説明

流し台

【課題】流し台の前面で上部に設ける収納ケースの取付けが、流し台のキャビネット組立て工程と同時に行なえ、組み立て能率の向上を図ることができる流し台を提供する。
【解決手段】流し台1の前面で上部の位置に設けられる収納ケース6を、上記流し台1の基体を形成するキャビネットの対向する側板15、15の間隔に納まる長さに設定し、このキャビネットの両端部に複数のダボ16と、キャビネットの両側側板15、15にダボ孔17を設け、キャビネットの組立て時に、両側の側板15、15間に収納ケース6を位置させ、ダボ16とダボ孔17を嵌め合わせ、この状態で側板15、15を固定化することにより、側板15、15の対向立設と同時にその間に収納ケース6を取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、台所に設置される流し台に係り、特に、シンクや焜炉の前面空間を有効利用して収納ケースを設けた流し台において、流し台の基体となるキャビネットの組立てに並行して収納ケースの取付けが同時に行なえ、収納ケースの取付けのための手間を省くことができる流し台に関する。
【背景技術】
【0002】
流し台において、シンクや焜炉の前部に生じる空間を有効に利用するため、流し台の前面に設けられる開閉自在の前扉を、流し台の前面上部に開閉自在となるよう取付けた上扉とその下の部分の位置に配置した下扉とに分割し、前記上扉を用いて収納ケースを形成し、この収納ボックスに包丁等を収納することができるようにした流し台はすでに提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の上記収納ケースは、上扉と取付け板及びその間に配置する収納ボックスからなり、取り付け板の下部に収納ボックスの下部を枢止し、更に取り付け板の収納ボックスよりも下部の位置に上扉の下部を枢止して組立てられ、流し台のキャビネットにおいて、シンクや焜炉の前部に垂直の幕板を設け、この幕板の前面に取付け板を重ねてビス止めすることによって、前記キャビネットに収納ケースを取付けるようにしている。
【特許文献1】実用新案登録第3070747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような収納ケースの取付け構造は、流し台のシンクや焜炉の前部に垂直の幕板を設け、この幕板に収納ケースをビス止めによって固定するようにしているため、流し台の組立て後に収納ケースを後付けする必要があり、このため、流し台の木製キャビネット組立て工程とは別に収納ケースの取付け工程が必要になり、工程数が増える分だけ手間がかかり、流し台の価格にも影響を与えることになる。
【0005】
そこで、この発明の課題は、流し台のキャビネット組立て工程時に、このキャビネットに対して同時に収納ケースを取付けることができるようにし、収納ケースの取付けに要した別工程と幕板を省くことで、従来の木製キャビネットと同様の工数で組立て可能となり、流し台の組み立て能率の向上を図ると共に、ビス止に比べて取付け構造の簡略化できる流し台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するため、この発明は、流し台の前面に設けられる開閉自在の前扉を、流し台の前面上部に取付けられる上扉とその下の部分に配置される下扉とに分割し、前記上扉がその内側面に設けた収納ボックスとで、上扉の開状態で収納ボックスに対して収納物の出し入れができる収納ケースを形成した流し台において、上記収納ケースを、上記流し台の基体を形成するキャビネットの対向する側板の間隔に納まる長さに設定し、このキャビネットの対向する側板間に対する収納ケースの取付けを、側板と収納ケースの端部の一方に突設したダボと他方に設けたダボ孔の嵌め合わせによって行なった構成を採用したものである。
【0007】
ここで、上記収納ケースは、上扉と収納ボックス及び取付け板とからなり、取り付け板の下部に収納ボックスの下部を枢止し、更に取り付け板の収納ボックスよりも下部の位置に上扉の下部を枢止して組立てられ、前記取付け板が流し台の木製キャビネットにおける両側の側板間に収まる長さを有する帯板状に形成され、その両端部にビス止したサイドキャップの外面で上下複数箇所にダボが突設され、キャビネットにおける両側の側板には、その対向面側に、前記ダボの配置に適合する複数のダボ孔が設けられ、キャビネットの組み立て工程時に、両側に配置した側板間に収納ケースを位置させ、ダボとダボ孔を嵌め合わせて側板間に収納ボックスを取付けながら、側板を固定化すれば、キャビネットの組み立てと同時に収納ボックスの取付けが行なえることになる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によると、流し台の前面で上部の位置に設ける収納ケースを、流し台のキャビネットにおける側板と収納ケースの端部の一方に突設したダボと他方に設けたダボ孔の嵌め合わせによって流し台に取付けるようにしたので、流し台の木製キャビネットの組立て工程時に、収納ケースを側板間に位置させてダボとダボ孔を嵌め合わせた状態で側板を固定化すれば、キャビネットの組み立てと同時にキャビネットへ収納ケースを取付けることができ、これによって収納ケースの取付けのために要した従来のビス止による別の取付け工程を省くことで、木製キャビネットの工数で収納ケースの取付けが可能となり、流し台の組み立て能率の向上を図ると共に、キャビネットにおいては、収納ケースをビス止するための幕板が不要になり、材料の削減だけでなくビス止に比べて取付け構造の簡略化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
図1乃至図4のように、流し台1は、その前面が、シンク2の前にある上扉3と、その下方に位置する下扉4に分断され、上扉3はシンク2の前部空間を利用して収まる収納ケース6を形成していると共に、下扉4は従来と同じ抽斗仕様の収納空間や観音開きの扉となっている。
【0011】
上記上扉3によって形成される収納ケース6は、図3と図4のように、この上扉3と収納ボックス7及び取付け板8とからなり、取り付け板8の下部に収納ボックス7の下部を枢止し、更に、取り付け板8の収納ボックス7よりも下部の位置に上扉3の下部を枢止して組立てられている。
【0012】
上記取付け板8は、アルミの押出し型材を用いた横長の帯板状に形成され、その背面側の上下三箇所の位置にC形溝9が、また、前面側で下部寄りの位置に、C形溝10とその下部前方に円軸突条11と、その下方にパッキン12が、それぞれ長さ方向の全長にわたって設けられ、この取付け板8の長さ方向の両端に樹脂製のサイドキャップ13が各C形溝9にねじ込んだビス14によって固定され、このサイドキャップ13を含む取付け板8の全長が、流し台1の基台となる木製キャビネットの両側側板15、15間に丁度納まる長さに設定されている。
【0013】
上記取付け板8に対するサイドキャップ13の取付けを利用して、取付け板8の両端には、サイドキャップ13の外面で上下複数箇所(図示例では三箇所)の位置に、円筒状のダボ16がビス14での取付けによって突設されている。
【0014】
また、木製キャビネットの両側側板15、15には、収納ケース6を組み込む上部の位置で相対向する面に、前記ダボ16の配置に適合する上下三箇所にダボ孔17が設けられ、キャビネットの組み立て工程時に、ダボ16をダボ孔17に嵌め合わせることにより、キャビネットにおける側板15、15の対向配置と同時にその間に収納ケース6の取付けが行なえることになる。なお、ダボ16とダボ孔17は、上記と逆に、ダボ16を側板15、15に突設し、ダボ孔17を取付け板8の両端に設けるようにしてもよい。
【0015】
上記収納ケース6において、収納ボックス7は樹脂で形成されており、包丁が差し込まれる断面U字の樋状本体7aと、そのホルダ7bとカバー7cから構成されている。
【0016】
上記ホルダ7bは樋状本体7aより一回り大きい断面U字の樋状をなし、その中に前記樋状本体7aがはめ込まれる。このカバー7cの下部には円形断面の突条18が長手方向に沿ってカバー7cの全長にわたって突設されている。これは前記取り付け板8に取り付けるためのものであり、詳細は後述する。
【0017】
前記樋状本体7aは、上面に鋸刃状の突条が複数設けられた長尺部材で、その両端には、前記樋状本体7aにホルダ7bを重ねてその上に被せた際に、樋状本体7aとホルダ7bの端部を塞ぐ側板が下向きに延設されている。樋状本体7aの上面の幅中心には長手方向に沿って包丁を差し込むためのガイド溝19が間欠的に設けられており、包丁はそのガイド溝19から差し込まれた後、柄の部分が前記鋸刃状の突条の前記ガイド溝19の無い部分に載置されて保持される。
【0018】
上記収納ボックス7は、カバー7cの下部に設けた突条18を取付け板の前面に設けたC形溝10に長さ方向の端部から挿入して嵌め込むと共に、突条18内に抜け止と長さ方向の移動を拘束するためのピン20を挿入することによって取り付けられ、上部C形溝10を支点に前後に揺動可能になっている。
【0019】
上記上扉3は、取り付け板8よりも少し幅の狭い高さで、キャビネットの両側側板15、15の外面間寸法に適応する長さを有する横長のアルミ押出し板で形成され、両端には樹脂製のサイドキャップ21がビス22で固定され、この上扉3の下縁で内面側に設けたC形溝23を上記取り付け板8の下端の円軸突条11に長さ方向の端部から差し込んで嵌め込むことにより、取り付け板8に対して、円軸突条11を支点に前後に揺動可能となるよう取付けられている。
【0020】
この上扉3のサイドキャップ21と取り付け板8のサイドキャップ13との間に、ダンパー付きの二つ折りステー24が介設されて、上扉3が取り付け板8に対して衝撃のない状態で開閉可能となっている。
【0021】
また、上扉3にはスライド式の把手25が長手方向に移動可能に取り付けられており、この把手25を取り付け板8の上端に設けた鍵状部分切り欠きに係脱させることで、上扉3の開閉と閉鎖位置での係止ができるようになっている。
【0022】
上記収納ケース6は、流し台の木製キャビネットを組立てる工程において、側板15、15の対向立設時に、収納ケース6を側板15、15間に臨ませ、収納ケース6の両端に突設したダボ16を、側板15、15に予め加工しておいたダボ孔17に嵌め合わせ、この状態で側板15、15を固定化すれば、側板15、15の対向立設と同時にその間に収納ケース6を取付けることができる。
【0023】
このように、流し台の木製キャビネットを組立てる工程で、側板15、15間に収納ケース6を組み込めば、従来のような、流し台の完成後に収納ケース6をビスで幕板に固定するための別の取付け工程が省けることになり、結果として流し台の組み立て作業の能率向上が図れると共に、ダボ16とダボ孔17による取付けは、木製キャビネットから幕板が省けると同時に、ビスで幕板に固定する手段に比べて構造の簡略が図れることになる。
【0024】
上記のようにして流し台1に取付けられた収納ケース6は、上扉3を手前に開くと、図
4(b)のように、収納ボックス7が自重で前に傾き、包丁の取り出し口となるガイド溝19が手前を向くようになって包丁の出し入れができる状態になり、また、上扉3を閉じれば、図4(a)のように、収納ボックス7が後退して取付け板8との間に収納される。
【0025】
なお、この実施形態では収納ボックス7の収納物として包丁を例示したが、包丁に限られないことは言うまでもなく、上扉3と取付け板8の空間の奥行き内に納まるものであれば何でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の流し台の収納ケースを閉じた状態を示す斜視図、(b)は同収納ケースを開いた状態を示す斜視図
【図2】流し台の要部を切り欠いた側面図
【図3】収納ケースの分解斜視図
【図4】(a)は収納ケースの上扉を閉じた状態を示す縦断側面図、(b)は収納ケースの上扉を開いた状態を示す縦断側面図
【図5】(a)は流し台のキャビネットにおける側板にダボ孔を設けた状態を示す拡大した正面図、(b)は同側面図
【図6】収納ケースの端部に突設したダボと側板に設けたダボ孔の関係を離れた状態で示す縦断正面図
【図7】収納ケースの端部に突設したダボと側板に設けたダボ孔を嵌め合わせ、側板間に収納ケースを取付けた部分の縦断正面図
【符号の説明】
【0027】
1 流し台
2 シンク
3 上扉
4 下扉
6 収納ケース
7 収納ボックス
8 取付け板
9 C形溝
10 C形溝
11 円軸突条
12 パッキン
13 サイドキャップ
14 ビス
15 側板
16 ダボ
17 ダボ孔
18 突条
19 ガイド溝
20 ピン
21 サイドキャップ
22 ビス
23 C形溝
24 二つ折りステー
25 把手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流し台の前面に設けられる開閉自在の前扉を、流し台の前面上部に取付けられる上扉とその下の部分に配置される下扉とに分割し、前記上扉がその内側面に設けた収納ボックスとで、上扉の開状態で収納ボックスに対して収納物の出し入れができる収納ケースを形成した流し台において、
上記収納ケースを、上記流し台の基体を形成するキャビネットの対向する側板の間隔に納まる長さに設定し、このキャビネットの対向する側板間に対する収納ケースの取付けを、側板と収納ケースの端部の一方に突設したダボと他方に設けたダボ孔の嵌め合わせによって行なったことを特徴とする流し台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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