説明

流体反応検出モジュールおよび流体反応検出システム

【課題】 流体に対して非接触の状態で流体の反応を検出することが可能な流体反応検出モジュールおよび流体反応検出システムを提供すること。
【解決手段】 気体反応検出モジュール100は、配管800に向けて光を出射する発光手段200と、複数の受光部を有するセンサIC400と、配管800からの光を上記複数の受光部に集光するレンズユニット300と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば気体などの流体の反応を検出する流体反応検出モジュールおよび流体反応検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、気体に代表される流体を検出対象とした検出手段が提案されている(たとえば特許文献1)。検出手段は、たとえば気体が存在する流路などに置かれる感知素子を備える。この感知素子は、たとえば気体の反応に伴う温度や湿度などの状態量の変化によってその抵抗値が変化する。この抵抗値の変化を読み取ることにより、気体の反応を検出することができる。
【0003】
しかしながら、感知素子が検出対象である気体に触れる構成であるため、気体の種類によっては感知素子が腐食されるおそれがある。あるいは、意図しない水分が感知素子に過大に付着してしまうと、感知機能を果たさないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−515050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、流体に対して非接触の状態で流体の反応を検出することが可能な流体反応検出モジュールおよび流体反応検出システムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される流体反応検出モジュールは、流体存在領域に向けて光を出射する発光手段と、複数の受光部を有する受光手段と、上記流体存在領域からの光を上記複数の受光部に集光するレンズユニットと、を備えることを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の受光部は、一方向に沿って配列されている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記流体存在領域は、流体流路の一部であり、
上記複数の受光部は、上記流体流路の流れ方向に沿って配列されている。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記発光手段は、上記流体存在領域に対して上記受光手段と同じ側に配置された反射用発光ユニットを含む。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記反射用発光ユニットは、LEDチップと、上記LEDチップからの光が入射する入射面、上記入射面から進行してきた光を反射する反射面、上記反射面からの光を線状光として出射する出射面、を有する導光体と、を具備する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記反射用発光ユニットは、上記複数の受光部の配列方向に長く延びる線状光を出射する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記発光手段は、上記流体存在領域に対して上記受光手段と反対側に配置された透過用発光ユニットを含む。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記透過用発光ユニットは、LEDチップと、上記LEDチップからの光が入射する入射面、上記入射面から進行してきた光を反射する反射面、上記反射面からの光を線状光として出射する出射面、を有する導光体と、を具備する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記透過用発光ユニットは、上記複数の受光部の配列方向に長く延びる線状光を出射する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の受光部は、上記発光手段から出射された後に、上記流体存在領域によって反射された光、あるいは上記流体存在領域を透過した光を受光し得る複数の第1受光部と、上記発光手段から出射された後に、上記流体存在領域によって反射された光、あるいは上記流体存在領域を透過した光が到達する領域から退避した位置にある1以上の第2受光部と、を含む。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記流体存在領域と上記第2受光部との間に介在し、特定の波長領域の光を透過させるフィルタを備える。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の受光部は、同一のセンサICに搭載されており、上記センサICを横切る遮光部を備えており、上記複数の第1受光部は、上記遮光部に対して一方側に位置しており、上記1以上の第2受光部は、上記遮光部を挟んで上記複数の第1受光部とは反対側に位置する。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記遮光部は、上記センサICの一部を覆う樹脂部と、上記樹脂部から上記流体存在領域に向かって延びる壁部と、からなる。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記流体存在領域に対して上記受光手段を気密するケースをさらに備える。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースは、上記レンズユニットを収容している。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記流体存在領域の温度を計測する温度計測手段をさらに備える。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記温度計測手段は、上記流体存在領域に対面する主面およびこの主面とは反対側の裏面を有する受熱基板と、上記裏面に搭載された温度計測素子と、を具備する。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記温度計測素子は、上記流体存在領域に対して気密されている。
【0024】
本発明の第2の側面によって提供される流体反応検出システムは、本発明の第1の側面によって提供される流体反応検出モジュールと、上記受光手段から受けた受光信号に基づいて、上記流体存在領域における流体の状態を判断する判断手段と、を備えることを特徴としている。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記判断手段の判断結果を出力する報知手段を備える。
【0026】
このような構成によれば、上記流体存在領域内の流体に、上記流体反応検出モジュールのいずれかの部位を暴露させる必要が無い。したがって、上記流体存在領域内の流体による腐食が、上記流体反応検出モジュールに生じることを、回避することができる。
【0027】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る流体反応検出モジュールおよび流体反応検出システムの一例を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0030】
図1〜図3は、本発明に係る流体反応検出モジュールおよび流体反応システムの一例を示している。本実施形態の気体反応検出システム100は、気体反応検出モジュール110、判断部710、およびディスプレイ720を備えている。気体反応検出システム100は、本願でいう流体存在領域の一例である配管800に流れる気体の反応を検出する。配管800は、たとえば図示された部位全体が透明、あるいは透光性の材質からなり、その流れ方向がx方向とされている。
【0031】
気体反応検出モジュール110は、発光手段200、レンズユニット300、センサIC400、温度計測手段500、およびケース600を備えており、配管800を流れる気体の反応を光学的手法によって検出するモジュールである。
【0032】
発光手段200は、気体反応検出モジュール110による光学的検出手法に供される光を出射する手段である。本実施形態においては、発光手段200は、発光ユニット210および発光ユニット250からなる。発光ユニット210は、本発明で言う透過用発光ユニットに相当し、発光ユニット250は、本発明で言う反射用発光ユニットに相当する。発光ユニット210と発光ユニット250とは、配管800を挟んで互いに反対側に配置されている。
【0033】
発光ユニット210は、LEDモジュール220、導光体230、およびケース240を備えている。
【0034】
LEDモジュール220は、LEDチップ221を備えている。LEDチップ221は、たとえばGaN系半導体からなるn型半導体層、p型半導体層、およびこれらに挟まれた活性層を有しており、たとえば青色光を発する。LEDチップ221は、蛍光材料を含有する透光樹脂222によって覆われている。この蛍光材料は、青色光によって励起されることにより黄色光を発する。あるいは、青色光によって励起されることにより赤色光を発する蛍光材料と緑色光を発する蛍光材料とを用いてもよい。青色光と黄色光、あるいは青色光と赤色光および緑色光を混色させることにより、LEDモジュール220からは白色光が出射される。
【0035】
導光体230は、たとえばPMMA樹脂などの透明材料からなり、x方向に長く延びる棒状である。導光体230は、入射面231、反射面232、および出射面233を有する。入射面231は、LEDモジュール220のLEDチップ221と正対するx方向端面である。LEDモジュール220からの光は、入射面231から導光体230に入射する。反射面232は、x方向に長く延びて配置されており、導光体230の図中z方向上側部分に形成されている。反射面232は、入射面231から導光体230内を進行してきた光を出射面233に向けて反射する。反射面232は、たとえば導光体230の一部に凹凸を形成したり、白色樹脂を塗布したりすることによって構成されている。出射面233は、x方向に長く延びており、導光体230の図中z方向下側部分に形成されている。反射面232によって反射された光は、x方向に延びる線状光として出射面233から出射される。
【0036】
ケース240は、たとえば黒色樹脂からなる直方体形状であり、LEDモジュール220および導光体230を配管800に対して気密した状態で収容している。ケース240には、透過板241が設けられている。透過板241は、導光体230に対してz方向下側に配置されており、x方向に長く延びる帯状のたとえば透明なガラス板である。導光体230の出射面233から出射された線状光は、透過板241を透過してz方向上側から配管800に向かう。
【0037】
図1、図3、図4に示すように、発光ユニット250は、LEDモジュール260、および導光体270を備えている。
【0038】
LEDモジュール260は、LEDチップ261を備えている。LEDチップ261は、たとえばGaN系半導体からなるn型半導体層、p型半導体層、およびこれらに挟まれた活性層を有しており、たとえば青色光を発する。LEDチップ261は、蛍光材料を含有する透光樹脂262によって覆われている。この蛍光材料は、青色光によって励起されることにより黄色光を発する。あるいは、青色光によって励起されることにより赤色光を発する蛍光材料と緑色光を発する蛍光材料とを用いてもよい。青色光と黄色光、あるいは青色光と赤色光および緑色光を混色させることにより、LEDモジュール260からは白色光が出射される。
【0039】
導光体270は、たとえばPMMA樹脂などの透明材料からなり、x方向に長く延びる棒状である。導光体270は、入射面271、反射面272、および出射面273を有する。入射面271は、LEDモジュール260のLEDチップ261と正対するx方向端面である。LEDモジュール260からの光は、入射面271から導光体270に入射する。反射面272は、x方向に長く延びて配置されており、導光体270の図中z方向斜め下側部分に形成されている。反射面272は、入射面271から導光体270内を進行してきた光を出射面273に向けて反射する。反射面272は、たとえば導光体270の一部に凹凸を形成したり、白色樹脂を塗布したりすることによって構成されている。出射面273は、x方向に長く延びており、導光体230の図中z方向斜め上側部分に形成されている。反射面272によって反射された光は、x方向に延びる線状光として出射面273から出射される。発光ユニット250からの線状光は、z方向下側から配管800に向かう。
【0040】
ケース600は、配管800に対してz方向下側に配置されており、たとえば黒色樹脂からなる。ケース600は、x方向に長く延びる直方体形状であり、発光ユニット250、レンズユニット300、センサIC400、温度計測手段500を収容している。特に、発光ユニット250、レンズユニット300、センサIC400、および後述する温度計測手段500の温度計測素子520は、配管800に対して気密された状態でケース600に収容されている。ケース600は、透過板610、フィルタ620、および遮光部630を有する。
【0041】
透過板610は、ケース600のz方向上側部分に配置されており、x方向に長く延びる帯状のたとえば透明なガラス板である。透過板610は、発光ユニット250からの線状光を透過させる。
【0042】
フィルタ620は、透過板610に対してx方向に隣接して設けられている。フィルタ620は、特定の波長の光を選択的に透過させるものであり、たとえば着色されたガラス板である。本実施形態においては、フィルタ620は、たとえば緑色光を選択的に透過させる。
【0043】
遮光部630は、ケース600の内部に設けられており、x方向において透過板610とフィルタ620との間に位置している。遮光部630は、壁部631および樹脂部632からなる。壁部631は、zy平面に沿って広がる部位である。樹脂部632は、センサICに接しており、センサIC400と壁部631との隙間を埋めている。樹脂部632は、たとえば黒色のシリコーン樹脂からなる。
【0044】
レンズユニット300は、配管800から透過板610を通して向かってきた光をたとえば正立等倍でセンサIC400に結像させる光学部品である。レンズユニット300は、複数のロッドレンズ310およびホルダ320からなる。複数のロッドレンズ310は、各々がたとえばz方向に長く延びる円柱状のレンズであり、x方向に配列されている。ホルダ320は、複数のロッドレンズ310を保持しており、たとえば黒色樹脂からなる。図1および図3に示すように、レンズユニット300と発光ユニット250とはケース600内においてy方向に並んで配置されている。
【0045】
センサIC400は、本発明で言う受光手段に相当し、複数の受光部410を備えている。センサIC400は、複数の受光部410が受光した光の強度に応じた受光信号を生成する、光電変換機能を果たす。複数の受光部410は、x方向に沿って配列されており、複数の受光部411および複数の受光部412を含んでいる。複数の受光部411は、複数の受光部410のうち図2において遮光部630よりもx方向左方に配置されたものであり、本発明でいう第1受光部に相当する。複数の受光部412は、複数の受光部410のうち図2において遮光部630よりもx方向右方に配置されたものであり、本発明で言う第2受光部に相当する。
【0046】
複数の受光部411には、発光ユニット210から発せられたのちに配管800を透過した光がレンズユニット300によって結像されうる。また、複数の受光部411には、発光ユニット250から発せられたのちに配管800内の気体によって反射された光がレンズユニット300によって結像されうる。一方、複数の受光部411には、発光ユニット210から発せられたのちに配管800を透過した光、および発光ユニット250から発せられたのちに配管800内の気体によって反射された光は、遮光部630によって遮光されるため到達しない。配管800内の気体が何らかの反応によって自発光した場合、この光は複数の受光部412に到達しうる。なお、後述する本願が意図する効果を奏するには、1つの受光部412を備える構成であってもよい。
【0047】
温度計測手段500は、受熱基板510および温度計測素子520からなる。受熱基板510は、たとえばセラミックスからなり、フィルタ620に対してx方向に隣接して配置されている。受熱基板510は、主面511および裏面512を有する。主面511は、配管800に対面しており、配管800からの熱を受ける。裏面512は、主面511の反対側にあり、温度計測素子520が搭載されている。温度計測素子520は、温度変化を電気的変化に変換する素子であり、たとえば熱電対などである。
【0048】
判断部710は、発光手段200の発光制御と、センサIC400からの受光信号および温度計測手段500からの温度信号に基づく気体の反応検出判断とを行う。判断部710は、たとえばCPU、メモリ、インターフェースなどによって構成される。センサIC400からは、各受光部410ごとの受光信号が送られる。判断部710は、各受光信号が受光した光の強度を認識する。また、判断部710は、温度計測手段500からの温度信号に基づいて、配管800内の気体の温度を認識する。判断部710は、発光ユニット210および発光ユニット250を任意のタイミングで点灯および消灯させることができる。
【0049】
ディスプレイ720は、本発明で言う報知手段の一例であり、たとえば液晶表示パネルによって構成されている。ディスプレイ720には、判断部710からの指令により、複数の受光部410の受光状態や、温度計測手段500の計測温度などが表示され、また、これらに基づいた判断部710による気体反応の検出結果が表示される。
【0050】
次に、気体反応検出モジュール110および気体反応検出システム100の作用について説明する。
【0051】
本実施形態によれば、検出対象である配管800内の気体に、気体反応検出モジュール110のいずれかの部位を暴露させる必要が無い。したがって、配管800内の気体による腐食が、気体反応検出モジュール110に生じることを、回避することができる。
【0052】
発光ユニット210からの光は、配管800を透してセンサIC400の複数の受光部411に向かう。このため、配管800内の気体の反応に伴ってこの気体の透過率が変化すると、複数の受光部411が受ける発光ユニット210からの光の光量が変化する。したがって、配管800内の気体の反応を速やかに検出することができる。
【0053】
発光ユニット250からの光は、複数の受光部411と同じ側から配管800へと向かう。このため、配管800内の気体の反応に伴ってこの気体の反射率が変化すると、複数の受光部411が受ける発光ユニット250からの光の光量が変化する。したがって、配管800内の気体の反応を速やかに検出することができる。
【0054】
複数の受光部411が配管800の流れ方向と一致するx方向に沿って配列されていることにより、配管800の流れ方向(x方向)において徐々に反応が進展する場合に、その遷移を認識することができる。レンズユニット300を設けることにより、x方向における複数の受光部411の分解能を飛躍的に高めることができる。これは、配管800の流れ方向(x方向)における反応の進展をより高精度に認識するのに有利である。
【0055】
LEDモジュール220と導光体230とを備える発光ユニット210は、x方向に延びる十分な光量の線状光を出射するのに適している。また、LEDモジュール260と導光体270とを備える発光ユニット210は、x方向に延びる十分な光量の線状光を出射するのに適している。
【0056】
複数の受光部412には、発光手段200から発せられたのちに、配管800を透過した光、および配管800によって反射された光は到達しない。このため、発光手段200が点灯した状態であっても、配管800内の気体が反応によって自発光すると、複数の受光部412が受光する光の光量が変化する。これにより、配管800内の気体に自発光を伴う反応が生じたことを認識することができる。フィルタ620を備えることにより、配管800内の気体の反応に伴う自発光によって生じうる波長の光を選択的に受光することが可能である。これは、外乱光などの影響を排除するのに好ましい。
【0057】
複数の受光部411と複数の受光部412とは、同一のセンサIC400の複数の受光部410によって構成されている。このため、互いに異なる検出機能を果たす複数の受光部411および複数の受光部412を設けるために、それぞれに専用のセンサICを用意する必要が無い。これは、気体反応検出モジュール110の低コスト化に好ましい。
【0058】
遮光部630に壁部631を設けることにより、複数の受光部412に対してx方向において異なる位置に設けられた発光手段200からの光が複数の受光部412に到達することをより確実に阻止することができる。遮光部630に樹脂部632を設けることにより、センサIC400と壁部631との間から意図しない光が漏れてしまうことを防止することができる。
【0059】
温度計測手段500を備えることにより、配管800内の気体の反応に伴う光学的状態の変化だけでなく、温度変化を補助的に認識することができる。これは、配管800内の気体に検出することを意図した反応が生じているか否かを判断するのに有利である。受熱基板510の裏面512に温度計測素子520を配置することにより、温度計測素子520が腐食されることを防止することができる。
【0060】
発光ユニット210のLEDモジュール220および導光体230は、ケース240によって配管800に対して気密されている。これにより、LEDモジュール220および導光体230の腐食を防止することができる。また、発光ユニット250、レンズユニット300、センサIC400、および温度計測素子520は、ケース600によって配管800に対して気密されている。これにより、レンズユニット300、センサIC400、および温度計測素子520の腐食を防止することができる。
【0061】
気体反応検出システム100は、配管800から離間した位置に判断部710およびディスプレイ720を配置することが可能である。したがって、配管800内の気体の反応の有無を遠隔監視することができる。判断部710によって発光ユニット210と発光ユニット250の発光制御を行うことにより、配管800内の気体の透過率および反射率の変化を混同することなく正確に検出することができる。
【0062】
本発明に係る流体反応検出モジュールおよび流体反応検出システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る流体反応検出モジュールおよび流体反応検出システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0063】
発光手段200は、透過用の発光ユニット210と反射用の発光ユニット250の双方を備えるものが好ましいが、これに限定されず、透過用の発光ユニット210と反射用の発光ユニット250のいずれかのみを備える構成であってもよい。発光ユニット250は、センサIC400と一体的にケース600に収容されることが小型化に好ましいが、たとえばセンサIC400に対して発光ユニット250を離間して配置した構成であってもよい。
【0064】
本願の流体反応検出モジュールおよび流体反応検出システムの検出対象は、気体に限定されず、たとえば液体であってもよく、反応によって光学的状態の変化を伴う流体を対象とした反応検出に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
100 気体反応検出システム
110 気体反応検出モジュール
200 発光手段
210 (透過用)発光ユニット
220 LEDモジュール
221 LEDチップ
222 透光樹脂
230 導光体
231 入射面
232 反射面
233 出射面
240 ケース
241 透過板
250 (反射用)発光ユニット
260 LEDモジュール
261 LEDチップ
262 透光樹脂
270 導光体
271 入射面
272 反射面
273 出射面
300 レンズユニット
310 ロッドレンズ
320 ホルダ
400 センサIC(受光手段)
410 受光部
411 (第1)受光部
412 (第2)受光部
500 温度計測手段
510 受熱基板
511 主面
512 裏面
520 温度計測素子
600 ケース
610 透過板
620 フィルタ
630 遮光部
631 壁部
632 樹脂部
710 判断部
720 ディスプレイ(報知手段)
800 配管(流体存在領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体存在領域に向けて光を出射する発光手段と、
複数の受光部を有する受光手段と、
上記流体存在領域からの光を上記複数の受光部に集光するレンズユニットと、
を備えることを特徴とする、流体反応検出モジュール。
【請求項2】
上記複数の受光部は、一方向に沿って配列されている、請求項1に記載の流体反応検出モジュール。
【請求項3】
上記流体存在領域は、流体流路の一部であり、
上記複数の受光部は、上記流体流路の流れ方向に沿って配列されている、請求項2に記載の流体反応検出モジュール。
【請求項4】
上記発光手段は、上記流体存在領域に対して上記受光手段と同じ側に配置された反射用発光ユニットを含む、請求項2または3に記載の流体反応検出モジュール。
【請求項5】
上記反射用発光ユニットは、LEDチップと、上記LEDチップからの光が入射する入射面、上記入射面から進行してきた光を反射する反射面、上記反射面からの光を線状光として出射する出射面、を有する導光体と、を具備する、請求項4に記載の流体反応検出モジュール。
【請求項6】
上記反射用発光ユニットは、上記複数の受光部の配列方向に長く延びる線状光を出射する、請求項5に記載の流体反応検出モジュール。
【請求項7】
上記発光手段は、上記流体存在領域に対して上記受光手段と反対側に配置された透過用発光ユニットを含む、請求項2ないし6のいずれかに記載の流体反応検出モジュール。
【請求項8】
上記透過用発光ユニットは、LEDチップと、上記LEDチップからの光が入射する入射面、上記入射面から進行してきた光を反射する反射面、上記反射面からの光を線状光として出射する出射面、を有する導光体と、を具備する、請求項7に記載の流体反応検出モジュール。
【請求項9】
上記透過用発光ユニットは、上記複数の受光部の配列方向に長く延びる線状光を出射する、請求項8に記載の流体反応検出モジュール。
【請求項10】
上記複数の受光部は、上記発光手段から出射された後に、上記流体存在領域によって反射された光、あるいは上記流体存在領域を透過した光を受光し得る複数の第1受光部と、上記発光手段から出射された後に、上記流体存在領域によって反射された光、あるいは上記流体存在領域を透過した光が到達する領域から退避した位置にある1以上の第2受光部と、を含む、請求項2ないし9のいずれかに記載の流体反応検出モジュール。
【請求項11】
上記流体存在領域と上記第2受光部との間に介在し、特定の波長領域の光を透過させるフィルタを備える、請求項10に記載の流体反応検出モジュール。
【請求項12】
上記複数の受光部は、同一のセンサICに搭載されており、
上記センサICを横切る遮光部を備えており、
上記複数の第1受光部は、上記遮光部に対して一方側に位置しており、
上記1以上の第2受光部は、上記遮光部を挟んで上記複数の第1受光部とは反対側に位置する、請求項10または11に記載の流体反応検出モジュール。
【請求項13】
上記遮光部は、上記センサICの一部を覆う樹脂部と、上記樹脂部から上記流体存在領域に向かって延びる壁部と、からなる、請求項12に記載の流体反応検出モジュール。
【請求項14】
上記流体存在領域に対して上記受光手段を気密するケースをさらに備える、請求項1ないし13のいずれかに記載の流体反応検出モジュール。
【請求項15】
上記ケースは、上記レンズユニットを収容している、請求項14に記載の流体反応検出モジュール。
【請求項16】
上記流体存在領域の温度を計測する温度計測手段をさらに備える、請求項1ないし15のいずれかに記載の流体反応検出モジュール。
【請求項17】
上記温度計測手段は、上記流体存在領域に対面する主面およびこの主面とは反対側の裏面を有する受熱基板と、上記裏面に搭載された温度計測素子と、を具備する、請求項16に記載の流体反応検出モジュール。
【請求項18】
上記温度計測素子は、上記流体存在領域に対して気密されている、請求項17に記載の流体反応検出モジュール。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれかに記載の流体反応検出モジュールと、
上記受光手段から受けた受光信号に基づいて、上記流体存在領域における流体の状態を判断する判断手段と、を備えることを特徴とする、流体反応検出システム。
【請求項20】
上記判断手段の判断結果を出力する報知手段を備える、請求項19に記載の流体反応検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−72844(P2013−72844A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214263(P2011−214263)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】