説明

流体取扱装置およびそれに用いる流体取扱ユニット

【課題】 多検体の測定を行う試料分析装置として使用した場合に、簡単な構造で反応効率および測定感度を向上させ且つ反応時間および測定時間を短縮することができるとともに、使用する試料や試薬の量を節約してコストを削減することができる、流体取扱装置およびそれに用いる流体取扱ユニットを提供する。
【解決手段】 流体取扱装置10は、平板状の部材に複数の取付用凹部14が配列して形成されたプレート本体12と、このプレート本体の取付用凹部にそれぞれ取り付けられた複数の流体取扱部16とからなり、各々の流体取扱部が、流体を注入するための注入部26と、この注入部から導入された流体を連続的に下方に流動させる流動部28と、この流動部内の流体が導入される流体収容室30と、流動部の底部に到達した流体を流体収容室に導入する流路とを備え、流動部内に複数の円板22(多数のビーズ122、吸水性部材222)が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体取扱装置およびそれに用いる流体取扱ユニットに関し、特に、生体物質に代表される機能性物質などの試料を分析する試料分析装置として使用可能な流体取扱装置およびそれに用いる流体取扱ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンパク質などの生体物質を特異的に検出する方法として、特定の生体物質に対する抗体を用いて抗原抗体反応を起こさせ、その反応物を視覚的に認識または分光学的に測定することによってその生体物質を検出する様々な方法が知られている。
【0003】
現在、タンパク質などの生体物質の抗原抗体反応による反応物を定量する方法として、ELISA(Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay)(酵素結合免疫吸着検定法)などの方法が広く採用されている。これらの方法では、一般にマイクロウェル(以下「ウェル」という)と呼ばれる多数の微小凹部の配列が形成されたマイクロウェルプレートと呼ばれる試料分析装置を使用し、目的物質である特定の生体物質に対する抗体を捕体としてウェルの壁面にコートし、この捕体によって目的物質を捕捉し、目的物質と抗体との間の抗原抗体反応による反応物を蛍光や発光試薬などにより測定することによって目的物質を検出する。
【0004】
一般に、ELISAなどのマイクロウェルプレートを用いた方法では、抗原抗体反応後の液の吸光や蛍光を測定しているが、この場合、光学測定による測定値は、希薄溶液では液量に依存する。すなわち、光学測定による測定値は、ウェルを満たす液のウェル底面から液面までの高さに比例する。例えば、蛍光を測定する場合には、以下の式に示すように、蛍光強度Fは、層長Lに比例するので、ウェルに加えた液量に比例する。
F=klfecL
(k:比例係数、l:励起光強度、f:蛍光の量子収束、e:励起光波長におけるモル吸光係数、c:蛍光物質の濃度、L:層長)
【0005】
特に、蛍光測定によるELISAでは、一般に、ウェルの壁面にコートした捕捉用抗体によって目的物質を捕捉した後、酵素が結合した検出用抗体をウェルに加え、最後に基質をウェルに加えて、この基質の酵素反応による蛍光を測定しているので、一定時間酵素反応させた場合に生じる蛍光物質の量は捕捉された目的物質の量によって決定され、したがって、蛍光物質の濃度はウェルに加えた液量に依存する。すなわち、ウェルに加えた液量が増加すると、一定時間に生じる蛍光物質の濃度が低下する。したがって、測定感度を高めるためにウェルに加える液量を多くすると、上記の式における層長Lは増加するが、蛍光物質の濃度cが低下することになり、測定感度を十分に向上させることができない。
【0006】
このように、ELISAなどのマイクロウェルプレートを用いた従来の方法では、抗原抗体反応が捕捉用抗体をコートしたウェルの壁面のみで進行するため、ウェルに加えた液体中に含まれる目的物質、抗体、基質などがウェル内で浮遊、還流、沈下してウェルの壁面に到達した後に反応するまで放置しなければならず、反応効率が悪いという問題がある。また、マイクロウェルプレートは多数のウェルに細分化されているので、各々のウェルに加える液体の量が制限されるため、測定感度が低下するという問題もある。また、この測定感度の低下を防止するために、ウェルを満たす液のウェル底面から液面までの高さを増大するためには、使用する試料や試薬の量を増大させる必要があり、コストがかかる。
【0007】
反応効率や測定感度を向上させる方法として、捕体として多孔質体を用いる方法が知られているが、液の流動性を制御するためにポンプなどの外部動力を必要とし、また、多孔質体は詰まり易いので液の流動性を連続的に制御するのは困難である。また、微小空間が形成されたマイクロチップを使用し、微小空間内の液を流動させる方法として、加圧または吸引により液を流動させる方法が知られているが、この方法も外部動力を必要とし、煩雑な装置を必要とする。さらに、微小空間が形成されたマイクロチップを使用し、バルブ構造により微小空間内の液を流動させる方法も知られているが、この方法もバルブを作動させるための動力またはエネルギーを必要とする。
【0008】
また、ELISAなどの方法において測定感度の向上や測定時間の短縮を図るために、反応面(捕捉面)となるウェルの底面に微細な凹凸を設けることによって、反応面の表面積を大きくして測定感度を高めることができるマイクロプレートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、マイクロチップのマイクロチャネル内に反応固相として固体微粒子(ビーズ)を配置させることにより、反応面の表面積を増大して、微小空間における反応効率を高めることができるマイクロチップも提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、各ウェルの底面部の中央に小径の凹部を設けることにより、反応面の表面積を増大し且つ試料を節約することができるマイクロプレートも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】特開平9−159673号公報(段落番号0009−0010)
【特許文献2】特開2001−4628号公報(段落番号0005−0006)
【特許文献3】特開平9−101302号公報(段落番号0010−0011)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に提案されたマイクロプレートは、測定感度を向上させることができるが、反応効率を向上させることができないという問題がある。また、特許文献2に提案されたマイクロチップは、一般にELISAなどの方法に使用されるマイクロウェルプレートではなく、マイクロチャネル構造のマイクロチップであるため、反応効率を向上させることができるものの、多検体の測定に適していない。さらに、特許文献3に提案されたマイクロプレートは、ある程度反応面の表面積を増大して反応効率や測定感度を向上させることができ且つ使用する試料や試薬の量を節約することができるものの、反応効率や測定感度の向上および使用する試料や試薬の量の節約は十分ではない。
【0011】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、多検体の測定を行う試料分析装置として使用した場合に、簡単な構造で反応効率および測定感度を向上させ且つ反応時間および測定時間を短縮することができるとともに、使用する試料や試薬の量を節約してコストを削減することができる、流体取扱装置およびそれに用いる流体取扱ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明による流体取扱装置は、装置本体と、この装置本体上に配列された複数の流体取扱部とからなり、これらの流体取扱部の各々が、流体を注入するための注入部と、この注入部の底部の開口部から導入された流体を連続的に下方に流動させる流動部と、この流動部内の流体が導入される流体収容室と、流動部の底部に到達した流体を流体収容室に導入する流路とを備え、流動部内に導入された流体が流動部内で接触する表面の面積を増大させる表面積増大部材が流動部内に配置されていることを特徴とする。この流体取扱装置において、装置本体を平板状部材とすることができ、この場合、平板状部材の一方の面に複数の凹部が配列して形成され、これらの凹部内に複数の流体取扱部がそれぞれ取り付けられているのが好ましい。また、装置本体が、枠体と、この枠体上に互いに略平行に配置された複数の支持体とからなり、これらの支持体の各々に複数の凹部が所定の間隔で一列に配置して形成され、これらの凹部内に複数の流体取扱部がそれぞれ取り付けられているようにしてもよい。これらの流体取扱装置において、流動部が壁部を介して流体収容室を取り囲むように配置されているのが好ましい。
【0013】
上記の流体取扱装置において、表面積増大部材が、鉛直方向に積層された複数の板状体からなり、これらの板状体の間に間隙が形成され、流動部内に導入された流体がそれぞれの板状体の上面に沿って流動するのが好ましい。また、複数の凹部の各々が円柱形の凹部であり、流動部が、複数の凹部の各々に挿入された外側円筒状部材とこの外側円筒状部材内に挿入された内側円筒状部材との間に形成され、流体収容室が、内側円筒状部材内に形成され、表面積増大部材が、内側円筒状部材を取り囲むように積層された複数の円板状部材であり、注入部が、複数の円板状部材の上に配置された上側円筒状部材と内側円筒状部材との間に形成され、複数の円板状部材の間に間隙が形成され、流動部内に導入された流体がそれぞれの円板状部材の上面に沿って流動するのが好ましい。この場合、流動部内に導入された流体が、複数の円板状部材の最上段の円板状部材の周縁部からその円板状部材の上面に沿って径方向反対側まで流動した後、鉛直方向下側に流れ、その最上段の円板状部材の真下の段の円板状部材の周縁部に到達し、複数の円板状部材の各々の上面に沿って順次流動して最下段の円板状部材に到達するのが好ましい。
【0014】
上記の流体取扱装置において、表面積増大部材が、流動部内に充填された多数の微小粒状物でもよい。また、複数の凹部の各々が円柱形の凹部であり、流動部が、複数の凹部の各々に挿入された外側円筒状部材とこの外側円筒状部材内に挿入された内側円筒状部材との間に形成され、流体収容室が、内側円筒状部材内に形成され、注入部が、外側円筒状部材の上に配置された上側円筒状部材と内側円筒状部材との間に形成され、表面積増大部材が、流動部内に充填された多数の微小粒状物でもよい。
【0015】
上記の流体取扱装置において、表面積増大部材が、流動部内に配置された吸水性部材でもよい。また、複数の凹部の各々が円柱形の凹部であり、流動部が、複数の凹部の各々に挿入された外側円筒状部材とこの外側円筒状部材内に挿入された内側円筒状部材との間に形成され、流体収容室が、内側円筒状部材内に形成され、注入部が、表面積増大部材として流動部内に配置された吸水性部材の上に形成されていてもよい。
【0016】
上記の流体取扱装置において、複数の凹部の各々が、円柱形の上側凹部と、この上側凹部の底面に形成され、上側凹部より小径の下側凹部とからなり、流動部が、複数の凹部の各々に挿入された円筒状部材と上側凹部との間に形成され、流体収容室が、円筒状部材内に形成され、注入部が、表面積増大部材として流動部内に充填された多数の微小粒状物の上に形成されていてもよい。
【0017】
また、本発明による流体取扱ユニットは、流体を注入するための注入部と、この注入部の底部の開口部から導入された流体を連続的に下方に流動させる流動部と、この流動部に取り囲まれるように形成されて流動部内の流体が導入される流体収容室と、流動部の底部に到達した流体を流体収容室に導入する流路とを備え、流動部内に導入された流体が流動部内で接触する表面の面積を増大させる表面積増大部材が流動部内に配置されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明による流体取扱ユニットは、支持体と、この支持体に所定の間隔で一列に配置された複数の流体取扱部とからなり、これらの流体取扱部の各々が、流体を注入するための注入部と、この注入部の底部の開口部から導入された流体を連続的に下方に流動させる流動部と、この流動部に取り囲まれるように形成されて流動部内の流体が導入される流体収容室と、流動部の底部に到達した流体を流体収容室に導入する流路とを備え、流動部内に導入された流体が流動部内で接触する表面の面積を増大させる表面積増大部材が流動部内に配置されていることを特徴とする。
【0019】
これらの流体取扱ユニットにおいて、流体収容室が壁部を介して流動部に取り囲まれているのが好ましい。また、流動部が、底部を備えた外側円筒状部材とこの外側円筒状部材内に挿入された内側円筒状部材との間に形成され、流体収容室が、内側円筒状部材内に形成され、注入部が、外側円筒状部材の上側に配置された上側円筒状部材と内側円筒状部材との間に形成されているのが好ましい。また、表面積増大部材が、鉛直方向に積層された複数の板状体からなり、これらの板状体の間に間隙が形成され、流動部内に導入された流体がそれぞれの板状体の上面に沿って流動するのが好ましい。あるいは、表面積増大部材が、流動部内に充填された多数の微小粒状物または流動部内に配置された吸水性部材でもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、多検体の測定を行う試料分析装置として使用した場合に、簡単な構造で反応効率および測定感度を向上させ且つ反応時間および測定時間を短縮することができるとともに、使用する試料や試薬の量を節約してコストを削減することができる、流体取扱装置およびそれに用いる流体取扱ユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明による流体取扱装置およびそれに用いる流体取扱ユニットの実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
[第1の実施の形態]
図1〜図7は、本発明による流体取扱装置の第1の実施の形態を示している。図1に示すように、本実施の形態の流体取扱装置10は、例えば、タンパク質などの生体物質に代表される機能性物質などを含む試料を分析する装置として使用することができ、一般にマイクロウェルプレートと呼ばれる多検体の測定を目的とした試料分析装置として使用することができる。図1に示すように、この流体取扱装置10は、一般にマイクロウェルと呼ばれる略円柱形の凹部14(以下、「取付用凹部14」という)が内部に形成された複数(本実施の形態では8×12の配列の96個)の略円筒形の突起部を備えた装置本体部としての略矩形のプレート本体12と、これらの取付用凹部14にそれぞれ嵌合した流体取扱ユニットとしての複数の流体取扱部16とから構成されている。
【0023】
プレート本体12は、例えば、ポリカーボネート(PC)やポリメタクリル酸メチル(PMMA)などの樹脂材料またはガラス材料により形成され、厚さが数mm程度で一辺の長さが数cm〜十数cm程度の大きさの略矩形の平板部と、この平板部の一方の面(上面)の周縁部から略鉛直方向に突出し且つこの周縁部に沿って延びる高さ数mm程度の外周側壁部12aと、この外周側壁部12aに囲まれた部分(略矩形の凹部)内に互いに所定の間隔で離間して、平板部の一方の面(上面)から略鉛直方向に突出して形成され、内部に略円柱形の取付用凹部14が形成された高さ数mm程度の複数の略円筒形の突起部とから構成されている。なお、プレート本体12に取付用凹部14が形成されていればよく、必ずしも上記の円筒形の突起部を形成する必要はない。また、プレート本体12として、多数(例えば、8×12の配列の96個)のウェル(凹部)が形成された市販のマイクロウェルプレートを使用してもよい。
【0024】
図2〜図6は、本実施の形態の流体取扱装置10の各々の取付用凹部14内に取り付けられた流体取扱部16を拡大して示している。図2は、流体取扱装置10の各々の取付用凹部14内に取り付けられた流体取扱部16の平面図であり、図3は、図2のIII−III線断面図である。また、図4は、流体取扱部16の分解斜視図、図5は、流体取扱部16の内側円筒部20を外側円筒部18に挿入した状態を示す斜視図、図6は、流体取扱部16を組み立てた状態を示す斜視図である。
【0025】
図2〜図6に示すように、各々の流体取扱部16は、略円筒形の外側円筒部18と、略円筒形の内側円筒部20と、複数の環状の円板22と、略円筒形の蓋部24とから構成されている。
【0026】
外側円筒部18は、直径および高さが数mm程度の略円筒形であり、外側円筒部18の下端は、底部により塞がれている。なお、外側円筒部18の下端を底部により塞がないで開口してもよい。また、外側円筒部18の上端には、略円形の開口部18aが形成され、この開口部18aを取り囲むように、外側円筒部18の上端部から略水平方向外側に突出する円環状のフランジ部18bが形成されている。このフランジ部18bの外径は、取付用凹部14の内径よりも小さくなっている(図3を参照)。また、このフランジ部18bの外周には、円環状に延び且つ略鉛直方向上側に突出する数μm〜100μm、好ましくは50μm程度の高さの円環状壁部18cが形成され、この円環状壁部18cによってフランジ部18bの上面に円環状凹部18dが画定されている。また、円環状壁部18cの一部に幅200μm程度の切欠き部18eが形成されている。
【0027】
内側円筒部20は、外側円筒部18の2倍程度の長さ(図3に示すように流体取扱部16を組み立てたときに内側円筒部20と蓋部24の上端の高さが略同一になる長さ)を有するとともに、外側円筒部18の内径と略同一の外径を有し、下側の略半分が外側円筒部18に嵌合するようになっている。また、内側円筒部20の外周面には、その長さの半分程度の長さ(内側円筒部20を外側円筒部18に嵌合させたときに上端が外側円筒部18のフランジ部18bの上面より高くなる長さ)で幅および深さが数μm〜100μm、好ましくは50μm程度の溝部20aが長手方向に沿って下端部まで延びるように形成されている。この溝部20aの下端には、切欠き部20bが形成されている。なお、溝部20aおよび切欠き部20bの代わりに、図8に示すように、内側円筒部20を貫通する数μm〜100μm、好ましくは50μmの幅のスリット部20cを形成してもよい。
【0028】
複数の円板22の各々は、図3、図4、図6および図7に示すように、それぞれ同一の形状を有し、内側円筒部20が嵌合する略円形の開口部22aが中央に形成された環状の円板本体22bと、この円板本体22bの外周に沿って円環状に延び且つ略鉛直方向上側に突出するように形成された数μm〜100μm、好ましくは50μm程度の高さの円環状壁部22cとから構成され、この円環状壁部22cによって円板本体22bの上面に円環状凹部22dが画定されている。これらの円板22の各々の外径は、外側円筒部18のフランジ部18bの外径と略同一であり、取付用凹部14の内径よりも小さくなっている(図3を参照)。また、円環状壁部22cの一部には、幅200μm程度の切欠き部22eが形成され、この切欠き部22eの径方向反対側の位置には、円環状壁部22cの全高にわたって延び且つ円板本体22bの外周部を切欠くように延びる幅200μm程度のスリット部22fが形成されている。これらの円板22は、図3、図4および図6に示すように、隣接する円板22に対して径方向に反対向きに配置(円の中心のまわりで円周方向に180°回転した方向に配置)し、それぞれの切欠き部22eおよびスリット部22fが交互に配置するように重ね合わせられる。なお、円板22の一方の面または両面に微細な凹凸を設けてもよい。
【0029】
図3、図4および図6に示すように、蓋部24の底部の中央には、内側円筒部20が嵌合する略円形の開口部が形成され、蓋部24の上端には、略円形の開口部が形成されている。また、この蓋部24の底部の外周付近には、注入口としての開口部24aが形成されている。この蓋部24の外径は、円板22の外径より僅かに大きく、取付用凹部14の内径と略同一になっている。
【0030】
このような構成の流体取扱部16を組み立てる際には、まず、内側円筒部20の下側部分を外側円筒部18に嵌合させ、その下端部を外側円筒部18の底面に接着などにより固定する。次に、複数の円板22を、切欠き部22eおよびスリット部22fが交互に配置するように外側円筒部18のフランジ部18bの上に重ね合わせ、各々の円板22の開口部22aの内面を内側円筒部20に接着などにより固定する。次に、蓋部24を円板22の上に配置し、蓋部24の底部の中央の開口部の内面を内側円筒部20に接着などにより固定する。このようにして組み立てた流体取扱部16を取付用凹部14に嵌合させて取り付ける。
【0031】
このようにして流体取扱部16を取付用凹部14に取り付けると、蓋部24と内側円筒部20によって、液体試料などの流体を注入するための注入部26としての略円環状の空間が形成される。また、この注入部26の下側には、蓋部24と内側円筒部20と外側円筒部18によって、複数の円板22を収容した反応部として使用可能な略円環状の空間である流動部28が形成される。この流動部28は、注入口としての蓋部24の開口部24aを介して注入部26に連通している。さらに、内側円筒部20内には、測定部として使用可能な略円筒形の空間である流体収容室30が形成される。
【0032】
流動部28内には、蓋部24の底面と最上段の円板22の間、各々の円板22の間、最下段の円板22と外側円筒部18のフランジ部18bの間に略円環状の空間が画定される。これらの略円環状の空間の高さは、円板22の材質に対する流体の濡れ性を考慮して毛細管現象により流体を流動させることができるように設定するのが好ましい。同様に、外側円筒部18の円環状壁部18cの切欠き部18e、内側円筒部20の溝部20aおよび切欠き部20b(またはスリット部20c)、円板22の切欠き部22eおよびスリット部22fの寸法も、それぞれの材質に対する流体の濡れ性を考慮して毛細管現象により流体を流動させることができるように設定するのが好ましい。このように設定することにより、注入口としての蓋部24の開口部24aから流動部28に注入された流体は、図7に矢印で示すように、毛細管現象により最上段の円板22の切欠き部22e付近からスリット部22fに向かって流れ、そのスリット部22fを介して下の段の円板22の切欠き部22eまで流れ、さらに毛細管現象によりスリット部22fに向かって流れ、同様に順次下の段の円板22上を流れて、外側円筒部18の円環状壁部18cの切欠き部18eまで流れた後、外側円筒部18の内面と内側円筒部20の溝部20aとの間に形成された流路を流れ、内側円筒部20の下端の切欠き部20bを介して内側円筒部20の内部(流体収容室30)に導入される(図9(a)〜(e)を参照)。なお、円板22の外径を取付用凹部14の内径より小さくして円板22の外側に略円環状の空間を形成することにより、表面張力によって、流体が各々の円板22上を通らないでそのまま下に漏れるのを防止することができる。
【0033】
このように流動部28内に複数の円板22を配置することにより、流動部28内の流路の内面の表面積を増大し、流体取扱装置10を試料分析装置として使用した場合に捕体の支持面(反応面)の表面積を増大して、流体との接触面積を増大することができる。また、大きな反応面上で連続的に液を流動させることによって、反応効率が高まり、反応時間の短縮と測定感度の向上を図ることができ、試薬の使用量の削減によるコストの削減が可能になる。
【0034】
すなわち、ウェル(取付用凹部14)内において反応部(流動部28)と測定部(流体収容室30)を別個に設け、反応部内の反応面の表面積を増大し、注入部26から導入された少量の液が主に毛細管現象により外部動力を必要としないで連続的に反応部内を流動することができ、反応部内の反応面上の流体の流動距離が長くなるので、反応効率が格段に高くなり、反応時間を大幅に短縮することができる。また、反応面の表面積が非常に大きくなるので、測定感度を向上させることができる。さらに、反応部を通った反応液は中央の測定部に溜まるが、ウェルの径に対して測定部の径が小さいため、少量の液量で液面を高くすることができ、試薬の使用量を少なくしてコストを削減することができる。
【0035】
[第2の実施の形態]
次に、本発明による流体取扱装置の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の流体取扱装置110は、流体取扱部16の代わりに流体取扱部116を取り付けた以外は、図1に示す第1の実施の形態の流体取扱装置10と同一であるので、同一の部分に同一の参照符号を付して、その説明を省略する。また、流体取扱部116は、複数の円板22の代わりに微細な略球状の多数のビーズ122のような微小粒状物を流動部128内に充填した点で、流体取扱部16と異なっている。
【0036】
図10〜図14は、本実施の形態の流体取扱装置110の各々の取付用凹部14内に取り付けられた流体取扱部116を拡大して示している。図10は、流体取扱部116の平面図であり、図11は、図10のXI−XI線断面図である。また、図12は、(ビーズ122を除いた)流体取扱部116の分解斜視図、図13は、流体取扱部116の内側円筒部120を外側円筒部118に挿入した状態を示す斜視図、図14は、流体取扱部116を組み立てた状態を示す斜視図である。
【0037】
図10〜図14に示すように、各々の流体取扱部116は、略円筒形の外側円筒部118と、略円筒形の内側円筒部120と、多数のビーズ122と、略円筒形の蓋部124とから構成されている。
【0038】
外側円筒部118は、直径および高さが数mm程度の略円筒形の小径部118aと、この小径部118aの上端部から略水平方向外側に突出する円環部118bと、この円環部118bの外周から円環状に且つ略鉛直方向上側に延びる、外径が取付用凹部14の内径と略同一で高さが数mm程度の略円筒形の大径部118cとからなる。小径部118aの下端は、底部により塞がれており、大径部118cの上端には、略円形の開口部が形成されている。
【0039】
内側円筒部120は、図11に示すように流体取扱部116を組み立てたときに内側円筒部120と蓋部124の上端の高さが略同一になる長さを有するとともに、外側円筒部118の小径部118aの内径と略同一の外径を有し、外側円筒部118の小径部118aに嵌合するようになっている。また、内側円筒部120の外周面には、その長さの半分程度の長さ(内側円筒部120を外側円筒部118に嵌合させたときに上端が外側円筒部118の円環部118bの上面より高くなる長さ)で数μm〜1mm、好ましくは50μm程度の幅の複数(本実施の形態では4つであり、図11では2つのみを示す)のスリット部120aが長手方向に沿って下端部まで延びるように内側円筒部120を貫通して形成されている。このスリット部120aの幅および深さは、内側円筒部120の材質に対する流体の濡れ性を考慮して毛細管現象により流体を流動させることができるように設定するのが好ましい。
【0040】
蓋部124の底部の中央には、内側円筒部120が嵌合する略円形の開口部が形成され、蓋部124の上端には、略円形の開口部が形成されている。また、この蓋部124の底部の外周付近には、注入口としての複数(本実施の形態では4つであり、図11では2つのみを示す)の開口部124aが形成されている。この蓋部124の外径は、外側円筒部118の大径部118cの外径と略同一であり、取付用凹部14の内径と略同一になっている。
【0041】
このような構成の流体取扱部116を組み立てる際には、まず、内側円筒部120の下側部分を外側円筒部118の小径部118aに嵌合させ、その下端部を外側円筒部118の底面に接着などにより固定する。次に、外側円筒部118の大径部118cと内側円筒部120の間の円環状の空間に多数のビーズ122を充填する。次に、蓋部124を外側円筒部118の大径部118cの上に配置し、接着などにより固定する。このようにして組み立てた流体取扱部116を取付用凹部14に嵌合させて取り付ける。
【0042】
このようにして流体取扱部116を取付用凹部14に取り付けると、蓋部124と内側円筒部120によって、液体試料などの流体を注入するための注入部126としての略円環状の空間が形成される。また、この注入部126の下側には、蓋部124と内側円筒部120と外側円筒部118の大径部118cによって、多数のビーズ122を充填した反応部として使用可能な略円環状の空間である流動部128が形成される。この流動部128は、注入口としての蓋部124の開口部124aを介して注入部126に連通している。さらに、内側円筒部120内には、測定部として使用可能な略円筒形の空間である流体収容室130が形成される。
【0043】
注入口としての蓋部124の開口部124aから流動部128に注入された流体は、多数のビーズ122を充填した流動部128内を下方に流れた後、内側円筒部120のスリット部120aを介して内側円筒部120の内部(流体収容室130)に導入される。
【0044】
このように流動部128内に多数のビーズ122を充填することにより、流動部128内の流路の内面の表面積を増大し、流体取扱装置110を試料分析装置として使用した場合に捕体の支持面(反応面)の表面積を増大して、流体との接触面積を増大することができる。また、大きな反応面上で連続的に液を流動させることによって、反応効率が高まり、反応時間の短縮と測定感度の向上を図ることができ、試薬の使用量の削減によるコストの削減が可能になる。
【0045】
[第3の実施の形態]
次に、本発明による流体取扱装置の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態の流体取扱装置210は、流体取扱部116の代わりに流体取扱部216を取り付けた以外は、図1に示す第2の実施の形態の流体取扱装置110と同一であるので、同一の部分に同一の参照符号を付して、その説明を省略する。また、流体取扱部216は、多数のビーズ122の代わりに吸水性部材222を流動部228内に配置し、蓋部124を設けない点で、流体取扱部116と異なっている。
【0046】
図15〜図19は、本実施の形態の流体取扱装置210の各々の取付用凹部14内に取り付けられた流体取扱部216を拡大して示している。図15は、流体取扱部216の平面図であり、図16は、図15のXVI−XVI線断面図である。また、図17は、(吸水性部材222を除いた)流体取扱部216の分解斜視図、図18は、流体取扱部216を組み立てた状態を示す斜視図、図19は、吸水性部材222の斜視図である。
【0047】
図15〜図19に示すように、各々の流体取扱部216は、略円筒形の外側円筒部218と、略円筒形の内側円筒部220と、吸水性部材222とから構成されている。
【0048】
外側円筒部218は、直径および高さが数mm程度の略円筒形の小径部218aと、この小径部218aの上端部から略水平方向外側に突出する円環部218bと、この円環部218bの外周から円環状に且つ略鉛直方向上側に延びる、外径が取付用凹部14の内径と略同一で高さが数mm程度の略円筒形の大径部218cとからなる。この大径部218cの高さは、第2の実施の形態の大径部118cの高さと蓋部124の高さを合わせた高さになっている。小径部218aの下端は、底部により塞がれており、大径部218cの上端には、略円形の開口部が形成されている。
【0049】
内側円筒部220は、図16に示すように流体取扱部216を組み立てたときに内側円筒部220と外側円筒部218の上端の高さが略同一になる長さを有するとともに、外側円筒部218の小径部218aの内径と略同一の外径を有し、外側円筒部218の小径部218aに嵌合するようになっている。また、内側円筒部220の外周面には、その長さの半分程度の長さ(内側円筒部220を外側円筒部218に嵌合させたときに上端が外側円筒部218の円環部218bの上面より高くなる長さ)で数μm〜1mm、好ましくは50μm程度の幅の複数(本実施の形態では4つであり、図16では2つのみを示す)のスリット部220aが長手方向に沿って下端部まで延びるように内側円筒部220を貫通して形成されている。このスリット部220aの幅および深さは、内側円筒部220の材質に対する流体の濡れ性を考慮して毛細管現象により流体を流動させることができるように設定するのが好ましい。
【0050】
このような構成の流体取扱部216を組み立てる際には、まず、内側円筒部220の下側部分を外側円筒部218の小径部218aに嵌合させ、その下端部を外側円筒部218の底面に接着などにより固定する。次に、外側円筒部218の大径部218cと内側円筒部220の間の円環状の空間に円環状の吸水性部材222を挿入する。図16および図19に示すように、吸水性部材222は、外側円筒部218の大径部218cと内側円筒部220の間の円環状の空間と略同一の内径および外径を有するとともに、この円環状の空間より低い高さを有し、スポンジや繊維クロスなどの吸水性の高い材料からなる。このようにして組み立てた流体取扱部216を取付用凹部14に嵌合させて取り付ける。
【0051】
このようにして流体取扱部216を取付用凹部14に取り付けると、吸水性部材222の上に、液体試料などの流体を注入するための注入部226としての略円環状の空間が形成される。また、注入部226の下側には、吸水性部材222が配置された反応部として使用可能な略円環状の空間である流動部228が形成される。さらに、内側円筒部220内には、測定部として使用可能な略円筒形の空間である流体収容室230が形成される。
【0052】
注入部226から流動部228に注入された流体は、吸水性部材222が配置された流動部228内を下方に流れた後、内側円筒部220のスリット部220aを介して内側円筒部220の内部(流体収容室230)に導入される。
【0053】
このように流動部228内に吸水性部材222を配置させることにより、流動部228内の流路の内面の表面積を増大し、流体取扱装置210を試料分析装置として使用した場合に捕体の支持面(反応面)の表面積を増大して、流体との接触面積を増大することができる。また、大きな反応面上で連続的に液を流動させることによって、反応効率が高まり、反応時間の短縮と測定感度の向上を図ることができ、試薬の使用量の削減によるコストの削減が可能になる。特に、上述した第1および第2の実施の形態と比べて部品数を少なくすることができるので、生産性を向上させることができる。
【0054】
上述したように、第1〜第3の実施の形態の流体取扱装置10、110、210を試料分析装置として使用すると、流動部28内に配置された複数の円板22や、流動部128内に充填された多数の微小粒状物(ビーズ122)や、流動部228内に配置された吸水性部材222によって、捕体の支持面(反応面)の表面積を増大させることができるとともに、反応試薬が流動部28、128、228内の微小空間を流動することができるので、反応効率を向上させることができる。
【0055】
また、ウェル(取付用凹部14)内において反応部(流動部28、128、228)と測定部(流体収容室30、130、230)を別個に設け、反応部内に円板22または微小粒状物(ビーズ122)または吸水性部材222を密に配置し、注入部26、126から導入された少量の液が外部動力を必要としないで連続的に反応部内を流動することができるので、反応効率が格段に高くなり、反応時間を大幅に短縮することができる。また、反応面の表面積が非常に大きくなるので、測定感度を向上させることができる。さらに、反応部を通った反応液は中央の測定部に溜まるが、ウェルの径に対して測定部の径が小さいため、少量の液量で液面を高くすることができ、試薬の使用量を少なくしてコストを削減することができる。なお、測定部の内径(内側円筒部20、120、220の内径)を測定光のスポット径程度まで小さくすれば、測定されない部分を少なくして、試薬の使用量をさらに少なくすることができる。
【0056】
なお、上述した第1〜第3の実施の形態の流体取扱装置10、110、210では、流体取扱部16、116、216をプレート本体12の各々の取付用凹部14に取り付けているが、本発明による流体取扱装置では、取扱用凹部14が形成されていない平板状のプレート本体に流体取扱部16、116、216を取り付けてもよい。
【0057】
また、上述した第1〜第3の実施の形態の流体取扱装置10、110、210では、複数の流体取扱部16、116、216をそれぞれ別個にプレート本体12の各々の取付用凹部14に取り付けているが、これらの流体取扱部16、116、216を一体に形成または接続して、それをプレート本体12の取付用凹部14に取り付けてもよい。例えば、上述した第1および第2の実施の形態において、それぞれの流体取扱部16、116の蓋部24、124を一つの蓋部として一体に形成してもよい。この場合、一体に形成された蓋部に内側円筒部20、120を一体に形成してもよい。
【0058】
また、上述した第1〜第3の実施の形態の流体取扱装置10、110、210において、それらの機能を維持することができる限り、流体取扱部16、116、216の構成要素のいずれか一つまたは複数あるいは一部をプレート本体12と一体に形成してもよい。例えば、外側円筒部18、118、218をプレート本体12と一体に形成してもよい。この場合、外側円筒部18、118、218の底部を設けないで、プレート本体12の取付用凹部14の底面が外側円筒部18、118、218の底面を兼ねるようにしてもよい。また、プレート本体12の取付用凹部14の形状を外側円筒部18、118、218に対応する形状にして、外側円筒部18、118、218を省略してもよい。
【0059】
なお、上述した第1〜第3の実施の形態の流体取扱装置10、110、210において、流体収容室30、130、230の内径が大きい場合には、流体収容室30、130、230に導入された液体の液面の高さが流動部28、128、228の底面よりも高くなるような量の液体を流体収容室30、130、230に導入すると、流体収容室30、130、230内の液体の液面の高さが流動部28、128、228内の液体の液面の高さと一致する。しかし、流体収容室30、130、230内に導入される液体とその内壁面との間の親液性を考慮して、毛細管現象による引力が作用するように流体収容室30、130、230の内径を小さくすれば、流動部28、128、228内の全ての液体を流体収容室30、130、230内に導入することができる。このように流体収容室30、130、230の内径を小さく設計することにより、流動部28、128、228から流体収容室30、130、230への液体の移動の効率を向上させることができ、反応効率を向上させることができる。また、流体収容室30、130、230内の液体の高さを増大させることができるので、測定感度を向上させることができる。
【0060】
[第4の実施の形態]
図20〜図26は、本発明による流体取扱装置の第4の実施の形態を示している。上述した第1〜第3の実施の形態と同様に、本実施の形態の流体取扱装置310は、例えば、タンパク質などの生体物質に代表される機能性物質などを含む試料を分析する装置として使用することができ、一般にマイクロウェルプレートと呼ばれる多検体の測定を目的とした試料分析装置として使用することができる。図20に示すように、流体取扱装置310は、装置本体部312と、この装置本体部312に取り付けられた複数(本実施の形態では8×12の配列の96個)の流体取扱部316とから構成されている。
【0061】
図20および図21に示すように、装置本体部312は、例えば、ポリカーボネート(PC)やポリメタクリル酸メチル(PMMA)などの樹脂材料またはガラス材料により形成されており、中央に略矩形の開口部311aが形成されて厚さが数mm程度で一辺の長さが数cm〜十数cm程度の大きさの略矩形の枠体311と、この枠体311に載置された複数(本実施の形態では12個)の流体取扱部支持体313とから構成されている。なお、枠体311の開口部311aは、貫通穴でもよいし、底部を備えた凹部でもよい。また、枠体311として、例えば、SBS(Society for Biomolecular Screening)規格のマイクロプレート用の枠体のような標準的な規格の枠体を使用してもよい。流体取扱部支持体313は、透明材料により形成してもよいが、本実施の形態の流体取扱装置310を蛍光測定に使用する場合には、蛍光測定時のバックグラウンドの上昇を抑えるために、流体取扱部支持体313が光を透過し難い部材(例えば、黒色の部材)からなるのが好ましい。
【0062】
図21に示すように、流体取扱部支持体313の各々は、枠体311の開口部311aの幅と略等しい長さの略直方体の細長い支持体本体部313aと、この支持体本体部313aの上部の長手方向両端から突出して支持体本体部313aの上面に沿って延びる略矩形の一対の突出部313bとから構成されている。図20に示すように、流体取扱部支持体313の各々の支持体本体部313aが枠体311の開口部311aに挿入されて、突出部313bが枠体311の長手方向に延びる一対の上面311bに支持されるように、枠体311上に流体取扱部支持体313を互いに略平行に且つ隣接して載置することにより、装置本体部312が組み立てられる。
【0063】
図20〜図22に示すように、流体取扱部支持体313の各々の支持体本体部313aの上面には、複数(本実施の形態では8個)の凹部314(以下、「取付用凹部314」という)が所定の間隔で一列に配置して形成されている。これらの取付用凹部314の各々は、支持体本体部313aの上面に形成され、支持体本体部313aの高さの略半分の深さの略円柱形の大径凹部314aと、この大径凹部314aの底面の略中央部に形成された略円柱形の小径凹部314bとから構成されている。これらの取付用凹部314内には、流体取扱部316が取り付けられるようになっている。
【0064】
図24〜図26は、本実施の形態の流体取扱装置310の各々の取付用凹部314内に取り付けられた流体取扱部316を拡大して示している。図24は、流体取扱装置310の各々の取付用凹部314内に取り付けられた流体取扱部316の平面図であり、図25は、図24のXXV−XXV線断面図である。また、図26は、(ビーズ322を除いた)流体取扱部316の分解斜視図である。
【0065】
図24〜図26に示すように、各々の流体取扱部316は、直径および高さが数mm程度の略円筒形の円筒部320と、微細な略球状の多数のビーズ322と、環状の略円板状の蓋部324とから構成されている。
【0066】
円筒部320は、図25に示すように、取付用凹部314(大径凹部314aと小径凹部314b)の深さと略同一の長さを有するとともに、取付用凹部314の小径凹部314bの内径と略同一の外径を有し、取付用凹部314の小径凹部314aに嵌合するようになっている(なお、円筒部320の内径は、例えば、2.5mm程度にすることができる)。また、円筒部320の外周面には、その長さの半分程度の長さ(円筒部320を取付用凹部314の小径凹部314aに嵌合させたときに上端が大径凹部314aの底面より高くなる長さ)で数μm〜1mm、好ましくは50μm程度の幅の1つまたは複数(本実施の形態では4つであり、図25では2つのみを示す)のスリット部320aが長手方向に沿って下端部まで延びるように円筒部320を貫通して形成されている。このスリット部320aの幅および深さは、円筒部320の材質に対する流体の濡れ性を考慮して毛細管現象により流体を流動させることができるように設定するのが好ましい。
【0067】
蓋部324の中央には、円筒部320が嵌合する略円形の開口部が形成されている。また、この蓋部324の周縁部には、注入口としての複数(本実施の形態では6つ)のスリット状の開口部324aが所定の間隔で放射状に延びるように形成されている。この蓋部324の外径は、取付用凹部314の大径凹部314aの内径よりも僅かに小さくなっており、蓋部324を取付用凹部314に挿入した際に取付用凹部314との間に注入口としての円環状の開口部324bが形成されるようになっている。
【0068】
このような構成の流体取扱部316を組み立てる際には、まず、円筒部320の下側部分を取付用凹部314の小径凹部314bに嵌合させ、その下端部を取付用凹部314の小径凹部314bの底面に接着などにより固定する。次に、取付用凹部314の大径凹部314aと円筒部320の間の円環状の空間に多数のビーズ322を充填する。次に、蓋部324を円筒部320に嵌合させてビーズ322の上に配置し、接着などにより固定する。
【0069】
このようにして流体取扱部316を取付用凹部314に取り付けると、蓋部324の上には、取付用凹部314の大径凹部314aと円筒部320の間に、液体試料などの流体を注入するための注入部326としての略円環状の空間が形成される。また、この注入部326の下側には、取付用凹部314の大径凹部314aと円筒部320の間に、多数のビーズ322を充填した反応部として使用可能な略円環状の空間である流動部328が形成される。この流動部328は、注入口としての蓋部324の開口部324aおよび324bを介して注入部326に連通している。さらに、円筒部320内には、測定部として使用可能な略円筒形の空間である流体収容室330が形成される。
【0070】
注入口としての蓋部324の開口部324aおよび324bから流動部328に注入された流体は、多数のビーズ322を充填した流動部328内を下方に流れた後、円筒部320のスリット部320aを介して円筒部320の内部(流体収容室330)に導入される。
【0071】
このように流動部328内に多数のビーズ322を充填することにより、流動部328内の流路の内面の表面積を増大し、流体取扱装置310を試料分析装置として使用した場合に捕体の支持面(反応面)の表面積を増大して、流体との接触面積を増大することができる。また、大きな反応面上で連続的に液を流動させることによって、反応効率が高まり、反応時間の短縮と測定感度の向上を図ることができ、試薬の使用量の削減によるコストの削減が可能になる。
【0072】
また、本実施の形態では、装置本体部312の流体取扱部支持体313に流体取扱部316を取り付けることにより、複数の流体取扱部316が所定の間隔で一列に配置された流体取扱ユニットとして、装置本体部312の枠体311に取り付けることができる。このように、一列毎に流体取扱ユニットを枠体311に取り付けることができるので、その取り扱いが容易になる。また、上述した第2および第3の実施の形態の流体取扱装置110、210のように外側円筒部18、118を必要としないため、第2および第3の実施の形態の流体取扱装置110、210と比べて反応部の容積を大きくすることができるので、測定感度をさらに向上させることができる。また、光を透過し難い黒色の部材によって流体取扱部支持体313を形成することにより、蛍光測定時のバックグラウンドの上昇を抑えることができる。さらに、上述した第1および第2の実施の形態と比べて部品数を少なくすることができるので、生産性を向上させることができる。
【0073】
なお、本実施の形態の流体取扱装置310の流体取扱部支持体313の取付用凹部314の形状を略円柱形にして、上述した第1〜第3の実施の形態の流体取扱装置10、110、210の流体取扱部16、116、216を取り付けてもよい。また、外形が略円柱形の部材に本実施の形態の流体取扱装置310の取付用凹部314(大径凹部314aと小径凹部314b)と同一の形状の凹部を形成し、この凹部内に流体取扱部316を取り付け、これを上述した第1〜第3の実施の形態の流体取扱装置10、110、210のプレート本体12に取り付けてもよい。
【実施例】
【0074】
次に、上述した第1、第2および第4の実施の形態の流体取扱装置10、110および310の実施例として、これらの流体取扱装置を試料分析装置として使用した例について説明する。
【0075】
[実施例1]
第1の実施の形態の流体取扱装置10の流体取扱部16の各々の円板22の表面に、ビオチンでラベルされた抗ヒトTNF−α抗体(500ng/mL)をコートして一晩放置し、市販のブロッキング剤を使用して各々の円板22をブロッキングした後、これらの円板22を使用して流体取扱部16を組み立てて、流体取扱装置10のプレート本体12の取付用凹部14に取り付けた。
【0076】
次に、流体取扱部16の注入部26に30μLのストレプトアピジン−HRP(200ng/mL)を加えて20分間(注入部26に加えた30μLのストレプトアピジン−HRPが流体収容室30まで流れる時間)反応させた後、30μLのバッファで3回洗浄した。
【0077】
次に、注入部26に15μLの基質(Pierce Biotechnology,Inc.製のQuantaBlu(登録商標) Fluorogenic Peroxidase Substrate Kitの基質)を加えて20分間反応させた後、15μLの反応停止液(Pierce Biotechnology,Inc.製のQuantaBlu(登録商標) Fluorogenic Peroxidase Substrate Kitの反応停止液)を加え、流体収容室30の長手方向(鉛直方向)に325nmの励起光を照射して、流体収容室30内の反応液の蛍光強度(420nmの蛍光強度)を測定した。
【0078】
[比較例1]
流体取扱装置10の代わりに8×12の配列の96個のウェルを備えた市販のマイクロウェルプレートを使用し、ビオチンでラベルされた抗ヒトTNF−α抗体(500ng/mL)をウェルの壁面にコートしてブロッキングし、ストレプトアピジン−HRP(200ng/mL)の量を100μLとし、1回の洗浄に使用するバッファの量を100μLとし、基質および反応停止液の量を100μLとした以外は、実施例1と同様の方法により蛍光強度を測定した。
【0079】
実施例1および比較例1の結果から、比較例1では、蛍光強度(3回の平均値)が55.59であったのに対し、実施例1では、蛍光強度が195.57であり、蛍光強度が大幅に高くなっており、比較例1と比べて少ない液量で測定強度を大幅に高めることができることがわかった。これらの結果を図27に示す。
【0080】
[実施例2]
第2の実施の形態の流体取扱装置110の各々のビーズ(Duke Scientific社製の製品番号4330A(粒径300μm)122の表面に、ビオチンでラベルされた抗ヒトTNF−α抗体(50ng/mL)をコートして一晩放置し、市販のブロッキング剤を使用して各々のビーズ122をブロッキングした後、これらのビーズ122を使用して流体取扱部116を組み立てて、流体取扱装置110のプレート本体12の取付用凹部14に取り付けた。
【0081】
次に、流体取扱部116の注入部126に30μLのストレプトアピジン−HRP(200ng/mL)を加えて、それぞれ2分間、10分間および20分間(これらの時間内にそれぞれストレプトアピジン−HRPを4回循環させて、すなわち、流体収容室(測定部)130に溜まった反応液をピペットで吸って注入部126に戻す操作を4回繰り返して)反応させた後、30μLのバッファで3回洗浄した。
【0082】
次に、注入部126に25μLの基質(Pierce Biotechnology,Inc.製のQuantaBlu(登録商標) Fluorogenic Peroxidase Substrate Kitの基質)を加えて、5分毎に流体収容部(測定部)130内に溜まった液を吸って注入部126に戻して20分間反応させた後、25μLの反応停止液(Pierce Biotechnology,Inc.製のQuantaBlu(登録商標) Fluorogenic Peroxidase Substrate Kitの反応停止液)を加え、流体収容室130の長手方向(鉛直方向)に325nmの励起光を照射して、流体収容室130内の反応液の蛍光強度(420nmの蛍光強度)を測定した。
【0083】
[比較例2]
流体取扱装置110の代わりに8×12の配列の96個のウェルを備えた市販のマイクロウェルプレートを使用し、ビオチンでラベルされた抗ヒトTNF−α抗体(50ng/mL)をウェルの壁面にコートしてブロッキングし、100μLのストレプトアピジン−HRP(200ng/mL)を一度に加え、1回の洗浄に使用するバッファの量を100μLとし、100μLの基質を一度に加え、反応停止液の量を100μLとした以外は、実施例2と同様の方法により蛍光強度を測定した。
【0084】
実施例2および比較例2の結果から、比較例2では、反応時間2分、10分および20分の場合の蛍光強度が、それぞれ2023.0、13404.5および21350.5であったのに対し、実施例2では、反応時間2分、10分および20分の場合の蛍光強度が、それぞれ21790.0(2回の平均値)、43438.0および49914.0であり、それぞれ蛍光強度が大幅に高くなっており、比較例2と比べて少ない液量で測定強度を大幅に高めることができることがわかった。これらの結果を図28に示す。
【0085】
なお、実施例2では、ビーズ122を充填した流動部(反応部)126内に液を通しても試薬の一部が反応部内に残るので、反応時間を長くすれば、残った液が反応を続けるために蛍光強度が高くなるのがわかる。また、通常の感度でよい場合は、反応時間を2分程度にして迅速に測定することができ、高感度で測定したい場合は、反応時間を長くして微量試料の測定を行うことができる。
【0086】
[実施例3]
第4の実施の形態の流体取扱装置310の各々のビーズ(Duke Scientific社製の製品番号7640A(平均粒径134μm))322の表面に、試薬キット(Polysciences,Inc製のPolyLink−Protein Coupling Kit for COOH Microparticles)によって抗ヒトTNF−α抗体(5μg/mL)をコートして一晩放置し、市販のブロッキング剤を使用して各々のビーズ322をブロッキングした後、これらのビーズ322を使用して流体取扱部316を流体取扱装置310の装置本体部312に取り付けた。
【0087】
次に、流体取扱部316の注入部326にサンプルとして30μLのヒトTNF−α(25pg/mL)を加えて1時間反応させた後、50μLのバッファで3回洗浄した。
【0088】
次に、注入部326にビオチンでラベルされたヒトTNF−α抗体(0.5μg/mL)30μLを加えて1時間反応させた後、50μLのバッファで3回洗浄した。
【0089】
次に、注入部326に30μLのストレプトアピジン−AP(100ng/mL)を加えて20分間反応させた後、50μLのバッファで3回洗浄した。
【0090】
次に、注入部326に30μLの基質(Promega社製のAttoPhos(登録商標) AP Fluorescent Substrate Systemの基質)を加えて10分間反応させた後、30μLの反応停止液(0.5NのNaOH)を加え、流体収容室330の長手方向(鉛直方向)上方から435nmの励起光を照射して、マイクロプレートリーダーによって流体収容室330内の反応液の蛍光強度(555nmの蛍光強度)を測定した。
【0091】
[比較例3]
流体取扱装置310の代わりに8×12の配列の96個のウェルを備えた市販のマイクロウェルプレートを使用し、実施例3と同様の抗ヒトTNF−α抗体をウェルの壁面にコートしてブロッキングし、サンプルとして50μLのヒトTNF−α(25pg/mL)を一度に加え、100μLのビオチンでラベルされたヒトTNF−α抗体(0.5μg/mL)を一度に加え、100μLのストレプトアピジン−AP(100ng/mL)を一度に加え、それぞれの洗浄工程で使用するバッファの量を100μLとし、100μLの基質を一度に加え、反応停止液の量を100μLとした以外は、実施例3と同様の方法により蛍光強度を測定した。
【0092】
[比較例4]
サンプルとして50μLのヒトTNF−α(100pg/mL)を使用した以外は、比較例3と同様の方法により蛍光強度を測定した。
【0093】
実施例3と比較例3および4の結果から、実施例3では、サンプルの濃度が同じ比較例3やサンプルの濃度を4倍にした比較例4と比べて蛍光強度が大幅に高くなっており、少ない液量で測定強度を大幅に高めることができることがわかった。これらの結果を図29に示す。
【0094】
[実施例4]
サンプルの濃度を50pg/mLとし、サンプルの反応時間およびビオチンでラベルされたヒトTNF−α抗体(0.5μg/mL)の反応時間をそれぞれ5分間とした以外は、実施例3と同様の方法により蛍光強度を測定した。
【0095】
[比較例5]
サンプルの濃度を50pg/mLとし、サンプルの反応時間およびビオチンでラベルされたヒトTNF−α抗体(0.5μg/mL)の反応時間をそれぞれ5分間とした以外は、比較例3と同様の方法により蛍光強度を測定した。
【0096】
[比較例6]
サンプルの反応時間およびビオチンでラベルされたヒトTNF−α抗体(0.5μg/mL)の反応時間をそれぞれ30分間とした以外は、比較例5と同様の方法により蛍光強度を測定した。
【0097】
[比較例7]
サンプルの反応時間およびビオチンでラベルされたヒトTNF−α抗体(0.5μg/mL)の反応時間をそれぞれ60分間とした以外は、比較例5と同様の方法により蛍光強度を測定した。
【0098】
実施例4と比較例5〜7の結果から、実施例4では、抗原抗体反応時間が同じ比較例5や、抗原抗体反応時間をそれぞれ6倍および12倍にした比較例6および7と比べて蛍光強度が大幅に高くなっており、少ない液量で測定強度を大幅に高め且つ反応時間を大幅に短縮することができることがわかった。これらの結果を図30に示す。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明による流体取扱装置の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明による流体取扱装置の第1の実施の形態の各々の取付用凹部内に取り付けられた流体取扱部を拡大して示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2の流体取扱部の分解斜視図である。
【図5】図2の流体取扱部の内側円筒部を外側円筒部に挿入した状態を示す斜視図である。
【図6】図2の流体取扱部を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図7】図2の流体取扱部の円板の斜視図である。
【図8】本発明による流体取扱装置の第1の実施の形態の各々の取付用凹部内に取り付けられた流体取扱部の変形例を示す断面図であり、図3に対応する図である。
【図9】図2の流体取扱部の内側円筒部の内部に流入する流体の流れを概略的に示す図である。
【図10】本発明による流体取扱装置の第2の実施の形態の各々の取付用凹部内に取り付けられた流体取扱部を拡大して示す平面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】図10の流体取扱部のビーズを除いた分解斜視図である。
【図13】図10の流体取扱部の内側円筒部を外側円筒部に挿入した状態を示す斜視図である。
【図14】図10の流体取扱部を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図15】本発明による流体取扱装置の第3の実施の形態の各々の取付用凹部内に取り付けられた流体取扱部を拡大して示す平面図である。
【図16】図15のXVI−XVI線断面図である。
【図17】図15の流体取扱部の吸水性部材を除いた分解斜視図である。
【図18】図15の流体取扱部を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図19】図15の流体取扱部の吸水性部材の斜視図である。
【図20】本発明による流体取扱装置の第4の実施の形態を示す斜視図である。
【図21】図20の流体取扱装置の装置本体の枠体と流体取扱部支持体を示す斜視図である。
【図22】図21の流体取扱部支持体を拡大して示す平面図である。
【図23】図22のXXIII−XXIII線断面図である。
【図24】図20の流体取扱装置の流体取扱部を示す平面図である。
【図25】図24のXXV−XXV線断面図である。
【図26】図20の流体取扱装置の流体取扱部のビーズを除いた分解斜視図である。
【図27】実施例1および比較例1の蛍光強度の結果を示すグラフである。
【図28】実施例2および比較例2の蛍光強度の結果を示すグラフである。
【図29】実施例3および比較例3、4の蛍光強度の結果を示すグラフである。
【図30】実施例4および比較例5〜7の蛍光強度の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0100】
10、110、210、310 流体取扱装置
12 プレート本体(装置本体部)
12a 外周側壁部
14、314 取付用凹部
16、116、216、316 流体取扱部
18、118、218 外側円筒部
18a、22a 開口部
18b フランジ部
18c、22c 円環状壁部
18d、22d 円環状凹部
18e、22e 切欠き部
20、120、220 内側円筒部
20a 溝部
20b 切欠き部
20c、120a、220a、320a スリット部
22 円板
22b 円板本体
22f スリット部
24、124、324 蓋部
24a、124a、314a、314b 開口部(注入口)
26、126、226、326 注入部
28、128、228、328 流動部(反応部)
30、130、230、330 流体収容室(測定部)
118a、218a 小径部
118b、218b 円環部
118c、218c 大径部
122、322 ビーズ
222 吸水性部材
311 枠体
311a 開口部
311b 上面
312 装置本体部
313 流体取扱部支持体
313a 支持体本体部
313b 突出部
314a 大径凹部
314b 小径凹部
316 流体取扱部
320 円筒部
324a、324b 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、この装置本体上に配列された複数の流体取扱部とからなり、これらの流体取扱部の各々が、流体を注入するための注入部と、この注入部の底部の開口部から導入された流体を連続的に下方に流動させる流動部と、この流動部内の流体が導入される流体収容室と、前記流動部の底部に到達した流体を前記流体収容室に導入する流路とを備え、前記流動部内に導入された流体が前記流動部内で接触する表面の面積を増大させる表面積増大部材が前記流動部内に配置されていることを特徴とする、流体取扱装置。
【請求項2】
前記装置本体が平板状部材からなることを特徴とする、請求項1に記載の流体取扱装置。
【請求項3】
前記平板状部材の一方の面に複数の凹部が配列して形成され、これらの凹部内に前記複数の流体取扱部がそれぞれ取り付けられていることを特徴とする、請求項2に記載の流体取扱装置。
【請求項4】
前記装置本体が、枠体と、この枠体上に互いに略平行に配置された複数の支持体とからなり、これらの支持体の各々に複数の凹部が所定の間隔で一列に配置して形成され、これらの凹部内に前記複数の流体取扱部がそれぞれ取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の流体取扱装置。
【請求項5】
前記流動部が壁部を介して前記流体収容室を取り囲むように配置されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の流体取扱装置。
【請求項6】
前記表面積増大部材が、鉛直方向に積層された複数の板状体からなり、これらの板状体の間に間隙が形成され、前記流動部内に導入された流体がそれぞれの板状体の上面に沿って流動することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の流体取扱装置。
【請求項7】
前記複数の凹部の各々が円柱形の凹部であり、前記流動部が、前記複数の凹部の各々に挿入された外側円筒状部材とこの外側円筒状部材内に挿入された内側円筒状部材との間に形成され、前記流体収容室が、前記内側円筒状部材内に形成され、前記表面積増大部材が、前記内側円筒状部材を取り囲むように積層された複数の円板状部材であり、前記注入部が、前記複数の円板状部材の上に配置された上側円筒状部材と前記内側円筒状部材との間に形成され、前記複数の円板状部材の間に間隙が形成され、前記流動部内に導入された流体がそれぞれの円板状部材の上面に沿って流動することを特徴とする、請求項3または4に記載の流体取扱装置。
【請求項8】
前記流動部内に導入された流体が、前記複数の円板状部材の最上段の円板状部材の周縁部からその円板状部材の上面に沿って径方向反対側まで流動した後、鉛直方向下側に流れ、その最上段の円板状部材の真下の段の円板状部材の周縁部に到達し、前記複数の円板状部材の各々の上面に沿って順次流動して最下段の円板状部材に到達することを特徴とする、請求項7に記載の流体取扱装置。
【請求項9】
前記表面積増大部材が、前記流動部内に充填された多数の微小粒状物であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の流体取扱装置。
【請求項10】
前記複数の凹部の各々が円柱形の凹部であり、前記流動部が、前記複数の凹部の各々に挿入された外側円筒状部材とこの外側円筒状部材内に挿入された内側円筒状部材との間に形成され、前記流体収容室が、前記内側円筒状部材内に形成され、前記注入部が、前記外側円筒状部材の上に配置された上側円筒状部材と前記内側円筒状部材との間に形成され、前記表面積増大部材が、前記流動部内に充填された多数の微小粒状物であることを特徴とする、請求項3または4に記載の流体取扱装置。
【請求項11】
前記表面積増大部材が、前記流動部内に配置された吸水性部材であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の流体取扱装置。
【請求項12】
前記複数の凹部の各々が円柱形の凹部であり、前記流動部が、前記複数の凹部の各々に挿入された外側円筒状部材とこの外側円筒状部材内に挿入された内側円筒状部材との間に形成され、前記流体収容室が、前記内側円筒状部材内に形成され、前記注入部が、前記表面積増大部材として前記流動部内に配置された吸水性部材の上に形成されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の流体取扱装置。
【請求項13】
前記複数の凹部の各々が、円柱形の上側凹部と、この上側凹部の底面に形成され、前記上側凹部より小径の下側凹部とからなり、前記流動部が、前記複数の凹部の各々に挿入された円筒状部材と前記上側凹部との間に形成され、前記流体収容室が、前記円筒状部材内に形成され、前記注入部が、前記表面積増大部材として前記流動部内に充填された多数の微小粒状物の上に形成されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の流体取扱装置。
【請求項14】
流体を注入するための注入部と、この注入部の底部の開口部から導入された流体を連続的に下方に流動させる流動部と、この流動部に取り囲まれるように形成されて前記流動部内の流体が導入される流体収容室と、前記流動部の底部に到達した流体を前記流体収容室に導入する流路とを備え、前記流動部内に導入された流体が前記流動部内で接触する表面の面積を増大させる表面積増大部材が前記流動部内に配置されていることを特徴とする、流体取扱ユニット。
【請求項15】
支持体と、この支持体に所定の間隔で一列に配置された複数の流体取扱部とからなり、これらの流体取扱部の各々が、流体を注入するための注入部と、この注入部の底部の開口部から導入された流体を連続的に下方に流動させる流動部と、この流動部に取り囲まれるように形成されて前記流動部内の流体が導入される流体収容室と、前記流動部の底部に到達した流体を前記流体収容室に導入する流路とを備え、前記流動部内に導入された流体が前記流動部内で接触する表面の面積を増大させる表面積増大部材が前記流動部内に配置されていることを特徴とする、流体取扱ユニット。
【請求項16】
前記流体収容室が壁部を介して前記流動部に取り囲まれていることを特徴とする、請求項14または15に記載の流体取扱ユニット。
【請求項17】
前記流動部が、底部を備えた外側円筒状部材とこの外側円筒状部材内に挿入された内側円筒状部材との間に形成され、前記流体収容室が、前記内側円筒状部材内に形成され、前記注入部が、前記外側円筒状部材の上側に配置された上側円筒状部材と前記内側円筒状部材との間に形成されていることを特徴とする、請求項14または15に記載の流体取扱ユニット。
【請求項18】
前記表面積増大部材が、鉛直方向に積層された複数の板状体からなり、これらの板状体の間に間隙が形成され、前記流動部内に導入された流体がそれぞれの板状体の上面に沿って流動することを特徴とする、請求項14乃至17のいずれかに記載の流体取扱ユニット。
【請求項19】
前記表面積増大部材が、前記流動部内に充填された多数の微小粒状物であることを特徴とする、請求項14乃至17のいずれかに記載の流体取扱ユニット。
【請求項20】
前記表面積増大部材が、前記流動部内に配置された吸水性部材であることを特徴とする、請求項14乃至17のいずれかに記載の流体取扱ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2007−40942(P2007−40942A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232837(P2005−232837)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【特許番号】特許第3805352号(P3805352)
【特許公報発行日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】