説明

流体制御処理システム

【課題】試料の分析物の有無を決定するために、同一の装置を使用する異なるプロトコルにより、流体試料を容易に処理する。
【解決手段】特定の実施例では、複数チャンバ間の流体の流れを制御する流体制御処理システムは、流体移動チャンバ50と流体工学的に結合された流体処理領域を含む本体を備える。上記流体移動チャンバは減圧できて流体を上記チャンバに吸引すると共に、加圧できて流体を上記チャンバから放出する。本体は複数の外部ポート42,46を含む。流体試料処理領域は少なくとも2つの外部ポートと流体工学的に結合される。流体移動チャンバは少なくとも1つの外部ポートと流体工学的に結合される。本体は少なくとも複数のチャンバに対して調整可能であって1つの外部ポートを複数のチャンバと選択的に流体で連通するように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に流体の取扱いに関し、特には、処理と分析のための流体を計測し分配するシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用流体または環境用流体などの分析は、一般に、流体試料の化学的、光学的、電気的、機械的、熱的、音響的な処理を含む一連の処理ステップを伴う。ベンチトップ装置や使い捨てカートリッジ或いはこれらを組み合せたものに組み込まれようとも、典型的には、このような処理は複合流体アセンブリと処理アルゴリズムを伴う。
【0003】
流体試料を処理する従来のシステムは一連のチャンバを用い、各チャンバは特定の処理ステップに流体試料を露呈させるように形成されている。流体試料がチャンバからチャンバへ連続的にシステムを通って流れるとき、流体試料は特定のプロトコルに従って処理ステップを経る。異なるプロトコル(手続き)は異なる形態を必要とするので、このような連続的に処理する形態のを用いた従来のシステムは、異なるプロトコルに対して多用化できず、容易に適合できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、流体を取り扱うための装置と方法を提供する。本発明の実施形態は、例えば試料中の溶解物の有無を決定するために、同じ装置を使用して、異なるオプロトコルに従って流体試料を容易に処理できる。特定の実施形態では、装置はロータリ弁の形態を用いて、流体試料チャンバと、複数のチャンバとを流体で選択的に連通する。上記複数のチャンバには、例えば、試料チャンバと、廃棄物チャンバと、洗浄チャンバと、溶解物チャンバと、主要混合物チャンバが含まれる。流体試料処理領域とチャンバの中の流体の流れは、ロータリ弁の位置を調整することによって制御される。このようにして、装置内の流体の計量と分布は、特定のプロトコルに依って変化し得る。従来の装置と異なり、流体の流れは、最早、特定のプロトコルに限定されない。その結果、装置はより多様性があって能動的であり、異なるプロトコルに適用できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面によると、複数のチャンバ内の流体を制御するための流体制御処理システムは本体を備え、本体は流体処理領域を含み、流体処理領域は流体移動チャンバと流体で結合される。流体移動チャンバは、減圧できて流体移動チャンバに流体を引き込み、また、加圧できて流体移動チャンバから流体を排出する。本体は複数の外部ポートを含む。流体試料処理領域は複数の流体処理ポートを含み、各流体処理ポートは外部ポートの1つと流体で結合される。流体移動チャンバは、少なくとも1つの外部ポートと流体で結合される。上記本体は、複数のチャンバに対して調整可能であって、外部ポートは、複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置される。
【0006】
或る実施形態では、上記本体はチャンバに対して調整可能であって、一時、複数のチャンバの1つに流体で連通するように外部ポートを配置している。流体試料処理領域は流体移動チャンバと少なくとも1つの外部ポートとの間に配置される。流体試料処理領域は能動部材を備え、上記能動部材は、例えば、微小流動チップと、固相物質と、フィルタまたはフィルタスタックと、親和マトリックスと、磁性分離マトリックスと、サイズ排除コラムと、毛細管などを含んでいる。エネルギー伝送部材は、流体試料処理領域と作動可能に結合されていて、その中にエネルギーを伝送してその中に含まれる流体を処理する。一実施形態では、上記本体は交差溝を含み、上記本体は、複数のチャンバに対して調整可能であって、2つのチャンバ間を流体で連通するように交差チャンネルを配置できる。
【0007】
本発明の別の局面によると、複数のチャンバ内の流体の流れを制御するための流体制御理システムは、流体試料処理領域を含む本体を備え、上記領域は流体移動チャンバと連続的に流体で結合される。流体移動チャンバは減圧できて、流体を流体移動チャンバに引き込み、また、加圧できて、流体移動チャンバから流体を排出する。上記本体は複数の外部ポートを含む。上記流体処理領域は、外部ポートの内の少なくとも2つと流体で結合される。流体移動チャンバは、外部ポートの内の少なくとも1つと流体で結合される。上記本体は、複数のチャンバに対して調整可能であって、上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように、外部ポートの内の少なくとも1つを配置する。
【0008】
或る実施形態では、本体は複数のチャンバに対して調整可能であり、複数のチャンバの内の1つと流体で連通するように、一時、少なくとも1つの外部ポートを配置する。上記本体は外部ポートを閉じるために複数のチャンバに対して調整可能であって、流体移動チャンバと試料流体処理領域とは、流体移動チャンバから流体工学的に分離している。流体試料処理領域は、流体試料の試料成分(例えば、細胞、胞子、ウィルス、大小の分子、プロテイン)を捕獲するための捕獲部材を備える。上記捕獲部材は、1個以上のフィルタ、微小流体チップトフィルタペーパー、ビーズ、膜、ガラスウール、ポリマー或いはゲルを備える。
【0009】
本発明の別の局面は、弁と複数のチャンバとの間の流体の流れを制御するための方法である。弁は複数の外部ポートを含み、上記方法は、上記複数のチャンバに対して弁を調整することを備えて、複数のチャンバと流体で選択的に連通するように外部ポートを配置する。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
複数のチャンバの中の流体の流れを制御するための流体制御処理システムであって、
複数のチャンバを有するハウジングと、
流体移動領域と流体工学的に連続的に結合される流体試料処理領域を含む本体とを備え、上記流体移動領域は減圧できて流体を上記流体移動領域内に引き込むと共に、加圧できて流体を上記流体移動領域から放出し、上記本体は複数の外部ポートを含み、上記流体試料処理領域は複数の流体処理ポートを含み、上記流体処理ポートの各々は上記外部ポートの1つと流体工学的に結合され、上記流体移動領域は少なくとも1つの上記外部ポートと流体工学的に結合され、上記本体は上記ハウジングに対して調整できて、上記外部ポートが上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置され得ることを特徴とするシステム。
(項目2)
複数のチャンバの中の流体の流れを制御するための流体制御処理システムであって、
流体移動領域と流体工学的に連続的に結合される流体試料処理領域を含む本体を備え、上記流体移動領域は減圧できて流体を上記流体移動領域内に引き込むと共に、加圧できて流体を上記流体移動領域から放出し、上記本体は複数の外部ポートを含み、上記流体試料処理領域は複数の流体処理ポートを含み、上記流体処理ポートの各々は上記外部ポートの1つと流体工学的に結合され、上記流体移動領域は少なくとも1つの上記外部ポートと流体工学的に結合され、上記本体は複数のチャンバに対して軸の周りに回転可能に調整できて、上記外部ポートが上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置され得ることを特徴とするシステム。
(項目3)
項目1または2に記載のシステムにおいて、
上記本体は上記ハウジングに対して調整可能であって、一時、1つの外部ポートを上記複数のチャンバの1つと流体で連通するように配置していることを特徴とするシステム。(項目4)
項目1乃至3のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記本体は上記ハウジングに対して調整可能であって、一時、少なくとも2つの外部ポートを上記複数のチャンバのいずれかと流体で連通するように配置されるように配置していることを特徴とするシステム。
(項目5)
複数のチャンバの中の流体の流れを制御するための流体制御処理システムであって、
複数のチャンバを有するハウジングと、
流体移動領域と流体工学的に連続的に結合された流体試料処理領域を含む本体とを備え、上記流体移動領域は減圧できて流体を上記流体移動領域内に引き込むと共に、加圧できて流体を上記流体移動領域から放出し、上記本体は複数の外部ポートを含み、上記流体試料処理領域は少なくとも2つの上記外部ポートと流体工学的に結合され、上記流体移動領域は少なくとも1つの上記外部ポートと流体工学的に結合され、上記本体は上記ハウジングに対して調整できて、少なくとも1つの上記外部ポートを上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置することを特徴とするシステム。
(項目6)
複数のチャンバの中の流体の流れを制御するための流体制御処理システムであって、
流体移動領域と流体工学的に連続的に結合された流体試料処理領域を含む本体を備え、上記流体移動領域は減圧できて流体を上記流体移動領域内に引き込むと共に、加圧できて流体を上記流体移動領域から放出し、上記本体は複数の外部ポートを含み、上記流体試料処理領域は少なくとも2つの上記外部ポートと流体工学的に結合され、上記流体移動領域は少なくとも1つの上記外部ポートと流体工学的に結合され、上記本体は複数のチャンバに対して軸の周りに回転可能に調整できて、少なくとも1つ上記外部ポートを上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置することを特徴とするシステム。
(項目7)
項目5または6に記載のシステムにおいて、
上記本体は上記ハウジングに対して調整可能であって、一時、高々1つの外部ポートを上記複数のチャンバの1つと流体で連通するように配置していることを特徴とするシステム。
(項目8)
項目5乃至7のいずれかに記載のシステムにおいて、
流体移動チャンバと上記処理領域とが上記チャンバ領域から流体工学的に分離されるために、外部ポートを閉じるように上記本体は上記ハウジングに対して調整可能であることを特徴とするシステム。
(項目9)
項目5乃至8のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体試料処理領域は、流体試料の成分を捕獲するための捕獲部材を備えていることを特徴とするシステム。
(項目10)
項目1乃至9のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体試料処理領域は複数の流体処理ポートを含み、上記流体処理ポートの各々は、少なくとも1つの上記外部ポートと連続的に流体工学的に結合されることを特徴とするシステム。
(項目11)
項目1乃至10のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体移動領域は上記本体の流体移動チャンネルと流体工学的に結合され、流体処理ポートの1つは上記本体の流体処理チャンネルと流体工学的に結合され、上記流体移動チャンネルと上記流体処理チャンネルとは1つの外部ポートで流体工学的に結合されていることを特徴とするシステム。
(項目12)
項目1乃至11のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体試料処理領域は、上記流体移動領域と少なくとも1つの外部ポートの間に配置されて、上記流体移動領域と上記少なくとも1つの外部ポートとの間の流体の流れが、流体試料処理領域を通過することを特徴とするシステム。
(項目13)
項目1乃至12のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記外部ポートは上記本体の外部ポート表面の上に配置されていることを特徴とするシステム。
(項目14)
項目1乃至13のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記外部ポート表面は略平面であることを特徴とするシステム。
(項目15)
項目1乃至14のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記本体は、上記外部ポートが上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するよう配置され得るように、上記複数のチャンバに対して軸の周りに回転可能であり、上記軸は上記外部表面に対して垂直であり、上記外部ポートは上記軸から共通半径だけ間隔が開いていることを特徴とするシステム。
(項目16)
項目1乃至15のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体移動領域は、容積の増加によって減圧可能であると共に容積の減少によって加圧可能であることを特徴とするシステム。
(項目17)
項目1乃至16のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体移動領域内に配置された流体移動部材をさらに備え、上記流体移動部材は、上記流体移動領域の容積を調整するために、移動できることを特徴とするシステム。
(項目18)
項目1乃至17のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体移動部材は、上記流体移動領域内で直線方向に移動できるピストンを備えていることを特徴とするシステム。
(項目19)
項目1乃至18のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体移動部材はピストンシャフトを備え、上記ピストンシャフトは、上記ピストンシャフトを駆動するためのピストンロッドの端部に接続されて、上記流体移動領域内で移動し、上記ピストンロッドよりも断面積が小さいことを特徴とするシステム。
(項目20)
項目1乃至19のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体試料処理領域と作動可能に結合されたエネルギー伝達部材を備えて、上記エネルギー伝達部材は上記流体試料処理領域内に含まれる流体を処理するためにエネルギーを上記流体試料処理領域に伝達することを特徴とするシステム。
(項目21)
項目1乃至20のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体試料処理領域と上記エネルギー伝達部材との間に配置されたカバーをさらに備えていることを特徴とするシステム。
(項目22)
項目1乃至21のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記カバーは可撓性フィルムであることを特徴とするシステム。
(項目23)
項目1乃至22のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記エネルギー伝達部材は、上記流体試料処理領域内に上記カバーを介して音響エネルギを伝達するために、上記カバーと接触する音響部材を備えていることを特徴とするシステム。
(項目24)
項目1乃至23のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記本体は、交差チャンネルを含み、上記本体は上記ハウジングに対して調整可能であって、吸引チャンバおよびソースチャンバと流体で連通するように交差チャンネルを配置して、上記ソースチャンバから上記交差チャンネルを通って上記吸引チャンバに流体が吸引できることを特徴とするシステム。
(項目25)
項目1乃至24のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記外部ポートは、軸に垂直な略平坦な外部ポート表面の上に配置され、上記外部ポートは上記軸の周りに複数のチャンバに対して回転できて、上記外部ポートを複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置し、交差チャンネルは上記外部ポート表面上に交差溝を備えていることを特徴とするシステム。
(項目26)
項目1乃至25のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記外部ポートは上記軸から外部ポートの半径の範囲内に配置され、上記交差溝は上記軸から交差溝の半径の範囲内に配置され、上記外部ポート半径の範囲と上記交差溝の半径の範囲とは重複しないことを特徴とするシステム。
(項目27)
項目1乃至26のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記交差溝は、上記軸から共通の交差溝の半径上に在る円弧であることを特徴とするシステム。
(項目28)
項目1乃至27のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記外部ポートは、上記軸から共通の半径だけ間隔が開いていることを特徴とするシステム。
(項目29)
項目1乃至28のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記外部ポートは上記本体の回転の長手軸に対して略円錐形の外部ポート表面上に配置されて、上記外部ポートは上記長手軸の周りの第2外部ポートから角度間隔の開いた第1外部ポートを含んでいることを特徴とするシステム。
(項目30)
項目1乃至29のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記本体は上記縦軸の周りに上記複数のチャンバに対して回転可能であって、上記外部ポートは上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように配置され得て、上記第1外部ポートは第1横断面上に在り、上記第1横断面は縦軸に垂直であると共に縦軸に垂直な第2横断面から縦軸方向にオフセットされていて、第2外部ポートは上記第1平面上に在ることを特徴とするシステム。
(項目31)
項目1乃至30のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記本体は外部ポート表面上に配置された交差溝を含んでいることを特徴とするシステム。
(項目32)
項目1乃至31のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記交差溝は、上記第1横断面から上記第2横断面への間において長手方向に延在していることを特徴とするシステム。
(項目33)
項目1乃至32のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記流体試料処理領域は、微小流体チップと固相物質とフィルタとフィルタスタックと親和性マトリックスと磁気分離マトリックスとサイズ排除コラムと毛細管とからなるグループから選択された能動部材を備えていることを特徴とするシステム。
(項目34)
項目1乃至33のいずれかに記載のシステムにおいて、
少なくとも2つの上記複数のチャンバは、上記チャンバ間のチャンバ容積を変更できる可撓性壁によって分離されていることを特徴とするシステム。
(項目35)
項目1乃至34のいずれかに記載のシステムにおいて、
上記複数のチャンバは、入口ポートと出口ポートと上記入口ポートに配置されたフィルタとを含む側部チャンバを備えていることを特徴とするシステム。
(項目36)
弁と複数のチャンバとの間の流体の流れを調節するための方法であって、上記弁は複数の外部ポートと流体移動領域とを含み、上記流体移動領域は流体試料処理領域と流体で連続的に結合され、上記流体試料処理領域は少なくとも2つの外部ポートと流体で結合している上記方法において、
外部ポートを上記複数のチャンバと流体で選択的に連通するように設置するために、上記複数のチャンバに対して上記弁を調整することを備えていることを特徴とする方法。
(項目37)
項目36に記載の方法において、
上記弁が流体工学的に上記チャンバから分離するために、上記弁が調整されて上記外部ポートを閉じることを特徴とする方法。
(項目38)
項目36または37に記載の方法において、
上記流体移動領域と上記流体試料処理領域とを加圧することを備えていることを特徴とする方法。
(項目39)
項目36乃至38のいずれかに記載の方法において、
上記弁が調整されて、上記チャンバの1つと流体で連通するように1つの外部ポートを設置し、さらに上記流体移動領域を減圧して流体を上記チャンバから上記弁に吸引することを特徴とする方法。
(項目40)
項目36乃至39のいずれかに記載の方法において、
上記弁が調整されて、上記チャンバの1つと流体で連通するように1つの外部ポートを設置し、さらに上記流体移動領域を加圧して流体を上記弁から上記チャンバ内に放出することを特徴としていることを特徴とする方法。
(項目41)
項目36乃至40のいずれかに記載の方法において、
上記弁は交差チャンネルを含み、上記弁が調整されて、1つの外部ポートを第1チャンバと流体で連通しするように配置すると共に、上記交差チャンネルを上記第1チャンバと第2チャンバとに流体で連通するように配置することを特徴とする方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の1実施形態による流体制御処理システムの斜視図である。
【図2】図2は、図1のシステムの別の斜視図である。
【図3】図3は、図1のシステムの分解図である。
【図4】図4は、図2のシステムの分解図である。
【図5】図5は、図1のシステムの流体制御装置とガスケットの正面図である。
【図6】図6は、図5の流体制御装置とガスケットの底面図である。
【図7】図7は、図5の流体制御装置とガスケットの平面図である。
【図8】図8は、図7の回転流体制御装置の8−8線断面図である。
【図9−1】図9Aと9AAは、図1の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理するための特定のプロトコルを示す平面図と断面図である。
【図9−2】図9Bと9BBは、図1の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理するための特定のプロトコルを示す平面図と断面図である。
【図9−3】図9Cと9CCは、図1の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理するための特定のプロトコルを示す平面図と断面図である。
【図9−4】図9Dと9DDは、図1の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理するための特定のプロトコルを示す平面図と断面図である。
【図9−5】図9Eと9EEは、図1の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理するための特定のプロトコルを示す平面図と断面図である。
【図9−6】図9Fと9FFは、図1の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理するための特定のプロトコルを示す平面図と断面図である。
【図9−7】図9Gと9GGは、図1の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理するための特定のプロトコルを示す平面図と断面図である。
【図9−8】図9Hと9HHは、図1の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理するための特定のプロトコルを示す平面図と断面図である。
【図9−9】図9Iと9IIは、図1の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理するための特定のプロトコルを示す平面図と断面図である。
【図9−10】図9Jと9JJは、図1の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理するための特定のプロトコルを示す平面図と断面図である。
【図9−11】図9K、9KK、9K’K’は、図1の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理するための特定のプロトコルを示す平面図と断面図である。
【図9−12】図9Lと9LLは、図1の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理するための特定のプロトコルを示す平面図と断面図である。
【図10】図10は、本発明の別の実施形態による流体制御処理システムの分解斜視図である。
【図11】図11は、図10の流体制御装置の断面図である。
【図12−1】図12Aは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図12−2】図12Bは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図12−3】図12Cは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図12−4】図12Dは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図12−5】図12Eは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図12−6】図12Fは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図12−7】図12Gは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図12−8】図12Hは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図12−9】図12Iは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図12−10】図12Jは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図12−11】図12Kは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図12−12】図12Lは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図12−13】図12Mは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図12−14】図12Nは、図10の流体制御処理システムを使用して流体を制御し処理する特定のプロトコルを示す平面図である。
【図13】図13は、軟質壁チャンバの断面図である。
【図14】図14は、ピストンアセンブリの断面図である。
【図15】図15は、側部フィルタチャンバの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
特定の実施形態の説明
図1〜4は流体制御処理システム10を示し、上記システム10は、複数のチャンバ13を有するハウジング12を含んでいる。図1は、例証のために露出されたチャンバ13を示す。図3と4において最も良く分かるように、流体制御装置16と反応容器18とはハウジングの別々の位置に接続されている。図示された実施例における流体制御装置は回転式流体制御弁16である。上記弁16は、ディスク部22と管状部24とを有する弁本体20を含んでいる。ディスク部22は、図3において最も良く分かるように、平坦な外部ポート表面23を有している。弁16はハウジングに対して回転可能である。ハウジング12は複数のチャンバポート25を含み、チャンバポート25は弁6のディスク状部22の外部ポート表面23に面して、チャンバ13と弁16との間で流体が連通する。オプションのシールまたはガスケット26は、ディスク部22とハウジング12との間に配置される。ディスク部22は、さらに、フィルタまたはフィルタスタック27と、外部カバー28と、歯状外周部29とを含んでいる。上記カバー28は剛性のシェル(外殻)または可撓性のフィルムである。
【0012】
図4において最もよく分かるが、ディスク部22は流体試料処理領域30を含んでいる。「流体試料処理領域」という用語は、ここで使用される場合、流体試料が処理される領域のことである。上記処理は、限定されることなく、化学的処理、光学的処理、電気的処理、機械的処理、熱的処理、音響的処理を含む。例えば、化学的処理は触媒を含み、光学的処理は紫外線活性を含み、電気処理は電気穿孔または電気泳動を含み、機械的処理はフィルタリングや加圧やセル破壊を含み、熱的処理は加熱または冷却と含み、音響処理は超音波の使用を含み得る。流体試料処理領域は、流体の処理を容易にするために、フィイルタ27のような能動部材を含む。能動部材の例としては、マイクロ流体チップと、固相物質と、フィルタまたはフィルタの積層と、親和性マトリックスと、磁気分離マトリックスと、寸法排除コラムと、毛細管などが含まれる。適切な固相物質には、限定されることなく、ビード、ファイバ、膜、フィルタペーパー、ガラスウール、ポリマー、ゲルが含まれる。特定の実施形態では、流体試料処理領域は、例えば反応容器18においてさらに処理するために試料を作成するのに使用される。
【0013】
図5〜8に示されているように、外部カバー28は、流体試料処理領域30と弁16のディスク部22の底端部を封じる。図8において、処理領域30は、第1流体処理チャンネル34に結合した第1流体処理ポート32と、第2流体処理チャンネル38に結合した第2流体処理ポート36とを含んでいる。上記第1流体処理チャンネル34は、外部ポート表面23の第1外部ポート42で終る第1外部導管40に接続されている。一方、第2流体処理チャンネル38は、外部ポート表面23の第2外部ポート46で終る第2外部導管44に接続されている。流体移動チャンネル48は、一端が第1流体処理チャンネル34と第1導管40とに結合され、他端が流体移動チャンバ50に結合されている。第1外部導管40は共通導管として機能して、流体は、第1外部ポート42と、第1流体処理チャンネル34と流体移動チャンネル48とのいずれか一方または両方との間で連通することができる。処理流域30は流体移動チャンバ50と流体で連続的に連通する。
【0014】
図6〜8に示されているように、外部ポート42と46とは、互いに、弁16の軸52に対して約180度程の角度が開いている。外部ポート42と46とは、軸52から半径方向に等距離、間隔が開けられている。軸52は外部ポート表面23に対して垂直である。別の実施形態では、外部ポート42と46との間の角度間隔は異なってもよい。ディスク部22のチャンネルの形状は、別の実施形態では異なっていてもよい。例えば、第1流体処理チャンネル34と第1外部導管40とは、傾斜して、直接流体移動チャンバ50と結合してもよい。これによって流体移動チャンネル48は排除される。第2流体移動チャンネル38は傾斜して、第2流体処理ポート36と第2外部ポート46との間を直線的に延在してもよい。これによって、第2外部導管44は排除される。さらに、弁16には、より多くのチャンネルや外部ポートが設けられてもよい。図3において最も良く分かるように、望ましくは、交差チャンネルすなわち溝56が外部ポート表面23上に設けられる。上記溝56は湾曲していて、望ましくは、軸52から一定半径だけ間隔が開けられている。一実施形態において、溝56は、軸52から共通の半径上にある円弧である。下文により詳細に議論されるように、溝56は容器を充填するために使用される。
【0015】
図8に示されるように、流体移動チャンバ50は、実質的に弁16の管状部24内に配置され、部分的にディスク部22にまで延在している。プランジャまたはピストンの形態をした流体移動部材54がチャンバ54内に移動可能に配置されている。ピストン54が上方に移動すると、チャンバ50の容積が拡大し、吸引力が生じて流体をチャンバ50内に引き込む。ピストン54が下方に移動すると、チャンバ50の容積が減少してチャンバ50から流体を排出させる。
【0016】
ロータリ弁16が、図1〜4のハウジング12に対して、軸52の周りを回転するとき、外部ポート42と46の1つが開き、チャンバ13または反応容器18の内の1つが流体で繋がるか、或いは、外部ポート42と46の両方が塞がれ閉じられる。この実施形態では、外部ポート42と46の内の高々1つのみが、チャンバまたは反応容器18の1つと流体で繋がる。他の実施形態では、両方の外部ポート42,46が、別々のチャンバまたは反応容器18と流体で繋がるように形成され得る。このようにして、弁16はハウジング12に対して回転できて、外部ポート42と46は、チャンバ13と反応容器18とを含む複数のチャンバと流体で選択的に繋がるように配置され得る。外部ポート42,46が開または閉になっているかに依って、また、ピストン54が上方に移動しているか或いは下方に移動しているかに依って、弁16内の流体の流れはその方向を変えることができ、外部ポート42,46は夫々入口ポートから出口ポートに切り換えることができて、流体の流れは処理領域30を通過するか、或いは処理領域30を迂回する。特定の実施形態では、第1外部ポート42は入口ポートであり、処理領域の入り口側は処理領域30の出口側よりも流体移動チャンバ54に近い。
【0017】
弁16の流体測定および分配機能を明らかにするために、図9A〜9LLは、特定のプロトコルに対する弁16の作動状態を示している。図9Aと9AAでは、弁16の回転によって、外部ポート42が試料チャンバ60と流体で繋がるように配置されている。ピストン54は上方に引っ張られて、試料チャンバ60から第1外部導管40と流体移動チャンネル48を経て流体移動チャンバ50に流体試料を引ぱり出す。簡単にするため、図9A〜9LLでは、ピストン54は示されていない。次に、弁16が回転され、図9Bと9BBに示すように、第2外部ポート46は廃棄チャンバ64と流体で繋がるように配置される。ピストン54が下方に押されて、流体試料は、流体試料処理領域30を通って廃棄チャンバ64に追いやられる。特定の実施形態では、流体試料処理領域30はフィルタまたはフィルタスタック27を含み、それを通過する際に、流体試料から試料成分(例えば、細胞、胞子、微生物、ウィールス、プロテインなど)を捕獲する。フィルタスタックの例は、同一出願人の2000年5月30日に出願された「細胞分裂の装置と方法」と題する同時係属米国特許出願第09/584,327号に記載されており、その全体の内容はこの言及によって本文に組み込まれる。代替え実施形態では、他の能動部材が処理領域30に設けられている。試料成分を捕獲するこれら初めの2ステップは、要望に応じて繰返される。
【0018】
図9Cと9CCでは、弁16が回転されて、第1外部ポート42が洗浄チャンバ66と流体で繋がるように配置される。ピストン54が上方に引っ張られて、洗浄流体が、処理領域30を迂回して、洗浄チャンバ66から流体移動チャンバ50へと引き込まれる。次に、図9Dと9DDに示すように、弁16が回転されて、第2外部ポート46は処理チャンバ64と流体で繋がるように配置される。ピストン54が下方に押されて、洗浄流体は、流体試料処理領域30を通って破棄チャンバ64に追しやられる。上記洗浄ステップは、要望に応じて、繰返されてもよい。この中間洗浄は、弁16内の不要な残留物を除去するために用いられる。
【0019】
図9Eと9EEでは、弁16が回転されて、第1外部ポート42は溶解物チャンバ70に流体で繋がるように配置される。ピストン54が上方に引張られて、溶解物は、処理領域30を迂回して、溶解物チャンバ70から流体移動チャンバ50に引っ張り込まれる。次に、弁16が回転されて、図9Fと9FFに示されるように、第2外部ポート46が破棄チャンバ64と流体で繋がる。ピストン54は下方に押し下げられて、溶解物流体は流体試料処理領域30を通って破棄チャンバ64に追いやられる。図9Gと9GGでは、弁16が回転されて、外部ポート42,46を閉塞する。ピストン54が下方に押し下げられて、残存する溶解物流体と、流体試料処理領域30において捕獲された試料成分とを加圧する。付加的なエネルギーが処理領域30での混合物に印加されてもよい。例えば、超音波ホーンのような音響部材76が外部カバー28に接触して配置されて、試料成分の溶解を容易にする音響エネルギーを処理領域30に伝えてもよい。一実施形態では、外部カバー28は可撓性フィルムで作られ、上記可撓性フィルムは溶解時に加圧下で引き伸ばされて音響部材76に接触し、音響エネルギーを処理領域30に伝送する。
【0020】
好ましい一実施形態でのカバー28は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、或いは他のポリマーなどの重合体物質でできた可撓性膜である。この膜は、例えば積層された層状膜であるか、或いは、複数の同種の膜でもよい。層状膜は、一般に均一膜よりも良好な強度と構造的健全性を有しているので好ましい。特に、層状のポリプロピレン膜は、ポリプロピレンがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に対して抑制作用がないので、現在の所好ましい。この代わりとして、カバー28は剛性のあるプラスチックのような他の物質を備えてもよい。
【0021】
一般的に、エネルギーを処理領域30に伝えるために処理領域30に作動可能に結合されたエネルギー伝送部材は、超音波トランスデューサ(変換器)や圧電性トランスデューサや磁気歪トランスデューサや静電トランスデューサである。上記エネルギー伝送部材は、音声コイルモータやソレノイド装置などの巻線コイルを有する電磁装置であってもよい。現在のところ、上記エネルギー伝送部材は、超音波ホーンのような音響部材であることが好ましい。適切なホーンは、アメリカ合衆国06470−1614コネチカット州ニュートン、チャーチヒル53にオフィスのあるソニックスアンドマテリアルズ社から入手できる。この代わりに、上記音響部材は圧電ディスクまたは他の超音波トランスデューサを備え、カバー28に接合できる。代替えの実施形態では、エネルギー伝送部材は熱エネルギを処理領域30に伝えるための熱要素(例えばヒータ)、或るいは電気エネルギーを処理領域30に伝えるための電気要素である。さらに、例えば、処理領域を加熱すると共に超音波処理して、処理領域で捕獲された細胞や胞子やウィールスや細菌などの溶解する多重型エネルギ伝達部材が同時に使用されてもよい。
【0022】
図9Hと9HHでは、バルブ16が回転して、第2外部ポート46を主要混合チャンバ78に流体で連通する。ピストン54が下方に押圧されて、混合物を溶出し、処理領域30から主要混合チャンバ78に移動する。主要混合チャンバ78は、典型的には、試料と混合される試薬(すなわち、PCR試薬や蛍光プローブ)を含んでいる。図9Iと9IIに示されるように、弁16を回転させてポート46を流体で連通するように配置した後、過剰の混合物は第2外部ポートを経て廃棄チャンバ64に分配される。次に、この混合物は、トグリングによって主要混合チャンバ50で混合される。これは、図9Jと9JJに示されるように、流体移動チャンバ50を主要混合チャンバ78に流体で連通するように配置することによって実施される。処理領域30におけるフィルタを介しての混合物のトグリングすることによって、例えば、フィルタに捕獲された大きな粒子を一時的に移動させて、小さな粒子を通過させることができる。
【0023】
弁16が回転されて、図9Kと9KKと9K'K'とに示すように、第1外部ポート42は、反応容器18に結合された第1ブランチ84と流体で連通する。一方、反応容器18に結合された第2ブランチ86は、交差溝56に流体で連通するように配置される。第1ブランチ84と第2ブランチ68とは、弁16の軸52から異なる半径に配置される。第1ブランチ84は第1外部ポート42と共通の半径をもち、第2ブランチ86は交差溝56と共通の半径を持つ。交差溝56は、また、主要混合チャンバ78(図9K)と流体で連通し、主要混合チャンバ78と第2ブランチ86との間の空隙(ギャップ)を架橋する働きがあって、それらの間で交差流を与える。外部ポートは、軸から外部ポート半径の範囲内に配置され、交差溝は軸から交差溝半径の範囲に配置される。ここにおいて、外部ポート半径の範囲と交差溝半径の範囲とは重複しない。交差溝56を、外部ポート4246の半径と異なる半径に配置することには利点がある。何故ならば、上記汚染物質は、弁16が回転運動する結果、外部ポート42,46の半径にある弁16とハウジング12との間の表面近くの領域に存在するので、汚染物質による交差溝56の交差汚染を回避できるからである。このようにして、外部ポート42と46の半径が重なる形態を含んだ別の交差溝の形態が使用されてもよい。図示の実施形態は、外部ポート42,46の半径にある弁16とハウジング12との間の表面近くの領域から上記交差溝56を分離して汚染させない好ましい配置である。
【0024】
反応容器18を充填するために、ピストン54は上方に引っ張られて、主要チャンバ78内の混合物を引き出し、混合物は、交差溝56と第2ブランチ86を通って、反応容器18内に入る。このような構成では、反応容器18は吸引チャンバまたは第1チャンバと称され、主要混合チャンバ78は源泉チャンバまたは第2チャンバと称される。次に、弁16が回転されて、図9Lと9LLに示されるように、第1ブンランチ84に流体で連通するように第2外部ポート42を配置する。ピストン54は、下方に押し下げられて、反応容器18内の混合物を加圧する。反応容器18は熱反応チャンバに挿入されて、核酸の増幅と検出或いはそれらのいずれか一方を行なう。2つのブランチ84と86によって、反応容器18の反応チャンバの充填および排出が行なわれる。容器は、超音波溶接や機械的接合などによってハウジング12に接合される。或いは、例えば成形によってハウジング12と一体に形成されてもよい。流体試料を分析するための反応容器を使用することは、「化学反応を行なうためのカートリッジ(Cartridge for Conducting a Chemical Reaction)」と題する2000年5月30日に出願された同一出願人の同時係属米国特許出願第09/584,328号に記載されている。
【0025】
図3〜8の弁16を作動させるために、典型的には、ステップモータのようなモータがディスク部22の歯状外周部29結合され、ハウジング12に対して弁16を回転させて流体を高精度で分配する。正確な計測を行なうために、典型的にはリニアーモータなどが、ピストン54を上下に正確に駆動するのに使用され、また、所望のプロトコルによってコンピュータ制御される。
【0026】
図10は、流体制御チャンネルブハウジングまたはブロック102に回転可能に結合された別の弁100を示す。反応容器104はハウジング102に切り離し可能に結合されている。弁100は、一般に、図11に示すように、長軸を持つ管状部材である。ピストン106は、移動可能に弁100に接続され、ピストン106が上下に動かされるときに、流体移動チャンバ108の容積を変化させる。カバー109は、弁100の底部近くに配置される。流体試料処理領域110は、弁100の中に配置され、流体移動チャンバ108と流体で連通する。弁100は、図11に最も良く示されているように、第1ポート111と第2ポート112として一対の開口を含む。図示された実施形態では、ポート111と112とは、約120度の角度間隔があるが、代替えの実施形態では、この間隔は異なってもよい。交差チャンネル114は、弁100の外部表面116上に形成され、図10に示すように略長手方向に延在する。2つのポート111と112とは、長手軸105に沿って互いに長手方向に異なるレベルでずら(オフセット)されて配置されている。交差溝114は、軸105の長手方向に延在して、ポート111と112との2つのレベ
ルを架橋する。
【0027】
ハウジング102は、ポート111、112と溝114とを有する弁100の部分を収容するために開口部118を有する。開口部118の周りの内部表面120は、弁100の外部表面と協同するように形成されている。ガスケットが内部表面120と外部表面116との間に配置されているが、好ましい実施形態では、付加的なガスケットを使用することなく,密封効果のある傾斜の付いた円錐面120,116が採用される。ハウジング102は複数のチャンネルとポートを含み、弁100はその軸105の周りに回転できて、ポート111,112は、ハウジング102内の複数のチャンネルと流体で連通するように配置されている。ポートが開であるか閉であるによって、また、ピストン106が上方または下方に移動してかで、弁100内の流体の流れは、方向を変化させることができる。ポート111,112は、夫々、入口ポートから出口ポートに切り換えることができる。
【0028】
弁100の流体の測定と分配の機能を実証するために、図12A〜12Nは特定プロトコルに対する弁100の作動状況を示している。図12Aに示すように、ハウジング102は複数の流体チャンネルを含んでいる。便宜上、チャンネルは次のようにラベル付けされる。主要混合チャンネル130、溶解物チャンネル132、試料チャンネル134、洗浄チャンネル136、廃棄物チャンネル138、第1ブランチ140、第2ブランチ142。チャンネル130〜138は、内部表面120から略平坦な外部表面144に延在し、ブランチ140,142は、内部表面120から略平坦な別の外部表面146に延在している(図10)。組立ての際に、第1ポート111とチャンネル130〜134とは、長手軸105に垂直な第1横断面上に在る。一方、第2ポート112とチャンネル136,138と2つのブランチ140,142とは、長手軸105と垂直な第2横断面上に在る。第2横断面は、第1横断面から長手方向にオフセットされている。便宜上、第2ポート112とチャンネル136,138とブランチ140,142とは、それらが第1ポート111とチャンネル130〜134から長手方向にオフセットされていることを陰影を付けて示されている。交差溝114は長手方向に延在して、第1横断面と第2横断面との間のオフセット(ずれ)を架橋(橋渡)している。チャンバ本体150は、ハウジング102に接続され(図10)、主要混合チャンバと溶解物チャンバと試料チャンバと洗浄チャンバと廃棄物チャンバとを含み、それらは夫々チャンネル130〜138と流体で結合される。第1ブランチ140と第2ブランチ142とは、反応容器104と流体で結合される。
【0029】
図12Aでは、第1ポート111は、試料チャンネル134と流体で連通するように配置され、ピストン106が上方に引っ張られて、流体試料を吸引して流体チャンバ108に入れる(図11)。次に、弁100が回転して、廃棄チャンネル138に流体で連通するように第2ポート112を配置する。ピストン106が下方に押し下げられて、流体試料を、配置チャンバ108から処理領域110を通り、破棄チャンネル138を通って外に出す。これらのステップは、典型的には、例えば、フィルタのような捕獲部材上に試料成分を捕獲するための処理領域110を介して、全試料が処理されるまで繰返される。
【0030】
図12Cにおいて、弁100を回転して、洗浄チャンネル136と流体で連通するように第2ポート112を配置し、ピストン106を上方に押し上げることによって処理領域110に洗浄流体を吸引する。次に、弁100を回転させて、廃棄チャンネル138と流体で連通するように第2ポート112を配置する。ピストン106が下方に押し下げられて、処理領域110から廃棄チャンネル138を通って洗浄流体を外に出す。上記洗浄ステップは、要望通り、弁100の中の不要な残留物を除去するために繰返される。
【0031】
分解のために、弁100を回転して、図12Eに示すように、第1ポ−ト111を流体移動チャンネル132に流体で連通させ、ピストン106が下方に押し下げられて、溶解物流体を流体移動チャンバ108内に引き込んむ。図12Fでは、弁110を回転して、2つのポート111と112を閉じる。ピストン106は、下方に押し下げられて溶解物流体を処理領域110に押し込み、溶解物流体と流体試料処理領域110に捕獲された試料成分とを加圧する。処理領域110における混合物に付加的なエネルギーが印加される。上記付加的エネルギーには、例えば、音響部材をカバー109と作動可能に結合することによって(図11)音響エネルギーを処理領域110に伝えられる音響エネルギーが含まれる。
【0032】
図12Gでは、予めセットされた所望量の洗浄流体が、洗浄チャンネル136から第2ポート136を通って処理領域110の中に吸引され、混合物を希釈する。次に、弁100を回転して、図12Hに示すように、第1ポート111を主要混合チャンネル130と流体で連通するように配置し、予めセットされた量の混合物を処理領域110から主要混合チャンバに排出する。ピストン106が上下に移動されて、トグリングによって混合物を攪拌し混合する。混合物の残部は、図12Iに示すように、第2ポート112を通って廃棄チャンネル138に排出される。洗浄流体を洗浄チャンネル136から第2ポート112を通って処理領域110に引き込み(図12J)、別の洗浄が行なわれる。洗浄流体は処理領域110から第2第2ポート112を通って廃棄チャンバ138に排出される(図12K)。
【0033】
図12Lでは、弁100を回転して、第2ポート112を、反応容器104に結合された第1ブランチ140と流体で連通する。一方、反応容器104に結合された第2ブランチ142は、交差溝114と流体で連通するように配置される。上記第2ブランチ142は、主要混合チャンネル130と軸方向にオフセットされている。図12Lに示す位置では、交差溝114は軸方向に延在して、第2ブランチと主要混合チャンネル130との間のオフセットを架橋し、互いに流体で連通する。その結果、流体試料処理領域110は、第1ブランチ140と反応容器104と第2ブランチ142と交差溝114とを介して、主要混合チャンネル130と流体で連通される。
【0034】
ピストン106を上方に引き上げることによって、主要混合チャンバ内の混合物は、主要混合チャンネル130から交差溝114と第2ブランチ142とを通って、反応容器104の中に引き込まれる。次に、弁100を回転して、図12Mに示すように、第2ポート112を第2ブランチ142と流体で連通し、第1ポート111を閉じる。ピストン106が下方に押し下げられて、反応容器104の中の混合物を加圧する。図12Nでは、弁10を回転して、ポート111と112とを閉じ、反応容器104を分離する。反応容器104は、核酸の増幅および検出を行なうために、熱反応チャンバ内に挿入されてもよい。
【0035】
上記実施形態において示されているように、流体制御処理システムは、好都合にも、多様性と適合性をもつ充分に抑制されたシステムである。流体移動チャンバは、システム内の流体を移動させるための原動力となる。流体移動チャンバと流体試料処理領域との間を流体で連続的に連通させ続けることによって、システム内の流体を移動させる原動力が、常時、処理領域と流体で結合される。流体移動チャンバ(原動力)は、システムを介して駆動される流体の一時的な貯蔵領域として機能する。単一の原動力は、流体をシステムを介して移動させるために使用される。上記実施形態では、流体移動チャンバ内で移動するピストンを用いているが、他の機構が使用されてもよい。上記他の機構には、例えば、流体移動チャンバの容積を変化させることなく、原動力として圧力を使用する空気圧ポンプ機構などがある。流体試料処理領域の入口側または出口側は、如何なるチャンバとも対応でき、試薬や他の流体に無作為にアクセスできる。複合プロトコルは、コンピュータ制御器に比較的容易にプログラムされ、多様性流体制御処理システムを使用して実行される。無複数の異なるプロトコルが、単一のプラットホームを使用して行なわれる。
【0036】
上記実施形態では、弁内の一対のポートにアドレスすることによって流体制御して、一つのポートのみを、チャンバと一度に選択的に流体で連通するように配置する。これは、チャンバに対して一対のポートを位相を外すことによって行なわれる。交差チャンネルまたはバイバスチャンネルは、付加的な流体制御の可能性を提供する(例えば、利便性良く閉システム内の反応容器を充填したり空にできる)。勿論、他の実施形態では、所望の流体制御を行なうために、異なるポート機構を使用してもよい。さらに、示された実施形態では、各々が弁本体の単一の流体試料処理領域を含むが、要望がある場合には、追加の処理領域が弁本体に配置できる。一般的に、弁本体はn個の処理領域について(n+1)個のポートを必要とする。
【0037】
単一バルブの使用は、唯一の欠陥要素が存在するために高い生産性を生じる。流体制御と処理要素の集中によって、装置が(例えば、小さなカートリッジの形で)小型化し、成形と組立ての自動化が容易となる。上で検討したように、上記システムは、有利にも、希釈および混合の能力と、中間洗浄能力と、正加圧能力とをを含んでいる。システム内の流体経路は通常閉じていて、汚染を最小限とし、システム内の流体の制御と封込を容易にしている。反応容器は、利便性良く、取り外すことができ交換でき、また、或る実施形態では使い捨てである。
【0038】
流体制御処理システムの構成部品は、使用される流体に対して適合性のある様々な材料から出来ている。適切な材料の例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネイト、アクリル、ナイロンなどのポリマー材が含まれる。上記システムの様々なチャンバ、チャンネル、ポートなどは、様々な形態と寸法をとり得る。
【0039】
装置と方法に関する上記形態は、単に、本発明の原理を例示的に適用したものであり、他の実施形態および修正が、請求の範囲に記載の本発明の精神と範囲から逸脱することなしに為され得るものである。
【0040】
例えば、図13は、流体制御処理システムに組込まれる軟質壁のチャンバ200を示している。典型的には、オンボード試薬型のカートリッジは、システムに組み込まれた試薬と試料の総容積の少なくとも2倍の流体容積を必要とする。軟質壁のチャンバの使用は、必要容積を減少させることができる。これらのチャンバは可撓性壁を有すると共に、典型的には、フィルムを用いて熱成形して形成される。軟質壁の利点を加えると、チャンバが空になったときに壁には充分な可撓性があって壁が押し潰れるならば、孔を設ける必要がないことである。図13では、可撓性側壁202は、試薬チャンバ204と廃棄チャンバ206とを分離する。廃棄物は試料と試薬からなるので、廃棄に必要な容積は試料と試薬の合計以下である。廃棄物チャンバが膨張するとき、試薬チャンバに接触し、また、廃棄物チャンバと試薬チャンバとが逆の場合もそうである。このことによって、外部とは無関係な閉システムとなる。この形態はカートリッジの全体の大きさを減少させ、チャンバ容積の素早い移行を可能にする。また、通気を消失させ、プラットフォームを幾つか減少させることによってコストの削減となる。プラットフォームは、他の場合は、硬質の装置と共に形成される必要がある。
【0041】
図14はピストンアセンブリ210を示す。ピストンアセンブリ210は、ピストンシャフト214に接続されたピストンロッド212を含む。ピストンシャフト214は、少量の流体を押し遣るためにロッドよりも小さな断面を有している。細いピストンシャフト214は、非常に長い場合、印加された圧力下で湾曲する。ピストンロッド212は円筒部の上部すなわちハウジング216に沿って移動し、ピストシャフト214は、円筒部の下部に沿って移動する。ピストンロッド212の移動は、ピストシャフト214の移動をガイド(案内)し、印加された多くの力を吸収して、非常に少ない力を細いピストンシャフト214に伝える。
【0042】
図15は、システムに組み込むことができる側部チャンバ220を示す。側部チャンバ220は、入口ポート222と出口ポート224とを含む。この例では、側部チャンバ220は、入口ポート222に配置されたフィルタ226を含む。流体は、側部フィルタリング(濾過)のために、入口ポート222を経て側部チャンバ220に流れ込み、出口ポート224を経て外へ出る。これにより、本発明の流体制御システムを使用して、流体試料などの濾過が行なわれる。流体は再循環されて、フィルタ226によってより良好に濾過される。この予備濾過は、システムの主チャンバに流体を導入する前に、粒子を除去して詰りを防止するのに有用である。側部チャンバの使用は、例えば、システム内の弁および主チャンバの汚染を防止するのに有益である。
【0043】
したがって、本発明の範囲は、上記説明に言及して決定されるべきではなく、均等物の全範囲と共に上記請求項に言及して決定されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図9−4】
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【図9−5】
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【図9−6】
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【図9−7】
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【図9−8】
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【図9−9】
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【図9−10】
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【図9−11】
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【図9−12】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図12−3】
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【図12−4】
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【図12−5】
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【図12−6】
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【図12−7】
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【図12−8】
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【図12−9】
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【図12−10】
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【図12−11】
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【図12−12】
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【図12−13】
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【図12−14】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−103265(P2012−103265A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−289711(P2011−289711)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2009−150010(P2009−150010)の分割
【原出願日】平成13年7月26日(2001.7.26)
【出願人】(500065565)
【氏名又は名称原語表記】CEPHEID
【Fターム(参考)】