説明

流体供給装置及びその形成方法

流体供給装置とそのような装置を形成するための方法が提供される。流体供給装置は、本体、プレナム、入口、及び出口を含む。本体は、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ガリウム、耐火性硬質金属、遷移金属、及び希土類金属を有する元素、又はこれらの複合物、又はこれらの組み合わせ、の窒化物、炭化物、炭窒化物、酸窒化物の少なくとも一つから形成される。プレナムは、本体に配置される。入口は本体の第1部分を通過しプレナムと流体連通する。そして、出口は本体の第2部分を通過しプレナムと流体連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね流体供給装置、及び高反応材料の腐食性及び劣化性に対して耐性のある材料で、そのような装置を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある産業においては、高反応ガスや液体の取り扱いが必要である。そのようなガスや液体は、産業上のプロセス及びアプリケーションにおいて、しばしば分配されたり或いは供給される。そのような高反応ガス及び液体の取り扱いにおいて用いられる供給物品は、ガスや液体と接触すると急速に腐食し劣化する。そして、そのような供給物品の耐用年数は、高反応ガス及び液体による腐食や劣化に対する耐久能力に依存する。
【0003】
例えば、半導体ウエハプロセスにおいては、しばしばウエハ表面上にガスが供給され、半導体デバイスの一又はそれ以上の層を形成する。そのようなガスは、アンモニア、シラン、及び種々の金属有機蒸気が含まれる。そのようなガスが加熱されると、例えば、高温の水素や他の高腐食性の種を解離したり、或いは割ったりする。
【0004】
他の例において、金属は気体及び液体状態において、その反応性、温度及び浸透性により、取り扱いが難しい。薄膜フィルムの太陽電池産業においては、銅、インジウム、ガリウム、セレニウムの蒸気や、太陽電池の製造に用いるガスを取り扱うのが一般的である。これらの材料のすべてが、そのような材料の取り扱いに用いられる流体供給システムに用いられる材料に、腐食の影響を有する。
【0005】
金属コーティング産業は、他の金属に層を形成するために液体状及び気体状の金属を用いる。液体状及び気体状の金属を積層するために、金属シートの上方に配置される供給物品は、液体状及び気体状の金属の高反応性に耐えなければならない。金属の供給物品が液体又は気体との反応する材料で形成されていると、急速な腐食や劣化により金属の構造的一体性が損傷し、その供給物品は早期に故障する。液体及び気体状金属の高反応性に耐性を有する供給物品に対する要求に加え、供給物品は、そのような金属を供給するのに要求される高温に耐えるものでなければならない。気体状又は液体状の金属の供給物品は、その壁を通過する気体状の金属の透過性に耐えうるような十分な密度を有する必要がある。
【0006】
このような挑戦により、供給物品は典型的には、非常に短い耐用年数であり、本質的に使い捨てとなり、これにより、不十分で取り扱いにくく、失敗を引き起こす可能性のある方法となる。液体アルミニウム又は気体アルミニウムに限定されないがこれらを含む高反応材料を取り扱い、耐用年数を増加する新規な装置、及びそのような装置を形成する方法のニーズが存在する。
【0007】
流体供給装置と、このような装置を形成する方法が提供される。流体供給装置は、本体と、プレナムと、入口と、出口とを備えている。本体は、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ガリウム、耐火性硬質金属、遷移金属、及び希土類金属を有する元素、又はこれらの複合物、又はこれらの組み合わせ、の窒化物、炭化物、炭窒化物、酸窒化物の少なくとも一つから形成される。プレナムは、本体に配置される。入口は本体の第1部分を通過しプレナムと流体連通する。そして、出口は本体の第2部分を通過しプレナムと流体連通する。
【0008】
流体供給装置を形成する方法は、基板の提供と、この基板上への第1層の積層を含む。第1層は、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ガリウム、耐火性硬質金属、遷移金属、及び希土類金属のグループから選択される元素、又はこれらの複合物、又はこれらの組み合わせ、の窒化物、炭化物、炭窒化物、酸窒化物の少なくとも一つで形成される。少なくとも一つの穴が、第1層及び基板の少なくとも一部を貫通して形成される。第2層が残属する第1層と露出する基板の少なくとも一部に積層される。少なくとも一つの穴は、基板への流体アクセスを提供するように第1及び第2層を貫通して形成される。基板材料は、昇温環境の中に装置の半成品を配置することで穴から除去され、これによって流体供給装置が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面は、この明細書に組み込まれ、そしてこれを構成するとともに、好ましい実施形態の種々の態様を例示する。
【図1】流体供給装置の半成品の断面図である。
【図2】流体供給装置の半成品の断面図である。
【図3】流体供給装置の半成品の断面図である。
【図4】流体供給装置の半成品の断面図である。
【図5】流体供給装置の底面図である。
【図6】流体供給装置の底面図である。
【図7】流体供給装置の半成品の断面図である。
【図8】流体供給装置の断面図である。
【図9】流体供給装置の部分断面斜視図である。
【図10】流体供給装置の部分斜視図である。
【図11】流体供給装置の部分断面斜視図である。
【図12】流体供給装置の半成品の部分斜視図である。
【図13】図12の流体供給装置の半成品の詳細な一部斜視図である。
【図14】流体供給装置の半成品の詳細な部分斜視図である。
【図15】流体供給装置の半成品の詳細な部分斜視図である。
【図16】流体供給装置の半成品の詳細な部分斜視図である。
【図17】流体供給装置の部分斜視図である。
【図18】流体供給装置の部分断面斜視図である。
【図19】図18の流体供給装置の詳細な部分断面斜視図である。
【図20】図18の流体供給装置の詳細な部分断面斜視図である。
【発明を実施するための好ましい形態】
【0010】
この明細書を通じて、物質は、流体、流体状態、液相などとして説明される。「流体」という文言、及び「流体」という文言を含むフレーズの使用は、物質の液体、気体、及び蒸気形態を含むことが理解されよう。
【0011】
高反応流体を取り扱う装置の一実施形態では、比較的複雑な形状や配置を有する物が、ある表面に高反応流体を供給したり積層するために提供される。このような流体供給装置は、少なくとも一つの入口、少なくとも一つの出口、及び少なくとも一つのプレナムを含むことができる。プレナムは、流体供給装置の内部に配置される、概ねチャンバ、凹部、流路、または他のそのような流体を含みうる構造にすることができる。プレナムは、当該プレナムに含まれる流体が正圧を受けることができるように配置される。入口は、プレナムに流体を供給するためにアクセスされる開口の提供、プレナムからの流体の除去、プレナムへの正圧の付与などを行う。出口は、プレナムの中にある流体を分配するのに通過する開口を提供する。一般に、流体供給装置は、流体の供給パターンを制御するのに望まれるように配置することができる複数の出口を含む。例えば、出口は、所定の領域又は容量を超えて流体の分配を促進するための通常の対称的なマトリックスで配置することができる。他の例において、出口の数は、流体の濃縮を変化させるために流体供給装置に沿う一つの場所に集中させることもできる。
【0012】
この流体供給装置は、この明細書全体を通じて、比較的複雑な形状や配置を有する物として記載される。このような記載は、一般的に、例えば、複雑な内部流路、複数の内部流路、高いアスペクト比を有する外形、平坦ではない外面又は内面、又は非直線状の外形、等を含む物を参照する。比較的複雑な形状や配置とは、ブロック状の材料から物体を直接機械加工することで形成できないような形状及び配置を有する物体として参照される。
【0013】
この流体供給装置は、例えば液体アルミニウムのような高反応物質の腐食性又は劣化性に耐える材料で形成されることが、この明細書全体に亘って記載され得る。液体アルミニウムを取り扱い分配する装置は、一般的に液体アルミニウムとの反応に耐え、液体アルミニウムの高温を取り扱う耐熱特性を有し、十分な密度を有し、これによってアルミニウムガスは装置を透過しない。液体アルミニウムの腐食性及び劣化性に耐える材料で装置を形成することは、アルミニウムを含んだり分配するための流体供給装置の耐用年数を実質的に長くする。このような抵抗材料の例は、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ガリウム、耐火性硬質金属、遷移金属、及び希土類金属のグループから選択される元素、又はこれらの複合物、又はこれらの組み合わせ、の窒化物、炭化物、炭窒化物、又は酸窒化物を含む。
【0014】
一実施形態において、流体供給装置は、実質的に熱分解窒化ホウ素(pBN)で構成されている。実施形態の例において、ここでは便宜的にpBNとして記載し、この明細書を読んで理解した当業者は、流体供給装置がpBNで構成されることに限定されず、高反応物質の腐食性及び劣化性に耐えるいずれの材料でも形成することができることを理解するであろう。
【0015】
図1から図5は、pBN流体供給装置100の製造、製作、形成、または提供する方法を例示している。特に、図1から図4は、製作の異なるステージにおける、装置の断面図を示している。図5は、完成した流体供給装置100の底面図を示す。便宜のため、この流体供給装置を、「シャワーヘッド」として参照する。
【0016】
図1に示すように、流体供給装置100の組み立ては、基板102を提供し、この基板102の外部表面にpBNの連続層104をコーティングすることによって始まる。基板102は、グラファイトまたは他の同様の材料とすることができる。基板は、一般にディスク状、筒状、立方体状、直方体状、慣行上の形状などの種々の形状に形成したり機械加工したりすることができる。明らかなように、基板の形状は、一般的に、完成品である流体供給装置を所望の形状に形成するのが容易なものが選択される。例えば、流体供給装置の完成品の所望の形状がディスク状である場合には、通常は、ディスク状の基板が用いられる。
【0017】
pBN層104は、種々の方法で形成することができる。例えば、pBN層は、化学蒸着法、物理的気相成長法、原子層成長法などによって、基板の外面に積層させることができる。図1に示す実施形態において、pBN層104は、基板102を包み込むように、基板102の外面に連続的なコーティングを形成する。或いは、ここで記載される他の実施形態で例示されるように、pBN層は、基板の表面に選択的にコーティングされるように構成されたり、選択された表面の選択された位置にコーティングされるように構成されてもよい。
【0018】
一旦、pBN層104が積層されると、pBN層104の上面を通って基板102へ通ずる一又はそれ以上の穴又は溝106が形成される。一実施形態においては、図2に示すように、pBN層104の上面108及び基板102を通ってpBN層102の底面110に達する複数の溝106が機械加工によって形成される。このような溝106の形成、特に比較的多くの溝106の形成は、基板材料の実質的な量を取り除くことで行うことができる。一旦、溝106が形成されると、形成された穴や溝106を通して基板材料を追加で取り除くさらなる機械加工を行ってもよい。
【0019】
所望の量の基板材料が取り除かれると、pBNの第2層112が積層されるか、或いは流体供給装置の半成品の外面に塗布される。pBNの第2層112は、第1pBN層104と流体供給装置の半成品の残存する基板材料とを包み込むように、形成される。図3は、そのようなステップの結果を示している。流体供給装置の半成品は、pBN層104,112によって包み込まれた基板材料114のポケットを伴って形成されている。第2の穴116を第1及び第2pBN層104,112の底面110,111に形成してもよい。穴116は、残存する基板材料114へのアクセスを提供する。一実施形態において、少なくとも一つの穴116は、底面110,111を通って、基板材料114の残存するポケットへのアクセスを提供するように形成される。穴116が基板材料114をできるだけ多く取り除くことによって形成される一方、当業者は、基板材料114のポケットが位置するところに穴116を形成するという選択はせず、これによって基板材料114が最終的な流体供給装置にいくらか残留するということ(例えば、図20参照)は予期されるであろう。流体供給装置の半成品は、昇温環境に配置され、酸化又は気化によって残存する基板材料114を取り除く。結果として、流体供給装置100は、実質的にpBN材料で構成される。一実施形態において、流体供給装置の半成品は500〜700℃に加熱され、残存する基板材料114は酸化されたり気化されて、形成された穴116を通して流体供給装置の半成品から出ていく。
【0020】
図5は、上述し、図1から図4に示された方法ステップによって、製造され、製作され、もしくは形成された流体供給装置の一例の底面図を示している。図3及び図4に示す基板材料114が取り除かれた後、図5に示すように、pBN流体供給装置の中に連続する流路又はプレナム117が形成される。流体供給装置100は、流路117へのアクセスを提供するために装置100の表面を通って形成される入口118を含む。このようなアクセスは、プレナム117に流体を提供したり、プレナム117から流体を逃がしたり、又はプレナム117に圧力を付与するのに利用してもよい。流体供給装置100の底面110に形成された一連の穴116は、プレナム117の中に含まれる流体のための出口とされてもよい。プレナム117に正圧が作用すると、装置は出口116を通して流体を供給する。プレナム117に制御された圧力を付与することにより、出口116を通した流体の供給の正確な制御が可能となる。そのような供給は、種々の産業上のアプリケーションにおいて、液体、気体、または蒸気を供給する有用な流体供給装置100を構成する。
【0021】
この明細書を読んで理解した当業者により、ここに記載される製作方法は、流体供給装置とその内部流路の両方の構成及び配置を非常に広く多様にするように設計されるであろうことを容易に理解するであろう。この柔軟性により、流路又はプレナム、及び所望のパターン又は方法で流体を効率的に供給する出口を設計することにより、多くの所望の分配パターンを構成することが可能である。
【0022】
図6は、流体供給装置120の他の実施形態の例を示している。このような実施形態は、一般に上述した、図1から図4に示されるように組み立てられる。しかしながら、結果として形成された流体供給装置120は、一つの流体の代わりに二つの流体を供給するように構成される。気化ステップの前に残存する基板材料が二つの分離された連続するパターンを含むように、流体供給装置120が形成される。一旦、流体供給装置120が加熱され、基板材料が取り除かれると、第1流路又はプレナム122、及び第2流路又はプレナム124が形成される。第1プレナム122は、第1流体を所望のように供給するために、位置決めされた第1入口126及び一連の第1出口128を含む。同様に、第2プレナム128は、第2流体を所望のように分配するために、位置決めされた第2入口130及び一連の第2出口132を含む。第1流体は第1入口126に供給され、第1の一連の出口128を通じて供給することができ、第2流体は第2入口130に供給され、第2の一連の出口132を通じて供給することができる。このような配置により、様々な所望の供給パターンにおいて、2つの異なる流体を供給することができる。
【0023】
図6に示す第1及び第2プレナム122,124は、互いに分離している。このような配置において、2つの流体は物理的に分離され、装置120内での流体間の反応を防止している。しかしながら、出口132から出るときの2つの流体間の反応は、産業上のプロセスにおいて有益であるかもしれない。流体供給装置120は、産業上のプロセスに有益なように、流体が混ざって反応するように供給されるように、構成することができるのは容易に理解できるであろう。
【0024】
図7及び図8は、一般に上述した図1から図4に示されるように形成されるが、さらに加熱部材142を含む流体供給装置140を示している。第1pBN層104が基板102上に積層され、穴又は溝106が形成された後、図7に示すように、加熱部材142が第1pBN層104の外面に位置決めされる。第2pBN層112は、流体供給装置の半成品を覆って積層することができ、その後、穴116を、残存する基板材料にアクセスするように形成することができる。流体供給装置の半成品が、残存する基板材料を酸化させるために昇温環境に置かれたとき、結果として形成される流体供給装置140は、図8に示すように、pBN流体供給装置140の本体の中に配置される加熱部材142を含む。このような加熱部材142の配置は、流体供給装置140の一般的な温度のさらなる制御、及び流体供給装置140全体に亘ってより一定の加熱パターンを提供することができる。
【0025】
加熱部材は、動力源への接続を通して熱を生成するようにできるいずれの方法で配置されてもよい。例えば、加熱部材は、薄膜状の熱分解グラファイト、金属、またはセラミックにすることができる。さらに、加熱部材は、流体供給装置に均一で、分散され、又は集中された熱の提供のために、種々の配置で選択的に分散することができる。
【0026】
上述した方法により、種々の複雑な流体供給装置を形成することができる。例えば、図9は、複雑な形状と配置を有する流体供給装置150を示している。この流体供給装置150は、2つのpBN層152,154から組み立てられ、比較的大きいプレナム156、一連の入口158,一連の出口160,流体供給装置150に構造上の支持を付加するためにプレナム156の中に配置された複数の柱162、及びpBN層152,154の間に配置された複数の加熱部材164を備えている。
【0027】
理解されるように、このような流体供給装置150の組み立てのプロセスは、一例として、短い筒状のグラファイト基板から始まる。第1pBN層152が基板上に積層される。加熱部材164は、第1pBN層152の表面に配置される。第2pBN層154は、第1pBN層152と加熱部材164の上に積層される。穴が、pBN層152,154の一方側及び基板を貫通して形成され、pBN材料が柱162を形成するために穴の中に積層される。入口158及び出口160は、pBN層152,154を貫通して形成され、基板材料は、機械的に入口158及び出口160を介して除去される。そして、流体供給装置の半成品は昇温環境に配置され、流体供給装置150を形成するために、残存する基板材料が酸化されるか、もしくは気化される。
【0028】
複数の入口158により、複数の流体をプレナム156に流入させることができ、流体が出口160から分配される前に混合される。代替的に、共通の流体が複数の入口158を通ってプレナム156に流入し、これによって圧力、密度、又は他の要素がプレナム156内で制御される。複数の入口158が例示されているが、流体供給装置は、単一の流体を受け入れるために単一の入口を有するように形成することができる。
【0029】
出口160は、一般的な通常のパターンや網目で示されるが、出口160のパターンは、種々の産業上の要求に役立つため、多くの所望の流体分配パターンを受け入れるために多岐に亘る。柱162は、少なくとも一つのpBN層152,154と一体化するように形成してもよい。図9に示すように、加熱部材164は、概ね均一に分散され、出口160の近傍に配置される。このような加熱部材164の分散と配置により、出口160から出て行く流体の温度の概ね厳密な制御ができる。加熱部材164は、概ね均一に分散され、出口の近傍に配置されているが、加熱部材の分散と配置は変化させることができ、もしくは流体供給装置を、アプリケーションによっては、加熱部材なしで形成することもできる。
【0030】
図10及び図11は、複雑な形状及び配置を伴う他の流体供給装置170の実施形態を示している。この流体供給装置170は、図9に示す流体供給装置と、流体を含むための大きいプレナム172を有する点で類似している。図10及び図11で示す流体供給装置170は、プレナム172への流路を提供するための一体化されたノズル174と、流体源とプレナム172とを接続するための便利なメカニズムと、をさらに備えている。第1の一連の出口176は、プレナム172の中に含まれる流体の供給のために提供される。この流体供給装置170はまた、出口182を有する一連の流体路178を含んでいる。各流体路178は、プレナム172と流体連通しないように配置され、分配のために独立して流体供給装置へ流体を供給することができる。例示しているように、流体路178の入口180は、流体供給装置170において概ねノズル174が配置されている側に配置され、流体路178の出口182は、プレナム172のための出口176と同じ面に配置される。
【0031】
図10及び図11に示される配置は、ノズル174,プレナム172及びブレナム出口176を通る第1流体と、流体路178及びそれに対応する出口182を通る第2流体と、を供給することができる流体供給装置170のために提供される。この実施形態は、プレナム172及び流体路178を通って同じ流体が提供される配置のために提供されるが、流体路178を介して提供される流体は、流体供給装置170から分配される流体量を管理できるように、選択的に制御される。各流体路は、プレナム172及び他のすべての流体路178から分離することができ、これによって流体供給装置は複数の流体を分配することができる。例えば、流体供給装置が一つのプレナム172、3つの流体路178で構成された場合には,4つの異なる流体を分配することができる。
【0032】
図12は、複雑な形状と配置を有する流体供給装置190の他の実施形態を示している。この流体供給装置190は、複数の流路と出口を備え、これらはプレナムと一体化されている。これにより複数の流体が供給されるときに混合される。流体供給装置190のためのこのような複雑な形状及び配置を組み立てる方法は、図12から図16に図示されている。この方法は、グラファイト又は他のそのような材料からなる基板192から始まる。図12及び図13に示すように、基板192の上面194は、一連の溝196を有する表面194を提供するように機械加工することができる。溝196は、近接する隆起部198に沿い、少なくとも一つの連続するネットワークを形成するように、機械加工することができる。一旦、基板192の上面194が加工されると、pBN層200を、加工された基板192の上面194に被覆することができ、溝196と隆起部198のネットワークをpBN層200が覆う。加工された基板192の底面は、その後、加工されて基板材料の大半が除去され、基板材料の上面194とポケット202にコーティングされたpBN層200のみが残留する。ポケットは、基板192の上面194の隆起部198を形成していたものである(図14参照)。
【0033】
図15に示すように、第2pBN層204が、流体供給装置の半成品にコーティングされ、pBNにより装置の半成品が包まれる。出口206は、pBN層200,204を通して形成され、基板材料のポケット202へのアクセスを提供する。そして、流体供給装置の半成品は、昇温環境に配置され、基板材料は、酸化するとともに、出口を通して流体供給装置の半成品から排出される。一旦、酸化プロセスが完了すると、結果物は、図17〜図20に示すような、複雑な形状及び配置のpBN流体供給装置である。
【0034】
図19及び図20に最もよく示されているように、流体供給装置190は、一連の出口206を有する流体供給装置190の上面に沿って延びる一体化された溝を有し、流体を、この流体供給装置190及びその上面の周縁に沿って延びる一連の溝に供給する。溝は、この流体供給装置190を通る2つの流体の供給のための2つの独立した流路を形成するように配置することができる。第1流路は、交互に並ぶ一体化された第1溝セット210と、流体供給装置190の周縁の第1半周に沿って配置された第1溝セット212とで構成することができる。第2流路は、交互に並ぶ一体化された第2溝セット214と、流体供給装置190の周縁の第2半周に沿って配置された第2溝セット216とで構成することができる。理解されるように、このような配置により、2つの流体が流体供給装置190において供給され、流体供給装置190の出口206を出るときに混合される。入口(図示省略)は、流体供給装置の底面に配置することができ、これにより流路への流体のアクセスを行うことができる。
【0035】
図20に示されるように、基板材料のリング218が、流体供給装置190の周縁に沿って配置され、流体供給装置190のための構造上のサポートを提供する。リング218は、基板材料を酸化した穴や開口を提供することなく、pBN材料の第1層200及び第2層204に基板材料を包み込むことによって形成することができる。流体供給装置は、2つの流路を含むように、記載され例示されているが、この明細書を読んで理解した当業者には、このような流体供給装置にはいずれの数の流路を形成してもよいことが理解されるであろう。流路の数は、最初に、基板への連続したネットワークの所望の数において機械加工し、pBN層を塗布し、基板材料を酸化することで形成することができる。例えば、図9の流体供給装置150は、図12から図20に示すように、外面に流路を含むように適用することができる。そのような配置は、比較的大量の流体を供給する一つの大きいプレナム、及び比較的少量の流体を供給する複数の小さいプレナムのために提供される。そのような配置は、産業上のアプリケーションの特定のニーズに対して適用されるように設計することができる。
【0036】
流体供給装置は、従来の機械加工プロセスを通じて形成することが困難な形状やサイズに形成することができる。例えば、長尺状のチューブ部材や大きいアスペクト比を有するチューブ部材によって、流体供給装置を機械加工することは難しい。例えば、流体供給装置は、比較的広い領域に亘って直線状に流体を供給する一連の出口を有する長尺状のチューブ部材を有することができる。他の例では、流体供給装置は、本体の中心から延びる複数のアームや延長部を備えることができ、いずれの所望のパターンや所望の領域にも流体を供給することができる。
【0037】
そのような流体供給装置は、ここに記載された方法やプロセスにより形成することができる。例えば、グラファイトの基板は、一般的な所望の形状に加工することができる。pBN層は、基板全体に積層することができる。出口と入口の穴を形成することができ、流体供給装置の半成品は、昇温環境の中に配置することができ、グラファイトの基板材料が酸化され排出されると、流体供給装置となる。他の実施形態では、加熱部材は流体供給装置の中に含ませることができる。一旦、第1pBN層が積層されると、加熱部材は第1pBN層の表面に配置することができ、そして、第2pBN層を積層することができ、これによって加熱部材をpBN流体供給装置内に固定することができる。このような加熱部材は、流体供給装置の中で制御された温度を維持するために利用され、これにより流体供給装置の中に保持される流体の積層を容易にすることができる。
【0038】
上述した流体供給装置は、金属シート上にアルミニウム層を積層するために利用することができる。例えば、アルミニウムのガスや蒸気を流体供給装置に含ませ、これをコンベアシステムの上方に配置することができる。このコンベアシステムは、流体供給装置を通り過ぎる長い金属シートを動かす。流体供給装置は、動いている金属シートに、出口が近接するように配置される。流体供給装置が加圧されると、アルミニウム蒸気が出口から供給され、金属シート上に積層されてアルミニウムの層又はフィルムが形成される。流体供給装置は、比較的大きい幅、例えば1m又はそれ以上の比較的大きい幅を有し、これによって単一の流体供給装置が、1m又はそれ以上の幅の金属シートをコーティングするのに利用することができる。
【0039】
この発明の実施形態は上述したとおりであり、この明細書を読み理解したことから明らかに修正や変更が起こりうる。以下のクレームは、これらクレームの範囲及びその均等の範囲に含まれる限り、修正や変更を含むことを意図する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体を備え、
前記本体は、
ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ガリウム、耐火性硬質金属、遷移金属、及び希土類金属を有する元素、又はこれらの複合物、又はこれらの組み合わせ、の窒化物、炭化物、炭窒化物、酸窒化物の少なくとも一つと、
前記本体内に配置された第1プレナムと、
前記本体の第1部分を通過し、前記第1プレナムと液体連通する、第1入口と、
前記前記本体の第2部分を通過し、前記第1プレナムと液体連通する、第1出口と、
を備えている、液体供給装置。
【請求項2】
前記本体は、熱分解窒化ホウ素で構成されている、請求項1に記載の流体供給装置。
【請求項3】
前記本体は、第1熱分解窒化ホウ素層と、当該第1熱分解窒化ホウ素層上に積層される第2熱分解窒化ホウ素層と、を備えている、請求項2に記載の流体供給装置。
【請求項4】
前記第1熱分解窒化ホウ素層と第2熱分解窒化ホウ素層との間に配置される加熱部材をさらに備えている、請求項3に記載の流体供給装置。
【請求項5】
前記第1出口が、前記本体の外面に沿って分散される複数の出口の一つである、請求項1に記載の流体供給装置。
【請求項6】
前記第1入口が、前記本体の外面に沿って分散される複数の入口の一つである、請求項1に記載の流体供給装置。
【請求項7】
前記本体が、
当該本体にある第2プレナム、
前記本体の第3部分を通過し前記第2プレナムと流体連通する第2入口、及び
前記本体の第4部分を通過し前記第2プレナムと流体連通する第2出口、
をさらに備えている、請求項1に記載の流体供給装置。
【請求項8】
前記第1プレナムは第1の複数の一体化された溝を備え、前記第2プレナムは第2の複数の一体化された溝を備え、当該第2の複数の溝は、前記第1の複数の一体化された溝と交互に配置されている、請求項7に記載の流体供給装置。
【請求項9】
前記第1出口は、複数の出口の一つであり、当該各出口は前記第1の複数の一体化された溝の一つと流体連通し、
前記第2出口は、複数の出口の一つであり、当該各出口は前記第2の複数の一体化された溝の一つと流体連通している、請求項8に記載の流体供給装置。
【請求項10】
前記本体は、高アスペクト比を有している、請求項1に記載の流体供給装置。
【請求項11】
前記本体の壁に配置された加熱部材をさらに備えている、請求項10に記載の流体供給装置。
【請求項12】
前記本体がディスク状に形成されている、請求項1に記載の流体供給装置。
【請求項13】
基板を提供するステップと、
前記基板上に第1層を積層するステップであって、当該層は、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ガリウム、耐熱性硬質金属、遷移金属、及び希土類金属のグループから選択される元素、又はこれらの複合体、又はこれらの組み合わせ、の窒化物、炭化物、炭窒化物、酸窒化物の少なくとも一つを備えている、ステップと、
前記第1層及び基板の少なくとも一部を貫通する少なくとも一つの穴を形成するステップと、
残存する前記第1層の少なくとも一部の上、及び露出している基板の少なくとも一部の上に、第2層を積層するステップと、
前記基板へのアクセスを提供するために、前記第1及び第2層を貫通する少なくとも一つの穴を形成するステップと、
環境温度を上昇することにより前記穴から基板材料を除去し、これによって流体供給装置を形成するステップと、
を備えている、流体供給装置の形成方法。
【請求項14】
前記除去ステップは、前記第1層及び第2層の中に配置される第1プレナムを提供する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1プレナムと流体連通する第1入口及び第1出口を提供するステップをさらに備えている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1層及び第2層の中に配置される第2プレナムを提供し、当該第2プレナムと流体連通する第2入口及び第2出口を提供するステップをさらに備えている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2層を積層する前に、前記第1層上に加熱部材を配置するステップをさらに備えている、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第1層は、熱分解窒化ホウ素を備えている、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記第2層は、熱分解窒化ホウ素を備えている、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記第2層は、実質的に前記第1層と同じ材料で構成されている、請求項13に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2012−502796(P2012−502796A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528058(P2011−528058)
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/057803
【国際公開番号】WO2010/033973
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】