説明

流体、特に飲料の処理方法

【課題】流体、特に、ビール、ワイン、またはフルーツジュースのような飲料を処理する方法の提供。
【解決手段】上流側および下流側を有する堆積層の形態の粒子状物質を使用することで、上記流体の流れが、第1の温度で、上記堆積層を通って上流側から下流側へ向けられる。上記粒子状物質が処理に使用されうる時間期間を延長するために、上記堆積層の再調整ステップおよび上記流体の処理の再開ステップが提案され、上記再調整ステップが、堆積層を第2の温度に加熱する工程と、最高約20℃/分の範囲の平均冷却速度で堆積層を第3の温度に冷却する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体、特に飲料、より詳細にはビールの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を含む流体を処理する目的にはさまざまなものがある。ビール、ワイン、またはフルーツジュースのような飲料の製造中に、流体の貯蔵および輸送中に凝集や混濁の発生を生じうる流体中の成分量を少なくとも実質的に低減させる、いわゆる、安定化プロセスが必要とされている。ろ過および吸着が、この目的で使用される最も重要な方法である。流体によっては、例えば、懸濁固形物の除去に対する処理が必要なものもあれば、化学反応処理を行う必要があるものもある。
【0003】
多くの場合、このような処理を行うために、堆積された粒子状物質の層が使用され、このような層は、ろ過ケーキの形態で使用されてもよい。
【0004】
欧州特許出願公開第0645446号明細書には、流体透過壁部上のカートリッジに粒子状物質を堆積させることが提示されており、上記カートリッジは、堆積層の上流にある流入口と、上記流体透過壁部の下流にある流出口とを含む。
【0005】
このようなデザインのカートリッジは、大量の粒子状物質を収容するようにデザインしやすく、取り扱いも簡単であるため、流体、特に、飲料の処理に業界規模で広く使用されている。
【0006】
流体の処理中、流体は、流体圧力によって堆積層を通過させられる。さまざまな技術的理由から、流体圧力を一定に保つことができないだけでなく、圧力変動が頻繁に観察される。
【0007】
多数の有用な粒子状物質が堆積層を形成し、この堆積層は、さまざまな条件下、例えば、上述した圧力変動、温度変化、または堆積層の上流から下流側に隙間を生じる他の物理的もしくは化学的影響下で亀裂を生じうる。結果として、堆積層を流れる均質な流体の流れが確保されず、処理済み流体の品質に影響を及ぼしかねない。
【0008】
この問題に対処するために、堆積層は、処理済み流体の品質の信頼性を確保するために頻繁に取り換えが必要になる。しかしながら、粒子状物質はその処理能力において使い尽くされない。
【0009】
PVPP(ポリビニルポリピロリドン)のような望ましい粒子状物質には、このようなカートリッジでの使用にまったく適さないものもあり、いわゆる、投入システムにおいて安定化剤としてのみ使用されることができ、この場合、PVPP粒子は流体に供給され、引き続き、ろ過によって取り除かれる必要がある。PVPP粒子の損失は、このような手法において相当量である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、長期間にわたって粒子状物質の堆積層が使用されてもよく、これまで適切ではなかった粒子状物質の使用を可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、請求項1の特徴を有する方法によって解決される。
【0012】
処理される流体は、好ましくは液体であり、より好ましくは、上述したように、飲料のような水性液体である。
【0013】
好ましくは堆積層は、カートリッジ内に組み込まれることで、取り扱いがさらに容易になる。
【0014】
本発明の方法により、従来、実質的にあまり経済的ではない方法で使用されうるものであったPVPP粒子を粒子状物質として使用する機会が得られる。
【0015】
処理される流体の安定化効果の大幅な低下を招く亀裂がPVPPケーキに形成される危険性により、プロセスが制御不能なものとなる。
【0016】
1つのカートリッジだけでなく、粒子状物質の堆積層を各カートリッジで収容する複数のカートリッジが共通のハウジングに使用されていることが多く、処理される流体は、カートリッジの流入口に並行して供給される。しかしながら、複数のカートリッジの1つに亀裂が形成された場合、亀裂形成が起こった1つの要素だけを取り換えるだけでは済まず、流体、例えば、飲料の処理が制御不能になる危険性をなくすために、すべてのカートリッジを同時に取り換える必要がある。このような方法は、大量の粒子状物質が無駄になるためコスト高になるが、全取り換えをしなければ、さらに深刻な経済的リスクを負うことになるため、避けることができない方法である。
【0017】
本発明により、飲料の安定化に優れた性質を備えるPVPPのような取り扱いが難しい粒子状物質の使用も可能にする方法が提供される。
【0018】
本発明の重要な要素は、請求項1の範囲内にあるカートリッジ内の堆積層を再調整することである。
【0019】
本発明による堆積層の再調整処理の重要な要素は、
a)堆積層を第2の温度、例えば、85℃まで加熱するステップを含み、第1の温度は、典型的に、ほぼ室温以下であり、
b)その後、約20℃/分の平均冷却速度で、第3の温度、例えば、約30℃まで堆積層を冷却するステップを含む。
【0020】
堆積層を第2の温度の約70℃以上、より好ましくは、約80℃以上に加熱すると、その後、層は衛生的な状態にあるという利点が得られる。堆積層を衛生的にするためには、第2の温度は、好ましくは、約20分間以上、70℃以上の温度に維持される。
【0021】
堆積層は、冷却ステップの開始前、数分間、例えば、約5分以上、好ましくは、約10分以上、第2の温度に維持されることが好ましい。
【0022】
加熱速度が重要でない場合、平均冷却速度は、約20℃/分の前述した上限を超えないようにするために慎重に制御される必要がある。
【0023】
冷却ステップは、多数の方法で、例えば、温度を次第に低下させることによって、または1つ以上のステップを含む冷却速度を段階的に変更することによって達成されうる。しかしながら、好ましくは約20℃/分の最大冷却速度は、冷却ステップ中のいかなる時も超過されるべきではない。冷却速度の下限として、約0.1℃/分、より好ましくは、0.5℃/分の値が、実施上考慮すべき点を基に選択されてもよい。
【0024】
本発明による再調整処理により、堆積層の欠陥を回復させることができ、堆積層の全領域にわたって均質な処理が得られるように堆積層に粒子状物質が再分布および/または再構築される。
【0025】
このように、本発明の方法により、粒子状物質の取り換えが必要になる前に、長期にわたって、例えば、6カ月〜12カ月間の操作に、カートリッジに堆積層の粒子状物質を使用することができるようになる。
【0026】
本発明の方法は、少人数の人員で高度に自動化された環境で実行されてもよい。
【0027】
このように、長時間の労働時間が節約されるだけでなく、場合によっては高コストになる粒子状物質を最大限に効率的に使用することも可能になる。
【0028】
堆積層の第2の温度への加熱および第3の温度への冷却は、例えば、カートリッジを外側から加熱および冷却することによる任意の追加手段なしに、単純な加熱冷却手段によって達成されてもよいが、堆積層に再調整流体の流れを直接向けることによって、再調整処理の少なくとも一部分を実行することが好ましい。
【0029】
堆積層に再調整流体の流れを向けることで、再分配が容易に行われ、さらには改善され、堆積層の粒子状物質への作用がより均質的になり、このような再調整処理の効果がより顕著になる。
【0030】
本出願人らは、以下の説明に拘束されることを望むものではないが、第2の温度への再調整処理の加熱ステップ中に粒子状物質が熱膨張すると、流体の流れ方向に垂直な方向に向いた圧力が堆積層内に生じ、取り払われるか閉じられる堆積層に最終的に亀裂が入ってしまうと考えている。同時に、粒子状物質の再分配が起こり、慎重に制御された冷却を行うと、請求項1の範囲内にある堆積層のこのように再分配された粒子状物質は、再分配条件に保持される。
【0031】
さらに好ましくは、堆積層を第3の温度まで冷却するために、再調整流体が冷却剤として使用される。再調整流体を冷却剤として使用すると、冷却速度を良好に制御でき、流体の流れの断面全体にわたって、すなわち、堆積層の全領域にわたって同様の冷却効果をもたらす。
【0032】
堆積層を第2の温度に加熱するステップ中、再調整流体は、さらに、加熱手段として使用されることが好ましい。
【0033】
再調整流体は堆積層の加熱および冷却中に循環され、循環されながら、それぞれ所望の温度へ加熱デバイスによって加熱され、冷却デバイスによって冷却されうることが容易に明らかである。
【0034】
堆積層を加熱するために使用される再調整流体は、堆積層を冷却するための再調整流体とは異なるものであってもよい。
【0035】
実際、多くの応用において、1つまたは複数の再調整流体は、追加のタスク、特に、粒子状物質の再生タスクを実行するために選択されてもよい。
【0036】
飲料安定化の応用において、堆積層を加熱するために使用されるアルカリ性再調整流体が、同様に、飲料を処理すると粒子状物質によって吸着されたポリフェノール類を脱着および除去し、それによって、粒子状物質を再生するように同様に作用しうる。その後の加熱または冷却ステップにおいて、アルカリ性再調整流体から堆積層を浄化するために、再調整流体として真水が使用されてもよい。引き続き、堆積層を(さらに)冷却するために酸性再調整流体が使用されてもよく、最後に、飲料の別の処理サイクルの準備が整った堆積層を最終的に提供するために、再調整流体として真水を用いた別の浄化が用いられてもよい。
【0037】
典型的に、流体処理は、再調整が開始される前に中断される。しかしながら、これは必須の手段ではなく、堆積層を再調整した後、特殊な場合、流体の処理を継続したままでもよい。処理される流体は、より詳細に上述したように、再調整流体としても作用しうる。
【0038】
処理される流体と異なる再調整流体が使用されれば、堆積層は、再調整前または再調整の開始時に、処理される流体から浄化され、再調整流体によって取り換えられる。再調整の終了時、再調整流体は除去され、処理される流体の処理が再開される前に堆積層が浄化される。
【0039】
上述した冷却速度は、堆積層の下流、例えば、カートリッジの流出口で、冷却剤として作用する再調整流体の温度を測定することによって制御されることが最も好ましい。堆積層の下流、例えば、カートリッジの流出口で冷却剤として作用する再調整流体の温度を決定することによって、堆積層の冷却中に存在する温度条件の最も経済的で正確な決定が、流体速度、循環する再調整流体と、カートリッジおよびカートリッジに含まれる粒子状物質の実際の温度との間の温度差、ならびに特定の熱能力に関係なく達成される。
【0040】
前述したように、再調整処理の加熱ステップ中の加熱速度はあまり重要ではないが、堆積層を第1の温度から第4の温度へ加熱することが好ましい場合、加熱速度は最大で約20℃/分となる。このような実施形態において、第4の温度は、第2の温度以下であり、例えば、第2の温度より約10℃低い。加熱速度の下限は、実用的な理由から、好ましくは、約0.1℃/分であり、より好ましくは、0.5℃/分である。
【0041】
本発明の多数の応用において、流体の処理は、堆積層から添加物を溶解および溶出させること、または添加物を不活性にすることのいずれかによって、流体処理中に消費されうる添加物に基づいたプロセスを含む。このような場合、再調整流体を使用し、添加物を堆積層内に供給することで、堆積層の元々の処理性質を回復させることが有益である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態において、堆積層は、最初、湿潤状態にある粒子状物質のバルク密度より高い密度で、粒子状物質をカートリッジ内にパッキングすることによって形成され、堆積層のパッキングされた粒子状物質の初期密度は、より好ましくは、湿潤状態で約120%のバルク密度に相当する。約101%のパッキング密度から顕著な効果が観察される。
【0043】
この手段により、粒子状物質を収容するためのカートリッジが与える容積が最適に使用されるだけでなく、加えてさらに流体、例えば、飲料の継続的処理中に堆積層内の粒子状物質の完全性および分配の均質性において、堆積層の安定化が高まる。
【0044】
堆積層の作成に使用される粒子状物質の特質に応じて、パッキングされた粒子状物質の密度が同じであっても、堆積層の透過性や流体の流動抵抗は異なるものであってもよい。
【0045】
醸造技術において、蓄積された粒子状PPVPの流動抵抗は、Drawert、Brautechnische Analysenmethoden、Vol.III、MEBAK出版、1982、pages 658−659、10.1.6.2 Methode Schenkに従って決定される、いわゆる、水当量によって特徴付けられる。
【0046】
本発明の方法において使用されるPVPP粒子状物質の堆積層の好ましい水当量は、200l/h*1600cm以上、より好ましくは、約205l/h*1600cm以上である。約300l/h*1600cm以上の水当量が最も好ましい。
【0047】
PVPP粒子状物質の選択はまた、カテコールを吸着する能力に基づいてなされてもよい。カテコールは、このようなテストで、飲料の安定化処理中に除去されるポリフェノール類のモデル物質として使用される。好ましいPVPP粒子状物質は、約30%以上、より好ましくは、約35%以上のカテコール低減を示し、カテコールの低減量が約40%以上になると、飲料の安定化プロセスの最適な結果が予測されうる。
【0048】
カテコール低減テストは、以下のようにして実行される。
【0049】
80mgの(+)カテコール水和物(Aldrich Chem.Co.,Milwaukee、USA)を、室温で50mlのエタノールに溶解する。次に、カテコール溶液を蒸留水と混ぜて1リットルの溶液Sを作り、この溶液Sを茶色のフラスコに入れておく。
【0050】
50mlのエタノールに蒸留水を添加して1リットル溶液を作ることで標準溶液Rを調製する。
【0051】
150mlの容積の4つのフラスコのそれぞれに、テストされる50mgのPVPP粒子状物質を供給する。これらのフラスコのうち2つのフラスコに100mlのカテコール溶液Sを加える。残りの2つのフラスコには、100mlの標準溶液Rを加える。
【0052】
5分間、フラスコの中身を完全に混ぜ合わせる。次に、上澄みを新しいフラスコに移す。このとき、100mlをすべてそれぞれのフラスコに加えた後、正確に5分経過してから上澄みを移すことが重要である。上澄みは、粒子状物質がない状態にしなければならないため、0.45μmフィルタに通してろ過を行う。溶液Sから得た上澄み(SN)をSNとし、標準溶液から得た上澄みをSNとする。
【0053】
上澄みに紫外線吸収テストを施す前に、ろ過が済んだ上澄みSNおよびSNを含むフラスコを、1時間冷暗所に置くことが推奨される。
【0054】
以下の式により、PVPP吸着能力、すなわち、カテコールの低減を測定および算出するために、280nmでカテコールの紫外線吸収を使用することが推奨される。
吸着能力[%]=100*(E100−(E−E))/E100
式中、
100=溶液Sの消失量
=標準溶液SNの消失量
=試料溶液SNの消失量
【0055】
すべての消失量は標準溶液Rに対して測定される。
【0056】
カテロールの低減のパラメータは、ポリフェノール類へのPVPP物質の活量を表すだけでなく、同時に、粒子サイズの分布および粒子状物質によって与えられる表面積によっても影響を受ける。小粒子は表面積が大きいため好ましいが、非常に多量の小粒子を含む粒子分布により、堆積層にわたった圧力差が過度に高くなる。
【0057】
多くの応用で、粒子状物質は、主に、約25μm以上のサイズの重量パーセント粒子を含むことが好ましい。
【0058】
25μmより小さな粒子は、本発明の方法によって得られる好ましい結果に実質的に影響を及ぼすことなく存在しうる。しかしながら、25μmより小さな粒子の量を、約15重量%、より好ましくは、約10重量%以下、さらに好ましくは、約5重量%以下に制限することが好ましい。
【0059】
25μmより小さな粒子の量が、約15重量%の量より多ければ、このような堆積層の使用を非経済的なものにする非常に高い圧力差が観察される。
【0060】
本発明の方法は、処理される流体に圧縮可能および/または膨潤可能な粒子を含む粒子状物質を使用することが特に有益である。このような材料の1つの例は、水媒体中のPVPPである。
【0061】
別の好ましい粒子状物質は、ビーズ状の粒子を含み、より好ましくは、本質的に、ビーズ状の粒子からなる。この場合、典型的に、粒子の形状が均質的なほど、圧力差は小さくなる。
【0062】
飲料を処理するために、多数の粒子状物質が本発明により使用されてもよいが、アガロース、PVPP、PA、ゼオライト、活性炭、および/または珪藻土から粒子を選択することが有益である。
【0063】
圧縮可能な粒子の場合、カートリッジに層として最初に堆積されるとき、パッキング密度を高くすることができる。このタイプの粒子は、堆積層の均質性の安定化を高められうるというさらなる利点を提供する。
【0064】
本発明による流体の処理には、吸着、ろ過、ドーピング、および/または流体に化学反応を起こすという好ましい処理を含む多数の処理がある。
【0065】
本発明を用いて実行される化学反応は、堆積層に含まれる添加剤を消費しない触媒反応であることが好ましいが、堆積層の触媒添加剤は長期間使用されてもよく、および/または、堆積層の再調整中に再生または補充されてもよい。
【0066】
前述したように、本発明は、水性流体、好ましくは、飲料、特に、ビール、ワイン、およびフルーツジュースの処理に最も適している。
【0067】
飲料、特に、ビール、ワイン、またはフルーツジュースを安定化するための処理は、PVPP粒子状材料を使用することによって行われることが好ましい。
【0068】
さらに、本発明によれば、複数の堆積層が使用されてもよく、その場合、各堆積層は別々のカートリッジに組み込まれることが好ましく、カートリッジは、カートリッジの流入口と並列に流通状態にある入口と、カートリッゾの流出口と並列に流通状態にある出口とを有する共通のハウジングに設けられる。
【0069】
カートリッジにある複数の堆積層は、スタックの形態で与えられることが好ましく、上記スタックは、垂直方向に向けられることがより好ましい。
【0070】
流入口および流出口を有する共通のハウジングに複数のカートリッジが収容される場合、平均冷却速度は、このような実施形態において、共通のハウジングの流出口での再調整流体温度を測定することによって決定されることが好ましい。
【0071】
このようなスタックが使用される場合、再調整処理の加熱ステップは、再調整流体をハウジングの下端部からハウジング内に導入することによって実行されることが好ましい。
【0072】
次に、冷却ステップは、再調整流体をスタックの上端部からスタック内に導入することによって実行されることが好ましい。
【0073】
以下、本発明は、さまざまな態様および利点において、図面および例と組み合わせてさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の方法の再調整処理を実行するための装置の概略図を示す。
【図2A】本発明の方法において使用される粒子状物質の堆積層を収容するための例示的なカートリッジの詳細を示す。
【図2B】本発明の方法において使用される粒子状物質の堆積層を収容するための例示的なカートリッジの詳細を示す。
【図3】堆積層を形成するために、粒子状物質を複数のカートリッジ内に供給するための例示的なデバイスを示す。
【図4A】最初の状態にある特定の物質の堆積層を収容するカートリッジを示す。
【図4B】亀裂状態にある特定の物質の堆積層を収容するカートリッジを示す。
【図4C】再調整状態にある特定の物質の堆積層を収容するカートリッジを示す。
【図4D】堆積層の本発明の再調整中のさまざまなパラメータのグラフ表示を示す。
【図5】本発明の方法において使用される粒子状物質の好ましい粒子分布を表す。
【図6】本発明の方法を組み込んだ流体処理システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、本発明の主要なプロセス、すなわち、流体、例えば、ビール、ワイン、またはフルーツジュースのような飲料を処理するために使用されてきた粒子状物質の堆積層の再調整処理を実行するための構成10の概略図を示す。
【0076】
構成10は、粒子状物質の層(図示せず)が堆積されたカートリッジ14を収容するハウジング12を含む。ハウジング12は、上部に流入口16および下部に流出口18を備える。
【0077】
ハウジング12は、複数のカートリッジ14のスタックを収容しうるようにより大きな寸法で提供されてもよいことは言うまでもない。
【0078】
流入口16は、流入口16からポンプ22、例えば、流量制御式遠心ポンプへの流路を与えるパイプ20に接続される。
【0079】
パイプ20には、ポンプ22およびパイプ20を経由して流入口16とカートリッジ14に収容された粒子状物質の堆積層の上流側に供給される流体の温度、圧力、および流速をモニタできる、流量計24、温度センサ26、および圧力センサ28が装備されていることが好ましい。
【0080】
流出口18は、パイプ34を経由して、ポンプ22の流入口に接続されることで、閉ループを形成する熱交換器32に至るパイプ30に接続される。
【0081】
流出口18と熱交換器32とを接続するパイプ30には、カートリッジ14を通って循環する再調整流体の下流圧力および下流温度をモニタできる、温度センサ36および圧力センサ38が装備されている。
【0082】
カートリッジ14がハウジング12内に配置されると、ハウジング12は閉じられ、ポンプ22、パイプ20、カートリッジ14を有するハウジング12、パイプ30、熱交換器32、および管34とで構成された閉ループが、弁V1を介してすでに高温であることが好ましい再調整流体で満たされる。
【0083】
パイプ20は、流入口16の付近に、パイプ20および流入口16に接続されるか、または弁V5を介して遮断されうる分岐40を含む。分岐40の上流に、パイプ20は、遮断弁V3と、弁V4を介してパイプ20に接続可能なさらなる分岐42とを含む。
【0084】
パイプ30は、弁V7によって遮断されてもよい。弁V7の上流で、パイプ30は、遮断弁V6を介して分岐パイプ44に接続されてもよい。
【0085】
閉ループを温水で満たすと、再調整の開始時、閉ループに含まれる空気が引き出され、弁V6が開いている間に分岐パイプ44を通って再調整流体の初期量が放出されうるように、弁V1、V3、V4、およびV5が開かれる。引き続き、弁V7が開かれ、ループは完全に満たされる。弁V4およびV5は閉じられ、カートリッジ14にある堆積層に再調整流体を通すことによって、加熱ステップが開始されてもよい。
【0086】
加熱ステップの初期段階中、弁V6は、弁V1を介してループ内に供給された新しい流体と取り換えられる再利用の再調整流体の一部分を放出するように開かれたままであってもよい。この手法により、堆積層の再調整の開始時に、カートリッジ14の粒子状物質から脱着された物質が大量に含まれうる再調整流体の部分を放出できる。
【0087】
次に、弁V1、V2、V5、およびV6は閉状態に維持されるか、または閉じられ、弁V3およびV7は開かれる。
【0088】
温度センサ36および圧力センサ38は、ハウジング12を出るときに再調整流体の状況をモニタする。次に、流体は熱交換器32内に供給されて所定の温度に再度加熱される。
【0089】
このことから、熱交換器は、弁VVL2およびVRL2を介して、加熱媒体(例えば、温水)を熱交換器32およびその熱交換パイプ33に循環させるための加熱デバイス(図示せず)に接続される。温度センサ36が、目標の第2の温度に堆積層が加熱されたことを示すと、弁VVL2およびVRL2は、最終的に閉じられ、再調整流体の温度を第2の温度に維持するように、必要に応じて再び開かれる。
【0090】
好ましくは、堆積層が滅菌状態にあることを確保する所定の時間が経過した後、熱交換器は、冷却デバイス(図示せず)に接続され、弁VVL1およびVRL1は、熱交換器32の熱交換パイプ33に冷却媒体を循環させるために開かれる。
【0091】
引き続き、冷却された再調整流体は、ポンプ22、パイプ20、カートリッジ14を有するハウジング12、パイプ30、熱交換器32、およびパイプ34によって構成された閉ループに循環される。冷却速度は、温度センサ26を介してモニタされる。
【0092】
堆積層の冷却速度は、さらに、ハウジング12の流出口18の付近のパイプ30に接続された温度センサ36によってモニタされる。この温度センサ36は、カートリッジ14内の堆積層の冷却速度を示す。
【0093】
図2は、粒子状物質の堆積層を収容するために、本発明の方法により使用される例示的なカートリッジを示す。
【0094】
図2Aは、中央ハブ64が装着された中央開口部62を有する本質的にディスク状の流体密封底壁60を有するカートリッジ14の底面図を表す。
【0095】
底壁60の外周には、例えば、溶接ステップにおいて、側壁66が取り付けられる。
【0096】
側壁66は、堆積層の形態の粒子状物質を収容するチャンバ70を規定するように、底壁60の外周全体に及ぶ。
【0097】
容積70の底部分はメッシュ材料72によって被覆され、このメッシュ材料72は、堆積層の粒子状物質を保持できる程度に小さい開口部を有するが、処理される流体、および堆積層を再調整するさいに使用される1つ以上の再調整流体に対して透過性がある。
【0098】
メッシュ材料72は、本質的に底壁60のすべてを被覆し、中央開口部62まで延在する。底壁60にハブ64を装着すると、メッシュ材料72は、ハブ64と底壁60との間に挟み付けられることで、ハブ64内に規定された中央チャネル内への容積70の排出が可能になる。
【0099】
カートリッジ14の上面は、カートリッジが満たされて水平位置で動作される場合に備えて、開かれたままであってもよい。実用的な理由から、例えば、容積70の上端部を閉じ、容積70内に粒子状物質を保持するように溶接によって、側壁66に固定されたメッシュ材料76で作られたディスク状のカバーで、カートリッジ14の上部を閉じることが好ましい。メッシュ材料76は、容積70の最上部分からハブ64の中央チャネル内に直接流体が流れないようにするために、ハブ64の上側部分に取り付けられる。メッシュ材料76は、側壁66およびハブ64に取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0100】
カートリッジ14の側壁66には、カートリッジ14の容積70が、所望の範囲内で粒子状物質で満たされると、プラグ82によって閉じられる流入口80が設けられる。
【0101】
中央ハブ64は、カートリッジ14の流出口として作用するだけでなく、カートリッジ14の中央部分にメッシュ材料72および76を固定するように作用する。加えて、中央ハブ64は、前述したように、上下方向に重ねてカートリッジを積層化し、マルチカートリッジスタックを形成する場合に、上面および下面部分で対応するカートリッジを収容するようにデザインされてもよい。
【0102】
カートリッジ14およびそのさまざまな部品は金属で作られてもよく、容積70に粒子状物質を置き換えて複数サイクル使用されてもよいが、一度満たされると、ライフサイクルの終了時に消費された粒子物質とともに廃棄されるプラスチック部品からカートリッジ14を作ることも考えられる。
【0103】
本発明と組み合わせて記載された例において使用されるカートリッジの寸法は、内径が約540mmであり、充填高さが約30mmであり、ハブ64の内径は約65mmであり、ハブの外径は約116mmである。このようなカートリッジで提供される容積70は、約6.5lに相当する。
【0104】
図3は、粒子状物質で複数カートリッジ14を同時に満たすために使用されてもよい構成100の概略図を示す。
【0105】
ここで、構成100は、上側部分に入口104を、底部に出口106を装備したタンク102を備える。さらに、タンク102の底部分に、タンク102の中身、例えば、カートリッジ14内に充填される粒子状材料の懸濁液を撹拌可能な撹拌機108が設けられる。
【0106】
カートリッジ14は、垂直方向に自立した位置に位置付けられ、遠心ポンプ112を介してタンク102に含まれた懸濁液を受ける充填パイプ110に入口開口部80が接続される。
【0107】
充填パイプ110には、カートリッジ14の充填中の入口圧力をモニタするために、1つ以上の圧力センサが装備されている。センサ112によってモニタされる入口圧力は、カートリッジ14内の粒子状物質のパッケージングの程度を決定する。
【0108】
PVPPのような膨潤性の粒子状物質の場合、最初に、周囲流体、例えば、水を吸収することが可能な粒子が使用される。PVPP粒子の場合、約4時間の膨潤時間で十分であり、約10時間の膨潤時間がより好ましい。懸濁液は、好ましくは、PVPP粒子の約2〜10重量%、より好ましくは、約3〜5重量%を含む。次に、懸濁液はタンク102において撹拌され、引き続き、約4m/時の流量でカートリッジを満たすことなく、約15分間遠心ポンプ114によってループ内で循環される。粒子状物質および使用する特定の機器に応じて、ループ内での粒子の堆積および/または分留を避けるために、流量の微調整が望ましい場合もある。引き続き、カートリッジは、ボール弁118および供給ライン120を介してループに接続されてもよい。
【0109】
カートリッジ14の充填開始時、粒子状物質を懸濁する流体が、カートリッジ上壁76およびハブ64を介してカートリッジ14から出る。カートリッジ14が連続して充填されると、カートリッジ14の流入口80に粒子状物質のプラグのようなものが生じるとき、充填手順の終了時にほぼ停止するまで、カートリッジ14から流出する流体量は少なくなる。
【0110】
充填パイプの下流において、1つまたは複数の位置で充填パイプ110で検知される充填圧力を調節するために使用されてもよい弁116がループに設けられる。圧力センサ112は、カートリッジが充填される圧力を示し、個々のカートリッジの充填程度およびパッキングを決定する。好ましくは、カートリッジ14を充填するための圧力差は約0.3バールである。
【0111】
カートリッジ14を空隙のない粒子状物質で充填することが重要である。
【0112】
典型的な充填時間は、約6.5lの容積70を有する図2に示すように、カートリッジ14に対して約20〜30分間の範囲のものであってもよい。
【0113】
次に、カートリッジ14は、充填パイプ110から外され、カートリッジ14の側壁66にある流入口80は、ブラインドプラグ82で閉じられる。
【0114】
カートリッジ14内に事前に圧縮されたPVPP層が望まれる場合、好ましくは、PVPPおよび水に溶解するある量の充填材料が、乾燥状態でカートリッジ14内に充填される。カートリッジに水の流れを通し、充填材料をすすぐと、PVPP粒子は膨潤し、カートリッジ14内に事前に圧縮されたフィルタケーキを発生する。水溶性充填材料として、特に、食物適合材料、例えば、塩や砂糖が使用されうる。
【0115】
乾燥ボリュームの約1.4倍のPVPPで得られる膨潤効果を考慮すると、カートリッジ14の許容できない過剰充填または過剰パッキングを回避し、以下のステップ中、すなわち、飲料を安定化するためのカートリッジ14の使用中に非常に高い圧力差が発生しないようにするために、充填剤の量が算出される必要がある。
【0116】
PVPP粒子と混合される充填材料に最適な割合を見つけ出すために、実験室規模で予備テストを行うことが推奨される。
【0117】
図4Aは、上部メッシュ材料76を取り外した後の充填されたカートリッジ14を示し、カートリッジ14に元々堆積された層140は、なめらかな表面を示す。
【0118】
堆積層の再調整に及ぼす本発明の効果を示すために、PVPP粒子状物質で作られた層に自発的に亀裂が入ったものを以下に記載する。
【0119】
カートリッジ14の充填後、得られる堆積層は、流体の流れサイクルの始動と停止が繰り返されることで、自発的に亀裂が入り、圧縮空気を導入することでさらにダメージを受ける(図4Bを参照)。堆積層140は、層140の上流表面からカートリッジのメッシュ材料72、すなわち、堆積層の下流面まで短い切れ目が入った複数の深刻な亀裂142を示す。
【0120】
次に、ダメージを受けた堆積層140を含むカートリッジ14は、以下の条件にさらされた。
【0121】
図4Bに示すようなカートリッジ14の上部に、メッシュ材料76のカバーを設ける。引き続き、図1の再調整構成10のハウジング12にカートリッジを装着しハウジングを閉じる。
【0122】
初期ステップにおいて、再調整構成は、典型的に、ビールのような飲料が安定化する第1の温度に相当する2℃の温度の冷水が満たされる。亀裂の入った堆積層の圧力差を求めるために、冷水は、約10分間、再循環される。測定された圧力差の値は、2℃で0.73バールであり、冷水の流速は0.59m/時である。
【0123】
次に、再循環水の温度は、ハウジング12の流出口の温度(温度センサ36によって求められる)が、約70℃(第4の温度)になるまで、約6℃/分の割合で上昇する。流速は、0.59m/時に一定に保たれる。
【0124】
温度は、次第に速度を低下しながら85℃の第2の温度までさらに上昇される。80℃以上の温度での堆積層の処理は、0.59m/時の再循環水の流速と同じままで約20分間継続される。次に、堆積層は、約5.5℃/分の制御下の冷却速度で約20℃の第3の温度に冷却される。
【0125】
図4Dは、上述した手順の実行中に決定されたパラメータ温度(曲線A)、流速(曲線B)、および圧力差(曲線C)を概略的に表す。
【0126】
図4Dは、観察された圧力差(曲線C)によって上記再調整処理中に堆積層の構造に発生した変化を非常にうまく示している。
【0127】
構成10の閉ループにおいて冷水を再循環する第1のステップ中、圧力差は、数分以内で0.73バールの横ばい値に達する。カートリッジ14の堆積層140を加熱すると、粒子状PVPP物質が膨張して構造密度が低くなり、圧力差が0.15バールに降下する。
【0128】
堆積層140を制御下で冷却すると、堆積層の構造は、再度密度が高くなり、圧力差は0.77バール以上のレベルまで、すなわち、亀裂142の回復を示す亀裂の入った堆積層の開始時に求められる値(0.73バール)より著しく高いレベルまで着実に増大する。
【0129】
カートリッジがハウジング12から取り外され、メッシュカバー76が取り外されると、再調整された堆積層140は、視覚的に評価されうる。図4Cに示すように、深刻な亀裂が回復され、層140の上部に残る少数の小さな表面上の不規則性144は、安定化性能に影響を及ぼすことはない。
【0130】
粒子状物質の堆積層の図4Bに示すものと同程度に深刻なダメージは、典型的に、流体処理粒子に起こらない。したがって、得られるテスト結果により、通常の流体処理サイクル中に起こるダメージは、本発明の再調整手順の実行中に回復されうることが保証される。
【0131】
カートリッジ14に堆積層を形成するのに適した粒子状物質を選択する重要性は、ある程度詳細に上記で説明してきた。
【0132】
PVPPの場合、市販されているPVPP再生可能な食品等級粒子状物質の典型的な粒子サイズ分布が、比較的広範であり、相当量の小粒子を含む曲線Aとして図5に示されている。
【0133】
約5重量%の量の市販されている元のPVPP粒子状物質を1回以上水に懸濁し、約4時間の沈殿時間後に上澄みを移すと、曲線Bによる粒子サイズ分布が得られうる。曲線Aによる粒子サイブ分布とは対照的に、曲線Bによる粒子分布は、圧力降下に対する挙動が著しく改善されていることを示している。
【0134】
うまく機能している他の粒子分布が、曲線CおよびDに示されており、曲線Cによる粒子分布は、曲線BおよびDに相当する粒子状物質より小粒子の含有量がわずかに多い。
【0135】
さまざまなサンプルB、C、およびDの粒子状物質は、表1に含まれるパラメータによってさらに特徴付けられてもよい。
【表1】

【0136】
図6は、飲料、特に、ビール用の処理構成200の概略図を示し、この処理構成200は、ビールからポリフェノール類を除去するために使用され、また、ポリフェノール類を吸着および除去するために使用される粒子状物質を再生および再調整させる。
【0137】
構成200は、連続チャネル206を形成するために、カートリッジの中央ハブ部分64と位置合わせされたカートリッジ14のスタック204を収容する円筒状ハウジング202を含む。
【0138】
カートリッジ14は、図3に関連して記載されたPVPP粒子状物質で満たされている。PVPP物質の粒子サイズ分布は、図5の曲線Bから明らかなものに類似している。
【0139】
ハウジング202は、安定化される飲料がハウジング202内に導入される流入口210を含む上側取り外し可能カバー208を有する。
【0140】
次に、飲料は、ハウジング202の容積すべてを満たし、カートリッジのそれぞれの上側メッシュ表面76(図2Bを参照)を介してさまざまなカートリッジ14に並列に流入した後、粒子状PVPP物質の堆積層内に入り、メッシュ層72および中央ハブ64を介してカートリッジ14を出て、ハウジング202の底部にある流出口212を介してチャネル206から出る。ビールは、ビール流入口214を介して構成200内に供給され、ビール流出口216を介して構成200から出る。
【0141】
連続した流れのビールを提供するために、圧力センサ220および流量センサ222により圧力および流れが制御された遠心ポンプ218が使用される。ビールの温度は、典型的に、0℃〜約10℃の範囲のものであり、第1の温度と見なされる。
【0142】
流出口212を介してハウジングを出るときの安定化されたビールの圧力は、圧力センサ224によってモニタされる。
【0143】
構成200の機器の残りは、ビールの安定化処理中、非作動状態のままである。
【0144】
およそ6〜10時間経過後、カートリッジ14に含まれる粒子状物質の能力が使い果たされ、粒子状物質の再生が必要とされる。
【0145】
再生ステップは、典型的に、カートリッジ14およびカートリッジ14に含まれる堆積層に苛性流体および酸性流体、例えば、それぞれ、水性NaOHおよび水性HNOを流すことによって実行される。
【0146】
第1の再生ステップにおいて、カートリッジ14のスタックおよびハウジング202は、残留ビールを除去するために水洗いされる。
【0147】
その後、カートリッジ14は、構成200に含まれる水を循環させることによって、85℃の第2の温度まで加熱される。85℃の第2の温度は、カートリッジ14のスタックが安定化されるビールで再度満たされる前に、カートリッジおよびカートリッジの堆積層、およびハウジング202および構成200のパイプの滅菌を行うために決定される。
【0148】
カートリッジ14に含まれる粒子状PVPP物質を再生するためのプロセスは、最終的に形成される亀裂や他のダメージまたは堆積層内の粒子分布の非均質性が回復されて、再度、PVPP粒子状物質の堆積層が、元の充填状態に本質的に相当する状態になるように、本発明によるカートリッジ14内の堆積層の再調整を達成するために修正されてもよい(図4Cを参照)。
【0149】
カートリッジ14の粒子状物質の加熱を平滑に行うために、再循環水の温度は、ハウジング202の流出口での温度(温度センサ228)より高い最高でも20〜30℃になるように、熱交換器226によって制御される。
【0150】
加熱水の流速は、毎分の温度上昇が約5〜7℃になるように制御される。
【0151】
循環水の加熱およびハウジング202内でのカートリッジ14のスタックの加熱中、または85℃の第2の温度に達した後、1重量%濃度が得られるまで、供給源230から供給ポンプ232によって再循環水に苛性ソーダが供給される。
【0152】
1重量%の苛性ソーダを含む水の循環は10分間継続され、この間に、苛性ソーダ溶液に含まれる脱着ポリフェノールを除去するために、苛性ソーダ媒質が分岐パイプ240および弁242を介して構成200から排出される。再調整/再生流体の排出部分は、弁236を介して給水源234から真水に取り換えられる。次に、約1重量%の量の苛性ソーダを含む温水は、閉ループにおいて約20分間再循環される(弁236および242は閉状態)。
【0153】
次に、粒子状PVPP物質からすでに吸着されたポリフェノール類の除去が完了し、アルカリ性流体が、パイプ240および弁242を通って構成200から引き出され、熱交換器226を通るときにすでに再循環された苛性物質と同じ温度まで加熱されることが好ましい給水源234からの温かい真水に取り換えられる。構成200は、ハウジング202を励起する水の電導率が0.5mSを下回るまで真水で浄化される。
【0154】
次に、カートリッジ14のスタックおよびカートリッジ内の堆積層の慎重な制御下での冷却が開始される。本発明によれば、堆積層の完全性を保持するために、カートリッジ14内の堆積層に温度衝撃がかからないように、温度を厳密に制御しながら冷却ステップを実行することが最も重要である。
【0155】
ここで、流入口温度は、ハウジング202の流出口212での再循環流体の温度より約10〜15℃低く制御される。熱交換器226は、この場合、冷却装置として動作する。
【0156】
同時に、再循環水中の酸の量が約0.5重量%に達するまで、酸、例えば、HNOが供給源238および供給ポンプ232から回路に投入されてもよい。
【0157】
酸性水の再循環中、第3の温度が20〜25℃のレベルで維持される。
【0158】
この手順の後、さらに3分間、(給水源234からの)冷水で洗い流されるステップが続き、この洗い流し効果は、水の電導率が0.5mSの上限を下回るまで、水の電導率を測定することによって制御される。
【0159】
洗い流しに使用される流体の温度は、約20℃に維持されてもよい。
【0160】
このステップの完了後、カートリッジ14のスタックおよびカートリッジの堆積層は、飲料、例えば、ビールの新しい安定化サイクル用に準備される。
【0161】
上記手順の利点は、カートリッジ14およびPVPP物質の堆積層が、ハウジング202内に残されたままであってもよく、ビールを安定化するためにすぐに再利用されてもよい点である。
【0162】
同様に、苛性液体環境において吸着されたポリフェノール物質を脱着することによって、粒子状物質を再生するために典型的に必要な時間を利用して、同時に、ポリフェノール類を脱着するために粒子状物質を処理することと、堆積層を再調整するために堆積層の粒子を加熱することの両方を同時に行うように堆積層を加熱してもよい。同様に、カートリッジおよびカートリッジ内の堆積層の洗い流しおよび冷却が同時に行われうることで、通常の安定化プロセスにおいて実行される典型的な再生プロセスに、本発明による再調整が組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0163】
10、100、200…構成、12…ハウジング、14…カートリッジ、16、80、210…流入口、18、212…流出口、20、30、34…パイプ、22…ポンプ、24…流量計、26、36…温度センサ、28、38、224…圧力センサ、32、226…熱交換器、33…熱交換パイプ、40、42…分岐、44、240…分岐パイプ、60…流体密封底壁、62…中央開口部、64…中央ハブ、66…側壁、70…容積、72、76…メッシュ材料、82…プラグ、102…タンク、104…入口、106…出口、108…撹拌機、110…充填パイプ110、112、218…遠心ポンプ、114…不規則性、116、236、242…弁、118…ボール弁、120…供給ライン、140…堆積層、142…亀裂、202…円筒状ハウジング、204…スタック、206…連続チャネル、208…取り外し可能カバー、214…ビール流入口、216…ビール流出口、220、222…流量センサ232…供給ポンプ、234…給水源、230、238…供給源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体、特にビール、ワイン、またはフルーツジュースのような飲料を処理する方法であって、
上流側および下流側を有する堆積層の形態の粒子状物質を用意するステップと、
第1の温度で前記上流側から前記下流側へ前記堆積層に前記流体の流れを向けることによって、前記流体の処理を開始するステップと、
前記堆積層を再調整するステップと、
前記流体の処理を再開するステップと
を含み、
前記再調整ステップが、
前記堆積層を第2の温度に加熱する工程と、
最高約20℃/分の範囲の平均冷却速度で前記堆積層を第3の温度に冷却する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記再調整ステップが、前記堆積層に再調整流体の流れを向ける工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再調整流体が、前記堆積層の前記冷却する工程中に冷却剤として働き、任意に、前記再調整流体が冷却デバイスに循環される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記冷却速度が、前記堆積層の下流側で前記堆積層を出る冷却剤として働く前記再調整流体の温度として決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記再調整流体が、前記第2の温度に加熱されるとき、前記堆積層の加熱媒体として働き、任意に、前記再調整流体が加熱デバイスに循環される、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記堆積層の前記再調整ステップが、前記堆積層に添加剤を導入する工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記堆積層が、湿潤状態の前記粒子状物質のバルク密度より高い密度で、前記粒子状物質をカートリッジにパッキングすることによって形成され、好ましくは、前記堆積層の前記パッキングされた粒子状物質の初期密度が、湿潤状態の前記バルク密度の最高約120%に相当し、好ましくは、前記初期密度が約101%以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記粒子状物質が、約15重量%以下の量の25μm未満の粒子サイズを有する粒子を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記粒子状物質が、前記処理される流体において膨潤可能な粒子を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記粒子状物質が、ビーズの形態の粒子を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記粒子状物質が、アガロース、PVPP、PA、ゼオライト、活性炭、および/または、珪藻土から選択される粒子を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記粒子状物質の粒子が、圧縮可能な粒子から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記処理が、吸着、ろ過、ドーピング、および/または前記流体に化学反応を起こす処理、すなわち、触媒反応を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
複数の堆積層が、前記堆積層の前記上流側と流通状態にある入口および前記堆積層の前記下流側と流通状態にある出口を有する共通のハウジングに設けられ、好ましくは、各堆積層が別々のカートリッジに組み込まれ、前記カートリッジが、好ましくは、スタック状に設けられ、前記カートリッジの前記スタックが、好ましくは、前記共通のハウジングに収容され、前記スタックが、好ましくは、垂直方向に配向される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記加熱する工程において、前記堆積物層の加熱時、前記再調整流体が、前記ハウジング内に前記ハウジングの底端部で導入され、および/または、前記冷却する工程において、前記再調整流体が、前記ハウジング内に前記上端部で導入される、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−19785(P2012−19785A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−146295(P2011−146295)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【Fターム(参考)】