流体チャンバのアレイを備えるチャック・システム
本発明は、基板を保持するためのチャック・システムであって、前記システムは、第1及び第2の対向するサイドを有し、前記第1のサイドは横列と縦列に配置された流体チャンバのアレイを含むチャック本体を含み、前記流体チャンバは、第1及び第2の分離された支持区域を区画する第1及び第2の分離された凹溝を有し、前記第1支持区域は、前記第2支持区域と前記第1及び第2凹溝とを取り囲み、且つ前記第2支持区域は前記第2凹溝を取り囲み、前記基板は前記第1及び第2支持区域に載せられ、前記第1凹溝及びこれと重なる前記基板の一部分が第1チャンバを形成し、且つ前記第2凹溝及びこれと重なる前記基板の一部分が第2チャンバを形成し、前記第1チャンバの各縦列及び前記第2チャンバの各横列は流体の別々のソースと流体連通して前記流体チャンバ内の流体の流れを制御するチャック・システムに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体チャンバのアレイを備えるチャック・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ加工には、例えば、ナノメートル台又はそれより小さいフィーチャを有する微細構造の加工が関与する。ナノ加工が相当のインパクトを持つ1つの分野が集積回路の加工である。半導体加工業界が一層大きな生産高を追求し、同時に基板上に形成される単位面積当たりの回路数を増すにつけ、ナノ加工はますます重要になる。ナノ加工によって、より大規模なプロセス制御を可能とすると同時に、形成された構造の極小フィーチャ寸法を更に一段と縮めることが可能になる。ナノ加工が用いられてきた他の開発分野には、バイオテクノロジー、光学テクノロジー、機械システム等がある。
【0003】
典型的なナノ加工技術はインプリント・リソグラフィと一般的に称される。典型的なインプリント・リソグラフィ・プロセスが多数の刊行物に、例えば、米国特許出願第10/264960号“Method and a Mold to Arrange Features on a Substrate to Replicate Features having Minimal Dimensional Variability”の米国特許出願公開公報第2004/0065976号、米国特許出願第10/264926号”Method of Forming a Layer on a Substrate to Facilitate Fabrication of Metrology Standards”の米国特許出願公開公報第2004/0065252号、及び米国特許第6936194号公報”Functional Patterning Material for Imprint Lithography Processes”に詳細に記載されており、これら例示の案件はすべて本発明の譲受人に譲渡されている。
【0004】
前述の米国特許出願公開公報及び米国特許公報でそれぞれ開示されたインプリント・リソグラフィ技術には、レリーフ・パターンを重合可能な層に形成し、そのレリーフ・パターンに対応するパターンを下にある基板に転写することが含まれる。基板はステージに置かれ、パターン形成を容易にする所望の位置が得られる。そのため、基板から離したモールドが使用され、形成用液体がモールドと基板の間に介在する。液体は凝固してパターン化層を形成し、同層には液体に接するモールドの表面形状に合致するパターンが記録される。モールドは次いでパターン化層から分離され、モールドと基板は離隔される。基板とパターン化層は次いで、パターン化層のパターンに対応するレリーフ・イメージを基板に転写する工程に掛けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
必要に応じテンプレートの寸法を容易に変えるための改良されたチャック・システムが依然必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これは、請求項1のチャック・システムによって達成される。本発明の好ましい実施態様は従続請求項において特徴づけられる。
【0007】
本発明の実施形態を以下に図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に関し、基板12上にレリーフ・パターンを形成するためのシステム10を示す。基板12は、以下に更に説明する基板チャック14に結合させられる。基板12と基板チャック14は、ステージ16により支持される。更に、ステージ16、基板12、基板チャック14はベース(図示せず)上に位置付けされる。ステージ16は、x及びy軸の周りを動くことができる。
【0009】
基板12から離れた位置にテンプレート18があり、テンプレートは、基板12側に延びパターン形成面22を備えたメサ20を有する。メサ20はモールド20と称されることもある。メサ20は、ナノインプリント・モールド20と称されることもある。別の実施形態においては、テンプレート18に実質的にはモールド20が無い場合もある。テンプレート18及び/又はモールド20は、融解石英、石英、シリコン、有機ポリマー、シロキサン・ポリマー、ホウケイ酸ガラス、フッ素樹脂、金属、硬化サファイア等を含む材料から形成されるが、これらに限らない。図示の通り、パターン形成面22は、複数の分離された凹溝24と凸部26によって形成されたフィーチャを備える。しかし、別の実施形態において、パターン形成面22は実質的に円滑及び/又は平坦とされる場合もある。パターン形成面22は、基板12上に形成されるパターンの基礎を形成するオリジナル・パターンを決める。テンプレート18はテンプレート・チャック28と結合され、テンプレート・チャック28は、本明細書に援用する米国特許第6873087号「High−Precision Orientation Alignment and Gap Control Stages for Imprint Lithography Process」に記載の真空式、ピン形、溝形、電磁式を含む任意のチャックでよいが、これらに限らない。更に、テンプレート・チャック28は、テンプレート18、且つしたがってモールド20を動かすために、インプリント・ヘッド30と結合される。
【0010】
システム10は、更に流体分配システム32を備える。流体分配システム32は、基板12と流体連通し、それによって高分子材料34を基板に堆積させることが可能である。システム10は、任意の数の流体分配器を含むことが可能で、流体分配システム32は、複数の分配ユニットをシステム内に含むことが可能である。高分子材料34は、知られている任意の技法、例えば滴下分配、スピン・コーティング、浸漬塗装、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、薄膜堆積、厚膜堆積、その他を使用して基板12上に配置される。図2に示す通り、高分子材料34は、基板12上に複数の離隔された小滴36として堆積され、マトリックス・アレイ38が形成される。一例においては、各小滴36の単位ボリュームは約1〜10ピコリットルである。マトリックス・アレイ38の小滴36は、5つの縦列c1〜c5及び5つの横列r1〜r5に配列されている。しかし、小滴36は任意の二次元構成で基板12上に配列可能である。一般には、高分子材料34は、所望のボリュームがモールド20と基板12の間に形成されるより前に、基板12上に配置される。しかし、高分子材料34は、所望のボリュームが得られた後にボリュームを満たすことも可能である。
【0011】
図1から3に関し、システム10は、エネルギー42を経路44沿いに向けるように結合されるエネルギー42のソース40を更に備える。インプリント・ヘッド30とステージ16は、モールド20と基板12が重なって経路44に配置されるように構成される。インプリント・ヘッド30かステージ16のいずれか、又は双方により、モールド20と基板12の間の間隔が変わることによって、その間が高分子材料34によって満たされる所望のボリュームが形成される。より具体的には、小滴36が凹溝24に進入し且つこれを満たす。パターン形成面22によって形成されたパターンを小滴36が満たすのに要する時間を、モールド20の充填時間と定める。所望のボリュームが高分子材料34により満たされた後、ソース40は広帯域紫外線放射等のエネルギーを発し、それによって高分子材料34が凝固し及び/又は架橋され、基板12の表面46とパターン形成面22の形状に合わせて基板12上にパターン化層48が形成される。パターン化層48は、残留層50と、凸部52や凹部54として示す複数のフィーチャとを備える。システム10は、ステージ16、インプリント・ヘッド30、流体分配システム32、ソース40とデータ通信し、メモリ58に格納されたコンピュータ読取り可能なプログラムに作用するプロセッサ56によって調整される。
【0012】
図1及び図4から6を参照すると、上述の通り、システム10は基板チャック14を備える。基板チャック14は、真空技術を使用して基板12を保持するようにされている。基板チャック14は、対向する第1と第2のサイド(側)62、64を有するチャック本体60を備える。対向する第1及び第2のサイド62、64の間に側面すなわち端縁面66が延びている。第1のサイド62は、複数の流体チャンバ68を備える。図示のように、基板チャック14は流体チャンバ68a〜68uを備えるが、別の実施形態においては、基板チャック14は任意の数の流体チャンバを備えることが可能である。図示の通り、流体チャンバ68a〜68uは5つの縦列a1〜a5及び5つの横列b1〜b5のアレイとして配置される。しかし、流体チャンバ68は、任意の二次元配置でチャック本体60上に配置可能である。図解を簡潔にするため、縦列a1〜a5及び横列b1〜b5は、図5、6にそれぞれ別々に示す。
【0013】
図4から6に関し、各流体チャンバ68は、支持区域74と第2支持区域76を区画する、第1凹溝70と、第1凹溝70から分離した第2凹溝72とを備えている。第2支持区域76は第2凹溝72を取り囲む。第1支持区域74は第2支持区域76と、第1及び第2凹溝70、72とを取り囲む。チャック本体60内には、複数の通路78、80が形成され、各流体チャンバ68をポンプ・システム82、84にそれぞれ流体連通させる。より具体的には、流体チャンバ68の各第1凹溝70は通路78を介してポンプ・システム82と流体連通し、各第2凹溝72は通路80を介してポンプ・システム84と流体連通している。各ポンプ・システム82、84は、1つ又は複数のポンプをシステム内に含む。
【0014】
図4、5を参照すると、縦列a1〜a5の流体チャンバ68における、各第1凹溝70は通路78を介してポンプ・システム82と流体連通している。より具体的には、縦列a1の流体チャンバ68d、68i、68nの第1凹溝70は通路78aを介してポンプ・システム82aと流体連通し、縦列a2の流体チャンバ68a、68e、68j、68o、68sの第1凹溝70は通路78bを介してポンプ・システム82bと流体連通し、縦列a3の流体チャンバ68b、68f、68k、68p、68tの第1凹溝70は通路78cを介してポンプ・システム82cと流体連通し、縦列a4の流体チャンバ68c、68g、68l、68q、68uの第1凹溝70は通路78dを介してポンプ・システム82dと流体連通し、且つ縦列a5の流体チャンバ68h、68m、68rの第1凹溝70は通路78eを介してポンプ・システム82eと流体連通している。
【0015】
図4、6を参照すると、更に、横列b1〜b5の流体チャンバ68の各第2凹溝72は通路80を介してポンプ・システム84と流体連通している。より具体的には、横列b1の流体チャンバ68a、68b、68cの第2凹溝72は通路80aを介してポンプ・システム84aと流体連通し、横列b2の流体チャンバ68d、68e、68f、68g、68hの第2凹溝72は通路80bを介してポンプ・システム84bと流体連通し、横列b3の流体チャンバ68i、68j、68k、68l、68mの第2凹溝72は通路80cを介してポンプ・システム84cと流体連通し、横列b4の流体チャンバ68n、68o、68p、68q、68rの第2凹溝72は通路80dを介してポンプ・システム84dと流体連通し、且つ流体チャンバ68s、68t、68uの第2凹溝72は通路80eを介してポンプ・システム84eと流体連通している。
【0016】
図1及び図4から6を参照すると、基板12が基板チャック14上に位置付けされるとき、基板12はチャック本体60の第1面62に載せられ、流体チャンバ68を覆い、より具体的には、各流体チャンバ68の第1及び第2凹溝70、72を覆う。更に具体的には、流体チャンバ68の各第1凹溝70と基板12の一部が重なって、第1チャンバ86を形成し、且つ流体チャンバ68の各第2凹溝72と基板12の一部が重なって、第2チャンバ88を形成する。更に、ポンプ・システム82が作用することにより第1チャンバ86内の加圧/真空が制御され、ポンプ・システム84が作用することによって第2チャンバ88内の加圧/真空が制御される。第1チャンバ86、88内の加圧/真空は、基板12の形状を変えている間に、基板12の基板チャック14からの分離を回避しないまでも低減させる。追って更に説明する。ポンプ・システム82、84は、プロセッサ56とデータ通信し、メモリ58に格納されたコンピュータ読取り可能なプログラムに作用してポンプ・システム82、84を制御する。
【0017】
図4、5を参照すると、更に具体的には、ポンプ・システム82aは、縦列a1の流体チャンバ68d、68i、68nの第1チャンバ86内の加圧/真空を制御するように作用し、ポンプ・システム88bは、縦列a2の流体チャンバ68a、68e、68j、68o、68sの第1チャンバ86内の加圧/真空を制御するように作用し、ポンプ・システム88cは、縦列a3の流体チャンバ68b、68f、68k、68p、68tの第1チャンバ86内の加圧/真空を制御するように作用し、ポンプ・システム88dは縦列a4の流体チャンバ68c、68g、68l、68q、68uの第1チャンバ86内の加圧/真空を制御するように作用し、且つポンプ・システム88eは縦列a5の流体チャンバ68h、68m、68rの第1チャンバ86内の加圧/真空を制御するように作用する。
【0018】
図4及び6を参照すると、尚更に、ポンプ・システム84aは横列b1の流体チャンバ68a、68b、68cの第2チャンバ88内の加圧/真空を制御するように作用し、ポンプ・システム84bは横列b2の流体チャンバ68d、68e、68f、68g、68hの第2チャンバ88内の加圧/真空を制御するように作用し、ポンプ・システム84cは横列b3の流体チャンバ68i、68j、68k、68l、68mの第2チャンバ88内の加圧/真空を制御するように作用し、ポンプ・システム84dは横列b4の流体チャンバ68n、68o、68p、68q、68rの第2チャンバ88内の加圧/真空を制御するように作用し、且つポンプ・システム84eは横列b5の流体チャンバ68s、68t、68uの第2チャンバ88内の加圧/真空を制御するように作用する。
【0019】
図4から7を参照すると、各流体チャンバ68は、以下に更に説明する所望の用途により、1)チャンバに関係してチャックされた状態か、又は2)チャックされない/湾曲状態を有する。より具体的には、上述の通り、第1及び第2チャンバ86、88は第1及び第2凹溝70、72にそれぞれ関係する。そのため、基板12の一部分に掛かる力は、基板12のその一部分と重なる第1及び第2凹溝の面積の大きさと、基板12のその一部分と重なる第1及び第2チャンバ86、88内の加圧/真空の大きさによって決まる。より具体的には、流体チャンバ68のサブセットと重なる基板12の一部分90に対しては、一部分90に掛かる力は、第1チャンバ86に対して第1凹溝70と重なる一部分90の小部分92に掛かる力F1と、第2チャンバ88に対して第2凹溝72と重なる一部分90の小部分94に掛かる力F2とを併せた力とされる。図示の通り、力F1、F2とも基板12から離れる方向に向かう。しかし、力F1、F2は基板12側に向かう場合もある。更に、力F1、F2は対向方向に向かう場合もある。そのため、小部分92に掛かる力F1は以下の通り定められ、
F1=A1×P1 (1)
式中、A1は第1凹溝70の面積で、P1は第1チャンバ86に関係する加圧/真空であり、小部分94に掛かる力F2は以下の通り定められ、
F2=A2×P2 (2)
式中、A2は第2凹溝72の面積で、P1は第2チャンバ88に関係する加圧/真空である。流体チャンバ68に関係する力F1、F2は、包括的に基板チャック14によって基板12に掛かるチャック力Fcと称される。
【0020】
図1及び図4から6を参照すると、その目的のため、特に、小滴36、基板12、モールド20の間の空間的関係により、別々の流体チャンバ68を別々の状態とすることが望まれる場合があろう。第1及び第2チャンバ86、88の状態は、力F1、F2の方向次第による。より具体的には、基板12を向く方向の力F1に対し、第1チャンバ86は加圧状態とされ、基板12から離れる方向の力F1に対し、第1チャンバ86は真空状態とされ、基板12を向く方向の力F2に対し、第2チャンバ88は加圧状態とされ、且つ基板12から離れる方向の力F2に対し、第2チャンバ88は真空状態とされる。
【0021】
そのため、第1及び第2チャンバ86、88がそれぞれ2つの異なる状態となる可能性がある結果、流体チャンバ68は関係する4通りの組み合わせのうち1つの状態となる。下の表1に、第1及び第2チャンバ86、88内の真空/加圧の4通りの組み合わせとその結果による流体チャンバ68の状態を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
第1及び第4の組み合わせにおいては、第1及び第2チャンバ86、88が状態を同じくする。より具体的には、第1の組み合わせでは、第1チャンバ86が真空状態にあり且つ第2チャンバ88が真空状態にあり、その結果、流体チャンバ68はチャックされた状態とされる。更に、第4の組み合わせでは、第1チャンバ86が加圧状態にあり且つ第2チャンバ88が加圧状態にあり、その結果、流体チャンバ68はチャックされない/湾曲状態とされる。
【0024】
第2及び第3の組み合わせにおいては、第1及び第2チャンバ86、88が異なる状態とされる。しかし、流体チャンバ68はチャックされた状態とされる。そのため、第1及び第2凹溝70、72の面積A1及びA2の比率は、第1及び第2チャンバ86、88に関係する与えられた圧力Kp及び与えられた真空Kvについて、第1及び第2チャンバ86、88の真空状態に関係する力F1、F2の力の大きさが第1及び第2チャンバ86、88の加圧状態に関係する残余の力F1、F2の大きさに勝る比率とされる。そのため、上述の第2の組み合わせでは、第1チャンバ86は真空状態、第2チャンバ88は加圧状態とされる。
【0025】
真空状態である流体チャンバ68に対しては、
|F1|>|F2| (3)
したがって、上述の式(1)及び(2)を用い、
|A1×KV|>|A2×KP| (4)
したがって、第1及び第2凹溝70、72それぞれの面積A1とA2の比率は、
A1/A2>|KP/KV| (5)
【0026】
上述の第3の組み合わせにおいては、第1チャンバ86は加圧状態とされ、第2チャンバ88は真空状態とされる。そのため、流体チャンバ68が真空状態とされるには、
|F2|>|F1| (6)
且つしたがって、上述の式(1)及び(2)を用い、
|A2×KV|>|A1×KP| (7)
且つしたがって、第1及び第2凹溝70、72それぞれの面積A1とA2の比率は、
A1/A2<|KV/KP| (8)
【0027】
そのため、第1及び第2チャンバ86、88の状態が異なるときに流体チャンバ68が真空状態とされるには、第1及び第2凹溝70、72それぞれの面積A1とA2は明らかに以下のように定められる。
|KP/KV|<A1/A2<|KV/KP| (9)
【0028】
一例においては、Kpは約40kPaとされ、Kvは約−80kPaとされ、したがって、面積A1対A2の比率は以下のように定められる。
0.5<A1/A2<2. (10)
【0029】
更に、チャックされない/湾曲状態にある流体チャンバ68内の圧力の大きさを変えることが可能である。より具体的には、メモリ58に格納されたコンピュータ読取り可能なプログラムに作用するプロセッサ56は、ポンプ・システム82、84と電気的に連通する結果、ポンプ・システム82、84を介して第1及び第2チャンバ86、88内の圧力の大きさを変えることが可能である。
【0030】
図1から3を参照すると、前述の通り、モールド20と基板12の間の間隔は、高分子材料34によって満たされる所望のボリュームをそれらの間に決めるように、変えられる。更に、凝固した後、高分子材料34は基板12の表面及びパターン形成面22の形状に合わせ、基板12上にパターン化層48を形成する。そのため、マトリックス・アレイ38の小滴36の間に形成されたボリューム96にはガスが存在する。このガス及び/又はガス・ポケットは、空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム等のガスであるが、これらに限らない。基板12とモールド20の間のガスは、主に基板12とモールド20の平面度に起因する。そのため、前述したモールド20の充填時間の短縮が望まる。充填時間は、基板12とモールド20の間やパターン化層48内のガス及び/又はガス・ポケットが、基板12とモールド20の間から排出され及び/又は高分子材料34中に溶解し及び/又は高分子材料34中に拡散するのに要する時間に特に依存する。そのため、モールド20と基板12の間のガスのトラッピングを防止しないまでも最小にする方法とシステムを以下に説明する。
【0031】
図1、8を参照すると、基板12とモールド20の間のガスを放出する方法を示す。より具体的には、ステップ100で、前述の通り、高分子材料34が滴下分配法、スピン・コーティング、浸漬被覆法、化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PVD)、薄膜堆積法、厚膜堆積法、その他によって基板12上に置かれる。別の実施形態では、高分子材料34をモールド20に置くことが可能である。
【0032】
図5、6、8、9を参照すると、ステップ102で、基板12の形状は、モールド20と基板12の間に基板12の中央部分での間隔d1が、モールド20と基板12の間に基板12の残余部分での間隔より小さくなるように変えることが可能である。一例においては、間隔d1は、間隔d2、即ち基板12の端縁での間隔を下回る。更に別の実施形態では、間隔d1は基板12のどの所望の部位でも決めることができる。基板12の形状は、複数の流体チャンバ68内の加圧/真空を制御することによって変えることが可能である。より具体的には、基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68がチャックされない/湾曲状態にあり、それによって基板12の一部分98はモールド20側に且つ基板チャック14から離れて湾曲する。更に、チャックされない/湾曲状態の基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68と同時に、基板12の一部分99と重なる残余の流体チャンバ68はチャックされた状態にあり、基板12は基板チャック14に保持される。
【0033】
図7、10、11を参照すると、ステップ104で、図1に関して前述した通り、図1に示したインプリント・ヘッド30とステージ16の一方、或いは双方を、図9に示した間隔d1をモールド20の一部分が小滴36の一部分に接するように変えることが可能である。図示の通り、モールド20の中央部分は、モールド20の残余部分が小滴36中の残余の小滴に接するより先に、小滴36の一部分に接する。しかし、別の実施形態では、モールド20の任意の部分がモールド20の残余部分より先に小滴36に接触する。そのため、図示の通り、モールド20は図2に示した縦列c3に関係する全ての小滴36にほぼ同時に接する。それによって、小滴36は広がり、高分子材料34による一続きの液体シート120を生成する。液体シート120の端縁122a、122bは、ボリューム96のガスを端縁128a、128b、128c、128d側に押し出すように作用する液−ガス境界124a、124bをそれぞれ形成する。縦列c1〜c5の小滴36間のボリューム96はガス流路を形成し、同流路によってガスは端縁128a、128b、128c、128d側に押し進められる。その結果、液−ガス境界124a、124bは、ガス流路と共に液体シート120のガスのトラッピングを防止しないまでも低減させる。
【0034】
図4から6及び図8を参照すると、ステップ106で、図1に関して前述したように、モールド20と基板12の間に形成された所望のボリュームが高分子材料34によって満たされるように、間隔d1を更に狭めて基板12の形状を更に変える。より具体的には、基板12の形状は、間隔d1をインプリント・ヘッド30か、ステージ16、又は双方を介して更に狭めるとともに、流体チャンバ68を介して変えることが可能である。更に具体的には、前述の通り、図9に示す基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68の第1及び第2チャンバ86、88内の圧力の大きさを変えることが可能である。そのため、図9に示す間隔d1が狭まると、図9に示す基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68の第1及び第2チャンバ86、88内の圧力の大きさが減少される。図9に示す間隔d1が狭まり、図9に示す基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68の第1及び第2チャンバ86、88内の前述圧力が下がった結果、図2に示す縦列c2とc4の小滴36に関係する高分子材料34が広がり、図12に示すように一続きの流体シート120に含まれるようになる。図9に示す間隔d1は、図9に示す基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68の第1及び第2チャンバ86、88内の圧力の大きさの減少とともに更に狭まり、それによって、モールド20が次いで縦列c1とc5に関係する小滴36と接触し、これと関係する高分子材料34が広がり、図13に示すように一続きのシート120に含まれるようになる。更に別の実施形態では、基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68の第1及び第2チャンバ86、88内の圧力を減少させることによって、図14に示すように、基板12の一部分98を基板チャック14上に位置付けさせる。更に別の実施形態においては、基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68の第1及び第2チャンバ86、88は、小滴36の広がりに続いて内部を真空とされる。
【0035】
図8、13を参照すると分かるように、境界124a、124bがそれぞれ端縁128c、128a側に移動したため、図11に示す残余のボリューム96のガスが両端縁に達する経路に妨げが無くなる。これによって、図11に示すボリューム96のガスは、モールド20と基板12の間から端縁128a、128b、128c、128dに向かって追い出される。このようにして、基板12とモールド20の間及び図3に示すパターン化層48内のガス及び/又はガス・ポケットのタッピングは、防止されないまでも最小限に留められる。
【0036】
図1、8を参照すると、ステップ108で、図1に関して前述した通り、高分子材料34は次いで凝固及び/又は架橋し、図3に示すパターン化層48が形成される。次いでステップ110で、モールド20がパターン化層48から分離される。
【0037】
図1、8、15を参照すると、前述の通り、基板12の形状は第1の方向沿いに変えられる。しかし、更に別の実施形態では、基板12の形状は第1及び、第1方向に対し直交して延びている第2方向に同時に変えられてもよい。より具体的には、図10に関して前述したように、基板12の中央部分がモールド20に接し、且つしたがって、小滴36の中央部分が小滴36の残余の小滴がモールド20に接するより先にモールド20に接するように基板12を変える。それによって、小滴36が広がり且つ高分子材料34の一続きの液体シート120を生成し、ボリューム96のガスを外向き半径方向に押し出す作用をする一続きの液体−ガス境界124が形成される。一例においては、液体シート120の液体−ガス境界124が円形又は円に近い形で拡張し、ボリューム96のガスを端縁128a、128b、128c、128d側に外向き半径方向に押し出す作用をする。しかし、更に別の実施形態では、基板12の形状は任意の方向に変えて、ボリューム96のガスを端縁128a、128b、128c、128d側に外向き半径方向に押し出し易くするように、所望の半球形状、円筒状ほか任意の幾何学形状の液体シート120を生成し、それによって図3に示す基板12及びモールド20とパターン化層48の間のガス及び/又はガス・ポケットのトラッピングを防止しないまでも最小にすることが可能である。更に別の実施形態では、第1及び第2チャンバ86、88の一部の横列又は縦列をそれぞれ加圧/真空が生じない状態とする。
【0038】
図16を参照すると、更に別の実施形態においては、基板チャック14を更に使用してモールド20と基板12上に置かれたパターン化層48との間の分離を容易にする。より具体的には、モールド20のパターン化層48からの分離は分離力Fsをテンプレート18とモールド20に掛けることによって達成される。分離力Fsは、モールド20とパターン化層48の間の密着力と歪み(変形)に対する基板12の抵抗を克服するのに充分な大きさとされる。基板12の一部分の変形はモールド20のパターン化層48からの分離を促進すると考えられる。そのため、モールド20のパターン化層48からの分離を達成するための分離力Fsの大きさを最小にすることが望まれる。分離力Fsの大きさを最小にすることによって、特に、モールド20と基板12の間の整合が促進され、テンプレート全面域に対するテンプレート・パターン化面域の比率が増大し、テンプレート18、モールド20、基板12、パターン化層48の構造を損傷する可能性を最小にする。
【0039】
そのため、前述のように、流体チャンバ68内の圧力の大きさを変えることが可能である。そのため、モールド20をパターン化層48から分離中に、基板12の一部分13と重なる流体チャンバ68をチャックされない/湾曲状態とする。その結果、基板12の一部分13と重なる流体チャンバ68は、チャック力Fc、図7に示す力F1、F2を分離力Fsの方向とほぼ同じ方向に加える。その結果、モールド20をパターン化層48から分離するために必要な分離力Fsの大きさが減少する。より具体的には、基板12の一部分13と重なるチャック力Fcの大きさが基板12の一部分13の歪み(変形)を促すように分離力Fsに応じて定められる。基板12の一部分13と重なるチャック力Fcの大きさは、分離力Fsを受けたときに基板12の一部分13以外の部分が基板チャック14上に保持される所望の値としてよいことに留意されたい。
【0040】
図1を参照すると、更に別の実施形態では、基板チャック14を介して基板12を曲げる前述の方法は、テンプレート18/モールド20にも同様に適用可能である。より具体的には、テンプレート18/モールド20を基板チャック14上に置き、基板12に対して、上述したのと実質的に同じ方法で、テンプレート18/モールド20を曲げることが可能である。そのため、曲がりやすくするためテンプレート18/モールド20の厚さを1mmとする。更に別の実施形態においては、基板チャック14に代え、或いはこれと共に複数のアクチュエータを使用して基板12を変えることも可能である。
【0041】
以上に説明した本発明の実施形態は例として示したものである。以上に詳述した開示に対して多くの変形及び変更が実施されるが、同時にそれらは本発明の範囲内に属する。したがって、本発明の範囲は以上の記述によって制限されるべきではなく、添付の特許請求の範囲を参照するとてその均等物一切と共に判断されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】基板から離隔されたモールド、基板チャック上に置かれた基板を有するリソグラフィック・システムの簡略化された側面図である。
【図2】図1に示す基板の一区域に置かれたインプリント材料の小滴のアレイを示す平面図である。
【図3】パターン化層が載置された、図1に示す基板の簡略化された側面図である。
【図4】図1に示す基板チャックの側面図である。
【図5】図1に示す基板チャックの平面図で、基板チャックの複数の流体チャンバと流体連通する複数縦列のポンプ・システムを示す図である。
【図6】図1に示す基板チャックの平面図で、基板チャックの複数の流体チャンバと流体連通する複数横列のポンプ・システムを示す図である。
【図7】図1に示す基板チャックと基板の一部分の分解図である。
【図8】図1に示す基板の一区域のパターン形成方法を示す流れ図である。
【図9】基板の形状が変えられた、図1に示すモールド及び基板の側面図である。
【図10】図9に示すモールド及び基板の側面図で、モールドが図2に示すインプリント材料の小滴の一部に接している様を示す図である。
【図11−13】図9に示す形状を変えた基板を使用中の、図2に示す小滴の圧縮を示す平面図である。
【図14】図10に示すモールド及び基板の側面図で、基板が基板チャック上に置かれた様を示す図である。
【図15】更に別の実施形態において、図10に示す形状を変えた基板を使用中の、図2に示す小滴の圧縮を示す平面図である。
【図16】図1に示すモールド及び基板の側面図で、モールドが部分的に基板から分離された様を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体チャンバのアレイを備えるチャック・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ加工には、例えば、ナノメートル台又はそれより小さいフィーチャを有する微細構造の加工が関与する。ナノ加工が相当のインパクトを持つ1つの分野が集積回路の加工である。半導体加工業界が一層大きな生産高を追求し、同時に基板上に形成される単位面積当たりの回路数を増すにつけ、ナノ加工はますます重要になる。ナノ加工によって、より大規模なプロセス制御を可能とすると同時に、形成された構造の極小フィーチャ寸法を更に一段と縮めることが可能になる。ナノ加工が用いられてきた他の開発分野には、バイオテクノロジー、光学テクノロジー、機械システム等がある。
【0003】
典型的なナノ加工技術はインプリント・リソグラフィと一般的に称される。典型的なインプリント・リソグラフィ・プロセスが多数の刊行物に、例えば、米国特許出願第10/264960号“Method and a Mold to Arrange Features on a Substrate to Replicate Features having Minimal Dimensional Variability”の米国特許出願公開公報第2004/0065976号、米国特許出願第10/264926号”Method of Forming a Layer on a Substrate to Facilitate Fabrication of Metrology Standards”の米国特許出願公開公報第2004/0065252号、及び米国特許第6936194号公報”Functional Patterning Material for Imprint Lithography Processes”に詳細に記載されており、これら例示の案件はすべて本発明の譲受人に譲渡されている。
【0004】
前述の米国特許出願公開公報及び米国特許公報でそれぞれ開示されたインプリント・リソグラフィ技術には、レリーフ・パターンを重合可能な層に形成し、そのレリーフ・パターンに対応するパターンを下にある基板に転写することが含まれる。基板はステージに置かれ、パターン形成を容易にする所望の位置が得られる。そのため、基板から離したモールドが使用され、形成用液体がモールドと基板の間に介在する。液体は凝固してパターン化層を形成し、同層には液体に接するモールドの表面形状に合致するパターンが記録される。モールドは次いでパターン化層から分離され、モールドと基板は離隔される。基板とパターン化層は次いで、パターン化層のパターンに対応するレリーフ・イメージを基板に転写する工程に掛けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
必要に応じテンプレートの寸法を容易に変えるための改良されたチャック・システムが依然必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これは、請求項1のチャック・システムによって達成される。本発明の好ましい実施態様は従続請求項において特徴づけられる。
【0007】
本発明の実施形態を以下に図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に関し、基板12上にレリーフ・パターンを形成するためのシステム10を示す。基板12は、以下に更に説明する基板チャック14に結合させられる。基板12と基板チャック14は、ステージ16により支持される。更に、ステージ16、基板12、基板チャック14はベース(図示せず)上に位置付けされる。ステージ16は、x及びy軸の周りを動くことができる。
【0009】
基板12から離れた位置にテンプレート18があり、テンプレートは、基板12側に延びパターン形成面22を備えたメサ20を有する。メサ20はモールド20と称されることもある。メサ20は、ナノインプリント・モールド20と称されることもある。別の実施形態においては、テンプレート18に実質的にはモールド20が無い場合もある。テンプレート18及び/又はモールド20は、融解石英、石英、シリコン、有機ポリマー、シロキサン・ポリマー、ホウケイ酸ガラス、フッ素樹脂、金属、硬化サファイア等を含む材料から形成されるが、これらに限らない。図示の通り、パターン形成面22は、複数の分離された凹溝24と凸部26によって形成されたフィーチャを備える。しかし、別の実施形態において、パターン形成面22は実質的に円滑及び/又は平坦とされる場合もある。パターン形成面22は、基板12上に形成されるパターンの基礎を形成するオリジナル・パターンを決める。テンプレート18はテンプレート・チャック28と結合され、テンプレート・チャック28は、本明細書に援用する米国特許第6873087号「High−Precision Orientation Alignment and Gap Control Stages for Imprint Lithography Process」に記載の真空式、ピン形、溝形、電磁式を含む任意のチャックでよいが、これらに限らない。更に、テンプレート・チャック28は、テンプレート18、且つしたがってモールド20を動かすために、インプリント・ヘッド30と結合される。
【0010】
システム10は、更に流体分配システム32を備える。流体分配システム32は、基板12と流体連通し、それによって高分子材料34を基板に堆積させることが可能である。システム10は、任意の数の流体分配器を含むことが可能で、流体分配システム32は、複数の分配ユニットをシステム内に含むことが可能である。高分子材料34は、知られている任意の技法、例えば滴下分配、スピン・コーティング、浸漬塗装、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、薄膜堆積、厚膜堆積、その他を使用して基板12上に配置される。図2に示す通り、高分子材料34は、基板12上に複数の離隔された小滴36として堆積され、マトリックス・アレイ38が形成される。一例においては、各小滴36の単位ボリュームは約1〜10ピコリットルである。マトリックス・アレイ38の小滴36は、5つの縦列c1〜c5及び5つの横列r1〜r5に配列されている。しかし、小滴36は任意の二次元構成で基板12上に配列可能である。一般には、高分子材料34は、所望のボリュームがモールド20と基板12の間に形成されるより前に、基板12上に配置される。しかし、高分子材料34は、所望のボリュームが得られた後にボリュームを満たすことも可能である。
【0011】
図1から3に関し、システム10は、エネルギー42を経路44沿いに向けるように結合されるエネルギー42のソース40を更に備える。インプリント・ヘッド30とステージ16は、モールド20と基板12が重なって経路44に配置されるように構成される。インプリント・ヘッド30かステージ16のいずれか、又は双方により、モールド20と基板12の間の間隔が変わることによって、その間が高分子材料34によって満たされる所望のボリュームが形成される。より具体的には、小滴36が凹溝24に進入し且つこれを満たす。パターン形成面22によって形成されたパターンを小滴36が満たすのに要する時間を、モールド20の充填時間と定める。所望のボリュームが高分子材料34により満たされた後、ソース40は広帯域紫外線放射等のエネルギーを発し、それによって高分子材料34が凝固し及び/又は架橋され、基板12の表面46とパターン形成面22の形状に合わせて基板12上にパターン化層48が形成される。パターン化層48は、残留層50と、凸部52や凹部54として示す複数のフィーチャとを備える。システム10は、ステージ16、インプリント・ヘッド30、流体分配システム32、ソース40とデータ通信し、メモリ58に格納されたコンピュータ読取り可能なプログラムに作用するプロセッサ56によって調整される。
【0012】
図1及び図4から6を参照すると、上述の通り、システム10は基板チャック14を備える。基板チャック14は、真空技術を使用して基板12を保持するようにされている。基板チャック14は、対向する第1と第2のサイド(側)62、64を有するチャック本体60を備える。対向する第1及び第2のサイド62、64の間に側面すなわち端縁面66が延びている。第1のサイド62は、複数の流体チャンバ68を備える。図示のように、基板チャック14は流体チャンバ68a〜68uを備えるが、別の実施形態においては、基板チャック14は任意の数の流体チャンバを備えることが可能である。図示の通り、流体チャンバ68a〜68uは5つの縦列a1〜a5及び5つの横列b1〜b5のアレイとして配置される。しかし、流体チャンバ68は、任意の二次元配置でチャック本体60上に配置可能である。図解を簡潔にするため、縦列a1〜a5及び横列b1〜b5は、図5、6にそれぞれ別々に示す。
【0013】
図4から6に関し、各流体チャンバ68は、支持区域74と第2支持区域76を区画する、第1凹溝70と、第1凹溝70から分離した第2凹溝72とを備えている。第2支持区域76は第2凹溝72を取り囲む。第1支持区域74は第2支持区域76と、第1及び第2凹溝70、72とを取り囲む。チャック本体60内には、複数の通路78、80が形成され、各流体チャンバ68をポンプ・システム82、84にそれぞれ流体連通させる。より具体的には、流体チャンバ68の各第1凹溝70は通路78を介してポンプ・システム82と流体連通し、各第2凹溝72は通路80を介してポンプ・システム84と流体連通している。各ポンプ・システム82、84は、1つ又は複数のポンプをシステム内に含む。
【0014】
図4、5を参照すると、縦列a1〜a5の流体チャンバ68における、各第1凹溝70は通路78を介してポンプ・システム82と流体連通している。より具体的には、縦列a1の流体チャンバ68d、68i、68nの第1凹溝70は通路78aを介してポンプ・システム82aと流体連通し、縦列a2の流体チャンバ68a、68e、68j、68o、68sの第1凹溝70は通路78bを介してポンプ・システム82bと流体連通し、縦列a3の流体チャンバ68b、68f、68k、68p、68tの第1凹溝70は通路78cを介してポンプ・システム82cと流体連通し、縦列a4の流体チャンバ68c、68g、68l、68q、68uの第1凹溝70は通路78dを介してポンプ・システム82dと流体連通し、且つ縦列a5の流体チャンバ68h、68m、68rの第1凹溝70は通路78eを介してポンプ・システム82eと流体連通している。
【0015】
図4、6を参照すると、更に、横列b1〜b5の流体チャンバ68の各第2凹溝72は通路80を介してポンプ・システム84と流体連通している。より具体的には、横列b1の流体チャンバ68a、68b、68cの第2凹溝72は通路80aを介してポンプ・システム84aと流体連通し、横列b2の流体チャンバ68d、68e、68f、68g、68hの第2凹溝72は通路80bを介してポンプ・システム84bと流体連通し、横列b3の流体チャンバ68i、68j、68k、68l、68mの第2凹溝72は通路80cを介してポンプ・システム84cと流体連通し、横列b4の流体チャンバ68n、68o、68p、68q、68rの第2凹溝72は通路80dを介してポンプ・システム84dと流体連通し、且つ流体チャンバ68s、68t、68uの第2凹溝72は通路80eを介してポンプ・システム84eと流体連通している。
【0016】
図1及び図4から6を参照すると、基板12が基板チャック14上に位置付けされるとき、基板12はチャック本体60の第1面62に載せられ、流体チャンバ68を覆い、より具体的には、各流体チャンバ68の第1及び第2凹溝70、72を覆う。更に具体的には、流体チャンバ68の各第1凹溝70と基板12の一部が重なって、第1チャンバ86を形成し、且つ流体チャンバ68の各第2凹溝72と基板12の一部が重なって、第2チャンバ88を形成する。更に、ポンプ・システム82が作用することにより第1チャンバ86内の加圧/真空が制御され、ポンプ・システム84が作用することによって第2チャンバ88内の加圧/真空が制御される。第1チャンバ86、88内の加圧/真空は、基板12の形状を変えている間に、基板12の基板チャック14からの分離を回避しないまでも低減させる。追って更に説明する。ポンプ・システム82、84は、プロセッサ56とデータ通信し、メモリ58に格納されたコンピュータ読取り可能なプログラムに作用してポンプ・システム82、84を制御する。
【0017】
図4、5を参照すると、更に具体的には、ポンプ・システム82aは、縦列a1の流体チャンバ68d、68i、68nの第1チャンバ86内の加圧/真空を制御するように作用し、ポンプ・システム88bは、縦列a2の流体チャンバ68a、68e、68j、68o、68sの第1チャンバ86内の加圧/真空を制御するように作用し、ポンプ・システム88cは、縦列a3の流体チャンバ68b、68f、68k、68p、68tの第1チャンバ86内の加圧/真空を制御するように作用し、ポンプ・システム88dは縦列a4の流体チャンバ68c、68g、68l、68q、68uの第1チャンバ86内の加圧/真空を制御するように作用し、且つポンプ・システム88eは縦列a5の流体チャンバ68h、68m、68rの第1チャンバ86内の加圧/真空を制御するように作用する。
【0018】
図4及び6を参照すると、尚更に、ポンプ・システム84aは横列b1の流体チャンバ68a、68b、68cの第2チャンバ88内の加圧/真空を制御するように作用し、ポンプ・システム84bは横列b2の流体チャンバ68d、68e、68f、68g、68hの第2チャンバ88内の加圧/真空を制御するように作用し、ポンプ・システム84cは横列b3の流体チャンバ68i、68j、68k、68l、68mの第2チャンバ88内の加圧/真空を制御するように作用し、ポンプ・システム84dは横列b4の流体チャンバ68n、68o、68p、68q、68rの第2チャンバ88内の加圧/真空を制御するように作用し、且つポンプ・システム84eは横列b5の流体チャンバ68s、68t、68uの第2チャンバ88内の加圧/真空を制御するように作用する。
【0019】
図4から7を参照すると、各流体チャンバ68は、以下に更に説明する所望の用途により、1)チャンバに関係してチャックされた状態か、又は2)チャックされない/湾曲状態を有する。より具体的には、上述の通り、第1及び第2チャンバ86、88は第1及び第2凹溝70、72にそれぞれ関係する。そのため、基板12の一部分に掛かる力は、基板12のその一部分と重なる第1及び第2凹溝の面積の大きさと、基板12のその一部分と重なる第1及び第2チャンバ86、88内の加圧/真空の大きさによって決まる。より具体的には、流体チャンバ68のサブセットと重なる基板12の一部分90に対しては、一部分90に掛かる力は、第1チャンバ86に対して第1凹溝70と重なる一部分90の小部分92に掛かる力F1と、第2チャンバ88に対して第2凹溝72と重なる一部分90の小部分94に掛かる力F2とを併せた力とされる。図示の通り、力F1、F2とも基板12から離れる方向に向かう。しかし、力F1、F2は基板12側に向かう場合もある。更に、力F1、F2は対向方向に向かう場合もある。そのため、小部分92に掛かる力F1は以下の通り定められ、
F1=A1×P1 (1)
式中、A1は第1凹溝70の面積で、P1は第1チャンバ86に関係する加圧/真空であり、小部分94に掛かる力F2は以下の通り定められ、
F2=A2×P2 (2)
式中、A2は第2凹溝72の面積で、P1は第2チャンバ88に関係する加圧/真空である。流体チャンバ68に関係する力F1、F2は、包括的に基板チャック14によって基板12に掛かるチャック力Fcと称される。
【0020】
図1及び図4から6を参照すると、その目的のため、特に、小滴36、基板12、モールド20の間の空間的関係により、別々の流体チャンバ68を別々の状態とすることが望まれる場合があろう。第1及び第2チャンバ86、88の状態は、力F1、F2の方向次第による。より具体的には、基板12を向く方向の力F1に対し、第1チャンバ86は加圧状態とされ、基板12から離れる方向の力F1に対し、第1チャンバ86は真空状態とされ、基板12を向く方向の力F2に対し、第2チャンバ88は加圧状態とされ、且つ基板12から離れる方向の力F2に対し、第2チャンバ88は真空状態とされる。
【0021】
そのため、第1及び第2チャンバ86、88がそれぞれ2つの異なる状態となる可能性がある結果、流体チャンバ68は関係する4通りの組み合わせのうち1つの状態となる。下の表1に、第1及び第2チャンバ86、88内の真空/加圧の4通りの組み合わせとその結果による流体チャンバ68の状態を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
第1及び第4の組み合わせにおいては、第1及び第2チャンバ86、88が状態を同じくする。より具体的には、第1の組み合わせでは、第1チャンバ86が真空状態にあり且つ第2チャンバ88が真空状態にあり、その結果、流体チャンバ68はチャックされた状態とされる。更に、第4の組み合わせでは、第1チャンバ86が加圧状態にあり且つ第2チャンバ88が加圧状態にあり、その結果、流体チャンバ68はチャックされない/湾曲状態とされる。
【0024】
第2及び第3の組み合わせにおいては、第1及び第2チャンバ86、88が異なる状態とされる。しかし、流体チャンバ68はチャックされた状態とされる。そのため、第1及び第2凹溝70、72の面積A1及びA2の比率は、第1及び第2チャンバ86、88に関係する与えられた圧力Kp及び与えられた真空Kvについて、第1及び第2チャンバ86、88の真空状態に関係する力F1、F2の力の大きさが第1及び第2チャンバ86、88の加圧状態に関係する残余の力F1、F2の大きさに勝る比率とされる。そのため、上述の第2の組み合わせでは、第1チャンバ86は真空状態、第2チャンバ88は加圧状態とされる。
【0025】
真空状態である流体チャンバ68に対しては、
|F1|>|F2| (3)
したがって、上述の式(1)及び(2)を用い、
|A1×KV|>|A2×KP| (4)
したがって、第1及び第2凹溝70、72それぞれの面積A1とA2の比率は、
A1/A2>|KP/KV| (5)
【0026】
上述の第3の組み合わせにおいては、第1チャンバ86は加圧状態とされ、第2チャンバ88は真空状態とされる。そのため、流体チャンバ68が真空状態とされるには、
|F2|>|F1| (6)
且つしたがって、上述の式(1)及び(2)を用い、
|A2×KV|>|A1×KP| (7)
且つしたがって、第1及び第2凹溝70、72それぞれの面積A1とA2の比率は、
A1/A2<|KV/KP| (8)
【0027】
そのため、第1及び第2チャンバ86、88の状態が異なるときに流体チャンバ68が真空状態とされるには、第1及び第2凹溝70、72それぞれの面積A1とA2は明らかに以下のように定められる。
|KP/KV|<A1/A2<|KV/KP| (9)
【0028】
一例においては、Kpは約40kPaとされ、Kvは約−80kPaとされ、したがって、面積A1対A2の比率は以下のように定められる。
0.5<A1/A2<2. (10)
【0029】
更に、チャックされない/湾曲状態にある流体チャンバ68内の圧力の大きさを変えることが可能である。より具体的には、メモリ58に格納されたコンピュータ読取り可能なプログラムに作用するプロセッサ56は、ポンプ・システム82、84と電気的に連通する結果、ポンプ・システム82、84を介して第1及び第2チャンバ86、88内の圧力の大きさを変えることが可能である。
【0030】
図1から3を参照すると、前述の通り、モールド20と基板12の間の間隔は、高分子材料34によって満たされる所望のボリュームをそれらの間に決めるように、変えられる。更に、凝固した後、高分子材料34は基板12の表面及びパターン形成面22の形状に合わせ、基板12上にパターン化層48を形成する。そのため、マトリックス・アレイ38の小滴36の間に形成されたボリューム96にはガスが存在する。このガス及び/又はガス・ポケットは、空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム等のガスであるが、これらに限らない。基板12とモールド20の間のガスは、主に基板12とモールド20の平面度に起因する。そのため、前述したモールド20の充填時間の短縮が望まる。充填時間は、基板12とモールド20の間やパターン化層48内のガス及び/又はガス・ポケットが、基板12とモールド20の間から排出され及び/又は高分子材料34中に溶解し及び/又は高分子材料34中に拡散するのに要する時間に特に依存する。そのため、モールド20と基板12の間のガスのトラッピングを防止しないまでも最小にする方法とシステムを以下に説明する。
【0031】
図1、8を参照すると、基板12とモールド20の間のガスを放出する方法を示す。より具体的には、ステップ100で、前述の通り、高分子材料34が滴下分配法、スピン・コーティング、浸漬被覆法、化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PVD)、薄膜堆積法、厚膜堆積法、その他によって基板12上に置かれる。別の実施形態では、高分子材料34をモールド20に置くことが可能である。
【0032】
図5、6、8、9を参照すると、ステップ102で、基板12の形状は、モールド20と基板12の間に基板12の中央部分での間隔d1が、モールド20と基板12の間に基板12の残余部分での間隔より小さくなるように変えることが可能である。一例においては、間隔d1は、間隔d2、即ち基板12の端縁での間隔を下回る。更に別の実施形態では、間隔d1は基板12のどの所望の部位でも決めることができる。基板12の形状は、複数の流体チャンバ68内の加圧/真空を制御することによって変えることが可能である。より具体的には、基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68がチャックされない/湾曲状態にあり、それによって基板12の一部分98はモールド20側に且つ基板チャック14から離れて湾曲する。更に、チャックされない/湾曲状態の基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68と同時に、基板12の一部分99と重なる残余の流体チャンバ68はチャックされた状態にあり、基板12は基板チャック14に保持される。
【0033】
図7、10、11を参照すると、ステップ104で、図1に関して前述した通り、図1に示したインプリント・ヘッド30とステージ16の一方、或いは双方を、図9に示した間隔d1をモールド20の一部分が小滴36の一部分に接するように変えることが可能である。図示の通り、モールド20の中央部分は、モールド20の残余部分が小滴36中の残余の小滴に接するより先に、小滴36の一部分に接する。しかし、別の実施形態では、モールド20の任意の部分がモールド20の残余部分より先に小滴36に接触する。そのため、図示の通り、モールド20は図2に示した縦列c3に関係する全ての小滴36にほぼ同時に接する。それによって、小滴36は広がり、高分子材料34による一続きの液体シート120を生成する。液体シート120の端縁122a、122bは、ボリューム96のガスを端縁128a、128b、128c、128d側に押し出すように作用する液−ガス境界124a、124bをそれぞれ形成する。縦列c1〜c5の小滴36間のボリューム96はガス流路を形成し、同流路によってガスは端縁128a、128b、128c、128d側に押し進められる。その結果、液−ガス境界124a、124bは、ガス流路と共に液体シート120のガスのトラッピングを防止しないまでも低減させる。
【0034】
図4から6及び図8を参照すると、ステップ106で、図1に関して前述したように、モールド20と基板12の間に形成された所望のボリュームが高分子材料34によって満たされるように、間隔d1を更に狭めて基板12の形状を更に変える。より具体的には、基板12の形状は、間隔d1をインプリント・ヘッド30か、ステージ16、又は双方を介して更に狭めるとともに、流体チャンバ68を介して変えることが可能である。更に具体的には、前述の通り、図9に示す基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68の第1及び第2チャンバ86、88内の圧力の大きさを変えることが可能である。そのため、図9に示す間隔d1が狭まると、図9に示す基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68の第1及び第2チャンバ86、88内の圧力の大きさが減少される。図9に示す間隔d1が狭まり、図9に示す基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68の第1及び第2チャンバ86、88内の前述圧力が下がった結果、図2に示す縦列c2とc4の小滴36に関係する高分子材料34が広がり、図12に示すように一続きの流体シート120に含まれるようになる。図9に示す間隔d1は、図9に示す基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68の第1及び第2チャンバ86、88内の圧力の大きさの減少とともに更に狭まり、それによって、モールド20が次いで縦列c1とc5に関係する小滴36と接触し、これと関係する高分子材料34が広がり、図13に示すように一続きのシート120に含まれるようになる。更に別の実施形態では、基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68の第1及び第2チャンバ86、88内の圧力を減少させることによって、図14に示すように、基板12の一部分98を基板チャック14上に位置付けさせる。更に別の実施形態においては、基板12の一部分98と重なる流体チャンバ68の第1及び第2チャンバ86、88は、小滴36の広がりに続いて内部を真空とされる。
【0035】
図8、13を参照すると分かるように、境界124a、124bがそれぞれ端縁128c、128a側に移動したため、図11に示す残余のボリューム96のガスが両端縁に達する経路に妨げが無くなる。これによって、図11に示すボリューム96のガスは、モールド20と基板12の間から端縁128a、128b、128c、128dに向かって追い出される。このようにして、基板12とモールド20の間及び図3に示すパターン化層48内のガス及び/又はガス・ポケットのタッピングは、防止されないまでも最小限に留められる。
【0036】
図1、8を参照すると、ステップ108で、図1に関して前述した通り、高分子材料34は次いで凝固及び/又は架橋し、図3に示すパターン化層48が形成される。次いでステップ110で、モールド20がパターン化層48から分離される。
【0037】
図1、8、15を参照すると、前述の通り、基板12の形状は第1の方向沿いに変えられる。しかし、更に別の実施形態では、基板12の形状は第1及び、第1方向に対し直交して延びている第2方向に同時に変えられてもよい。より具体的には、図10に関して前述したように、基板12の中央部分がモールド20に接し、且つしたがって、小滴36の中央部分が小滴36の残余の小滴がモールド20に接するより先にモールド20に接するように基板12を変える。それによって、小滴36が広がり且つ高分子材料34の一続きの液体シート120を生成し、ボリューム96のガスを外向き半径方向に押し出す作用をする一続きの液体−ガス境界124が形成される。一例においては、液体シート120の液体−ガス境界124が円形又は円に近い形で拡張し、ボリューム96のガスを端縁128a、128b、128c、128d側に外向き半径方向に押し出す作用をする。しかし、更に別の実施形態では、基板12の形状は任意の方向に変えて、ボリューム96のガスを端縁128a、128b、128c、128d側に外向き半径方向に押し出し易くするように、所望の半球形状、円筒状ほか任意の幾何学形状の液体シート120を生成し、それによって図3に示す基板12及びモールド20とパターン化層48の間のガス及び/又はガス・ポケットのトラッピングを防止しないまでも最小にすることが可能である。更に別の実施形態では、第1及び第2チャンバ86、88の一部の横列又は縦列をそれぞれ加圧/真空が生じない状態とする。
【0038】
図16を参照すると、更に別の実施形態においては、基板チャック14を更に使用してモールド20と基板12上に置かれたパターン化層48との間の分離を容易にする。より具体的には、モールド20のパターン化層48からの分離は分離力Fsをテンプレート18とモールド20に掛けることによって達成される。分離力Fsは、モールド20とパターン化層48の間の密着力と歪み(変形)に対する基板12の抵抗を克服するのに充分な大きさとされる。基板12の一部分の変形はモールド20のパターン化層48からの分離を促進すると考えられる。そのため、モールド20のパターン化層48からの分離を達成するための分離力Fsの大きさを最小にすることが望まれる。分離力Fsの大きさを最小にすることによって、特に、モールド20と基板12の間の整合が促進され、テンプレート全面域に対するテンプレート・パターン化面域の比率が増大し、テンプレート18、モールド20、基板12、パターン化層48の構造を損傷する可能性を最小にする。
【0039】
そのため、前述のように、流体チャンバ68内の圧力の大きさを変えることが可能である。そのため、モールド20をパターン化層48から分離中に、基板12の一部分13と重なる流体チャンバ68をチャックされない/湾曲状態とする。その結果、基板12の一部分13と重なる流体チャンバ68は、チャック力Fc、図7に示す力F1、F2を分離力Fsの方向とほぼ同じ方向に加える。その結果、モールド20をパターン化層48から分離するために必要な分離力Fsの大きさが減少する。より具体的には、基板12の一部分13と重なるチャック力Fcの大きさが基板12の一部分13の歪み(変形)を促すように分離力Fsに応じて定められる。基板12の一部分13と重なるチャック力Fcの大きさは、分離力Fsを受けたときに基板12の一部分13以外の部分が基板チャック14上に保持される所望の値としてよいことに留意されたい。
【0040】
図1を参照すると、更に別の実施形態では、基板チャック14を介して基板12を曲げる前述の方法は、テンプレート18/モールド20にも同様に適用可能である。より具体的には、テンプレート18/モールド20を基板チャック14上に置き、基板12に対して、上述したのと実質的に同じ方法で、テンプレート18/モールド20を曲げることが可能である。そのため、曲がりやすくするためテンプレート18/モールド20の厚さを1mmとする。更に別の実施形態においては、基板チャック14に代え、或いはこれと共に複数のアクチュエータを使用して基板12を変えることも可能である。
【0041】
以上に説明した本発明の実施形態は例として示したものである。以上に詳述した開示に対して多くの変形及び変更が実施されるが、同時にそれらは本発明の範囲内に属する。したがって、本発明の範囲は以上の記述によって制限されるべきではなく、添付の特許請求の範囲を参照するとてその均等物一切と共に判断されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】基板から離隔されたモールド、基板チャック上に置かれた基板を有するリソグラフィック・システムの簡略化された側面図である。
【図2】図1に示す基板の一区域に置かれたインプリント材料の小滴のアレイを示す平面図である。
【図3】パターン化層が載置された、図1に示す基板の簡略化された側面図である。
【図4】図1に示す基板チャックの側面図である。
【図5】図1に示す基板チャックの平面図で、基板チャックの複数の流体チャンバと流体連通する複数縦列のポンプ・システムを示す図である。
【図6】図1に示す基板チャックの平面図で、基板チャックの複数の流体チャンバと流体連通する複数横列のポンプ・システムを示す図である。
【図7】図1に示す基板チャックと基板の一部分の分解図である。
【図8】図1に示す基板の一区域のパターン形成方法を示す流れ図である。
【図9】基板の形状が変えられた、図1に示すモールド及び基板の側面図である。
【図10】図9に示すモールド及び基板の側面図で、モールドが図2に示すインプリント材料の小滴の一部に接している様を示す図である。
【図11−13】図9に示す形状を変えた基板を使用中の、図2に示す小滴の圧縮を示す平面図である。
【図14】図10に示すモールド及び基板の側面図で、基板が基板チャック上に置かれた様を示す図である。
【図15】更に別の実施形態において、図10に示す形状を変えた基板を使用中の、図2に示す小滴の圧縮を示す平面図である。
【図16】図1に示すモールド及び基板の側面図で、モールドが部分的に基板から分離された様を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するためのチャック・システムであって、
第1及び第2の対向するサイドを有し、前記第1のサイドは流体チャンバを含むチャック本体を備え、
前記流体チャンバは、第1及び第2の分離された支持区域を区画する第1及び第2の分離された凹溝を備え、前記第1支持区域が前記第2支持区域と前記第1及び第2凹溝とを取り囲み、且つ前記第2支持区域が前記第2凹溝を取り囲み、前記基板は、前記第1及び第2支持区域に載り、
前記第1凹溝及びこれと重なる前記基板の一部分が第1チャンバを形成し、且つ前記第2凹溝及びこれと重なる前記基板の一部分が第2チャンバを形成し、
前記第1チャンバ及び前記第2チャンバは流体の別々のソースと流体連通して前記流体チャンバ内の流体の流れを制御することを特徴とするチャック・システム。
【請求項2】
前記第1及び第2チャンバと流体連通して、前記第1及び第2チャンバ内の圧力を前記第1及び第2チャンバの一方が正圧とされ且つ前記第1及び第2チャンバの他方のチャンバが負圧とされるように制御する圧力制御システムであって、前記第1及び第2チャンバの一方内の与えられた正圧及び前記第1及び第2チャンバの他方のチャンバ内の与えられた負圧に対して、前記第1及び第2凹溝の面積の比率が、前記流体チャンバが前記流体チャンバと重なる前記基板の一部分に負力を掛ける比率とされる圧力制御システムを更に備える請求項1に記載のチャック・システム。
【請求項3】
複数の流体チャンバを更に含む請求項1又は2に記載のチャック・システム。
【請求項4】
前記第1及び第2チャンバをそれぞれ前記圧力制御システムと流体連通させる第1及び第2通路を更に含む請求項1、2又は3に記載のチャック・システム。
【請求項5】
前記圧力制御システムは流体の複数のソースを備える前記請求項のいずれかに記載のチャック・システム。
【請求項6】
前記システムは横列及び縦列に配置された流体チャンバのアレイを更に含み、前記第1チャンバの各縦列及び前記第2チャンバの各横列が流体の前記複数のソースのうち別々のソースと流体連通することによって流体チャンバの前記アレイにおける流体の流れを制御する、前記請求項のいずれかに記載のチャック・システム。
【請求項7】
縦列の前記流体チャンバの各第1チャンバが共通の流体ソースと流体連通する請求項6に記載のチャック・システム。
【請求項8】
横列の前記流体チャンバの各第2チャンバが共通の流体ソースと流体連通する請求項6に記載のチャック・システム。
【請求項9】
縦列の前記流体チャンバの各第1チャンバが第1の共通の流体ソースと流体連通し、且つ横列の前記流体チャンバの各第2チャンバが前記第1の共通流体ソースと異なる第2の共通の流体ソースと流体連通する請求項6に記載のチャック・システム。
【請求項10】
流体チャンバの前記アレイの或る流体チャンバが、流体チャンバの前記アレイの他の流体チャンバと区別され封止される請求項6に記載のチャック・システム。
【請求項11】
複数の通路を更に含み、各縦列の前記第1チャンバ及び各横列の前記第2チャンバは別々の通路に接続され、それによって前記第1及び第2チャンバは前記別々の流体ソースと流体連通する請求項6に記載のチャック・システム。
【請求項1】
基板を保持するためのチャック・システムであって、
第1及び第2の対向するサイドを有し、前記第1のサイドは流体チャンバを含むチャック本体を備え、
前記流体チャンバは、第1及び第2の分離された支持区域を区画する第1及び第2の分離された凹溝を備え、前記第1支持区域が前記第2支持区域と前記第1及び第2凹溝とを取り囲み、且つ前記第2支持区域が前記第2凹溝を取り囲み、前記基板は、前記第1及び第2支持区域に載り、
前記第1凹溝及びこれと重なる前記基板の一部分が第1チャンバを形成し、且つ前記第2凹溝及びこれと重なる前記基板の一部分が第2チャンバを形成し、
前記第1チャンバ及び前記第2チャンバは流体の別々のソースと流体連通して前記流体チャンバ内の流体の流れを制御することを特徴とするチャック・システム。
【請求項2】
前記第1及び第2チャンバと流体連通して、前記第1及び第2チャンバ内の圧力を前記第1及び第2チャンバの一方が正圧とされ且つ前記第1及び第2チャンバの他方のチャンバが負圧とされるように制御する圧力制御システムであって、前記第1及び第2チャンバの一方内の与えられた正圧及び前記第1及び第2チャンバの他方のチャンバ内の与えられた負圧に対して、前記第1及び第2凹溝の面積の比率が、前記流体チャンバが前記流体チャンバと重なる前記基板の一部分に負力を掛ける比率とされる圧力制御システムを更に備える請求項1に記載のチャック・システム。
【請求項3】
複数の流体チャンバを更に含む請求項1又は2に記載のチャック・システム。
【請求項4】
前記第1及び第2チャンバをそれぞれ前記圧力制御システムと流体連通させる第1及び第2通路を更に含む請求項1、2又は3に記載のチャック・システム。
【請求項5】
前記圧力制御システムは流体の複数のソースを備える前記請求項のいずれかに記載のチャック・システム。
【請求項6】
前記システムは横列及び縦列に配置された流体チャンバのアレイを更に含み、前記第1チャンバの各縦列及び前記第2チャンバの各横列が流体の前記複数のソースのうち別々のソースと流体連通することによって流体チャンバの前記アレイにおける流体の流れを制御する、前記請求項のいずれかに記載のチャック・システム。
【請求項7】
縦列の前記流体チャンバの各第1チャンバが共通の流体ソースと流体連通する請求項6に記載のチャック・システム。
【請求項8】
横列の前記流体チャンバの各第2チャンバが共通の流体ソースと流体連通する請求項6に記載のチャック・システム。
【請求項9】
縦列の前記流体チャンバの各第1チャンバが第1の共通の流体ソースと流体連通し、且つ横列の前記流体チャンバの各第2チャンバが前記第1の共通流体ソースと異なる第2の共通の流体ソースと流体連通する請求項6に記載のチャック・システム。
【請求項10】
流体チャンバの前記アレイの或る流体チャンバが、流体チャンバの前記アレイの他の流体チャンバと区別され封止される請求項6に記載のチャック・システム。
【請求項11】
複数の通路を更に含み、各縦列の前記第1チャンバ及び各横列の前記第2チャンバは別々の通路に接続され、それによって前記第1及び第2チャンバは前記別々の流体ソースと流体連通する請求項6に記載のチャック・システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2009−532899(P2009−532899A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504203(P2009−504203)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/007487
【国際公開番号】WO2007/126767
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(503193362)モレキュラー・インプリンツ・インコーポレーテッド (94)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/007487
【国際公開番号】WO2007/126767
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(503193362)モレキュラー・インプリンツ・インコーポレーテッド (94)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]