説明

流体噴出ノズル及びそれを用いた洗浄装置

【課題】液中に微細バブルを効率的に生成し、その微細バブルを含有する液体を被洗浄物の表面に良好な洗浄が期待できるように吹付けることのできる流体噴出ノズルを提供することである。
【解決手段】気体導入口164aと、気体噴出口164bの形成された気体噴出面163とを有するユニット本体160と、ユニット本体160に設けられ、液体が通る液体通路161aの形成された液体導入部161とを有し、ユニット本体160には、気体通路164と、液体導入部161の液体通路161aが結合するキャビティ162とが形成され、ユニット本体160の気体噴出面163は、気体噴出口164bの形成される面を底面部分163aとしたすり鉢状に形成され、ユニット本体160には、気体噴出面163のすり鉢状の周面部分163bで開口し、キャビティ162から続く複数のノズル孔165が形成された構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細バブルを含有する液体等の洗浄液として利用し得る液体を噴出する流体噴出ノズル及びそれを用いた洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微細バブルを含有する液体を噴出するノズルが提案されている(特許文献1参照)。このノズル(縮流ノズル)は、微細気泡(バブル)を含む流体が供給され、その流体中の微細バブルが潰れて平面的に広がることで表面張力により小さく分裂して更に微細化するように前記流体を強制的に変形可能な流路形状に形成された流体流動面を有している。このようなノズル(縮流ノズル)に微細気泡を含む流体を供給することにより、極めて微細な気泡を含む流体を生成して噴出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−245533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、これらの微細気泡(微細バブル)を含む液体を物体表面の洗浄等の処理に利用することが考えられている。この微細バブル含有液によれば、微細バブルと液との界面の電位が洗浄効果や酸化作用を促し、また、物体表面に付着した微細バブルが破裂するときのエネルギーが物体表面から汚れの剥離に寄与するとされ、物体表面の良好な洗浄を期待できる。そこで、液中に微細バブルを効率的に生成し、その微細バブルを含有する液体を被洗浄物の表面に良好な洗浄が期待できるように吹付けることが望まれる。
【0005】
しかし、前述したノズル(縮流ノズル)では、微細気泡を含んだ液体が圧送される際にその液中の微細気泡が潰れて平面的に広がった後に、外部からの作用が無く自然に表面張力によって小さく分裂するようになるので、液中に微細バブルを効率的に生成することが難しい。また、前記ノズル(縮流ノズル)は、もともと微細バブルを液中に噴出させる構造であるので、微細バブルを含有する液体を被洗浄物の表面に良好な洗浄が期待できるように吹き付けることも難しい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、液中に微細バブルを効率的に生成し、その微細バブルを含有する液体を被洗浄物の表面に良好な洗浄が期待できるように吹付けることのできる流体噴出ノズルを提供するものである。
【0007】
また、本発明は、そのような流体噴出ノズルを用いた洗浄装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る流体噴出ノズルは、気体を導入する気体導入口と、気体を噴出する気体噴出口の形成された気体噴出面とを有するユニット本体と、該ユニット本体に設けられ、液体が通る液体通路の形成された液体導入部とを有し、前記ユニット本体には、前記気体導入口と前記気体噴出口とを結ぶ気体通路と、この気体通路を囲むように形成され前記液体導入部の液体通路が連通する空洞部とが形成され、前記ユニット本体の前記気体噴出面は、前記気体噴出口の形成される面を底面部分としたすり鉢状に形成され、前記ユニット本体には、前記気体噴出面のすり鉢状の周面部分で開口し、前記空洞部から続く複数のノズル孔が形成された構成となる。
【0009】
このような構成により、ユニット本体の気体導入口に高圧気体が供給されるとともに、比較的高い濃度で気体が溶解してなる気体溶存液が液体導入部に供給されると、気体噴出面のすり鉢状の底面部分に形成された気体噴出口から高圧空気が噴出するとともに、液体導入部の液体通路を通る気体溶存液が空洞部に一時的に溜められつつ前記気体噴出面のすり鉢状の周面部分で開口する複数のノズル孔から噴出する。複数のノズル孔のそれぞれから気体溶存液が噴出する際に圧力開放がなされてその液中に微細なバブルが発生し、また、気体噴出口から噴出する気体と複数のノズル孔から噴出する微細バブル含有液とが混合して霧状(微細粒子化)になる。これにより、ユニット本体におけるすり鉢状の気体噴出面から微細バブル含有液が霧状(微粒子状)になって飛出するようになる。
【0010】
本発明に係る流体噴出ノズルにおいて、前記複数のノズル孔の開口は、前記気体噴出面のすり鉢状の周面部分に所定間隔にて円形状に配置された構成とすることができる。
【0011】
このような構成により、ユニット本体における気体噴出面のすり鉢状の1周分の周面部分から偏りなく微細バブル含有液を噴出させることができるようになる。
【0012】
また、本発明に係る流体噴出ノズルにおいて、前記複数のノズル孔それぞれの形成方向は、前記気体通路の前記気体噴出口から外方の延長線からはずれる方向となる構成とすることができる。
【0013】
このような構成により、ユニット本体における気体噴出面のすり鉢状の周面部分に形成された複数のノズル孔から噴出する微細バブル含有液が、気体通路を通って気体噴出口から噴出する気体にその外方から巻き込まれるようにして気体噴出面から飛出するようになる。
【0014】
また、本発明に係る流体噴出ノズルにおいて、前記複数のノズル孔の形成方向は、前記気体通路の前記気体噴出口から外方の延長線の周りを順次旋回するように変化している構成とすることができる。
【0015】
このような構成により、ユニット本体における気体噴出面のすり鉢状の周面部分に形成された複数のノズル孔から噴出する微細バブル含有液が、気体通路を通って気体噴出口から噴出する気体に渦状になって巻きこまれるようにして気体噴出面から飛出するようになる。
【0016】
更に、本発明に係る流体噴出ノズルにおいて、前記複数のノズル孔それぞれの形成方向は、前記気体通路の前記気体噴出口から外方の延長線に向かう方向となる構成とすることができる。
【0017】
このような構成により、ユニット本体における気体噴出面のすり鉢状の周面部分に形成された複数のノズル孔から噴出する微細バブル含有液が、気体通路を通って気体噴出口から噴出する気体に直線的に引き込まれるようにして気体噴出面から飛出するようになる。
【0018】
また、本発明に係る流体噴出ノズルは、前記複数のノズル孔の形成方向は、前記気体噴出口から延びる前記気体通路の前記気体噴出口から外方の延長線上の同一点に向かう方向となる構成とすることができる。
【0019】
このような構成により、ユニット本体における気体噴出面のすり鉢状の周面部分に形成された複数のノズル孔から噴出する微細バブル含有液が、気体通路を通って気体噴出口から噴出する気体の同一部分に直線的に集中的に引き込まれるようにして気体噴出面から飛出するようになる。
【0020】
本発明に係る洗浄装置は、前述したいずれかの流体噴出ノズルと、液体に気体を溶解させて気体溶存液を生成する気体溶存液生成機構と、該気体溶存液生成機構によって生成された気体溶存液を前記流体噴出ノズルの液体導入部に供給する液体供給機構と、前記流体噴出ノズルの前記気体導入口に高圧気体を供給する気体供給機構とを有する構成となる。
【0021】
このような構成により、気体溶存液生成機構により生成される気体溶存液が流体噴出ノズルの液体導入部に供給されるとともに、気体供給機構から流体噴出ノズルの気体導入口に高圧空気が供給されると、流体噴出ノズルにおける気体噴出面のすり鉢状の底面部分に形成された気体噴出口から高圧空気が噴出するとともに、液体導入部の液体通路を通る気体溶存液が空洞部に一時的に溜められつつ前記気体噴出面のすり鉢状の周面部分で開口する複数のノズル孔から噴出する。複数のノズル孔のそれぞれから気体溶存液が噴出する際に圧力開放がなされてその液中に微細なバブルが発生し、また、気体噴出口から噴出する気体と複数のノズル孔から噴出する微細バブル含有液とが混合して霧状(微細粒子化)になる。これにより、流体噴出ノズル(ユニット本体)におけるすり鉢状の気体噴出面から微細バブル含有液が霧状(微粒子状)になって飛出するようになる。そして、前記流体噴出ノズルから霧状(微粒子状)に飛出する微細バブル含有液を被洗浄物に吹き付けることにより、当該被洗浄物の表面を洗浄することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る流体噴出ノズルによれば、ユニット本体の気体導入口に高圧気体を供給するとともに、比較的高い濃度で気体が溶解してなる気体溶存液を液体導入部に供給すると、気体噴出面のすり鉢状の周面部分に形成された複数のノズル孔のそれぞれから気体溶存液の圧力開放によって効率的に発生する微細バブルを含む液体が噴出するようになり、また、その複数のノズル孔から噴出する微細バブル含有液が気体噴出口から噴出する高圧気体と混合してまとまった霧状(多くの微細粒子)になって飛出するようになるので、微細バブル含有液を被洗浄物の表面に良好な洗浄が期待できるように吹付けることのできるようになる。
【0023】
また、本発明に係る洗浄装置によれば、前記流体噴出ノズルが液中に微細バブルを効率的に生成して、その微細バブルを含有する液体を被洗浄物の表面に良好な洗浄が期待できるように吹付けることができるので、被洗浄物の良好な洗浄が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る洗浄装置の構成を示す図である。
【図2A】図1に示す洗浄装置に用いられる流体噴出ノズル(二流体ノズル構成)の断面を示す断面図である。
【図2B】A−A線断面が図2Aに示す断面となる流体噴出ノズルを下方から見た状態を示す平面図である。
【図3】図2A及び図2Bに示す流体噴出ノズルからバブル含有液が飛出する状態を例示する図である。
【図4A】図1に示す洗浄装置に用いられる流体噴出ノズルの他の一例の断面を示す断面図である。
【図4B】B−B線断面が図4Aに示す断面となる流体噴出ノズルを下方から見た状態を平面図である。
【図5】図4A及び図4Bに示す流体噴出ノズルからバブル含有液が飛出する状態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0026】
本発明の第1の実施の形態に係る洗浄装置は、図1に示すように構成される。
【0027】
図1に示す洗浄装置100は、貯液槽11、第1ガス供給部13、ポンプ14、加圧槽15、二流体ノズル16(流体噴出ノズル)、第2ガス供給部18、ガス流量調整弁23、及びガス流量調整弁23を駆動させるアクチュエータ19を有している。液体、例えば、純水DIWを貯留する貯液槽11と加圧槽15とが送通管12にて連結され、この送通管12にポンプ14が設けられている。そして、貯液槽11からの純水DIWが通る送通管12の貯液槽11とポンプ14との間に、第1ガス供給部13からの気体(例えば、窒素ガス、酸素ガス等)が開閉弁20を介して供給されるようになっている。
【0028】
ガス供給部13からの気体が混在した純水DIW(以下、適宜、気体含有液体という)が、ポンプ14により送通管12を通って加圧槽15に圧送され、その気体含有液体が加圧槽15に一時的に貯められる。加圧槽15では、貯留される気体含有液体が加圧され、気体含有液体内の気体が液体中に溶融して、液中の気体濃度が上昇し、過飽和あるいはそれに近い状態となった気体溶存液が生成される(気体溶存液生成機構)。なお、加圧槽15内の圧力は、圧力調整器21によって調整することができる。
【0029】
加圧槽15と二流体ノズル16とが絞り弁22の設けられた送通管17によって連結され、加圧槽15内の気体溶存液がその加圧された状態を維持しつつ送通管17を通って絞り弁22を介して二流体ノズル16に供給される(液体供給機構)。二流体ノズル16には、第2ガス供給部18からの気体(例えば、空気)がガス流量調整弁23を介して供給されている(気体供給機構)。ガス流量調整弁23はアクチュエータ19によって駆動されることによりその開度が調整され、その開度に応じた流量にて第2ガス供給部18からの高圧の気体が二流体ノズル16に供給される。二流体ノズル16は、後述するような構造を有しており、加圧槽15から供給される気体溶存液と第2ガス供給部18からの高圧の気体とを混合して霧状の液体(微細な液粒)を噴出する。二流体ノズル16から霧状に噴出される液体は、後述するように微細なバブル(マイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブル)を含む液体(微細バブル含有液)となっている。
【0030】
二流体ノズル16の下方には、駆動ユニット113の回転軸112に固定されたテーブル111上に載置された被洗浄物としての半導体ウェーハ50が配置されている。これにより、二流体ノズル16から霧状に噴出される微細バブル含有液が洗浄液として、回転する半導体ウェーハ50の表面に吹き付けられ、当該微細バブル含有液(洗浄液)によって半導体ウェーハ50の表面が洗浄される。
【0031】
なお、図1では、単一の二流体ノズル16が被洗浄物である半導体ウェーハ50の上方に配置され、半導体ウェーハ50の表面全体に微細バブル含有液を吹き付けるようになっている。半導体ウェーハ50の表面全体に微細バブル含有液を効率的に吹き付けるために、単一の二流体ノズル16を半導体ウェーハ50と平行な面内で移動可能とする、あるいは、複数の二流体ノズル16が配置されるように構成してもよい。
【0032】
二流体ノズル16(流体噴出ノズル)は、図2A及び図2Bに示すように構成される。
【0033】
図2A及び図2Bにおいて、二流体ノズル16は、円柱状のユニット本体160の側面から液体導入部161が突出するように形成された構造となっている。ユニット本体160の下面の中央部分に、すり鉢状に凹む形状となる気体噴出面163が形成されている。ユニット本体160には、その上面に形成された気体導入口164aとすり鉢状の気体噴出面163の底面部分163aに形成された気体噴出口164bとを結ぶ気体通路164が形成されている。気体通路164は、気体導入口164a側の所定部分で比較的広い口径となり、途中から狭い口径となって気体噴出口164bに続いている。このように気体通路164が気体導入口164aから気体噴出口164bに向けて絞られる構造になることにより、気体導入口164aに供給される気体が気体噴出口164bから高速に噴出するようになる。
【0034】
ユニット本体160内には、気体通路164を囲むように環状のキャビティ(cavity 空洞部)162が形成されている。液体導入部161には液体通路161aが形成されており、その液体通路161aがキャビティ162に連通している。また、ユニット本体160には、キャビティ162に連通する複数のノズル孔165が形成されている。この複数のノズル孔165は、すり鉢状の気体噴出面163の傾斜する周面部分163bで開口し、その複数のノズル165の開口が、気体噴出面163の周面部分163bに所定間隔をもって円形状に配列されている。また、複数のノズル孔165の形成方向は、気体通路164の気体噴出口164bから外方の延長線C(例えば、気体通路164の中心線の気体噴出口164bから外方の延長部分)から外れる方向、具体的には、その延長線Cの周りを順次旋回しつつ変わるように設定されている(特に図2B参照)。
【0035】
このような構造の二流体ノズル16(流体噴出ノズル)では、液体導入部161の口部に加圧槽15から続く送通管17の端部が接続され、加圧槽15(図1参照)からの加圧状態の維持された気体溶存液Wが液体通路161aを通ってユニット本体160内のキャビティ162に導かれる。キャビティ162内に加圧された状態で導かれた気体溶存液Wは、気体噴出面163のすり鉢状の傾斜した周面部分163aで開口する複数のノズル孔165から噴出する。各ノズル孔165から気体溶存液Wが噴出する際に圧力開放がなされて液中に微細なバブル(その大きさに応じてナノバブル、マイクロナノバブル、マイクロバブル等と呼ばれる)が発生する。また、第2ガス供給部18からの高圧の気体(例えば、空気)がガス流量調整弁23を介してユニット本体160の気体導入口164aから気体通路164に供給される。そして、ガス流量調整弁23の開度に応じた流量の高圧の気体が気体通路164を通ってすり鉢状の気体噴出面163の底面163aに形成された気体噴出口164bから噴出する。
【0036】
前述したように複数のノズル孔165の形成方向が、気体通路164aの気体噴出口164bから外方の延長線C(例えば、気体通路164の中心線の気体噴出口164bから外方の延長部分)の周りを順次旋回しつつ変わるように設定されている(特に図2B参照)ので、その複数のノズル孔165のそれぞれから噴出する微細バブル含有液は、図3に示すように、気体通路164を通って気体噴出口164bから噴出する気体に渦状になって巻き込まれる(引き込まれる)ようになる。そして、複数のノズル孔165から噴出して前記噴出気体に渦状に巻き込まれて混ざり合う微細バブル含有液が、その噴出気体によって分断されて霧状になって、そして前記噴出気体によっても加速された状態で、外方に広がるすり鉢状の気体噴出面163から飛出する。
【0037】
このように二流体ノズル16から霧状(微細粒子)になって飛出する微細バブル含有液は、回転するステージ111に載置された半導体ウェーハ50に吹き付けられる。半導体ウェーハ50の表面に付着した微細バブル含有液中の多数の微細バブルの電位による作用、酸化作用、破裂のエネルギー等により、半導体ウェーハ50の表面に付着した汚れやパーティクルを効果的に除去することができるようになる。
【0038】
前述した構造の二流体ノズル16によれば、気体噴出面163の周面部分163bに形成された複数のノズル孔165のそれぞれから高圧状態に維持された気体溶存液(比較的高濃度の気体が溶解している)の圧力開放によって効率的に発生する微細バブルを含む液体が噴出するようになる。また、その複数のノズル孔165から噴出して気体通路164を通って気体噴出口164bから噴出する気体に渦状に巻き込まれて混ざり合う微細バブル含有液が、その噴出気体によって分断されて霧状になって、外方に広がるすり鉢状の気体噴出面163から飛出するので、図3に示すように半導体ウェーハ50の表面の比較的広い部分Eにムラなく微細バブル含有液を吹付けることが可能となる。そして、そのような微細バブル含有液により、半導体ウェーハ50の表面を良好に洗浄することができるようになる。
【0039】
前述した二流体ノズル16では、気体噴出面163の周面部分163bに形成される複数のノズル孔165の形成方向が、気体通路164aの気体噴出口164bから外方の延長線C(例えば、気体通路164の中心線の気体噴出口164bから外方の延長部分)の周りを順次旋回しつつ変わるように設定されている(特に図2B参照)が、これに限られず、特に順次旋回しつつ変わるようなものでなく、前記延長線Cに向かうことなく単にその延長線Cから外れる任意の方向に設定されるものでもよい。この場合であっても、その複数のノズル孔165から噴出する微細バブル含有液は、気体通路164を通って気体噴出口164bから噴出する気体に直接向かうのではなく、噴出する気体にその外方から引き込まれるようにしてまとまったかたちでその噴出気体によって分断されて霧状(微細粒子)になり、外方に広がるすり鉢状の気体噴出面163から飛出するようになるので、半導体ウェーハ50の表面の比較的広い部分に微細バブル含有液をよりムラを少なく吹付けることが可能となる。
【0040】
また、逆に、二流体ノズル16において気体噴出面163の周面部分163bに形成される複数のノズル孔165の形成方向は、図4A、図4B及び図5に示すように、気体通路164の気体噴出口164bから外方の延長線C上の同一点Pに向かう方向に設定することもできる。この場合、複数のノズル孔165のそれぞれから噴出する微細バブル含有液は、気体通路164を通って気体噴出口164bから噴出する気体の同一部分(P部分)に直線的に集中して引き込まれるようになる。そして、複数のノズル孔165から噴出して前記噴出気体に引き込まれて混ざり合う微細バブル含有液が、その噴出気体によって分断されて霧状になって、外方に広がるすり鉢状の気体噴出面163から飛出する。
【0041】
このように、複数のノズル孔165から噴出して気体通路164を通って気体噴出口164bから噴出する気体の同一部分に直線的に集中して引き込まれて混ざり合う微細バブル含有液が、その噴出気体によって分断されて霧状となってすり鉢状の気体噴出面163から飛出するので、半導体ウェーハ50に対して霧状の微細バブル含有液を集中させてより強い勢いで吹付けることが可能となる。そして、そのような微細バブル含有液により、半導体ウェーハ50の表面を良好に洗浄することができるようになる。
【0042】
図4A、図4B及び図5に示す構造の二流体ノズル16では、複数のノズル孔165の形成方向は、気体通路164の気体噴出口164bから外方の延長線Cの同一点Pに向かう方向に設定されたものであったが、同一点Pではなく、単にその延長線C上の異なる点に向かう方向に設定されるものでもよい。この場合であっても、その複数のノズル孔165から噴出する微細バブル含有液は、気体通路164を通って気体噴出口164bから噴出する気体に直線的に引き込まれてまとまったかたちでその噴出気体によって分断されて霧状(微細粒子)になり、気体噴出面163から飛出するようになるので、被洗浄物である半導体ウェーハ50に対して霧状の微細バブル含有液を比較的強い勢いで吹付けることが可能となる。
【0043】
なお、詳しくは述べないが、前述した洗浄装置100において、アクチュエータ19によってガス流量調整弁23の回動を変えて二流体ノズル16に供給される高圧気体の流量を変えることにより、二流体ノズル16から霧状(微細粒子)に噴出する微細バブル含有液中に含まれる微細バブルの大きさを変えることができるということが各種実験により分かった。
【0044】
前述した洗浄装置100では、半導体ウェーハ50を被洗浄物としてその表面を洗浄するものであったが、被洗浄物はこれに限られず、ガラス基板等の他の物であってもよい。
【0045】
また、二流体ノズル16には、酸素等の気体が高濃度で溶解した気体溶存液を高圧状態に保持しつつ供給されているが、この二流体ノズル16は、気体を高濃度で溶解した気体溶存液に代えて他の種類の液体を供給して、その液体を霧状に噴出させて利用することも可能であることは勿論である。
【0046】
なお、前述した二流体ノズル16では、気体噴出面163が底面部分163aとすり鉢状の周面部分163bとで構成され、その周面部分163bにノズル孔165が開口するものであったが、前記周面部分163bは、他の形状、例えば、円筒面状に形成することができる。この場合、各ノズル孔165は、斜め下方に向けて形成することができる。
【符号の説明】
【0047】
11 貯液槽
12、17 送通管
13 第1ガス供給部
14 ポンプ
15 加圧槽
16 二流体ノズル(流体噴出ノズル)
160 ユニット本体
161 液体導入部
161a 液体通路
162 キャビティ
163 気体噴出面
163a 底面部分
163b 周面部分
164 気体通路
164a 気体導入口
164b 気体噴出口
165 ノズル孔
18 第2ガス供給部
19 アクチュエータ
20 開閉弁
21 圧力調整器
22 絞り弁
23 ガス流量調整弁
50 半導体ウェーハ(被洗浄物)
100 洗浄装置
111 テーブル
112 回転軸
113 駆動ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を導入する気体導入口と、気体を噴出する気体噴出口の形成された気体噴出面とを有するユニット本体と、該ユニット本体に設けられ、液体が通る液体通路の形成された液体導入部とを有し、
前記ユニット本体には、前記気体導入口と前記気体噴出口とを結ぶ気体通路と、この気体通路を囲むように形成され前記液体導入部の液体通路が連通する空洞部とが形成され、
前記ユニット本体の前記気体噴出面は、前記気体噴出口の形成される面を底面部分としたすり鉢状に形成され、
前記ユニット本体には、前記気体噴出面のすり鉢状の周面部分で開口し、前記空洞部から続く複数のノズル孔が形成された流体噴出ノズル。
【請求項2】
前記複数のノズル孔の開口は、前記気体噴出面のすり鉢状の周面部分に所定間隔にて円形状に配置された請求項1記載の流体噴出ノズル。
【請求項3】
前記複数のノズル孔それぞれの形成方向は、前記気体通路の前記気体噴出口から外方の延長線からはずれる方向となる請求項1または2記載の流体噴出ノズル。
【請求項4】
前記複数のノズル孔の形成方向は、前記気体通路の前記気体噴出口から外方の延長線の周りを順次旋回しつつ変わる請求項3記載の流体噴出ノズル。
【請求項5】
前記複数のノズル孔それぞれの形成方向は、前記気体通路の前記気体噴出口から外方の延長線に向かう方向となる請求項1または2記載の流体噴出ノズル。
【請求項6】
前記複数のノズル孔の形成方向は、前記気体通路の前記気体噴出口から外方の延長線上の同一点に向かう方向となる請求項5記載の流体噴出ノズル。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の流体噴出ノズルと、
液体に気体を溶解させて気体溶存液を生成する気体溶存液生成機構と、
該気体溶存液生成機構によって生成された気体溶存液を前記流体噴出ノズルの液体導入部に供給する液体供給機構と、
前記流体噴出ノズルの前記気体導入口に高圧気体を供給する気体供給機構とを有する洗浄装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−35166(P2012−35166A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175937(P2010−175937)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】