説明

流体ブローガン

【課題】 気体のみの噴射、あるいは液体と気体とを混合した混合体の噴射を簡単な操作で選択できるようにした流体ブローガンを提供すること。
【解決手段】 ガンハウジング1を貫通する貫通孔2からなる第1流通路と、前記第1流通路の開閉を行うエアー開閉弁機構20と、前記エアー開閉弁機構20を作動させる第1操作レバー15と、を有するエアーガンEGと、前記エアーガンの噴射口に連結される液体噴射ユニットRUと、を備えた流体ブローガンGにおいて、前記液体噴射ユニットRUは、一端に前記エアーガンEGの噴射口に連結される開口部と、他端に噴射口を有し、アダプタハウジング60を貫通する貫通孔からなる第2流通路と、前記第2流通路を開閉する流体開閉弁機構70と、前記流体開閉弁機構70を作動させる第2操作レバー40と、で構成し、この液体噴射ユニットRUを前記エアーガンEGに回動自在に連結した流体ブローガン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体及び液体等の流体をノズル口から噴射させる流体ブローガンに係り、さらに詳しくは、気体のみの噴射、あるいは気体と液体との混合体の噴射を簡単な操作で行なえるようにした流体ブローガンに関する。
【背景技術】
【0002】
流体ブローガンは、引き金部材を引くことによって、気体及び液体等の流体をノズル口から所定量を調節しながら噴射させることができるようになっている。(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
図12は、下記特許文献1に記載のスプレーガンを示す側面図である。
下記特許文献1(特開平10−5636号公報)に記載のスプレーガン500は、グリップ部410、引き金420、スプレーパターン調節機構430、空気キャップ440、塗料ニップル510、塗料噴出量調節装置520、ニードル弁530、塗料ノズル540、空気ニップル610、空気弁630を備えている。
このスプレーガン500は、先ず、塗料ニップル510に塗料ホースの一端を接続し、空気ニップル610に空気ホースの一端を接続する。次いで、両ホースの他端を塗料タンク(図示省略)に接続して、加圧空気の作用により塗料をスプレーガン500の塗料ノズル540から噴射させるようになっている。
【0004】
また、下記特許文献2(特開2003−322104号公報)には、ハンドグリップ内に減圧弁を内蔵したエアーガン110が紹介されている。
図13は下記特許文献2に記載のエアーガンを示し、一部を断面図とした側面図である。このエアーガン110は、常圧で駆動させるようにしたエアー駆動器に減圧弁111を内蔵させると共に、高圧エアー供給システムと接続可能なプラグ112を設け、減圧弁の一次側ポート115をプラグ112と連動させ、減圧弁111の二次側ポート116をエアーガン110の駆動部に連通させると共に、減圧弁111の二次側圧力を常圧工具の作動領域の圧力に設定したものである。
これらのスプレーガン及びエアーガン、いわゆる流体ブローガンは、それぞれ固有の特徴を有している。例えば、特許文献2に記載されたエアーガンは、ハンドグリップ部分に減圧弁を内蔵することにより、減圧弁をエアーガンに外付けする必要がないのでエアーガンをコンパクトに構成できる。
【0005】
【特許文献1】特開平10−5636号公報(図5、段落〔0003〕、〔0004〕)
【特許文献2】特開2003−322104号公報(図1、段落〔0009〕〜〔00013〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の流体ブローガンは、機械製造工場、プラスチック成形工場、自動車修理工場など、様々な工場及び工場施設で使用され、一方で、扱う液体は、洗浄液、塗料、塗装液、ムース剤、防錆剤、錆黒化状液体などの各種液状体、またその他の各種の油、水など、使用目的によって多種多様となってきている。
このような状況の下で、これまでの流体ブローガンに対して、ユーザーから種々の要求が出されている。以下、その要求事項を幾つか例示すると、
先ず、気体のみの噴射、気体と流体との混合体の噴射の切換えを極めて簡単な操作、例えば片手で簡単に切換えるようにできないか、液体と気体との混合比の変更を簡単な操作でできないか、また、引き金を引き続けることなく連続噴射ができないか、さらに貯留タンクに詰められた液体が使い切れずに残ってしまうので、最後まで使い切れるようにできないか、等々がある。
また、一方で、この種の流体ブローガンは、各種のコンプレッサに連結して使用されるので、このコンプレッサから供給されるエアー圧を減圧しなければならない場合がしばしば発生する。
このような場合に、上記特許文献2に記載されたエアーガンのようにグリップ部分に減圧弁を内蔵したものもあるが、減圧の設定値が固定されており、変更できないので、変更し得るようにできないか、また、内部のパーツが故障するので簡単に修理、取り換えができないか、等々である。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された流体ブローガンでは、これらの要求を十分に満たすことができない。
【0008】
そこで、本発明は、これらの要求事項に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、
気体のみの噴射、あるいは液体と気体とを混合した混合体の噴射を簡単な操作で選択できるようにした流体ブローガンを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、上記の目的に加え、混合体の比率を簡単に調節できるようにした流体ブローガンを提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、貯留タンク内の流体を最後まで使い切れるようにした流体ブローガンを提供することにある。
【0011】
さらにまた、本発明の他の目的は、減圧値の設定を変更可能な減圧弁を内蔵した流体ブローガンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の流体ブローガンは、一端に流入口、他端に噴射口を有し、ガンハウジングを貫通する貫通孔からなる第1流通路と、
前記第1流通路の開閉を行うエアー開閉弁機構と、
前記エアー開閉弁機構を作動させる第1操作レバーと、を有するエアーガンと、
前記エアーガンの噴射口に連結される液体噴射ユニットと、を備えた流体ブローガンにおいて、
前記液体噴射ユニットは、
一端に前記エアーガンの噴射口に連結される開口部と、他端に噴射口を有し、アダプタハウジングを貫通する貫通孔からなる第2流通路と、
前記第2流通路を開閉する流体開閉弁機構と、
前記流体開閉弁機構を作動させる第2操作レバーと、
で構成し、この液体噴射ユニットを前記エアーガンに回動自在に連結したことを特徴とする。この場合、第1、第2操作レバーとしては、棒状の操作桿であってもよく、あるいは引き金部材であっても良い。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の流体ブローガンに係り、前記第2操作レバーは、前記液体供給ユニットに固定され、この操作レバーの回動により前記液体供給ユニットが回動されることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2の流体ブローガンに係り、前記第1、第2操作レバーは、それぞれ引き金部材を備え、これら引き金部材は所定の間隔をあけてタンデムに配設されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項3の流体ブローガンに係り、前記第2操作レバーは、複数個の引き金部材を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1の流体ブローガンに係り、前記第2操作レバーには、前記流体開閉弁機構を所定の作動状態にセットするロック部材が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明は、請求項3の流体ブローガンに係り、前記第2操作レバーには、前記流体開閉弁機構を所定の作動形態にセットするロック部材が設けられており、前記第2操作レバーの引き金部材は、前記ロック部材がセットされたとき、前記第1操作レバーの引き金部材に突き当り、前記第1操作レバーを所定量引かれた状態に保持させることを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1の流体ブローガンに係り、前記第2流通路の貫通孔は、前記開口部から前記噴射口に向かって直径が異なる第1、第2細穴で形成され、前記第1、第2細穴の直径をd1、d2とし、かつ第2流通路の貫通孔に接続された細穴の直径をd3とすると、前記各直径d1、d2、d3は、以下の関係になっていることを特徴とする。
d2≧d1>d3
【0019】
請求項8の発明は、請求項1の流体ブローガンに係り、前記アダプタハウジングには、前記第2流通路に連通するように貯留タンク又は給液管が着脱自在に結合されることを特徴とする。
【0020】
請求項9の発明は、請求項8の流体ブローガンに係り、前記貯留タンクは、液体を収容できかつ膨縮可能な貯液部と、結合口とを備え、前記結合口から貯液部内が吸引されると、前記貯液部が縮むと共に液体を結合口から送出できるものであることを特徴とする。
【0021】
請求項10の発明は、請求項1の流体ブローガンに係り、前記エアーガンは、前記第1流通路の流入口に形成した分岐穴に減圧弁機構が組み込まれていることを特徴とする。
【0022】
請求項11の発明は、請求項10の流体ブローガンに係り、前記減圧弁機構には、減圧量の調節機構が付設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明の流体ブローガンによれば、第1操作レバーによりエアー開閉弁機構を作動させエアーの供給、停止、及び供給量の制御、また、第2の操作レバーにより流体開閉弁機構を作動させ、液体の供給、停止、及び供給量の制御をそれぞれ個別に行うことが可能になる。したがって、例えばエアーだけの噴射、あるいはエアーと液体との混合体の噴射を第1、第2操作レバーにより簡単に選択操作できるので、多種多様の用途への使用が可能になる。
また、エアーガンと液体噴射ユニットとを回動自在に連結することにより、液体噴射ユニットを所定の角度、例えば360度回転させることが可能になる。したがって、この液体噴射ユニットに連結される貯留タンクも360度の範囲で回転可能となり、貯留量が少なくなった貯留タンクでも、天地を逆さまにして、貯留タンク内の液体を最後まで使い切ることが可能になる。
さらに、流体開閉弁機構は、常時、第2流通路を閉状態に保持しているので、第2操作レバーを操作しない限り、貯留タンクから液体が供給されない。したがって、貯留タンクからの液漏れがなくなる。
【0024】
請求項2の発明によれば、第2操作レバーが液体供給ユニットに固定されているので、液体供給ユニットの回動が容易になる。
【0025】
請求項3の発明によれば、第1、第2操作レバーの引き金部材は、所定の間隔を空けてタンデムに配設されているので、片手の2本の指、例えば中指及び人差し指で各引き金部材を個別に操作することが可能になる。
したがって、1本の指(中指)で第1操作レバーの引き金部材を引くことにより、エアーの供給量の調節ができ、また他の指(人差し指)で第2操作レバーの引き金部材を引くことにより、液体供給量の調節が簡単にできる。
【0026】
請求項4の発明によれば、第2操作レバーが複数個の引き金部材を備えることにより、液体噴射ユニットを回動させ、貯留タンクの天地を逆さまにしても、何れか最寄の引き金部材を利用することで片手での操作が可能になる。
【0027】
請求項5の発明によれば、ロック部材により、流体開閉弁機構を所定の作動状態でロックできるので、第2操作レバーの引き金部材を引き続けることなく、貯留タンクから一定量の液体を供給させることが可能になる。また、この一定量を第1操作レバーによって、エアーとの混合比を変えて噴射口から噴射させることも可能になる。
【0028】
請求項6の発明によれば、請求項5の効果に加え、第1操作レバーの引き金部材を引き続けることなく、貯留タンクから一定量の液体を供給させることが可能になる。また、この一定量を第1操作レバーによって、エアーとの混合比を変えて噴射口から噴射させることも可能になる。
さらに、使用後、ロック部材の解除を忘れても、第2操作レバーの引き金部材が第1操作レバーの引き金部材に突き当たり、第1操作レバーの引き金部材を所定量引かれた状態に保持するので、エアーの放出が止まることなく出続け、エアー放出音が止まないため、ロック部材の解除忘れを報知することが可能になる。
【0029】
請求項7の発明によれば、第1細穴(直径d1)を通過してきた流体は、第2細穴(直径d2)に到達して一気に拡散する。この拡散に伴い、第3細穴(直径d3)内が負圧となり、この負圧を利用して液体を吸引できる。
【0030】
請求項8の発明によれば、所定の液体を充填した貯留タンク、あるいは他の液体、例えば水道管に接続されたホース等の給液管を接続することにより、所望の液体を吸引、噴射できるようになる。
【0031】
請求項9の発明によれば、貯留タンクが膨縮自在であるため、貯留タンク内の液体が費消されるに伴って、貯留タンクが収縮されるので、費消量が外部から容易に分かると共に、使用済みのタンクは、更に収縮され小さくなるので、使用後の処理が容易になる。
【0032】
請求項10の発明によれば、第1流通路の流入口に形成した分岐穴に減圧弁機構が組み込まれているので、コンパクトな減圧弁機構付き流体ブローガンにできる。
また、コンプレッサ等から供給される圧力を所定の圧力値まで減圧させることができるので、使用用途の拡大を図ることができる。
【0033】
請求項11の発明によれば、減圧の設定が容易になり、用途を拡大できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための流体ブローガンを例示するものであって、本発明をこの流体ブローガンに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0035】
図1は、本発明の一実施例に係る流体ブローガンの外観正面図であり、図2は、図1に記載の流体ブローガンを平面方向からみた平面図であり、図3は、図2のA−A断面図であり、図4は、図2のエアーガンと液体噴射ユニットとを分離した断面図であり、図5は、図4の各部分を示し、図5(a)は図4のB部分の拡大断面図、図5(b)は図4のC部分の拡大断面図であり、図6は、図4のD部分の拡大断面図であり、図7は、図4のE部分の拡大断面図であり、図8は、第2操作レバーを示し、図8(a)は正面図、図8(b)は図8(a)のJ−J断面図であり、図9は、ロック部材を示し、図9(a)は底面図、図9(b)は正面図であり、図10は、第2操作レバーとロック部材との関係を示す図であり、図10(a)はロック解除時、図10(b)はロック時の状態を示す正面図であり、図11は、図8の第2操作レバーの変形例を示し、図11(a)は正面図、図11(b)は平面図、図11(c)はK−K断面図である。
【0036】
流体ブローガンGは、図1、図4に示すように、気体を噴射させるエアーガンEGと、このエアーガンEGの噴射口に連結されエアーガンから送風されたエアーによって貯留タンクT内の液体を吸引してエアーと混合させて噴射する液体噴射ユニットRUとを備えている。
【0037】
以下に、この流体ブローガンを構成する各部品毎の構成を順次説明する。
【0038】
(エアーガン)
先ず、エアーガンEGは、図3、図4に示すように、貫通孔2を有するガンハウジング1と、この貫通孔2に連通され流路を開閉するエアー開閉弁機構20と、この貫通孔2に連通しこの貫通孔を流れる流体の流量を調節する流調機構28と、コンプレッサ等から送風される圧縮エアーの圧力を所定の圧力に減圧する減圧弁機構32と、エアー開閉弁機構20を作動させる第1操作レバー15と、を備えている。
【0039】
ガンハウジング1は、図1に示すように、全体が小型銃(例えば、ピストル)に似た形状をなし、握り部Iと、引き金部IIと、銃砲部IIIとにそれぞれ相当する部分を有し、合成樹脂で一体成型される。握り部Iに相当する部分は、片手で握れる大きさの握り3からなり、銃砲部IIIに相当する部分は、筒状体10からなり、引き金部IIは握り部Iと銃砲部IIIとの間に位置している。
【0040】
貫通孔2は、握り部I、引き金部II、及び銃砲部IIIをそれぞれ貫通している。すなわち、図3に示すように、握り部Iの貫通孔2は、握り部Iの底部から引き金部IIに向かってほぼ垂直方向に形成され、引き金部IIの貫通孔2はクランク状に折曲して形成され、また、銃砲部IIIの貫通孔2は開口(噴射口)へ向かってほぼ水平方向に形成されている。各貫通孔2、2、2は、それぞれ連通していて、圧縮エアーの流通路となる。
【0041】
クランク状の貫通孔2には、図3に示すように、途中に2個の分岐穴4、5が形成される。これらの分岐穴4、5も貫通孔2に連通している。
各分岐穴4、5は、何れも所定の大きさ及び深さを有する分岐穴で形成され、一方の分岐穴である分岐穴4には、エアー開閉弁機構20が、他の分岐穴である分岐穴5には流調機構28が装着される。各分岐穴4、5の入口開口部は、それぞれ本体ハウジングの外周壁面が突出し、環状突出部が形成される。これらの環状突出部には、その外周壁面に雄ネジが形成されている。
【0042】
分岐穴4は、図5(a)に示すように、エアー開閉弁機構20を構成する筒状ガイド部材21が装着される大きさを有し、入口の開口は、筒状ガイド部材21の直径より若干大きく、奥部の開口は、筒状ガイド部材21の直径より小さく形成される。開口を筒状ガイド部材21の直径より小さくすることにより、筒状ガイド部材21が分岐穴4に挿入されたとき、筒状ガイド部材21の先端部が開口の壁に当接して、ストッパー及び位置決めされる。
【0043】
貫通孔2の入口部2付近は、図6に示すように、開口径が大きく形成され、この大径口の中空穴に減圧弁機構32が内蔵できる大きさになっている。すなわち、この大経口の中空穴は、貫通孔2から貫通孔2へ向かって、中径口、段部を経て大径口となっている。また、大径口の内周面には凹状溝が複数本形成されている。この凹状溝によって、減圧弁の筒状ケース33の凸条部と係合される。
【0044】
他の分岐穴5は、図3に示すように、分岐穴4のほぼ中間部から垂直方向に延びた位置に形成される。この分岐穴5は、途中で分岐穴4及び貫通孔2に連通している。また、この分岐穴5は貫通孔2にも連通している。また、この分岐穴5には、図5(b)に示すように流調機構28が流調ナット30により取り付けられ、流量制御が行えるようになっている。
【0045】
銃砲部IIIの銃口部は、図4に示すように、筒状体10の先端開口部10aに、その外周壁が先細にされて雄ネジ10が刻設され、この雄ネジ10に後述する接続パイプ80を固定する装着ナット85が装着される。
【0046】
ガンハウジング1の肩部には、環体7が形成される。環体7を設けることにより、未使用の流体ブローガンをこの環体7を利用して金具等に引っ掛けておくことができるようになる。
【0047】
筒状体10には、ガンハウジング1の引き金部に近いところに、第1操作レバー15を枢支できる枢支穴10が形成される(図4(a)参照)。
第1操作レバー15は、一端が二股に分かれ、この二股腕に枢支棒を挿入できる小穴が形成されている。第1操作レバー15の取り付けは、この二股腕でガンハウジング1の筒状体10を挟んで、小穴を枢支穴10に合わせて、これらの穴に枢支棒15(図1参照)を挿入して固定する。
この固定により、第1操作レバー15は、この固定部を基点にして回動でき、第1操作レバー15を握り部I方向へ引くことにより、キャップ26を押圧しエアー開閉弁機構20を作動させることができるようになる。また、第1操作レバー15は、小銃の引き金に似た引き金部材となっている。
【0048】
(エアー開閉弁機構)
エアー開閉弁機構20は、図5(a)に示すように、貫通孔21aを有する筒状ガイド部材21と、この貫通孔21aに移動自在に挿通され先端部に弁体24を有する弁体部材23と、筒状ガイド部材21の先端に装着される弾性材からなる環状パッキン22とを備えている。
筒状ガイド部材21の貫通孔21aは、一端の開口21が非円形状、例えば楕円形に、他端の開口21は円形状に形成される。筒状ガイド部材21には、長手軸方向と直交して開口21、21が形成される。これらの開口21、21は、筒状ガイド部材21のほぼ中央部、又はこの中央部から他端の開口21へ若干寄った箇所に設けられている。
筒状ガイド部材21に開口21、21を設けることにより、流体は、ガンハウジング1の貫通孔2、弁体24と環状パッキン22との隙間、筒状ガイド部材21の貫通孔21aの各開口21、21を通り、貫通孔2を経て貫通孔2へ流れる。また、一端の開口21を非円形状にすることにより、この開口21は、弁体部材23が挿入されると回り止め機能を果たすことになる。
弁体24は、半球あるいは駒形状に形成されており、流路の開閉は、この半球あるいは駒形状の弁体24と環状パッキン22との接離、すなわち、弁体24の球状面あるいは駒形状面と環状パッキン22のすり鉢状面との接離により行われる。
【0049】
エアー開閉弁機構20の組立ては、筒状ガイド部材21の先端に環状パッキン22を嵌め込み、筒状ガイド部材21の貫通孔21a内に挿通する。この挿通により、弁体部材23の非円形に形成された胴部が筒状ガイド部材21の一方の開口21に挿入され弁体部材23と筒状ガイド部材21とが回り止めされる。次いで、弁体部材23の胴部に装着ナット27を挿入し、更にバネ部材25の一端を装着ナット27の環状溝に挿入すると共に、バネ部材25の他端をキャップ26の環状溝に挿入し、弁体部材23端部の雄ネジをキャップ26の環状突起内の雌ネジにネジ結合する。
【0050】
このようにして組立てたエアー開閉弁機構20は、第1操作レバー15を握り部I方向へ引くことにより、キャップ26がバネ部材25の不勢力に抗して押され、弁体部材23の弁体24と環状パッキン22とを接離し、流路を形成する。
【0051】
(流調機構)
流調機構28は、図5(b)に示すように、流量を調節する流調バルブ29と、この流調バルブ29をガンハウジング1に固定する流調ナット30と、流調ツマミ31とを備えている。この流調バルブ29は、分岐穴5に挿入できる大きさ及び長さを有する円形状の筒状体29aからなり、合成樹脂で形成されている。
【0052】
筒状体29aは、一端に調整弁29、他端に流調ナット30及び流調ツマミ31が装着される取付部29bが設けられ、筒状体29aの内部は、一部が空洞になっている。筒状体29aの一部を空洞にすることにより、流調バルブ29を分岐穴5に挿入する際に、空洞部を設けたことにより弾性変形されるので弾性圧入が可能になる。取付部29bは、筒状体29aの端部に2つの段差を経て直径が縮径され、直径が太い部分に流調バルブ29を固定する流調ナット30が装着され、直径が細い部分に流調ツマミ31が装着される。
【0053】
この流調機構28は、流調ツマミ31を回動することにより、調整弁29がガンハウジング1の貫通孔2の開口を一部閉じ、あるいは拡開し、貫通孔2を流れる流量を変更することができる。
【0054】
(減圧弁機構)
減圧弁機構32は、図6に示すように、両端部が開口し内部に貫通孔を有する筒状ケース33と、この筒状ケース33内に収容される減圧弁バルブ34と、この減圧弁バルブ34内に装着される弁パッキン35と、コイル状スプリング38と、及びセンター軸36と、を備えている。
筒状ケース33は、所定の長さを有し、合成樹脂材で形成され、ケースの外周面に、複数本の凸条部が形成され、内部に貫通孔37が形成されている。両端の開口部33a、33bのうち、出口開口部33aは、開口径が縮径され端部に段部が形成されている。この段部は、筒状ケース内に減圧弁バルブ34を挿入したとき、その先端が段部に係止され、減圧弁バルブ34が出口開口部33aから飛び出さないようにする係止部となる。また、入口開口部33bは、開口径が拡大され、内周面に雌ネジ33が刻設されている。この雌ネジ33は、センター軸36及び接続プラグPの雄ネジと螺合される。この筒状ケース33は、合成樹脂材に限らず金属材で形成してもよい。
【0055】
減圧弁バルブ34は、短長の筒状体34aと、この筒状体34aの一端開口部から外方向へ延出された一対の突出片34b、34bと、各突出片を繋ぐブリッジ片34cとからなっている。この減圧弁バルブ34は、金属材で作製するのが好ましい。
一対の突出片34b、34bは、出口開口部33aから互いに対向するように延出され、また、ブリッジ片34cは、出口開口部33aから所定距離離れた箇所に設けられ、ブリッジ片34cのほぼ中央部には小径穴が形成される。この小径穴には、弁パッキン35が装着される。弁パッキン35は、弾性材、例えばゴム材で形成される。一対の突出片34b、34b間に隙間が形成され、この隙間がエアーの通路となる。また、弁パッキン35とセンター軸36の先端部36aとの間に隙間Hが形成される。この隙間Hで減圧値の設定がされる。この設定値の変更は、筒状ケース33内へのセンター軸36の挿入量によって、隙間Hの長さを変えることによって行われる。具体的には、センター軸36に設けた雄ネジと筒状ケース33の雌ネジ33とのねじ込み量を変更することで行われる。
【0056】
また、センター軸36は、比較的細長な筒状体からなり、その中心部に貫通孔37が形成されている。また、このセンター軸36は、一端部から他端部の途中まで外径が縮径され、先端部36aが減圧弁バルブ34の一端開口部34aに挿入され、かつコイル状バネ体38が装着されるようになっている。縮径部から他端に向けては、段部を経て外径が拡大されて、外周面にシールパッキンを装着する凹状溝及び筒状ケースの雌ネジと螺合させる雄ネジが刻設されている。
【0057】
この減圧弁機構32は、以下の手順で組立てて、エアーガンに装着される。
先ず、減圧弁バルブ34の小径穴に弁バルブ35、外周面の凹状溝にパッキンをそれぞれ装着して、筒状ケース33の貫通孔へ挿入し、減圧バルブ34の先端が段部に当接するまで押し込む。この押し込みにより、減圧弁バルブ34の外周面は筒状ケース33の内周面と密着して圧入される。
次いで、センター軸36の先端部の凹状溝にシールパッキンを装着し、かつコイル状バネ体38を装着して、先端部36aを減圧弁バルブ34の開口部へ挿入し、他端の雄ネジと筒状ケースの雌ネジ33と螺合させ結合する。このネジ結合は、センター軸36の開口部にマイナス溝39を形成して置き、このマイナス溝39に工具を挿入することによって行うことが好ましい。また、このネジ結合により、センター軸の先端部と弁パッキンとの間隔の調整が行われる。
【0058】
このようにして組立てた減圧弁機構32は、握り部I底部の分岐穴の入口から、ガンハウジング1内へ挿入して位置決め固定する。次いで、プラグPを装着する。プラグの他端は、ホースによりコンプレッサ(図示省略)に連結される。
また、この減圧弁機構の設定値の変更及びメンテナンスは、プラグPを取り外し、設定値を変更する場合は、センター軸36を回動することにより隙間Hを変え、また、メンテナンスを行う場合は、センター軸36、減圧弁バルブ34等の部品を筒状ケース33から取り出すことにより、行うことができる。
【0059】
この減圧弁機構32は、以下のように作動する。
コンプレッサ等から、比較的高圧の圧縮エアーが減圧弁機構32に供給されると、その圧縮エアーは、センター軸36の貫通孔、減圧弁バルブ34が設けられた突出片34a、34bの隙間を通って、貫通孔2の内部Xに溜まり、この貫通孔内の圧力が上昇する。この圧力上昇が所定値以上になると、この上昇した圧力により、減圧弁バルブ34がコイル状バネ体38の弾性力に抗して、センター軸36方向へ押し戻され、弁パッキン35とセンター軸36の先端部36aとの間隔が狭まり、流入する圧縮エアーの量が低減され、これに伴い貫通孔内の圧力も下がり、設定した圧力に減圧される。
【0060】
(液体噴射ユニット)
次に、液体噴射ユニットRUは、図3、図4(b)、図7に示すように、貯留タンクTから液体を吸出し噴射するアダプタADと、液体の供給量を制御する流体開閉弁機構70と、この流体開閉弁機構70を作動させる第2操作レバー40と、アダプタADとエアーガンEGとを接続し流通路を形成する接続パイプ80とで構成される。
【0061】
(アダプタ)
アダプタADは、図7に示すように、所定の横幅、高さ及び奥行きを有するブロック状のアダプタハウジング60に、両端に開口部を有し内部が貫通したほぼ水平な第1貫通孔61と、この水平な貫通孔61のほぼ中央部で直交する第2貫通孔62と、この第2貫通孔62に連通しニードルバルブ71が装着される横穴63とを備えた構成を有する。このアダプタハウジング60は、合成樹脂材の成型体からなる。
【0062】
第1貫通孔61は、エアー及び液体の流通路となるもので、両端の開口部61a、61b間に所定の直径d1を有する第1細穴61と、この直径d1より若干径が大きい径d2を有する第2細穴61と、直径d1より径が小さい径d3を有する第3細穴62とからなっている。
第1、第2細穴の直径d1、d2、及び前記第3細穴の直径d3との関係は、以下の関係に設定される。
d2≧d1>d3
具体的な数値としては、例えばd1=2〜3mm、d2=3〜5mm、d3=0.5〜1.5mmの範囲が好ましい。
第1、第2細穴61、61の直径d1、d2、及び前記第3細穴62の直径d3を上記のように設定すると、第1細穴61を通過してきた圧縮エアーは、第2細穴61に到達して、一気に拡散する。この拡散に伴い、第3細穴62内が負圧となる。この負圧を利用して、貯留タンクT内の液体を吸引する。
【0063】
両端の開口部61a、61bのうち、一方の開口部61aには、エアーガンEGと接続される接続パイプ80の一端部が嵌入できるように、接続パイプ80の径に合わせた大きさに形成されている。
また、他の開口部61bは、噴射口となるもので、所定の長さのノズル100を接続できるように開口の内部に雌ネジが刻設されている。
第2細穴61は、第2貫通孔62に連通している。この第2貫通孔62は、所定の直径d3を有する第3細穴62と、この細穴62に連通するクランク状の第4細穴62と、第5細穴62とを有し、アダプタハウジング60の上部から下部へ貫通している。また、クランク状の第4細穴62には、横穴63が形成され、この横穴63に流体開閉弁機構70を構成するニードルバルブ71が移動自在にして装着される。
また、第2貫通孔62の両端の開口部62a、62bは、それぞれ所定の大きさを有している。上部の開口部62aは、貫通孔62を形成する際の作業穴であって、この貫通孔62を形成した後は栓部材で閉塞される。
【0064】
また、下方の開口部62bは、この開口部の外周端の一部を延出させて筒状体とし、その先端部を傾斜させる。先端部65に傾斜をつけることにより、貯留タンクTとの結合が容易になる。
すなわち、このように先端部65に傾斜をつければ、貯留タンクTの取付け時に、貯留タンクTの隔壁94をこの先端部65が自動的に穿孔するため、隔壁を別述取り除く必要がない。これにより、例えば貯留タンクT内に揮発性の高い液体が封入されていても、外部に揮発することなく、取付を行うことができるようになる。
さらに、この開口部62bが形成されたアダプタハウジング60の外周壁には、貯留タンクと連結するタンクキャップと結合ができるように雄ネジが刻設されている。
【0065】
横穴63は、ハウジング面の開口部から第2貫通孔62に向かって、開口径が細穴となり、細穴の先端はクランク状の第4細穴62に連通している。開口部は、大径口に形成され、内周面に雌ネジが刻設されている。この横穴63には、ニードルバルブ71が挿入される。このニードルバルブ71は、第4細穴62に挿入される先端部72は極小径のピン状体からなり、このピン状体から他端に向けて膨出部73aと、この膨出部73aより径が小さい棒状体部分73とから構成されている。膨出部73aの外周面には、凹状溝が形成され、組み立て時にこの凹状溝にパッキンが装着される。また、棒状体部分73には、ニードルバルブ用スプリング75が装着される。
アダプタADへのニードルバルブ71の取り付けは、先ず、膨出部73aの凹状溝にパッキン、棒状体部分73にニードルバルブ用スプリング75をそれぞれ装着して、先端部72を第4細穴62に挿入する。次いで、横穴63の開口部に、バネ体の反発力に抗してナット76を螺合させて、ニードルバルブ71を横穴63内に固定する。この固定により、ニードルバルブの先端部72は、バネ体の力により第4細穴62に押し込まれて、この細穴62を塞ぐことになる。棒状体部分73の他端は、ピン74により操作レバー40の引き金部材44aに固定される。
【0066】
(引き金部材)
流体開閉弁機構70を作動させる第2操作レバー40は、図8に示すように、一対の引き金部材44a、44bからなり、これらの引き金部材は、中心部に比較的大きな貫通孔42を有する筒状体41の長手方向と直交する方向へ突出して設けられている。
図8の一対の引き金部材44a、44bのうち、一方の引き金部材44aは環状リングで、他の引き金部材44bは角状突起で形成され、これらの引き金部材は指が掛けられるようになっている。
また、貫通孔42は、一方の開口部、すなわちアダプタAD側の開口部の端縁に凹状溝43a、43bが形成される。これらの凹状溝43a、43bは、円形の開口部端縁に対向して設けられ、これらの溝に後述するロック部材50の腕片53a、53bが入り込むようになっている。
【0067】
図11は、第2操作レバー40の変形例を示している。この第2操作レバー40Aは、上記の第2操作レバー40とほぼ同じ構造を有しているので、共通部分は同一符合を付して説明を省略し、異なる構造について説明する。
この第2操作レバー40Aは、一対の引き金部材44a、44bが共に環状体で形成され、これらの環状体の外側に凸状部47a、47bが形成された構造が、上記の第2操作レバー40と異なる。
各引き金部材44a、44bに凸状部47a、47bを設けることにより、各引き金部材44a、44bが引かれ、この引かれた状態が後述するロック部材により保持される場合、この凸状部47a、47bにより、エアーガンEGの第1操作レバー15を押下げ、すなわちこの第1操作レバー15が所定量引かれた状態に保持させておくことができる。
しかも、各引き金部材44a、44bの両方に、凸状部47a、47bを設けることにより、操作レバーを回転させても、何れかの引き金部材で第1操作レバー15を所定の状態に保持できる。
【0068】
(ロック部材)
ロック部材50は、図9に示すように、中心部に貫通孔52を有する筒状体51と、この筒状体51の長手方向と直交する方向へ突出した腕片53a、53bとからなり、腕片の先端部には、翼片54a、54bを有している。筒状体51の開口径は、接続パイプ80の外径とほぼ同じ大きさの径になっている。
また、筒状体51の外周壁には、その長手方向に所定幅のスリット55を設けることが好ましい。このスリット55を設けることにより、組み立て時においてこのスリット部分から、接続パイプ80に押し込み結合が可能となる。
【0069】
(接続パイプ)
接続パイプ80は、図3、図4、図7に示すように、所定の長さを有する管状パイプからなり、内部にエアーを送通する貫通孔81を有し、両端部のうち、一方の端部82aは、ガンハウジング1の開口部2に嵌入できる大きさに、また他端部82bはアダプタハウジング60の開口部61aへ嵌合結合できる大きさになっている。
また、この接続パイプ80のほぼ中間部には、管状壁から外方へ突出するフランジ82が形成される。
この接続パイプ80は、装着ナット85を使用して、エアーガンの開口部2に取り付けられる。装着ナット85は、短長の筒状体からなり、一方の開口部の径を狭め、接続パイプ80のフランジ82と係止されるようになっており、また、内周面に雌ネジが刻設されている。この装着ナット85を使用して、接続パイプ80をエアーガンの開口部2に挿入し、装着ナット85を雄ネジ10に螺合することにより、取り付ける。
【0070】
以下に、液体噴射ユニットRUとエアーガンEGとの結合方法を説明する。
先ず、液体噴射ユニットRUのアダプタADには、流体開閉弁機構70を組み込み、また接続パイプ80を取付けておく。すなわち、ニードルバルブ71をハウジングの横穴63に挿入し、ナット76で固定する。また、接続パイプ80は装着ナット85を嵌め込んでおき、接続パイプ80の先端部81aをハウジングの開口部61aに螺合させネジ止めする。このとき、第2操作レバー40及びロック部材50は、接続パイプ80に装着していない。
【0071】
このようにして液体噴射ユニットRUを組立てた後に、エアーガンEGと結合する。その結合は、先ず、エアーガンEGの第1操作レバー15を外し、液体噴射ユニットの第2操作レバー40をエアーガンEGの筒状体10に挿入して、エアーガンEGの握り部I側へ押しやる。エアーガンの第1操作レバー15は取り外され、第2操作レバー40もニードルバルブ71と結合されていないので、第2操作レバー40を筒状体10に沿ってエアーガンEGの握り部I側へ移動させることができる。第2操作レバー40をこの状態にしておいて、装着ナット85を筒状体の先端部82aにネジ結合し、接続パイプ80の筒状体に固定する。次いで、第2操作レバー40を装着ナット85の装着位置まで移動させる。また、この際、ロック部材50は、スリット55を拡大して接続パイプ80に装着する。その後、第2操作レバー40とニードルバルブ71とを連結し、更に、第1操作レバー15を筒状体10に取り付ける。
この組立てにより、第2操作レバー40がエアーガンEGの握り部I方向へ引かれると、この第2操作レバー40は、筒状体10上を移動し、ニードルバルブ71を引き第2貫通孔62が開口される。また、第2操作レバー40を離すと、第2操作レバー40はバネ体75の力により元の位置に戻り、バルブが閉鎖される。
【0072】
(貯留タンク)
貯留タンクTは、図3に示すように、液体を収容できかつ膨縮可能な貯液部90と、連結口91とを備え、連結口91から貯液部90内が吸引されると、貯液部90が縮むとともに内部の液体が連結口91から送り出されるような構成になっている。
この貯留タンクTは、アダプタADに着脱自在な結合部材93により取り付けられる。
この結合部材93は、短長の筒状体からなり、長手方向のほぼ中間部が貫通孔を閉塞する隔壁94で仕切られている。
この隔壁94の肉厚は、比較的薄く形成され、アダプタADとの結合時にこの薄肉部分が先端部65で簡単に破られるようになっている。
この貯留タンクTは、合成樹脂材から形成され、その種類は収容する液体の種類によって適宜選択される。特に、貯液部90はある程度の保形性を備えるもの、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどが好ましい。
【0073】
図1〜図11を参照して、流体ブローガンの使用方法を説明する。
使用時に、流体ブローガンのアダプタADに所定の液体が詰められた貯留タンクTを取り付け、握り部Iにホース(図示省略)を接続する。ホースの他端は、コンプレッサ等(図示省略)に連結されている。
【0074】
(i)不使用時
アダプタADに装着された流体開閉弁機構70は、常時、閉鎖されている。すなわち、ニードルバルブ71の先端部72は、貫通孔62内にバネ体75により押し込まれていて、貯留タンクTから噴射口に至る流通路(貫通孔62)は閉鎖されている。したがって、この貯留タンクTから液体が漏れ出すことがない。
【0075】
(ii)エアーのみを噴射
この場合は、エアーガンの第1操作レバー15を引くことによってエアーをノズル100から噴射させる。噴射量は、第1操作レバー15の引く度合い、あるいはエアー開閉弁機構20によって調整できる。このエアーのみを噴射させるときは、液体噴射ユニットRUの第2操作レバー40を引かずそのままにしておく。エアーガンEGは、握り部Iの底部がプラグPにより、ホースを介してコンプレッサ(図示省略)に接続されるが、コンプレッサから供給されるエアー圧がエアーガン仕様に合致しないことがある。このような場合は、握り部Iの部分に内蔵された減圧弁機構32により減圧される。また、この減圧設定値を変更する場合は、プラグPを外して、センター軸36を回動させて、減圧弁バルブとの隙間Hを調節することにより、簡単に変更することができる。(図6参照)。また、この減圧は、以下の(iii)〜(vi)の使用時も同じ方法で行うことができる。
【0076】
(iii)エアーと液体との混合体の噴射
上記(ii)の操作に加えて、液体噴射ユニットRUの第2操作レバー40を第1操作レバー15に接近する方向に引く。この引き金部材44aを引くことにより、ニードル弁71が開口され、貯留タンクTから所定量の液体が負圧作用によって吸い上げられ、エアーに混入されてノズル100から噴射される。この混合体の噴射量は、第1操作レバー15と第2操作レバー40の引く度合いによって調整できる。この操作は片手で行うことができる。
すなわち、人差し指で第2操作レバー40、中指で第1操作レバー15を個別に引くことによって行うことができる。
【0077】
(iv)混合体の連続噴射
種々の使用形態において、液体の供給量を一定にして、エアーとの混合体を噴射させたい場合がある。
この場合は、図10に示すように、第2操作レバー40を第1操作レバー15に接近する方向に引き、ロック部材50の腕片53a、53bを第2操作レバー40の凹状溝43a、43bから外し、翼片54a、54bを持ってロック部材50を回動させ、引き金部材の開口端縁43cに当接させる。(図10(b)参照)。腕片53a、53bが開口部の開口端縁43cに当接されると、引き金部材44aは、この凹状溝43a、43bの深さに相当する長さだけ引かれた状態に保持される。すなわち、筒状体51の一端はユニットの開口部端に他端部は袋ネジ体に当接されて位置決めされているので、引き金部材44aが引かれ、腕片53a、53bを引き金部材44aの凹状溝43a、43bから外れると、この凹状溝43a、43bの深さに相当する長さだけ引かれた状態に保持されることになる。この保持により、ニードルバルブ71は、この長さだけ引かれ、弁を開くことになるので、一定量の液体が供給されることになる。この状態で、第2操作レバー40の引き金部材44aの一部が第1操作レバー15に当接し、所定量引かれた状態に保持させることにより、一定量の液体と一定量のエアーとの混合体を連続して噴射することができる。
また、この状態において、第1操作レバー15を更に引けば、エアーの量を多くすることができる。
また、使用後、ロック部材の解除を忘れても、エアーの放出が止まらずに出続けるため、ロック部材解除忘れを報知することができる。
【0078】
(v)貯留タンク内の液体が少なくなったときの噴射
上記(ii)、(iii)の噴射において、貯留タンク内の液体が少なくなると、液体の供給が途切れ、あるいはタンク内に残って使用し切れないことがある。そこで、貯留タンク内の液体が少なくなったとき、操作レバー140あるいは液体噴射ユニットRUを把持して、エアーガンEGに対して180度回動する。この回動により、貯留タンクTは天地が逆になり、タンク内の液体はエアーガンの開口部2に集中することになる。この状態において、上記(ii)、(iii)の操作は、第1操作レバー15と引き金部材44bとで行われる。この操作は片手で行うことができる。すなわち、人差し指で引き金部材44b、中指で第1操作レバー15を個別に引くことによって行うことができる。
【0079】
(vi)貯留タンクに代えての液体の噴射
貯留タンクの容積には、限度があることから、より多くの液体を噴射させたい場合が発生する。例えば、水道蛇口から供給される水で洗車等する場合である。
このような場合は、貯留タンクTを取り外し、アダプタADにホースを接続して、ホースから供給される水等を用いて、上記(iii)、(iv)の操作を行う。このときのアダプタとホースとの接続は、公知の接続手段を使用して行う。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施例に係る流体ブローガンの外観正面図である。
【図2】図1に記載の流体ブローガンを平面方向からみた平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のエアーガンと液体噴射ユニットとを分離した断面図である。
【図5】図4の各部分を示し、図5(a)は図4のB部分の拡大断面図、図5(b)は図4のC部分の拡大断面図である。
【図6】図4のD部分の拡大断面図である。
【図7】図4のE部分の拡大断面図である。
【図8】第2操作レバーを示し、図8(a)は正面図、図8(b)は図8(a)のJ−J断面図である。
【図9】ロック部材を示し、図9(a)は底面図、図9(b)は正面図である。
【図10】第2操作レバーとロック部材との関係を示す図であり、図10(a)はロック解除時、図10(b)はロック時の状態を示す正面図である。
【図11】図8の第2操作レバーの変形例を示し、図11(a)は正面図、図11(b)は平面図、図11(c)はK−K断面図である。
【図12】特許文献1に記載のスプレーガンを示す側面図である。
【図13】特許文献2に記載のエアーガンを示し、一部を断面図とした側面図である。
【符号の説明】
【0081】
G 流体ブローガン
EG エアーガン
T 貯留タンク
P プラグ
AD アダプタ
I 握り部
II 引き金部
III 銃砲部
1 ガンハウジング
2 貫通孔
10 筒状体
15 第1操作レバー
20 エアー開閉弁機構
21 筒状ガイド部材
23 弁体部材
28 流調機構
29 流調バルブ
30 流調ナット
31 流調ツマミ
32 減圧弁機構
34 減圧弁バルブ
35 弁パッキン
36 センター軸
38 コイル状スプリング
40 第2操作レバー
50 ロック部材
60 アダプタハウジング
61、62 貫通孔
70 流体開閉弁機構
71 ニードルバルブ
80 接続パイプ
81 貫通孔
85 装着ナット
90 貯液部
93 結合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に流入口、他端に噴射口を有し、ガンハウジングを貫通する貫通孔からなる第1流通路と、
前記第1流通路の開閉を行うエアー開閉弁機構と、
前記エアー開閉弁機構を作動させる第1操作レバーと、を有するエアーガンと、
前記エアーガンの噴射口に連結される液体噴射ユニットと、を備えた流体ブローガンにおいて、
前記液体噴射ユニットは、
一端に前記エアーガンの噴射口に連結される開口部と、他端に噴射口を有し、アダプタハウジングを貫通する貫通孔からなる第2流通路と、
前記第2流通路を開閉する流体開閉弁機構と、
前記流体開閉弁機構を作動させる第2操作レバーと、
で構成し、この液体噴射ユニットを前記エアーガンに回動自在に連結したことを特徴とする流体ブローガン。
【請求項2】
前記第2操作レバーは前記液体供給ユニットに固定され、この操作レバーの回動により前記液体供給ユニットが回動されることを特徴とする請求項1記載の流体ブローガン。
【請求項3】
前記第1、第2操作レバーはそれぞれ引き金部材を備え、これら引き金部材は所定の間隔をあけてタンデムに配設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の流体ブローガン。
【請求項4】
前記第2操作レバーは、複数個の引き金部材を備えていることを特徴とする請求項3記載の流体ブローガン。
【請求項5】
前記第2操作レバーには、前記流体開閉弁機構を所定の作動状態にセットするロック部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の流体ブローガン。
【請求項6】
前記第2操作レバーには、前記流体開閉弁機構を所定の作動形態にセットするロック部材が設けられており、前記第2操作レバーの引き金部材は、前記ロック部材がセットされたとき、前記第1操作レバーの引き金部材に突き当り、前記第1操作レバーを所定量引かれた状態に保持させることを特徴とする請求項3記載の流体ブローガン。
【請求項7】
前記第2流通路の貫通孔は、前記開口部から前記噴射口に向かって直径が異なる第1、第2細穴で形成され、前記第1、第2細穴の直径をd1、d2とし、かつ第2流通路の貫通孔に接続された細穴の直径をd3とすると、前記各直径d1、d2、d3は、以下の関係になっていることを特徴とする請求項1記載の流体ブローガン。
d2≧d1>d3
【請求項8】
前記アダプタハウジングには、前記第2流通路に連通するように貯留タンク又は給液管が着脱自在に結合されることを特徴とする請求項1記載の流体ブローガン。
【請求項9】
前記貯留タンクは、液体を収容できかつ膨縮可能な貯液部と、結合口とを備え、前記結合口から貯液部内が吸引されると、前記貯液部が縮むと共に液体を結合口から送出できるものであることを特徴とする請求項8記載の流体ブローガン。
【請求項10】
前記エアーガンは、前記第1流通路の流入口に形成した分岐穴に減圧弁機構が組み込まれていることを特徴とする請求項1記載の流体ブローガン。
【請求項11】
前記減圧弁機構には、減圧量の調節機構が付設されていることを特徴とする請求項10記載の流体ブローガン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−7183(P2006−7183A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191995(P2004−191995)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【出願人】(000149309)ジョプラックス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】