説明

流体噴出ガン

【課題】使い勝手性を向上させる。
【解決手段】グリップ部17とグリップ部17の前方のレバー部23とを有するガン本体11と、ガン本体11の先端部に設けられ、可撓性を有する円筒状の外側ノズル43と可撓性を有し外側ノズル43の内側に挿入される円筒状の内側ノズル48とを有するノズル部12と、ノズル部12を覆うように配置されてガン本体11の先端部に設けられる伸縮可能な筒状のガイド部13と、ガン本体11の側部に一端の流出口37にて回動可能に設けられて内側ノズル48内の内側流路に供給可能に液体を貯留するタンク14と、気体供給源19に接続されて外側ノズル43と内側ノズル48との間の外側流路に気体を供給可能とする接続部20と、レバー部23の操作によって、外側流路と気体供給源19との連通・遮断および内側流路とタンク14との連通・遮断を切り替える切替部29,38とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴出ガンに関する。
【背景技術】
【0002】
外側ノズルと内側ノズルとからなる可撓性のノズル部を備え、外側ノズルと内側ノズルとの間から気体を外部に噴出させることで、ノズル部をその柔軟性により外側のガイド部に沿って旋回させるとともに、前記気体の噴出により発生する負圧で内側ノズルからガンの下部に設けられたタンクの液体を吸い込み気体と混合させて噴出する流体噴出ガンがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−154294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の流体噴出ガンでは、ノズル部の旋回範囲が一定であり、また、液体供給の点からノズル部の噴出方向を上向きや下向きにして使用することが困難であって、使い勝手性が十分に良いとは言えなかった。
【0005】
したがって、本発明は、使い勝手性を向上させることができる流体噴出ガンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、グリップ部と該グリップ部の前方のレバー部とを有するガン本体と、該ガン本体の先端部に設けられ、可撓性を有する円筒状の外側ノズルと可撓性を有し前記外側ノズルの内側に挿入される円筒状の内側ノズルとを有するノズル部と、該ノズル部を覆うように配置されて前記ガン本体の先端部に設けられる伸縮可能な筒状のガイド部と、前記ガン本体の側部に一端の流出口にて回動可能に設けられて前記内側ノズル内の内側流路に供給可能に液体を貯留するタンクと、気体供給源に接続されて前記外側ノズルと前記内側ノズルとの間の外側流路に気体を供給可能とする接続部と、前記レバー部の操作によって、前記外側流路と前記気体供給源との連通・遮断および前記内側流路と前記タンクとの連通・遮断を切り替える切替部とを有し、前記切替部が前記外側流路と前記気体供給源とを連通状態とし且つ前記内側流路と前記タンクとを連通状態とすることで、前記気体供給源からの気体を前記外側流路を介して外部に噴出させて前記ノズル部を前記ガイド部に沿って旋回させるとともに当該気体の噴出により発生する負圧で前記内側流路が前記タンクから液体を吸い込み前記気体と混合させる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、ノズル部を覆うように配置された筒状のガイド部が伸縮可能となっているため、ガイド部を伸ばせばノズル部の旋回範囲が狭くなり、ガイド部を縮めればノズル部の旋回範囲が広くなって、ノズル部の旋回範囲が可変となる。また、内側ノズル内の内側流路に供給可能に液体を貯留するタンクが、ガン本体の側部に一端の流出口にて回動可能に設けられているため、ノズル部の噴出方向を上向きや下向きにしても、タンクをガン本体に対し回動させて流出口をタンクにおける下部位置に配置することができ、液体を内側流路に供給することができる。したがって、使い勝手性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る流体噴出ガンを示す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る流体噴出ガンの要部を示す側断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る流体噴出ガンの要部を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る流体噴出ガンを図面を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る流体噴出ガン10は、ガン本体11と、ガン本体11の先端部に設けられるノズル部12と、ノズル部12を覆うように配置されてガン本体11の先端部に設けられるガイド部13と、ガン本体11の側部に設けられるタンク14とを有している。
【0010】
ガン本体11は、使用時に使用者の手で把持されるグリップ部17と、グリップ部17の一端側からグリップ部17に対して傾斜して延出するボディ部18とを有している。グリップ部17のボディ部18とは反対側の端部には、気体供給源としての例えばエアコンプレッサ19に接続される接続部20が設けられている。
【0011】
ガン本体11は、ボディ部18の長さ方向の中間位置に設けられた回動軸22を中心に回動するレバー部23を有しており、このレバー部23は、グリップ部17の前方にグリップ部17に沿うように配置されている。ボディ部18には、その長さ方向の中間位置のグリップ部17側に凹部24が形成されており、この凹部24を横断するように前後方向にニードル25が配置されている。ニードル25の外側にはニードル25に沿って摺動する摺動体26が設けられており、この摺動体26がレバー部23の中間位置に係合している。これにより、レバー部23の操作によって摺動体26がニードル25に沿って前後に移動する。
【0012】
摺動体26の後方には摺動体26で押圧されて後方に移動する移動体28が設けられている。この移動体28は、ボディ部18内に内蔵された気体供給切替部(切替部)29を作動させるもので、図示略のバネによって前端位置に位置するように付勢されている。気体供給切替部29は、移動体28が前端位置に位置するとき、上記接続部20に接続されたエアコンプレッサ19からの圧縮空気の流路である図2に示す内部気体流路30を閉じることになり、移動体28が前端位置から後方に移動すると、この内部気体流路30を開くことになる。この移動体28は、所定位置まで後退すると上記したニードル25に当接してこれを後方に移動させる。
【0013】
図1に示すように、ボディ部18の後端部には、ネジ部材32を有する規制部33が設けられている。この規制部33は移動体28の後退端位置を調整するもので、ネジ部材32を緩めて後退させると、移動体28の後退端位置を、ニードル25に当接してこれを後退可能な位置とし、ネジ部材32を締めて前進させると、移動体28の後退端位置を、ニードル25に当接せずこれを後退不可な位置とする。
【0014】
タンク14は、液体を貯留するもので、一端が閉塞され他端が開口する容器部35と、容器部35の開口を閉塞する着脱可能な蓋部36とを有している。タンク14の一端である容器部35の蓋部36とは反対側には、タンク14内から液体を流出させるための流出口37が形成されており、タンク14は、一端のこの流出口37にてガン本体11のボディ部18の側部に回動可能に連結されている。ボディ部18のタンク14が連結される位置の内部には上記したニードル25の移動で開閉される液体供給切替部(切替部)38が設けられている。つまり、ニードル25は図示略のバネによって前端位置に位置するように付勢されており、ニードル25が前端位置に位置するとき、液体供給切替部38は、タンク14の流出口37に繋がる図2に示す内部液体流路39を閉じ、ニードル25が後方に移動すると、液体供給切替部38は、この内部液体流路39を開く。
【0015】
図2に示すように、ガン本体11の先端部には、中央に、上記した内部液体流路39が形成されており、その周囲に複数に分岐された状態で上記した内部気体流路30が形成されている。ガン本体11の先端部には、上記した内部気体流路30の開口部を覆うように、中空の連結部材41が取り付けられ、この連結部材41の先端部の内周側には中空のノズル保持部材42が固定されている。このノズル保持部材42の先端部には円筒状の外側ノズル43がその一端において取り付けられている。この外側ノズル43は、他端が自由端とされており、その全体が、例えばナイロン、テフロン(登録商標)、ポリウレタン、ポリプロピレンなどの可撓性を有する合成樹脂製のチューブ材からなる。
【0016】
外側ノズル43の外周には、外側ノズル43の長さ方向に所定の間隔をあけて合成樹脂製のバランサ44が複数取り付けられている。
【0017】
また、ガン本体11の先端部には、上記した内部液体流路39に連通する内側流路47を内側に有する円筒状の内側ノズル48がその一端において取り付けられており、この内側ノズル48は、外側ノズル43の内側に挿入されている。よって、内側ノズル48内の内側流路47にはタンク14の液体が内部液体流路39を介して供給可能となっている。内側ノズル48も、その全体が、例えばナイロン、テフロン(登録商標)、ポリウレタン、ポリプロピレンなどの可撓性を有する合成樹脂製のチューブ材からなる。上記した液体供給切替部38は、レバー部23の操作によって内部液体流路39を開くと、内側流路47とタンク14とを連通させ、レバー部23の操作によって内部液体流路39を閉じると、内側流路47とタンク14との連通を遮断する。つまり、液体供給切替部38は、レバー部23の操作によって、内側流路47とタンク14との連通・遮断を切り替える。
【0018】
内側ノズル48と外側ノズル43との間は、内部気体流路30に連通する外側流路51となっている。エアコンプレッサ19に接続されたガン本体11の接続部20は、内部気体流路30を介して外側流路51に気体であるエアコンプレッサ19からの圧縮空気を供給可能となっている。上記した気体供給切替部29は、レバー部23の操作によって内部気体流路30を開くと、外側流路51とエアコンプレッサ19とを連通させ、レバー部23の操作によって内部気体流路30を閉じると、外側流路51とエアコンプレッサ19との連通を遮断する。つまり、気体供給切替部29は、レバー部23の操作によって、外側流路51とエアコンプレッサ19との連通・遮断を切り替える。
【0019】
これら外側ノズル43と内側ノズル48とが、ガン本体11の先端部に設けられるノズル部12を構成している。内側ノズル48の内側流路47の先端開口部は、外側ノズル43の外側流路51の先端にある開口部よりも若干外方に配置されており、その結果、上記外側流路51から気体が噴出される際に当該外側流路51の開口部近傍に形成される負圧域に突出している。
【0020】
連結部材41の先端部の外側に、上記したガイド部13が螺合固定されている。ガイド部13は、円筒部54と円筒部54の先端から拡径状をなす円錐筒部55とからなる可撓性のない外側筒体56と、この外側筒体56の円筒部54の内側に摺動可能に設けられた可撓性のない円筒体57とを有している。外側筒体56の円筒部54には軸方向に沿ってガイド溝60が形成されており、円筒体57にはこのガイド溝60を通ってビス61が螺合されている。ビス61の頭部62と外側筒体56との間には、バネワッシャ64およびワッシャ65が介装されている。
【0021】
ビス61の螺合を緩めると、外側筒体56に対して円筒体57が摺動可能となり、ビス61の螺合を締め付けると、外側筒体56に対して円筒体57が固定される。ここで、円筒体57は、外側筒体56に対して最大限後退すると図2に示すように外側筒体56の円筒部54および円錐筒部55の円筒部54側の一部のみに重なる位置まで下がり、外側筒体56に対して最大限前進すると図3に示すように外側筒体56の円錐筒部55よりも外側に突出する。これにより、外側筒体56と円筒体57とで構成されるガイド部13は、伸縮可能となっている。また、上記形状の外側筒体56と円筒体57とで構成されることにより、ガイド部13は、内周面の断面が円形状となる筒状をなしている。なお、ノズル部12は、その外側ノズル43が、円筒体57が外側筒体56に対して最大限前進した状態でもこの円筒体57から突出するように長さが設定されており、円筒体57が外側筒体56に対していずれの位置にあってもバランサ44でガイド部13に接触するようになっている。。
【0022】
ノズル部12は、外側流路51中を気体が通過し、外側流路51の先端の開口部より気体が外部に噴出することにより、材質の持つ柔軟性によって外側ノズル43の固定された基端部より前方の部分が、ガイド部13に沿って旋回運動を行う。その際に、図2に示すようにガイド部13の外側筒体56に対して円筒体57を最も引っ込めた状態とすると、ノズル部12は、円錐筒部55の先端開口部の内周面に接触しつつ旋回することになり、円錐筒部55から突出する部分の外側への変形も合わせて、旋回範囲が最大となる。他方、図3に示すように外側筒体56に対して円筒体57を最も突出させた状態とすると、ノズル部12は、円筒体57の先端開口部の内周面に接触しつつ旋回することになり、旋回範囲が最小となる。ノズル部12は、円筒体57の外側筒体56に対する位置を調整することで、旋回範囲は上記した最大と最小との間で任意に設定可能となっている。
【0023】
上記構成の流体噴出ガン10の使用状態を説明する。液体をタンク14に注入し、エアコンプレッサ19を駆動させて、レバー部23をグリップ部17側に引く。このとき、レバー部23を軽く引くと、摺動体26が移動体28のみを後退させることになり、これにより、気体供給切替部29が開いて、外側流路51とエアコンプレッサ19とを連通状態とし、圧縮空気を内部気体流路30からノズル部12の外側流路51を介して外部に噴出させる。このとき、ノズル部12は、その外側ノズル43と内側ノズル48とが、ともに可撓性合成樹脂材によって形成され、先端部が自由端になっているため、自由端が暴れるようにして旋回運動を行う。この旋回運動は、外側ノズル43の径方向外方に設けられたガイド部13によって径方向一定の範囲に規制されることになり、ノズル部12は、ガイド部13の内面に沿って、規則的な旋回運動を行う。また、ノズル部12は、外側ノズル43の周囲に取り付けられたバランサ44によって旋回運動が安定したものとなる。これにより、旋回運動するノズル部12の外側流路51の先端から圧縮空気のみが噴出位置を旋回させながら拡径する円錐筒状に噴出する。これにより、噴出対象に圧縮空気を吹き付け、除塵や除滴、乾燥等を行うことができる。
【0024】
また、レバー部23をさらに引くと、摺動体26が移動体28を介してニードル25を後退させることになり、これにより、液体供給切替部38が開いて、内側流路47とタンク14とを連通状態とする。すると、上記したようにノズル部12の外側流路51から圧縮空気が内側流路47の開口部を覆うようにして外部に噴出しているため、内側流路47の開口部近傍が負圧となり、この負圧で、タンク14の液体を内部液体流路39を介してノズル部12の内側流路47が吸い込み、内側流路47から吐出させて、外側流路51から噴出される圧縮空気と混合して噴出させることになる。このときも、ノズル部12は、外側ノズル43の径方向外方に設けられたガイド部13に沿って規則的な旋回運動を行うことになり、これにより、旋回運動するノズル部12の外側流路51の先端から圧縮空気と液体との混合流体が、ミスト状態となって、噴出位置を旋回させながら拡径する円錐筒状に噴出する。これにより、噴出対象に液体を噴霧することができる。
【0025】
ここで、圧縮空気のみの噴出、および圧縮空気と液体との混合噴出のいずれの状態においても、ノズル部12を覆うように配置された筒状のガイド部13が伸縮可能となっているため、ガイド部13を伸ばせばノズル部12の旋回範囲が狭くなり、ガイド部13を縮めればノズル部12の旋回範囲が広くなって、ノズル部12の旋回範囲が可変となる。
【0026】
また、内側ノズル48内の内側流路47に供給可能に液体を貯留するタンク14が、ガン本体11の側部に一端の流出口37にて回動可能に設けられているため、ノズル部12の噴出方向を図1に二点鎖線で示す上向きや、下向きにしても、タンク14をガン本体11に対し回動させて流出口37をタンク14における下部位置に配置することができ、液体を内側流路47に良好に供給することができる。
【0027】
したがって、使い勝手性を向上させることができる。
【0028】
なお、タンク14に貯留する液体としては、例えば、水、洗剤、殺菌剤、除菌剤、防かび剤、光触媒等の各種のコーティング剤、消臭剤、脱脂剤、帯電防止剤等を用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
10 流体噴出ガン
11 ガン本体
12 ノズル部
13 ガイド部
14 タンク
17 グリップ部
19 エアコンプレッサ(気体供給源)
20 接続部
23 レバー部
29 気体供給切替部(切替部)
37 流出口
38 液体供給切替部(切替部)
43 外側ノズル
47 内側流路
48 内側ノズル
51 外側流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ部と該グリップ部の前方のレバー部とを有するガン本体と、
該ガン本体の先端部に設けられ、可撓性を有する円筒状の外側ノズルと可撓性を有し前記外側ノズルの内側に挿入される円筒状の内側ノズルとを有するノズル部と、
該ノズル部を覆うように配置されて前記ガン本体の先端部に設けられる伸縮可能な筒状のガイド部と、
前記ガン本体の側部に一端の流出口にて回動可能に設けられて前記内側ノズル内の内側流路に供給可能に液体を貯留するタンクと、
気体供給源に接続されて前記外側ノズルと前記内側ノズルとの間の外側流路に気体を供給可能とする接続部と、
前記レバー部の操作によって、前記外側流路と前記気体供給源との連通・遮断および前記内側流路と前記タンクとの連通・遮断を切り替える切替部とを有し、
前記切替部が前記外側流路と前記気体供給源とを連通状態とし且つ前記内側流路と前記タンクとを連通状態とすることで、前記気体供給源からの気体を前記外側流路を介して外部に噴出させて前記ノズル部を前記ガイド部に沿って旋回させるとともに当該気体の噴出により発生する負圧で前記内側流路が前記タンクから液体を吸い込み前記気体と混合させる流体噴出ガン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−30162(P2012−30162A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170545(P2010−170545)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(503332466)有限会社ガリュー (6)
【Fターム(参考)】