説明

流体内の粒子を処理する装置及び方法、らせん形分離装置を形成する方法

【課題】チャネルのらせん形状及び流体の速度を利用して、微小規模から大規模にわたる容量の流体から連続的に粒子を分離することのできる装置を提供する。
【解決手段】本発明の装置(20)は、粒子を含む流体を受け入れるように作動する流入口と、流体が流れるように作動するらせん構造のチャネル(22)と、流体内の粒子を分離する手段(24、26)と、流体用の少なくとも1つの流出口とを備える。前記チャネルは、幅、高さ、及び曲率半径を有することができる。また、前記粒子は、前記幅、前記高さ、前記曲率半径、流体速度、及び流体粘度のうちの少なくとも1つに基づいて分離されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャネルのらせん形状及び流体の速度を利用して、微小規模から大規模にわたる容量の流体から連続的に粒子を分離することのできる装置、及びこのような装置を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子の分離及び分類は、大規模のアプリケーションと微小規模のラボ・オン・チップ(Lab-on-chip)・アプリケーションとの両方に対する多くの生物学的処理及び化学的処理において必要な作業である。今日用いられている方法には、機械式ふるい分け法や沈降法があるが、これらの方法は通常、大きな粒子を分離する場合にのみ用いられる。大規模な浄水用途や採鉱/鉱物回収用途では、大量高生産高速処理能力が必要とされる。現在の浄水方法では、砂床が必要とされ、更に所望の水質によっては薄膜フィルタも必要とされる。例えば、選鉱では、らせん構造の選別器(concentrator)が用いられ、この選別器では、らせん形トラフ(trough)によって重い鉱物が中心付近に沈降する一方で、より軽い粒子は遠心力によって外側へ押されて運び出される。このトラフの断面は、らせん軸付近がより深くなるように傾斜している。
【0003】
流体力学的クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、及び電気泳動法のような技法によって、より小さな粒子を分離することができる。これらの技法の多くは、急激に発展してきたが、各試料に対して多くの準備時間が必要なバッチ処理である。別の大規模分離法としては、FFF(Field Flow Fractionation)法があり、この方法は、30年前からあるが、最近になってマイクロ流体工学において注目されてきた。この方法では、溶出によって粒子を分類及び収集するのに、横断方向の場(例えば、分極場、音場、磁場、温度場、光場、又は遠心力場)が必要とされる。粒子は、上下にセットして、放物線状の流れ分布における流速が異なるようにすることにより、分類される。このFFF法は、融通が利き小型化が可能であるが、外部場を必要とするため、装置の複雑性を高め得る。また、特定の場法(例えば、磁場によるFFF法)を用いると、その適用領域が一定の試薬に限定され得る。
【0004】
マイクロ流体工学に基づいた粒子分離システムにおけるより最近の成果としては、Zweifach-Fung効果に基づいた、ヤン(Yang)らにより報告されたもの(非特許文献1参照)があり、この方法では、流体がチャネル分岐部を通過し、下流の各娘(daughter)チャネルにおいて異なる流速が維持される。また、この方法では、粒子は、より速い流速で娘チャネルに移動する。別の方法としては、PFF(Pinched Flow Fractionation)法(非特許文献2参照)がある。この方法では、媒体流体及び試料流体は、チャネルのピンチ部を通過し(このピンチ部で、粒子がその大きさに応じて壁部に沿って並び)、次に、下流の広がった領域において分離される。また、AsPFF(Asymmetric Pinched Flow Fractionation)法も行われ、この方法では、流出チャネルにおける流速が様々である。これにより、装置の分解度が高まる。また、チャン(Zhang)らによって、媒体及び試料の流速と流入口位置との両方を変更すると共に、チャネル幅が変化する非対称的マイクロ流体キャビティを用いた、連続分離が実現された(非特許文献3参照)。この事象は、「ピンチ流入口」効果に大きく基づいており、この方法では、試料流体及び媒体流体は、隣り合ってチャネルの狭い部分を通過する。これにより、異なる大きさの粒子が、その粒径に応じてチャネルに沿った異なる位置に配置される。この狭い部分は、長さに沿って次第に且つ非対称的に広がっており、粒子は、この狭い部分における最初の位置によって、下流で異なって配置される。下流では、流れ分布が分岐しているため、層状且つ放物線状の速度分布によって分離が増幅される。粒子を分離及び分類するのに用いられる別の方法として、SPLITT分画法(非特許文献4参照)があり、この方法では、基本的に、流入口において試料の流れが媒体の流れによって右側に押し付けられる。これにより、分離が下流において実現される。また、別の方法として、超音波粒子分離法(非特許文献5参照)があり、この方法では、チャネル幅にわたって音場が用いられると、粒子が流体チャネルにおける波節に沿って並ぶ。これらの粒子は、下流の形状寸法を入念に変更することによって、下流で収集して流れから分離することができる。特定の間隔で抽出口を備えた蛇行チャネルを用いることにより、大きさに基づいた分離をこの方法で行うことも可能であり得る。また、マイクロ流体工学に基づいた遠心分離法(非特許文献6参照)について、ブレンナー(Brenner)により報告された。これは、基本的に、流体を搬送するポリマー微細構造を回転円盤上に設けた小型の遠心分離機である。最後に、オオカワラ(Ookawara)によって、半円半径2mmに対し200μm×170μmのマイクロチャネルを用いて遠心分離する方法(非特許文献7参照)が報告された。この方法では、スラリー粒子が分岐チャネルの1つのアーム内に導かれる。このような矩形(170μm×200μm)の断面によって、横断面にディーン渦(Dean's vortices)が生じ、これにより、混合及び再分散が促進される。
【0005】
しかしながら、これらのタイプの実施例には問題があった。例えば、これらの方法は全て、付加外力を必要とし、バッチ処理に限定され、単に少量の試料を処理するような規模とされている。
【0006】
粒子分離の別の重要な用途としては、生体防御があり、この生体防御の目標は、給水における生物学的脅威を判定して検出することである。米国国防総省は、潜在的因子リストに対する予想検出限界(LOD:limit of detection)の基準を設定した。特に、炭疽菌胞子の三軍用基準は、100cfus/Lであり、これは、ロジスティクス、時間、及び濃縮係数において大きな難題をもたらす。損失を全て無視し、一般的な検出器感度105cfus/mLに対して濃縮係数106を用いると、少なくとも1000Lの水をスクリーニングしなくてはならない。大量の水をスクリーニングする最もよく知られた方法は、分画分子量(MWCO:molecular weight cut-off)の少ない膜(一般的には30KDa)を用いるTFF(tangential flow filtration)法である。この方法及び当業者全てに対する最も大きな難題は、収益が少なく、この膜によって捕獲された病原体を逆洗回収するのが大変なことである。
【非特許文献1】ヤン(Yang) S.、チャン(Zhan) J.、「流れ制御を用いたマイクロ流体チャネルにおける粒子分離(Particle Separation in Microfluidic Channels Using Flow Control)」、IMECE'04会報
【非特許文献2】タカギ(Takagi) J.、ヤマダ(Yamada) M.、ヤスダ(Yasuda) M.、セキ(Seki) M.、「複数の分岐部が非対称的に配列されたマイクロチャネルにおける連続粒子分離(Continuous particle separation in a microchannel having asymmetrically arranged multiple branches)」、ラボオンチップ2005(Lab on a chip 2005)
【非特許文献3】チャン(Zhang) X.、クーパー(Cooper) J.、モナハン(Monaghan) P.、ハスウェル(Haswell) S.、「非対称的マイクロ流体装置内における粒子の連続流分離(Continuous flow separation of particle within an asymmetric microfluidicdevice)」、ラボオンチップ2006(Lab on a chip 2006)
【非特許文献4】ナラヤナン(Narayanan) N.、サルダニャ(Saldanha) A.、ゲイル(Gale) B.、「微細加工電気SPLITTシステム(A microfabricated electrical SPLITT system)」、ラボオンチップ2005(Lab on a chip 2005)
【非特許文献5】カピシュニコフ(Kapishnikov) S.、カンツラー(Kantsler) V.、シュタインベルク(Steinberg) V.、「マイクロチャネルにおいて超音波を用いる連続粒径分離及び分類(Continuous particle size separation and size sorting using ultrasound in a microchannel)」、統計力学ジャーナル(J. Stat. Mech.)、2006年、P01012
【非特許文献6】ブレンナー(Brenner) T.、「回転円盤上における医療診断のためのポリマー加工及びマイクロ流体単位操作(Polymer Fabrication and Microfluidic Unit Operations for Medical Diagnostics on a Rotating Disk)」、フライブルグ(Frieburg)大学のインスチチュートオブマイクロシステム(Institute of Microsystems)における論文、2005年12月
【非特許文献7】オオカワラ(Ookawara) S.、ヒガシ(Higashi) R.、ストリート(Street) D.、オガワ(Ogawa) K.、「スラリーの選別器に関する実現可能性調査及びマイクロチャネルによる含有粒子の分類(Feasibility Study on Concentrator of Slurry and Classification of Contained Particles by Micro-Channel)」、化学工学ジャーナル(Chem. Eng. J.)、2004年、v.101、171-178
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、チャネルのらせん形状及び流体の速度を利用して、微小規模から大規模にわたる容量の流体から連続的に粒子を分離することのできる装置、及びこのような装置を形成する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに説明する実施形態の一態様において、本発明の装置は、粒子を含む流体を受け入れるように作動する流入口と、流体が流れるように作動するらせん構造のチャネルと、流体内の粒子を分離する手段と、流体用の少なくとも1つの流出口とを備える。
【0009】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記チャネルは、幅、高さ、及び曲率半径を有する。
【0010】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記粒子は、前記幅、前記高さ、前記曲率半径、流体速度、及び流体粘度のうちの少なくとも1つに基づいて分離される。
【0011】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記チャネルの前記幅は、らせんに沿って変化する。
【0012】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記分離手段は、前記チャネルに沿って配置された少なくとも1つのキャビティを含む。
【0013】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記分離手段は、対応する流出口につながれ且つ前記チャネルに沿った個別の通路を含む。
【0014】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記曲率半径は、前記チャネルに沿って増加する。
【0015】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記曲率半径は、前記チャネルに沿って減少する。
【0016】
ここに説明する実施形態の別の態様において、平面チャネルを積み重ねてらせん構造とすることにより、制約面積若しくは設置面積内における長さが拡張し得る。
【0017】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記流入口は、ポンプから粒子を有する流体を受け入れるように作動する。
【0018】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記流出口は、流体を流れ分画システムへ運ぶように作動する。
【0019】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記少なくとも1つのキャビティは、開位置及び閉位置のうちの一方に選択的に回転するように作動するカラーを含む。
【0020】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記装置は、前記チャネル内に配置された少なくとも1つの増圧器を更に備える。
【0021】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記増圧器は、水中翼である。
【0022】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記らせん構造は、第1らせん部及び第2らせん部を含む。
【0023】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記第1らせん部は、その中心に配置された流入口を含む。
【0024】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記第2らせん部は、その中心に配置された流出口を含む。
【0025】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記第1らせん部は、選別器として機能して前記チャネルの片側に対し粒子を押し付け、前記第2らせん部は、分離器として機能して前記チャネルを横断するように粒子を移動させる。
【0026】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記流入口及び前記流出口は、前記らせん構造の周辺部に配置される。
【0027】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記チャネルは、前記らせん構造の外壁における第1の深さ及び前記らせん構造の内壁における第2の深さを有するトラフを含み、該第1の深さは、該第2の深さよりも大きい。
【0028】
ここに説明する実施形態の別の態様において、本発明の方法は、少なくとも1つのチャネルが形成された基板を形成し、前記基板の第1端部に第1構造を設け、前記基板の第2端部に流出口として作動する第2構造を設け、前記第1構造の周囲に前記基板を巻く。
【0029】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記方法は更に、前記基板に第2基板を重ね合わせる。
【0030】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記第1構造は、前記基板に結合されて、装置の流入口として作動する。
【0031】
ここに説明する実施形態の別の態様において、前記第1構造は、巻いた後、装置から取り外されるように作動する。
【発明の効果】
【0032】
ここに説明する実施形態によるシステムは、チャネルの形状寸法及び速度を利用して、粒子を外側チャネル壁又は内側チャネル壁へ分離するのに必要な力を及ぼす。これらの実施形態は、微小規模の流体容量から大規模の流体容量にまで及び得る。従って、多数の形態が可能であり、平面構造をらせん状に積み重ねることによって、並列化やチャネル長さの延長が可能である。更なる利点としては、材料費及び製造費も非常に安いため、使い捨てが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】流体チャネルのグラフ図である。
【図2A】速度分布を示すグラフである。
【図2B】圧力分布を示すグラフである。
【図3】実施形態による流体分離装置の1つの形態を示す図である。
【図4】図3の流体分離装置を示す別の図である。
【図5】図3の流体分離装置を含むシステムの図である。
【図6】図3の流体分離装置の圧力分布を示す図である。
【図7】実施形態による、TFFシステムの上流にあるらせん形選別器を含む、システムを示す図である。
【図8A】実施形態による、2つの部品から成るらせん形選別器用の、別の形態であるモジュール構造の斜視図である。
【図8B】図8Aに示すモジュール構造の断面図である。
【図9】実施形態によるらせん形選別器チャネルの片側又は両側における収集キャビティを示す図である。
【図10A】従来のらせん形選別器の断面図である。
【図10B】実施形態によるらせん形選別器の断面図である。
【図11】実施形態の別の実施例を示す図である。
【図12A】実施形態の別の実施例を示す図である。
【図12B】図12Aの一部を拡大した図である。
【図12C】図12Aの一部を拡大した図である。
【図13】実施形態の別の実施例を示す図である。
【図14】実施形態の別の実施例を示す図である。
【図15】実施形態の別の実施例を示す図である。
【図16A】実施形態による一製造方法を示す図である。
【図16B】実施形態による一製造方法を示す図である。
【図16C】実施形態による一製造方法を示す図である。
【図16D】実施形態による一製造方法を示す図である。
【図16E】実施形態による一製造方法を示す図である。
【図16F】実施形態による一製造方法を示す図である。
【図16G】実施形態による一製造方法を示す図である。
【図17A】実施形態による別の製造方法を示す図である。
【図17B】実施形態による別の製造方法を示す図である。
【図17C】実施形態による別の製造方法を示す図である。
【図17D】実施形態による別の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1を参照すると、粒子12に作用する様々な力を示した湾曲チャネル10の一部が示されている。また、速度分布及び圧力分布も示されている。
【0035】
湾曲チャネル内における流れの分析的考察は、以下のとおりである。これに関し、
V=流速
p=圧力
Fcf=粒子に作用する遠心力
FΔp=圧力差による力
Fvd=粘性抵抗による力
R=チャネルの曲率半径
η=流体の動的粘度
m=粒子の質量
r=球形だと仮定される粒子の半径
ρ=流体の密度
である。
【0036】
粒子に作用する遠心力(∝r3)、横断方向圧力被動力(∝r2)、及び粘性抵抗力(∝r)は、以下のように表すことができる。
【0037】
【数1】

【0038】
Fcf>FΔp、即ち、以下のような場合、粒子は外側に移動する。
【0039】
【数2】

【0040】
即ち、以下の式で表される。
【0041】
【数3】

【0042】
上の式(1)を用いることによって、あらゆる形状寸法、圧力、及び流速に関し、外側に移動する粒子の大きさの下限を求めることができる。この下限よりも小さな粒子は、内側に移動する。即ち、以下の式で表される。
【0043】
【数4】

【0044】
粒子が流路を(横断方向に)わたって移動する前の移動距離は、Fvd及びFΔpの相対的な大きさによって決まる。
【0045】
また、FΔp∝r2及びFvd∝rであるため、大きな粒子ほど、内面の方へ向かう流動励起横断方向圧力降下による影響を大きく受ける。
【0046】
横断方向圧力は、同心キャビティにおける周辺の流れを考察することによって導き出され得る。ここで、放物線分布はVθ=V0(r−r1)(r2−r)に当てはまり、r1及びr2はそれぞれ内半径及び外半径である。半径方向圧力降下pは、以下の式によって得られる。
【0047】
【数5】

【0048】
算出された速度分布及び圧力分布が、図2A及び図2Bに示されている。圧力は、r1から始まりr2まで増加する内壁からの距離の関数として示されている。(外壁から)内側へ向かう圧力場が全く明らかである。
【0049】
チャネルの必要とされる流れの長さは、粒径範囲に対するチャネル幅及び流速を満たすように設計されている。外側に向かう動きに関する半径方向における動きの方程式は、以下の式によって得られる。
【0050】
【数6】

ただし、
【数7】

【0051】
上記動きの方程式の解は、以下のような半径方向速度である。
【0052】
【数8】

【0053】
同時に、以下のような加速時定数τも得られる。
【0054】
【数9】

【0055】
更に同時に、以下のような終端速度も得られる。
【0056】
【数10】

【0057】
横断方向圧力が優勢である内側への動きに関する対応関係は、上記動きの方程式において遠心力及び圧力被動力の極性を変更することによって導き出され得る。
【0058】
この経過時間は、以下の式によって得られる沈降時間を合わせて考えなければならない。
【0059】
【数11】

【0060】
上の式において、hはチャネルの高さであり、Vyは以下の式によって得られる。
【0061】
【数12】

【0062】
また、γは、以下の式によって得られる浮力項である。
【0063】
【数13】

上式において、"particle"は粒子を意味し、"fluid"は流体を意味する。
【0064】
粒子分離に関し、これらの関係を用いることによって、所望の粒径範囲の装置が設計される。このようにして、ここに説明する実施形態の1つの考えられる形態では、収集流出口の平行アレイが、経過時間及び横断方向移動速度に基づいて、意図する粒径範囲の粒子を集める。
【0065】
これに関し、次に図3を参照すると、ここに説明する実施形態による分離装置20の1つの形態が示されている。この形態は、曲率半径が大きくなっていく拡張らせんチャネル22を示している。この形状寸法は、dp/dR∝1/R2である圧力変化率を活用している。別の形態では、この装置は、側壁の曲率半径が小さくなっていく収縮らせんチャネルを有し得る。いずれの場合にも、チャネル22は、終端で2つの分離チャネル24及び26(例えば、図面ではチャネル#1及びチャネル#2とも呼ぶ)となっている。
【0066】
図3の装置20の分解図が図4に示されている。1つの形態では、例えば、チャネル22の最も広い部分の幅が10mmであって、流入口28並びに流出口30及び32付近では5mmまで次第に細くなっている。流入口28は装置20の中心付近にあり、流出口30及び32は外周部付近にある。粒子は、流体の流れに従って移動するだけでなく、チャネル断面を横断するようにも移動する。1つの形態では、このチャネル構造の高さは、例えば、0.5mmから2mmまで変化する。流出口30及び32はそれぞれ、流速に応じて分離された粒子を選択的に収集する。チャネル#1(24)には遅い流速で、チャネル#2(26)には速い流速で、粒子が収集される。
【0067】
チャネル22、24、及び26は、様々な方法で、例えば、レーザ・カッターを用いてアクリル板34、36、及び38(厚さ:3/16インチ(約4.76mm)及び1/16インチ(約1.59mm))を必要な寸法にカットすることによって形成され得る。次に、アクリル板38において、チャネルがカットされる。1つの形態では、アクリル板34及び36はそれぞれ、上カバー及び下カバーを形成すると共に、流入口28並びに流出口30及び32用の穴を備える。図示されていないが、これら3つのアクリル層の間の2つの接触面において、厚さが500μmである2枚のシリコーン・シートによって流体シールを形成してもよい。
【0068】
特に、ここに説明する実施形態は、様々な方法で粒子を分離する。例えば、流速に応じ、チャネルを通る流体の流れにより生じる遠心力又は圧力によって、粒子を分離し得る。これに関し、2つの異なる流入速度では、結果が異なる。いずれの場合にも、粒子が分離される。
【0069】
流速が50mL/分(公称流速およそ1.75cm/秒)であり、チャネルの厚さが3/16インチである場合、チャネルにわたる圧力差によって粒子にかかる力の方が、粒子が受ける遠心力よりも大きい。この力は、曲率半径の重心の方へ内側に向かう。従って、粒子は、らせん部分を流れてくるとき、チャネルの内壁の方へ移動する。流出口接合部において、押された粒子は、内側流路の方へ進み、(図5に示されているような)#1流出口を通って出て行く。使用される粒子は、幅広い粒度のFDA(アメリカ食品医薬品局:Food and Drug Administration)承認有機材料である。
【0070】
流速が62mL/分(公称流速およそ5.25cm/秒)であり、チャネルの厚さが1/16インチである場合、粒子にかかる遠心力の方が、粒子が受ける勾配圧力による力よりも大きい。この力は、曲率半径の重心から離れるように外側へ向かう。従って、粒子は、らせん部分を流れてくるとき、チャネルの外壁の方へ移動する。流出口接合部において、押された粒子は、外側流路の方へ進み、(図5に示されているような)#2流出口を通って出て行く。
【0071】
次に、図5を参照すると、システム40は、流入口28並びに流出口30及び32を有する分離装置20を含む。流体若しくは試料44が、ポンプ42を介して流入口28に供給される。また、流出口30及び32に対応する収集管も図示されている。当然のことながら、流出口を通って収集管の中へ流れる流体は、ろ過及び/又はその他の流体処理目的の様々な異なるシステムに供給されてもよい。
【0072】
図3のらせんチャネルに対する溶液流がシミュレートされ、図6に示されている。また、4つの直交部分における対応する圧力分布も、この図6に示されている。図示されているように、チャネルにわたって大きな勾配圧力が見られる。これに関し、当然のことながら、(1、2、3、及び4と表示された)4つの方眼グラフのそれぞれにおいて、チャネルの外壁における圧力の方が内壁における圧力よりも大きい。このことは、チャネル幅に対する圧力を表しているこれらのグラフから明らかである。グラフ1、2、及び4では、x軸は外壁から内壁へのチャネル幅の測度である。グラフ3では、x軸はチャネルの内壁から外壁へのチャネル幅の測度を表している。チャネル長さは、通路24及び26に対応する2つの平行な収集流出口によって粒子が分離されて収集されるように、粒径範囲に合わせて設計され得る。収集流出口の数を増やして、各流出口で収集される粒径範囲を狭くしてもよい。
【0073】
チャネルをらせん状にした効果として、単調で連続的な横断方向の分離力が生じ、この分離力によって、粒子は、輸送流動場に入ると、粒径に応じて横断方向に移動する。
【0074】
この実施例は、作動している実施形態を例示することが意図されている。当然のことながら、関連する粒径範囲に合わせて様々なその他の寸法及び流速の組み合わせを選択してもよく、これにより、微小規模又は大規模の実施形態がもたらされる。収集システムは、流体の流出口であってもキャビティであってもよい。
【0075】
ここに説明する実施形態の別の形態において、大量の水を効率的且つ迅速にスクリーニングするTFF法のフロントエンド(front-end)が図7に示されている。システム50は、結合されたらせん形選別器52を含み、このらせん形選別器52は、残留液(retentate)中の対象となる粒子を捕獲する標準TFFシステム60のフロントエンドとして用いられる。このシステム60は、単に例としての形態で示されているにすぎず、様々なその他の形態を取ってもよい。また、キャビティ54−1、54−2、及び54−3、並びに、ポンプ56及び試料58も図示されている。より大きな粒子(細菌、寄生虫)は収集キャビティのアレイに選別される一方、より小さな粒子(ウイルス、毒素、化学物質)はTFF膜に捕集されるか或いは残留液に収容される。このようにして、意図するカットオフ値を超える粒子状物質が、らせん形選別器52内の流体試料から、この流体試料がTFFシステムに送られる前に除去される。これにより、頻繁なクリーニングを必要とする膜の目詰まりが生じる可能性を最小限に抑えることができる。らせん形選別器52は、流速を用いた単純ならせんチャネル構造を利用する連続処理を使用して、広く動的な粒径範囲にわたり粒子を分離する。上記のように、高速度では、粒子は、遠心力によって外壁へ移動し、堆積して下流へ摺動する。
【0076】
次に、図8を参照すると、らせん形選別器(例えば、らせん形選別器52)用の2つの部品から成る上下モジュール構造が示されている。図8Aは、らせん形選別器の斜視図であり、図8Bは、頂板84と底板86とが組み合わされた所望の流路を示す断面図である。遠心力の利点を維持する一方で、かなり大きな通水断面を備えたらせんチャネルが数回ループを描けるようにするには、設置面積は最大12インチ×12インチ(約30.5cm×30.5cm)であってよい。頂板84は、らせんチャネルの固定された内壁を形成することができる。底板86は、らせんチャネルの外壁に対する様々な半径を有していてもよい。これら頂板84及び底板86が合わせて、所望の通水断面を形成する。
【0077】
図9に示されているように、らせんチャネルの端部において、収集キャビティ54−1、54−2、及び54−3のアレイが粒子を捕獲する。これらのキャビティは、流動場を分離する一方で粒子にアクセスできるように設計されている。各キャビティは、スリットの入ったカラー70を有していてもよく、このカラー70は、あらゆる適切な技法によって、「開」位置に回転して選別したものを収集したり、「閉」位置に回転して選別したものを抽出したりすることができる。もちろん、当然のことながら、このような構造及びここに開示したその他の構造に対し、様々な方法で抽出を行うことができる。例えば、適切な大きさのピペットを用いて、粒子を抽出してもよい。あらゆる粒径に関し、必要なチャネル寸法は、側壁に到達するまでの経過時間を概算することにより求められる。この経過時間は、流速、チャネル幅、粘度、及び曲率半径の関数である。
【0078】
【表1】

【0079】
その他いくつかの動作パラメータが、上の表に示されている。特に重要なのは、生物学的検出のためスクリーニングが必要な大量のものに対する予側パラメータである。120L/分という流速の限界がTFF膜フィルタの評価であり、粒子状物質がTFFシステムに導入される前に本発明のらせん形選別器を用いて除去されれば、この評価は緩和されるであろう。現在のところ、膜システムは、このような大量の場合には、収益が少なく復帰作業(recovery)が大変なため、実用的でない。
【0080】
(前述したような)従来の選鉱用らせん形選別器の一般的な通水断面は、開放トラフ(open trough)であり、図10Aに示されているように、重い粒子がらせん軸付近に沈降する。ここに説明する実施形態は、変更された閉鎖トラフ(enclosed trough)を含み、この閉鎖トラフでは、図10Bに示されているように、軸から離れるほど深さが深くなっているため、遠心力を受ける流体量が増加する(ゆえに、輸送粒子数が増加する)。このようにして、全ての粒子が外側へ移動し、キャビティ内に収集されるか、或いは、このらせん構造に設けられ得る流出口を介して収集される。
【0081】
ここに説明する実施形態は、流体内の粒子を操作するのに必要な外部場の問題を解決する。粒子は、流速に応じ、チャネルの形状効果によって、流体から分離することができる。FFF法のように別の横断方向の場を設けるのに比べ、上記パラメータを制御する方が容易である。この方法の別の利点は、広範囲の液体量から連続的に粒子を分離することができる点である。これは、実時間粒子収集ができない遠心分離やクロマトグラフィーのような技法と比べた場合、大きな利点である。
【0082】
他の連続的粒子分離法と比べた場合の利点は、装置の形状寸法制御が簡単な点である。PFF法に基づいた連続的分離法では、流入部において粒子の方向が大きさに応じて決まるように、試料の流れを媒体の流れとつなげなくてはならない。この流入部の寸法は、粒子の寸法と同程度である。従って、ピンチ部がある流入部を正確に制御することが必要とされる。この流入部の形状寸法によって、下流の分離傾向が決まる。また、媒体及び試料の流速を正確に制御することも必要とされる。ここに説明する実施形態の場合には、チャネル幅、高さ、及び湾曲部の曲率半径の寸法制御のみが必要とされる。チャネル幅は、問題としている粒子の大きさと同程度でなくてもよい。粒子にかかる力の大きさ及び方向は、これらの形状寸法パラメータ及び流速を変更するだけで操作することができる。
【0083】
チャネル幅及び湾曲部の曲率半径を容易に変更することにより、らせん構造の端部における異なる平行流出口で異なる大きさの粒子を収集することができる。この装置は、10μm未満の大きさの粒子を分離するような規模とすることができる。これは、生体試料の一般的な程度である。
【0084】
収集効率は、寸法を変更すると共に収集流出口を戦略的に配置することにより向上させることができる。当然のことながら、大きな粒子ほど、内面の方へ向かう流動励起横断方向圧力降下による影響を大きく受ける。収集チャンバの平行アレイを配置することによって、収集効率は高まるはずである。十分な考察により、収集チャンバは、らせんチャネルに沿って連続的に配置されてもよい。この配置は、初期設計に容易に組み込むことができる。
【0085】
このような装置の微小規模版は、単純な技法で容易に製造することができると共に、ラボ・オン・チップ・タイプの環境において他のコンポーネントとインラインで容易に一体化することができる。このように外部場を使用しないことによって、単純さがもたらされる。これにより、微小規模の解析装置全体が、はるかに単純に且つより信頼できるようになる。
【0086】
本発明は、水の大量高性能高速スクリーニング及び大規模な選鉱処理の問題も解決する。粒子は、流速に応じ、チャネルの形状効果によって、流体から分離することができる。この方法の別の利点は、広範囲の液体量から連続的に粒子を分離することができる点である。これは、実時間粒子収集ができない遠心分離やクロマトグラフィーのような技法と比べた場合、大きな利点である。
【0087】
収集キャビティのアレイをらせんチャネルに沿って連続的に配置することにより、収集効率が高まる。
【0088】
このような装置の微小規模版は、単純な技法で容易に製造することができると共に、ラボ・オン・チップ・タイプの環境において他のコンポーネントとインラインで容易に一体化することができる。
【0089】
この事象は、チャネルの湾曲部において粒子に作用するいくつかの力の相互作用に基づいており、この相互作用によって、粒子を制御可能に横断方向に移動させることができる。この事象は、粒子を操作するどんな外部場にも依存しない。装置の形状寸法及び蛇行ループの数に応じて、連続粒子分類機能が可能である。この装置は、面外流入口及び流出口を備えた平面状である。これにより、このような装置は、いくつか積み重ねやすく、並列作業を行うことができる。収集チャンバには、側部から到達することができる。このような小型化及び外部場の削除によって、この装置は、ラボ・オン・チップ・タイプのアプリケーションに非常に適したものとなる。
【0090】
特定の要求に適合させるため、現在の設計に様々な変化をつけることが可能である。例えば、収束断面又は分岐断面を備えたらせんチャネルを製造することによって、異なる収集流出口で粒子をより確実に分類することができる。更に、この装置は、面外流入口及び流出口を備え、全体的に平面状である。これにより、この装置は、いくつか互いの上に積み重ねやすく、並列作業を行ったり、図14に示されているような、より長いループ形(多重折り返し)流路を備えた単一らせん形態として機能することができる。また、この装置は小型化されてもよい。
【0091】
当然のことながら、ここに説明する実施形態の他の変形例が考えられ、様々な異なる環境で実施され得る。例えば、図11を参照すると、らせん形粒子分離装置120が示されている。この形態では、装置120は、チャネル126によってつながれた流入口122及び流出口124を含む。特に、このチャネル126には、参照番号128で示されているような複数の収集若しくは捕集キャビティが設けられている。これらのキャビティは、適切な方法であれば、どんな方法でチャネルに沿って離間されてもよい。また、これらのキャビティは、装置の対象物を収容するような大きさとされ得る。例えば、これらのキャビティは、異なる大きさの粒子を収集若しくは捕集するように構成されてもよい。一実施形態では、チャネルの幅が1mmであるのに対し、チャネル間の間隔は2mmである。更に、キャビティのおおよその直径は0.5mmである。この装置の全径は、らせんチャネルの回転数に基づいて変動するが、一形態では36mmである。
【0092】
次に、図12A〜図12Cを参照すると、図11の実施形態の一変形例が示されている。これに関しては、チャネル126の中に増圧器130が配置されている。この増圧器は、流体の流れにベルヌーイ効果(Bernoulli Effect)の利点をもたらす障害物として機能する。この構造において、増圧器130は分離帯域を狭める。
【0093】
更なる変形例が図13に示されている。ベルヌーイ効果の利点がここでも実現されている。図示されているように、チャネル126は、外壁126−1及び内壁126−2によって画定されている。このチャネルの中には、増圧器若しくは水中翼132が、その後端部134が外壁126−1よりも内壁126−2に近くなるように配置されている。先端部136は、外壁126−1により近くなるように配置されて迎え角を成し、この迎え角によって、後端部を切り抜けた粒子を収集する流路及び経過時間が短くなる。捕集キャビティは、6時と12時の位置に配置されることによって、流入口から徐々に粒径範囲が小さくなっていく分離粒子を収集する。
【0094】
更なる実施形態が図14に示されている。この形態では、分離装置150は、別個ではあるがつながっている2つのらせん部152及び154を含み、らせん部152は、選別器(concentrator)として機能して一方の壁に対し粒子を押し付け、らせん部154は、分離器(separator)として機能してチャネル幅を横断するように粒子を移動させる。粒子の混合物を狭い帯域に押し込めることによって、分離分解度を高めることができる。具体的には、均一に分布した粒子混合物がらせん部152に入ると、分離アルゴリズムによって選択された優勢な横断方向の力により、全ての粒子が向かい合った内壁(圧力被動力が優勢な場合)又は外壁(遠心力が優勢な場合)の方へ移動する。流路に沿った分離は、異なる速度で移動する異なる大きさ及び質量の粒子によってもたらされる。図示されているように、らせん部152の中心には、流入口156が配置されている。この流入口によって、流体は、装置のチャネル158へ導かれる。このチャネル158は、らせん部154のチャネル160につながっている。このチャネル160は、内側へらせん状になっており、らせん部154の流出口162で終端となっている。このような構造によって、装置は、チャネルの長さが短くならずに、有益な寸法(例えば、長さ27mm)となる。
【0095】
図15を参照すると、別の実施形態が示されている。この実施形態では、らせん形分離装置170は、その外周部に配置された流入口172を含む。流出口174も同様に、装置170の外周部に配置されている。この形態では、流入口172は、チャネル176によって流出口174へつながれている。このチャネル176は、(曲率半径が徐々に小さくなって)中心178まで内側へらせん状になっており、その後、(曲率半径が徐々に大きくなって)流出口174まで外側へらせん状になっている。この実施形態によって、十分なチャネル長さを維持し、且つ連続的に帯域を圧迫し、且つ分離性能における分解度を高めると同時に、空間を有効利用することができる。
【0096】
当然のことながら、これらの実施形態ではいずれも、チャネル幅は、その長さに沿って一定に保たれていてもよい。また、このチャネル幅は、その長さに沿って変化してもよい。例えば、このチャネル幅は、その長さに沿って流入口から流出口へ小さくなっていてもよい。同様に、このチャネル幅は、その長さに沿って流入口から流出口へ大きくなっていてもよい。
【0097】
ここに説明する実施形態は、様々な方法で製造され得る。しかしながら、利便性及び拡張性のある製造方法が、図16A〜図16Gに示されている。この方法には、積層の形成及びその巻き取りが含まれる。この積層には、(例えば、1つ、2つ、又は3つの)様々な異なる層が含まれていてもよい。この方法は、拡張性がある。これに関し、チャネル幅は流体の流速を画定するのに対して、チャネル長さ(即ち、回転数)は装置の効率を画定する。更に、この方法に電場を加えて、効率を高めることもできる。
【0098】
図16A〜図16Gを参照すると、まず、可撓性基板200が用意される(図16A)。この基板は、電極及び/又はその他の表面処理によってコーティングされていてもよい。次に、この基板にギャップ支持体且つチャネル分離体が形成され、チャネル202が画定される(図16B)。これに関しては、基板自体又は追加層に溝が形成されてもよい。画定されたチャネル202上に第2の可撓性基板204が配置され、積層206が形成される(図16C)。この基板も、同様に、電極及び/又はその他の表面処理によってコーティングされていてもよい。次に、流入口208が積層206に結合される(図16D)。この流入口は、穴のあいた管又はロッドの形態を取り得る。穴210がチャネル202と位置合わせされることによって、流体はチャネルを流れることができる。次に、流出口212が、積層206の反対側の端部に結合される(図16E)。この流出口212は、穴のあいた管又はロッドの形態を取り得ると共に、流体を2つに分離して流出し得る。穴(図示せず)は、チャネル202と位置合わせされる。また、当然のことながら、一形態では、各チャネルが、第1流出214及び第2流出216用の2つの流出穴を備える。次に、積層206が巻かれる(図16F)。一形態では、積層の流入口側で巻かれ始める。巻かれた装置の断面が、図16Gに示されている。
【0099】
別の製造方法が、図17A〜図17Dに示されている。まず、可撓性基板300が用意される(図17A)。この基板300は、予め形成されたチャネル302を含む。これらのチャネル302は、基板の一体部分として形成されてもよいし、追加層又は除去層として形成されてもよい。また、基板には、表面コーティングが施されていてもよい。次に、流入管304が基板に結合される(図17B)。この流入管304の穴(図示せず)は、チャネル302と位置合わせされる。この形態では、基板の表側が裏側に直接重なる。前記実施形態のような第2基板はない。別の形態として、非結合ロール306が単に用いられてもよく、このロール306は後で取り外される(図17C)。この別の形態では、基板の表側が裏側に重なる。図示されているように、基板の流入口側に角度をつけることによって、あらゆる圧力降下を均等化してもよい。流出口310を備えて形成された装置が、断面で図17Dに示されている。
【符号の説明】
【0100】
10、22、24、26、126、158、160、176、202、302 チャネル
12 粒子
20、120、150、170 分離装置
156、172 流入口
162、174、310 流出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を含む流体を受け入れるように作動する流入口と、
流体が流れるように作動するらせん構造のチャネルであって、前記流体の流れにより、粒子が当該チャネル内を移動しかつ遠心力及び圧力による力に基づいて選択的に当該チャネルを横切るように移動して粒子を当該チャネルの外側又は内側の壁に分離することにより、粒子を分離するように構成された、当該チャネルと、
流体内の粒子を収集する手段と、
流体用の少なくとも1つの流出口と、
を備えた流体内の粒子を処理する装置。
【請求項2】
少なくとも1つのチャネルが形成された基板を形成し、
前記基板の第1端部に第1構造を設け、
前記基板の第2端部に、流出口として作動する第2構造を設け、
前記第1構造の周囲に前記基板を巻く、
らせん形分離装置を形成する方法。
【請求項3】
粒子を含む流体を受け入れるように作動する流入口と、
粒子を分離するように構成されかつ曲げられたチャネルであって、前記流体の流れにより、粒子が当該チャネルを移動しかつ遠心力及び圧力による力に基づいて選択的に当該チャネルを横切るように移動して粒子を当該チャネルの外側又は内側の壁に分離する、当該チャネルと、
分離された粒子用の少なくとも1つの流出口と、
を備えた流体内の粒子を処理する装置。
【請求項4】
流入口で、粒子を含む流体を受け入れ、
曲げられたチャネルで粒子を分離すると共に、当該チャネル内に前記流体の流れを発生させ、当該流れにより、粒子が当該チャネルを移動しかつ遠心力及び圧力による力に基づいて選択的に当該チャネルを横切るように移動して粒子を当該チャネルの外側又は内側の壁に分離し、
前記分離された粒子を、流出口を通って移動する、
ことを特徴とする流体内の粒子を処理する方法。
【請求項5】
前記曲げられたチャネルは、せん構造であることを特徴とする請求項4に記載の流体内の粒子を処理する方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図16F】
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【図16G】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【公開番号】特開2012−71309(P2012−71309A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−288614(P2011−288614)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2007−305847(P2007−305847)の分割
【原出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】