説明

流しのべ塗り床材および帯電防止塗り床

【課題】外観や美装性に優れるとともに、厚みが大きく、かつ十分な強度を有する上、従来に比べてさらに導電性に優れた帯電防止塗り床を形成しうる流しのべ塗り床材と、前記流しのべ塗り床材を塗布して形成された層を含む帯電防止塗り床とを提供する。
【解決手段】流しのべ塗り床材は、硬化性のバインダ樹脂100質量部に、1〜60質量部の、長径の平均値が5〜15μmである柱状の導電性酸化チタン粉末、および0.1〜2質量部の、平均繊維長が0.1〜1.0mmである炭素繊維を配合した。帯電防止塗り床は、前記流しのべ塗り床材を塗布し、硬化させて形成された層を少なくとも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流しのべ塗り床材と、前記流しのべ塗り床材を塗布して形成された層を含む帯電防止塗り床に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場をはじめとする各種生産設備等の床として、単層の、または多層構造の塗り床が広く採用されている。
かかる塗り床は、工場等で使用する薬品や溶剤に対する耐性に優れている必要がある。また、例えば半導体素子等の電子部品の製造工程に使用するクリーンルーム等の、高度の防塵性能が要求される床や、あるいは有機溶剤やガス等を取り扱うため静電気スパークの発生を高度に防止することが求められる床などに適用する塗り床は、前記耐性に加えて、さらに導電性を有し帯電を防止する機能に優れている必要もある。
【0003】
すなわち電気抵抗の高い絶縁体からなる塗り床は、作業者がその上を歩行するだけで帯電しやすい上、帯電によって塗り床それ自体や作業者に蓄積される静電気を漏洩しにくいため、当該塗り床に導電性を付与して、かかる帯電を防止しなければならない。
例えば電子部品の製造工場等に施工する塗り床には、蓄積された静電気の作用で作業者の体に付着した埃等がクリーンルーム内に持ち込まれたり電子部品の製造工程に混入したりするのを防止するいわゆる防塵性能を付与するべく、上記のように導電性を付与することが求められる。かかる導電性と、それに伴う帯電防止機能とを付与した塗り床を、以下では「帯電防止塗り床」と総称する場合がある。
【0004】
近年、作業者が床上を歩いたり作業したりした際に発生する静電気それ自体によって電子部品が破壊されることをも防止するため、前記帯電防止塗り床には、これまでに比べてより一層高い導電性が求められるようにもなってきている。
例えば100V以下の静電気で破壊される電子部品を扱う工場では、床上を歩いたり作業したりした際の帯電により作業者に蓄積される静電気の電位を、数十V以下に抑えることが求められる。
【0005】
かかる要求を満足する高い導電性を有する帯電防止塗り床を形成しうる塗り床材としては、例えば有機溶剤や水等の溶剤に、ベースとなるバインダ樹脂、導電性付与剤、その他の添加剤を配合して調製される、ペイントタイプの塗り床材が知られている。
前記ペイントタイプの塗り床材とは、比較的低粘度で、例えばローラや刷毛等によって塗布することができ、1回の塗布によって、例えば0.5mm以下程度の厚みに塗布されるタイプの塗り床材を指す。
【0006】
前記ペイントタイプで、かつ導電性付与剤が配合されて導電性が付与された塗り床材によれば、溶剤の蒸発による体積減少によって、形成後の帯電防止塗り床中で導電性付与剤同士を密に接触させ、その接点を増加させて、電気が流れる良好な道筋を構成することができるため、前記帯電防止塗り床の導電性を比較的容易に向上することができる(例えば特許文献1等参照)。
【0007】
一方、自動搬送車やフォークリフト、リーチフォークなどの輸送手段を導入している工場の床などでは、前記輸送手段のタイヤなどから高い荷重を受けたり、あるいは作業者が頻繁に通行したりする特定の領域において、帯電防止塗り床が局部的に摩耗して帯電防止機能が失われたり、それによって露出したコンクリート等の下地から埃等が発生したりしやすいという問題がある。
【0008】
特にペイントタイプの塗り床材からなる帯電防止塗り床は厚みが小さいため、前記の問題を生じやすい。また、特に有機溶剤を多量に含むペイントタイプの塗り床材は、特に現場施工時の臭気の問題や換気確保の問題等もあって敬遠されつつあるという問題もある。
これに対し、流しのべタイプの塗り床材(以下「流しのべ塗り床材」と記載する場合がある。)を用いれば、厚みが大きく、しかも十分な強度を有するため前記特定の領域において局部的に摩耗したり失われたりしにくい帯電防止塗り床を形成することができる。
【0009】
流しのべ塗り床材とは、例えば硬化性のバインダ樹脂を主体とし、基本的に溶剤を含まないか、もしくはペイントタイプのものに比べて少量の溶剤しか含まず、比較的高粘度で、通常は金ゴテなどを使用して塗り拡げて塗布(流しのべ塗布)するタイプの塗り床材であって、1回の塗布によって、例えば0.5〜2mm程度の厚みに塗布することができる塗り床材を指す。
【0010】
前記流しのべ塗り床材によれば、上記のように厚塗りが可能である上、溶剤の蒸発による体積減少が小さいため、厚みが大きく、かつ十分な強度を有する帯電防止塗り床を形成することができる。
また流しのべ塗り床材は、前記のように基本的に溶剤を含まないか、もしくはペイントタイプのものに比べて少量の溶剤しか含まないため、現場施工時の臭気の問題や換気確保の問題等を生じにくいという利点もある。
【0011】
しかし前記流しのべ塗り床材に導電性を付与するために、例えば黒鉛、導電性カーボンブラック、金属粉、金属繊維等の従来公知の通常の導電性付与剤を配合した場合、当該流しのべ塗り床材を用いて形成される帯電防止塗り床の外観、美装性を損なうことなしに、前記帯電防止塗り床に高い導電性を付与できないという問題がある。
すなわち流しのべ塗り床材は、前記のようにペイントタイプのものに比べて溶剤の蒸発による体積減少が小さく、形成後の帯電防止塗り床中で導電性付与材同士を接触させて形成できる接点の数が少ないため、電気が流れる良好な道筋を構成して高い導電性を付与するのが難しい。
【0012】
導電性を高めるためには、導電性付与剤を高密度に充てんして前記接点の数を増加させるようにすればよいが、その場合には帯電防止塗り床が黒色(黒鉛や導電性カーボンブラックを含有させた場合)、または金属固有の色調(金属粉や金属繊維を含有させた場合)となるため帯電防止塗り床の外観、美装性に問題を生じる。
特許文献2には、流しのべ塗り床材の導電性付与剤として、チタン酸カリウム(ウィスカー)の表面を酸化スズ、アンチモン等の導電性物質でコートしたもの等の白色導電性繊維を用いること、それによって外観や美装性を損なうことなしに、厚みが大きく、かつ十分な強度を有する上、導電性にも優れた帯電防止塗り床を形成できることが記載されている。
【0013】
しかし発明者の検討によると、前記白色導電性繊維を導電性付与剤として単独で配合しても、帯電防止塗り床に良好な導電性を付与する効果は未だ不十分であり、特に床上を歩いたり作業したりした際の帯電により作業者に蓄積される静電気の電位を数十V以下に抑えることができる、高い導電性を有する帯電防止塗り床を形成することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第2573105号公報
【特許文献2】特開平4−224858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、外観や美装性に優れるとともに、厚みが大きく、かつ十分な強度を有する上、従来に比べてさらに導電性に優れた帯電防止塗り床を形成しうる流しのべ塗り床材と、前記流しのべ塗り床材を塗布して形成された層を含む帯電防止塗り床とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の流しのべ塗り床材は、硬化性のバインダ樹脂、前記バインダ樹脂100質量部あたり1質量部以上、60質量部以下の、長径の平均値が5μm以上、15μm以下である柱状の導電性酸化チタン粉末、および前記バインダ樹脂100質量部あたり0.1質量部以上、2質量部未満の、平均繊維長が0.1mm以上、1.0mm以下である炭素繊維を含んでいることを特徴とするものである。
【0017】
本発明によれば、導電性付与剤として、柱状の導電性酸化チタン粉末と、当該導電性酸化チタン粉末よりも大きい炭素繊維とを併用することにより、流しのべ塗り床材からなる帯電防止塗り床の特性として厚みが大きく、かつ十分な強度を有する上、導電性がこれまでよりも大幅に向上した帯電防止塗り床を形成することができる。
すなわち導電性酸化チタン粉末、および炭素繊維はいずれも柱状であり、形成した帯電防止塗り床の表面にそれらの末端が突出して接点(電極)として機能するため、前記帯電防止塗り床の表面に接する作業者の靴底等との良好な通電を確保することができる。
【0018】
また導電性酸化チタン粉末が、形成後の帯電防止塗り床中に分散して当該帯電防止塗り床の導電性を向上し、また隣り合う炭素繊維間の電気接続を確保するために機能するとともに、前記導電性酸化チタン粉末よりも大きい炭素繊維が、前記帯電防止塗り床中で、電気が流れる良好な道筋を構成するために機能する。
そのため、かかる導電性酸化チタン粉末と炭素繊維とを、バインダ樹脂に対して前記所定の配合割合で併用することにより、溶剤の蒸発による体積減少が小さい流しのべ塗り床材からなり、厚みが大きく、かつ十分な強度を有する帯電防止塗り床の導電性を、これまでよりも大幅に向上することができる。
【0019】
特に床上を歩いたり作業したりした際の帯電により作業者に蓄積される静電気の電位を数十V以下に抑えることができる、高い導電性を有する帯電防止塗り床を形成することが可能となる。
また炭素繊維は黒色であるが、その平均繊維長を前記所定の範囲内に設定するとともに、バインダ樹脂に対する配合割合を前記所定の範囲内に規定することにより、前記黒色を、形成後の帯電防止塗り床の、特に表面において極力目立たなくすることができる。そのため、導電性酸化チタン粉末が白色であることと相まって、帯電防止塗り床の外観や美装性を向上することもできる。
【0020】
前記本発明の流しのべ塗り床材は、さらに導電性酸化亜鉛粉末を含んでいるとともに、当該導電性酸化亜鉛粉末、および前記導電性酸化チタン粉末を、合計で、前記バインダ樹脂100質量部あたり50質量部以上の範囲で含んでいるのが好ましい。
前記導電性酸化亜鉛粉末は白色で、帯電防止塗り床の外観や美装性を損なうおそれがない上、かかる導電性酸化亜鉛粉末と導電性酸化チタン粉末とを前記所定の配合割合で加えることにより、前記導電性酸化亜鉛粉末が、前記導電性酸化チタン粉末による、形成後の帯電防止塗り床中に分散して当該帯電防止塗り床の導電性を向上し、また隣り合う炭素繊維間の電気接続を確保する機能を補助する働きをするため、形成後の帯電防止塗り床の導電性をさらに向上することができる。
【0021】
本発明は、前記本発明の流しのべ塗り床材を塗布し、硬化させて形成された層を少なくとも含むことを特徴とする帯電防止塗り床である。
本発明の構成は単層の、または多層構造を有する種々の帯電防止塗り床に適用可能である。すなわち本発明の流しのべ塗り床材を塗布し、硬化させて形成した層単層で帯電防止塗り床を形成してもよいし、前記層を含む多層構造の帯電防止塗り床を構成してもよい。
【0022】
いずれの場合にも、前記層の機能により、外観や美装性に優れるとともに、厚みが大きく、かつ十分な強度を有する上、従来に比べてさらに導電性に優れた帯電防止塗り床を得ることができる。
なお多層構造の帯電防止塗り床においては、その最表面に位置する層を、前記本発明の流しのべ塗り床材を塗布し、硬化させて形成した層とするのが好ましい。これにより、先に説明した、形成した帯電防止塗り床の表面に導電性酸化チタン粉末の末端を突出させて接点(電極)として機能させて、その表面に接する作業者の靴底等との良好な通電を確保する効果等を良好に発現させて、前記帯電防止塗り床の導電性をより一層向上することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、外観や美装性に優れるとともに、厚みが大きく、かつ十分な強度を有する上、従来に比べてさらに導電性に優れた帯電防止塗り床を形成しうる流しのべ塗り床材と、前記流しのべ塗り床材を塗布して形成された層を含む帯電防止塗り床とを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〈流しのべ塗り床材〉
本発明の流しのべ塗り床材は、硬化性のバインダ樹脂、前記バインダ樹脂100質量部あたり1質量部以上、60質量部以下の、長径の平均値が5μm以上、15μm以下である柱状の導電性酸化チタン粉末、および前記バインダ樹脂100質量部あたり0.1質量部以上、2質量部未満の、平均繊維長が0.1mm以上、1.0mm以下である炭素繊維を含んでいることを特徴とする。
【0025】
(バインダ樹脂)
前記のうち硬化性のバインダ樹脂としては、特に現場施工において、加熱を必要とせずに室温(5〜35℃)程度で硬化反応させることができる2液硬化型樹脂、湿気硬化型樹脂、ラジカル重合性樹脂等が好ましい。
また流しのべ塗り床材に配合する溶剤の量を極力少なくしたり、溶剤の配合を省略したりすることを考慮すると、前記バインダ樹脂は、硬化前に液状を呈する液状樹脂であるのが好ましい。
【0026】
かかる硬化性のバインダ樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
特に帯電防止塗り床に高い強度を付与して、先に説明した特定の領域等において局部的に摩耗したり失われたりしにくくすることや、流しのべ塗り床材に配合する溶剤の量を極力少なくしたり、溶剤の配合を省略したりすること等を考慮すると液状のエポキシ樹脂、特に液状で、かつ主剤と硬化剤とからなる2液硬化型のエポキシ樹脂が好ましい。
【0027】
(導電性酸化チタン粉末)
柱状の導電性酸化チタン粉末は、例えばルチル型針状酸化チタン粉末を母体として、その表面を導電膜で被覆する等して形成される。導電膜としては、例えば酸化スズ/アンチモン導電膜等が挙げられる。
前記柱状の導電性酸化チタン粉末は、長径の平均値が5μm以上、15μm以下である必要がある。
【0028】
長径の平均値が前記範囲未満である導電性酸化チタン粉末では、先に説明した、形成した帯電防止塗り床の表面に導電性酸化チタン粉末の末端を突出させて接点(電極)として機能させて、前記帯電防止塗り床の表面に接する作業者の靴底等との良好な通電を確保する効果が得られず、高い導電性を有する帯電防止塗り床を形成できないためである。
特に床上を歩いたり作業したりした際の帯電により作業者に蓄積される静電気の電位を数十V以下に抑えることができる、高い導電性を有する帯電防止塗り床を形成することは難しい。
【0029】
一方、長径の平均値が前記範囲を超える導電性酸化チタン粉末は、現状では、汎用できる製品が存在していないためである。
なお前記導電性をさらに向上することを考慮すると、長径の平均値は、前記範囲内でも10μm以上であるのが好ましい。
また前記柱状の導電性酸化チタン粉末は、前記長径b(平均値)と、短径a(平均値)との比b/aで表されるアスペクト比が15以上であるのが好ましく、25以下であるのが好ましい。
【0030】
アスペクト比が前記範囲未満である導電性酸化チタン粉末では、形成した帯電防止塗り床の表面に導電性酸化チタン粉末の末端を突出させて接点(電極)として機能させて、前記帯電防止塗り床の表面に接する作業者の靴底等との良好な通電を確保する効果が十分に得られないおそれがある。
かかる条件を満足する柱状の導電性酸化チタン粉末としては、例えばルチル型針状酸化チタン粉末を母体として、その表面を酸化スズ/アンチモン導電膜で被覆して導電性を付与した、いずれも石原産業(株)製の導電性酸化チタンFT−3000〔長径b(平均値)=5.15μm、短径a(平均値)=0.27μm、アスペクト比b/a(平均値)=19.1〕、FT−4000〔長径b(平均値)=10.47μm、短径a(平均値)=0.50μm、アスペクト比b/a(平均値)=20.9〕、MPT−256〔長径b(平均値)=10μm、短径a(平均値)=0.5μm、アスペクト比b/a(平均値)=20〕等の1種または2種以上が挙げられる。
【0031】
前記柱状の導電性酸化チタン粉末の配合割合は、硬化性のバインダ樹脂100質量部あたり1質量部以上、60質量部以下に限定される。
配合割合が前記範囲未満では、当該導電性酸化チタン粉末を配合することによる前記の効果が得られず、特に床上を歩いたり作業したりした際の帯電により作業者に蓄積される静電気の電位を数十V以下に抑えることができる、高い導電性を有する帯電防止塗り床を形成できないためである。
【0032】
また配合割合が前記範囲を超える場合には、流しのべ塗り床材の流動性が低下して、当該流しのべ塗り床材を流しのべ塗布等して形成される帯電防止塗り床の表面の平滑性が低下するためである。
なお前記導電性をさらに向上することを考慮すると、柱状の導電性酸化チタン粉末の配合割合は、前記範囲内でも2質量部以上であるのが好ましい。また流しのべ塗り床材の流動性を高めて、帯電防止塗り床の表面の平滑性を向上することを考慮すると、前記配合割合は、前記範囲内でも50質量部以下であるのが好ましい。
【0033】
かかる配合割合の基準となるバインダ樹脂の質量部は、例えば主剤と硬化剤とからなる2液硬化型のエポキシ樹脂の場合、主剤のみの質量部とする。
すなわちバインダ樹脂として2液硬化型のエポキシ樹脂を使用する場合、前記柱状の導電性酸化チタン粉末の配合割合は、前記エポキシ樹脂の主剤100質量部あたりの質量部が前記の範囲内となるように設定することとする。炭素繊維や導電性酸化亜鉛粉末等の、流しのべ塗り床材を攻勢する他の成分についても同様である。
【0034】
(炭素繊維)
炭素繊維としては、その製造原料で分類されるPAN系、PITCH系のいずれの炭素繊維を用いることもできる。
前記炭素繊維は、平均繊維長が0.1mm以上、1.0mm以下である必要がある。
平均繊維長が前記範囲未満では、先に説明した、形成した帯電防止塗り床の表面に炭素繊維の末端を突出させて接点(電極)として機能させて、前記帯電防止塗り床の表面に接する作業者の靴底等との良好な通電を確保する効果が得られず、高い導電性を有する帯電防止塗り床を形成できないためである。
【0035】
特に床上を歩いたり作業したりした際の帯電により作業者に蓄積される静電気の電位を数十V以下に抑えることができる、高い導電性を有する帯電防止塗り床を形成することは難しい。
また炭素繊維の平均繊維長を前記範囲内とするためには、例えば長繊維状の炭素繊維や、前記長繊維状の炭素繊維を短くカットしたチョップドファイバー、ミドルファイバー等を、さらに粉砕するのが一般的であるが、かかる粉砕によって、平均繊維長が前記範囲未満であるごく短い炭素繊維を安定に生産性良く製造するのが困難であるためでもある。
【0036】
一方、平均繊維長が前記範囲を超える場合には、炭素繊維の黒色が、形成後の帯電防止塗り床の、特に表面において目立ってしまって、帯電防止塗り床の外観や美装性を向上することができないためである。
なお前記導電性をさらに向上することを考慮すると、炭素繊維の平均繊維長は、前記範囲内でも0.3mm以上であるのが好ましい。また帯電防止塗り床の外観や美装性をさらに向上することを考慮すると、前記平均繊維長は、前記範囲内でも0.9mm以下であるのが好ましい。
【0037】
前記炭素繊維の配合割合は、硬化性のバインダ樹脂100質量部あたり0.1質量部以上、2質量部未満に限定される。
配合割合が前記範囲未満では、当該炭素繊維を配合することによる前記の効果が得られず、特に床上を歩いたり作業したりした際の帯電により作業者に蓄積される静電気の電位を数十V以下に抑えることができる、高い導電性を有する帯電防止塗り床を形成できないためである。
【0038】
一方、配合割合が前記範囲以上では、炭素繊維の黒色が、形成後の帯電防止塗り床の、特に表面において目立ってしまって、帯電防止塗り床の外観や美装性を向上することができないためである。
なお前記導電性をさらに向上することを考慮すると、炭素繊維の配合割合は、前記範囲内でも0.2質量部以上であるのが好ましい。また帯電防止塗り床の外観や美装性をさらに向上することを考慮すると、前記配合割合は、前記範囲内でも1.5質量部以下、中でも1質量部以下、特に0.5質量部以下であるのが好ましい。
【0039】
(導電性酸化亜鉛粉末)
前記のように本発明の流しのべ塗り床材には、さらに導電性酸化亜鉛粉末を配合してもよい。
前記導電性酸化亜鉛粉末としては、酸化亜鉛に、例えばアルミニウム、ガリウム等の異種元素をドープすることでN型半導体化したもの等、種々の導電性を有する酸化亜鉛の粉末がいずれも使用可能である。
【0040】
かかる導電性酸化亜鉛粉末としては、例えばハクスイテック(株)製の23−K〔体積抵抗率:100〜500Ω・cm、比表面積:4〜10m/g〕、パゼットGK−40〔体積抵抗率:20〜100Ω・cm、比表面積30〜50m/g〕等が挙げられる。なお体積抵抗率は、10MPaで圧縮された粉体の測定値である。
導電性酸化亜鉛粉末を配合しなくても、前記導電性酸化チタン粉末、および炭素繊維の併用によって、帯電防止塗り床に十分に高い導電性を付与できる場合は、流しのべ塗り床材の流動性が低下して、帯電防止塗り床の表面の平滑性が低下するのを防止すること等を考慮すると、当該導電性酸化亜鉛粉末は配合しないのが好ましい。
【0041】
ただし、例えば導電性酸化チタン粉末の配合割合が前記範囲内でも少ない領域にあり、帯電防止塗り床に高い導電性を付与する効果が十分に得られないおそれがある場合は、当該導電性酸化亜鉛粉末を、導電性酸化チタン粉末との合計の配合割合が、バインダ樹脂100質量部あたり50質量部以上となるように配合しても良い。
なお導電性酸化亜鉛粉末、および導電性酸化チタン粉末の合計の配合割合は、流しのべ塗り床材の流動性が低下して、帯電防止塗り床の表面の平滑性が低下するのを防止することを考慮すると、前記範囲内でも120質量部以下、特に105質量部以下であるのが好ましい。
【0042】
ただし導電性酸化亜鉛粉末は、あくまでも導電性酸化チタン粉末の補助として配合する成分であって、前記導電性酸化チタン粉末を配合せずに、導電性酸化亜鉛粉末のみを炭素繊維と併用しただけでは、帯電防止塗り床に十分に高い導電性を付与することはできない。
(その他)
本発明の流しのべ塗り床材には、さらにバインダ樹脂を硬化反応させるための硬化剤や、当該流しのべ塗り床材の粘度、および流動性を調整するための溶剤、反応性希釈剤、形成する帯電防止塗り床を着色するための顔料等の着色剤などを、適宜の割合で配合することができる。
【0043】
〈帯電防止塗り床〉
本発明の帯電防止塗り床は、前記本発明の流しのべ塗り床材を塗布し、硬化させて形成された層を少なくとも含むことを特徴とするものである。
本発明の構成は単層の、または多層構造を有する種々の帯電防止塗り床に適用可能である。すなわち本発明の流しのべ塗り床材を塗布し、硬化させて形成した層単層で帯電防止塗り床を形成してもよいし、前記層を含む多層構造の帯電防止塗り床を構成してもよい。
【0044】
いずれの場合にも、前記層の機能により、外観や美装性に優れるとともに、厚みが大きく、かつ十分な強度を有する上、従来に比べてさらに導電性に優れた帯電防止塗り床を得ることができる。
なお多層構造の帯電防止塗り床においては、その最表面に位置する層を、前記本発明の流しのべ塗り床材を塗布し、硬化させて形成した層とするのが好ましい。これにより、先に説明した、形成した帯電防止塗り床の表面に導電性酸化チタン粉末の末端を突出させて接点(電極)として機能させて、その表面に接する作業者の靴底等との良好な通電を確保する効果等を良好に発現させて、前記帯電防止塗り床の導電性をより一層向上することができる。
【実施例】
【0045】
《実施例1》
〈流しのべ塗り床材〉
(主剤)
硬化性のバインダ樹脂としては、2液硬化型の液状のエポキシ樹脂の主剤〔三菱化学(株)製のjER(登録商標)828、粘度(25℃):120〜150P、エポキシ当量:180〜190〕を用いた。
【0046】
また柱状の導電性酸化チタン粉末としては、長径bの平均値が10μmである前出の石原産業(株)製のMPT−256〔長径b(平均値)=10μm、短径a(平均値)=0.5μm、アスペクト比b/a(平均値)=20〕を用い、炭素繊維としては、三菱樹脂(株)製のチョップドファイバー〔ダイアリード(登録商標)K6371T、繊維長6mm〕を平均繊維長が0.9mmとなるように粉砕したものを用いた。
【0047】
さらに導電性酸化亜鉛粉末としては、前出のハクスイテック(株)製の23−K〔体積抵抗率:100〜500Ω・cm、比表面積:4〜10m/g〕を用いた。
前記エポキシ樹脂の主剤100質量部、導電性酸化チタン粉末1質量部、炭素繊維0.5質量部、および導電性酸化亜鉛粉末100質量部に、さらに溶剤としてのベンジルアルコール20質量部を配合し、かく拌機〔新東科学(株)製のヘイドン(登録商標)スリーワンモータ〕を用いて1200rpmで混合して流しのべ塗り床材の主剤を調製した。
【0048】
(硬化剤)
前記流しのべ塗り床材の硬化剤としては、住友ゴム工業(株)製のH506Sを用いた。
〈帯電防止塗り床〉
(導電性プライマ)
導電性プライマとしては、住友ゴム工業(株)製の品番SL333A(主剤)とSL333B(硬化剤)とを質量比4:1で混合したものを用意した。
【0049】
(下地)
下地としては、スレート板の上に、前記導電性プライマを、ローラを用いて単位面積あたりの塗布量が100〜120g/mとなるように塗布したのち硬化反応させて導電性プライマ層を形成したものを用意した。
(サンプル作製)
先に調製した流しのべ塗り床材の主剤と硬化剤とを、前記主剤中に含まれるエポキシ樹脂の主剤100質量部あたりの硬化剤の配合割合が45質量部となるように配合し、混合して流しのべ塗り床材を調製したのち、前記流しのべ塗り床材を、前記下地の、導電性プライマ層の表面に、金ゴテを用いて単位面積あたりの塗布量が1300〜1400g/mとなるように流しのべ塗布したのち硬化反応させて、帯電防止塗り床のサンプルを作製した。
【0050】
《実施例2》
エポキシ樹脂の主剤100質量部あたりの、導電性酸化チタン粉末の配合割合を2質量部としたこと以外は実施例1と同様にして流しのべ塗り床材の主剤を調製し、帯電防止塗り床のサンプルを作製した。
《実施例3》
エポキシ樹脂の主剤100質量部あたりの、導電性酸化チタン粉末の配合割合を15質量部とし、かつ導電性酸化亜鉛粉末の配合割合を35質量部としたこと以外は実施例1と同様にして流しのべ塗り床材の主剤を調製し、帯電防止塗り床のサンプルを作製した。
【0051】
《実施例4、5、比較例3》
エポキシ樹脂の主剤100質量部あたりの、導電性酸化チタン粉末の配合割合を50質量部(実施例4)、60質量部(実施例5)、または70質量部(比較例3)とし、かつ導電性酸化亜鉛粉末を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして流しのべ塗り床材の主剤を調製し、帯電防止塗り床のサンプルを作製した。
【0052】
《比較例1、2》
エポキシ樹脂の主剤100質量部あたりの、導電性酸化亜鉛粉末の配合割合を120質量部(比較例1)、または100質量部(比較例2)とし、かつ導電性酸化チタン粉末を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして流しのべ塗り床材の主剤を調製し、帯電防止塗り床のサンプルを作製した。
【0053】
《導電性評価》
前記各実施例、比較例で作製した帯電防止塗り床のサンプルについて、日本工業規格JIS C61340−4−5:2007「静電気−特定応用のための標準的試験方法−人体と組み合わせた履物及び床システムの静電気防止性能の評価方法」に記載の「6.4 帯電性の測定」に則って、温度23℃、相対湿度50%の環境下で人体帯電電位(V)を測定した。測定には春日電機(株)製の人体電位計KSD−4000を使用した。
【0054】
そして下記の基準で導電性を評価した。
◎:人体帯電電位は30V以下。導電性極めて良好。
○:人体帯電電位は30Vを超え、50V以下。導電性良好。
×:人体帯電電位は50Vを超えていた。導電性不良。
《平滑性評価》
前記各実施例、比較例で作製した帯電防止塗り床のサンプルの表面を観察して、下記の基準で、流しのべ塗り床材の流動性に基づく、前記表面の平滑性を評価した。
【0055】
◎:金ゴテの跡は見られず平滑に仕上がっており、表面に写る蛍光灯の明かりにも歪みは見られなかった。平滑性極めて良好。
○:表面に写る蛍光等の明かりに歪みが見られたものの、金ゴテの跡は見られず、概ね平滑に仕上がっていた。平滑性良好。
×:金ゴテの跡が明らかに見られた。平滑性不良。
【0056】
《美装性評価》
前記各実施例、比較例で調製した流しのべ塗り床材の主剤に、さらにエポキシ樹脂の主剤100質量部あたり10質量部のトナー〔御国色素(株)製のSET T−26〕を配合したとき、基準となる実施例2との色差のL値の低下を測定した。測定には色差計〔倉敷紡績(株)製のコンピュータカラーマッチングシステムCOLOR7〕を用いた。
【0057】
そして下記の基準で、美装性を評価した。
◎:L値の低下は0以上、1以下であった。美装性極めて良好。
○:L値の低下は1を超え、2以下であった。美装性良好。
×:L値の低下は2を超えていた。美装性不良。
以上の結果を表1、表2に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
表1の比較例1、2の結果より、導電性酸化チタン粉末を配合しない場合には、炭素繊維と導電性酸化亜鉛粉末とを併用しても、また導電性酸化亜鉛粉末の配合割合を増加させても、帯電防止塗り床の導電性を向上できないことが判った。
また表2の比較例3の結果より、導電性酸化チタン粉末の配合割合が60質量部を超える場合には帯電防止塗り床の表面の平滑性が低下することが判った。
【0061】
これに対し表1、表2の実施例1〜5の結果より、導電性酸化チタン粉末と炭素繊維とを併用し、さらに必要に応じて導電性酸化亜鉛粉末を加えるとともに、前記導電性酸化チタン粉末の配合割合を1質量部以上、60質量部以下の範囲内とすることにより、帯電防止塗り床の表面の良好な平滑性を維持しながら、当該帯電防止塗り床の導電性をこれまでよりも向上できることが判った。
【0062】
また実施例1〜5の結果より、帯電防止塗り床の導電性をさらに向上するとともに、前記帯電防止塗り床の表面の平滑性をさらに向上することを考慮すると、導電性酸化チタン粉末の配合割合は、前記範囲内でも2質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下であるのが好ましいことが判った。
《実施例6、7、比較例4》
導電性酸化チタン粉末として、長径bの平均値が3μm(比較例4)、5μm(実施例6)、または15μm(実施例7)であるものを同量、配合したこと以外は前記実施例2と同様にして流しのべ塗り床材の主剤を調製し、帯電防止塗り床のサンプルを作製した。
【0063】
前記各実施例、比較例で調製した流しのべ塗り床材の主剤、および作製した帯電防止塗り床のサンプルについて、前記の各評価を実施してその特性を評価した。結果を、実施例2の結果と併せて表3に示す。
【0064】
【表3】

【0065】
表3の比較例4の結果より、長径bの平均値が5μm未満である導電性酸化チタン粉末を用いた場合には、炭素繊維と併用しても帯電防止塗り床の導電性を向上できないことが判った。
これに対し実施例2、6、7の結果より、前記長径bの平均値が5μm以上、15μm以下である導電性酸化チタン粉末を用いることにより、帯電防止塗り床の導電性をこれまでよりも向上できることが判った。
【0066】
また実施例2、6、7の結果より、帯電防止塗り床の導電性をさらに向上することを考慮すると、導電性酸化チタン粉末としては、前記長径bの平均値が、前記範囲内でも10μm以上であるものを用いるのが好ましいことが判った。
なお、先に説明したように長径bの平均値が15μmを超える導電性酸化チタン粉末は、現状では、汎用できる製品が存在していないため、当該前記長径bの平均値は15μm以下に限定される。
【0067】
《実施例8〜10、比較例5、6》
エポキシ樹脂の主剤100質量部あたりの、炭素繊維の配合割合を、0.05質量部(比較例5)、0.1質量部(実施例8)、0.2質量部(実施例9)、1.5質量部(実施例10)、または2質量部(比較例6)としたこと以外は前記実施例2と同様にして流しのべ塗り床材の主剤を調製し、帯電防止塗り床のサンプルを作製した。
【0068】
前記各実施例、比較例で調製した流しのべ塗り床材の主剤、および作製した帯電防止塗り床のサンプルについて、前記の各評価を実施してその特性を評価した。結果を、実施例2の結果と併せて表4、表5に示す。
【0069】
【表4】

【0070】
【表5】

【0071】
表4の比較例5の結果より、炭素繊維の配合割合が0.1質量部未満では、導電性酸化チタン粉末と併用しても帯電防止塗り床の導電性を向上できないことが判った。
また表5の比較例6の結果より、炭素繊維の配合割合が2質量部以上では、帯電防止塗り床の美装性が低下することが判った。
これに対し表4、表5の実施例2、8〜10の結果より、炭素繊維の配合割合を0.1質量部以上、2質量部未満の範囲内とすることにより、帯電防止塗り床の良好な美装性を維持しながら、当該帯電防止塗り床の導電性をこれまでよりも向上できることが判った。
【0072】
また実施例2、8〜10の結果より、帯電防止塗り床の導電性をさらに向上するとともに、前記帯電防止塗り床の美装性をさらに向上することを考慮すると、炭素繊維の配合割合は、前記範囲内でも0.2質量部以上であるのが好ましく、1.5質量部以下、中でも1質量部以下、特に0.5質量部以下であるのが好ましいことが判った。
《実施例11〜13、比較例7》
炭素繊維として、実施例1で使用したのと同じチョップドファイバーを平均繊維長が0.1mm(実施例11)、0.3mm(実施例12)、1mm(実施例10)、または1.1mm(比較例7)となるように粉砕したものを同量、配合したこと以外は前記実施例2と同様にして流しのべ塗り床材の主剤を調製し、帯電防止塗り床のサンプルを作製した。
【0073】
前記各実施例、比較例で調製した流しのべ塗り床材の主剤、および作製した帯電防止塗り床のサンプルについて、前記の各評価を実施してその特性を評価した。結果を、実施例2の結果と併せて表6に示す。
【0074】
【表6】

【0075】
表6の比較例7の結果より、平均繊維長が1mmを超える炭素繊維を用いた場合には、美装性が低下することが判った。
これに対し実施例2、11〜13の結果より、平均繊維長が0.1mm以上、1mm以下である炭素繊維を用いることにより、帯電防止塗り床の良好な美装性を維持しながら、当該帯電防止塗り床の導電性をこれまでよりも向上できることが判った。
【0076】
また実施例2、11〜13の結果より、帯電防止塗り床の導電性をさらに向上するとともに、前記帯電防止塗り床の美装性をさらに向上することを考慮すると、炭素繊維としては、平均繊維長が0.3mm以上であるものを用いるのが好ましく、0.9mm以下であるものを用いるのが好ましいことが判った。
なお、先に説明したように粉砕によって、平均繊維長が0.1mm未満であるごく短い炭素繊維を安定に生産性良く製造するのは困難であるため、当該平均繊維長は0.1mm以上に限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流しのべ塗り床材であって、硬化性のバインダ樹脂、前記バインダ樹脂100質量部あたり1質量部以上、60質量部以下の、長径の平均値が5μm以上、15μm以下である柱状の導電性酸化チタン粉末、および前記バインダ樹脂100質量部あたり0.1質量部以上、2質量部未満の、平均繊維長が0.1mm以上、1.0mm以下である炭素繊維を含んでいることを特徴とする流しのべ塗り床材。
【請求項2】
さらに導電性酸化亜鉛粉末を含んでいるとともに、当該導電性酸化亜鉛粉末、および前記導電性酸化チタン粉末を、合計で、前記バインダ樹脂100質量部あたり50質量部以上の範囲で含んでいる請求項1に記載の流しのべ塗り床材。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載の流しのべ塗り床材を塗布し、硬化させて形成された層を少なくとも含むことを特徴とする帯電防止塗り床。
【請求項4】
多層構造を有し、その最表面の層が、前記流しのべ塗り床材を塗布し、硬化させて形成された層である請求項3に記載の帯電防止塗り床。