説明

流体を容器から流体レセプタクル内へ分配するシステムおよび方法

【課題】望ましくないエアロゾル効果の発生を回避し、流体を、容器からカートリッジ式のレセプタクル内へダイレクトに分配する。
【解決手段】レセプタクル70は、開口72および内部床74を含む。流体ディスペンサ10は2つの端部を有する。第1端部は、封止体を貫通して、容器の内部と外部との間の流体連絡を確立する。第2端部30は、レセプタクル70内で開口72と連結される。レセプタクル70と容器を互いに接近するよう相対移動させると、流体は、容器からディスペンサ10を通り、ダイレクトにレセプタクル70内へ分配される。ディスペンサ10の第2端部30が、内部床74と接触することを防ぎ、これにより、レセプタクル70から流体が不用意に引き戻されることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、大略的には、流体容器の中身をダイレクトにレセプタクルの中へ分配するためのシステムおよび方法に関する。より詳しくは、試験管の中身をダイレクトにカートリッジ式のレセプタクル内に分配するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試験管は、血液検体およびその他の液体、例えば生体液などを収集する容器としてよく使用される。血液を収集する場合、試験管内に抗凝血剤を入れ、血液検体を患者からダイレクトに試験管の中へ採取する。試験管は、ゴム栓で閉じられる。
【0003】
通常、血液またはその他の流体は、分析のため試験管から取り出される必要がある。それゆえ、実験室の作業者は、様々な環境において、流体を試験管から所望の表面に都合良くかつ効率良く分配する仕事を日常的に行なう必要がある。しかしながら、例えば分配された流体が試験管の中へ引き戻される場合など、検査すべき流体を、汚染を回避しつつ分配する場合には、注意を払う必要がある。
例えば、流体を試験管から非常に急速に分配する場合においては、流体がこぼれないように、あるいは流体が空中に浮遊しないように注意を払う必要もある。そのようなことが起こると、実験室の作業者が流体にさらされ、また病気に感染することが起こり得る。
【0004】
本発明より以前、流体を試験管からスライド上へダイレクトに移動させる器具が提供されていた。このタイプの器具は、試験管から栓を外す必要をなくし、それゆえ、試験管から栓を外す際にエアロゾル効果を生じさせる問題を回避した。それ以来、実験室の作業者は、血中の汚染物質または病気にさらされることはなくなった。
【0005】
近年、生体液の検体の分析において、カートリッジ式のレセプタクルがよく使用されるようになってきた。代表的には、ピペットを使用して、流体が試験管からカートリッジの開口内に運ばれる。しかし、ピペットを使用すると、試験管から栓を外すことが必要となり、したがって再び、栓を外す際にエアロゾルが形成されることとなった。そうして、実験室の作業者は、生体液内に含まれる汚染物質や病気にさらされることとなった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
実施形態は、閉鎖物または栓を容器から外す必要なく、それゆえ、望ましくないエアロゾル効果の発生を回避し、流体を、容器からカートリッジ式のレセプタクル内へダイレクトに分配するためのシステムに関する。
【0007】
流体ディスペンサは、容器の栓に孔を開ける。例えば栓を内側へ撓ませることなどによって、容器内の圧力の上昇を生じさせると、流体は、当該ディスペンサを通って容器を出る。
【0008】
レセプタクル(好ましくは、カートリッジ式のレセプタクル)は、流体ディスペンサを受け入れる開口を有しており、流体は、ディスペンサを通って容器から出て、ダイレクトにレセプタクル内に流入する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】流体分配システムの側方部分断面図。流体ディスペンサは、試験管の封止体を貫通して挿入されている。試験管と流体ディスペンサを相対的に移動させると、封止体が撓んで試験管の内部を加圧し、その結果、試験管内の流体の一部が分配される。
【図2】カートリッジタイプのレセプタクルの斜視図。
【図3】流体ディスペンサと流体レセプタクルの孔との連結領域の第1実施形態を示す側方部分断面図。
【図4】流体ディスペンサと流体レセプタクルの孔との連結領域の第2実施形態を示す側方部分断面図。
【図5】流体ディスペンサと流体レセプタクルの孔との連結領域の第3実施形態を示す側方部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ディスペンサとレセプタクルとの間の連結領域の種々の実施形態を説明する。図面は、一定の縮尺では描かれていないが、同じ参照番号は、対応する構成要素を示している。
【0011】
ここで説明する実施形態は、流体を容器から分配するシステムおよび方法に関する。実施形態は、試験管から血液を分配するものに関連しているが、これは、単なる例示にすぎない。実際のところ、図示した実施態様を、他の容器および他の流体に関連させて用いることが可能である。実施形態を図3〜図5に示すが、それらは、図示された構造または用途に限定されない。
【0012】
流体を容器から分配するシステムおよび方法を説明する前に、そのようなシステムおよび方法において使用可能な種々の構成要素を最初に説明する。図1を参照すると、流体ディスペンサは、対向する第1側14および第2側16を有する基部12を含む。
1つの実施形態において、基部12は、断面形状が略円形であってもよい。しかしながら、基部12は、例えば矩形、三角形、楕円形または多角形など、適当ないずれかの構造を有することができる。
【0013】
細長い突刺しシャフト20は、基部12の第1側14から延在していてもよい。突刺しシャフト20は、基部12の第1側14に対して、いずれかの適当な角度で延在することができる。
1つの実施形態において、突刺しシャフト20は、基部12の第1側14に対して実質的に垂直である。突刺しシャフト20は、基部12の第1側14で実質的に中央に位置する。
【0014】
突刺しシャフト20は、ステム部分22を含んでいてもよく、当該ステム部分22は、基部12の第1側14から真っ直ぐに延在していてもよい。ステム部分22は、カニューレ部分24に移行することができる。カニューレ部分24の先端25は、突き刺しが容易になるよう、先が尖っているか、あるいは面取りされていてもよい。
【0015】
ステム部分22とカニューレ部分24との間の移行部分は、いずれかの適当な形状を有することができる。例えば、ステム部分22とカニューレ部分24との間の移行部分は、肩部26を含むことができ、これによって、突刺しシャフト20の容器への挿入長さが決まる。
1つの実施形態において、ステム部分22およびカニューレ部分は、実質的に円形の断面をそれぞれ有することができ、そのステム部分22の円形断面の直径は、カニューレ部分24の実質的に円形の断面直径よりも大きく、そうすることで肩部26が構成される。
【0016】
カニューレ部分24は、複数の鋸歯状部、歯状部、または返し部(図示せず)を含んでいてもよい。これらは、カニューレ部分24が挿入されている部材、例えば試験管またはその他の容器の封止体などから、当該カニューレ部分24が不用意に引き抜かれることに対する抵抗を与える。したがって、鋸歯状部は、流体ディスペンサ10が容器に取り付けられた後における、流体ディスペンサ10の移動を最小限に抑えることができる。
【0017】
中空の突出部28を、基部12の第2側16から延在するように形成してもよい。幾つかの実施例において、突出部28は、基部12の第2側から延在する唯一の構造体であってよい。突出部28は、基部12の第2側16に対していずれかの適当な角度で延在することができる。
1つの実施形態において、突出部28は、基部12の第2側16に対して実質的に垂直であることができる。突出部28は、基部12の第2側16で実質的に中央に位置付けられることができる。突出部28の中空内部は、突刺しシャフト20の中空内部と実質的に一直線上にあってもよい。突出部28は、先端30にて終結することができる。突出部28は、基部12の第2側16と先端30との間の距離として規定される関連長さLを有することができる。
【0018】
突出部28は、いずれかの適当な構造を有することができる。1つの実施形態においては、突出部28は、断面が実質的に円形であることができる。他の実施形態において、突出部28は、矩形、三角形、楕円形または多角形であることができる。
突出部28は、その形状に応じて、1つまたはそれより多くの側壁32を含むことができる。例えば、突出部28が実質的に円形である場合、突出部28は、ただ1つの連続的な側壁32を有することができる。突出部28が多角形の場合、突出部28は、複数の側壁32を有することができる。1つまたはそれより多くの側壁32は、実質的に真っ直ぐであることができる。別例として、1つまたはそれより多くの側壁32は、先細っていることができる。
【0019】
流路34は、突出部28からカニューレ部分24へと、流体ディスペンサ10内を通って延在する。流路34は、カニューレ部分24において、例えばカニューレ先端25などにて、入口開口36を有する。流路34は、突出部28において、例えば突出先端30などにて、出口開口38を有する。流路34は、入口開口36から出口開口38まで延在する。
【0020】
流路34は、いずれかの適当なサイズおよび形状を有することができる。流路34の断面のサイズおよび形状は、その長さに沿って実質的に不変であってもよく、あるいは流路34の断面のサイズおよび形状の少なくとも一方は、流路34の少なくとも一部に沿って変化してもよい。
1つの実施形態において、流路34は、断面形状が実質的に円形である。流路34は、実質的に真っ直ぐであってもよい。別の実施形態において、流路34は、1つまたはそれより多くの屈曲部、折り返し部、湾曲部および/または角部を含んでいてもよい。
【0021】
流体ディスペンサ10は、単一の構造体であることができる。即ち、流体ディスペンサ10のすべての部分を、例えばプラスチック射出成形などによって、ただ1つの構造体として形成することができる。
別の実施形態において、流体ディスペンサ10の少なくとも一部を別個に、および/または異なる材料で、作ることができる。例えば、カニューレ部分24を金属で作ることができ、かつ流体ディスペンサ10の残りの部分をプラスチックで作ることができる。そのような場合、ステム部分22を、金属カニューレ部分24の周囲に成形するか、あるいは金属カニューレ部分24を、ステム部分22内の通路に差し込むことができる。流体ディスペンサ10の少なくとも一部は、例えば透明なプラスチック材料を用いることなどによって、透明とすることができ、それによって、使用時における良好な視野を与える。
【0022】
本明細書におけるシステムおよび方法の実施形態は、容器40を含んでいてもよい。容器40は、開口42を有する。容器40は、その内部に、関連する容積の内側チャンバ44を有する。
1つの実施形態において、容器40は、試験管であってもよく、その第1端部48に開口42が設けられている。試験管の第2端部50は、閉じられている。便宜上、以下の説明は試験管に関連してなされるが、いずれかの適当な容器を用いることができ、実施形態は試験管に限定されないことが理解されるべきである。
【0023】
封止体52によって、試験管の開口第1端部48を閉鎖でき。封止体52として、いずれかの適当な構造体を用いることができる。封止体52は、開口42をシールする。封止体52は、ゴム栓またはその他の構造体であってもよく、それらは、再利用できる、再封止できる、再度突き刺すことができる、可撓性を有するおよび/または弾性を有するものである。
封止体52は、試験管の開口42の内側に圧力嵌めされることができ、かつ少なくとも摩擦によって適所に保持されることができる。
【0024】
試験管の内側チャンバ44は、流体60を収容できる。流体60は、いずれの種類の流体であってもよい。
1つの実施形態において、流体60は、血液または別の生体液であってもよい。流体60の頂部と試験管の端部50の内部端部との間に、空域64があってもよい。幾つかの実施例においては、流体60の頂部と試験管の端部50の内側との間に、空域64はほとんどなくても、全くなくてもよい。
【0025】
図2は、大まかに言うと、その後の評価のために流体が入れられるカートリッジ式のレセプタクル70を図示している。単に便宜上のためカートリッジとして説明されるレセプタクルは、全体的に薄く、平坦で、矩形の部材であって、開口72および内部通路80を有する。
開口または孔72は、内部通路80と流体連絡するように、レセプタクル内の第1深さまで延在する。第1深さは、レセプタクルの頂部からレセプタクルの内部床74まで延在すると考えてもよい。レセプタクル70の頂部からレセプタクルの内部床74までの距離は、孔の深さ74と考えることができ、Ldで示される。カートリッジの頂部表面における孔72の直径は、以下に十分説明するように、突出部28の直径の少なくとも一部を受け入れるのに十分な寸法を有する。
【0026】
レセプタクルに形成される孔72は、いずれかの適当な断面形状を有することができ、それらは、孔の内壁78のサイズおよび形状によって決まる。したがって、図3に示すように、孔72の断面直径は、実質的に一定であってもよい。別の実施形態において、孔72の断面サイズは変化するものであってもよい。例えば、図4に示すように、孔72の断面直径は、床74に向って下方向に減少するように、円錐形あるいは面取りされていてもよい。図5に示すように、1つまたはそれより多くの突起76が壁78から出ていてもよい。幾つかの実施形態において、流体レセプタクル70は、2以上の孔72を有していてもよい。
【0027】
流体レセプタクル70は、流体を受け入れる長尺溝80を備えていてもよい。この溝80は、孔72と直接的または間接的に流体連絡している。幾つかの例において、孔72に関連する2以上の溝80が存在してもよい。溝80の少なくとも一部は、流体レセプタクル70の内部に延在する。
【0028】
溝80は、いずれかの適当なサイズまたは形状を有することができる。1つの実施形態において、溝80の断面積は、その長さに沿って実質的に一定であってもよい。別の実施形態において、溝80の断面積は、その長さの少なくとも一部に沿って変化していてもよい。溝80は、実質的に真っ直ぐであってもよい。別の実施形態においては、溝80は、1つまたはそれより多くの屈曲部、折り返し部、湾曲部および/または角部を含んでいてもよい。
【0029】
流体レセプタクル70は、血液/生体液分析装置に関連させて使用する検査カートリッジであってもよい。例えば、1つの実施形態において、流体レセプタクルは、イリノイ州アボットパークのアボットラボラトリーズから入手できるi-STAT 1 携帯式分析装置のための検査カートリッジであってもよい。
流体レセプタクル70は、流体の分析を行なうために、あるいは、血液/生体液分析装置との作動連絡のために、センサ、電気部品および電気回路を含んでいてもよい。流体レセプタクル70は、例えば血液/生体液分析装置のような別の装置に対して、機能的な接続あるいは通信のためのインターフェースを提供するものであってもよい。
限定されない図示の実施形態において、レセプタクル70は、略矩形形状であり、矩形基部82および略矩形上側部材84を含む。溝80は、上側部材84において部分的に延在し、その後、基部82の中へと下方に延在してよい。別の実施形態では、溝80は、上側部材84においてのみ、または基部82内においてのみ存在してもよい。
【0030】
システムおよび方法における各構成要素を以上に説明したので、次に、これら種々の構成要素の相互作用および働きの一例を説明する。
【0031】
分配すべき液体60を、通常の技術によって容器40の内側チャンバ44内に集め、封止体52で封止する。次に、流体ディスペンサ10を、封止体52を貫通して挿入する。具体的には、突刺しシャフト20の肩部26が封止体52と当接するまで、突刺しシャフト20を、封止体52を通して挿入する。突刺しシャフト20を封止体52に挿入する間、基部12を握り、または保持する。ステム部分22は、カニューレ部分24を構造的に支持して、突刺しシャフト20を封止体52に挿入する間、カニューレ部分24が不用意に破壊されることを防ぐ。
カニューレ部分24の少なくとも一部が内側チャンバ44の中へ延在し、それにより、試験管の内側チャンバ44と試験管の外部との間の流体連絡を確立することができる。試験管を(ディスペンサ10が取り付けられた状態で)反転させて、図1に概略的に示した姿勢とする。
【0032】
栓または封止体52を容器40の端部50に向かって内側に撓ませると、流体は流体ディスペンサ10の内部を通り、ディスペンサ先端30を通って外へ流れる。流体ディスペンサ10と流体レセプタクル70とを連結すると、流体は、ディスペンサ先端30を通って、ダイレクトにレセプタクル70の孔72の中へ流れ出る。十分な量の流体(または所望の量の流体)がレセプタクル内に分配された後、例えばディスペンサ先端30を孔72から外すことなどによって、容器とレセプタクルとを分離させることができる。
【0033】
しかしながら、ディスペンサ先端30が孔72内にある状態で封止体52に作用する圧力を解除する場合には、真空効果または毛細管現象を回避するように注意を払う必要がある。真空効果または毛細管現象が生じると、レセプタクル内の流体がディスペンサ先端30を通って引き戻され、それ故に、レセプタクル内での分析に使用できなくなる。
同様に、ディスペンサ先端30を、レセプタクルから意図的に引き抜く場合にも、真空効果または毛細管現象を避けるように注意を払う必要がある。真空効果または毛細管現象が生じると、レセプタクル内の流体がディスペンサ先端30を通って引き戻され、それ故に、レセプタクル内での分析に使用できなくなる。
【0034】
毛細管現象または真空効果を回避する幾つかの技術を説明する。そのような実施形態の1つにおいて、図3に図式的に示したように、孔72の深さLは、突出部の長さLよりも大きい。したがって、突出部を孔72の中に挿入すると、基部12の第2側16は、レセプタクル70の頂部と接触する。この接触により、ディスペンサ突出部がレセプタクルの床74と接触するのを防ぎ、このようにして、真空効果および/または毛細管現象を、完全に排除するわけではないにしても、減少させる。
【0035】
第2の実施形態は、図4に図示されており、側壁78は先細りのテーパ状とされ、突出部28の側壁32の直径部分が床74よりも上方の箇所にて側壁78と係合する。したがって、ディスペンサ突出部28がレセプタクルの床74と接触するのを物理的に防ぎ、このようにして、真空効果および/または毛細管現象を、完全に排除するわけではないにしても、減少させる。
【0036】
図5では、孔72の内部には突起76が形成されていて、突出部28の孔72への挿入の程度を制限する。この突起76は、レセプタクルの製造または成形の間に形成される。
【0037】
3つの実施形態のすべてにおいて、突出部の先端30は、孔72の底部において、内部床74から間隔をあけて配置される。すなわち、種々の手段を設けて、突出部の先端30を、レセプタクルの床74から所望の距離だけ間隔をおいた状態に維持する。
【0038】
突出部28が孔72内に挿入された後、試験管を流体ディスペンサ10に向かって動かしてもよく、あるいは、流体ディスペンサ10が試験管に向って動かされてもよい。これにより、図1に示したように、肩部26は、試験管に対して相対的に内側へと封止体52を撓ませる。その結果、試験管の内部容積は減少し、試験管の内圧を上昇させ、その圧力増加は、対応する小さな体積(例えば液滴61など)の流体60を、最終的に試験管から汲み出し、または分配する。
流体60の液滴61は、入口開口36を通って流路34に入り、流路34を通って流れ、出口開口38を通って出る。こうして流体は、孔72の中へ分配されることができる。この工程は、必要なだけ繰り返され、所望の量の流体を試験管からダイレクトにカートリッジ孔72の中へ分配することができる。
【0039】
図1および図2に示した製品は、それぞれ、概念的に先行技術の一部である。ここで「概念的に」という用語は、特に、次のことを意味している。(1)LがLよりも小さいという相対比は、先行技術の一部でない。(2)先端30が挿入され得る深さを制限することを目的として、円錐形または面取りされた内部側壁を使用することは、先行技術の一部ではない。(3)先端30が挿入され得る深さを制限することを目的として、内部突起を使用することは、先行技術の一部ではない。
つまり、先行技術では、容器からカートリッジへのダイレクトな移動、またはダイレクトな分配は、提供されていなかった。
【0040】
本明細書で説明したシステムおよび方法によれば、流体を、試験管から流体レセプタクル内へ便利かつ効率的に分配することが容易になる。本明細書のシステムおよび方法は、検査されるべき流体の汚染を避けるのにも役立つ。カートリッジ内の底部74と流体ディスペンサの先端30との間に間隔をおくことで、例えば毛細管現象などによって、孔72内に分配された流体が不用意に試験管内に引き戻される可能性を最小限に抑える、または排除することができる。
【0041】
以上の説明は、流体を分配するシステムおよび方法について、1つの可能な用途として説明されている。以上の説明は、試験管との関連においてなされているが、本明細書において説明されるシステムおよび方法は、他との関連において用いることもできる。したがって、実施形態は、本明細書で記載された特定の細部に限定されず、単なる一例として提供されており、以下の特許請求の範囲内において、種々の改良および変更が当然に可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止体によって封止された開口端を有する容器から、流体を分配するためのシステムであって、
上記容器は、ある容積を有する内側チャンバを含み、かつそこに流体を収容していて、

上記システムは、
流体ディスペンサと、
開口および内部床を有するレセプタクルと、を備えており、

上記流体ディスペンサは、第1側および第2側を有する基部と、当該基部の第2側から延在して外部直径および先端を有する突出部と、を有していて、当該突出部を通って流路が延在しており、かつ当該突出部は、その先端がレセプタクルの上記内部床から所望の距離を保った状態で、レセプタクルの上記開口の中へ延在するよう構成されている、システム。
【請求項2】
上記突出部の先端を、レセプタクルの内部床から所望の距離を保った状態に維持する手段が設けられている、請求項1記載のシステム。

【請求項3】
上記突出部の外部直径およびレセプタクル内部の少なくとも一方が、上記突出部の先端を、レセプタクルの内部床から所望の距離を保った状態に維持するよう構成されている、請求項1または2記載のシステム。

【請求項4】
上記レセプタクルの内壁は、上記突出部の先端を、レセプタクルの内部床から所望の距離を保った状態に維持するよう先細りのテーパ状とされている、請求項1〜3のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項5】
上記流体ディスペンサの基部の第2側がレセプタクルに当接して、上記突出部の先端を、レセプタクルの内部床から所望の距離を保った状態に維持する、請求項1〜4のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項6】
上記突出部は、関連する長さLを有し、
レセプタクルの上記開口は、レセプタクル内で関連する長さLを有し、
がLよりも小さいことによって、上記突出部の先端を、レセプタクルの内部床から所望の距離を保った状態に維持する、請求項1〜5のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項7】
上記レセプタクルは内部突起を有していて、当該内部突起によって、上記突出部の先端を、レセプタクルの内部床から所望の距離を保った状態に維持する、請求項1〜6のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載のシステムに使用する流体ディスペンサであって、上記容器の開口端を封止する封止体を内側へ撓ませるように当該流体ディスペンサを用いることによって、流体を容器から分配するように構成されており、

当該流体ディスペンサは、
第1側および第2側を有する基部であって、上記封止体を内側に撓ませるために、流体レセプタクルと圧接するよう構成された基部と、
上記封止体に通路を設けるよう構成された突刺しシャフトと、
基部の第2側から延在し、外部直径および先端を有する突出部と、
当該突出部を貫通して延在する流路と、を有していて、

上記突出部は、その先端を、レセプタクルの内部床から所望の距離を保った状態に維持したままで、流体レセプタクルの開口内へ延在するよう構成されている、流体ディスペンサ。
【請求項9】
上記流体ディスペンサは、流体を試験管からカートリッジ式のレセプタクル内へ分配する、請求項1〜7のいずれか1つに記載のシステム、または請求項8記載の流体ディスペンサ。
【請求項10】
分配すべき流体が、ディスペンサ先端から引き戻されるのを回避するための、請求項1〜7、9のいずれか1つに記載のシステム、あるいは請求項8または9記載の流体ディスペンサの使用。
【請求項11】
流体を容器からダイレクトにレセプタクル内へ移動させる方法であって、
上記容器は、封止体によって閉じられていて内部に流体を収容しており、上記レセプタクルは開口および内部床を有しており、
当該方法は、
流体ディスペンサを提供する工程であって、当該流体ディスペンサは、第1側および第2側を有する基部を有し、そこから突出部が延在していて、当該突出部はディスペンサ先端を有している、工程と、
流体ディスペンサを、封止体を貫通させて容器内へ挿入する工程と、
流体ディスペンサ先端を、レセプタクルの上記開口内へ挿入する工程と、
レセプタクルおよび容器を相対的に動かせ、封止体を撓ませて、流体を容器からレセプタクルの中へダイレクトに分配する工程と、を含む方法。
【請求項12】
上記突出部の先端を、レセプタクルの内部床から所望の距離を保った状態に維持する維持工程をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
上記維持工程において、流体ディスペンサの基部の第2側がレセプタクルに当接させられる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
上記維持工程において、流体ディスペンサの一部、とりわけ流体ディスペンサの先端の一部が、レセプタクルの内部床から距離をおいた位置にて、レセプタクルの上記開口内に設けた当接部の一部、とりわけ内部突起またはテーパ状側壁に当接させられる、請求項12記載の方法。
【請求項15】
流体を容器からレセプタクルの中へダイレクトに分配することは、流体を液滴の形態で分配することを含む、請求項11〜14のいずれか1つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−11577(P2013−11577A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−166939(P2011−166939)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(591006911)ヘレナ ラボラトリーズ コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】