流体制御弁
【課題】少ない部品点数で安定したシール性能を発揮することができる低コストの流体制御弁の提供。
【解決手段】モータアッセンブリ42はバルブカバー412に取り付けられ、ステッピングモータの回転を直進運動に変換して、バルブシャフト44をバルブハウジング41内において軸方向に移動させている。バルブシャフト44に取り付けられたバルブ部材45は、バルブシャフト44とともに移動して、調圧弁座411fに対し着座あるいは離間することによりエア調圧弁4を開閉している。バルブ部材45は、シール部材452が取り付けられたバルブフレーム451を有し、バルブフレーム451の取付部451dは、バルブシャフト44の先端部の支持体445に対しかしめられている。バルブシャフト44は、モータアッセンブリ42から突出し、バルブカバー412に形成されたシャフトリテーナ部412eによって移動可能に支持されている。
【解決手段】モータアッセンブリ42はバルブカバー412に取り付けられ、ステッピングモータの回転を直進運動に変換して、バルブシャフト44をバルブハウジング41内において軸方向に移動させている。バルブシャフト44に取り付けられたバルブ部材45は、バルブシャフト44とともに移動して、調圧弁座411fに対し着座あるいは離間することによりエア調圧弁4を開閉している。バルブ部材45は、シール部材452が取り付けられたバルブフレーム451を有し、バルブフレーム451の取付部451dは、バルブシャフト44の先端部の支持体445に対しかしめられている。バルブシャフト44は、モータアッセンブリ42から突出し、バルブカバー412に形成されたシャフトリテーナ部412eによって移動可能に支持されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れを制御する流体制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
流体の流れを制御する流体制御弁に関するものは、従来から様々なものが提案されている。特許文献1に開示されたコントロールバルブは、冷凍サイクル装置の膨張弁等として使用されるものであり、ステッピングモータにより回転される雄ねじ軸が、箱状の弁ホルダを介して弁体と接続されている。弁ホルダ内には、雄ねじ軸との間に介装された圧縮コイルバネにより弁体に向けて付勢されたリテーナ部材が収容されている。
弁体が弁座面部と離間しており、コントロールバルブが開状態にある時、リテーナ部材の端部は弁ホルダの段状のストッパ面部に当接し、弁体とリテーナ部材との間には所定の隙間が設けられている。したがって、この状態においては、圧縮コイルバネの付勢力は弁体に作用せず、弁体はリテーナ部材に対して自由に相対回転することができる。
【0003】
雄ねじ軸が回転され、コントロールバルブが閉状態へと移行する場合、弁体は弁ホルダとともに下降して弁座面部に着座する。この時、弁体には圧縮コイルバネの付勢力が作用していないため、弁体は弁座面部の形状に倣って、ある程度の自由度で動くことができ、雄ねじ軸の回転によってつれ回りすることもない。したがって、弁体と弁座面部の接触面の摩耗量を極めて少なくすることができる。
弁体が弁座面部に着座した後は、弁体にリテーナ部材が当接して圧縮コイルバネの付勢力が作用するため、弁体が弁座面部に対して摺れ回りすることがなく、弁体と弁座面部の摩耗量を低減することが可能になる。これは、弁体が弁座面部から離間する場合にも同様である。
【0004】
また、特許文献2に開示されたものはガス流路に設けられた遮断弁であり、電動モータによって回転される回転軸の先端に形成されたリードスクリューに、弁体のリードナットを螺合させ、弁体のスリットをバルブボデーの突起に係合させて弁体の回転を防止している。
この遮断弁において、電動モータによって回転軸が回転されると、リードスクリューに噛み合った弁体が直進し、弁座に対して着座または離間することにより流路を開閉することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】再公表特許WO2006/064865号公報
【特許文献2】特開2006−258300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1に開示されたコントロールバルブは、開閉時の弁体と弁座面部の接触面の摩耗量を低減することができ、長期間に亘って双方の間のシール性を維持することが可能である。しかしながら、上述したコントロールバルブは、雄ねじ軸と弁体とが直接に連結されておらず、双方の間に複数の部材が介装されている。したがって、部品点数が増え、装置全体が大型化、重量化し、コストの増大を余儀なくされている。
【0007】
一方、特許文献2に開示された遮断弁は、弁体と回転軸とが直接的に接続されており、部品点数を低減することが可能である。しかしながら、当該遮断弁は、弁体を移動可能に安定的に支持することができず、弁座に対する弁体の姿勢が不安定になりやすく、シール性能が低下するという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、少ない部品点数で安定したシール性能を発揮することができる低コストの流体制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る流体制御弁の発明の構成は、内部に流体の流入口と流出口とが形成されたバルブハウジングと、バルブハウジングに取り付けられた電動モータと、電動モータの回転運動を直進運動に変換して弁軸に伝達し、弁軸をバルブハウジング中において軸方向に移動させる駆動機構と、弁軸に対し半径方向に延びるように取り付けられ、弁軸とともに移動することにより、一側の面において、バルブハウジング内に形成された接続弁座に対して着座あるいは離間し、流入口と流出口との間を断続するバルブ部材と、一体的に形成され、電動モータまたは駆動機構に固定されることにより位置決めされるとともに、弁軸の外周面を移動可能に支持する支軸部材と、を備えたことである。
【0009】
尚、上述した発明の構成のうち、支軸部材が一体的に形成されているとは、支軸部材をプレス成形された1枚の金属板により形成したり、合成樹脂材料にて一体成形するように、完全な単一部材にて形成する場合のみではなく、電動モータ等への取付部位と弁軸の支持部位との間において、所定の位置精度が得られるのであれば、複数の金属板を溶接等により接合して一体に形成したり、樹脂材料にて形成された複数のピースを溶着等により接合して一体に形成した場合等も含むものである。
【0010】
請求項2に係る発明の構成は、請求項1の流体制御弁において、バルブ部材は金属板をプレス成型して形成され、袋状に絞られ弁軸の先端が挿入される取付部と、取付部から半径方向外方に拡がった延在部とを有するバルブフレームと、延在部に取り付けられ、接続弁座に対して当接可能なシール部材と、を有し、弁軸の先端を取付部内に挿入した後、取付部をかしめることにより、バルブ部材は弁軸に取り付けられることである。
【0011】
請求項3に係る発明の構成は、請求項1または2の流体制御弁において、支軸部材はバルブハウジングの一部を形成し、支軸部材には外周面を破断させてバルブハウジングの内部へと筒状に延在した弁軸収容部が形成されており、電動モータおよび駆動機構はモータハウジング内に収容され、モータハウジングには、支軸部材の外周面に取り付けられたフランジ部と、少なくとも駆動機構を収容するためにフランジ部から弁軸収容部内に突出したメカ内蔵部とが形成され、弁軸はメカ内蔵部から突出して弁軸収容部内を貫通し、弁軸収容部の内周面により支持されていることである。
【0012】
請求項4に係る発明の構成は、請求項3の流体制御弁において、弁軸収容部の入口内周面がメカ内蔵部の外周面と嵌合することにより、支軸部材はモータハウジングに対して位置決めされることである。
【0013】
請求項5に係る発明の構成は、請求項1乃至4のうちのいずれかの流体制御弁において、バルブハウジングは、流入口から供給された流体が排出されるバイパス口と、接続弁座と対向して設けられ、バルブ部材の他側の面が着座あるいは離間することにより、流入口とバイパス口との間を断続するバイパス弁座と、を有し、バルブ部材は、接続弁座とバイパス弁座との間において任意の位置をとることにより、流入口から供給された流体の、流出口およびバイパス口への流量をそれぞれ制御することである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る流体制御弁によれば、一体的に形成されることにより、支軸部材自体の寸法精度を向上させることができる。また、電動モータ等により位置決めされる当該支軸部材によって、弁軸の外周面を支持することにより、電動モータ等の軸心と支軸部材の(支持部位の)軸心との位置ずれを低減できる。したがって、弁軸が半径方向に安定して支持されるため、噛みこむことなくスムーズに移動でき、流体制御弁のシール性能を向上させることができる。
また、支軸部材が一体的に形成されているため、部品点数を低減することができ、小型で低コストの流体制御弁にすることができる。
【0015】
請求項2に係る流体制御弁によれば、弁軸の先端を取付部内に挿入した後、取付部をかしめてバルブ部材を弁軸に取り付けることにより、バルブ部材を直接に弁軸に取り付けることができるため、部品点数を低減することができ、小型で低コストの流体制御弁にすることができる。
【0016】
請求項3に係る流体制御弁によれば、支軸部材がバルブハウジングの一部を形成することにより、さらに部品点数を低減することができるため、いっそう低コストの流体制御弁にすることができる。
また、支軸部材には、外周面を破断させてバルブハウジングの内部へと筒状に延在した弁軸収容部を形成し、弁軸はメカ内蔵部から突出して弁軸収容部内を貫通し、弁軸収容部の内周面により支持されていることにより、支軸部材において、弁軸の支持部位を容易に形成することができる。
【0017】
請求項4に係る流体制御弁によれば、弁軸収容部の入口内周面がメカ内蔵部の外周面と嵌合して、支軸部材はモータハウジングに対して位置決めされることにより、弁軸収容部とメカ内蔵部とを嵌合させるのみで、支軸部材の位置決めを容易に行うことができ、組付作業性のよい流体制御弁にすることができる。
【0018】
請求項5に係る流体制御弁によれば、バルブハウジングは、流入口から供給された流体が排出されるバイパス口と、接続弁座と対向して設けられ、バルブ部材の他側の面が着座あるいは離間して、流入口とバイパス口との間を断続するバイパス弁座と、を有し、バルブ部材は、接続弁座とバイパス弁座との間において任意の位置をとり、流入口から供給された流体の流出口およびバイパス口への流量をそれぞれ制御することにより、流体の分流量を制御する三方弁において、シール性能を向上させ、部品点数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1による燃料電池システムを示したブロック図
【図2】図1に示したエア調圧弁の部分断面図
【図3】図2に示したエア調圧弁の閉弁時の部分断面図
【図4】図2に示したエア調圧弁に含まれたステッピングモータの出力シャフトとバルブシャフトとの係合状態を示した簡略的な断面図
【図5】図4のA−A断面図
【図6】バルブシャフトにバルブフレームをかしめる方法を示した簡略図
【図7】実施形態1によるエア調圧弁の変形実施形態を説明するための工程図
【図8】本発明の実施形態2によるエア調圧弁を示した部分断面図
【図9】本発明の実施形態3による三方弁を示した部分断面図
【図10】図9に示した三方弁のバイパス弁座が閉じた時の部分断面図
【図11】図9に示した三方弁の制御弁座が閉じた時の部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
図1乃至図7に基づき、本発明の実施形態1によるエア調圧弁4について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態によるエア調圧弁4(流体制御弁に該当する)は、車両に搭載された燃料電池システム1の酸素系2に適用されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるべきものではなく、燃料供給系システムあるいは油圧ブレーキシステムといった、車両用流体制御弁として広範囲に使用することが可能であり、また、家庭用機器もしくは一般産業機械用の流体制御弁としても適用することが可能である。
また、以下、図2における上方および下方を、それぞれエア調圧弁4の上方および下方とし、図2における右方および左方を、それぞれエア調圧弁4の右方および左方として説明しているが、車両におけるエア調圧弁4の実際の取付方向とは無関係である。
【0022】
図1に示すように、燃料電池システム1は、酸素系2、燃料系5、電池スタック6、動力系7、冷却系8および制御装置9とから形成されている。
電池スタック6は、これに限定されるべきものではないが、複数の固体高分子型の単セルが積層されることで形成されている。複数の単セルは電気的に直列に接続されており、各々の単セルは電解質膜と、これを挟むアノード極およびカソード極(いずれも図示せず)を含んでいる。また、単セルのアノードセパレータ(図示せず)には、アノード極に対して水素ガスを供給するためのアノード流路61が形成されており、カソードセパレータ(図示せず)には、カソード極に対して空気を供給するためのカソード流路62が形成されている。
【0023】
酸素系2は酸素系供給配管21aを備えており、酸素系供給配管21aは電池スタック6内のカソード流路62の一端と接続されている。酸素系供給配管21a上には、電池スタック6に向けて順に、エアフィルタ22、エアコンプレッサ23、インタークーラ24および三方弁3が形成されている。
カソード流路62の他端には酸素系排出配管21bの一端が接続されており、酸素系排出配管21b上には、2ポートの流体制御弁であるエア調圧弁4が設けられている。また、前述した三方弁3は3ポートの流体制御弁であって、バイパス管路21cの一端が接続されており、バイパス管路21cの他端は、酸素系排出配管21bのエア調圧弁4よりも下流側部位(電池スタック6が接続されていない側)に接続されている。
【0024】
一方、燃料系5は、燃料系供給配管51aの一端に水素タンク52が接続されており、燃料系供給配管51a上には遮断弁53が形成されている。燃料系供給配管51aの他端は、電池スタック6内のアノード流路61の一端と接続されている。アノード流路61の他端には、燃料系排出配管51bが接続されており、燃料系排出配管51b上には、電池スタック6に近い側から順に、気液分離器54、排気排水弁55および排出ガス希釈器56が形成されている。排出ガス希釈器56には、上述した酸素系排出配管21bの他端が接続されている。
【0025】
また、気液分離器54は燃料系循環路51cを介して、燃料系供給配管51a上の遮断弁53とアノード流路61との接続部との間の部位に接続されている。燃料系循環路51c上には循環ポンプ57が設けられており、気液分離器54からアノード流路61に向けて水素ガスを循環させている。
動力系7は、車両を走行させるための電動モータ71を備えている。電動モータ71は電池スタック6の正極および負極と接続されており、電池スタック6の発電によって駆動される。
【0026】
また、冷却系8は水冷ポンプ81を備え、電池スタック6内に冷却水を循環させて電池スタック6を冷却している。
制御装置9は、エアコンプレッサ23、三方弁3、エア調圧弁4、遮断弁53、循環ポンプ57および冷却ポンプ81と電気的に接続されている。制御装置9は車両の走行状態に応じて算出された電池スタック6の必要な発電量に基づき、これらの各構成要素の作動を制御している。
【0027】
上述した構成により、車両が走行開始すると、制御装置9はエアコンプレッサ23を作動させてカソード流路62へ空気を供給するとともに、遮断弁53および循環ポンプ57を作動させてアノード流路61へ水素ガスを供給し、電池スタック6において発電を行う。
酸素系2において、エアフィルタ22を介して吸引された酸素を含んだ空気は、エアコンプレッサ23において圧縮された後、インタークーラ24によって冷却される。三方弁3は、電池スタック6の発電量に応じてバルブ部材の位置を変位させ、インタークーラ24から供給された空気を分流してバイパス配管21cへ逃すことにより、電池スタック6への空気の流量を制御している。
また、エア調圧弁4は、その開度を調整し電池スタック6内に残存した空気の排出量を調整することにより、電池スタック6内の圧力を制御している。
【0028】
アノード流路61から排出される水素オフガス(燃料ガスオフガス)には発電に使用されなかった水素ガスと発電によって生成された水(水蒸気)が含まれている。気液分離器54は水素ガスと水を分離する機能を有している。気液分離器54で分離された水素ガスは循環ポンプ57により燃料系循環路51cを介して燃料系供給配管51aに供給され循環される。気液分離器54で分離された水(液状)は排気排水弁55が開状態になったとき、水素ガスとともに排出ガス希釈器56に送られる。気液分離器54から排出ガス希釈器56に排出された水素ガスは、排出ガス希釈器56において、酸素系排出配管21bから供給された空気により希釈化された後、水とともに外部へと放出される。
【0029】
次に、エア調圧弁4の構造について詳細に説明する。図2に示したように、エア調圧弁4は、バルブハウジング41の外周面にモータアッセンブリ42が取り付けられて形成されている。バルブハウジング41は、ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材料にて形成されたバルブボデー411と、金属板により一体に形成されたバルブカバー412(支軸部材に該当する)とを互いに結合させて形成されている。
【0030】
バルブボデー411には、バルブカバー412の取り付け用の金属製のカバー取付スリーブ411aがインサートされている。また、バルブボデー411のフランジ部411bには、エア調圧弁4を車両に取り付けるための金属スリーブ411cがインサートされている。カバー取付スリーブ411aおよび金属スリーブ411cの内周面には、雌螺子が形成されている。
【0031】
バルブボデー411には、図2において右方に開口する調圧弁インレット411d(流入口に該当する)が形成されている。調圧弁インレット411dは、上述した酸素系排出配管21bを介して、電池スタック6のカソード流路62の他端に接続されている(図1示)。また、バルブボデー411には、調圧弁インレット411dに対し垂直方向に開口(図2において下方に開口)する調圧弁アウトレット411e(流出口に該当する)が形成されている。調圧弁アウトレット411eは、上述した酸素系排出配管21bを介して、排出ガス希釈器56に接続されている。
【0032】
さらに、バルブボデー411の内周面において、調圧弁インレット411dと調圧弁アウトレット411eとの間には調圧弁座411f(接続弁座に該当する)が形成されている。調圧弁座411fは平坦な円環状に形成されている。
バルブカバー412は、貫通させた取付ボルト413をカバー取付スリーブ411aに締め付けることによって、バルブボデー411の上端面に取り付けられている。バルブカバー412は、バルブボデー411への取付面412aと、取付面412aから上方へと突出したモータ取付部412bと、モータ取付部412bの中央部において段付状に下降し、下端部が開口したシャフト収容部412c(弁軸収容部に該当する)とにより形成されている。シャフト収容部412cは、モータ取付部412bの外周面を破断させてバルブハウジング41の内部へと筒状に延在している。
また、モータ取付部412bの上面には、複数の雌螺子穴412dが設けられている。バルブカバー412は、金属板をプレス成型することにより、上述した取付面412a、モータ取付部412bおよびシャフト収容部412cが一体に形成されている。
【0033】
モータ取付部412bの上面には、上述したモータアッセンブリ42が取り付けられている。モータアッセンブリ42は、モータケース421(モータハウジングに該当する)内に、後述するステッピングモータ422(電動モータに該当する)と、直動変換機構423(駆動機構に該当する)が収容されて形成されている。モータケース421は、後述するようにバルブカバー412のモータ取付部412bに取り付けられる取付フランジ421b(フランジ部に該当する)と、直動変換機構423を収容するために取付フランジ421bから突出した機構収容部421a(メカ内蔵部に該当する)とを有している。
【0034】
モータアッセンブリ42は、機構収容部421aの外周面をシャフト収容部412cの入口内周面に嵌合させた状態(インロー)で、取付フランジ421bに貫通させた複数の取付スクリュー43を、モータ取付部412bの雌螺子穴412dに締め付けることによってバルブカバー412に固定される。取付スクリュー43は取付フランジ421bに形成された貫通孔(図示せず)に対して遊嵌しており、バルブカバー412は、シャフト収容部412cの入口内周面が機構収容部421aの外周面に当接することにより、そのモータアッセンブリ42に対する位置決めが行われる。
【0035】
図4に示したように、モータケース421の内壁には、ステッピングモータ422が固定されている。ステッピングモータ422の出力シャフト422aの先端は円筒形状を呈しており、その軸心部には駆動孔422bが形成されている。駆動孔422bの内周面には所定の長さの雌螺子が形成されており、バルブシャフト44(弁軸に該当する)の端部外周面に形成された雄螺子部441と螺合している。
【0036】
バルブシャフト44はステンレス等の金属材料にて形成され、その雄螺子部441の下方には二面幅部442が形成されている。二面幅部442は、モータケース421の下端部に形成された一対の対向面421cと係合しており、これによって、バルブシャフト44はモータケース421に対して回転不能となっている(図5示)。したがって、ステッピングモータ422の出力シャフト422aが一方向に回転すると、バルブシャフト44がバルブハウジング41内において軸方向に下降し、出力シャフト422aが反対方向に回転すると、バルブシャフト44は上昇する。ステッピングモータ422の出力シャフト422aと、出力シャフト422aと螺合したバルブシャフト44とによって、上述した直動変換機構423が形成されている。
【0037】
上述したバルブシャフト44の雄螺子部441と、出力シャフト422aの雌螺子とは、ともに台形ネジにより形成されており、バルブシャフト44と出力シャフト422aとの間の逆効率がほぼ0に設定されていることが望ましい。これにより、バルブシャフト44と出力シャフト422aとの間の動作の伝達が不可逆的に形成され、エア調圧弁4が閉じられている状態で、バルブシャフト44から出力シャフト422aに向けて戻し荷重が働いた場合に、出力シャフト422aは開弁する方向に回転せず、不用意にエア調圧弁4が開弁することがない。
【0038】
図2に示したように、モータアッセンブリ42がバルブカバー412に取り付けられた状態で、機構収容部421aはシャフト収容部412c内に突出し、さらに、機構収容部421aからはバルブシャフト44が突出して、シャフト収容部412c内を貫通している。
バルブシャフト44の二面幅部442の下方には、モータケース421から突出し一定の径により軸方向に延びた円柱部443が形成されている。円柱部443の外周面は、バルブカバー412のシャフト収容部412cの下端に形成されたシャフトリテーナ部412eにより、軸方向に移動可能に支持されている。互いに当接する円柱部443の外周面またはシャフトリテーナ部412eには無電解ニッケルメッキ等が施され、その摺動面の耐摩耗性を向上させている。
【0039】
さらに、円柱部443の先端部には、小径の橋部444を介して略球状の支持体445が一体に形成されている。バルブシャフト44の先端部に形成された支持体445には、バルブシャフト44の軸心に対し半径方向に延びるように、バルブ部材45が取り付けられている。
バルブ部材45のバルブフレーム451は、ステンレス等の金属板がプレス成形されて形成されている。バルブフレーム451は、バルブシャフト44の軸心に対し、半径方向に円板状に延びた平板部451aを有しており、平板部451aには外周縁を覆うようにシール部材452が固着されている。
【0040】
シール部材452は、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)またはEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)といった耐熱性を有する合成ゴム材料にて形成されている。シール部材452の下面には、バルブ部材45の下降により、バルブボデー411に形成された調圧弁座411fと当接可能なシールリップ452aが突出している。図2に示したように、シールリップ452aは、発電停止時に、電池スタック6内に残留した水素ガスと酸素の反応や電池スタック6の温度低下による残留水蒸気の凝縮などによって発生する負圧によりセルフシールするように、半径方向内向き(調圧弁アウトレット411eに向いて)に形成されている。
【0041】
バルブフレーム451には、平板部451aの半径方向中心部に連続した段部451b(平板部451aおよび段部451bを包括した構成が延在部に該当する)が形成されている。段部451bはバルブシャフト44の軸方向に延びており、径方向の段差が軸方向に並ぶように2箇所に形成されている。
また、バルブフレーム451は、一端が段部451bに連続した円筒部451cを有している。円筒部451cは、平板部451aに対して垂直方向に延び、バルブシャフト44の円柱部443が挿入されている。さらに、バルブフレーム451は、円筒部451cの他端に連続して形成され、先端が半球状の曲面によって袋状に閉じていることにより、バルブシャフト44の支持体445の曲面を受けることが可能な取付部451dを有している。取付部451dはかしめられることにより、支持体445に直接に固定されている。
【0042】
図6に示したように、最初に、取付部451d内にバルブシャフト44の支持体445を挿入した後、円周上に互いの間が等角になるように配置された3つのパンチPを半径方向内方に同時に作動させ、取付部451dの外周面の3箇所を支持体445に向けて均等にかしめる。これによって、取付部451dの外周面の3箇所にはかしめ部451eが形成される。
次に、パンチPを戻した状態で、バルブフレーム451を60°回転させた後、上述したパンチPによって同様にかしめられる。これによって、取付部451dはバルブシャフト44の支持体445に対して、円周上の6箇所のかしめ部451eにおいて均等にかしめられ、支持体445に対して脱落不能に接続される。
【0043】
図2に戻って、バルブフレーム451の段部451bの内周面には、上方からスプリングリテーナ453が圧入固定されている。スプリングリテーナ453は、金属板がプレス工程にて絞られて形成されている。スプリングリテーナ453は、段部451bの下方に形成された段差と円柱部443との間に位置する円筒状の固定部453aと、固定部453aから半径方向外方へと拡がった肩部453bとを有している。
【0044】
スプリングリテーナ453の固定部453aは、肩部453bがバルブフレーム451の平板部451aの上面に当接するまで、バルブフレーム451の段部451bの内周面に圧入されている。段部451bに圧入された固定部453aは、バルブシャフト44の円柱部443の外周面との間には隙間を有している。
また、段部451bの上方に形成された段差と固定部453aとの間には、シール部材であるOリング454が介装されている。Oリング454は、バルブフレーム451と固定部453aとの間においてシール機能を発揮し、エア調圧弁4内に浸入した水分または異物等が、バルブフレーム451の取付部451dあるいは後述するダイヤフラム46で区分けされた空気室415まで浸入することを防止している。
さらに、スプリングリテーナ453は、肩部453bから上方へと延びた連結部453cと、連結部453cから半径方向外方へと拡がる締付部453dとを備えている。
【0045】
一方、ダイヤフラム保持体455は、半径方向内端にバルブシャフト44の軸方向に延びる係合部455aを有し、係合部455aの上端からは、押圧部455bが半径方向に延びている。押圧部455bの下面がスプリングリテーナ453の連結部453cの上端に当接するまで、係合部455aが連結部453cの内周面に圧入されることにより、スプリングリテーナ453とダイヤフラム保持体455は一体化されている。
【0046】
スプリングリテーナ453の締付部453dとダイヤフラム保持体455の押圧部455bとの間には、ダイヤフラム46の内周縁が固定されている。ダイヤフラム46は合成ゴム材料にて一体的に形成されており、略中央部には表裏を貫通する装着孔461が形成されている。装着孔461の周縁は、締付部453dと押圧部455bとにより上下方向に挟圧され、双方の間において液密的に固定されている。
【0047】
ダイヤフラム46の外周縁は、前述したバルブボデー411の上端面とバルブカバー412のモータ取付部412bの下端との間において挟圧され、液密的に固定されている。このように、ダイヤフラム46がバルブハウジング41の内周面とバルブ部材45とに取り付けられることにより、ダイヤフラム46およびバルブ部材45によって、バルブハウジング41の内部が2つに区分けされている。すなわち、バルブハウジング41の内部は、調圧弁インレット411d、調圧弁アウトレット411eおよび調圧弁座411fを含み供給された流体が通過する流体室414と、流体等の進入が防止され空気が充填されている空気室415とが形成されている。空気室415は、バルブカバー412に設けられた図示しない通気孔により外気に連通している。
【0048】
スプリングリテーナ453の肩部453bと、バルブカバー412のシャフト収容部412cの段部との間には、バルブシャフト44を円周方向に取り囲むようにコイルスプリング47が介装されている。コイルスプリング47は、スプリングリテーナ453とバルブカバー412との間に弾発的に装着され、バルブ部材45をバルブシャフト44の先端方向に向けて付勢している。
【0049】
次に、エア調圧弁4の作動方法について簡単に説明する。バルブシャフト44が上方にあり、バルブ部材45のシール部材452が調圧弁座411fから離間している時、エア調圧弁4は開状態にある(図2示)。この状態において、調圧弁インレット411dと調圧弁アウトレット411eとが連通しており、双方の間の空気等の流体の流通は許容されている。
【0050】
制御装置9からの駆動信号により、ステッピングモータ422が一方向に回転すると、バルブ部材45がバルブシャフト44とともに軸方向に下降し、シール部材452が調圧弁座411fに着座する(図3示)。これにより、エア調圧弁4は閉状態となり、調圧弁インレット411dと調圧弁アウトレット411eとの間の連通が遮断され、双方の間の流体の流通は断たれる。
【0051】
本実施形態によれば、一体的に形成されることにより、バルブカバー412自体の寸法精度を向上させることができる。また、モータアッセンブリ42により位置決めされる当該バルブカバー412によって、バルブシャフト44の外周面を支持することにより、ステッピングモータ422等の軸心と、バルブカバー412のシャフトリテーナ部412eの軸心との位置ずれを低減できる。したがって、バルブシャフト44が半径方向に安定して支持されるため、噛みこむことなくスムーズに移動でき、エア調圧弁4のシール性能を向上させることができる。
【0052】
また、バルブカバー412が一体的に形成されているため、部品点数を低減することができ、小型で低コストのエア調圧弁4にすることができる。
また、バルブシャフト44の先端を取付部451d内に挿入した後、取付部451dをかしめてバルブ部材45をバルブシャフト44に取り付けることにより、バルブ部材45を直接にバルブシャフト44に取り付けることができるため、部品点数を低減することができ、小型で低コストのエア調圧弁4にすることができる。
また、バルブカバー412がバルブハウジング41の一部を形成することにより、さらに部品点数を低減することができるため、いっそう低コストのエア調圧弁4にすることができる。
【0053】
また、バルブカバー412には、モータ取付部412bを破断させてバルブハウジング41の内部へと筒状に延在したシャフト収容部412cを形成し、バルブシャフト44は機構収容部421aから突出してシャフト収容部412c内を貫通し、シャフト収容部412cの内周面により支持されていることにより、バルブカバー412において、バルブシャフト44の支持部位を容易に形成することができる。
【0054】
また、シャフト収容部412cの入口内周面が機構収容部421aの外周面と嵌合して、バルブカバー412はモータケース421に対して位置決めされることにより、シャフト収容部412cと機構収容部421aとを嵌合させるのみで、バルブカバー412の位置決めを容易に行うことができ、組付作業性のよいエア調圧弁4にすることができる。
また、バルブシャフト44の円柱部443またはバルブカバー412のシャフトリテーナ部412eには、耐摩耗性のメッキ処理が施されているため、摺動用のカラー等を省略でき、低コストなエア調圧弁4にすることができる。
【0055】
尚、上述した実施形態においては、取付部451dをかしめてバルブフレーム451をバルブシャフト44に取り付けているが、本発明は、必ずしもかしめによってバルブフレーム451とバルブシャフト44とを接続しなければならないわけではない。例えば、かしめの方法に代えて、図7に示したように、バルブフレーム451をバネ鋼によって形成し、取付部451dを拡径させながら、バルブシャフト44の支持体445を取付部451d内に挿入して、バルブフレーム451とバルブシャフト44とを直接に接続するようにしてもよい。
【0056】
<実施形態2>
次に、本発明を適用した実施形態2によるエア調圧弁4A(流体制御弁に該当する)について、図8に基づき、エア調圧弁4に対する相違点のみについて説明する。尚、図8において、図2に示したエア調圧弁4と同様の構成には同じ符号を付してある。
図8に示したように、エア調圧弁4Aは、バルブハウジング41Aの外周面にモータアッセンブリ42が取り付けられて形成されている。バルブハウジング41Aは、ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材料にて、それぞれ一体に形成されたバルブボデー411Aとバルブカバー416(支軸部材に該当する)とを互いに結合させて形成している。
【0057】
バルブボデー411Aのフランジ部411bには、金属スリーブ411cがインサートされている。また、バルブカバー416の取付フランジ416aには、金属製の挿通スリーブ416bがインサートされている。バルブカバー416は、挿通スリーブ416bに貫通させた取付ボルト413を、金属スリーブ411cに締め付けることによって、バルブボデー411Aの上端面に取り付けられている。
取付フランジ416aには、複数の位置決め孔416cが貫通しており、位置決め孔416cにはバルブボデー411Aの突部411gが嵌合している。取付ボルト413は挿通スリーブ416bに対して遊嵌しており、バルブカバー416は、位置決め孔416cに突部411gが嵌合することにより、そのバルブボデー411Aに対する位置決めが行われる。
【0058】
バルブカバー416は、取付フランジ416aから上方へと突出したモータ取付部416dと、モータ取付部416dの中央部において段付状に下降し、下端部が開口したシャフト収容部416e(弁軸収容部に該当する)とを備えている。シャフト収容部416eは、モータ取付部416dの外周面を破断させてバルブハウジング41Aの内部へと筒状に延在している。また、モータ取付部416dの上面には、複数の金属製の締結スリーブ416fがインサートされており、各々の締結スリーブ416fには雌螺子が形成されている。
【0059】
モータ取付部416dの上面には、上述したモータアッセンブリ42が取り付けられている。モータアッセンブリ42は、機構収容部421aの外周面をシャフト収容部416eの入口内周面に嵌合させた状態(インロー)で、取付フランジ421bに貫通させた複数の取付スクリュー43を締結スリーブ416fに締め付けることによってバルブカバー416に固定される。取付スクリュー43は取付フランジ421bに形成された貫通孔(図示せず)に対して遊嵌しており、バルブカバー416は、シャフト収容部416eの入口内周面が機構収容部421aの外周面に当接することにより、そのモータアッセンブリ42に対する位置決めが行われる。
【0060】
図8に示したように、モータアッセンブリ42がバルブカバー416に取り付けられた状態で、機構収容部421aはシャフト収容部412c内に突出し、さらに、機構収容部421aからはバルブシャフト44が突出して、シャフト収容部416e内を貫通している。
シャフト収容部416eの下端には、シャフトリテーナ部416gが形成され、その内周面には支持カラー416hがインサートあるいは接着されている。バルブシャフト44の円柱部443の外周面は、支持カラー416hにより軸方向に移動可能に支持されている。互いに当接する円柱部443の外周面または支持カラー416hには無電解ニッケルメッキ等が施され、その摺動面の耐摩耗性を向上させている。
ダイヤフラム保持体455は、リテーナ453の連結部453cの内周面に圧入された係合部455a、係合部455aの上端から半径方向に延びた押圧部455b、および押圧部455bの上面に立設されたバネ保持部455cを備えている。
【0061】
ダイヤフラム保持体455の押圧部455bと、バルブカバー416のモータ取付部416dの下面との間には、シャフト収容部416eを円周方向に取り囲むようにコイルスプリング48が介装されている。コイルスプリング48は、図2に示したエア調圧弁4におけるコイルスプリング47に代わるものであり、ダイヤフラム保持体455とバルブカバー416との間に弾発的に装着され、バルブ部材45をバルブシャフト44の先端方向に向けて付勢している。
エア調圧弁4Aについてのその他の構成および作動方法については、実施形態1によるエア調圧弁4と同様であるため、これ以上の説明は省略する。
【0062】
<実施形態3>
次に、本発明を適用した実施形態3による三方弁3(流体制御弁に該当する)の構造について、図9乃至図11に基づき詳細に説明する。尚、以下、図9における上方および下方を、それぞれ三方弁3の上方および下方とし、図9における右方および左方を、それぞれ三方弁3の右方および左方として説明しているが、車両における三方弁3の実際の取付方向とは無関係である。
【0063】
図9に示したように、三方弁3も実施形態1によるエア調圧弁4と同様に、バルブハウジング31の外周面にモータアッセンブリ32が取り付けられて形成されている。バルブハウジング31は、ともにポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材料にてそれぞれ一体に形成された第1ボデー311(支軸部材に該当する)と第2ボデー312とを、互いに液密的に嵌合させて形成している。
【0064】
第1ボデー311には、図9において右方に開口する三方弁インレット311a(流入口に該当する)が形成されている。三方弁インレット311aは、上述した酸素系供給配管21aを介して、インタークーラ24に接続されている(図1示)。また、第2ボデー312には、三方弁インレット311aに対し垂直方向に開口(図9において下方に開口)する三方弁アウトレット312a(流出口に該当する)が形成されている。三方弁アウトレット312aは、上述した酸素系供給配管21aを介して、電池スタック6のカソード流路62の一端に接続されている(図1示)。また、第1ボデー311には、図9において左方に開口するバイパス口311bが形成されている。バイパス口311bは、上述したバイパス配管21cを介して、排出ガス希釈器56に接続されている(図1示)。
【0065】
また、第2ボデー312の内周面において、三方弁インレット311aと三方弁アウトレット312aとの間には制御弁座312b(接続弁座に該当する)が形成されている。制御弁座312bは平坦な円環状に形成されている。
また、第1ボデー311の内部上面からは、円筒状の着座体311cが下方に延びている。着座体311cの下端は平坦に形成され、三方弁インレット311aおよび三方弁アウトレット312aと、バイパス口311bとの間に位置するバイパス弁座311dが形成されている。バイパス弁座311dは、上述した制御弁座312bと対向するように形成されている。また、第1ボデー311の内周上面からは、着座体311cの半径方向内方に位置するように、円筒形のシャフト支持部311eが突出している。
【0066】
実施形態1によるエア調圧弁4と同様に、バルブハウジング31の上面には、上述したモータアッセンブリ32が取り付けられている。モータアッセンブリ32は、モータケース321(モータハウジングに該当する)内に、前述したステッピングモータ422と、直動変換機構423が収容されて形成されている。モータケース321は、後述するように第1ボデー311のモータ取付ボス311fに取り付けられる取付フランジ321b(フランジ部に該当する)と、直動変換機構423を収容するために取付フランジ321bから突出した機構収容部321a(メカ内蔵部に該当する)とを有している。
モータアッセンブリ32は、モータケース321の機構収容部321aの外周面を、第1ボデー311のモータ取付ボス311fの入口内周面に嵌合させた状態(インロー)で、取付フランジ321bに貫通させた図示しない複数の取付スクリューを、第1ボデー311に締め付けることによって第1ボデー311に固定される。取付スクリューは取付フランジ321bに形成された貫通孔(図示せず)に対して遊嵌しており、モータアッセンブリ32は、機構収容部321aがモータ取付ボス311fの入口内周面に当接することにより、その位置決めが行われる。
【0067】
エア調圧弁4と同様に、モータケース321内には、ステッピングモータ422が固定されており、ステッピングモータ422の出力シャフト422aの回転運動は直進運動に変換され、バルブシャフト33(弁軸に該当する)に伝達される。バルブシャフト33は、上述したシャフト支持部311eの内周面において、その軸方向に移動可能に支持されている。エア調圧弁4に対して三方弁3は、その作動回数が比較的少ないため、バルブシャフト33との摺動面が樹脂材料製であっても、その耐摩耗性についての問題はない。
【0068】
バルブシャフト33の長さ方向の略中央部には、一定の径により軸方向に延びた円柱部331が形成されている。また、円柱部331の上方には、円柱部331と同径の第1ランド部332が設けられており、円柱部331と第1ランド部332との間には、第1シール溝333が円周上に形成されている。第1シール溝333内には、合成ゴム材料にて形成されたシールパッキン34が装着されている。シールパッキン34は、バルブシャフト33の外周面とシャフト支持部311eの内周面との間でシール性能を発揮し、モータアッセンブリ32内への水、異物等の浸入を防止している。
【0069】
バルブシャフト33の先端部には、小径の橋部334を介して略球状の支持体335が一体に形成されている。エア調圧弁4と同様に、支持体335にはバルブ部材35が取り付けられている。バルブ部材35のバルブフレーム351は、バルブシャフト33の軸心に対し、半径方向に円板状に延びた平板部351aを有しており、平板部351aにはその外周面(上面および外周縁)を覆うように、合成ゴム材料にて形成されたシール部材352が被覆されている。
【0070】
シール部材352の下面には、バルブ部材35の下降により、第2ボデー312に形成された制御弁座312bと当接可能なシールリップ352aが突出している。図9に示したように、シールリップ352aは、電池スタック6内に残留した水素ガスと酸素の反応によって発生する負圧によりセルフシールするように、半径方向外向きに形成されている。また、シール部材352の上面は平坦に形成され、バルブ部材35の上昇により、第1ボデー311に形成されたバイパス弁座311dと当接可能となっている。
【0071】
バルブフレーム351には、平板部351aの半径方向中心部において、バルブシャフト33の先端方向に窪んだ凹部351b(平板部351aおよび凹部351bを包括した構成が延在部に該当する)が形成されている。また、バルブフレーム351は、一端が凹部351bの内周端に連続した円筒部351cを有している。円筒部351cは、平板部351aに対して垂直方向に延び、バルブシャフト33の円柱部331が挿入されている。
さらに、バルブフレーム351は、エア調圧弁4と同様に、円筒部351cの他端に連続して形成され、バルブシャフト33の支持体335を受け入れる取付部351dを有している。取付部351dは、かしめによりバルブシャフト33の支持体335に対し脱落不能に固定されている。
【0072】
バルブシャフト33において、上述した橋部334の上方には円柱部331と同径の第2ランド部336が設けられており、円柱部331の下端と第2ランド部336との間には、第2シール溝337が円周上に形成されている。第2シール溝337内には、合成ゴム材料にて形成されたリング状のシャフトシール36が装着されている。シャフトシール36は、バルブシャフト33の外周面とバルブフレーム351の円筒部351cの内周面との間でシール性能を発揮し、バルブフレーム351の円筒部351cおよび取付部351d内への水、異物等の浸入を防止している。
【0073】
また、バルブフレーム351の凹部351bと、第1ボデー311の内部上面との間には、バルブスプリング37が介装されている。バルブスプリング37の内周面は、上述したシャフト支持部311eの外周面に嵌着している。バルブスプリング37は、バルブフレーム351と第1ボデー311との間に弾発的に装着され、バルブ部材35をバルブシャフト33の先端方向に向けて付勢している。
【0074】
次に、三方弁3の作動方法について簡単に説明する。バルブシャフト33が上方にある時、バルブ部材35のシール部材352の上面がバイパス弁座311dに着座するとともに、制御弁座312bから離間している(図10示)。この時、三方弁インレット311aと三方弁アウトレット312aとは連通し、双方の間の空気等の流体の流通が許容されるとともに、三方弁インレット311aおよび三方弁アウトレット312aと、バイパス口311bとの間の連通は遮断され、これらの間の流体の流通は断たれる。
【0075】
制御装置9からの駆動信号により、ステッピングモータが一方向に回転すると、バルブ部材35がバルブシャフト33とともに軸方向に下降し、シール部材352の上面がバイパス弁座311dから離間するとともに、シールリップ352aが制御弁座312bに着座する(図11示)。この時、三方弁インレット311aとバイパス口311bとが連通し、双方の間の空気等の流体の流通が許容されるとともに、三方弁インレット311aおよびバイパス口311bと、三方弁アウトレット312aとの間の連通は遮断され、これらの間の流体の流通は断たれる。
三方弁3において、バルブ部材35は、制御弁座312bとバイパス弁座311dとの間において任意の位置をとることにより、三方弁インレット311aから供給された流体の、三方弁アウトレット312aおよびバイパス口311bへそれぞれ分流される流量を、流体が通過する通路の断面積に基づき制御することができる(図9示)。
【0076】
本実施形態によれば、バルブハウジング31は、三方弁インレット311aから供給された流体が排出されるバイパス口311bと、制御弁座312bと対向して設けられ、バルブ部材35の上面が着座あるいは離間して、三方弁インレット311aとバイパス口311bとの間を断続するバイパス弁座311dと、を有し、バルブ部材35は、制御弁座312bとバイパス弁座311dとの間において任意の位置をとり、三方弁インレット311aから供給された流体の、三方弁アウトレット312aおよびバイパス口311bへの流量をそれぞれ制御することにより、流体の分流量を制御する三方弁3において、シール性能を向上させ、部品点数を低減することができる。
【0077】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
実施形態1および実施形態2において、互いに当接するバルブシャフト44の円柱部443、シャフトリテーナ部412eおよび支持カラー416hには、摺動面の耐摩耗性を向上させるために、無電解ニッケルメッキ以外の表面処理を行ってもよい。例えば、流体制御弁の作動回数に応じて、硬質クロムメッキを施こす、または二流化モリブデンをコーティングする、もしくはダイヤモンドライクカーボン(DLC)皮膜を形成するといった方法を適宜選択することができる。
【0078】
また、バルブカバー412、416、第1ボデー311は、プレス成形された1枚の金属板により形成したり、合成樹脂材料にて一体成形するように、必ずしも完全な単一部材にて形成しなければならないわけではない。すなわち、モータアッセンブリ32、42等への取付部位とバルブシャフト33、44の支持部位との間において、所定の位置精度が得られるのであれば、バルブカバー412等を、複数の金属板を溶接等により接合して一体に形成したり、樹脂材料にて形成された複数のピースを溶着等により接合して一体に形成してもよい。
また、図2および図9に示したバルブ部材35、45において、円筒部351c、451cの下方に平板部351a、451aを形成し、さらに、平板部351a、451aの下方に、平板部351a、451aに連続するように取付部351d、451dを形成してもよい。
【符号の説明】
【0079】
図面中、3は三方弁(流体制御弁)、4,4Aはエア調圧弁(流体制御弁)、31,41,41Aはバルブハウジング、33,44はバルブシャフト(弁軸)、35,45はバルブ部材、311は第1ボデー(支軸部材)、311aは三方弁インレット(流入口)、311bはバイパス口、311dはバイパス弁座、312aは三方弁アウトレット(流出口)、312bは制御弁座(接続弁座)、321b,421bは取付フランジ(フランジ部)、351,451はバルブフレーム、351a,451aは平板部(延在部)、351bは凹部(延在部)、351d,451dは取付部、352,452はシール部材、411dは調圧弁インレット(流入口)、411eは調圧弁アウトレット(流出口)、411fは調圧弁座(接続弁座)、412,416はバルブカバー(支軸部材)、412c,416eはシャフト収容部(弁軸収容部)、421はモータケース(モータハウジング)、421aは機構収容部(メカ内蔵部)、422はステッピングモータ(電動モータ)、423は直動変換機構(駆動機構)、451bは段部(延在部)を示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れを制御する流体制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
流体の流れを制御する流体制御弁に関するものは、従来から様々なものが提案されている。特許文献1に開示されたコントロールバルブは、冷凍サイクル装置の膨張弁等として使用されるものであり、ステッピングモータにより回転される雄ねじ軸が、箱状の弁ホルダを介して弁体と接続されている。弁ホルダ内には、雄ねじ軸との間に介装された圧縮コイルバネにより弁体に向けて付勢されたリテーナ部材が収容されている。
弁体が弁座面部と離間しており、コントロールバルブが開状態にある時、リテーナ部材の端部は弁ホルダの段状のストッパ面部に当接し、弁体とリテーナ部材との間には所定の隙間が設けられている。したがって、この状態においては、圧縮コイルバネの付勢力は弁体に作用せず、弁体はリテーナ部材に対して自由に相対回転することができる。
【0003】
雄ねじ軸が回転され、コントロールバルブが閉状態へと移行する場合、弁体は弁ホルダとともに下降して弁座面部に着座する。この時、弁体には圧縮コイルバネの付勢力が作用していないため、弁体は弁座面部の形状に倣って、ある程度の自由度で動くことができ、雄ねじ軸の回転によってつれ回りすることもない。したがって、弁体と弁座面部の接触面の摩耗量を極めて少なくすることができる。
弁体が弁座面部に着座した後は、弁体にリテーナ部材が当接して圧縮コイルバネの付勢力が作用するため、弁体が弁座面部に対して摺れ回りすることがなく、弁体と弁座面部の摩耗量を低減することが可能になる。これは、弁体が弁座面部から離間する場合にも同様である。
【0004】
また、特許文献2に開示されたものはガス流路に設けられた遮断弁であり、電動モータによって回転される回転軸の先端に形成されたリードスクリューに、弁体のリードナットを螺合させ、弁体のスリットをバルブボデーの突起に係合させて弁体の回転を防止している。
この遮断弁において、電動モータによって回転軸が回転されると、リードスクリューに噛み合った弁体が直進し、弁座に対して着座または離間することにより流路を開閉することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】再公表特許WO2006/064865号公報
【特許文献2】特開2006−258300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1に開示されたコントロールバルブは、開閉時の弁体と弁座面部の接触面の摩耗量を低減することができ、長期間に亘って双方の間のシール性を維持することが可能である。しかしながら、上述したコントロールバルブは、雄ねじ軸と弁体とが直接に連結されておらず、双方の間に複数の部材が介装されている。したがって、部品点数が増え、装置全体が大型化、重量化し、コストの増大を余儀なくされている。
【0007】
一方、特許文献2に開示された遮断弁は、弁体と回転軸とが直接的に接続されており、部品点数を低減することが可能である。しかしながら、当該遮断弁は、弁体を移動可能に安定的に支持することができず、弁座に対する弁体の姿勢が不安定になりやすく、シール性能が低下するという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、少ない部品点数で安定したシール性能を発揮することができる低コストの流体制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る流体制御弁の発明の構成は、内部に流体の流入口と流出口とが形成されたバルブハウジングと、バルブハウジングに取り付けられた電動モータと、電動モータの回転運動を直進運動に変換して弁軸に伝達し、弁軸をバルブハウジング中において軸方向に移動させる駆動機構と、弁軸に対し半径方向に延びるように取り付けられ、弁軸とともに移動することにより、一側の面において、バルブハウジング内に形成された接続弁座に対して着座あるいは離間し、流入口と流出口との間を断続するバルブ部材と、一体的に形成され、電動モータまたは駆動機構に固定されることにより位置決めされるとともに、弁軸の外周面を移動可能に支持する支軸部材と、を備えたことである。
【0009】
尚、上述した発明の構成のうち、支軸部材が一体的に形成されているとは、支軸部材をプレス成形された1枚の金属板により形成したり、合成樹脂材料にて一体成形するように、完全な単一部材にて形成する場合のみではなく、電動モータ等への取付部位と弁軸の支持部位との間において、所定の位置精度が得られるのであれば、複数の金属板を溶接等により接合して一体に形成したり、樹脂材料にて形成された複数のピースを溶着等により接合して一体に形成した場合等も含むものである。
【0010】
請求項2に係る発明の構成は、請求項1の流体制御弁において、バルブ部材は金属板をプレス成型して形成され、袋状に絞られ弁軸の先端が挿入される取付部と、取付部から半径方向外方に拡がった延在部とを有するバルブフレームと、延在部に取り付けられ、接続弁座に対して当接可能なシール部材と、を有し、弁軸の先端を取付部内に挿入した後、取付部をかしめることにより、バルブ部材は弁軸に取り付けられることである。
【0011】
請求項3に係る発明の構成は、請求項1または2の流体制御弁において、支軸部材はバルブハウジングの一部を形成し、支軸部材には外周面を破断させてバルブハウジングの内部へと筒状に延在した弁軸収容部が形成されており、電動モータおよび駆動機構はモータハウジング内に収容され、モータハウジングには、支軸部材の外周面に取り付けられたフランジ部と、少なくとも駆動機構を収容するためにフランジ部から弁軸収容部内に突出したメカ内蔵部とが形成され、弁軸はメカ内蔵部から突出して弁軸収容部内を貫通し、弁軸収容部の内周面により支持されていることである。
【0012】
請求項4に係る発明の構成は、請求項3の流体制御弁において、弁軸収容部の入口内周面がメカ内蔵部の外周面と嵌合することにより、支軸部材はモータハウジングに対して位置決めされることである。
【0013】
請求項5に係る発明の構成は、請求項1乃至4のうちのいずれかの流体制御弁において、バルブハウジングは、流入口から供給された流体が排出されるバイパス口と、接続弁座と対向して設けられ、バルブ部材の他側の面が着座あるいは離間することにより、流入口とバイパス口との間を断続するバイパス弁座と、を有し、バルブ部材は、接続弁座とバイパス弁座との間において任意の位置をとることにより、流入口から供給された流体の、流出口およびバイパス口への流量をそれぞれ制御することである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る流体制御弁によれば、一体的に形成されることにより、支軸部材自体の寸法精度を向上させることができる。また、電動モータ等により位置決めされる当該支軸部材によって、弁軸の外周面を支持することにより、電動モータ等の軸心と支軸部材の(支持部位の)軸心との位置ずれを低減できる。したがって、弁軸が半径方向に安定して支持されるため、噛みこむことなくスムーズに移動でき、流体制御弁のシール性能を向上させることができる。
また、支軸部材が一体的に形成されているため、部品点数を低減することができ、小型で低コストの流体制御弁にすることができる。
【0015】
請求項2に係る流体制御弁によれば、弁軸の先端を取付部内に挿入した後、取付部をかしめてバルブ部材を弁軸に取り付けることにより、バルブ部材を直接に弁軸に取り付けることができるため、部品点数を低減することができ、小型で低コストの流体制御弁にすることができる。
【0016】
請求項3に係る流体制御弁によれば、支軸部材がバルブハウジングの一部を形成することにより、さらに部品点数を低減することができるため、いっそう低コストの流体制御弁にすることができる。
また、支軸部材には、外周面を破断させてバルブハウジングの内部へと筒状に延在した弁軸収容部を形成し、弁軸はメカ内蔵部から突出して弁軸収容部内を貫通し、弁軸収容部の内周面により支持されていることにより、支軸部材において、弁軸の支持部位を容易に形成することができる。
【0017】
請求項4に係る流体制御弁によれば、弁軸収容部の入口内周面がメカ内蔵部の外周面と嵌合して、支軸部材はモータハウジングに対して位置決めされることにより、弁軸収容部とメカ内蔵部とを嵌合させるのみで、支軸部材の位置決めを容易に行うことができ、組付作業性のよい流体制御弁にすることができる。
【0018】
請求項5に係る流体制御弁によれば、バルブハウジングは、流入口から供給された流体が排出されるバイパス口と、接続弁座と対向して設けられ、バルブ部材の他側の面が着座あるいは離間して、流入口とバイパス口との間を断続するバイパス弁座と、を有し、バルブ部材は、接続弁座とバイパス弁座との間において任意の位置をとり、流入口から供給された流体の流出口およびバイパス口への流量をそれぞれ制御することにより、流体の分流量を制御する三方弁において、シール性能を向上させ、部品点数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1による燃料電池システムを示したブロック図
【図2】図1に示したエア調圧弁の部分断面図
【図3】図2に示したエア調圧弁の閉弁時の部分断面図
【図4】図2に示したエア調圧弁に含まれたステッピングモータの出力シャフトとバルブシャフトとの係合状態を示した簡略的な断面図
【図5】図4のA−A断面図
【図6】バルブシャフトにバルブフレームをかしめる方法を示した簡略図
【図7】実施形態1によるエア調圧弁の変形実施形態を説明するための工程図
【図8】本発明の実施形態2によるエア調圧弁を示した部分断面図
【図9】本発明の実施形態3による三方弁を示した部分断面図
【図10】図9に示した三方弁のバイパス弁座が閉じた時の部分断面図
【図11】図9に示した三方弁の制御弁座が閉じた時の部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
図1乃至図7に基づき、本発明の実施形態1によるエア調圧弁4について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態によるエア調圧弁4(流体制御弁に該当する)は、車両に搭載された燃料電池システム1の酸素系2に適用されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるべきものではなく、燃料供給系システムあるいは油圧ブレーキシステムといった、車両用流体制御弁として広範囲に使用することが可能であり、また、家庭用機器もしくは一般産業機械用の流体制御弁としても適用することが可能である。
また、以下、図2における上方および下方を、それぞれエア調圧弁4の上方および下方とし、図2における右方および左方を、それぞれエア調圧弁4の右方および左方として説明しているが、車両におけるエア調圧弁4の実際の取付方向とは無関係である。
【0022】
図1に示すように、燃料電池システム1は、酸素系2、燃料系5、電池スタック6、動力系7、冷却系8および制御装置9とから形成されている。
電池スタック6は、これに限定されるべきものではないが、複数の固体高分子型の単セルが積層されることで形成されている。複数の単セルは電気的に直列に接続されており、各々の単セルは電解質膜と、これを挟むアノード極およびカソード極(いずれも図示せず)を含んでいる。また、単セルのアノードセパレータ(図示せず)には、アノード極に対して水素ガスを供給するためのアノード流路61が形成されており、カソードセパレータ(図示せず)には、カソード極に対して空気を供給するためのカソード流路62が形成されている。
【0023】
酸素系2は酸素系供給配管21aを備えており、酸素系供給配管21aは電池スタック6内のカソード流路62の一端と接続されている。酸素系供給配管21a上には、電池スタック6に向けて順に、エアフィルタ22、エアコンプレッサ23、インタークーラ24および三方弁3が形成されている。
カソード流路62の他端には酸素系排出配管21bの一端が接続されており、酸素系排出配管21b上には、2ポートの流体制御弁であるエア調圧弁4が設けられている。また、前述した三方弁3は3ポートの流体制御弁であって、バイパス管路21cの一端が接続されており、バイパス管路21cの他端は、酸素系排出配管21bのエア調圧弁4よりも下流側部位(電池スタック6が接続されていない側)に接続されている。
【0024】
一方、燃料系5は、燃料系供給配管51aの一端に水素タンク52が接続されており、燃料系供給配管51a上には遮断弁53が形成されている。燃料系供給配管51aの他端は、電池スタック6内のアノード流路61の一端と接続されている。アノード流路61の他端には、燃料系排出配管51bが接続されており、燃料系排出配管51b上には、電池スタック6に近い側から順に、気液分離器54、排気排水弁55および排出ガス希釈器56が形成されている。排出ガス希釈器56には、上述した酸素系排出配管21bの他端が接続されている。
【0025】
また、気液分離器54は燃料系循環路51cを介して、燃料系供給配管51a上の遮断弁53とアノード流路61との接続部との間の部位に接続されている。燃料系循環路51c上には循環ポンプ57が設けられており、気液分離器54からアノード流路61に向けて水素ガスを循環させている。
動力系7は、車両を走行させるための電動モータ71を備えている。電動モータ71は電池スタック6の正極および負極と接続されており、電池スタック6の発電によって駆動される。
【0026】
また、冷却系8は水冷ポンプ81を備え、電池スタック6内に冷却水を循環させて電池スタック6を冷却している。
制御装置9は、エアコンプレッサ23、三方弁3、エア調圧弁4、遮断弁53、循環ポンプ57および冷却ポンプ81と電気的に接続されている。制御装置9は車両の走行状態に応じて算出された電池スタック6の必要な発電量に基づき、これらの各構成要素の作動を制御している。
【0027】
上述した構成により、車両が走行開始すると、制御装置9はエアコンプレッサ23を作動させてカソード流路62へ空気を供給するとともに、遮断弁53および循環ポンプ57を作動させてアノード流路61へ水素ガスを供給し、電池スタック6において発電を行う。
酸素系2において、エアフィルタ22を介して吸引された酸素を含んだ空気は、エアコンプレッサ23において圧縮された後、インタークーラ24によって冷却される。三方弁3は、電池スタック6の発電量に応じてバルブ部材の位置を変位させ、インタークーラ24から供給された空気を分流してバイパス配管21cへ逃すことにより、電池スタック6への空気の流量を制御している。
また、エア調圧弁4は、その開度を調整し電池スタック6内に残存した空気の排出量を調整することにより、電池スタック6内の圧力を制御している。
【0028】
アノード流路61から排出される水素オフガス(燃料ガスオフガス)には発電に使用されなかった水素ガスと発電によって生成された水(水蒸気)が含まれている。気液分離器54は水素ガスと水を分離する機能を有している。気液分離器54で分離された水素ガスは循環ポンプ57により燃料系循環路51cを介して燃料系供給配管51aに供給され循環される。気液分離器54で分離された水(液状)は排気排水弁55が開状態になったとき、水素ガスとともに排出ガス希釈器56に送られる。気液分離器54から排出ガス希釈器56に排出された水素ガスは、排出ガス希釈器56において、酸素系排出配管21bから供給された空気により希釈化された後、水とともに外部へと放出される。
【0029】
次に、エア調圧弁4の構造について詳細に説明する。図2に示したように、エア調圧弁4は、バルブハウジング41の外周面にモータアッセンブリ42が取り付けられて形成されている。バルブハウジング41は、ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材料にて形成されたバルブボデー411と、金属板により一体に形成されたバルブカバー412(支軸部材に該当する)とを互いに結合させて形成されている。
【0030】
バルブボデー411には、バルブカバー412の取り付け用の金属製のカバー取付スリーブ411aがインサートされている。また、バルブボデー411のフランジ部411bには、エア調圧弁4を車両に取り付けるための金属スリーブ411cがインサートされている。カバー取付スリーブ411aおよび金属スリーブ411cの内周面には、雌螺子が形成されている。
【0031】
バルブボデー411には、図2において右方に開口する調圧弁インレット411d(流入口に該当する)が形成されている。調圧弁インレット411dは、上述した酸素系排出配管21bを介して、電池スタック6のカソード流路62の他端に接続されている(図1示)。また、バルブボデー411には、調圧弁インレット411dに対し垂直方向に開口(図2において下方に開口)する調圧弁アウトレット411e(流出口に該当する)が形成されている。調圧弁アウトレット411eは、上述した酸素系排出配管21bを介して、排出ガス希釈器56に接続されている。
【0032】
さらに、バルブボデー411の内周面において、調圧弁インレット411dと調圧弁アウトレット411eとの間には調圧弁座411f(接続弁座に該当する)が形成されている。調圧弁座411fは平坦な円環状に形成されている。
バルブカバー412は、貫通させた取付ボルト413をカバー取付スリーブ411aに締め付けることによって、バルブボデー411の上端面に取り付けられている。バルブカバー412は、バルブボデー411への取付面412aと、取付面412aから上方へと突出したモータ取付部412bと、モータ取付部412bの中央部において段付状に下降し、下端部が開口したシャフト収容部412c(弁軸収容部に該当する)とにより形成されている。シャフト収容部412cは、モータ取付部412bの外周面を破断させてバルブハウジング41の内部へと筒状に延在している。
また、モータ取付部412bの上面には、複数の雌螺子穴412dが設けられている。バルブカバー412は、金属板をプレス成型することにより、上述した取付面412a、モータ取付部412bおよびシャフト収容部412cが一体に形成されている。
【0033】
モータ取付部412bの上面には、上述したモータアッセンブリ42が取り付けられている。モータアッセンブリ42は、モータケース421(モータハウジングに該当する)内に、後述するステッピングモータ422(電動モータに該当する)と、直動変換機構423(駆動機構に該当する)が収容されて形成されている。モータケース421は、後述するようにバルブカバー412のモータ取付部412bに取り付けられる取付フランジ421b(フランジ部に該当する)と、直動変換機構423を収容するために取付フランジ421bから突出した機構収容部421a(メカ内蔵部に該当する)とを有している。
【0034】
モータアッセンブリ42は、機構収容部421aの外周面をシャフト収容部412cの入口内周面に嵌合させた状態(インロー)で、取付フランジ421bに貫通させた複数の取付スクリュー43を、モータ取付部412bの雌螺子穴412dに締め付けることによってバルブカバー412に固定される。取付スクリュー43は取付フランジ421bに形成された貫通孔(図示せず)に対して遊嵌しており、バルブカバー412は、シャフト収容部412cの入口内周面が機構収容部421aの外周面に当接することにより、そのモータアッセンブリ42に対する位置決めが行われる。
【0035】
図4に示したように、モータケース421の内壁には、ステッピングモータ422が固定されている。ステッピングモータ422の出力シャフト422aの先端は円筒形状を呈しており、その軸心部には駆動孔422bが形成されている。駆動孔422bの内周面には所定の長さの雌螺子が形成されており、バルブシャフト44(弁軸に該当する)の端部外周面に形成された雄螺子部441と螺合している。
【0036】
バルブシャフト44はステンレス等の金属材料にて形成され、その雄螺子部441の下方には二面幅部442が形成されている。二面幅部442は、モータケース421の下端部に形成された一対の対向面421cと係合しており、これによって、バルブシャフト44はモータケース421に対して回転不能となっている(図5示)。したがって、ステッピングモータ422の出力シャフト422aが一方向に回転すると、バルブシャフト44がバルブハウジング41内において軸方向に下降し、出力シャフト422aが反対方向に回転すると、バルブシャフト44は上昇する。ステッピングモータ422の出力シャフト422aと、出力シャフト422aと螺合したバルブシャフト44とによって、上述した直動変換機構423が形成されている。
【0037】
上述したバルブシャフト44の雄螺子部441と、出力シャフト422aの雌螺子とは、ともに台形ネジにより形成されており、バルブシャフト44と出力シャフト422aとの間の逆効率がほぼ0に設定されていることが望ましい。これにより、バルブシャフト44と出力シャフト422aとの間の動作の伝達が不可逆的に形成され、エア調圧弁4が閉じられている状態で、バルブシャフト44から出力シャフト422aに向けて戻し荷重が働いた場合に、出力シャフト422aは開弁する方向に回転せず、不用意にエア調圧弁4が開弁することがない。
【0038】
図2に示したように、モータアッセンブリ42がバルブカバー412に取り付けられた状態で、機構収容部421aはシャフト収容部412c内に突出し、さらに、機構収容部421aからはバルブシャフト44が突出して、シャフト収容部412c内を貫通している。
バルブシャフト44の二面幅部442の下方には、モータケース421から突出し一定の径により軸方向に延びた円柱部443が形成されている。円柱部443の外周面は、バルブカバー412のシャフト収容部412cの下端に形成されたシャフトリテーナ部412eにより、軸方向に移動可能に支持されている。互いに当接する円柱部443の外周面またはシャフトリテーナ部412eには無電解ニッケルメッキ等が施され、その摺動面の耐摩耗性を向上させている。
【0039】
さらに、円柱部443の先端部には、小径の橋部444を介して略球状の支持体445が一体に形成されている。バルブシャフト44の先端部に形成された支持体445には、バルブシャフト44の軸心に対し半径方向に延びるように、バルブ部材45が取り付けられている。
バルブ部材45のバルブフレーム451は、ステンレス等の金属板がプレス成形されて形成されている。バルブフレーム451は、バルブシャフト44の軸心に対し、半径方向に円板状に延びた平板部451aを有しており、平板部451aには外周縁を覆うようにシール部材452が固着されている。
【0040】
シール部材452は、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)またはEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)といった耐熱性を有する合成ゴム材料にて形成されている。シール部材452の下面には、バルブ部材45の下降により、バルブボデー411に形成された調圧弁座411fと当接可能なシールリップ452aが突出している。図2に示したように、シールリップ452aは、発電停止時に、電池スタック6内に残留した水素ガスと酸素の反応や電池スタック6の温度低下による残留水蒸気の凝縮などによって発生する負圧によりセルフシールするように、半径方向内向き(調圧弁アウトレット411eに向いて)に形成されている。
【0041】
バルブフレーム451には、平板部451aの半径方向中心部に連続した段部451b(平板部451aおよび段部451bを包括した構成が延在部に該当する)が形成されている。段部451bはバルブシャフト44の軸方向に延びており、径方向の段差が軸方向に並ぶように2箇所に形成されている。
また、バルブフレーム451は、一端が段部451bに連続した円筒部451cを有している。円筒部451cは、平板部451aに対して垂直方向に延び、バルブシャフト44の円柱部443が挿入されている。さらに、バルブフレーム451は、円筒部451cの他端に連続して形成され、先端が半球状の曲面によって袋状に閉じていることにより、バルブシャフト44の支持体445の曲面を受けることが可能な取付部451dを有している。取付部451dはかしめられることにより、支持体445に直接に固定されている。
【0042】
図6に示したように、最初に、取付部451d内にバルブシャフト44の支持体445を挿入した後、円周上に互いの間が等角になるように配置された3つのパンチPを半径方向内方に同時に作動させ、取付部451dの外周面の3箇所を支持体445に向けて均等にかしめる。これによって、取付部451dの外周面の3箇所にはかしめ部451eが形成される。
次に、パンチPを戻した状態で、バルブフレーム451を60°回転させた後、上述したパンチPによって同様にかしめられる。これによって、取付部451dはバルブシャフト44の支持体445に対して、円周上の6箇所のかしめ部451eにおいて均等にかしめられ、支持体445に対して脱落不能に接続される。
【0043】
図2に戻って、バルブフレーム451の段部451bの内周面には、上方からスプリングリテーナ453が圧入固定されている。スプリングリテーナ453は、金属板がプレス工程にて絞られて形成されている。スプリングリテーナ453は、段部451bの下方に形成された段差と円柱部443との間に位置する円筒状の固定部453aと、固定部453aから半径方向外方へと拡がった肩部453bとを有している。
【0044】
スプリングリテーナ453の固定部453aは、肩部453bがバルブフレーム451の平板部451aの上面に当接するまで、バルブフレーム451の段部451bの内周面に圧入されている。段部451bに圧入された固定部453aは、バルブシャフト44の円柱部443の外周面との間には隙間を有している。
また、段部451bの上方に形成された段差と固定部453aとの間には、シール部材であるOリング454が介装されている。Oリング454は、バルブフレーム451と固定部453aとの間においてシール機能を発揮し、エア調圧弁4内に浸入した水分または異物等が、バルブフレーム451の取付部451dあるいは後述するダイヤフラム46で区分けされた空気室415まで浸入することを防止している。
さらに、スプリングリテーナ453は、肩部453bから上方へと延びた連結部453cと、連結部453cから半径方向外方へと拡がる締付部453dとを備えている。
【0045】
一方、ダイヤフラム保持体455は、半径方向内端にバルブシャフト44の軸方向に延びる係合部455aを有し、係合部455aの上端からは、押圧部455bが半径方向に延びている。押圧部455bの下面がスプリングリテーナ453の連結部453cの上端に当接するまで、係合部455aが連結部453cの内周面に圧入されることにより、スプリングリテーナ453とダイヤフラム保持体455は一体化されている。
【0046】
スプリングリテーナ453の締付部453dとダイヤフラム保持体455の押圧部455bとの間には、ダイヤフラム46の内周縁が固定されている。ダイヤフラム46は合成ゴム材料にて一体的に形成されており、略中央部には表裏を貫通する装着孔461が形成されている。装着孔461の周縁は、締付部453dと押圧部455bとにより上下方向に挟圧され、双方の間において液密的に固定されている。
【0047】
ダイヤフラム46の外周縁は、前述したバルブボデー411の上端面とバルブカバー412のモータ取付部412bの下端との間において挟圧され、液密的に固定されている。このように、ダイヤフラム46がバルブハウジング41の内周面とバルブ部材45とに取り付けられることにより、ダイヤフラム46およびバルブ部材45によって、バルブハウジング41の内部が2つに区分けされている。すなわち、バルブハウジング41の内部は、調圧弁インレット411d、調圧弁アウトレット411eおよび調圧弁座411fを含み供給された流体が通過する流体室414と、流体等の進入が防止され空気が充填されている空気室415とが形成されている。空気室415は、バルブカバー412に設けられた図示しない通気孔により外気に連通している。
【0048】
スプリングリテーナ453の肩部453bと、バルブカバー412のシャフト収容部412cの段部との間には、バルブシャフト44を円周方向に取り囲むようにコイルスプリング47が介装されている。コイルスプリング47は、スプリングリテーナ453とバルブカバー412との間に弾発的に装着され、バルブ部材45をバルブシャフト44の先端方向に向けて付勢している。
【0049】
次に、エア調圧弁4の作動方法について簡単に説明する。バルブシャフト44が上方にあり、バルブ部材45のシール部材452が調圧弁座411fから離間している時、エア調圧弁4は開状態にある(図2示)。この状態において、調圧弁インレット411dと調圧弁アウトレット411eとが連通しており、双方の間の空気等の流体の流通は許容されている。
【0050】
制御装置9からの駆動信号により、ステッピングモータ422が一方向に回転すると、バルブ部材45がバルブシャフト44とともに軸方向に下降し、シール部材452が調圧弁座411fに着座する(図3示)。これにより、エア調圧弁4は閉状態となり、調圧弁インレット411dと調圧弁アウトレット411eとの間の連通が遮断され、双方の間の流体の流通は断たれる。
【0051】
本実施形態によれば、一体的に形成されることにより、バルブカバー412自体の寸法精度を向上させることができる。また、モータアッセンブリ42により位置決めされる当該バルブカバー412によって、バルブシャフト44の外周面を支持することにより、ステッピングモータ422等の軸心と、バルブカバー412のシャフトリテーナ部412eの軸心との位置ずれを低減できる。したがって、バルブシャフト44が半径方向に安定して支持されるため、噛みこむことなくスムーズに移動でき、エア調圧弁4のシール性能を向上させることができる。
【0052】
また、バルブカバー412が一体的に形成されているため、部品点数を低減することができ、小型で低コストのエア調圧弁4にすることができる。
また、バルブシャフト44の先端を取付部451d内に挿入した後、取付部451dをかしめてバルブ部材45をバルブシャフト44に取り付けることにより、バルブ部材45を直接にバルブシャフト44に取り付けることができるため、部品点数を低減することができ、小型で低コストのエア調圧弁4にすることができる。
また、バルブカバー412がバルブハウジング41の一部を形成することにより、さらに部品点数を低減することができるため、いっそう低コストのエア調圧弁4にすることができる。
【0053】
また、バルブカバー412には、モータ取付部412bを破断させてバルブハウジング41の内部へと筒状に延在したシャフト収容部412cを形成し、バルブシャフト44は機構収容部421aから突出してシャフト収容部412c内を貫通し、シャフト収容部412cの内周面により支持されていることにより、バルブカバー412において、バルブシャフト44の支持部位を容易に形成することができる。
【0054】
また、シャフト収容部412cの入口内周面が機構収容部421aの外周面と嵌合して、バルブカバー412はモータケース421に対して位置決めされることにより、シャフト収容部412cと機構収容部421aとを嵌合させるのみで、バルブカバー412の位置決めを容易に行うことができ、組付作業性のよいエア調圧弁4にすることができる。
また、バルブシャフト44の円柱部443またはバルブカバー412のシャフトリテーナ部412eには、耐摩耗性のメッキ処理が施されているため、摺動用のカラー等を省略でき、低コストなエア調圧弁4にすることができる。
【0055】
尚、上述した実施形態においては、取付部451dをかしめてバルブフレーム451をバルブシャフト44に取り付けているが、本発明は、必ずしもかしめによってバルブフレーム451とバルブシャフト44とを接続しなければならないわけではない。例えば、かしめの方法に代えて、図7に示したように、バルブフレーム451をバネ鋼によって形成し、取付部451dを拡径させながら、バルブシャフト44の支持体445を取付部451d内に挿入して、バルブフレーム451とバルブシャフト44とを直接に接続するようにしてもよい。
【0056】
<実施形態2>
次に、本発明を適用した実施形態2によるエア調圧弁4A(流体制御弁に該当する)について、図8に基づき、エア調圧弁4に対する相違点のみについて説明する。尚、図8において、図2に示したエア調圧弁4と同様の構成には同じ符号を付してある。
図8に示したように、エア調圧弁4Aは、バルブハウジング41Aの外周面にモータアッセンブリ42が取り付けられて形成されている。バルブハウジング41Aは、ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材料にて、それぞれ一体に形成されたバルブボデー411Aとバルブカバー416(支軸部材に該当する)とを互いに結合させて形成している。
【0057】
バルブボデー411Aのフランジ部411bには、金属スリーブ411cがインサートされている。また、バルブカバー416の取付フランジ416aには、金属製の挿通スリーブ416bがインサートされている。バルブカバー416は、挿通スリーブ416bに貫通させた取付ボルト413を、金属スリーブ411cに締め付けることによって、バルブボデー411Aの上端面に取り付けられている。
取付フランジ416aには、複数の位置決め孔416cが貫通しており、位置決め孔416cにはバルブボデー411Aの突部411gが嵌合している。取付ボルト413は挿通スリーブ416bに対して遊嵌しており、バルブカバー416は、位置決め孔416cに突部411gが嵌合することにより、そのバルブボデー411Aに対する位置決めが行われる。
【0058】
バルブカバー416は、取付フランジ416aから上方へと突出したモータ取付部416dと、モータ取付部416dの中央部において段付状に下降し、下端部が開口したシャフト収容部416e(弁軸収容部に該当する)とを備えている。シャフト収容部416eは、モータ取付部416dの外周面を破断させてバルブハウジング41Aの内部へと筒状に延在している。また、モータ取付部416dの上面には、複数の金属製の締結スリーブ416fがインサートされており、各々の締結スリーブ416fには雌螺子が形成されている。
【0059】
モータ取付部416dの上面には、上述したモータアッセンブリ42が取り付けられている。モータアッセンブリ42は、機構収容部421aの外周面をシャフト収容部416eの入口内周面に嵌合させた状態(インロー)で、取付フランジ421bに貫通させた複数の取付スクリュー43を締結スリーブ416fに締め付けることによってバルブカバー416に固定される。取付スクリュー43は取付フランジ421bに形成された貫通孔(図示せず)に対して遊嵌しており、バルブカバー416は、シャフト収容部416eの入口内周面が機構収容部421aの外周面に当接することにより、そのモータアッセンブリ42に対する位置決めが行われる。
【0060】
図8に示したように、モータアッセンブリ42がバルブカバー416に取り付けられた状態で、機構収容部421aはシャフト収容部412c内に突出し、さらに、機構収容部421aからはバルブシャフト44が突出して、シャフト収容部416e内を貫通している。
シャフト収容部416eの下端には、シャフトリテーナ部416gが形成され、その内周面には支持カラー416hがインサートあるいは接着されている。バルブシャフト44の円柱部443の外周面は、支持カラー416hにより軸方向に移動可能に支持されている。互いに当接する円柱部443の外周面または支持カラー416hには無電解ニッケルメッキ等が施され、その摺動面の耐摩耗性を向上させている。
ダイヤフラム保持体455は、リテーナ453の連結部453cの内周面に圧入された係合部455a、係合部455aの上端から半径方向に延びた押圧部455b、および押圧部455bの上面に立設されたバネ保持部455cを備えている。
【0061】
ダイヤフラム保持体455の押圧部455bと、バルブカバー416のモータ取付部416dの下面との間には、シャフト収容部416eを円周方向に取り囲むようにコイルスプリング48が介装されている。コイルスプリング48は、図2に示したエア調圧弁4におけるコイルスプリング47に代わるものであり、ダイヤフラム保持体455とバルブカバー416との間に弾発的に装着され、バルブ部材45をバルブシャフト44の先端方向に向けて付勢している。
エア調圧弁4Aについてのその他の構成および作動方法については、実施形態1によるエア調圧弁4と同様であるため、これ以上の説明は省略する。
【0062】
<実施形態3>
次に、本発明を適用した実施形態3による三方弁3(流体制御弁に該当する)の構造について、図9乃至図11に基づき詳細に説明する。尚、以下、図9における上方および下方を、それぞれ三方弁3の上方および下方とし、図9における右方および左方を、それぞれ三方弁3の右方および左方として説明しているが、車両における三方弁3の実際の取付方向とは無関係である。
【0063】
図9に示したように、三方弁3も実施形態1によるエア調圧弁4と同様に、バルブハウジング31の外周面にモータアッセンブリ32が取り付けられて形成されている。バルブハウジング31は、ともにポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材料にてそれぞれ一体に形成された第1ボデー311(支軸部材に該当する)と第2ボデー312とを、互いに液密的に嵌合させて形成している。
【0064】
第1ボデー311には、図9において右方に開口する三方弁インレット311a(流入口に該当する)が形成されている。三方弁インレット311aは、上述した酸素系供給配管21aを介して、インタークーラ24に接続されている(図1示)。また、第2ボデー312には、三方弁インレット311aに対し垂直方向に開口(図9において下方に開口)する三方弁アウトレット312a(流出口に該当する)が形成されている。三方弁アウトレット312aは、上述した酸素系供給配管21aを介して、電池スタック6のカソード流路62の一端に接続されている(図1示)。また、第1ボデー311には、図9において左方に開口するバイパス口311bが形成されている。バイパス口311bは、上述したバイパス配管21cを介して、排出ガス希釈器56に接続されている(図1示)。
【0065】
また、第2ボデー312の内周面において、三方弁インレット311aと三方弁アウトレット312aとの間には制御弁座312b(接続弁座に該当する)が形成されている。制御弁座312bは平坦な円環状に形成されている。
また、第1ボデー311の内部上面からは、円筒状の着座体311cが下方に延びている。着座体311cの下端は平坦に形成され、三方弁インレット311aおよび三方弁アウトレット312aと、バイパス口311bとの間に位置するバイパス弁座311dが形成されている。バイパス弁座311dは、上述した制御弁座312bと対向するように形成されている。また、第1ボデー311の内周上面からは、着座体311cの半径方向内方に位置するように、円筒形のシャフト支持部311eが突出している。
【0066】
実施形態1によるエア調圧弁4と同様に、バルブハウジング31の上面には、上述したモータアッセンブリ32が取り付けられている。モータアッセンブリ32は、モータケース321(モータハウジングに該当する)内に、前述したステッピングモータ422と、直動変換機構423が収容されて形成されている。モータケース321は、後述するように第1ボデー311のモータ取付ボス311fに取り付けられる取付フランジ321b(フランジ部に該当する)と、直動変換機構423を収容するために取付フランジ321bから突出した機構収容部321a(メカ内蔵部に該当する)とを有している。
モータアッセンブリ32は、モータケース321の機構収容部321aの外周面を、第1ボデー311のモータ取付ボス311fの入口内周面に嵌合させた状態(インロー)で、取付フランジ321bに貫通させた図示しない複数の取付スクリューを、第1ボデー311に締め付けることによって第1ボデー311に固定される。取付スクリューは取付フランジ321bに形成された貫通孔(図示せず)に対して遊嵌しており、モータアッセンブリ32は、機構収容部321aがモータ取付ボス311fの入口内周面に当接することにより、その位置決めが行われる。
【0067】
エア調圧弁4と同様に、モータケース321内には、ステッピングモータ422が固定されており、ステッピングモータ422の出力シャフト422aの回転運動は直進運動に変換され、バルブシャフト33(弁軸に該当する)に伝達される。バルブシャフト33は、上述したシャフト支持部311eの内周面において、その軸方向に移動可能に支持されている。エア調圧弁4に対して三方弁3は、その作動回数が比較的少ないため、バルブシャフト33との摺動面が樹脂材料製であっても、その耐摩耗性についての問題はない。
【0068】
バルブシャフト33の長さ方向の略中央部には、一定の径により軸方向に延びた円柱部331が形成されている。また、円柱部331の上方には、円柱部331と同径の第1ランド部332が設けられており、円柱部331と第1ランド部332との間には、第1シール溝333が円周上に形成されている。第1シール溝333内には、合成ゴム材料にて形成されたシールパッキン34が装着されている。シールパッキン34は、バルブシャフト33の外周面とシャフト支持部311eの内周面との間でシール性能を発揮し、モータアッセンブリ32内への水、異物等の浸入を防止している。
【0069】
バルブシャフト33の先端部には、小径の橋部334を介して略球状の支持体335が一体に形成されている。エア調圧弁4と同様に、支持体335にはバルブ部材35が取り付けられている。バルブ部材35のバルブフレーム351は、バルブシャフト33の軸心に対し、半径方向に円板状に延びた平板部351aを有しており、平板部351aにはその外周面(上面および外周縁)を覆うように、合成ゴム材料にて形成されたシール部材352が被覆されている。
【0070】
シール部材352の下面には、バルブ部材35の下降により、第2ボデー312に形成された制御弁座312bと当接可能なシールリップ352aが突出している。図9に示したように、シールリップ352aは、電池スタック6内に残留した水素ガスと酸素の反応によって発生する負圧によりセルフシールするように、半径方向外向きに形成されている。また、シール部材352の上面は平坦に形成され、バルブ部材35の上昇により、第1ボデー311に形成されたバイパス弁座311dと当接可能となっている。
【0071】
バルブフレーム351には、平板部351aの半径方向中心部において、バルブシャフト33の先端方向に窪んだ凹部351b(平板部351aおよび凹部351bを包括した構成が延在部に該当する)が形成されている。また、バルブフレーム351は、一端が凹部351bの内周端に連続した円筒部351cを有している。円筒部351cは、平板部351aに対して垂直方向に延び、バルブシャフト33の円柱部331が挿入されている。
さらに、バルブフレーム351は、エア調圧弁4と同様に、円筒部351cの他端に連続して形成され、バルブシャフト33の支持体335を受け入れる取付部351dを有している。取付部351dは、かしめによりバルブシャフト33の支持体335に対し脱落不能に固定されている。
【0072】
バルブシャフト33において、上述した橋部334の上方には円柱部331と同径の第2ランド部336が設けられており、円柱部331の下端と第2ランド部336との間には、第2シール溝337が円周上に形成されている。第2シール溝337内には、合成ゴム材料にて形成されたリング状のシャフトシール36が装着されている。シャフトシール36は、バルブシャフト33の外周面とバルブフレーム351の円筒部351cの内周面との間でシール性能を発揮し、バルブフレーム351の円筒部351cおよび取付部351d内への水、異物等の浸入を防止している。
【0073】
また、バルブフレーム351の凹部351bと、第1ボデー311の内部上面との間には、バルブスプリング37が介装されている。バルブスプリング37の内周面は、上述したシャフト支持部311eの外周面に嵌着している。バルブスプリング37は、バルブフレーム351と第1ボデー311との間に弾発的に装着され、バルブ部材35をバルブシャフト33の先端方向に向けて付勢している。
【0074】
次に、三方弁3の作動方法について簡単に説明する。バルブシャフト33が上方にある時、バルブ部材35のシール部材352の上面がバイパス弁座311dに着座するとともに、制御弁座312bから離間している(図10示)。この時、三方弁インレット311aと三方弁アウトレット312aとは連通し、双方の間の空気等の流体の流通が許容されるとともに、三方弁インレット311aおよび三方弁アウトレット312aと、バイパス口311bとの間の連通は遮断され、これらの間の流体の流通は断たれる。
【0075】
制御装置9からの駆動信号により、ステッピングモータが一方向に回転すると、バルブ部材35がバルブシャフト33とともに軸方向に下降し、シール部材352の上面がバイパス弁座311dから離間するとともに、シールリップ352aが制御弁座312bに着座する(図11示)。この時、三方弁インレット311aとバイパス口311bとが連通し、双方の間の空気等の流体の流通が許容されるとともに、三方弁インレット311aおよびバイパス口311bと、三方弁アウトレット312aとの間の連通は遮断され、これらの間の流体の流通は断たれる。
三方弁3において、バルブ部材35は、制御弁座312bとバイパス弁座311dとの間において任意の位置をとることにより、三方弁インレット311aから供給された流体の、三方弁アウトレット312aおよびバイパス口311bへそれぞれ分流される流量を、流体が通過する通路の断面積に基づき制御することができる(図9示)。
【0076】
本実施形態によれば、バルブハウジング31は、三方弁インレット311aから供給された流体が排出されるバイパス口311bと、制御弁座312bと対向して設けられ、バルブ部材35の上面が着座あるいは離間して、三方弁インレット311aとバイパス口311bとの間を断続するバイパス弁座311dと、を有し、バルブ部材35は、制御弁座312bとバイパス弁座311dとの間において任意の位置をとり、三方弁インレット311aから供給された流体の、三方弁アウトレット312aおよびバイパス口311bへの流量をそれぞれ制御することにより、流体の分流量を制御する三方弁3において、シール性能を向上させ、部品点数を低減することができる。
【0077】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
実施形態1および実施形態2において、互いに当接するバルブシャフト44の円柱部443、シャフトリテーナ部412eおよび支持カラー416hには、摺動面の耐摩耗性を向上させるために、無電解ニッケルメッキ以外の表面処理を行ってもよい。例えば、流体制御弁の作動回数に応じて、硬質クロムメッキを施こす、または二流化モリブデンをコーティングする、もしくはダイヤモンドライクカーボン(DLC)皮膜を形成するといった方法を適宜選択することができる。
【0078】
また、バルブカバー412、416、第1ボデー311は、プレス成形された1枚の金属板により形成したり、合成樹脂材料にて一体成形するように、必ずしも完全な単一部材にて形成しなければならないわけではない。すなわち、モータアッセンブリ32、42等への取付部位とバルブシャフト33、44の支持部位との間において、所定の位置精度が得られるのであれば、バルブカバー412等を、複数の金属板を溶接等により接合して一体に形成したり、樹脂材料にて形成された複数のピースを溶着等により接合して一体に形成してもよい。
また、図2および図9に示したバルブ部材35、45において、円筒部351c、451cの下方に平板部351a、451aを形成し、さらに、平板部351a、451aの下方に、平板部351a、451aに連続するように取付部351d、451dを形成してもよい。
【符号の説明】
【0079】
図面中、3は三方弁(流体制御弁)、4,4Aはエア調圧弁(流体制御弁)、31,41,41Aはバルブハウジング、33,44はバルブシャフト(弁軸)、35,45はバルブ部材、311は第1ボデー(支軸部材)、311aは三方弁インレット(流入口)、311bはバイパス口、311dはバイパス弁座、312aは三方弁アウトレット(流出口)、312bは制御弁座(接続弁座)、321b,421bは取付フランジ(フランジ部)、351,451はバルブフレーム、351a,451aは平板部(延在部)、351bは凹部(延在部)、351d,451dは取付部、352,452はシール部材、411dは調圧弁インレット(流入口)、411eは調圧弁アウトレット(流出口)、411fは調圧弁座(接続弁座)、412,416はバルブカバー(支軸部材)、412c,416eはシャフト収容部(弁軸収容部)、421はモータケース(モータハウジング)、421aは機構収容部(メカ内蔵部)、422はステッピングモータ(電動モータ)、423は直動変換機構(駆動機構)、451bは段部(延在部)を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体の流入口と流出口とが形成されたバルブハウジングと、
前記バルブハウジングに取り付けられた電動モータと、
前記電動モータの回転運動を直進運動に変換して弁軸に伝達し、前記弁軸を前記バルブハウジング中において軸方向に移動させる駆動機構と、
前記弁軸に対し半径方向に延びるように取り付けられ、前記弁軸とともに移動することにより、一側の面において、前記バルブハウジング内に形成された接続弁座に対して着座あるいは離間し、前記流入口と前記流出口との間を断続するバルブ部材と、
一体的に形成され、前記電動モータまたは前記駆動機構に固定されることにより位置決めされるとともに、前記弁軸の外周面を移動可能に支持する支軸部材と、
を備えた流体制御弁。
【請求項2】
前記バルブ部材は、
金属板をプレス成型して形成され、袋状に絞られ前記弁軸の先端が挿入される取付部と、前記取付部から半径方向外方に拡がった延在部とを有するバルブフレームと、
前記延在部に取り付けられ、前記接続弁座に対して当接可能なシール部材と、
を有し、
前記弁軸の先端を前記取付部内に挿入した後、前記取付部をかしめることにより、前記バルブ部材は前記弁軸に取り付けられる請求項1記載の流体制御弁。
【請求項3】
前記支軸部材は、前記バルブハウジングの一部を形成し、
前記支軸部材には、外周面を破断させて前記バルブハウジングの内部へと筒状に延在した弁軸収容部が形成されており、
前記電動モータおよび前記駆動機構はモータハウジング内に収容され、
前記モータハウジングには、前記支軸部材の外周面に取り付けられたフランジ部と、少なくとも前記駆動機構を収容するために前記フランジ部から前記弁軸収容部内に突出したメカ内蔵部とが形成され、
前記弁軸は、前記メカ内蔵部から突出して前記弁軸収容部内を貫通し、前記弁軸収容部の内周面により支持されている請求項1または2に記載の流体制御弁。
【請求項4】
前記弁軸収容部の入口内周面が、前記メカ内蔵部の外周面と嵌合することにより、前記支軸部材は、前記モータハウジングに対して位置決めされる請求項3記載の流体制御弁。
【請求項5】
前記バルブハウジングは、
前記流入口から供給された前記流体が排出されるバイパス口と、
前記接続弁座と対向して設けられ、前記バルブ部材の他側の面が着座あるいは離間することにより、前記流入口と前記バイパス口との間を断続するバイパス弁座と、
を有し、
前記バルブ部材は、前記接続弁座と前記バイパス弁座との間において任意の位置をとることにより、前記流入口から供給された前記流体の、前記流出口および前記バイパス口への流量をそれぞれ制御する請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の流体制御弁。
【請求項1】
内部に流体の流入口と流出口とが形成されたバルブハウジングと、
前記バルブハウジングに取り付けられた電動モータと、
前記電動モータの回転運動を直進運動に変換して弁軸に伝達し、前記弁軸を前記バルブハウジング中において軸方向に移動させる駆動機構と、
前記弁軸に対し半径方向に延びるように取り付けられ、前記弁軸とともに移動することにより、一側の面において、前記バルブハウジング内に形成された接続弁座に対して着座あるいは離間し、前記流入口と前記流出口との間を断続するバルブ部材と、
一体的に形成され、前記電動モータまたは前記駆動機構に固定されることにより位置決めされるとともに、前記弁軸の外周面を移動可能に支持する支軸部材と、
を備えた流体制御弁。
【請求項2】
前記バルブ部材は、
金属板をプレス成型して形成され、袋状に絞られ前記弁軸の先端が挿入される取付部と、前記取付部から半径方向外方に拡がった延在部とを有するバルブフレームと、
前記延在部に取り付けられ、前記接続弁座に対して当接可能なシール部材と、
を有し、
前記弁軸の先端を前記取付部内に挿入した後、前記取付部をかしめることにより、前記バルブ部材は前記弁軸に取り付けられる請求項1記載の流体制御弁。
【請求項3】
前記支軸部材は、前記バルブハウジングの一部を形成し、
前記支軸部材には、外周面を破断させて前記バルブハウジングの内部へと筒状に延在した弁軸収容部が形成されており、
前記電動モータおよび前記駆動機構はモータハウジング内に収容され、
前記モータハウジングには、前記支軸部材の外周面に取り付けられたフランジ部と、少なくとも前記駆動機構を収容するために前記フランジ部から前記弁軸収容部内に突出したメカ内蔵部とが形成され、
前記弁軸は、前記メカ内蔵部から突出して前記弁軸収容部内を貫通し、前記弁軸収容部の内周面により支持されている請求項1または2に記載の流体制御弁。
【請求項4】
前記弁軸収容部の入口内周面が、前記メカ内蔵部の外周面と嵌合することにより、前記支軸部材は、前記モータハウジングに対して位置決めされる請求項3記載の流体制御弁。
【請求項5】
前記バルブハウジングは、
前記流入口から供給された前記流体が排出されるバイパス口と、
前記接続弁座と対向して設けられ、前記バルブ部材の他側の面が着座あるいは離間することにより、前記流入口と前記バイパス口との間を断続するバイパス弁座と、
を有し、
前記バルブ部材は、前記接続弁座と前記バイパス弁座との間において任意の位置をとることにより、前記流入口から供給された前記流体の、前記流出口および前記バイパス口への流量をそれぞれ制御する請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の流体制御弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−87801(P2013−87801A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226334(P2011−226334)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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