離した位置で、ケース部の一端開口部側から他端開口部側に向けて順次配置した第1、第2の保持部により保持した構成とし、これら第1、第2の保持部は、前記ケース部の一端開口部から他端開口部に向けて流れる送風が通過する通風開口部を有すると共に第1、第2の保持部を絶縁材料で形成した構成とし、前記対向電極と前記放電電極には電源部から電圧を印加する構成としたもので、放電電極の先端への微細な埃の付着を抑制し、活性種の発生を安定させることができる。
【0011】
すなわち、第1の保持部、および第2の保持部を絶縁材料で形成しているので、電源部によって対向電極と放電電極とに電圧が印加されると、第1の保持部と、第2の保持部とが帯電する。ここで、これらの帯電した第1の保持部と第2の保持部の通風開口部を送風空気が通過する際に、微細な埃が静電気の力で第1の保持部、および第2の保持部に吸着する。
【0012】
つまり、送風空気が第1の保持部と第2の保持部の通風開口部を通過する際に、微細な埃が静電気の力で吸着され、微細な埃が低減した空気が、放電電極の先端が位置する空間に流れ込むので、放電電極の先端への微細な埃の付着を抑制し、活性種の発生を安定させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における活性種発生装置の斜視図
【図2】同活性種発生装置の断面図
【図3】同活性種発生装置の分解斜視図
【図4】同活性種発生装置の要部拡大図
【図5】同活性種発生装置におけるプラスコロナ放電の概念を示す図
【図6】同活性種発生装置におけるマイナスコロナ放電の概念を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1には、活性種発生装置1の外観図が示されている。この活性種発生装置1は、室内内の空気中にラジカルなどの活性種を供給することで、この活性種による清浄化作用により、空気を清浄化するものである。
【0016】
図2は、図1における活性種発生装置1の断面を示している。
【0017】
活性種発生装置1は、吸気口3と排気口4を有する本体ケース5と、この本体ケース5内に設けられた活性種発生手段6と、送風手段7と、電源部2とを備えている。
【0018】
本体ケース5は、略箱形状で天面に排気口4を備え、側面に吸気口3を設けている。この吸気口3に対向して、送風手段7を備えている。この送風手段7は、スクロール形状のケーシング8と、このケーシング8内に設けた電動機9と、この電動機9によって回転する羽根10とから形成している。
【0019】
ケーシング8は、側面には円形状の吸込口11を、天面には吐出口12を備えている。ケーシング8の吸込口11が、本体ケース5の吸気口3に対向している。ケーシング8の吐出口12と、本体ケース5の排気口4との間の風路に活性種発生手段6を設けている。室内の空気は、送風手段7によって、本体ケース5の吸気口3から吸い込まれ、活性種発生手段6を介して、排気口4から室内へ送風される。
【0020】
活性種発生手段6は、図3に示すように、筒形状のケース部13と、このケース部13の一端開口部(図3の下方)からこのケース部13内に、その先端側を挿入した棒形状の放電電極15と、放電電極15の先端側に所定間隔をおいて対向配置した平板形状の絶縁性基板14とを備えている。
【0021】
放電電極15の材質は、コロナ放電をさせるSUSやタングステンなどである。また、放電電極15は単一の材料で形成したものである。これにより、めっき等の処理をした場合に比べ、放電電極15の耐久性の向上が図れるものである。
【0022】
絶縁性基板14は、放電電極15の先端側に対向する部分に円形の孔である孔部16を備え、この孔部16の内周および絶縁性基板14の放電電極15側の(図3の下面)の孔部16周縁に配置した吸着手段17とから形成している。
【0023】
この孔部16の放電電極15側の外周には、リング形状の導電部28を備え、この導電部28の角部には、対向電極18を有している。なお、絶縁性基板14は、セラミック基板であっても、フッ素などの樹脂基板であっても良い。セラミック基板として、シリカ、アルミ、マグネシウムのうちいずれか1つを含む基板であっても、アルミナ基板であっても良い。オゾンやラジカルで腐食されにくい無機系のものあるいはフッ素樹脂であれば良いためである。なお、セラミックの表面抵抗は、106から1010Ω/□であることが望ましい。
【0024】
図4に示すように、吸着手段17は、絶縁性基板14の近傍の水分を吸着する吸着剤29と、この吸着剤29と絶縁性基板14を接着する接着剤30とから形成している。吸着剤29は、水を吸着する平均粒子径0.5マイクロメートルから数十マイクロメートル程度の粒子で、表面に細孔31を有しているゼオライトである。なお、吸着剤29としてゼオライトを例に挙げたが、吸着剤29は、ナノレベルの細孔31を有し、いわゆるKelvinの毛管凝縮現象により細孔内で水蒸気が凝縮し得るような細孔31を有する構造を有する多孔質構造体であれば、シリカ、ゼオライト、デシカイト、アロフィン、イモゴライトなどでも、これらのうちいずれか1つを含むものでも良い。また、粒子間の隙間を利用して水を吸着する、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、多孔質チタニアであっても良い。なお、吸着剤29は、細孔31に空気中の水蒸気を吸着させるものであるが、細孔31が接着剤30の粒子で埋まりにくい平均粒子径であれば、空気中の水蒸気を吸着することができる。なお、吸着剤29は接着剤30よりも平均粒子径が大きいものであっても良い。
【0025】
接着剤30は、吸着剤29と、絶縁性基板14とを接着するコロイダルシリカである。なお、接着剤30は、ゼオライトなどの吸着剤29の平均粒子径より小さく、ゼオライトの表面に開いている細孔よりも大きい平均粒子径であれば良い。また、細孔31を閉塞させなければ、接着剤30としてガラス粉や、シリケート化合物を用いてもよい。
【0026】
導電部28は、図3に示すように、絶縁性基板14とケース部13との間に位置すると共に、吸着手段17と導電部28とは接するものである。つまり、対向電極18と吸着手段17とは通電状態にある。対向電極18は、SUSなどのステンレス、アルミ、金、銀、銅などで形成されている。なお、これらに限られること無く、導電性の素材であれば良い。
【0027】
これら絶縁性基板14と、導電部28とは、筒形状のケース部13の他端開口部に嵌る固定部19によって、ケース部13に固定されるものである。対向電極18と放電電極15には電源部2から電圧を印加する構成である。
【0028】
本実施形態における特徴は、放電電極15は、絶縁材料で形成した第1の保持部20と、第2の保持部21とにより保持されている点である。
【0029】
第1の保持部20と第2の保持部21とは、ケース部13内において所定間隔離した位置で、ケース部13の一端開口部側から他端開口部側に向けて順次配置されている。ケース部13の一端開口部側には、第1の保持部20を備え、ケース部13の他端開口部側には、第2の保持部21を備えている。
【0030】
第1の保持部20は、筒形状のケース部13の内面から、中心軸方向に伸びた複数の四角柱形状の第1の保持腕22と、この第1の保持腕22間に設けた第1の通風開口部24から形成している。同様に、第2の保持部21は、筒形状のケース部13の内面から、中心軸方向に伸びた複数の四角柱形状の第2の保持腕23と、第2の保持腕23間に設けた第2の通風開口部25とから形成している。送風手段7によって、側面開口部26の一端開口部から他端開口部に向けて流れる送風が、これら第1の通風開口部24と、第2の通風開口部25とを通過するものである。
【0031】
すなわち、第1の保持部20、および第2の保持部21を絶縁材料で形成しているので、電源部2によって対向電極18と放電電極15とに電圧が印加されると、第1の保持部20と、第2の保持部21とが帯電する。ここで、これらの帯電した第1の保持部20と第2の保持部21の通風開口部を送風空気が通過する際に、微細な埃が静電気の力で第1の保持部20、および第2の保持部21に吸着する。
【0032】
つまり、送風空気が第1の保持部20と第2の保持部21の通風開口部である第1の通風開口部24と、第2の通風開口部25とを通過する際に、微細な埃が静電気の力で吸着され、微細な埃が低減した空気が、放電電極15の先端が位置する空間に流れ込むので、放電電極15の先端への微細な埃の付着を抑制し、活性種の発生を安定させることができるものである。
【0033】
ここで、放電電極15にプラスの電圧を印加した場合について説明を行う。図5のように、この放電電極15に、電源部2により放電電圧をプラス約3〜10KVで印加を行うと、放電電極15表面に強い電界が形成される。放電電極15にプラスの高電圧が印加されているため、空気中に存在する遊離電子が流れ込む。このとき、対向電極18は、マイナス状態となっているので、その結果、電子が移動することで、対向電極18から放電電極15へ電子が流れる。この状態がコロナ放電であって、このコロナ放電の力で後述のごとく、OHラジカル(活性種の一例)が発生する。
【0034】
更に詳細に説明すると、セラミック製の絶縁性基板14と吸着剤29は、接着剤30により接着されている。吸着剤29の表面はナノレベルの細孔31を有し、空気中の水分は、この細孔31内で水蒸気が凝縮することにより、水分を吸着することが知られている(Kelvinの毛管凝縮現象)。これにより、ゼオライトなどの吸着手段17に、空気中の水分が吸着され、電子が流れやすくなる。放電電極15にプラスの高電圧を印加してプラスコロナ放電を行うと、吸着剤29中の電子は、導電部28を介して放電電極15に強い力で引き寄せられるため、電子が高速で移動する。電子が、吸着剤29の近くに有る酸素分子と衝突すると、酸素分子に電子が一つ増えた状態の酸素分子の陰イオンが発生する。その後、酸素分子陰イオンが、絶縁性基板14の表面に吸着された水分子と反応をすることで、OHラジカルなどの活性種を発生する。吸着した水分の周辺でコロナ放電が起こることにより、水分が電子と反応しやすくなるため、OHラジカルの発生をより行いやすくするものである。
【0035】
次に、図6のように、放電電極15にマイナスの電圧を印加した場合について説明を行う。放電電極15に、電源部2により放電電圧をマイナス約3〜10KVで印加を行うと、放電電極15表面に強い電界が形成される。放電電極15にマイナスの高電圧が印加されているため、空気中に遊離電子が放出される。導電部28に接した絶縁性基板14は、プラス側となる。その結果、電子が移動することで、対向電極18から導電部28を介し、放電電極15へ電流が流れる。
【0036】
図6の放電電極15から空気に放出された電子は、対向電極18の強い電界に強い力で引き寄せられるため、電子が高速で移動し、空気中の分子などと衝突する。このとき高速で移動している電子が、空気中の酸素分子と衝突するすると、酸素分子に電子が一つ増えた状態の酸素分子の陰イオンが発生する。その後、酸素分子陰イオンが、絶縁性基板14の表面に吸着された水分子と反応をすることで、OHラジカルが発生する。
【0037】
上記のようなマイナスに印加された放電電極15からの放電であるいわゆるマイナスコロナ放電を行うことにより、吸着手段17周辺の水分が電子と反応することにより、OHラジカルの発生をより行いやすくするものである。
【0038】
また、第1の保持部20と第2の保持部21との間のケース部13部分には、四角形状の開口である側面開口部26を設けている。この側面開口部26は、ケース部13内と、ケーシング8の吐出口12から本体ケース5の排気口4へ連通する風路とを連通する風路である。
【0039】
すなわち、室内の空気は、送風手段7によって、本体ケース5の吸気口3から吸い込まれ、第1の保持部20の第1の通風開口部24からケース部13内へ流れ込む。ここで、空気の流れが2方向に分かれ、一方は、第2の保持部21の第2の通風開口部25を介してケース部13の他端開口部からケース部13外へ流れ、他方は、側面開口部26からケース部13外へ流れる。すなわち、この側面開口部からケース部13外への流れによって、第1の保持部20に吸着されて溜まった埃の固まりの一部が、ケース部13外へ流れ出すものである。
【0040】
また、側面開口部26を介して放電電極15と電源部2とを放電接続部27によって接続したものである。このように、側面開口部26を介することによって、新たに開口等を設けることなく、放電電極15と電源部2とを放電接続部27によって接続できる。
【0041】
また、第1の保持部20、第2の保持部21は、ケース部13の内周面から放電電極15に向けて伸びた複数の保持腕である第1の保持腕22と、第2の保持腕23と、これら第1の保持腕22間に設けた第1の通風開口部24と、これら第2の保持腕23間に設けた第2の通風開口部25とを有する。側面開口部26は、第1の保持部20と第2の保持部21との間において、第2の保持部21の第2の保持腕23の延長部分に形成されたものである。具体的には、側面開口部26は、第1の保持部20と第2の保持部21との間において、第2の保持部21の第2の保持腕23の下面の一部が側面開口部26の上面の少なくとも一部をなすものである。
【0042】
すなわち、送風手段7によって、本体ケース5の吸気口3から吸い込まれ、第1の保持部20の第1の通風開口部24からケース部13内へ流れ込む。ここで、一部の空気は、第2の保持腕23の下面に当たり、更に、下面に沿って流れ、第2の保持腕23の延長部分に形成された側面開口部26の上面からケース部13外への流れによって、第2の保持部21に吸着されて溜まった埃の固まりの一部が、ケース部13外へ更に流れ出るものである。
【0043】
また、第2の保持部21の第2の保持腕23は、その放電電極15側から側面開口部26に向けて、ケース部13の他端開口部側に向けて傾斜させたものである。
【0044】
これにより、送風手段7によって、本体ケース5の吸気口3から吸い込まれ、第1の保持部20の第1の通風開口部24からケース部13内へ流れ込む。ここで、一部の空気は、第2の保持腕23の下面に当たり、更に、下面に沿って流れ、第2の保持腕23の延長部分に形成された側面開口部26からケース部13外への流れによって、第2の保持部21に吸着されて溜まった埃の固まりの一部が、ケース部13外へ更に流れ出るものである。
【0045】
また、第1の保持部20、第2の保持部21のそれぞれに形成した通風開口部である第1の通風開口部24と第2の通風開口部25とは、ケース部13の軸方向の外周においてずらせて配置したものである。つまり、本体ケース5の一端開口部側から見ると、第1の通風開口部24の先には、少なくとも第2の保持腕23の一部が位置するものである。
【0046】
このように、第1の通風開口部24と第2の通風開口部25とは、ケース部13の軸方向の外周においてずらせて配置しているので、送風手段7によって、本体ケース5の吸気口3から吸い込まれ、第1の保持部20の第1の通風開口部24からケース部13内へ流れ込んだ空気は、第2の保持腕23に当たり易くなる。
【0047】
また、絶縁性基板14はケース部13の他端開口部に配置したものである。これにより、絶縁性基板14から発生したOHラジカルは、送風手段7の送風によって、他端開口部からケース部13の外へ流れるので、ケース部13内にOHラジカルが留まることを抑制できる。
【0048】
また、絶縁性基板14をケース部13の他端開口部に装着するリング形状の固定部19を設けたものである。この固定部19は、ケース部13他端開口部の内面に嵌る円筒形状である。この固定部19をケース部13に嵌めると、固定部19がケース部13他端開口部の内面に嵌ると共に、固定部19の一端側端部は、絶縁性基板14の周縁部と接触し、絶縁性基板14をケース部13に固定するものである。このように、固定部19によって、絶縁性基板14の周縁部をケース部13に固定するので、絶縁性基板14がケース部13に対して傾くのを抑制できる。結果として、絶縁性基板14と放電電極15との距離を均一にできる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように本発明は、筒形状のケース部と、このケース部の一端開口部からこのケース部内に、その先端側を挿入した放電電極と、前記放電電極の先端側に所定間隔をおいて対向配置した絶縁性基板とを備え、前記絶縁性基板は、前記放電電極の先端側に対向する部分に配置した孔部と、この孔部の外周に配置した吸着手段と、この吸着手段に通電する対向電極とを有し、前記放電電極は、前記ケース部内において所定間隔離した位置で、ケース部の一端開口部側から他端開口部側に向けて順次配置した第1、第2の保持部により保持した構成とし、これら第1、第2の保持部は、前記ケース部の一端開口部から他端開口部に向けて流れる送風が通過する通風開口部を有すると共に第1、第2の保持部を絶縁材料で形成した構成とし、前記対向電極と前記放電電極には電源部から電圧を印加する構成としたもので、放電電極の先端への微細な埃の付着を抑制し、活性種の発生を安定させることができる。
【0050】
すなわち、第1の保持部、および第2の保持部を絶縁材料で形成しているので、電源部によって対向電極と放電電極とに電圧が印加されると、第1の保持部と、第2の保持部とが帯電する。ここで、これらの帯電した第1の保持部と第2の保持部の通風開口部を送風空気が通過する際に、微細な埃が静電気の力で第1の保持部、および第2の保持部に吸着する。
【0051】
つまり、送風空気が第1の保持部と第2の保持部の通風開口部を通過する際に、微細な埃が静電気の力で吸着され、微細な埃が低減した空気が、放電電極の先端が位置する空間に流れ込むので、放電電極の先端への微細な埃の付着を抑制し、活性種の発生を安定させることができるものである。
【0052】
したがって、空気清浄機としての活用が期待される。
【符号の説明】
【0053】
1 活性種発生装置
2 電源部
3 吸気口
4 排気口
5 本体ケース
6 活性種発生手段
7 送風手段
8 ケーシング
9 電動機
10 羽根
11 吸込口
12 吐出口
13 ケース部
14 絶縁性基板
15 放電電極
16 孔部
17 吸着手段
18 対向電極
19 固定部
20 第1の保持部
21 第2の保持部
22 第1の保持腕
23 第2の保持腕
24 第1の通風開口部
25 第2の通風開口部
26 側面開口部
27 放電接続部
28 導電部
29 吸着剤
30 接着剤
31 細孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状のケース部と、このケース部の一端開口部からこのケース部内に、その先端側を挿入した放電電極と、前記放電電極の先端側に所定間隔をおいて対向配置した絶縁性基板とを備え、前記絶縁性基板は、前記放電電極の先端側に対向する部分に配置した孔部と、この孔部の外周に配置した吸着手段と、この吸着手段に通電する対向電極とを有し、前記放電電極は、前記ケース部内において所定間隔離した位置で、ケース部の一端開口部側から他端開口部側に向けて順次配置した第1、第2の保持部により保持した構成とし、これら第1、第2の保持部は、前記ケース部の一端開口部から他端開口部に向けて流れる送風が通過する通風開口部を有すると共に第1、第2の保持部を絶縁材料で形成した構成とし、前記対向電極と前記放電電極には電源部から電圧を印加する構成とした活性種発生装置。
【請求項2】
前記第1、第2の保持部間のケース部分に側面開口部を設けた請求項1に記載の活性種発生装置。
【請求項3】
ケース部の側面開口部を介して前記電源部と前記放電電極を接続した請求項2に記載の活性種発生装置。
【請求項4】
前記第1、第2の保持部は、前記ケース部の内周面から前記放電電極に向けて伸びた複数の保持腕と、保持腕間に設けた通風開口部を有する構成とし、前記側面開口部は、前記第1、第2の保持部間において、第2の保持部の保持腕の延長部分に形成された請求項1から3のいずれか一つに記載の活性種発生装置。
【請求項5】
第2の保持部の保持腕は、前記放電電極側から前記側面開口部に向けて、前記ケース部の他端開口部側に向けて傾斜させた構成とした請求項4に記載の活性種発生装置。
【請求項6】
前記第1、第2の保持部のそれぞれに形成した通風開口部は、前記ケース部の軸方向の外周においてずらせて配置した請求項1から5のいずれか一つに記載の活性種発生装置。
【請求項7】
絶縁性基板はケース部の他端開口部に配置した請求項1から6のいずれか一つに記載の活性種発生装置。
【請求項8】
絶縁性基板をケース部の他端開口部に装着するリング形状の固定部を設けた請求項7に記載の活性種発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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