説明

流体制御装置及び流体制御装置の制御方法

【課題】流路内の温度が低下したような場合及び流路内の圧力が低下したような場合の少なくとも一方の場合に、弁体と弁座との間のシール性が不充分になることを抑制することができる流体制御装置を提供する。
【解決手段】圧力センサ30及び温度センサ40の少なくとも一方のセンサと、制御器50と、を備え、制御器50は、弁シート22を弁座25に当接した後、弁座25及び弁シート22の少なくとも一方が圧縮変形状態となる閉弁下死点まで駆動器10を駆動させる閉弁しめきり動作を行い、圧力センサ30及び温度センサ40の少なくとも一方のセンサの検知値により、閉弁しめきり動作後に、弁シート22が弁座25との当接状態を保つ範囲内で弁シート22と弁座25との間の応力を緩和するように駆動器10を駆動させる遮断応力緩和動作を行うか否かを判断するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御装置及び流体制御装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、一般のガス需要家宅には、ガスの流量を計測するガスメータが取り付けられている。ガスメータには、ガスの適切かつ安全な使用態様を確保するために、種々の保安機能が備えられている。例えば、必要に応じて、ガスメータに内蔵された遮断弁によりガスの通流を遮断することができるように構成されている。一般的に、この種の遮断弁は弁体及び電動モータを備えており、該電動モータを正逆回転制御することによって弁体を進退移動させる構成になっている。
【0003】
また、このようなガスメータに内蔵された遮断弁の制御装置として、全閉弁時は閉弁下死点を超えて弁体を進出させるべくモータを正回転制御した後、若干だけ後退させるべく逆回転制御を行う流体制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されている流体制御装置では、遮断弁に対してこのような制御を行うことにより、弁体の弁座への押し付け力を緩和させている。
【0004】
これにより、特許文献1に開示されている流体制御装置では、低温下で閉弁した後に高温状態に移行した結果、熱膨張係数の異なる各構成部品が膨張した場合も、遮断弁を構成する弁体、直動変換機構、回転機構などに大きな応力がかかることなく、機構的にロックし動作不能になる可能性を低くできるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−194252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている流体制御装置であっても、逆回転制御を行って閉弁した状態で、流路を遮断できる想定温度帯よりもさらに低い温度になった場合には、弁体を構成する合成ゴム等の可撓体がさらに固化して、弁体と弁座との間のシール性が不充分になり、完全には流路を遮断できないおそれがあった。
【0007】
また、流路内の圧力が低下した場合においても、弁体の上流側と下流側との差圧により、弁体と弁座との間のシール性が不充分になり、完全には流路を遮断できないおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、温度低下により生じる応力によって遮断弁の動作に不具合が生じるのを抑制する一方で、流路内の温度が更に低下したような場合及び流路内の圧力が低下したような場合の少なくとも一方の場合に、弁体と弁座との間のシール性が不充分になることを抑制することができる、流体制御装置及び流体制御装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る流体制御装置は、駆動器と、弁体と、制御器と、を備え、前記駆動器により前記弁体を駆動して、流路の開閉を行う流体制御装置において、前記流体制御装置は、前記流路の前記弁体より上流側の圧力を検知する圧力センサ及び前記流路内の流体の温度を検知する温度センサの少なくとも一方のセンサ、を備え、前記弁体は、流路に設けられた弁座に当接可能な弁シートを有し、前記弁座及び前記弁シートの少なくとも一方は、可撓性を有し、前記制御器は、前記弁シートを前記弁座に当接した後、前記弁座及び前記弁シートの少なくとも一方が圧縮変形状態となる閉弁下死点まで前記駆動器を駆動させる閉弁しめきり動作を行い、前記圧力センサ及び前記温度センサの少なくとも一方のセンサの検知値により、前記閉弁しめきり動作後に、前記弁シートが前記弁座との当接状態を保つ範囲内で前記弁シートと前記弁座との間の応力を緩和するように前記駆動器を駆動させる遮断応力緩和動作を行うか否かを判断するように構成されている。
【0010】
これにより、流路内の温度が低下したような場合及び流路内の圧力が低下したような場合の少なくとも一方の場合に、遮断応力緩和動作を行うか否かを判断することにより、弁体と弁座との間のシール性が不充分になることを抑制することができる。
【0011】
また、本発明に係る流体制御装置の制御方法は、駆動器により弁体を駆動し流路の開閉を行う流体制御装置の制御方法において、前記弁体は、前記流路に設けられた弁座に当接可能な弁シートを有し、前記弁座及び前記弁シートの少なくとも一方は、可撓性を有し、前記弁シートを前記弁座に当接した後、前記弁座及び前記弁シートの少なくとも一方が圧縮変形状態となる閉弁下死点まで前記駆動器を駆動させる閉弁しめきり動作を行うステップと、前記圧力センサ及び前記温度センサの少なくとも一方のセンサの検知値により、前記閉弁しめきり動作後に、前記弁シートが弁座との当接状態を保つ範囲内で前記弁シートと前記弁座との間の応力を緩和するように前記駆動器を駆動させる遮断応力緩和動作を行うか否かを判断するステップと、を備えている。
【0012】
これにより、流路内の温度が低下したような場合及び流路内の圧力が低下したような場合の少なくとも一方の場合に、遮断応力緩和動作を行うか否かを判断することにより、弁体と弁座との間のシール性が不充分になることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の流体制御装置及び流体制御装置の制御方法によれば、流路内の温度が低下したような場合及び流路内の圧力が低下したような場合の少なくとも一方の場合に、遮断応力緩和動作を行うか否かを判断することにより、弁体と弁座との間のシール性が不充分になることを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る流体制御装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示す流体制御装置において、閉弁しめきり動作を行った状態を示す模式図である。
【図3】図3は、図1に示す流体制御装置において、遮断応力緩和動作を行った状態を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1に係る流体制御装置の遮断動作を模式的に示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の実施の形態2に係る流体制御装置の遮断動作を模式的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、全ての図面において、本発明を説明するために必要となる構成を抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している。さらに、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0016】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る流体制御装置は、駆動器と、弁体と、流路の弁体より上流側の圧力を検知する圧力センサ及び流路内の流体の温度を検知する温度センサの少なくとも一方のセンサと、制御器と、を備え、制御器によって制御される駆動器により弁体を駆動して流路の開閉を行い、弁体は、流路に設けられた弁座に当接可能な弁シートを有し、弁座及び弁シートの少なくとも一方は、可撓性を有し、制御器は、弁シートを弁座に当接した後、弁座及び弁シートの少なくとも一方が圧縮変形状態となる閉弁下死点まで駆動器を駆動させる閉弁しめきり動作を行い、圧力センサ及び温度センサの少なくとも一方のセンサの検知値により、閉弁しめきり動作後に弁シートが弁座との当接状態を保つ範囲内で弁シートと弁座との間の応力を緩和するように駆動器を駆動させる遮断応力緩和動作を行うか否かを判断するように構成されている態様を例示するものである。
【0017】
また、本実施の形態1に係る流体制御装置では、制御器が、圧力センサ及び温度センサの少なくとも一方のセンサが、予め設定されている所定値より低い値を検知した場合には、閉弁しめきり動作後、遮断応力緩和動作を行わないように構成されていてもよい。
【0018】
[流体制御装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る流体制御装置の概略構成を示す模式図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の実施の形態1に係る流体制御装置100は、ステッピングモータ(駆動器)10、弁体20、弁座25、圧力センサ30、温度センサ40、及び制御器50を備えている。流体制御装置100は、流体(例えば、天然ガス等の気体や水等の液体)が通流する流路101の途中に設けられていて、弁座25と弁体20が対向するように配置されている。
【0020】
流路101は、本実施の形態1においては、直交するように形成されていて、具体的には、上流側の管部材と下流側の管部材とが直交するように接続されている。そして、流路101の直交する部分に流体制御装置100が設けられている。具体的には、下流側の管部材の上流端には、円環状の端面を成す弁座25が設けられていて、上流側の管部材の下流端には、ステッピングモータ10が設けられている。
【0021】
ステッピングモータ10には、該ステッピングモータ10の出力である回転運動を直線運動に変換するように構成されている直線運動変換手段60が接続されている。ステッピングモータ10としては、例えば、2相バイポーラ励磁PM型ステッピングモータ等の各種のステッピングモータを用いることができる。また、直線運動変換手段60としては、例えば、ステッピングモータの軸にねじを設けて、弁シートの保持部材にナットを設けて、前記弁シートの保持部材の回転を規制し、進退自在にする構成等を用いることができる。なお、ステッピングモータ10の構成は、公知のステッピングモータと同様であるため、その詳細な説明は省略する。また、本実施の形態1においては、駆動器として、ステッピングモータを用いたが、これに限定されず、直流ブラシモータ等を用いてもよい。
【0022】
直線運動変換手段60の先端には、弁体20が設けられている。弁体20は、弁シート保持部材21と弁シート22を有していて、ステッピングモータ10が駆動することにより、弁座25に向かって前進するように構成されている。そして、弁体20は、弁シート22が弁座25と当接するように構成されている。
【0023】
弁シート22は、略円盤状に形成されていて、合成ゴム等の可撓性を有する材料で構成されている。弁シート22の弁座25と当接する部分には、突起部22aが設けられている。突起部22aは、弁シート22の周縁に沿って周回するように形成されている。弁シート22の突起部22aが、弁座25と当接して、弾性変形することにより、弁座25との密着性をより高めることができる。
【0024】
圧力センサ30は、流路101の弁体20よりも上流側(すなわち、弁体20と弁座25が当接して流路101が遮断される部分よりも上流側)に設けられている。圧力センサ30は、流路101内の圧力を検知することができれば、どのような形態であってもよく、各種の圧力センサを用いることができる。そして、圧力センサ30は、検知した圧力値を制御器50に出力する。
【0025】
また、温度センサ40は、流路101内の流体の温度を検知することができれば、その設置場所は任意である。温度センサ40としては、熱電対等の各種の温度センサを用いることができる。そして、温度センサ40は、検知した温度値を制御器50に出力する。
【0026】
制御器50は、記憶手段(記憶モジュール)51と、検知値取得手段(検知値取得モジュール)52と、判断手段(判断モジュール)53と、駆動制御手段(駆動制御モジュール)54と、を有している。記憶手段51は、各制御動作を実行するためのプログラムを格納した、メモリ等から構成されている。そして、制御器50は、マイクロプロセッサ、CPU等で構成されている演算処理手段(図示せず)が、記憶手段51に格納された所定の制御プログラムを読み出し、これを実行することにより流体制御装置100に関する各種の制御を行う。
【0027】
また、制御器50の検知値取得手段52、判断手段53、及び駆動制御手段54は、記憶手段51に格納された所定のプログラムを実行することにより実現される。なお、制御器50は、単独の制御器で構成される形態だけでなく、複数の制御器が協働して流体制御装置100の制御を実行する制御器群で構成される形態であっても構わない。また、制御器50は、マイクロコントローラで構成されていてもよく、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等によって構成されていてもよい。さらに、駆動制御手段54は、制御器50とは独立して構成されていて、例えば、制御器50からの制御信号に応じてステッピングモータ10を駆動させるドライバICで構成されていてもよい。
【0028】
[流体制御装置の動作]
次に、本実施の形態1に係る流体制御装置100による遮断動作について、図1乃至図4を参照しながら説明する。なお、以下の動作は、例えば、流体がガスであり、当該ガスの使用状態が異常である場合、又は圧力センサ30等の各種のセンサが異常値を検知したような場合に行われる。
【0029】
図2は、図1に示す流体制御装置において、閉弁しめきり動作を行った(弁シートが閉弁下死点まで移動した)状態を示す模式図であり、図3は、図1に示す流体制御装置において、遮断応力緩和動作を行った状態を示す模式図である。また、図4は、本発明の実施の形態1に係る流体制御装置の遮断動作を模式的に示すフローチャートである。
【0030】
図4に示すように、遮断動作が開始されると、制御器50の検知値取得手段52は、圧力センサ30が検知した圧力値P及び温度センサ40が検知した温度値Tを取得する(ステップS101)。次に、制御器50は、閉弁しめきり動作を開始する(ステップS102)。なお、ステップS101とステップS102は、その順序を入れ替えてもよいし、同時に実行してもよい。
【0031】
具体的には、制御器50は、ステッピングモータ10を駆動させて、弁体20を弁座25に向かって移動させる。そして、弁体20の弁シート22が弁座25と当接し、弁シート22の突起部22aが圧縮変形状態となる閉弁下死点まで弁体20が移動するように、ステッピングモータ10を駆動させる(図2参照)。これにより、流路101は、弁体20を境にして上流側と下流側とが気密的に遮断される。
【0032】
なお、この場合、制御器50は、弁体20の弁シート22が弁座25と当接するまで、ステッピングモータ10に入力する駆動信号の周波数を大きくし、弁シート22が弁座25と当接すると、周波数を小さくして、ステッピングモータ10のトルクを大きくするように、ステッピングモータ10を制御してもよい。また、制御器50は、流体制御装置100が流路101に設置されてからの時間が所定時間t1以上になると、ステッピングモータ10に入力する信号の周波数を小さくするように構成されていてもよい。ここで、所定時間t1は、ステッピングモータ10の劣化により、トルクが初期値よりも小さくなるまでに要する時間や、直線運動変換手段60の劣化により変換効率が所定値よりも低下するまでの時間であり、予め実験等で求めることができる。
【0033】
次に、制御器50の判断手段53は、ステップS101で検知値取得手段52が取得した圧力値Pが、記憶手段51に記憶されている所定圧力値P1より低い値であるか、又はステップS101で検知値取得手段52が取得した温度値Tが、記憶手段51に記憶されている所定温度値T1より低い値であるかを判断する(ステップS103)。
【0034】
ここで、所定圧力値P1は、ステッピングモータ10のトルクや弁シート22に使用される材料等により、任意に設定される。所定圧力値P1は、例えば、弁体20と弁座25との間のシール性が不充分になる流路101内の圧力範囲を予め実験等により求めて、当該圧力範囲内から選択した値としてもよい。この場合、弁体20と弁座25との間のシール性をより充分にする観点から、前記圧力範囲の上限値を所定圧力値P1として設定することが好ましい。また、所定圧力値P1は、例えば、流路101を通流する流体の圧力変動が生じても、弁体20と弁座25の当接が充分に保たれるようにする観点から、流体の供給圧力範囲内から選択した値としてもよい。
【0035】
また、所定温度値T1は、遮断応力緩和動作を行っても、弁体20が弁座25に当接して、流路101を遮断できる温度よりも低い温度をいう。所定温度値T1は、ステッピングモータ10のトルクや弁シート22に使用される材料等により、任意に設定することができる。例えば、所定温度値T1は、弁体20と弁座25との間のシール性が不充分になる流路101内の温度範囲を予め実験等により求めて、当該温度範囲内から選択した値としてもよい。この場合、弁体20と弁座25との間のシール性をより充分にする観点から、前記温度範囲の上限値を所定温度値T1として設定することが好ましい。
【0036】
制御器50の判断手段53は、圧力値Pが所定圧力値P1以上であり、かつ、温度値Tが所定温度値T1以上である場合(ステップS103でNo)には、ステップS104に進む。一方、圧力値Pが所定圧力値P1より低い値であるか、又は温度値Tが所定温度値T1より低い値である場合(ステップS103でYes)には、ステップS106に進む。
【0037】
ステップS104では、制御器50の判断手段53は、遮断応力緩和動作を行うことを決定し、駆動制御手段54に伝達する。ついで、制御器50は、遮断応力緩和動作を開始する(ステップS105)。具体的には、制御器50の駆動制御手段54が、弁シート22が弁座25との当接状態を保つ範囲内で弁シート22と弁座25との間の応力を緩和するように、ステッピングモータ10を駆動させる(逆回転させる)(図3参照)。これにより、弁体20が弁座25から離れる方向に移動して、弁シート22と弁座25との間の応力が緩和される。
【0038】
一方、ステップS106では、制御器50の判断手段53は、遮断応力緩和動作を行わないことを決定し、遮断動作を終了する。
【0039】
このように、本実施の形態1に係る流体制御装置100では、流路101内の温度が、所定値(所定温度値T1)よりも低下したような場合及び流路101内の圧力が、所定値(所定圧力値P1)よりも低下したような場合の少なくとも一方の場合には、遮断応力緩和動作を行わないため、弁体20の弁座25との間のシール性が不充分になることを抑制することができる。
【0040】
また、本実施の形態1に係る流体制御装置100では、流路101内の温度が、所定値(所定温度値T1)以上である場合及び流路101内の圧力が、所定値(所定圧力値P1)以上である場合は、流路101の遮断動作を行う際に、遮断応力緩和動作を行うので、弁シート22に過大な応力がかかることを抑制することができ、弁シート22等の劣化を抑制することができる。
【0041】
なお、本実施の形態1においては、温度センサ40が、流路101内の流体の温度を直接検知する形態を採用したが、これに限定されない。温度センサ40が、流路101内の流体の温度を間接に検知する形態を採用してもよい。例えば、流路101外の温度と流路101内の温度との差が小さい場合には、温度センサ40が、流路101外の温度を検知して、当該温度を流路101内の流体の温度としてもよい。また、例えば、温度センサ40が流路101外の温度を検知し、その検知値を適宜補正等することによって、流路101内の温度を検知するようにしてもよい。
【0042】
また、本実施の形態1においては、圧力センサ30が、流路101内の弁体20よりも上流側の圧力値を検知し、当該圧力値が所定値よりも低い場合に、遮断応力緩和動作を行わない形態を採用したが、これに限定されない。例えば、圧力センサ30が、流路101内の弁体20よりも上流側の圧力値を検知し、当該圧力値を温度センサ40が検知した温度に基づいて補正し、補正した圧力値が所定値よりも低い場合に、遮断応力緩和動作を行わない形態を採用してもよい。また、例えば、弁体20よりも上流側の圧力値と、弁体20よりも下流側の圧力値と、を検知して、その差圧が、所定値以上である場合に、遮断応力緩和動作を行わない形態を採用してもよい。
【0043】
また、本実施の形態1においては、圧力センサ30と温度センサ40の両方が設けられている形態を採用したが、これに限定されず、圧力センサ30又は温度センサ40のいずれか一方のセンサが設けられている形態を採用してもよい。
【0044】
さらに、本実施の形態1においては、弁体20の弁シート22が可撓性を有する形態を採用したが、これに限定されない。弁体20の弁シート22及び弁座25の少なくとも一方が、可撓性を有していればよい。
【0045】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る流体制御装置は、制御器が、圧力センサ及び温度センサの少なくとも一方が、所定値より低い値を検知してから、所定時間経過後に、所定値以上の値を検知すると、遮断応力緩和動作を行わせる態様を例示するものである。
【0046】
[流体制御装置の動作]
図5は、本発明の実施の形態2に係る流体制御装置の遮断動作を模式的に示すフローチャートである。なお、本発明の実施の形態2に係る流体制御装置100は、実施の形態1に係る流体制御装置100と同様に構成されているため、その構成の詳細な説明は省略する。
【0047】
図5に示すように、本発明の実施の形態2に係る流体制御装置100の遮断動作は、実施の形態1に係る流体制御装置100の遮断動作と基本的動作は同じであるが、ステップS106以降の動作が異なる。以下、ステップS106以降の動作について説明する。
【0048】
制御器50の判断手段53は、圧力値Pが所定圧力値P1より低い値であるか、又は温度値Tが所定温度値T1より低い値である場合(ステップS103でYes)には、遮断応力緩和動作を行わないことを決定する(ステップS106)。次に、制御器50は、図示されない計時手段(計時モジュール)により、遮断応力緩和動作を行わないことを決定してからの時間を計時し、当該時間が、予め設定されている所定時間t2以上になるまでステップS107を繰り返す。ここで、所定時間t2は、任意に設定することができ、数秒であってもよく、数分であってもよい。
【0049】
制御器50は、計時した時間が所定時間t2以上になる(ステップS107でYes)と、制御器50の検知値取得手段52は、再び、圧力センサ30が検知した圧力値P及び温度センサ40が検知した温度値Tを取得する(ステップS108)。ついで、制御器50の判断手段53は、ステップS108で検知値取得手段52が取得した圧力値Pが、所定圧力値P1より低い値であるか、又はステップS108で検知値取得手段52が取得した温度値Tが、所定温度値T1より低い値であるかを判断する(ステップS109)。
【0050】
制御器50の判断手段53は、圧力値Pが所定圧力値P1より低い値であるか、又は温度値Tが所定温度値T1より低い値である場合(ステップS109でYes)には、遮断動作を終了する。一方、制御器50の判断手段53は、圧力値Pが所定圧力値P1以上であり、かつ、温度値Tが所定温度値T1以上である場合(ステップS109でNo)には、制御器50の判断手段53は、遮断応力緩和動作を行うことを決定し、駆動制御手段54に伝達する(ステップS110)。ついで、制御器50は、遮断応力緩和動作を開始し(ステップS111)、遮断動作を終了する。
【0051】
このように構成された本実施の形態2に係る流体制御装置100であっても、実施の形態1に係る流体制御装置100と同様の作用効果を奏する。また、本実施の形態2に係る流体制御装置100では、制御器50が、遮断応力緩和動作を行わないことを決定した後に、流路101内の圧力値Pが所定圧力値P1より低い値であるか、又は流路101内の温度値Tが所定温度値T1より低い値であるか否かを判断するように構成されている。これにより、本実施の形態2に係る流体制御装置100は、実施の形態1に係る流体制御装置100に比して、弁シート22に過大な応力がかかることを抑制することができ、弁シート22等の劣化を抑制することができる。
【0052】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の流体制御装置及び流体制御装置の制御方法は、流路内の温度が低下したような場合及び流路内の圧力が低下したような場合の少なくとも一方の場合に、弁体と弁座との間のシール性が不充分になることを抑制することができるため、有用である。
【符号の説明】
【0054】
10 ステッピングモータ
20 弁体
21 弁シート保持部材
22 弁シート
22a 突起部
25 弁座
30 圧力センサ
40 温度センサ
50 制御器
51 記憶手段
52 検知値取得手段
53 判断手段
54 駆動制御手段
60 直線運動変換手段
100 流体制御装置
101 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動器と、弁体と、制御器と、を備え、前記駆動器により前記弁体を駆動して、流路の開閉を行う流体制御装置において、
前記流体制御装置は、前記流路の前記弁体より上流側の圧力を検知する圧力センサ及び前記流路内の流体の温度を検知する温度センサの少なくとも一方のセンサ、を備え、
前記弁体は、前記流路に設けられた弁座に当接可能な弁シートを有し、
前記弁座及び前記弁シートの少なくとも一方は、可撓性を有し、
前記制御器は、前記弁シートを前記弁座に当接した後、前記弁座及び前記弁シートの少なくとも一方が圧縮変形状態となる閉弁下死点まで前記駆動器を駆動させる閉弁しめきり動作を行い、
前記圧力センサ及び前記温度センサの少なくとも一方のセンサの検知値により、前記閉弁しめきり動作後に、前記弁シートが前記弁座との当接状態を保つ範囲内で前記弁シートと前記弁座との間の応力を緩和するように前記駆動器を駆動させる遮断応力緩和動作を行うか否かを判断するように構成されていることを特徴とする、流体制御装置。
【請求項2】
前記制御器は、前記圧力センサ及び前記温度センサの少なくとも一方のセンサが、予め設定されている所定値より低い値を検知した場合には、前記閉弁しめきり動作後、前記遮断応力緩和動作を行わないことを特徴とする、請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記制御器は、前記圧力センサ及び前記温度センサの少なくとも一方が、前記所定値より低い値を検知してから、所定時間経過後に、前記所定値以上の値を検知すると、前記遮断応力緩和動作を行わせることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の流体制御装置。
【請求項4】
駆動器により弁体を駆動し流路の開閉を行う流体制御装置の制御方法において、
前記弁体は、前記流路に設けられた弁座に当接可能な弁シートを有し、
前記弁座及び前記弁シートの少なくとも一方は、可撓性を有し、
前記弁シートを前記弁座に当接した後、前記弁座及び前記弁シートの少なくとも一方が圧縮変形状態となる閉弁下死点まで前記駆動器を駆動させる閉弁しめきり動作を行うステップと、
前記圧力センサ及び前記温度センサの少なくとも一方のセンサの検知値により、前記閉弁しめきり動作後に、前記弁シートが弁座との当接状態を保つ範囲内で前記弁シートと前記弁座との間の応力を緩和するように前記駆動器を駆動させる遮断応力緩和動作を行うか否かを判断するステップと、を備えていることを特徴とする、流体制御装置の制御方法。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−246971(P2012−246971A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117818(P2011−117818)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】