説明

流体不浸透性が改善された複合パネル

繊維層および熱硬化性樹脂成分と硬化剤と繊維ミクロパルプとを含む樹脂を含むプレプレグ複合材料。ミクロパルプ成分は、0.01〜100マイクロメートルの体積平均長さを有するアラミド繊維である。プレプレグは、硬化構造体への流体浸透を最少化するために複合パネル構造体の中で有用である。このプレプレグは、ハニカムサンドイッチパネルを製造するために特に適する。アラミド繊維ミクロパルプを含有するフィルム接着剤、液体樹脂およびペースト樹脂も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、複合材料から製造された構造用パネルに関し、詳しくは、ハニカムサンドイッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、航空宇宙産業において、ならびに高い強度、剛性および軽量が望まれる他の状況において広く用いられている。一体式複合材料は、典型的には、2種の主要エレメントとして繊維およびポリマー樹脂を含む。広範な繊維タイプが複合材の中で用いられてきた。ガラス繊維、黒鉛繊維、炭素繊維およびアラミド繊維が一般的である。繊維は、細断するか、無秩序な向きにするか、向きが一方向であるか、または生地に織ることが可能である。樹脂マトリックスは、樹脂、硬化剤および他の性能調整剤を含む、通常は熱硬化性材料である。樹脂で前もって含浸された繊維強化材(シート、テープ、トウ、生地またはマット)はプレプレグとして知られている。
【0003】
コア構造体は特定の用途のために用いられる。ハニカムは、重量比に比べた高い強度および耐疲労破損性のゆえに、こうしたパネルのための評判のよいコア材料である。ハニカムコアは多様な材料から製造され、アラミド紙およびアルミニウムが最も一般的である。プレプレグフェースシートはコアの各側に接着される。
【0004】
一体式複合構造体とコア複合構造体の両方は、湿潤環境および水分環境にさらされた後に適切な機械的性能を維持できなければならない。ハニカムサンドイッチパネルは、使用中にコアのセルへの水分進入を特に被りやすい。
【0005】
この主題に関する技術報告書には、Journal of Materials Engineering and Performance,Volume6(6),732、December 1997におけるCise et.al.による「Moisture Ingression in Honeycomb Core Sandwich Panels」;Corrosion Reviews,25(1−2),13−26,2007におけるCampbellによる「Caution,Haneycomb Core Can Be Dangerous To Your Program’s Health」およびE.I.Du Pont de Nemours(Wilmington,DE)によって刊行されたLoken et.al.in「Water Ingression Resistant Thin Faced Haneycomb Cored Composite Systems with Facesheets Reinforced with Kevlar(登録商標) Aramid Fiber and Kevlar with Carbon Fibers」が挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、本発明は、熱硬化性樹脂と、少なくとも1種の硬化剤と、0.01〜100マイクロメートルの体積平均長さを有する高テナシティ繊維のミクロパルプとを含む樹脂成分を有する、複合構造体のためのプレプレグに関する。
【0007】
一実施形態において、本発明は、硬化複合材料パネル中で流体不浸透性バリアとして機能するこうしたプレプレグの使用にも関する。
【0008】
一実施形態において、本発明は、複合構造体において流体浸透を低下させるために機能するミクロパルプを導入した代案のフィルム、液体樹脂材料またはペースト樹脂材料にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】六角形状ハニカムの図の描写である。
【図1B】六角形状ハニカムの図の描写である。
【図2】六角セル形状ハニカムの別の図の描写である。
【図3】フェースシートを備えるハニカムの説明図である。
【図4】フェースシートを備えるハニカムの別の説明図である。
【図5】一体式複合構造体に関するアセンブリーの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは本発明のハニカム1の平面図であり、セル壁3によって形成されたセル2を示している。図1Bは、図1Aにおいて示されたハニカムの立面図であり、セル壁の両端で形成された2つの外面、すなわち、表面4を示している。コアはエッジ5も有する。図2はハニカムの三次元図である。六角セル2およびセル壁3を有するハニカム1が示されている。ハニカムの「T」寸法、すなわち厚さが図2において示されている。六角セルが示されているが、他の幾何学構成が可能である。可能な最も一般的な構成の中には正方形セル、過膨張セル、湾曲コアセルがある。こうしたセルタイプは当該技術分野において公知であり、可能な幾何セルタイプに関する追加の情報に関してT.BitzerによるHoneycomb Thechnology(Chapman & Hall出版社,1997)について言及することが可能である。図3は、ハニカムコア6と、コアの2つの外面に取り付けられたフェースシート7および8から組み立てられた構造用サンドイッチパネル5を示している。フェースシート材料はプレプレグである。いくつかの状況において、接着剤フィルム9も用いられる。この接着剤フィルムは、フィルムの1面、すなわち、内側フィルム面が、他の面を有するコア表面に対向して配置され、外側フィルム面が、第1のプレプレグフェースシートと接触するように配置される。通常は、コアのいずれかの側に2〜25の間のプレプレグフェースシートが存在する。図4は、コアの2つの外面に取り付けられた接着剤フィルム12、およびフィルム12の上に配置されたプレプレグフェースシート13を有するハニカムコア11から組み立てられたサンドイッチパネル10の代案の実施形態を示している。アセンブリーの1つの側で、構造体の外側は表面フィルム14である。図5は、一体式複合構造体を作るための、ツール16上のプレプレグシート15のアセンブリーの実施形態を示している。
【0011】
本発明の必要な成分はプレプレグである。プレプレグ樹脂は、熱硬化性樹脂、すなわち、フェノール、エポキシ、シアネートエステルおよびビスマレイミドなどの熱硬化性樹脂の組合せ、硬化剤および硬化すると硬化パネル中で流体バリアとして適切に機能するプレプレグを提供するのに十分な量の繊維ミクロパルプを含む。このプレプレグは、流体バリアプレプレグまたは水分バリアプレプレグと呼ばれる。プレプレグという用語は、チョップトレジンで含浸されたチョップトファイバーのストランドである成形用コンパウンド、および樹脂で前もって含浸された連続フィラメント繊維トウであるトウプレグなどの材料形態を含む。
【0012】
本発明により水分バリアプレプレグを形成するために繊維層と組み合わされる熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリイミド樹脂またはビスマレイミド樹脂から選択してよい。例示的なエポキシ樹脂およびシアネートエステル樹脂には、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルジアミノジフェニル−m−エタンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびレゾルシノール型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、1,1’−ビス(4−シアナトフェニル)エタン(例えば、Huntsman,Inc.(The Woodlands,TX)から入手できるAroCy L−10)、1,3−Bis(4−シアナトフェニル−1−1−(1−メチルエチリデン)ベンゼン(例えば、Huntsmanから入手できるRTX366)などのシアネートエステルが挙げられる。エポキシ樹脂が好ましい。特に好ましいエポキシブレンドは、三官能性エポキシと二官能性ビス−Fエポキシの混合物を含む。
【0013】
エポキシ樹脂は、三官能性エポキシ、二官能性エポキシおよび三官能性エポキシと二官能性エポキシの多様な組合せから構成してよい。四官能性エポキシも用いてよい。例示的な三官能性エポキシには、トリグリシジルp−アミノフェノールおよびN,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン(例えば、Huntsmanから入手できるMY−0510またはMY−0500)が挙げられる。樹脂中で用いてよい例示的な二官能性エポキシには、これらもHuntsmanから入手できるGY−281、LY−9703およびGY−285などのBis−Fエポキシが挙げられる。GY−6010(Huntsman)およびDER331(Dow Chemical(Midland,M.I.))などのBis−A−エポキシは、適するビスフェノール−A型エポキシであり、これらも用いてよい。例示的な四官能性エポキシはテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(例えば、Huntsmanから入手できるMY−721、MY−720およびMY−9512)である。適する他のエポキシには、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラックエポキシおよびレゾルシノール型エポキシが挙げられる。好ましいビス−Fエポキシには、Huntsmanから入手できるGY281およびGY285が挙げられる。
【0014】
硬化剤は、好ましくは、アミン、酸無水物、置換ウレアまたはジシアンジアミドである。硬化剤の組合せも用いることが可能である。例示的な硬化剤には、ジシアンジアミド、3,3−ジアミノジフェニルスルホン(3,3−DDS)、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシランまたはグリシジルシラン、CuAcAc/ノニルフェノール(1/0.1)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−DDS)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピル−6−m−エチルアニリン)、例えば、Lonzacure M−MIPA(Lonza Corporation(Fair Lawn,N.J.))、4,4’−メチレンビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、例えば、Lonzacure M−DIPA(Lonza Corp.)が挙げられる。3,3−DDSとジシアンジアミドなどの硬化剤の組合せも用いてよい。
【0015】
プレプレグ樹脂の繊維ミクロパルプ成分は、完全に配合された樹脂組成物の一般に0.05〜10.0重量%、より好ましくは0.05〜6.0重量%、最も好ましくは0.05〜3.0重量%であり、25〜500平方メートル/グラム、好ましくは25〜200平方メートル/グラム、より好ましくは30〜80平方メートル/グラムの範囲の平均表面積を有する。体積加重平均長さは、0.01〜100マイクロメートル、好ましくは0.1〜50マイクロメートル、より好ましくは0.1〜10マイクロメートルの範囲である。このミクロパルプは、2種以上のウェブ構造、樹枝構造、分岐構造、キノコ構造またはフィブリル構造の絡み合った組合せを含む繊維状有機材料である。ミクロパルプのための繊維原料は、少なくとも3グラム/デニール(2.7グラム/dtex)のテナシティを有する。
【0016】
本発明において用いられるミクロパルプへの転化のために適する繊維は、脂肪族ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリフルオロカーボン、ポリベンズイミダゾール、ポリフェニレントリアゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、芳香族ポリアミドまたはそれらの混合物のポリマーから製造することが可能である。より好ましいポリマーは、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキサジアゾール、ポリベンズイミダゾールまたはそれらの混合物から製造される。なおより好ましい有機繊維は、芳香族ポリアミド((p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)またはそれらの混合物)である。より特に、米国特許第3,869,430号明細書、米国特許第3,869,429号明細書、米国特許第3,767,756号明細書および米国特許第2,999,788号明細書において開示された芳香族ポリアミド繊維が好ましい。こうした芳香族ポリアミド有機繊維およびこれらの繊維の種々の形態は、Kevlar(登録商標)およびNomex(登録商標)という商標でE.I.Du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware)(DuPont)から入手できる。
【0017】
本明細書において用いられるアラミドという用語は、アミド(−CONH−)連結の少なくとも85%が2個の芳香族環に直接結合されているポリアミドを意味する。添加剤をアラミドと一緒に用いることが可能である。実際、10重量%ほどまでの他の高分子材料をアラミドとブレンドできるか、またはアラミドのジアミンを置換した他のジアミン10%ほどを有するコポリマーまたはアラミドの二酸塩化物を置換した他の二酸塩化物10%ほどを有するコポリマーを使用できることが見出された。パラアミド繊維およびこれらの繊維の種々の形態は、Kevlar(登録商標)という商標でDuPontから、およびTwaron(登録商標)という商標で帝人株式会社から入手できる。
【0018】
ミクロパルプに転化するために適する他の商用ポリマー繊維は、すべてが日本国の東洋紡績株式会社によって供給されるZylon(登録商標)PBO−AS(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール))繊維、Zylon(登録商標)PBO−HM(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール))繊維、Dyneema(登録商標)SK60およびSK71超高強度ポリエチレン繊維、Engineering Fibers Technology(Shelton,Conn.)によって供給されるCelanese Vectran(登録商標)HSパルプ、EFT1063−178、Sterling Fibers Inc(Pace,Fla)によって供給されるCFF Fibrillated Acrylic Fiberおよびダイセル化学工業株式会社(日本国堺市鉄砲町1)によって供給されるTiara Aramid KY−400S Pulpである。セルロース繊維、コットン繊維およびウール繊維などの天然繊維も用いることが可能である。
【0019】
本発明において用いるのに適するミクロパルプは、Kelly et.al.による米国特許出願公開第20030114641A1号において開示された方法によって製造することが可能である。ミクロパルプは、2つの方法の1つにおいて樹脂ミックスに導入することが可能である。ミクロパルプは樹脂に直接添加してよいか、または樹脂プレミックスおよび/または溶媒プレミックスとして添加してよい。適する溶媒には、メタノール、メチルエチルケトンおよびジクロロメタンが挙げられる。こうしたミクロパルププレミックスを調製する方法は、Blankenbeckler et.al.による米国特許出願公開第2004/0191192A1号明細書において開示されている。この方法によって調製された0.05〜10.0重量%、より好ましくは0.05〜6.0重量%、最も好ましくは0.05〜3.0重量%のミクロパルプを導入した樹脂は、樹脂トランスファー成形(RTM)用途、引抜成形用途およびフィラメントワインディング用途のために用いることも可能である。好ましくはエポキシ樹脂を用いるこうしたプロセスは当業者によってよく理解されている。
【0020】
他の性能強化用材料または調整剤も樹脂配合物に導入してよい。単独または組合せで使用してよいこれらの非限定的な例には、希釈剤、粘度調整剤、難燃剤、強化剤、UV安定剤および防カビ剤が挙げられる。粘度調整剤はしばしば用いられる。粘度調整剤は、好ましくは、熱硬化性樹脂に溶解する熱可塑性材料である。
【0021】
例示的な粘度調整剤には、General Electric(Pittsfield,Mass.)から入手できるULTEM(登録商標)1000Pなどの熱可塑性ポリエーテルイミド、住友化学株式会社(日本国大阪市)から入手できる5003Pなどの微粉化ポリエーテルスルホン(PES)およびHuntsmanから入手できるポリイミドMATRIMID(登録商標)9725が挙げられる。ULTEM(登録商標)1000Pおよび微粉化PESが好ましい。微粉化PESが特に好ましい。所望の粘度を提供するために、エポキシ樹脂混合物に添加される粘度調整剤の量およびタイプを変えてよい。
【0022】
典型的な配合に関する更なる情報は、ASM Handbook、Volume21,Composites 2001におけるエポキシ樹脂に関する章において入手できる。
【0023】
水分バリアプレプレグための例示的なプレプレグ樹脂配合は次の通りである。
1〜70重量部のエポキシ
5〜40重量部のアミン硬化剤
1〜30重量部の粘度調整剤および
0.1〜10重量部の繊維ミクロパルプ
【0024】
別の実施形態において、水分バリアプレプレグためのプレプレグ樹脂配合は次の通りである。
10〜40重量部の三官能性エポキシ樹脂
10〜40重量部の二官能性エポキシ樹脂
11〜25重量部の芳香族硬化剤
0〜3重量部の非芳香族硬化剤および
5〜15重量部の粘度調整剤
0.1〜10重量部の繊維ミクロパルプ
【0025】
最終樹脂を所望の繊維に被着させてプレプレグを形成する。プレプレグの樹脂含有率は、複合パネルに関する所望の機械的特性および構造特性を達成するために、多くの異なるパラメータに応じて変えてよい。プレプレグが30〜45重量%の樹脂含有率および55〜70重量%の繊維含有率を有することが好ましい。溶媒法または無溶媒(ホットメルト)法のいずれかによってプレプレグを作るために樹脂と繊維を組み合わせる方法は当業者に公知であり、F.C.Campbell,Elsevierによる「Manufacturing Processes for Advanced Composites」のpage56およびHexcel Corporationの製品パンフレット「Prepreg Technology」において更に詳述されている。
【0026】
プレプレグ中で用いられる強化繊維は、複合積層品を形成するために用いられる繊維材料のいずれかであることが可能である。例示的な繊維材料には、ガラス、アラミド、炭素、セラミックおよびそれらの混成物が挙げられる。繊維は、ウーブン、一方向性またはランダム繊維マット状であってよい。好ましいウーブン形態は、炭素繊維またはガラス繊維から織られた平織物、朱子織物または綾織物である。こうした材料は、HexcelまたはBGF Industries Inc.(Greensboro,NC)から入手できる。
【0027】
本発明の別の実施形態において、更に必要な成分はハニカムである。本発明において用いるための例示的なハニカム材料には、アルミニウム繊維、アラミド繊維、炭素繊維またはガラス繊維が挙げられる。好ましい材料は、Nomex(登録商標)などのメタアラミド、Kevlar(登録商標)などのパラアラミドおよび5052グレードアルミニウム合金または5056グレードアルミニウム合金である。ハニカムの寸法を広く変えることが可能である。典型的には、ハニカムコアは、1/8〜1/2インチ(3.2〜12.7mm)セルを有し、コアの厚さは1/4インチ(6.4mm)〜2インチ(50.8mm)である。セルサイズはハニカムコアのセル内の内接円の直径である。最終コア密度は、通常、2〜12lb./cu.ft.(32〜192kg/m3)の範囲内である。ハニカムコアは、Euro−Composites(Elkwood,VA)、Hexcel Corporation(Casa Grande,AZ)およびM.C.Gill Corporation(El Monte,CA)などの会社から入手できる。
【0028】
本発明によると、図5における流体バリアプレプレグ15は、図5における金型16上で組み立ててよく、耐流体浸透性が改善された複合材料構造体を形成するために硬化させてよい。複合構造体はハニカムコアを更に含んでよい。構造用部品の所望の設計に応じて、必要なプレプレグシートまたはプレプレグ層の数は、1〜30の間であることが可能である。本発明のプレプレグが構造用特性を提供できるけれども、複合パネルは、流体不浸透特性をもたずに構造的役割において純粋に機能するプレプレグシートも含有してよい。こうしたプレプレグは、複合材料産業において広く入手でき、一例はCytec Engineered Materials(Tempe,AZ)製のCycom(登録商標)970である。用いられる様々なプレプレグの相対量は、設計要求を満たすために最適化することが可能である。
【0029】
プレプレグおよびコアからの一体式構造用複合パネルまたはコア系構造用複合パネルの調製は、当該技術分野における公知の技術を含む。主たる方法は、オートクレーブ硬化技術、ホットプレス硬化技術および真空バッグ硬化技術である。これらの技術は、ASM Handbook、Volume21,Composites 2001における硬化に関する章においてより詳しく説明されている。パネル成分を硬化し接着するために必要な真空、圧力および熱の量は、特定の樹脂配合およびプレプレグ中の樹脂の量に応じて変えてよい。一般に、樹脂が構造全体を通して適切に流れることを確実にするのに十分な圧力をプレプレグに加えなければならない。ハニカムパネル構造体の場合、コアエッジ上の適切なフィレット形成を提供するための樹脂フローも重要である。
【0030】
本発明の別の実施形態において、アラミド繊維ミクロパルプは、サンドイッチパネルアセンブリーの一部分を構成するフィルム接着剤に導入してよい。こうしたフィルム接着剤が、通常、図3において9で示された通りコアのすぐそばに配置されるか、または図4において14で示された通り外面層として配置されるけれども、こうしたフィルム接着剤はプレプレグシート間に位置決めすることもできよう。これらの接着剤は、プレプレグ樹脂における化学品に似たエポキシ化学品、ビスマレイミド化学品、フェノール化学品、ポリイミド化学品およびシアネートエステル化学品に基づく。アルミニウム、シリカおよび難燃剤も一般的に用いられる原料である。フィルムはキャリア生地を備えることも可能であり、一例はポリエステルヤーンのニットトリコット生地である。キャリアを除くフィルム配合物中のアラミド繊維ミクロパルプの量は、完全に配合されたフィルム組成物の一般に0.05〜10.0重量%、より好ましくは0.05〜6.0重量%、最も好ましくは0.05〜3.0重量%である。パルプはプレプレグ樹脂中で用いられたパルプと同じ特性を有する。フィルムとプレプレグの両方とも、流体不浸透性フェースシートと同じアセンブリー中で用いてよい。
【0031】
本発明のなお別の実施形態は、インサートポッティング用途またはコアエッジ充填用途において用いるための接着剤ペーストまたは接着剤シンタクティックにアラミド繊維ミクロパルプを導入することである。インサートポッティングは、ファスナーをパネルに通して置かなければならない所に位置決めされたサンドイッチパネルに位置設定付属装置を結合することである。この結合は、通常、プレプレグ硬化を伴う共硬化操作として行われる。コアエッジ充填はパネル硬化後に行われ、損傷および水分進入から図1Bにおける5のコアエッジを封止する。本プロセスは、パネルエッジの周囲全体のまわりで1/2〜1セル深さのハニカムコアを機械的に除去し、その後、得られた空きコア部分を樹脂でハンド充填することを含む。樹脂が硬化した後、平滑に且つパネルのエッジと面一にパネルエッジの機械加工またはハンド磨きのいずれかを行う。これらのポッティング用およびセルエッジ封止用の接着剤は、プレプレグ樹脂における化学品に似たエポキシ化学品、ビスマレイミド化学品およびポリイミド化学品に基づく。ミルドファイバーまたはマイクロバルーンおよび難燃剤などの充填剤も一般的に用いられる原料である。ペースト配合物またはシンタクティック配合物中のアラミド繊維ミクロパルプの量は、完全に配合された組成物の一般に0.05〜10.0重量%、より好ましくは0.05〜6.0重量%、最も好ましくは0.05〜3.0重量%である。パルプはプレプレグ樹脂中で用いられたパルプと同じ特性を有する。
【実施例】
【0032】
実施例において、別段に記載がない限り、すべての部および百分率は重量により、度は摂氏度である。
【0033】
実施例1
以下の配合を有する樹脂を調製することが可能である。
26.1%のMY−0510(N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン)
24.2%のGY285(ビス−Fエポキシ)
15.3%の3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
1.3%のジシアンジアミド
13.1%の微粉化ポリエーテルスルホン(PES)
17.0%の高密度化ポリエーテルスルホン(PES)
3.0%のアラミド繊維ミクロパルプ
【0034】
住友化学株式会社(日本国大阪市)から入手できるPES5003Pから高密度化PESを製造する。PESを米国特許第4,945,154号明細書により高密度化する。高密度化PESは、13重量%以下が5マイクロメートルより小さく、4重量%以下が40マイクロメートルより大きい、1025マイクロメートルの平均粒度を有する。
【0035】
24.2%のGY285および6.0%のMY0510を樹脂ケトル内で混合し、攪拌しつつ65℃に加熱する。一旦この温度を達成すると、13.1%微粉化PES5003Pを樹脂ケトルに添加する。その後、混合物を128℃に加熱し、この温度で75分にわたり保持する。75分の終わりに、熱を取り除き、20.1%のMY0510をケトルに添加する。混合物が65℃に冷える際に攪拌を続ける。15.3%の3,3−DDSを添加し、15分にわたり混合する。その後、1.3%のジシアンジアミドを添加し、混合物を65℃で5分にわたり攪拌する。最後に、17.0%の高密度化PESおよび3.0%のアラミド繊維パルプを添加し、65℃で15分にわたり攪拌する。
【0036】
193グラム/平方メートル(gsm)の平織3K炭素繊維生地および138gsmの樹脂のプレプレグを最初に形成することによりハニカムサンドイッチパネルを準備する。プレプレグを次の通り形成する。
【0037】
69gsmの樹脂を含有するフィルムを形成するためにリバースロール法により樹脂を剥離紙上に約79℃で被覆する。2枚の樹脂フィルムを炭素繊維生地に含浸させる。
【0038】
22インチ(56cm)Hgの真空下でHexcel製の厚さ1/2インチ(1.27cm)、セルサイズ1/8インチ(0.31cm)のNomex(登録商標)ハニカムタイプHRH(登録商標)10にプレプレグを被着させ、圧力45psi、177℃で2時間にわたり硬化させ、20psiでガス抜きし、2℃/分の速度でランプ冷却する。
【0039】
比較例1
以下の配合を有する樹脂を調製することが可能である。
27.0重量%のMY−0510(N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン)
24.9重量%のGY285(ビス−Fエポキシ)
15.8重量%の3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
1.3重量%のジシアンジアミド
13.5重量%の微粉化ポリエーテルスルホン(PES)
17.5重量%の高密度化ポリエーテルスルホン(PES)
【0040】
アラミドミクロパルプを添加しないことを除き、樹脂混合手順は実施例1の通りである。プレプレグおよびサンドイッチパネルを製造する工程も実施例1の通りである。
【0041】
実施例1および比較例1からの試験クーポンを、温度および相対湿度が制御された試験チャンバ内で流体浸漬に供することが可能である。浸漬の前後にサンプルを秤量する。重量差は、吸収された流体の量を表す。流体バリアプレプレグフェースシートを含有するパネルは流体進入がより少ない。一体式構造体からのクーポンをASTM5229に準拠して試験できる一方で、ハニカム構造体の場合、適する試験手順は、Journal of Materials Engineering and Performance,Volume6(6),732、December 1997におけるCise et.al.による「Moisture Ingression in Honeycomb Core Sandwich Panels」に記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合構造体用の未硬化プレプレグ複合材料であって、
(a)少なくとも1層の繊維層と、
(b)熱硬化性樹脂と、少なくとも1種の硬化剤と、少なくとも3グラム/デニールのテナシティおよび0.01〜100マイクロメートルの体積平均長さを有する繊維ミクロパルプ0.05〜10.0重量%とを含む、プリプレグを形成するために前記繊維層と組み合わされた樹脂と
を含む未硬化プレプレグ複合材料。
【請求項2】
請求項1に記載のプレプレグを含む硬化複合材料構造体。
【請求項3】
ハニカムコアを更に含む請求項2に記載の複合材料構造体。
【請求項4】
熱硬化性樹脂と、少なくとも1種の硬化剤と、少なくとも3グラム/デニールのテナシティおよび0.01〜100マイクロメートルの体積平均長さを有する繊維ミクロパルプ0.05〜10.0重量%とを含む、複合構造体のための未硬化フィルム接着剤。
【請求項5】
請求項4に記載のフィルム接着剤を含む硬化複合材料構造体。
【請求項6】
熱硬化性樹脂と、少なくとも1種の硬化剤と、少なくとも3グラム/デニールのテナシティおよび0.01〜100マイクロメートルの体積平均長さを有する繊維ミクロパルプ0.05〜10.0重量%とを含む、複合構造体のための末硬化液体樹脂または末硬化ペースト樹脂。
【請求項7】
請求項6に記載の液体樹脂またはペースト樹脂を含む硬化複合材料構造体。
【請求項8】
熱硬化性樹脂と、少なくとも1種の硬化剤と、少なくとも3グラム/デニールのテナシティおよび0.01〜100マイクロメートルの体積平均長さを有する繊維ミクロパルプ0.05〜10.0重量%とを含むプレプレグ樹脂と繊維層を組み合わせる工程を含むプレプレグを製造する方法。
【請求項9】
ハニカムサンドイッチパネルを製造する方法であって、請求項1に記載のプレプレグをハニカムの両面に取り付ける工程と、前記プレプレグを硬化させて、前記ハニカムサンドイッチパネルを形成する工程とを含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−519980(P2011−519980A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503189(P2011−503189)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/039378
【国際公開番号】WO2009/146114
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】