流体制御による晶析装置の温度制御
複数個の結晶性ポリマーペレットの結晶化方法は、ペレットを晶析装置中で温度調節用流体と接触させる工程を含む。この流体は、複数個のペレットの平均ペレット温度をペレットの溶融温度未満に保持すると同時に複数個のポリマーペレットを少なくとも部分結晶化させるのに充分な温度を有することによって、ペレットの温度を調節する。本発明の方法を実施する晶析装置も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にポリマーペレットの結晶化方法及びシステムに関し、より具体的にはポリエステルペレットの結晶化方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂は、多くの商業用途に使用されている。ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル並びに同様なポリマー及びコポリマーは特に、製造がよく知られ且つ充分発達した主要商品となっている。ポリエステルの用途としては、食品、飲料及び他の液体の容器並びに合成繊維が挙げられる。PETのような一部のポリエステルは非晶性及び半結晶性の両方の形態で存在できる。非晶性PETは透明であるが、結晶性PETは不透明である。
【0003】
従来のPET製造方法においては、PETは、反応器中でテレフタル酸及びエチレングリコールをエステル化してプレポリマー混合物を形成させることによって形成する。エステル化は触媒する必要はない。プレポリマーペーストは続いて加熱して、重合を促進する。次に、得られた混合物は高温において、例えば285℃において適当な触媒の存在下でメルトの形態で重縮合に供する。Sn、Sb、Ge、Tiなどの化合物が重縮合触媒として使用されてきた。ポリマーは重縮合反応器から直接、ストランドへと押出する。高温の押出ストランドは冷水と接触させてから細断してペレットし、乾燥し、そして結晶化の前にサイロ中に貯蔵する。
【0004】
ペレット化前にストランドを伸長するペレット化方法が特許文献1に開示されている。一般に通用している見解から、貯蔵中の焼結を回避するためにはペレットの少なくとも表面を20〜30℃に冷却しなければならないことがわかる。貯蔵の間に、ペレットのより高温の内部からの熱がペレット全体に分散される。従って、温かいペレット、即ち外部が20〜30℃よりもかなり高いペレットは、貯蔵中に温度平衡後に凝集するかもしれない。水との接触によって温度を低下させる他に、ペレットは冷たい空気、窒素又は不活性ガスによって所望の温度まで更に冷却することできる。ペレットは貯蔵し、それからその後に所望の結晶化温度まで再加熱する。これらの加熱、冷却及び再加熱工程は、既にエネルギー集約的なプロセスにかなりのエネルギー損失をもたらす。高温ペレットの結晶化は、結晶化振盪機又は流動床中で実施することができる。インヘレント粘度の上昇及びアルデヒドの除去の両方を行うために固相化(solid stating)を用いる。
【0005】
図1A、1B及び1Cを参照すると、PET製造設備の概略図が示されている。PET加工設備10は、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)を混合してプレポリマーペーストを形成する混合タンク12を含む。このプレポリマーペーストをエステル化反応器14に移し且つそこで加熱して、エステル化モノマーを形成する。エステル化反応器14中の圧力を調節して、エチレングリコールの沸点を制御し且つエステル化反応器16への生成物の移動を助ける。エステル化反応器14からのモノマーはエステル化反応器16中において更に加熱するが、今度はエステル化反応器14中の圧力よりも低い圧力下で実施する。次に、エステル化反応器16からのモノマーをプレポリマー反応器18中に導入する。このモノマーを、プレポリマー反応器18内にある間に真空下で加熱して、プレポリマーを形成する。このプレポリマーのインヘレント粘度は、プレポリマー反応器18内で増加し始める。プレポリマー反応器18中で形成されたプレポリマーは重縮合反応器20、次いで重縮合反応器22に順次導入する。プレポリマーは、重縮合反応器20、22のそれぞれの中で、プレポリマー反応器18中よりも大きい真空下で加熱することによって、ポリマー鎖長及びインヘレント粘度を増加させる。最終重縮合反応器の後に、PETポリマーをポンプ24によって加圧下でフィルター26,28、そしてダイ30、32、24に通して移動させて、PETストランド36、38、40を形成する(図1B参照)。
【0006】
図1Bを参照すると、ポリエステルペレットの形成方法が示されている。押出ポリマーストランド36、38、40は、それらがダイ30、32、34から出てくる際にストランドへの水噴霧流42、44、46によって冷却する。ダイ30、32、34から出てきた後、ストランド36、38、40はまだ高温の間にカッター54、56、58によって切断して、ペレット48、50、52にする。このようにして形成したポリエステルペレットは円筒形を有する傾向があるが、立方形、ドッグボーン形又は他の形状に修正することもできる。プロセスのこの時点では、ポリエステルペレットは通常は非晶性である。ポリエステルペレットは典型的には顧客への出荷前に結晶化させる。このような結晶化はより高い温度におけるその後の乾燥を可能にするので、ポリエステルを要求通りに押出できる。ポリエステルペレットの結晶化は典型的にはペレットを結晶化温度より高い温度まで再加熱することによって達成する。ペレット結晶化時の追加熱は、結晶化熱の発生の結果として得られる。この追加熱はペレットを軟化させ且つ互いに付着させる傾向がある。従って、ペレットが軟化によって互いに粘着してしまわないように、ペレットを撹拌する。結晶化後、ペレットは一般に、高温ペレットの周囲に不活性ガスを通すことによって固相化して、インヘレント粘度を上昇させる。
【0007】
図1Cを参照すると、別のペレット形成プロセスの概略図が示されている。この変形においては、ダイ66、68、70から出てくるストランド60、62、64を水中でダイフェースカッター80、82、84によって切断して、ペレット72、74、76にする。この変形において、押出ポリエステルストランドはダイ66、68、70から出たときに水中に完全に浸漬され、水中で切断される。このようにして形成されたペレット72、74、76は、水中に出てくる際の溶融ポリエステルの表面張力のために球形を有する傾向がある。初めは、切断後のペレット72、74、76は依然として内部にかなりの熱量を保持している。その後、ペレット/水の組合せを搬送システム92によって乾燥機90に送る。有用な乾燥機の例としては、水からペレット72、74、76を除去する求心性乾燥機が挙げられる。乾燥機90から出る際に、乾燥機90から出てすぐには依然として高温であるペレット72、74、76の熱含量によって、更なる水が煮沸されて取り除かれる。ペレット/水の組合せを充分に速く乾燥機に搬送するならば、ポリエステルペレットは結晶化が起こるのに充分な熱を保持できる。ペレット72、74、76を次に晶析装置94に移し、晶析装置94内で結晶化が起こる滞留時間(約2〜20分)の間、滞留する。晶析装置94はまた、ポリエステルペレットが互いに粘着するのを妨げるのに充分な撹拌を提供する。
【0008】
特許文献2、3及び4は、ポリマーペレットの結晶化方法を開示している。特許文献2は、ポリマーペレットを液体浴(例えば水浴)中で高温で処理して結晶化を引き起こす方法を開示している。特許文献3及び4は、ペレットを乾燥機90へ、そして乾燥機90中に通して速く搬送するために図1Cのペレット/水スラリー中に空気を吹き込む方法を開示している。
【0009】
結晶化後、ペレット72、74、76は、濃密相搬送システム96によって1つ又はそれ以上のペレット加工ステーションに搬送する。このような濃密相搬送システムは空気を利用して、ペレットを1つの場所から別の場所に移動させる。例えば、ペレットは、ペレットの平均的性質が調整されるであろうブレンド用サイロに搬送する。このようなブレンド用サイロ中で、ポリエステルペレットを混ぜ合わせて、目標の規格を達成する。このような規格は、色、分子量、触媒濃度、添加剤濃度、密度などに関するものであることができる。更に別の例においては、ペレットを固相化プロセス反応器に搬送する。稀薄相搬送システムは、ペレット表面を溶融させるか又は高衝撃速度を有することによって、不所望な流れや微粉を形成する可能性があるので、この適用例においては濃密相搬送システムが稀薄相搬送システムよりも有用である傾向があることに留意すべきである。
【0010】
ポリマーペレット、特にポリエステルペレットを製造するためのこれらの方法及びシステムは充分に機能するが、これらの装置は製作及びメンテナンスのコストが高い傾向がある。典型的なPET製造ラインは、それぞれがかなり大きいモーターを利用し且つ製造プラント中で比較的大きい設置面積を占めるいくつかの晶析装置を含む場合がある。このような晶析装置の初期資本投資は優に100万ドルを超え得る。
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,310,515号
【特許文献2】国際出願公開第WO2004/033174号
【特許文献3】米国特許出願公開第20050110182号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第20050110184号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、設置、操作及びメンテナンスのコストがより低いポリマー加工装置及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、少なくとも1つの実施態様において、複数個のポリマーペレットを結晶化させる方法を提供することによって1つ又はそれ以上の問題を克服する。この実施態様の方法は、複数個のポリマーペレットを晶析装置に導入する工程を含む。結晶化が可能であるためには、ポリマーペレットは結晶性の1種又はそれ以上のポリマーから形成される必要がある。このような結晶性ポリマーは、結晶化温度及び溶融温度を特徴とする。更に、複数個のポリマーペレットは平均ペレット温度によって特徴付けられる。複数個のポリマーペレットは初期平均温度において晶析装置に導入する。晶析装置内にある間に、複数個のペレットは、平均ペレット温度を調節するために流体と接触させる。流体は、平均ペレット温度を溶融温度未満に保持すると同時に複数個のポリマーペレットを少なくとも部分結晶化させるのに充分な温度を有することによって、ペレットの温度を調節する。最後に、複数個のポリマーペレットを晶析装置の出口から取り出す。有利には、この実施態様において利用する流体は液体又は気体である。
【0014】
本発明の別の実施態様において、ポリマーペレットを結晶化させるための晶析装置を提供する。この実施態様の晶析装置は、複数個のポリマーペレットを受けるための入口及びペレットを取り出すための出口を含む。晶析装置は更に、複数個のペレットを温度調節用流体と接触させるための流体アプリケーターを含む。晶析装置はまた、複数個のペレットを第1の場所から第2の場所に搬送するためのコンベヤーを含む。この実施態様の変形において、コンベヤーは、ペレットが出口に向かって移動するような方法でペレットを振動させる。有利には、コンベヤーはまた、ペレットの粘着又は凝集が最小限に抑えられるように、搬送中にペレットを撹拌する。
【0015】
本発明の更なる利点及び実施態様は説明から明らかであるか、或いは本発明の実施によって確認できるであろう。本発明の更なる利点はまた、添付した「特許請求の範囲」中で特に指摘した要素及び組合せによって実現及び達成されるであろう。従って、前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも本発明の一部の実施態様の例及び説明として役立ち、「特許請求の範囲」に記載した本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1Aは、重縮合反応器を通るポリエステル製造ラインの概略図であり;
図1Bは、カッターを用いた重縮合反応器後の加工によるポリエステルペレットの形成を示すポリエステル製造ラインの概略図であり;
図1Cは、フェースカッターを用いた重縮合反応器後の加工によるポリエステルペレットの形成を示すポリエステル製造ラインの概略図であり;
図2は、本発明の方法において使用できる晶析装置の一実施態様の概略図であり;
図3は、上部が開いた晶析装置の一実施態様の概略図であり;
図4は、液体を除去するためのドレインを有する晶析装置の一実施態様の概略図であり;
図5は、直接気流がペレット中を通り越して誘導される晶析装置の一実施態様の概略図であり;
図6Aは、ポリマーペレットの搬送を助けるためにパーティションを用いる晶析装置の一実施態様の概略図であり;
図6Bは、ポリマーペレットの搬送にらせん運動を用いる晶析装置の一実施態様の概略図であり;
図7は、ポリマーペレットの搬送に図6Aの晶析装置を用いる晶析装置システムの側面図であり;
図8Aは、ポリマーペレットの搬送に図6Bの晶析装置を用いる晶析装置システムの側面図であり;
図8Bは、ポリマーペレットの搬送に図6Aの晶析装置を用いる晶析装置システムの正面図である。
【0017】
これから、本発明者らが現在理解している本発明を実施するための最良の形態を構成する本発明の現在好ましい組成物、実施態様及び方法により詳細に言及する。図は必ずしも原寸に比例していない。また一方、開示した実施態様は、種々の代替形態で具体化できる本発明の単なる例示であることを理解すべきである。従って、本明細書中に開示した具体的な詳細は限定的なものとして理解するのではなく、本発明の任意の態様の代表的な基準として及び/又は当業者に本発明をさまざまに使用するための教示をするための代表的な基準としてのみ解釈すべきである。
【0018】
実施例を除いて又は他に特に断らない限り、材料の量又は反応及び/若しくは使用の条件を示す本明細書の説明中の全ての数量は、本発明の最も広い範囲の記載においては「約」によって修飾されるものと理解すべきである。記載した数値限度内における実施が一般に好ましい。また、そうでないことが明白に述べられない場合には、パーセント、「部」及び比の値は重量に基づき;用語「ポリマー」は「オリゴマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」などを含み;1つの群又は種の材料が本発明に関連して所定の目的で適当である又は好ましいという記載は、その群又は種の構成員の任意の2つ又はそれ以上の混合物が等しく適当である又は好ましいという意味を含み;化学用語での成分の記載は、その記載において特定された任意の組合せへの添加時における成分を意味し、混合後の混合物の成分間の化学相互作用を必ずしも除外せず;頭字語又は他の略語の最初の定義は同じ略語の本明細書中における全てのその後の使用に適用し、最初に定義された略語の通常の文法上の変形に、変更すべきところは変更して適用し;そうでないことが明白に述べられない場合には、性質の測定値は、同じ性質について前に参照した又は後で参照するのと同じ方法によって測定する。
【0019】
また、具体的な成分及び/又は条件は当然ながら変動し得るので、本発明は以下に記載する具体的な実施態様及び方法に限定するものではないことを理解すべきである。更に、本明細書中で使用した用語は、本発明の特定の実施態様の説明のためにのみ用いるのであって、決して限定を目的としない。
【0020】
また、本明細書及び添付した「特許請求の範囲」中で使用する単数形(「a」、「an」及び「the」)は、前後関係からそうでないことが明白に指示されない限り、複数の指示対象を含む。例えば単数形の成分への言及は、複数の成分を含むものとする。
【0021】
本明細書の全体を通して、文献を参照する場合には、本発明が関係する最新技術をより完全に説明するために、これらの文献の開示全体を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0022】
本明細書で使用する用語「ポリマーペレット」は、ポリマーから形成される三次元物体を意味する。このようなポリマー物体は、任意の方向におけるポリマー物体の寸法より大きいか又はそれに等しい最大寸法を含む。ポリマーペレットは、球形、円筒形などのような複数個の形状で生じる。球の最大寸法は直径である。
【0023】
本明細書中で使用する用語「結晶化熱」は、質量単位の物質が結晶化する際に放出される熱量を意味する。
【0024】
本明細書中で使用する用語「結晶化温度」は、物質の少なくとも一部が結晶化し始める温度を意味する。
【0025】
本明細書中で使用する用語「溶融温度」は、物質の少なくとも一部が結晶状態から液体に転移する温度を意味する。物質が本発明のために一定の温度範囲にわたってこのような転移を受ける場合には、溶融温度はこのような範囲の温度の中央値(median temperature)である。典型的には、非晶性ペレットは結晶性ペレットよりも低い温度で溶融する。
【0026】
本明細書中で使用する用語「結晶化度」は、ポリマーサンプルにおける結晶化度の分数量を意味する。本発明において、結晶化度はポリマーペレットにおける結晶化度の平均分数量である。結晶化度は、重量%又は容量%として表すことができる。本明細書中で使用する結晶化度は、そうでないことが明白に示されない限り、重量%として表す。結晶化度は、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定できる。
【0027】
本発明の一実施態様において、複数個のポリマーペレットの結晶化方法を提供する。本発明に係る複数個のポリマーペレットを晶析装置に導入する。一般に、本発明に従って結晶化させる複数個のペレットは、非晶性ペレット又は所望の結晶化度より低い結晶化度を有するペレットである。この実施態様の一変形において、結晶化前のペレットの結晶化度は30重量%未満である。この実施態様の別の変形においては、結晶化前のペレットの結晶化度は20重量%未満である。この実施態様の更に別の変形においては、結晶化前のペレットの結晶化度は10重量%未満である。結晶化後の結晶化度は典型的には30重量%より大きい。他の変形において、結晶化後の結晶化度は40重量%より大きい。ほとんどの適用例では、結晶化後の結晶化度は70重量%未満である。他の変形においては、結晶化後の結晶化度は60重量%未満である。更に他の変形においては、結晶化後の結晶化度は50重量%未満である。
【0028】
有利には、結晶化させるポリマーペレットは任意の結晶性ポリマーを含む。このようなポリマーの例としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ナイロン及びポリケトンが挙げられるが、これらに限定するものではない。一変形において、このような有用なポリマーの結晶化熱は、(ポリマーの結晶化熱)÷(ポリマーの熱容量)が少なくとも5℃であるようなものである。結晶化温度及び溶融温度が更に結晶性ポリマーを特徴付ける。この実施態様はポリアルキレンテレフタレートポリマー、とりわけポリエチレンテレフタレートポリマーの結晶化に特に有用である。
【0029】
溶融相重合プロセスから出た又は晶析装置若しくは結晶化ゾーンに導入されるポリアルキレンテレフタレートポリマーは、少なくとも0.50dL/g又は少なくとも0.55dL/g又は少なくとも0.6dL/g、とりわけ少なくとも0.70dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.74dL/g又は少なくとも0.76dL/g又は少なくとも0.78dL/gであって、約1.2dL/g以下又は1.1dL/g以下又は0.9dL/g以下のIt.V.を有する。部分結晶化ポリエステルポリマーはまた、有利には固相重合させない。従って、固相重合されていない、少なくとも20%の結晶化度及び少なくとも0.70dL/gのIt.V.を有する複数個の部分結晶化ペレットを含む出荷用コンテナを包含する実施態様も提供する。適当な出荷用コンテナは、少なくとも1m3若しくはそれ以上又は2m3若しくはそれ以上又は3m3若しくはそれ以上又は8m3若しくはそれ以上又は20m3若しくはそれ以上の容積を有する、商業目的での出荷に適当なものであり、ゲイロードボックス(Gaylord box)、鉄道タンク貨車、トラクタートレイラー用のトレイラー及び船殻などである。ペレットのIt.V.は前に特定した0.70dL/gより高い任意の値であることができ、結晶化度は前に特定した20%より高い任意の値であることができる。
【0030】
本発明の方法で利用するペレットは、当業者に知られた種々の方法によって形成する。このようなペレット形成方法の例としては、図1A、1B及び1Cに図示し且つ前述した方法が挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明は、少なくとも1つの実施態様において、図1Cに記載した晶析装置に比べて改善をもたらすことを認識すべきである。詳細には、本発明はこのような晶析装置の長さ(即ちペレットが搬送される方向に沿った長さ)を短縮できると共に、装置コストを同時に著しく減少させることができる。この実施態様の方法は、ほとんど全ての形状又は寸法のペレットの結晶化に使用する。典型的には、複数個のポリマーペレットの少なくとも一部は、0.25インチ未満の最大サイズ寸法を特徴とする三次元物体を含む。本発明の実施において使用できる造形ペレットの例としては、球状に造形されたペレット、円筒状に造形されたペレット及び長方形断面を有するペレットが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0031】
図2を参照すると、本発明の一実施態様の概略図が示されている。この実施態様の方法は、複数個のポリマーペレット100をペレット入口104を経て晶析装置102に導入することを含む。一変形においては、複数個のペレット100を5,000〜200,000lb/時の量で晶析装置に導入する。一変形においては、ポリマーペレット100と共に再生ペレットを入口104を経て晶析装置102に導入することができる。この変形においては、ペレット100の温度は、再生ペレットの温度を変えることによって調節できる。
【0032】
複数個のポリマーペレット100は、晶析装置102への導入時に初期平均ペレット温度を有する。この実施態様のいくつかの変形において、ペレット100は、ペレット100が晶析装置102中に滞留する間に結晶化が起こるのに有効な高温である。ペレット100がPETである場合のような少なくとも一部の実施態様において、この高温は135〜205℃であり、他の実施態様においては150〜200℃である。ポリマーペレット100は、ポリマーペレットを冷却後に再加熱する方法を含む任意のやり方で提供できる。このような方法の一例としては、図1Bの説明と関連して前述した、ストランドカッターによるPETストランドの切断が挙げられる。
【0033】
この実施態様の特に有用な変形においては、ポリマーペレット100を、図1Cの説明に関連して前述したダイフェースペレットカッターによって切断する。この変形においては、ペレット100を、ペレット搬送システム92によってダイフェースペレットカッターから乾燥機90に移す。有用な乾燥機の例としては、水からペレット100を取り出す求心性乾燥機が挙げられる。これに関連して、乾燥機90はペレット100を水から分離するのに使用できる任意の装置であることを理解すべきである。ペレットの熱含量は乾燥機90から出てくる際には依然として比較的高いため、乾燥機90から出てすぐに、更なる水が煮沸によって取り除かれる。この変形においては、ダイフェースペレットカッターを用いてペレット100をカッターから乾燥機に充分に速く移すので、ペレットはかなりの熱量を保持している。典型的には、このような乾燥機から出ていくポリマーペレットは135℃を上回る温度を有する。
【0034】
ペレット100のそれぞれは典型的には、ペレット100の内部が外部よりもかなり高温である比較的不均一な温度分布を有することを理解すべきである。これは、ダイフェースカッター及びペレット搬送システム92中で使用する水の冷却効果とポリマーの低い熱度伝導率による。更に、各ペレットはわずかに異なる温度分布を有する可能性がある。従って、複数個のペレットは平均ペレット温度を有するものとして記載するのが適当である。
【0035】
また、ダイフェースカッターから乾燥機90へのペレット100の搬送に使用する水は、優れた又はより望ましい伝熱性を有する他の搬送用流体と置き換えることができることを理解すべきである。ペレット100の平均温度は、ダイフェースカッターから乾燥機90へのペレットの搬送に使用する水(又は他の搬送用流体)の温度によって制御することもできる。例えば、搬送用流体は、より高い初期平均ペレット温度(晶析装置102に導入される際のペレットの温度)を実現するために加熱し、又はより低い初期平均ペレット温度を実現するために冷却することができる。典型的なポリエステル形成方法において、ダイフェースカッターから乾燥機90への搬送時間は約数秒であり、ペレット含有スラリーは、ペレット搬送システム92中にある間に10〜30フィート/秒の速度で移動する。
【0036】
晶析装置102は、複数個のペレット100をペレット入口104からペレット出口106までコンベヤー108に沿って縦方向d1に搬送する。結晶化の間に結晶化熱の放散のために平均ペレット温度が上昇するので、ペレット100は、晶析装置102によって搬送されている間に、凝集又は粘着の防止を助けるために撹拌することができる。少なくとも1つの実施態様において、シャフト112によって晶析装置102と接触しているモーター110がこのような撹拌を提供する。このような撹拌はペレット100の振盪又は振動を引き起こすことができる。一般に、コンベヤー108は底壁114、端壁115、116及び対向側壁(図示せず)を含む。晶析装置102はまた、コンベヤー108の上に位置してキャビティ119を形成する任意の上部118を含むことができる。本発明の更なる改良においては、このような撹拌はまた、ペレット100を方向d1に沿って搬送する。
【0037】
ペレット100をペレット出口106を経て晶析装置102から取り出し、次の加工又は貯蔵装置に移す。晶析装置102内のペレット100の滞留時間は、結晶化させるポリマーの型、初期平均ペレット温度、加工するペレットの処理量などのような多くの要因によって異なり得る。典型的には、滞留時間は1秒〜1時間である。他の変形においては、滞留時間は1〜10分である。
【0038】
更に図2を参照すると、ポリマーペレット100は流体と接触させて、ペレット100の平均温度を調節する。流体は、晶析装置102の接触領域120中に流体アプリケーター122を経て流体スプレー124として導入する。適当な流体アプリケーター122の一例は、液体又は気体スプレーノズルである。ペレット100を流体と接触させ、それによって熱をペレット100に移すか又はペレット100から除去する。流体スプレー124は、複数個のペレットが晶析装置内にある間は複数個のペレットの平均温度をポリマーの溶融温度より低く保持すると同時に、複数個のポリマーペレット100を少なくとも部分結晶化させる(ペレット温度を調節することによって)のに充分な温度を有する。複数個のペレット100の温度は有利には、結晶化速度を制御するために調節する。ペレット100の平均温度が高いほど、結晶化速度は速い。ペレット100の温度が低すぎる(即ち135℃未満である)場合には、結晶化を達成するのに充分な追加熱を供給するのは比較的困難である可能性がある。ペレット100の温度が高すぎる場合には、ペレットが結晶化するにつれて放散される結晶化熱によってペレットが溶融し始める可能性がある。本発明のこの実施態様は有利には、晶析装置102の長さをできるだけ短くするために平均ペレット温度を最適化することができる。これは、本発明において行う冷却は放散結晶化熱によって引き起こされる加熱を妨げるので、より高い初期平均ペレット温度を使用できるためである。晶析装置102の長さをできるだけ短くすれば、コストが高い傾向があるこのような晶析装置の購入及びメインテナンスに関連する費用が削減される。本発明の一変形において、複数個のペレット100は流体対ペレットの重量比1:2000〜2000:1で晶析装置102に導入する。本発明の別の変形において、複数個のペレットの少なくとも一部は内側から外側へと結晶化する。これは、表面近く又は表面の領域よりも典型的には高温であるペレットの内部領域が最初に結晶化することを意味する。
【0039】
この実施態様の一変形において、ポリマーペレット100は、結晶化に最適な温度より高い平均温度で晶析装置102に入る。この変形において、ポリマーペレットは流体によって冷却する。この変形においては流体はペレット平均温度よりも低い温度を有するであろう。この変形の方法は、通常は135℃の温度で結晶化し始め且つ200℃の温度で溶融するポリエチレンテレフタレートペレットの結晶化に特に有用である。本発明に従って充分な冷却が行われるならば、晶析装置102に入るポリエチレンテレフタレートペレットの平均温度が10℃増加する毎に、晶析装置102の長さl1は最適には2倍短縮することができる。ペレット100が結晶化が起こるのに充分な熱含量を有する領域を有する場合には、ペレット100が方向d1に沿って搬送されるにつれて、平均ペレット温度は上昇する。この温度上昇は、結晶化につれてペレット100から結晶化熱が放散される結果である。
【0040】
本発明の1つの改良において、初期平均ペレット温度(晶析装置102に導入する際の温度)と結晶化温度との差は、外部冷却がない場合にペレット100の結晶化によって引き起こされる温度上昇より小さい。従って、この改良においては、ペレット100の溶融又は粘着をもたらす平均温度が生じる前であって且つ結晶化が始まる前の時点で、流体スプレー124によってペレット100に冷却を適用する。
【0041】
本発明の更なる改良においては、晶析装置102の1つ又はそれ以上の面を、130に図示された断熱材によって部分的に又は完全に断熱する。より多くの冷却が必要な場合には、より少ない量の絶縁材を施すこともできるし、或いは絶縁材を全く施さないこともできる。晶析装置102の更なる冷却はまた、図3に示されるように晶析装置の上部118を除去することによって実現できるであろう。この変形においては、晶析装置102は上部セクションのない構造を有する。ファンを用いてペレットを越えて空気を誘導することによって、更に多くの冷却をもたらすことができる。このような晶析装置は、ペレットを周囲条件に暴露できる適用例においてペレットを用いようとする場合に使用できる。
【0042】
この実施態様の別の変形においては、ポリマーペレット100を形成するポリマーの結晶化温度より高いか又は結晶化温度に等しい温度を有する領域がペレット中にあるように、充分な熱量を有するポリマーペレット100を晶析装置102に導入する。このような温度は、ペレット100が晶析装置102内にある間に少なくとも部分結晶化を引き起こす。
【0043】
この実施態様の更に別の変形において、ポリマーペレット100は、結晶化が所望の結晶化度まで進行するには低すぎる平均温度で晶析装置102に入る。この場合には、流体の温度は、ポリマーペレットが流体との接触によって加熱されるような温度である(即ち、流体の温度はペレット100の平均温度よりも高い)。
【0044】
少なくとも一部の実施態様において、本発明は更に、ポリマーペレットから流体を分離する工程を含む。この分離は、結晶化ペレットを晶析装置102から取り出す前に又は結晶化ペレットを晶析装置102から取り出した後に行うことができる。後者の場合には、ペレット100と流体の両方をペレット出口106から一緒に取り出す。
【0045】
前述のように、ペレット100の温度は、流体との接触によって調節する(上昇させるか又は低下させる)。本発明の方法において使用する流体は、液体と気体の両方を含む。液体の詳細な例としては、水及び非反応性の有機液体(例えばコーンシロップ)が挙げられるが、これらに限定するものではない。1つの改良において、流体は、ポリマーペレットの最大温度よりも低い沸点を有する液体である。この改良において、ペレット100からの流体の分離は、流体の蒸発とそれに続くベント132からの除去によって実現できる。この改良は、流体を冷却に使用し且つペレット100が結晶化に充分な熱を有する場合にのみ有用である。別の改良において、流体は、ポリマーペレットの最大温度よりも高い沸点を有する液体である。この改良においては、液状流体の一部又は全てをペレット出口106から取り出す。流体は、求心性乾燥機のような、密度に基づいて固体と液体とを分離する装置を用いて除去できる。図4は、晶析装置102から液体を除去するための更に別の変形を示している。液体は、ペレット100を実質的に通過させない充分に小さい開口部134を有するドレイン133によって分離する。液体は晶析装置102から導管136を経て除去する。場合によっては、液体を加熱又は冷却してから、晶析装置102に再循還させることができる。更に別の改良においては、流体の沸点は平均ペレット温度より低いが、バルク温度は沸点より低い。
【0046】
流体が気体である変形においては、気体は複数個のポリマーペレット100上に流れ込み、晶析装置からベント132を経て排出されることができる。このような変形における流体は、この変形においてはガスフローノズルであるノズル122からの流れによってもたらすことができる。気体の流れはまた、ファンから発生されるような強制通風によって達成できる。図5は、強制通風がペレット100の下から誘導される変形を示している。ファン140は、方向d2に沿ってペレット100を通り抜ける空気流を発生する。この変形において、ペレット100は、空気が貫流する開口部144を有する底壁142に沿って、搬送される。有用な気体の例としては、空気、窒素、二酸化炭素、不活性ガス、希ガス及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0047】
図6A及び6Bを参照すると、ペレット100の搬送に使用できる方法の概略図が示されている。前述のように、ペレット100が入口104から出口106まで搬送されるような方法で、モーターを使用して本発明の晶析装置を振動させることができる。図6Aにおいては、晶析装置102は、晶析装置104の中空内部をセクション160〜168に分割するパーティション150〜156を含む。晶析装置102は、方向d3に沿って振動され、ペレット100を搬送する働きをする。ペレット100がセクション160〜168を満たすと、振動によって上部近くのペレットの一部が隣接領域に搬送される。図6Bにおいては、ペレット100をらせん式に搬送する方法が示されている。この方法においては、コンベヤー108を、ペレット100が入口104から出口106に搬送されるにつれてらせん運動d5を引き起こすような方法で方向d4に沿って振動させる。これらの実施態様の変形において、晶析装置は、方向d4に沿って振動している間にペレットの前進を助けるように、入口104から出口106まで下向きに傾斜させることができる。
【0048】
本発明の別の実施態様において、非晶性ポリマーペレットを結晶化させるための晶析装置を提供する。図2、3、4及び5を参照すると、この実施態様の晶析装置の理想的概略図が示されている。晶析装置102は、複数個のポリマーペレットを受ける入口104を含む。晶析装置102はまた、第1の場所から第2の場所に複数個のペレット100を搬送するためのコンベヤー108を含む。この実施態様の変形においては、コンベヤー108は、ペレット100がペレット出口106に向かって移動するような方法でモーター110によって振動させる。有利には、コンベヤー108はまた、粘着又は凝集を最小限に抑えるように、ペレット100の搬送時にペレット100を撹拌する。晶析装置102はまた、複数個のポリマーペレット100を流体と接触させるための流体アプリケーター122を含む。流体アプリケーター122は1つ又は多くのノズルであることができ、晶析装置102中の任意の場所に配置できる。ペレット出口106は、結晶化後のポリマーペレットの除去にために前述したように使用できる。
【0049】
図7を参照すると、図6A中に図示されたようにしてペレットを搬送する晶析装置の側面図が示されている。晶析装置システム150は、ジョイント160に沿って一体になるように取り付けられた上部セクション156及び底部セクション158を有するシェーカーデッキ152を含む。上部セクション154と底部セクション156が一緒になって晶析装置キャビティ162を規定する。ペレット100は、前述のようにしてペレット入口164に導入し、出口166から取り出す。温度調節用流体を流体アプリケーター168を経て導入する。晶析装置システム150は、シェーカーデッキ152を領域182〜194に分割するパーティション170〜180を含む。モーター196が、ペレット100が入口162から出口164まで搬送されるのと実質的に同一方向である方向d3に沿ってシェーカーデッキ152を振盪する。少なくとも図示した実施態様においては、モーター196が、シャフト198及び取り付けブラケット200によってシェーカーデッキ150の底部セクション156に取り付けられている。晶析装置システム150は、スプリング204、206によって底部セクション158に取り付けられたフレーム202を含む。スプリング204、206は、シェーカーデッキ152の振動に柔軟性を与える。場合によっては、晶析装置システム150はベント208を含む。
【0050】
図8A及び8Bを参照すると、図6Bに図示されたらせん前進運動でペレットを搬送する晶析装置の概略図が示されている。晶析装置システム210は、ジョイント218に沿って一体になるように取り付けられた上部セクション214と底部セクション216を有するシェーカーデッキ212を含む。上部セクション214と底部セクション216が一緒になって晶析装置キャビティ222を規定する。ペレットは、前述のようにしてペレット入口224に導入し、出口226から取り出す。温度調節用流体を流体アプリケーター228を経て導入する。モーター230が、方向d4(図8B)に沿ってシェーカーデッキ212を振盪し、それによってd5で示されるらせん運動によって入口224から出口226までペレットを移動させる。少なくとも図示した実施態様においては、モーター230が、シャフト232によってシェーカーデッキ212の底部セクション216に取り付けられている。晶析装置システム210は、スプリング240、242によって底部セクション216に取り付けられたフレーム236を含む。スプリング240、242は、シェーカーデッキ202の振動に柔軟性を与える。晶析装置システム210は、シェーカーデッキ212に取り付けられたベント244を含む。いくつかの変形においては、シェーカーデッキ21は、入口224から出口226に下向きに傾斜される。
【0051】
本発明の実施態様を例示し且つ説明したが、これらの実施態様は本発明の全ての可能な形態を例示及び説明するものではない。むしろ、本明細書中で用いた用語は、限定ではなく説明の用語であり、本発明の精神及び範囲から逸脱しないならば、種々の変更が可能であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1A】重縮合反応器を通るポリエステル製造ラインの概略図である。
【図1B】カッターを用いた重縮合反応器後の加工によるポリエステルペレットの形成を示すポリエステル製造ラインの概略図である。
【図1C】フェースカッターを用いた重縮合反応器後の加工によるポリエステルペレットの形成を示すポリエステル製造ラインの概略図である。
【図2】本発明の方法において使用できる晶析装置の一実施態様の概略図である。
【図3】上部が開いた晶析装置の一実施態様の概略図である。
【図4】液体を除去するためのドレインを有する晶析装置の一実施態様の概略図である。
【図5】直接気流がペレットを通り越して誘導される晶析装置の一実施態様の概略図である。
【図6A】ポリマーペレットの搬送を助けるためにパーティションを用いる晶析装置の一実施態様の概略図である。
【図6B】ポリマーペレットの搬送にらせん運動を用いる晶析装置の一実施態様の概略図である。
【図7】ポリマーペレットの搬送に図6Aの晶析装置を用いる晶析装置システムの側面図である。
【図8A】ポリマーペレットの搬送に図6Bの晶析装置を用いる晶析装置システムの側面図である。
【図8B】ポリマーペレットの搬送に図6Aの晶析装置を用いる晶析装置システムの正面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にポリマーペレットの結晶化方法及びシステムに関し、より具体的にはポリエステルペレットの結晶化方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂は、多くの商業用途に使用されている。ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル並びに同様なポリマー及びコポリマーは特に、製造がよく知られ且つ充分発達した主要商品となっている。ポリエステルの用途としては、食品、飲料及び他の液体の容器並びに合成繊維が挙げられる。PETのような一部のポリエステルは非晶性及び半結晶性の両方の形態で存在できる。非晶性PETは透明であるが、結晶性PETは不透明である。
【0003】
従来のPET製造方法においては、PETは、反応器中でテレフタル酸及びエチレングリコールをエステル化してプレポリマー混合物を形成させることによって形成する。エステル化は触媒する必要はない。プレポリマーペーストは続いて加熱して、重合を促進する。次に、得られた混合物は高温において、例えば285℃において適当な触媒の存在下でメルトの形態で重縮合に供する。Sn、Sb、Ge、Tiなどの化合物が重縮合触媒として使用されてきた。ポリマーは重縮合反応器から直接、ストランドへと押出する。高温の押出ストランドは冷水と接触させてから細断してペレットし、乾燥し、そして結晶化の前にサイロ中に貯蔵する。
【0004】
ペレット化前にストランドを伸長するペレット化方法が特許文献1に開示されている。一般に通用している見解から、貯蔵中の焼結を回避するためにはペレットの少なくとも表面を20〜30℃に冷却しなければならないことがわかる。貯蔵の間に、ペレットのより高温の内部からの熱がペレット全体に分散される。従って、温かいペレット、即ち外部が20〜30℃よりもかなり高いペレットは、貯蔵中に温度平衡後に凝集するかもしれない。水との接触によって温度を低下させる他に、ペレットは冷たい空気、窒素又は不活性ガスによって所望の温度まで更に冷却することできる。ペレットは貯蔵し、それからその後に所望の結晶化温度まで再加熱する。これらの加熱、冷却及び再加熱工程は、既にエネルギー集約的なプロセスにかなりのエネルギー損失をもたらす。高温ペレットの結晶化は、結晶化振盪機又は流動床中で実施することができる。インヘレント粘度の上昇及びアルデヒドの除去の両方を行うために固相化(solid stating)を用いる。
【0005】
図1A、1B及び1Cを参照すると、PET製造設備の概略図が示されている。PET加工設備10は、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)を混合してプレポリマーペーストを形成する混合タンク12を含む。このプレポリマーペーストをエステル化反応器14に移し且つそこで加熱して、エステル化モノマーを形成する。エステル化反応器14中の圧力を調節して、エチレングリコールの沸点を制御し且つエステル化反応器16への生成物の移動を助ける。エステル化反応器14からのモノマーはエステル化反応器16中において更に加熱するが、今度はエステル化反応器14中の圧力よりも低い圧力下で実施する。次に、エステル化反応器16からのモノマーをプレポリマー反応器18中に導入する。このモノマーを、プレポリマー反応器18内にある間に真空下で加熱して、プレポリマーを形成する。このプレポリマーのインヘレント粘度は、プレポリマー反応器18内で増加し始める。プレポリマー反応器18中で形成されたプレポリマーは重縮合反応器20、次いで重縮合反応器22に順次導入する。プレポリマーは、重縮合反応器20、22のそれぞれの中で、プレポリマー反応器18中よりも大きい真空下で加熱することによって、ポリマー鎖長及びインヘレント粘度を増加させる。最終重縮合反応器の後に、PETポリマーをポンプ24によって加圧下でフィルター26,28、そしてダイ30、32、24に通して移動させて、PETストランド36、38、40を形成する(図1B参照)。
【0006】
図1Bを参照すると、ポリエステルペレットの形成方法が示されている。押出ポリマーストランド36、38、40は、それらがダイ30、32、34から出てくる際にストランドへの水噴霧流42、44、46によって冷却する。ダイ30、32、34から出てきた後、ストランド36、38、40はまだ高温の間にカッター54、56、58によって切断して、ペレット48、50、52にする。このようにして形成したポリエステルペレットは円筒形を有する傾向があるが、立方形、ドッグボーン形又は他の形状に修正することもできる。プロセスのこの時点では、ポリエステルペレットは通常は非晶性である。ポリエステルペレットは典型的には顧客への出荷前に結晶化させる。このような結晶化はより高い温度におけるその後の乾燥を可能にするので、ポリエステルを要求通りに押出できる。ポリエステルペレットの結晶化は典型的にはペレットを結晶化温度より高い温度まで再加熱することによって達成する。ペレット結晶化時の追加熱は、結晶化熱の発生の結果として得られる。この追加熱はペレットを軟化させ且つ互いに付着させる傾向がある。従って、ペレットが軟化によって互いに粘着してしまわないように、ペレットを撹拌する。結晶化後、ペレットは一般に、高温ペレットの周囲に不活性ガスを通すことによって固相化して、インヘレント粘度を上昇させる。
【0007】
図1Cを参照すると、別のペレット形成プロセスの概略図が示されている。この変形においては、ダイ66、68、70から出てくるストランド60、62、64を水中でダイフェースカッター80、82、84によって切断して、ペレット72、74、76にする。この変形において、押出ポリエステルストランドはダイ66、68、70から出たときに水中に完全に浸漬され、水中で切断される。このようにして形成されたペレット72、74、76は、水中に出てくる際の溶融ポリエステルの表面張力のために球形を有する傾向がある。初めは、切断後のペレット72、74、76は依然として内部にかなりの熱量を保持している。その後、ペレット/水の組合せを搬送システム92によって乾燥機90に送る。有用な乾燥機の例としては、水からペレット72、74、76を除去する求心性乾燥機が挙げられる。乾燥機90から出る際に、乾燥機90から出てすぐには依然として高温であるペレット72、74、76の熱含量によって、更なる水が煮沸されて取り除かれる。ペレット/水の組合せを充分に速く乾燥機に搬送するならば、ポリエステルペレットは結晶化が起こるのに充分な熱を保持できる。ペレット72、74、76を次に晶析装置94に移し、晶析装置94内で結晶化が起こる滞留時間(約2〜20分)の間、滞留する。晶析装置94はまた、ポリエステルペレットが互いに粘着するのを妨げるのに充分な撹拌を提供する。
【0008】
特許文献2、3及び4は、ポリマーペレットの結晶化方法を開示している。特許文献2は、ポリマーペレットを液体浴(例えば水浴)中で高温で処理して結晶化を引き起こす方法を開示している。特許文献3及び4は、ペレットを乾燥機90へ、そして乾燥機90中に通して速く搬送するために図1Cのペレット/水スラリー中に空気を吹き込む方法を開示している。
【0009】
結晶化後、ペレット72、74、76は、濃密相搬送システム96によって1つ又はそれ以上のペレット加工ステーションに搬送する。このような濃密相搬送システムは空気を利用して、ペレットを1つの場所から別の場所に移動させる。例えば、ペレットは、ペレットの平均的性質が調整されるであろうブレンド用サイロに搬送する。このようなブレンド用サイロ中で、ポリエステルペレットを混ぜ合わせて、目標の規格を達成する。このような規格は、色、分子量、触媒濃度、添加剤濃度、密度などに関するものであることができる。更に別の例においては、ペレットを固相化プロセス反応器に搬送する。稀薄相搬送システムは、ペレット表面を溶融させるか又は高衝撃速度を有することによって、不所望な流れや微粉を形成する可能性があるので、この適用例においては濃密相搬送システムが稀薄相搬送システムよりも有用である傾向があることに留意すべきである。
【0010】
ポリマーペレット、特にポリエステルペレットを製造するためのこれらの方法及びシステムは充分に機能するが、これらの装置は製作及びメンテナンスのコストが高い傾向がある。典型的なPET製造ラインは、それぞれがかなり大きいモーターを利用し且つ製造プラント中で比較的大きい設置面積を占めるいくつかの晶析装置を含む場合がある。このような晶析装置の初期資本投資は優に100万ドルを超え得る。
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,310,515号
【特許文献2】国際出願公開第WO2004/033174号
【特許文献3】米国特許出願公開第20050110182号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第20050110184号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、設置、操作及びメンテナンスのコストがより低いポリマー加工装置及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、少なくとも1つの実施態様において、複数個のポリマーペレットを結晶化させる方法を提供することによって1つ又はそれ以上の問題を克服する。この実施態様の方法は、複数個のポリマーペレットを晶析装置に導入する工程を含む。結晶化が可能であるためには、ポリマーペレットは結晶性の1種又はそれ以上のポリマーから形成される必要がある。このような結晶性ポリマーは、結晶化温度及び溶融温度を特徴とする。更に、複数個のポリマーペレットは平均ペレット温度によって特徴付けられる。複数個のポリマーペレットは初期平均温度において晶析装置に導入する。晶析装置内にある間に、複数個のペレットは、平均ペレット温度を調節するために流体と接触させる。流体は、平均ペレット温度を溶融温度未満に保持すると同時に複数個のポリマーペレットを少なくとも部分結晶化させるのに充分な温度を有することによって、ペレットの温度を調節する。最後に、複数個のポリマーペレットを晶析装置の出口から取り出す。有利には、この実施態様において利用する流体は液体又は気体である。
【0014】
本発明の別の実施態様において、ポリマーペレットを結晶化させるための晶析装置を提供する。この実施態様の晶析装置は、複数個のポリマーペレットを受けるための入口及びペレットを取り出すための出口を含む。晶析装置は更に、複数個のペレットを温度調節用流体と接触させるための流体アプリケーターを含む。晶析装置はまた、複数個のペレットを第1の場所から第2の場所に搬送するためのコンベヤーを含む。この実施態様の変形において、コンベヤーは、ペレットが出口に向かって移動するような方法でペレットを振動させる。有利には、コンベヤーはまた、ペレットの粘着又は凝集が最小限に抑えられるように、搬送中にペレットを撹拌する。
【0015】
本発明の更なる利点及び実施態様は説明から明らかであるか、或いは本発明の実施によって確認できるであろう。本発明の更なる利点はまた、添付した「特許請求の範囲」中で特に指摘した要素及び組合せによって実現及び達成されるであろう。従って、前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも本発明の一部の実施態様の例及び説明として役立ち、「特許請求の範囲」に記載した本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1Aは、重縮合反応器を通るポリエステル製造ラインの概略図であり;
図1Bは、カッターを用いた重縮合反応器後の加工によるポリエステルペレットの形成を示すポリエステル製造ラインの概略図であり;
図1Cは、フェースカッターを用いた重縮合反応器後の加工によるポリエステルペレットの形成を示すポリエステル製造ラインの概略図であり;
図2は、本発明の方法において使用できる晶析装置の一実施態様の概略図であり;
図3は、上部が開いた晶析装置の一実施態様の概略図であり;
図4は、液体を除去するためのドレインを有する晶析装置の一実施態様の概略図であり;
図5は、直接気流がペレット中を通り越して誘導される晶析装置の一実施態様の概略図であり;
図6Aは、ポリマーペレットの搬送を助けるためにパーティションを用いる晶析装置の一実施態様の概略図であり;
図6Bは、ポリマーペレットの搬送にらせん運動を用いる晶析装置の一実施態様の概略図であり;
図7は、ポリマーペレットの搬送に図6Aの晶析装置を用いる晶析装置システムの側面図であり;
図8Aは、ポリマーペレットの搬送に図6Bの晶析装置を用いる晶析装置システムの側面図であり;
図8Bは、ポリマーペレットの搬送に図6Aの晶析装置を用いる晶析装置システムの正面図である。
【0017】
これから、本発明者らが現在理解している本発明を実施するための最良の形態を構成する本発明の現在好ましい組成物、実施態様及び方法により詳細に言及する。図は必ずしも原寸に比例していない。また一方、開示した実施態様は、種々の代替形態で具体化できる本発明の単なる例示であることを理解すべきである。従って、本明細書中に開示した具体的な詳細は限定的なものとして理解するのではなく、本発明の任意の態様の代表的な基準として及び/又は当業者に本発明をさまざまに使用するための教示をするための代表的な基準としてのみ解釈すべきである。
【0018】
実施例を除いて又は他に特に断らない限り、材料の量又は反応及び/若しくは使用の条件を示す本明細書の説明中の全ての数量は、本発明の最も広い範囲の記載においては「約」によって修飾されるものと理解すべきである。記載した数値限度内における実施が一般に好ましい。また、そうでないことが明白に述べられない場合には、パーセント、「部」及び比の値は重量に基づき;用語「ポリマー」は「オリゴマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」などを含み;1つの群又は種の材料が本発明に関連して所定の目的で適当である又は好ましいという記載は、その群又は種の構成員の任意の2つ又はそれ以上の混合物が等しく適当である又は好ましいという意味を含み;化学用語での成分の記載は、その記載において特定された任意の組合せへの添加時における成分を意味し、混合後の混合物の成分間の化学相互作用を必ずしも除外せず;頭字語又は他の略語の最初の定義は同じ略語の本明細書中における全てのその後の使用に適用し、最初に定義された略語の通常の文法上の変形に、変更すべきところは変更して適用し;そうでないことが明白に述べられない場合には、性質の測定値は、同じ性質について前に参照した又は後で参照するのと同じ方法によって測定する。
【0019】
また、具体的な成分及び/又は条件は当然ながら変動し得るので、本発明は以下に記載する具体的な実施態様及び方法に限定するものではないことを理解すべきである。更に、本明細書中で使用した用語は、本発明の特定の実施態様の説明のためにのみ用いるのであって、決して限定を目的としない。
【0020】
また、本明細書及び添付した「特許請求の範囲」中で使用する単数形(「a」、「an」及び「the」)は、前後関係からそうでないことが明白に指示されない限り、複数の指示対象を含む。例えば単数形の成分への言及は、複数の成分を含むものとする。
【0021】
本明細書の全体を通して、文献を参照する場合には、本発明が関係する最新技術をより完全に説明するために、これらの文献の開示全体を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0022】
本明細書で使用する用語「ポリマーペレット」は、ポリマーから形成される三次元物体を意味する。このようなポリマー物体は、任意の方向におけるポリマー物体の寸法より大きいか又はそれに等しい最大寸法を含む。ポリマーペレットは、球形、円筒形などのような複数個の形状で生じる。球の最大寸法は直径である。
【0023】
本明細書中で使用する用語「結晶化熱」は、質量単位の物質が結晶化する際に放出される熱量を意味する。
【0024】
本明細書中で使用する用語「結晶化温度」は、物質の少なくとも一部が結晶化し始める温度を意味する。
【0025】
本明細書中で使用する用語「溶融温度」は、物質の少なくとも一部が結晶状態から液体に転移する温度を意味する。物質が本発明のために一定の温度範囲にわたってこのような転移を受ける場合には、溶融温度はこのような範囲の温度の中央値(median temperature)である。典型的には、非晶性ペレットは結晶性ペレットよりも低い温度で溶融する。
【0026】
本明細書中で使用する用語「結晶化度」は、ポリマーサンプルにおける結晶化度の分数量を意味する。本発明において、結晶化度はポリマーペレットにおける結晶化度の平均分数量である。結晶化度は、重量%又は容量%として表すことができる。本明細書中で使用する結晶化度は、そうでないことが明白に示されない限り、重量%として表す。結晶化度は、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定できる。
【0027】
本発明の一実施態様において、複数個のポリマーペレットの結晶化方法を提供する。本発明に係る複数個のポリマーペレットを晶析装置に導入する。一般に、本発明に従って結晶化させる複数個のペレットは、非晶性ペレット又は所望の結晶化度より低い結晶化度を有するペレットである。この実施態様の一変形において、結晶化前のペレットの結晶化度は30重量%未満である。この実施態様の別の変形においては、結晶化前のペレットの結晶化度は20重量%未満である。この実施態様の更に別の変形においては、結晶化前のペレットの結晶化度は10重量%未満である。結晶化後の結晶化度は典型的には30重量%より大きい。他の変形において、結晶化後の結晶化度は40重量%より大きい。ほとんどの適用例では、結晶化後の結晶化度は70重量%未満である。他の変形においては、結晶化後の結晶化度は60重量%未満である。更に他の変形においては、結晶化後の結晶化度は50重量%未満である。
【0028】
有利には、結晶化させるポリマーペレットは任意の結晶性ポリマーを含む。このようなポリマーの例としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ナイロン及びポリケトンが挙げられるが、これらに限定するものではない。一変形において、このような有用なポリマーの結晶化熱は、(ポリマーの結晶化熱)÷(ポリマーの熱容量)が少なくとも5℃であるようなものである。結晶化温度及び溶融温度が更に結晶性ポリマーを特徴付ける。この実施態様はポリアルキレンテレフタレートポリマー、とりわけポリエチレンテレフタレートポリマーの結晶化に特に有用である。
【0029】
溶融相重合プロセスから出た又は晶析装置若しくは結晶化ゾーンに導入されるポリアルキレンテレフタレートポリマーは、少なくとも0.50dL/g又は少なくとも0.55dL/g又は少なくとも0.6dL/g、とりわけ少なくとも0.70dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.74dL/g又は少なくとも0.76dL/g又は少なくとも0.78dL/gであって、約1.2dL/g以下又は1.1dL/g以下又は0.9dL/g以下のIt.V.を有する。部分結晶化ポリエステルポリマーはまた、有利には固相重合させない。従って、固相重合されていない、少なくとも20%の結晶化度及び少なくとも0.70dL/gのIt.V.を有する複数個の部分結晶化ペレットを含む出荷用コンテナを包含する実施態様も提供する。適当な出荷用コンテナは、少なくとも1m3若しくはそれ以上又は2m3若しくはそれ以上又は3m3若しくはそれ以上又は8m3若しくはそれ以上又は20m3若しくはそれ以上の容積を有する、商業目的での出荷に適当なものであり、ゲイロードボックス(Gaylord box)、鉄道タンク貨車、トラクタートレイラー用のトレイラー及び船殻などである。ペレットのIt.V.は前に特定した0.70dL/gより高い任意の値であることができ、結晶化度は前に特定した20%より高い任意の値であることができる。
【0030】
本発明の方法で利用するペレットは、当業者に知られた種々の方法によって形成する。このようなペレット形成方法の例としては、図1A、1B及び1Cに図示し且つ前述した方法が挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明は、少なくとも1つの実施態様において、図1Cに記載した晶析装置に比べて改善をもたらすことを認識すべきである。詳細には、本発明はこのような晶析装置の長さ(即ちペレットが搬送される方向に沿った長さ)を短縮できると共に、装置コストを同時に著しく減少させることができる。この実施態様の方法は、ほとんど全ての形状又は寸法のペレットの結晶化に使用する。典型的には、複数個のポリマーペレットの少なくとも一部は、0.25インチ未満の最大サイズ寸法を特徴とする三次元物体を含む。本発明の実施において使用できる造形ペレットの例としては、球状に造形されたペレット、円筒状に造形されたペレット及び長方形断面を有するペレットが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0031】
図2を参照すると、本発明の一実施態様の概略図が示されている。この実施態様の方法は、複数個のポリマーペレット100をペレット入口104を経て晶析装置102に導入することを含む。一変形においては、複数個のペレット100を5,000〜200,000lb/時の量で晶析装置に導入する。一変形においては、ポリマーペレット100と共に再生ペレットを入口104を経て晶析装置102に導入することができる。この変形においては、ペレット100の温度は、再生ペレットの温度を変えることによって調節できる。
【0032】
複数個のポリマーペレット100は、晶析装置102への導入時に初期平均ペレット温度を有する。この実施態様のいくつかの変形において、ペレット100は、ペレット100が晶析装置102中に滞留する間に結晶化が起こるのに有効な高温である。ペレット100がPETである場合のような少なくとも一部の実施態様において、この高温は135〜205℃であり、他の実施態様においては150〜200℃である。ポリマーペレット100は、ポリマーペレットを冷却後に再加熱する方法を含む任意のやり方で提供できる。このような方法の一例としては、図1Bの説明と関連して前述した、ストランドカッターによるPETストランドの切断が挙げられる。
【0033】
この実施態様の特に有用な変形においては、ポリマーペレット100を、図1Cの説明に関連して前述したダイフェースペレットカッターによって切断する。この変形においては、ペレット100を、ペレット搬送システム92によってダイフェースペレットカッターから乾燥機90に移す。有用な乾燥機の例としては、水からペレット100を取り出す求心性乾燥機が挙げられる。これに関連して、乾燥機90はペレット100を水から分離するのに使用できる任意の装置であることを理解すべきである。ペレットの熱含量は乾燥機90から出てくる際には依然として比較的高いため、乾燥機90から出てすぐに、更なる水が煮沸によって取り除かれる。この変形においては、ダイフェースペレットカッターを用いてペレット100をカッターから乾燥機に充分に速く移すので、ペレットはかなりの熱量を保持している。典型的には、このような乾燥機から出ていくポリマーペレットは135℃を上回る温度を有する。
【0034】
ペレット100のそれぞれは典型的には、ペレット100の内部が外部よりもかなり高温である比較的不均一な温度分布を有することを理解すべきである。これは、ダイフェースカッター及びペレット搬送システム92中で使用する水の冷却効果とポリマーの低い熱度伝導率による。更に、各ペレットはわずかに異なる温度分布を有する可能性がある。従って、複数個のペレットは平均ペレット温度を有するものとして記載するのが適当である。
【0035】
また、ダイフェースカッターから乾燥機90へのペレット100の搬送に使用する水は、優れた又はより望ましい伝熱性を有する他の搬送用流体と置き換えることができることを理解すべきである。ペレット100の平均温度は、ダイフェースカッターから乾燥機90へのペレットの搬送に使用する水(又は他の搬送用流体)の温度によって制御することもできる。例えば、搬送用流体は、より高い初期平均ペレット温度(晶析装置102に導入される際のペレットの温度)を実現するために加熱し、又はより低い初期平均ペレット温度を実現するために冷却することができる。典型的なポリエステル形成方法において、ダイフェースカッターから乾燥機90への搬送時間は約数秒であり、ペレット含有スラリーは、ペレット搬送システム92中にある間に10〜30フィート/秒の速度で移動する。
【0036】
晶析装置102は、複数個のペレット100をペレット入口104からペレット出口106までコンベヤー108に沿って縦方向d1に搬送する。結晶化の間に結晶化熱の放散のために平均ペレット温度が上昇するので、ペレット100は、晶析装置102によって搬送されている間に、凝集又は粘着の防止を助けるために撹拌することができる。少なくとも1つの実施態様において、シャフト112によって晶析装置102と接触しているモーター110がこのような撹拌を提供する。このような撹拌はペレット100の振盪又は振動を引き起こすことができる。一般に、コンベヤー108は底壁114、端壁115、116及び対向側壁(図示せず)を含む。晶析装置102はまた、コンベヤー108の上に位置してキャビティ119を形成する任意の上部118を含むことができる。本発明の更なる改良においては、このような撹拌はまた、ペレット100を方向d1に沿って搬送する。
【0037】
ペレット100をペレット出口106を経て晶析装置102から取り出し、次の加工又は貯蔵装置に移す。晶析装置102内のペレット100の滞留時間は、結晶化させるポリマーの型、初期平均ペレット温度、加工するペレットの処理量などのような多くの要因によって異なり得る。典型的には、滞留時間は1秒〜1時間である。他の変形においては、滞留時間は1〜10分である。
【0038】
更に図2を参照すると、ポリマーペレット100は流体と接触させて、ペレット100の平均温度を調節する。流体は、晶析装置102の接触領域120中に流体アプリケーター122を経て流体スプレー124として導入する。適当な流体アプリケーター122の一例は、液体又は気体スプレーノズルである。ペレット100を流体と接触させ、それによって熱をペレット100に移すか又はペレット100から除去する。流体スプレー124は、複数個のペレットが晶析装置内にある間は複数個のペレットの平均温度をポリマーの溶融温度より低く保持すると同時に、複数個のポリマーペレット100を少なくとも部分結晶化させる(ペレット温度を調節することによって)のに充分な温度を有する。複数個のペレット100の温度は有利には、結晶化速度を制御するために調節する。ペレット100の平均温度が高いほど、結晶化速度は速い。ペレット100の温度が低すぎる(即ち135℃未満である)場合には、結晶化を達成するのに充分な追加熱を供給するのは比較的困難である可能性がある。ペレット100の温度が高すぎる場合には、ペレットが結晶化するにつれて放散される結晶化熱によってペレットが溶融し始める可能性がある。本発明のこの実施態様は有利には、晶析装置102の長さをできるだけ短くするために平均ペレット温度を最適化することができる。これは、本発明において行う冷却は放散結晶化熱によって引き起こされる加熱を妨げるので、より高い初期平均ペレット温度を使用できるためである。晶析装置102の長さをできるだけ短くすれば、コストが高い傾向があるこのような晶析装置の購入及びメインテナンスに関連する費用が削減される。本発明の一変形において、複数個のペレット100は流体対ペレットの重量比1:2000〜2000:1で晶析装置102に導入する。本発明の別の変形において、複数個のペレットの少なくとも一部は内側から外側へと結晶化する。これは、表面近く又は表面の領域よりも典型的には高温であるペレットの内部領域が最初に結晶化することを意味する。
【0039】
この実施態様の一変形において、ポリマーペレット100は、結晶化に最適な温度より高い平均温度で晶析装置102に入る。この変形において、ポリマーペレットは流体によって冷却する。この変形においては流体はペレット平均温度よりも低い温度を有するであろう。この変形の方法は、通常は135℃の温度で結晶化し始め且つ200℃の温度で溶融するポリエチレンテレフタレートペレットの結晶化に特に有用である。本発明に従って充分な冷却が行われるならば、晶析装置102に入るポリエチレンテレフタレートペレットの平均温度が10℃増加する毎に、晶析装置102の長さl1は最適には2倍短縮することができる。ペレット100が結晶化が起こるのに充分な熱含量を有する領域を有する場合には、ペレット100が方向d1に沿って搬送されるにつれて、平均ペレット温度は上昇する。この温度上昇は、結晶化につれてペレット100から結晶化熱が放散される結果である。
【0040】
本発明の1つの改良において、初期平均ペレット温度(晶析装置102に導入する際の温度)と結晶化温度との差は、外部冷却がない場合にペレット100の結晶化によって引き起こされる温度上昇より小さい。従って、この改良においては、ペレット100の溶融又は粘着をもたらす平均温度が生じる前であって且つ結晶化が始まる前の時点で、流体スプレー124によってペレット100に冷却を適用する。
【0041】
本発明の更なる改良においては、晶析装置102の1つ又はそれ以上の面を、130に図示された断熱材によって部分的に又は完全に断熱する。より多くの冷却が必要な場合には、より少ない量の絶縁材を施すこともできるし、或いは絶縁材を全く施さないこともできる。晶析装置102の更なる冷却はまた、図3に示されるように晶析装置の上部118を除去することによって実現できるであろう。この変形においては、晶析装置102は上部セクションのない構造を有する。ファンを用いてペレットを越えて空気を誘導することによって、更に多くの冷却をもたらすことができる。このような晶析装置は、ペレットを周囲条件に暴露できる適用例においてペレットを用いようとする場合に使用できる。
【0042】
この実施態様の別の変形においては、ポリマーペレット100を形成するポリマーの結晶化温度より高いか又は結晶化温度に等しい温度を有する領域がペレット中にあるように、充分な熱量を有するポリマーペレット100を晶析装置102に導入する。このような温度は、ペレット100が晶析装置102内にある間に少なくとも部分結晶化を引き起こす。
【0043】
この実施態様の更に別の変形において、ポリマーペレット100は、結晶化が所望の結晶化度まで進行するには低すぎる平均温度で晶析装置102に入る。この場合には、流体の温度は、ポリマーペレットが流体との接触によって加熱されるような温度である(即ち、流体の温度はペレット100の平均温度よりも高い)。
【0044】
少なくとも一部の実施態様において、本発明は更に、ポリマーペレットから流体を分離する工程を含む。この分離は、結晶化ペレットを晶析装置102から取り出す前に又は結晶化ペレットを晶析装置102から取り出した後に行うことができる。後者の場合には、ペレット100と流体の両方をペレット出口106から一緒に取り出す。
【0045】
前述のように、ペレット100の温度は、流体との接触によって調節する(上昇させるか又は低下させる)。本発明の方法において使用する流体は、液体と気体の両方を含む。液体の詳細な例としては、水及び非反応性の有機液体(例えばコーンシロップ)が挙げられるが、これらに限定するものではない。1つの改良において、流体は、ポリマーペレットの最大温度よりも低い沸点を有する液体である。この改良において、ペレット100からの流体の分離は、流体の蒸発とそれに続くベント132からの除去によって実現できる。この改良は、流体を冷却に使用し且つペレット100が結晶化に充分な熱を有する場合にのみ有用である。別の改良において、流体は、ポリマーペレットの最大温度よりも高い沸点を有する液体である。この改良においては、液状流体の一部又は全てをペレット出口106から取り出す。流体は、求心性乾燥機のような、密度に基づいて固体と液体とを分離する装置を用いて除去できる。図4は、晶析装置102から液体を除去するための更に別の変形を示している。液体は、ペレット100を実質的に通過させない充分に小さい開口部134を有するドレイン133によって分離する。液体は晶析装置102から導管136を経て除去する。場合によっては、液体を加熱又は冷却してから、晶析装置102に再循還させることができる。更に別の改良においては、流体の沸点は平均ペレット温度より低いが、バルク温度は沸点より低い。
【0046】
流体が気体である変形においては、気体は複数個のポリマーペレット100上に流れ込み、晶析装置からベント132を経て排出されることができる。このような変形における流体は、この変形においてはガスフローノズルであるノズル122からの流れによってもたらすことができる。気体の流れはまた、ファンから発生されるような強制通風によって達成できる。図5は、強制通風がペレット100の下から誘導される変形を示している。ファン140は、方向d2に沿ってペレット100を通り抜ける空気流を発生する。この変形において、ペレット100は、空気が貫流する開口部144を有する底壁142に沿って、搬送される。有用な気体の例としては、空気、窒素、二酸化炭素、不活性ガス、希ガス及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0047】
図6A及び6Bを参照すると、ペレット100の搬送に使用できる方法の概略図が示されている。前述のように、ペレット100が入口104から出口106まで搬送されるような方法で、モーターを使用して本発明の晶析装置を振動させることができる。図6Aにおいては、晶析装置102は、晶析装置104の中空内部をセクション160〜168に分割するパーティション150〜156を含む。晶析装置102は、方向d3に沿って振動され、ペレット100を搬送する働きをする。ペレット100がセクション160〜168を満たすと、振動によって上部近くのペレットの一部が隣接領域に搬送される。図6Bにおいては、ペレット100をらせん式に搬送する方法が示されている。この方法においては、コンベヤー108を、ペレット100が入口104から出口106に搬送されるにつれてらせん運動d5を引き起こすような方法で方向d4に沿って振動させる。これらの実施態様の変形において、晶析装置は、方向d4に沿って振動している間にペレットの前進を助けるように、入口104から出口106まで下向きに傾斜させることができる。
【0048】
本発明の別の実施態様において、非晶性ポリマーペレットを結晶化させるための晶析装置を提供する。図2、3、4及び5を参照すると、この実施態様の晶析装置の理想的概略図が示されている。晶析装置102は、複数個のポリマーペレットを受ける入口104を含む。晶析装置102はまた、第1の場所から第2の場所に複数個のペレット100を搬送するためのコンベヤー108を含む。この実施態様の変形においては、コンベヤー108は、ペレット100がペレット出口106に向かって移動するような方法でモーター110によって振動させる。有利には、コンベヤー108はまた、粘着又は凝集を最小限に抑えるように、ペレット100の搬送時にペレット100を撹拌する。晶析装置102はまた、複数個のポリマーペレット100を流体と接触させるための流体アプリケーター122を含む。流体アプリケーター122は1つ又は多くのノズルであることができ、晶析装置102中の任意の場所に配置できる。ペレット出口106は、結晶化後のポリマーペレットの除去にために前述したように使用できる。
【0049】
図7を参照すると、図6A中に図示されたようにしてペレットを搬送する晶析装置の側面図が示されている。晶析装置システム150は、ジョイント160に沿って一体になるように取り付けられた上部セクション156及び底部セクション158を有するシェーカーデッキ152を含む。上部セクション154と底部セクション156が一緒になって晶析装置キャビティ162を規定する。ペレット100は、前述のようにしてペレット入口164に導入し、出口166から取り出す。温度調節用流体を流体アプリケーター168を経て導入する。晶析装置システム150は、シェーカーデッキ152を領域182〜194に分割するパーティション170〜180を含む。モーター196が、ペレット100が入口162から出口164まで搬送されるのと実質的に同一方向である方向d3に沿ってシェーカーデッキ152を振盪する。少なくとも図示した実施態様においては、モーター196が、シャフト198及び取り付けブラケット200によってシェーカーデッキ150の底部セクション156に取り付けられている。晶析装置システム150は、スプリング204、206によって底部セクション158に取り付けられたフレーム202を含む。スプリング204、206は、シェーカーデッキ152の振動に柔軟性を与える。場合によっては、晶析装置システム150はベント208を含む。
【0050】
図8A及び8Bを参照すると、図6Bに図示されたらせん前進運動でペレットを搬送する晶析装置の概略図が示されている。晶析装置システム210は、ジョイント218に沿って一体になるように取り付けられた上部セクション214と底部セクション216を有するシェーカーデッキ212を含む。上部セクション214と底部セクション216が一緒になって晶析装置キャビティ222を規定する。ペレットは、前述のようにしてペレット入口224に導入し、出口226から取り出す。温度調節用流体を流体アプリケーター228を経て導入する。モーター230が、方向d4(図8B)に沿ってシェーカーデッキ212を振盪し、それによってd5で示されるらせん運動によって入口224から出口226までペレットを移動させる。少なくとも図示した実施態様においては、モーター230が、シャフト232によってシェーカーデッキ212の底部セクション216に取り付けられている。晶析装置システム210は、スプリング240、242によって底部セクション216に取り付けられたフレーム236を含む。スプリング240、242は、シェーカーデッキ202の振動に柔軟性を与える。晶析装置システム210は、シェーカーデッキ212に取り付けられたベント244を含む。いくつかの変形においては、シェーカーデッキ21は、入口224から出口226に下向きに傾斜される。
【0051】
本発明の実施態様を例示し且つ説明したが、これらの実施態様は本発明の全ての可能な形態を例示及び説明するものではない。むしろ、本明細書中で用いた用語は、限定ではなく説明の用語であり、本発明の精神及び範囲から逸脱しないならば、種々の変更が可能であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1A】重縮合反応器を通るポリエステル製造ラインの概略図である。
【図1B】カッターを用いた重縮合反応器後の加工によるポリエステルペレットの形成を示すポリエステル製造ラインの概略図である。
【図1C】フェースカッターを用いた重縮合反応器後の加工によるポリエステルペレットの形成を示すポリエステル製造ラインの概略図である。
【図2】本発明の方法において使用できる晶析装置の一実施態様の概略図である。
【図3】上部が開いた晶析装置の一実施態様の概略図である。
【図4】液体を除去するためのドレインを有する晶析装置の一実施態様の概略図である。
【図5】直接気流がペレットを通り越して誘導される晶析装置の一実施態様の概略図である。
【図6A】ポリマーペレットの搬送を助けるためにパーティションを用いる晶析装置の一実施態様の概略図である。
【図6B】ポリマーペレットの搬送にらせん運動を用いる晶析装置の一実施態様の概略図である。
【図7】ポリマーペレットの搬送に図6Aの晶析装置を用いる晶析装置システムの側面図である。
【図8A】ポリマーペレットの搬送に図6Bの晶析装置を用いる晶析装置システムの側面図である。
【図8B】ポリマーペレットの搬送に図6Aの晶析装置を用いる晶析装置システムの正面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口、出口及び入口と出口との間の接触領域を有する晶析装置中でポリマーペレットを結晶化させる方法であって、
a)結晶化温度及び溶融温度を有する結晶性ポリマーを含み且つ平均ペレット温度を有する複数個のポリマーペレットを前記晶析装置中に導入し、その際に前記の複数個のペレットの少なくとも一部が内側から外側に向かって結晶化し;
b)前記の複数個のポリマーペレットが前記晶析装置内にある間は前記平均ペレット温度を前記溶融温度未満に保持すると同時に前記の複数個のポリマーペレットを少なくとも部分結晶化させるのに充分な温度を有する流体を、前記晶析装置の前記接触領域に導入し;そして
c)前記晶析装置の出口から前記の複数個のポリマーペレットを取り出す
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
工程a)において導入する複数個のポリマーペレットが、前記の複数個のポリマーペレットが前記晶析装置の内部にある間に少なくとも部分結晶化するように、ポリマーの結晶化温度より高いか又はポリマーの結晶化温度に等しい温度を有する領域を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体が、前記の複数個のペレットが晶析装置内部にある間は最大ペレット温度を前記溶融温度未満に保持すると同時に前記の複数個のポリマーペレットを少なくとも部分結晶化させるのに充分な温度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程a)の前記平均ペレット温度と前記結晶化温度との差が、工程b)の間に冷却がない場合にペレットの結晶化によって引き起こされる温度上昇より小さい請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程a)の導入工程の前に、ストランドカッターを用いてポリマーストランドを切断することよって、前記の複数個のペレットを形成する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ダイフェースペレットカッターを用いてポリマーストランドを切断することによって、前記の複数個のペレットを形成する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程c)後のポリマーペレットが30%又はそれ以上の結晶化度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程c)後のポリマーペレットが70%又はそれ以下の結晶化度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程c)後のポリマーペレットが40%又はそれ以上の結晶化度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記の複数個のポリマーペレットの一部が、0.25インチ未満の最大サイズ寸法を特徴とする三次元物体である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記の複数個のポリマーペレットの一部が球形を有する請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記の複数個のポリマーペレットの一部が円筒形を有する請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記の複数個のポリマーペレットの一部が長方形断面を有する請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマーペレットがポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ナイロン及びポリケトンからなる群から選ばれた成分を含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマーペレットがポリエチレンテレフタレートを含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ペレットの工程a)における初期平均温度が約135〜約200℃である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記の複数個のポリマーペレットを、5,000〜200,000lb/時の量で前記晶析装置に導入する請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記流体が、前記ポリマーペレットの最大温度より低い沸点を有する液体である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
d)前記の複数個のポリマーペレットを前記流体から分離する工程を更に含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工程d)を、工程c)の前、工程c)の後又は工程c)の間に実施する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記の複数個のポリマーペレットを求心力によって前記流体から分離する請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記液体が水である請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記流体が、前記の複数個のポリマーペレットの平均ペレット温度よりも高い沸点を有する液体である請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記流体が気体である請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記流体が空気、窒素、二酸化炭素、不活性ガス、希ガス及びそれらの組合せからなる群から選ばれた気体である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記の複数個のポリマーペレットを、入口から出口まで搬送している間に撹拌する請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記の複数個のポリマーペレットを振盪によって撹拌する請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記の複数個のポリマーペレットを、らせん状に誘導することによって撹拌する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記晶析装置が、少なくとも一部分断熱された1つ又はそれ以上の面を有する請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記晶析装置が、一部分が又は完全には断熱されていない1つ又はそれ以上の面を有する請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記流体が、前記の複数個のポリマーペレット上に噴霧される液体である請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記の複数個のペレットを、流体対ペレットの重量比1:2000〜2000:1で前記晶析装置に導入する請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記の複数個のペレットが1秒〜1時間の平均滞留時間を有する請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記の複数個のペレットが1〜10分の平均滞留時間を有する請求項1に記載の方法。
【請求項35】
連続法で、未使用ポリエステル溶融ポリマーを溶融相重合させ、前記溶融ポリマーを水との接触によって凝固させてペレットを形成し、前記ペレットから水の少なくとも一部を分離し、そして前記搬送システムに前記ペレットを導入することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記凝固プロセスから形成された前記ポリエステルポリマーペレットが少なくとも0.70dL/gのIt.V.を有する請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記It.V.が少なくとも0.72dL/gである請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記It.V.が少なくとも0.76dL/gである請求項37に記載の方法。
【請求項39】
複数個のポリマーペレットを受けるための入口;
前記の複数個のポリマーペレットを第1の場所から第2の場所に搬送し且つ運搬されている際に前記ペレットを撹拌するコンベヤー;
前記の複数個のポリマーペレットを流体と接触させるための流体アプリケーター;及び
前記の複数個のポリマーペレットを取り出すための出口
を含んでなる、ポリマーペレットを結晶化させるための晶析装置。
【請求項40】
開いた上部セクションを有する請求項39に記載の晶析装置。
【請求項41】
前記ペレットの表面を横切って気体を搬送する請求項40に記載の晶析装置。
【請求項42】
閉じた上部セクションを有する請求項39に記載の晶析装置。
【請求項43】
前記コンベヤーが撹拌によって前記ペレットを搬送する請求項41に記載の晶析装置。
【請求項44】
入口、出口及び入口と出口との間の接触領域を有する晶析装置中でPETペレットを結晶化させる方法であって、
a)結晶化温度及び溶融温度を有する結晶性ポリマーであり且つ平均ペレット温度を有する複数個のPETペレットを前記晶析装置中に導入し;
b)前記の複数個のPETペレットが前記晶析装置内にある間は前記平均ペレット温度を前記溶融温度未満に保持すると同時に複数個のPETペレットを少なくとも部分結晶化させるのに充分な温度を有する流体を、前記晶析装置の前記接触領域に導入し、その際に複数個のペレットの少なくとも一部が内側から外側に向かって結晶化し;そして
c)前記晶析装置の出口から前記の複数個のPETペレットを取り出す
ことを含んでなる方法。
【請求項1】
入口、出口及び入口と出口との間の接触領域を有する晶析装置中でポリマーペレットを結晶化させる方法であって、
a)結晶化温度及び溶融温度を有する結晶性ポリマーを含み且つ平均ペレット温度を有する複数個のポリマーペレットを前記晶析装置中に導入し、その際に前記の複数個のペレットの少なくとも一部が内側から外側に向かって結晶化し;
b)前記の複数個のポリマーペレットが前記晶析装置内にある間は前記平均ペレット温度を前記溶融温度未満に保持すると同時に前記の複数個のポリマーペレットを少なくとも部分結晶化させるのに充分な温度を有する流体を、前記晶析装置の前記接触領域に導入し;そして
c)前記晶析装置の出口から前記の複数個のポリマーペレットを取り出す
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
工程a)において導入する複数個のポリマーペレットが、前記の複数個のポリマーペレットが前記晶析装置の内部にある間に少なくとも部分結晶化するように、ポリマーの結晶化温度より高いか又はポリマーの結晶化温度に等しい温度を有する領域を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体が、前記の複数個のペレットが晶析装置内部にある間は最大ペレット温度を前記溶融温度未満に保持すると同時に前記の複数個のポリマーペレットを少なくとも部分結晶化させるのに充分な温度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程a)の前記平均ペレット温度と前記結晶化温度との差が、工程b)の間に冷却がない場合にペレットの結晶化によって引き起こされる温度上昇より小さい請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程a)の導入工程の前に、ストランドカッターを用いてポリマーストランドを切断することよって、前記の複数個のペレットを形成する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ダイフェースペレットカッターを用いてポリマーストランドを切断することによって、前記の複数個のペレットを形成する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程c)後のポリマーペレットが30%又はそれ以上の結晶化度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程c)後のポリマーペレットが70%又はそれ以下の結晶化度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程c)後のポリマーペレットが40%又はそれ以上の結晶化度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記の複数個のポリマーペレットの一部が、0.25インチ未満の最大サイズ寸法を特徴とする三次元物体である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記の複数個のポリマーペレットの一部が球形を有する請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記の複数個のポリマーペレットの一部が円筒形を有する請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記の複数個のポリマーペレットの一部が長方形断面を有する請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマーペレットがポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ナイロン及びポリケトンからなる群から選ばれた成分を含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマーペレットがポリエチレンテレフタレートを含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ペレットの工程a)における初期平均温度が約135〜約200℃である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記の複数個のポリマーペレットを、5,000〜200,000lb/時の量で前記晶析装置に導入する請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記流体が、前記ポリマーペレットの最大温度より低い沸点を有する液体である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
d)前記の複数個のポリマーペレットを前記流体から分離する工程を更に含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工程d)を、工程c)の前、工程c)の後又は工程c)の間に実施する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記の複数個のポリマーペレットを求心力によって前記流体から分離する請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記液体が水である請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記流体が、前記の複数個のポリマーペレットの平均ペレット温度よりも高い沸点を有する液体である請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記流体が気体である請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記流体が空気、窒素、二酸化炭素、不活性ガス、希ガス及びそれらの組合せからなる群から選ばれた気体である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記の複数個のポリマーペレットを、入口から出口まで搬送している間に撹拌する請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記の複数個のポリマーペレットを振盪によって撹拌する請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記の複数個のポリマーペレットを、らせん状に誘導することによって撹拌する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記晶析装置が、少なくとも一部分断熱された1つ又はそれ以上の面を有する請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記晶析装置が、一部分が又は完全には断熱されていない1つ又はそれ以上の面を有する請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記流体が、前記の複数個のポリマーペレット上に噴霧される液体である請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記の複数個のペレットを、流体対ペレットの重量比1:2000〜2000:1で前記晶析装置に導入する請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記の複数個のペレットが1秒〜1時間の平均滞留時間を有する請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記の複数個のペレットが1〜10分の平均滞留時間を有する請求項1に記載の方法。
【請求項35】
連続法で、未使用ポリエステル溶融ポリマーを溶融相重合させ、前記溶融ポリマーを水との接触によって凝固させてペレットを形成し、前記ペレットから水の少なくとも一部を分離し、そして前記搬送システムに前記ペレットを導入することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記凝固プロセスから形成された前記ポリエステルポリマーペレットが少なくとも0.70dL/gのIt.V.を有する請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記It.V.が少なくとも0.72dL/gである請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記It.V.が少なくとも0.76dL/gである請求項37に記載の方法。
【請求項39】
複数個のポリマーペレットを受けるための入口;
前記の複数個のポリマーペレットを第1の場所から第2の場所に搬送し且つ運搬されている際に前記ペレットを撹拌するコンベヤー;
前記の複数個のポリマーペレットを流体と接触させるための流体アプリケーター;及び
前記の複数個のポリマーペレットを取り出すための出口
を含んでなる、ポリマーペレットを結晶化させるための晶析装置。
【請求項40】
開いた上部セクションを有する請求項39に記載の晶析装置。
【請求項41】
前記ペレットの表面を横切って気体を搬送する請求項40に記載の晶析装置。
【請求項42】
閉じた上部セクションを有する請求項39に記載の晶析装置。
【請求項43】
前記コンベヤーが撹拌によって前記ペレットを搬送する請求項41に記載の晶析装置。
【請求項44】
入口、出口及び入口と出口との間の接触領域を有する晶析装置中でPETペレットを結晶化させる方法であって、
a)結晶化温度及び溶融温度を有する結晶性ポリマーであり且つ平均ペレット温度を有する複数個のPETペレットを前記晶析装置中に導入し;
b)前記の複数個のPETペレットが前記晶析装置内にある間は前記平均ペレット温度を前記溶融温度未満に保持すると同時に複数個のPETペレットを少なくとも部分結晶化させるのに充分な温度を有する流体を、前記晶析装置の前記接触領域に導入し、その際に複数個のペレットの少なくとも一部が内側から外側に向かって結晶化し;そして
c)前記晶析装置の出口から前記の複数個のPETペレットを取り出す
ことを含んでなる方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2009−538368(P2009−538368A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512023(P2009−512023)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/011151
【国際公開番号】WO2007/139664
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/011151
【国際公開番号】WO2007/139664
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】
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