説明

流体分析用のセンサーを当該流体を収容する本体部に対して分離可能に連結するための方法、ならびに関連する装置

本装置(1)は流体の性状をモニターするための軸線(A)を持つセンサー(3)、流体を収容する本体部(2)、センサーを本体部に対して分離可能に連結する連結システムを備え、当該システムは、本体部に配置された回転軸線(R)を中心に回転可能な固定部材(9)と、センサーに配置された固定部材と相互作用する保持部材(6)を具備し、回転軸線はセンサー軸線に対して直交配置される。本方法は本体部(2)に対して流体の性状をモニターするセンサー(3)を分離可能に連結する方法であり、センサーは軸線(A)を有する。本方法は回転軸線(R)を中心とする方向に本体部に配置された固定部材を回転させ、保持部材がセンサー軸線と平行な並進様式で動くよう固定部材をセンサーに配置された保持部材と相互作用させるステップを具備する。回転軸線はセンサー軸線と直交配置される。固定部材は、楕円の一部または切片の形状を有する断面を有し、特にそれは半円形断面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分析および水を分析するためのセンサーの分野に関するものである。それは、分析される水を収容(包含)する本体部に対する、そうしたセンサーの水密で分離可能な連結を実現するという問題から生み出された。本発明は、独立請求項の前提部分に記載された装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、化学工業、製薬工業、半導体製造、冷却水モニタリング、飲料水および地下水の分析ならびにモニタリング、そして発電所(ここでは、スチームタービンを駆動するために使用された水は汚染物質のトレースのためにモニターされる)において、水分析用のセンサーが使用されている。
【0003】
そうしたセンサーは、検出される水の性状および特定の用途に応じて、たとえば、pHセンサー、導電センサー、酸素センサーあるいはイオンセンサーとなるであろう。
【0004】
水密な、好ましくは耐圧様式で、モニターされる水を包含する本体部に対してセンサーを連結する分離可能な連結部は従来公知である。
【0005】
あるそうした連結部(たとえば、米国でよく知られた、いわゆるNPTジョイント)は、円錐ネジを有するネジ付きジョイントを具備してなるが、このものでは、連結部をシールするために、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)テープがジョイントに対して張り付けられる。そうした円錐ネジの製造はコストがかかるが、これは、小さな公差を満たす必要があり、しかもたいていはステンレススチールが使用されるからである。さらに、損傷を引き起こすことなくセンサーをねじ込んだり、取り外したりするためには、かなりの経験および技能が必要とされる。もし、小さすぎるPTFEテープが使用され、かつ/または過度に大きなトルクが加えられた場合、グリッピング(gripping)が生じるであろう。
【0006】
より取り扱いが容易な、他のそうした連結部は、バイオネットジョイントを使用する。そうした連結部は、ときには、「クイックロック」と呼ばれる。シールのためにエラストマーリングが使用され、そして本体部に対するセンサーの時計回りの回転が、堅固で気密性の高い連結を生じ、そして反時計回りの回転によってセンサーを本体部から分離させることが可能となる。さらに、この種の連結部は製造にコストがかかり、しかも、連結状態を確立するために、かなりの力が必要になる。他の欠点は、エラストマーリングに対するセンサーの回転動作は、かなりの大きさの摩擦を生じ、しかも特にエラストマーリングとセンサーとの間に粒子がたまたま入り込んだ場合には、この回転動作によってエラストマーリングおよび/またはセンサーがダメージを受けることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、本発明の一つの目的は、上述した欠点を持たない分離可能な連結部を創出することである。連結システムおよび当該連結システムを具備してなる装置が提供されるべきであり、これは、特別な技能を要さずに、かつ、かなり大きな力を加えることなく、開いたり閉じたりすることができる。さらに、本体部に対してセンサーを分離可能に連結するための方法、関連するセンサーおよび関連する本体部が、それぞれ提供されるべきである。
【0008】
本発明の別の目的は、上記接続部の高圧気密性を実現することである。
【0009】
本発明の別な目的は、上記接続部の素早い開閉を可能とすることである。
【0010】
さらなる目的は、以下の説明および実施形態から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的の少なくとも一つは、特許請求の範囲に記載の装置および方法によって、少なくとも部分的に達成される。
【0012】
本発明に基づく装置は、
流体の少なくとも一つの性状をモニターするための、センサー軸線を有するセンサーと、
上記流体を収容するための本体部と、
上記センサーを上記本体部に対して分離可能に連結するための連結システムと、を具備してなり、
上記連結システムは、
上記本体部に対して配置された、回転軸線を中心として回転可能な固定部材と、
上記センサーに対して配置された、上記固定部材と相互作用する保持部材と、を具備してなり、
上記回転軸線は、前記センサー軸線に対して、実質的に直交状態で配置されている。
【0013】
流体の少なくとも一つの性状をモニターするためのセンサー(当該センサーはセンサー軸線を有する)を、当該流体を包含する本体部に対して分離可能に連結するための、本発明に基づく方法は、
回転軸線を中心とする第1の回転方向に上記本体部に配置された固定部材を回転させ、これによって上記保持部材が上記センサー軸線と実質的に平行な実質的に並進様式で動くよう、上記固定部材を上記センサーに配置された保持部材と相互作用させるステップを具備し、
上記回転軸線は上記センサー軸線と実質的に直交するよう配置される。
【0014】
こうすることによって、上記本体部に対する上記センサーの確実な連結を実現できる。上記流体は通常は液体、特に水ベースの液体である。上記センサーは、流体分析用の、通常は水分析用のセンサーである。
【0015】
上記センサーは、たとえば、pHセンサー、導電センサー、酸素センサー、イオン感応センサーからなる群のうちの少なくとも一つであってもよい。20バールの、40バールの、そして60バール超の水圧までの圧力気密性が容易に実現可能である。
【0016】
好ましくは、本発明は、上記本体部に対する上記センサー密閉接続を実現でき、すなわち本体部に対してセンサーを密封様式で連結する方法を提供できる。
【0017】
ある実施形態では、上記連結システムはシール部材を具備してなり、このシール部材は上記本体部の開口の周囲に配置される。これによって、連結部の高圧気密性を実現でき、かつ、生産性を改善することが可能となる。
【0018】
上記シール部材は、好ましくは、変形可能なシール部材、特に(たとえば実質的にエラストマーからなる)弾性的に変形可能なシール部材である。
【0019】
ある実施形態では、上記シール部材は閉ループを形成する。特に、上記シール部材はリング形状であり、かつ/または実質的に円形の断面を有する。
【0020】
上記開口を経て、上記センサーは上記流体に対してアクセスすることが可能となる。
【0021】
ある実施形態では、上記保持部材は、上記センサーにおける開口によって形成される。
【0022】
ある実施形態では、上記保持部材は、上記センサー軸線と直交方向から30°内に配置された面を具備してなる。特に、当該面は、上記センサー軸線と直交方向から10°内に配置されている。特に、当該面は上記センサー軸線と実質的に直交するよう配置されている。これによって、上記固定部材の回転動作の、上記センサー軸線と実質的に平行な上記保持部材の実質的に並進的な移動への効率的な変換を実現できる。
【0023】
ある実施形態では、上記固定部材は、実質的に楕円の一部あるいは切片の形状を有する断面を有し、この場合にはまた、(完全な)楕円も楕円の一部または切片と見なされる。これによって、上記固定部材の回転動作の上記センサーの上記並進移動への有利な変換を実現することが可能となる。上記固定部材を回転させるための相対的に小さな力の使用は、上記本体部に向かって上記センサーを移動させる相対的に大きな力を生じ得る。ある実施形態では、上記楕円は円である。これによって製造が簡素化される。
【0024】
ある実施形態では、上記固定部材は実質的に半円形の断面を有する。これによって、固定部材の良好な生産性および高い安定性が実現される。
【0025】
ある実施形態では、上記固定部材は、上記回転軸線と平行に延在すると共に実質的に円形断面を有する、実質的にロッド形状の部材に含まれる。特に、上記ロッド形状部材は、実質的に上記回転軸線に沿って延在している。上記固定部材は、上記実質的にロッド形状の要素から構成材料を除去することによって実現可能な形状を有していてもよい。これによって良好な生産性が実現される。
【0026】
ある実施形態では、上記センサーはシャフトを有する。
【0027】
ある実施形態では、上記回転軸線は、実質的に、上記シャフトの接線である。
【0028】
ある実施形態では、上記本体部は、実質的に上記センサー軸線に沿って上記シャフトを案内するためのシャフト案内内面を有する。これによって、上記本体部内に上記センサーを安全に差し込むことが可能となる。さらに、これによって、連結部を閉じる間、上記センサーが傾くのを実質的に阻止することが可能となる。過度に大きな角度の傾動(これは特に、まさに一つの固定部材が設けられた場合に生じ得る)は連結部の気密性を低下させることがあるが、これは上記シャフトと上記シャフト案内内面との相互作用によって回避できる。
【0029】
ある実施形態では、上記シャフトは、実質的に、回転対称である。
【0030】
ある実施形態では、上記シャフト案内内面は、実質的に、回転対称である。
【0031】
ある実施形態では、上記回転軸線は、実質的に、上記シャフト案内内面の接線である。通常、シャフト案内内面は上記シャフトに非常に接近(1ミリメーターの数分の一以内)しているので、上記シャフト案内内面の接線は、上記シャフトの接線と実質的に同じものである。
【0032】
ある実施形態では、連結システムは、少なくとも一つの付加的固定部材を具備してなる。ただ一つの固定部材の代わりに、二つ、三つあるいはそれ以上の固定部材の使用が可能である。好ましくは、固定部材は、センサーの周面に均等に配置されている。固定部材は、別体の保持部材と、あるいは一つでかつ同一の保持部材と相互作用可能である。後者の場合、一つの保持部材は一つの開口によって形成可能である。この一つの開口は、特にセンサーのシャフトにおける、周方向開口であってもよい。
【0033】
ある実施形態では、上記固定部材が回転可能な回転角度は、少なくとも一つの機械的ストッパーによって、特に二つの機械的ストッパーによって制限される。これによって、上記固定部材の一つまたは二つの完全に確定された回転ポジションに、特に、オープン回転ポジション(このポジションでは上記センサーを上記本体部から分離させたり、それに取り付けたりすることができる)とも呼ばれる第1の回転ポジション(連結システムのオープン状態)およびクローズド回転ポジション(このポジションでは上記センサーは上記本体部に対して固定される)とも呼ばれる第2の回転ポジション(連結システムのクローズド状態)に、容易に、かつ、正確に、到達可能とすることができる。
【0034】
ある実施形態では、固定部材のオープン回転ポジションから固定部材のクローズド回転ポジションに達するのに必要な最大回転量は、実質的に1回転未満、すなわち実質的に360°未満である。
【0035】
ある実施形態では、固定部材のオープン回転ポジションから固定部材のクローズド回転ポジションに達するのに必要な最大回転量は、実質的に半回転、すなわち実質的に180°である。これは、たとえば、固定部材の断面が実質的に半円形である場合に当てはまる。
【0036】
ある実施形態では、上記連結システムは、上記固定部材と相互作用するブロッキング部材を具備してなるが、これは上記本体部に配置されており、かつ、上記センサー軸線と実質的に平行な実質的に並進様式で上記固定部材に対して動作することができる。このブロッキング部材は、上記固定部材を、ある回転ポジションで、特に上述した第2の回転ポジション(このポジションでは上記センサーは上記本体部に対して固定される)で固定するために使用できる。ブロッキング部材は、装置が振動にさらされた場合に特に有用となり得るが、これは、それが上記固定部材の望ましくない振動誘発回転に起因する連結部の緩みを阻止できるからである。
【0037】
ある実施形態では、上記ブロッキング部材は、第1のポジションと第2のポジションとの間で動作可能であると共に開口を有する。好ましくは、上記第1のポジションにおいては、上記開口は上記固定部材に隣接して配置される。
【0038】
好ましくは、上記ブロッキング部材が上記第1のポジションにあるとき、上記固定部材の上記第1の回転ポジション(オープン回転ポジション)から上記固定部材の上記第2の回転ポジション(クローズド回転ポジション)へと前記固定部材を回転させることを可能とするよう、上記固定部材は回転可能である。好ましくは、上記ブロッキング部材が上記第1のポジションにあるときには、上記固定部材は、上記ブロッキング部材における上記開口内に、完全にあるいは部分的に配置できる。
【0039】
好ましくは、上記ブロッキング部材が上記第2のポジションにあるとき、上記ブロッキング部材は、実質的に、上記固定部材の回転を阻止するか、あるいはそれを妨げるようになっている。
【0040】
ある実施形態では、上記ブロッキング部材の上記動作は、少なくとも一つの機械的ストッパーによって、上記第1および上記第2のポジション間での動作に制限される。これによって、上記ブロッキング部材を正確に上記第1のポジションへと容易に移動させることが可能となる。そして、ある実施形態では、これによって上記ブロッキング部材が上記本体部から外れるのを阻止することが可能となる。
【0041】
上記方法の利点は、付随する装置の利点と一致する。
【0042】
さらに好ましい実施形態および利点は、従属請求項および図面から明らかである。
【0043】
以下、図面を用い実例として本発明について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】センサーが本体部から外された状態での装置の側面図である。
【図2】センサーがある程度本体部内に差し込まれた状態での装置の側面図である。
【図3】中間状態での装置の側面図である。
【図4】センサーが本体部に対して固定された状態での装置の側面図である。
【図5】図4のV‐Vに沿った拡大断面図である。
【図6】センサーが本体部から外された状態での装置の側面図である。
【図6A】図6の拡大図である。
【図7】センサーが本体部に対して固定された状態での装置の側面図である。
【図8】固定部材の一実施形態の断面図である。
【図9】固定部材の一実施形態の断面図である。
【図10】保持部材の一実施形態の断面図である。
【図11】保持部材の一実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図中で使用されている参照数字および文字とそれが示すものは参照数字および文字のリストに列挙されている。以下で説明する実施形態は単なる実例であり、本発明を限定するものではない。
【0046】
図1は、本発明に基づく装置1の側面図である。装置1は、本体部2およびセンサー3(たとえば水センサー)を具備してなる。装置1は、オープン状態と呼ばれる状態で示されているが、この状態では、センサー3は本体部から分離可能である。図1においては、センサー3は本体部2から取り外されている。
【0047】
センサー3は、開口5および軸線Aを有するシャフト4を備える。開口5は、保持部材6を具備してなる。図1の実施形態においては、保持部材6は、面6aおよびエッジ6bを具備してなる。面6aは、上記センサー軸線Aと実質的に直交状態で配置されている。開口5はまた、上記シャフト4に対して周方向であってもよい。
【0048】
センサー3は、コントロールユニット(図示せず)と、このコントロールユニットに対する接続のためのコネクター7と、検出部8とを具備してなる。流体の性状をモニターする際には、検出部8は流体と接触状態となる必要がある。
【0049】
装置1は、上記本体部2に対して上記センサー3を分離可能に連結するための連結システムを備えるが、これは、上記保持部材6と、上記本体部2に配置された固定部材9とを具備してなる。この固定部材9は、軸線Rを中心に回転可能である。固定部材9は、実質的に半円形の断面を有する。連結システムの状態は、装置の状態、すなわちオープン(開)状態およびクローズド(閉)状態に対応する。
【0050】
図2は、センサー3が本体部2内にある程度差し込まれた状態での、図1の装置1の側面図である。それに沿ってセンサー3が本体部2内に差し込まれる方向は、取り付け方向D1と呼ばれる。それは、センサー軸線Aと平行に延びている。反対方向は、分離方向D2と呼ばれるが、これは、センサー3が、この方向に沿って、本体部2から離間しており、かつ、そこから取り外すことができるからである。
【0051】
本体部2は、その性状がモニターされる流体を収容するための容積(空間)10を具備してなる。
【0052】
本体部2は、センサー3を本体部2内に挿入する際に、センサー3のシャフト4を案内するための内面14を形成している。好ましくは、シャフト4と内面14との間の遊びは0.1mmのオーダーである。
【0053】
センサー3を本体部2内に挿入する間、固定部材9は回転ポジションにあるが、このポジションはこの挿入を妨げない。すなわち、この回転ポジション(これはまたオープン回転ポジションとも呼ばれる)においては、センサー3を本体部2内に挿入することができ、かつ、それを本体部2から分離させることができる。
【0054】
連結システムはさらにシール部材11を具備してなるが、これは、本体部2の開口12の周りに配置された弾性シールリング11として図2においては具現化されている。シール部材11は、連結システムのクローズド状態(図4参照)においては、二つのシール面17,18と相互作用するが、その一方(18)は上記本体部2に配置されており、かつ、その他方(17)は上記センサー2に配置されている。開口12およびシール部材11の予見される寸法(直径)は、通常、数センチメートルのオーダーであり、たとえば0.5cmないし10cm、特に1cmないし4cmである。
【0055】
図2から分かるように、本体部2は、そのシール面18の付近で、すなわちシール部材11の付近で、シール部材11が本体部2から意図せずして分離するのを阻止するためにそれがシール部材11を適所で保持するような形状とされている。これを実現するために、本体部2は、先細になりながら、シール部材11の最大直径の位置を越えて突出している。
【0056】
ピン15として具現化されたノーズ15(これは、固定部材8に対して固定的に連結されると共にストッパー16と相互作用する)により、高い精度を伴って固定部材9のオープン回転ポジションに容易に達することができる。
【0057】
連結システムはさらに、開口21を有するブロッキング部材20を具備してなる。連結システムのオープン状態では、図2に示すように、ブロッキング部材20は第1のポジションにあり(このポジションでは、固定部材9は開口21内に配置される)、したがって固定部材9の回転が可能となる。
【0058】
ブロッキング部材20は、スプリング部材24によってスプリング付勢されている。固定部材9によって、ブロッキング部材20は、スプリング部材24によって本体部2から押し出されないようになっている。
【0059】
好ましくは、ブロッキング部材20は、基本的に、好ましくは略円形断面を備えたロッド形状であってもよい。
【0060】
図3は、中間状態での、図1および図2の装置1の側面図である。この中間状態では、センサー3は、シール面17がシール部材11に接触するポイントまで、本体部2内に差し込まれている。その逆側では、シール部材はシール面18と接触状態となっている。固定部材9は、それが面6aに接触するポイントまで回転させられている。固定部材9の形状により、ブロッキング部材20は本体部2から少しだけ移動しており、この状況では、固定部材9は、ブロッキング部材20のさらなる動作が阻止されるように、その開口21においてブロッキング部材20と相互作用する。
【0061】
ブロッキング部材20は開口23を有する。ストッパー22(たとえばピン)は、連結システムのクローズド状態では、本体部2からのブロッキング部材20の完全な脱落を阻止するために、開口23内に突出している。
【0062】
固定部材9のさらなる旋回(回転)によって図3に示す中間状態から図4に示す状態へと移行するが、図4はセンサー3が本体部2に対して固定された状態(クローズド状態)での図1ないし図3の装置の側面図であり、このクローズド状態では、固定部材9は、クローズド回転ポジションと呼ばれる回転ポジションに存在する。
【0063】
固定部材9を上記のようにさらに旋回(回転)させることで、固定部材9は面6aに力を加え、これによってセンサー軸線Aと実質的に平行な、センサーの実質的に並進的な移動が生じる。言い換えれば、固定部材9は、オープン状態からクローズド状態に達するための第1の回転方向への固定部材9の回転が保持部材6(およびシール表面18およびセンサー3)を移動させるよう、保持部材6と(より正確には表面6aと)相互作用するが、この移動は、二つのシール面17,18間でシール部材11が押し潰されることになる、実質的に取り付け方向D1に沿った実質的に並進的な移動である。固定部材9と保持部材6との間の相互作用は、直接的な相互作用である。
【0064】
クローズド状態では、好ましくは(図4に示されるように)エッジ6bは固定部材9と接触状態となる。クローズド状態で面6aが固定部材9のエッジ(図4には示されていない)と接触状態となることもまた可能であろう。
【0065】
ただ一つの固定部材9しか図4の実施形態には設けられていないという事実により、センサー3の僅かな量の傾動が生じる。にもかかわらず、クローズド状態に近づく際のセンサー3の動きは、センサー軸線Aと実質的に平行な実質的に並進的な移動である。傾動の角度は、センサー3と、さらに詳しくはシャフト4と相互作用するシャフト案内内面14によって制限される。したがって、クローズド状態では、センサー3はシール部材11および固定部材9と接触状態となるだけでなく、(概ね二つのポイントP1およびP2において)シャフト案内内面14とも接触状態となる。
【0066】
固定部材9によって、比較的大きな力を加えることができ、しかもセンサー3をシール部材11に対して固定された状態で、しっかりと保持できる。軸線Rを中心とする固定部材9の回転角度が、クローズドポジションでは実質的に0°として規定される場合には、クローズド状態に近づく際にセンサー3が移動する長さは、0°付近の回転角度のコサインのように回転角度に依存し、すなわち、クローズド状態に近づくと、1回転角度当たりセンサー3が移動する距離が減少するが、これによって、クローズド状態近傍で、かなり大きな力を得ることが容易なものとなる。
【0067】
(図4に示す)クローズド状態では、シール部材11は、面17と面18との間で押し潰されており、これによって良好な水密性が実現されている。
【0068】
検出部8は、クローズド状態では、上記シール部材11を越えて本体部2内へと延在する。
【0069】
ストッパー13は、ノーズ15と相互作用することによって、クローズド回転ポジションに正確に達することを可能とする。説明する実施形態では、ストッパー13はネジの一部として具現化されているが、この場合、このネジは、同時に、ストッパー22を収容する孔を閉塞するために使用される(この場合、ストッパー22はこの孔内のピンまたはロッドとして具現化できる)。さらに概して言うと、ストッパー22は本体部2の容積内にあり、この容積は閉塞部材(上記ネジ)によって一方側で制限されるが、これはストッパー13と一体的に形成されており、それは固定部材9の回転角度を制限する。
【0070】
二つのストッパー13および16によって、固定部材9が回転できる回転角度は、実質的に180°の角度範囲に制限される。固定部材9の形状に、そしてブロッキング部材20の設計および配置状態に依存して、150°ないし210°の、あるいは165°ないし195°の角度範囲に上記回転角度を制限するのは重要なこととなり得る。固定部材9の断面が円のかなり小さな切片である場合には、上記角度範囲は270°あるいはそれ以上となるであろう。
【0071】
図4から分かるように、ブロッキング部材20は、スプリング部材24によって、本体部2からさらに押し出されている。これは、固定部材9がクローズド回転ポジションへと回転しているために可能となっている。クローズド回転状態では、固定部材9の平坦面はブロッキング部材20に面し、これによってブロッキング部材20が通過することを可能とするスペースが形成されている。ブロッキング部材20は第2のポジションに存在する。この第2のポジションでは、ブロッキング部材20は固定部材9の回転を妨げる。
【0072】
ブロッキング部材20の第2のポジションにおいては、孔25が本体部2の近傍に出現する。この孔25は、ブロッキング部材20に対してシール26を取り付けるために使用できる。
【0073】
本体部2からのセンサー3のリリースのために、たとえばメンテナンスのためにセンサー3を取り外すために、固定部材9を回転させる必要があるが、これは、ブロッキング部材20が動作させられた場合にのみ可能である。本体部2からのブロッキング部材20の完全な取り外しは、ストッパー22によって阻止される。クローズド状態からオープン状態に達する好ましい方法は、ブロッキング部材20を、そのオープンポジションへと(手で)押し戻すことである。だが、これは、シール26が孔25から除去された場合にのみ可能である。
【0074】
図5は、V‐Vによって示される線に沿った図4の拡大断面図である(ブロッキング部材20および本体部2は示していない)。固定部材9は、実質的にロッド形状の部材19(たとえば、スクリュー)から構成材を除去することによって形成可能である。(固定部材9を形成する)部材19の当該部分には、ネジ山が存在しないことが好ましい。スクリューヘッド19aは好ましくはソケットヘッド(内部レンチヘッド)であってもよい。好ましくは、ピン15がそれに対して取り付けられる。(スクリューヘッド内にツールを差し込むことによって)固定部材9を回転させるための適切なツールを使用することで、大きな力を加えることを要さずに、分離可能な連結部を開いたり閉じたりすることが可能となる。さらに一般化して言うと、固定部材9は部材19に包含されるが、これは、上記ツールによって固定部材9の回転を引き起こすために、その中にツールを差し込むことができるヘッド19aを具備してなる。
【0075】
図6は、センサー3を本体部2から取り外した状態での、図1ないし図4の装置の側面図である。二つのコネクター27,28は、測定される流体(特に水)を本体部2中へと、そして再び本体部2の外へと案内するために本体部2に対して取り付けられている。固定部材9は、部材19における(さらに正確にはヘッド19aにおける)マーカー31から分かるようにオープンポジションにある。
【0076】
図6Aは図6の細部を示している。センサー3は、シール面17を取り囲む突出部4aを具備してなる。そうした突出部4aは、シール面17を損傷から保護することができる。
【0077】
図7は、センサー3が本体部2に対して固定された状態での、図1ないし図4および図6の装置の側面図である。固定部材9は、部材19におけるマーカー31から分かるように、クローズドポジションにある。
【0078】
センサー3および本体部2には、マーカー29および30がそれぞれ設けられているが、これは、連結を確立するために、本体部2に対するセンサー3の好適な回転状態を選択するのに役立つ。周方向の開口の場合、そうしたマーカー29,30は完全に省くことが可能である。
【0079】
明らかに、オープン状態からクローズド状態に達するときの固定部材9の回転動作のための回転方向は、時計回りでも、あるいは、図6および図7に示すように、反時計回りでもよい。
【0080】
シャフト4は、好ましくは、実質的に、ステンレススチールからなり、検出部は、好ましくは、実質的に、ステンレススチールからなり、本体部2は、好ましくは、実質的に、ステンレススチールからなる。
【0081】
連結を閉じる間、固定部材9は、基本的に、レバーのように、特に非常に丈夫なレバーのように機能する。クローズド状態では、固定部材9は、基本的に、方向D2におけるセンサー3の移動(センサー3の外向き移動)に対する機械的な抵抗として機能する。すなわち、それは、クローズド状態でのセンサー3の固定に寄与する。
【0082】
図8は、固定部材9の一実施形態の断面を示している。この断面は、実質的に、半円形状を有している。半円の少なくとも一つのエッジには丸みが付与されている。これによって、クローズド状態において、かつ、クローズド状態へ移行するために固定部材9を回転させている間、面6aと固定部材9との間に、大きな接触面積を付与できる。好ましくは、固定部材9は、ロッド形状部材19から製造される。
【0083】
図9は、固定部材9の一実施形態の断面を示している。この断面は、実質的に、円形状を有する。回転軸線Rは偏心している。特に、回転軸線Rは、円の周縁上に置かれている。好ましくは、固定部材は、固定部材9の円の実質的に2倍の直径のロッド形状部材19から製造される。
【0084】
図10は、保持部材6の一実施形態の断面を示している。保持部材6は面6aを具備してなるが、これは、センサー軸線Aと直交する平面に対して、10°ないし20°の角度だけ傾いている。
【0085】
図11は、保持部材6の一実施形態の断面を示している。保持部材6は面6aを具備してなるが、これは、少なくとも部分的に、実質的にセンサー軸線Aと直交している。面6aは湾曲しており、特に、少なくとも部分的に、円周の形状を有する。これによって、クローズド状態において、およびクローズド状態へと移行する間、面6aと固定部材9との間に大きな接触面積を付与できる。好ましくは、保持部材6の曲率は、少なくとも部分的に、固定部材9の曲率と一致する。
【0086】
たとえば試験あるいはメンテナンスのために、連結を何度も開いたり閉じたりすることが、そして、ことによると新しいシール部材11さえ使用することなく、依然として気密連結状態を実現することができる。
【0087】
本発明によれば、シール部材11に付与される、良好に確定された、規定可能な圧縮量を実現することが可能である。これによって、シール部材11の最適化された荷重(歪み)を、したがって60バール超の本体部3内の水圧に容易に耐える良好なシールを選択することが可能となる。そしてさらに、本発明によって、本体部2に対するセンサー3の堅固な固定が実現されるが、これは、クローズド状態において、センサー3が本体部2から外れるのを阻止する。
【符号の説明】
【0088】
1 装置、システム
2 本体部、コンテナ
3 センサー
4 シャフト
4a 突出部
5 開口
6 保持部材
6a 面
6b エッジ
7 コネクター
8 検出部
9 固定部材
10 容積
11 シール部材
12 開口
13 ストッパー
14 内面、シャフト案内内面
15 ノーズ、ピン
16 ストッパー
17,18 シール面
19 部材
19a ヘッド、スクリューヘッド、レンチヘッド、ソケットヘッド
20 ブロッキング部材
21 開口
22 ストッパー
23 開口
24 スプリング部材
25 孔
26 シール
27,28 コネクター
29〜31 マーカー
A センサー軸線
D1 取り付け方向
D2 分離方向
P1,P2 ポイント
R 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の少なくとも一つの性状をモニターするための、センサー軸線(A)を有するセンサー(3)と、
前記流体を収容するための本体部(2)と、
前記センサーを前記本体部に対して分離可能に連結するための連結システムと、を具備してなる装置であって、
前記連結システムは、
前記本体部に対して配置された、回転軸線(R)を中心として回転可能な固定部材(9)と、
前記センサーに対して配置された、前記固定部材と相互作用する保持部材(6)と、を具備してなり、
前記回転軸線は、前記センサー軸線に対して実質的に直交状態で配置されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記連結システムはシール部材(11)を具備してなり、このシール部材(11)は前記本体部の開口(12)の周囲に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記保持部材は、前記センサーにおける開口(5)によって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記保持部材は、前記センサー軸線に対する直交方向から30°内に配置された面(6a)を具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記固定部材は、楕円の一部または切片の形状を有する断面を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記固定部材は、実質的に半円形の断面を有することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記固定部材は、前記回転軸線と平行に延在すると共に実質的に円形断面を有する、実質的にロッド形状の部材(19)に含まれることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記センサーはシャフト(4)を具備してなり、かつ、前記回転軸線は実質的に前記シャフトの接線であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記センサーはシャフトを有し、かつ、前記本体部は、実質的に前記センサー軸線に沿って前記シャフトを案内するためのシャフト案内内面(14)を有することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記センサーは、実質的に、回転対称シャフトを有することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記固定部材が回転可能な回転角度は、少なくとも一つの機械的ストッパー(13;16)によって、特に二つの機械的ストッパー(13,16)によって制限されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記連結システムは、前記固定部材と相互作用するブロッキング部材(20)を具備してなり、それは前記本体部に配置され、かつ、それは前記センサー軸線と実質的に平行な実質的に並進様式で前記固定部材に対して動作可能となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記ブロッキング部材は、第1のポジションと第2のポジションとの間で動作可能であると共に開口(21)を有し、前記第1のポジションにおいて、前記開口は、前記固定部材に隣接して配置されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2のポジションにおいて、前記ブロッキング部材は、前記固定部材の前記回転を阻止するようになっていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ブロッキング部材の前記動作は、前記第1および前記第2のポジション間での動作に対する、少なくとも一つの機械的ストッパー(22)によって制限されるようになっていることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記センサーは水分析用のセンサーであることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の装置用のセンサー。
【請求項18】
請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の装置用の本体部。
【請求項19】
流体を収容する本体部(2)に対して、前記流体の少なくとも一つの性状をモニターするためのセンサー(3)を分離可能に連結するための方法であって、前記センサーはセンサー軸線(A)を有しており、
前記方法は、
回転軸線(R)を中心とする第1の回転方向に前記本体部に配置された固定部材を回転させ、これによって、前記保持部材が前記センサー軸線と実質的に平行な実質的に並進様式で動くよう、前記固定部材を前記センサーに配置された保持部材と相互作用させるステップを具備し、
前記回転軸線は前記センサー軸線と実質的に直交するよう配置されることを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2010−506152(P2010−506152A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530763(P2009−530763)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067161
【国際公開番号】WO2008/040395
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(509092409)スワン・アナリティスク・インストゥルメント・アーゲー (2)
【Fターム(参考)】