説明

流体噴射装置

【課題】液滴発生器の数が増加し液滴発生器の密度が増大しても、プリントヘッドダイのレイアウトが複雑化しない流体噴射装置の提供。
【解決手段】第1の噴射セル群(1704a〜1704c)及び第2の噴射セル群(1704d〜1704e)を含む噴射セルと、制御回路(1700)とを有する流体噴射装置。制御回路(1700)は、制御信号に応答し、第1の噴射セル群(1704a〜1704c)をイネーブルし、作動させるように構成された第1のシーケンスと、第2の噴射セル群(1704d〜1704e)をイネーブルし、作動させるように構成された第2のシーケンスとを選択的に開始するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、「Fluid Ejection Device」と題する特許出願第[未割り当て]号、代理人整理番号200209168−1、「Fluid Ejection Device With Address Generator」と題する特許出願第[未割り当て]号、代理人整理番号200208780−1、「Device With Gates Configured In Loop Structures」と題する特許出願第[未割り当て]号、代理人整理番号200311485−1、「Fluid Ejection Device」と題する特許出願第[未割り当て]号、代理人整理番号200210152−1、及び「Fluid Ejection Device With Identification Cells」と題する特許出願第[未割り当て]号、代理人整理番号200209237−1に関連する。これらの特許出願はいずれも本願と同じ譲受人に譲渡され、本願と同じ日に出願されたものであり、参照により本明細書に完全記載したものとしてその全体を援用する。
【0002】
[背景]
流体噴射システムの一実施形態であるインクジェットプリントシステムは、プリントヘッド、液体インクをプリントヘッドに供給するインク供給源、及びプリントヘッドを制御する電子コントローラを有する。流体噴射装置の一実施形態であるプリントヘッドは、複数のオリフィス又はノズルを通してインク滴を噴射する。印刷媒体に向けてインクを発射することにより、用紙のような印刷媒体上に画像が印刷される。ノズルは通常、1以上のアレイを成すように構成され、プリントヘッドと印刷媒体が相対移動する際に、ノズルから適当な順番でインクを噴射することによって、文字その他の画像が印刷媒体上に印刷される。
【0003】
典型的なサーマルインクジェットプリントシステムでは、プリントヘッドは、気化室にある少量のインクを急速に加熱することにより、ノズルを通してインク滴を噴射する。インクは、本明細書において噴射抵抗器と呼ばれる薄膜抵抗等の小型電気ヒータを使用して加熱される。インクを加熱するとインクは気化し、ノズルを通して噴射される。
【0004】
一滴のインクを噴射するには、プリントヘッドを制御する電子コントローラが、プリントヘッド外部の電源から電流を流す。電流は選択された噴射抵抗器を流れ、対応する選択された気化室内のインクを加熱し、対応するノズルを通してインクを噴射する。既知の液滴発生器は、噴射抵抗器、対応する気化室、及び対応するノズルからなる。
【0005】
インクジェットプリントヘッドの進化に伴ない、印刷速度及び/又は印刷品質を向上させるために、プリントヘッドの液滴発生器の数は増加している。プリントヘッド1個当たりの液滴発生器数が増加した結果、増加された数の噴射抵抗器に電圧を印加するために、プリントヘッドダイ上に必要とされる入力パッドの数も増加した。プリントヘッドによっては、各噴射抵抗器を対応する入力パッドに接続し、噴射抵抗器に電圧を印加するための電力を供給するものがある。噴射抵抗器の数の増加に伴ない、噴射抵抗器1個につき1個の入力パッドを設けることは不可能になりつつある。
【0006】
プリミティブを備えた別のタイプのプリントヘッドは、入力パッド1個当たりの液滴発生器の数が大幅に増加されている。1本の電力線で、1つのプリミティブ内の全ての噴射抵抗器に電力が供給される。各噴射抵抗器は、電力線及び対応する電界効果トランジスタ(FET)のドレイン−ソースパスに直列接続される。1つのプリミティブ内の各FETのゲートは、独立して電圧を印加することが可能な1本のアドレス線に接続され、そのアドレス線が、複数のプリミティブによって共用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
製造業者等は、プリントヘッドダイ上の入力パッド数を減らし、液滴発生器数を増やし続けている。入力パッドの少ないプリントヘッドは一般に、入力パッドの多いプリントヘッドに比べてコストが低い。また、液滴発生器の多いプリントヘッドほど、一般に印刷品質及び/又は印刷速度は高くなる。コストを抑えつつ特定のスワス(走査帯)高さを得るためには、液滴発生器の数を増やしても、プリントヘッドダイのサイズを大きく変えることはできない。液滴発生器の密度が増大し、入力パッド数が減少するのにつれ、プリントヘッドダイのレイアウトは益々複雑になる可能性がある。
【0008】
こうした理由、及び他の理由から、本発明は必要とされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】インクジェットプリントシステムの一実施形態を示す図である。
【図2】プリントヘッドダイの一実施形態の一部を示す図である。
【図3】プリントヘッドダイの一実施形態においてインク供給スロットに沿って配置される液滴発生器のレイアウトを示す図である。
【図4】プリントヘッドダイの一実施形態において使用される噴射セルの一実施形態を示す図である。
【図5】インクジェットプリントヘッド噴射セルアレイの一実施形態を示す概略図である。
【図6】プリチャージ噴射セルの一実施形態を示す概略図である。
【図7】インクジェットプリントヘッド噴射セルアレイの一実施形態を示す概略図である。
【図8】噴射セルアレイの一実施形態の動作を示すタイミング図である。
【図9】プリントヘッドダイにおけるアドレス発生器の一実施形態を示す図である。
【図10A】シフトレジスタ内の1個のシフトレジスタセルを示す図である。
【図10B】方向回路を示す図である。
【図11】アドレス発生器の順方向動作を示すタイミング図である。
【図12】アドレス発生器の逆方向動作を示すタイミング図である。
【図13】プリントヘッドダイでの2個のアドレス発生器及び6個の噴射群の一実施形態を示すブロック図である。
【図14】プリントヘッドダイにおけるアドレス発生器の順方向動作及び逆方向動作を示すタイミング図である。
【図15】プリントヘッドダイにおけるアドレス発生器、ラッチ回路及び6個の噴射群の一実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の噴射セルバンク及び第2の噴射セルバンクを含む噴射セルと、
制御信号に応答して前記第1の噴射セルバンクをイネーブルし、作動させるための第1のアドレス信号シーケンスと、前記第2の噴射セルバンクをイネーブルし、作動させるための第2のアドレス信号シーケンスとを選択的に生成するように構成された第1のアドレス発生器と
を含み、前記第2のアドレス信号シーケンスは、前記第1のアドレス信号とは無関係に選択的に生成される、流体噴射装置。

【公開番号】特開2010−188735(P2010−188735A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106290(P2010−106290)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【分割の表示】特願2007−509497(P2007−509497)の分割
【原出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】