説明

流体容器を開放/閉鎖するための装置および方法

【課題】試料、試薬を含む流体容器の自動開閉装置。
【解決手段】開口部を閉鎖するためのキャップ9を含む容器を備える、流体容器の自動の開放/閉鎖のための装置に関し、このキャップは、容器本体に対して枢動可能である。この装置は、マウント2と、マウントに対してキャリッジ3を双方向に移動させるように適合される移動機構を用いて、マウントにより支持されるキャリッジとを含み、キャリッジは基部14と、この基部に対して枢動部15を双方向に枢動させるように適合される枢動機構を用いて、基部により支持される枢動部とを含む。ここで枢動部は、容器開口部を開放および任意には閉鎖するために枢動部を枢動させる間、流体容器のそれぞれのキャップの少なくとも1つの突出部に接触するように適合される、少なくとも1つのコンタクト部材を備える。この装置はさらに、基部を移動させ、枢動部を枢動させるためにキャリッジに連結される駆動部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床分析および医学診断の分野に属し、より詳細には、試料および/または1つまたは2つ以上の試薬を含む流体容器を開放/閉鎖するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体試料の自動分析に対する強い要望が見られ、これは主として、医学診断の数が増加し続けているという事実によるものである。試料分析は、典型的には、試料中に含まれる1つまたは2つ以上の分析物の存在の有無および任意にはその濃度を測定するために、試料を1つまたは2つ以上の試薬と結合させることを伴う。市販のアナライザは、典型的には、流体をピペットで取るためにピペットロボットを用いる。多くの試薬は使用前に冷却されなければならず、および/または調製(例えば、混合)されなければならないので、試薬の冷却保管のために、また場合によっては、必要に応じて試薬の一部を抜き取る準備のために、試薬を指定の試薬容器に残すことが好都合である。クロスコンタミネーション、漏出および蒸発を避けるために、試薬容器は使用後閉鎖されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
容器開口部を備える容器本体、およびユーザの特定の要望にしたがって、例えば手動の相互作用によって、容器開口部を開放または閉鎖するように容器本体に対して枢動可能であるヒンジキャップを含む試薬容器を用いることは公知である。
【0004】
上記に照らして、本発明の目的は、ヒンジキャップを備える流体容器の使用を伴う、試料を分析する自動の方法を改良することである。これらおよびさらなる目的は、独立請求項に記載の流体容器を開放/閉鎖するための装置および方法により達成される。本発明の好適な実施形態は、従属請求項の特徴によって与えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で用いられる「開放/閉鎖」という語は一般に、流体容器の開放および任意には流体容器の閉鎖に関する。この語はとりわけ、(流体容器の閉鎖を伴う、または流体容器の閉鎖を伴わない)流体容器の開放に関する。この語はさらに、流体容器の開放および閉鎖に関する。「流体容器」という語は一般に、試料および/または1つまたは2つ以上の試薬を入れる容器を指し、各容器はキャップを用いて開閉される容器開口部を備える容器本体を含み、キャップはこれらに限定されるわけではないが、容器本体に枢動可能に固定されるヒンジキャップおよび容器本体から取り外すことが可能な分離したキャップである。流体容器の例は、分離したキャップまたはヒンジキャップを備える試料管、分離したキャップまたはヒンジキャップを備える試料カップ、単一の試薬容器、および例えば互いに隣接して連続的に配置される(積み重ねられる)複数の試薬容器を含む試薬カセットである。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、1つまたは2つ以上の流体容器の自動の開放/閉鎖のための新規な装置が提案される。特に、この装置とともに使用するために、各キャップは、開放方向において容器開口部を開放し、または閉鎖方向において容器開口部を閉鎖するために、双方向に枢動されるように、容器本体に対して枢動可能である。本発明の装置は、例えばカセットなど、固定した積層配置で設けられ得る複数の流体容器の同時開放/閉鎖に特に有用である。
【0007】
本発明の装置は、マウントと、マウントに対して双方向に、流体容器に向かってまたは流体容器から離れて動かされ(移動させられ)るように、移動機構を用いてマウントにより移動可能に支持されるキャリッジとを含む。換言すれば、このキャリッジは、例えば1つまたは2つ以上の流体容器から遠く離れた第1移動位置と、1つまたは2つ以上の流体容器に近い第2移動位置との間を、マウントに対して移動可能である。本明細書で用いられる「移動」、「移動させられる」、「移動可能な」という語は、マウントに対するキャリッジの線形(回転でない)動作をいう。
【0008】
このキャリッジは、基部と、基部に対して双方向に枢動するように、枢動機構を用いて基部により枢動可能に支持される枢動部を含む。特に、枢動部は少なくとも1つのコンタクト部材を備え、これはキャップを枢動させて容器開口部を開放および任意には閉鎖するために、枢動部を枢動させる工程において、1つまたは2つ以上の流体容器のそれぞれのキャップの、少なくとも1つの突出部と接触するように適合されている。より詳細に記載すると、枢動部を一方の枢動方向(開放方向)に枢動させることによって、各流体容器のキャップは開口部を開放するように枢動され、また、枢動部を他方の枢動方向(閉鎖方向)に枢動させることによって、各流体容器のキャップは開放部分を閉鎖するように枢動され得る。ゆえに、枢動部は例えば、容器開口部が閉鎖される各流体容器のキャップの閉鎖位置に関する第1枢動位置と、容器開口部が開放されるキャップの開放位置に関する第2枢動位置との間を、基部に対して枢動できる。枢動部は例えば、第2移動位置において、基部に対して枢動されるように適合され得る。
【0009】
この装置はさらに、1つの駆動部、好適には、これに限定されるわけではないがスピンドル駆動部などの直線駆動部を含み、これは、キャリッジおよび基部を、それぞれマウントに対して、1つまたは2つ以上の流体容器に向かって、または流体容器から離して並進させ、また、枢動部を基部に対して枢動させるような方法で、キャリッジに連結されている。
【0010】
したがって、本発明の装置は、有利には、1つまたは複数の流体容器が、同時に開放され、また任意には閉鎖されることを可能にする。キャリッジは、その枢動部を枢動させることによって、各流体容器のキャップを開放/閉鎖するために、流体容器に向かって、または流体容器から離れて移動することができるという事実から、装置は、有利には、垂直面において小さく作られることができ、ゆえにより多くの自由空間が流体容器の上部に残り、これは例えば、これに限定されるわけではないが流体混合器など、流体容器中に含まれる流体を操作するために用いられるピペッタまたは他のあらゆる機器を用いた、流体容器への制約のないアクセスを可能にする。一般に、流体容器中に含まれる流体を操作するための装置はすべて、有利には、流体容器の上部に配置され得る。
【0011】
本発明の装置において、枢動部は、流体容器のキャップを枢動させて流体開口部を開放し、また任意には閉鎖するように、枢動機構を用いて基部により枢動可能に支持されている。本発明の好適な実施形態によれば、枢動部は、容器開口部を閉鎖するための、各流体容器のキャップの枢動に関する1つの枢動方向(閉鎖方向)において、基部に対して枢動部にプレテンションをかけるバネなどのプレテンション部材に連結される。
【0012】
特に、上述の実施形態において、駆動部は、有利には、キャリッジを1つまたは2つ以上の流体容器に向かって、またはこの流体容器から離して移動させるため、また枢動部を枢動させるために、有利には枢動部に連結され、ここでキャリッジの移動は、キャリッジおよび基部のそれぞれの動作と、枢動部の動作との分離した動作を有するために、プレテンション部材を用いて、枢動部の枢動からは分離(非連結)され得る。より詳細に記載すると、キャリッジは、例えば、枢動部を第1枢動位置に維持したまま、第1移動位置から第2移動位置へと移動でき、その後基部を第2移動位置に維持したまま、枢動部を第1枢動位置から第2枢動位置へと枢動できる。ゆえに、1つまたは2つ以上の流体容器の開放は、基部を用いて流体容器を装置に対して静止した状態に維持することによって、また枢動部を用いてキャップを枢動させることによって、容易にできる。また、プレテンション部材のプレテンション力は、まず基部を第2移動位置に維持したまま枢動部を第2枢動位置から第1枢動位置へと枢動させ、その後枢動部を第1枢動位置に維持したまま、キャリッジを第2移動位置から第1移動位置へと移動させるために用いられ得る。ゆえに1つまたは2つ以上の流体容器の閉鎖も、基部を用いて流体容器を装置に対して静止した状態に維持し、また枢動部を用いてキャップを枢動させ、その後装置を流体容器から移動させることによって容易にされ得る。
【0013】
この装置において、1つまたは2つ以上の流体容器に向かうキャリッジの移動は、例えば、マウントに対して固定される第2停止部材に当接するように適合された、キャリッジに固定された停止部材によって停止され得る。キャリッジを並進させ、また枢動部材を枢動させるために枢動部材に連結される1つの駆動部を用いる場合、基部に向かって枢動部にプレテンションをかけることは、分離したキャリッジの移動および枢動部の枢動をもたらし、その結果駆動力はキャリッジが停止されるまで、キャリッジの移動にのみ伝達される。また、停止部材を用いたキャリッジおよび基部それぞれの停止は、プレテンション部材のプレテンション力を超える、枢動部の枢動への駆動力の伝達をもたらす。したがって、停止部材の隣接部は、有利には、さらなる移動を停止し、枢動部の枢動させるように構成された移動位置(第2移動位置)をあらかじめ画定するために用いられ得る。
【0014】
本発明のさらに別の好適な実施形態によれば、この装置は制御可能な保持部材を含み、これは基部のさらなる移動なしに枢動部を基部に対して枢動させるために、静止位置(第2移動位置)で基部を保持するように適合されている。またこの手段により、上に詳述したように流体容器の開放/閉鎖を容易にするために、枢動部の枢動とキャリッジの移動との分離(非連結)が有利には達成され得る。保持部材は、有利には、基部および枢動部それぞれの移動動作および枢動動作を分離するという複合効果を得るために、プレテンション部材と結合され得る。
【0015】
本発明のさらに別の好適な実施形態によれば、1つまたは2つ以上の流体容器それぞれのキャップの、少なくとも1つの突出部に接触するための少なくとも1つのコンタクト部材は、それぞれが、1つの突出部を収容するように適合されている1つまたは2つ以上の凹部を備える。ゆえに、この少なくとも1つのコンタクト部材は、有利には、流体容器を開放するためにキャップを一方向に枢動させ、また凹部に収容されている突出部を牽引して反対方向にも枢動させるために用いられる。
【0016】
本発明のさらに別の好適な実施形態によれば、この装置は、枢動部を開放方向に枢動させることによって容器開口部を開放するためにキャップを一方向(開放方向)に枢動させるように、1つまたは2つ以上の流体容器それぞれのキャップの少なくとも1つの突出部に接触するよう適合される、少なくとも1つの下部コンタクト部材または第1コンタクト部材と、枢動部を別の(反対の)方向(閉鎖方向)に枢動させることによってキャップを反対方向に枢動させるように、1つまたは2つ以上の流体容器それぞれのキャップの少なくとも1つの突出部に接触するよう適合される、少なくとも1つの上部コンタクト部材または第2コンタクト部材とを含む。したがって、この1つまたは2つ以上の流体容器は、有利には、少なくとも1つの第1コンタクト部材により開放され、また少なくとも1つの第2コンタクト部材により閉鎖され得る。
【0017】
本発明のさらに別の好適な実施形態によれば、この装置は、1つまたは2つ以上の流体容器を開放/閉鎖するように構成されており、これら容器はそれぞれ、第1キャップ閉鎖位置および第2キャップ閉鎖位置を有するキャップ閉鎖機構を備える。ここで第1キャップ閉鎖位置は、第2キャップ閉鎖位置と比べて、キャップを容器本体により強力に固定するように適合される。とりわけ、枢動部は少なくとも1つのコンタクト部材を含み、これは枢動部を1つの枢動方向(開放方向)に枢動させることによって容器開口部を開放するためにキャップを一方向に回転させ、また枢動部を別の(反対の)枢動方向(閉鎖方向)に枢動させることによってキャップを第2キャップ閉鎖位置に配置するためにキャップを反対方向に枢動させるように、1つまたは2つ以上の流体容器それぞれのキャップの少なくとも1つの突出部に接触するように適合されている。したがって、この1つまたは2つ以上の流体容器は有利には、少なくとも1つのコンタクト部材により開放され、またキャップを第2キャップ閉鎖位置に配置することにより閉鎖されることが可能である。少なくとも1つのコンタクト部材は、好適には、1つまたは2つ以上の凹部を含み、これら凹部はそれぞれ、上に詳述したように、1つの突出部を収容するように適合されているので、流体容器は枢動部を閉鎖方向に枢動させることによって閉鎖でき、これにより、キャップを第2キャップ閉鎖位置に配置するために凹部に収容されている突出部を牽引する。上述の実施形態において、枢動部が、枢動部を1つの枢動方向(開放方向)に枢動させることによって容器開口部を開放するためにキャップを一方向に枢動させるように、1つまたは2つ以上の流体容器それぞれのキャップの少なくとも1つの突出部に接触するよう適合される、少なくとも1つの下部コンタクト部材または第1コンタクト部材と、枢動部を反対の枢動方向(閉鎖方向)に枢動させることによってキャップを第1キャップ閉鎖位置に配置するために、キャップを反対方向に枢動させるように、1つまたは2つ以上の流体容器それぞれのキャップの少なくとも1つの突出部に接触するよう適合される、少なくとも1つの上部コンタクト部材または第2コンタクト部材とを含むことがさらに好ましい。したがってこの1つまたは2つ以上の流体容器は、有利には、少なくとも1つの第1コンタクト部材により開放され、また少なくとも1つの第2コンタクト部材によりキャップを第1キャップ閉鎖位置に配置することによって閉鎖されることが可能である。
【0018】
上述の実施形態において、この少なくとも1つのコンタクト部材が、キャリッジを1つまたは2つ以上の流体容器に向かって移動させることによって容器開口部を開放するために、第1キャップ閉鎖位置にある1つまたは2つ以上の流体容器それぞれのキャップを枢動させるように適合されることが、さらに好ましい。したがって、流体容器の(初期)開放(例えば、こじ開け)は、有利には、キャリッジを1つまたは2つ以上の流体容器に向けて移動させることによって達せられ得る。
【0019】
本発明のさらに別の好適な実施形態によれば、枢動部は、それぞれが、流体容器の容器開口部へのアクセスを提供するように配置されている1つまたは2つ以上の貫通孔を備える。したがって、流体容器に含まれる流体は、有利には、試料の処理および/または分析において時間を節約するために、流体容器を開放/閉鎖する装置を取り除くことなく、例えばピペット操作を行ったり流体を混合したりすることにより操作され得る。
【0020】
本発明のさらに別の好適な実施形態によれば、基部は、(例えば、基部の第2移動位置において)1つまたは2つ以上の流体容器それぞれの容器本体に接触する一方で、容器開口部を開放または閉鎖するためにキャップを枢動させるように適合される少なくとも1つの押さえ部材を含む。ゆえに、流体容器は簡単な方法で、確実に開放および閉鎖され得る。これは特に、キャリッジおよび枢動部それぞれの移動動作および枢動動作を分離する場合に適用される。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、1つまたは2つ以上の流体容器の開放/閉鎖を伴う、試料を分析するための新規なシステムが提案される。このシステムは、上に詳述したような、1つまたは2つ以上の流体容器の自動の開放/閉鎖のための装置と、1つまたは2つ以上の流体容器に含まれる流体を操作するよう適合された少なくとも1つのマニピュレータとを含む。マニピュレータは例えば、これらに限定されるわけではないが、1つまたは2つ以上の流体容器に含まれる流体をピペットで取るために、1つまたは2つ以上のピペットを備えるピペッタや、1つまたは2つ以上の流体容器に含まれる流体を混合するための混合器などである。本発明のシステムは、例えば、多様な免疫化学および/または臨床化学の分析項目に関する検査または分析を行うことによる、試料の自動分析に適合され得る。
【0022】
本発明の第3の態様によれば、上に詳述したような1つまたは2つ以上の流体容器を開放/閉鎖する新規な方法が提案される。この方法は、基部および基部により枢動可能に支持されている回転部を含むキャリッジを、1つまたは2つ以上の流体容器に向かって移動させる工程と、枢動部を基部に対して枢動させる工程、それにより、キャップを一方向および任意にはその反対方向に枢動させて容器開口部を開放し、また任意には閉鎖するために、枢動部の少なくとも1つのコンタクト部材によって、1つまたは2つ以上の流体容器それぞれのキャップの少なくとも1つの突出部に接触させる工程とを含む。上記の方法において、キャリッジを移動させる工程は、基部を1つまたは2つ以上の流体容器に向かって移動させる工程を含む。また、枢動部を枢動させる工程は、枢動部を基部に対して枢動させる間、基部を静止位置に保持する工程を含む。したがって、本発明の装置に関して上に詳述したように、キャリッジおよび枢動部の、移動動作および枢動動作の分離は、有利には、それによって1つまたは2つ以上の流体容器の開放および閉鎖を容易にするために得ることができる。
【0023】
本発明の方法の好適な実施形態によれば、1つまたは2つ以上の流体容器それぞれの容器開口部を開放するために、枢動部を枢動させる工程は、少なくとも1つの第1コンタクト部材または下部コンタクト部材により、少なくとも1つの突出部に接触させる工程を含み、また容器開口部を閉鎖するために枢動部を枢動させる工程は、少なくとも1つの第2コンタクト部材または上部コンタクト部材により、少なくとも1つの突出部に接触させる工程を含む。ゆえに、1つまたは2つ以上の流体容器の容器開口部は、ユーザの特定の要求にしたがって、確実に開放または閉鎖され得る。
【0024】
本発明の方法の別の好適な実施形態によれば、この方法は、それぞれの流体容器が第1キャップ閉鎖位置および第2キャップ閉鎖位置を有するキャップ閉鎖機構を備えている、1つまたは2つ以上の流体容器を開放/閉鎖するように構成され、ここで第1キャップ閉鎖位置は、第2キャップ閉鎖位置と比べて、キャップを容器本体により強力に固定するように適合される。より詳細に記載すると、1つまたは2つ以上の流体容器それぞれのキャップを枢動させ、容器開口部を閉鎖するために枢動部を枢動させる工程は、キャップを第2キャップ閉鎖位置に配置する工程を含む。特に、1つまたは2つ以上の流体容器それぞれのキャップを枢動させ、容器開口部を閉鎖するために枢動部を枢動させる工程は、キャップを第1キャップ閉鎖位置に配置する工程、これにより、少なくとも1つの第2コンタクト部材によって、1つまたは2つ以上の流体容器それぞれのキャップの少なくとも1つの突出部に接触させる工程を含んでいてもよい。上記の実施形態において、1つまたは2つ以上の流体容器のそれぞれのキャップの少なくとも1つの突出部が、キャリッジを1つまたは2つ以上の流体容器に向かって移動させ、1つまたは2つ以上の流体容器それぞれのキャップを枢動させることによって、最初に流体容器を開放する(こじ開ける)ように、少なくとも1つの部材により接触されることも好適である。キャップは、例えば、第1キャップ閉鎖位置に配置され得る。
【0025】
本発明の方法は、また、流体容器を開放する工程と流体容器を閉鎖する工程との間に、1つまたは2つ以上の流体容器に含まれる流体をピペットで取る工程を含むこともできる。
【0026】
本発明の他のおよびさらなる目的、特徴および利点は、以下の記載によりさらに完全に明らかになるだろう。添付の図面は、上述の一般的な記載および後述の詳細な記載と共に、本発明の原理を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による装置の例示的な実施形態の斜視図である。
【図2A】図1の装置の正面図である。
【図2B】図1の装置の側面図である。
【図2C】図1の装置の上面図である。
【図3A】図1の装置の枢動部の拡大詳細の透視図である。
【図3B】図1の装置の枢動部の拡大詳細の斜視図である。
【図4A】図1の装置の枢動部の変形例の透視図である。
【図4B】図1の装置の枢動部の変形例の斜視図である。
【図5】図1の装置の停止部材の例示的な実施形態の斜視図である。
【図6】図1の装置のキャリッジを静止した移動位置で保持するための電磁石の斜視図である。
【図7】図1の装置の枢動部に、基部に向かってプレテンションをかけるバネの斜視図である。
【図8A】1つのカセットの流体容器を開放する方法を示す、図1の装置の透視図である。
【図8B】1つのカセットの流体容器を開放する方法を示す、図1の装置の透視図である。
【図8C】1つのカセットの流体容器を開放する方法を示す、図1の装置の透視図である。
【図8D】1つのカセットの流体容器を開放する方法を示す、図1の装置の透視図である。
【図8E】1つのカセットの流体容器を開放する方法を示す、図1の装置の透視図である。
【図8F】1つのカセットの流体容器を開放する方法を示す、図1の装置の透視図である。
【図9】ロータ上に配置されるカセットの開放/閉鎖に用いられる図1の装置の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面に従って、本発明が実施され得る特定の例示的な実施形態をここで記載する。これに関して、「水平な」、「垂直な」、「上部」、「下部」といった配向および方向に関する用語は、記載されている図面の配向に関して用いられる。記載される構成部品は複数の異なる配向で配置され得るので、これらの用語は説明の目的でのみ用いられており、限定的なものではない。
【0029】
まず、通常参照符号1で表される本発明の装置の例示的な実施形態を示す図1および図2A〜図2Cを参照する。したがって、装置1は、多様な臨床化学および/または免疫化学の分析項目に関連し得る液体試料を分析する機器の基板に装置1を固定するために用いられるマウント2を含む。装置1はさらに、例えば、線形ガイドレール8によりガイドされるローラ7として構成される移動機構を用いて、マウント2により動作可能に支持されるキャリッジ3を含む。レール8にガイドされると、キャリッジ3は、マウント2に対して略水平面で双方向に動かされ得る。とりわけ、キャリッジ3は、第1および第2の移動方向に沿って、カセット4に向けて、またカセット4から離してキャリッジ3を並進させることにより、2つの停止位置、すなわち第1移動位置と第2移動位置との間で、相互に動かされ得る。
【0030】
図示されるように、カセット4は複数、例えば3つの、互いに連続配置されて固定されている流体容器5からなる。各流体容器5は、キャップ9により閉鎖される開口部10によって提供される流体で充填される容器本体6を含み、このキャップ9は、キャップ9を1つの枢動方向(開放方向)に枢動させることによって開口部10を開放するため、またキャップ9を別の(反対の)枢動方向(閉鎖方向)に枢動させることによって開口部10を閉鎖するために、容器本体6に枢動可能に固定(ヒンジ取り付け)される。ゆえに各流体容器5は、ユーザの特定の要求にしたがって、繰り返し開閉され得る。
【0031】
図面に関して記載される特定の実施形態において、各流体容器5は、第1キャップ閉鎖位置および第2キャップ閉鎖位置を有するキャップ閉鎖機構11(これ以上詳細には記載しない)を含む。第1キャップ閉鎖位置(「堅固な閉鎖」)において、キャップ9は、第2キャップ閉鎖位置(「柔軟な閉鎖」)」)と比べて、容器本体6により強力に固定される。例えば、第1キャップ閉鎖位置において、キャップ9はロック機構を用いてロックされ得るのに対して、第2キャップ閉鎖位置において、キャップ9は、容器本体6に固定されることなく、単に開口部10上に差し込まれる。したがって、第1キャップ閉鎖位置は、典型的には、カセット4を輸送または冷蔵保管するために用いられるが、第2キャップ閉鎖位置は主として、使用中の流体容器5に含まれる流体の蒸発、漏出および汚染を防ぐ働きをする。流体容器5を初めて使用する際には、キャップ9は、典型的には、第1キャップ閉鎖位置にあり、ゆえに最初に開放されなければならない。各流体容器5は、閉鎖方向でキャップ9にプレテンションをかける金属のリーフスプリング12を備えているので、キャップ9は容器開口部10を閉鎖するために、第2キャップ閉鎖位置に自動的に枢動される。
【0032】
さらに、図示されるように、各キャップ9は、キャップ9を開放方向および閉鎖方向に回転させるために、キャップ9の対向する2つの面において、略水平面にあるキャップ9から、横方向に突出している2つの突出部13を備えており、例えば円筒状のピンとして構成される。
【0033】
キャリッジ3は、下部または基部14と、基部14により枢動可能に支持され、前部17および後部18からなる上部または枢動部15とを含む。より詳細に記載すると、外形が平行六面体形である前部17は、通常上部中空空間24を取り囲む水平な上壁20によって相互接続されている2枚の対向する垂直な上部側壁19を含む。フレーム状の後部18は、2つの縦梁21および2つの横梁22を含み、ここで前部17は、前方の横梁22に固定されている。また基部14は、通常、下部中空空間25を取り囲む枢動部15の上部側壁19に接続される、対向する2枚の垂直な下部側壁23を含む。
【0034】
枢動部15は、枢動機構を用いて基部14により枢動可能に支持され、枢動機構は例えば、それぞれが略S字形状を有する対向する枢動アーム16の、水平に配置される2つの組29、29’として構成される。とりわけこの枢動機構は、前方の組29および後方の組29’を含み、ここで各枢動アーム16の下端部26は、枢動アーム16が基部14に対して枢動され得るように、下部枢動ジョイント28を用いて基部14の下部側壁23に回転可能に連結される。枢動アーム16の前方の組29は、共通の枢動軸30を有し、また枢動アーム16の後方の組29’は、共通の後方の枢動軸30’を有する。
【0035】
枢動部15の後部18は、中間部枢動ジョイント37を用いて枢動アーム16の中間部に回転可能に連結され、ここで枢動アーム16はフレーム状の後部18を通って伸びる。ゆえに、枢動アーム16の前方および後方の組29、29’を、それぞれ、前方および後方の枢動軸30、30’の周りで枢動させることにより、枢動部15は基部14に対して枢動され得る。
【0036】
装置1は、キャリッジ3をカセット4に向かって、またカセット4から離して移動させるため、また枢動部15を基部14に対して枢動させるために、枢動部15に動作可能に連結される、駆動式のスピンドル駆動部31を含む。より詳細に記載すると、このスピンドル駆動部31は、対向する2枚の垂直なプレート、すなわち前部プレート34および後部プレート35を相互接続する略水平の上部プレート33からなるフレーム32を含み、これは通常、略水平に配置されるスピンドル36を回転可能に支持する。上部プレート33は、マウント2に接続される垂直な後部パネル39に固定して取り付けられる。ゆえに、スピンドル36を回転させることによって、スピンドルナット40はスピンドル36に沿って相互に移動でき、ここで電気モータ56の駆動式のシャフト(図示せず)は、スピンドル36を両方の回転方向に回転させるために、スピンドル36に回転可能に連結されている。
【0037】
スピンドル駆動部31において、スピンドルナット40は、スピンドル36に沿って動かされるスピンドルナット40によって牽引されるように、垂直に配置された2つの対向するガイドロール41の組に接続される。またガイドロール41は、垂直方向でのガイドのために、垂直なガイドケージ42に収容される。このガイドケージ42は、枢動アーム16の前方および後方の組29、29’に接続される。特に、ガイドケージ42は、上部枢動ジョイント38を用いて枢動アーム16の上端部27に回転可能に接続される、2枚の重ねられた接続プレート57に固定される。
【0038】
したがって、スピンドル36を回転させることにより、スピンドルナット40は、枢動アーム16の前方および後方の組29、29’を枢動させるために、ガイドケージ42内に収容されているガイドロール41を牽引するスピンドル36に沿って動かされ、ここでガイドロール41は、ガイドケージ42に対して垂直に動くことができ、またこのガイドケージ42によってガイドされ得る。ゆえに、スピンドル駆動部31によって駆動されると、枢動部15は、枢動部15を、2つの停止位置、すなわち第1枢動位置と第2枢動位置との間で第1および第2枢動方向に相互に動かすように、基部14に対して双方向に枢動されることができる。
【0039】
装置1は、装置1の前、すなわちキャリッジ3の移動経路に配置されるカセット4の各流体容器5のキャップ9を開放し、また任意には閉鎖するために用いられ得る。キャップ9を開放方向、および任意には閉鎖方向に枢動するために、枢動部15の前部17は、キャリッジ3の第2移動位置においてキャップ9の突出部13に接触するために、上部側壁19の内面47に固定されるコンタクトロッド44、44’、45、45’の組43、43’を少なくとも1つ備える。
【0040】
より詳細に記載すると、図3Aおよび3Bに示されるように、一実施形態において、枢動部15の前部17は、上部側壁19の対向する2つの垂直な内面47に固定して取り付けられている対向する2つの下部コンタクトロッド44、44’の組43を1つ備える。キャリッジ3がマウント2に対して第2移動位置にあるとき、下部コンタクトロッド44、44’は、突出部13に接触するか、または枢動部15を枢動させることによって突出部13への接触をもたらされるような方法で配置される。図示されるように、下部コンタクトロッド44、44’はそれぞれ、キャップ9の突出部13を挿入するために互いに対して連続して配置されている複数、例えば3つの半円形の凹部46を含む上側のガイド面62を備える。ゆえに、下部コンタクトロッド44、44’は、流体容器5を開放するためにキャップ9を開放方向に枢動させるために用いることが可能であって、また、突出部13を凹部46に挿入することにより、キャップ9を閉鎖方向に枢動させるためにも用いられ得る。また基部14は、開口部10を開放または閉鎖するためにキャップ9を開放方向または閉鎖方向に枢動させる間、流体容器5を押さえるように適合される。より詳細に記載すると、基部14は、キャリッジ3の第2移動位置において、流体容器5の上側のショルダ64と接触して配置される2つの対向する支柱63を備える。結果として、流体容器5は、枢動部15を枢動させることによって容器開口部10を開放または閉鎖するためにキャップ9を枢動させる間、静止位置において押さえられる。
【0041】
変形例である図4A、4Bに示されるように、枢動部15の前部17は、上部側壁19の対向する2つの垂直な内面47に固定して取り付けられる、対向する2つの下部コンタクトロッド44、44’の組43を1つと、対向する2つの上側のコンタクトロッド45、45’の組43’を1つ備える。コンタクトロッド44、44’、45、45’の2つの組43、43’は、キャップ9の突出部15が上部コンタクトロッド45、45’および下部コンタクトロッド44、44’の間に配置され得るように、垂直方向において互いに積み重ねられる。下部コンタクトロッド44、44’は、キャップ9を開放方向に枢動させて流体容器5を開放するために用いられ得る。また、上部コンタクトロッド45、45’は、キャップ9を反対方向または閉鎖方向に枢動させて流体容器5を閉鎖するために用いられ得る。下部コンタクトロッド44、44’および上部コンタクトロッド45、45’はどちらも、キャリッジ3がマウント2に対して第2移動位置にある場合に突出部13に接触するか、または枢動部15を枢動させることによって突出部13への接触がもたらされるような方法で配置されており、ここで突出部13は、上部コンタクトロッド45、45’および下部コンタクトロッド44、44’の間に配置されている。
【0042】
図5を特に参照すると、装置1はさらに、マウント2に固定される第1停止部材48およびキャリッジ3に固定される第2停止部材49を含み、これら停止部材48、49は、第2移動位置において、キャリッジ3のカセット4に向かう直線動作を停止するために配置されている。
【0043】
図6を特に参照すると、装置1はその上さらに、第2移動位置においてキャリッジ3および基部14をそれぞれ動作するように保持するための、制御可能な保持部材を含む。図示されるように、この保持部材は例えば、キャリッジ3の基部14の外側で窪み52内に配置される金属のカウンターピース(counter piece)51を磁気的に引きつけるために、電流を供給され得る電磁石50として構成されてもよい。
【0044】
図7を特に参照すると、装置1はその上さらに、枢動部15に、基部14に対してプレテンションをかけるプレテンション部材を含む。図示されるように、プレテンション部材は例えば、2つのバネ足54を有するコイルバネ53として構成されてもよく、ここで一方のバネ足54は基部14に寄りかかり、他方のバネ足54’は枢動アーム16の前方の組29を接続する接続リンク55に寄りかかる。ゆえに、枢動部15は、キャップ9を閉鎖方向に枢動するためにプレテンションをかけられる。
【0045】
図8A〜8Fを特に参照して、以下に、装置1を用いてカセット4の流体容器5のキャップ9を開放および閉鎖するための例示的な方法を説明する。
【0046】
この方法は、図8Aに示される状態から開始し、ここでキャリッジ3はマウント2に対して第1移動位置にあり、枢動部15は基部14に対して回転されていない。ここで、電気モータ56によってスピンドル36を一方向に回転させると、スピンドルナット40はカセット4に向かって(図では右側へ)動かされるので、キャリッジ3はカセット4に向かって押される。キャリッジ3をカセット4に向かって動かすことによって、上部中空空間24および下部中空空間25は、キャリッジ3が、第1停止部材48に当接する第2停止部材49を用いて第2移動位置で停止される(図8C)まで、カセット4の上部58に挿入される(図8B)。
【0047】
キャリッジ3を第1移動位置から第2移動位置へと移動させる間、枢動部15は、基部14に向かって枢動部15にプレテンションをかけるコイルバネ53により、基部14に対して枢動することを阻止される。こうした観点から、コイルバネ53のバネ力は、たとえ、スピンドルナット40を枢動部15に連結することによってカセット4に向かってキャリッジ3が押される場合であっても、枢動を阻止するのに充分な強さに選択される。ゆえに、キャリッジ3の移動は、枢動部15の枢動から適宜分離(非連結)され得る。第2移動位置において、下部コンタクトロッド44、44’は、キャップ9の突出部13が、枢動部15を枢動させることによって凹部46に挿入されるように、凹部46の真上にあるような位置にある。また、基部14の2つの内側の支柱63は、流体容器5が、キャリッジ3の第2移動位置において、基部14によって押さえられるように、流体容器5のショルダ64と接触している。
【0048】
図3Aおよび3Bに示されるように、下部コンタクトロッド44、44’の特定の実施形態によっては、キャリッジ3の第2移動位置において、キャップ9の突出部13は、枢動部15を回転させる前に凹部46に挿入(収容)され得る。結果として、キャリッジ3を第2移動位置へ移動させることにより、キャップ9はわずかに開放される(初期開放)。あるいは、キャリッジ3の第2移動位置において、突出部13は、キャリッジ3を第2移動位置へ移送することによって、キャップ9の初期開放なしに、枢動部15を枢動する前に凹部46の真上に配置されることもできる。
【0049】
また、図4Aおよび4Bに示される変形例においては、突出部13は第2移動位置において、枢動部15を枢動させることによって凹部46に挿入されるように、下部コンタクトロッド44、44’と上部コンタクトロッド45、45’との間の位置にある。あるいは、キャリッジ3の第2移動位置において、突出部13は、キャリッジ3を第2移動位置に移動させることによってキャップ9を初期開放するために、凹部46に収容されることもできる。
【0050】
図8D〜8Fを特に参照すると、キャリッジ3のさらなる前進動作がすべて阻止され、また枢動部15が第1枢動位置にある、キャリッジ3の第2移動位置から開始して、スピンドルナット40のカセット4に向かうさらなる線形動作は、コイルバネ53のバネ力に打ち勝って、枢動部15を基部14に対して枢動させる。結果として、流体容器5のキャップ9は、枢動部15を第1枢動位置から、スピンドル36の回転を停止することにより画定される第2枢動位置まで枢動させることによって、開口部10を開放するために開放方向へと枢動される。図示されるように、コンタクトロッド44、44’、45、45’は、枢動部15を基部14に対して枢動させる間、略水平に維持される。
【0051】
例えば図1に示されるように、枢動部15の前部17の上壁20は、枢動部15の第2枢動位置において、流体容器5の開口部10の真上に配置される3つの貫通孔59を備え、これは流体容器5に含まれる流体が、例えば流体を混合するためおよび/またはピペット操作を行うために、上部からアクセスされることを可能にするためである。
【0052】
図8Fに示すような状態から開始して、流体容器5は、キャップ9を閉鎖方向に枢動させることによって閉鎖されることもできる。より詳細に記載すると、スピンドル36を反対方向に回転させることにより、スピンドルナット40は、カセット4から離れて(図では左側に)動かされ、それにより枢動部15は、基部14に対して第2枢動位置から第1枢動位置へと反対方向に枢動される一方で、キャリッジ3は第2移動位置において静止したまま維持される。この目的で、図6に示されるようなキャリッジ3の金属のカウンターピース51を磁気的に引きつけて、基部14を第2移動位置で保持するために、電磁石50に電流が供給される。また、コイルバネ53のバネ力は、基部14に対する枢動部15の枢動動作が、マウント2に対するキャリッジ3の移動動作よりも優先されるように、枢動部15の反対方向への枢動を助ける(補助する)。
【0053】
枢動部15を反対方向に枢動する間、突出部13は、キャップ9を閉鎖方向に枢動させるために、下部コンタクトロッド44、44’の半円形の凹部46により牽引される。リーフスプリング12の弾性力に支持されることにより、各キャップ9は第2キャップ閉鎖位置へと持ってこられることが可能である。また、上部コンタクトロッド45、45’を備える場合には、キャップ9は上部コンタクトロッド45、45’により、第2キャップ閉鎖位置および任意には第1キャップ閉鎖位置に押され得る(図8E〜8D)。
【0054】
図8C〜8Aを特に参照すると、枢動部15が第1枢動位置にあるキャリッジ3の第2移動位置から開始して、スピンドルナット40が反対方向にさらに線形動作を行うと、キャリッジ3はマウント2に対して(図では左側に)動かされる。結果として、カセット4の上部58は、スピンドル36の回転を停止することによってキャリッジ3が第1移動位置で停止されるまで、上部中空空間24および下部中空空間25を引き続き残す。
【0055】
図9を特に参照して、装置1の特定の用途が説明される。したがって、装置1は、それぞれが1つのカセット4を保持するように適合されている複数の台座61を備える、回転可能に駆動されるロータ60に動作可能に連結される。より詳細に記載すると、ロータ60を駆動することにより、カセット4はそれぞれ、例えば、そこに含まれている流体のピペット操作を行うため、その流体容器5を開放するように、装置1の直前の位置に持ってこられる。図示されるように、装置1はロータ60の側面に配置されることが可能であって、これは有利には、比較的低い高さをもたらす。また、流体をピペットで取るためのピペッタや、混合器などの、カセット4に含まれる流体を操作するためのその他のあらゆる装置は、流体容器5に含まれる流体が上部から容易にアクセスされ得るように、カセット4および/またはロータ60よりも上に配置され得る。
【0056】
本発明の様々な例示的実施形態の上述の詳細な記載から、試料を分析するための装置に容易に組み込まれるように、高さが低く、また形状が小型に作製され得る本発明の装置を用いることにより、流体容器は容易に開放され、また任意には閉鎖され得るということが明らかになる。例えば枢動部に連結されている、キャリッジを移動させ、また枢動部を枢動させるための1つの駆動部のみを用いることにより、装置は比較的低いコストで組み立てられ得る。また、本発明の装置は、複数、例えば3つの流体容器の同時開放を可能にし、これにより試料を処理するための時間およびコストを節約する。
【符号の説明】
【0057】
1 装置
2 マウント
3 キャリッジ
4 カセット
5 流体容器
6 容器本体
7 ローラ
8 ガイドレール
9 キャップ
10 開口部
11 キャップ閉鎖機構
12 リーフスプリング
13 突出部
14 基部
15 枢動部
16 枢動アーム
17 前部
18 後部
19 上部側壁
20 上壁
21 縦梁
22 横梁
23 下部側壁
24 上部中空空間
25 下部中空空間
26 下端部
27 上端部
28 下部枢動ジョイント
29、29’ 枢動アームの組
30、30’ 枢動軸
31 スピンドル駆動部
32 フレーム
33 上部プレート
34 前部プレート
35 後部プレート
36 スピンドル
37 中間部枢動ジョイント
38 上部枢動ジョイント
39 後部パネル
40 スピンドルナット
41 ガイドロール
42 ガイドケージ
43、43’ コンタクトロッドの組
44、44’ 下部コンタクトロッド
45、45’ 上部コンタクトロッド
46 凹部
47 内面
48 第1停止部材
49 第2停止部材
50 電磁石
51 カウンターピース
52 窪み
53 コイルバネ
54、54’ バネ足
55 接続リンク
56 電気モータ
57 接続プレート
58 上部
59 貫通孔
60 ロータ
61 台座
62 ガイド面
63 支柱
64 ショルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料および/または1つまたは2つ以上の試薬を収容する、1つまたは2つ以上の流体容器(5)の自動の開放/閉鎖のための装置(1)であって、前記流体容器(5)のそれぞれが、容器開口部(10)および該容器開口部(10)を閉鎖するためのキャップ(9)を含む容器本体(6)を備え、前記キャップ(9)は、前記容器開口部(10)を開放または閉鎖するために、前記容器本体(6)に対して枢動可能であり、
前記装置(1)が、
マウント(2)と、
前記マウント(2)に対してキャリッジ(3)を双方向に移動させるように適合される移動機構(7、8)を用いて、前記マウント(2)により支持されるキャリッジ(3)であって、前記キャリッジ(3)が、基部(14)と、該基部(14)に対して枢動部(15)を双方向に枢動させるように適合される枢動機構(16)により、前記基部(14)により支持される枢動部(15)とを含み、該枢動部(15)が、前記容器開口部(10)を開放、および任意には閉鎖するために、前記枢動部(15)を枢動させる間、前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)それぞれの前記キャップ(9)の少なくとも1つの突出部(13)に接触するように適合される少なくとも1つのコンタクト部材(44、44’、45、45’)を備えるキャリッジ(3)と、
前記基部(14)を移動させ、前記枢動部(15)を枢動させるために、前記キャリッジ(3)に連結される駆動部(31)とを含む装置(1)。
【請求項2】
前記枢動部(15)が、前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)それぞれの前記容器開口部(10)を閉鎖する1つの枢動方向において、前記基部(14)に対して前記枢動部(15)にプレテンションをかけるプレテンション部材(53)に連結された請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記キャリッジ(3)が、前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)に向かう前記キャリッジ(3)の移動を停止するために、前記マウント(2)に対して固定される第2停止部材(49)に当接するよう適合される第1停止部材(48)を含む請求項1または2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記駆動部(31)が、前記枢動部(15)に連結される線形駆動部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記枢動部(15)を前記基部(14)に対して枢動させる間、静止した移動位置で前記基部(14)を保持するように適合されている制御可能な保持部材(50)を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコンタクト部材(44、44’)が、1つまたは2つ以上の凹部(46)を備え、前記凹部(46)のそれぞれが、前記キャップ(9)を枢動させて前記容器開口部(10)を開放および任意には閉鎖するために、前記流体容器(5)の1つの前記キャップ(9)の前記突出部(13)を収容するように適合された請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記キャップ(9)を枢動させて前記容器開口部(10)を開放するために、前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)それぞれの前記キャップ(9)の前記少なくとも1つの突出部(13)に接触するように適合される少なくとも1つの第1コンタクト部材(44、44’)と、
前記キャップ(9)を枢動させて前記容器開口部(10)を閉鎖するために、前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)それぞれの前記キャップ(9)の前記少なくとも1つの突出部(13)に接触するように適合される少なくとも1つの第2コンタクト部材(45、45’)とを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記枢動部(15)が、1つまたは2つ以上の貫通孔(59)を備え、前記貫通孔(59)のそれぞれが、前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)それぞれの前記容器開口部(10)へのアクセスを提供するような方法で配置された請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記基部(14)が、前記容器開口部(10)を開放または閉鎖するために、前記キャップ(9)を枢動させる間、前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)それぞれの前記容器本体に接触するように適合される少なくとも1つの押さえ部材(63)を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項10】
試料および/または1つまたは2つ以上の試薬を収容する、1つまたは2つ以上の流体容器(5)の開放/閉鎖を伴う、試料を分析するためのシステムであって、前記流体容器(5)のそれぞれが、容器開口部(10)および該容器開口部(10)を閉鎖するためのキャップ(9)を含む容器本体(6)を備え、前記キャップ(9)は、前記容器開口部(10)を開放または閉鎖するために前記容器本体(6)に対して枢動可能であり、
前記システムが、
前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)の自動の開放/閉鎖のための装置(1)と、
前記1つまたは2つ以上の流体容器のキャップが開放されている間、前記1つまたは2つ以上の流体容器に含まれている流体を操作するための少なくとも1つのマニピュレータと
を含み、前記装置(1)は、
マウント(2)と、
前記マウント(2)に対してキャリッジ(3)を双方向に移動させるように適合される移動機構(7、8)を用いて、前記マウント(2)により支持されるキャリッジ(3)であって、基部(14)と、該基部(14)に対して枢動部(15)を双方向に枢動させるように適合される枢動機構(16)を用いて、前記基部(14)により支持される枢動部(15)とを含み、該枢動部(15)が、前記容器開口部(10)を開放、および任意には閉鎖するために、前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)それぞれの前記キャップ(9)の少なくとも1つの突出部(13)に接触するように適合される少なくとも1つのコンタクト部材(44、44’、45、45’)を備えるキャリッジ(3)と、
前記基部(14)を移動させ、前記枢動部(15)を枢動させるために、前記キャリッジ(3)に連結される駆動部(31)と
を含むシステム。
【請求項11】
試料および/または1つまたは2つ以上の試薬を収容する、1つまたは2つ以上の流体容器(5)の自動の開放/閉鎖のための方法であって、前記流体容器(5)のそれぞれが、容器開口部(10)および該容器開口部(10)を閉鎖するためのキャップ(9)を含む容器本体(6)を備え、前記キャップ(9)は、前記容器開口部(10)を開放または閉鎖するために前記容器本体(6)に対して枢動可能であり、
基部(14)および該基部(14)によって前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)に対して支持される枢動部(15)を含むキャリッジ(3)を移動させる工程と、
前記キャップ(9)を枢動させて前記容器開口部(10)を開放および任意には閉鎖するために、前記枢動部(15)の少なくとも1つのコンタクト部材(44、44’、45、45’)によって、前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)それぞれの前記キャップ(9)の少なくとも1つの突出部(13)に接触させる、前記基部(14)に対して前記枢動部(15)を枢動させる工程とを含み、
前記キャリッジ(3)を移動させる工程は、前記基部(14)を前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)に対して移動させる工程を含み、
前記枢動部(15)を枢動させる工程は、前記枢動部(15)を前記基部(14)に対して枢動させる間、前記基部(14)を静止位置で保持する工程を含む方法。
【請求項12】
前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)それぞれの前記容器開口部(10)を開放するための、前記枢動部(15)を枢動させる工程が、少なくとも1つの第1コンタクト部材(44、44’)によって前記少なくとも1つの突出部(13)に接触させる工程を含み、前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)それぞれの前記容器開口部(10)を閉鎖するための、前記枢動部(15)を枢動させる工程が、少なくとも1つの第2コンタクト部材(45、45’)によって前記少なくとも1つの突出部(13)に接触させる工程を含む請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)それぞれの前記キャップ(9)を枢動させて前記容器開口部(10)を閉鎖するための前記枢動部(15)を枢動させる工程が、第1キャップ閉鎖位置よりも弱い方法で前記容器本体(6)に前記キャップ(9)を固定するように構成される第2キャップ閉鎖位置に前記キャップ(9)を配置する工程を含む請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)それぞれの前記キャップ(9)を枢動させて前記容器開口部(10)を閉鎖するために前記枢動部(15)を枢動させる工程が、前記キャップ(9)を、少なくとも1つの第2コンタクト部材(45、45’)によって、前記1つまたは2つ以上の流体容器(5)それぞれの前記キャップ(9)の前記少なくとも1つの突出部(13)に接触させる前記第1キャップ閉鎖位置に配置する工程を含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記流体容器(5)を開放する工程と、前記流体容器(5)を閉鎖する工程との間に、前記1つまたは2つ以上の流体容器に含まれる流体をピペットで取る工程を含む請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9】
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