説明

流体仕切りを備えたパッド

本発明は少なくとも1つの製品を特定の面に調節して塗布するための器具に関する。器具は複数の層を備えており、器具を作製する際に底部層と少なくとも貯蔵層が合わせて溶接されることで、貯蔵層の中に一時的な液体仕切りを形成する。この一時的な液体仕切りによって貯蔵層内に少なくとも1つの閉鎖小室が形成され、この一時的な液体仕切りの目的は貯蔵層が塗布されるべき液体で満たされた後、液体が仕切りを越えて流れるのを遅らせることである。液体が一時的な液体仕切りを越えて流れるのを遅らせることで、器具の残りの種々の層がその外側周辺部の内側および周囲で合わせて接着され、この製品のために液密の貯蔵小室を形成することが保証される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの製品を所望される場所に塗布するための器具に関する。より詳細には本発明は少なくとも1つの製品を収容するパッドに関し、この場合パッドの構造により器具の正確な充填が保証され、製品はパッドは使用されるまで漏出する危険がなくその貯蔵された区画内に留まる。
【背景技術】
【0002】
今日では、多様な液体またはコロイド状の物質(以下製品と呼ばれる)を所望される箇所または面に塗布するのに利用できる様々な方法がある。製品は例えばユーザがボトルまたはチューブから自分の手の上に製品を置き、その後その手を使って所望される面に塗るだけで特定の面に塗布することができる。この方法は最も費用が安く済むが、無駄が多く散らばりがちでもあり、結果として製品の塗布が均一でなくなる可能性がある。さらにボトルまたはチューブはかなり大量の製品を中に含んでおり、よってユーザが持ち運ぶのに不便な場合もある。
【0003】
1つの他の方法は、別個のボトルとアプリケータ要素を持つことである。アプリケータ要素は、アプリケータ要素と製品が互いに接触する際に製品の一部を吸収し、これによりユーザがこのアプリケータ要素を使用して所望される箇所または面に製品を分散させる。この方法は結果としてアプリケータ要素に製品を付加する際にこぼれてしまうこともあり、またアプリケータ要素自体が製品の一部を吸収するために製品の一部が無駄になる恐れもある。この方法に関する別の問題は、塗布される製品がユーザの手と接触する場合があり、これは特に製品が皮膚を刺激するものである場合に望ましくない。
【0004】
所望される面に製品を塗布するためのさらに別の方法は、使い捨てまたは一回使用のアプリケータを使用することであり、このアプリケータは所定の量の製品を含んで供給される。このようなアプリケータは、例えばクレンジングクリームなど適切な製品がほぼいっぱいに注入された使い捨て材料から作製され、特定の容器の中に密閉される。これは結果として必要以上に多くの化粧品がシート材料に塗布されることから作製するのに比較的コストがかかってしまう。また塗布すべき製品がこのようにしてアプリケータに注入されると、結果として所望される面への製品の塗布が不均一になる可能性もある。またアプリケータから皮膚に移される製品の量を調節することは大変難しく、製品を過剰に塗布する確率が高くなる。
【0005】
上記に述べた製品は例えば傷の清浄剤、マニキュア液、マニキュアの残片、接着剤の残片など多用な目的の特定のクレンジング液などの液体であってよく、コロイド状の物質は例えば靴クリーム、化粧品、保湿クリーム、クレンジングクリーム、セルフタンニングクリーム、個人の衛生上の様々なゲル製品、石けんなどであってよい。さらに製品は例えば痛み緩和剤、痛み止め剤などの医薬品である場合もある。
【0006】
従来技術に示されるアプリケータに共通する特徴は、それらが経済的でなく特定の面への製品の塗布が調節できないことである。
【0007】
米国特許第3,124,825号はマニキュア液のリムーバを記載しており、ここでは特定の容器を含み、その間に置かれ、ユーザの全ての爪からマニキュア液を除去するのに十分なマニキュア液リムーバが中に浸透したアプリケータを取り出す単一利用の使い捨てパッケージが提供されている。パッケージは可撓性のパウチでできており、その自由な縁部がヒートシールされて1つの封筒状の袋を形成し、これによって中に含まれる物質が液体や気体と接触しないように密閉される。パウチ内でアプリケータにはマニキュア液リムーバが十分に染み込んでいる。
【0008】
米国特許第5,961,500号は、不浸透性の仕切りを備えた事前に湿らせた医療用ワイプを記載しており、ここではワイプは、感染物質に対して不浸透性であり皮膚科用の流体には不溶性である仕切りシートの片側に吸収剤の層を接着することによって構成されており、仕切り内にある液溜めを皮膚科用の流体で満たし、仕切りとカバーの間の吸収剤の層を気密式に密閉する。吸収剤の層の周辺縁部は、仕切りの周辺縁部から内向きに離間されて不浸透性の仕切りのみででた周囲を囲む区域を形成する。仕切りに接着された吸収剤の層は、皮膚科用の流体に曝されることによって生じる劣化に対する耐性がある。
【0009】
従来技術の欠点の1つは、流動物質がパッケージから押し出され放出される速度または方向を調節できない点である。さらにその構造上の形態によりパッケージからの流量が調節されない点である。
【0010】
さらに多くの既知のアプリケータはまた、アプリケータを充填する際に漏出するおよび/またはアプリケータがしばらくの間保管された後に漏出する傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第3,124,825号
【特許文献2】米国特許第5,961,500号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
よって本発明の目的は、簡単かつ経済的に少なくとも1つの製品で充填することができる器具を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、保管および輸送する際1つまたは複数の製品が漏出および/または乾燥することのない器具を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、1つまたは複数の製品を中に含み、簡便で均一なおよび簡単な方法で特定の面に分散させる経済的な器具を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、現在適用されるこのような製品の利用に一般に関連する欠点を最小限にし、場合によっては軽減させる1つの製品の形態で製品用のアプリケータを提供することと、その利用をより容易にかつより効果的にする助けをすることである。
【0016】
これらの目的は、添付の独立クレームに記載されるように本発明による特定の面に製品を塗布する器具によって実現され、本発明の実施形態は独立クレーム中に提示されている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によって少なくとも1つの製品を調節して特定の面または箇所に塗布することができる器具が提供され、この場合器具は適切な方法で接着される複数の層を備える。器具の各層はその独自の特定の機能を有する。
【0018】
本発明による器具は、器具の少なくとも1つの層に一時的な仕切りが設けられるため、1つまたは複数の希薄なおよび/または粘度の低い製品を収容するのに特に適している。一時的な仕切りの目的は製品が仕切りを越えて流れるのを遅らせることであり、これにより層を合わせて接着することができる。
【0019】
典型的な器具は例えば4つの層から成り、この層は底部層、貯蔵層、接触層および器具を密閉する頂部層である。しかしながら器具がより少ないまたはより多い層を備える場合もあり、これは、種々の層にどの材料が使用されるか、器具内に含まれる製品および器具がどんな目的で作製されるかなどに左右される。
【0020】
底部層は器具の後部面を構成しており、貯蔵層を乾燥から守る働きをしている。またそれにより使用中にユーザが汚れるのが防止される。好ましい一実施形態では底部層がポケット(補助的な外側の弾性層を備える)として形成される、または器具を容易に使用するために保持器具を備える場合もある。底部層は、1つまたは複数の他の層に装着されるように例えば溶着性に優れたプラスチックフィルムなどの液体不浸透性の材料から作製されてよい。異なる層同士の装着は、それが他の層から剥がれないように例えばヒートシール、超音波溶接または接着剤を利用して行なうことができる。
【0021】
本発明による貯蔵層は交差する繊維を有する繊維構造を備えてよく、この場合1つまたは複数の層の中に繊維を置くことができる。この繊維の構造によって特定のサイズと形状の空洞が形成され、この空洞によって貯蔵層が貯蔵されるべき特定の製品を含むことが可能になる。空洞のサイズは中に含まれる製品の粘度によって変化し得る。この構造体は実質的に吸収性ではないため、それが含むべき製品を1回分ずつ投与する、または別の方法でこの製品を供給する必要がある。
【0022】
また貯蔵構造体は、例えばゴム製のスポンジ材または不織材など塗布すべき製品を貯蔵するのに十分な多孔性を有する様々なセル構造の材料から作製されてよい。
【0023】
貯蔵層は、使用される材料が多孔性であることに起因して「ばねのような効果」を有し、このことにより器具が圧縮される毎に貯蔵層が製品の一部を放出する。圧力が緩和されると、残った製品は貯蔵層内に残される。
【0024】
また例えば針やナイフなどを使用して貯蔵層に打ち抜き穴および/または開口を形成するなどして、貯蔵材料の空洞を人工的に形成することもできる。これは、パッドの特定の場所に特定の量の製品を貯蔵しなければならない場合に重要である。
【0025】
また貯蔵層が1つまたは複数の他の層と共に多数の小室が設けられた層として作製される場合もあり、この場合これは、例えば貯蔵層が密度が異なる2つ以上の異なる製品を中に含む場合および/または器具が使用されるまで製品を混合すべきでない場合に有利である。この「小室の形成」は、溶接によって小室の間に仕切りを形成することによって実現することができ、この仕切りは、特定の圧力が貯蔵層に加えられたときに引きちぎれるまたは開放する。
【0026】
少なくとも1つの希薄なまたは粘度の低い製品で器具を充填することができるように、貯蔵層に一時的な仕切りが形成される。貯蔵層に製品を充填する際、この一時的な液体仕切りによって製品が一時的な液体仕切りを越えて流れるのを遅らせ、この遅れは器具の残りの層を接着するのに十分である。
【0027】
接触層は製品が塗布されるべき面に接触する層であり、フィルムまたは繊維(例えば不織の)であってよい。この層は、器具が使用される用途によって選択される好適な構造を有する。例えば器具が靴クリームアプリケータとして使用される場合、接触層はこのとき靴クリームが塗布される際にクリームを広げ靴を磨くのに適した面を有する。例えば器具が滅菌性のクレンジング液を使用して皮膚を洗浄するのに使用される場合、このとき接触層は皮膚に対して柔らかであり、かつ好ましくはそれがユーザの皮膚から汚れなどを落とすことができるように所望の度合いの表面粗さを有する面を有する必要がある。このようなケースでは、使用する前に材料が滅菌されていなければならないことが多く、よって器具を使用する前に引き剥がされる別の層によって器具が保護される場合もある。
【0028】
器具内にある種々の層は、適切な方法で合わせて接続または装着される。本発明の好ましい一実施形態では底部層、貯蔵層、接触層および頂部層は、その外側縁部の内側に沿って互いに装着され、これにより密閉された貯蔵小室を形成する。種々の層同士のこのような装着または接続は、例えばヒートシール、超音波溶接または接着剤によって行なうことができる。
【0029】
底部層、貯蔵層および接触層を互いに装着することで貯蔵小室を形成することができるが、貯蔵層はこのとき頂部層が残りの層に装着されるまで「密閉」されない。頂部層はこのとき残りの層と全く同様の方法で、すなわち密閉された貯蔵小室を形成する溶接部の周りで「溶接」される必要がある。
【0030】
追加の安全保障として本発明による器具を埃、細菌、湿気などの汚染から保護するために、器具を使用する前に種々の層はまた、例えば接着、溶接または任意の他の好適な方法によってその外側周辺部の周りで接続される。これにより、ポケット開口を除いてその外側縁部の周囲で「閉鎖された」器具が形成されることになる。この接続は単なる「溶接」または液密「溶接」であってよい。
【0031】
頂部層はプラスチックフィルムまたは任意の他の好適な材料の積層物から作製されてよく、この材料は実質的に不浸透性である。
【0032】
頂部層が引き剥がされて取り除かれると器具は使用するための準備が整う。貯蔵小室の中に貯蔵された製品は、器具が機械的な圧力を受けるまで貯蔵小室内に留まる。
【0033】
上記に記載された密閉された貯蔵小室が形成される前に、器具はそれが収容すべき製品で満たされなければならない。希薄なおよび/または粘度の低い製品で器具を充填することができるように、器具の中に少なくとも1つの一時的な液体仕切りが形成される。この一時的な液体仕切りは、底部層と貯蔵層を合わせて「溶接」することによって形成され、この場合溶接シームが閉回路を形成する。一時的な液体仕切りは密閉された貯蔵小室の中に配置される。
【0034】
一時的な液体仕切りが形成される際、1つまたは複数の針またはノズルを使用して一時的な液体仕切りの内部に製品を充填する。針またはノズルはこのとき、一時的な液体仕切りの中に入れることによって製品を直接一時的な液体仕切りに注入することができる、あるいはそれらを貯蔵層の表面に接触させて、またはその面上の一定の距離のところに配置してこの面に放出することができる。
【0035】
製品が一時的な液体仕切りの中に放出される際、製品は、その粘度が低いことに起因してほとんど直ぐに外に流れ始める。しかしながら一時的な液体仕切りによって製品が仕切りの溶接シームを越えて流れるのが遅れることになる。この遅れによって、上記に記載した密閉された貯蔵小室を形成するのに十分な時間が与えられる。この密閉された貯蔵小室は液密の小室であり、よって製品は密閉された貯蔵小室の中に「閉じ込められ」実質的に底部層および頂部層には浸透しない。
【0036】
一時的な液体仕切りは、スポット溶接、断続的な溶接シームを敷くまたはその2つを組み合わせることによって所望される目的を達成することができるため、必ずしも閉鎖された仕切りである必要はない。
【0037】
本発明による器具が2つ以上の貯蔵小室を備えて作製される場合、各貯蔵小室がその中に一時的な液体仕切りを有する必要があることを理解されたい。
【0038】
また一時的な液体仕切りを、例えば底部層と貯蔵層を合わせて接着剤でつけるなど他の方法で形成することもでき、この場合接着剤によって2つの層の間に立ち上がった縁部が形成される。この縁部によって、製品が貯蔵層内の一時的な液体仕切りの中に充填される際製品が縁部を越えて流れるのが遅れ、これにより密閉される貯蔵小室を形成するために他の層に接着する時間が与えられることになり、この貯蔵小室は一時的な液体仕切りの外側に配置される。
【0039】
また一時的な液体仕切りを「水盤形の容器」として作製することもでき、これは一続きの接着剤、ワックスなどを底部層および/または貯蔵層の上に置くことで実現することができ、この場合底部層と貯蔵層が合わせて据えられたとき水盤形の容器が形成される。
【0040】
一時的な液体仕切りを形成するさらに別の可能な方法は、一時的な液体仕切りを形成する領域で薄くなる少なくとも1つの層を形成することであり、これにより層内に少し沈んだ領域/くぼみ/穴または「半球状の容器」が形成される。種々の層が合わせて据えられるとノズルまたは針を介して製品が供給される。製品の粘度が低いため、それはまず沈んだ領域/くぼみ/穴または「半球状の容器」を満たし、その後初めて層の表面全体に流れ出る。これにより所望される時間の遅れが実現し密閉された貯蔵小室を形成することが可能になる。
【0041】
また上記に記載される技術を組み合わせて一時的な液体仕切りを形成することもできる。例えば底部層および/または貯蔵層を薄くすることもでき、その後でそれらを合わせて据えて溶接する。
【0042】
底部層および貯蔵層のみを使用して一時的な液体仕切りを形成することが上記に記載されているが、1つまたは複数の層をこのプロセスに含むことができることを理解されたい。
【0043】
器具の種々の層の接着を描写するのに使用される「接続される」という表現は、層の溶接または接着のみを意味するのではなく、一時的な液体仕切りを形成する目的で互いに隣接して据えられた少なくとも2つの層が協働することも意味することを理解されたい。
【0044】
本発明の上記のおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面に例示される本発明の好ましい非制限的な実施形態をさらに特定する以下の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による器具の主たる構成を示す図である。
【図2】従来技術による器具がどのように充填されるかを示す図である。
【図3】従来技術による器具がどのように充填されるかを示す図である。
【図4】本発明による器具がどのように充填されるかを示す図である。
【図5】完成した器具の図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は本発明による器具の基本構成を示している。器具は4つの異なる層を備え、各層はその独自の特定の機能を有する。
【0047】
底部層4は、貯蔵された製品がこれを通過するのを阻止する必要があり、よって液体不浸透性の材料から形成される。底部層4はその裏側(貯蔵層3と反対の方を向く面)で補助的な弾性のポケット層5と接着され、これら2つの層4、5は接続される際器具に1つのポケットを形成する。
【0048】
ポケット層5と残りの層1−4は適切な方法でその外側周辺部の周りで接続され、ポケット層5の特定の部分のみが接続されずに残されることで、底部層4とポケット層5の間に開口が形成される。次いでユーザは器具を使用する際に底部層4とポケット層5の間に形成されたポケットに自分の手を入れることができる。このポケットにより器具が扱い易くなり、またこれによりユーザの手が汚れるのを防止する。
【0049】
本発明の別の実施形態では弾性層5は、例えばハンドルまたはグリップ器具などの保持器具(図示せず)によって置き換えることもできる。
【0050】
底部層4の上に三次元の貯蔵層3が配置される。貯蔵層3は所望される面または箇所に塗布すべき液体および/またはコロイド状の物質を中に含んでおり、この製品物質は、種々の層1−4が合わせて接続される前に貯蔵層3に供給することができる、あるいは種々の層2−4が合わせて接続された後に供給することができる。
【0051】
貯蔵層3内に含まれる製品は、例えば多様な種類のノズルまたは針などによって供給することができる。
【0052】
貯蔵層3の上に接触層2が配置され、この接触層2によって液体および/またはコロイド状の物質が貯蔵層3から接触層2を貫通して、液体および/またはコロイド状の物質が塗布されるべき面に進むことが可能になる。液体および/またはコロイド状の物質が塗布されるべき面に向く接触層2の面は、それが液体および/またはコロイド状の物質を所望される面または箇所に均一におよび散在させて放出するようになっている。
【0053】
本発明による器具はまた頂部層1を備えており、この場合頂部層1は実質的に不浸透性の材料から作製される。頂部層1は接触層2の上に配置され、よってこれは保管および輸送する際に接触層2が詰まらないように保護する。器具を使用する前に頂部層1を取り外す必要があり、この場合これは頂部層1を引き剥がすことによって行なうことができる。よって頂部層1は、容易に引き剥がせるようにフラップまたは角を備えて形成される。
【0054】
器具内に貯蔵小室8を形成する目的で(この貯蔵小室8の中に製品が含まれる)、底部層4、貯蔵層3、接触層2および頂部層1がその外側周辺部の周囲およびその内側で合わせて溶接される6。貯蔵小室8は閉鎖された小室であり、溶接6によってそれを液密にする。溶接は例えばヒートシール、超音波溶接または接着剤によって行なうことができる。
【0055】
追加の安全保障として接触層2が詰まるのを防ぐ目的で、器具の種々の層1−5はその外側縁部の周りでも接着される。このような接着または「溶接」は液密な接続でなければならない。
【0056】
図2および図3は従来技術による器具がどのように充填されるかを示している。
【0057】
図2では従来技術による器具がどのように充填されるかが示されている。器具は底部層4、貯蔵層3および接触層2を備える。層2−4が合わせて溶接されることで貯蔵小室8を形成する。層2−4の外側周辺部の内側に溶接部6が配置される。次いで貯蔵小室8内に含まれるべき液体および/またはコロイド状の物質が、針またはノズル7を介して貯蔵小室8内に供給される。
【0058】
貯蔵小室8が液体および/またはコロイド状の物質で満たされると、頂部層1(図2には示されていない)が層2−4に接着され、これにより密閉構造が形成される。
【0059】
従来技術から知られる1つのさらに他の実施形態が図3に示されており、この場合器具は底部層4、貯蔵層3および接触層2から成り、この層2−4は図2を参照して記載したように接続される。次いで層2−4は2つの頂部層1の間に包まれ、頂部層がその外側周辺部の内側で溶接される9ことによって液密の器具が形成される。
【0060】
本発明による器具がどのように作製されるかを図4から見ることができる。希薄なおよび/または粘度の低い製品で器具を満たすことができるように、器具内に一時的な液体仕切りを形成する。この一時的な液体仕切りは底部層4と貯蔵層3を合わせて「溶接」することによって形成され、この場合「溶接」シームまたはバンド10によって閉回路が形成される。一時的な液体仕切りは、貯蔵小室8が形成されるとこの貯蔵小室8の中に配置される。
【0061】
一時的な液体仕切りの目的は製品が一時的な仕切りを越えて流れるのを遅らせることであり、この遅れは器具内に貯蔵小室8を形成するには十分である。
【0062】
一時的な液体仕切りの中に液体を充填する目的でノズルまたは針7が使用される。針またはニードル7は次いで、それらを貯蔵層3の中に入れて貯蔵層3内に流体を直接注入する、あるいはそれらを貯蔵層3の表面に接触させて、または貯蔵層3より上の一定の距離のところに配置してこの面に流体を放出することができる。
【0063】
一時的な液体仕切りの溶接シーム10の幅は、溶接シームが流量調節装置として作用するため貯蔵層3内に貯蔵される液体および/またはコロイド状の物質に左右される。典型的には溶接シームの幅は0.5から2mmの範囲内である。
【0064】
一時的な液体仕切りの形態は円形から複雑な曲線まであらゆるものに変化し得るが、液体仕切りは常に閉回路である。
【0065】
さらに一時的な液体仕切りが貯蔵層3内に複数の閉鎖された区画を形成する場合もあり、これは器具が2つ以上の液体および/またはコロイド状の物質を含む際に有益である。
【0066】
液体および/またはコロイド状の物質の特性(例えば重量および毛管現象力)により、液体および/またはコロイド状の物質は一時的な液体仕切りの中に分散し、液体および/またはコロイド状の物質はまた一時的な液体仕切りを越えて貯蔵層3の中に分散する。しかしながら液体のさらなる分散は、貯蔵小室8の液密の溶接部6によって制限される。
【0067】
液体および/またはコロイド状の物質が貯蔵小室3内の区画に充填された後、接触層2と貯蔵層1が貯蔵層3とポケット層4の上に置かれ、その後種々の層1−4が合わせて溶接されて貯蔵小室8を形成する。その後層の外側周辺部の内側および周囲に溶接部6が配置される。
【符号の説明】
【0068】
1 頂部層
2 接触層
3 貯蔵層
4 底部層
5 ポケット層
6 溶接部
7 針またはノズル
8 貯蔵小室
9 溶接部
10 溶接シーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の製品を中に含むアプリケータ器具において、底部層(4)と頂部層(1)を備え、この2つの層(1,4)の間に少なくとも1つの層が配置され、前記底部層(4)と頂部層(1)が前記少なくとも1つの層と接着されることで前記器具内に少なくとも1つの密閉された貯蔵小室(8)を形成し、前記密閉された貯蔵小室(8)が塗布すべき前記製品を収容する器具であって、前記製品を充填する前に前記底部層(4)と前記少なくとも1つの層が接続されて、前記貯蔵小室(8)の中に一時的な液体の仕切り(10)を形成し、この一時的な液体の仕切り(10)によって前記製品が当該仕切り(10)を越えて流れるのを遅らせることを特徴とする器具。
【請求項2】
前記貯蔵小室(8)が実質的に不浸透性の仕切りであることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記一時的な液体の仕切り(10)が、所定の配列で前記貯蔵層の一部または全面に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記底部層(4)と前記頂部層(1)が実質的に不浸透性の材料から作製されることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記底部層(4)が弾性のポケット層(5)に接着されることで前記器具にポケットを形成することを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記貯蔵層(3)が1つまたは複数の面内の繊維構造で構成され、前記繊維構造が塗布すべき前記製品を中に含む空洞を形成することを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記頂部層(1)が弱くなった部分で残りの層(2−4)に溶接されることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項8】
また前記一時的な液体の仕切りが接触層(2)で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記底部層(4)、貯蔵層(3)、接触層(2)および頂部層(1)が接続されて前記器具内に前記貯蔵小室(8)を形成することを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項10】
前記一時的な液体の仕切りが閉回路であることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項11】
前記一時的な液体の仕切りがスポット溶接、断続的な溶接シームを敷くまたはその2つを組み合わせることによって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項12】
前記底部層(1)および/または貯蔵層(3)にくぼみが形成されることを特徴とする、請求項1に記載の器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−519531(P2012−519531A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552900(P2011−552900)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【国際出願番号】PCT/NO2010/000080
【国際公開番号】WO2010/101472
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(511215115)
【Fターム(参考)】