説明

流体のスケーリング及び分配のためのフラクタル積層体

【課題】積層体にフラクタルプレートを追加することにより、すなわち積層体のフラクタル数を大きくすることによって、流体の動作のほぼ無制限のスケーリングを実現すること。
【解決手段】流体の制御された分配及び/または回収が望ましいすべての場合において使用することが可能な流体輸送フラクタル装置は、流れの方向に沿って徐々にスケールが小さくなるかまたは大きくなるフラクタルステージ(プレート1〜8)を配置して構成される。好ましい構成の1つでは積層体として配されるプレートに再帰的なフラクタルパターンの段階が割り当てられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願情報)
この出願は、1998年3月23日に出願された米国仮特許出願第60/079,028号より出願日遡及の特典を享受するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は流体のスケーリング及び分配に関する。本発明は再帰的な流体の流路の交差を最小化するように配されたフラクタル構造を提供するものである。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
流体輸送フラクタル構造(フラクタル)は流体流の制御のために最近になって利用が可能となったものである。ここにその開示を援用する特許文献1には流体ディストリビュータ/コレクタとして具体化されたフラクタル構造について記載されている。特許文献1において開示される装置の著明な特徴は、その再帰的なスケーリング構造であり、この開示の目的においてこの構造は「フラクタル」である。このフラクタル構造は極めて均一な流体流分布を与えるものである。
【0004】
ここにその開示を援用する国際特許出願第PCT/US97/17516号では、乱流のスケーリング及び分配機能に代わるものとして、空間充填流体輸送フラクタルの使用について述べられている。
【0005】
本発明において考察される「フラクタルスケーリング」とは、再帰的なプロセスであって、これにより所定のアルゴリズムが連続したステージにおいて行われ、各回において直前のステージからのアウトプットを処理するものである。説明のために簡単な例を挙げると、「1本の流れを2本の等しい流れに分割する」アルゴリズムを行うものがある。この例によれば、流れは最初のステージにおける量の1/2の2本の等しい流れに分割される。得られた2本の流れのそれぞれは第2のステージにおいて同様に分割され、全部で4本の、量が減少した等しい流れを生ずる。これら4本の流れは更に、第3のステージにおいて8本の、量が少なくなった等しい流れに分割される、といった具合に、特定の用途において求められる流体の分配を得るうえで必要なだけの数のステージを通じて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,354,460号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フラクタル構造の数学的モデルでは、各ステージでのそれぞれの分割は同じであり、連続するステージの分枝のそれぞれはまったく同じ幾何形状を有する。実際には数学的モデルに完全に一致することはありえない点は理解されよう。したがってフラクタル装置は通常、理論上のモデルを近似して構成される。これはすなわち、市販のフラクタルでは、製造上の、及び空間的な制約のため、「まったく同じ」ではなく、「似ている」フラクタルパターンをしばしば利用しているということである。この開示はこうした意味合いにおいて理解されるべきものである。理論からのこうした乖離の実際的な結果は一般に最小であって実用的な範囲内である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の開示)
本発明は改良された流体輸送フラクタルを提供するものである。本発明に基づいて構成された装置は、流体の制御された分配及び/または回収が望ましいすべての場合において使用することが可能である。本発明の構造の特徴の1つは、複数のフラクタルステージが流れの方向に沿って配置されることである。すなわち、徐々にスケールが小さくなる、あるいは徐々にスケールが大きくなる複数のステージが流れの方向に沿って順次配される。例として、インベストメント鋳造、シェル鋳造、またはロストワックス鋳造法などにより、こうした装置の全体または装置の多ステージ部分を一体構造として構成することも発明の範囲に含まれるものである。しかし、本発明の多段フラクタルは、複数のフラクタル要素を、アセンブリすなわち「フラクタル積層体」として使用することによってより便利な形態で与えられる。説明の重複を避けるため、本開示にあってはフラクタル積層体のディストリビュータとしての使用に主眼をおいている。
【0009】
典型的なフラクタル積層体の個々の要素は、特定の順序で並置されてアセンブリを構成する立体的要素である。各フラクタル要素にはフラクタル流体スケーリング配列の一部をなす通路及びポートが設けられる。このスケーリング配列の異なる部分を個々の要素に割り当てることが可能であり、これらの部分は、実際に使用される再帰的なフラクタル配列が、要素を適当な順番に配したアセンブリによって得られ、フラクタル積層体を与えるように選択される。好ましい一構成においては、特定のフラクタルステージの流体流通路を、特定の1個のフラクタル要素に割り当てる。異なるフラクタルステージの通路を1個のフラクタル要素に割り当てることも考えられる。また、特定のフラクタルステージの通路を複数のフラクタル要素の間で分けることも考えられる。通路は、特定の要素の片側または両側に配することが可能である。後者の場合、フラクタルステージの通路は隣接する要素間の境界において並設される一致した溝によって画定される。
【0010】
例示的なフラクタル要素の1つでは、積層体中の最も大きなフラクタルパターンを収容するように、流体流の方向に垂直な方向に見て比較的大きな断面積を有する。最大のパターンは通常は最後のフラクタルステージのものであり、その「足形」は(他の因子の中でもとりわけ)、その積層体によって収容されるフラクタル数(ステージの数)に応じて変わる。フラクタルパターンとして設けられる流れ通路(最もよくある場合では、要素の境界面の一方または両方と開放的に連通する)を内部に収容するためには比較的小さな高さが必要とされる。こうした要素は、通常は円柱状の短いプリズム形の形状を有し、この開示の目的においては「フラクタルプレート」として構成されている。フラクタルプレートは、流体が積層体を通過する際に、徐々にスケールが小さくなるフラクタル分配が行われるように上下に積層される。したがって装置は流体ディストリビュータとして機能する。本発明の構造体は流体コレクタとしても使用することが可能である。この用途では、流体は、最も小さいフラクタルスケールから最も大きなフラクタルスケールへと通過する。本発明では積層体にフラクタルプレートを追加することにより、すなわち積層体のフラクタル数を大きくすることによって、流体の動作のほぼ無制限のスケーリングを実現することが可能である。
【0011】
本発明の特定の実施形態によれば、1枚または複数枚のプレートなどの「フィニッシング」構造をフラクタル積層体に追加して更なる流体スケーリングを行うことが可能である。この最後のスケーリングステージは、よりスケールの大きなプレートにおいて用いられるフラクタルの製造技術が実際上の限界に達した場合に有利である。フィニッシングプレートにより、最も小さいスケールにて最後の流体スケーリングを行うことが可能である。フィニッシングプレートはスケーリング効果を与える任意の材料または形態のものでありうる。例として、この目的で、最後のフラクタルパターンから流出する流体のための曲がりくねった(もしくは混合を行う)流路を与えることが可能な、フィン、波状形成体、カ
ラム充填剤、スクリーン、スポンジや他の構造体を使用することが可能である。流体が衝突し、ぶつかるような構造をフィニッシングプレートとして使用することも可能である。例として、最後の流体出口の径路上に小さな障害要素を配することが可能である。これらの構造物にぶつかる流体は、よりスケールの小さな流れまたは小滴に分けられ、最終的なスケーリング効果がもたらされる。
【0012】
したがって本発明は、実際の使用において、徐々にスケールが大きくなるかまたは小さくなる複数の段階を有するフラクタルパターンとして再帰的な流路が配されたフラクタル流体流システムに適用されるものである。概して本発明の改良は、フラクタルパターンの部分を互いに対して積層された配置にて与えることにより、再帰的な流れ通路の交差が防止されることである。徐々にスケールが大きくなる、または小さくなる上記の段階は通常は流入口と流出口との間に配され、これによりシステムを通じて流体流のスケールが改変される。本発明では、構造的流れ通路のこうした段階を、流出口の方向に流入口から異なる距離にて順番に配置する。
【0013】
最もよくある場合では、フラクタルパターンの部分は、互いに対して積層された配置に構成された複数の構造要素上に設けられる。これらの構造要素は、フラクタル要素を構成するためにフラクタルパターンに一致した流れ通路が配された、幾何的にほぼ合同な中実体である。理想的には、これらのフラクタル要素は、上下に積層されたフラクタルパターンを含むプレートを有することにより、流体が流入口から流出口へと積層体を通過する際に徐々に異なるスケールに流体を分配する手段を構成するフラクタル積層体を与える。流入口は流体を最大あるいは最小スケールのフラクタル段階に向けて流すような位置に設けられる。
【0014】
したがって本発明は、実際の使用において、徐々にスケールが大きくなるかまたは小さくなる複数の段階を有するフラクタルパターンとして再帰的な流路が配されたフラクタル流体流システムに適用されるものである。概して本発明の改良は、フラクタルパターンの部分を互いに対して積層された配置にて与えることにより、再帰的な流れ通路の交差が防止されることである。徐々にスケールが大きくなる、または小さくなる上記の段階は通常は流入口と流出口との間に配され、これによりシステムを通じて流体流のスケールが改変される。本発明では、構造的流れ通路のこうした段階を、流出口の方向に流入口から異なる距離にて順番に配置する。
【0015】
特に積層体がディストリビュータとして動作する場合、積層体は、積層体を通じた流体流の方向に垂直な流体の均一な分配を促すように構成、配置されたフィニッシング構造を一端(流出端)において有する。このフィニッシング構造は、フラクタルパターンから流出する流体のための多数の曲がりくねった流路を与えるように構成及び配置される。積層体の反対側の端部(流出口)は、主流入口から流体を受けるとともに、スケーリングされた量のその流体をフラクタルパターンの第1の段階の各流入口に分配するように配された分配通路を有する構造要素を備えることが可能である。
【0016】
本発明の別の一実施形態では、プレートのフラクタルパターンの周囲に開放領域を設けることにより、フラクタルの内部の流体のスケーリングに干渉することなく流体が装置の本体を通じて両方向に流れることが可能である。この構成は、向流動作などの応用において、また、流体を、積層体を通過する流体の流れに導入したりあるいはこれから取り出すような場合に有用である。
【0017】
定義上、フラクタルはスケーリングに対して不変であるため、本発明は任意のサイズの用途において使用することが可能であり、その場合においても任意の所望の流体スケーリングを与えるものである。この装置は理論上、流体を無限にスケーリングすることを可能
とするものである。非常に大きな、あるいは非常に小さな物を製造するうえでの既存の限界によって現段階におけるスケーリングの実際の限界が与えられる。しかしながら、大きな、あるいは小さな物を形成するための製造方法が改良されるのにしたがって、これらの方法を本発明によって可能なスケーリングの実際的な範囲を拡大するために適用することが可能である点は理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】8枚のプレートから構成されるフラクタル積層体を示す立側面図。
【図2】図1のプレート1を示す平面図。
【図3】図1のプレート2を示す平面図。
【図4】図1のプレート3を示す平面図。
【図5】図1のプレート4を示す平面図。
【図6】図1のプレート4,5,6及び7によって与えられるフラクタルパターンを示す図。
【図7】図1のプレート8を示す描図。
【図8】図7の一部を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明を実施するための最良の態様)
図1に示されるフラクタル積層体は8枚のプレートを有するが、本発明は、特定の用途における必要に応じてこれよりも少ないかまたは多い数のプレートを有する実施形態をも企図したものである。図に示されたように円形のポートがプレートを通じて形成され、流入ポートと流出ポートとの間に配される細長い通路は、プレートの一方の表面に、切削、成形、または形成された溝からなる。プレート1〜3は、流入口21(図2)に導入され、通路23を通りポート25(図3)へ、更には通路27を通ってポート29(図4)へと分けられる流体の大まかな予備スケーリングを与える。プレート3は流入口21に導入された流体の6方向導管スケーリングを与えるものである。すなわちプレート3は流体の36方向導管スケーリングを与えるものである。プレート4,5,6及び7は、本発明のほぼ無制限のスケーリングを可能とするフラクタル要素である(図5及び6を参照)。特定の用途における細密スケーリングの必要に応じて、任意の数のフラクタルプレートを使用することが可能である。こうしたプレートの4枚だけが示されている。プレート8は場合に応じて用いることが可能な「フィニッシング」プレートである。
【0020】
プレート4(図5)は図に示されたシステムにおいては最初のフラクタルスケーリングプレートである。システムの構成において、フラクタルプレート(4,5,6及び7)に先立つ導管プレート(1,2及び3)は、後続のフラクタルプレートへの液体の供給を調整するうえでの必要に応じて、数及びパターンについて変更を加えることが可能である。例として、図5ではフラクタルパターンの3個のリングが示されている。空間的な制約のため、最も内側のリングのフラクタルパターンは外側の2個のリングのパターンとは若干異なっている。例えばより大径の装置用の更なるリングを加えると、先立って配される非フラクタルスケーリングプレート上に、より多くの数の導管分枝を必要とする。図5からは更に、連続したプレートの次のプレートへと流体を通過させる前に、いずれのフラクタルプレート上にも更なるフラクタルスケーリングパターンを設けることが可能であることが分かる。フラクタル導管パターンが交差しそうになるまで、流体を次のプレートへと通過させる必要は通常ない。
【0021】
図6は、プレート4,5,6及び7を通じて設けられる基本的なフラクタル流れ分配パターンを示したものである。流体のスケーリングは、積層体(図1)に更なるフラクタルプレートを追加することにより、無制限に(製造上の制約の範囲内で)続けることが可能である。図6は、流体導管のパターンのすべてが1枚のプレート上に配されるものとする
と、個々の流体導管が必然的に重なり合うことを示したものである。
【0022】
図7は、フィニッシングプレートを示す一方で、積層体中のすべてのプレートの大まかな形状及び相対的な寸法を示したものである。ボルト孔35が、フラクタル積層体においてそれぞれのプレートを連結するために各プレートに設けられる。構造要素37が流体流出ポート39の上に置かれる。図8の拡大図に示されるように、要素37は、バー41から構成される。バー41は、積層体の断面にわたった流体の均一なスケーリングを完了させる最終的な曲がりくねった径路を与えるために配置される。
【産業上の利用可能性】
【0023】
(産業上の利用可能性)
本発明に基づいて構成された装置は、流体の制御された分配及び/または回収が望ましいすべての場合において使用することが可能である。
【0024】
あらゆる流体プロセスにおいて、流体のスケーリングの制御が有利である場合に、本発明を利用することが可能である。特許請求の範囲をいかなる意味においても限定するものではないが、発明の例示的応用例としては、スケールの大きな動きからスケールの小さな動きへの全般的なスケーリング、スケールの小さな動きからスケールの大きな動きへの全般的なスケーリング、流体表面の迅速な形成、低乱流流体表面の迅速な形成、流体表面の迅速な回収などが含まれる。本発明に基づいて構成される装置は、他の応用の中でもとりわけ、低乱流流体表面の他の流体への導入、吸収または吸収プロセス、クロマトグラフィ法、イオン交換操作、ガス/流体向流の用途、蒸留装置、反応器、エアレータ、及びフロースルーミキサーなどに応用することが可能である。以上の例は「動き」及び「表面」について表されているが流体容積や流体流の面から概念化することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層アレイ(4−7)を形成する複数の第1プレート(4−7)と、
前記積層アレイ(4−7)に隣接して配置される基端プレート(1−3)と、
前記積層アレイ(4−7)に隣接して配置される先端プレート(8)と
を有するフラクタル流体流システムであって、
各々の前記第1プレート(4−7)は複数の繰返流路を形成し、各々の前記繰返流路は繰り返し配され、各々の前記繰返流路は、長手軸線を規定する入口と、前記長手軸線に直交する平面において前記長手軸線に関して位置的に対称に配置された少なくとも3つの出口とを有し、各々の前記繰返流路から前記第1プレート(4−7)における残りの繰返流路には流体が流れないように、各々の前記繰返流路は前記残りの繰返流路から隔離され、複数の前記第1プレート(4−7)が互いに隣接して積層されることによって前記積層アレイ(4−7)を形成し、前記繰返流路はフラクタルパターンを形成し、各々の前記第1プレート(5)に位置する前記繰返流路は、当該第1プレート(5)に隣接して配置された上流側の第1プレート(4)の繰返流路の出口から流体が流入するように配置され、前記第1プレート(5)の前記繰返流路の各々の前記出口は、当該第1プレート(5)に隣接して配置された下流側の第1プレート(6)の各々の前記繰返流路における各々の前記入口に流体が流出するように配置され、各々の前記第1プレート(5)は、当該第1プレート(5)に隣接する上流側の前記第1プレート(4)における前記繰返流路に対して、徐々にスケールが小さくなる段階を有する流路を備え、複数の前記第1プレート(5)は、前記積層アレイ(4−7)を通過する流体流経路の主方向と、当該主方向に直交するように配向された横断面上における前記流れの分配とを定め、
前記基端プレート(1−3)は、前記積層アレイ(4−7)に流体流を導入するために、前記積層アレイ(4−7)の一端に位置する第1の外側第1プレート(4)の繰返流路に流体が流れるように連通するように配置される初期流路(23,27)を形成し、
前記先端プレート(8)は、前記積層アレイ(4−7)の他端に位置する第2の外側第1プレート(7)に位置する繰返流路から流体が流入するように配置される最終流路を形成し、前記先端プレート(8)は、前記最終流路に流体が流れるように連通する複数の入口を形成するプレート面を有し、
前記基端プレート(1−3)は、互いに積層される複数の基端プレート(1−3)のうちの一つであり、少なくとも一つの前記基端プレート(3)は、入口(27)から少なくとも3つの出口(29)に向かって延びる非線形な流路を区画形成する
ことを特徴とする、フラクタル流体流システム。
【請求項2】
それぞれ前記第1プレートは、H形状の分岐流路が連続する流路を有する、
請求項1記載のフラクタル流システム。
【請求項3】
流路の繰返段階が、入口と出口の間において徐々にスケールが小さくなる複数の段階を有するフラクタルパターンになるように構成されることによって、流体流のスケールを改変するフラクタル流体流システムであって、
前記繰返段階は、前記入口から前記出口に向かって互いに異なる距離に位置する少なくとも3つのプレート(4−7)からなる積層構造に形成され、各々の前記プレート(4−7)は、流体流を前記積層構造の横断面において均等に分配し、
各々の前記プレート(4−7)は、同プレート(4−7)内において互いに物理的に隔離された複数の流路を形成することによって、各々の前記プレート(4−7)内の個々の流路同士が交差することを防止し、前記横断面は、前記システム内を通過する流体流の主方向に直交して配向されるように規定され、
各々の前記プレート(4−7)における個々の前記流路は、入口と、少なくとも3つの出口とを備え、前記少なくとも3つの出口は、前記入口の長手方向軸線に直交する平面上において、前記長手方向軸線に対して二次元的に対称に配置され、
前記基端プレート(1−3)は、互いに積層される複数の基端プレート(1−3)のうちの一つであり、少なくとも一つの前記基端プレート(3)は、入口(27)から少なくとも3つの出口(29)に向かって延びる非線形な流路を区画形成する
ことを特徴とする、フラクタル流体流システム。
【請求項4】
それぞれ前記第1プレートは、H形状の分岐流路が連続する流路を有する、
請求項3記載のフラクタル流システム。
【請求項5】
前記積層構造は、積層アレイ(4−7)を構成する、
請求項3記載のフラクタル流体流システム。
【請求項6】
前記積層アレイ(4−7)の第1の端部は、前記流路の入口を有し、
該積層アレイ(4−7)の第2の端部は、前記流路の出口を有する、
請求項5記載のフラクタル流体流システム。
【請求項7】
前記第1の端部は分配通路(23,27)を有し、
該分配流路(23,27)は、前記入口から受容した流体を、前記フラクタルパターンの第1の段階として構成された流路に分配する、
請求項6記載のフラクタル流体流システム。
【請求項8】
積層アレイ(4−7)を形成する複数の第1プレート(4−7)と、
前記積層アレイ(4−7)に隣接して配置される基端プレート(1−3)と、
前記積層アレイ(4−7)に隣接して配置される先端プレート(8)と
を有するフラクタル流体流システムであって、
各々の前記第1プレート(4−7)は複数の繰返流路を形成し、各々の前記繰返流路は繰り返し配され、各々の前記繰返流路は、長手軸線を規定する入口と、前記長手軸線に直交する平面において前記長手軸線に関して位置的に対称に配置された少なくとも3つの出口とを有し、各々の前記繰返流路から前記第1プレート(4−7)に位置する残りの繰返流路には流体が流れないように、各々の前記繰返流路は前記残りの繰返流路から隔離され、複数の前記第1プレート(4−7)が互いに隣接して積層されることによって前記積層アレイ(4−7)を形成し、前記繰返流路はフラクタルパターンを形成し、各々の前記第1プレート(5)に位置する前記繰返流路は、当該第1プレート(5)に隣接して配置された上流側の第1プレート(4)の繰返流路の出口から流体が流入するように配置され、前記第1プレート(5)の前記繰返流路の各々の前記出口は、当該第1プレート(5)に隣接して配置された下流側の第1プレート(6)の各々の前記繰返流路における各々の前記入口に流体が流出するように配置され、各々の前記第1プレート(5)は、当該第1プレート(5)に隣接する上流側の前記第1プレート(4)における前記繰返流路に対して、徐々にスケールが小さくなる段階を有する流路を備え、複数の前記第1プレート(5)は、前記積層アレイ(4−7)を通過する流体流経路の主方向と、当該主方向に直交するように配向された横断面上における前記流れの分配とを定め、
前記基端プレート(1−3)は、前記積層アレイ(4−7)に流体流を導入するために、前記積層アレイ(4−7)の一端に位置する第1の外側第1プレート(4)の繰返流路に流体が流れるように連通するように配置される初期流路(23,27)を形成し、
前記先端プレート(8)は、前記積層アレイ(4−7)の他端に位置する第2の外側第1プレート(7)に位置する繰返流路から流体が流入するように配置される最終流路を形成し、前記先端プレート(8)は、前記最終流路に流体が流れるように連通する複数の入口を形成し、
前記第1プレート(4−7)のうちの少なくとも一つは、直列接続された第1分岐流路、第2分岐流路、及び第3分岐流路を含み、前記第1−第3分岐流路の各々は、流体を互いに反対向きの2方向に分岐させ、前記入口から前記第1分岐流路への分岐が第1世代分
岐、前記第1分岐流路から前記第2分岐流路への分岐が第2世代分岐、前記第2分岐流路から前記第3分岐流路への分岐が第3世代分岐を構成し、少なくとも一つの前記第1プレート(4−7)は、前記入口から前記出口までの間に、前記第1−第3世代分岐を含む
ことを特徴とする、フラクタル流体流システム。
【請求項9】
それぞれ前記第1プレートは、H形状の分岐流路が連続する流路を有する、
請求項8記載のフラクタル流システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−104591(P2011−104591A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5210(P2011−5210)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【分割の表示】特願2000−537640(P2000−537640)の分割
【原出願日】平成11年3月22日(1999.3.22)
【出願人】(500445066)アマルガメイテッド リサーチ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】AMALGAMATED RESEARCH,INC.
【Fターム(参考)】