活性金属を有するメソ孔物質
有機化合物を処理するプロセスは、約15オングストロームから約30オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔を体積で少なくとも97%含有しかつ少なくとも約0.01cc/gのミクロ孔体積を有する、シリカの実質的なメソ孔構造であって、Al、Ti、V、Cr、Zn、Fe、Sri、Mo、Ga、Ni、Co、In、Zr、Mn、Cu、Mg、Pd、Pt、およびWから成る群より選択される少なくとも一つの触媒的および/または化学的に活性なヘテロ原子を重量で少なくとも約0.02%を組み込んでいるメソ孔構造を含む組成物であって、前記触媒は、2θにおいて0.3°から約3.5°に一つのピークを有するX線回折パターンを有する、組成物を提供する。触媒は、反応条件下で有機供給物と接触し、処理プロセスは、アルキル化、アシル化、オリゴマー化、選択的酸化、水素化処理、異性化、脱金属化、触媒的脱ろう化、ヒドロキシル化、水素化、アンモオキシム化、異性化、脱水素、クラッキング、および吸着から選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メソ孔物質、特に触媒物質と、有機化合物、特に炭化水素の変換のためのメソ孔物質の使用とに関する。
(関連出願のクロスリファレンス)
本出願は、1999年9月7日に出願されすでに米国特許第6,358,486B1号として発行されておりそれに対して優先権が主張されている米国特許出願第09/390,276号の一部継続出願であって参照することによって本願に引用される2001年11月27日に出願された米国特許出願第09/995,227号の一部継続出願である。
【背景技術】
【0002】
現在の炭化水素処理技術の大部分は、ゼオライト触媒に基づく。ゼオライト触媒は、当業技術内でよく知られており、均一な細孔径を有するよく配列された細孔系を備える。しかしながら、これらの物質は、ミクロ孔のみあるいはメソ孔のみを有する傾向がある。ミクロ孔は、約2nmより小さな直径を有する細孔として規定される。メソ孔は、約2nmから約50nmの範囲の直径を有する細孔として規定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような炭化水素処理反応は、物質移動によって限定されるので、理想的な細孔径を有する触媒は、活性触媒点への反応物の輸送および触媒からの生成物の輸送を促進することになる。
【0004】
依然として、炭化水素および他の有機化合物の触媒変換および/または吸着に向けられるプロセスのための多孔質骨格内に機能化点を有する改良された物質が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここでは、有機化合物を処理するプロセスが提供される。プロセスは、(a) 約15オングストロームから約30オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔を体積で少なくとも97%含有しかつ少なくとも約0.01cc/gのミクロ孔体積を有する、シリカの実質的なメソ孔構造であって、Al、Ti、V、Cr、Zn、Fe、Sn、Mo、Ga、Ni、Co、In、Zr、Mn、Cu、Mg、Pd、Pt、およびWから成る群より選択される触媒的および/または化学的に活性なヘテロ原子を重量で少なくとも約0.02%を組み込んでいるメソ孔構造を含む組成物であって、前記触媒は、2θにおいて0.3°から約3.5°に一つのピークを有するX線回折パターンを有する、組成物を提供し、(b) 反応条件下で有機供給物を前記触媒と接触させる、ことを含み、この処理プロセスは、アルキル化、アシル化、オリゴマー化、選択的酸化、水素化処理、異性化、脱金属化(demetalation)、触媒的脱ろう化(dewaxing)、ヒドロキシル化、水素化、アンモオキシム化(ammoximation)、異性化、脱水素、クラッキング、および吸着から成る群より選択される。
【0006】
本発明の一態様は、石油の油類、好ましくは、望ましくないほど高い金属および/または硫黄および/または窒素の含有量を有する石油の油類の残留留分、および/またはコンラッドソン炭素残留物(Conradson Carbon Residue)(CCR)の脱金属化および脱硫、のための改良された触媒プロセスを取り扱う。より詳細には、本発明は、石油の油類、また好ましくは残留炭化水素成分を含有する石油の油類の高い金属、硫黄、および窒素含有量、およびCCRを低減するための水素化処理プロセスに関する。
【0007】
残留の石油の油留分は、原油の大気または真空蒸留によって製造され、一般に、多量の金属、硫黄、窒素、およびCCR含有量を有する。これが生じるのは、元の原油中に存在する実質的に全ての金属およびCCRが残留留分中に残留し、かつ、元の原油中の不釣り合いな量の硫黄および窒素もまたこの留分中に残留するからである。主な金属汚染物質は、ニッケルおよびバナジウムであり、鉄および少量の銅も時として存在する。
【0008】
高い金属、硫黄、窒素、およびCCR含有量の残留留分は一般に、次の接触分解および水素化分解などの触媒処理のための投入原料としての残留留分の効果的な使用を制限する。金属汚染物質は、これらのクラッキングプロセスのための特別な触媒上に堆積し、触媒の早めの老化、および/または、コークス、乾性ガス、および水素へのクラッキングなどといった望ましくない副反応を生じる。FCCプロセスの間では、大部分の硫黄が、最後にはFCC触媒のコークスとなり、これは、再生時に燃焼し、結果としてかなりのSOx放出となる。残滓硫黄の別の主要な最終結果物は、ガソリンおよび自動車用軽油(ディーゼル燃料および家庭用暖房燃料のための混合成分)などの最終クラッキング生成物中にある。いくらかの窒素は、NOx放出の一因となり、またいくらかの窒素(塩基性窒素化合物)は、FCC触媒の活性点に結合することになり、それを無効にする。CCR、すなわち分解および/または蒸留されるのではなくコークス化される分子の傾向の程度も、接触分解により処理される投入の流れのための性質としては望ましくない。接触分解において使用される高温下では、CCRの高い分子は、熱的および/または触媒的にコークス、軽気体、および水素に分解される。接触分解は一般に、通常20未満のAPI比重を有する残留留分より軽い炭化水素投入原料を用いて行われる。
【0009】
最も一般的なクラッキング投入原料は、コーカーおよび/または粗単位ガス油、真空塔オーバーヘッド、その他であり、供給原料は、約15から約45のAPI比重を有する。このようなクラッキング投入原料は蒸留されるので、金属が濃縮する大きな分子をそれほど大きな割合で含有していない。このようなクラッキングは通常、約425から800℃の温度、約1から5気圧の圧力、および約1から1000WHSVの空間速度で作動される反応器内で実行される。
【0010】
金属および硫黄汚染物質は、分解単位へ投入される原料よりかなり軽い投入原料に通常実行される水素化分解作用に、同様の問題を生じるであろう。通常の水素化分解反応器の条件は、200から550℃の温度および700から20,000kPaの圧力から成る。炭化水素の、特に残留石油留分の金属および/または硫黄および/または窒素および/またはCCRの含有量を低減する効率的な方法の必要性がかなりあることは明らかである。蒸留留分用にこれを達成する技術は、随分と進歩してきたが、この技術を残留留分に適用する試みは一般に、主に金属汚染物質およびコークス分解による触媒の非常に速い不活性化のせいで失敗している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
さまざまな実施態様が、図面を参照して以下に説明される。
【0012】
本発明の触媒は、構造が実質的にメソ孔である三次元の安定した多孔質シリカを含む。このシリカは、非結晶性の構造であるが、規則的な(擬結晶性)構造を有する。メソ孔物質は、米国特許第6,358,486B1号に記載されており、この特許は、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0013】
本発明の非晶質シリカ物質は一般に、メソ孔およびミクロ孔両方を含む。ミクロ孔は、約2nm未満の直径を有する細孔として定義される。メソ孔は、約2nmから約50nmの直径を有する細孔として定義される。本発明の無機酸化物物質は、少なくとも約97%、好ましくは少なくとも約98%のメソ孔の体積百分率を有する。
【0014】
好ましい多孔質シリカ含有触媒担体を作成する方法は、米国特許第6,358,486B1号に記載されている。N2多孔度測定法で決定された好ましい触媒の平均メソ孔径は、約2nmから約25nmの範囲である。
【0015】
触媒は、多孔質ケイ酸塩構造内へ組み込まれた一つまたは複数の触媒活性金属ヘテロ原子を含みかつこれらで機能化されている。触媒活性金属ヘテロ原子(すなわち、非ケイ素原子)は、元素の周期表のIB、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII、IVA、およびIIIA族から選択できる。適切な金属ヘテロ原子としては、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、ガリウム(Ga)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、インジウム(In)、ジルコニウム(Zr)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、およびタングステン(W)などが挙げられる。組み込まれるヘテロ原子は、多孔質マトリックス内でクラスターとして分離および/または分散され得る。これらは、原子の形態または分子の形態(例えば、酸化物として)とすることができる。触媒のヘテロ原子含有量は、重量で触媒の少なくとも約0.02%である。触媒中のヘテロ原子のケイ素原子に対する原子比は、約0.9まで、好ましくは約0.0001から約0.5の間で変化できる。
【0016】
本発明の組成物は、25オングストロームから440オングストロームの間の基底面間隔(basal spacing)に相当する2θにおける0.3°から3.5°に少なくとも一つのピークを示す特性X線回折パターン(「XRD」)を有する。窒素吸着試験は、約15オングストローム(1.5nm)から約300オングストローム(30nm)の範囲の調整できる(tunable)細孔径と、約300m2/gから約1,250m2/gの範囲の表面積と、約0.3cc/gから約2.5cc/gの細孔体積とを示す。
【0017】
本発明の組成物は、三次元のランダムに接続されたメソ孔系を有しており、このメソ孔系は、反応物および生成物の物質移動を容易にしかつ細孔閉塞を防止する。
【0018】
一般に、本発明のメソ孔シリカ物質は、少なくとも一つのシリカ供給源と、少なくとも一つのヘテロ原子供給源と、少なくとも一つの細孔形成有機鋳型剤とを含有する合成混合物から調製される。
【0019】
本発明の触媒を作成する方法の最初の段階においては、シリカ供給源と、ヘテロ原子供給源と、一つまたは複数の有機鋳型剤とが、水溶液中で混合されて、合成混合物(通常はゲル)を形成する。
【0020】
方法の中間の段階においては、合成混合物の揮発性成分(例えば、水、アルコール)が、強制空気流あり、またはなしの乾燥などの従来の方法により除去される。乾燥は、例えば、40℃から約130℃において約72時間以下で、より好ましくは、約60℃から約120℃において約6から36時間行うことができる。
【0021】
最後の段階においては、一つまたは複数の有機鋳型剤が、か焼および抽出などの従来の方法により除去される。一般に、か焼は、酸素含有気体(例えば、空気)を用いて、約450℃から約900℃の温度において2から20時間、好ましくは、540℃から約700℃のにおいて4から15時間実施される。抽出は、有機溶媒を用いて、使用する有機溶媒に依存して約30℃から約100℃の温度において行うことができる。低毒性または無毒性のいくつかのアルコールが、溶媒として好ましい。
【0022】
任意選択的に、方法は、合成混合物から揮発性成分を除去する前に、10℃において24時間以下で合成混合物を熟成することを含むことができる。
【0023】
任意選択的に、合成混合物は、細孔形成剤を除去する前に、オートクレーブ中で約100℃から約220℃の温度において約10日間以下で、好ましくは、約120℃から約200℃の温度において96時間以下で加熱できる。オートクレーブ中での加熱工程は、特定の要求に適合するメソ孔性を調整できる。加熱の間に、ケイ素およびアルミニウムなどの無機化学種が、合体して無機骨格構造を形成することになり、同時に、細孔形成剤が、凝集して、この無機骨格構造を形づくる。凝集物の大きさ分布が、メソ孔径分布を決定する。しかしながら、凝集物の大きさは主として、細孔形成剤の性質と、加熱温度と、加熱時間の長さとに依存する。従って、特定の細孔形成剤では、最終物質のメソ孔性は、温度および加熱時間を操作することにより調整できる。
【0024】
より詳細には、最初の段階においては、シリカ供給源またはシリカ前駆体は、いくつかの有機基を含有するケイ素化合物とすることができる。このような化合物は、例えばケイ酸テトラエチル(「TEOS」)などのアルコキシド、および例えばトリエタノールアミン置換シラトランなどのシラトランとすることができる。シリカ供給源は代替として、無水または含水シリカゲルまたはシリカヒドロゲルなどの無機物とすることができる。シリカ供給源は、地熱シリカとすることもできるが、しかし、反応性を促進するためには、結晶性供給源でないのが好ましい。
【0025】
有機鋳型剤は好ましくは、無機化学種(すなわち、シリカおよびヘテロ原子)と水素結合を形成するヒドロキシル(−OH)基を含有する。これらは、ケイ素およびヘテロ原子と結合できる電子対を有する原子を有することができる。このような有機鋳型剤としては、グリコール(例えば、プロピレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール)、アルカノールアミン(例えば、トリエタノールアミン[「TEA」]、トリイソプロパノールアミン)、ジエチルグリコール=ジベンゾアート、トリエチレンペンタアミン、デンプン、およびスルホランが挙げられる。有機鋳型剤は、150℃を超える、好ましくは約180℃を超える沸点を有する必要がある。
【0026】
ヘテロ原子供給源は、有機基ありまたはなしとすることができ、一般に溶液の形態で添加される。例えば、アルミニウムの場合は、供給源は、アルミニウムアルコキシド(例えば、アルミニウムイソプロポキシド)、アルミナ、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、または塩化アルミニウムとすることができる。
【0027】
合成混合物は、混合物のpHを調整するのにアルカリまたは酸を含むこともできる。アルカリとしては一般に、水酸化テトラエチルアンモニウム(「TEAOH」)およびその他の水酸化テトラアルキルアンモニウム、尿素、および同様のものなどといった有機アルカリ、または水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、および同様のものなどといった無機アルカリが挙げられる。
【0028】
溶媒、反応条件、成分を添加および混合する順序、およびpHは、ヘテロ原子に依存することができ、ヘテロ原子の時期尚早の分離(例えば、沈殿)を防止するように選択する必要がある。時期尚早の分離は、結果としてヘテロ原子がシリカ構造内へ取り込まれるのが失敗することになり得る。
【0029】
本発明の組成物は、触媒、共触媒(触媒の一部)、触媒担体、吸着剤、および分子ふるいとして適用できる。組み込まれるヘテロ原子の機能性に依存して、組成物は、弱い、中間の、および強い酸性を有することができ、その結果、クラッキング、異性化、アルキル化、アシル化、オリゴマー化/重合、有機化合物の脱水、および脱硫に触媒作用を及ぼすことができる。組成物は、レドックスの性質を有することもでき、このレドックスの性質は、アルケンのエポキシ化(例えば、シクロヘキセン、オクテン、エチレン、またはプロピレン)、アルカン(例えば、シクロドデカン、シクロヘキサン)、アルコール、およびアミンの選択的酸化、アロマティックスのヒドロキシル化、およびケトンのアンモオキシム化に触媒作用を及ぼすことができる。組成物は、共触媒または触媒担体として使用できる。例えば、この組成物への貴金属、例えばPdおよび/またはPt/の添加は、水素化分解、水素化、脱水素、および脱硫の機能性を提供する。この組成物は、上述した全ての可能なヘテロ原子と共に、全ての種類のゼオライト、及びゼオライト状構造を含むこともできる。
【0030】
酸性を与える本発明の組成物の典型例は、アルミニウムおよび/またはガリウムを含有する組成物である。一群の工業的に重要な反応は、アルキル化であり、このアルキル化は従来は、AlCl3およびHFなどの腐食性のルイス酸を使用し、多量の廃棄物を生成する。本発明の組成物は、環境にやさしく、従来の触媒に置き換わり得る。これは、アルキル化剤としてオレフィン、ハロゲン化アルキル、またはアルコールを用いるアルカンまたは芳香族のアルキル化(フリーデル−クラフツアルキル化を含む)に触媒作用を及ぼすことができる。芳香族化合物としては主に、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、および、トルエン、キシレン、イソプロピルナフタレン、ジフェニルオキシド、または2,4−ジ−t−ブチルフェノールなどといったこれらの誘導体が挙げられる。オレフィンアルキル化剤としては主に、α−オレフィン、好ましくは炭素数3以上、好ましくは炭素数5以上のものが挙げられる。適切なオレフィンとしては例えば、エチレン、プロピレン、および1−ヘキサデセンが挙げられる。アルコールアルキル化剤としては主に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、およびシンナミルアルコールが挙げられる。アルキル化反応は、約80℃から約400℃の温度において1と50バールの間の圧力下、好ましくは、約90℃から約300℃および1と30バールの間において実行できる。
【0031】
オレフィンのオリゴマー化および重合は、ガソリン、ジェット燃料、ディーゼル燃料、および潤滑基油のための留分を生成できる。本発明の触媒組成物、特にアルミニウム、クロム、ガリウム、または鉄ヘテロ原子を含有する触媒組成物は、炭素数3を上回り超えるα−オレフィンなどのオレフィンのオリゴマー化のための触媒として使用できる。反応条件は、特定の供給原料および所望の生成物に依存するが、約25℃から約300℃の範囲の温度と、大気圧から約70バールの範囲の圧力とを含む。
【0032】
本発明の触媒組成物は、有機化合物の選択的酸化のために使用できる。特に好ましいのは、例えば、銅、亜鉛、鉄、チタン、クロム、バナジウム、モリブデン、およびスズを含む遷移金属から選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有する触媒組成物である。例えば、チタン、亜鉛、クロム、鉄、およびマンガンを含有する組成物が、フェナントレン、アントラセン、およびtrans−スチルベンなどといったアロマティックスを含むオレフィンのエポキシ化に触媒作用を及ぼすことができる。この種の反応に使用される酸化剤としては、有機または無機過酸化物、窒素酸化物、酸素、および酸素を含有する任意の気体混合物が挙げられる。銅および亜鉛を含有する組成物が、アルコールの対応するアルデヒドへの選択的酸化に触媒作用を及ぼすのに特に好ましい。フェノールおよび1−ナフトールのヒドロキシル化は、スズ、鉄、銅、コバルト、およびバナジウムを含有する触媒組成物を用いて達成できる。
【0033】
従来技術においては、アロマティックスのアシル化は一般に、莫大な量の廃棄物を生成するAlCl3、FeCl3、H2SO4、その他などといったルイス酸を用いて実施されていた。これとは対照的に、本発明の組成物、特にアルミニウム、鉄、ガリウム、インジウム、その他を含有する実施態様は、ルイス酸に置き換わる。アシル化剤としては主に、ハロゲン化アシル、カルボン酸無水物が挙げられる。芳香族化合物としては主に、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、およびこれらの誘導体が挙げられる。アシル化は、約40℃から約300℃の温度において約0.5バールから約20バールの圧力下、好ましくは、約60℃から約250℃および約1から15バールの圧力において実行できる。
【0034】
本発明のメソ孔シリカ中にヘテロ原子として組み込まれるとき、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、またはこれらの組み合わせなどといった遷移金属、または白金、パラジウム、またはこれらの組み合わせなどといった貴金属は、(1)ガソリン、ジェット燃料、ディーゼル燃料、および潤滑油内のアロマティックスの水素化; (2)真空ガス油などの重質留分、残滓留分、および石炭から由来する液体(石炭油)の水素化分解; (3)上述した留分を含む、炭化水素のCCR還元、脱窒素、脱硫、および脱金属化、などといった水素処理プロセスに特に適している触媒を提供する。脱金属化は、鉄、ニッケル、バナジウム、およびヒ素の除去のために特に有用である。水素処理反応条件は一般に、約40℃から約400℃、好ましくは約60℃から約350℃の範囲の反応温度と、体気圧から約300バールの範囲の圧力とを含む。
【0035】
炭化水素(例えば、n−ブタン、n−ペンタン、1−ブテン、およびキシレン)の異性化は、本発明の触媒を用いることによって、触媒作用を受けることができる。異性化のための好ましい触媒組成物は、ヘテロ原子としてジルコニウム、タングステン、ガリウム、鉄、チタン、およびアルミニウムを含有する。
【0036】
飽和炭化水素の不飽和炭化水素への脱水素は、主としてバナジウム、鉄、ガリウム、コバルト、およびクロムを含有する組成物を用いて触媒作用を受けることができる。飽和炭化水素は、例えば、プロパン、イソブタン、およびエチルベンゼンとすることができる。気体時間当たり空間速度(gas hourly space velocity)(GHSV)は一般に、100から2000hr−1、好ましくは500から1000hr−1の範囲である。作動圧力は一般に、約7kPaから約600kPa、好ましくは約7kPaから約400kPaの範囲にある。反応温度は一般に、約350℃から約650℃、好ましくは約450℃から約600℃の範囲である。
【0037】
炭化水素クラッキングは有利には、ニッケル、タングステン、コバルト、モリブデン、アルミニウム、および/またはガリウムを含有する本発明の触媒組成物を用いて実行できる。さらに、本発明の触媒組成物は、単独であるいはゼオライトと共に使用できる。炭化水素は、流体接触分解、水素化分解、その他のための供給原料とすることができる。触媒組成物は、廃棄ポリマーのクラッキングに触媒作用を及ぼして、所望の化学物質の有用な留分を回収することもできる。
【0038】
組成物は、フィッシャー−トロプシュ法のための触媒として使用できる。このプロセスは、炭化水素から成る流出物の流れを生成するのに有効な変換促進条件に維持された反応区域内の触媒と、水素および一酸化炭素から成る供給流れを接触させることを含む。気体時間当たり空間速度(GHSV)は、約100体積/時間/体積触媒(hr−1)から約10,000hr−1、好ましくは約300hr−1から約2,000hr−1の範囲とすることができる。反応温度は一般に、約160℃から約300℃、好ましくは約190℃から約260℃の範囲である。反応圧力は一般に、約5バールから約60バール、好ましくは8バールから約30バールの範囲である。
【0039】
組成物は、特定の化合物を効果的かつ選択的に吸着するのに使用できる。その調整できる細孔および機能化細孔壁により、この組成物によって、さまざまな化合物が、細孔に入り、壁上または壁内の機能化ヘテロ原子団と相互作用できる。例えば、取り込まれたヘテロ原子は、高いけれども不飽和の配位数を有することができ、この配位数によって、ヘテロ原子は、酸素含有、窒素含有、および硫黄含有化合物と配位結合を形成でき、それによって、流れからこれらの化合物を効果的に除去する。それは、塩基−酸相互作用とすることもできる。例えば、アルミニウムを含有する組成物は、流れからシアヌル酸およびp−クロロフェノールなどの毒性のある化合物を除去できる。従って、組成物は、吸着剤および分子ふるいとして使用できる。
【0040】
本発明の開示は、ヘテロ原子を含み、かつ、調整できる細孔径を有するランダムに接続された三次元細孔構造を有する、新しい種類のメソ孔またはメソ−ミクロ孔ケイ酸塩を提供する。それは、全く界面活性剤を含まないメソ孔を合成する新しい費用対効果の大きいプロセスを提供する。それは、新しいさまざまな触媒物質を提供する。しかも、それは、触媒および分離にこの組成物を適用するプロセスを提供する。
【0041】
本発明のさまざまな特徴は、以下に与えられる実施例によって例示する。結果として得られた物質のX線粉末回折パターン(XRD)は、黒鉛モノクロメーターを備えるフィリップス(Philips)PW1840回折計によってCuKα放射を用いて記録した。試料は、0.02°刻みで0.5〜40°の2θの範囲で走査した。透過電子顕微鏡法(TEM)は、300kVで作動される電子源としてLaB6フィラメントを有するフィリップス(Philips)CM30T電子顕微鏡を用いて実施した。窒素収着等温線は、77Kにおいてクァンタクローム オートソーブ−6B(Quantachrome Autosorb−6B)によって測定した。メソ孔性は、バレット、ジョイナー、およびハレンダ(Barrett, Joyner and Halenda)(BHJ)法を用いて計算した。全ての組成部は、特に指定しない限り重量による。
【実施例1】
【0042】
この実施例は、か焼の前にオートクレーブ中で加熱せずにシリカ中にアルミニウムをどのように組み込むかを示す。
【0043】
最初に、1部のアルミニウムイソプロポキシド(Al(iso−OC3H6)3))を、26部の水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(TEAOH、35%)中に攪拌しながら添加した。溶解後、38部のトリエタノールアミン(TEA)を8部の水と共に上述の水溶液中に攪拌しながら添加した。次いで、26部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を、激しく攪拌しながら添加した。透明な溶液が得られた。攪拌を1時間継続し、次いで、合成混合物を、室温で一夜熟成し、空気中98℃で24時間乾燥した。最後に、合成混合物を、1℃/minの傾斜速度で空気中、570℃で10時間、か焼した。
【0044】
図1は、2θにおいて約1.1°に強い反射を有するそのXRDパターンを示しており、これは、メソ孔物質の特徴を示す。さらに、アルミナに対する分離されたピークが存在しないことは、バルクアルミナ相が形成されなかったことを意味する。図2は、透過電子顕微鏡法(TEM)画像を示すが、これは、ランダムに接続されたメソ孔構造を示している。元素分析は、それが、約24.8のSi/Al比を有することを示したが、これは、最初の25の合成混合物比と一致する。窒素吸着は、図3に示すように、983m2/gの表面積と、1.27cm3/gの全細孔体積と、4.2nmを中心とする狭いメソ孔分布とを示した。
【実施例2】
【0045】
この実施例は、か焼の前にオートクレーブ中で加熱するヘテロ原子の組み込みを示す。3.3部のアルミニウムイソプロポキシドを、42部のTEOSを有する瓶中に添加し、1時間攪拌した。7.6部のTEAと25.8部の水の混合物を、TEOSとAl(iso−OC3H6)3)の混合物中に攪拌下、添加した。2時間攪拌後、21部のTEAOHを、上述の混合物中に滴下して添加し、濃厚なゲルが生成した。このゲルを、オーブン中で98℃において22時間乾燥し、次いで、190℃において16時間オートクレーブ中に移し置いた。最後に、ゲルを、空気中、600℃で10時間、か焼した。
【0046】
図4は、2θにおいて低い角度に強い反射を有するそのXRDパターンを示しており、これは、メソ孔物質の特徴を示す。元素分析は、約24.5のそのSi/Al比を示したが、これは、最初の合成混合物の比が25であったことと一致する。窒素吸着は、799m2/gの表面積と、1.24cm3/gの全細孔体積と、4.5nmを中心とする狭いメソ孔分布とを示した。
【実施例3】
【0047】
(実施例3A)これは、アルミニウムの組み込みと、組成物のその安定性とを示す。3部のアルミニウムイソプロポキシドを、38.8部のTEOSを有する瓶中に添加し、1.5時間攪拌した。23部のTEAと21部の水の混合物を、上述の混合物中に攪拌下、添加した。2時間攪拌後、23部のTEAOHを、上述の混合物中に滴下して添加し、0.5時間攪拌後、それは、透明な溶液になった。この溶液を、オーブン中で100℃において4日間乾燥し、次いで、190℃において7.5日間オートクレーブ中に移し置いた。最後に、それを、1℃/minの傾斜速度で空気中、600℃で10時間、か焼した。
【0048】
(実施例3B)元素分析は、Si/Al比が99.2であることを示した。図5は、強いピークを有するそのXRDパターンを示す。窒素吸着は、図6に示すように、17nmを中心とする狭い細孔径分布を示しており、約385m2/gの表面積と、約1.32cm3/gの細孔体積とを示した。
【0049】
(実施例3C)実施例3Aで得た物質を、水中で17時間煮沸したが、図5に示すそのXRDパターンは、依然として元の物質に類似した強いピークを示している。それは、この組成物が、他のメソ孔物質に比較して高い熱水安定性を有することを示している。
【0050】
実施例3Aで得た物質を、空気中、900℃でか焼したが、そのXRDパターン(図5)は、依然として強いピークを示しており、これは、メソ孔構造が保持されていたことを示す。これは、この組成物が、900℃まで高い熱安定性を有することを示している。
【実施例4】
【0051】
これは、シリカ中にアルミニウムを組み込むのに無機ヘテロ原子供給源を使用する実施例である。7.2部の硝酸アルミニウム無水和物を、20部の水に溶解した。次いで、61.4部のTEOSを添加し、0.5時間攪拌した。56.3部のテトラエチレングリコーグと24部の水とのさらなる混合物を、上述の混合物中に攪拌下、添加した。1時間攪拌後、49部の水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(TEAOH、35wt%)を添加し、0.5時間攪拌後、最終混合物は、濃厚なゲルになった。このゲルを、オーブン中で100℃において一夜乾燥し、次いで、180℃において3時間オートクレーブ中に移し置いた。最後に、それを、1℃/minの傾斜速度で空気中、600℃で10時間、か焼した。
【0052】
元素分析は、15.3のSi/Al比を示した。そのXRDは、2θにおいて約1度に強いピークを示した。窒素吸着は、4.5nmを中心とする狭い細孔径分布と、約786m2/gの比表面積と、約1.02cm3/gの全細孔体積とを示した。
【実施例5】
【0053】
これは、シリカ中へのバナジウムの組み込みを例示する。1部のアセチルアセトナトバナジウム(IV)を、41部のTEOSを有する瓶中に添加し、2時間攪拌した。30部のTEAと25部の水の混合物を、上述の混合物中に攪拌下、添加した。2時間攪拌後、20部のTEAOHを、上述の混合物中に滴下して添加し、0.5時間攪拌後、それは、固いゲルになった。このゲルを、室温で24時間熟成し、オーブン中で100℃において一夜乾燥し、次いで、空気中、700℃で10時間、か焼し、最終的に橙色粉末になった。
【0054】
元素分析は、Si/V比が50.5であることを示した。図7は、メソ構造に対する強いピークを有し、かつ、酸化バナジウム相からのどのようなピークも有さないそのXRDパターンを示す。窒素吸着は、4.1nmを中心とする狭い細孔径分布と、約835m2/gの比表面積と、約0.91cm3/gの細孔体積とを示した。
【実施例6】
【0055】
ここでは、チタン組み込みを示す。1部のチタン(IV)ブトキシドを、31部のTEOSを有する瓶中に添加し、2時間攪拌した。22.5部のTEAと17部の水の混合物を、上述の混合物中に攪拌下、添加した。1時間攪拌後、18.5部のTEAOHを、上述の混合物中に滴下して添加し、0.5時間攪拌後、それは、濃厚なゲルになった。このゲルを、室温で22時間熟成し、オーブン中で98℃において一夜乾燥し、次いで、空気中、700℃で10時間、か焼し、最終的に白色粉末になった。
【0056】
元素分析は、Si/Ti比が49.6であることを示した。図8は、メソ構造に対する強いピークを有し、かつ、酸化チタンに対する分離したピークを有さないそのXRDパターンを示す。窒素吸着等温線を図9に示すが、これは、図10に示す4.7nmを中心とする細孔径分布と、約917m2/gの比表面積と、約0.84cm3/gの全細孔体積とを示した。
【実施例7】
【0057】
【実施例8】
【0058】
【実施例9】
【0059】
これは、異なる三つのヘテロ原子の組み込みの例示である。42部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を、30部のトリエタノールアミン(TEA)と1時間混合して、混合物Iを得た。混合物IIを、22部の水中へヘテロ原子供給源を溶解することによって調製した。1部の硝酸ガリウム、0.54部の塩化亜鉛、および0.9部の塩化スズを、実施例7、8、および9のためにそれぞれ用いた。混合物IIを、混合物I中に攪拌下、滴下して添加した。組み合わせた混合物IおよびIIを0.5時間攪拌した後に、24.5部の水酸化テトラエチルアンモニウムを、攪拌しながら滴下して添加した。2時間攪拌した後に、三つの混合物はそれぞれ、透明な溶液になるのが観察され、最後に、0.5gの水酸化アンモニウム(27〜30wt%)を添加した。さらに2時間攪拌した後に、混合物を静置して一夜熟成した。混合物を、98℃において24時間乾燥し、それぞれ乾燥ゲルになった。乾燥ゲルを、180℃において2.5時間オートクレーブ中に充填し、最後に、空気中、600℃で10時間、か焼した。
【0060】
図11は、実施例7、8、および9において調製したガリウム、亜鉛、およびスズ含有ケイ酸塩のXRDパターンをそれぞれ示す。表1は、三つの物質のメソ孔性および化学組成を与える。
【0061】
【表1】
【実施例10】
【0062】
この実施例は、シリカ中への二種類のヘテロ原子の同時組み込みを例示する。最初に、2.7部のアルミニウムイソプロポキシドを、0.86部のアセチルアセトナトバナジウム(IV)および34部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)と混合して第一の混合物を得た。第二の混合物は、34部のTEAと21部の水とを含有した。次いで、第二の混合物を、第一の混合物中に攪拌下、滴下して添加した。1.5時間攪拌した後に、16.8部の水酸化テトラエチルアンモニウムを、攪拌しながら滴下して添加した。合成混合物は、濃厚なゲルになった。このゲルを、室温で一夜静置して熟成し、100℃で42時間乾燥し、次いで、オートクレーブ中で180℃において3日間加熱した。最後に、それを、空気中、650℃で10時間、か焼した。
【0063】
図12は、アルミニウムおよびバナジウム含有ケイ酸塩のXRDパターンを示す。窒素吸着は、それが、11nmあたりの狭い細孔径分布(図13に示す)と、約433m2/gの表面積と、約1.25cm3/gの全細孔体積とを有することを示した。元素分析は、Si/Ti=13.5、およびSi/V=49.1を示した。
【実施例11】
【0064】
この実施例は、Fe含有メソ孔ケイ酸塩の調製を示す。1部の硝酸鉄(III)を、5部の脱イオン水中に溶解し、次いで、27.4部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)に添加し、1時間攪拌した。19.8部のトリエタノールアミン(TEA)と30.4部の脱イオン水とから成るさらなる溶液を、第一の混合物中に滴下して導入した。さらなる1時間の攪拌後、16.2部の水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)を、混合物中に滴下して添加した。最終の均質な淡黄色の溶液を、室温で24時間熟成し、100℃で24時間乾燥し、最後に、650℃で10時間、か焼して、淡黄色の粉末を得た。
【0065】
図14は、約0.5〜2.2°の低い角度に一つの強いピークを有するXRDパターンを示しており、これは、メソ構造の特徴を示す。元素分析は、Si/Feの元素比が48.4であることを示した。UV−可視分光法(図15)は、220nmあたりにピークを示したが、これは、4配位鉄を示しており、また、250〜350nmからの範囲に肩部も示したが、これは、シリカマトリックス中の鉄の八面体配位を示す。N2吸着測定は、約630m2/gのBET表面積と、約4.8nmの平均メソ孔直径(図16参照)と、約1.24cm3/gの全細孔体積とを示した。
【実施例12】
【0066】
Fe含有ケイ酸塩を作成する手順は、実施例11のものと同様であったが、しかしながら、わずか0.52部の硝酸鉄(III)を用いた。か焼後、元素分析は、粉末が98.6のSi/Fe原子比を有することを示した。窒素吸着は、580m2/gの比表面積と、5.96nmの平均細孔直径と、細孔体積1.82cm3/gとを示した。
【実施例13】
【0067】
これは、Cr含有ケイ酸塩の調製を示す。1.2部の硝酸クロム無水和物を、5部の脱イオン水中に溶解し、次いで、26.3部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)に添加し、1時間攪拌した。19部のトリエタノールアミン(TEA)と22.2部の脱イオン水とから成るさらなる溶液を、上述の溶液中に滴下して導入した。さらなる1時間の攪拌後、26.2部の水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)を、混合物中に滴下して添加した。最終の均質な淡緑色の溶液を、室温で24時間熟成し、100℃で24時間乾燥し、最後に、650℃で10時間、か焼して、クロムを含有する黄色がかった橙色の粉末を得た。
【0068】
図17は、約0.5〜2.2°の低い角度に一つの強いピークを有するXRDパターンを示しており、これは、メソ構造の特徴を示す。UV−可視分光法(図18)は、220および390nmあたりに二つの区別できるピークを示したが、これは、4配位クロムを示しており、また、480nmあたりに肩部も示したが、これは、シリカマトリックス中のポリクロム酸塩(−Cr−O−Cr−)nの八面体配位を示す。N2吸着測定は、約565m2/gのBET表面積と、約1.96nmの平均メソ孔直径(図19参照)と、約1.54cm3/gの全細孔体積とを示した。
【実施例14】
【0069】
Crメソ孔ケイ酸塩を作成する手順は、実施例13のものと同様であるが、しかしながら、1.31部の硝酸クロムを用いた。か焼後、元素分析は、粉末が40.3のSi/Cr原子比を有することを示した。窒素吸着は、572m2/gの比表面積と、2.35nmの細孔直径と、1.7cm3/gの細孔体積とを示した。
【実施例15】
【0070】
ここでは、Moを含有する組成物の調製を示す。1.6部の七モリブデン酸アンモニウム四水和物溶液[(NH4)6Mo7O24・4H2O]を、5部の脱イオン水中に溶解し、次いで、27.1部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)に添加し、1時間攪拌した。19.6部のトリエタノールアミン(TEA)と30.4部の脱イオン水とから成るさらなる溶液を、上述の溶液中に滴下して導入した。さらなる1時間の攪拌後、16.1部の水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)を、混合物中に滴下して添加した。最終の均質な淡黄色の溶液を、室温で24時間熟成し、100℃で24時間乾燥し、最後に、650℃で10時間、か焼して、白色粉末を得た。
【0071】
図20は、約0.5〜2.2°の低い角度に一つの強いピークを有するXRDパターンを示しており、これは、メソ構造の特徴を示す。UV−可視分光法(図21)は、220あたりにピークを示すが、これは、シリカマトリックス中の4配位クロムを示している。N2吸着測定は、約500m2/gのBET表面積と、約8.91nmの平均メソ孔直径(図22参照)と、約1.31cm3/gの全細孔体積とを示した。
【実施例16】
【0072】
Moメソ孔ケイ酸塩を作成する手順は、実施例15のものと同様であるが、しかしながら、3.9部の七モリブデン酸アンモニウム四水和物溶液[(NH4)6Mo7O24・4H2O]を用いた。か焼後、元素分析は、粉末が39.8のSi/Mo原子比を有することを示した。窒素吸着は、565m2/gの比表面積と、3.93nmの平均細孔直径と、0.98cm3/gの細孔体積とを示した。
【実施例17】
【0073】
メソ孔物質中へのNiとMo両方の同時組み込みを例示する。最初に、7.7部の硝酸ニッケル(II)六水和物および32部の七モリブデン酸アンモニウム四水和物を、54部の水中に攪拌下、溶解した。次いで、67部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を、上述の溶液中に激しく攪拌しながら添加した。1.5時間攪拌した後に、40部の水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)を、攪拌しながら滴下して添加した。合成混合物は、濃厚なゲルになった。このゲルを、室温で一夜静置して熟成し、100℃で24時間乾燥し、次いで、オートクレーブ中で180℃において3時間加熱した。最後に、合成混合物を、空気中、600℃で10時間、か焼した。
【0074】
最終粉末のXRDパターンは、1.1度2θあたりにおいて強いピークを示しており、これは、メソ孔物質の特徴を示す。窒素吸着は、それが、2.3nmあたりの狭い細孔径分布と、約633m2/gの表面積と、約0.86cm3/gの全細孔体積とを有することを示す。元素分析は、最終粉末が、6.1wt%のNiと、10.5wt%のMoとを含有したことを示す。
【実施例18】
【0075】
この実施例は、メソ孔物質中へのNiとW両方の同時組み込みを例示する。最初に、5.8部の硝酸ニッケル(II)六水和物および35部のメタタングステン酸アンモニウム水和物を、42.3部の水中に攪拌下、溶解した。次いで、50.5部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を、上述の溶液中に激しく攪拌しながら添加した。1.5時間攪拌した後に、30.0部の水酸化テトラエチルアンモニウムを、攪拌しながら滴下して添加した。合成混合物は、濃厚なゲルになった。このゲルを、室温で一夜静置して熟成し、100℃で24時間乾燥し、次いで、オートクレーブ中で180℃において3時間加熱した。最後に、それを、空気中、600℃で10時間、か焼した。
【0076】
最終粉末のXRDパターンは、1.0度2θあたりにおいて強いピークを示しており、これは、メソ孔物質の特徴を示す。窒素吸着は、それが、2.4nmあたりの狭い細孔径分布と、約649m2/gの表面積と、約0.81cm3/gの全細孔体積とを有することを示す。元素分析は、最終粉末が、6.4wt%のNiと、12.0wt%のWとを含有したことを示す。
【実施例19】
【0077】
パラジウム含有触媒の調製を例示した。65部の実施例1の物質を、35部のアルミナと混合し、水をこの混合物に添加して、得られた触媒を押し出し成形した。触媒は、5v/v/minの窒素中、480℃で6時間、か焼し、次いで、窒素流を、5v/v/minの空気に置き換えた。か焼は、温度を540℃に上昇させ、この温度を12時間維持することで完了した。パラジウムは、パラジウムテトラアミン塩、Pd(NH3)4Cl2の水溶液を用いた含浸により組み込んだ。次いで、押し出し成形物は、120℃において一夜乾燥し、空気中、300℃で3時間、か焼した。最終触媒は、0.81wt.%のパラジウムと、630m2/gの表面積と、0.83g/mlの粒子密度と、1.21cm3/gの細孔体積とを有する。
【実施例20】
【0078】
1−ヘキサデセンを用いたナフタレンのアルキル化を、機械攪拌付きのフラスコ中で実行した。実施例1、2、および3Aの触媒を用いた。1部の触媒を、フラスコ中に詰め込み、真空下、200℃に2時間加熱した。触媒を、窒素下、90〜100℃に冷却した後、6.5重量部のナフタレンと26部の1−ヘキサデセンとから成る混合物を、フラスコ中に攪拌下、注入した。温度を、200〜205℃に上昇させ、一定に保持した。反応混合物を、WAX52CBカラムを用いたガスクロマトグラフィーによって分析した。異なる触媒を用いた反応結果を、表2にまとめる。
【0079】
【表2】
【実施例21】
【0080】
クロロベンゼンを用いたベンゼンのフリーデル−クラフツアルキル化を、マグネチック攪拌付きのフラスコ中で行った。実施例7、9、11、および12の触媒を用いた。1部の触媒を、フラスコ中に詰め込み、真空下、180℃に4時間加熱した。触媒を、窒素下、80℃に冷却した後、102部のベンゼンと8.2部の塩化ベンジルとから成る混合物を、フラスコ中に導入した。温度を、60℃または80℃に一定に保持した。反応混合物を、WAX52CBカラムを用いたガスクロマトグラフィーによって分析した。異なる触媒を用いた反応結果を、表3にまとめる。
【0081】
【表3】
【実施例22】
【0082】
アセトフェノンへのエチルベンゼンの選択的酸化を、窒素下、攪拌付きフラスコ中で実施した。実施例13、14、および16の触媒を用いた。1部の触媒を、真空下、180℃で4時間活性化し、次いで、80℃に冷却した。次いで、100部のアセトンと、82部のエチルベンゼンと、9.5部のtert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)とから成る混合物を、フラスコに攪拌下、導入した。反応混合物を、WAX52CBカラムを用いたガスクロマトグラフィーによって分析した。さまざまな触媒による反応結果を、表4にまとめる。
【0083】
【表4】
【実施例23】
【0084】
1−デセンのオリゴマー化を、攪拌バッチ式反応器内で実施した。実施例2の触媒を用いた。反応器内で、1部の触媒を、窒素中、200℃で2時間加熱することにより活性化した。25部の1−デセンを、窒素流下、シリンジにより添加した。反応は、150℃で24時間実行した。反応器を冷却した後に、生成物を、WAX52CBカラムを用いたガスクロマトグラフィー(GC)によって分析した。各試験に対し、モル%のデセン変換率および二量体選択性を、表5に示す。
【0085】
【表5】
【実施例24】
【0086】
2−アセチル−6−メトキシナフタレンへの2−メトキシナフタレンのアシル化を、攪拌バッチ式反応器内で実施する。実施例2で作成された16部の触媒を有する反応器を、真空下、240℃で2時間加熱し、次いで、乾燥窒素で満たす。反応器を120℃に冷却した後に、250部のデカリン(溶媒として)と、31部の2−メトキシナフタレンと、42部の無水酢酸と、10部のn−テトラデカン(内部標準として)とを、反応器内に注入する。6時間の反応後、反応器の混合物を、WAX52CBカラムを用いたGCによって分析し、2−メトキシナフタレンの変換率が、2−アセチル−6−メトキシナフタレンへの100%の選択性で36.5%に到達するということが見出された。
【実施例25】
【0087】
シクロヘキサノンへのシクロヘキサノールの酸化を、攪拌バッチ式反応器内で実行した。1部の触媒を有する反応器を、真空下、180℃で4時間加熱し、次いで、乾燥窒素で満たす。55℃に冷却した後に、100部のアセトンと、10部のtert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)と、7.5部のシクロヘキサノールとを、フラスコに導入し、反応温度を、55℃に保持した。5時間の反応後、反応器の混合物を、WAX52CBカラムを用いたGCによって分析し、異なる触媒の性能を、表6にまとめた。
【0088】
【表6】
【実施例26】
【0089】
実施例17の物質を、68バールH2および2.0のLHSVにおいてパラホ(Paraho)シェール油を改良するために評価した。反応温度は、260から400℃まで変化した。シェール油の性質を、表7に与える。改良後の生成物の性質を、表8にまとめる。
【0090】
【表7】
【0091】
【表8】
この評価は、実施例17の触媒物質が、オレフィンの飽和、鉄およびニッケルの除去、脱窒素、および脱硫に対して非常に活性である。それは、ヒ素の除去に対しても非常に活性である。
【実施例27】
【0092】
選択的潤滑油水素化分解を、上述の実施例18のNiおよびW含有メソ孔物質に対して実施する。供給原料は、−18℃の流動点(ASTM D−97またはAutopourなどの同等物)まで溶媒脱ろう化した後の油の性質とともに、以下の表9に与えられる性質を有する中性重質留出物から成る。溶媒脱ろう化後、窒素含有量は、1500ppmであり、留出物の粘度指数(「VI」)は、53である。潤滑油水素化分解において、目的は、潤滑油の収率を最大化しながら、未変換物質のVIレベルを95〜100の範囲に増加させることである。
【0093】
【表9】
留出物は、385から401℃の温度、138バールの水素圧力、7500SCF/B供給の水素循環、および0.55から0.61のLHSVにおいて処理する。これらの実験の実行からのデータは、以下の表10にまとめる。
【0094】
【表10】
触媒物質は、(脱ろう化されていない)潤滑油の65wt%の収率において、原料留出物の53のVIから105のVIの生成物へと中性重質留出物を改良するために選択する。
【実施例28】
【0095】
この実施例は、本発明の組成物を用いるFCC触媒の調製を例示し、そのクラッキング結果を、MCM−41を用いる触媒のものと比較する。触媒調製は、以下の通りであった。
【0096】
シリカ−アルミナ−粘土マトリックス中に約35wt%の実施例4の組成物を調製した。130部の実施例4の組成物を、230mlのH2O中で14時間ボールミル粉砕した。生成物を、52.5mlのH2Oを用いてミルから洗い落とした。827gのH2Oと、33.5部のカオリン粘土(ジョージア カオリン カオパック(Georgia Kaolin Kaopaque))と、175.4部の含水シリカ(フィラデルフィア クォーツ N−ブランド(Philadelphia Quartz N−brand))とを含有するスラリーを調製した。このスラリーを攪拌し、16.4部のH2SO4(96.7%)を、30分間の間に亘って添加した。92.2のH2O中に溶解した22.9部のAl2(SO4)3・16H2Oを、滴下して添加した。396部のボールミル粉砕したMCM−41スラリー(11.36%の固形物)を、シリカ−アルミナ−粘土スラリーに添加し、混合物を、800rpmで30分間激しく攪拌し、次いで、濾過した。
【0097】
固形物は、H2O中で再度スラリー化し、スプレードライした。スプレードライ生成物を、H2Oを用いてスラリー化し、スラリー上の細かな浮遊物は、廃棄した。残留固形物を、1N NH4NO3(5ccのNH4NO3/1gの固形物)を用いて交換した。固形物を、H2Oで洗浄し、濾過し、オーブン中で120℃において乾燥した。
【0098】
この物質の50gの試料を、540℃で、N2中で1時間、および空気中で6時間、か焼した。残りのオーブンで乾燥した固形物を、45%のH2O中、650℃で4時間、水蒸気にあてた。水蒸気を反応器に導く前に、試料は、N2中で650℃に加熱した。空気を、0.5時間の間に亘って徐々に増加し、同時に、N2流量を増加した。0.5時間の間の後に、水蒸気を、4時間の間、導入した。
【0099】
比較のために、35wt%のMCM−41を含有するFCC触媒を、上述したのと同じ方法で調製した。元のMCM−41は、980m2/gの表面積と、2.5nmあたりを中心とする細孔径分布と、0.72cm3/gの細孔体積とを有した。それは、実施例4の物質中の5.3wt.%と同様の5.4wt%のAl2O3を含有していた。水蒸気をあてた触媒の性質を、表11に示す。
【0100】
【表11】
接触分解試験
表11の二つの触媒を、ジョリエサワー重ガス油(Joliet Sour Heavy Gas Oil)(「JSHGO」)のクラッキングに対して、固定流動層中で516℃、一分間の操業において評価する。使用したJSHGOは、表12に示す性質を有していた。触媒対油比を、2.0から6.0に変化させて広範囲な変換を調べる。収率を、一定のコークス(4.0wt%)基準に基づいて得られた表13にまとめる。
【0101】
【表12】
【0102】
【表13】
【実施例29】
【0103】
中間圧力での水素化分解の残油留分を、触媒脱ろう化および水素処理に掛けた。供給物は、固定層反応器を通してカスケード操作で処理した。80グラムのHZSM−5脱ろう化触媒を、第一の反応器内へ充填し、実施例19に記載した240gの本発明触媒を、第二の反応器内へ充填した。供給物を、両方の触媒に通して、すなわち、175バール、1.0LHSVで脱ろう化触媒に通し、0.33LHSVで水素処理触媒に通した。第一の反応器内の温度は、目的の−6.6℃の流動点を得るように、307〜321℃に維持した。残油留分の性質を、以下の表14に記載する。
【0104】
【表14】
生成物のUV吸収を、潤滑有基原料中のアロマティックスを決定するのに使用した。226nmにおける吸収が、全アロマティックスの尺度であり、400nmにおける吸収(×103)が、多核アロマティックスの尺度である。Pd/MCM−41に対する比較の目的のために、実施例19に記載した手順に従って調製した触媒も試験した。実施の結果を、以下の表15にまとめる。
【0105】
【表15】
Pd/MCM−41触媒の性能を本発明の組成物上にPdを含有する触媒と比較すると、本発明の組成物が、飽和アロマティックスにおいて、はるかにずっと効果的であることが明らかである。
【実施例30】
【0106】
この実施例は、石炭液体の水素化処理のための触媒として本発明の組成物を用いることを例示する。ここで例示する特定の石炭由来の液体は、H−石炭プロセスの液化生成物(出発物質としてイリノイ第6(Illinois No.6)石炭を用いる)であるとはいえ、他の石炭液体(例えば、石炭タール抽出物、溶媒精製石炭、その他)も同様に改良できる。触媒試料を、実施例3Aに記載したのと同じ方法で作成した。しかしながら、この方法は、オートクレーブ中で190℃において4日間という相対的に短い時間での水熱処理を含んでいた。窒素吸着は、11nmを中心とする大きさと、約630m2/gの表面積とを有するメソ孔を示した。元素分析は、約99.6のSi/Al原子比を示した。
【0107】
この物質にさらに、七モリブデン酸アンモニウム溶液を含浸させる。特に、6.38部の七モリブデン酸アンモニウムを含有する45.12部の水溶液を、40部の上述の物質に添加する。結果として得られた湿った物質を、120℃で乾燥し、七モリブデン酸アンモニウムを分解してMoO3を生成するのに十分な条件下で、空気中、538℃で、か焼し、それによって、モリブデン含浸物質を生成した。
【0108】
モリブデン含浸物質は次いで、硝酸ニッケル溶液を含浸させる。特に、9.3部のNi(NO3)2・6H2Oを含有する48.2部の水溶液を、モリブデン含浸物質に添加した。結果として得られた湿った物質を、121℃で乾燥し、次いで、硝酸ニッケルを分解してNiOを生成するように、空気中、538℃で、か焼し、それによって、ニッケルおよびモリブデン含浸物質を生成する。元素分析は、最終物質が、15.0wt%のMoO3と、6.4wt%のNiOとを含有することを示す。
【0109】
比較のために、992m2/gの表面積と、3.5nmを中心とする細孔径分布と、0.72cm3/gの細孔体積とを有するMCM−41物質を用いる。それに、上述したのと同じ方法で含浸させ、それは最終的に、15.2wt%のMoO3と、6.7wt%のNiOとを含有する。
【0110】
水素化処理に対するそれらの活性を、供給原料としてイリノイ(illinois)H−石炭を用いて評価する。表16は、供給原料の性質を示す。
【0111】
【表16】
これらの二つの触媒を、H2中の10%H2Sの500cm3/minの流れの中で、230℃、680kPaの全圧において、1時間、予め硫化物化させる。水素化処理を、350℃の温度、6890kPaの圧力、500cm3/minの水素の流量、0.33の液体時間空間速度で行う。表17は、脱窒素、コンラッドソン炭素残留物(Conradson Carbon Residue)(CCR)低減、および脱硫による活性の比較を示す。
【0112】
【表17】
本発明の触媒は、はるかに高い活性を示し、これは部分的には、その特有の細孔構造に帰されるはずである。それは、石炭液体中に存在するものなどの大きな分子を収容しかつ輸送できる三次元接続を有する相対的に大きな細孔を有する。
【実施例31】
【0113】
この実施例は、フィッシャー−トロプシュ法触媒の調製と、その触媒性能とを例示する。実施例1で作成した二十(20)部のAl含有物質を、N2流下、200℃で半時間乾燥する。次いでそれを、グローブボックス中で、2部のCo2(CO)8と完全に混合する。この固形物の混合物を、密封管内の管状炉用舟形容器中に置き、グローブボックスから取り出す。次いでそれを、ヘリウム流中、100℃で15分間加熱し、10分間に亘って200℃に上昇させ、次いで、ヘリウム中、200℃で半時間加熱する。最終触媒は、16wt.%のCoを含有する。
【0114】
上述の触媒を、試験の前に水素で処理する。それを、室内の小さな石英るつぼ内に配置し、室温で15分間、8.5×10−6Nm3/sの窒素でパージする。次いでそれを、1.8×10−6Nm3/sで流れる水素下、1℃/minで100℃に加熱し、100℃で1時間保持する。次いでそれを、1℃/minで400℃に加熱し、1.8×10−6Nm3/sで流れる水素下、400℃で4時間保持する。触媒を、水素中で冷却し、使用前に窒素でパージする。
【0115】
触媒とn−オクタンとを収容する圧力容器を、69バールのH2:CO(2:1)下、225℃で加熱し、この温度と圧力で1時間保持する。反応器容器を、氷中で冷却し、排気し、ジ−n−ブチルエーテルの内部標準を添加する。C11〜C40の範囲の炭化水素を、GCにより内部標準に対して分析する。
【0116】
C11+生産性(gC11+/hour/kg触媒)を計算すると、1時間当たり、触媒1kg当たり、C11〜C40炭化水素の統合された生成量に基づいて、234となる。各炭素数に対する重量部分の対数すなわちln(Wn/n)を縦座標として、横座標としての(Wn/n)内の炭素原子数に対してプロットする。この傾きから、αの値が、0.87であると得られる。
【0117】
上述した説明は、多くの詳細を含むとはいえ、これらの詳細は、本発明の範囲の限定としてではなく、本発明の好ましい実施態様の単なる例示として解釈すべきである。当業者は、添付の請求項により規定される本発明の範囲および精神の中で他の多くの可能性を構想するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】実施例1のメソ孔物質のX線回折パターン(「XRD」)である。
【図2】実施例1のメソ孔物質の透過電子顕微鏡法(「TEM」)画像である。
【図3】実施例1のメソ孔物質の細孔径分布を例示するグラフである。
【図4】実施例2のメソ孔物質のXRDパターンである。
【図5】実施例3A、3Bおよび3Cのメソ孔物質のXRDパターンを示す。
【図6】実施例3Aのメソ孔物質の細孔径分布を例示するグラフである。
【図7】実施例5のバナジウム含有メソ孔物質のXRDパターンである。
【図8】実施例6のチタン含有メソ孔物質のXRDパターンである。
【図9】実施例6のチタン含有メソ孔物質の窒素収着等温線を例示するグラフである。
【図10】実施例6のチタン含有メソ孔物質の細孔径分布を例示するグラフである。
【図11】実施例7、8、および9のメソ孔物質のXRDパターンを示す。
【図12】実施例10のアルミニウムおよびバナジウム含有メソ孔物質のXRDパターンである。
【図13】実施例10のアルミニウムおよびバナジウム含有メソ孔物質の細孔径分布を例示するグラフである。
【図14】実施例11の鉄含有メソ孔物質のXRDパターンである。
【図15】実施例11の鉄含有メソ孔物質のUV−可視スペクトルを示す。
【図16】実施例11の鉄含有メソ孔物質の細孔径分布を示すグラフである。
【図17】実施例13のクロム含有メソ孔物質のXRDパターンである。
【図18】実施例13のクロム含有メソ孔物質のUV−可視スペクトルを示す。
【図19】実施例13のメソ孔物質のメソ孔径分布を示すグラフである。
【図20】実施例15のモリブデン含有メソ孔物質のXRDパターンである。
【図21】実施例15のメソ孔物質のUV−可視スペクトルを示す。
【図22】実施例15のメソ孔物質のメソ孔径分布を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本開示は、メソ孔物質、特に触媒物質と、有機化合物、特に炭化水素の変換のためのメソ孔物質の使用とに関する。
(関連出願のクロスリファレンス)
本出願は、1999年9月7日に出願されすでに米国特許第6,358,486B1号として発行されておりそれに対して優先権が主張されている米国特許出願第09/390,276号の一部継続出願であって参照することによって本願に引用される2001年11月27日に出願された米国特許出願第09/995,227号の一部継続出願である。
【背景技術】
【0002】
現在の炭化水素処理技術の大部分は、ゼオライト触媒に基づく。ゼオライト触媒は、当業技術内でよく知られており、均一な細孔径を有するよく配列された細孔系を備える。しかしながら、これらの物質は、ミクロ孔のみあるいはメソ孔のみを有する傾向がある。ミクロ孔は、約2nmより小さな直径を有する細孔として規定される。メソ孔は、約2nmから約50nmの範囲の直径を有する細孔として規定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような炭化水素処理反応は、物質移動によって限定されるので、理想的な細孔径を有する触媒は、活性触媒点への反応物の輸送および触媒からの生成物の輸送を促進することになる。
【0004】
依然として、炭化水素および他の有機化合物の触媒変換および/または吸着に向けられるプロセスのための多孔質骨格内に機能化点を有する改良された物質が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここでは、有機化合物を処理するプロセスが提供される。プロセスは、(a) 約15オングストロームから約30オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔を体積で少なくとも97%含有しかつ少なくとも約0.01cc/gのミクロ孔体積を有する、シリカの実質的なメソ孔構造であって、Al、Ti、V、Cr、Zn、Fe、Sn、Mo、Ga、Ni、Co、In、Zr、Mn、Cu、Mg、Pd、Pt、およびWから成る群より選択される触媒的および/または化学的に活性なヘテロ原子を重量で少なくとも約0.02%を組み込んでいるメソ孔構造を含む組成物であって、前記触媒は、2θにおいて0.3°から約3.5°に一つのピークを有するX線回折パターンを有する、組成物を提供し、(b) 反応条件下で有機供給物を前記触媒と接触させる、ことを含み、この処理プロセスは、アルキル化、アシル化、オリゴマー化、選択的酸化、水素化処理、異性化、脱金属化(demetalation)、触媒的脱ろう化(dewaxing)、ヒドロキシル化、水素化、アンモオキシム化(ammoximation)、異性化、脱水素、クラッキング、および吸着から成る群より選択される。
【0006】
本発明の一態様は、石油の油類、好ましくは、望ましくないほど高い金属および/または硫黄および/または窒素の含有量を有する石油の油類の残留留分、および/またはコンラッドソン炭素残留物(Conradson Carbon Residue)(CCR)の脱金属化および脱硫、のための改良された触媒プロセスを取り扱う。より詳細には、本発明は、石油の油類、また好ましくは残留炭化水素成分を含有する石油の油類の高い金属、硫黄、および窒素含有量、およびCCRを低減するための水素化処理プロセスに関する。
【0007】
残留の石油の油留分は、原油の大気または真空蒸留によって製造され、一般に、多量の金属、硫黄、窒素、およびCCR含有量を有する。これが生じるのは、元の原油中に存在する実質的に全ての金属およびCCRが残留留分中に残留し、かつ、元の原油中の不釣り合いな量の硫黄および窒素もまたこの留分中に残留するからである。主な金属汚染物質は、ニッケルおよびバナジウムであり、鉄および少量の銅も時として存在する。
【0008】
高い金属、硫黄、窒素、およびCCR含有量の残留留分は一般に、次の接触分解および水素化分解などの触媒処理のための投入原料としての残留留分の効果的な使用を制限する。金属汚染物質は、これらのクラッキングプロセスのための特別な触媒上に堆積し、触媒の早めの老化、および/または、コークス、乾性ガス、および水素へのクラッキングなどといった望ましくない副反応を生じる。FCCプロセスの間では、大部分の硫黄が、最後にはFCC触媒のコークスとなり、これは、再生時に燃焼し、結果としてかなりのSOx放出となる。残滓硫黄の別の主要な最終結果物は、ガソリンおよび自動車用軽油(ディーゼル燃料および家庭用暖房燃料のための混合成分)などの最終クラッキング生成物中にある。いくらかの窒素は、NOx放出の一因となり、またいくらかの窒素(塩基性窒素化合物)は、FCC触媒の活性点に結合することになり、それを無効にする。CCR、すなわち分解および/または蒸留されるのではなくコークス化される分子の傾向の程度も、接触分解により処理される投入の流れのための性質としては望ましくない。接触分解において使用される高温下では、CCRの高い分子は、熱的および/または触媒的にコークス、軽気体、および水素に分解される。接触分解は一般に、通常20未満のAPI比重を有する残留留分より軽い炭化水素投入原料を用いて行われる。
【0009】
最も一般的なクラッキング投入原料は、コーカーおよび/または粗単位ガス油、真空塔オーバーヘッド、その他であり、供給原料は、約15から約45のAPI比重を有する。このようなクラッキング投入原料は蒸留されるので、金属が濃縮する大きな分子をそれほど大きな割合で含有していない。このようなクラッキングは通常、約425から800℃の温度、約1から5気圧の圧力、および約1から1000WHSVの空間速度で作動される反応器内で実行される。
【0010】
金属および硫黄汚染物質は、分解単位へ投入される原料よりかなり軽い投入原料に通常実行される水素化分解作用に、同様の問題を生じるであろう。通常の水素化分解反応器の条件は、200から550℃の温度および700から20,000kPaの圧力から成る。炭化水素の、特に残留石油留分の金属および/または硫黄および/または窒素および/またはCCRの含有量を低減する効率的な方法の必要性がかなりあることは明らかである。蒸留留分用にこれを達成する技術は、随分と進歩してきたが、この技術を残留留分に適用する試みは一般に、主に金属汚染物質およびコークス分解による触媒の非常に速い不活性化のせいで失敗している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
さまざまな実施態様が、図面を参照して以下に説明される。
【0012】
本発明の触媒は、構造が実質的にメソ孔である三次元の安定した多孔質シリカを含む。このシリカは、非結晶性の構造であるが、規則的な(擬結晶性)構造を有する。メソ孔物質は、米国特許第6,358,486B1号に記載されており、この特許は、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0013】
本発明の非晶質シリカ物質は一般に、メソ孔およびミクロ孔両方を含む。ミクロ孔は、約2nm未満の直径を有する細孔として定義される。メソ孔は、約2nmから約50nmの直径を有する細孔として定義される。本発明の無機酸化物物質は、少なくとも約97%、好ましくは少なくとも約98%のメソ孔の体積百分率を有する。
【0014】
好ましい多孔質シリカ含有触媒担体を作成する方法は、米国特許第6,358,486B1号に記載されている。N2多孔度測定法で決定された好ましい触媒の平均メソ孔径は、約2nmから約25nmの範囲である。
【0015】
触媒は、多孔質ケイ酸塩構造内へ組み込まれた一つまたは複数の触媒活性金属ヘテロ原子を含みかつこれらで機能化されている。触媒活性金属ヘテロ原子(すなわち、非ケイ素原子)は、元素の周期表のIB、IIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII、IVA、およびIIIA族から選択できる。適切な金属ヘテロ原子としては、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、ガリウム(Ga)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、インジウム(In)、ジルコニウム(Zr)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、およびタングステン(W)などが挙げられる。組み込まれるヘテロ原子は、多孔質マトリックス内でクラスターとして分離および/または分散され得る。これらは、原子の形態または分子の形態(例えば、酸化物として)とすることができる。触媒のヘテロ原子含有量は、重量で触媒の少なくとも約0.02%である。触媒中のヘテロ原子のケイ素原子に対する原子比は、約0.9まで、好ましくは約0.0001から約0.5の間で変化できる。
【0016】
本発明の組成物は、25オングストロームから440オングストロームの間の基底面間隔(basal spacing)に相当する2θにおける0.3°から3.5°に少なくとも一つのピークを示す特性X線回折パターン(「XRD」)を有する。窒素吸着試験は、約15オングストローム(1.5nm)から約300オングストローム(30nm)の範囲の調整できる(tunable)細孔径と、約300m2/gから約1,250m2/gの範囲の表面積と、約0.3cc/gから約2.5cc/gの細孔体積とを示す。
【0017】
本発明の組成物は、三次元のランダムに接続されたメソ孔系を有しており、このメソ孔系は、反応物および生成物の物質移動を容易にしかつ細孔閉塞を防止する。
【0018】
一般に、本発明のメソ孔シリカ物質は、少なくとも一つのシリカ供給源と、少なくとも一つのヘテロ原子供給源と、少なくとも一つの細孔形成有機鋳型剤とを含有する合成混合物から調製される。
【0019】
本発明の触媒を作成する方法の最初の段階においては、シリカ供給源と、ヘテロ原子供給源と、一つまたは複数の有機鋳型剤とが、水溶液中で混合されて、合成混合物(通常はゲル)を形成する。
【0020】
方法の中間の段階においては、合成混合物の揮発性成分(例えば、水、アルコール)が、強制空気流あり、またはなしの乾燥などの従来の方法により除去される。乾燥は、例えば、40℃から約130℃において約72時間以下で、より好ましくは、約60℃から約120℃において約6から36時間行うことができる。
【0021】
最後の段階においては、一つまたは複数の有機鋳型剤が、か焼および抽出などの従来の方法により除去される。一般に、か焼は、酸素含有気体(例えば、空気)を用いて、約450℃から約900℃の温度において2から20時間、好ましくは、540℃から約700℃のにおいて4から15時間実施される。抽出は、有機溶媒を用いて、使用する有機溶媒に依存して約30℃から約100℃の温度において行うことができる。低毒性または無毒性のいくつかのアルコールが、溶媒として好ましい。
【0022】
任意選択的に、方法は、合成混合物から揮発性成分を除去する前に、10℃において24時間以下で合成混合物を熟成することを含むことができる。
【0023】
任意選択的に、合成混合物は、細孔形成剤を除去する前に、オートクレーブ中で約100℃から約220℃の温度において約10日間以下で、好ましくは、約120℃から約200℃の温度において96時間以下で加熱できる。オートクレーブ中での加熱工程は、特定の要求に適合するメソ孔性を調整できる。加熱の間に、ケイ素およびアルミニウムなどの無機化学種が、合体して無機骨格構造を形成することになり、同時に、細孔形成剤が、凝集して、この無機骨格構造を形づくる。凝集物の大きさ分布が、メソ孔径分布を決定する。しかしながら、凝集物の大きさは主として、細孔形成剤の性質と、加熱温度と、加熱時間の長さとに依存する。従って、特定の細孔形成剤では、最終物質のメソ孔性は、温度および加熱時間を操作することにより調整できる。
【0024】
より詳細には、最初の段階においては、シリカ供給源またはシリカ前駆体は、いくつかの有機基を含有するケイ素化合物とすることができる。このような化合物は、例えばケイ酸テトラエチル(「TEOS」)などのアルコキシド、および例えばトリエタノールアミン置換シラトランなどのシラトランとすることができる。シリカ供給源は代替として、無水または含水シリカゲルまたはシリカヒドロゲルなどの無機物とすることができる。シリカ供給源は、地熱シリカとすることもできるが、しかし、反応性を促進するためには、結晶性供給源でないのが好ましい。
【0025】
有機鋳型剤は好ましくは、無機化学種(すなわち、シリカおよびヘテロ原子)と水素結合を形成するヒドロキシル(−OH)基を含有する。これらは、ケイ素およびヘテロ原子と結合できる電子対を有する原子を有することができる。このような有機鋳型剤としては、グリコール(例えば、プロピレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール)、アルカノールアミン(例えば、トリエタノールアミン[「TEA」]、トリイソプロパノールアミン)、ジエチルグリコール=ジベンゾアート、トリエチレンペンタアミン、デンプン、およびスルホランが挙げられる。有機鋳型剤は、150℃を超える、好ましくは約180℃を超える沸点を有する必要がある。
【0026】
ヘテロ原子供給源は、有機基ありまたはなしとすることができ、一般に溶液の形態で添加される。例えば、アルミニウムの場合は、供給源は、アルミニウムアルコキシド(例えば、アルミニウムイソプロポキシド)、アルミナ、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、または塩化アルミニウムとすることができる。
【0027】
合成混合物は、混合物のpHを調整するのにアルカリまたは酸を含むこともできる。アルカリとしては一般に、水酸化テトラエチルアンモニウム(「TEAOH」)およびその他の水酸化テトラアルキルアンモニウム、尿素、および同様のものなどといった有機アルカリ、または水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、および同様のものなどといった無機アルカリが挙げられる。
【0028】
溶媒、反応条件、成分を添加および混合する順序、およびpHは、ヘテロ原子に依存することができ、ヘテロ原子の時期尚早の分離(例えば、沈殿)を防止するように選択する必要がある。時期尚早の分離は、結果としてヘテロ原子がシリカ構造内へ取り込まれるのが失敗することになり得る。
【0029】
本発明の組成物は、触媒、共触媒(触媒の一部)、触媒担体、吸着剤、および分子ふるいとして適用できる。組み込まれるヘテロ原子の機能性に依存して、組成物は、弱い、中間の、および強い酸性を有することができ、その結果、クラッキング、異性化、アルキル化、アシル化、オリゴマー化/重合、有機化合物の脱水、および脱硫に触媒作用を及ぼすことができる。組成物は、レドックスの性質を有することもでき、このレドックスの性質は、アルケンのエポキシ化(例えば、シクロヘキセン、オクテン、エチレン、またはプロピレン)、アルカン(例えば、シクロドデカン、シクロヘキサン)、アルコール、およびアミンの選択的酸化、アロマティックスのヒドロキシル化、およびケトンのアンモオキシム化に触媒作用を及ぼすことができる。組成物は、共触媒または触媒担体として使用できる。例えば、この組成物への貴金属、例えばPdおよび/またはPt/の添加は、水素化分解、水素化、脱水素、および脱硫の機能性を提供する。この組成物は、上述した全ての可能なヘテロ原子と共に、全ての種類のゼオライト、及びゼオライト状構造を含むこともできる。
【0030】
酸性を与える本発明の組成物の典型例は、アルミニウムおよび/またはガリウムを含有する組成物である。一群の工業的に重要な反応は、アルキル化であり、このアルキル化は従来は、AlCl3およびHFなどの腐食性のルイス酸を使用し、多量の廃棄物を生成する。本発明の組成物は、環境にやさしく、従来の触媒に置き換わり得る。これは、アルキル化剤としてオレフィン、ハロゲン化アルキル、またはアルコールを用いるアルカンまたは芳香族のアルキル化(フリーデル−クラフツアルキル化を含む)に触媒作用を及ぼすことができる。芳香族化合物としては主に、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、および、トルエン、キシレン、イソプロピルナフタレン、ジフェニルオキシド、または2,4−ジ−t−ブチルフェノールなどといったこれらの誘導体が挙げられる。オレフィンアルキル化剤としては主に、α−オレフィン、好ましくは炭素数3以上、好ましくは炭素数5以上のものが挙げられる。適切なオレフィンとしては例えば、エチレン、プロピレン、および1−ヘキサデセンが挙げられる。アルコールアルキル化剤としては主に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、およびシンナミルアルコールが挙げられる。アルキル化反応は、約80℃から約400℃の温度において1と50バールの間の圧力下、好ましくは、約90℃から約300℃および1と30バールの間において実行できる。
【0031】
オレフィンのオリゴマー化および重合は、ガソリン、ジェット燃料、ディーゼル燃料、および潤滑基油のための留分を生成できる。本発明の触媒組成物、特にアルミニウム、クロム、ガリウム、または鉄ヘテロ原子を含有する触媒組成物は、炭素数3を上回り超えるα−オレフィンなどのオレフィンのオリゴマー化のための触媒として使用できる。反応条件は、特定の供給原料および所望の生成物に依存するが、約25℃から約300℃の範囲の温度と、大気圧から約70バールの範囲の圧力とを含む。
【0032】
本発明の触媒組成物は、有機化合物の選択的酸化のために使用できる。特に好ましいのは、例えば、銅、亜鉛、鉄、チタン、クロム、バナジウム、モリブデン、およびスズを含む遷移金属から選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含有する触媒組成物である。例えば、チタン、亜鉛、クロム、鉄、およびマンガンを含有する組成物が、フェナントレン、アントラセン、およびtrans−スチルベンなどといったアロマティックスを含むオレフィンのエポキシ化に触媒作用を及ぼすことができる。この種の反応に使用される酸化剤としては、有機または無機過酸化物、窒素酸化物、酸素、および酸素を含有する任意の気体混合物が挙げられる。銅および亜鉛を含有する組成物が、アルコールの対応するアルデヒドへの選択的酸化に触媒作用を及ぼすのに特に好ましい。フェノールおよび1−ナフトールのヒドロキシル化は、スズ、鉄、銅、コバルト、およびバナジウムを含有する触媒組成物を用いて達成できる。
【0033】
従来技術においては、アロマティックスのアシル化は一般に、莫大な量の廃棄物を生成するAlCl3、FeCl3、H2SO4、その他などといったルイス酸を用いて実施されていた。これとは対照的に、本発明の組成物、特にアルミニウム、鉄、ガリウム、インジウム、その他を含有する実施態様は、ルイス酸に置き換わる。アシル化剤としては主に、ハロゲン化アシル、カルボン酸無水物が挙げられる。芳香族化合物としては主に、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、およびこれらの誘導体が挙げられる。アシル化は、約40℃から約300℃の温度において約0.5バールから約20バールの圧力下、好ましくは、約60℃から約250℃および約1から15バールの圧力において実行できる。
【0034】
本発明のメソ孔シリカ中にヘテロ原子として組み込まれるとき、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、またはこれらの組み合わせなどといった遷移金属、または白金、パラジウム、またはこれらの組み合わせなどといった貴金属は、(1)ガソリン、ジェット燃料、ディーゼル燃料、および潤滑油内のアロマティックスの水素化; (2)真空ガス油などの重質留分、残滓留分、および石炭から由来する液体(石炭油)の水素化分解; (3)上述した留分を含む、炭化水素のCCR還元、脱窒素、脱硫、および脱金属化、などといった水素処理プロセスに特に適している触媒を提供する。脱金属化は、鉄、ニッケル、バナジウム、およびヒ素の除去のために特に有用である。水素処理反応条件は一般に、約40℃から約400℃、好ましくは約60℃から約350℃の範囲の反応温度と、体気圧から約300バールの範囲の圧力とを含む。
【0035】
炭化水素(例えば、n−ブタン、n−ペンタン、1−ブテン、およびキシレン)の異性化は、本発明の触媒を用いることによって、触媒作用を受けることができる。異性化のための好ましい触媒組成物は、ヘテロ原子としてジルコニウム、タングステン、ガリウム、鉄、チタン、およびアルミニウムを含有する。
【0036】
飽和炭化水素の不飽和炭化水素への脱水素は、主としてバナジウム、鉄、ガリウム、コバルト、およびクロムを含有する組成物を用いて触媒作用を受けることができる。飽和炭化水素は、例えば、プロパン、イソブタン、およびエチルベンゼンとすることができる。気体時間当たり空間速度(gas hourly space velocity)(GHSV)は一般に、100から2000hr−1、好ましくは500から1000hr−1の範囲である。作動圧力は一般に、約7kPaから約600kPa、好ましくは約7kPaから約400kPaの範囲にある。反応温度は一般に、約350℃から約650℃、好ましくは約450℃から約600℃の範囲である。
【0037】
炭化水素クラッキングは有利には、ニッケル、タングステン、コバルト、モリブデン、アルミニウム、および/またはガリウムを含有する本発明の触媒組成物を用いて実行できる。さらに、本発明の触媒組成物は、単独であるいはゼオライトと共に使用できる。炭化水素は、流体接触分解、水素化分解、その他のための供給原料とすることができる。触媒組成物は、廃棄ポリマーのクラッキングに触媒作用を及ぼして、所望の化学物質の有用な留分を回収することもできる。
【0038】
組成物は、フィッシャー−トロプシュ法のための触媒として使用できる。このプロセスは、炭化水素から成る流出物の流れを生成するのに有効な変換促進条件に維持された反応区域内の触媒と、水素および一酸化炭素から成る供給流れを接触させることを含む。気体時間当たり空間速度(GHSV)は、約100体積/時間/体積触媒(hr−1)から約10,000hr−1、好ましくは約300hr−1から約2,000hr−1の範囲とすることができる。反応温度は一般に、約160℃から約300℃、好ましくは約190℃から約260℃の範囲である。反応圧力は一般に、約5バールから約60バール、好ましくは8バールから約30バールの範囲である。
【0039】
組成物は、特定の化合物を効果的かつ選択的に吸着するのに使用できる。その調整できる細孔および機能化細孔壁により、この組成物によって、さまざまな化合物が、細孔に入り、壁上または壁内の機能化ヘテロ原子団と相互作用できる。例えば、取り込まれたヘテロ原子は、高いけれども不飽和の配位数を有することができ、この配位数によって、ヘテロ原子は、酸素含有、窒素含有、および硫黄含有化合物と配位結合を形成でき、それによって、流れからこれらの化合物を効果的に除去する。それは、塩基−酸相互作用とすることもできる。例えば、アルミニウムを含有する組成物は、流れからシアヌル酸およびp−クロロフェノールなどの毒性のある化合物を除去できる。従って、組成物は、吸着剤および分子ふるいとして使用できる。
【0040】
本発明の開示は、ヘテロ原子を含み、かつ、調整できる細孔径を有するランダムに接続された三次元細孔構造を有する、新しい種類のメソ孔またはメソ−ミクロ孔ケイ酸塩を提供する。それは、全く界面活性剤を含まないメソ孔を合成する新しい費用対効果の大きいプロセスを提供する。それは、新しいさまざまな触媒物質を提供する。しかも、それは、触媒および分離にこの組成物を適用するプロセスを提供する。
【0041】
本発明のさまざまな特徴は、以下に与えられる実施例によって例示する。結果として得られた物質のX線粉末回折パターン(XRD)は、黒鉛モノクロメーターを備えるフィリップス(Philips)PW1840回折計によってCuKα放射を用いて記録した。試料は、0.02°刻みで0.5〜40°の2θの範囲で走査した。透過電子顕微鏡法(TEM)は、300kVで作動される電子源としてLaB6フィラメントを有するフィリップス(Philips)CM30T電子顕微鏡を用いて実施した。窒素収着等温線は、77Kにおいてクァンタクローム オートソーブ−6B(Quantachrome Autosorb−6B)によって測定した。メソ孔性は、バレット、ジョイナー、およびハレンダ(Barrett, Joyner and Halenda)(BHJ)法を用いて計算した。全ての組成部は、特に指定しない限り重量による。
【実施例1】
【0042】
この実施例は、か焼の前にオートクレーブ中で加熱せずにシリカ中にアルミニウムをどのように組み込むかを示す。
【0043】
最初に、1部のアルミニウムイソプロポキシド(Al(iso−OC3H6)3))を、26部の水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(TEAOH、35%)中に攪拌しながら添加した。溶解後、38部のトリエタノールアミン(TEA)を8部の水と共に上述の水溶液中に攪拌しながら添加した。次いで、26部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を、激しく攪拌しながら添加した。透明な溶液が得られた。攪拌を1時間継続し、次いで、合成混合物を、室温で一夜熟成し、空気中98℃で24時間乾燥した。最後に、合成混合物を、1℃/minの傾斜速度で空気中、570℃で10時間、か焼した。
【0044】
図1は、2θにおいて約1.1°に強い反射を有するそのXRDパターンを示しており、これは、メソ孔物質の特徴を示す。さらに、アルミナに対する分離されたピークが存在しないことは、バルクアルミナ相が形成されなかったことを意味する。図2は、透過電子顕微鏡法(TEM)画像を示すが、これは、ランダムに接続されたメソ孔構造を示している。元素分析は、それが、約24.8のSi/Al比を有することを示したが、これは、最初の25の合成混合物比と一致する。窒素吸着は、図3に示すように、983m2/gの表面積と、1.27cm3/gの全細孔体積と、4.2nmを中心とする狭いメソ孔分布とを示した。
【実施例2】
【0045】
この実施例は、か焼の前にオートクレーブ中で加熱するヘテロ原子の組み込みを示す。3.3部のアルミニウムイソプロポキシドを、42部のTEOSを有する瓶中に添加し、1時間攪拌した。7.6部のTEAと25.8部の水の混合物を、TEOSとAl(iso−OC3H6)3)の混合物中に攪拌下、添加した。2時間攪拌後、21部のTEAOHを、上述の混合物中に滴下して添加し、濃厚なゲルが生成した。このゲルを、オーブン中で98℃において22時間乾燥し、次いで、190℃において16時間オートクレーブ中に移し置いた。最後に、ゲルを、空気中、600℃で10時間、か焼した。
【0046】
図4は、2θにおいて低い角度に強い反射を有するそのXRDパターンを示しており、これは、メソ孔物質の特徴を示す。元素分析は、約24.5のそのSi/Al比を示したが、これは、最初の合成混合物の比が25であったことと一致する。窒素吸着は、799m2/gの表面積と、1.24cm3/gの全細孔体積と、4.5nmを中心とする狭いメソ孔分布とを示した。
【実施例3】
【0047】
(実施例3A)これは、アルミニウムの組み込みと、組成物のその安定性とを示す。3部のアルミニウムイソプロポキシドを、38.8部のTEOSを有する瓶中に添加し、1.5時間攪拌した。23部のTEAと21部の水の混合物を、上述の混合物中に攪拌下、添加した。2時間攪拌後、23部のTEAOHを、上述の混合物中に滴下して添加し、0.5時間攪拌後、それは、透明な溶液になった。この溶液を、オーブン中で100℃において4日間乾燥し、次いで、190℃において7.5日間オートクレーブ中に移し置いた。最後に、それを、1℃/minの傾斜速度で空気中、600℃で10時間、か焼した。
【0048】
(実施例3B)元素分析は、Si/Al比が99.2であることを示した。図5は、強いピークを有するそのXRDパターンを示す。窒素吸着は、図6に示すように、17nmを中心とする狭い細孔径分布を示しており、約385m2/gの表面積と、約1.32cm3/gの細孔体積とを示した。
【0049】
(実施例3C)実施例3Aで得た物質を、水中で17時間煮沸したが、図5に示すそのXRDパターンは、依然として元の物質に類似した強いピークを示している。それは、この組成物が、他のメソ孔物質に比較して高い熱水安定性を有することを示している。
【0050】
実施例3Aで得た物質を、空気中、900℃でか焼したが、そのXRDパターン(図5)は、依然として強いピークを示しており、これは、メソ孔構造が保持されていたことを示す。これは、この組成物が、900℃まで高い熱安定性を有することを示している。
【実施例4】
【0051】
これは、シリカ中にアルミニウムを組み込むのに無機ヘテロ原子供給源を使用する実施例である。7.2部の硝酸アルミニウム無水和物を、20部の水に溶解した。次いで、61.4部のTEOSを添加し、0.5時間攪拌した。56.3部のテトラエチレングリコーグと24部の水とのさらなる混合物を、上述の混合物中に攪拌下、添加した。1時間攪拌後、49部の水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(TEAOH、35wt%)を添加し、0.5時間攪拌後、最終混合物は、濃厚なゲルになった。このゲルを、オーブン中で100℃において一夜乾燥し、次いで、180℃において3時間オートクレーブ中に移し置いた。最後に、それを、1℃/minの傾斜速度で空気中、600℃で10時間、か焼した。
【0052】
元素分析は、15.3のSi/Al比を示した。そのXRDは、2θにおいて約1度に強いピークを示した。窒素吸着は、4.5nmを中心とする狭い細孔径分布と、約786m2/gの比表面積と、約1.02cm3/gの全細孔体積とを示した。
【実施例5】
【0053】
これは、シリカ中へのバナジウムの組み込みを例示する。1部のアセチルアセトナトバナジウム(IV)を、41部のTEOSを有する瓶中に添加し、2時間攪拌した。30部のTEAと25部の水の混合物を、上述の混合物中に攪拌下、添加した。2時間攪拌後、20部のTEAOHを、上述の混合物中に滴下して添加し、0.5時間攪拌後、それは、固いゲルになった。このゲルを、室温で24時間熟成し、オーブン中で100℃において一夜乾燥し、次いで、空気中、700℃で10時間、か焼し、最終的に橙色粉末になった。
【0054】
元素分析は、Si/V比が50.5であることを示した。図7は、メソ構造に対する強いピークを有し、かつ、酸化バナジウム相からのどのようなピークも有さないそのXRDパターンを示す。窒素吸着は、4.1nmを中心とする狭い細孔径分布と、約835m2/gの比表面積と、約0.91cm3/gの細孔体積とを示した。
【実施例6】
【0055】
ここでは、チタン組み込みを示す。1部のチタン(IV)ブトキシドを、31部のTEOSを有する瓶中に添加し、2時間攪拌した。22.5部のTEAと17部の水の混合物を、上述の混合物中に攪拌下、添加した。1時間攪拌後、18.5部のTEAOHを、上述の混合物中に滴下して添加し、0.5時間攪拌後、それは、濃厚なゲルになった。このゲルを、室温で22時間熟成し、オーブン中で98℃において一夜乾燥し、次いで、空気中、700℃で10時間、か焼し、最終的に白色粉末になった。
【0056】
元素分析は、Si/Ti比が49.6であることを示した。図8は、メソ構造に対する強いピークを有し、かつ、酸化チタンに対する分離したピークを有さないそのXRDパターンを示す。窒素吸着等温線を図9に示すが、これは、図10に示す4.7nmを中心とする細孔径分布と、約917m2/gの比表面積と、約0.84cm3/gの全細孔体積とを示した。
【実施例7】
【0057】
【実施例8】
【0058】
【実施例9】
【0059】
これは、異なる三つのヘテロ原子の組み込みの例示である。42部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を、30部のトリエタノールアミン(TEA)と1時間混合して、混合物Iを得た。混合物IIを、22部の水中へヘテロ原子供給源を溶解することによって調製した。1部の硝酸ガリウム、0.54部の塩化亜鉛、および0.9部の塩化スズを、実施例7、8、および9のためにそれぞれ用いた。混合物IIを、混合物I中に攪拌下、滴下して添加した。組み合わせた混合物IおよびIIを0.5時間攪拌した後に、24.5部の水酸化テトラエチルアンモニウムを、攪拌しながら滴下して添加した。2時間攪拌した後に、三つの混合物はそれぞれ、透明な溶液になるのが観察され、最後に、0.5gの水酸化アンモニウム(27〜30wt%)を添加した。さらに2時間攪拌した後に、混合物を静置して一夜熟成した。混合物を、98℃において24時間乾燥し、それぞれ乾燥ゲルになった。乾燥ゲルを、180℃において2.5時間オートクレーブ中に充填し、最後に、空気中、600℃で10時間、か焼した。
【0060】
図11は、実施例7、8、および9において調製したガリウム、亜鉛、およびスズ含有ケイ酸塩のXRDパターンをそれぞれ示す。表1は、三つの物質のメソ孔性および化学組成を与える。
【0061】
【表1】
【実施例10】
【0062】
この実施例は、シリカ中への二種類のヘテロ原子の同時組み込みを例示する。最初に、2.7部のアルミニウムイソプロポキシドを、0.86部のアセチルアセトナトバナジウム(IV)および34部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)と混合して第一の混合物を得た。第二の混合物は、34部のTEAと21部の水とを含有した。次いで、第二の混合物を、第一の混合物中に攪拌下、滴下して添加した。1.5時間攪拌した後に、16.8部の水酸化テトラエチルアンモニウムを、攪拌しながら滴下して添加した。合成混合物は、濃厚なゲルになった。このゲルを、室温で一夜静置して熟成し、100℃で42時間乾燥し、次いで、オートクレーブ中で180℃において3日間加熱した。最後に、それを、空気中、650℃で10時間、か焼した。
【0063】
図12は、アルミニウムおよびバナジウム含有ケイ酸塩のXRDパターンを示す。窒素吸着は、それが、11nmあたりの狭い細孔径分布(図13に示す)と、約433m2/gの表面積と、約1.25cm3/gの全細孔体積とを有することを示した。元素分析は、Si/Ti=13.5、およびSi/V=49.1を示した。
【実施例11】
【0064】
この実施例は、Fe含有メソ孔ケイ酸塩の調製を示す。1部の硝酸鉄(III)を、5部の脱イオン水中に溶解し、次いで、27.4部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)に添加し、1時間攪拌した。19.8部のトリエタノールアミン(TEA)と30.4部の脱イオン水とから成るさらなる溶液を、第一の混合物中に滴下して導入した。さらなる1時間の攪拌後、16.2部の水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)を、混合物中に滴下して添加した。最終の均質な淡黄色の溶液を、室温で24時間熟成し、100℃で24時間乾燥し、最後に、650℃で10時間、か焼して、淡黄色の粉末を得た。
【0065】
図14は、約0.5〜2.2°の低い角度に一つの強いピークを有するXRDパターンを示しており、これは、メソ構造の特徴を示す。元素分析は、Si/Feの元素比が48.4であることを示した。UV−可視分光法(図15)は、220nmあたりにピークを示したが、これは、4配位鉄を示しており、また、250〜350nmからの範囲に肩部も示したが、これは、シリカマトリックス中の鉄の八面体配位を示す。N2吸着測定は、約630m2/gのBET表面積と、約4.8nmの平均メソ孔直径(図16参照)と、約1.24cm3/gの全細孔体積とを示した。
【実施例12】
【0066】
Fe含有ケイ酸塩を作成する手順は、実施例11のものと同様であったが、しかしながら、わずか0.52部の硝酸鉄(III)を用いた。か焼後、元素分析は、粉末が98.6のSi/Fe原子比を有することを示した。窒素吸着は、580m2/gの比表面積と、5.96nmの平均細孔直径と、細孔体積1.82cm3/gとを示した。
【実施例13】
【0067】
これは、Cr含有ケイ酸塩の調製を示す。1.2部の硝酸クロム無水和物を、5部の脱イオン水中に溶解し、次いで、26.3部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)に添加し、1時間攪拌した。19部のトリエタノールアミン(TEA)と22.2部の脱イオン水とから成るさらなる溶液を、上述の溶液中に滴下して導入した。さらなる1時間の攪拌後、26.2部の水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)を、混合物中に滴下して添加した。最終の均質な淡緑色の溶液を、室温で24時間熟成し、100℃で24時間乾燥し、最後に、650℃で10時間、か焼して、クロムを含有する黄色がかった橙色の粉末を得た。
【0068】
図17は、約0.5〜2.2°の低い角度に一つの強いピークを有するXRDパターンを示しており、これは、メソ構造の特徴を示す。UV−可視分光法(図18)は、220および390nmあたりに二つの区別できるピークを示したが、これは、4配位クロムを示しており、また、480nmあたりに肩部も示したが、これは、シリカマトリックス中のポリクロム酸塩(−Cr−O−Cr−)nの八面体配位を示す。N2吸着測定は、約565m2/gのBET表面積と、約1.96nmの平均メソ孔直径(図19参照)と、約1.54cm3/gの全細孔体積とを示した。
【実施例14】
【0069】
Crメソ孔ケイ酸塩を作成する手順は、実施例13のものと同様であるが、しかしながら、1.31部の硝酸クロムを用いた。か焼後、元素分析は、粉末が40.3のSi/Cr原子比を有することを示した。窒素吸着は、572m2/gの比表面積と、2.35nmの細孔直径と、1.7cm3/gの細孔体積とを示した。
【実施例15】
【0070】
ここでは、Moを含有する組成物の調製を示す。1.6部の七モリブデン酸アンモニウム四水和物溶液[(NH4)6Mo7O24・4H2O]を、5部の脱イオン水中に溶解し、次いで、27.1部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)に添加し、1時間攪拌した。19.6部のトリエタノールアミン(TEA)と30.4部の脱イオン水とから成るさらなる溶液を、上述の溶液中に滴下して導入した。さらなる1時間の攪拌後、16.1部の水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)を、混合物中に滴下して添加した。最終の均質な淡黄色の溶液を、室温で24時間熟成し、100℃で24時間乾燥し、最後に、650℃で10時間、か焼して、白色粉末を得た。
【0071】
図20は、約0.5〜2.2°の低い角度に一つの強いピークを有するXRDパターンを示しており、これは、メソ構造の特徴を示す。UV−可視分光法(図21)は、220あたりにピークを示すが、これは、シリカマトリックス中の4配位クロムを示している。N2吸着測定は、約500m2/gのBET表面積と、約8.91nmの平均メソ孔直径(図22参照)と、約1.31cm3/gの全細孔体積とを示した。
【実施例16】
【0072】
Moメソ孔ケイ酸塩を作成する手順は、実施例15のものと同様であるが、しかしながら、3.9部の七モリブデン酸アンモニウム四水和物溶液[(NH4)6Mo7O24・4H2O]を用いた。か焼後、元素分析は、粉末が39.8のSi/Mo原子比を有することを示した。窒素吸着は、565m2/gの比表面積と、3.93nmの平均細孔直径と、0.98cm3/gの細孔体積とを示した。
【実施例17】
【0073】
メソ孔物質中へのNiとMo両方の同時組み込みを例示する。最初に、7.7部の硝酸ニッケル(II)六水和物および32部の七モリブデン酸アンモニウム四水和物を、54部の水中に攪拌下、溶解した。次いで、67部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を、上述の溶液中に激しく攪拌しながら添加した。1.5時間攪拌した後に、40部の水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)を、攪拌しながら滴下して添加した。合成混合物は、濃厚なゲルになった。このゲルを、室温で一夜静置して熟成し、100℃で24時間乾燥し、次いで、オートクレーブ中で180℃において3時間加熱した。最後に、合成混合物を、空気中、600℃で10時間、か焼した。
【0074】
最終粉末のXRDパターンは、1.1度2θあたりにおいて強いピークを示しており、これは、メソ孔物質の特徴を示す。窒素吸着は、それが、2.3nmあたりの狭い細孔径分布と、約633m2/gの表面積と、約0.86cm3/gの全細孔体積とを有することを示す。元素分析は、最終粉末が、6.1wt%のNiと、10.5wt%のMoとを含有したことを示す。
【実施例18】
【0075】
この実施例は、メソ孔物質中へのNiとW両方の同時組み込みを例示する。最初に、5.8部の硝酸ニッケル(II)六水和物および35部のメタタングステン酸アンモニウム水和物を、42.3部の水中に攪拌下、溶解した。次いで、50.5部のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を、上述の溶液中に激しく攪拌しながら添加した。1.5時間攪拌した後に、30.0部の水酸化テトラエチルアンモニウムを、攪拌しながら滴下して添加した。合成混合物は、濃厚なゲルになった。このゲルを、室温で一夜静置して熟成し、100℃で24時間乾燥し、次いで、オートクレーブ中で180℃において3時間加熱した。最後に、それを、空気中、600℃で10時間、か焼した。
【0076】
最終粉末のXRDパターンは、1.0度2θあたりにおいて強いピークを示しており、これは、メソ孔物質の特徴を示す。窒素吸着は、それが、2.4nmあたりの狭い細孔径分布と、約649m2/gの表面積と、約0.81cm3/gの全細孔体積とを有することを示す。元素分析は、最終粉末が、6.4wt%のNiと、12.0wt%のWとを含有したことを示す。
【実施例19】
【0077】
パラジウム含有触媒の調製を例示した。65部の実施例1の物質を、35部のアルミナと混合し、水をこの混合物に添加して、得られた触媒を押し出し成形した。触媒は、5v/v/minの窒素中、480℃で6時間、か焼し、次いで、窒素流を、5v/v/minの空気に置き換えた。か焼は、温度を540℃に上昇させ、この温度を12時間維持することで完了した。パラジウムは、パラジウムテトラアミン塩、Pd(NH3)4Cl2の水溶液を用いた含浸により組み込んだ。次いで、押し出し成形物は、120℃において一夜乾燥し、空気中、300℃で3時間、か焼した。最終触媒は、0.81wt.%のパラジウムと、630m2/gの表面積と、0.83g/mlの粒子密度と、1.21cm3/gの細孔体積とを有する。
【実施例20】
【0078】
1−ヘキサデセンを用いたナフタレンのアルキル化を、機械攪拌付きのフラスコ中で実行した。実施例1、2、および3Aの触媒を用いた。1部の触媒を、フラスコ中に詰め込み、真空下、200℃に2時間加熱した。触媒を、窒素下、90〜100℃に冷却した後、6.5重量部のナフタレンと26部の1−ヘキサデセンとから成る混合物を、フラスコ中に攪拌下、注入した。温度を、200〜205℃に上昇させ、一定に保持した。反応混合物を、WAX52CBカラムを用いたガスクロマトグラフィーによって分析した。異なる触媒を用いた反応結果を、表2にまとめる。
【0079】
【表2】
【実施例21】
【0080】
クロロベンゼンを用いたベンゼンのフリーデル−クラフツアルキル化を、マグネチック攪拌付きのフラスコ中で行った。実施例7、9、11、および12の触媒を用いた。1部の触媒を、フラスコ中に詰め込み、真空下、180℃に4時間加熱した。触媒を、窒素下、80℃に冷却した後、102部のベンゼンと8.2部の塩化ベンジルとから成る混合物を、フラスコ中に導入した。温度を、60℃または80℃に一定に保持した。反応混合物を、WAX52CBカラムを用いたガスクロマトグラフィーによって分析した。異なる触媒を用いた反応結果を、表3にまとめる。
【0081】
【表3】
【実施例22】
【0082】
アセトフェノンへのエチルベンゼンの選択的酸化を、窒素下、攪拌付きフラスコ中で実施した。実施例13、14、および16の触媒を用いた。1部の触媒を、真空下、180℃で4時間活性化し、次いで、80℃に冷却した。次いで、100部のアセトンと、82部のエチルベンゼンと、9.5部のtert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)とから成る混合物を、フラスコに攪拌下、導入した。反応混合物を、WAX52CBカラムを用いたガスクロマトグラフィーによって分析した。さまざまな触媒による反応結果を、表4にまとめる。
【0083】
【表4】
【実施例23】
【0084】
1−デセンのオリゴマー化を、攪拌バッチ式反応器内で実施した。実施例2の触媒を用いた。反応器内で、1部の触媒を、窒素中、200℃で2時間加熱することにより活性化した。25部の1−デセンを、窒素流下、シリンジにより添加した。反応は、150℃で24時間実行した。反応器を冷却した後に、生成物を、WAX52CBカラムを用いたガスクロマトグラフィー(GC)によって分析した。各試験に対し、モル%のデセン変換率および二量体選択性を、表5に示す。
【0085】
【表5】
【実施例24】
【0086】
2−アセチル−6−メトキシナフタレンへの2−メトキシナフタレンのアシル化を、攪拌バッチ式反応器内で実施する。実施例2で作成された16部の触媒を有する反応器を、真空下、240℃で2時間加熱し、次いで、乾燥窒素で満たす。反応器を120℃に冷却した後に、250部のデカリン(溶媒として)と、31部の2−メトキシナフタレンと、42部の無水酢酸と、10部のn−テトラデカン(内部標準として)とを、反応器内に注入する。6時間の反応後、反応器の混合物を、WAX52CBカラムを用いたGCによって分析し、2−メトキシナフタレンの変換率が、2−アセチル−6−メトキシナフタレンへの100%の選択性で36.5%に到達するということが見出された。
【実施例25】
【0087】
シクロヘキサノンへのシクロヘキサノールの酸化を、攪拌バッチ式反応器内で実行した。1部の触媒を有する反応器を、真空下、180℃で4時間加熱し、次いで、乾燥窒素で満たす。55℃に冷却した後に、100部のアセトンと、10部のtert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)と、7.5部のシクロヘキサノールとを、フラスコに導入し、反応温度を、55℃に保持した。5時間の反応後、反応器の混合物を、WAX52CBカラムを用いたGCによって分析し、異なる触媒の性能を、表6にまとめた。
【0088】
【表6】
【実施例26】
【0089】
実施例17の物質を、68バールH2および2.0のLHSVにおいてパラホ(Paraho)シェール油を改良するために評価した。反応温度は、260から400℃まで変化した。シェール油の性質を、表7に与える。改良後の生成物の性質を、表8にまとめる。
【0090】
【表7】
【0091】
【表8】
この評価は、実施例17の触媒物質が、オレフィンの飽和、鉄およびニッケルの除去、脱窒素、および脱硫に対して非常に活性である。それは、ヒ素の除去に対しても非常に活性である。
【実施例27】
【0092】
選択的潤滑油水素化分解を、上述の実施例18のNiおよびW含有メソ孔物質に対して実施する。供給原料は、−18℃の流動点(ASTM D−97またはAutopourなどの同等物)まで溶媒脱ろう化した後の油の性質とともに、以下の表9に与えられる性質を有する中性重質留出物から成る。溶媒脱ろう化後、窒素含有量は、1500ppmであり、留出物の粘度指数(「VI」)は、53である。潤滑油水素化分解において、目的は、潤滑油の収率を最大化しながら、未変換物質のVIレベルを95〜100の範囲に増加させることである。
【0093】
【表9】
留出物は、385から401℃の温度、138バールの水素圧力、7500SCF/B供給の水素循環、および0.55から0.61のLHSVにおいて処理する。これらの実験の実行からのデータは、以下の表10にまとめる。
【0094】
【表10】
触媒物質は、(脱ろう化されていない)潤滑油の65wt%の収率において、原料留出物の53のVIから105のVIの生成物へと中性重質留出物を改良するために選択する。
【実施例28】
【0095】
この実施例は、本発明の組成物を用いるFCC触媒の調製を例示し、そのクラッキング結果を、MCM−41を用いる触媒のものと比較する。触媒調製は、以下の通りであった。
【0096】
シリカ−アルミナ−粘土マトリックス中に約35wt%の実施例4の組成物を調製した。130部の実施例4の組成物を、230mlのH2O中で14時間ボールミル粉砕した。生成物を、52.5mlのH2Oを用いてミルから洗い落とした。827gのH2Oと、33.5部のカオリン粘土(ジョージア カオリン カオパック(Georgia Kaolin Kaopaque))と、175.4部の含水シリカ(フィラデルフィア クォーツ N−ブランド(Philadelphia Quartz N−brand))とを含有するスラリーを調製した。このスラリーを攪拌し、16.4部のH2SO4(96.7%)を、30分間の間に亘って添加した。92.2のH2O中に溶解した22.9部のAl2(SO4)3・16H2Oを、滴下して添加した。396部のボールミル粉砕したMCM−41スラリー(11.36%の固形物)を、シリカ−アルミナ−粘土スラリーに添加し、混合物を、800rpmで30分間激しく攪拌し、次いで、濾過した。
【0097】
固形物は、H2O中で再度スラリー化し、スプレードライした。スプレードライ生成物を、H2Oを用いてスラリー化し、スラリー上の細かな浮遊物は、廃棄した。残留固形物を、1N NH4NO3(5ccのNH4NO3/1gの固形物)を用いて交換した。固形物を、H2Oで洗浄し、濾過し、オーブン中で120℃において乾燥した。
【0098】
この物質の50gの試料を、540℃で、N2中で1時間、および空気中で6時間、か焼した。残りのオーブンで乾燥した固形物を、45%のH2O中、650℃で4時間、水蒸気にあてた。水蒸気を反応器に導く前に、試料は、N2中で650℃に加熱した。空気を、0.5時間の間に亘って徐々に増加し、同時に、N2流量を増加した。0.5時間の間の後に、水蒸気を、4時間の間、導入した。
【0099】
比較のために、35wt%のMCM−41を含有するFCC触媒を、上述したのと同じ方法で調製した。元のMCM−41は、980m2/gの表面積と、2.5nmあたりを中心とする細孔径分布と、0.72cm3/gの細孔体積とを有した。それは、実施例4の物質中の5.3wt.%と同様の5.4wt%のAl2O3を含有していた。水蒸気をあてた触媒の性質を、表11に示す。
【0100】
【表11】
接触分解試験
表11の二つの触媒を、ジョリエサワー重ガス油(Joliet Sour Heavy Gas Oil)(「JSHGO」)のクラッキングに対して、固定流動層中で516℃、一分間の操業において評価する。使用したJSHGOは、表12に示す性質を有していた。触媒対油比を、2.0から6.0に変化させて広範囲な変換を調べる。収率を、一定のコークス(4.0wt%)基準に基づいて得られた表13にまとめる。
【0101】
【表12】
【0102】
【表13】
【実施例29】
【0103】
中間圧力での水素化分解の残油留分を、触媒脱ろう化および水素処理に掛けた。供給物は、固定層反応器を通してカスケード操作で処理した。80グラムのHZSM−5脱ろう化触媒を、第一の反応器内へ充填し、実施例19に記載した240gの本発明触媒を、第二の反応器内へ充填した。供給物を、両方の触媒に通して、すなわち、175バール、1.0LHSVで脱ろう化触媒に通し、0.33LHSVで水素処理触媒に通した。第一の反応器内の温度は、目的の−6.6℃の流動点を得るように、307〜321℃に維持した。残油留分の性質を、以下の表14に記載する。
【0104】
【表14】
生成物のUV吸収を、潤滑有基原料中のアロマティックスを決定するのに使用した。226nmにおける吸収が、全アロマティックスの尺度であり、400nmにおける吸収(×103)が、多核アロマティックスの尺度である。Pd/MCM−41に対する比較の目的のために、実施例19に記載した手順に従って調製した触媒も試験した。実施の結果を、以下の表15にまとめる。
【0105】
【表15】
Pd/MCM−41触媒の性能を本発明の組成物上にPdを含有する触媒と比較すると、本発明の組成物が、飽和アロマティックスにおいて、はるかにずっと効果的であることが明らかである。
【実施例30】
【0106】
この実施例は、石炭液体の水素化処理のための触媒として本発明の組成物を用いることを例示する。ここで例示する特定の石炭由来の液体は、H−石炭プロセスの液化生成物(出発物質としてイリノイ第6(Illinois No.6)石炭を用いる)であるとはいえ、他の石炭液体(例えば、石炭タール抽出物、溶媒精製石炭、その他)も同様に改良できる。触媒試料を、実施例3Aに記載したのと同じ方法で作成した。しかしながら、この方法は、オートクレーブ中で190℃において4日間という相対的に短い時間での水熱処理を含んでいた。窒素吸着は、11nmを中心とする大きさと、約630m2/gの表面積とを有するメソ孔を示した。元素分析は、約99.6のSi/Al原子比を示した。
【0107】
この物質にさらに、七モリブデン酸アンモニウム溶液を含浸させる。特に、6.38部の七モリブデン酸アンモニウムを含有する45.12部の水溶液を、40部の上述の物質に添加する。結果として得られた湿った物質を、120℃で乾燥し、七モリブデン酸アンモニウムを分解してMoO3を生成するのに十分な条件下で、空気中、538℃で、か焼し、それによって、モリブデン含浸物質を生成した。
【0108】
モリブデン含浸物質は次いで、硝酸ニッケル溶液を含浸させる。特に、9.3部のNi(NO3)2・6H2Oを含有する48.2部の水溶液を、モリブデン含浸物質に添加した。結果として得られた湿った物質を、121℃で乾燥し、次いで、硝酸ニッケルを分解してNiOを生成するように、空気中、538℃で、か焼し、それによって、ニッケルおよびモリブデン含浸物質を生成する。元素分析は、最終物質が、15.0wt%のMoO3と、6.4wt%のNiOとを含有することを示す。
【0109】
比較のために、992m2/gの表面積と、3.5nmを中心とする細孔径分布と、0.72cm3/gの細孔体積とを有するMCM−41物質を用いる。それに、上述したのと同じ方法で含浸させ、それは最終的に、15.2wt%のMoO3と、6.7wt%のNiOとを含有する。
【0110】
水素化処理に対するそれらの活性を、供給原料としてイリノイ(illinois)H−石炭を用いて評価する。表16は、供給原料の性質を示す。
【0111】
【表16】
これらの二つの触媒を、H2中の10%H2Sの500cm3/minの流れの中で、230℃、680kPaの全圧において、1時間、予め硫化物化させる。水素化処理を、350℃の温度、6890kPaの圧力、500cm3/minの水素の流量、0.33の液体時間空間速度で行う。表17は、脱窒素、コンラッドソン炭素残留物(Conradson Carbon Residue)(CCR)低減、および脱硫による活性の比較を示す。
【0112】
【表17】
本発明の触媒は、はるかに高い活性を示し、これは部分的には、その特有の細孔構造に帰されるはずである。それは、石炭液体中に存在するものなどの大きな分子を収容しかつ輸送できる三次元接続を有する相対的に大きな細孔を有する。
【実施例31】
【0113】
この実施例は、フィッシャー−トロプシュ法触媒の調製と、その触媒性能とを例示する。実施例1で作成した二十(20)部のAl含有物質を、N2流下、200℃で半時間乾燥する。次いでそれを、グローブボックス中で、2部のCo2(CO)8と完全に混合する。この固形物の混合物を、密封管内の管状炉用舟形容器中に置き、グローブボックスから取り出す。次いでそれを、ヘリウム流中、100℃で15分間加熱し、10分間に亘って200℃に上昇させ、次いで、ヘリウム中、200℃で半時間加熱する。最終触媒は、16wt.%のCoを含有する。
【0114】
上述の触媒を、試験の前に水素で処理する。それを、室内の小さな石英るつぼ内に配置し、室温で15分間、8.5×10−6Nm3/sの窒素でパージする。次いでそれを、1.8×10−6Nm3/sで流れる水素下、1℃/minで100℃に加熱し、100℃で1時間保持する。次いでそれを、1℃/minで400℃に加熱し、1.8×10−6Nm3/sで流れる水素下、400℃で4時間保持する。触媒を、水素中で冷却し、使用前に窒素でパージする。
【0115】
触媒とn−オクタンとを収容する圧力容器を、69バールのH2:CO(2:1)下、225℃で加熱し、この温度と圧力で1時間保持する。反応器容器を、氷中で冷却し、排気し、ジ−n−ブチルエーテルの内部標準を添加する。C11〜C40の範囲の炭化水素を、GCにより内部標準に対して分析する。
【0116】
C11+生産性(gC11+/hour/kg触媒)を計算すると、1時間当たり、触媒1kg当たり、C11〜C40炭化水素の統合された生成量に基づいて、234となる。各炭素数に対する重量部分の対数すなわちln(Wn/n)を縦座標として、横座標としての(Wn/n)内の炭素原子数に対してプロットする。この傾きから、αの値が、0.87であると得られる。
【0117】
上述した説明は、多くの詳細を含むとはいえ、これらの詳細は、本発明の範囲の限定としてではなく、本発明の好ましい実施態様の単なる例示として解釈すべきである。当業者は、添付の請求項により規定される本発明の範囲および精神の中で他の多くの可能性を構想するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】実施例1のメソ孔物質のX線回折パターン(「XRD」)である。
【図2】実施例1のメソ孔物質の透過電子顕微鏡法(「TEM」)画像である。
【図3】実施例1のメソ孔物質の細孔径分布を例示するグラフである。
【図4】実施例2のメソ孔物質のXRDパターンである。
【図5】実施例3A、3Bおよび3Cのメソ孔物質のXRDパターンを示す。
【図6】実施例3Aのメソ孔物質の細孔径分布を例示するグラフである。
【図7】実施例5のバナジウム含有メソ孔物質のXRDパターンである。
【図8】実施例6のチタン含有メソ孔物質のXRDパターンである。
【図9】実施例6のチタン含有メソ孔物質の窒素収着等温線を例示するグラフである。
【図10】実施例6のチタン含有メソ孔物質の細孔径分布を例示するグラフである。
【図11】実施例7、8、および9のメソ孔物質のXRDパターンを示す。
【図12】実施例10のアルミニウムおよびバナジウム含有メソ孔物質のXRDパターンである。
【図13】実施例10のアルミニウムおよびバナジウム含有メソ孔物質の細孔径分布を例示するグラフである。
【図14】実施例11の鉄含有メソ孔物質のXRDパターンである。
【図15】実施例11の鉄含有メソ孔物質のUV−可視スペクトルを示す。
【図16】実施例11の鉄含有メソ孔物質の細孔径分布を示すグラフである。
【図17】実施例13のクロム含有メソ孔物質のXRDパターンである。
【図18】実施例13のクロム含有メソ孔物質のUV−可視スペクトルを示す。
【図19】実施例13のメソ孔物質のメソ孔径分布を示すグラフである。
【図20】実施例15のモリブデン含有メソ孔物質のXRDパターンである。
【図21】実施例15のメソ孔物質のUV−可視スペクトルを示す。
【図22】実施例15のメソ孔物質のメソ孔径分布を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 約15オングストロームから約300オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔を体積で少なくとも97%含有しかつ少なくとも約0.01cc/gのミクロ孔体積を有する、シリカの実質的なメソ孔構造であって、Al、Ti、V、Cr、Zn、Fe、Sn、Mo、Ga、Ni、Co、In、Zr、Mn、Cu、Mg、Pd、Ru、Pt、W、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一つの触媒的および/または化学的に活性なヘテロ原子を重量で少なくとも約0.02%を組み込んでいるメソ孔構造を含む組成物であって、前記触媒は、2θにおいて0.3°から約3.5°に一つのピークを有するX線回折パターンを有する、組成物を提供し、
b) 反応条件下で有機化合物含有供給物を前記触媒と接触させる、
ことを含む、有機化合物を処理するプロセスであって、この処理プロセスは、アルキル化、アシル化、オリゴマー化、選択的酸化、水素化処理、異性化、脱金属化、触媒的脱ろう化、ヒドロキシル化、水素化、アンモオキシム化、異性化、脱水素、クラッキング、および吸着から成る群より選択される、
ことを特徴とする、有機化合物を処理するプロセス。
【請求項2】
処理プロセスは、アルキル化であり、有機化合物含有供給物は、芳香族化合物またはアルカンおよびアルキル化剤から成ることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
芳香族化合物は、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、トルエン、キシレン、イソプロピルナフタレン、ジフェニルオキシド、および2,4−ジ−tert−ブチルフェノールから成る群より選択されることを特徴とする請求項2記載のプロセス。
【請求項4】
アルキル化剤は、オレフィンまたはアルコールであることを特徴とする請求項3記載のプロセス。
【請求項5】
少なくとも一つのヘテロ原子は、Alおよび/またはGaであることを特徴とする請求項4記載のプロセス。
【請求項6】
芳香族化合物は、ナフタレンまたはベンゼンであり、オレフィンは、1−ヘキサデセンまたはエチレンであることを特徴とする請求項5記載のプロセス。
【請求項7】
アルキル化剤は、有機ハロゲン化物であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Sn、Ga、Fe、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項3記載のプロセス。
【請求項8】
芳香族化合物は、ベンゼンであり、有機ハロゲン化物は、クロロベンゼンであることを特徴とする請求項7記載のプロセス。
【請求項9】
処理プロセスは、選択的酸化であり、供給物は、酸化剤を含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Cu、Zn、Fe、Ti、V、Sn、Mn、Cr、Mo、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項10】
少なくとも一つのヘテロ原子は、Ti、Cr、およびMoから成る群より選択される少なくとも一つの原子を含み、供給物は、エチルベンゼンを含み、選択的酸化処理プロセスの生成物は、アセトフェノンを含むことを特徴とする請求項9記載のプロセス。
【請求項11】
供給物は、アルコールを含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Cuおよび/またはZnを含むことを特徴とする請求項9記載のプロセス。
【請求項12】
有機供給物は、シクロヘキサノールを含み、選択的酸化処理プロセスの生成物は、シクロヘキサノンを含むことを特徴とする請求項9記載のプロセス。
【請求項13】
処理プロセスは、オリゴマー化であり、供給物は、少なくとも一つのオレフィンから成り、少なくとも一つのヘテロ原子は、Al、Cr、Ga、Fe、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項14】
有機供給物は、1−デセンを含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Alを含むことを特徴とする請求項13記載のプロセス。
【請求項15】
処理プロセスは、アシル化であり、供給物は、少なくとも一つの芳香族化合物と、少なくとも一つのアシル化剤とを含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Al、Fe、Ga、In、およびこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項16】
供給物は、2−メトキシナフタレンと無水酢酸とを含むことを特徴とする請求項15記載のプロセス。
【請求項17】
処理プロセスは、水素化処理を含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Ni、Mo、Co、W、Pt、Pd、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項18】
有機供給物は、シェール油、または誘導石炭液体、または残留石油留分を含み、水素化処理は、脱窒素、脱硫、CCR低減、および脱金属化のうちの一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項17記載のプロセス。
【請求項19】
脱金属化は、鉄、ニッケル、バナジウム、およびヒ素の除去を含むことを特徴とする請求項18記載のプロセス。
【請求項20】
供給物は、石油残滓であり、水素化処理は、脱窒素、脱硫、脱金属化、およびCCR低減のうちの一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項19記載のプロセス。
【請求項21】
処理プロセスは、クラッキングを含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項22】
クラッキングは、水素化分解であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Ni、W、Mo、Co、Al、およびGaから成る群より選択される一つまたは複数の金属を含むことを特徴とする請求項21記載のプロセス。
【請求項23】
クラッキングは、接触分解であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Alを含むことを特徴とする請求項20記載のプロセス。
【請求項24】
処理プロセスは、触媒的脱ろう化であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Al、Pt、およびPdから成る群より選択される少なくとも一つの原子を含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項25】
処理プロセスは、ヒドロキシル化であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Ti、Fe、Cu、Co、V、Cr、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項26】
供給物は、フェノールおよび/またはナフトールであることを特徴とする請求項25記載のプロセス。
【請求項27】
処理プロセスは、異性化であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Pd、Pt、Ni、Zr、W、Ga、Fe、Ti、Al、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項28】
供給物は、n−ブタン、n−ペンタン、1−ブテン、キシレン、および20を超える平均炭素数のろう状石油流体から成る群より選択される少なくとも一つの炭化水素を含むことを特徴とする請求項27記載のプロセス。
【請求項29】
処理プロセスは、脱水素であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Zn、W、Ga、Fe、Ti、Al、Sn、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項30】
供給物は、一つまたは複数の飽和炭化水素を含むことを特徴とする請求項29記載のプロセス。
【請求項31】
飽和炭化水素は、n−ブタン、n−ペンタン、1−ブテン、およびキシレンから成る群より選択されることを特徴とする請求項30記載のプロセス。
【請求項32】
処理プロセスは、フィッシャー−トロプシュ法であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Fe、Co、Ni、およびRu、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項33】
触媒は、約5バールから約60バール、好ましくは8バールから約30バールの圧力、約100hr−1から約10,000hr−1、好ましくは約300hr−1から約2,000hr−1のGHSV、約160℃から約300℃、好ましくは約190℃から約260℃の温度の条件下で、水素と一酸化炭素とを含有する供給物と接触することを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項34】
組成物は、ゼオライトをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項35】
約15オングストロームから約300オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔を体積で少なくとも97%含有しかつ少なくとも約0.01cc/gのミクロ孔体積を有しかつ300から約1100m2/gの表面積を有する、シリカの実質的なメソ孔構造から成る触媒物質であって、メソ孔構造は、Al、Ti、V、Cr、Zn、Fe、Sn、Mo、Ga、Ni、Co、In、Zr、Mn、Cu、Mg、Pd、Ru、Pt、W、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一つの触媒的および/または化学的に活性なヘテロ原子を重量で少なくとも約0.02%を組み込んでおり、前記触媒は、2θにおいて0.3°から約3.5°に一つのピークを有するX線回折パターンを有する、ことを特徴とする触媒物質。
【請求項36】
シリカ、アルミナ、粘土、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される結合剤をさらに含むことを特徴とする請求項33記載の触媒物質。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) シリカ、アルミナ、チタニア、クロミア、酸化鉄、モリブデナから成る群より選択される一つ又は複数の物質から成る実質的なメソ孔構造であり、かつ、約15オングストロームから約300オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔を体積で少なくとも97%含有しかつ少なくとも約0.01cc/gのミクロ孔体積を有する、シリカの実質的なメソ孔構造であって、Al、Ti、V、Cr、Zn、Fe、Sn、Mo、Ga、Ni、Co、In、Zr、Mn、Cu、Mg、Pd、Ru、Pt、W、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一つの触媒的および/または化学的に活性なヘテロ原子を重量で少なくとも約0.02%を組み込んでいるメソ孔構造を含む組成物であって、前記触媒は、2θにおいて0.3°から約3.5°に一つのピークを有するX線回折パターンを有する、組成物を提供し、
b) 反応条件下で有機化合物含有供給物を前記触媒と接触させる、
ことを含む、有機化合物を処理するプロセスであって、この処理プロセスは、アルキル化、アシル化、オリゴマー化、選択的酸化、水素化処理、異性化、脱金属化、触媒的脱ろう化、ヒドロキシル化、水素化、アンモオキシム化、異性化、脱水素、フィッシャー−トロプシュ法、クラッキング、および吸着から成る群より選択される、
ことを特徴とする、有機化合物を処理するプロセス。
【請求項2】
処理プロセスは、アルキル化であり、有機化合物含有供給物は、芳香族化合物またはアルカンおよびアルキル化剤から成ることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
芳香族化合物は、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、トルエン、キシレン、イソプロピルナフタレン、ジフェニルオキシド、および2,4−ジ−tert−ブチルフェノールから成る群より選択されることを特徴とする請求項2記載のプロセス。
【請求項4】
アルキル化剤は、オレフィンまたはアルコールであることを特徴とする請求項3記載のプロセス。
【請求項5】
少なくとも一つのヘテロ原子は、Alおよび/またはGaであることを特徴とする請求項4記載のプロセス。
【請求項6】
芳香族化合物は、ナフタレンまたはベンゼンであり、オレフィンは、1−ヘキサデセンまたはエチレンであることを特徴とする請求項5記載のプロセス。
【請求項7】
アルキル化剤は、有機ハロゲン化物であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Sn、Ga、Fe、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項3記載のプロセス。
【請求項8】
芳香族化合物は、ベンゼンであり、有機ハロゲン化物は、クロロベンゼンであることを特徴とする請求項7記載のプロセス。
【請求項9】
処理プロセスは、選択的酸化であり、供給物は、酸化剤を含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Cu、Zn、Fe、Ti、V、Sn、Mn、Cr、Mo、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項10】
少なくとも一つのヘテロ原子は、Ti、Cr、およびMoから成る群より選択される少なくとも一つの原子を含み、供給物は、エチルベンゼンを含み、選択的酸化処理プロセスの生成物は、アセトフェノンを含むことを特徴とする請求項9記載のプロセス。
【請求項11】
供給物は、アルコールを含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Cuおよび/またはZnを含むことを特徴とする請求項9記載のプロセス。
【請求項12】
有機供給物は、シクロヘキサノールを含み、選択的酸化処理プロセスの生成物は、シクロヘキサノンを含むことを特徴とする請求項9記載のプロセス。
【請求項13】
処理プロセスは、オリゴマー化であり、供給物は、少なくとも一つのオレフィンから成り、少なくとも一つのヘテロ原子は、Al、Cr、Ga、Fe、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項14】
有機供給物は、1−デセンを含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Alを含むことを特徴とする請求項13記載のプロセス。
【請求項15】
処理プロセスは、アシル化であり、供給物は、少なくとも一つの芳香族化合物と、少なくとも一つのアシル化剤とを含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Al、Fe、Ga、In、およびこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項16】
供給物は、2−メトキシナフタレンと無水酢酸とを含むことを特徴とする請求項15記載のプロセス。
【請求項17】
処理プロセスは、水素化処理を含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Ni、Mo、Co、W、Pt、Pd、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項18】
有機供給物は、シェール油、または誘導石炭液体、または残留石油留分を含み、水素化処理は、脱窒素、脱硫、CCR低減、および脱金属化のうちの一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項17記載のプロセス。
【請求項19】
脱金属化は、鉄、ニッケル、銅、バナジウム、およびヒ素の除去を含むことを特徴とする請求項18記載のプロセス。
【請求項20】
供給物は、石油残滓であり、水素化処理は、脱窒素、脱硫、脱金属化、およびCCR低減のうちの一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項19記載のプロセス。
【請求項21】
処理プロセスは、クラッキングを含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項22】
クラッキングは、水素化分解であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Ni、W、Mo、Co、Al、およびGaから成る群より選択される一つまたは複数の金属を含むことを特徴とする請求項21記載のプロセス。
【請求項23】
クラッキングは、接触分解であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Alを含むことを特徴とする請求項20記載のプロセス。
【請求項24】
処理プロセスは、触媒的脱ろう化であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Al、Pt、およびPdから成る群より選択される少なくとも一つの原子を含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項25】
処理プロセスは、ヒドロキシル化であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Ti、Fe、Cu、Co、V、Cr、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項26】
供給物は、フェノールおよび/またはナフトールであることを特徴とする請求項25記載のプロセス。
【請求項27】
処理プロセスは、異性化であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Pd、Pt、Ni、Zr、W、Ga、Fe、Ti、Al、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項28】
供給物は、n−ブタン、n−ペンタン、1−ブテン、キシレン、および20を超える平均炭素数のろう状石油流体から成る群より選択される少なくとも一つの炭化水素を含むことを特徴とする請求項27記載のプロセス。
【請求項29】
処理プロセスは、脱水素であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、V、Fe、Ga、Co、Cr、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項30】
供給物は、一つまたは複数の飽和炭化水素を含むことを特徴とする請求項29記載のプロセス。
【請求項31】
供給物は、プロパン、イソブタン、およびエチルベンゼンから成る群より選択される一つまたは複数の炭化水素を含むことを特徴とする請求項29記載のプロセス。
【請求項32】
処理プロセスは、フィッシャー−トロプシュ法であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Fe、Co、Ni、およびRu、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項33】
触媒は、約5バールから約60バール、好ましくは8バールから約30バールの圧力、約100hr−1から約10,000hr−1、好ましくは約300hr−1から約2,000hr−1のGHSV、約160℃から約300℃、好ましくは約190℃から約260℃の温度の条件下で、水素と一酸化炭素とを含有する供給物と接触することを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項34】
組成物は、ゼオライトをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項35】
シリカ、アルミナ、チタニア、クロミア、酸化鉄、モリブデナから成る群より選択される一つ又は複数の物質から成る実質的なメソ孔構造であり、かつ、約15オングストロームから約300オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔を体積で少なくとも97%含有しかつ少なくとも約0.01cc/gのミクロ孔体積を有しかつ300から約1100m2/gの表面積を有する、シリカの実質的なメソ孔構造から成る触媒物質であって、メソ孔構造は、Al、Ti、V、Cr、Zn、Fe、Sn、Mo、Ga、Ni、Co、In、Zr、Mn、Cu、Mg、Pd、Ru、Pt、W、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一つの触媒的および/または化学的に活性なヘテロ原子を重量で少なくとも約0.02%を組み込んでいるメソ孔構造から成る触媒物質であって、前記触媒は、2θにおいて0.3°から約3.5°に一つのピークを有するX線回折パターンを有する、ことを特徴とする触媒物質。
【請求項36】
シリカ、アルミナ、粘土、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される結合剤をさらに含むことを特徴とする請求項33記載の触媒物質。
【請求項1】
a) 約15オングストロームから約300オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔を体積で少なくとも97%含有しかつ少なくとも約0.01cc/gのミクロ孔体積を有する、シリカの実質的なメソ孔構造であって、Al、Ti、V、Cr、Zn、Fe、Sn、Mo、Ga、Ni、Co、In、Zr、Mn、Cu、Mg、Pd、Ru、Pt、W、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一つの触媒的および/または化学的に活性なヘテロ原子を重量で少なくとも約0.02%を組み込んでいるメソ孔構造を含む組成物であって、前記触媒は、2θにおいて0.3°から約3.5°に一つのピークを有するX線回折パターンを有する、組成物を提供し、
b) 反応条件下で有機化合物含有供給物を前記触媒と接触させる、
ことを含む、有機化合物を処理するプロセスであって、この処理プロセスは、アルキル化、アシル化、オリゴマー化、選択的酸化、水素化処理、異性化、脱金属化、触媒的脱ろう化、ヒドロキシル化、水素化、アンモオキシム化、異性化、脱水素、クラッキング、および吸着から成る群より選択される、
ことを特徴とする、有機化合物を処理するプロセス。
【請求項2】
処理プロセスは、アルキル化であり、有機化合物含有供給物は、芳香族化合物またはアルカンおよびアルキル化剤から成ることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
芳香族化合物は、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、トルエン、キシレン、イソプロピルナフタレン、ジフェニルオキシド、および2,4−ジ−tert−ブチルフェノールから成る群より選択されることを特徴とする請求項2記載のプロセス。
【請求項4】
アルキル化剤は、オレフィンまたはアルコールであることを特徴とする請求項3記載のプロセス。
【請求項5】
少なくとも一つのヘテロ原子は、Alおよび/またはGaであることを特徴とする請求項4記載のプロセス。
【請求項6】
芳香族化合物は、ナフタレンまたはベンゼンであり、オレフィンは、1−ヘキサデセンまたはエチレンであることを特徴とする請求項5記載のプロセス。
【請求項7】
アルキル化剤は、有機ハロゲン化物であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Sn、Ga、Fe、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項3記載のプロセス。
【請求項8】
芳香族化合物は、ベンゼンであり、有機ハロゲン化物は、クロロベンゼンであることを特徴とする請求項7記載のプロセス。
【請求項9】
処理プロセスは、選択的酸化であり、供給物は、酸化剤を含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Cu、Zn、Fe、Ti、V、Sn、Mn、Cr、Mo、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項10】
少なくとも一つのヘテロ原子は、Ti、Cr、およびMoから成る群より選択される少なくとも一つの原子を含み、供給物は、エチルベンゼンを含み、選択的酸化処理プロセスの生成物は、アセトフェノンを含むことを特徴とする請求項9記載のプロセス。
【請求項11】
供給物は、アルコールを含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Cuおよび/またはZnを含むことを特徴とする請求項9記載のプロセス。
【請求項12】
有機供給物は、シクロヘキサノールを含み、選択的酸化処理プロセスの生成物は、シクロヘキサノンを含むことを特徴とする請求項9記載のプロセス。
【請求項13】
処理プロセスは、オリゴマー化であり、供給物は、少なくとも一つのオレフィンから成り、少なくとも一つのヘテロ原子は、Al、Cr、Ga、Fe、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項14】
有機供給物は、1−デセンを含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Alを含むことを特徴とする請求項13記載のプロセス。
【請求項15】
処理プロセスは、アシル化であり、供給物は、少なくとも一つの芳香族化合物と、少なくとも一つのアシル化剤とを含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Al、Fe、Ga、In、およびこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項16】
供給物は、2−メトキシナフタレンと無水酢酸とを含むことを特徴とする請求項15記載のプロセス。
【請求項17】
処理プロセスは、水素化処理を含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Ni、Mo、Co、W、Pt、Pd、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項18】
有機供給物は、シェール油、または誘導石炭液体、または残留石油留分を含み、水素化処理は、脱窒素、脱硫、CCR低減、および脱金属化のうちの一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項17記載のプロセス。
【請求項19】
脱金属化は、鉄、ニッケル、バナジウム、およびヒ素の除去を含むことを特徴とする請求項18記載のプロセス。
【請求項20】
供給物は、石油残滓であり、水素化処理は、脱窒素、脱硫、脱金属化、およびCCR低減のうちの一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項19記載のプロセス。
【請求項21】
処理プロセスは、クラッキングを含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項22】
クラッキングは、水素化分解であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Ni、W、Mo、Co、Al、およびGaから成る群より選択される一つまたは複数の金属を含むことを特徴とする請求項21記載のプロセス。
【請求項23】
クラッキングは、接触分解であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Alを含むことを特徴とする請求項20記載のプロセス。
【請求項24】
処理プロセスは、触媒的脱ろう化であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Al、Pt、およびPdから成る群より選択される少なくとも一つの原子を含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項25】
処理プロセスは、ヒドロキシル化であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Ti、Fe、Cu、Co、V、Cr、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項26】
供給物は、フェノールおよび/またはナフトールであることを特徴とする請求項25記載のプロセス。
【請求項27】
処理プロセスは、異性化であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Pd、Pt、Ni、Zr、W、Ga、Fe、Ti、Al、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項28】
供給物は、n−ブタン、n−ペンタン、1−ブテン、キシレン、および20を超える平均炭素数のろう状石油流体から成る群より選択される少なくとも一つの炭化水素を含むことを特徴とする請求項27記載のプロセス。
【請求項29】
処理プロセスは、脱水素であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Zn、W、Ga、Fe、Ti、Al、Sn、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項30】
供給物は、一つまたは複数の飽和炭化水素を含むことを特徴とする請求項29記載のプロセス。
【請求項31】
飽和炭化水素は、n−ブタン、n−ペンタン、1−ブテン、およびキシレンから成る群より選択されることを特徴とする請求項30記載のプロセス。
【請求項32】
処理プロセスは、フィッシャー−トロプシュ法であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Fe、Co、Ni、およびRu、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項33】
触媒は、約5バールから約60バール、好ましくは8バールから約30バールの圧力、約100hr−1から約10,000hr−1、好ましくは約300hr−1から約2,000hr−1のGHSV、約160℃から約300℃、好ましくは約190℃から約260℃の温度の条件下で、水素と一酸化炭素とを含有する供給物と接触することを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項34】
組成物は、ゼオライトをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項35】
約15オングストロームから約300オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔を体積で少なくとも97%含有しかつ少なくとも約0.01cc/gのミクロ孔体積を有しかつ300から約1100m2/gの表面積を有する、シリカの実質的なメソ孔構造から成る触媒物質であって、メソ孔構造は、Al、Ti、V、Cr、Zn、Fe、Sn、Mo、Ga、Ni、Co、In、Zr、Mn、Cu、Mg、Pd、Ru、Pt、W、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一つの触媒的および/または化学的に活性なヘテロ原子を重量で少なくとも約0.02%を組み込んでおり、前記触媒は、2θにおいて0.3°から約3.5°に一つのピークを有するX線回折パターンを有する、ことを特徴とする触媒物質。
【請求項36】
シリカ、アルミナ、粘土、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される結合剤をさらに含むことを特徴とする請求項33記載の触媒物質。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) シリカ、アルミナ、チタニア、クロミア、酸化鉄、モリブデナから成る群より選択される一つ又は複数の物質から成る実質的なメソ孔構造であり、かつ、約15オングストロームから約300オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔を体積で少なくとも97%含有しかつ少なくとも約0.01cc/gのミクロ孔体積を有する、シリカの実質的なメソ孔構造であって、Al、Ti、V、Cr、Zn、Fe、Sn、Mo、Ga、Ni、Co、In、Zr、Mn、Cu、Mg、Pd、Ru、Pt、W、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一つの触媒的および/または化学的に活性なヘテロ原子を重量で少なくとも約0.02%を組み込んでいるメソ孔構造を含む組成物であって、前記触媒は、2θにおいて0.3°から約3.5°に一つのピークを有するX線回折パターンを有する、組成物を提供し、
b) 反応条件下で有機化合物含有供給物を前記触媒と接触させる、
ことを含む、有機化合物を処理するプロセスであって、この処理プロセスは、アルキル化、アシル化、オリゴマー化、選択的酸化、水素化処理、異性化、脱金属化、触媒的脱ろう化、ヒドロキシル化、水素化、アンモオキシム化、異性化、脱水素、フィッシャー−トロプシュ法、クラッキング、および吸着から成る群より選択される、
ことを特徴とする、有機化合物を処理するプロセス。
【請求項2】
処理プロセスは、アルキル化であり、有機化合物含有供給物は、芳香族化合物またはアルカンおよびアルキル化剤から成ることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
芳香族化合物は、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、トルエン、キシレン、イソプロピルナフタレン、ジフェニルオキシド、および2,4−ジ−tert−ブチルフェノールから成る群より選択されることを特徴とする請求項2記載のプロセス。
【請求項4】
アルキル化剤は、オレフィンまたはアルコールであることを特徴とする請求項3記載のプロセス。
【請求項5】
少なくとも一つのヘテロ原子は、Alおよび/またはGaであることを特徴とする請求項4記載のプロセス。
【請求項6】
芳香族化合物は、ナフタレンまたはベンゼンであり、オレフィンは、1−ヘキサデセンまたはエチレンであることを特徴とする請求項5記載のプロセス。
【請求項7】
アルキル化剤は、有機ハロゲン化物であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Sn、Ga、Fe、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項3記載のプロセス。
【請求項8】
芳香族化合物は、ベンゼンであり、有機ハロゲン化物は、クロロベンゼンであることを特徴とする請求項7記載のプロセス。
【請求項9】
処理プロセスは、選択的酸化であり、供給物は、酸化剤を含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Cu、Zn、Fe、Ti、V、Sn、Mn、Cr、Mo、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項10】
少なくとも一つのヘテロ原子は、Ti、Cr、およびMoから成る群より選択される少なくとも一つの原子を含み、供給物は、エチルベンゼンを含み、選択的酸化処理プロセスの生成物は、アセトフェノンを含むことを特徴とする請求項9記載のプロセス。
【請求項11】
供給物は、アルコールを含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Cuおよび/またはZnを含むことを特徴とする請求項9記載のプロセス。
【請求項12】
有機供給物は、シクロヘキサノールを含み、選択的酸化処理プロセスの生成物は、シクロヘキサノンを含むことを特徴とする請求項9記載のプロセス。
【請求項13】
処理プロセスは、オリゴマー化であり、供給物は、少なくとも一つのオレフィンから成り、少なくとも一つのヘテロ原子は、Al、Cr、Ga、Fe、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項14】
有機供給物は、1−デセンを含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Alを含むことを特徴とする請求項13記載のプロセス。
【請求項15】
処理プロセスは、アシル化であり、供給物は、少なくとも一つの芳香族化合物と、少なくとも一つのアシル化剤とを含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Al、Fe、Ga、In、およびこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項16】
供給物は、2−メトキシナフタレンと無水酢酸とを含むことを特徴とする請求項15記載のプロセス。
【請求項17】
処理プロセスは、水素化処理を含み、少なくとも一つのヘテロ原子は、Ni、Mo、Co、W、Pt、Pd、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項18】
有機供給物は、シェール油、または誘導石炭液体、または残留石油留分を含み、水素化処理は、脱窒素、脱硫、CCR低減、および脱金属化のうちの一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項17記載のプロセス。
【請求項19】
脱金属化は、鉄、ニッケル、銅、バナジウム、およびヒ素の除去を含むことを特徴とする請求項18記載のプロセス。
【請求項20】
供給物は、石油残滓であり、水素化処理は、脱窒素、脱硫、脱金属化、およびCCR低減のうちの一つまたは複数を含むことを特徴とする請求項19記載のプロセス。
【請求項21】
処理プロセスは、クラッキングを含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項22】
クラッキングは、水素化分解であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Ni、W、Mo、Co、Al、およびGaから成る群より選択される一つまたは複数の金属を含むことを特徴とする請求項21記載のプロセス。
【請求項23】
クラッキングは、接触分解であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Alを含むことを特徴とする請求項20記載のプロセス。
【請求項24】
処理プロセスは、触媒的脱ろう化であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Al、Pt、およびPdから成る群より選択される少なくとも一つの原子を含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項25】
処理プロセスは、ヒドロキシル化であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Ti、Fe、Cu、Co、V、Cr、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項26】
供給物は、フェノールおよび/またはナフトールであることを特徴とする請求項25記載のプロセス。
【請求項27】
処理プロセスは、異性化であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Pd、Pt、Ni、Zr、W、Ga、Fe、Ti、Al、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項28】
供給物は、n−ブタン、n−ペンタン、1−ブテン、キシレン、および20を超える平均炭素数のろう状石油流体から成る群より選択される少なくとも一つの炭化水素を含むことを特徴とする請求項27記載のプロセス。
【請求項29】
処理プロセスは、脱水素であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、V、Fe、Ga、Co、Cr、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項30】
供給物は、一つまたは複数の飽和炭化水素を含むことを特徴とする請求項29記載のプロセス。
【請求項31】
供給物は、プロパン、イソブタン、およびエチルベンゼンから成る群より選択される一つまたは複数の炭化水素を含むことを特徴とする請求項29記載のプロセス。
【請求項32】
処理プロセスは、フィッシャー−トロプシュ法であり、少なくとも一つのヘテロ原子は、Fe、Co、Ni、およびRu、およびこれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項33】
触媒は、約5バールから約60バール、好ましくは8バールから約30バールの圧力、約100hr−1から約10,000hr−1、好ましくは約300hr−1から約2,000hr−1のGHSV、約160℃から約300℃、好ましくは約190℃から約260℃の温度の条件下で、水素と一酸化炭素とを含有する供給物と接触することを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項34】
組成物は、ゼオライトをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項35】
シリカ、アルミナ、チタニア、クロミア、酸化鉄、モリブデナから成る群より選択される一つ又は複数の物質から成る実質的なメソ孔構造であり、かつ、約15オングストロームから約300オングストロームの範囲の細孔径を有する細孔を体積で少なくとも97%含有しかつ少なくとも約0.01cc/gのミクロ孔体積を有しかつ300から約1100m2/gの表面積を有する、シリカの実質的なメソ孔構造から成る触媒物質であって、メソ孔構造は、Al、Ti、V、Cr、Zn、Fe、Sn、Mo、Ga、Ni、Co、In、Zr、Mn、Cu、Mg、Pd、Ru、Pt、W、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一つの触媒的および/または化学的に活性なヘテロ原子を重量で少なくとも約0.02%を組み込んでいるメソ孔構造から成る触媒物質であって、前記触媒は、2θにおいて0.3°から約3.5°に一つのピークを有するX線回折パターンを有する、ことを特徴とする触媒物質。
【請求項36】
シリカ、アルミナ、粘土、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される結合剤をさらに含むことを特徴とする請求項33記載の触媒物質。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2006−515584(P2006−515584A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559208(P2004−559208)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/038222
【国際公開番号】WO2004/052537
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(391011227)エービービー ルマス グローバル インコーポレイテッド (26)
【氏名又は名称原語表記】ABB LUMMUS CREST INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/038222
【国際公開番号】WO2004/052537
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(391011227)エービービー ルマス グローバル インコーポレイテッド (26)
【氏名又は名称原語表記】ABB LUMMUS CREST INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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