説明

流体容器に間欠排出能力を付与するストッパー機構

【課題】 着脱容易・自然脱離皆無ストッパー開発
【解決手段】 流体排出機構付き容器1に嵌装された接続筒部材2の係止用透孔2cに、環状ストッパー4の内側突設係止爪41を嵌入係止させて流体の不時排出を防止すると共に、ストッパー4とアクチュエーター3との間隔が排出に伴って短縮され、遂には接続筒部材2の係止用透孔2cに係止爪41が再係止されるストッパー機構。第1変形接続筒部材2v1に冠装された筒型ストッパー5の下端域から張出す脱離用摘み51の両側から上昇する切込み52と共に、その内壁下端の内向け突部が接続筒部材2v1の下端2v1deに係合。第2変形接続筒部材2v2外壁から突設された係止爪21v2が変形環状ストッパー4vの外環部4vxに穿設された係止用透孔43に着脱可能に嵌入されている。
【効果】 工具無しに開封・再封可能。所定量服用確保。自然弛緩無し。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種の流体排出機能を備えた容器の中でも特に、スプレーヘッドを備えたスプレー容器に間欠噴射能力を付与するストッパー機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のスプレー容器においては、間欠スプレー能力を実現する為に実用的と評価され得るものは今以て提供されていない。従来用いられて来た間欠能力付与機能とは例えば、重力作動弁の様に流体容器中の内圧低下に応じて重い弁体が流通路を閉鎖する間欠弁、スプリング作動弁の様に流体容器の内圧によって開かされていた流通路が内圧低下に伴ってスプリングが流通路を押圧閉鎖する間欠弁又は差圧作動弁の様に流体容器中の内圧によって弁体が押圧変形されて開かれた流通路が内圧低下に伴って弁体が原形に復して流通路を閉鎖する間欠弁等が用いられていた。
【0003】しかし、上記の何れの間欠弁も流体の供給量(噴出量、流出量又は吐出量を包含)をその容器の内圧に基づいて規制することから来る制約即ち、簡単な機構で供給量を再現性良く規制することは困難という制約を回避し得なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は従来の流体容器特に、スプレー容器に伴う上記の問題点を改良することにある。詳しくは、本発明の目的は従来のスプレー容器等を殆ど改造せずに、それに装着するだけで容易に操作でき、確実な間欠噴射能力を付与し得るストッパー機構を提供することにある。更に詳しくは、本発明の目的は容器頚部への着脱が容易で、作動が確実であると共に、容器から脱離後には可燃物としてその侭で(分解も分別も要せずに)廃棄物処理へ廻すことができるストッパー機構を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者はそのストッパー機構として、次記に例示するリング状(環状)又はチューブ状(筒型)のものを提供する。本発明は下掲の構成要件の結合によって所期の目的を達成するものである。
(1)略平面内における断面形状が閉曲線状であって弾性変形後にも原形への復元性に富み、前記の閉曲線を含む平面を貫通する流体容器の頚部に接続された接続筒部材を前記平面に含まれるか又は該平面に略平行な直線上に対向する係止部で挟み締める環状ストッパー又は前記接続筒部材に冠装される筒型ストッパーであって、その内壁の一部分以上に設けられた係止部で該接続筒部材を絞り締めることによって係止されるストッパー機構。
(2)閉曲線が略楕円形、略小判型、略樽型、略卵形、略方形、略糸巻き型及び略紙クリップ型から選ばれる形状であって、その外環部の対向位置から接続筒部材向けに係止部が設置された前記項1に記載の環状ストッパー機構。
(3)略平面内における断面形状が閉曲線型であって弾性変形後にも原形への復元性に富み、前記の閉曲線を含む平面に対して垂直方向には薄い、略環状体がその内周から突設されて相互に対向する2個の係止爪を連絡する直線に対して略垂直な直線上で相互に接近する様に変形されることによって、両係止爪が接続筒部材に設置された係止用透孔から離脱する前記項1又は2に記載の環状ストッパー機構。
(4)略平面内における断面形状が閉曲線型であり、弾性変形後にも原形への復元性に富む筒状体が天板又は脱落防止用部付きの略円筒形、略四角筒形、六角筒形又は八角筒形等から選ばれる多角形筒であって、その内壁の相互に対向位置に設けられた係止部が前記接続筒部材の係止部に係止されていると共に、その下端縁から多角形筒の略母線上を上方向けに走る切込みが相互に所定の間隔で設けられている前記項1に記載の筒型ストッパー機構。
(5)多角形筒の下端縁から多角形筒の母線上を相互に所定の間隔で天板部向けに走る2本以上の切込みに挟まれた脱離用舌片がその下端域に印加される外方又は上方向け外力によって引離される結果、冠装されている流体容器頚部から多角形筒が脱離可能にされる前記項1又は4に記載の筒型ストッパー機構。
(6)環状ストッパー機構の係止部がその内周上から突設された係止爪であって、接続筒部材にはこの係止爪が係止される係止用透孔が設けられている前記項1〜5の何れかに記載の環状ストッパー機構。
(7)環状ストッパー機構の係止部がその内周上から外周向けに穿設された係止用透孔であって、第2変形接続筒部材の外壁からはこの係止用透孔に嵌入係止される係止爪が突出されている前記項1、2、4及び5の何れかに記載の環状ストッパー機構。
(8)筒状ストッパーと組合わされる第1変形接続筒部材がその上半部に透孔を備えても良く、その下端域に筒型ストッパーの脱離用摘み部内壁から突設された突部と係合する係止部を備えた前記項1、4及び5の何れかに記載の第1変形接続筒部材。
(9)変形環状ストッパーと組合わされる第2変形接続筒部材の上半部外壁から変形環状ストッパーに穿設された係止用透孔に嵌入する嵌入用係止爪が設けられている前記項7に記載の第2変形接続筒部材。
【0006】
【発明の実施の形態】<環状又は筒型ストッパーの形状及び材質>本発明のストッパー機構がリング状又はチューブ状の場合を例に採って以下、図面に基づいて具体的に説明する。本発明において上下左右前奥等は説明の便宜上の表現である。
【0007】本発明のストッパーは環(リング)状又は筒型(チューブ状)の何れにせよ、外力による比較的大きな変形後にも原形への復元性に富む材料(弾性材料)で形成されている。それと共に、その弾性材料は一旦所定の形状に賦形された後には、その形状を長期間に亙って保持し得ることを期待される。本発明の環状ストッパーがその内壁面に形成された係止部(係止手段)によってその内側に位置する接続筒部材(第1変形接続筒部材及び第2変形接続筒部材を包含)に設けられた係止部と係合され得るものである限り、その係止部の形態又は種類は何れでも差支え無い。
【0008】とはいえ、本発明における係止部として実用的に好ましいものは片方に設けられた係止爪と他方に設けられた係止用透孔との嵌入固定方式である。尤も、筒型ストッパーと接続筒部材との係合方式はこれらとは異なり得る。また、後掲の図9に例示される好適別異態様においては、一体型SA部材の第1変形接続筒部における上半部には係止用透孔又は係止爪等の係止部を備えることを要しない。その理由はこの方式で用いられる係止方式が全く別異であることに帰せられる。
【0009】本発明のストッパーを成形する材料樹脂(素材樹脂)として実用面から好適なものとしては、前掲の性状を備えていることを前提として、成形性、保形成、成形容易性、材料価格及び生産性その他の条件を勘案すれば熱可塑性樹脂であって例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、硬質ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。ここで、樹脂とは、必ずしも結晶性重合体に限らず、成形業界で樹脂として認識され、流通され、成形又は賦形等の処理に供されているものを包含する概念である。
【0010】本発明のストッパーを形成する材料として、結晶性ポリオレフィン樹脂は熱可塑性樹脂の中でも、平均的な実用性においては最適材料の1種である。結晶性ポリオレフィン樹脂としては例えば、結晶性ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン、結晶性ポリ-1-ブテン、プロピレン−エチレン結晶性共重合体及びプロピレン−1-ブテン結晶性共重合体を挙げることができる。
【0011】結晶性ポリオレフィン樹脂の中で実用性において最有力のポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂について更に説明すれば、ストッパーを形成するには結晶性樹脂であることが重要で、ポリエチレン樹脂の中では高密度ポリエチレン樹脂が、ポリプロピレン樹脂の中では結晶性(立体規則性)ポリプロピレン樹脂が有力である。医薬品用途等に要求される加圧水蒸気滅菌処理に余裕を持って耐える為には、結晶性(立体規則性)ポリプロピレン樹脂が有利になるが、この他にも、ポリ-4-メチル-1-ペンテン(他の1-オレフィンとの共重合体をも包含)樹脂が高温処理には高い耐性(熱変形温度及び座屈強度)を備えている点で更に優位にある。
【0012】<接続筒部材(総称)の素材>本発明において、流体容器の頚部に冠装されて各種ストッパーと係止関係を実現するものは接続筒部材(総称;第1変形接続筒部材及び第2変形接続筒部材を包含)である。この係止関係実現に加えて、接続筒部材の役割は流体容器の頚部内に挿入される流体排出ポンプを流体容器の頚部上端開口に固定する。
【0013】この様な役割に適合する為には、その素材が流体容器及びストッパーに要求される化学的性質及び機械的性質等を備えていることが好ましい。また、医療用途、食品、嗜好品、美容・理容料等の人体に摂取されるか又は少なくとも接触することを当然に予想すべき用途向けには、各種ストッパーの作成に好適に用いられる結晶性ポリオレフィン樹脂類が一層適する。更に、この接続筒部材には、常時荷重を受けながらも変形し難い性質(耐クリープ変形性)、耐高温性(高熱変形温度:HDT)、防湿性、ガス遮断性(特に、酸素及び二酸化炭素等)の1以上がその用途に応じて重視される。耐高温性(高熱変形温度:HDT)、防湿性、ガス遮断性(特に、酸素及び二酸化炭素等)を何れも高水準で充足する素材としては、非晶性環状ポリオレフィン(単独重合体、共重合体及びその1種以上を含有する組成物を包含)例えば、ポリシクロアルケン樹脂が好適である。非晶性ポリシクロアルケン樹脂として既に提供されている重合体は例えば、トリシクロデセン系重合単位、テトラシクロデセン系重合単位及びペンタシクロデセン系重合単位等を3〜20個程度単独重合又は共重合させて得られるものである。本発明で用いられる素材樹脂における樹脂は狭義の樹脂である結晶性重合体に限らず、樹脂として成形加工され、取引きされている硬質重合体である限り、低結晶性又は非晶性の重合体であっても本発明で用いられる樹脂に包含される。
【0014】<流体容器の素材>本発明において用いられる容器即ち、流体容器を形成する材料は上述の熱可塑性樹脂であれば殆どの場合に差支え無い。中でも、結晶性ポリオレフィン樹脂は容器の形成材料として多くの場合に好適である。尤も、結晶性ポリオレフィン樹脂は他の熱可塑性樹脂に比して低融点であることから、その中でも低融点樹脂であるポリエチレン樹脂にしては高融点側に位置する高密度ポリエチレンであっても、加圧水蒸気滅菌処理の様な結晶融点に近い温度条件で長時間用いられる用途向けには、ポリエチレン樹脂よりも結晶性ポリプロピレン(立体規則性ポリプロピレン)樹脂の方が適性を(耐久性)を備えている。別の観点からは、ポリオレフィン樹脂は耐酸性及び耐アルカリ性に富み、収容されている流体に対して不活性であるという長所を備えている点で、医薬、美容料(化粧品等、染色剤等)、理容料(整髪料、髭剃り料等)、食料、調味料及び嗜好品等を収容する容器としての用途にも地位を確立している。なお、用途からの要求性状が耐高温性(高熱変形温度:HDT)、防湿性、ガス遮断性(特に、酸素及び二酸化炭素等)等の1種以上を重視する場合には、前項に例示されたポリシクロアルケン樹脂が適する場合もあり得る。
【0015】本発明において流体とは、気体、液化ガス又は液体の何れをも包含する。中でも好ましいものは気体、液化ガス又は低沸点液体である。その理由は本発明で流体に期待される役割がプロペラント(推進剤)であることに帰せられる。当然ながら、各種の用途向けには、この流体に各種の主成分等が添加され、或る場合には溶液の形態で、別の場合には懸濁液又は乳濁液(エマルション)等の形態で収容される。
【0016】<図面に基づく説明><<環状ストッパー4>>図1で総括される本発明の好適態様において、図1(A)は本発明の環状(リング状)ストッパー4が略楕円形であって、流体容器(不図示)1の頚部1nに接続された接続筒部材2に外嵌され、その内周面から内向けに相互に対向する位置に突設された2個の係止爪41がそれぞれ流体容器1の頚部1nに接続された断面形状略H字型の接続筒部材2の上半部2uに位置する係止用透孔(又は係止用凹陥)2cに嵌入係止された状態を流体容器1の中心軸(長軸)を含む平面で切断して現れる模式的縦断面図の中で、平面形状が略楕円形の環状ストッパー4の長径線上から見た模式的断面図である。
【0017】図1(A)において、流体容器1は略有底円筒状の流体収容部(貯液部;不図示)1hの中段域に設けられた縮径域を経て稍小径の頚部1nに終わり、その上端開口1mには環状ガスケットGを介して吐出ポンプP例えば、スプレーポンプ等の下段フランジ部Pfが載置され、その上方から接続筒部材2の内壁2iから突設された環状突条2rが下段フランジPfを押圧固定することによって、このポンプPの脚管部Pdが流体収容部1hの液面下へ挿入されて、収容されている流体がスプレーポンプPに吸上げられ、更にこのポンプPから、アクチュエーター3内に備えられた流通管部3cを経由して、アクチュエーター3の上端に開口している排出口3xから流体が排出(噴霧、噴射及び吐出を包含)される。
【0018】<<接続筒部材2>>この接続筒部材2の下半部2dの内壁2iには通常、雌螺条が刻設され、この雌螺条が流体容器頚部1nの外壁に通常は刻設された雄螺条と螺合する。ここで、接続筒部材2の上半部2uと下半部2dとを隔てる境界はその内壁2iから突設された環状突条2rである。この環状突条2rは流体容器1に収容されている流体を押出す吐出ポンプPを流体容器1の上端開口1mに環状ガスケットGを介して上方から押圧固定する役割を果たす。吐出ポンプPとしては通常、スプレーポンプが多用される。
【0019】流体容器1の頚部1n外壁には雄螺条が刻設され、この雄螺条は別体の接続筒部材2の下半部2d内壁に刻設された雌螺条に螺合されてスプレーポンプPの下段フランジPfを挟持固定する。接続筒部材2の上半部2u側壁には、係止用透孔(係止用凹陥)2cが穿設されている。係止用透孔2cは通常、上下に所定の間隔を隔てた2個の組合せで、しかも接続筒部材2の上半部2uの中心に対して点対称に、通常2組が配置されている。この係止用透孔2cは単なる透孔であっても、凹陥であっても、係合方式に応じて選択され得るが、図1〜5における各態様即ち、アクチュエーター3の基筒部3bを環状ストッパー4から突設された係止爪41が接続筒部材2の内側へ貫通した部分で支承して降下を阻止する構造においては、透孔であることを要する。
【0020】とはいえ、別異方式例えば、図11に例示された様な誤作動防止突部4vuがアクチュエーター3の降下を阻止する為に変形環状ストッパー4vの頂縁4vt付近からアクチュエーター3のフランジ部3f下面に当接する様に突設されている方式においては、前記の係止手段43が係止用透孔若しくは係止用凹陥(有底孔;彫込み孔)であることができる。しかし、この係止手段は上記とは別異の形態であるであっても差支え無い。即ち、第2変形接続筒部材2v2の外壁に1本以上の横方向に走る溝であって、変形環状ストッパー4vの内壁面にもそれに嵌合し得る横溝が設けられるか又は変形環状ストッパー4v自体が横方向へ走る波形に変形されている態様等も本発明に包含される。
【0021】なお、図1以降に現れる模式的縦断面図のそれぞれにおいて、接続筒部材2の下半部2d外壁が二重線で表示されている実体は滑止めの縦溝型ローレットであって、接続筒部材2を流体容器1の頚部1n外壁に螺着又は離脱の為の回動を容易にする為の手当である。図1(A)における流体容器1の頚部1nに下半部2dで接続(冠装)された接続筒部材2の上半部2u内には、アクチュエーター3の基筒部3bが上下に滑動可能に内嵌されている。ここで、接続筒部材2の上半部2uと下半部2dとの境界は同部材2の内壁2i中段から突設された環状突条2rである。
【0022】上記のアクチュエーター3は略円筒形の基筒部3bと略倒立ラッパ型の排出外筒部3z及びその内側に装着された流通管部3cとが接合された複合体で形成され、通常は基筒部3bの上端域が排出外筒部3zの下端に位置するフランジ部3fの下面に接合された形態で構成されている。流通管部3cの下端は押圧作動弁の頂部から突出する弁作動棒Prの頂端に略当接していて、アクチュエーター3が押下げられる際に、押圧作動弁を作動させるに十分な距離だけ弁作動棒Prを押下げる。
【0023】図1(B)は同一の係止状態を示すものではあるが、略楕円形の環状ストッパー4の縦断面形状を楕円形の短径方向から見た模式的縦断面図である。従って、図1(B)によれば、環状ストッパー4が横方向へ張出した状態が一見して判る。なお、図1(C)は環状ストッパー4が嵌装されている状態を線A−A(平面A−A)で切断して現れる模式的断面図である。図1(B)及び図1R>1(C)に示された中空矢印は環状ストッパー4を開放する為に印加される外力の方向を示す。
【0024】図1(B)及び図1(C)に説明を戻せば、長径線上で対向する中空矢印に示された挟付け力によって、環状ストッパー4がそれに略垂直の短径方向で外側へ拡開される結果、係止爪41が流体容器1の頚部1n外壁に螺着された接続筒部材2の上半部2uに穿設(又は凹設)された係止用透孔2cから抜出ることになる。この状態で環状ストッパー4を開放(脱離)状態に仮固定するには、環状ストッパー4をアクチュエーター3側へ移動させる。
【0025】この際の環状ストッパー4の移動限界はその頂縁4tがアクチュエーター3の外壁から外側へ拡がるフランジ部3fの下面又は後掲の図4(I)及び図4(J)に表示されたアクチュエーター(スプレーヘッド)3(31及び32を包含)の中段から外側へ張出したフランジ部3f(31f及び32fを包含)の下面に当接するまでで通常は十分である。換言すれば、図4(I)におけるアクチュエーター31及び図4(J)におけるアクチュエーター32の略中段域外壁からそれぞれ張出したフランジ部31f又は32fの下面に環状ストッパー4の上縁4tが下方から当接する位置が環状ストッパー4の移動上限である。この段階では、係止爪41が接続筒部材2の外壁で係止用透孔2cよりも稍上方に当接した状態になっている。
【0026】詳しくは、図1(D)によれば、この係止爪41は係止用透孔2cから抜出(脱離)した後にも、接続筒部材2の上半部2u外壁に刻設された案内縦溝2g中に嵌入されていて、環状ストッパー4が上下動する際に案内縦溝2g内をたどりながら同一の経路上を往復できる様になっている。図2(E)は上方へ滑動可能な状態になった環状ストッパー4が上方へ移動している状態を示す。この移動は上方への引上げ又は下方からの押上げによっても実現され、環状ストッパー4の頂縁がアクチュエーター3のフランジ部3fの下面に当接するまでは行なわれ得る。本質的には、環状ストッパー4の移動はその頂縁4tとアクチュエーター3のフランジ部3f下面との間隔を変化させることである。図2(F)は環状ストッパー4の頂縁がアクチュエーター3のフランジ部3fの下面に当接した後に、アクチュエーター3と流体容器1との間隔が接近する様に操作が行なわれている状態を示し、その結果としてアクチュエーター3の上端に開口された排出口3xから流体貯留部(不図示)1hに収容されていた流体が噴霧(噴射)されている。環状ストッパー4とアクチュエーター3との複合体はその侭案内縦溝2gに案内されて下方へ移動し、遂には係止爪41が係止用透孔2cに嵌入して両者を係止する。
【0027】図2(G)は状態が再び図1(A)へ戻った状態を示す。従って、この状態では最早アクチュエーター3を押下げ(接続筒部材2を引上げ)ようとしても、係止作用に妨げられる。しかし、この状態から再び上記のサイクルを実行するには、上記の説明に従って係止解除操作をすれば可能である。図3(H)は図1(D)の状態を拡大表示する模式的部分拡大縦断面図である。図3(H)において、その左半分は接続筒部材2の上半部2u外壁に穿設された係止用透孔2cに環状ストッパー4の係止爪41が嵌入して、その直ぐ上に位置するアクチュエーター3の基筒部3b下端が降下することを阻止している状態を示してる。他方、図3(H)の右半分は接続筒部材2の上半部2uに穿設された係止用透孔2cから環状ストッパー4の係止爪41が離脱して、接続筒部材2の上半部2u外壁に刻設された案内縦溝2g中を案内されながら上方へ滑動可能になっている状態を示している。
【0028】<<アクチュエーター3の変形態様>>図4(I)及び図4(J)は何れもアクチュエーター3として別異形状の31及び32が装着されている変形態様であって、環状ストッパー4と流体容器(不図示)1との係止態様は図1(A)〜図3(H)に示された態様におけると同一である。なお、図4(I)及び図4(J)の両図には流体容器1が図示されているが、流体容器1は模式的見取り図として示されているに過ぎない。従って、その頚部1n内側の図示は省略されている。
【0029】図4(I)におけるアクチュエーター31では、その内側において流通管部3cが真上向きから横向きに略直角に転向されている。従って、環状ストッパー4が開放されてから、アクチュエーター31が押下げられると、アクチュエーター31が降下しながらその頂部側壁に穿設された排出口(噴霧孔)3xから横方向へ内溶液を噴霧することになる。
【0030】図4(J)におけるアクチュエーター32は図4(I)におけるアクチュエーター31の排出口(噴霧孔)3xが開口する位置に、水平方向へ向かう集中排出部材3x1を備えている。この集中排出部材3x1の役割は流体によって噴霧される目標が小さいか又は周囲を障害物が囲んでいる狭い箇所に位置する目標へ効率良く流体を吹付ける場合に有用である。
【0031】<<環状ストッパー4とその変形態様>>図5(A)は本発明の環状ストッパー4自体を図1(B)に示された線A−Aで表わされる平面と同一の平面で水平に切断した横断面を示す模式的横断面図である。この形状は環状ストッパー4自体をその上方から見下ろした形状を示す図と一致する。
【0032】図5(A)において、環状ストッパー4の外環部4xが略楕円形の外郭を形成し、その内周面において、略短径上の対向位置から2個の係止爪41が容器1向けに突設されると共に、緊締される接続筒部材2の上半部2uを確実に保持する為に、外環部4xの内周から4本の把持片4hが何れも接続筒部材2の上半部2u外周に対して略接線方向に張出している。即ち、この4個の把持片4hの役割は嵌装される容器1の頚部1nに嵌装(外嵌)された接続筒部材2を周囲から把持して、この接続筒部材2の上半部2uを環状ストッパー4の中心付近に位置させることにある。尤も、把持片4hの個数は4個に限らず、更に多数個でも良く、例えば用途に応じて6個であっても差支え無い。
【0033】図5(B)は本発明の環状(リング状)ストッパー4の別異態様(第1変形態様)であって、前述の本発明の環状ストッパー4がその楕円形の長径線上で双方から挟圧して開放されるものであるに対し、図5(B)の態様はその短径線上で外側へ引拡げられることによって開放されるものである点で異なる。従って、図5(B)の態様では、係止爪41の突設方式は図5(A)までに述べられた態様におけると同一であり得るが、引拡げる為には脱離用摘み42が設けられることが有用で、この態様においては環状ストッパー4の外環部4xにおいて略短径線と交差する位置(この位置は外周面上に、中心軸対称の位置で2個ある)からそれぞれ外側向けに脱離用摘み42が各1個突設されている。この脱離用摘み42の摘み面は図5(B)の態様では略鉛直面内にある。とはいえ、この脱離用摘み面は略水平面内にあっても即ち、俯瞰図形で多角形であってもよい。
【0034】図5(C)の態様は環状ストッパー4の第2変形態様であって、環状ストッパー4の平面形状が略方形(正方形及び長方形を包含)に賦形されている。図5(C)の態様は寧ろ図5(B)の態様の変形とも言えるもので、脱離用摘み42を外側へ引拡げられる様に、両摘み42を結ぶ区間に略平行な両辺が伸縮可能にする為に波形に賦形されている。
【0035】図5(D)は本発明の環状ストッパー4が流体容器1の頚部1nに嵌装された接続筒部材2の上半部2uに嵌装された状態を図1(B)に示された線A−A(水平面A−A)で切断して現れる模式的水平横断面である。図5(D)によれば、係止爪41が接続筒部材2に穿設された係止用透孔2cに嵌入してアクチュエーター3が不時に作動状態へ移行する事態を阻止していることが判る。
【0036】図5(E)は図5(D)の状態から環状ストッパー4を開放する際の移行状態を示し、環状ストッパー4をその長径線上で双方から挟付ける外力によって、長径方向には収縮する反面で短径方向には拡大し、それに伴って係止爪41が係止用透孔2cから既に抜出ている状態を示す。<<筒型ストッパー5>>図6で統括される態様は本発明の第2好適態様を示す模式的縦断面図であって、図6(A)は筒型ストッパーが冠装された状態、図6(B)は冠装時の係止関係、図6(C)は上方から見た状態、図6(D)は離脱の初段階、図7(E)は離脱の次段階、図7(F)は噴霧状態及び図7(G)は当初へ復帰した状態を示す。以下に図毎に詳細に説明する。
【0037】図6(A)は筒型(チューブ型)ストッパー5が図1(A)〜図4(B)に示された流体容器1の上部に接続されたアクチュエーター3のフランジ部3fを覆う様に嵌装されている状態を示す模式的縦断面図である。詳しくは、図6(A)において流体容器1の頚部1n外壁には、先ず縦断面形状略H字型の第1変形接続筒部材2v1の下半部2v1dが螺着によって冠装され、その上半部2v1uには直線状アクチュエーター3の基筒部3bが内嵌されている。
【0038】即ち、この第1変形接続筒部材2v1の下半部2v1dの内壁2v1iには雌螺条が刻設され、この雌螺条が流体容器頚部1nの外壁に刻設された雄螺条と螺合する。ここで、第1変形接続筒部材2v1の上半部2v1uと下半部2v1dとを隔てる境界はその内壁2v1iから突設された環状突条2v1rである。この環状突条2v1rは容器1に収容されている流体を押出す吐出ポンプPを流体容器1の上端開口1mにガスケットGを介して上方から押圧固定する役割を果たす。吐出ポンプPとしては通常、スプレーポンプが多用される。
【0039】図6(A)において筒型ストッパー5はその内壁下端域5dから中心軸向けに突設された突部(突条、突起、アンダーカットを包含)5bを備え、その頂縁5uに第1変形接続筒部材2v1の下端2v1deを載せる様に係合させて、自己が上方へ引抜ける事態を防止している。図6(B)は図6(A)における筒型ストッパー5の内壁下端突部5bと第1変形接続筒部材2v1の下端2v1deとの係合関係及び筒型ストッパー5の脱離用摘み51を示す模式的部分拡大縦断面図であって、前記の脱離用摘み51は筒型ストッパー5の内壁下端域5dから外側向け(遠心方向)に突設された扁平状の部分であって、この脱離用摘み51を手指で摘んだ状態で外側向けに容易に引拡げられる大きさ、形状及び強さを備えたものであれば如何なるものでも差支え無い。
【0040】図6(C)は図6(A)において筒型ストッパー5が流体容器1に冠装された状態を上方から見た俯瞰図であって、最外位置を占める広幅の環欠(環の一部分が欠落したもの)は実は2本の環欠が接近して表示されている結果である。2本の環欠の中で外側の環欠は流体容器1の下半部を占める流体収容部(貯液部)1hの外郭線であり、内側の環欠は筒型ストッパー5の下端5dの外郭線であり、内側の環欠に比較的近く位置する円は筒型ストッパー5の上端54の外郭線である。更に、上端外郭線54付近から横方向へ張出す略四角形の部分は筒型ストッパー5の下端5d外壁から外向けに張出した脱離用摘み51であって、この脱離用摘み51の両側に見える環欠との間の細長い間隙は切込み52であって、上記の筒型ストッパー5の下端縁5dから脱離用摘み51を挟んで上方へ続き、この脱離用摘み51を外側へ引出し(引上げ)易くする為の切込みである。ここで、2本の切込み52に挟まれた細幅の区域を脱離用舌片53と称する。これらの各部の形状及び位置関係は後続の図8に明示されている。
【0041】図6(D)は筒型ストッパー5を脱離させる為の初段階であって、脱離用摘み51に始まる脱離用舌片53が外側へ引出されて、その内壁下端5dにおける内壁下端突部5bと第1変形接続筒部材2v1の下端2v1deとの係合関係が外れた状態を示す。なお、図6(D)においてその右肩位置に画定された円形内に表示されたものは図6(D)の右裾位置に丸印で囲まれた範囲の係合関係を拡大表示する部分拡大縦断面図であるが、図番は付与されていない。右裾位置の丸印内の表示でも係合関係が一応読取れると判断されるからである。
【0042】図7で統括される各態様の模式的縦断面図は図6で統括される各態様の中で、1葉の図面に収容できずに別葉(別図)として表示された本発明の好適態様である。図7(E)は模式的縦断面図であって、筒型ストッパー5の脱離用摘み51が外向けに引かれた状態の侭で、筒型ストッパー5がアクチュエーター3と一体的に更に上方向けに引上げられた状態を示し、この図7(E)においては第1変形接続筒部材2v1の上端からアクチュエーター3のフランジ部3fの下面までが所定長だけ離れている。
【0043】図7(F)は模式的縦断面図であって、筒型ストッパー5及びアクチュエーター3が一体的に引上げられた状態から内容流体を排出(噴霧、噴射及び吐出を包含)する為に一体的に押下げられるに伴って、アクチュエーター3の上端に開口した排出口3xから内容流体が上方へ噴出されている状態を示す。図7(G)は模式的縦断面図であって、図7(F)の状態から筒型ストッパー5がアクチュエーター3と共に当初の位置へ復帰し、筒型ストッパー5内壁下端の突部5bが第1変形接続筒部材2v1の下端2v1deを載せる形で係合して、アクチュエーター3の不時の作動が阻止されている状態を示す。
【0044】図8は本発明の筒型ストッパー5が流体容器1とアクチュエーター3との複合体(流体容器1の頚部1nに第1変形接続筒部材2v1を介してアクチュエーター3が接続されたもの)に冠装された状態を示す側面見取り図である。図8において、本発明の筒型ストッパー5の外壁には、その下端縁5dから上方向けに2本の切込み52が所定高さまで走り、両切込み52に挟まれた細長い区域が脱離用舌片53である。この脱離用舌片53の下端には比較的薄い区域が略水平に画定表示されているが、この区域は脱離用摘み51である。
【0045】<<部品一体型>>図9で統括される態様は本発明の第3好適態様であって、図9(A)はアクチュエーター部6aと筒型ストッパー部6sとが一体化された態様を示し、図9(A)の態様では、流体容器1の頚部1n外壁に第1変形接続筒部材2v1が螺着されている点では先行の各態様におけると略同一である。
【0046】しかし、この第3好適態様においては図9(A)に模式的縦断面図の形で示されている様に、アクチュエーター部6aのフランジ部6f(別名フランジ部64)が筒型ストッパー部6sの天板部64を兼ねてその侭下方へ伸びて筒型となり、その下端6dの一部分が外側へ張出して脱離用摘み61になり、一体型アクチュエーター・ストッパー(略称一体型SA部材)6が形成される。
【0047】尤も、脱離用摘み61を挟む両側が第1変形接続筒部材2v1の下端縁2v1deから上方へ切込まれて2本の切込み62を形成し、他方、2本の切込み62に挟まれた細幅の区域は脱離用舌片63となる点及び一体型SA部材6のアクチュエーター部6aが上向きの直線形ノズルを備え、その内部を流通管部6cが貫通して上端に排出口6xを開口している点では先行の各態様におけると異なる点は無い。ここで、図9の態様では、流通管部は6c、その先端の排出口は6x、筒型ストッパー部は6sとなることに留意を要する。
【0048】図9(B)は本発明の一体型SA部材6が流体容器1に冠装された状態をその側面から見た模式的見取り図であって、筒型ストッパー部6sの下端6dから側方へ脱離用摘み61が張出すと共に、その起点に近接した位置から上方向けに切込み62が形成されている。他方、アクチュエーター部6aは横向き排出型に転向され、アクチュエーター部6aの側壁6tに穿設された排出口(噴霧孔)6xから流体を排出(噴霧;噴射;吐出)することになる。
【0049】図9(C)は図9(B)における排出口6xがアクチュエーター部6aの側壁6tに直接に開口するのではなく、側壁から更に横方向へ伸びる横排出部材6x1を備えている。前記のアクチュエーター部6a内部には流通管部6cが貫通してポンプPから送られる加圧流体をアクチュエーター部6aへ供給する。この横排出部材6x1の役割は噴霧される目標が小さいか又は周囲を障害物が囲んでいる狭い箇所等に位置する目標へ効率良く流体を吹付ける場合に有用である。
【0050】<変形態様>図10で統括される態様は本発明の第4変形態様であって、図10(A)は環状ストッパー4の変形態様として、紙クリップ型(握り鋏型)の変形環状ストッパー7を例示する。尤も、紙クリップ型とはいえ、この態様では、紙クリップのその侭の状態ではなく、その鈎型に曲げられた2部分をそれぞれ分離する側へ多少開いて擬似ハート形に変形すると、本発明の第4変形態様に近くなる。
【0051】図10(A)に示された紙クリップ型の変形環状ストッパー7においては、その略楕円形(又は小判型)の外環部7wがその周上の長径に近い位置7w1及び7w2で切断されて、生じた両末端7w1及び7w2がそれぞれ長径側へ曲げ込まれたものである。前記の長径側へ曲げ込まれた両陥入域7b1及び7b2の両末端7w1及び7w2はそれぞれ自由端であって、両陥入域7b1と7b2との間に手指が進入することによって両陥入域が押拡げられる結果、外環部7wも短径方向へ押拡げられて、両係止爪71が接続筒部材2(第2変形接続筒部材2v2をも包含)に穿設された係止用透孔2cから脱離する。これ以後の過程は前述の環状ストッパー4におけると同様で済む。
【0052】図10(B)は前記の紙クリップ型の環状ストッパー7における陥入域7b1と7b2とが操作中に離間しない様にする為の1態様の模式的平面図である。即ち、図10(B)の態様では、両陥入域7b1及び7b2の何れかが他方に切込まれた誘導切込み7i中に挿通された相貫状態に構成され、操作段階に応じて拡開され、次いで原状へ復帰する。その結果、挿通された陥入域7bは他方の陥入域7bから離間する虞は無くなる。
【0053】図10(C)は図10(B)に示された相貫状態を楕円の外側で長径方向から見た模式的見取り図である。図10(A)〜(C)に表示された変形環状ストッパー7における握り部分(外環部)7wの形状は楕円形又は放物線形に限らず、隅丸の長方形(正方形を包含)その他の多角形であっても、それが拡開による変形を原状へ復元する能力に優れた形状であれば良い。握り部分7wの更に別異の形状として、所謂松葉型;V字型;Y字型でも良い。
【0054】図11で統括される態様は本発明における容器頚部1nに外嵌された第2変形接続筒部材2v2とそれに更に外嵌される変形環状ストッパー4vとが逆係合関係にある変形態様例であって、図11(A)は第2変形接続筒部材2v2外壁から突設された係止爪21v2が変形環状ストッパー4vの外環部4vxにおける略短径線上に対向する位置に穿設された係止用透孔43へ嵌入して、変形環状ストッパー4vを第2変形接続筒部材2v2に固定している状態を示す模式的縦断面図、図11(B)は上記の変形係合によって形成された組合せ体の模式的正面図(又は模式的側面図)及び図11(C)は上記の変形係合態様を略水平面(図中では線B−B)で切断して現れる断面を上方から見下ろした模式的横断面図である。
【0055】図11の態様においては、先行各態様におけると同様の倒立ラッパ型アクチュエーター3の基筒部3bが第2変形接続筒部材2v2の上端開口内に浅く嵌入され、前記の第2変形接続筒部材2v2の内部には前出の図1〜9までにおけると同様な方式でポンプPが内装され、第2変形接続筒部材2v2の下半部2v2d内側の空間には容器1の頚部1nが内嵌固定されている。即ち、第2変形接続筒部材2v2の内壁2v2iから環状に張出した環状突条2v2r下縁と流体容器1の頚部1n上端開口1mとの間に排出ポンプP中段外壁から張出したポンプフランジPfを挟持する形態で排出ポンプPが装着されている。このポンプPからは、その下半部に当たる脚部Pdが流体容器1の開口部1m内へ挿入され、更にそれから下方へ伸びる軟質チューブ(不図示)が流体内へ浸漬されて、ポンプPの作動によって流体を吸上げる。
【0056】また、第2変形接続筒部材2v2の外壁からは嵌入用係止爪21v2が突設され、この嵌入用係止爪21v2が第2変形接続筒部材2v2の外側に嵌装された変形環状ストッパー4vに穿設された係止用透孔43中に嵌入されて、両者を着脱可能に固定している。上記の係止用透孔(係止用嵌入孔又は係止用凹陥)43は最も多く採用される形態で、係止用透孔43に代えて凹陥(彫込み孔)の形態に形成された場合には、変形環状ストッパー4vの厚さ(半径方向の長さ)が相当に大きくない限り、両者が確実に係止されることが難しくなる。
【0057】図11の各態様においては、先行態様におけるとは異なって、アクチュエーター3(31及び32をも包含)の不時の下降(押下げ)又は第2変形接続筒部材2v2の上昇(引上げ)を防止する方策として変形環状ストッパー4vの頂縁4vtから上方向けに突設された誤作動防止突部4vuを備えている。この変形環状ストッパー4v内壁には、第2変形接続筒部材2v2外壁から突設された係止爪21v2を案内する案内縦溝4vgが形成されており、変形環状ストッパー4vが係合関係から最低限離脱して上下移動(誤作動防止突部4vuとアクチュエーター3のフランジ部3fとの間隔変更)が行なわれる場合にも同一の係止爪と係止用透孔(係止用凹陥)との係合が再現される。
【0058】尤も、上記の変形環状ストッパー4vは例えば、その頂縁4vt全長でフランジ部3fに当接するには及ばず、通常は中心軸対称(点対称)の2点以上、好ましくは3点以上で当接すれば誤作動防止機能は十分に発現される。ここで2点とは、厳密な点接触に限らず、或長さの線接触及び狭い面接触の何れをも包含する。図11(A)の右半分には、変形環状ストッパー4vの頂縁4vt付近から上向けに突設された誤作動防止突部4vuがその縦断面で僅かに表示されているが、図11(B)には、変形環状ストッパー4vの頂縁4vt付近から誤作動阻止部4vuが略長方形で上向けに突設されている態様が示されている。この誤作動防止用突部4vuの形状は実用的には長方形、丸頭三角形、台形又は山形(波形)等に賦形されていれば十分である。
【0059】
【発明の効果】本発明の環状ストッパー又は筒状ストッパーを用いれば、次掲の各種効果を奏することができる:(1)嵌装状態であれば、保存時には不時の作動の心配が無く、しかも開放時には手指で容易に脱離状態へ移行させ得る;
(2)特定方向から又は特定部位への外力の印加によって、ストッパーが開放された後に、所定量流体を吐出しながらストッパーをアクチュエーターと共に当初の状態へ確実に戻すことができる。この一連の操作は繰返して実行可能である;
(3)片手でも操作可能であることを利して例えば、片手不自由な利用者でも繰返し吐出機能を利用することができる;
(4)両手操作を前提にできる場合には、一方の手でストッパーを開放しながら、他方の手でアクチュエーターを作動させることによって、ストッパーの引上げ段階を省略して排出段階へ移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1で統括される各態様は本発明の好適態様であって、それぞれは接続筒部材に本発明の環状ストッパーが嵌装されるか又は離脱された形状を示す模式的縦断面図である。図1(A)は環状ストッパーが嵌装された流体容器を楕円形ストッパーの長径方向から見た形状、図1R>1(B)は環状ストッパーが嵌装された流体容器を楕円形ストッパーの短径方向から見た形状、図1(C)は図1(B)の状態を面A−A(図面上では線A−A)で水平に切断して現れる形状、図1(D)は環状ストッパーが接続筒部材の係止用透孔から脱離(抜出)した状態を示す模式的縦断面図である。
【図2】図2で統括される各態様は本発明の好適態様であって、本来は図1に表示された一連の各態様に属するものであるが、1葉の図面に収容できないことから別図とされたものであって、何れも模式的縦断面図である。図2(E)は本発明の環状ストッパーが上方(アクチュエーター側)へ移動する状態、図2(F)は本発明の環状ストッパーがアクチュエーターのフランジに当接した状態から、アクチュエーターが押下げられると共に、アクチュエーターの排出口から流体が噴射されている状態、図2R>2(G)は本発明の環状ストッパー及びアクチュエーターが当初の状態に復帰した状態を示す。
【図3】図3に示された態様は本発明の好適態様において、その構成要素である流体容器、介在部材、接続筒部材、環状ストッパー及びアクチュエーター等の相互関係を示す部分拡大縦断面図である。
【図4】図4で統括された各態様は本発明の環状ストッパーが嵌装された接続筒部材において、そのアクチュエーターだけが別異仕様のものであって、図4(I)はアクチュエーターの第1変形態様及び図4(J)はアクチュエーターの第2変形態様を示す。
【図5】図5で統括される各態様は本発明の環状ストッパーの好適態様を示す模式的平面図又は模式的横断面図で、図5(A)は本発明の環状ストッパー自体を示す模式的平面図、図5(B)は本発明の環状ストッパー自体の第1変形態様の模式的平面図、図5(C)は本発明の環状ストッパー自体の第2変形態様の模式的平面図、図5(D)は本発明の環状ストッパーが接続筒部材に嵌装された状態の平面形状からポンプその他を除外して示す模式的横断面図及び図5(E)は図5(D)において、環状ストッパーをその長径線上から挟付ける外力が印加された結果、環状ストッパーがその短径方向へ拡張した状態を示す模式的横断面図である。
【図6】図6で統括される各態様は本発明の好適態様であって、それぞれは接続筒部材に本発明の筒型ストッパーが嵌装されるか又は離脱された形状を示す模式的縦断面図である。即ち、図6(A)は筒型ストッパーが嵌装された流体容器を筒型ストッパーの脱離用舌片に対して横方向から見た状態、図6(B)は筒型ストッパーが嵌装された流体容器において、その筒型ストッパーの下端と接続筒部材下端との係合関係を示す模式的部分拡大縦断面図、図6(C)は筒型ストッパーが冠装された状態を上方から見下ろした模式的俯瞰図、図6(D)は筒型ストッパーが接続筒部材の下端から脱離(抜出)して引上げられる直前状態である。
【図7】図7で統括される各態様は本発明の第2好適態様であって、本来は図6に表示された一連の各態様に属するものであるが、1葉の図面に収容できないことから別図とされたものであって、何れも模式的縦断面図である。図7(E)は本発明の筒型ストッパーが上方(アクチュエーター側)へ引上げられた状態、図7(F)は本発明の筒状ストッパーが最高位置からアクチュエーターと共に押下げられながら流体を噴霧している状態、図7(G)は本発明の筒型ストッパー及びアクチュエーターが当初の状態に復帰した状態を示す。
【図8】図8は本発明の第2好適態様である筒型ストッパーが冠装された状態をその脱離用摘み方向から見た模式的正面見取り図である。
【図9】図9で統括される各態様は本発明の第3好適態様であって、それぞれは本発明の変形態様のアクチュエーター部と組合わされた一体型変形筒型ストッパーの形状を示す模式的縦断面図又は模式的側面見取り図である。即ち、図9(A)は前記の一体化部材が冠装された状態を示す模式的縦断面図、図9(B)は横噴射型の変形アクチュエーター部が組合された一体型部材の模式的側面見取り図及び図9(C)は集中排出型の変形アクチュエータ部が組合わされた一体型部材の模式的側面見取り図をそれぞれ示す。
【図10】図10で統括される各態様は本発明の第4好適態様であって、図10(A)は紙クリップ型変形ストッパーの模式的平面図、図10(B)は鈎型に曲込まれた部分の一方が他方に設けられた誘導切込み内に嵌入された態様の模式的平面図及び図10(C)は前記の嵌入構造をその長径方向から見た模式的見取り図である。
【図11】図11で統括される各態様は本発明の第5好適態様であって、先行の各態様における係合関係を逆転させた態様の例示である。図11(A)は第2変形接続筒部材外壁から突設された嵌入用係止爪が変形環状ストッパー外環部に穿設された係止用透孔へ嵌入していると共に、変形環状ストッパーの頂縁から突設された誤作動阻止突部がアクチュエーターのフランジ部下面に当接した状態を示す模式的見取り図、図11(B)は前記の変形係合態様で形成された組合せ体の模式的正面図(模式的側面図)及び図11(C)は上記の変形係合態様を略水平面(図中では線B−B)で切断して現れる模式的横断面図である。
【符号の説明】
1 流体容器
2 接続筒部材
3 アクチュエーター
4 環状ストッパー
5 筒型ストッパー
6 一体型アクチュエーター・ストッパー(一体型SA部材)
7 クリップ型変形ストッパー
41 環状ストッパー内周から内向けに突設された係止爪
42 脱離用摘み(直立型)
43 環状ストッパーの外環部に穿設された係止用透孔(嵌入用係止孔)
51 一体型SA部材の脱離用摘み
52 一体型SA部材の切込み
53 一体型SA部材の脱離用舌片
54 一体型SA部材の天板部兼フランジ部
61 一体型SA部材の筒型ストッパー部における脱離用摘み
62 一体型SA部材の筒型ストッパー部における切込み
63 一体型SA部材の筒型ストッパー部における脱離用舌片
64 一体型SA部材の筒型ストッパー部における天板部
71 クリップ型変形環状ストッパーの係止爪
1h 流体容器の流体収容部
1m 流体容器の開口
1n 流体容器の頚部
2c 接続筒部材に設けられた係止用透孔
2d 接続筒部材下半部
2g 接続筒部材外壁に刻設された案内縦溝
2i 接続筒部材内壁
2r 接続筒部材内壁から突設された環状突条
2u 接続筒部材上半部
3b アクチュエーターの基筒部
3c アクチュエーター内部の流通管部
3f アクチュエーターのフランジ部
3x アクチュエーター先端の排出口
3z アクチュエーターの排出外筒部
4h 環状ストッパーの外環部内壁から突出した把持片
4t 環状ストッパーの上端縁
4v 変形環状ストッパー
4x 環状ストッパーの外環部
5b 筒型ストッパーの内壁下端の内向け突部(アンダーカット)
5d 筒型ストッパーの内壁下端
5u 筒型ストッパー5内壁下端の内向け突部の上面
6a 一体型SA部材におけるアクチュエーター部
6c 一体型SA部材におけるアクチュエーター部内を貫通する流通管部
6d 一体型SA部材における筒型ストッパー部の下端縁
6f 一体型SA部材におけるアクチュエーター部におけるフランジ部
6s 一体型SA部材における筒型ストッパー部
6x 横噴射型アクチュエーターの噴出口
7b クリップ型変形環状ストッパーの外環部から長径側への陥入域(総称)
7h クリップ型変形環状ストッパーの外環部内壁から突出した把持片
7i クリップ型変形環状ストッパーの外環部から長径側への陥入域の何れかに切込まれた誘導切込み
7w クリップ型変形環状ストッパーの外環部
2v1 第1変形接続筒部材
2v2 第2変形接続筒部材
7w1,2 クリップ型変形環状ストッパーの外環部から長径側への陥入域の末端
21v2 第2変形接続筒部材外壁から突設された嵌入用係止爪
4vg 変形環状ストッパーに刻設された案内縦溝
4vu 変形環状ストッパー頂縁から突設された誤作動防止突部
6x1 横排出部材
4vx 変形環状ストッパーの外環部
2v2de 第1変形接続筒部材の下端
G 環状ガスケット
P 流体排出ポンプ
Pd 流体排出ポンプの脚管部
Pf 流体排出ポンプの下部フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 略平面内における断面形状が閉曲線状であって弾性変形後にも原形への復元性に富み、前記の閉曲線を含む平面を貫通する流体容器の頚部に接続された接続筒部材を前記平面に含まれるか又は該平面に略平行な直線上に対向する係止部で挟み締める環状ストッパー又は前記接続筒部材に冠装される筒型ストッパーであって、その内壁の一部分以上に設けられた係止部で該接続筒部材を絞り締めることによって係止されるストッパー機構。
【請求項2】 閉曲線が略楕円形、略小判型、略樽型、略卵形、略方形、略糸巻き型及び略紙クリップ型から選ばれる形状であって、その外環部の対向位置から接続筒部材向けに係止部が設置された請求項1に記載の環状ストッパー機構。
【請求項3】 略平面内における断面形状が閉曲線型であって弾性変形後にも原形への復元性に富み、前記の閉曲線を含む平面に対して垂直方向には薄い、略環状体がその内周から突設されて相互に対向する2個の係止爪を連絡する直線に対して略垂直な直線上で相互に接近する様に変形されることによって、両係止爪が接続筒部材に設置された係止用透孔から離脱する請求項1又は2に記載の環状ストッパー機構。
【請求項4】 略平面内における断面形状が閉曲線型であり、弾性変形後にも原形への復元性に富む筒状体が天板又は脱落防止用部付きの略円筒形、略四角筒形、六角筒形又は八角筒形等から選ばれる多角形筒であって、その内壁の相互に対向位置に設けられた係止部が前記接続筒部材の係止部に係止されていると共に、その下端縁から多角形筒の略母線上を上方向けに走る切込みが相互に所定の間隔で設けられている請求項1に記載の筒型ストッパー機構。
【請求項5】 多角形筒の下端縁から多角形筒の母線上を相互に所定の間隔で天板部向けに走る2本以上の切込みに挟まれた脱離用舌片がその下端域に印加される外方又は上方向け外力によって引離される結果、冠装されている流体容器頚部から多角形筒が脱離可能にされる請求項1又は4に記載の筒型ストッパー機構。
【請求項6】 環状ストッパー機構の係止部がその内周上から突設された係止爪であって、接続筒部材にはこの係止爪が係止される係止用透孔が設けられている請求項1〜5の何れかに記載の環状ストッパー機構。
【請求項7】 環状ストッパー機構の係止部がその内周上から外周向けに穿設された係止用透孔であって、第2変形接続筒部材の外壁からはこの係止用透孔に嵌入係止される係止爪が突出されている請求項1、2、4及び5の何れかに記載の環状ストッパー機構。
【請求項8】 筒状ストッパーと組合わされる第1変形接続筒部材がその上半部に透孔を備えても良く、その下端域に筒型ストッパーの脱離用摘み部内壁から突設された突部と係合する係止部を備えた請求項1、4及び5の何れかに記載の第1変形接続筒部材。
【請求項9】 変形環状ストッパーと組合わされる第2変形接続筒部材の上半部外壁から変形環状ストッパーに穿設された係止用透孔に嵌入する嵌入用係止爪が設けられている請求項7に記載の第2変形接続筒部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2001−146251(P2001−146251A)
【公開日】平成13年5月29日(2001.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−331949
【出願日】平成11年11月22日(1999.11.22)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【Fターム(参考)】