説明

流体圧駆動装置用手動操作装置

【課題】 空転機構がないため、バルブの開度位置がどの位置にあっても、手動操作ピンによって、伝達ステムとカップリングを連結すれば、直ぐに手動操作することができ、開作動及び閉作動を空転なく行うことができる流体圧駆動装置用手動操作装置を得る。
【解決手段】 流体圧力を動力源としてバルブのステムを回転する回転機構を有する流体圧駆動装置に設けられ、該装置の外部から前記バルブのステムを作動させるための流体圧駆動装置用手動操作装置であって、流体圧駆動装置用手動操作装置1は、流体圧駆動装置の上部に配置されており、伝達ステム2と伝達ステム2の外周に回転可能に取り付けられたウォーム歯車4と伝達ステム2の外周に回転可能に取り付けられ、かつ、ウォーム歯車4に固定されたカップリング6とウォーム歯車4と噛み合うウォーム10を回転するための操作機構と伝達ステム2とカップリング6とを連結する手動操作ピン22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールバルブのように回転作動するバルブの駆動装置として使用される油圧あるいは気圧による往復動装置に併設して、その往復動装置に代わり手動動作を可能にするための流体圧駆動装置用手動操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体圧駆動装置として、代表的なシリンダ式駆動装置は、パイプラインのバルブを作動させるために、特許文献1に記載されているような駆動装置が1例としてあげられる。このような駆動装置では、駆動装置内または装置外の設備の油圧を切換弁により、閉側又は開側のシリンダに供給して、往復作動するロッドをスコッチヨークで回転作動に変換してバルブの開閉を行っている。
【0003】
また、気圧式駆動装置の場合は、油圧に変え空気等のガス圧をシリンダに供給して、ロッドを往復動させてスコッチヨークでステムが回転してバルブが作動する。小口径バルブでは、スコッチヨークに代えピニオンとラックの機構を使用する駆動装置が多い。これらの駆動装置は、動力源の油圧・気圧が故障などで使用できない場合のために手動ポンプが併設されるが、近年より確実にバルブ作動が行えるように機械式の駆動装置の要望が高くなっている。
【0004】
機械式の場合、駆動装置の回転軸をレバーで直接回転させる方法や、往復動するピストンをハンドルとネジにより引いてあるいは押してスコッチヨークを回転させる方法がある。しかしながら、これらの方法は、バルブトルクの小さいものにしか使用することができない。従って、高トルクを含む全てに対応可能な駆動装置は、ウォームとウォームギアを組み合わせた方式が一般的であり、その一例として、特許文献2に記載されているような駆動装置が上げられる。
【特許文献1】特開平8−54083号公報
【特許文献2】特開2006−022893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載されているような駆動装置は、内部に空転機構が必要であり、開側90度閉側90度および調整角度として各々に3〜5度必要となる。このため、開状態から閉状態に作動させた場合、内部機構を90度戻しておかなければ流体圧駆動ができず、また閉作動を直にすることができない。また、このような装置は、内部の空転状態が分かるインジケータを駆動装置の外部に設ける必要がある。
【0006】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決し、さらには小口径バルブにも容易に取付けることができると共にコストダウンを可能にした流体圧駆動装置用手動操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、流体圧力を動力源としてバルブのステムを回転する回転機構を有する流体圧駆動装置に設けられ、該装置の外部から前記バルブのステムを作動させるための流体圧駆動装置用手動操作装置であって、前記流体圧駆動装置用手動操作装置は、前記流体圧駆動装置の上部に配置されており、前記流体圧駆動装置用手動操作装置から下方に突出し、前記流体圧駆動装置内に伸びて前記回転機構と連動する伝達ステムと、前記伝達ステムの外周に回転可能に取り付けられたウォーム歯車と、前記伝達ステムの外周に回転可能に取り付けられ、かつ、前記ウォーム歯車に固定されたカップリングと、前記ウォーム歯車と噛み合うウォームを回転するための操作機構と、前記伝達ステムとカップリングとを連結する手動操作ピンとを備えていることを特徴とする流体圧駆動装置用手動操作装置を提供する。
【0008】
また、前記伝達ステムには、該伝達ステムの軸方向に対して直交する方向に貫通した手動操作ピン用穴が形成され、前記カップリングには、手動操作ピン用穴に対応する挿通穴が形成されており、前記手動操作ピン用穴と前記挿通穴とを合わせ、これらの穴に手動操作ピンを挿入することにより、前記伝達ステムとカップリングとを連結され、該連結は、前記流体圧駆動装置の上部に配置された前記流体圧駆動装置用手動操作装置の上面外部で行われるようになっている。
【0009】
また、前記手動操作ピンには、前記流体圧駆動装置用手動操作装置に設けられた開閉指示板に対して用いられる指針を該手動操作ピンの基端側に設けることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、空転機構がないため、バルブの開度位置がどの位置にあっても、手動操作ピンによって、伝達ステムとカップリングを連結すれば、直ぐに手動操作することができ、開作動及び閉作動を空転なく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明にかかる流体圧駆動装置用手動操作装置を実施するための最良の形態について図面を参照しながら述べる。まず、図4には、本発明の手動操作装置を適用することが可能な流体駆動装置の一例が示されている。図示の流体駆動装置100は、シリンダ式流体圧駆動装置であり、バルブ(図1(B)において符号110で示す)を作動するために用いられるものである。図4に示されるように、流体駆動装置100は、シリンダ102内のピストン103に取り付けられたピストンロッド104の往復運動が、スコッチヨーク101によってバルブステム105を回転駆動させるような構造になっており、このバルブステム105の回転駆動でバルブ(図1(B)において符号110で示す)を開閉作動させている。ピストンロッド104の往復運動は、例えば、図示しない切換弁取付部に設けられた弁を操作することにより自動的に行われるようになっている(流体圧による自動操作)。
【0012】
次に、本発明に係る手動操作装置について図1乃至図3を参照しながら説明する。まず、図1に示すように、本発明に係る手動操作装置1は、図4に示すような流体駆動装置100上に配置されている。バルブステム105がキー106を介して流体駆動装置100と連動するように一体化している。一方、手動操作装置1はその中心部に、バルブステム105と同軸線上に伝達ステム2を有しており、この伝達ステム2は、手動操作装置1下方に突出しており、その下部が流体駆動装置100内に伸びており、キー3を介して流体駆動装置100と連動するように一体化している。すなわち、流体駆動装置100のシリンダ102内に流体圧が入り、ピストンロッド104の動作によってスコッチヨーク101が回転すると、キー106を介してバルブステム105が回動すると共に、キー3を介して手動操作装置1の伝達ステム2が回動するようになっている。従って、流体圧による自動操作により、バルブステム105と同時に手動操作装置1の伝達ステム2が作動する。
【0013】
手動操作装置1の伝達ステム2の略中央部外周には、ウォーム歯車4がベアリング5を介して回転可能に取り付けられている。また、伝達ステム2の外周には、ウォーム歯車4上にカップリング6がベアリング7を介して回転可能に取り付けられている。そして、カップリング6は、ピン8とボルト35によってウォーム歯車4に固定されている。従って、ウォーム歯車4及びカップリング6は、伝達ステム2に対し、ベアリング5,6を介して一体に回転可能に取り付けられている。勿論、ウォーム歯車4とカップリング6はピン8とボルト35を使用せず一体化することもできる。
【0014】
手動操作装置1には、ウォーム歯車4と噛み合うウォーム10を回転するための操作機構が設けられている。この操作機構は、ウォーム軸の両端部を、ウォーム減速機側ボス11とウォーム支持側ボス12とにおいて支持し、ウォーム減速側ボス11には、一次減速機13がボルト14によって固定され、一次減速機13の入力軸には、ハンドル15が取り付けられている。ウォーム減速機側ボス11においては、一次減速機13の出力軸であるフランジ16にウォーム軸キー17によってウォーム軸が連結され、フランジ16は、ベアリング18によって軸支されている。ウォーム支持側ボス12においては、カバーフランジ19がボルト20によって固定され、ベアリング21によって軸支されている。従って、ハンドル15によって、一次減速機13を介してウォーム10を回転させると、ウォーム歯車4がカップリング6と共に回転することができる。
【0015】
伝達ステム2の上部は、手動操作ピン22によって、カップリング6と連結することができるようになっている。手動操作ピン22は、図3に示すように、横断面が楕円形状をしており、基端側には、指針部32が二つのボルト33によって取り付けられている。なお、手動操作ピン22の横断面は楕円形状には限定されない。そして、この指針部32には、ピン22の軸線方向に伸びた指針34が取り付けられている。伝達ステム2の上部には、伝達ステム2の軸方向に対して直交する方向に貫通した手動操作ピン用穴23が形成されている。また、カップリング6の上部には、手動操作ピン用穴23に対応する一対の挿通穴24が形成されている。従って、伝達ステム2の手動操作ピン用穴23と、カップリング6の一対の挿通穴24とを合わせ、これらの穴に手動操作ピン22を挿入することによって、伝達ステム2とカップリング6とを連結することができる。
【0016】
また、手動操作ピン22の指針34は、手動操作装置1の上蓋ケース25上に設けられた開閉指示板45に対して用いられると共に、手動操作ピン22の上記穴への挿入又は上記穴から抜き取りの際の摘み部を構成している。
【0017】
また、カップリング6には、その円周方向において一対の挿通穴24に対して直角位置に一対の別の挿入穴26を形成することができる。また、大口径バルブに対して用いる場合には、伝達ステム2及びカップリング6の径が大きくなるので、直角位置の挿入穴に加えて直角位置以外にも挿入穴を設けることができる。
【0018】
また、伝達ステム2には、その円周方向において手動操作ピン用穴23に対して直角位置に模擬窪み部27を設けることができる。この模擬窪み部27を設けることによって、伝達ステム2の手動操作ピン用穴23と、カップリング6の挿通穴とを容易に整合させることができ、もって、手動操作ピン22による伝達ステム2とカップリング6との連結を容易に行うことができる。
【0019】
上述のように、手動操作ピン22で伝達ステム2とカップリング6とを連結させた場合には、ハンドル15によって、一次減速機13を介してウォーム10を回転させると、ウォーム歯車4がカップリング6と共に回転すると共に、伝達ステム2が回転し、バルブを手動で開閉作動させることができる。一方、手動操作ピン22を上記穴から抜き取り、伝達ステム2とカップリング6とを連結させない場合には、ハンドル15を操作しても、ウォーム歯車4がカップリング6と共に回転するだけで、伝達ステム2は回転しないのでバルブを開閉作動させることができないようになっている。従って、この場合には、流体圧による自動操作によりバルブの開閉作動が行われる。
【0020】
従来の駆動装置においては、内部に空転機構が必要であったが、上記実施の形態によれば、空転機構がないため、バルブの開度位置がどの位置にあっても、伝達ステム2の手動操作ピン用穴23と、カップリング6の一対の挿通穴24とを合わせ、これらの穴に手動操作ピン22を挿入することによって、伝達ステム2とカップリング6とを連結すれば、直ぐに手動操作することができ、開作動及び閉作動を空転なく行うことができる。また、手動操作ピン22を上記穴から抜き取ると、バルブの開度がどの位置であっても流体圧による自動操作を行うことができる。また、カップリング6には、その円周方向において一対の挿通穴24に対して直角位置に一対の別の挿入穴26を形成すると共に、一対の挿通穴24に対して90度の位置に一対のさらに別の挿入穴を形成しておけば、最大45度の回転で伝達ステム2の手動操作ピン用穴23と、カップリング6の挿通穴とを合わせることができる。
【0021】
このように、上記実施の形態によれば、バルブの任意の開度位置で自動操作と手動操作を空転なく行うことができる。また、開度指示に関しては、手動操作ピン22の指針34と開閉指示板45とによって、特別な機構を必要としない直接指示ができる。さらに、従来の駆動装置において、手動操作をレバーで行う場合には、自動運転時にそのレバーを取り外すことを忘れた場合には、レバーが回転するため非常に危険であるが、上記実施の形態によれば、このような危険も生じず、装置の安全性をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1(A)は、本発明にかかる流体圧駆動装置用手動操作装置の実施の形態を示す横断面図、図1(B)は、その縦断面図である。
【図2】図2は、上記実施の形態を示す別の横断面図である。
【図3】図3は、上記実施の形態に適用可能な手動操作ピンの一例を示す図である。
【図4】図4(A)は、上記実施の形態に適用可能な流体駆動装置の一例を示す横断面図、図4(B)は、その別の横断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 手動操作装置
2 伝達ステム
3 キー
4 ウォーム歯車
5 ベアリング
6 カップリング
7 ベアリング
8 ピン
10 ウォーム
11 ウォーム減速機側ボス
12 ウォーム支持側ボス
13 一次減速機
14 ボルト
15 ハンドル
16 フランジ
17 ウォーム軸キー
18 ベアリング
19 カバーフランジ
20 ボルト
21 ベアリング
22 手動操作ピン
23 手動操作ピン用穴
24 挿通穴
25 上蓋ケース
26 挿入穴
27 模擬窪み部
32 指針部
33 ボルト
34 指針(摘み部)
35 ボルト
45 開閉指示板
100 流体駆動装置
101 スコッチヨーク
102 シリンダ
103 ピストン
104 ピストンロッド
105 バルブステム
106 キー
110 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧力を動力源としてバルブのステムを回転する回転機構を有する流体圧駆動装置に設けられ、該装置の外部から前記バルブのステムを作動させるための流体圧駆動装置用手動操作装置であって、
前記流体圧駆動装置用手動操作装置は、前記流体圧駆動装置の上部に配置されており、
前記流体圧駆動装置用手動操作装置から下方に突出し、前記流体圧駆動装置内に伸びて前記回転機構と連動する伝達ステムと、
前記伝達ステムの外周に回転可能に取り付けられたウォーム歯車と、
前記伝達ステムの外周に回転可能に取り付けられ、かつ、前記ウォーム歯車に固定されたカップリングと、
前記ウォーム歯車と噛み合うウォームを回転するための操作機構と、
前記伝達ステムとカップリングとを連結する手動操作ピンとを備えていることを特徴とする流体圧駆動装置用手動操作装置。
【請求項2】
前記伝達ステムには、該伝達ステムの軸方向に対して直交する方向に貫通した手動操作ピン用穴が形成され、
前記カップリングには、手動操作ピン用穴に対応する挿通穴が形成されており、
前記手動操作ピン用穴と前記挿通穴とを合わせ、これらの穴に手動操作ピンを挿入することにより、前記伝達ステムとカップリングとが連結され、該連結は、前記流体圧駆動装置の上部に配置された前記流体圧駆動装置用手動操作装置の上面外部で行われることを特徴とする請求項1に記載の流体圧駆動装置用手動操作装置。
【請求項3】
前記手動操作ピンには、前記流体圧駆動装置用手動操作装置に設けられた開閉指示板に対して用いられる指針が該手動操作ピンの基端側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体圧駆動装置用手動操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−267471(P2008−267471A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110277(P2007−110277)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(595045886)株式会社ティクス (9)
【Fターム(参考)】