説明

流体噴射方法及び流体噴射装置

【課題】適用対象に応じた適切な噴射を行うことができ、また液塊が存在しない流体の微粒化を実現可能な流体噴射方法及び流体噴射装置を提供すること。
【解決手段】流体の圧力や温度を制御し、流体をその超臨界状態から噴射する方法である。超臨界状態について、臨界換算密度のゆらぎが1である条件と、臨界換算密度を高密度領域と低密度領域とに画する密度勾配変曲点を満足する条件を適用する。ゆらぎが1未満である擬液超臨界状態と、ゆらぎが1以上で且つ密度勾配変曲点より高圧側に位置する高密度な高密度超臨界状態と、密度勾配変曲点よりも低密度な低密度超臨界状態とに画して把握する。流体を、擬液超臨界状態、高密度超臨界状態及び低密度超臨界状態のいずれか1種の状態から1回又は複数回噴射する同種超臨界噴射、又はこれら状態の少なくとも2種を時間的に前後させて複数回噴射する異種超臨界噴射によって噴射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を噴射する方法及び噴射する装置に係り、更に詳細には、流体を当該流体の超臨界状態を経て噴射する方法及び噴射する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関において、燃料噴射用燃料の微粒化や微細化には、燃料噴射圧力を高め、高圧の状態で噴射するのが有効とされており、高圧燃料ポンプが使用されていた。ところが、高圧燃料ポンプはコストが高く、摺動部に摩耗が生じ易く経時的に劣化するなどの問題があった。
【0003】
これに対し、近年、燃料噴射圧を高圧化することなく燃焼状態を改善する技術として、液体燃料を超臨界状態にし、この超臨界状態の燃料を内燃機関の燃焼室内に供給する燃料供給方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−280123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の燃料供給方法にあっては、燃料は微粒化されるものの下記の点で未だ十分とは言えなかった。
即ち、本発明者らが液体燃料を超臨界状態から噴射する実験を行ったところ、液体燃料に対する温度条件や圧力条件の如何によって噴射状態がかなり異なり、場合によっては、噴射された燃料が凝集して液塊を発生してしまい、そのまま実用に供するには不利なことがあることが判った。
【0005】
また、本発明らが更に検討したところ、流体の超臨界状態は一様な状態ではなく、流体密度によって幾つかの状態に区分でき、且つそれぞれの状態に応じた噴射を生ずることを知見した。
【0006】
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、適用対象に応じた適切な噴射を行うことができ、また液塊が存在しない流体の微粒化を実現可能な流体噴射方法及び流体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、超臨界状態における流体の密度に着目した制御を行うことにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の流体噴射方法は、 流体の圧力及び/又は温度を制御して、当該流体をその超臨界状態から噴射するに当たり、
上記流体の超臨界状態について、
この流体の臨界換算密度のゆらぎが1である条件と、この流体の臨界換算密度を高密度領域と低密度領域とに画する密度勾配変曲点を満足する条件を適用する。
そして、上記臨界換算密度のゆらぎが1未満である擬液超臨界状態と、上記臨界換算密度のゆらぎが1以上で且つ上記密度勾配変曲点より高圧側に位置する高密度な高密度超臨界状態と、上記密度勾配変曲点よりも低密度な低密度超臨界状態と、に画して把握し、
上記流体を、擬液超臨界状態、高密度超臨界状態及び低密度超臨界状態のいずれか1種の状態から1回又は複数回噴射する同種超臨界噴射、又はこれら状態の少なくとも2種を時間的に前後させて複数回噴射する異種超臨界噴射によって噴射することを特徴とする。
【0009】
更に、本発明の流体噴射装置は、上述のような流体噴射方法を実施する流体噴射装置であるが、
上記流体を加圧する加圧手段と、上記流体を加熱する加熱手段と、上記流体を噴射する噴射手段と、
上記流体の圧力を測定する測圧センサと、上記流体の温度を測定する測温センサと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、超臨界状態における流体の密度に着目した制御を行うこととしたため、適用対象に応じた適切な噴射を行うことができ、また液塊が存在しない流体の微粒化を実現可能な流体噴射方法及び流体噴射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の流体噴射方法につき詳細に説明する。なお、本明細書において、濃度、含有量及び配合量などのついての「%」は、特記しない限り質量百分率を表すものとする。
【0012】
上述の如く、本発明の流体噴射方法は、流体の圧力や温度、特に当該流体の臨界換算密度に着目することにより、流体の超臨界状態を擬液超臨界状態、高密度超臨界状態及び低密度超臨界状態の3種類に区画して制御する。
そして、当該流体の種類や用途、適用対象に応じて、これら3種類の超臨界状態からの噴射を適宜組み合わせることにより、当該流体を対象とする用途において適切に噴射することを骨子としている。
【0013】
ここで、「擬液超臨界状態」とは、流体の臨界換算密度のゆらぎが1未満である状態を意味し、「高密度超臨界状態」とは、臨界換算密度のゆらぎが1以上で且つ密度勾配変曲点より高圧側に位置する高密度な状態を意味し、「低密度超臨界状態」とは、密度勾配変曲点よりも低密度な状態を意味する。
なお、この場合、「密度勾配変曲点」とは、流体の臨界換算密度を高密度領域と低密度領域とに画する点(線)を示す。
【0014】
図1は、流体の一例である二酸化炭素(CO)、アンモニア(NH)、メタノール、エタノールや炭化水素の超臨界状態を換算圧力(P/Pc)、換算温度(T/Tc)及び換算数密度(ρ/ρc)で表した状態図である。また、図2は、図1に示す状態図を換算圧力と換算温度の関係で表したグラフである。
【0015】
図1及び図2において、符号Dは臨界換算密度のゆらぎが1である線を示しており、符号Iは密度勾配変曲点を示している。
これらの図に示すように、流体の超臨界状態は、臨界換算密度に着目すると、ゆらぎが1未満であり液体的な超臨界状態を呈する擬液超臨界状態(S.C_a)と、ゆらぎが1以上で且つ密度勾配変曲点よりも高圧側に位置する高密度で若干液体的な状態を呈する高密度超臨界状態(S.C_b)と、密度勾配変曲点よりも低密度で気体的な超臨界状態を呈する低密度超臨界状態(S.C_c)とに区分される。
【0016】
通常、流体を噴射するに際し、当該流体を擬液超臨界状態を経て定常状態(常温、常圧)に開放すると(以下、「擬液超臨界噴射」という)、液状の噴射が得られる。また、高密度超臨界状態を経て定常状態に開放すると(以下、「高密度超臨界噴射」という)、液塊が殆ど存在せず、液塊の飛散が極めて抑制された噴射が得られる。更に、低密度超臨界状態を経て定常状態に開放すると(以下、「低密度超臨界噴射」という)、気体的な噴射が得られる。
【0017】
上述の如く、本発明では、流体を噴射するに当たり、上記の擬液超臨界噴射、高密度超臨界噴射及び低密度超臨界噴射を適宜組み合わせるが、その噴射の態様は、同種の噴射を時系列的に1回又は複数回行う同種超臨界噴射と、異種の噴射を時系列的に複数回行う異種超臨界噴射とに大別される。
【0018】
例えば、同種超臨界噴射には、高密度臨界噴射(噴射回数1)、高密度超臨界噴射−高密度超臨界噴射(噴射回数2)、擬液超臨界噴射−擬液超臨界噴射−擬液超臨界噴射(噴射回数3)のような場合が含まれ、異種超臨界噴射には、擬液超臨界噴射−高密度超臨界噴射(噴射回数2)、擬液超臨界噴射−高密度超臨界噴射−低密度超臨界噴射(噴射回数3)、高密度超臨界噴射−低密度超臨界噴射−高密度超臨界噴射(噴射回数3回)、高密度超臨界噴射−高密度超臨界噴射−低密度超臨界噴射(噴射回数3回)のような場合が含まれる。
【0019】
上記3種の超臨界噴射のうちでは、対象とする流体の液塊が殆ど存在しない噴射を実現できる高密度超臨界噴射を行うことが好ましく、これにより、流体が燃料の場合には瞬時に流体の気化を実現できるなど、種々の利点が得られる。
また、本発明においては、流体噴射を適用する用途や対象にも影響を受けるが、上述の同種超臨界噴射又は異種超臨界噴射を行うに当たり、少なくとも1回の高密度超臨界噴射を実行することが好ましい。
【0020】
また、本発明の流体噴射方法によれば、図1及び図2からも明らかなように、対象とする流体の基本的な臨界物性である臨界点(臨界温度、臨界圧力)、臨界密度を制御することにより、流体の噴射態様を適宜に変化させることができるので、噴射状態の制御を簡易に行うことができる。
【0021】
代表的な流体の臨界点については、臨界点(Tc,Pc)で表示すると、脂肪族炭化水素C4〜C6では(200℃,3.37MPa)、脂肪族炭化水素C6〜C8で(267℃,2.74MPa)、脂肪族炭化水素C8〜C10で(296℃,2.49Pa)、脂肪族炭化水素C8〜C10で(366℃,1.97MPa)であることが知られている。
更に、芳香族炭化水素C5〜C7では臨界点は(289℃,4.82MPa)、芳香族炭化水素C7〜C8で(319℃,4.1MPa)、芳香族炭化水素C8〜C10で(358℃,3.21MPa)、芳香族C10〜C12で(402℃,2.94MPa)であることも知られている。
【0022】
なお、上述の高密度超臨界状態については、流体の臨界換算温度をT、臨界換算圧力をP、臨界換算密度をρとしたとき、(1)流体の臨界換算密度のゆらぎが1以上である条件が、次の(1−1)式及び(1−2)式
≦{9ρ(3−ρ}/{36−4(3−ρ}…(1−1)
≦[{18ρ(3−ρ)}/{9−(3−ρ}]−3ρ…(1−2)
(式中のTrはT=T/T、PはP=P/P、ρはρr=ρ/ρで定義され、T、P及びρはそれぞれ高密度超臨界状態における流体の温度、圧力及び密度を示し、T、P及びρは、それぞれ流体の臨界温度、臨界圧力及び臨界密度を示す)で表され、
(2)流体の換算密度が上記密度勾配変曲点以上に高密度である条件は、次の(2−1)式及び(2−2)式
≧(3−ρ/8…(2−1)
≧−(3−ρ+18(3−ρ)−27…(2−2)
(式中のT、P、ρは上記と同じように定義され、T、P、ρ、T、P及びρは上記と同じものを示す)で表される。
【0023】
本発明の流体噴射方法を適用できる流体としては、特に限定されるものではなく、常温・常圧で全体として液状をなしていれば十分であり、各種の有機系溶媒や水系溶媒、単一成分から成る液体、混合成分から成る液体などを挙げられる。
なお、本発明においては、かかる混合系の流体であっても、上述のように臨界点さえ把握すれば本発明所定の噴射を実現することができる。
【0024】
更に具体的には、流体として、アルコール、ガソリン、バイオ燃料(エタノール含有量3%以下のエタノール混合ガソリンE3、10%以下のE10など)、軽油又は重油、及びこれらの混合物などの燃料が例示できる。
また、かかる流体は、全体として液体状をなしていれば十分であるので、固体状の微粒子、例えばnmオーダーの微粒子を含む液体であってもよい。
【0025】
本発明の流体噴射方法は、各種燃料、特に自動車等の内燃機関用燃料に適用するのに好適であり、通常は、このような燃料を内燃機関の燃料室に噴射することに用いられる。
この場合、上述の擬液超臨界噴射は、高速道路を走行するような場合の定常的な高負荷運転時に適しており、これにより、加熱に必要なエネルギーを抑制しつつPM(パティキュレートマター)の排出を低減することができる。
また、高密度超臨界噴射は、加速時など、過渡的な高負荷運転時に適しており、これにより、加熱に必要なエネルギーはある程度消費するが、気化特性の良好性からPM排出量を極めて効果的に低減することができる。
更に、低密度超臨界噴射は、アイドリングから低速走行時など、低負荷運転時に適しており、気体状噴射が実現できることから、未燃HC(未燃炭化水素)などを低減することができる。
【0026】
また、本発明の流体噴射方法は、ナノ粒子などの超微粒子を生成させる超臨界急速膨張法(Rapid Expansion of Supercritical fluid Solution(RESS))にも適用することができる。
この際、温度、圧力の制御は分散度の制御指数として利用できる。そして、高密度超臨界状態から膨張させると、ナノ粒子を高密度に分散させることできる。一方、低密度超臨界状態から膨張させると、ナノ粒子を低密度に分散させることができる。更に、擬液超臨界状態から膨張させると、超臨界状態に特有の高密度でありながら拡散性に富む分子を分散できなくなる。
このような機能を適用すれば、本発明の流体噴射方法を有機物結晶の成長速度制御因子として利用することができる。また、この流体噴射方法を応用すれば、有機物結晶の収率を向上する温度と圧力の良好な組み合わせを選定する指標として利用できる。
【0027】
更に、本発明の流体噴射方法は、改質した後に噴射を行う処理に適用することができる。
例えば、高密度超臨界状態で液相反応に類似した反応を行い、低密度超臨界状態で気相反応に類した反応を行うことができる。
【0028】
また、本発明の流体噴射方法は、抽出分離処理にも適用できる。
原料と溶媒を混合し、溶媒を超臨界状態にした後に分離槽に送り、圧力を低下させて抽出物を分離することが行われている。本発明の流体噴射方法は、このような分離処理における低密度、高密度の状態を切り替える指標に応用することができ、これにより、所望の抽出物を高収率で得やすくなる。
【0029】
更にまた、本発明の流体噴射方法を用いれば、繊維などの高分子材料の染色などにおいて、微小空間に染料などを良好に供給できる。
通の液体噴霧に比し、噴射された微粒子混合流体が低粘性で高拡散性を有するので、多孔質体中に微粒子を噴霧する場合などには、微粒子の浸透性に優れる。
【0030】
次に、本発明の流体噴射装置について説明する。
本発明の流体噴射装置は、以上に説明した本発明の流体噴射方法を実施する装置である。図3に、本発明の流体噴射装置の一実施形態を示す。
同図において、この流体噴射装置は、流体の一例である燃料の噴射用に構成されており、燃料加圧手段の一例である高圧燃料ポンプ4と、流体加熱手段の一例である断熱材付きのマイクロヒータ2と、流体の温度を測定する測温センサ6と、流体の圧力を測定するピエゾ圧センサ9を備えている。また、高圧燃料ポンプ4は、燃料通路8及び蓄圧器5を介して、噴孔3と一体に形成されたマイクロヒータ2と連結しており、燃料の噴射手段を形成している。
【0031】
なお、燃料の供給は、燃料通路8に連結した燃料供給弁7によって行われる。また、燃料供給弁7による燃料供給量は電子制御装置1によって制御されており、測温センサ6及びピエゾ圧センサ9からの信号は電子制御装置10に送信され、この送信データに基づきマイクロヒータ2からの熱供給量、及び高圧燃料ポンプ4からの圧力が制御されるようになっている。
【0032】
更に、電子制御装置10には、噴射の対象である燃料の臨界点データや、臨界換算密度データが格納されており、これらのデータと測温センサ6やピエゾ圧センサ9からの測定信号を対比調整し、制御信号を測温センサ6やピエゾ圧センサ9に送信する。
これにより、燃料が噴孔3から上述の「擬液超臨界噴射」、「高密度超臨界噴射」、「低密度超臨界噴射」を実現するように噴射される。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
(実施例)
燃料の一例としてヘプタンを用い、図3に示した装置を用いて各種の噴射(A〜N)を行った。なお、各種噴射における噴射条件は、図4に示した通りである。
各種噴射の状態を可視光カメラで撮影し、得られた結果を図5に示す。
図5に示したように、擬液超臨界噴射に属する噴射A〜Jでは、ヘプタンが液状に噴射されているが、高密度超臨界噴射に属するK〜Nでは、噴射状態を可視光ではとらえることができず、液塊が殆ど存在せず、液塊の飛散が効果的に抑制された噴射が実現されることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】流体の一例である二酸化炭素などの超臨界状態を換算圧力(P/Pc)、換算温度(T/Tc)及び換算数密度(ρ/ρc)で表した状態図である。
【図2】図1に示す状態図を換算圧力と換算温度の関係で表したグラフである。
【図3】本発明の流体噴射装置の一実施形態を示す概略側面図である。
【図4】ヘプタンの噴射条件を示すグラフである。
【図5】噴射状態を示す写真である。
【符号の説明】
【0036】
1 電子制御装置
2 マイクロヒータ
3 噴孔
4 高圧燃料ポンプ
5 蓄圧器
6 測温センサ
7 燃料供給弁
8 燃料通路
9 ピエゾ圧センサ
10 電子制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の圧力及び/又は温度を制御して、当該流体をその超臨界状態から噴射するに当たり、
上記流体の超臨界状態について、
この流体の臨界換算密度のゆらぎが1である条件と、この流体の臨界換算密度を高密度領域と低密度領域とに画する密度勾配変曲点を満足する条件を適用して、
上記臨界換算密度のゆらぎが1未満である擬液超臨界状態と、上記臨界換算密度のゆらぎが1以上で且つ上記密度勾配変曲点より高圧側に位置する高密度な高密度超臨界状態と、上記密度勾配変曲点よりも低密度な低密度超臨界状態と、に画して把握し、
上記流体を、擬液超臨界状態、高密度超臨界状態及び低密度超臨界状態のいずれか1種の状態から1回又は複数回噴射する同種超臨界噴射、又はこれら状態の少なくとも2種を時間的に前後させて複数回噴射する異種超臨界噴射によって噴射することを特徴とする流体噴射方法。
【請求項2】
上記同種超臨界噴射又は上記異種超臨界噴射を行うに際し、上記高密度超臨界状態からの噴射を少なくとも1回行うことを特徴とする請求項1に記載の流体噴射方法。
【請求項3】
上記流体の臨界換算温度をT、臨界換算圧力をP、臨界換算密度をρとしたとき、
上記高密度超臨界状態を規定する、(1)上記流体の臨界換算密度のゆらぎが1以上である条件が、次の(1−1)式及び(1−2)式
≦{9ρ(3−ρ}/{36−4(3−ρ}…(1−1)
≦[{18ρ(3−ρ)}/{9−(3−ρ}]−3ρ…(1−2)
(式中のTrはT=T/T、PはP=P/P、ρはρr=ρ/ρで定義され、T、P及びρはそれぞれ上記高密度超臨界状態における上記流体の温度、圧力及び密度を示し、T、P及びρは、それぞれ上記流体の臨界温度、臨界圧力及び臨界密度を示す)で表され、
(2)上記流体の換算密度が上記密度勾配変曲点以上に高密度である条件が、次の(2−1)式及び(2−2)式
≧(3−ρ/8…(2−1)
≧−(3−ρ+18(3−ρ)−27…(2−2)
(式中のT、P、ρは上記と同じように定義され、T、P、ρ、T、P及びρは上記と同じものを示す)で表される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の流体噴射方法。
【請求項4】
上記流体が、液状の単一成分又は混合成分から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の流体噴射方法。
【請求項5】
上記流体が、アルコール、ガソリン、バイオ燃料、軽油及び重油から成る群より選ばれた少なくとも1種の燃料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の流体噴射方法。
【請求項6】
上記流体が、固体状の微粒子を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の流体噴射方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の流体噴射方法を実施する流体噴射装置であって、
上記流体を加圧する加圧手段と、上記流体を加熱する加熱手段と、上記流体を噴射する噴射手段と、
上記流体の圧力を測定する測圧センサと、上記流体の温度を測定する測温センサと、
を備えることを特徴とする流体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−191711(P2009−191711A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32533(P2008−32533)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】