流体吐出装置用回転噴霧器
回転噴霧器と、エンクロージャ（便器など）の内側表面に流体を噴霧する方法とを開示する。回転噴霧器は、クリップ（１１０）および回転ノズル（１２０）を含んでいる。クリップ（１１０）は、流体注入口（２０８）と、遠位端部分（１７８）を有するアーム（１７６）とを含んでいる。ノズルは、円形の偏向板と、偏向板の表面から延びている、互いに離れている一対の壁とを含んでいる。これらの壁は、偏向板の表面に溝を定義している。通路が、溝ならびに壁の間の端部空間と流体連通している。流体注入口は、端部空間内に位置し、ノズルのスピンドルがアームの遠位端部分に取り付けられている。流体注入口から出た流体が、通路および溝を流れて、壁の少なくとも一方の内側表面に当たることによって、ノズルが回転し、エンクロージャの内側表面壁に流体が噴霧される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、エンクロージャ（便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど）の内側壁面に流体（洗剤や脱臭剤など）を噴霧する流体吐出装置用回転噴霧器に関する。
【背景技術】
【０００２】
便器は、見苦しい付着物の蓄積防止、臭気の低減、および細菌の増殖防止のための手入れが必要である。従来、便器の洗浄、脱臭、および消毒は、液体または粉末の洗浄殺菌剤を使用して、手でこすり洗いをすることで行われてきた。この仕事は、便器を清潔に保つために、人手による骨の折れる作業が必要であった。
【０００３】
この嫌な、手によるこすり洗いを不要にするために、様々な便器用洗剤ディスペンサが提案されてきた。あるタイプのディスペンサは、洗浄および清浄化のための物質の固形ブロックまたは固形粒子を、便器のリムから、噴出水の経路中に配置された容器の中につり下げる。（参照によって、本明細書で引用されている他のすべての文書とともに本明細書に組み込まれている）米国特許第４７７７６７０号は、このタイプの便器洗浄システムの一例を示している。典型的には、水を噴出させるたびに、固形ブロックの一部が噴出水に溶解し、溶解した製品を含む一定量の噴出水が便器洗浄のために便器内に供給される。
【０００４】
他の便器洗浄システムは、便器内に一定量供給される液体洗剤を用いる。たとえば、米国特許第６１７８５６４号および第６２３０３３４号、ならびにＰＣＴ国際公開第９９／６６１３９号および第９９／６６１４０号はすべて、水を噴出させるたびに液体作用物質を瓶から噴出水に投入するために便器のリムからつり下げることが可能な洗浄および／または清浄化装置を開示している。これらの、便器のリム下に配置される装置の場合、液体作用物質は、リザーバから下に向かって（便器リムからつり下げられた台座で支持されている）ディスペンサプレートに吐出される。この装置は、便器からの噴出水の流れが噴出時にディスペンサプレートに当たるように、便器リムからつり下げられる。噴出水は、ディスペンサプレート上の液体作用物質を便器内に運び、便器を洗浄および清浄化する。
【０００５】
他の便器用ディスペンサは、一定量のエアロゾル脱臭剤および／または洗剤を、便器リムに取り付けられた導管を通して便器内に供給する。たとえば、米国特許第３１７８０７０号は、ブラケットで便器リムに取り付けられて、リムの上に管が延びるエアロゾル容器を開示しており、米国特許第６０２９２８６号および第５８６２５３２号は、流体の加圧リザーバと、流体源に接続された導管と、便器リムに取り付けられた噴霧ノズルとを含む便器用ディスペンサを開示している。
【０００６】
これらの既知の便器リム型ディスペンサ装置の弱点の１つは、これらの装置が、脱臭剤および／または洗剤を、便器内の水の一か所、または、便器内の水または便器の内側表面の、限定された範囲にしか当てることができない点である。結果として、便器の内側表面の洗浄は、便器の、装置のそばの範囲に限定される可能性がある。
【０００７】
本発明の所有者が所有する米国特許出願第１１／３１２２８１号は、いろいろ示している中で特に、便器の全周にわたって便器の内側表面を洗浄する、自動または手動の便器洗浄装置について説明している。その出願で例示されている一実施形態では、流体導管の下流端部が、流体を外に向けて噴霧して便器の内側表面に当てることが可能な回転ノズルの中で終わっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】米国特許第４７７７６７０号
【特許文献２】米国特許第６１７８５６４号
【特許文献３】米国特許第６２３０３３４号
【特許文献４】米国特許第３１７８０７０号
【特許文献５】米国特許第６０２９２８６号
【特許文献６】米国特許第５８６２５３２号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
米国特許出願第１１／３１２２８１号の装置によって提供される技術の進歩を踏まえて、この技術をさらに改良することは、消費者の利益になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
先述の要件は、本発明による流体吐出装置用回転噴霧器によって満たすことが可能である。この回転噴霧器は、エンクロージャ（便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど）を洗浄する、自動または手動の洗浄システムでの使用に好適である。本明細書で用いる用語「洗浄」は、限定ではなく、「殺菌」および／または「消毒」も含み、用語「脱臭」は、「清浄化」も含み、用語「流体」は、限定ではなく、「洗浄流体」、「殺菌流体」、「消毒流体」などを含む。さらに、用語「流体」は、液体、ゲル、流動性粉末、蒸気などを含むように広く解釈される。本発明の例示的実施形態の説明は、便器に関して行うが、これは限定ではない。この回転噴霧器はまた、エンクロージャ（便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど）の表面を修復する、自動または手動の洗浄システムでの使用にも好適である。本明細書で用いる用語「修復」は、限定ではなく、表面にある穴、ひび、割れなどをふさぐことを含む。さらに、処理対象表面のつやや光沢を復旧させること、または他の任意の表面改修を含む。
【００１１】
一態様では、本発明は、流体吐出装置用回転噴霧器を提供する。回転噴霧器は、クリップと、クリップで支持された回転ノズルと、を含む。クリップは、吐出口を有する流体注入口を含み、流体注入口から軸方向に離れた場所に遠位端部分を有するアームを含む。ノズルは、偏向板と、偏向板の第１の表面から延びていて、偏向板の第１の表面の上に溝を定義している、互いに離れている一対の壁と、偏向板の反対側の第２の表面から延びているスピンドルと、溝ならびに一対の壁の間の端部空間と流体連通している通路と、を含む。偏向板の第１の表面は、偏向板の第２の表面から離れるようにして傾斜している周辺部分を含むことが可能である。クリップの流体注入口は、ノズルの一対の壁の間の端部空間内に位置し、ノズルのスピンドルは、クリップのアームの遠位端部分に取り付けられる。流体注入口には、圧力がかかった流体が供給され、流体注入口の吐出口から出た流体が、通路および溝を通って流れ、一対の壁の少なくとも一方の内側表面に当たることにより、ノズルが回転し、ノズルの周辺に流体が噴霧される。
【００１２】
回転噴霧器では、クリップは、クリップをエンクロージャに取り付けるためのフックを含むことが可能である。クリップのアームの遠位端部分は、流体注入口に向かって開いているくぼみを含むことが可能であり、ノズルのスピンドルは、このくぼみの中に位置することが可能である。
【００１３】
一形態では、ノズルの一対の壁の間の端部空間は、一対の壁の一方または両方の端部に形成されたくぼみである。一対の壁の一方の内側表面の外側端部部分を、一対の壁の他方に向かって曲げることが可能である。曲げられた内側表面部分に流体が当たることにより、ノズルが回転し、ノズルの周辺に流体が噴霧される。一対の壁は、偏向板の周辺部から内側に入った場所にあることが可能であり、一対の壁に端壁を接合して、溝が偏向板の一方の側に向かって開いているようにすることが可能である。代替として、溝は、偏向板の両側に向かって開いていることが可能であり、偏向板の第１の表面から延びている偏向ピークが、一対の壁の間に位置して、溝を、偏向板の一方の側に向かって開いている部分と、他方の側に向かって開いている部分とに分割することが可能である。一形態では、偏向板は円形である。
【００１４】
別の態様では、本発明は、流体吐出装置用回転噴霧器を提供する。回転噴霧器は、クリップと、クリップで支持された回転ノズルと、を含む。クリップは、吐出口を有する流体注入口を含み、流体注入口から軸方向に離れた場所に遠位端部分を有するアームを含む。ノズルは、周辺部を有する偏向板と、偏向板の第１の表面から延びていて、互いに離れている一対の壁と、一対の壁の間の偏向板の第１の表面から延びている偏向ピークと、を含む。偏向ピークおよび一対の壁は、偏向板の第１の表面において、互いに反対側の外を向く溝を定義する。ノズルはさらに、偏向板の反対側の第２の表面から延びているスピンドルを含む。ノズルはさらに、通路を含み、この通路は、溝と流体連通していて、かつ、偏向板の周辺部から内側に入った場所にある一対の壁の間の端部空間と流体連通している。流体注入口には、圧力がかかった流体が供給され、流体注入口の吐出口から出た流体が、通路および溝を通って流れ、一対の壁の少なくとも一方の内側表面に当たることにより、ノズルが回転し、ノズルの周辺に流体が噴霧される。
【００１５】
回転噴霧器では、クリップは、クリップをエンクロージャに取り付けるためのフックを含むことが可能である。クリップのアームの遠位端部分は、流体注入口に向かって開いているくぼみを含むことが可能であり、ノズルのスピンドルは、このくぼみの中に位置することが可能である。
【００１６】
一形態では、一対の壁の第１の壁の内側表面の外側端部部分が、一対の壁の第２の壁のほうへ曲げられ、一対の壁の第２の壁の内側表面の外側端部部分が、一対の壁の第１の壁のほうへ曲げられる。曲げられた内側表面部分に流体が当たることにより、ノズルが回転し、ノズルの周辺に流体が噴霧される。偏向板は、円形であることが可能であり、一対の壁は、略逆Ｔ字形であることが可能である。
【００１７】
さらに別の態様では、本発明は、エンクロージャの内側壁表面に流体を噴霧する方法を提供し、この方法では、エンクロージャの壁のすぐそばに回転噴霧器を取り付ける。回転噴霧器は、クリップおよび回転ノズルを含む。クリップは、吐出口を有する流体注入口と、流体注入口から軸方向に離れた場所に遠位端部分を有するアームと、を含むことが可能である。ノズルは、偏向板と、偏向板の第１の表面から延びていて、偏向板の第１の表面の上に溝を定義している、互いに離れている一対の壁と、偏向板の反対側の第２の表面から延びているスピンドルと、溝ならびに壁の間の端部空間と流体連通している通路と、を含むことが可能であり、回転噴霧器においては、流体注入口は、端部空間内に位置し、スピンドルは、アームの遠位端部分に取り付けられる。噴霧される流体が流体注入口に入り、流体注入口の吐出口から出た流体が、通路および溝を通って流れ、一対の壁の少なくとも一方の内側表面に当たることにより、ノズルが回転し、エンクロージャの内側表面に流体が噴霧される。
【００１８】
この方法では、エンクロージャは、典型的には、支持面から上方に延びており、通路を流れる流体が、下方に流れて、支持面に向かう方向にある偏向板の第１の表面に当たる。この方法の一形態では、エンクロージャは便器であり、便器の内側表面は、便器の全周にわたって噴霧される。流体を便器のリムの下に噴霧するために、偏向板の第１の表面は、偏向板の第２の表面から離れるようにして傾斜している周辺部分を含むことが可能である。この方法の別の形態では、エンクロージャは、浴槽またはシャワーである。
【００１９】
この方法では、流体は、２０〜２０７キロパスカルの圧力および／または３８リットル毎時未満の流れ速度で流体注入口に入ることが可能である。この方法の一形態では、流体は、流体注入口に注入される。
【００２０】
したがって、本発明の効果は、流体吐出装置用回転噴霧器を提供することであり、有利な一形態では、回転噴霧器は、便器の内側表面を便器の全周にわたって洗浄する、自動または手動の便器洗浄装置で使用可能である。
【００２１】
これらおよび他の、本発明の特徴、態様、および利点は、以下の詳細説明、図面、および添付クレームを検討することにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】便器に取り付けられた、本発明による流体吐出装置の一実施形態の斜視図である。
【図２】本発明による回転噴霧器のクリップおよび回転ノズルを示す、図１の線２−２に沿った部分の斜視図である。
【図３】図２のクリップおよび回転噴霧器の内部の一部を示す切り欠きを有する側面図である。
【図４】図２のクリップの背面斜視図である。
【図５】クリップのフックを示す、図２のクリップの一部の正面図である。
【図６】クリップのベースを示す、図２のクリップの一部の背面図である。
【図７】回転した後の向き（一点鎖線）および回転していない向き（実線）のクリップを示す、図２の回転噴霧器のクリップおよび回転ノズルの正面図である。
【図８】図３の線８−８に沿った、回転噴霧器のノズルの上面図である。
【図９】本発明による回転噴霧器のクリップおよび回転ノズルの別の実施形態の斜視図である。
【図１０】図９の回転噴霧器のクリップおよび回転ノズルの側面図である。
【図１１】図９の回転噴霧器の、フックを取り外した状態でのクリップおよび回転ノズルの正面図である。
【図１２】図９の回転噴霧器の流体注入口、ノズル、および支持アームの垂直断面図である。
【図１３】図１０の線１３−１３に沿った、回転噴霧器のノズルの上面図である。
【図１４】本発明の回転噴霧器との使用に好適な、さらに別のノズルの正面図である。
【図１５】図１４のノズルの側面図である。
【図１６】流体を容器から本発明の回転噴霧器に注入することに使用可能な流体ディスペンサポンプの斜視図である。
【図１７】図１６の流体ディスペンサポンプの垂直断面図である。
【図１８】流体を容器から本発明の回転噴霧器に注入することに使用可能な、別の流体ディスペンサポンプの正面図である。
【図１９】図１８の線１９−１９に沿った、図１８の流体ディスペンサポンプの流体吐出システムの詳細垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
以下で図面を説明する場合、複数の図面にわたって類似の要素については類似の参照符号を用いる。
【００２４】
本発明による回転噴霧器は、エンクロージャ（便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど）の内側表面に流体を一定量供給する種々の装置において使用可能である。以下、図面を参照しながら、本発明の各種実施形態を説明する。それらの実施形態は、例示を目的として図示および説明されるものであって、本発明をいかなるかたちでも限定するものではない。
【００２５】
図１および２は、エンクロージャ（ここでは、支持面１３上の便器１２）に回転噴霧器を取り付けるためのクリップ１０を有する、回転噴霧器の一例示的実施形態を示している。クリップ１０は、フック１６によって、便器１２のリム１４に固定されている。ベース１８が、フック１６で支持され、ノズル２０を回転可能に支持している。流体が、容器２２から流体導管２４を介してノズル２０に供給され、便器１２の内側表面２６に一定量供給される。流体は、様々な方法で容器２２からノズル２０へ供給可能であり、たとえば、高圧ガス、ポンプ、注射器、または他の任意の好適な手段で流体を移動させることが可能である。さらに、容器２２からの流体吐出の実行は、様々な方法／装置で制御可能であり、その１つは、流体を一定量供給するタイミングを所定の論理で制御するタイミング回路である。
【００２６】
図３、４、および５を参照すると、フック１６は、ベース１８を支持し、クリップ１０を便器１２に取り付け、３つの主要部分を有する。それらは、便器部分２８、上部リム部分３０、および内側リム部分３２である。３つの部分２８、３０、３２のすべてが、好ましくは、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から一体成形されて、フレキシブルフック１６を形成する。便器部分２８は、ほぼ長方形の断面を有し、便器１２へのクリップ１０の固定を支援するために、エラストマー製リブ３７が付いた、フレアー形のエラストマー製把持用足部３４を下端に有する。把持用足部３４およびリブ３７に好適なエラストマー材料としては、ネオプレン、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどがあり、これらに限定されない。便器部分２８は、ほぼ垂直に上方に延びて、フレキシブル肘部３５において上部リム部分３０とつながっている。フレキシブル肘部３５により、フック１６は、主に（図３に示した）Ｆ−Ｆ方向に曲がることによって、クリップ１０を様々な形状およびサイズの便器に固定することが可能である。上部リム部分３０は、ほぼ長方形の断面を有し、便器１２のリム１４の端から端まで水平方向に延びており、別のフレキシブル肘部３６で内側リム部分３２とつながり、ここでもフレキシブル肘部３６によってフック１６を曲げることが可能である。内側リム部分３２は、肘部３６から垂直に下方に延び、ベース１８を連結して支持するように構成されている。
【００２７】
フック１６の内側リム部分３２は、前面３８と背面４０とが、２つの短い側面４２でつながれている。内側リム部分３２の背面４０からリブ４４が突出し、内側リム部分３２の長さだけ延びている。後で詳述するように、リブ４４は、フック１６に対するベース１８の回転角度を制限する。本例示的実施形態のリブ４４は、ほぼ長方形の断面を有するが、リブ４４は、湾曲断面であっても、方形断面であっても、互いに離れている２つの部材で構成されていても、それ以外であってもよい。さらに、リブ４４は、ベース１８の所望の調節可能範囲にわたってベース１８と連結されていれば、内側リム部分３２の長さまで延びていなくてもよい。短い側面４２は、ラチェット歯４６を有し、ラチェット歯４６は、ベース１８と連結されて、ベース１８の垂直方向の動きを、垂直軸４８に沿うように制限する。他の制限（たとえば、フック１６とベース１８との間の摩擦嵌合など）も可能である。
【００２８】
便器部分２８および上部リム部分３０は、一連のＣ字形溝５０を含んでおり、溝５０は、導管２４がフック１６の周辺部を引き回されてベース１８のノズル２０に達するように、導管２４を拘束している。本実施形態の便器部分２８は、開口部が互い違いである３つのＣ字形溝５０を含んでいる。導管２４は、Ｃ字形溝５０に押し込まれているが、溝５０は、導管２４を拘束するために長方形または他の任意の好適な形状であってよい。上部リム部分３０では、好ましくは１つの溝５０が導管２４の引き回しを支援するが、必要に応じて複数の溝５０を用いてよい。
【００２９】
図３、４、および６を参照すると、ベース１８は、背面５２と、背面５２から前方に延びる、互いに離れている一対の側面５４と、側面５４の間に延びる上面５６および前面５８と、側面５４、上面５６、および前面５８の間に延びる曲面６０と、を有している。面５２、５４、５６、５８、６０は、ノズル２０の一部を収容する部分キャビティ６２を定義している。ベース１８は、ベース１８の背面５２から後方に延びるタブ５３を有している。タブ５３は、後述するように、クリップ１０が便器１２に取り付けられる際に、リム１４に対するベース１８の方向づけを支援する。タブ５３は、本例示的実施形態に示すように、連続した１つの部材であってよい。代替として、タブ５３は、ベース１８から延びる複数の部材を含んでもよい。ベース１８は、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から成形することが好ましい。
【００３０】
図６を重点的に参照すると、ベース１８は、フック１６の内側リム部分３２を受ける溝６４を含んでいる。溝６４は、リブ４４を受けるスリット６６を含んでおり、スリット６６は、入口６８と、出口７０と、中間位置７２とを有している（中間位置７２は、入口６８および出口７０から等距離にあってもなくてもよい）。スリット６６の幅は、入口６８から中間位置７２にかけて狭まっており、中間位置７２から出口７０にかけて広がっている。一実施形態では、中間位置７２は、入口６８と出口７０とのほぼ中間にあるが、最も狭くなる箇所は、入口６８と出口７０との中間でなくてもよく、スリット６６の両端の間のどこにあってもよい。さらに、スリット６６の最大幅は、フック１６に対するベース１８の所望の調節度合に応じて異なってよい。ベース１８の所望の回転調節度合がより大きければ、入口６８および出口７０におけるスリット６６の最大幅を増やすことが可能であり、代替として（または追加で）リブ４４の幅を減らすことが可能である。
【００３１】
溝６４は、溝６４の短い側面６５の壁から延びる一対の突起７４を含んでおり、突起７４は、フック１６の内側リム部分３２が溝６４内をスライドするときにフック１６のラチェット歯４６と噛み合う。突起７４は、ラチェット歯４６と噛み合うことによって、ベース１８がフック１６に対して垂直方向に滑ることを抑えるように構成されている。突起７４は、丸みのある形状、とがった形状、または他の好適な形状であってよい。この所望の制限は、他の多くの構造によって提供可能であり、たとえば、バネ仕掛けの玉が、溝６４内に形成されたキャビティに収容されていて、溝６４の外形（たとえば、ラチェット歯４６）に対して押し出される構造によって可能である。突起７４とラチェット歯４６との噛み合いは、突起７４とラチェット歯４６との噛み合いが外れることなくベース１８の所望の回転（後述）が可能であるように行われる。
【００３２】
ベース１８はさらに、ノズル２０を取り付ける手段を含んでいる。本例示的実施形態では、ノズル２０は、流体注入口８０とバレル７８との間で横方向に拘束されている。ベース１８は、ベース１８から下方に延びるアーム７６を含んでいる。アーム７６は、Ｊ字形に曲がって先に延びる平棒支持部分７７を有し、支持部分７７の遠位端にバレル７８がある。バレル７８は、ノズル２０の底部を受ける管状のくぼみを含んでいる。さらに、ベース１８の曲面６０の中に流体注入口８０があり、流体注入口８０は開口部から先細りになっている（図３）。流体注入口８０とバレル７８との組み合わせによって、ノズル２０の横方向の動きが制限されているが、ノズル２０がノズル軸８２のまわりを回転することは可能である。
【００３３】
クリップ１０を取り巻く環境を感知するセンサ９８を、ベース１８またはフック１６に取り付けることが可能である。センサ９８は、おおむね前面５８に取り付けることが好ましいが、角度が付いた面６０、または他の任意の好適な（たとえば、ユーザが存在するかどうかが正確にわかるような、ユーザのビューを提供できる）場所に取り付けることが可能である。センサ９８は、動きセンサ、近接センサなどであってよい。センサ９８は、所定の論理に基づいて、便器１２に流体を一定量供給するタイミングを制御するために、容器２２および／または制御装置（図示せず）と電気的に接続されていることが好ましい。
【００３４】
図８を参照して、ノズル２０の一例示的実施形態を説明する。ノズル２０は、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から成形することが好ましい。ノズル２０は、円形偏向板８４と、偏向板８４から上方に延びていて流体注入口８０と流体連通している通路８６とを含んでいる。偏向板８４のそばの通路８６から半径方向に外に向かって溝８８が延びており、溝８８は、図８に示すように、点Ａで、溝８８の最初の通り道から曲げられている。溝８８の両側に、偏向板８４から上方に延びる一対のフィン９０が位置する。フィン９０は、端壁９５から延びている。偏向板８４の外側端部は、偏向板８４の上部から下方に傾斜する面取り部８４′になっている（図７を参照）。面取り部８４′、溝８８、およびフィン９０の外形は、ノズル２０の所望の回転速度、流体の圧力などに応じて様々であってよい。
【００３５】
図３および８に最も明確に示すように、偏向板８４の下側から延びるスピンドル９２をアーム７６のバレル７８のくぼみに差し込むことによって、かつ、流体注入口８０の先細った端部を通路８６に差し込んで、通路８６内に形成された棚状突起９４に当てることによって、ノズル２０は、ベース１８内で横方向に拘束されている。ノズル２０は、ノズル軸８２のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。
【００３６】
ノズル２０は、アーム７６を使用せずに、ベース１８からつり下げてもよい。ノズル２０は、ベース１８にパチンとはめ込んでもよく、ベース１８にねじ留めしてもよく、ベース１８に押し込んでもよい。さらに、ベース１８から弧状アーム（図示せず）を延ばしてノズル２０を支持してもよい。
【００３７】
稼働時には、流体は、容器２２から、フック１６に沿って溝５０内を引き回された導管２４を通って、ベース１８の流体注入口８０に移動する。流体は、ノズル２０の上部に流れ込み、通路８６を下り、溝８８によって半径方向に外へ向けられる。流体が溝８８を出ると、流体の経路は、溝８８の両側に位置する、角度を付けられたフィン９０によって変更される。その反動によって、ノズル２０は、図８に見られるように、反時計回りに回転する。結果として、流体は、ノズル２０から半径方向に外に向けて吐出され、便器１２の内側表面２６に当たる。
【００３８】
流体吐出装置の全体的な構造および動作について説明したが、次に、ノズル２０から一定量供給される流体によってカバーされる範囲を、ベース１８を回転させて調節する手段に着目する。図４および６に戻り、かつ、図７を参照すると、ベース１８は、垂直軸４８とベース１８の背面５２とで定義される面からほぼ垂直に延びる水平軸９６のまわりを、フック１６に対して回転することが可能である。溝６４に形成されたスリット６６は、入口６８および出口７０においてフレアー状になっている。これにより、ベース１８は、フック１６から突出しているリブ４４が、背面５２に形成されたスリット側面４５に当たるまで、中間位置７２の近辺で、水平軸９６のまわりを回転することが可能になる。
【００３９】
たとえば、図７を参照すると、ベース１８が垂直軸４８に対して（一点鎖線で示すように）角度Ｒ１だけ回転した場合、ノズル２０の相対的な配置は、それに応じて角度が付き、これによって、ノズル２０から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が変化する。さらに、ベース１８が反対方向に角度Ｒ２だけ回転すると、ノズル２０から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が再度変化する。ベース１８が回転するにつれて、突起７４は、ラチェット歯４６のそれぞれの歯の中で滑る。従って、突起７４とラチェット歯４６との噛み合いは、ベース１８を自由に回転させながら、なおかつ、ベース１８の垂直方向の動きを抑えるものでなければならない。このように回転を調節することにより、クリップ１０は、様々な形状の便器およびエンクロージャに対応することが可能になる。
【００４０】
ベース１８を回転させる手段は、前述したスリット６６を含まなくてもよい。たとえば、背面５２は、フック１６のリブ４４の回転を制限するために、何対かの対向するフィンガーを、背面５２で定義された面に含むことが可能である。入口そばの対向するフィンガーの対の間の開口、ならびに出口そばの対向するフィンガーの対の間の開口は、入口のフィンガーと出口のフィンガーとの間に位置する、対向するフィンガーの対の間の開口より大きい。結果として、ベース１８は、リブ４４が入口および出口のそばのフィンガーと噛み合うまで回転可能である。別の実施形態では、スリット６６は、入口から出口にかけて（または出口から入口にかけて）先細るＶ字形であることが可能である。したがって、ベース１８の回転点は、スリット６６の出口のそば、または、入口および出口のうちの小さい方のそばにある。この場合も、ベース１８の回転は、リブ４４とスリット側面４５との噛み合いによって制限される。
【００４１】
ベース１８の回転調節は、クリップ１０のユーザが手動で行ってもよく、クリップ１０をエンクロージャ（ここでは便器１２）に取り付ける際に自動で行われてもよい。図１〜４、６、および７を全体的に参照すると、クリップ１０の取り付け方法は、おおむね次のとおりである。便器１２のリム１４にクリップ１０を固定する。そのためには、フック１６をベース１８から離すようにＦ−Ｆ方向に押し広げて、クリップ１０をリム１４にかぶせる。フック１６を固定したら、タブ５３がリム１４の下側と嵌合するまで、ベース１８を、垂直軸４８に沿って、フック１６およびラチェット歯４６の上方へスライドさせる。ベース１８のタブ５３はリム１４の下側と嵌合し続けるため、ベース１８は、水平軸９６のまわりを回転し、これによって、ノズル２０がリム１４の下側の面と並び、ノズル２０からの流体が確実に便器１２の内側表面２６に一定量供給されることを支援する（リム１４の下側の面は、リム１４の上部側面によって定義される面と平行であると仮定している）。タブ５３はさらに、タブ５３の遠位端から突出するエラストマー製把持部５１を含むことが可能であり、把持部５１は、ベース１８をリム１４上の嵌合位置に固定することを支援する。ベース１８は、タブ５３を含まなくてもよく、この実施形態では、ベース１８は、ユーザが手動で回転させることによって、フック１６に対して調節可能である。
【００４２】
次に、図９〜１１は、回転噴霧器の別の例示的実施形態を示し、この回転噴霧器は、ノズルを便器などのエンクロージャに取り付けるためのクリップ１１０を有する。図１〜８のクリップ１０の場合と同様に、クリップ１１０は、フック１１６（図１１では省略されている）で便器のリムに固定されている。ベース１１８が、フック１１６で支持され、ノズル１２０を支持している。図１〜８のクリップ１０の場合と同様に、流体が、容器から流体導管を介してノズル１２０に供給されて、便器の内側表面に一定量供給される。流体は、様々な方法で容器からノズル１２０へ供給可能であり、たとえば、高圧ガス、手動または電動のポンプ、注射器、または他の任意の好適な手段で流体を移動させることが可能である。さらに、容器からの流体吐出の実行は、様々な方法／装置で制御可能であり、その１つは、流体を一定量供給するタイミングを所定の論理で制御するタイミング回路である。
【００４３】
図９〜１１をさらに参照すると、フック１１６は、ベース１１８を支持し、クリップ１１０を便器に取り付け、３つの主要部分を有する。それらは、便器部分１２８、上部リム部分１３０、および内側リム部分１３２である。３つの部分１２８、１３０、１３２のすべてが、好ましくは、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から一体成形されて、フレキシブルフック１１６を形成する。図１〜８のクリップ１０の場合と同様に、便器部分１２８は、ほぼ長方形の断面を有し、便器へのクリップ１１０の固定を支援するために、エラストマー製リブ１３７が付いた、フレアー形のエラストマー製把持用足部１３４を下端に有する。把持用足部１３４およびリブ１３７に好適なエラストマー材料としては、ネオプレン、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどがあり、これらに限定されない。便器部分１２８は、ほぼ垂直に上方に延びて、フレキシブル肘部１３５において上部リム部分１３０とつながっている。フレキシブル肘部１３５により、フック１１６は、（図３のＦ−Ｆ方向と同様に）曲がることによって、クリップ１１０を様々な形状およびサイズの便器に固定することが可能である。上部リム部分１３０は、ほぼ長方形の断面を有し、便器のリムの端から端まで水平方向に延びており、別のフレキシブル肘部１３６で内側リム部分１３２とつながり、ここでもフレキシブル肘部１３６によってフック１１６を曲げることが可能である。内側リム部分１３２は、肘部１３６から垂直に下方に延び、ベース１１８を連結して支持するように構成されている。便器部分１２８および上部リム部分１３０は、Ｃ字形溝１５０を含んでおり、溝１５０は、流体導管がフック１１６の周辺部を引き回されてベース１１８のノズル１２０に達するように、流体導管を拘束している。流体導管は、図１〜８のクリップ１０の場合と同様に、Ｃ字形溝１５０に押し込まれている。ベース１１８は、背面１５２と、背面１５２から前方に延びる、互いに離れている一対の側面１５４と、側面１５４の間に延びる上面１５６および前面１５８と、を有している。面１５２、１５４、１５６、１５８は、キャビティを定義している。ベース１１８は、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から成形することが好ましい。
【００４４】
ベース１１８は、フック１１６の内側リム部分１３２を受ける溝１６４を含んでいる。溝１６４は、図１〜８のクリップ１０の溝６４と同様の構造であり、溝１６４およびフック１１６によって可能な、ベース１１８の回転調節は、図１〜８のクリップ１０と同じ構造を同様に用いて行われるため、クリップ１１０の回転調節の手段については、これ以上説明しない。
【００４５】
クリップ１１０を取り巻く環境を感知するセンサ１９８を、ベース１１８に取り付けることが可能である。センサ１９８は、おおむね前面１５８に取り付けることが好ましいが、他の任意の好適な（たとえば、ユーザが存在するかどうかが正確にわかるような、ユーザのビューを提供できる）場所に取り付けることも可能である。センサ１９８は、動きセンサ、近接センサなどであってよい。センサ１９８は、所定の論理に基づいて、便器に流体を一定量供給するタイミングを制御するために、容器および／または制御装置（図示せず）と電気的に接続されていることが好ましい。
【００４６】
図１２を参照すると、ベース１１８はさらに、ノズル１２０をベース１１８に取り付ける手段を含んでいる。本例示的実施形態では、ノズル１２０は、バレル１７８と流体注入口１８０との間で横方向に拘束されている。ベース１１８は、ベース１１８から下方に延びるアーム１７６を含んでいる。アーム１７６は、Ｊ字形に曲がってバレル１７８に向かって延びる曲線部分１７７を有し、バレル１７８は、曲線部分１７７の遠位端にある。流体注入口１８０とバレル１７８との組み合わせによって、ノズル１２０の横方向の動きが制限されているが、ノズル１２０がノズル軸１８２のまわりを回転することは可能である。管状の流体注入口１８０は、吐出口１８１ｅ内で終わる流路１８１を定義しており、ベース１１８に取り付けられた下部ベースフロア２０２から下方に延びている。ベースフロア２０２は、上方に延びる管状スリーブ２０４を含んでおり、スリーブ２０４は、流路２０５を定義している。ベース１１８はまた、流体供給ポート２０８に取り付けられており、流体供給ポート２０８は、流路２０９を定義している。流体供給ポート２０８および管状スリーブ２０４は、互いにパチンと嵌合し、それらの間でＯリング２１１が液密な封止を形成する。流体供給ポート２０８は、ベースの上面１５６内のくぼみ２１３の中に位置し、流体導管（図３の導管２４など）に接続可能である。
【００４７】
図１０、１２、および１３を参照して、ノズル１２０について、さらに詳細に示す。ノズル１２０は、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から成形することが好ましい。ノズル１２０は、円形偏向板１８４を含んでいる。偏向板１８４の底面から軸スピンドル１９２が下方に延びている。互いに離れている、略逆Ｔ字形の壁１９０ａ、１９０ｂが、偏向板１８４から上方に延びている。図１３の実施形態では、壁１９０ａ、１９０ｂは、偏向板１８４の対向する外側エッジから偏向板１８４の全域に延びている。壁１９０ａ、１９０ｂの間の偏向板１８４から、中心流体偏向ピーク１９１が上方に延びている。壁１９０ａの上部には、内部に向いた（垂直断面で見れば）略Ｕ字形のくぼみ１９３ａがあり、壁１９０ｂの上部には、内部に向いた（垂直断面で見れば）略Ｕ字形のくぼみ１９３ｂがある。壁１９０ａ、１９０ｂによって通路１８６が定義されており、通路１８６は、偏向板１８４から上方に延びていて、くぼみ１９３ａ、１９３ｂと流体連通している。偏向板１８４のそばの通路１８６から半径方向に外に向かって溝１８８Ｌが延びており、溝１８８Ｌは、図１３に示すように、点Ａで、溝１８８Ｌの最初の通り道から後方に曲げられている。偏向板１８４のそばの通路１８６から半径方向に外に向かって溝１８８Ｒが延びており、溝１８８Ｒは、図１３に示すように、点Ｂで、溝１８８Ｒの最初の通り道から前方に曲げられている。溝１８８Ｌ、１８８Ｒ、ならびに壁１９０ａ、１９０ｂの外形は、ノズル１２０の所望の回転速度、流体の圧力、流体の流れ速度などに応じて様々であってよい。
【００４８】
図１２に最も明確に示すように、アーム１７６のバレル１７８のくぼみ１７９にスピンドル１９２を差し込むことによって、かつ、流体注入口１８０の端部をくぼみ１９３ａ、１９３ｂの間に差し込むことによって、ノズル１２０は、横方向に拘束されている。ノズル１２０は、ノズル軸１８２のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。
【００４９】
稼働時には、流体は、容器から、流体導管を通って（たとえば、図１の容器２２および導管２４を参照）、流体供給ポート２０８に移動する。図１２に示すように、流体は、流路２０９、２０５、および１８１を通って、流体注入口１８０から流れ出る（流体注入口の吐出口の直径によって圧力を決定することが可能であり、この圧力によって、ノズル１２０のスピン速度ならびにノズル１２０からの流体の飛距離を決定することが可能である）。流体は、流体偏向ピーク１９１の最上部に流れ、枝分かれした通路１８６を流れ落ち、溝１８８Ｌ、１８８Ｒによって半径方向に外に向かう。流体が溝１８８Ｌ、１８８Ｒから出る際には、流体の経路は、溝１８８Ｌ、１８８Ｒの両側に位置する、角度を付けられた内側表面１９７Ｌ、１９７Ｒによって変化している。その反動によって、ノズル１２０は、図１３に見られるように、反時計回りに回転する。結果として、流体は、ノズル１２０から半径方向に外に向けて吐出され、エンクロージャ（便器など）の内側表面に当たる。
【００５０】
図１４および１５を参照して、ノズルの別の実施形態２２０について詳細に示す。ノズル２２０は、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から成形することが好ましい。ノズル２２０は、（上面から見て）円形の偏向板２８４を含んでいる。偏向板２８４の底面から軸スピンドル２９２が下方に延びている。互いに離れている、略逆Ｔ字形の壁２９０ａ、２９０ｂが、偏向板２８４から上方に延びている。図１４および１５の実施形態では、壁２９０ａ、２９０ｂは、偏向板２８４の外側エッジ点２７７Ｌから内側に入った場所から、偏向板２８４の外側エッジ点２７７Ｒから内側に入った場所へ延びている。（図１２および１３の流体偏向ピーク１９１と同様の）中心流体偏向ピーク２９１が、壁２９０ａ、２９０ｂの間の偏向板２８４から上方に延びている。壁２９０ａの上部には、（図１２および１３の、内部に向いたくぼみ１９３ａと同様の）内部に向いた略Ｕ字形のくぼみがあり、壁２９０ｂの上部には、（図１２および１３の、内部に向いたくぼみ１９３ｂと同様の）内部に向いた略Ｕ字形のくぼみがある。
【００５１】
さらに図１４および１５を参照すると、（図１２および１３の通路１８６と同様の）通路２８６が、壁２９０ａ、２９０ｂによって定義されており、通路２８６は、偏向板２８４から上方に延びていて、壁２９０ａ、２９０ｂのくぼみと流体連通している。（図１２および１３の溝１８８Ｌと同様の）溝が、偏向板２８４のそばの通路２８６から半径方向に外に向かって延びており、この溝は、図１３の場合と同様に、最初の通り道から後方に曲げられている。（図１２および１３の溝１８８Ｒと同様の）溝２８８Ｒが、通路２８６から半径方向に外に向かって延びており、溝２８８Ｒは、図１５に示すように、溝２８８Ｒの最初の通り道から前方に曲げられている。偏向板２８４は、上向きの皿状のフロア２７６を有しており、フロア２７６は、偏向板２８４の上部の外側エッジにおいて抜き勾配Ｚを形成している（図１４を参照）。抜き勾配Ｚ、溝、および壁２９０ａ、２９０ｂの外形は、ノズル２２０の所望の回転速度、流体の圧力、流体の流れ速度などに応じて様々であってよい。
【００５２】
図１２と同様に、アーム１７６のバレル１７８のくぼみ１７９にスピンドル２９２を差し込むことによって、かつ、流体注入口１８０の端部を、壁２９０ａ、２９０ｂの上部くぼみの間に差し込むことによって、ノズル２２０を横方向に拘束することが可能である。ノズル２２０は、ノズル軸のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。
【００５３】
稼働時には、流体は、容器から、流体導管を通って（たとえば、図１の容器２２および導管２４を参照）、図１２に示すような流体供給ポート２０８に移動し、流路２０９、２０５、および１８１を通って、流体注入口１８０から流れ出る。流体は、ノズル２２０の流体偏向ピーク２９１の最上部に流れ、枝分かれした通路２８６を流れ落ちてフロア２７６に当たり、溝によって半径方向に外に向かう。流体が溝から出る際には、流体の経路は、溝の両側に位置する壁２９０ａ、２９０ｂの、角度を付けられた内側表面によって変化している。その反動によって、ノズル２２０は、図１５に示すように、方向Ｒに適切に回転する。流体は、フロア２７６上を流れ続け、偏向板２８４のエッジにおいて抜き勾配を上ることによって、流体のやや上向きの移動経路を形成する。結果として、流体は、ノズル２２０から半径方向に外に向けて吐出され、便器の内側表面に当たり、流体の移動経路がやや上向きであるために、１８インチ（０．４５７２メートル）以上飛んだ後でも、便器リムの下の便器の内側表面に流体が当たることが可能である。
【００５４】
図８、１３、および１４を比較すると、ノズル２０、ノズル１２０、およびノズル２２０は、構造に違いがあり、これが動作特性の違いにつながっている。たとえば、ノズル２０は、通路８６から単一の溝８８が延びているが、ノズル１２０およびノズル２２０は、中央の通路から２つの溝が延びている。追加された通路は、ノズルから最大効果を引き出して効率を上げることに役立つ。ノズル１２０およびノズル２２０はさらに、効率を上げることが可能な流体偏向ピーク１９１、２９１を有する。ノズル１２０とノズル２２０を比較すると、ノズル１２０の壁１９０ａ、１９０ｂが、偏向板１８４の対向する外側エッジから偏向板１８４の全域に延びているのに対し、ノズル２２０の壁２９０ａ、２９０ｂは、偏向板２８４の対向する外側エッジから内側に入った場所にあることがわかる。偏向板のエッジから壁まで間隔をおくことにより、ノズル２２０から吐出される流体の動きをより接線方向にすることが可能である。求心力により、流体は、振り落とされ、飛び散る。さらに、ノズル２２０の外側エッジの抜き勾配Ｚにより、液体噴霧の高さを落とさないまま、（偏向板の外側エッジから半径方向に測定して）約１８インチ（０．４５７２メートル）の噴霧が可能である。これは、噴霧が便器リムの下の上部領域の下まで届かずに落ちることを防ぐ点で有利である。
【００５５】
ノズル２０、１２０、２２０の各種パラメータは、ノズルの用途に応じて様々であってよい。たとえば、便器洗浄装置での使用に好適なノズルの場合、流体の流れは、偏向板へ下りていって、偏向板の表面から離れた後は、より低速で下方に向かう噴霧になる。ノズル２０、１２０、２２０の設計パラメータは、１０〜２０ｐｓｉ（６９〜１３８キロパスカル）のような低い流体圧力、（偏向板の外側エッジから半径方向に測定して）２４インチ（０．６０９６メートル）未満の流体移動経路、１０ガロン毎時（約３８リットル毎時）未満の流れ速度などに対応するように様々であってよい。したがって、圧力、体積、および流れ速度の動作パラメータは、ノズル２０、１２０、２２０の設計を変えることによって対応可能である。多くの用途には、３〜３０ｐｓｉ（２０〜２０７キロパスカル）の流体圧力、ならびに（偏向板の外側エッジから半径方向に測定して）最大１００インチ（２．５４メートル）の流体移動経路が好適である。便器の用途には、１４〜１５ｐｓｉ（９６〜１０３キロパスカル）の流体圧力、ならびに（偏向板の外側エッジから半径方向に測定して）最大１８インチ（０．４５７２メートル）の流体移動経路が最も好ましい。
【００５６】
回転噴霧器のクリップ１０、１１０、ならびにノズル２０、１２０、２２０について説明してきたが、容器からノズル２０、１２０、２２０へ流体を供給する様々なポンプについても説明が可能である。図１６および１７は、容器４２２から（前述のように、ノズル２０、１２０、２２０に流体を供給する）導管２４へ流体を注入することに使用可能な流体ディスペンサポンプ４２０を示す。流体ディスペンサポンプ４２０は、図１に示すように、便器タンクの側面に取り付けることが可能であり、あるいは、便器タンクの上部に置いたり、床の上に置いたりすることも可能である。流体ディスペンサポンプ４２０は、従来のように、ねじ付き密封装置４２４で容器４２２に接続することが可能である。
【００５７】
流体ディスペンサポンプ４２０は、ディスペンサヘッド４２６を含んでおり、ディスペンサヘッド４２６は、操作部を定義しており、吐出導管４２８を有している。ディスペンサヘッド４２６は、中空の管状ピストン４３０に接続されており、ピストン４３０の上端にボール弁４３２がある。ピストン４３０は、密封装置４２４の開口部に固定されているカラー４３４の中を平行移動する。流体ディスペンサポンプ４２０はさらに、アキュムレータ４３６を含んでおり、アキュムレータ４３６は、ポンプチャンバを定義しており、ハウジング４３８に収容されている。ピストン４３０の底部にある環状封止材４４０が、アキュムレータ４３６の内側表面４４２を封止している。ピストン４３０の下部ショルダ４４６とアキュムレータ４３６の下部ショルダ４４８との間に、圧縮コイルばね１４４が配置されている。アキュムレータ４３６の下端にボール弁４５０がある。アキュムレータ４３６はさらに、環状注入ポート４５２を有しており、環状注入ポート４５２は、容器４２２から流体を吸引する浸漬管４５４を受けている。アキュムレータ４３６の方向は、容器４２２の垂直（長手方向）軸と同一直線上にある。
【００５８】
図１７は、ディスペンサヘッド４２６が上方位置にある様子を示している。ディスペンサヘッド４２６を手（または足）でその上方位置から方向Ｄに押し下げ、その後、解放すると、ピストン４３０の上昇に伴って流体が容器からアキュムレータ４３６に吸引される（この上昇は、ばね４４４の上向きのバイアス力によるものである）。ピストン４３０の下降および上昇が何度か繰り返されて、アキュムレータ４３６に十分な量の流体が溜まると、その後のピストン４３０の下降で、流体が上昇してボール弁４３２を通り越し、吐出導管４２８に出て行く。吐出導管４２８は、導管４５６と流体連通しており、導管４５６は、一方向チェック弁アセンブリ４５８を介して導管２４と流体連通している。一方向チェック弁アセンブリ４５８は、図１６に示した方向Ｗにのみ流体が流れるようにしている。導管２４に入った流体は、前述のように、ノズル２０または１２０または２２０によって、便器１２の内側表面２６に対して噴霧される。流体ディスペンサポンプ４２０の下降によって供給される流体の量は、ポンプ部品（ピストン４３０やアキュムレータ４３６など）のサイズを変えることにより変えることが可能である。一例示的実施形態では、流体ディスペンサポンプ４２０は、ピストン４３０の下降時に８ミリリットルの流体を吐出する。流体圧力は、１０〜２０ｐｓｉ（６９〜１３８キロパスカル）の範囲であることが可能である。
【００５９】
図１８および１９は、容器７２２から（前述のように、ノズル２０または１２０または２２０に流体を供給する）導管２４へ流体を注入することに使用可能な、別の流体ディスペンサポンプ７２０を示す。流体ディスペンサポンプ７２０は、図１に示すように、便器タンクの側面に取り付けることが可能であり、あるいは、便器タンクの上部に置いたり、床の上に置いたりすることも可能である。流体ディスペンサポンプ７２０は、従来のように、ねじ付き密封装置７２４で容器７２２に接続することが可能である。
【００６０】
流体ディスペンサポンプ７２０は、ピストン７２５を含んでおり、ピストン７２５は、操作部を定義している上側の末端把持部７２６を有している。ピストン７２５はさらに、ピストンヘッド７２８を有している。ピストン７２５は、中空シリンダ７３６に取り付けられたカラー７３４の中を平行移動し、シリンダ７３６は、ポンプチャンバを定義しており、密封装置７２４に固定されたベース７３８と一体化されている。ピストンヘッド７２８は、シリンダ７３６の内側表面７４２を封止している。ピストン７２５の末端把持部７２６の下部表面とカラー７３４の上部表面との間に、圧縮コイルばね７４４が配置されている。シリンダ７３６の方向は、容器７２２の垂直（長手方向）軸と平行である。
【００６１】
ベース７３８は、注入ポート７５２と流体連通している中央マニホールド７４６を有しており、注入ポート７５２は、容器７２２から流体を吸引する浸漬管７５４を受けている。注入ポート７５２の上には、ピストン７２５の下降時に流体が容器７２２へ戻ることを防ぐボール弁７５５が設置されている。シリンダ７３６とマニホールド７４６は、流体通路７５６によって流体連通している。ベース７３８はさらに、中央マニホールド７４６と流体連通している吐出導管７５８を有している。カプリング７６２により、導管２４を吐出導管７５８と流体連通させることが可能である。圧縮ばね７６６により、吐出導管７５８の弁シート７６５からボール弁７６４にバイアスがかかっている。ボール弁７６４は、ピストンの下降時に流体が吐出導管７５８から流れ出ることを可能にするとともに、ピストン７２５の上昇時に流体が中央マニホールド７４６に戻るのを防ぐ。
【００６２】
図１８は、ピストン７２５が上方位置にある様子を示している。ピストン７２５を手（または足）で方向Ｄに押し下げ、その後、解放すると、ピストン７２５の上昇に伴って流体が容器７２２からシリンダ７３６に吸引される（この上昇は、ばね７４４の上向きのバイアス力によるものである）。このようにして、ポンプ７２０に呼び水をする。ピストン７２５のその後の下降により、流体は、ボール弁７６４を通り越し、吐出導管２４に出て行く。導管２４に入った流体は、前述のように、ノズル２０または１２０または２２０によって、便器１２の内側表面２６に対して噴霧される。
【００６３】
ピストン７２５の下降によって供給される流体の量は、ピストン７２５の末端把持部７２６とカラー７３４との間の距離を調節することにより、変えることが可能である。ピストン７２５の下降具合を変える手段は、シャフト７７２、カラー７７４、および設定ねじ７７６を含んでいる。シャフト７７２は、ピストン７２５の末端把持部７２６の下側に取り付けられており、カラー７７４の開口部を平行移動させる。設定ねじ７７６は、カラー７７４の開口部のねじ山が付いた側にはめ込まれており、カラー７７４内のシャフト７７２を、設定ねじ７７６とシャフト７７２との接触により、動かなくすることが可能である。カラー７７４内でシャフト７７２を下方に動かして、設定ねじ７７６でシャフト７７２を動かなくすることにより、ピストン７２５の末端把持部７２６とカラー７３４との距離が縮まり、これによって、ピストン７２５の上昇時にシリンダ７３６に吸引される流体の量が少なくなる。一例示的実施形態では、流体ディスペンサポンプ７２０は、ピストン７２５の下降時に最大１０ミリリットルの流体を吐出することが可能であり、５〜１０ミリリットルを吐出することが好ましく、７〜８ミリリットルを吐出することが最も好ましい。
【００６４】
このように、本発明は、流体吐出装置用回転噴霧器を提供する。この回転噴霧器は、便器の全周にわたって便器の内側表面に洗剤を噴霧する、自動または手動の便器洗浄装置に使用可能である。結果として、便器の内側表面全体を流体でカバーすることが可能である。
【００６５】
特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、当業者であれば理解されるように、本発明は、説明した実施形態以外の実施形態によっても実施可能であり、説明した実施形態は、限定ではなく例示を目的として提示したものである。したがって、本発明の範囲は、本明細書に含まれている実施形態の記載に限定されるものではない。
産業上の利用可能性
【００６６】
本発明は、エンクロージャの内側壁表面に流体を一定量供給することが可能な流体吐出装置用回転噴霧器を提供する。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、エンクロージャ（便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど）の内側壁面に流体（洗剤や脱臭剤など）を噴霧する流体吐出装置用回転噴霧器に関する。
【背景技術】
【０００２】
便器は、見苦しい付着物の蓄積防止、臭気の低減、および細菌の増殖防止のための手入れが必要である。従来、便器の洗浄、脱臭、および消毒は、液体または粉末の洗浄殺菌剤を使用して、手でこすり洗いをすることで行われてきた。この仕事は、便器を清潔に保つために、人手による骨の折れる作業が必要であった。
【０００３】
この嫌な、手によるこすり洗いを不要にするために、様々な便器用洗剤ディスペンサが提案されてきた。あるタイプのディスペンサは、洗浄および清浄化のための物質の固形ブロックまたは固形粒子を、便器のリムから、噴出水の経路中に配置された容器の中につり下げる。（参照によって、本明細書で引用されている他のすべての文書とともに本明細書に組み込まれている）米国特許第４７７７６７０号は、このタイプの便器洗浄システムの一例を示している。典型的には、水を噴出させるたびに、固形ブロックの一部が噴出水に溶解し、溶解した製品を含む一定量の噴出水が便器洗浄のために便器内に供給される。
【０００４】
他の便器洗浄システムは、便器内に一定量供給される液体洗剤を用いる。たとえば、米国特許第６１７８５６４号および第６２３０３３４号、ならびにＰＣＴ国際公開第９９／６６１３９号および第９９／６６１４０号はすべて、水を噴出させるたびに液体作用物質を瓶から噴出水に投入するために便器のリムからつり下げることが可能な洗浄および／または清浄化装置を開示している。これらの、便器のリム下に配置される装置の場合、液体作用物質は、リザーバから下に向かって（便器リムからつり下げられた台座で支持されている）ディスペンサプレートに吐出される。この装置は、便器からの噴出水の流れが噴出時にディスペンサプレートに当たるように、便器リムからつり下げられる。噴出水は、ディスペンサプレート上の液体作用物質を便器内に運び、便器を洗浄および清浄化する。
【０００５】
他の便器用ディスペンサは、一定量のエアロゾル脱臭剤および／または洗剤を、便器リムに取り付けられた導管を通して便器内に供給する。たとえば、米国特許第３１７８０７０号は、ブラケットで便器リムに取り付けられて、リムの上に管が延びるエアロゾル容器を開示しており、米国特許第６０２９２８６号および第５８６２５３２号は、流体の加圧リザーバと、流体源に接続された導管と、便器リムに取り付けられた噴霧ノズルとを含む便器用ディスペンサを開示している。
【０００６】
これらの既知の便器リム型ディスペンサ装置の弱点の１つは、これらの装置が、脱臭剤および／または洗剤を、便器内の水の一か所、または、便器内の水または便器の内側表面の、限定された範囲にしか当てることができない点である。結果として、便器の内側表面の洗浄は、便器の、装置のそばの範囲に限定される可能性がある。
【０００７】
本発明の所有者が所有する米国特許出願第１１／３１２２８１号は、いろいろ示している中で特に、便器の全周にわたって便器の内側表面を洗浄する、自動または手動の便器洗浄装置について説明している。その出願で例示されている一実施形態では、流体導管の下流端部が、流体を外に向けて噴霧して便器の内側表面に当てることが可能な回転ノズルの中で終わっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】米国特許第４７７７６７０号
【特許文献２】米国特許第６１７８５６４号
【特許文献３】米国特許第６２３０３３４号
【特許文献４】米国特許第３１７８０７０号
【特許文献５】米国特許第６０２９２８６号
【特許文献６】米国特許第５８６２５３２号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
米国特許出願第１１／３１２２８１号の装置によって提供される技術の進歩を踏まえて、この技術をさらに改良することは、消費者の利益になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
先述の要件は、本発明による流体吐出装置用回転噴霧器によって満たすことが可能である。この回転噴霧器は、エンクロージャ（便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど）を洗浄する、自動または手動の洗浄システムでの使用に好適である。本明細書で用いる用語「洗浄」は、限定ではなく、「殺菌」および／または「消毒」も含み、用語「脱臭」は、「清浄化」も含み、用語「流体」は、限定ではなく、「洗浄流体」、「殺菌流体」、「消毒流体」などを含む。さらに、用語「流体」は、液体、ゲル、流動性粉末、蒸気などを含むように広く解釈される。本発明の例示的実施形態の説明は、便器に関して行うが、これは限定ではない。この回転噴霧器はまた、エンクロージャ（便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど）の表面を修復する、自動または手動の洗浄システムでの使用にも好適である。本明細書で用いる用語「修復」は、限定ではなく、表面にある穴、ひび、割れなどをふさぐことを含む。さらに、処理対象表面のつやや光沢を復旧させること、または他の任意の表面改修を含む。
【００１１】
一態様では、本発明は、流体吐出装置用回転噴霧器を提供する。回転噴霧器は、クリップと、クリップで支持された回転ノズルと、を含む。クリップは、吐出口を有する流体注入口を含み、流体注入口から軸方向に離れた場所に遠位端部分を有するアームを含む。ノズルは、偏向板と、偏向板の第１の表面から延びていて、偏向板の第１の表面の上に溝を定義している、互いに離れている一対の壁と、偏向板の反対側の第２の表面から延びているスピンドルと、溝ならびに一対の壁の間の端部空間と流体連通している通路と、を含む。偏向板の第１の表面は、偏向板の第２の表面から離れるようにして傾斜している周辺部分を含むことが可能である。クリップの流体注入口は、ノズルの一対の壁の間の端部空間内に位置し、ノズルのスピンドルは、クリップのアームの遠位端部分に取り付けられる。流体注入口には、圧力がかかった流体が供給され、流体注入口の吐出口から出た流体が、通路および溝を通って流れ、一対の壁の少なくとも一方の内側表面に当たることにより、ノズルが回転し、ノズルの周辺に流体が噴霧される。
【００１２】
回転噴霧器では、クリップは、クリップをエンクロージャに取り付けるためのフックを含むことが可能である。クリップのアームの遠位端部分は、流体注入口に向かって開いているくぼみを含むことが可能であり、ノズルのスピンドルは、このくぼみの中に位置することが可能である。
【００１３】
一形態では、ノズルの一対の壁の間の端部空間は、一対の壁の一方または両方の端部に形成されたくぼみである。一対の壁の一方の内側表面の外側端部部分を、一対の壁の他方に向かって曲げることが可能である。曲げられた内側表面部分に流体が当たることにより、ノズルが回転し、ノズルの周辺に流体が噴霧される。一対の壁は、偏向板の周辺部から内側に入った場所にあることが可能であり、一対の壁に端壁を接合して、溝が偏向板の一方の側に向かって開いているようにすることが可能である。代替として、溝は、偏向板の両側に向かって開いていることが可能であり、偏向板の第１の表面から延びている偏向ピークが、一対の壁の間に位置して、溝を、偏向板の一方の側に向かって開いている部分と、他方の側に向かって開いている部分とに分割することが可能である。一形態では、偏向板は円形である。
【００１４】
別の態様では、本発明は、流体吐出装置用回転噴霧器を提供する。回転噴霧器は、クリップと、クリップで支持された回転ノズルと、を含む。クリップは、吐出口を有する流体注入口を含み、流体注入口から軸方向に離れた場所に遠位端部分を有するアームを含む。ノズルは、周辺部を有する偏向板と、偏向板の第１の表面から延びていて、互いに離れている一対の壁と、一対の壁の間の偏向板の第１の表面から延びている偏向ピークと、を含む。偏向ピークおよび一対の壁は、偏向板の第１の表面において、互いに反対側の外を向く溝を定義する。ノズルはさらに、偏向板の反対側の第２の表面から延びているスピンドルを含む。ノズルはさらに、通路を含み、この通路は、溝と流体連通していて、かつ、偏向板の周辺部から内側に入った場所にある一対の壁の間の端部空間と流体連通している。流体注入口には、圧力がかかった流体が供給され、流体注入口の吐出口から出た流体が、通路および溝を通って流れ、一対の壁の少なくとも一方の内側表面に当たることにより、ノズルが回転し、ノズルの周辺に流体が噴霧される。
【００１５】
回転噴霧器では、クリップは、クリップをエンクロージャに取り付けるためのフックを含むことが可能である。クリップのアームの遠位端部分は、流体注入口に向かって開いているくぼみを含むことが可能であり、ノズルのスピンドルは、このくぼみの中に位置することが可能である。
【００１６】
一形態では、一対の壁の第１の壁の内側表面の外側端部部分が、一対の壁の第２の壁のほうへ曲げられ、一対の壁の第２の壁の内側表面の外側端部部分が、一対の壁の第１の壁のほうへ曲げられる。曲げられた内側表面部分に流体が当たることにより、ノズルが回転し、ノズルの周辺に流体が噴霧される。偏向板は、円形であることが可能であり、一対の壁は、略逆Ｔ字形であることが可能である。
【００１７】
さらに別の態様では、本発明は、エンクロージャの内側壁表面に流体を噴霧する方法を提供し、この方法では、エンクロージャの壁のすぐそばに回転噴霧器を取り付ける。回転噴霧器は、クリップおよび回転ノズルを含む。クリップは、吐出口を有する流体注入口と、流体注入口から軸方向に離れた場所に遠位端部分を有するアームと、を含むことが可能である。ノズルは、偏向板と、偏向板の第１の表面から延びていて、偏向板の第１の表面の上に溝を定義している、互いに離れている一対の壁と、偏向板の反対側の第２の表面から延びているスピンドルと、溝ならびに壁の間の端部空間と流体連通している通路と、を含むことが可能であり、回転噴霧器においては、流体注入口は、端部空間内に位置し、スピンドルは、アームの遠位端部分に取り付けられる。噴霧される流体が流体注入口に入り、流体注入口の吐出口から出た流体が、通路および溝を通って流れ、一対の壁の少なくとも一方の内側表面に当たることにより、ノズルが回転し、エンクロージャの内側表面に流体が噴霧される。
【００１８】
この方法では、エンクロージャは、典型的には、支持面から上方に延びており、通路を流れる流体が、下方に流れて、支持面に向かう方向にある偏向板の第１の表面に当たる。この方法の一形態では、エンクロージャは便器であり、便器の内側表面は、便器の全周にわたって噴霧される。流体を便器のリムの下に噴霧するために、偏向板の第１の表面は、偏向板の第２の表面から離れるようにして傾斜している周辺部分を含むことが可能である。この方法の別の形態では、エンクロージャは、浴槽またはシャワーである。
【００１９】
この方法では、流体は、２０〜２０７キロパスカルの圧力および／または３８リットル毎時未満の流れ速度で流体注入口に入ることが可能である。この方法の一形態では、流体は、流体注入口に注入される。
【００２０】
したがって、本発明の効果は、流体吐出装置用回転噴霧器を提供することであり、有利な一形態では、回転噴霧器は、便器の内側表面を便器の全周にわたって洗浄する、自動または手動の便器洗浄装置で使用可能である。
【００２１】
これらおよび他の、本発明の特徴、態様、および利点は、以下の詳細説明、図面、および添付クレームを検討することにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】便器に取り付けられた、本発明による流体吐出装置の一実施形態の斜視図である。
【図２】本発明による回転噴霧器のクリップおよび回転ノズルを示す、図１の線２−２に沿った部分の斜視図である。
【図３】図２のクリップおよび回転噴霧器の内部の一部を示す切り欠きを有する側面図である。
【図４】図２のクリップの背面斜視図である。
【図５】クリップのフックを示す、図２のクリップの一部の正面図である。
【図６】クリップのベースを示す、図２のクリップの一部の背面図である。
【図７】回転した後の向き（一点鎖線）および回転していない向き（実線）のクリップを示す、図２の回転噴霧器のクリップおよび回転ノズルの正面図である。
【図８】図３の線８−８に沿った、回転噴霧器のノズルの上面図である。
【図９】本発明による回転噴霧器のクリップおよび回転ノズルの別の実施形態の斜視図である。
【図１０】図９の回転噴霧器のクリップおよび回転ノズルの側面図である。
【図１１】図９の回転噴霧器の、フックを取り外した状態でのクリップおよび回転ノズルの正面図である。
【図１２】図９の回転噴霧器の流体注入口、ノズル、および支持アームの垂直断面図である。
【図１３】図１０の線１３−１３に沿った、回転噴霧器のノズルの上面図である。
【図１４】本発明の回転噴霧器との使用に好適な、さらに別のノズルの正面図である。
【図１５】図１４のノズルの側面図である。
【図１６】流体を容器から本発明の回転噴霧器に注入することに使用可能な流体ディスペンサポンプの斜視図である。
【図１７】図１６の流体ディスペンサポンプの垂直断面図である。
【図１８】流体を容器から本発明の回転噴霧器に注入することに使用可能な、別の流体ディスペンサポンプの正面図である。
【図１９】図１８の線１９−１９に沿った、図１８の流体ディスペンサポンプの流体吐出システムの詳細垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
以下で図面を説明する場合、複数の図面にわたって類似の要素については類似の参照符号を用いる。
【００２４】
本発明による回転噴霧器は、エンクロージャ（便器、シャワーエンクロージャ、浴槽エンクロージャなど）の内側表面に流体を一定量供給する種々の装置において使用可能である。以下、図面を参照しながら、本発明の各種実施形態を説明する。それらの実施形態は、例示を目的として図示および説明されるものであって、本発明をいかなるかたちでも限定するものではない。
【００２５】
図１および２は、エンクロージャ（ここでは、支持面１３上の便器１２）に回転噴霧器を取り付けるためのクリップ１０を有する、回転噴霧器の一例示的実施形態を示している。クリップ１０は、フック１６によって、便器１２のリム１４に固定されている。ベース１８が、フック１６で支持され、ノズル２０を回転可能に支持している。流体が、容器２２から流体導管２４を介してノズル２０に供給され、便器１２の内側表面２６に一定量供給される。流体は、様々な方法で容器２２からノズル２０へ供給可能であり、たとえば、高圧ガス、ポンプ、注射器、または他の任意の好適な手段で流体を移動させることが可能である。さらに、容器２２からの流体吐出の実行は、様々な方法／装置で制御可能であり、その１つは、流体を一定量供給するタイミングを所定の論理で制御するタイミング回路である。
【００２６】
図３、４、および５を参照すると、フック１６は、ベース１８を支持し、クリップ１０を便器１２に取り付け、３つの主要部分を有する。それらは、便器部分２８、上部リム部分３０、および内側リム部分３２である。３つの部分２８、３０、３２のすべてが、好ましくは、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から一体成形されて、フレキシブルフック１６を形成する。便器部分２８は、ほぼ長方形の断面を有し、便器１２へのクリップ１０の固定を支援するために、エラストマー製リブ３７が付いた、フレアー形のエラストマー製把持用足部３４を下端に有する。把持用足部３４およびリブ３７に好適なエラストマー材料としては、ネオプレン、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどがあり、これらに限定されない。便器部分２８は、ほぼ垂直に上方に延びて、フレキシブル肘部３５において上部リム部分３０とつながっている。フレキシブル肘部３５により、フック１６は、主に（図３に示した）Ｆ−Ｆ方向に曲がることによって、クリップ１０を様々な形状およびサイズの便器に固定することが可能である。上部リム部分３０は、ほぼ長方形の断面を有し、便器１２のリム１４の端から端まで水平方向に延びており、別のフレキシブル肘部３６で内側リム部分３２とつながり、ここでもフレキシブル肘部３６によってフック１６を曲げることが可能である。内側リム部分３２は、肘部３６から垂直に下方に延び、ベース１８を連結して支持するように構成されている。
【００２７】
フック１６の内側リム部分３２は、前面３８と背面４０とが、２つの短い側面４２でつながれている。内側リム部分３２の背面４０からリブ４４が突出し、内側リム部分３２の長さだけ延びている。後で詳述するように、リブ４４は、フック１６に対するベース１８の回転角度を制限する。本例示的実施形態のリブ４４は、ほぼ長方形の断面を有するが、リブ４４は、湾曲断面であっても、方形断面であっても、互いに離れている２つの部材で構成されていても、それ以外であってもよい。さらに、リブ４４は、ベース１８の所望の調節可能範囲にわたってベース１８と連結されていれば、内側リム部分３２の長さまで延びていなくてもよい。短い側面４２は、ラチェット歯４６を有し、ラチェット歯４６は、ベース１８と連結されて、ベース１８の垂直方向の動きを、垂直軸４８に沿うように制限する。他の制限（たとえば、フック１６とベース１８との間の摩擦嵌合など）も可能である。
【００２８】
便器部分２８および上部リム部分３０は、一連のＣ字形溝５０を含んでおり、溝５０は、導管２４がフック１６の周辺部を引き回されてベース１８のノズル２０に達するように、導管２４を拘束している。本実施形態の便器部分２８は、開口部が互い違いである３つのＣ字形溝５０を含んでいる。導管２４は、Ｃ字形溝５０に押し込まれているが、溝５０は、導管２４を拘束するために長方形または他の任意の好適な形状であってよい。上部リム部分３０では、好ましくは１つの溝５０が導管２４の引き回しを支援するが、必要に応じて複数の溝５０を用いてよい。
【００２９】
図３、４、および６を参照すると、ベース１８は、背面５２と、背面５２から前方に延びる、互いに離れている一対の側面５４と、側面５４の間に延びる上面５６および前面５８と、側面５４、上面５６、および前面５８の間に延びる曲面６０と、を有している。面５２、５４、５６、５８、６０は、ノズル２０の一部を収容する部分キャビティ６２を定義している。ベース１８は、ベース１８の背面５２から後方に延びるタブ５３を有している。タブ５３は、後述するように、クリップ１０が便器１２に取り付けられる際に、リム１４に対するベース１８の方向づけを支援する。タブ５３は、本例示的実施形態に示すように、連続した１つの部材であってよい。代替として、タブ５３は、ベース１８から延びる複数の部材を含んでもよい。ベース１８は、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から成形することが好ましい。
【００３０】
図６を重点的に参照すると、ベース１８は、フック１６の内側リム部分３２を受ける溝６４を含んでいる。溝６４は、リブ４４を受けるスリット６６を含んでおり、スリット６６は、入口６８と、出口７０と、中間位置７２とを有している（中間位置７２は、入口６８および出口７０から等距離にあってもなくてもよい）。スリット６６の幅は、入口６８から中間位置７２にかけて狭まっており、中間位置７２から出口７０にかけて広がっている。一実施形態では、中間位置７２は、入口６８と出口７０とのほぼ中間にあるが、最も狭くなる箇所は、入口６８と出口７０との中間でなくてもよく、スリット６６の両端の間のどこにあってもよい。さらに、スリット６６の最大幅は、フック１６に対するベース１８の所望の調節度合に応じて異なってよい。ベース１８の所望の回転調節度合がより大きければ、入口６８および出口７０におけるスリット６６の最大幅を増やすことが可能であり、代替として（または追加で）リブ４４の幅を減らすことが可能である。
【００３１】
溝６４は、溝６４の短い側面６５の壁から延びる一対の突起７４を含んでおり、突起７４は、フック１６の内側リム部分３２が溝６４内をスライドするときにフック１６のラチェット歯４６と噛み合う。突起７４は、ラチェット歯４６と噛み合うことによって、ベース１８がフック１６に対して垂直方向に滑ることを抑えるように構成されている。突起７４は、丸みのある形状、とがった形状、または他の好適な形状であってよい。この所望の制限は、他の多くの構造によって提供可能であり、たとえば、バネ仕掛けの玉が、溝６４内に形成されたキャビティに収容されていて、溝６４の外形（たとえば、ラチェット歯４６）に対して押し出される構造によって可能である。突起７４とラチェット歯４６との噛み合いは、突起７４とラチェット歯４６との噛み合いが外れることなくベース１８の所望の回転（後述）が可能であるように行われる。
【００３２】
ベース１８はさらに、ノズル２０を取り付ける手段を含んでいる。本例示的実施形態では、ノズル２０は、流体注入口８０とバレル７８との間で横方向に拘束されている。ベース１８は、ベース１８から下方に延びるアーム７６を含んでいる。アーム７６は、Ｊ字形に曲がって先に延びる平棒支持部分７７を有し、支持部分７７の遠位端にバレル７８がある。バレル７８は、ノズル２０の底部を受ける管状のくぼみを含んでいる。さらに、ベース１８の曲面６０の中に流体注入口８０があり、流体注入口８０は開口部から先細りになっている（図３）。流体注入口８０とバレル７８との組み合わせによって、ノズル２０の横方向の動きが制限されているが、ノズル２０がノズル軸８２のまわりを回転することは可能である。
【００３３】
クリップ１０を取り巻く環境を感知するセンサ９８を、ベース１８またはフック１６に取り付けることが可能である。センサ９８は、おおむね前面５８に取り付けることが好ましいが、角度が付いた面６０、または他の任意の好適な（たとえば、ユーザが存在するかどうかが正確にわかるような、ユーザのビューを提供できる）場所に取り付けることが可能である。センサ９８は、動きセンサ、近接センサなどであってよい。センサ９８は、所定の論理に基づいて、便器１２に流体を一定量供給するタイミングを制御するために、容器２２および／または制御装置（図示せず）と電気的に接続されていることが好ましい。
【００３４】
図８を参照して、ノズル２０の一例示的実施形態を説明する。ノズル２０は、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から成形することが好ましい。ノズル２０は、円形偏向板８４と、偏向板８４から上方に延びていて流体注入口８０と流体連通している通路８６とを含んでいる。偏向板８４のそばの通路８６から半径方向に外に向かって溝８８が延びており、溝８８は、図８に示すように、点Ａで、溝８８の最初の通り道から曲げられている。溝８８の両側に、偏向板８４から上方に延びる一対のフィン９０が位置する。フィン９０は、端壁９５から延びている。偏向板８４の外側端部は、偏向板８４の上部から下方に傾斜する面取り部８４′になっている（図７を参照）。面取り部８４′、溝８８、およびフィン９０の外形は、ノズル２０の所望の回転速度、流体の圧力などに応じて様々であってよい。
【００３５】
図３および８に最も明確に示すように、偏向板８４の下側から延びるスピンドル９２をアーム７６のバレル７８のくぼみに差し込むことによって、かつ、流体注入口８０の先細った端部を通路８６に差し込んで、通路８６内に形成された棚状突起９４に当てることによって、ノズル２０は、ベース１８内で横方向に拘束されている。ノズル２０は、ノズル軸８２のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。
【００３６】
ノズル２０は、アーム７６を使用せずに、ベース１８からつり下げてもよい。ノズル２０は、ベース１８にパチンとはめ込んでもよく、ベース１８にねじ留めしてもよく、ベース１８に押し込んでもよい。さらに、ベース１８から弧状アーム（図示せず）を延ばしてノズル２０を支持してもよい。
【００３７】
稼働時には、流体は、容器２２から、フック１６に沿って溝５０内を引き回された導管２４を通って、ベース１８の流体注入口８０に移動する。流体は、ノズル２０の上部に流れ込み、通路８６を下り、溝８８によって半径方向に外へ向けられる。流体が溝８８を出ると、流体の経路は、溝８８の両側に位置する、角度を付けられたフィン９０によって変更される。その反動によって、ノズル２０は、図８に見られるように、反時計回りに回転する。結果として、流体は、ノズル２０から半径方向に外に向けて吐出され、便器１２の内側表面２６に当たる。
【００３８】
流体吐出装置の全体的な構造および動作について説明したが、次に、ノズル２０から一定量供給される流体によってカバーされる範囲を、ベース１８を回転させて調節する手段に着目する。図４および６に戻り、かつ、図７を参照すると、ベース１８は、垂直軸４８とベース１８の背面５２とで定義される面からほぼ垂直に延びる水平軸９６のまわりを、フック１６に対して回転することが可能である。溝６４に形成されたスリット６６は、入口６８および出口７０においてフレアー状になっている。これにより、ベース１８は、フック１６から突出しているリブ４４が、背面５２に形成されたスリット側面４５に当たるまで、中間位置７２の近辺で、水平軸９６のまわりを回転することが可能になる。
【００３９】
たとえば、図７を参照すると、ベース１８が垂直軸４８に対して（一点鎖線で示すように）角度Ｒ１だけ回転した場合、ノズル２０の相対的な配置は、それに応じて角度が付き、これによって、ノズル２０から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が変化する。さらに、ベース１８が反対方向に角度Ｒ２だけ回転すると、ノズル２０から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が再度変化する。ベース１８が回転するにつれて、突起７４は、ラチェット歯４６のそれぞれの歯の中で滑る。従って、突起７４とラチェット歯４６との噛み合いは、ベース１８を自由に回転させながら、なおかつ、ベース１８の垂直方向の動きを抑えるものでなければならない。このように回転を調節することにより、クリップ１０は、様々な形状の便器およびエンクロージャに対応することが可能になる。
【００４０】
ベース１８を回転させる手段は、前述したスリット６６を含まなくてもよい。たとえば、背面５２は、フック１６のリブ４４の回転を制限するために、何対かの対向するフィンガーを、背面５２で定義された面に含むことが可能である。入口そばの対向するフィンガーの対の間の開口、ならびに出口そばの対向するフィンガーの対の間の開口は、入口のフィンガーと出口のフィンガーとの間に位置する、対向するフィンガーの対の間の開口より大きい。結果として、ベース１８は、リブ４４が入口および出口のそばのフィンガーと噛み合うまで回転可能である。別の実施形態では、スリット６６は、入口から出口にかけて（または出口から入口にかけて）先細るＶ字形であることが可能である。したがって、ベース１８の回転点は、スリット６６の出口のそば、または、入口および出口のうちの小さい方のそばにある。この場合も、ベース１８の回転は、リブ４４とスリット側面４５との噛み合いによって制限される。
【００４１】
ベース１８の回転調節は、クリップ１０のユーザが手動で行ってもよく、クリップ１０をエンクロージャ（ここでは便器１２）に取り付ける際に自動で行われてもよい。図１〜４、６、および７を全体的に参照すると、クリップ１０の取り付け方法は、おおむね次のとおりである。便器１２のリム１４にクリップ１０を固定する。そのためには、フック１６をベース１８から離すようにＦ−Ｆ方向に押し広げて、クリップ１０をリム１４にかぶせる。フック１６を固定したら、タブ５３がリム１４の下側と嵌合するまで、ベース１８を、垂直軸４８に沿って、フック１６およびラチェット歯４６の上方へスライドさせる。ベース１８のタブ５３はリム１４の下側と嵌合し続けるため、ベース１８は、水平軸９６のまわりを回転し、これによって、ノズル２０がリム１４の下側の面と並び、ノズル２０からの流体が確実に便器１２の内側表面２６に一定量供給されることを支援する（リム１４の下側の面は、リム１４の上部側面によって定義される面と平行であると仮定している）。タブ５３はさらに、タブ５３の遠位端から突出するエラストマー製把持部５１を含むことが可能であり、把持部５１は、ベース１８をリム１４上の嵌合位置に固定することを支援する。ベース１８は、タブ５３を含まなくてもよく、この実施形態では、ベース１８は、ユーザが手動で回転させることによって、フック１６に対して調節可能である。
【００４２】
次に、図９〜１１は、回転噴霧器の別の例示的実施形態を示し、この回転噴霧器は、ノズルを便器などのエンクロージャに取り付けるためのクリップ１１０を有する。図１〜８のクリップ１０の場合と同様に、クリップ１１０は、フック１１６（図１１では省略されている）で便器のリムに固定されている。ベース１１８が、フック１１６で支持され、ノズル１２０を支持している。図１〜８のクリップ１０の場合と同様に、流体が、容器から流体導管を介してノズル１２０に供給されて、便器の内側表面に一定量供給される。流体は、様々な方法で容器からノズル１２０へ供給可能であり、たとえば、高圧ガス、手動または電動のポンプ、注射器、または他の任意の好適な手段で流体を移動させることが可能である。さらに、容器からの流体吐出の実行は、様々な方法／装置で制御可能であり、その１つは、流体を一定量供給するタイミングを所定の論理で制御するタイミング回路である。
【００４３】
図９〜１１をさらに参照すると、フック１１６は、ベース１１８を支持し、クリップ１１０を便器に取り付け、３つの主要部分を有する。それらは、便器部分１２８、上部リム部分１３０、および内側リム部分１３２である。３つの部分１２８、１３０、１３２のすべてが、好ましくは、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から一体成形されて、フレキシブルフック１１６を形成する。図１〜８のクリップ１０の場合と同様に、便器部分１２８は、ほぼ長方形の断面を有し、便器へのクリップ１１０の固定を支援するために、エラストマー製リブ１３７が付いた、フレアー形のエラストマー製把持用足部１３４を下端に有する。把持用足部１３４およびリブ１３７に好適なエラストマー材料としては、ネオプレン、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどがあり、これらに限定されない。便器部分１２８は、ほぼ垂直に上方に延びて、フレキシブル肘部１３５において上部リム部分１３０とつながっている。フレキシブル肘部１３５により、フック１１６は、（図３のＦ−Ｆ方向と同様に）曲がることによって、クリップ１１０を様々な形状およびサイズの便器に固定することが可能である。上部リム部分１３０は、ほぼ長方形の断面を有し、便器のリムの端から端まで水平方向に延びており、別のフレキシブル肘部１３６で内側リム部分１３２とつながり、ここでもフレキシブル肘部１３６によってフック１１６を曲げることが可能である。内側リム部分１３２は、肘部１３６から垂直に下方に延び、ベース１１８を連結して支持するように構成されている。便器部分１２８および上部リム部分１３０は、Ｃ字形溝１５０を含んでおり、溝１５０は、流体導管がフック１１６の周辺部を引き回されてベース１１８のノズル１２０に達するように、流体導管を拘束している。流体導管は、図１〜８のクリップ１０の場合と同様に、Ｃ字形溝１５０に押し込まれている。ベース１１８は、背面１５２と、背面１５２から前方に延びる、互いに離れている一対の側面１５４と、側面１５４の間に延びる上面１５６および前面１５８と、を有している。面１５２、１５４、１５６、１５８は、キャビティを定義している。ベース１１８は、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から成形することが好ましい。
【００４４】
ベース１１８は、フック１１６の内側リム部分１３２を受ける溝１６４を含んでいる。溝１６４は、図１〜８のクリップ１０の溝６４と同様の構造であり、溝１６４およびフック１１６によって可能な、ベース１１８の回転調節は、図１〜８のクリップ１０と同じ構造を同様に用いて行われるため、クリップ１１０の回転調節の手段については、これ以上説明しない。
【００４５】
クリップ１１０を取り巻く環境を感知するセンサ１９８を、ベース１１８に取り付けることが可能である。センサ１９８は、おおむね前面１５８に取り付けることが好ましいが、他の任意の好適な（たとえば、ユーザが存在するかどうかが正確にわかるような、ユーザのビューを提供できる）場所に取り付けることも可能である。センサ１９８は、動きセンサ、近接センサなどであってよい。センサ１９８は、所定の論理に基づいて、便器に流体を一定量供給するタイミングを制御するために、容器および／または制御装置（図示せず）と電気的に接続されていることが好ましい。
【００４６】
図１２を参照すると、ベース１１８はさらに、ノズル１２０をベース１１８に取り付ける手段を含んでいる。本例示的実施形態では、ノズル１２０は、バレル１７８と流体注入口１８０との間で横方向に拘束されている。ベース１１８は、ベース１１８から下方に延びるアーム１７６を含んでいる。アーム１７６は、Ｊ字形に曲がってバレル１７８に向かって延びる曲線部分１７７を有し、バレル１７８は、曲線部分１７７の遠位端にある。流体注入口１８０とバレル１７８との組み合わせによって、ノズル１２０の横方向の動きが制限されているが、ノズル１２０がノズル軸１８２のまわりを回転することは可能である。管状の流体注入口１８０は、吐出口１８１ｅ内で終わる流路１８１を定義しており、ベース１１８に取り付けられた下部ベースフロア２０２から下方に延びている。ベースフロア２０２は、上方に延びる管状スリーブ２０４を含んでおり、スリーブ２０４は、流路２０５を定義している。ベース１１８はまた、流体供給ポート２０８に取り付けられており、流体供給ポート２０８は、流路２０９を定義している。流体供給ポート２０８および管状スリーブ２０４は、互いにパチンと嵌合し、それらの間でＯリング２１１が液密な封止を形成する。流体供給ポート２０８は、ベースの上面１５６内のくぼみ２１３の中に位置し、流体導管（図３の導管２４など）に接続可能である。
【００４７】
図１０、１２、および１３を参照して、ノズル１２０について、さらに詳細に示す。ノズル１２０は、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から成形することが好ましい。ノズル１２０は、円形偏向板１８４を含んでいる。偏向板１８４の底面から軸スピンドル１９２が下方に延びている。互いに離れている、略逆Ｔ字形の壁１９０ａ、１９０ｂが、偏向板１８４から上方に延びている。図１３の実施形態では、壁１９０ａ、１９０ｂは、偏向板１８４の対向する外側エッジから偏向板１８４の全域に延びている。壁１９０ａ、１９０ｂの間の偏向板１８４から、中心流体偏向ピーク１９１が上方に延びている。壁１９０ａの上部には、内部に向いた（垂直断面で見れば）略Ｕ字形のくぼみ１９３ａがあり、壁１９０ｂの上部には、内部に向いた（垂直断面で見れば）略Ｕ字形のくぼみ１９３ｂがある。壁１９０ａ、１９０ｂによって通路１８６が定義されており、通路１８６は、偏向板１８４から上方に延びていて、くぼみ１９３ａ、１９３ｂと流体連通している。偏向板１８４のそばの通路１８６から半径方向に外に向かって溝１８８Ｌが延びており、溝１８８Ｌは、図１３に示すように、点Ａで、溝１８８Ｌの最初の通り道から後方に曲げられている。偏向板１８４のそばの通路１８６から半径方向に外に向かって溝１８８Ｒが延びており、溝１８８Ｒは、図１３に示すように、点Ｂで、溝１８８Ｒの最初の通り道から前方に曲げられている。溝１８８Ｌ、１８８Ｒ、ならびに壁１９０ａ、１９０ｂの外形は、ノズル１２０の所望の回転速度、流体の圧力、流体の流れ速度などに応じて様々であってよい。
【００４８】
図１２に最も明確に示すように、アーム１７６のバレル１７８のくぼみ１７９にスピンドル１９２を差し込むことによって、かつ、流体注入口１８０の端部をくぼみ１９３ａ、１９３ｂの間に差し込むことによって、ノズル１２０は、横方向に拘束されている。ノズル１２０は、ノズル軸１８２のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。
【００４９】
稼働時には、流体は、容器から、流体導管を通って（たとえば、図１の容器２２および導管２４を参照）、流体供給ポート２０８に移動する。図１２に示すように、流体は、流路２０９、２０５、および１８１を通って、流体注入口１８０から流れ出る（流体注入口の吐出口の直径によって圧力を決定することが可能であり、この圧力によって、ノズル１２０のスピン速度ならびにノズル１２０からの流体の飛距離を決定することが可能である）。流体は、流体偏向ピーク１９１の最上部に流れ、枝分かれした通路１８６を流れ落ち、溝１８８Ｌ、１８８Ｒによって半径方向に外に向かう。流体が溝１８８Ｌ、１８８Ｒから出る際には、流体の経路は、溝１８８Ｌ、１８８Ｒの両側に位置する、角度を付けられた内側表面１９７Ｌ、１９７Ｒによって変化している。その反動によって、ノズル１２０は、図１３に見られるように、反時計回りに回転する。結果として、流体は、ノズル１２０から半径方向に外に向けて吐出され、エンクロージャ（便器など）の内側表面に当たる。
【００５０】
図１４および１５を参照して、ノズルの別の実施形態２２０について詳細に示す。ノズル２２０は、プラスチック（たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン）から成形することが好ましい。ノズル２２０は、（上面から見て）円形の偏向板２８４を含んでいる。偏向板２８４の底面から軸スピンドル２９２が下方に延びている。互いに離れている、略逆Ｔ字形の壁２９０ａ、２９０ｂが、偏向板２８４から上方に延びている。図１４および１５の実施形態では、壁２９０ａ、２９０ｂは、偏向板２８４の外側エッジ点２７７Ｌから内側に入った場所から、偏向板２８４の外側エッジ点２７７Ｒから内側に入った場所へ延びている。（図１２および１３の流体偏向ピーク１９１と同様の）中心流体偏向ピーク２９１が、壁２９０ａ、２９０ｂの間の偏向板２８４から上方に延びている。壁２９０ａの上部には、（図１２および１３の、内部に向いたくぼみ１９３ａと同様の）内部に向いた略Ｕ字形のくぼみがあり、壁２９０ｂの上部には、（図１２および１３の、内部に向いたくぼみ１９３ｂと同様の）内部に向いた略Ｕ字形のくぼみがある。
【００５１】
さらに図１４および１５を参照すると、（図１２および１３の通路１８６と同様の）通路２８６が、壁２９０ａ、２９０ｂによって定義されており、通路２８６は、偏向板２８４から上方に延びていて、壁２９０ａ、２９０ｂのくぼみと流体連通している。（図１２および１３の溝１８８Ｌと同様の）溝が、偏向板２８４のそばの通路２８６から半径方向に外に向かって延びており、この溝は、図１３の場合と同様に、最初の通り道から後方に曲げられている。（図１２および１３の溝１８８Ｒと同様の）溝２８８Ｒが、通路２８６から半径方向に外に向かって延びており、溝２８８Ｒは、図１５に示すように、溝２８８Ｒの最初の通り道から前方に曲げられている。偏向板２８４は、上向きの皿状のフロア２７６を有しており、フロア２７６は、偏向板２８４の上部の外側エッジにおいて抜き勾配Ｚを形成している（図１４を参照）。抜き勾配Ｚ、溝、および壁２９０ａ、２９０ｂの外形は、ノズル２２０の所望の回転速度、流体の圧力、流体の流れ速度などに応じて様々であってよい。
【００５２】
図１２と同様に、アーム１７６のバレル１７８のくぼみ１７９にスピンドル２９２を差し込むことによって、かつ、流体注入口１８０の端部を、壁２９０ａ、２９０ｂの上部くぼみの間に差し込むことによって、ノズル２２０を横方向に拘束することが可能である。ノズル２２０は、ノズル軸のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。
【００５３】
稼働時には、流体は、容器から、流体導管を通って（たとえば、図１の容器２２および導管２４を参照）、図１２に示すような流体供給ポート２０８に移動し、流路２０９、２０５、および１８１を通って、流体注入口１８０から流れ出る。流体は、ノズル２２０の流体偏向ピーク２９１の最上部に流れ、枝分かれした通路２８６を流れ落ちてフロア２７６に当たり、溝によって半径方向に外に向かう。流体が溝から出る際には、流体の経路は、溝の両側に位置する壁２９０ａ、２９０ｂの、角度を付けられた内側表面によって変化している。その反動によって、ノズル２２０は、図１５に示すように、方向Ｒに適切に回転する。流体は、フロア２７６上を流れ続け、偏向板２８４のエッジにおいて抜き勾配を上ることによって、流体のやや上向きの移動経路を形成する。結果として、流体は、ノズル２２０から半径方向に外に向けて吐出され、便器の内側表面に当たり、流体の移動経路がやや上向きであるために、１８インチ（０．４５７２メートル）以上飛んだ後でも、便器リムの下の便器の内側表面に流体が当たることが可能である。
【００５４】
図８、１３、および１４を比較すると、ノズル２０、ノズル１２０、およびノズル２２０は、構造に違いがあり、これが動作特性の違いにつながっている。たとえば、ノズル２０は、通路８６から単一の溝８８が延びているが、ノズル１２０およびノズル２２０は、中央の通路から２つの溝が延びている。追加された通路は、ノズルから最大効果を引き出して効率を上げることに役立つ。ノズル１２０およびノズル２２０はさらに、効率を上げることが可能な流体偏向ピーク１９１、２９１を有する。ノズル１２０とノズル２２０を比較すると、ノズル１２０の壁１９０ａ、１９０ｂが、偏向板１８４の対向する外側エッジから偏向板１８４の全域に延びているのに対し、ノズル２２０の壁２９０ａ、２９０ｂは、偏向板２８４の対向する外側エッジから内側に入った場所にあることがわかる。偏向板のエッジから壁まで間隔をおくことにより、ノズル２２０から吐出される流体の動きをより接線方向にすることが可能である。求心力により、流体は、振り落とされ、飛び散る。さらに、ノズル２２０の外側エッジの抜き勾配Ｚにより、液体噴霧の高さを落とさないまま、（偏向板の外側エッジから半径方向に測定して）約１８インチ（０．４５７２メートル）の噴霧が可能である。これは、噴霧が便器リムの下の上部領域の下まで届かずに落ちることを防ぐ点で有利である。
【００５５】
ノズル２０、１２０、２２０の各種パラメータは、ノズルの用途に応じて様々であってよい。たとえば、便器洗浄装置での使用に好適なノズルの場合、流体の流れは、偏向板へ下りていって、偏向板の表面から離れた後は、より低速で下方に向かう噴霧になる。ノズル２０、１２０、２２０の設計パラメータは、１０〜２０ｐｓｉ（６９〜１３８キロパスカル）のような低い流体圧力、（偏向板の外側エッジから半径方向に測定して）２４インチ（０．６０９６メートル）未満の流体移動経路、１０ガロン毎時（約３８リットル毎時）未満の流れ速度などに対応するように様々であってよい。したがって、圧力、体積、および流れ速度の動作パラメータは、ノズル２０、１２０、２２０の設計を変えることによって対応可能である。多くの用途には、３〜３０ｐｓｉ（２０〜２０７キロパスカル）の流体圧力、ならびに（偏向板の外側エッジから半径方向に測定して）最大１００インチ（２．５４メートル）の流体移動経路が好適である。便器の用途には、１４〜１５ｐｓｉ（９６〜１０３キロパスカル）の流体圧力、ならびに（偏向板の外側エッジから半径方向に測定して）最大１８インチ（０．４５７２メートル）の流体移動経路が最も好ましい。
【００５６】
回転噴霧器のクリップ１０、１１０、ならびにノズル２０、１２０、２２０について説明してきたが、容器からノズル２０、１２０、２２０へ流体を供給する様々なポンプについても説明が可能である。図１６および１７は、容器４２２から（前述のように、ノズル２０、１２０、２２０に流体を供給する）導管２４へ流体を注入することに使用可能な流体ディスペンサポンプ４２０を示す。流体ディスペンサポンプ４２０は、図１に示すように、便器タンクの側面に取り付けることが可能であり、あるいは、便器タンクの上部に置いたり、床の上に置いたりすることも可能である。流体ディスペンサポンプ４２０は、従来のように、ねじ付き密封装置４２４で容器４２２に接続することが可能である。
【００５７】
流体ディスペンサポンプ４２０は、ディスペンサヘッド４２６を含んでおり、ディスペンサヘッド４２６は、操作部を定義しており、吐出導管４２８を有している。ディスペンサヘッド４２６は、中空の管状ピストン４３０に接続されており、ピストン４３０の上端にボール弁４３２がある。ピストン４３０は、密封装置４２４の開口部に固定されているカラー４３４の中を平行移動する。流体ディスペンサポンプ４２０はさらに、アキュムレータ４３６を含んでおり、アキュムレータ４３６は、ポンプチャンバを定義しており、ハウジング４３８に収容されている。ピストン４３０の底部にある環状封止材４４０が、アキュムレータ４３６の内側表面４４２を封止している。ピストン４３０の下部ショルダ４４６とアキュムレータ４３６の下部ショルダ４４８との間に、圧縮コイルばね１４４が配置されている。アキュムレータ４３６の下端にボール弁４５０がある。アキュムレータ４３６はさらに、環状注入ポート４５２を有しており、環状注入ポート４５２は、容器４２２から流体を吸引する浸漬管４５４を受けている。アキュムレータ４３６の方向は、容器４２２の垂直（長手方向）軸と同一直線上にある。
【００５８】
図１７は、ディスペンサヘッド４２６が上方位置にある様子を示している。ディスペンサヘッド４２６を手（または足）でその上方位置から方向Ｄに押し下げ、その後、解放すると、ピストン４３０の上昇に伴って流体が容器からアキュムレータ４３６に吸引される（この上昇は、ばね４４４の上向きのバイアス力によるものである）。ピストン４３０の下降および上昇が何度か繰り返されて、アキュムレータ４３６に十分な量の流体が溜まると、その後のピストン４３０の下降で、流体が上昇してボール弁４３２を通り越し、吐出導管４２８に出て行く。吐出導管４２８は、導管４５６と流体連通しており、導管４５６は、一方向チェック弁アセンブリ４５８を介して導管２４と流体連通している。一方向チェック弁アセンブリ４５８は、図１６に示した方向Ｗにのみ流体が流れるようにしている。導管２４に入った流体は、前述のように、ノズル２０または１２０または２２０によって、便器１２の内側表面２６に対して噴霧される。流体ディスペンサポンプ４２０の下降によって供給される流体の量は、ポンプ部品（ピストン４３０やアキュムレータ４３６など）のサイズを変えることにより変えることが可能である。一例示的実施形態では、流体ディスペンサポンプ４２０は、ピストン４３０の下降時に８ミリリットルの流体を吐出する。流体圧力は、１０〜２０ｐｓｉ（６９〜１３８キロパスカル）の範囲であることが可能である。
【００５９】
図１８および１９は、容器７２２から（前述のように、ノズル２０または１２０または２２０に流体を供給する）導管２４へ流体を注入することに使用可能な、別の流体ディスペンサポンプ７２０を示す。流体ディスペンサポンプ７２０は、図１に示すように、便器タンクの側面に取り付けることが可能であり、あるいは、便器タンクの上部に置いたり、床の上に置いたりすることも可能である。流体ディスペンサポンプ７２０は、従来のように、ねじ付き密封装置７２４で容器７２２に接続することが可能である。
【００６０】
流体ディスペンサポンプ７２０は、ピストン７２５を含んでおり、ピストン７２５は、操作部を定義している上側の末端把持部７２６を有している。ピストン７２５はさらに、ピストンヘッド７２８を有している。ピストン７２５は、中空シリンダ７３６に取り付けられたカラー７３４の中を平行移動し、シリンダ７３６は、ポンプチャンバを定義しており、密封装置７２４に固定されたベース７３８と一体化されている。ピストンヘッド７２８は、シリンダ７３６の内側表面７４２を封止している。ピストン７２５の末端把持部７２６の下部表面とカラー７３４の上部表面との間に、圧縮コイルばね７４４が配置されている。シリンダ７３６の方向は、容器７２２の垂直（長手方向）軸と平行である。
【００６１】
ベース７３８は、注入ポート７５２と流体連通している中央マニホールド７４６を有しており、注入ポート７５２は、容器７２２から流体を吸引する浸漬管７５４を受けている。注入ポート７５２の上には、ピストン７２５の下降時に流体が容器７２２へ戻ることを防ぐボール弁７５５が設置されている。シリンダ７３６とマニホールド７４６は、流体通路７５６によって流体連通している。ベース７３８はさらに、中央マニホールド７４６と流体連通している吐出導管７５８を有している。カプリング７６２により、導管２４を吐出導管７５８と流体連通させることが可能である。圧縮ばね７６６により、吐出導管７５８の弁シート７６５からボール弁７６４にバイアスがかかっている。ボール弁７６４は、ピストンの下降時に流体が吐出導管７５８から流れ出ることを可能にするとともに、ピストン７２５の上昇時に流体が中央マニホールド７４６に戻るのを防ぐ。
【００６２】
図１８は、ピストン７２５が上方位置にある様子を示している。ピストン７２５を手（または足）で方向Ｄに押し下げ、その後、解放すると、ピストン７２５の上昇に伴って流体が容器７２２からシリンダ７３６に吸引される（この上昇は、ばね７４４の上向きのバイアス力によるものである）。このようにして、ポンプ７２０に呼び水をする。ピストン７２５のその後の下降により、流体は、ボール弁７６４を通り越し、吐出導管２４に出て行く。導管２４に入った流体は、前述のように、ノズル２０または１２０または２２０によって、便器１２の内側表面２６に対して噴霧される。
【００６３】
ピストン７２５の下降によって供給される流体の量は、ピストン７２５の末端把持部７２６とカラー７３４との間の距離を調節することにより、変えることが可能である。ピストン７２５の下降具合を変える手段は、シャフト７７２、カラー７７４、および設定ねじ７７６を含んでいる。シャフト７７２は、ピストン７２５の末端把持部７２６の下側に取り付けられており、カラー７７４の開口部を平行移動させる。設定ねじ７７６は、カラー７７４の開口部のねじ山が付いた側にはめ込まれており、カラー７７４内のシャフト７７２を、設定ねじ７７６とシャフト７７２との接触により、動かなくすることが可能である。カラー７７４内でシャフト７７２を下方に動かして、設定ねじ７７６でシャフト７７２を動かなくすることにより、ピストン７２５の末端把持部７２６とカラー７３４との距離が縮まり、これによって、ピストン７２５の上昇時にシリンダ７３６に吸引される流体の量が少なくなる。一例示的実施形態では、流体ディスペンサポンプ７２０は、ピストン７２５の下降時に最大１０ミリリットルの流体を吐出することが可能であり、５〜１０ミリリットルを吐出することが好ましく、７〜８ミリリットルを吐出することが最も好ましい。
【００６４】
このように、本発明は、流体吐出装置用回転噴霧器を提供する。この回転噴霧器は、便器の全周にわたって便器の内側表面に洗剤を噴霧する、自動または手動の便器洗浄装置に使用可能である。結果として、便器の内側表面全体を流体でカバーすることが可能である。
【００６５】
特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、当業者であれば理解されるように、本発明は、説明した実施形態以外の実施形態によっても実施可能であり、説明した実施形態は、限定ではなく例示を目的として提示したものである。したがって、本発明の範囲は、本明細書に含まれている実施形態の記載に限定されるものではない。
産業上の利用可能性
【００６６】
本発明は、エンクロージャの内側壁表面に流体を一定量供給することが可能な流体吐出装置用回転噴霧器を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
流体吐出装置用回転噴霧器であって、
吐出口を有する流体注入口を含み、前記流体注入口から軸方向に離れた場所に遠位端部分を有するアームを含むクリップと、
偏向板と、前記偏向板の第１の表面から延びていて、前記偏向板の前記第１の表面の上に溝を定義している、互いに離れている一対の壁と、前記偏向板の反対側の第２の表面から延びているスピンドルと、前記溝ならびに前記一対の壁の間の端部空間と流体連通している通路と、を含むノズルであって、前記偏向板の前記第１の表面は、前記偏向板の前記第２の表面から離れるように傾斜している周辺部分を含む、前記ノズルと、を備え、
前記吐出口から出た流体が、前記通路および前記溝を通って流れ、前記一対の壁の少なくとも一方の内側表面に当たることにより、前記ノズルが回転するように、前記流体注入口が前記端部空間内に位置し、前記スピンドルが前記アームの前記遠位端部分に取り付けられる、回転噴霧器。
【請求項２】
前記端部空間は、前記一対の壁の一方または両方の端部に形成されたくぼみである、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項３】
前記アームの前記遠位端部分は、前記流体注入口に向かって開いているくぼみを含み、
前記スピンドルは、前記くぼみの中に位置する、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項４】
前記一対の壁の一方の内側表面の外側端部部分が、前記一対の壁の他方に向かって曲げられた、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項５】
前記一対の壁は、前記偏向板の周辺部から内側に入った場所にある、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項６】
前記溝が偏向板の一方の側に向かって開いているように、前記一対の壁に端壁が接合された、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項７】
前記溝は、前記偏向板の両側に向かって開いている、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項８】
前記一対の壁の間の前記偏向板の前記第１の表面から延びている偏向ピークが、前記溝を、前記偏向板の一方の側に向かって開いている部分と、他方の側に向かって開いている部分とに分割する、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項９】
前記偏向板は円形である、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項１０】
前記クリップは、前記クリップをエンクロージャに取り付けるフックを含む、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項１１】
流体吐出装置用回転噴霧器であって、
吐出口を有する流体注入口を含み、前記流体注入口から軸方向に離れた場所に遠位端部分を有するアームを含むクリップと、
周辺部を有する偏向板と、前記偏向板の第１の表面から延びていて、互いに離れている一対の壁と、前記一対の壁の間の前記偏向板の前記第１の表面から延びている偏向ピークであって、前記偏向ピークおよび前記一対の壁は、前記偏向板の前記第１の表面において、互いに反対側を向く溝を定義している、前記偏向ピークと、前記偏向板の反対側の第２の表面から延びているスピンドルと、前記溝ならびに前記一対の壁の間の端部空間と流体連通している通路であって、前記一対の壁は、前記偏向板の前記周辺部から内側に入った場所にある、前記通路と、を含むノズルと、を備え、
前記吐出口から出た流体が、前記通路および前記溝を通って流れ、前記一対の壁の少なくとも一方の内側表面に当たることにより、前記ノズルが回転するように、前記流体注入口が前記端部空間内に位置し、前記スピンドルが前記アームの前記遠位端部分に取り付けられた、回転噴霧器。
【請求項１２】
前記端部空間は、前記一対の壁の一方または両方の端部に形成されたくぼみである、請求項１１に記載の回転噴霧器。
【請求項１３】
前記アームの前記遠位端部分は、前記流体注入口に向かって開いているくぼみを含み、前記スピンドルは、前記くぼみの中に位置する、請求項１１に記載の回転噴霧器。
【請求項１４】
前記一対の壁の第１の壁の内側表面の外側端部部分が、前記一対の壁の第２の壁のほうへ曲げられ、
前記一対の壁の前記第２の壁の内側表面の外側端部部分が、前記一対の壁の前記第１の壁のほうへ曲げられた、請求項１１に記載の回転噴霧器。
【請求項１５】
前記偏向板は円形である、請求項１１に記載の回転噴霧器。
【請求項１６】
前記クリップは、前記クリップをエンクロージャに取り付けるフックを含む、請求項１１に記載の回転噴霧器。
【請求項１７】
前記一対の壁は略逆Ｔ字形である、請求項１１に記載の回転噴霧器。
【請求項１８】
エンクロージャの内側表面に流体を噴霧する方法であって、
（ａ）前記エンクロージャの壁のすぐそばに回転噴霧器を取り付けるステップであって、前記回転噴霧器は、
（ｉ）吐出口を有する流体注入口を含み、前記流体注入口から軸方向に離れた場所に遠位端部分を有するアームを含むクリップと、
（ｉｉ）偏向板と、前記偏向板の第１の表面から延びていて、前記偏向板の前記第１の表面の上に溝を定義している、互いに離れている一対の壁と、前記偏向板の反対側の第２の表面から延びているスピンドルと、前記溝ならびに前記壁の間の端部空間と流体連通している通路と、を含むノズルであって、前記流体注入口は、端部空間内に位置し、前記スピンドルは、前記アームの前記遠位端部分に取り付けられる、前記ノズルと、を備える、
回転噴霧器を取り付ける前記ステップと、
（ｂ）前記流体を前記流体注入口に入れて、前記流体注入口の前記吐出口から出た流体が、前記通路および前記溝を通って流れ、前記一対の壁の少なくとも一方の内側表面に当たることにより、前記ノズルが回転し、前記エンクロージャの前記内側表面に前記流体が噴霧されるようにするステップと、を含む方法。
【請求項１９】
前記エンクロージャは、支持面から上方に延びており、前記通路を流れる流体が、下方に流れて、前記支持面に向かう方向にある前記偏向板の前記第１の表面に流れる、請求項１８に記載の方法。
【請求項２０】
前記エンクロージャは便器である、請求項１８に記載の方法。
【請求項２１】
前記便器の前記内側表面は、前記便器の全周にわたって噴霧される、請求項２０に記載の方法。
【請求項２２】
前記エンクロージャは、浴槽またはシャワーのいずれかである、請求項１８に記載の方法。
【請求項２３】
前記偏向板の前記第１の表面は、前記偏向板の前記第２の表面から離れるように傾斜している周辺部分を含む、請求項１８に記載の方法。
【請求項２４】
前記ステップ（ｂ）は、約２０〜１０３キロパスカルの圧力で前記流体を前記流体注入口に入れることを含む、請求項１８に記載の方法。
【請求項２５】
前記ステップ（ｂ）は、約２０〜２０７キロパスカルの圧力で前記流体を前記流体注入口に入れることを含む、請求項１８に記載の方法。
【請求項２６】
前記ステップ（ｂ）は、３８リットル毎時未満の流れ速度で前記流体を前記流体注入口に入れることを含む、請求項１８に記載の方法。
【請求項２７】
前記ステップ（ｂ）は、前記流体を前記流体注入口に注入することを含む、請求項１８に記載の方法。
【請求項１】
流体吐出装置用回転噴霧器であって、
吐出口を有する流体注入口を含み、前記流体注入口から軸方向に離れた場所に遠位端部分を有するアームを含むクリップと、
偏向板と、前記偏向板の第１の表面から延びていて、前記偏向板の前記第１の表面の上に溝を定義している、互いに離れている一対の壁と、前記偏向板の反対側の第２の表面から延びているスピンドルと、前記溝ならびに前記一対の壁の間の端部空間と流体連通している通路と、を含むノズルであって、前記偏向板の前記第１の表面は、前記偏向板の前記第２の表面から離れるように傾斜している周辺部分を含む、前記ノズルと、を備え、
前記吐出口から出た流体が、前記通路および前記溝を通って流れ、前記一対の壁の少なくとも一方の内側表面に当たることにより、前記ノズルが回転するように、前記流体注入口が前記端部空間内に位置し、前記スピンドルが前記アームの前記遠位端部分に取り付けられる、回転噴霧器。
【請求項２】
前記端部空間は、前記一対の壁の一方または両方の端部に形成されたくぼみである、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項３】
前記アームの前記遠位端部分は、前記流体注入口に向かって開いているくぼみを含み、
前記スピンドルは、前記くぼみの中に位置する、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項４】
前記一対の壁の一方の内側表面の外側端部部分が、前記一対の壁の他方に向かって曲げられた、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項５】
前記一対の壁は、前記偏向板の周辺部から内側に入った場所にある、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項６】
前記溝が偏向板の一方の側に向かって開いているように、前記一対の壁に端壁が接合された、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項７】
前記溝は、前記偏向板の両側に向かって開いている、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項８】
前記一対の壁の間の前記偏向板の前記第１の表面から延びている偏向ピークが、前記溝を、前記偏向板の一方の側に向かって開いている部分と、他方の側に向かって開いている部分とに分割する、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項９】
前記偏向板は円形である、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項１０】
前記クリップは、前記クリップをエンクロージャに取り付けるフックを含む、請求項１に記載の回転噴霧器。
【請求項１１】
流体吐出装置用回転噴霧器であって、
吐出口を有する流体注入口を含み、前記流体注入口から軸方向に離れた場所に遠位端部分を有するアームを含むクリップと、
周辺部を有する偏向板と、前記偏向板の第１の表面から延びていて、互いに離れている一対の壁と、前記一対の壁の間の前記偏向板の前記第１の表面から延びている偏向ピークであって、前記偏向ピークおよび前記一対の壁は、前記偏向板の前記第１の表面において、互いに反対側を向く溝を定義している、前記偏向ピークと、前記偏向板の反対側の第２の表面から延びているスピンドルと、前記溝ならびに前記一対の壁の間の端部空間と流体連通している通路であって、前記一対の壁は、前記偏向板の前記周辺部から内側に入った場所にある、前記通路と、を含むノズルと、を備え、
前記吐出口から出た流体が、前記通路および前記溝を通って流れ、前記一対の壁の少なくとも一方の内側表面に当たることにより、前記ノズルが回転するように、前記流体注入口が前記端部空間内に位置し、前記スピンドルが前記アームの前記遠位端部分に取り付けられた、回転噴霧器。
【請求項１２】
前記端部空間は、前記一対の壁の一方または両方の端部に形成されたくぼみである、請求項１１に記載の回転噴霧器。
【請求項１３】
前記アームの前記遠位端部分は、前記流体注入口に向かって開いているくぼみを含み、前記スピンドルは、前記くぼみの中に位置する、請求項１１に記載の回転噴霧器。
【請求項１４】
前記一対の壁の第１の壁の内側表面の外側端部部分が、前記一対の壁の第２の壁のほうへ曲げられ、
前記一対の壁の前記第２の壁の内側表面の外側端部部分が、前記一対の壁の前記第１の壁のほうへ曲げられた、請求項１１に記載の回転噴霧器。
【請求項１５】
前記偏向板は円形である、請求項１１に記載の回転噴霧器。
【請求項１６】
前記クリップは、前記クリップをエンクロージャに取り付けるフックを含む、請求項１１に記載の回転噴霧器。
【請求項１７】
前記一対の壁は略逆Ｔ字形である、請求項１１に記載の回転噴霧器。
【請求項１８】
エンクロージャの内側表面に流体を噴霧する方法であって、
（ａ）前記エンクロージャの壁のすぐそばに回転噴霧器を取り付けるステップであって、前記回転噴霧器は、
（ｉ）吐出口を有する流体注入口を含み、前記流体注入口から軸方向に離れた場所に遠位端部分を有するアームを含むクリップと、
（ｉｉ）偏向板と、前記偏向板の第１の表面から延びていて、前記偏向板の前記第１の表面の上に溝を定義している、互いに離れている一対の壁と、前記偏向板の反対側の第２の表面から延びているスピンドルと、前記溝ならびに前記壁の間の端部空間と流体連通している通路と、を含むノズルであって、前記流体注入口は、端部空間内に位置し、前記スピンドルは、前記アームの前記遠位端部分に取り付けられる、前記ノズルと、を備える、
回転噴霧器を取り付ける前記ステップと、
（ｂ）前記流体を前記流体注入口に入れて、前記流体注入口の前記吐出口から出た流体が、前記通路および前記溝を通って流れ、前記一対の壁の少なくとも一方の内側表面に当たることにより、前記ノズルが回転し、前記エンクロージャの前記内側表面に前記流体が噴霧されるようにするステップと、を含む方法。
【請求項１９】
前記エンクロージャは、支持面から上方に延びており、前記通路を流れる流体が、下方に流れて、前記支持面に向かう方向にある前記偏向板の前記第１の表面に流れる、請求項１８に記載の方法。
【請求項２０】
前記エンクロージャは便器である、請求項１８に記載の方法。
【請求項２１】
前記便器の前記内側表面は、前記便器の全周にわたって噴霧される、請求項２０に記載の方法。
【請求項２２】
前記エンクロージャは、浴槽またはシャワーのいずれかである、請求項１８に記載の方法。
【請求項２３】
前記偏向板の前記第１の表面は、前記偏向板の前記第２の表面から離れるように傾斜している周辺部分を含む、請求項１８に記載の方法。
【請求項２４】
前記ステップ（ｂ）は、約２０〜１０３キロパスカルの圧力で前記流体を前記流体注入口に入れることを含む、請求項１８に記載の方法。
【請求項２５】
前記ステップ（ｂ）は、約２０〜２０７キロパスカルの圧力で前記流体を前記流体注入口に入れることを含む、請求項１８に記載の方法。
【請求項２６】
前記ステップ（ｂ）は、３８リットル毎時未満の流れ速度で前記流体を前記流体注入口に入れることを含む、請求項１８に記載の方法。
【請求項２７】
前記ステップ（ｂ）は、前記流体を前記流体注入口に注入することを含む、請求項１８に記載の方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【公表番号】特表２０１０−５２５９４７（Ｐ２０１０−５２５９４７Ａ）
【公表日】平成２２年７月２９日（２０１０．７．２９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−５０７４１１（Ｐ２０１０−５０７４１１）
【出願日】平成２０年５月２日（２００８．５．２）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＵＳ２００８／００５６４２
【国際公開番号】ＷＯ２００８／１３７０４４
【国際公開日】平成２０年１１月１３日（２００８．１１．１３）
【出願人】（５００１０６７４３）エス．シー． ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Ｆターム（参考）】
【公表日】平成２２年７月２９日（２０１０．７．２９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年５月２日（２００８．５．２）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＵＳ２００８／００５６４２
【国際公開番号】ＷＯ２００８／１３７０４４
【国際公開日】平成２０年１１月１３日（２００８．１１．１３）
【出願人】（５００１０６７４３）エス．シー． ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Ｆターム（参考）】
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