説明

流体処理装置及び方法

【課題】 制御されたあるいは微細な粒径の微粒子を分散させた流体の混合物を生成することができる流体処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】 この流体処理装置は、多孔質体22を介して隣接する第1及び第2の流路20a,20bと、これらの流路にそれぞれ第1及び第2の流体14a,14bを連続的または断続的に送る流体輸送手段18a,18bとを備え、第1の流体14aを前記多孔質体を介して第1の流路から第2の流路に流出させて粒子30とし、第2の流体14bと合流させるようにした流体処理装置である。多孔質体の表面から漏出した流体粒子を前記多孔質体から早期に離脱させる離脱促進手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの流体中に他の流体の微粒子を分散させて、種々の化学的又は物理的処理を行うために用いる流体処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つ以上の流体(気体と液体、又は液体と液体)を混合させることによって、種々の処理(化学的又は物理的処理)を行わせ、種々の生成物(最終又は中間)を得ることができる。一つの方法は、流体を別の流体に均一にかつ微細に分散させることにより、両者の相互の界面の面積を増やすものである。従来、このような分散状態を形成して反応させるには、バッチ式の大きな反応釜の中で機械式攪拌混合を行っていた。しかしながら、上記のような大量処理する方法は、混合効率が悪いため濃度のアンバランスができたり、釜内に温度のばらつきを生じさせたりするため、粒度分布を制御することが難しかった。従って、分布の広がった粒子しか生産できず、特に、最終的に固体微粒子を製造する時に、粒度を制御することができなかった。
【0003】
上記のような不具合を避けるため、連続流れの場で流体を混合することが考えられる。連続流れの場では流体は先に入ったものから先に出るため、同一場所での混合状態、反応状態は同一になりやすい。たとえば2つの流体を連続的に合流させれば、常に未反応の新鮮な流体どうしであるために混合時の反応条件は均一に維持できる。
【0004】
ここで、流路をマイクロ化すれば混合時間が短縮され混合効率はさらに向上する。流路内の各部における温度精度と混合精度が格段に向上することで、粒子径、粒子品質の再現性が従来のバッチ式に比べ向上する。しかしながら、単に流路をマイクロ化するだけでは流路加工技術上寸法に限界があり、せいぜいミクロンオーダーの粒子製造が限界であった。また、このようなマイクロリアクタは量産性が小さいという不利点も有る。
【0005】
そこで、多孔質体から第1の流体を第2の流体の流れの中に噴出させ、微粒子として分散させる方法が有る。この場合、第1の流体を噴出させる圧力や第2の流体の流速を制御することで、分散粒子の大きさを制御していた。しかしながら、粒子の多孔質体からの離脱が思わしくなく、一般的には孔径に対し、10倍程度の大きさの粒子しか製造できなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、制御されたあるいは微細な粒径の微粒子を分散させた流体の混合物を生成することができる流体処理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の流体処理装置は、多孔質体を介して隣接する第1及び第2の流路と、これらの流路にそれぞれ第1及び第2の流体を連続的または断続的に送る流体輸送手段とを備え、第1の流体を前記多孔質体を介して第1の流路から第2の流路に流出させて粒子とし、第2の流体と合流させるようにした流体処理装置であって、前記多孔質体の表面から漏出した流体粒子を前記多孔質体から早期に離脱させる離脱促進手段を有することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明においては、一方の流体を多孔質体を介して第1の流路から第2の流路に流出させて粒子とし、第2の流体と合流させる際に、離脱促進手段が多孔質体の表面から漏出した流体粒子を多孔質体から早期に離脱させるので、流体粒子の肥大化が防止され、微細かつ均一な粒径の粒子が分散する。
【0009】
請求項2に記載の流体処理装置は、請求項1に記載の発明において、前記多孔質体はセラミック、ガラス、金属、樹脂のいずれかであることを特徴とする。
請求項3に記載の流体処理装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記多孔質体は平均孔径が100nm以下であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の流体処理装置は、請求項1に記載の発明において、前記多孔質体が平均孔径5μm以下のNi、Ni合金、Pt、Au、Ag、Cu又はCu合金のいずれかであることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の流体処理装置は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の発明において、前記離脱促進手段は、前記多孔質体の表面から漏出した流体粒子に超音波振動を付与するものであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明においては、多孔質体の表面から漏出した流体粒子に超音波振動が付与されるので、比較的簡単な装置構成により、粒子の微細化分散という目的が達成される。
【0012】
請求項6に記載の流体処理装置は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の発明において、前記離脱促進手段は、前記多孔質体を並進運動させるものであることを特徴とする。
請求項6に記載の発明においては、離脱促進手段が多孔質体を並進運動させることにより、多孔質体から漏出する流体と他方の流体との相対速度が増大し、漏出流体に大きな剪断力を与えることで、その肥大化を防止する。
【0013】
請求項7に記載の流体処理装置は、請求項1に記載の発明において、前記離脱促進手段は、前記多孔質体を陽極とし、これに対向する陰極との間に電圧を印加することにより前記多孔質体内の流体を微細化するものであることを特徴とする。
請求項7に記載の発明においては、多孔質体を陽極とし、これに対向する陰極との間に電圧を印加することにより、静電微粒化の原理によって多孔質体内の流体を微細化がなされる。
【0014】
請求項8に記載の流体処理装置は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の発明において、前記離脱促進手段が、多孔質体表面の濡れ性の改質により行われることを特徴とする。
請求項9に記載の流体処理装置は、請求項1、3、5、6に記載の発明において、第1の流体が液体、第2の流体が気体であり、多孔質体が円筒状のセラミックまたはガラスであることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の流体処理装置は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明において、形成された粒子が移動する流路の途中に、第3の流体を混合する注入手段を有することを特徴とする。
請求項11に記載の流体処理装置は、請求項10に記載の発明において、前記第1の流体が難水溶性薬剤を溶解可能な良溶媒で、前記第2の流体が溶解しにくい貧溶媒であって、前記第3の流体が界面活性剤であることを特徴とする。
【0016】
請求項12に記載の流体処理装置は、請求項10に記載の発明において、第1の流体がポリ酸で、第2流体がポリ塩基で、第3の流体が界面活性剤であることを特徴とする。
【0017】
請求項13に記載の流体処理方法は、多孔質体を介して隣接する第1及び第2の流路を設け、これらの流路にそれぞれ第1及び第2の流体を連続的または断続的に送り、第1の流体を前記多孔質体を介して第1の流路から第2の流路に流出させて粒子とし、第2の流体と合流させるようにした流体処理方法であって、前記多孔質体の表面から漏出した流体粒子を前記多孔質体から早期に離脱させることを特徴とする。
【0018】
請求項14に記載の多孔質体の製造方法は、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載に流体処理装置又は請求項13に記載の流体処理方法に用いられるセラミック製の多孔質体を製造する方法であって、孔中に無電解めっきにより成膜することにより、孔径を小さくすることを特徴とする。
【0019】
請求項1ないし請求項12に記載の流体処理装置又は請求項13に記載の流体処理方法によれば、制御されたあるいは微細な粒径の微粒子を分散させた流体の混合物を生成することができ、種々の用途に有用な中間品や製品の製造に多大な効果を発揮させることができる。
【0020】
請求項14に記載の多孔質体の製造方法によれば、微細で均一な径の多孔質体を低コストで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の第1の実施の形態の流体処理装置を示すもので、同軸に配置された2つの筒状体10,12によって2つの流体流路が形成されている。内側筒状体10は多孔質体からなる膜によって形成され、一端が開口し、他端は外側筒状体内で閉じられている。また、外側筒状体12は、通常の金属や樹脂から形成され、両端が開口している容器である。内側筒状体10の開口には、第1の流体14aを溜めた貯槽16aから流体を吸い込み圧送する第1の流体輸送手段18aが接続され、外側筒状体12の開口には、第2の流体14bを溜めた貯槽16bから流体を吸い込み圧送する第2の流体輸送手段18bが接続されている。これにより、内側筒状体10内に第1の流体流路20aが、2つの筒状体10,12の間には第2の流体流路20bがそれぞれ形成されている。
【0022】
内側筒状体10を形成する多孔質体22の細孔は膜の表裏で連通しており、流体を噴出させる多孔ノズルとして作用する。多孔質体22の材料は、後述するように流体の種類にも関係するが、例えば、セラミック、ガラス、金属等が挙げられる。細孔の寸法は、必要な分散粒子の寸法と対応するものが採用され、均一な分散粒子径を得るには、均一な孔径分布の多孔質体22を用いる。例えば、サイズ5μm以下であればサブミクロン以下の粒子の製造が可能になる。
【0023】
内側筒状体10には、第1の流体14aを内側筒状体10から離脱させる離脱促進手段として、超音波振動子24が設置されている。この超音波振動子24は、粗密波を多孔質体22の表面に沿って送り、細孔の出口に滞留する第1の流体14aに剪断力を与えて流体を離脱させ、微粒子Pとして第2の流体14b中への分散を促進するものである。この例では、内側筒状体10の密閉側端部に、多孔質体22の外表面に沿って振動を与えるように設置されている。内側筒状体10又は振動子は外側筒状体12に、振動吸収素材(図示略)を介して取り付けられている。
【0024】
第1の流体輸送手段18a及び第2の流体輸送手段18bは、それぞれに流体の輸送速度、圧力を個別に制御できるようになっている。これらの流体輸送手段18a,24と超音波振動子24は、それぞれ制御装置26に接続されて、所定の態様の制御を行うことができる。なお、所定の箇所に、圧力計や流量計を設置して、装置の運転をモニターすることができるようにしてもよい。また、混合後の流体に反応促進等のために加熱を行う場合には、外側筒状体12やその下流側部分にヒータ等を設置する。この実施の形態では、外側筒状体の下流側には混合流体を収容する貯槽28が設けられているが、場合によっては次工程の処理装置が設置されている。
【0025】
このように構成された流体処理装置の作用について説明する。
第1の流体14a及び第2の流体14bはそれぞれ流体輸送手段18a,24の圧力により内側及び外側筒状体12の中に圧送される。基本的に、第1の流体輸送手段18aは、内側筒状体10の内部の圧力を一定に保つように運転し、第2の流体輸送手段18bは、外側流路において第2の流体14bが一定の速度で流れるように運転する。圧送された第2の流体14bは、図2に示すように、内側筒状体10の中に入り、多孔質膜の孔30中を通過して外側に押し出される。
【0026】
ここで、超音波振動子24からは粗密波が内側筒状体10の外表面に沿って送られている。押し出された第1の流体14aには、孔30内の流体との間に作用する第1の流体14aどうしの吸着力と、多孔質体22表面との間の吸着力とが流体をその場に維持しようとする力として作用し、一方、離脱手段である超音波振動子24の振動及び第2の流体14bの流れによるせん断力が、離脱力として作用する。流体の突出量が大きくなって、剪断力の方が流体をその場に止めておく力より大きくなって、第1の流体14aが離脱する。
【0027】
離脱した第1の流体14aは第2の流体14b中に分散し、2つの流体の分散混合状態を形成して、これが下流側へ流れる間に、流体の種類や温度圧力その他の条件に応じて、物理的、化学的な反応をして製品を生成するか、あるいはそのままの分散混合状態を維持し、さらに下流に流れて、この実施の形態のように貯槽に収容されるか、あるいは次工程でさらに連続的に処理される場合には次工程に供給される。
【0028】
ここにおいて、微粒子Pの大きさを制御する剪断力は、第2の流体14bの流速と、超音波振動子24の振動エネルギーによって制御される。より微細な微粒子Pを生成したい場合には、流速と振動エネルギーを上昇させる。超音波振動子24の振動エネルギーは流速のエネルギーに比較して格段に大きいので、粒子Pの微細化に非常に有効である。また、流速の制御に比較して、振動子の振動数は比較的に制御が容易である。
【0029】
この実施の形態において、特に微細な微粒子Pを生成するためには、多孔質体22の素材として、第1の流体14aに対して親和力(吸着力)の小さい素材を用いるか、あるいはそのような素材で表面処理するとよい。第1の流体14aの粒子Pを孔30出口表面に維持しようとする力が低下するので、より早い段階で離脱するからである。例えば、第1の流体14aが油性であれば親水性の素材を用い、第1の流体14aが水性であれば、疎水性の素材を用いる。多孔質体22の材料は親水性としてセラミック、ガラス、金属が挙げられ、疎水性としてはPTFEが挙げられる。
【0030】
一方、孔径がある程度以上に小さくなると、親和性の小さい素材の孔30には流体が入って行きにくくなり、第1の流体14aの加圧力を増大させなければならず、粒子径が不均一になったりする。この場合は、親和性を有する素材の多孔質体22を用いて、孔30の出口側の表面のみに親和性を小さくするような表面処理あるいは改質処理を行う。これにより、孔中の流体の円滑な流れを確保しつつ、粒子Pの微細化、粒径の均一化を行うことができる。なお、孔の形状はガラス、セラミックなどにおいて、形状、長さがランダム状となる孔でもよいし、金属、セラミックなどを成型、機械加工した場合のように、形状、長さが規則性をもった孔でもよい。
【0031】
図3は、図1の実施の形態の変形例で、外側の流路から第1の流体14aが内側筒状体10の中に圧送される構造である。この場合、離脱手段である超音波振動子24からの粗密波は内側筒状体10の内面に沿って送られる。図1の場合と、図3の場合との使い分けは、各流体の物理的な性質や温度条件等を考慮して、より好適なものを採用する。
【0032】
これらの実施の形態では、超音波振動子24は筒状体の一端側に取り付けられ、超音波振動は、多孔質体22からなる筒状体の長手方向に沿って伝播して、これに作用するようになっている。しかしながら、超音波振動子24の配置はこれに限られるものではない。超音波振動は多孔質体22ではなく、その孔30出口に存在する流体に作用させるようにしてもよい。図4は、このような構成の実施の形態であって、超音波振動子24は筒状に形成され、多孔質体22の表面に対向する位置、すなわち、外側筒状体12の内面に取り付けられている。この実施の形態では、超音波振動子24を多孔質体22表面のほぼ全面に配置することによって、より大きな振動エネルギーを付与することができ、微細化にはより効果的である。
【0033】
上記の実施の形態では、多孔質体22を筒状体としたことにより、狭い空間において比較的大きな多孔質体22表面を確保することができ、効率的な混合手段を構成することができた。しかしながらこの発明では、第1の流体流路20aと第2の流体流路20bを多孔質体22を挟んで隣接させることができれば、各空間の形状は適宜に設定することができる。例えば、図5(a)は、第1の流体流路20bと第2の流体流路20bをそれぞれ平板状とし、同じく平板状の多孔質体22を挟んで隣接させるようにしたものである。
【0034】
このような構成は、基本的に、図5(b)に示すように、上下2枚の板状部材の間に平板状の多孔質体22を挟むことにより組み立てることができる。離脱促進手段としての超音波振動子24は、多孔質体22板に対向する箇所に設置している。この実施の形態では、先の実施の形態に比較して多孔質体22の面積比率が小さくなり、効率は低下するが、構成が簡単であり、製造やメンテナンスコストは低下する。また、第1の流体流路20aと第2の流体流路20bを個別に温度制御したいような場合にも好適である。
【0035】
また、上記の実施の形態では、第2の流体14bを連続的に流した状態で第1の流体14aの微粒子Pを分散させる構造であったが、図6に示すような開閉弁32を用いて断続的に流すようにしてもよい。例えば、所定時間流体を停止させて処理を行い、所定の濃度の混合物を生成したら、第2の流体14b流路の容積に相当する量の第2の流体14bを流して中身を入れ替え、処理を継続するようにする。このように、第2の流体14bを断続的に流し、半連続的な処理を行うことにより、微粒子濃度を濃化させたり、粒子径を制御した混合物をを製造することができる。
【0036】
なお、離脱促進手段としての超音波振動子24は、多孔質体22の孔30の出口の部分の流体に間接又は直接に作用すればよいので、超音波振動子24の取付位置については適宜に選択可能である。図7は、超音波振動子24を、流体処理装置の外部に設置したものである。すなわち、二重管構造の流体処理装置は、その全体が液体34を入れた外部槽36の中に浸漬されており、超音波振動子24はその外部槽36の底部に配置されている。
【0037】
この実施の形態では、超音波振動子24で発生した超音波振動は、外部槽36内の液体34、外側筒状体12の壁、及びその中の第2の流体14bを順次介して、多孔質体22の孔30の出口の部分にある第2の流体14bに到達する。この外部槽36は、例えば、温度調整用の恒温槽であり、液体34は所定の方法で温度制御がされている。このような構成により、装置の一部の部分振動による破損等を防止しつつ、流体の多孔質体22からの離脱を促進し、粒子Pの微細化を行うことができる。
【0038】
上記の実施の形態では、離脱促進手段として超音波振動子24を用いたが、他の離脱促進手段を用いることができる。図8は、離脱促進手段として、多孔質体22を第2の流体14bに対して相対移動させる回転機構40を用いた実施の形態である。この実施の形態では、多孔質体22からなる内側筒状体10は、縦型に配置された外側筒状体12の中に、同軸にかつ軸線に沿って配置され、上下に設置された軸受42により回転可能に支持されている。そして、内側筒状体10の一端側の延長軸部分には、タイミングベルト44などの伝達機構及びモータ46等の原動機からなる回転機構40が設置されている。軸受42はシール手段48によって流体流路20bから隔離されている。
【0039】
この実施の形態では、第1の流体14aは内側筒状体10の中空の延長軸49から導入される。また、外側筒状体12を構成する容器には、上部に導入流路50が、下部に導出流路52が設けられている。先の実施の形態と同様に、第1及び第2の流体輸送手段18a,24が設けられ、これらと回転機構40は、必要に応じて制御装置(図示略)により制御されるようになっている。
【0040】
この実施の形態では、内側筒状体10を所定の回転数で回転させながら、第1及び第2の流体14bをそれぞれ所定の圧力で、流体流路20a,12aに供給する。第2の流体流路20bには、第2の流体14bの所定の流速の流れが形成される。第1の流体14aは先の場合と同様に、多孔質体22の孔30から第1の輸送手段による圧力(及び回転する多孔質体22のポンプ作用)により、孔30を通過して孔出口から第2の流体流路20bに向かう。
【0041】
ここで、多孔質体22が回転しているので、孔30の出口から流出する第1の流体14aとその周囲の第2の流体14bの間には、第2の流体14bの縦方向の流れによる相対速度だけでなく、回転による水平方向の相対速度が発生し、第1の流体の塊には、これらのベクトル和にとなる相対速度が作用する。つまり、回転によって、第2の流体14bの流速を大きくしたのと同様の作用が得られ、これにより剪断力がより大きくなるので微細化が促進される。なお、回転によるポンプ作用による圧力上昇によって第1の流体14aの孔30からの吐出量が過大となると、微細化には好ましくないので、このポンプ作用を見込んだ上で、第1の輸送手段の加圧量を調整するとよい。
【0042】
この実施の形態では、上述のように、孔30から出る第1の流体14aと周囲を流れる第2の流体14bの相対流速が変化する。相対流速が大きくなった結果作用する剪断力は、第1の流体14aが孔30から突出する量が大きくなる程大きくなる。従って、この実施の形態では、内側筒状体10の回転数を調整することにより、粒子径を敏感に制御することができる。なお、離脱促進のための回転動作としては一方向の連続回転でもよいし、正逆を繰り返した往復動でもよい。また、離脱促進のためには、多孔質体22と第2の流体14bとの相対速度を上げることができればよいので、このような相対回転運動ではなく、直線的な相対移動(往復動作)であってもよい。
【0043】
図9及び図10は、さらに他の実施の形態の流体処理装置を示すものであり、ここでは離脱促進手段として第1の流体を電気的に帯電させる手段を用いている。多孔質体22は導電性を有する素材であり、たとえばPt等の金属を用いている。この実施の形態では、多孔質体22は、板状部材にパンチングによりストレートな細孔30を形成したものであるが、電鋳法やその他の適宜の方法で製造した種々の多孔質体22を採用することができる。図9は平坦な流体流路と多孔質体22を有するもの、図10は、多孔質体22からなる内側筒状体10が外側筒状体12の中に配置されているものである。
【0044】
多孔質体22の対向面には、多孔質体22と対向するように他の導電性部材(たとえばPt等の金属板)が配置されている。そして、多孔質体22は陽極54として、他の導電性部材は陰極56として、所定の直流電圧源(図示略)に接続されている。この陰極56は、図9では平板状、図10では、外側筒状体12の内面に配置された筒状体である。
【0045】
この実施の形態の流体処理装置では、静電微粒化の原理によって第1の流体14aが微粒化され、第2の流体14b中に分散する。すなわち、第1の流体14aとしてたとえば水を多孔質体の孔30から流出させ、第2の流体14bとしてたとえば油など非導電性流体を第2の流体流路20bに流した状態で、両極間に直流電源を印加する。すると、多孔質体22(陽極54)の孔30中を通過する水滴は静電誘導により負に帯電し、静電気力が表面張力に打ち勝つと、小さな水滴へと分裂する。これにより、多孔質体22の孔径よりも小さい水滴が製造される。粒子径は印加される電圧によって調整することができる。このように電気的に帯電させることで粒子Pが多孔質体22に吸着する現象はなくなり、積極的に離脱され、次々と孔30から押し出されてより小さな水滴として第2の流体14b中に分散する。
【0046】
金属多孔質体の場合は静電作用により孔径より小さな粒子Pを作ることが可能になるため、孔サイズ5μm以下であればサブミクロン以下の粒子Pの製造が可能になる。電気乳化法の文献データでは1mmのノズルから100nm以下の粒子Pが作製されている。
【0047】
このような多孔質体22に静電微粒化の原理を用いた実施の形態では、従来の方法に比較して格段に生産性が良い。すなわち、従来の電気乳化法と呼ばれる方法では、例えばビーカー内に油を入れ、底に陰極を置き、ビーカー上部に金属ノズル(孔径1mm程度)を油中に入れ、これを陽極とした状態でノズル内部から水を流出させると同時に両極に数千ボルトを印加していた。これにより、水の静電気力の増加によって、100nm以下の水滴が油中に発生しエマルジョンが形成される。このような従来の方法ではノズルが単一であるため、生産性が悪い。
【0048】
これに対して、図9又は図10の装置では、流れる第2の流体14b中に多孔質体22からの多くの微細化された第1の流体14aを供給していくので、微細な液滴が分散したエマルジョンを効率良く、多量に生産することができる。この装置により、第1の流体14aに水溶性モノマー、第2の流体14bに油性モノマーを用いれば、液滴として放出された水溶性モノマー粒子の界面において界面重合反応により高分子を合成し、マイクロカプセルを作製することが可能である。
【0049】
多孔質体22の材料としては親水性としてセラミック、ガラス、金属等が挙げられ、疎水性としてはPTFEが挙げられる。セラミックの多孔質体22で孔径が100nm以下の小さいものは、2層構造としゾルゲル法で微細孔部分を表面から積層する。ガラスを素材とする場合は、熱処理による分相法により孔部分をエッチングで形成する。ジルコニアなどを含有することで10nm以下の孔サイズの加工が可能である。金属、たとえばSUS304、SUS316では、機械加工による孔加工では数十μm以下は難しい。レーザー加工、放電加工、ハニカム成型で10μm程度が限界である。これに対して、電鋳法では、たとえばNi、Ni合金、Pt、Au、Ag、Cu、Cu合金のような電気めっきが可能な金属ならば5μm以下の孔30の作製が可能になる。金属製多孔質体22の孔30はいずれもストレート孔になる。
【0050】
セラミックでもガラスでも樹脂でも金属でも、加工の制約によって、求める孔径の作製が不可能である場合は、孔内にたとえばPdやNiなどの無電解めっきを施すことで孔30の均一化と微細化が可能になる。これは、孔30内にめっき液を通過させながらめっきをするものである。この場合、大きい孔30の流速は速く、小さい孔30の場合は遅くなるため、大きい孔30周りのめっき成膜の成長が促進され、孔径が揃った100nm以下の微細な孔30に修正することが可能になる。
【0051】
この発明の処理装置及び方法によって生成される混合物は、第2の流体14bである液体中に、気体、液体、固体、またはこれらのカプセル状複合体等が分散したものとなる。分散した粒子が固体やカプセル状複合体となる場合は、第1の流体14aの微粒子Pが第2の流体14b中に分散混合した後でこれらの流体どうしが反応した結果である。
【0052】
分散する第1の流体14aが気体である場合、特に、水溶液中にサブミクロンオーダーのバブルを分散させた混合流体の製造には、多孔質体22として、アルミナ、SiCなどの親水性セラミック多孔質体22や、ジルコニアを含有した分相ガラスの多孔質体22が好ましい。この場合の孔径は、求めるバブル径にもよるが、100nm程度以下で、超音波による離脱手段を備えたものが好ましい。
【0053】
第1の流体14aである気体としては、空気でもよいし、活性のあるオゾン、水素、バブル寿命が長いSF6ガスでもよい。SF6ガスのナノバブルの場合、人間の体内に入れて罹患個所を特定する超音波診断に応用できる。液中のガス飽和溶解度以上にオゾンや水素を微細バブルとして送り込み、有機合成反応を促進させるという用途にも使用できる。
【0054】
図11は、この発明の流体処理装置を気液反応装置として用いた連続流式のペプチド合成装置を示すものである。
すなわち、このペプチド合成装置は、原料であるN保護アミノ酸を有機溶媒に溶解させた混合液を収容するn個の原料液容器60(60−1,60−2,・・,60−n)と、同じく原料であるC保護ペプチドとN保護アミノ酸を予備混合して保持する予備混合容器(予備混合手段)62−1,62−2と、縮合剤を収容する縮合剤容器64と、これらを導入して混合・反応させる流路を有するマイクロリアクタ66と、マイクロリアクタ66の下流側に設置した油水分離器68と、分離された流体に水素ガスを混合させ、触媒によって水素化反応を行わせる気液反応装置70とを備えて構成されている。
【0055】
気液反応装置70は、先に説明した図1ないし図8の流体処理装置のいずれかからなる気液混合器72と、その下流側の触媒反応器74から構成されている。触媒反応器74は、容器76内に表面に触媒を担持させた固体粒子78を充填し、その粒子78間の隙間に反応流体を通過させる間に反応を促進させるものである。このペプチド合成装置では、気液混合器(流体処理装置)72は、前段で生成されたペプチドを含む溶液中に水素ガスのバブルを分散させ、ペプチドのアミノ基側末端の保護基(カルボベンゾキシ基、ベンジル基等)の接触水素化による脱保護反応を行う。
【0056】
このような流体処理装置を用いた連続合成装置により、ペプチドの液相合成をマイクロリアクタ66を用いて連続的に実行することが可能になった。またカルボベンゾキシルアミノ酸の量がマイクロリアクタ66を用いて等当量で済むこと、および任意の段階で必要に応じてカラムクロマト精製が可能であることから、ペプチド固相合成法、従来の液相合成法と比較して、純度の高い目的のペプチドがより容易にかつ経済的に得られる。
【0057】
また、マイクロリアクタ66から触媒反応器74までの工程を連続流方式にすることができるので、滞留個所が無く、反応に掛かる滞留時間、分離や混合に掛かる時間を全て均一に制御できるため、高品質なペプチドを製造することが可能になった。なお、マイクロリアクタ66は有機相と水相の混合器であるので、2つの流体を多孔質体を用いて混合させてもよいし、複数の流路を多層に形成したマイクロリアクタを用いて多層流にして混合させてもよい。
【0058】
図12(a)は、この発明の流体処理装置を用いて、抗がん剤などの低分子の難水溶性薬剤を製造する場合を説明する図である。将来、静脈注射用として100nmレベルの難水溶性薬剤の微粒子を水溶液に分散させた混合物を精度よく製造する技術が期待されている。しかしながら、従来技術のビーズミルや、ボールミル、その他の粉砕法による方法ではコンタミが混入したり、粒度分布が広くなったりし、満足な製品は得られなかった。この実施の形態の製造装置は、先に説明した種々の流体処理装置の下流部分に、第3の流体を合流させるための導入路を設けたものである。
【0059】
この装置においては、第1の流体14aとして難水溶性薬剤が処理温度において完全に溶解しているような良溶媒を使い、第2の流体14bには難水溶性薬剤が同一温度で晶析するような貧溶媒とする。良溶媒が液滴状になって多孔質体22の孔30から流出すると、微細な液滴となり、混合物が流路内を移動する間に良溶媒が貧溶媒中に拡散する。これに伴い、難水溶性薬剤の溶解度が低下し、粒子Pとして晶析する。この実施の形態では、晶析した粒子Pの再凝集を防止するため、流体処理装置の下流側に第3の流体として界面活性剤を注入する合流路90を形成している。なお、図12(b)に示すように、第3の流体を流体処理装置の下流側に設けた第2の流体処理装置92によって混合させるようにしてもよい。これは、円筒状多孔質体22Aの外側の第2の流路20Bから第3の流体を注入するものである。
【0060】
この実施の形態では、従来のように貯槽の中でバッチ式に界面活性剤を注入して処理するのではなく、流れの中で注入するので、粒子径の揃った状態で即時に粒子Pを界面活性剤で包むことができる。従って、再凝集を防ぎ精度の高い粒子径を得ることが可能になる。第3の流体を注入する位置は粒子Pが最初に形成される第1の流体14aと第2の流体14bの合流点以降のどの位置でも構わない。難水溶性薬剤の具体例としては、ベザフィブラート、イブプロフェン、アセチルサリチル酸、カルバマゼピン、アミオダロン、ベクロメタゾン、クロロキン、イリノテカン、メクロジン等が挙げられる。良溶媒、貧溶媒は薬剤に対応して選択される。
【0061】
たとえば、ベザフィブラートの貧溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、トルエン、クロロホルム、四塩化炭素、ジエチルエーテルが、良溶媒としてはジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルが考えられる。また、イブプロフェンの貧溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、トルエン、良溶媒としてはメタノール、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸エチルが考えられる。
【0062】
なお、CO2超臨界流体は誘電率が1.8程度の溶剤として使用でき、添加剤を添加することで上記いずれの薬剤、および他の難水溶性薬剤に対し良溶媒として使用できる。CO2超臨界流体は大気に戻せば炭酸ガスとなって残渣が残らないため、粒子化した後の薬剤中に溶剤が残留することはない。
【0063】
上記の難水溶性薬剤の製造方法としては、図13に示すように、単一のノズル80を使って再晶析で粒子化する方法が考えられる。この方法では、難水溶性薬剤が溶解した良溶媒は二重管の内側のノズル80より断続的に外側管82中を連続的に流れる貧溶媒が送り込まれる。良溶媒は断続流であるため液滴状に噴出し、一つの液滴中に存在する難水溶性薬剤が最終的に一つの粒子Pとして晶析する。そして、合流路90から第3の流体を供給する。しかしながら、この方法は、生産性に劣るとともに、分散粒子Pの微細化が不十分である点でも、本発明の方法より劣っている。
【0064】
この発明の流体処理装置の他の応用例としては、ポリ酸とポリ塩基を結合させコンプレックス粒子を作り、界面活性剤で安定化させる場合が挙げられる。これは、ポリエレクトロライトコンプレックスと言われる水溶性薬剤の微粒子化技術である。従来は、図14に示すように、ビーカー84中に一方の水溶液、ビーカー84上のノズル86から他方の水溶液を滴下させて行っていた。この場合は、粒子径は双方の水溶液の濃度、滴下液滴径、滴下速度、攪拌方法等により左右される。より小さい粒子Pを作るには液滴径を小さくするか、濃度を薄くして滴下速度を遅くすればよかった。しかしこの方法では生産性が非常に悪い。
【0065】
一方、図12に示すような本発明の実施の形態の流体処理装置を用いれば、多孔質体22から水溶液を断続的に供給することにより、生産性の高い製造を実施することができる。実際の薬剤はポリ酸またはポリ塩基に吸着させて作製される粒子内に取り込まれる。薬剤がポリ酸またはポリ塩基である場合もある。また、界面活性剤の具体例はドデシル硫酸ナトリウム、第四級アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ペクチン、ポリアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0066】
なお、ポリ酸の具体例としてはキシランポリサルフェート、デキストランサルフェート、ポリアミノ酸、多糖類ポリサルフェート、イヌリンサルフェート、ヒドロキシエチルデンプンフェート、多糖類ポリスルホネート、ポリホスフェートおよびその誘導体が挙げられる。また、ポリ塩基の具体例としてはポリ-L-リジン、L-アスパルトアミド、キトサン、リジンオクタデシルエステル、アミノ化デキストラン、アミノ化シクロデキストラン、アミノ化セルロースエーテル、アミノ化ペクチンおよびその誘導体が挙げられる。
【0067】
(実施例)
図1の装置により、以下のような分散化混合処理を行った。
第1の流体:純水40mL中にケロシン2グラム、界面活性剤ソルビタン脂肪酸エステル系S-80、0.25グラム、同じくT-80、0.75グラム、これに油溶性色素キニザリンブルーを微量添加した。ケロシンにキニザリンブルーと2種類の界面活性剤を混合溶解させ、少量の純水を加えペースト状にする。このときはW/Oエマルジョンである。これに残りの純水を加え30分攪拌すると相反転が行われ1〜5μm程度のO/Wの粗大エマルジョン懸濁液が得られた。これを第1の流体とする。
【0068】
第2の流体:純水40mL中に界面活性剤ソルビタン脂肪酸エステル系S-80、0.25グラム、同じくT-80、0.75グラムを添加した。
内側筒状体を構成する多孔質体:平均孔径0.1〜0.2μmのアルミナ(円筒外径10mm、内径8mm、長さ20mm)の孔内および円筒の表面に無電解めっきでPdを10分析出した。平板上で約0.5μm厚の析出量であったため、大きな孔でも100nm以下になったと思われる。
離脱手段:超音波振動子 周波数45KHz
【0069】
第1の流体を円筒多孔質体の内側から、第2の流体を円筒多孔質の外側に各々流量約17cc/hで流した。粗大エマルジョンは多孔質体を通過することで微細化され、多孔質の外周に頭を出したところで超音波振動子による外周に沿った粗密波により、微細粒子を維持した状態で離脱し、20〜100nmサイズのケロシン粒子が得られた。粒子は光学顕微鏡では見えず、粒度分布測定器により測定した。
また超音波振動の周波数は28KHz、100KHzに変えて実施した場合では、いずれも1μm以上の粒子が観察された。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】この発明の1つの実施の形態の流体処理装置を示す図である。
【図2】図1の実施の形態の流体処理装置の変形例を示す図である。
【図3】この発明の第1の実施の形態の流体処理装置の作用を説明する図である。
【図4】図1の実施の形態の流体処理装置の他の変形例を示す図である。
【図5】同じく、図1の実施の形態の流体処理装置の他の変形例を示す図である。
【図6】同じく、図1の実施の形態の流体処理装置の他の変形例を示す図である。
【図7】同じく、図1の実施の形態の流体処理装置の他の変形例を示す図である。
【図8】この発明の他の実施の形態の流体処理装置を示す図である。
【図9】この発明の更に他の実施の形態の流体処理装置を示す図である。
【図10】図9の実施の形態の流体処理装置の変形例を示す図である。
【図11】この発明の流体処理装置を用いた連続反応装置を示す図である。
【図12】この発明の他の実施の形態の流体処理装置を示す図である。
【図13】従来の流体処理装置の一例を示す図である。
【図14】同じく従来の流体処理装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
10 内側筒状体
12 外側筒状体
14a,14b 流体
16a,16b 貯槽
18a,18b流体輸送手段
20a,20b 流体流路
22 多孔質体
24 超音波振動子
26 制御装置
28 貯槽
30 孔
32 開閉弁
34 液体
36 外部槽
38 平板部材
40 回転機構
42 軸受
44 タイミングベルト
46 モータ
48 シール手段
49 延長軸
50 導入流路
52 導出流路
54 陽極
56 陰極
60 原料液容器
62−1,2 予備混合容器
64 縮合剤容器
66 マイクロリアクタ
68 油水分離器
70 気液反応装置
72 気液混合器
74 触媒反応器
76 容器
78 粒子
80 ノズル
82 外側管
84 ビーカー
86 ノズル
P 粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質体を介して隣接する第1及び第2の流路と、
これらの流路にそれぞれ第1及び第2の流体を連続的または断続的に送る流体輸送手段とを備え、
第1の流体を前記多孔質体を介して第1の流路から第2の流路に流出させて粒子とし、第2の流体と合流させるようにした流体処理装置であって、
前記多孔質体の表面から漏出した流体粒子を前記多孔質体から早期に離脱させる離脱促進手段を有することを特徴とする流体処理装置。
【請求項2】
前記多孔質体はセラミック、ガラス、金属、樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項3】
前記多孔質体は平均孔径が100nm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流体処理装置。
【請求項4】
前記多孔質体が平均孔径5μm以下のNi、Ni合金、Pt、Au、Ag、Cu又はCu合金のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項5】
前記離脱促進手段は、前記多孔質体の表面から漏出した流体粒子に超音波振動を付与するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項6】
前記離脱促進手段は、前記多孔質体を並進運動させるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項7】
前記離脱促進手段は、前記多孔質体を陽極とし、これに対向する陰極との間に電圧を印加することにより、前記多孔質体内の流体を微細化するものであることを特徴とする請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項8】
離脱促進手段が、多孔質体表面の濡れ性の改質により行われることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項9】
第1の流体が液体、第2の流体が気体で多孔質体が円筒状のセラミックまたはガラスであることを特徴とする請求項1、3、5、6に記載の流体処理装置。
【請求項10】
形成された粒子が移動する流路の途中に、第3の流体を混合する注入手段を有することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の流体処理装置。
【請求項11】
前記第1の流体が難水溶性薬剤を溶解可能な良溶媒で、前記第2の流体が溶解しにくい貧溶媒であって、前記第3の流体が界面活性剤であることを特徴とする請求項10に記載の流体処理装置。
【請求項12】
第1の流体がポリ酸で、第2流体がポリ塩基で、第3の流体が界面活性剤であることを特徴とする請求項10に記載の流体処理装置。
【請求項13】
多孔質体を介して隣接する第1及び第2の流路を設け、これらの流路にそれぞれ第1及び第2の流体を連続的または断続的に送り、第1の流体を前記多孔質体を介して第1の流路から第2の流路に流出させて粒子とし、第2の流体と合流させるようにした流体処理方法であって、
前記多孔質体の表面から漏出した流体粒子を前記多孔質体から早期に離脱させることを特徴とする流体処理方法。
【請求項14】
請求項1ないし請求項12のいずれかに記載に流体処理装置又は請求項13に記載の流体処理方法に用いられるセラミック製の多孔質体を製造する方法であって、孔中に無電解めっきにより成膜することにより、孔径を小さくすることを特徴とする多孔質体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−104942(P2008−104942A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289791(P2006−289791)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】