説明

流体媒質において化学的変換を実施する装置

少なくとも1つの流体媒質入口、少なくとも1つの流体媒質出口、及び、化学的変換が実施される少なくとも1つの閉込部を有する流れ分配器と、装置を回転、揺動、揺振、又は振動する手段とを備えた、流体中で化学的変換を実施する装置を提供する。少なくとも1つの閉込部は、熱、冷却、音、光、又は他のタイプの放射を提供する、作動機の軸を介して外部源に接触された提供源を備えていてもよい。流れ分配器には、中央に配置された流体媒質入口と定められた周辺流体媒質出口とに接続する区域が設けられていてもよい。装置を回転、揺動、揺振、又は振動させる手段は、磁界を作り出す要素や、外部作動装置に機械的に連結された軸であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物学的変換若しくは化学的変換又は物理的捕捉若しくは化学的捕捉を実施する装置であって、1つ又は複数の閉込部を有し、閉込部を通過する流体の所望の流れが装置を回転、揺動、揺振、又は振動させることによって作り出される装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
反応物若しくは他の媒介物、試料溶質、及び/又は、固体部材と共に流体で運ばれる媒介物の相互作用処理の生成物を搬送する流体媒質に接する固体部材(固定化された化学的試薬、触媒、スカベンジャ、反応担体、若しくは捕捉吸着剤、又は、細胞や細胞の断片などの固定化された生物学的物質を含むがそれらに限定されることはない)を網羅する化学及びバイオテクノロジにおける不均一処理は、二相間での必要な物質移動の達成を、対流に大きく依存している。そのため、このようなシステムはモードを通じた連続的な流れの中でしばしば実施されることがあり、その場合には、適した構成を持つ従来からの充填カラムが、しばしば、反応媒質によって遷移又は浸透させられる固体部材をカプセルに包むための好ましい形式とされている。しかしながら、多くの工程は連続的な処理には不適当となっている。このことは、特に、固体部材を用いており、媒介物の連続的な添加及び/又は副生成物若しくは所望の生成物の連続的な除去が必要な処理、或いは、物理的若しくは化学的条件を途中で変更しなければならない処理に当てはまる。これらの場合には、バッチ式の処理モードが好まれることが多い。このようなバッチ式の不均一処理はいずれも、固体部材を直に撹拌されている流体媒質中で粒状物質として浮遊させ、その工程が終わった後に、通常、ろ過又は沈殿の手段で相を分離する工程によって行うことができる。代わりに、反応が起こるのに必要とされる物質移動の対流を発生させるために、ポンプ及び/又は弁などを含む特別な構成とされたフロー・システムを用いて、流体媒質をバッチ反応器から固体部材を包含する充填容器を通して循環させることができる。このような反応器は、非常に複雑であることが多く、また、特定の目的に対して同じ構造とされなければならない。
【0003】
固相と液相との間での物質移動の対流を効率的に行うという課題は、例えば、固体部材を回転体の外部表面にコーティングする(E. Baltussen, et al., J. Microcolumn Separations, 11 (1999年) 737〜747頁; 米国特許第6,815,216号)、或いは、細いチューブの内側を固体部材でコーティングし、その中に従来からのポンプによって流体媒質を搬送する(R. Eisert, J. Pawliszyn, Anal. Chem., 69 (1997年) 3140〜3147頁; 米国特許第5,691,206号)といった試みが行われてきた。これらの生成物は、意図された分析サンプリングの目的には見合うことができる一方で、包含できる固体部材の量は、外部又は内部表面だけが固体部材として作用するように適合されたシステムでは著しく限定されることになる。さらに、その表面積は、固体部材が表面だけに堆積される反応器の容積に対して比例的には増加しないため、このようなシステムは、規模を大きくするのにもあまり適していない。
【0004】
米国特許出願公開第2007−0189115号には、回転するときに、内部流れを作り出すように構成された中空磁気撹拌機が開示されている。この撹拌機は、生物学的若しくは化学的変換又は物理的若しくは化学的捕捉を実施するための何らかの固体を収容するようには構成されていない。
【0005】
米国特許第6,857,774号には、最も近い先行技術が記載されており、キャビテーションによる撹拌及びポンプ輸送の装置が開示されている。この先行技術に記載される装置の能力は、本発明の装置と同じ原理、つまり、求心力場を用いた流れの発生に一部基づいている。しかしながら、米国特許第6,857,774号による装置は、ここに開示される本発明の範囲にある、変換及び/又は捕捉作用を実施するために固体部材を収容することができる閉込部を備えておらず、その先行技術に記載される装置の目的は、均一溶液において音響化学的反応条件を設定するキャビテーションを促進させることであり、根本的に異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,815,216号
【特許文献2】米国特許第5,691,206号
【特許文献3】米国特許出願公開第2007−0189115号
【特許文献4】米国特許第6,857,774号
【特許文献5】米国特許第3,554,497号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】E. Baltussen, et al., J. Microcolumn Separations, 11 (1999年) 737〜747頁
【非特許文献2】R. Eisert, J. Pawliszyn, Anal. Chem., 69(1997年) 3140〜3147頁
【非特許文献3】C. V. Pittman, L. R. Smith、J. Am. Chem. Soc. 1975、97、1749−54
【非特許文献4】B. J. Cohen、M. A. Kraus、A. Patchornik、J. Am. Chem. Soc. 1977、99、4165−7
【非特許文献5】B. J. Cohen, M. A. Kraus、A. Patchornik、J. Am. Chem. Soc. 1981、103, 7620−9
【非特許文献6】T. H. Maugh、Science、1982、217、719−20
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、大きさを変えられる容器でバッチ又は連続モードの不均一処理に適した装置の構成のための一般的な原理を取り扱っており、内部の閉込部に1つ又は複数の固体部材を包含する実体を網羅する。内部に包含された固体部材を通じて流体媒質の対流を作り出すという課題は、固体部材が流体媒質に浸されているときに、装置を回転、揺動、揺振、又は振動させるだけで確立される。固体部材が内部閉込部に収容されているため、固体部材の体積は、反応器全体の容積に対して比例的に拡大する。そのため、先行技術(E. Baltussen, et al, J. Microcolumn Separations, 11 (1999年) 737〜747頁; 米国特許第6,815,216号)から既知である、固体部材が表面だけにコーティングされた能動的に回転するサンプリング装置と比較して、実質的に優れた拡張性を提供することになる。本発明はまた、装置内における固体部材の閉込部によって構成的に相当な利点を提供し、そのため、外側表面に堆積するコーティングの摩耗によって生じる通気口やフィルタの詰まりなど、固体部材を包含しない装置に固有の問題を効果的に排除できる。
【0009】
したがって、本発明は、流体媒質において生物学的若しくは化学的変換又は物理的若しくは化学的捕捉を実施する装置であって、
少なくとも1つの流体媒質入口、少なくとも1つの流体媒質出口、並びに、入口及び出口に接続された少なくとも1つの閉込部を有し、変換又は捕捉が実施される流れ分配器と、
装置を回転、揺動、揺振、又は振動させる手段とを備えた装置を提供する。
【0010】
閉込部は装置内に空間的に配置されており、そのため、遠心力、流れによる誘起圧力差、及び/又は慣性力が、装置を回転、揺動、揺振、又は振動させることによって確立され、装置が浸される流体媒質は流れ分配器の閉込部を通じて流れる。
【0011】
流れ分配器は、1つ又は複数の中央流体媒質入口を有しているのが好ましい。
【0012】
流れ分配器は、1つ又は複数の周辺流体媒質出口を有しているのが好ましい。
【0013】
流れ分配器の閉込部は、流れによって分配された少なくとも1つの媒介物を含む生物学的又は化学的変換に関わる、又は、その変換を容易にさせる1つ又は複数の固体部材を収容しており、媒介物が固体部材によって1つおきに捕捉させることが好ましい。
【0014】
「化学的変換」及び「化学的反応」の用語はここでは置き換え可能であり、化学的及び生物学的変換の両方を含むと共に、化学的及び物理的捕捉を含むことを意図している。
【0015】
本発明の実施例の1つによれば、閉込部は流れ分配器の中心軸に対称に位置付けられている。
【0016】
本発明の別の実施例によれば、1つ又は複数の閉込部が流れ分配器の周辺に配置されている。
【0017】
本発明の実施例の1つによれば、流れ分配器は、1つの流体媒質入口と、流体媒質入口の平面より上にある平面に配置された1つ又は複数の流体媒質出口とを有する。
【0018】
本発明の好ましい実施例の1つによれば、流れ分配器は、流体媒質が流体出口へと分岐する前に閉込部を通過するように配置された閉込部を有する。
【0019】
本発明の別の実施例によれば、流れ分配器は、中央流体媒質入口から周辺出口に延びる螺旋形状流路として実質的に構成された閉込部を有する。
【0020】
本発明の実施例の1つによれば、流れ分配器は、少なくとも1つの媒介物を触媒して化学的反応を起こすことができる材料で作られ又は覆われている。
【0021】
本発明の別の実施例によれば、流れ分配器は、流路に導入される少なくとも1つの媒介物を化学的に変換できるコーティングとして形成される固体部材を有する。
【0022】
本発明のさらに別の実施例によれば、流れ分配器は、断面が実質的に円形であって、複数の区域が設けられており、各区域は中央に配置された流体媒質入口と定められた周辺流体媒質出口とを接続している。
【0023】
流れ分配器は、複数の区域が設けられた外側又は周辺固定部と、撹拌する手段によって回転するように適合された内側中央部とを有しているのが好ましい。
【0024】
区域は、区域に導入される少なくとも1つの媒介物を生物学的若しくは化学的に変換、又は捕捉することができる材料から作られた同一の又は異なる固体部材が設けられているのが好ましい。
【0025】
本発明の実施例の1つによれば、装置を回転、揺動、揺振、又は振動させる手段は、磁界を作り出す要素である。
【0026】
本発明の別の実施例によれば、装置を回転、揺動、揺振、又は振動させる手段が、外部作動装置に機械的に連結された中実又は中空の軸である。
【0027】
少なくとも1つの閉込部は、試薬の添加又は生成物及び副生成物の除去、加熱又は冷却、或いは、音響エネルギー、紫外線、若しくは可視光、又は他のタイプの電磁放射のような物質又はエネルギーの交換を提供するための手段をさらに備えているのが好ましく、物質又はエネルギーの交換の提供は、作動機の軸を介して外部源に接触されている。
【0028】
電磁エネルギーの交換の提供は、マイクロ波放射、紫外線又は可視光、及び/又は音響エネルギーを提供して流れ分配器で発生する反応を支援するのに使用されるのが好ましい。
【0029】
物質の交換の提供は、流体媒質に含まれる少なくとも1つの媒介物と、及び/又は、流れ分配器に配置された少なくとも1つの媒介物と反応できる気体を提供するのに使用されるのが好ましく、気体は作動機の軸を介して提供されている。
【0030】
本発明の実施例の1つによれば、閉込部は触媒となる固体部材を包含する。
【0031】
本発明の別の実施例によれば、閉込部は、流体の流れによって運ばれる媒介物と化学的反応することができる物理的に捕捉された又は化学的に結合された試薬を含む固体部材を包含する。
【0032】
本発明のさらに別の実施例によれば、閉込部は、流体の流れによって供給される媒介物を変換することができる固定化された生物学的実体である固体部材を包含する。
【0033】
本発明のさらに別の実施例によれば、閉込部は、固相合成を実施するのに適切な支持材である固体部材を包含する。
【0034】
本発明のさらに別の実施例によれば、閉込部は、流体の流れから物質を捕捉できる固体吸着剤である固体部材を包含する。
【0035】
本発明のさらに別の実施例によれば、閉込部は、クロマトグラフィ分離に適した固定相である固体部材を包含する。
【0036】
本発明の好ましい実施例の1つによれば、2つ以上の閉込部は、直列に連結され、異なる固体部材で満たされている。
【0037】
本発明の別の好ましい実施例によれば、2つ以上の閉込部は、並列に連結され、異なる固体部材で満たされている。
【0038】
本発明による装置は、直列及び並列に連結されて組み合わされた閉込部を備えているのが好ましい。
【0039】
固体部材は、閉込部内に配置された1つ又は複数のカートリッジに設けられているのが好ましい。カートリッジは、作業を容易とするために交換可能とされているのが好ましい。
【0040】
本発明の別の実施例によれば、流れ分配器の内部流路が、内部の流れが主に慣性作用によって確立されるように構成されている。
【0041】
本発明の別の実施例によれば、装置は、流れ分配器の入口から出口の間に配置された流れ作動弁をさらに備え、速度を緩急させて装置を揺動又は装置を回転させることで液体が入口から出口へと流れる。
【0042】
本発明の別の態様では、流体媒質で生物学的若しくは化学的変換又は物理的若しくは化学的捕捉を実施する方法であって、その方法は、装置を回転、揺動、揺振、又は振動させることによって装置内に流体媒質の対流を作り出すステップを含み、装置は、少なくとも1つの流体媒質入口と、少なくとも1つの流体媒質出口と、それら入口及び出口に連結される少なくとも1つの閉込部とを有し、変換又は捕捉が実施される装置である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】軸によって作動され、固体部材を包含する本発明による装置の最も簡略化された形態での実例の概略図である。
【図2】遠心力及び可及的にはベルヌーイの効果に基づいて、本発明の一般的な原理によって構成された本発明の磁気作動の管状装置の立体図及び断面図である。
【図3】同一の形状とされた固体部材A、Bの2種類の組み合わせが、異なる機能性を有し、直列及び並列とする方法でどのように包含されているかを示す図である。
【図4】従来からの固体磁気回転棒が、作動のためと、内部空間を2つの別個の区画室に分割するためとの両方に使用される、中空のパック形状に形成された本発明の装置を示す図である。
【図5】機械的又は磁気的に連結された作動のいずれにも適合させることができる、固定された区域を有する中空のパックに形成された本発明の装置を示す図である。
【図6】交換可能な挿入物を有する中空のパックとして構成された、本発明の装置を示す図である。
【図7】ベルヌーイの原理によって主に機能するように構成された本発明の機械的に作動される装置を示す図である。
【図8】渦の形成を最小とするように構成された回転内側部及び静止外側部を備えて構成された本発明の装置を示す図である。
【図9】周辺に配置された流体出口を備えた、慣性の原理に主に基づく本発明の装置を示す図である。
【図10】積み重ねに適しており、中央に配置された流体出口を備えた、慣性の原理に主に基づく本発明の装置を示す図である。
【図11】複数の平行するアルキメデス螺旋の経路とされた内部流路を備えた、慣性の原理に主に基づく本発明の装置を示す図である。
【図12】複数の平行するアルキメデス螺旋の経路とされた内部流路を備えており、出口が中央軸に戻される経路とされている、慣性の原理に主に基づく本発明の装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、限られた数の基本的な物理原理を用いて、密接に関連しつつ新規な組み合わせの装置の構成を容易にする。本発明による装置は、同じ組み合わせの基本原理にすべて基づいており、異なる大きさの容器で用いられる場合に、閉込部内で生物学的処理、化学的反応、又は物理的若しくは化学的捕捉を実施するのに利用することができる。大まかに言えば、本発明は、流れ分配器を備え、少なくとも1つの流体媒質入口と、少なくとも1つの流体媒質出口と、少なくとも1つの閉込部とが意図的に配置されており、回転、揺動、揺振、又は振動により装置を撹拌する手段(以降、「適用可能撹拌モード」と呼ぶ)と組み合わされた内部配管を有する装置であって、それにより、装置が、流体媒質に浸されており、その特定の装置構成の変形に適用可能な撹拌モードで撹拌されるときに、回転基準座標系における仮想遠心力(以降、単に「遠心力」と呼ぶ)、主に周辺出口を通るときに流体の流れによって発生する圧力低下として作用するベルヌーイの原理、及び/又は、揺動、揺振、若しくは振動動作によって発生する慣性のいずれかが、独立又は複合して駆動力を与え、流れ分配器及び流れ分配器の閉込部を介して流体入口から流体出口に流体媒質の流れを確立する装置に関する。根本的に異なるいくつかの物理的原理が装置内で流体の内部流れを確立する際に作用するとして言及されている理由は、これらのうちの2つ以上が、ここに開示される一般的な原理により構成及び作動させられる装置において、いずれかのときに有効となる可能性があるからである。実際、下記の構成の実例の多くで開示されているように、振動のない一定の作動によって機能させるときには、装置を通過する流体媒質の流れを確立する上で少なくとも遠心力及びベルヌーイの原理が何の有効性も発生しないような一般的な原理に従って実用的な装置を作り出すことは難しい。このように構成された流れ分配器は、流体の流れによって運ばれるか他の手段によって流れ分配器に提供される少なくとも1つの媒介物が、生物学的工程若しくは化学的反応を受け、及び/又は物理的若しくは化学的捕捉されるように適合されている。流れ分配器の閉込部で起こるこのような処理、反応、及び/又は捕捉は、空間充填の微粒子又は一体的な充填として流れ分配器の閉込部内に、若しくは、流れ分配器の内側表面だけに堆積された固体反応部材との相互作用によって、及び/又は、流れ分配器の閉込部に機械的な作動機の要素によって紫外線若しくはマイクロ波などの電磁放射(限定されるものではない)、又は音響エネルギーを向けることで達成又は促進され得る。本発明は、容器それ自体の内側壁内に充填されていたり、内側壁にコーティングされていたりする簡単な固体部材を使用すること、つまり、多くの分野の先行技術で周知の実施を含んでおらず、代わりに、ここで明らかとされる発明なるものとは、装置自体によって、並びに、装置の入口、内部流路、及び出口の構成のため、上記の適用できる1つ又は複数の撹拌モードで作動されるときに流体媒質の内部流れを確立できる装置と、装置内に含まれる1つ又は複数の固体反応又は捕捉部材との組み合わせることである。
【0045】
装置内で起こる反応から生じる生成物は、例えば、バイオテクノロジにおける固定化された細胞及び化学における固相合成に基づいて広く用いられている不均一反応スキームにおいては、出口から運び出されるか、固定反応部材上に堆積することができる。さらに、下記に記載するいくつかの実施例では、開示される原理に従って製作された装置は、単一の閉込部で混合されるか、又は複数の内部閉込部で空間的に分離された複数の固体反応部材を収容するように構成することができ、分離された部材を収容する複数の閉込部は、直列又は並列に、又はそれらをいずれかに組み合わせて連結することができる。それにより、固定化された生体材料、化学試薬担体、反応保持体若しくは触媒、クロマトグラフィ分離媒質、又は捕捉吸着剤をいずれかに組み合わせて同じ装置で同時に使用することができることになる。閉込部が複数の装置の特に有益と思われる用途は、直列式の捕捉と組み合わされた生物学的若しくは化学的な変換、又は、固体担体に固定化されている場合を除く拮抗する2つ以上の試薬を用いた逐次反応であり、その逐次反応は先行技術(C. V. Pittman, L. R. Smith、J. Am. Chem. Soc. 1975、97、1749−54; B. J. Cohen、M. A. Kraus、A. Patchornik、J. Am. Chem. Soc. 1977、99、4165−7; B. J. Cohen, M. A. Kraus、A. Patchornik、J. Am. Chem. Soc. 1981、103, 7620−9; T. H. Maugh、Science、1982、217、719−20)に詳しく記載されている。生成物ダウン・レギュレーション、又は、触媒が生成物によって汚染される触媒化学的反応の傾向があるバッチ・モードの生物反応器もまた、ここに記載される技術を用いて生成される材料の直列的な捕捉を備えた、本発明による装置の十分に実現可能な実施例である。
【0046】
装置の形状は、円筒形、球形、立方形、又は他の任意の形状であればよく、その形状を通過して、圧力差、遠心力、及び/又は慣性によってもたらされる内部での流体移動を確立することができ、それらの力は装置自体を回転、揺動、揺振、又は振動させるだけで確立される。
【0047】
本発明の実施例の1つでは、装置は一定又は可変の角速度で回転させられ、生物学的若しくは化学的反応又は物理的若しくは化学的捕捉を実施するのに適した少なくとも1つの閉込部を備えている。流体媒質の流れによって通過又は浸透される閉込部は、流体媒質が流体出口へと分岐する前に閉込部を通過するように、流れ分配器の回転軸に対称に配置されているのが好ましい。代わりに、1つ又は複数の閉込部が流れ分配器の周辺に配置されており、複数の閉込部が用いられている場合には、それら閉込部は、単一の流体媒質入口から分岐された流体媒質の流れによって通過又は浸透される。実施例によれば、流れ分配器は運動量の軸に又はその近くに配置された1つの流体媒質入口と、装置によって描かれる円の周辺の近くに配置され、中心軸又は装置の質量中心回りに撹拌される2つ以上の流体媒質出口とを有しているのが好ましい。本発明の装置の流れ分配器は、空の又は固体部材で満たすことができる1つ又は複数の閉込部を有しているのが好ましい。試薬担体又は反応支持体が、共有結合的又は非共有結合的に結合された試薬、捕捉された液体又は気体、或いは、流体媒質内に又は確立された流体の移動中に含まれる少なくとも1つの媒介物と反応できる何らかの物質を、流れ分配器に配置される1つ又は複数の媒介物と共に含み得る場合には、上記の閉込部によって収容される固体部材は、細胞や細胞の断片などの固定化された生物学的活性物質、化学的反応を促進できる触媒、クロマトグラフィの原理によって分離を行える固定相、流体の流れによって運ばれる1つ又は複数の媒介物の選択的な捕捉を実施できる吸着剤、多孔性又は無孔の固体試薬担体、或いは、多孔性又は無孔の固体試薬保持体を含むことができる。この実施例の好ましい代替品においては、反応閉込部は、流れ分配器の中央に配置されており、2つ以上の周辺出口を備えた流れ分配器の中心入口からの媒質の流れを満たす。
【0048】
装置のさらに別の実施例では、流れ分配器は、断面が実質的に円形であって、複数の閉じ込められた区域が設けられており、各区域は中央に配置された流体媒質入口と定められた周辺流体媒質出口とに接続している。このように区域化された区画室は、任意により、空のままとされてもよく、或いは、流体媒質によって区域に導入されるか代わりの方法で区域にもたらされる少なくとも1つの媒介物の生物学的又は化学的変換をするか又は捕捉することができる流体透過性材料から作られた同一又は異なる固体部材で表面をコーティング又は満たされていてもよい。有利な代替品の1つでは、流れ分配器は、複数の区域が設けられた回転しない外側(周辺)固定部と、回転のための手段に適合された内側中央部とを有している。有利には、後に記載する慣性装置と同様に、回転中心要素と静止周辺要素とを備えたこのような構造は、多量の流体媒質が回転のための手段と共に移動しようとする傾向を緩和させ、それにより、回転渦を発生させることなく中心入口から装置の周辺に配置された出口への大きな内部流れを支援することで、反応器としての装置の有効性を支持する。
【0049】
このように記載された実施例において、装置を回転、揺動、揺振、又は振動させる手段は、先行技術に詳しく記載されており、外部作動装置に直接機械的に接続されているか、外部の力場に間接的に結合されていてもよい。その結合は、限定されるわけではないが、特には、装置内に含まれる強磁性要素を振動する外部の磁場に結合する方法があり、その振動する磁場は、機械的な手段、又は、内部の強磁性要素によって装置を電気モータの回転子へと効果的に変換する特定の撹拌モード(その本質はZippererにより開示された先行技術「米国特許第3,554,497号」の原理によって構成される)に必要とされる適切なシーケンスで電気回路によって作動される複数の固定電磁石のいずれかによって作動される強磁場源又は磁場源を、装置の近傍に適切に位置決めすることで確立される。電磁的結合のスキームによる特別な利点は、本発明の流れ分配器を通じて内部に流体流れを確立することができるように開示されたすべての撹拌の形態(回転、揺動、揺振、又は振動)を、可動部品を必要とせず、空間内に多様な構成で電磁石を適切に配置して連続的に作動させることで、純粋に電磁的な手段によって実施することができることである。電磁的結合の原理に基づいて装置を回転、揺動、揺振、又は振動させる手段は、爆発の危険性があるときや、機械的な軸によって漏れの問題が発生する密閉式の反応器においてさらに有利である。
【0050】
流れ分配器は、任意に、流体媒質にある少なくとも1つの媒介物を触媒として化学的反応を起こすことができる流体透過性材料で満たされていてもよい。別の代替品においては、流路は、それに導入される少なくとも1つの媒介物を化学的に変換できる材料で表面が覆われている螺旋形とされている。中心入口にあるチェッキ弁と組み合わされた場合には、このような螺旋形の閉込部は、下記の好ましい実施例で概説されるように、慣性の装置のための流路配置基準を満たす。
【0051】
記載された実施例では、機械的な作動機に直接結合された流れ分配器は、作動機との結合によって、試薬の添加及び/又は生成物若しくは副生成物の除去、加熱又は冷却、音響エネルギーの導入、或いは、流れ分配器の1つ又は複数の反応閉込部と連結するように構成され、異なる波長の光(紫外線、可視光、又は赤外線)又はマイクロ波放射用の統合された放射源又は導波管などの電磁放射の適用といった、物質又はエネルギー交換を提供するための手段をさらに備えることができる。ここで確立される物質又はエネルギーの交換の提供は、一般に、所望される特定の生物学的又は化学的反応を引き起こすための一連の適切な物理的条件を提供するか、又は、生物学的又は化学的反応を制御、加速、若しくは遅延させると考えられる。代替品の1つでは、物質又はエネルギー交換の提供は、作動機の軸を通して外部源に連結されているのが好ましい。このような装置を反応容器に導入すると、上記の物質又はエネルギー交換用の手段と共に、流れ分配器内に配置することができる何らかのセンサからの信号を作動機の軸を介して伝達するための手段を備えた局所的な反応器をその容器内に作ることができる。
【0052】
開示される一般的な原理によって構成された装置は、細胞培養、生体触媒作用、酵素工学、イオン交換工程、固体に支持されたスカベンジャによる選択的除去、不均一触媒による触媒作用、グリニャール反応又は金属試薬、リンカー、オリゴヌクレオチド又はペプチド合成、及び有機合成のいずれかの形態を含むがそれらに限定されることのない種々の生物学的又は化学的反応又は処理で適用可能である。
【0053】
一般的な用語で概説されたことは、それの詳細な説明がより良く理解されために、また、この技術への貢献がより良く理解されるために、本発明の重要な特徴となっている。本発明の追加的な特徴は、以後の本発明の詳細な説明において記載されることになる。
【0054】
この点において、本発明の少なくとも1つの実施例を詳細に説明する前に、本発明は、それの適用において、以下の説明又は図での表示によって明記される構造の詳細及び構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施例でも可能であり、様々な方法で実施及び実行することができる。また、ここで用いられる用語及び専門用語は、説明を目的とするものであり、限定するように見なされるべきではないことを理解されたい。
【0055】
一般的な原理が有効とされれば、この開示の前述の部分で概説したように、種々の装置構成によって作動の一般的な原理が遂行されると考えることができる。実例の構成の概要は次の通りである。これらは、それらの動作によって反応装置を通じた内部流れを確立することの一般的な原理のみの実例となるものであることを理解すべきである。したがって、本発明の範囲は、これらの実例によって成される限定された構成ではないのである。
【0056】
図1に描写される実施例では、化学的反応装置は、概して、軸を介した機械的な力によって流体媒質中で回転される中空の管状体となっており、物質又はエネルギーの交換を提供するための一体的な手段としても機能することができる。図1における矢印は、流体の流れ(点線)及び回転(実線)をそれぞれ示している。装置は、断面が概してT字形となっている流れ分配器(11)を備えている。流体入口(12)は、作動軸(14)が延出する軸方向に配置されており、反応閉込部(13)もまた軸方向に配置されている。この軸は、付随反応物、生成物、又は副生成物の移動や、熱、音響エネルギー、又は紫外線若しくはマイクロ波(限定されるものではない)などの電磁放射のための手段を包含できるように中空にすることができる。上記の装置が回転させられると、軸入口(12)から周辺に配置された出口(15)へと、ベルヌーイの効果が出口のオリフィスに作用するために、圧力差が確立される。この圧力差は、回転する中空装置の軸入口から(概して管状の)本体を通過させて回転する流れ分配器(11)の遠位端に配置された出口から流体を押し出すのを支援する遠心力によって増加させられる。したがって、流体媒質の流れは、装置を通過しつつ、中心入口から回転する周辺端にそれぞれある開口へと向かうように形成される。図1に描写される装置の実施例は、水平線上にある2つの出口と、概してT字形の断面とを呈している。しかしながら、あらゆる数の回転要素がこの実施例で配置された中心入口に連結され、一般的な原理によって動作する装置を確立することができることは明白である。
【0057】
図2は、管状の磁気作動される実体として構成された本発明の実施例の側面及び軸方向の立体図と断面図であり、動作の原理は、図1のように構成された実施例で概説したように、遠心力とベルヌーイの効果との組み合わせである。図2にある装置は、内部にある2つの管状磁石(22)と、入口(23)として機能する4つの中心孔と、フィルタ又はフリット(24)を保持しつつ設けられている2つの周辺出口とを有する管状本体(21)を備えている。固体部材は装置の両方の閉込部(25)に収容することができる。
【0058】
図3は、本発明に従って具体化された装置が、直列及び並列とする方法で2つ以上の固体部材を有してどのように動作することができるかということの原理を示しており、これは、図2に従って実質的に構成される2つの容器を備えた管状の磁気作動される装置で実施される。図3に描写された装置を回転させることで、流体媒質は、回転軸に配置された4つの入口孔(30)を通じて吸引され、そこから装置の2つの回転アームの各々に配置された2つの閉込部(31)に分岐される。そこで流体媒質は遠心力と流体に作用する圧力差との組み合わせによって周辺の出口(32)に向かって押される。間接的な磁気による作動は、本実例では、外部の回転する磁場と相互に作用するように設けられた、2つの内蔵された管状の永久磁石(33)の手段によって図示されている。この具体的な実施例では、装置の各回転アームは、異なる機能の2つの固体部材、固体部材A(34)及び固体部材B(35)を収容するように構成されており、それらは、装置内部で積み重ねることができる、フィルタ/フリットを有する同一形状の交換可能なカートリッジとして実施されている。明確にするため、図3aは空とされた装置を示しており、その装置は、図3bでは固体部材A(34)の4つのカートリッジが嵌め込まれており、単一の機能を有する反応器を形成している。図3cは、各アームに固体部材A(34)及び固体部材B(35)の各カートリッジが1つずつ積み重ねられた、直列相互作用モードで作動される装置を示す。固体部材A(34)は入口近くに配置されており、固体部材B(35)は周辺出口近くに配置されている。入口から各容器に分岐された流体は、先ず固体部材A(34)に浸透して通過し、その後すぐに固体部材B(35)に浸透して通過するように押し込まれる。図3dは、並列の方法で作動するように構成された装置を示し、左側のアームには固体部材A(34)を含む2つのカートリッジが嵌め込まれ、右側のアームには固体部材B(35)を含む2つのカートリッジが嵌め込まれている。液相反応を干渉することなく固体部材Aに続いて固体部材Bによる連続的な相互作用を必要とする反応スキーム(例えば、固体部材Aにおいて生成される生成物又は副生成物である、固体部材Bによる直接的な直列の捕捉)は、直列配置によって恩恵を受けることになる一方で、例えば、固体部材A及びBによる連続的な処理の間に液相でさらなる反応が発生するスキームは、並列配置によって恩恵を受けることになる。実施できる異なる処理工程の数は、この実例のように2つに限定されないことは明らかである。例えば、図5で構成される装置は、4つの固体部材で並列処理する能力を持っており、また、図6の分割要素(63)及び(64)は、それぞれ並列に6つ及び3つの固体部材を収容することができる。カートリッジの厚さは、連続的に構成された処理スキームで3つ以上の固体部材カートリッジを用いるのを可能とするために調整することができることもまた明らかである。さらに、カートリッジの形式にとらわれずに複数の固体部材層で実施する場合に、各層の厚さは、特定の反応スキームを最適化するように任意に構成することができることも同じく明らかである。
【0059】
図4は、中空のパック形状の装置として構成された本発明の実施例を示す。この装置は、シリンダ(43)の内側壁に加工された2つの縦溝(42)に圧入された従来の固体磁気回転棒(41)を有しており、この磁石は、シリンダ本体の底部(44)と蓋部(45)との間でシリンダ内部を直径方向に制限するため、2つの別個の区画室を事実上確立する。このように形成された区画室の各々に対して、2つの孔(46)が外側壁に開けられ、装置の回転方向によって、一方は入口、他方は出口として機能する。内蔵されたフリットを備える中央入口は、図4では壁によって見えないが、装置の底部において軸線方向に配置されている。
【0060】
別のパック形状の実施例が図5に示されており、取り外し可能な蓋部(52)の中央にある入口(51)と、本体部(54)の側面に複数の小さな出口孔(53)とを有している。4つの壁(55)は内部容積を4つの別個の閉込部に分割する。区域化された閉込部に嵌め入れられるように構成された固体部材は容易に交換可能であり、また、先に詳細に記載したように、流体の流れによって運ばれる媒介物を並列処理するため、異なる機能の固体部材を各区画室で使用することができる。パック形状の装置は、図3の管状の装置と比較して、充填アスペクト比(流れ方向に垂直な面積を充填深さで除算)が増加しており、固体部材を通過する流れがより多くなる。閉込部の周辺部での遠心力がより大きくなることによって影響される媒質の相対体積もまた増加し、流体の量がより大きくなるため、流体の流れを入口から押し込んでその中心入口から4つの分割壁(55)によって区画される別個の閉込部を経て遂には周辺出口(53)へと分配する吸引に寄与することになる。図5に描かれるように、この具体的な実施例は、磁力線を直径方向に揃えるようにして(図示せず)底壁に埋め込まれた永久磁石の手段によって磁気作動するように適合されている。本実施例の代替の構成は、機械的な作動軸に取り付けられていてもよく、その軸は、上述のように物質又はエネルギー交換のための手段を備え、入口(51)の代わりに、装置の底壁に軸線方向に設けられた同一形状のオリフィスとして入口を備えるように中空とすることができる。
【0061】
図6は、流れ分配器が交換可能な一組の嵌込具(62、63、及び64)を備えた中空のパックとして構成されているさらに別の実施例を示す。それら嵌込具は、本体部(65)及びそれの蓋部(61)によって画定される回転させられる閉込部を複数の区域に分割するように構成されつつ放射状に配置された分割要素を有して構成されている。各区域は、装置の底壁(66)に配置された軸方向の流体媒質入口(図では本体部(65)の壁によって隠れている)に接続されており、周辺流体媒質出口は、中空のパック形状の本体部(65)の筒状の壁に穿設された複数の孔(67)として実施されている。作動は、回転する分割要素(部品64は、3つまでの埋め込み磁石の収容を提供する分割要素を示す)又は中空パックの本体部に埋め込まれた磁石や、或いは、蓋部(61)を通る中心軸線に連結された軸に連結された直接的な機械的連結のいずれかによって行うことができる。
【0062】
また、図7に示すさらに別の実施例では、図1の装置と一部が同様となっている装置が、ベルヌーイの原理による寄与がさらに高い状態で作動するように構成されている。液体は中心入口(71)に引き込まれ、その入口は、任意に、固体部材を含むように構成することができ、また、図1の装置で示された手法で、機械的な作動機の軸(72)を通じて物質又はエネルギーの交換のための手段を備えることができる。入口部分を通過した後に流体の流れは、軸線に直角を成して回転する同じ長さの2つのアーム(73)を形成する中空の回転要素に分岐する。両アームは、図3で説明した構成で、直列又は並列に固体部材を収容するのに適している。各回転アームの遠位端は、先行技術で周知の原理に従ってそれ自体は構成されている短いベンチュリ管(74)に連結されている。この一組のベンチュリ管は、反対方向を向いて、各アームの周辺出口(75)に直角とされて、それらの貫通路の軸がアーム(73)の回転動作によって描かれる平面と位置合わせするようにして備えられている。図7の矢印で示されるように作動すると、回転によって液体はベンチュリ管(74)を通過し、それにより出口(75)を通過する液体がより速く移動し、ベルヌーイの原理によって、圧力の低下を引き起こす。中央入口(そこでのベルヌーイ効果による影響はかなり少ない)とベンチュリ管に連結される周辺出口との間の圧力差によって、流体は入口から出口へと流れる。装置は中空軸(72)によって機械的に作動され、その軸の内腔は、熱エネルギーの移動、電磁放射、又は、化学的媒介物の追加、及び生成物/副生成物の除去のための導管として機能するのに非常に適している。
【0063】
図8は、他のすべての部品が静止される状態で時計回りに回転する内部要素(81)によって具体化された、本発明の4つの部分から成る装置の分解図である。図8の矢印で示されるように内部要素(81)を回転させると、複数の周辺出口(83)が配置された静止要素(82)内に流れが作り出される。固体部材は、中央入口(84)と一体的に、内部回転要素(81)内、及び/又は静止要素(82)の流路(85)内といった、描かれた実例の複数の閉込部に含ませることができる。装置は、静止要素(82)と連結される蓋部(86)によって覆われており、蓋部は、機械的な軸(87)によって内部回転要素(81)を作動することができるように通路を有しており、作動機の軸は、任意に、中空であったり、物質又はエネルギーを交換するための手段を備えていたりする。この原理によって構成された装置は、多量の流体媒質において、回転渦を発生させずに強い流れを確立するという利点を持っている。
【0064】
図9に描写される装置のさらに別の実施例ではまた、流れ分配器の1つ又は複数の流路は、装置がそれの軸周りに回転する際に装置によって描かれる回転面の周囲の近くに配置されると共に、その周囲に揃えられた周辺通路の部分を含んで構成されている。つまり、その流れ通路の部分の配向は、これまでに言及した図に示される実施例での分岐された方向、つまり、大部分に見られた放射状の方向からかなり逸脱する。このように構成された流路を有する流れ分配器は、中央流体媒質入口に設けられ、流体媒質が入口から自由に流入できる一方で流出するのを防止するように構成された流れ作動のチェック弁(それ自体は先行技術で周知の原理による)と優先的に組み合わされる。周辺出口は開放されたままとすることができる。これらの基準に従って構成されれば、装置は慣性の原理に主に従って作動するように構成され、その装置では、連続する回転パターンの角速度を交互に増減させるか、代わりに、時間の経過において回転が実質的に0となるような振動する回転動作によって装置を正転及び逆転させて揺動させるかのいずれかによって、流れ分配器の閉込部を通る流体の流れが発生する。その流れは、回転方向に揃えられた流路の周辺部での流体の角加速/角減速の慣性作用によってもたらされる。したがって、図9に示す装置の変形においては、流れ分配器は、底において回転軸線に対して中心に配置された入口(91)が設けられたパック形状の本体部(90)を有している。この入口は、緩めに嵌められたエラストマの円板(97)を保持する管状の小さな区画室を有しており、この円板は、内蔵式のチェック弁を形成するように、平坦な底と、上面には放射状に配向されたパターンの隆起とを有している。この原理自体は先行技術において周知である。弁膜の平坦な底面は、流体が入口から装置の外部に流出するのを防ぎ、一方、膜の上面の放射状パターンの隆起は、流体が緩く嵌められた膜を通過して装置内に流入するのを許容する。したがって、弁は、(必要に応じて)適切なメッシュ又はフリット(93)によって所定の位置に保持される固体部材を収容するように適合された閉込部(92)に流体媒質が引き込まれるのを許容する。固体部材の閉込部(92)は、図9の断面A−Aにおける描写面の中心点に垂直な回転軸に対して、径方向に配向されている。さらに閉込部(92)は、パック形状の本体部(90)の周囲に沿ってそれの管状の壁の近くで配向されている慣性路(94)へと接続されている。この円形の配向によって、装置の角速度が加速/減速している最中には常に、慣性力が慣性路(94)の流体媒質に作用して入口(91)から出口(95)への完結したポンプ作用が確実に発生し、装置が一定速度で回転しているときにはポンプ作用は発生しなくなる。内部にポンプを確立するのに必要とされる角加速/角減速は、時間の経過において実質的な回転がないように装置を正転及び逆転させて揺動させるか、連続する回転の角速度を交互に増減させるかのいずれかによって作り出すことができる。本実施例の特別な利点は、流れ分配器を通る内部流れと、多量の流体媒質の撹拌とが、渦を生じさせることなく個々に調整できることである。
【0065】
図9で開示されるように、周辺に配置された2つの出口を有する装置を通る流体の流れは、慣性力、遠心力、及びベルヌーイの力の影響を受けることが理解される。ほとんど慣性だけに基づいて作動する装置を形成するため、出口流路の代替の配置が図10に示される。その配置には、流体の流れの出口が装置の中心に配置されるという追加的な利点がある。本実施例では、図9に示される装置の出口の代替的な変形として記載することができ、流体の流れは、図9に示される装置にあるように一組の周辺に配置された出口(95)を通る流れ分配器を逃れることはできないが、代わりに、慣性路(104)から回転軸に配置された単一の出口(105)に向かって導かれる。これは、内部にある一組の短い垂直な流路(108)の手段によって実現され、それらの流路は、閉込部(102)及び慣性路(104)の上に配置され、直径方向に配向された別個の流路(109)に繋がっている。そのため、慣性路(104)における流体に作用する角運動量によって確立される流体の流れは、(遠心力に抗して)装置の回転軸線に向かって戻るように導かれ、装置の中央の入口(101)と正確に一致するように構成された単一の出口(105)を通じて出て行くように経路が取られる。この構成は、いくつかの装置を直列に作動させるために積み重ねることができるという明確な利点があるだけでなく、i)流体が回転軸線に戻るように経路が取られることで遠心力が無視されることと、ii)入口と出口の両方が回転軸線上に位置しているためにベルヌーイの効果が無視できることによって、内部の流れが実質的に慣性力だけによって支配されることになるということでもまた利点がある。したがって、一連の角加速及び角減速を段階的に付与することで、流体の流れを素早く変化させることができる。したがって、単一の固体部材で流れの反応の停止や、積み上げて直列に連結された2つ以上の固体部材間での段階的な移動を実施することができる。図9及び図10に示される装置の実例はともに(電)磁気連結による作動のための磁石(それぞれ96及び106)を備えているにもかかわらず、原理は、好ましくは中央入口が取り付けられ及び内蔵された軸を介した機械的な連結によって同じように実施することができることは明白であり、その場合には、軸はまた、物質及びエネルギーを閉じ込められた固体部材と交換するための手段を提供することができる。代替として、図10に従って構成された装置が、中央の出口に通じる中空の作動機の軸を介した機械的な連結と組み合わされている場合には、反応器から吐き出される流体を、反応容器から作動機の軸によって運ぶことができる。
【0066】
主に慣性の原理によって作動する装置はまた、図11に具現化されているように、内部の流路を単一又は複数の平行するアルキメデス螺旋として経路を取ることによって実現することもできる。図11では、4つのアルキメデス螺旋が平行に配置されている。この構成では、螺旋形状とされた流路は、固体部材を収容するための閉込部の機能と、慣性路の機能とを兼ね備えている(アルキメデス螺旋は、大まかには、図9に示される実施例の内部流路の慣性部分を規定するものとして適応されているため)。螺旋状に配置された流路の表面積対体積の有利性によって、この実施例は、固体部材が流れ分配器の表面にコーティングされて実施されるものであるときに特に有益である。作動の原理は、図9に示す実施例に非常に近く、さらなる説明を必要とはしないが、主な違いは、図11の装置は固体部材を収容するための別個の区画室がないことである。代わりに、アルキメデス螺旋が、区画室及び慣性路として兼ねている。
【0067】
開示される最後の実施例は、図12で示され、図11のアルキメデス螺旋に基づく慣性の装置の変形であり、出口が中央軸に戻される経路とされている。この出口経路の変形の原理及び利点は、上記の図10で開示される装置において説明したため、ここでは繰り返さない。
【0068】
本発明の使用及び作動の手法のさらなる説明については、同じことが上記の説明から明らかとなるはずである。したがって、使用及び作動の手法に関するさらなる説明は行わないものとする。
【0069】
したがって、上記説明に関して、本発明の部品についての最適な寸法の関係は、大きさ、材料、形状、形態、機能、並びに、作動、組立、及び使用の方法における違いを含んで、当業者には直ちに明白且つ明確となると考えられる。
【0070】
そのため、前述したことは、本発明の原理のみの実例として考慮される。さらに、当業者においては多くの変形及び変更に容易に想到し得るため、本発明をここに示し及び記載した厳密な構造及び作動に限定することは望ましくない。したがって、本発明の範囲内に含まれる限り、すべての適切な変形物及び均等物を用いることができる。
【0071】
「実例1」
ポリ(テトラフルオロエチレン)[PTFE]製の長さが46mmで内径及び外形がそれぞれ6.3mm及び6.5mmの管から、3つの同一の管状装置を実質的に図2に従って用意した。直径2mmのドリルを用いて、管の中央に互いに直角となる2組の孔を設け、そこに2つの環状の希土類永久磁石を両端からそれぞれ挿入し、中央の入口孔を塞がないようにしつつ、できるだけ管の奥まで嵌め込んだ。孔開けされたポリマー製のメッシュ・フィルタを両端に挿入し、続いて、各アームを約500mgのDowex Monosphere 550A LC NG強陰イオン交換樹脂で水酸化物イオンの形態において満たした。次いで、周辺端にポリマー製のメッシュ・フィルタを設け、イオン交換樹脂を所定の位置に維持した。その後、3つの装置を、1リットルの水、ph指示薬としての約10mgのブロモフェノール・ブルー、1gの塩化ナトリウム、及び0.08mlの37%(w/w)塩酸を含む調合された溶液をそれぞれ100ml含んでいる別個の三角フラスコ内に入れた。装置のうちの2つは、300rpmで機械的に回転させ(実験1.1及び実験1.2)、3つ目は回転させなかった(実験1.3)。実験1.2で使用する装置は、テープによって入口孔を塞いでいたため、そこから液体が流入又は流出できなくなっていた。実験1.1及び実験1.3では入口孔を塞がずにおいた。装置液体内での溶液とイオン交換樹脂との間での物質移動の効率は、指示薬が明らかに青色へと変化するまでの時間によって推定された。この実験の結果は、表1の通りである。
【0072】
【表1】

【0073】
この構成においては、陰イオン交換体に対イオンとして結合された水酸化物イオンによって塩酸を単に中和することが、例示する反応となっている。反応が起こるための要件は、酸性の試験媒質の一部であるヒドロニウムイオンが、装置内でイオン交換体へと運ばれ、そこで、対イオンとして添加されている水酸化物イオンと反応するか、溶液中に加えられた塩化ナトリウムから出る塩化物イオンが、装置内に含まれる固体の試薬へと運ばれ、そこで対イオンとしてイオン交換体に添加されている水酸化物イオンと交換させられる。これらは次に溶液へと戻され、酸性の多量の媒質中で過剰なヒドロニウムイオンと反応する必要がある。これら両方の反応に共通することは、この場合には水を主成分とする流体試験媒質によって反応物がイオン交換体(固体部材)へと運ばれることを必要とすることである。したがって、この構成は、単純であるが、回転によって装置を通過して確立される改善された物質移動の高度な例示的実演となっており、また、装置が回転することによって、同じ反応容器での掻き混ぜない同一の装置と比較して、物質移動は少なくとも45倍以上効率がよくなるという結果となった。実験1.3によってさらに、この物質移動向上の7%未満は、周辺出口に配置されたメッシュを通した乱流対流移動によって説明することができることが確かめられた。物質移動向上の増加は、中央孔の塞がれていない回転する装置によってそれの意義が示され、装置の構成と回転との組み合わせによって達成される装置を通じた流体の流れを確立することだけによって説明することができる。したがって、このことは、装置内部(媒質、固体など)と、それが回転させられる流体媒質との間での流体の移動を確立する一般的な原理の実演となっている。
【0074】
「実例2」
【0075】
図9に記載される装置に実質的に従って用意された装置を、0.75gのイオン交換体であるDowex Monosphere A550 LCNG OHで満たし、フェノールフタレインと0.33gのNaClとを溶解し、250mLまで逆浸透水で薄めた3mLの塩酸(0.16M)の溶液に浸した。直流12Vのワイパ・モータを連結し、1分間あたり55スイープで振動動作を行った。指示薬の色の変化によって示されるように、反応は16分後に完了した。
【0076】
対照実験として、振動動作を加えないことを除いて同じ条件下において装置を使用したが、その場合には1時間を超えても反応は起こらなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体媒質において生物学的変換若しくは化学的変換又は物理的捕捉若しくは化学的捕捉を実施する装置であって、
少なくとも1つの流体媒質入口、少なくとも1つの流体媒質出口、及び前記変換又は前記捕捉が実施される少なくとも1つの閉込部を有する、流れ分配器と、
装置を回転、揺動、揺振、又は振動させる手段と
を備えた、装置。
【請求項2】
前記流れ分配器の前記閉込部が、流れによって分配された少なくとも1つの物質が化学的変換するのを可能にさせる1つ又は複数の固体部材を収容している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記固体部材が前記閉込部内に配置された1つ又は複数のカートリッジに設けられている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記カートリッジが交換可能とされている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記閉込部が前記流れ分配器の中心軸線に対称に位置付けられた、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記1つ又は複数の閉込部が前記流れ分配器の周辺に配置された、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記流れ分配器が1つ又は複数の中央流体媒質入口を有する、請求項1から請求項6までのいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記流れ分配器が1つ又は複数の周辺流体媒質出口を有する、請求項1から請求項6までのいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記流れ分配器が、前記流体媒質入口の平面より上にある平面に配置された2つ以上の流体媒質出口と1つの流体媒質入口とを有する、請求項1から請求項8までのいずれかに記載の装置。
【請求項10】
閉込部が、流体媒質が前記流体出口へと分岐する前に前記閉込部を通過するように配置された、請求項1から請求項9までのいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記流れ分配器が、前記中央流体媒質入口から前記周辺出口に延びる螺旋形状流路として実質的に構成された閉込部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記流れ分配器が、少なくとも1つの物質を触媒して化学的反応を起こすことができる材料で作られ又は覆われている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記流れ分配器が、前記流路に導入される少なくとも1つの物質を化学的に変換できる材料で覆われている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記流れ分配器は、断面が実質的に円形であって、複数の扇形部が設けられており、各扇形部は中央に配置された前記流体媒質入口と定められた周辺流体媒質出口とに接続している、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記扇形部は、前記扇形部に導入される少なくとも1つの物質を生物学的若しくは化学的に変換、又は捕捉することができる同一の又は異なる固体部材が設けられている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記流れ分配器は、複数の扇形部と、作動のための前記手段によって回転、揺動、揺振、又は振動するように適合された内側中央部とが設けられた外側又は周辺固定部を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記装置を回転、揺動、揺振、又は振動させる前記手段が、磁界を作り出す部材である、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記装置を回転、揺動、揺振、又は振動させる前記手段が、外部作動装置に機械的に連結された軸である、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの閉込部が、熱、冷却、音響エネルギー、光、又は他の種類の放射を提供する手段をさらに備え、前記提供する手段は前記作動機の軸を介して外部源に接触させられている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記提供する手段がマイクロ波放射を提供するようにされている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記提供する手段が紫外線又は可視光を提供するようにされている、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記提供する手段が音響エネルギーを提供するようにされている、請求項19に記載の装置。
【請求項23】
少なくとも1つの閉込部が、試薬の添加、又は、生成物若しくは副生成物の除去をするために物質を交換する手段をさらに備えた、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
前記交換する手段が、前記流体媒質に含まれる少なくとも1つの物質、及び/又は、前記流れ分配器に配置された少なくとも1つの物質と反応できる気体を提供するようにされている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記閉込部が触媒を包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記閉込部が、前記流体の流れによって運ばれる物質と化学的反応することができる物理的に捕捉された又は化学的に結合された試薬を含む固体部材を包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記閉込部が、前記流体の流れによって供給される物質を変換することができる固定化された生物学的実体である固体部材を包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記閉込部が、固相合成を実施するのに適切な支持材である固体部材を包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記閉込部が、前記流体の流れから物質を捕捉できる固体吸着剤である固体部材を包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記閉込部が、クロマトグラフィ分離に適した固定相である固体部材を包含する、請求項1に記載の装置。
【請求項31】
2つ以上の閉込部が、直列に連結され、異なる固体部材で満たされている、請求項26から請求項30までのいずれかに記載の装置。
【請求項32】
2つ以上の閉込部が、並列に連結され、異なる固体部材で満たされている、請求項26から請求項30までのいずれかに記載の装置。
【請求項33】
直列及び並列に連結されて組み合わされた閉込部を備える、請求項31から請求項33までのいずれかに記載の装置。
【請求項34】
前記流れ分配器の前記内部流路が、内部の流れが主に慣性作用によって確立されるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項35】
前記流れ分配器の前記入口から前記出口の間に配置された流れ作動弁をさらに備え、速度を緩急させて装置を揺動又は装置を回転させることで液体が前記入口から前記出口へと流れる、請求項1に記載の装置。
【請求項36】
流体媒質において生物学的変換若しくは化学的変換又は物理的捕捉若しくは化学的捕捉を実施する方法であって、
装置を回転、揺動、揺振、又は振動させることによって装置内に流体媒質の対流を作り出すステップを含み、
前記装置は、少なくとも1つの流体媒質入口と、少なくとも1つの流体媒質出口と、前記変換又は前記捕捉が実施される前記出口及び前記入り口に連結された少なくとも1つの閉込部とを有する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−519500(P2013−519500A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552414(P2012−552414)
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052050
【国際公開番号】WO2011/098570
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(509302272)ノルディック・ケムクエスト・アーベー (2)
【Fターム(参考)】