説明

流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタおよび関連する方法

化合物を反応させる方法は、液体を内周流面と外周流面とを持つらせん状拘束流(37)へ導くことを含むことができる。らせん状拘束流(37)は、軸方向の内部容積(38)の周りに形成されることができる。らせん状拘束流の少なくとも一部は、流体がらせん状拘束流(37)に沿って液体中へスパージされることを可能にするために、スパージング部分(35)に暴露されることができる。流体生成物を形成するために、流体反応剤をらせん状拘束流を通してスパージすることができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
世界的なエネルギー消費は、著しい速度で増加し続ける。原子力、石炭およびいくつかの代替エネルギー源のような多くの潜在的に有用なエネルギー源は、政治的、社会的、および/または技術的な障害によって制限を受ける。エネルギーの需要が増加するにつれて、エネルギー貯蔵および分配のための新しい適切な形態の確認および開発がますます重要な研究分野となる。水素および/またはいくつかの合成ガスの転換生成物、例えば、メタノール、高級アルコール類、ジメチルエーテル、炭化水素燃料などは、ほとんどの既存のエネルギーキャリアを置き換える非常に有望な選択肢を提供する。かかる生成物および化学物質の大量生産の経済性は、それらの合成に用いられるプロセスの効率に大きく依存する。これらの化合物の製造に関する現在の選択肢は、乏しい拡張性、乏しい選択性、多数の反応および/または処理段階、ならびに他の課題によってしばしば制限される。
【0002】
それ故に、多種多様な合成プロセスの選択性および/または収率を改善するデバイスおよび方法は、化学合成の分野における著しい進歩となるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
スケールアップの改善およびスパージングの改善を可能にするリアクタ設計は、追加的な選択肢と利点とを提供することになろう。特に、リアクタの幾何学的形状、流れの動力学特性、混合効果、液体および流体の物理的特性、液膜層、および液体の経路長のような因子の操作を通じて、プロセス条件の制御を改善することによって、当分野におけるさらなる選択肢と進歩とを提供することができる。かくして、化合物を反応させる方法は、内周流面と外周流面とを持つらせん状拘束流へ液体を導くことを含むことができる。液体は、触媒、反応剤、もしくは1つまたは複数の触媒および反応剤の組み合わせを含んだ液体キャリアを含むことができる。流体生成物を形成するために、外周流面かららせん状拘束流中を通して流体反応剤をスパージすることができる。その後、リアクタから流体生成物を取り出すことができる。
【0004】
以下に続く本発明の詳細な記載をより良く理解し、当分野への寄与をより良く評価できるように、その様々な特徴がこのように略述された。本発明の他の特徴および利点は、本発明に関する以下の詳細な記載および対応する図面を、添付の請求項と併せて理解したときに明らかになり、あるいは本発明を実施することによって学ぶこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1A】図1Aは、ガス供給および生成物への用途のための流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタの断面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの有孔管の分解垂直断面図である。
【図1C】図1Cは、代わりの多孔質管の分解垂直断面図である。
【図2A】図2Aは、非透過コイル管延長セクションを持つ、ガス供給および生成物への用途のための流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタの断面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの平板らせん流インデューサおよびコイル管延長部の側面図である。
【図3A】図3Aは、コイル管延長部に交互(時計方向および反時計方向)の回転方向を持つ、ガス供給および生成物への用途のための流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタの断面図である。
【図3B】図3Bは、交互方向のコイル管構成を持つ、図3Aの平板らせん流インデューサおよびコイル管延長部の側面図である。
【図4】図4は、合成ガスのジメチルエーテル(DME)への転換用に設計されたらせん状チャンネルリアクタ(HCR:helical channel reactor)の配管計装図(P&ID:piping and instrumentation diagram)である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
これらの図は、例示のみを目的として提供されており、必ずしも縮尺通りには描かれていない。かくして、例示される寸法および比率は、本発明の範囲から逸脱することなく変化しうる。さらにまた、これらの図面は、特定の様態を例示したものであり、本発明の範囲内に入るすべての潜在的な変化を含んではいない。
【0007】
次に、図面に示される例となる実施形態への言及がなされ、本明細書におけるその記載に特定の用語が用いられることになろう。しかしながら、それによって本発明の範囲のいかなる限定も意図されないことは、理解されるであろう。本明細書に例示される発明の特徴、プロセスステップおよび材料の変更ならびにさらなる修正、および本明細書に例示される本発明の原理の追加的な応用について、関連分野に熟練し、かつ本開示を所持する者が思い付くであろうが、それらは、本発明の範囲内にあると考えられるべきである。やはり当然のことながら、本明細書に用いられる用語法は、特定の実施形態を記載することのみを目的として使用され、限定的であることは意図されない。
【0008】
A.定義
本発明の記載および請求項に次の用語が使用されることになろう。
【0009】
単数形「ひとつの(a)」、「ひとつの(an)」、および「前記(the)」は、文脈に明らかに別の指示がなければ、複数の指示対象を含む。かくして、例えば、「液体注入口」への言及は、1つ以上のかかる注入口への言及を含む。同様に、反応させることへの言及は、1つ以上のかかるステップを意味する。
【0010】
本明細書では、「内周流面」は、らせん状流路の少なくとも一部の内側境界を規定する周辺曲線を意味する。
【0011】
本明細書では、「外周流面」は、らせん状流路の少なくとも一部の外側境界を規定する周辺曲線を意味する。流面は、らせん流と直接に接触してもよいが、それが必須ではない。
【0012】
本明細書では、「ガス状」は、気相物質を意味し、蒸気を含むことができる。特に、当然のことながら、ガスは、その沸点以上にある結果として気相にある化合物であり、一方で蒸気は、それぞれの沸点以上にはない蒸気として気相に存在する化合物である。例えば、ガス状生成物は、ガス、例えば軽い炭化水素類、DMEなどと、蒸気、例えばメタノール、より重い炭化水素類とを含むことができる。蒸気は、特に液体とガスとの強い混合条件下では、しばしばガスに同伴することがありうる。
【0013】
本明細書では、「液体」は、均一な単相液体、ならびに液体スラリー、液体エマルジョン(泡沫および液体中のガス分散を含む)などの多相液体を意味する。
【0014】
本明細書では、「流体」は、印加された外力に応じて流れる物質を意味する。流体は、ガス、液体、プラズマを含むことができ、かつ流動性の微粒子、もしくは他の流動性の固体を含むことができる。
【0015】
本明細書では、語句「らせん状拘束流」は、液体の動きが少なくとも2つの方向または平面に制限され、経路がコイルまたはらせんに似た液体流路を意味する。液体は、らせん状経路に沿って液体を導く1つ以上の表面によって拘束される。例えば、液体経路は、少なくとも外表面によって拘束されうるが、らせん状に形成された管、または他のチャンネルを用いることもできる。
【0016】
用語「らせん状」、「らせん体」、および「スパイラル」は、流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタにおける液体経路を定義するために同義で用いられる。らせん状経路は、中心軸に巻きついたバネに似た形状の経路である。例えば、液体流路を拘束するために、可撓性の配管部分を用いることができる。管は、それ自体が重ならずにむしろ単層に巻き付いた配管状に、シリンダの周りに巻き付けることができる。らせん状経路を連続的に層状に重ねて、随意的な多重通路とすることもできる。矩形、曲線、または他の形状の導管に対しても、同様の構成を得ることができる。流れを拘束するらせん状導管は、一般に完全に囲まれることができるが、常にそれが必須ではない。らせん状拘束流路に関する「矩形」および「円筒管」は、液体流に対して垂直に得られる経路の断面としての拘束流路の形状を示す。
【0017】
本明細書では、「漏れ流れ」は、以下にさらに十分に記載されるように、外側および下側(あるいはランプ型)の拘束壁による拘束流の液体が、装置にとって遅すぎる速度で流れるか、もしくは装置を通って過剰な液体が流れることによって、液体のいくらかが漏れるか、または流出してプレナム中へ戻るか、あるいは内側中心管を通って内容積へ流れ込む、望ましくない流れの状態を意味する。
【0018】
本明細書では、「スパージされる」または「スパージング」は、表面積が増加するように流体を複数体に分けるプロセスを意味する。流体を液体中へスパージしたときに、相界面では反応が生じうるが、スパージング流体と連続相の液体とは、実質的に別々の相として維持され、流体は、2相系の液体内に分布する。スパージングは、ガスと液体との間で行うことができるが、2つの液体が、リアクタ条件下で少なくとも部分的に非混和性であれば、2つの液体間でもスパージングが起こりうる。
【0019】
本明細書では、「実質的にない」などは、特定される要素または薬剤が組成物中で欠如していることを意味する。特に、特定される要素が「実質的にない」とされれば、組成物に完全に不在であるか、あるいは組成物に測定可能な影響を与えないように十分に少ない量が含まれるに過ぎない。
【0020】
本明細書において、複数の品目、構造要素、組成要素、および/または材料は、便宜上、共通のリストに提示されることができる。しかしながら、これらのリストは、リストの各メンバーがあたかも別々かつ独自のメンバーとして個別に特定されるかのように解釈されるべきである。かくして、かかるリストのいかなる個別のメンバーも、それらが逆の指示なしに共通の群に提示されることのみを根拠として、同じリストの任意の他のメンバーの事実上の等価物であると解釈されるべきではない。
【0021】
濃度、量、および他の数値データは、本明細書では範囲形式で提示することができる。当然のことながら、かかる範囲形式は、単に便利で簡潔なために用いられており、それらは、範囲の限界として明示的に列挙される数値を含むのみならず、その範囲内に包含されるすべての個別の数値もしくは部分範囲も、あたかも各数値および部分範囲が明示的に列挙されるかのように含むことが柔軟に解釈されるべきである。
【0022】
例えば、約1から約4.5の数値範囲は、明示的に列挙される1から約4.5の限界だけでなく、2、3、4のような個別の数字、および1から3、2から4などの部分範囲も含むと解釈されるべきである。同じ原則は、1つだけの数値を挙げる範囲にも当て嵌まり、例えば「約4.5未満」は、上に列挙された値および範囲をすべて含むと解釈されるべきである。さらにまた、範囲の幅あるいは記載される特性に関わらず、かかる解釈が当て嵌まるべきである。
【0023】
任意の方法もしくはプロセスの請求項に列挙される任意のステップは、任意の順序で実行されることができ、請求項に提示される順序には限定されない。ミーンズプラスファンクション、またはステッププラスファンクションに関する限定は、特定の請求項の限定に対して、次の条件:a)「のための手段」または「のためのステップ」が明示的に列挙される、およびb)対応する機能が明示的に列挙される、がすべてその限定に存在する場合のみ採用されることになろう。ミーンズプラスファンクションを支持する構造、材料または行為が、本明細書の記載に明示的に列挙される。従って、本発明の範囲は、本明細書に与えられる記載および例によるのではなく、もっぱら添付の請求項およびその法律上の等価物によって決定されるべきである。
【0024】
B.流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ
内周流面と外周流面とを持つらせん状拘束流へ液体を導くことによって、化合物を反応させることができる。この液体は、触媒および反応剤のうちの少なくとも1つを含むことができる。流体生成物を形成するために、スパージング流体を外周流面かららせん状拘束流中へスパージすることができる。流体生成物は、使用および/またはさらなる処理のためにリアクタから取り出すことができる。
【0025】
この反応スキームを行うために用いることができるデバイスの実例として、リアクタ本体は、細長い円筒状の流体透過管、透過管と同心の外側ジャケット、およびリアクタ本体の内側でらせん状拘束流を形成するらせん流インデューサを備えることができる。透過管および外側ジャケットは、閉じたガスプレナムを形成するために間隔をあけて配置されることができ、このガスプレナムから、らせん状拘束流に沿って流れる液体中へスパージング流体をスパージすることができる。随意的なヘッダは、液状媒体をらせん流へ供給するための注入口もしくはノズルを持つことができる。液体または液状媒体に固体粒子が懸濁されたスラリー、生成物および未反応流体は、液体用収集ポイントとしての機能を果たす液体容器へアンダーフロー生成物として排出され、生成物は、そこで分離および/または再循環されることができる。スパージング流体は、透過管を通してスパージされ、液体の高速らせん流によって多数の小さいバブルもしくは小滴にせん断されることができる。反応は、液体らせん流に生成された遠心力によって、少なくとも部分的に促進される。スパージされた分散相の小滴は、らせん状に流れる液体中を通ってらせん状流路の内表面の方へ移動し、触媒粒子に衝突するか、あるいは反対方向に移動する反応液と接触して活発な触媒反応を受けることができる。通常、これらの輸送現象は、らせん状チャンネルおよび随意的な混合コイル管でのスパージされた流体の強い乱流によって妨害されるが、流れに直交する圧力勾配と遠心力との不均衡によって引き起こされる第2の流れが発生して、効率的な分散と反応剤および触媒粒子の混合とを誘起する。フローストリームにおける反応剤の効率的な分散は、ロバストな反応条件に寄与して、リアクタ滞留時間を劇的に短縮させることができる。液体と反応生成物との混合物が、生成物収集容器へ落下するときに、ガス生成物は、らせん状挿入物内の軸方向の中心管の中心を通って、ヘッダおよび随意的なデミスタへ再上昇することができる。ガス生成物は、デミスタ最上部の排出口を通ってリアクタから流出することができる。らせん状チャンネルリアクタは、(ガス、液体および/または固体を含む)多相反応、ならびに固体もしくは液体触媒を利用した触媒ベースのプロセスに用いることができる。
【0026】
図1Aは、らせん状に拘束された流路を持つ流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ10の1つの設計を例示する。この設計において、リアクタ本体12は、液体をリアクタへ注入するヘッダ14に連結される。リアクタ本体は、フローストリームに含まれる液体とスパージされた流体との間の反応の主要な部分が生じるらせん状拘束流路を規定する。スパージされた流体は、ガスとすることができるが、随意的に別の流体、例えば液体であってもよい。液体とガスとがリアクタ本体から流れ出るときにそれらを収集するために、リアクタ本体のヘッダとは反対の端部に、一体化された液体容器16を配置することができる。オープン・スペース18は、ガスと液体とが互いに分離するのを可能にすることができる。ガス状流体は、一般にリアクタ本体を通る中心管20のバックアップによって収集することができる。しかしながら、ガスは、らせん流の内側の軸方向スペースまたは中心チャンバ38を塞ぐか、冷却流体の循環に使われる空きスペースなどいずれか、液体容器から直接回収することもできる。液体は、液体容器に収集され、適切な液体排出口40を経由して取り出されることができる。これらの様態のそれぞれが、さらなる随意的な特徴とともに以下により詳細に記載される。
【0027】
リアクタ本体12は、リアクタシェル24の内側に位置する円筒状拘束流ユニットを含み、リアクタシェルと拘束流ユニットとの間にプレナムチャンバ26を形成することができる。拘束流ユニットは、細長い円筒状の流体透過管28、流体透過管の内側に配置された内側中心管20、および流体透過管と中心管との間に配置されたらせん状平板30を含むことができる。これら3つの要素は、らせん状拘束流を規定するように構成される。拘束流ユニットの表面によって規定されるらせん流において、らせん状拘束流は、流体をらせん状に下方へ押し進ませる。一般に、リアクタ本体および拘束流ユニットは、それぞれ円筒状である;しかしながら、リアクタ本体は、らせん状拘束流のパターンに悪影響を与えない、代わりの輪郭または形状を持つことができる。例えば、流体がらせん状拘束流中へスパージされるときに、例えば、総体積流量を増加させて流れを線形に保つために、円錐状の多孔質拡大管を用いることができる。リアクタ本体は、略円筒体であるが、本明細書に記載される機能を阻害しない他の形状を使用することもできる。
【0028】
液体注入口32は、リアクタ本体12に流体的に接続され、らせん状拘束流路への液体の追加を可能にするように構成されることができる。これは、任意の適切な位置に置くことができる;しかしながら、一様態において、液体注入口は、リアクタ本体上端のヘッダ14内に配置される。さらにまた、液体注入口は、液体を拘束らせん状流路へ導くために、接線方向に配置することができる。この接線方向の配置は、入ってくる液体をらせん経路へ導くために有利でありうる。液体スラリーを高空間速度で用いる実施形態では、接線方向の注入によってヘッダ内の壁の侵食を低減することができる。液体は、触媒用キャリアとしての機能を果たすことができるか、あるいは反応に関与しうる任意の適切な液体とすることができる。液体は、反応に関して不活性であってもよく、反応剤を含んでもよく、あるいはそれ自体が反応剤であってもよい。液体は、以下には限定されないが、微粒子触媒、固体微粒子反応剤、および/またはナノ粒子を含める、懸濁固体を含むことができる。液体の非限定の例は、油(すなわち、分子量が同様の同じタイプの化合物の混合物)キャリア、イオン性液体、反応液、単一の純粋な化学的キャリアなどを含むことができる。一様態において、液体は、油キャリアを含む。一様態において、油キャリアは、リアクタ内の条件下で液体のままである高沸点キャリアとすることができる。別の様態において、液体は、化学的キャリア(例えば、デカリン、メタノール、水など)とすることができる。他の液体キャリアは、以下には限定されないが、パラフィン油、シリコーン油、石油製品の重質留分のような鉱油、液体反応剤、およびこれらの物質の混合物を含むことができる。一様態において、液体は、陽イオンおよび陰イオンのみからなり、100℃未満の温度で融解する塩として一般に定義されるイオン性液体とすることができる。官能化によって、その物理的および化学的特性を調整し、酸、塩基またはリガンドとしての機能を果たす限りない数の液体を生成することができる。イオン性液体の陽イオンの非限定の例は、1−アルキル−3−メチルイミダゾリウム、1−アルキル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−アルキル−3−アルキルイミダゾリウム、N−アルキルピリジニウム、4−メチル、N−アルキルピリジニウム、N−アルキル、N−メチルピロリジニウム、テトラアルキルホスホニウム、およびテトラアルキルアンモニウムを含む。典型的に、陰イオンは、無機であり[PF、[BF、[AlCl、[CFSO、[(CFSON]を含むが、いくつかの有機陰イオン(例えば、[RCO])も導入することができる。イオン性液体は、らせん状拘束流、収集、および再循環の間に、触媒粒子を懸濁させておくのに特に有用でありうる。イオン性液体は、その特性ゆえに、流体反応剤間の2相もしくは3相反応にとって極めて効率的な媒体および触媒になる。リアクタにおいて、イオン性液体は、液体キャリア、液体キャリア/触媒、液体キャリア/溶媒、または液体キャリア/触媒/溶媒として用いることができる。イオン性液体は、金属ナノ粒子を懸濁して安定化するためにも役立つことができ、例えば、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、またはテトラフルオロボラート中に埋め込まれるPdナノ粒子は、らせん流、収集、および再循環の間に懸濁されたままである。かかる場合、イオン性液体は、触媒として活性な遷移金属ナノ粒子および他の触媒ナノ粒子の形成および安定化に関与することができる。随意的に、液体は、1つ以上の液体反応剤を含むこともできる。液体反応剤の非限定の例は、水、水素付加、アルキル化などを受けた有機化合物を含む。当業者は、所望の化学反応、粘度、動作温度、反応剤または他の種との可能な反応、分離の容易さなどに基づいて、適切な液体を選ぶことができる。
【0029】
液体との反応のために、スパージング流体をリアクタ中へ導くことができる。流体は、らせん状拘束流中へスパージされる。流体は、ガスとすることができ、このガスが液体中へスパージされるが、スパージング流体が少なくとも部分的にらせん状に流れる液体に非混和性であれば、液体を他の液体中へスパージすることも可能でありうる。乱れた拘束流では、バブルの良好な分散によって、液体反応剤および/または触媒粒子との強い接触を生じさせることができる。それ故に、気泡が広範囲に及ぶ反応を受ける。1つの代替手段において、スパージング流体は、らせん状に流れる液体と混和性とすることができる。この場合、スパージされた流体は、らせん状液体と緊密に混ざって、らせん流中に単一相の液体を形成する。
【0030】
有望な条件の実例として、リアクタの多孔質表面からフローストリームによってスパージされ、せん断された多数の小さいバブル/小滴は、一般に、チャンネルの内表面の方へ移動する傾向があり、一方で固体触媒粒子は、チャンネルの外表面の方へ移動する傾向がある。しかしながら、通常、この傾向は、一定の角速度でらせん状チャンネルもしくはコイル管を流れる液体/スラリーにおいて生成される乱流現象によって、少なくとも部分的に打ち消される。かかる流れでは、流れに直交する圧力勾配と遠心力との間の不均衡によって誘起される第2の流れが生じる。さらにまた、コイル部分間のピッチが捻れ効果を与えることを可能にする。これらの第2の流れは、異なった方向に回転する様々な渦を形成して、液体流の乱流を引き起こし、速くて無秩序なバブル/小滴の動きを生じさせて、他の反応剤、および/または液体触媒あるいは固体触媒粒子との強い接触をもたらして、短い滞留時間での触媒反応を促進する。
【0031】
スパージング流体は、随意的なキャリアガスを持つガス状反応剤とすることができる。流体は、単一のガス状反応剤または複数のガス状反応剤を、随意的な不活性キャリアとともに備えることができる。流体の具体的な組成は、リアクタ内で行われる反応のタイプに主として依存しうる。しかしながら、かかる流体の2〜3の非限定の例は、合成ガス、水素、一酸化炭素、酸素を含むことができ、キャリアは、窒素、ヘリウム、および他の非反応性ガス、ならびにそれらの組み合わせを含むことができる。
【0032】
プレナムチャンバは、スパージング流体を、らせん状に流れる液体に供給するのに有用でありうる。スパージング流体をプレナムチャンバ26に供給するために、プレナム注入口34のような流体供給部をリアクタ本体12に流体的に接続することができる。プレナムチャンバは、任意の適切な形状または容積を持つことができる。しかしながら、原則として、この容積は、らせん状拘束流へ有効に輸送できる流体を供給するのに十分なことだけが必要とされる。流体透過管28は、プレナムチャンバの内壁36を規定し、かつ流体をらせん状拘束流37中へ分布させるスパージング部分35を持つことができる。1つの特定の様態において、スパージングは、流体をスパージするように構成された壁を横切って、スパージング流体を推し進ませることを含むことができる。かくして、流体透過管は、管壁を横切る流体の通過を可能にする開口を含む。これらの開口は、以下には限定されないが、パーフォレーション(例えば、円柱状)、スリット、メッシュ、透過膜、フリットなどを含むことができる。一般に、流体透過管の外周流面は、ガスが液体と接触する表面積を増加させることが可能な任意の材料からなることができる。適切な材料の具体的な非限定の例は、多孔質壁または管、メッシュ、グリッド、非対称スタティックミキサなどを含む。多孔質壁または管は、金属(例えばステンレス鋼)、Hastelloy C(登録商標)、Inconel(登録商標)、セラミック、プラスチックフリット、ならびにステンレス鋼メッシュまたは有孔管から製造することができる。別の代わりの様態において、流体透過管は、以下には限定されないが、非多孔質ポリマーまたはセラミック膜、金属膜(例えば、水素のみを許容するパラジウム膜)、イオン伝導膜などのような、ガス分離膜とすることができる。随意的に、ガス分離膜の外表面は、膜を通して輸送されうるガスを発生させる触媒を含むことができる(例えば、水素を生成する接触改質部)。
【0033】
随意的に、流体透過管は、スパージング流体が内壁を通過するときに、埋め込まれた触媒と接触するように管に固定された触媒材料も含むことができる。触媒材料は、2つの多孔質壁(例えば、有孔壁、メッシュ スクリーンなど)の間に置くことができる。代わりに、触媒材料を壁に埋め込むか、さもなければ付着させることができる、すなわち、多孔質壁が触媒担体としての機能を果たす。例えば、触媒材料を壁面上へ堆積もしくはコーティングすることができる。
【0034】
図1Bは、複数のパーフォレーション46を示す、流体透過管の有孔壁の一部の拡大図である。図1Cは、スパージング流体が通過できるランダムな蛇行経路48を持つ、流体透過管を形成する多孔質材料を示す。それぞれの開口タイプは、特定の用途に対して利点および欠点、例えば製造の容易さと適合性とを持つことがありうる。例えば、フリットは、スラリーに用いられるときに詰まる傾向がありうるが、ガス、および固体を含まない液体に対して非常に有効な可能性がある。開口の特定の構成は、所望のスパージ表面積、流速、流体組成などに依存しうる。例えば、いくつかの様態において、リアクタ本体における滞留時間は、およそ数秒であり、あるいは多くの場合にさらに短い。かくして、プレナムチャンバから流体透過管を横切る高流速が必要とされる。かかる設計にとって、いくつかの透過膜は適切でないが、有孔管は望ましいであろう。代わりに、より低い流速が用いられるときには、細孔サイズの小さい透過膜もしくは同様の材料が適切でありうる(例えば、セラミックまたはPDMSなどのようなポリマー)。細孔サイズがより小さいと、スパージされた流体のバブルサイズがより小さくなり、スパージング流体の分散を増加させることが可能である。典型的なパーフォレーションは、ある応用に対して約0.1mmから約0.3mmに及ぶことができるが、より大きいかまたはより小さい開口が適切なこともありうる。例えば、多孔質フリットまたは膜におけるより小さい細孔サイズは、0.01mmから約0.1mmのように0.1mmを大きく下回ることができ、入手可能な材料の細孔サイズによってのみ制限される。
【0035】
流体透過管は、らせん流の少なくとも一部が、入ってくるスパージング流体なしに反応することを可能にする、非スパージング部分39を随意的に持つこともできる。さらにまた、プレナム注入口は、流体透過管における開口が実質的により少ないかまたは存在しないプレナムチャンバの領域、例えば、流体透過管28の非スパージング部分39に配置されることができる。これによって、その領域での流体のチャネリングを低減することができる。従って、流体透過管は、その長さに沿って1つ以上の選択領域もしくは開口、例えば、上方領域および/または下方領域、あるいは複数のスパージング領域、例えば、非スパージング領域によって分離された第1のスパージング領域と第2のスパージング領域とを持つことができる。この複数領域の様態のバリエーションでは、異なったスパージング流体による一連の段階的なスパージングを可能にするために、随意的に複数のプレナムチャンバを流体透過管に沿って順次提供することができる。これによって、例えば、スパージング流体の組成および/または濃度の変化を可能にすることができる。かかる段階的なスパージングは、多段階反応を共通のリアクタ本体で行うことも可能にする。
【0036】
特定のスパージング構成に関わらず、スパージング流体が拘束流ユニットに入るとき、スパージング流体は、流体透過管28を横切ってらせん状拘束流に流入するにつれてスパージされる(例えば、表面積が増加する)。らせん状拘束流は、実質的に囲まれた(すなわち、注入口および排出口を含む)らせん状流路を形成するために、適切な壁(単数または複数)によって形成されることができる。図1Aについて記載されるように、流路は、同心状の管と環状空間に架かるらせん状平板とから構築することができる。代わりに、らせん状拘束流は、コイル管によって形成することもできる。らせん状流路は、矩形断面、円形断面、または他の適切なチャンネル断面を持つように構成することができる。例えば、らせん流は、一般に、平板らせん体30のようならせん流インデューサによって形成することができる。流れをらせん状流路に沿って誘導する他の材料も使用することができる。例えば、らせん流インデューサは、らせん状U字形チャンネル、らせん状3側壁チャンネル、またはらせん流の誘導に寄与する他の形状を用いて形成することもできる。
【0037】
拘束流路は、らせん体中で少なくとも完全に一回転してスパイラル状に進むが、通路または回転の数は、かなり変化し、設計される滞留時間および材料に依存しうる。一様態において、らせん回転の数は、約5から約100とすることができ、一様態において、約10から約30とすることができるが、用途に依存してほとんどいずれの回転数も適切でありうる。らせん状流路は、中央カラムまたは管の周りをスパイラル状に進む。この構成において、中心管の外表面は、内周流面としての機能を果たす。さらにまた、内周流面は、常にらせん流と直接に接触している必要はない。らせん状流路の少なくとも一部は、透過管のスパージング部分も通る。入ってくるスパージされた流体は、らせん状拘束流のバルク液体と非混和性とすることができる(例えば、これは不均質系反応である)。この外周流面は、透過管、もしくは対応する管の非スパージング部分によって規定されることができる。典型的に、らせん状流路のそれぞれの回転は、周囲長および傾斜角が等しく、かつ等間隔にすることができるが、これが必須ではない。らせん体は、液体注入口付近でスパイラルがより急になるか、または互いに接近するなど、任意の適切な構成に変えることができる。代わりに、らせん体は、らせん状流路がらせん流の下端に向かってより急になり、例えば、曲率直径が小さくなる、および/または傾斜が増加するなど、一般に円錐形とすることができる。
【0038】
らせん状拘束流は、流体の液体との高せん断混合、およびその後の流体成分間の反応を可能にする。リアクタ本体に沿った、拘束らせん流内の流体の流速は、ガスも液体もリアクタ本体を通って下方へ移動するほど典型的に非常に速く、例えば、数秒以下の滞留時間であることに留意すべきである。これらの流体が、流れユニットを通って流れるときに、ガス状の生成物またはキャリアが内管20の方へ移動する傾向がある。中心内管は、過剰なガスが、らせん状拘束流から抜け出して、内管の中心チャンバ38に入ることができるのに十分な開口(図示されない)を随意的に含むことができる。かかる開口は、過剰なガスが抜け出すことを可能し、一方で液体をらせん状拘束流内に制約もするパーフォレーション(例えば円柱状)、スリットまたは他の開口とすることができる。漏れ流れによる中心チャンバへのいくらかの液体の損失は、通常は許容できて、ある場合には、反応の設計に依存して約1%未満とすることができる。一様態では、ガスが、らせん状経路の下部から液体容器16へ流出するように、内管は開口を持たない。中心チャンバは、ガス生成物を取り出すためのガス排出口42の一部であるか、またはそこに接続されており、中心チャンバに入ったガスは上方へ移動する。
【0039】
らせん状平板30は、流体透過管(FPT:fluid permeating tube)28、および内側中心管20のうちの少なくとも1つから随意的に取り外し可能である。これによって、清浄化、交換、および/または他のメンテナンスのための取り外しを容易にすることができる。1つの選択肢では、らせん状平板は、図2Bおよび図3Bに関連して議論されるように、単一の交換可能ユニットとして恒久的に内管に取り付けられる。FPTおよびらせん状平板は、最上部または底部のいずれかから取り外せるように設計することができる。かかる設計によって、他のリアクタ構成部品からFPTへの荷重を低減するかまたは無くすことができる。代わりの選択肢は、FPTをらせん状平板の外縁に恒久的に取り付けることである。かくして、らせん状平板は、恒久的に内管に取り付けられる、恒久的にFPTに取り付けられることができるか、あるいは内管およびFPTの一方または両方から容易に分離可能とすることができる。内管は、液体からガス状生成物を分離させるために、固体管、流体透過管、または狭いスロットを持つ管から作ることができる。動作の間に、囲まれたらせん状流路は、液体/ガス混合物で十分に満たされうるか、あるいは部分的に満たされうるに過ぎない。らせん状流路は、上方のらせん状天井および下方のらせん状床によって規定されることができる。注目すべきことに、らせん状流路の連続通路は、上下のらせん状壁(すなわち、らせん状平板)が連続通路用の天井および床として同時に機能を果たすことを可能にする。
【0040】
随意的な一様態において、らせん状拘束流は、概ね円形の幾何学的形状に巻き付けられた円筒管の形態、あるいは概ねらせん状の幾何学的形状に巻き付けられた矩形管とすることができる。矩形管の幾何学的形状は、共通の外周流面を持つ一体化品の形態であってもよい。一体化品は、共通の内周流面、および外周流面と内周流面とを繋ぐらせん状トラックも持つこともできる。
【0041】
リアクタ・システムにおけるスパージング流体および一次のらせん状液体用の排出口および注入口の位置は、液体が、リアクタの最上部の近くに入って底部の近くから流出し、スパージング流体が、システムの中央から底部の近くに入り、最上部を通って取り出されるように置くことができるが、この特定の配置が必須ではない。随意的に、リアクタは、透過流体および/または液体用の複数の注入口および/または排出口を含むことができる。複数の注入口は、段階的な反応、枯渇した反応剤の充填、および/または流体の流れの増強を可能にする。代わりに、例えば、2重らせん配置または一組の同心らせん流導管を形成する、2つの別の液体拘束流路も存在しうる。かかる配置は、リアクタ空間を最小限に抑えるためのコンパクトな設計を提供することができ、かつ熱伝達および/または副反応の操作も可能にする。そのうえ、2つの別の液体を用いることができ、ガスが、両方の液体を通して別々にスパージされるように、すなわち、ガスが最初に1つの液体のある距離を通って移動し、次に第2の拘束流路に入って第2の液体中を通過するように、1つの拘束流路が設計される。かくして、2つのらせん状経路は、互いに同心状である。このように、同じリアクタユニットで逐次反応を連続して行うことができる。例えば、最終ガス生成物の製造のために、第1の流路のガス状生成物を(例えば、共通の中間多孔質壁を経由して)異なった液体反応剤および/または触媒を持つ第2の拘束流路へすぐに導くことができる多段階反応ガスが行なわれる。かかる複数の流路は、並流または向流配置に置くことができる。
【0042】
透過管の内側に、随意的な浮動内管を同心状に配置することができる。これによって、リアクタ中を通る液体の流速に依存した分離ポイントの自動調整が可能になりうる。リアクタ本体12の下方に配置された分離ユニットの各部分へのそれぞれのガスおよび液体の流速を底部が規定しうるように、浮動内管(図示されない)の浮力を設計することができる。一様態において、浮動内管は、軸方向の中心管20とすることができる。
【0043】
リアクタ本体から液体および/またはスラリーを取り出すために、液体排出口40をリアクタ本体に流体的に接続することができる。図1Aに示される実施形態において、液体容器16は、リアクタ本体12と液体排出口との中間に配置される。液体容器は、一般に、同伴ガスの少なくとも一部が、上方のオープン・スペース18において液体から分離し、内側チャンバ38を経由してガス排出口42へ抜け出すことを可能にするのに十分な容積を持つことができる。中心管20は、液体が、らせん状流路37から流出するときに、開口との接触前に最初にガスから分離することを可能する広がった注入開口43を含むことができる。随意的に、液体容器は、液体容器内でのガス・液体分離を増加させるために、減圧(例えば、周囲圧力)下で動作することができる。液体容器の底部は、固体の蓄積または沈降を低減するために、随意的に起伏を持たせることができる。液体容器は、液体および反応生成物を収集し、随意的に冷却することができる。さらにまた、リアクタ本体から出てくる泡沫を液体中に分離させるために、泡沫を液体容器中へ噴霧することができ、この液体からガスが離脱する。代わりに、この分離は、サイクロン、表面衝撃、またはノズルを用いた噴霧などを利用して達成することもできる。収集された液体は、取り出す、貯蔵する、および/または再循環することができる。これは、反応と特定の液体とに依存して、広範囲の期間およびサイクルにわたって連続的に行うこともできる。リアクタ・システムから流出後の液体の状態に依存して、再循環前に、収集された液体の再調整、検査、濾過または(いくつかの触媒の場合に)再充填が必要なことがありうる。再調整は、触媒の再充填、組成の変更、および/または流れの温度の変化を含みうる。取り出された液体が適切な状態にあると、この液体をシステムのらせん状拘束流へ再び挿入することができる。
【0044】
1つの代替手段において、拘束流は、スパイラル状に進んだ後、液体容器で収集される前に、最終反応ゾーンに入ることができる。この最終反応ゾーンもしくは混合ゾーンは、反応経路に長さを加えることができ、反応の継続、ガスおよび液体相のさらなる分離、ならびに液体の冷却を可能にする。リアクタは、拘束流のスパイラルコイルと、液体およびガス状生成物の排出口あるいは液体容器との間に流体的に接続された、随意的な分離ユニットをさらに含むことができる。分離ユニットは、さらなる反応が生じうる非スパイラルコイル・セクションを持つこともできる。これは、らせんおよび/またはコイル管と収集容器との間の随意的な開いたサイクロン部分を通して、反応スラリーを通過させる経路によって実現することができる。この構成は、反応経路の追加の長さの間に生成されたガスが、次に中心カラム中を自然に上昇して、残りのガス状生成物とともに流出できるように設計される。反応経路の最後の長さは、液体の温度を十分に低下させて再使用を可能にするために、冷却流体が流れる冷却コイル・セクションを持つことができる。
【0045】
ガス状生成物、または過剰なガス副生成物を取り出すためには、ガス排出口42をリアクタ本体12の上端と流体的に結合させることができる。特定の反応システムに依存して、スパージングは、ガスおよびフロスが泡立ったスラリーをしばしば作り出す。かくして、ガス状生成物の流れにフロスが入ることがあり、ミストが生成される可能性がある。ガス流は、リアクタ内に配置されたフロス・トラップに入ることができ、そこで液状フロスがガス状生成物から分離される。その後、ガスは、最終的なガス流に取り込まれることができ、ミストおよび/またはフロスからの液体は、リアクタへ再循環されることができる。それ故に、ヘッダ14内のガス排出口と内側チャンバ38との間に、随意的なデミスタ44を流体的に接続することができる。デミスタは、ミストをより大きい小滴に凝縮させることによって、排出口における流体の流れから同伴液体もしくは蒸気を除去する任意のデバイスとすることができる。より大きい小滴は、内側チャンバを通って下方へ流れ、ガス/蒸気流から分離されることが可能である。適切なデミスタの非限定の例は、ワイヤメッシュ、羽根付き充填物、構造充填物、パッド、固定バッフル、他の衝突式セパレータなどを含むことができる。特に、高空間速度の用途には、過剰な背圧を作り出さないデミスタを注意深く選ぶように留意するとよい。
【0046】
リアクタは、随意的に高圧で動作するように構成することができる。かくして、リアクタシェル24、液体容器16、ヘッダ14、および接合点での関連高圧シール用に、(例えば、十分な規格および設計の)高圧材料を用いることができる。そのうえ、流速および関連する内圧を制御するために、液体および/または流体をそれぞれの注入口へ押し込むべく高圧ポンプを用いることができる。システム全体にわたって関連する高圧に対応するために、高圧力コントローラおよび/または背圧レギュレータを使用することもできる。高圧は、変動しうるが約5バールから約300バールとすることができる。いくつかの反応は、所定の圧力範囲を維持することが必須であるが、一方で他の反応は、滞留時間の短縮、反応剤および/または触媒間の界面接触の改善から恩恵を受けることができるに過ぎない。いくつかの用途では、滞留時間を数秒未満、ある場合には1秒未満とすることができるような高空間速度が望ましい。所望される特定の反応に依存して条件は著しく変化しうるが、約1リットル/秒から約1000リットル/秒の高空間速度は、対応する高収率および/または効率とともに容易に達成することができる。
【0047】
図2Aは、合成ガス(syngas:合成ガス)からのジメチルエーテル(DME)および他の生成物の製造のために設計された流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ50を図示する。この同じ構成は、他の反応およびプロセス、特に高発熱性のもの、および/または固体触媒を必要とするものにも同様に適する可能性がある。図1Aに関する同じ議論の多くを繰り返すまでもなく、この構成に当て嵌まる同じ参照番号および同じ原理の大部分を用いて、同様かまたは同じ特徴が特定されることが注目される。
【0048】
図2Aにおいて、触媒スラリーは、スラリー注入口32に導入され、合成ガスは、プレナム注入口34に導入されることができる。かくして液体容器16は、触媒スラリーおよび任意の他の液体生成物を保持する。リアクタ本体12は、流体透過管28に通じるガスプレナム26を持ち、先に記載されたように動作するスパージ型らせん状セクション52を含むことができる。入ってくる流体は、透過管を通してらせん状拘束流路37中へスパージされる。らせん状流路は、らせん状平板30、流体透過管、および軸方向の内管20によって規定される。
【0049】
リアクタ本体12は、温度制御およびさらなる混合のために用いることができる、混合セクション54をさらに含むことができる。この混合セクションにおいて、リアクタシェル24は、内にコイル管58が置かれたチャンバ56を規定することができる。このチャンバは、冷却流体の注入口60と冷却流体の排出口62とを持つことができる。らせん状経路に沿って流れる液体からの過剰な熱を除去するために、熱伝達流体を、注入口および排出口を経由してチャンバを通過させることができる。これは、DME生成および他のかかる発熱反応のような高発熱性反応にとって、特に好ましい可能性がある。かくして混合セクションは、冷却マントルとして使用することができる、および/またはさらなる反応のための付加的な混合と滞留時間とを単に提供することができる。
【0050】
しかしながら、冷却エレメントは、分離ステップを含む任意の取り出しステップに存在することができる、および/またはリアクタ本体の内側カラム中へ挿入されることができる。一様態において、リアクタは、リアクタ内(すなわち、内側カラム、プレナム、分離もしくは収集容器内など)に置かれた冷却エレメントを持つことができる。代わりに、冷却エレメントは、リアクタから過剰な熱を除去するために、リアクタ本体の外表面に接して配置することもできる。
【0051】
図2Bは、一体化されたらせん状挿入部63として取り外された、リアクタ本体のらせん状部分を示す。この挿入部は、図示されるように部品を一緒に含むことができるか、あるいは部品を一緒に固定するために、ネジ係合、ピンスロット、戻り止め、または他のロッキング機構を用いて、随意的にさらにセグメント化することができる。例えば、1つの選択肢では、らせん状チャンネルの上部を混合部分とは別に取り外すことができる。いずれにしても、挿入部には、デミスタユニットの下側の床、およびヘッダ内の液体入り口の上側の天井としての機能を同時に果たす、上方の円錐形ガス排出口65が見られる。軸方向の中心管20は、平板の幅が、中心管の軸を概ね横切る方向に管の外表面に巻き付いたらせん状平板30を持つ。中間フランジ67は、スパージング・セクションと冷却マントルとの間に流体バリアを作り出す。混合コイル管58は、上方のスパージング・セクションかららせん状流路が概ね続くように、中心管の周りに巻き付けられる。下方のフランジ69は、冷却マントルと液体容器との間に流体バリアを形成する。コイル管は、随意的に下方のフランジを越えて部分的に液体容器中へ伸びることができる。必須ではないが、コイル管は、流体(すなわち、ガス、液体、およびスラリー)を接線方向に液体容器の内壁中へ導く排出口を持つことができる。
【0052】
図3Aは、スパージ型らせん状チャンネルリアクタ70のための別の随意的な構成を提示する。この構成は、混合部分54が、時計方向および反時計方向に交互にらせん回転するコイル管72をもつことを除いて、図2Aに示されたものと同様である。より具体的に、コイル管は、スパージング部分52のらせん状経路の方向に追随するコイル状通路の第1のセクションを持ち、コイルの1つ以上の曲がり74がそれに続いて、コイル方向は、時計方向と反時計方向との間で反転することができる。図3Bは、らせん状挿入部76として取り外された、リアクタ本体のらせん状部分を示す。先述のように、挿入部は、清浄化および/またはメンテナンスのために、取り外し可能なように構成することができる。混合コイルの交互回転は、ある場合に混合をさらに強化する。例えば、連続的なコイルでは、ガスおよび/または微粒子は、それぞれ管の内側あるいは外側の部分へ向かう。回転方向を交互に変えると、ガスおよび/または微粒子がかかる表面から遠ざかる動きが促進され、内周面または外周面における過剰な濃度を防止することができる。強調すべきことは、かかる移動が、乱れたらせん流に存在するかなりの乱流と多数のサブボルテックスとによって、少なくとも部分的に遮られることである。いずれにしても、コイル方向を交互に変えると、らせん流に存在する固体微粒子、ガス、および液体間の混合および接触をさらに強化することができる。
【0053】
ガス・液体セパレータ(例えば、図示されないサイクロン)は、リアクタ本体12と触媒スラリー容器16との間に随意的に配置されることができる。ガス・液体セパレータは、ガスと液体とを分離して、それぞれ中心チャンバ38および液体容器の方へ流すための追加的なスペースと、ある条件下では、追加的な反応時間とを提供することができる。高沸点液体(例えば、パラフィン油)に懸濁された固体触媒粒子(例えば、20μm未満の平均サイズ)からなるスラリーは、液体用収集ポイントとして機能するスラリー容器へアンダーフロー生成物として排出されることができ、そこで反応もしくは別のプロセスが抑制されて、反応生成物が分離される。
【0054】
予熱エレメント64は、随意的に内部容積と熱的に関連し、反応の間に液体から供給流体へ熱を伝達するように構成されることができる。予熱エレメントは、液体容器16内に配置されたコイル管として示される。代わりに、予熱エレメントは、合成ガスもしくは他の流体がらせん状流路へ導入される前に、液体容器からこれらに熱を伝達することができるように、液体容器外に、但しそれと熱的に接触して、配置されることができる。随意的な冷却エレメントは、容器の外壁、容器内、または収集された液体から熱を除去するのに適した任意の他の位置に巻き付けることもできる。かくして、合成ガス(もしくは他の反応流体)をプレヒータ用注入口66に導入し、プレヒータを通して、次に注入口ライン58を経由してプレナム注入口34へ導くことができる。
【0055】
図4は、合成ガスからDMEを製造するためのプロセスフローを示す。合成ガス、窒素、および/またはヘリウム・水素の混合物は、それぞれのバルブ・アセンブリ80、82、および84(ソレノイド流れ制御、注入口弁および遮断弁を含む)を用いて、相対的比率で選択的に制御されることができる。これらそれぞれのガス供給源からの排出口は、単一の供給ライン86へ結合されることができ、このラインが、随意的な制御遮断弁88を経由してリアクタ50に導かれる。この場合、合成ガス混合物は、プレヒータ64中で予熱され、その後、ライン58を経由して流体注入口34へ送られる。随意的な冷却流体は、冷却剤注入口60を経由して、冷却マントル54中へ向かうことができる。触媒スラリー液は、リアクタから再循環ライン90を経由して再循環され、ヘッダ注入口32へ戻る。ポンプ92およびヒータ94は、流速および温度の注入口条件を制御するために、随意的に用いることができる。ガス生成物は、ガス生成物ライン96を経由してリアクタから回収されて、熱交換器98に送られることができ、そこでDME生成物が凝縮されて、生成物容器100に供給される。ユニット102で表される未反応ガスは、再循環される、貯蔵される、燃料として使用される、または他の目的に利用されるかのいずれかである。
【0056】
別の代わりの様態において、触媒は、前処理ステップにおいて随意的に活性化されることができる。この前処理は、リアクタへの導入前に、液体容器16内での統合化ステップにおいて随意的に行うことができる。活性化を開始するために、触媒前処理剤またはその前駆体を触媒スラリーへ注入することができる。代わりに、活性化が拘束流中で生じるように、薬剤またはその前駆体をリアクタ本体へ注入することもできる。触媒前処理は、周囲温度から所望の温度への段階的な温度上昇によって行うことができる。加熱速度は、触媒粒子の実質的な凝集、あるいは触媒活性のより低い酸化状態の形成をもたらすには、不十分でなければならない。さらにまた、流出ガス中の水素を防止する、または実質的に低減するために、加熱速度と水素含有量とを調節することができる。一般的なガイドラインとして、加熱速度は、約0.2℃/分から約10℃/分、例えば約0.5℃/分または1℃/分とすることができる。一例において、不活性な触媒は、活性化ステップで周囲温度から約230°〜240℃まで約16時間にわたって加熱することによって、前処理することができる。活性化を完了するために、混合物をこの温度で約6時間保持することができるが、他の保持時間も適切でありうる。触媒前処理は、ポンプ、外部もしくは内部プレヒータを経由するリアクタ・バイパスループを通る循環を含むことができる。
【0057】
実際、先に議論されたように、次に液体および流体をリアクタ本体へ導入することができる。これは、触媒活性化に係わる高温で行うことができる。代わりに、リアクタおよび液体容器が室温に冷却されてもよい。この場合、触媒スラリーがリアクタ中を循環する間に、温度を所望の反応温度へランプアップしながら、流体または合成ガスを導入することができる。ある場合には、ランプ時間は、約30分とすることができるが、特定の組成および条件に依存して他の時間も適切でありうる。
【0058】
流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタは、ガス状反応剤の触媒スラリーとの良好な分散、単位リアクタ容積当たりの高スループット、短い滞留時間、少ない触媒消費、ならびに優れた質量および熱伝達特性を提供することができる。触媒式らせん状チャンネルリアクタは、触媒スラリーによる合成ガスから液体燃料への高発熱性プロセス、例えば、直接的なDME製造に特に適合しうる。しかしながら、広範な他の用途にも適する可能性がある。らせん状チャンネルリアクタは、とりわけ、ロバストな反応条件、任意の触媒の消費低減、およびある場合には、望ましくない副反応の抑制を確実にする、ガスおよび液体の良好な分散など多くの利点を有する。顕著な質量および熱伝達特性、ならびに単位リアクタ容積当たりの高スループット故に、このリアクタの使用は、合成ガスプロセスの資本および運用コストの著しい削減を可能にすることができる。加えて、らせん状チャンネルリアクタは、多くの利点を有し、サイジングおよびスケールアップを容易に行うことができる。らせん状チャンネルリアクタは、液体層厚、液体経路、液体速度、システムに用いる液体の選択をより良好に管理することを可能にする。
【0059】
流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタでは、スパージング流体をスパージして、その表面積を増加させるように設計された多孔質材料を通して、ガス組成物を押し進ませることができる。流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ(HCR)の使用を通じて、液体の流速を容易に調整し、所定の液体層厚を得ることができる。HCRを用いると、層厚は、リアクタの設計に依存して、約0.5から約20インチを上回るか、あるいはそれ以上に及ぶことが可能である。結果として、スパージング流体は、実質的により長い液体中を通って押し進み、それによってより多様な反応条件、より優れたプロセス効率、およびサイクロン型リアクタでは完全に反応しえない材料を使用する能力が提供される。らせん状拘束流における液体は、強い乱流の故に、より小さいガス状バブル、液体反応剤、懸濁された反応剤、および/または懸濁された触媒間の衝突効率を改善することができる。
【0060】
本明細書に記載されるリアクタ、および関連する方法を用いて、広範な化学合成プロセスを実行することができる。使用に適する種類または反応のいくつかの例は、以下には限定されないが、メタノール、ジメチルエーテル、フィッシャー・トロプシュ反応による炭化水素生成物、高級アルコール類、酸化生成物、アルキル化生成物、オリゴマー化生成物、水素付加生成物、および水素処理された炭化水素類の合成を含む。これらのタイプの反応のいくつかが以下により詳細に記載される。
【0061】
具体的な動作条件は、所望の反応に依存して変化しうる。しかしながら、らせん状チャンネルリアクタは、−20〜450℃の範囲の反応温度、および1〜300バールの圧力範囲において典型的に動作することができる。しかしながら、このリアクタは、これら範囲外の広範囲の温度および圧力にわたって動作することができる。高い反応温度および圧力に適合するように、リアクタ本体およびエレメントの材料および厚さを調整することができる。例えば、リアクタ条件(例えば温度、圧力)の変化に対処するために、リアクタ本体の厚さを増減させることができる。リアクタ本体は、液体およびガス組成物と反応せずに、温度、圧力、摩損性などのような動作条件に耐えることが可能な任意の材料から形成することができる。適切な材料の非限定の例は、ステンレス鋼、Hastelloy C(登録商標)、Inconel(登録商標)(Ni−Cr−Fe合金)、セラミック、およびプラスチックを含む。さらに、特定の反応に対してリアクタを最適化するために、回転の長さおよび数、回転方向、拘束流面間の距離、および寸法を変化させることができる。
【0062】
高発熱性反応(合成ガスプロセス、例えばDME合成、アルキル化など)の場合、プロセス温度は、液体および反応基質の制御温度、より低沸点の液体生成物の気相中への蒸発、および/またはリアクタの内部容積への冷却コイルの挿入のいずれかによって決定されうる。一般に、冷却エレメントは、リアクタの内部容積と熱的に接触して置くことができる。代わりにまたは加えて、冷却エレメント、例えば冷却マントルをらせん状拘束流と熱的に接触して置くこともできる。
【0063】
実際の用途
流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタは、多種多様な化学合成プロセスに用いることができる。一例として、化学反応は、触媒反応とすることができる。加えて、反応は、液体、ガス、または懸濁された反応剤、あるいはそれらの任意の組みあわせとの任意の化学反応とすることができる。触媒反応の場合、(液体触媒を用いなければ)触媒を液体キャリアの一部として供給し、固液触媒スラリーを形成することができる。このタイプの反応は、固体触媒、液体キャリア、反応生成物およびガス状反応剤を含む多相反応である。いくつかの実施形態において、触媒反応は、少なくとも3相が関与する反応である。
【0064】
適切なプロセスは、以下には限定されはないが、合成ガスプロセス(例えばメタノール、ジメチルエーテル、フィッシャー・トロプシュ、および高級アルコール類の合成);有機化合物の部分酸化;炭化水素転換(例えばアルキル化、オレフィン・オリゴマー化、重油の水素化処理、バイオオイル、タールサンドオイル、石炭液化油およびシェール油);ならびにガス、液体、および/または固体スラリーを用いた他のプロセス、あるいはガスと2つの液相とを用いたプロセスを含むことができる。流体キャリアは、らせん状拘束流路中で所望の流れを確立することが可能な、ある場合には触媒粒子をその中に懸濁することが可能な、任意の高沸点流体とすることができる。
【0065】
以下に概説される例は、適用可能なプロセスの広範囲に及ぶまたは完全なリストと見做されるべきではない。むしろ、以下の例は、本明細書に提示される方法およびデバイスの様々な実施形態の適用について概説する。
【0066】
合成ガスつまり「syngas(合成ガス)」(他のガスも存在しうるが、典型的にH、COおよびCOの混合物)は、多孔質の外周流面を通してらせん状流路中へスパージされ、触媒を含む油スラリーのフローストリームによって、例えば、しばしば50から500マイクロメートルの範囲の多数の小さいバブルにせん断されることができる。これは、供給された合成ガスの顕著な分散と、合成ガスの触媒との良好な接触とをもたらす。らせん状拘束流の設計は、ガスが進むべき距離が大きく変化しやすく、約3インチ厚より大きく設定されるかもしれない状況を許容する。
【0067】
例として、メタノールは、Cu/ZnO、Cu/ZnO/Al、Cu/ZnO/MnO、ラネーCu−Al−Zn、ラネーCu−Al、ThCu、およびZrCuのような触媒を用いて、合成ガスから製造することができる。メタノール合成のための典型的な反応条件は、約180℃から約350℃の温度、および約20バールから約150バールの圧力である。適切な液体キャリアの非限定の例は、完全に飽和したパラフィン油(例えば、C12〜C20)のような鉱油、ワックス、(アルキル化デカリンを含む)デカリンなどを含む。
【0068】
別の例において、ジメチルエーテルは、メタノール合成触媒(上記を参照)、大部分がCu−ZnO−Al、および脱水触媒(例えば、HZSM−5のようなゼオライト、アルミナ、およびリン酸アルミニウム)からなる共触媒システムのような触媒を用いて、合成ガスから製造することができる。ジメチルエーテル合成のための典型的な反応条件は、約220℃から約280℃の温度、および約30バールから約70バールの圧力である。先に記載されたような液体キャリアを同様に用いることができる。
【0069】
さらに別のプロセス例では、フィッシャー・トロプシュプロセスによって、様々な炭化水素類を製造することができる。低級アルカン類(C〜C)を製造するためには、Fe/K、Fe/Mn、Fe/Mn/Ce、Fe/K/S、Ru/TiO、Fe/C、Mo/Cなどのような触媒を用いることができる。ガソリンは、溶融Fe/K、Co/ThO/Al/ケイ酸塩、Fe/K/ZSM−5、Co−ZSM−5、Ru−ZSM−5、Ru/ZSM−5、FeCu/K−ZSM−5などのような触媒を用いて製造することができる。ディーゼル燃料は、Fe/K、Ru/V/TiO、Co/Zr、Ti/Al、Cr/Al、Co/Zr/TiO、Co−Ru/Alなどのような触媒を用いて形成することができる。より重いワックスは、Fe/Cu/K、Fe/Ru、Co/Zr、Ti/AlまたはCr/Alのような触媒を用いて形成することができる。フィッシャー・トロプシュ合成用の典型的な反応条件は、約180℃から約350℃の温度、および約20バールから約50バールの圧力である。適切な液体キャリアの非限定の例は、パラフィン油(例えば、C12〜C20)、重油フィッシャー・トロプシュ生成物などを含む。
【0070】
高級アルコール類は、硫化されたMoベース触媒(K/MoS、Cs−MoS、K−Co−MoS、Ni−K−MoS、Ni−Mn−K−MoS)、硫化されていないMoベース触媒(K−CoMo,K−Co−β−MoC)、修飾されたメタノール合成触媒(K−ZnO−Cr、K−Cu−ZnO−Cr、Cs−Cu−ZnO−Cr、Cs−Cu−ZnO−Al)、貴金属ベース触媒(Rh/Al、Rh−Mn−SiO、Rh−Mo/ZrO、Rh/ZrO)、修飾されたフィッシャー・トロプシュ触媒(Cu、Kなどのような助触媒とともにSiOまたはAl上に担持されたCo、Fe、Ni、およびRu金属)、および。均一触媒(Co、Ru、およびRh金属錯体ならびに二金属錯体)のような触媒を用いて、合成ガスから合成することができる。高級アルコール類の合成のための典型的な反応条件は、約200℃から約425℃の温度、および約10バールから約200バールの圧力である。適切な液体キャリアの非限定の例は、完全に飽和したパラフィン油(例えば、C12〜C20)などのような鉱油を含む。
【0071】
有機化合物の部分酸化も、有用な反応でありうる。随意的に炭化水素反応剤を含むO(または空気)の混合物を様々な有機化合物の酸化に用いることができる。適切な液体キャリアの非限定の例は、パラフィン油(例えば、C12〜C20)、水、液体反応剤などを含む。液体キャリアとして水を用いる場合、触媒材料の分解および/または失活を低減するために、通常、より低い温度が望ましい。以下には限定されないが、高純度銀粉末もしくはFe/Cr/MoO触媒を用いたメタノールからホルムアルデヒド、Ag/α−Al触媒を用いたエチレンからエチレンオキシド、BiO/Mo触媒を用いたプロピレンからアクロレイン/アクリル酸、Bi−MoO/SiO触媒を用いたプロピレンのアクリロニトリルへのアンモ酸化、バナジウム−リン含有(VPO)またはVPO/TiO触媒を用いたn−ブタンから無水マレイン酸、Pd/SiOまたはPdCl/CuCl触媒を用いたエチレンから酢酸ビニルのような酸化反応。
【0072】
以下の炭化水素転換プロセスは、広範囲の可能な合成反応を代表する適切なプロセスである。液体キャリアに懸濁され、リアクタ中へ供給された固体酸触媒を用いて、固体触媒による脂肪族のアルキル化を達成することができる。適切な液体キャリアの非限定の例は、完全に飽和したパラフィン油(例えば、C12〜C20)などを含む。オレフィンおよびイソブタンのようなガス状反応剤が外周流面を通してスパージされ、らせん状液体流によって多数の小さいバブルにせん断される。このプロセスに有望な固体酸触媒は、交換ゼオライト、イオン交換樹脂(例えば、アンバーリストおよびナフィオン)、固体超強酸(例えば、塩素化アルミナおよび硫酸化ジルコニア)、固定化された超強酸(例えば、HF−SbF/Al、BF/ゼオライトまたは酸化物あるいは樹脂)、イオン性液体のルイス酸、およびヘテロポリ酸ベース触媒である。
【0073】
オレフィンのオリゴマー化は、液体キャリアに懸濁された固体触媒を用いて達成することができる。液体キャリアに懸濁された固体触媒をリアクタのらせん状拘束流へ供給することができ、ガス状オレフィンがスパージング部分を通してスパージされ、らせん状液体流によって多数の小さいバブルにせん断される。適切な液体キャリアの非限定の例は、パラフィン油(例えば、C12〜C20)、液体反応剤などを含む。固体担体(例えば、石英および珪藻土)あるいは非晶質または結晶化(ゼオライト)シリカアルミナ上のリン酸が適切な触媒でありうる。
【0074】
水素付加反応も、有利に追求することができる。例えば、還元剤としてのHは、ガススパージング・デバイスを通してスパージされ、液体キャリアの高速旋回流によって多数の小さいバブルにせん断されることができ、液体キャリアに含まれる触媒によって触媒反応を受けることができる。適切な液体キャリアの非限定の例は、パラフィン油(例えば、C12〜C20)、液状水素付加生成物(例えば、リサイクル生成物)などを含む。適切な触媒は、担持(例えば、Pt/C、Pd/Al)および非担持Pd、Pt、Rh、Ruのような貴金属、ならびにNi、Cu、Cr、Coおよびそれらの酸化物(例えば、ラネーNi、Ni/Al、およびCuO−Cr)を含むことができる。水素付加反応の例は、触媒としてラネーNiを用いたガス状オレフィンのパラフィンへの水素付加である。
【0075】
水素化分解は、接触分解のように精油所の重質留分を、より軽い生成物、例えば、プロパン、ブタン、ナフサ、灯油などに転換するためによく用いられる。例えば、真空蒸留物、脱アスファルト残油、ガスオイル、灯油などのような液体キャリアを、懸濁された微粉化触媒粒子と一緒にリアクタに供給することができる。多孔質の外周流面を通してスパージされる反応ガスとして、水素を用いることができる。適切な水素化分解触媒は、以下には限定されないが、CoMo/SiO−Al、NiW/SiO−Al、CoMo/Al(酸処理済み)、NiW/Al(酸処理済み)、Pt/ゼオライト、およびPd/ゼオライトを含むことができる。水素化分解反応の例は、Pd/Y−ゼオライト触媒を用いた、温度380℃、圧力100バールでの真空蒸留物のナフサへの水素化分解である。
【0076】
さらにまた、これらの流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ・システムでは、石油精製産業におけるほとんどの従来の水素処理反応を遂行することができる。例えば、アップグレードが必要な重油、もしくは石油から得られる任意の油、ならびにタールサンド、ビチューメン、シェール油、石炭液化油またはバイオオイルが、懸濁された微粉化触媒粒子と一緒に液体キャリアとしてリアクタに供給されることができる。水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱酸素、水素化分解などのような反応をもたらすために、多孔質管を通してスパージされる反応ガスとして水素を用いることができる。多種多様な触媒が適切でありうるが、NiMo/Al、NiW/Al、およびCoMo/Alが最も一般的である。他の反応は、重質石油残油、バイオオイル、タールサンド、石炭液化油およびシェール油の精製および/または処理を含むことができる。
【実施例】
【0077】
(実施例1)
ジメチルエーテル(DME)を製造するための直接プロセスは、メタノールの合成とそのDMEへの脱水とを含み、これらは同じリアクタで同時に行なわれる。DME合成反応は高発熱性なので、高い合成ガス転換と良好なプロセス熱伝達とを確実に管理するために、図4に示されるスラリー式らせん状チャンネルリアクタ・システムを有効に使用することができる。
【0078】
反応を実行するために、不活性なパラフィン油Penreco(登録商標)Drakeol(登録商標)34に懸濁された、微粒子形態(1から10μmのサイズ)の95重量%のCuO−ZnO−Alメタノール合成触媒と5重量%のH−ZSM−5メタノール脱水触媒とを含んだ、20重量%の2元機能触媒を含む触媒スラリーの試料が、スラリー容器(50)に導入される。リアクタ・システムが、ガスプレヒータ(64)とリアクタガス注入口(34)とを通して窒素フローによってパージされる。触媒の前還元を始めるために、ポンプ(92)が、らせん状リアクタを通してスラリーの循環を開始し、熱交換器(90)が、触媒スラリーの加熱時間を開始して、窒素フローが、H4%+N96%の触媒前還元混合ガスの流れによって置換される。触媒スラリーの流速は、らせん状チャンネルにおけるスラリーの平均線速度約4m/秒を達成するために必要なレベルに設定される。in situの触媒還元は、次の加熱プログラム:室温から260℃へ0.5℃/分の速度で加熱してピーク温度で8時間保持、に従って、周囲圧力下で行われる。この前処理後に、H/N混合ガスの流れが、DME反応への供給用合成ガス(H/CO=1)の流れに置換され、リアクタが50バール(リアクタ圧力)に加圧される。合成ガスの流速は、リアクタ・サイズとガス透過管(28)におけるパーフォレーションの直径とに依存する。反応混合物(触媒スラリーおよび反応ガスならびに生成物)の温度は、冷却剤として水蒸気流を用いて260から265℃の範囲内に維持される。リアクタ生成物は、最上部のリアクタ排出口(42)を通って凝縮器(98)へ出て、そこでDMEとメタノール蒸気とが未反応の合成ガスから分離されて、液体生成物タンクに導かれる。
【0079】
(実施例2)
1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファートに埋め込まれた安定なパラジウムナノ粒子は、20から100℃の温度でオレフィンの2相水素付加を触媒することができる。図4に提示されるスラリー式らせん状チャンネルリアクタ・システムは、異なったガスの使用と生成物冷却機能の削除とを含むリアクタ・システムのいくつかの修正後に、触媒液中での水素の良好な混合と分配とを確実にするために有効に用いることができる。
【0080】
反応を実行するために、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファートに埋め込まれたパラジウムナノ粒子の試料がスラリー容器(50)に導入される。リアクタ・システムが、ガスプレヒータ(64)とリアクタガス注入口(34)とを通して窒素フローによってパージされる。ポンプ(92)が、らせん状リアクタを通してイオン性液体の循環を開始し、熱交換器(90)が、触媒液を急速に75℃まで加熱して、次に窒素フローが、周囲圧力下で水素および1,3−ブタジエンの流れによって置換される。触媒液の流速は、らせん状チャンネルにおけるスラリーの線速度を確実に4m/秒に等しくするのに必要なレベルに設定される。リアクタ生成物は、リアクタから最上部のリアクタ排出口(42)を通って凝縮器(98)へ出て、そこで未反応のブタジエンとブテン生成物とが水素から分離されて、液体生成物タンクに導かれる。凝縮された1,3−ブタジエンとブテン混合物とは、カラム中で分離を受けることができる。
【0081】
かくして、化合物を調製するための改良されたリアクタおよび方法が開示される。上記の記載および例は、本発明のいくらかの実施形態を例示することだけが意図されている。本発明が広い効用と用途とを受け入れる余地があることは、当業者によって容易に理解されるであろう。本明細書に記載される以外の本発明の多くの実施形態および適用、ならびに多くのバリエーション、修正および等価な配置は、本発明の実体および範囲から逸脱することなく、本発明に関する上記の記載から明らかであるか、あるいは合理的に示唆されるであろう。上記の開示が、本発明を限定するか、さもなければ任意のかかる他の実施形態、適用、バリエーション、修正および等価な配置を除外することは、意図されておらず、あるいはそのように解釈されるべきではなく、本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲、およびそれらの等価物によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物を反応させる方法であって、
a)液体を、外周流面を持つらせん状拘束流へ導くステップであって、前記液体は、触媒および反応剤のうちの少なくとも1つを含む、ステップ;
b)前記外周流面から前記らせん状拘束流中へ流体反応剤をスパージして、流体生成物を形成するステップ;および
c)前記流体生成物を取り出すステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記液体は、油キャリアを含む、請求項1に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項3】
前記液体は、触媒スラリーを形成するための微粒子固体触媒材料をさらに備える、請求項1に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項4】
前記液体は、イオン性液体である、請求項1に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項5】
前記らせん状拘束流は、実質的に囲まれたらせん状流路である、請求項1に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項6】
スパージする前記ステップは、前記流体反応剤をスパージするように構成された透過可能な壁を横切って、前記流体反応剤を押し進ませるステップを含む、請求項1に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項7】
前記透過可能な壁は、触媒材料を含む、請求項6に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項8】
スパージする前記ステップ後に前記液体を取り出して、前記液体の少なくとも一部を前記らせん状拘束流中へ再循環させるステップをさらに含む、請求項1に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項9】
前記液体は、液体反応剤を含む、請求項1に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項10】
前記流体反応剤は、複数の流体反応剤を含む、請求項1に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項11】
前記流体生成物は、メタノール、ジメチルエーテル、フィッシャー・トロプシュ反応生成物、高級アルコール類、酸化生成物、オリゴマー化生成物、水素付加生成物、および水素処理された炭化水素類からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項12】
前記流体生成物は、ジメチルエーテルを含み、前記流体反応剤は、合成ガスを含む、請求項1に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項13】
収集された液体との熱交換によって前記流体反応剤を予熱するステップをさらに含み、前記収集された液体は、前記流体反応剤を用いたスパージング後の液体である、請求項1に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項14】
スパージング後に前記流体生成物をらせん状に混合するステップをさらに含む、請求項1に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項15】
前記らせん状に混合することは、時計方向および反時計方向のらせん回転を交互に行うことを含む、請求項14に記載の化合物を反応させる方法。
【請求項16】
流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタであって、
a)リアクタ本体内に位置する拘束流ユニットであって、前記ユニットは、実質的に囲まれたらせん状流路に沿って、軸方向の内部容積の周りにらせん状拘束流を生成するように構成された内壁および外壁を有し、前記外壁の少なくとも一部は、流体反応剤が前記らせん状拘束流中へスパージされることを可能にするためのスパージング部分を含む、ユニット;
b)前記リアクタ本体に流体的に接続され、前記囲まれたらせん状流路への液体の追加を可能にするように構成された液体注入口;
c)前記拘束流ユニットの前記スパージング部分へのスパージング流体の供給のために、前記リアクタ本体に流体的に接続されたスパージング流体注入口;
d)前記拘束流ユニットからの液体の取り出しを可能にするために、前記リアクタ本体に流体的に接続された液体排出口;および
e)前記囲まれたらせん状流路からのガスの取り出しを可能にするために、前記囲まれたらせん状流路と流体的に結合されたガス排出口
を備える、リアクタ。
【請求項17】
前記スパージング流体の前記スパージング部分への分配を可能にするために、前記スパージング流体注入口と前記拘束流ユニットとの間に配置されたプレナムチャンバをさらに備える、請求項16に記載の流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ。
【請求項18】
前記リアクタ本体と熱的に関連し、発熱反応の間に前記液体から熱を除去するように構成された冷却マントルをさらに備える、請求項16に記載の流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ。
【請求項19】
前記スパージング部分は、多孔質塊または有孔壁のうちの少なくとも1つである、請求項16に記載の流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ。
【請求項20】
前記らせん状流路と前記液体排出口およびガス排出口との間に、流体的に接続された分離ユニットをさらに備え、前記分離ユニットは、ガスと液体との少なくとも部分的な分離を可能にする、請求項16に記載の流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ。
【請求項21】
スパージング流体を前記スパージング流体注入口に供給するために動作可能に連結され、かつ前記スパージング流体が前記スパージング流体注入口への導入前に前記分離ユニットから伝達された熱によって加熱されるように前記分離ユニットと熱的に関連した、ガスプレヒータをさらに備える、請求項20に記載の流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ。
【請求項22】
前記ガス排出口に流体的に接続されたデミスタをさらに備える、請求項16に記載の流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ。
【請求項23】
前記らせん状拘束流ユニットは、前記スパージング部分の下流に配置されたらせん状混合セクションをさらに備える、請求項16に記載の流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ。
【請求項24】
前記らせん状混合セクションは、時計方向および反時計方向の交互のらせん回転を含む、請求項23に記載の流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ。
【請求項25】
前記ガス排出口は、前記軸方向の内部容積を通してガスが上方へ回収されるように前記軸方向の内部容積に流体的に接続される、請求項16に記載の流体スパージ型らせん状チャンネルリアクタ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−520328(P2012−520328A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554271(P2011−554271)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/027335
【国際公開番号】WO2010/105266
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(506051429)ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション (25)
【出願人】(511222353)アンブレ エナジー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】