流体封入式筒形防振装置
【課題】ストッパ荷重の入力に対するオリフィス部材の耐久性を、部品点数の少ない簡単な構造によって確保することができる、新規な構造の流体封入式筒形防振装置を提供すること。
【解決手段】ポケット部30を跨いで周方向に延びるオリフィス部材36がアウタ筒部材14の内周側に配設されており、オリフィス部材36のオリフィス形成溝42がアウタ筒部材14で覆われてオリフィス通路48が形成されていると共に、インナ軸部材12とアウタ筒部材14のオリフィス部材36を介した当接によってストッパ手段が構成されている一方、オリフィス部材36にはオリフィス形成溝42の内周底面から突出する補強リブ50が周方向に延びて形成されて、補強リブ50の突出先端面がアウタ筒部材14の内周面に当接していると共に、補強リブ50によってオリフィス通路48が周上の少なくとも一部で同じ流体流動特性を有する複数の流路に仕切られている。
【解決手段】ポケット部30を跨いで周方向に延びるオリフィス部材36がアウタ筒部材14の内周側に配設されており、オリフィス部材36のオリフィス形成溝42がアウタ筒部材14で覆われてオリフィス通路48が形成されていると共に、インナ軸部材12とアウタ筒部材14のオリフィス部材36を介した当接によってストッパ手段が構成されている一方、オリフィス部材36にはオリフィス形成溝42の内周底面から突出する補強リブ50が周方向に延びて形成されて、補強リブ50の突出先端面がアウタ筒部材14の内周面に当接していると共に、補強リブ50によってオリフィス通路48が周上の少なくとも一部で同じ流体流動特性を有する複数の流路に仕切られている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばサスペンションと車両ボデーを連結するサスペンションブッシュ等に適用される筒形防振装置に係り、特に内部に封入された流体の流動作用に基づいた防振効果を利用する流体封入式筒形防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車のサスペンションブッシュ等に適用される筒形防振装置の一種として、内部に封入された流体の流動作用に基づく防振効果を利用する流体封入式筒形防振装置が知られている。この流体封入式筒形防振装置は、内外挿配置されたインナ軸部材とアウタ筒部材が本体ゴム弾性体で弾性連結されて、本体ゴム弾性体の外周面に開口する複数のポケット部がアウタ筒部材で覆蓋されることによって、非圧縮性流体を封入された複数の流体室が形成されていると共に、それら複数の流体室を相互に連通するオリフィス通路が形成された構造を、有している。このような流体封入式筒形防振装置は、例えば特開平5−280580号公報(特許文献1)等に開示されている。
【0003】
ところで、流体封入式筒形防振装置では、オリフィス通路を形成するために、アウタ筒部材の内周側にオリフィス部材が配設される場合がある。このオリフィス部材は、周方向に所定の長さで延びており、複数の流体室間に跨って延びている。更に、オリフィス部材にはオリフィス形成溝が外周面に開口して形成されており、オリフィス形成溝の開口部がアウタ筒部材で覆蓋されることによってオリフィス通路が形成されている。
【0004】
また、流体封入式筒形防振装置では、本体ゴム弾性体の耐久性向上等を目的として、インナ軸部材とアウタ筒部材の軸直角方向での相対変位量を制限するストッパ手段が設けられる場合がある。ストッパ手段は、インナ軸部材とアウタ筒部材の当接によって、インナ軸部材とアウタ筒部材の相対変位量を制限するようになっている。
【0005】
ところが、アウタ筒部材の内周側にオリフィス部材が配設された構造でストッパ手段を設けようとすると、インナ軸部材がオリフィス部材に打ち当てられることから、特にアウタ筒部材の内周面との間に隙間(オリフィス通路)ができるオリフィス形成溝の形成部分において、オリフィス部材が損傷するといった不具合が生じるおそれがあった。
【0006】
一方、特許文献1のように、インナ軸部材とアウタ筒部材の当接力がオリフィス部材に及ぼされない構造を採用しようとすると、例えばインナ軸部材とアウタ筒部材の間に中間スリーブを設けて、その中間スリーブでオリフィス部材を保護する等の手段を講じる必要が生じることから、部品点数の増加やそれに伴う重量の増加および構造の複雑化等が問題になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−280580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、ストッパ荷重の入力に対するオリフィス部材の耐久性を、部品点数の少ない簡単な構造によって確保することができる、新規な構造の流体封入式筒形防振装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の第1の態様は、インナ軸部材とアウタ筒部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されており、該本体ゴム弾性体の外周面に開口する複数のポケット部が該アウタ筒部材で覆蓋されて非圧縮性流体を封入された複数の流体室が形成されていると共に、それら流体室を相互に連通するオリフィス通路が形成されている流体封入式筒形防振装置において、前記ポケット部の開口部を跨いで周方向に延びるオリフィス部材が前記アウタ筒部材の内周側に取り付けられており、該オリフィス部材には外周面に開口して周方向に延びるオリフィス形成溝が形成されて、該オリフィス形成溝の外周側開口部が該アウタ筒部材で覆われることによって前記オリフィス通路が形成されていると共に、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の該オリフィス部材を介した当接によって該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸直角方向での相対変位を制限するストッパ手段が構成されている一方、該オリフィス部材には該オリフィス形成溝の内周底面から外周側に突出する補強リブが周方向に延びて形成されて、該補強リブの突出先端面が該アウタ筒部材の内周面に当接していると共に、該補強リブによって該オリフィス通路が周上の少なくとも一部で同じ流体流動特性を有する複数の流路に仕切られていることを、特徴とする。
【0010】
このような第1の態様に従う構造とされた流体封入式筒形防振装置によれば、オリフィス部材の強度が補強リブによって高められている。それ故、インナ軸部材とアウタ筒部材の間にオリフィス部材が配設されて、インナ軸部材とオリフィス部材が当接することでインナ軸部材とアウタ筒部材の相対変位が制限される構造であっても、インナ軸部材の当接によるオリフィス部材の損傷が回避される。その結果、ストッパ手段によってインナ軸部材とアウタ筒部材の相対変位量が有効に制限されて、本体ゴム弾性体の耐久性が確保されると共に、オリフィス部材の耐久性も確保されて、目的とする防振性能を安定して得ることができる。
【0011】
しかも、補強リブはオリフィス形成溝の底面から突出するように設けられており、オリフィス部材において薄肉とされた低強度の部分が、補強リブによって補強されている。それ故、インナ軸部材とオリフィス部材の当接によってストッパ手段が構成されていても、ストッパ荷重の入力に対するオリフィス部材の耐久性が充分に確保される。
【0012】
加えて、補強リブの突出先端面がアウタ筒部材の内周面に当接していることから、インナ軸部材がオリフィス部材に対して当接した場合に、オリフィス部材の外周側への変形が補強リブのアウタ筒部材に対する当接によって制限されて、オリフィス部材の過大な変形による亀裂等の損傷が回避される。
【0013】
また、補強リブがオリフィス通路を仕切ることで形成される複数の流路は、互いに同じ流体流動特性(流動抵抗や流動流体の共振周波数等)を有しており、振動の入力時に各流路において略均等に流体流動が生じるようになっている。これにより、オリフィス通路全体としては各流路の断面積の総和を通路断面積とする所期のチューニング周波数が維持されて、目的とする防振特性を維持しながら、補強リブを設けることによるオリフィス部材の耐久性の向上が実現される。
【0014】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載された流体封入式筒形防振装置において、前記オリフィス通路が前記補強リブによって周上の少なくとも一部で軸方向等分に仕切られているものである。
【0015】
第2の態様によれば、補強リブによって仕切られた複数の流路が、それぞれ略同じ流体流動特性を有する略同一形状とされており、振動の入力時にはそれら複数の流路において略同様に流体が流動する。これによって、それら複数の流路が1つのオリフィス通路として機能することから、補強リブの形成によるオリフィス通路のチューニング周波数等への影響が抑えられて、目的とする防振特性を有効に得ることができる。
【0016】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載された流体封入式筒形防振装置において、前記補強リブが前記オリフィス形成溝の軸方向中央部分を周方向に延びて形成されているものである。
【0017】
第3の態様によれば、オリフィス形成溝の軸方向中央部分に補強リブが設けられることによって、オリフィス形成溝における補強リブを挟んだ両側部分が略同じ軸方向寸法とされている。それ故、ストッパ荷重の入力時に、オリフィス形成溝の形成部分におけるオリフィス部材の撓み変形が補強リブによって効果的に低減されて、オリフィス部材の耐久性の向上が図られる。
【0018】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れか1つの態様に記載された流体封入式筒形防振装置において、前記補強リブが前記オリフィス形成溝の周方向中間部分に形成されているものである。
【0019】
第4の態様によれば、補強リブがオリフィス形成溝の周方向の中間部分に形成されて、周方向の両端までは至っていない。これにより、オリフィス形成溝の周方向両端に設けられた流体室への連通部分においては、補強リブがないことによって流体の流動抵抗が低減されている。それ故、乱流の発生等によって流体の流動が阻害され易いオリフィス通路の流体室への接続部分において、流体のオリフィス通路に対する出入りがよりスムーズに生じるようになっている。その結果、補強リブの形成によるオリフィス通路の流体流動量の減少が抑えられて、流体の流動作用に基づいた防振効果が有効に発揮される。
【0020】
また、オリフィス部材におけるストッパ荷重の入力部位を周方向中間部分に設定すれば、補強リブによってストッパ荷重が支持されてオリフィス部材の変形が抑えられる。しかも、補強リブの形成位置を周方向中間部分だけとすることで、補強リブの形成による重量の増加が低減される。
【0021】
本発明の第5の態様は、第1〜第4の何れか1つの態様に記載された流体封入式筒形防振装置において、前記インナ軸部材と筒状の中間スリーブが前記本体ゴム弾性体によって弾性連結されていると共に、該中間スリーブに形成された一対の窓部を通じて該本体ゴム弾性体に形成された一対の前記ポケット部が外周側に開口していると共に、該中間スリーブに前記アウタ筒部材が外嵌されて該一対の窓部が該アウタ筒部材で覆蓋されることによって一対の前記流体室が形成されている一方、前記オリフィス部材がそれぞれ周方向に略半周の長さで延びる一対とされて各該窓部を周方向に跨いで配設されていると共に、それら一対のオリフィス部材の周方向両端部分が該中間スリーブと該アウタ筒部材の間で挟持されているものである。
【0022】
第5の態様に示された構造の流体封入式筒形防振装置においても、オリフィス部材の強度が補強リブによって高められて、インナ軸部材の当接によるオリフィス部材の損傷が防止される。
【0023】
加えて、オリフィス部材がそれぞれ略半周の長さで延びる一対とされて、各窓部を跨いで配設されていることにより、オリフィス部材の組付け作業が容易であると共に、アウタ筒部材と中間スリーブの間で挟まれることによってオリフィス部材が安定して支持される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、オリフィス部材に対してオリフィス形成溝の底面から突出してアウタ筒部材に当接する補強リブが形成されていることによって、インナ軸部材がオリフィス部材を介してアウタ筒部材に当接することでストッパ効果が発揮される構造において、オリフィス部材の強度が高められて、特にオリフィス形成溝の形成によって薄肉とされた部分における耐久性の向上が図られる。しかも、補強リブは、オリフィス部材を同じ流体流動特性を有する複数の流路に仕切るように設けられることから、オリフィス通路の断面積はそれら複数の流路の断面積の合計となって、補強リブの形成によるチューニング周波数の変化が抑えられる。このように、本発明に係る流体封入式筒形防振装置では、目的とする防振特性を維持しつつ、補強リブによるオリフィス部材の強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのサスペンションブッシュを示す断面図であって、図2中のI−I断面に相当する図。
【図2】図1のII−II断面図。
【図3】図1のIII−III断面図。
【図4】図1に示されたサスペンションブッシュを構成するオリフィス部材の斜視図。
【図5】図4に示されたオリフィス部材の正面図。
【図6】図5に示されたオリフィス部材の平面図。
【図7】図5に示されたオリフィス部材の底面図。
【図8】図5に示されたオリフィス部材の左側面図。
【図9】図5のIX−IX断面図。
【図10】本発明の第2の実施形態としてのサスペンションブッシュを構成するオリフィス部材の斜視図。
【図11】図10に示されたオリフィス部材の平面図。
【図12】図11に示されたオリフィス部材の左側面図。
【図13】図11のXIII−XIII断面図。
【図14】本発明の別の1実施形態としてのサスペンションブッシュを構成するオリフィス部材の平面図。
【図15】本発明のまた別の1実施形態としてのサスペンションブッシュを構成するオリフィス部材の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1〜図3には、本発明に従う構造とされた流体封入式筒形防振装置の第1の実施形態として、自動車用のサスペンションブッシュ10が示されている。サスペンションブッシュ10は、インナ軸部材12とアウタ筒部材14が本体ゴム弾性体16によって弾性連結された構造を有しており、インナ軸部材12が図示しない車両ボデーに取り付けられると共に、アウタ筒部材14が図示しないサスペンションアームに取り付けられることによって、サスペンションアームを車両ボデーに防振連結するようになっている。なお、以下の説明において、原則として、上下方向とは図1中の上下方向を、左右方向とは図1中の左右方向を、それぞれ言う。
【0028】
より詳細には、インナ軸部材12は、小径の略円筒形状を呈する高剛性の部材であって、中央部分が僅かに拡径している。
【0029】
また、インナ軸部材12には、中間スリーブ18が外挿されている。中間スリーブ18は、薄肉大径の略円筒形状を呈する高剛性の部材であって、軸方向の中央部分には外周面に開口して周方向に延びる嵌着凹溝20が設けられている。また、中間スリーブ18には、一対の窓部22a,22bが形成されている。窓部22は、中間スリーブ18の軸方向中央部分を軸直角方向に貫通する孔であって、一対の窓部22a,22bが径方向の両側に設けられている。なお、窓部22a,22bは、各嵌着凹溝20よりも軸方向外側にまで広がって形成されており、嵌着凹溝20が窓部22a,22bによって周方向に二分されている。
【0030】
そして、インナ軸部材12と中間スリーブ18は、本体ゴム弾性体16によって弾性連結されている。本体ゴム弾性体16は、厚肉の略円筒形状を有しており、内周面がインナ軸部材12の外周面に重ね合わされて加硫接着されていると共に、外周面が中間スリーブ18の内周面に重ね合わされて加硫接着されている。なお、本実施形態の本体ゴム弾性体16は、インナ軸部材12と中間スリーブ18を備えた一体加硫成形品として形成されている。
【0031】
また、インナ軸部材12の外周面には、薄肉筒状の緩衝ゴム24が加硫接着されている。この緩衝ゴム24は、後述するポケット部30aの形成側に比して、同じく後述するポケット部30bの形成側が厚肉とされている。
【0032】
また、中間スリーブ18の嵌着凹溝20が本体ゴム弾性体16と一体形成された被覆ゴム層26によってそれぞれ被覆されていると共に、一方の嵌着凹溝20には、被覆ゴム層26と一体形成されて外周側に突出する隔壁部28が、周方向の中央部分に設けられている。
【0033】
さらに、本体ゴム弾性体16には、一対のポケット部30a,30bが形成されている。ポケット部30は、本体ゴム弾性体16の外周面に開口する凹所であって、一対のポケット部30a,30bが径方向でインナ軸部材12を挟んだ両側に位置している。そして、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品において、それら一対のポケット部30a,30bは、中間スリーブ18の窓部22a,22bを通じて外周側に開口している。なお、ポケット部30の開口は中間スリーブ18に設けられた窓部22の開口に比して僅かに小さくされており、ポケット部30の開口周縁部が窓部22の開口周縁部を覆うように中間スリーブ18に加硫接着されている。
【0034】
また、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品には、アウタ筒部材14が取り付けられている。アウタ筒部材14は、薄肉大径の略円筒形状を有しており、内周面にシールゴム層32が被着形成されている。そして、アウタ筒部材14は、中間スリーブ18に外挿された後、八方絞り等の縮径加工が施されることによって、中間スリーブ18に嵌着固定されている。なお、アウタ筒部材14に固着されたシールゴム層32が、アウタ筒部材14と中間スリーブ18の軸方向両端部分との間で狭まれて圧縮されることにより、アウタ筒部材14と中間スリーブ18の嵌着面間が全周に亘って流体密にシールされている。
【0035】
さらに、窓部22a,22bがアウタ筒部材14によって閉塞されており、ポケット部30a,30bの開口部がアウタ筒部材14で流体密に覆われている。これにより、外部空間に対して密閉されて内部に非圧縮性流体が封入された一対の流体室34a,34bが、一対のポケット部30a,30bを利用して形成されている。なお、流体室34に封入される非圧縮性流体は、特に限定されるものではないが、例えば水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油、或いはそれらの混合液等が好適に採用される。更に、封入される非圧縮性流体は、後述する流体の流動作用に基づいた防振効果を効果的に得るために、0.1Pa・s以下の低粘性流体が望ましい。
【0036】
また、アウタ筒部材14の内周側には、オリフィス部材36a,36bが配設されている。オリフィス部材36は、図4〜図9に示されているように、周方向に略半周の長さで延びる略半円筒形状の部材であって、硬質の合成樹脂によって形成されている。また、オリフィス部材36の周方向中央部分には、軸方向外側に突出する一対の突出部38,38が一体形成されている。更に、オリフィス部材36は、周方向の両端部分が中間部分よりも薄肉とされており、内周側が切欠き状に凹んでいる。また、図7に示されているように、突出部38が設けられて軸方向に幅広とされたオリフィス部材36の周方向中央部分には、内周面に突出する凸形状の固着部40が形成されている。
【0037】
また、オリフィス部材36には、分割オリフィス溝41が設けられている。この分割オリフィス溝41は、外周面に開口して周方向に延びる凹溝であって、周方向の一端がオリフィス部材36の周方向端面に開口していると共に、他端がオリフィス部材36の軸方向両端面に開口している。
【0038】
また、オリフィス部材36には、ストッパゴム44が取り付けられている。ストッパゴム44は、図1,図2に示されているように、略湾曲板形状とされており、内周面には軸方向に延びる複数の凹溝46が周方向で所定の間隔をもって形成されている。そして、ストッパゴム44は、オリフィス部材36の内周面に重ね合わされて固着されている。なお、ストッパゴム44は、オリフィス部材36の固着部40を覆うように固着されており、軸方向および周方向で固着部40よりも外側まで達していることで、オリフィス部材36に対して軸方向および周方向で位置決めされている。
【0039】
そして、一対のオリフィス部材36a,36bは、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対して、一対のポケット部30a,30bが位置する径方向一方向で両側から挟み込むように取り付けられており、一対のポケット部30a,30bの各一方を周方向に跨いで配設されている。更に、オリフィス部材36a,36bの周方向両端部は、中間スリーブ18の嵌着凹溝20に嵌め込まれている。
【0040】
なお、オリフィス部材36aとオリフィス部材36bは、互いに同一の形状とされており、上下を反転させることで、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対して径方向の両側から取り付けられている。このように、オリフィス部材36aとオリフィス部材36bが上下反転して配設されていることにより、オリフィス部材36aの分割オリフィス溝41aと、オリフィス部材36bの分割オリフィス溝41bが、周方向端面への開口側において周方向で相互に接続されている。これによって、周方向に一周弱の長さで延びるオリフィス形成溝42が、分割オリフィス溝41aと分割オリフィス溝41bとによって形成されており、オリフィス形成溝42の周方向一方の端部がポケット部30aに連通されていると共に、オリフィス形成溝42の周方向他方の端部がポケット部30bに連通されている。なお、本実施形態では、オリフィス部材36aとオリフィス部材36bによって、オリフィス形成溝42を備えたオリフィス部材が構成されている。
【0041】
このようにしてオリフィス部材36a,36bが本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に取り付けられた後、アウタ筒部材14が本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に外嵌されることにより、オリフィス部材36a,36bの周方向両端部がアウタ筒部材14と中間スリーブ18の間で挟持されている。
【0042】
また、アウタ筒部材14がオリフィス部材36a,36bの外周面に対してシールゴム層32を介して重ね合わされることにより、オリフィス形成溝42の外周側の開口部がアウタ筒部材14によって流体密に覆われて、トンネル状の流路が形成されている。これにより、一対の流体室34a,34bを相互に連通するオリフィス通路48が、オリフィス形成溝42を利用して形成されている。なお、オリフィス通路48は、流体室34a,34bの壁ばね剛性を考慮しつつ、通路断面積:Aと通路長:Lの比(A/L)を調節することによって、オリフィス通路48を通じて流動する流体の共振周波数(チューニング周波数)が調節されており、本実施形態ではエンジンシェイクに相当する10Hz程度の低周波数にチューニングされている。
【0043】
また、一対のポケット部30a,30bが配置された径方向において、インナ軸部材12とアウタ筒部材14がオリフィス部材36およびストッパゴム44を挟んで対向している。そして、荷重の入力によってインナ軸部材12がアウタ筒部材14に対して一対のポケット部30a,30bの配置方向で大きく相対変位すると、インナ軸部材12がオリフィス部材36に対してストッパゴム44を介して緩衝的に当接する。オリフィス部材36は、アウタ筒部材14の内周面に重ね合わされていることから、実質的にインナ軸部材12がアウタ筒部材14に当接することになって、インナ軸部材12とアウタ筒部材14の相対変位量が緩衝的に制限される。これにより、インナ軸部材12とアウタ筒部材14の軸直角方向での相対変位量を制限するストッパ手段が構成されている。
【0044】
また、オリフィス通路48の軸方向中央部分には、オリフィス形成溝42の内周底面から外周側に突出する補強リブ50が設けられている。補強リブ50は、図1〜図4、図6に示されているように、オリフィス部材36a,36bに一体形成されており、オリフィス形成溝42の軸方向(図2中の左右方向)中央部分において突出する中実の突条とされて、略一定の断面形状で周方向に延びている。また、補強リブ50は、基端(内周端)から先端(外周端)まで軸方向で略一定の幅寸法を有しており、突出先端面が軸方向に所定の幅を有する筒状面とされている。
【0045】
また、補強リブ50は、オリフィス形成溝42の長さ方向の中間部分に設けられており、オリフィス形成溝42の長さ方向両端部分までは至らない長さとされている。換言すれば、補強リブ50は、オリフィス通路48の通路長方向の中間部分に対して、周方向にオリフィス通路48の通路長よりも短い所定長さで延びるように部分的に設けられている。
【0046】
さらに、補強リブ50は、オリフィス形成溝42の軸方向両側の壁部と略同じ高さで突出形成されており、先端面がシールゴム層32を介してアウタ筒部材14に当接している。これにより、オリフィス形成溝42の軸方向中央部分がアウタ筒部材14によって当接支持されている。
【0047】
このような補強リブ50がオリフィス部材36に設けられることによって、オリフィス通路48は、周方向の中間部分において軸方向等分に仕切られて上下に二等分されており、補強リブ50を挟んだ両側に同じ流体流動特性を有する一対の流路が形成されている。なお、流路の流体流動特性が同じであるとは、流動抵抗や流動流体の共振周波数等が略同じであって、振動の入力時に各流路において略等量の流体が流動することを言う。本実施形態では、補強リブ50で仕切られた流路の形状が軸方向の中心を通る軸直平面に対して面対称とされていることにより、それら流路の流体流動特性が相互に同じとされている。
【0048】
このような構造とされたサスペンションブッシュ10は、例えば自動車のフロントサスペンションに取り付けられて、図示しないサスペンションアームを同じく図示しない車両ボデーに対して防振連結するようになっている。即ち、インナ軸部材12が車両ボデーにボルト等で取り付けられると共に、アウタ筒部材14がサスペンションアームに形成されたアームアイに圧入固定されることによって、サスペンションブッシュ10が車両ボデーとサスペンションアームの間に介装されるようになっている。
【0049】
そして、エンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動がインナ軸部材12とアウタ筒部材14の間に入力されて、インナ軸部材12がアウタ筒部材14に対して一対の流体室34a,34bが位置する径方向一方向で相対変位すると、一対の流体室34a,34bの相対的な圧力差に基づいて、それら流体室34a,34bの間でオリフィス通路48を通じた流体流動が惹起される。これにより、流体の流動作用に基づいて、目的とする防振効果(高減衰効果)が発揮される。
【0050】
また、段差の乗越え時等に大荷重が入力されると、インナ軸部材12がオリフィス部材36に対してストッパゴム44を介して当接する。これにより、インナ軸部材12とアウタ筒部材14の相対変位量が制限されて、本体ゴム弾性体16の変形が抑えられる。これにより、本体ゴム弾性体16に亀裂等の損傷が生じるのを防ぐことができて、耐久性の向上が図られる。なお、ストッパゴム44の内周面に複数の凹溝46が形成されていることによって、初期の当接面積が低減されて、当接時の緩衝作用がより効果的に発揮されるようになっている。加えて、インナ軸部材12の外周面が緩衝ゴム24で被覆されており、当接時の衝撃が緩衝ゴム24によっても緩和されるようになっている。
【0051】
このようにインナ軸部材12がオリフィス部材36に当接すると、インナ軸部材12とオリフィス部材36の間に当接荷重(ストッパ荷重)が及ぼされる。合成樹脂で形成されたオリフィス部材36には、ストッパゴム44を介してオリフィス形成溝42の形成部分に当接荷重が作用する。そこにおいて、オリフィス形成溝42には、内周底面から外周側に突出する補強リブ50が一体形成されており、その突出先端面がアウタ筒部材14の内周面に当接している。これにより、オリフィス形成溝42の内周底面が補強リブ50によって支持されており、オリフィス形成溝42の形成部分におけるオリフィス部材36の変形が低減されている。その結果、オリフィス部材36の過大な変形による損傷が防止されて、耐久性の向上が図られる。
【0052】
特に本実施形態では、補強リブ50がオリフィス形成溝42の軸方向中央部分に設けられていることによって、補強リブ50の軸方向両側でアウタ筒部材14から離隔している部分の軸方向寸法が片側だけ大きくなることはなく、オリフィス形成溝42が補強リブ50によって軸方向等分に仕切られている。それ故、オリフィス形成溝42の形成部分におけるオリフィス部材36の撓み変形が効果的に抑えられて、オリフィス部材36の損傷がより有利に防止される。
【0053】
しかも、補強リブ50は、ストッパゴム44を介してインナ軸部材12と当接するオリフィス部材36の周方向中間部分に設けられており、インナ軸部材12との当接による当接荷重が補強リブ50によって効率的に受け止められるようになっている。それ故、オリフィス部材36の変形が効果的に軽減されて、オリフィス部材36の損傷の回避が図られる。更に、補強リブ50がストッパ荷重の直接的な入力がない周方向両端部分までは至らない長さで形成されていることから、オリフィス通路48の流体室34a,34bへの接続部分で流路断面積が大きく確保されて、流体の流動が乱流等によって出入口付近で妨げられるのを防ぐことができる。更にまた、補強リブ50がストッパ荷重の作用部分だけに設けることで、補強リブ50の形成によるオリフィス部材36の質量の増加が低減される。
【0054】
加えて、補強リブ50は、基端側から先端側まで略一定の軸方向幅寸法で形成された中実の突条とされており、アウタ筒部材14への当接面積が大きく確保されていると共に、補強リブ50自体の剛性も確保されている。それ故、ストッパ荷重によって補強リブ50やアウタ筒部材14が損傷するのも防止されて、目的とするストッパ効果が有効に発揮される。
【0055】
また、オリフィス通路48は、周方向の中間部分において、補強リブ50によって軸方向両側に仕切られており、補強リブ50で仕切られた各流路が互いに略同一形状とされて略同一の流体流動特性を有している。それ故、振動入力時には、各流路において略等量の流体が同時に流動して、それら各流路を含んだオリフィス通路48の全体が1つの流路として機能する。その結果、オリフィス通路48は、補強リブ50の形成による流体流動特性(チューニング周波数等)の変化が防止されて、目的とする防振特性が実現される。
【0056】
さらに、本実施形態では、補強リブ50が略一定の断面形状で周方向に延びており、補強リブ50で仕切られた各流路が蛇行や流路断面積の変化を生じることなく周方向に延びている。それ故、オリフィス通路48の流動抵抗が補強リブ50の形成によって著しく変化するのを回避できて、オリフィス通路48を通じた流体のスムーズな流動によって、目的とする防振効果が有効に発揮される。
【0057】
図10〜図13には、本発明に係る流体封入式筒形防振装置の第2の実施形態としてのサスペンションブッシュを構成するオリフィス部材60が示されている。なお、以下の説明において、本実施形態のサスペンションブッシュは図示されていないが、オリフィス部材60を除いた部分は第1の実施形態と略同一構造とされている。また、オリフィス部材60においても、第1の実施形態のオリフィス部材36と実質的に同一の部分については、図中に同一の符号を付すことによって説明を省略する。
【0058】
より詳細には、オリフィス部材60には分割オリフィス溝62が設けられている。分割オリフィス溝62は、外周面に開口して周方向に延びる凹溝であって、周方向一方の端部(図11の右端)がオリフィス部材60の周方向端面に開口していると共に、周方向他方の端部(図11の左端)がオリフィス部材60の軸方向両端面に開口している。更に、分割オリフィス溝62は、周方向中央部分が周方向両端部分に比して幅広とされており、それら周方向の中央部分と両端部分がテーパ部分を介して滑らかに連続している。
【0059】
また、オリフィス部材60には、補強リブ64が設けられている。補強リブ64は、分割オリフィス溝62の軸方向中央部分において内周底面から外周側に突出する突条であって、周方向で全長に亘って連続的に延びている。また、補強リブ64の周方向の中央部分は、周方向の両端部分に比して軸方向に拡幅されており、幅広の拡幅受圧部66とされている。また、拡幅受圧部66は、軸方向両側に同じ寸法で拡幅されて、軸方向の中心を通る軸直平面に対して面対称な形状とされている。また、補強リブ64は、狭幅とされた周方向の両端部分と、幅広とされた周方向の中央部分(拡幅受圧部66)が、テーパ部分を介してなだらかに連続して設けられている。なお、補強リブ64の拡幅受圧部66の形成部分では、分割オリフィス溝62も拡幅されており、オリフィス通路48における補強リブ64で仕切られた軸方向両側の流路が略一定の断面積で周方向に延びている。
【0060】
なお、オリフィス部材60は、第1の実施形態のオリフィス部材36と同様に、上下反転した一対が組み合わされており、それによって各オリフィス部材60の分割オリフィス溝62が相互に連通されて、オリフィス形成溝が形成されている。このことは、後述するオリフィス部材70,80についても同様である。
【0061】
このようなオリフィス部材60を備えたサスペンションブッシュにおいても、第1の実施形態のサスペンションブッシュ10と同様に、補強リブ64によって分割オリフィス溝62の軸方向中央部分がアウタ筒部材14に当接支持されていることから、ストッパ荷重の入力に対するオリフィス部材60の変形が抑えられて、耐久性の向上が図られる。
【0062】
また、補強リブ64の周方向中央部分に拡幅された拡幅受圧部66が設けられていることによって、インナ軸部材の当接荷重が特に作用し易い周方向中央部分においてオリフィス部材60とアウタ筒部材14の当接面積がより大きく確保される。それ故、オリフィス部材60の変形量が効果的に低減されて、ストッパ荷重の入力によるオリフィス部材60の損傷が有利に防止される。
【0063】
しかも、オリフィス部材60では、補強リブ64の周方向中央部分に拡幅受圧部66が設けられているのに合わせて、オリフィス形成溝の周方向中央部分が拡幅されている。これにより、オリフィス通路48における補強リブ64で仕切られた両側の流路において、拡幅受圧部66の形成による部分的な狭窄が回避されて、オリフィス通路48を通じての流動する流体の量が確保される。
【0064】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、第1の実施形態における補強リブ50は、オリフィス形成溝42の周方向中間部分にのみ形成されていたが、第2の実施形態における補強リブ64と同様に周方向の全長に亘って連続的に設けられていても良い。要するに、図14に示されたオリフィス部材70の補強リブ72のように、分割オリフィス溝74,74で構成されたオリフィス形成溝の周方向の全長に亘って、略単一の断面形状で延びていても良い。
【0065】
また、補強リブは、必ずしもオリフィス形成溝42内に1条だけが設けられた構造とされている必要はなく、複数条の補強リブが設けられていても良い。例えば、図15に示されたオリフィス部材80では、分割オリフィス溝82の底面から突出する2条の補強リブ50,50が、軸方向で相互に離隔して設けられており、それら補強リブ50,50によって分割オリフィス溝82,82で形成されたオリフィス形成溝が軸方向で3等分されるように仕切られている。このように複数条の補強リブが設けられている場合であっても、それら補強リブによって仕切られた流路が相互に略同一の流体流動特性を有していると共に、目的とするオリフィス通路の通路断面積が確保されていれば、目的とする防振特性を維持しつつ、オリフィス部材を補強してストッパ効果を安定して得ることができる。
【0066】
補強リブは全体が周方向に連続している必要はなく、周方向で断続的に複数の補強リブが、それぞれ周方向に延びて設けられていても良い。
【0067】
補強リブの断面形状は特に限定されるものではなく、突出先端側に向かって次第に狭幅となる先細断面や、半円形断面等であっても良い。
【0068】
また、ストッパゴムは、必ずしもオリフィス部材36側に設けられていなくても良く、インナ軸部材12側に設けられていても良い。なお、インナ軸部材12側にストッパゴムを設ける場合には、例えば緩衝ゴム24をより厚肉化してストッパゴムとして利用することも可能である。
【0069】
また、インナ軸部材12に対して軸直角方向で突出するストッパ部材を取り付けて、ストッパ部材がオリフィス部材36に当接することでストッパ手段が構成されていても良い。要するに、許容されるべきインナ軸部材12とアウタ筒部材14の相対変位量に応じて、インナ軸部材12とオリフィス部材36の対向面間距離を調節するための部材を、それらインナ軸部材12とオリフィス部材36の間に配設しても良い。
【0070】
前記実施形態では、本発明をサスペンションブッシュに適用した例が示されているが、本発明に係る流体封入式能動型防振装置は、エンジンマウントやサブフレームマウント等にも好適に採用され得る。また、本発明は、自動車用の流体封入式筒形防振装置に限定されるものではなく、例えば自動二輪車や鉄道用車両、産業用車両等に用いられる流体封入式筒形防振装置としても採用される。
【符号の説明】
【0071】
10:サスペンションブッシュ(流体封入式筒形防振装置)、12:インナ軸部材、14:アウタ筒部材、16:本体ゴム弾性体、18: 中間スリーブ、22:窓部、30:ポケット部、34:流体室、36,60,70,80:オリフィス部材、41,62,74,82:分割オリフィス溝、42:オリフィス形成溝、48:オリフィス通路、50,64,72:補強リブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばサスペンションと車両ボデーを連結するサスペンションブッシュ等に適用される筒形防振装置に係り、特に内部に封入された流体の流動作用に基づいた防振効果を利用する流体封入式筒形防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車のサスペンションブッシュ等に適用される筒形防振装置の一種として、内部に封入された流体の流動作用に基づく防振効果を利用する流体封入式筒形防振装置が知られている。この流体封入式筒形防振装置は、内外挿配置されたインナ軸部材とアウタ筒部材が本体ゴム弾性体で弾性連結されて、本体ゴム弾性体の外周面に開口する複数のポケット部がアウタ筒部材で覆蓋されることによって、非圧縮性流体を封入された複数の流体室が形成されていると共に、それら複数の流体室を相互に連通するオリフィス通路が形成された構造を、有している。このような流体封入式筒形防振装置は、例えば特開平5−280580号公報(特許文献1)等に開示されている。
【0003】
ところで、流体封入式筒形防振装置では、オリフィス通路を形成するために、アウタ筒部材の内周側にオリフィス部材が配設される場合がある。このオリフィス部材は、周方向に所定の長さで延びており、複数の流体室間に跨って延びている。更に、オリフィス部材にはオリフィス形成溝が外周面に開口して形成されており、オリフィス形成溝の開口部がアウタ筒部材で覆蓋されることによってオリフィス通路が形成されている。
【0004】
また、流体封入式筒形防振装置では、本体ゴム弾性体の耐久性向上等を目的として、インナ軸部材とアウタ筒部材の軸直角方向での相対変位量を制限するストッパ手段が設けられる場合がある。ストッパ手段は、インナ軸部材とアウタ筒部材の当接によって、インナ軸部材とアウタ筒部材の相対変位量を制限するようになっている。
【0005】
ところが、アウタ筒部材の内周側にオリフィス部材が配設された構造でストッパ手段を設けようとすると、インナ軸部材がオリフィス部材に打ち当てられることから、特にアウタ筒部材の内周面との間に隙間(オリフィス通路)ができるオリフィス形成溝の形成部分において、オリフィス部材が損傷するといった不具合が生じるおそれがあった。
【0006】
一方、特許文献1のように、インナ軸部材とアウタ筒部材の当接力がオリフィス部材に及ぼされない構造を採用しようとすると、例えばインナ軸部材とアウタ筒部材の間に中間スリーブを設けて、その中間スリーブでオリフィス部材を保護する等の手段を講じる必要が生じることから、部品点数の増加やそれに伴う重量の増加および構造の複雑化等が問題になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−280580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、ストッパ荷重の入力に対するオリフィス部材の耐久性を、部品点数の少ない簡単な構造によって確保することができる、新規な構造の流体封入式筒形防振装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の第1の態様は、インナ軸部材とアウタ筒部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されており、該本体ゴム弾性体の外周面に開口する複数のポケット部が該アウタ筒部材で覆蓋されて非圧縮性流体を封入された複数の流体室が形成されていると共に、それら流体室を相互に連通するオリフィス通路が形成されている流体封入式筒形防振装置において、前記ポケット部の開口部を跨いで周方向に延びるオリフィス部材が前記アウタ筒部材の内周側に取り付けられており、該オリフィス部材には外周面に開口して周方向に延びるオリフィス形成溝が形成されて、該オリフィス形成溝の外周側開口部が該アウタ筒部材で覆われることによって前記オリフィス通路が形成されていると共に、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の該オリフィス部材を介した当接によって該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸直角方向での相対変位を制限するストッパ手段が構成されている一方、該オリフィス部材には該オリフィス形成溝の内周底面から外周側に突出する補強リブが周方向に延びて形成されて、該補強リブの突出先端面が該アウタ筒部材の内周面に当接していると共に、該補強リブによって該オリフィス通路が周上の少なくとも一部で同じ流体流動特性を有する複数の流路に仕切られていることを、特徴とする。
【0010】
このような第1の態様に従う構造とされた流体封入式筒形防振装置によれば、オリフィス部材の強度が補強リブによって高められている。それ故、インナ軸部材とアウタ筒部材の間にオリフィス部材が配設されて、インナ軸部材とオリフィス部材が当接することでインナ軸部材とアウタ筒部材の相対変位が制限される構造であっても、インナ軸部材の当接によるオリフィス部材の損傷が回避される。その結果、ストッパ手段によってインナ軸部材とアウタ筒部材の相対変位量が有効に制限されて、本体ゴム弾性体の耐久性が確保されると共に、オリフィス部材の耐久性も確保されて、目的とする防振性能を安定して得ることができる。
【0011】
しかも、補強リブはオリフィス形成溝の底面から突出するように設けられており、オリフィス部材において薄肉とされた低強度の部分が、補強リブによって補強されている。それ故、インナ軸部材とオリフィス部材の当接によってストッパ手段が構成されていても、ストッパ荷重の入力に対するオリフィス部材の耐久性が充分に確保される。
【0012】
加えて、補強リブの突出先端面がアウタ筒部材の内周面に当接していることから、インナ軸部材がオリフィス部材に対して当接した場合に、オリフィス部材の外周側への変形が補強リブのアウタ筒部材に対する当接によって制限されて、オリフィス部材の過大な変形による亀裂等の損傷が回避される。
【0013】
また、補強リブがオリフィス通路を仕切ることで形成される複数の流路は、互いに同じ流体流動特性(流動抵抗や流動流体の共振周波数等)を有しており、振動の入力時に各流路において略均等に流体流動が生じるようになっている。これにより、オリフィス通路全体としては各流路の断面積の総和を通路断面積とする所期のチューニング周波数が維持されて、目的とする防振特性を維持しながら、補強リブを設けることによるオリフィス部材の耐久性の向上が実現される。
【0014】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載された流体封入式筒形防振装置において、前記オリフィス通路が前記補強リブによって周上の少なくとも一部で軸方向等分に仕切られているものである。
【0015】
第2の態様によれば、補強リブによって仕切られた複数の流路が、それぞれ略同じ流体流動特性を有する略同一形状とされており、振動の入力時にはそれら複数の流路において略同様に流体が流動する。これによって、それら複数の流路が1つのオリフィス通路として機能することから、補強リブの形成によるオリフィス通路のチューニング周波数等への影響が抑えられて、目的とする防振特性を有効に得ることができる。
【0016】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載された流体封入式筒形防振装置において、前記補強リブが前記オリフィス形成溝の軸方向中央部分を周方向に延びて形成されているものである。
【0017】
第3の態様によれば、オリフィス形成溝の軸方向中央部分に補強リブが設けられることによって、オリフィス形成溝における補強リブを挟んだ両側部分が略同じ軸方向寸法とされている。それ故、ストッパ荷重の入力時に、オリフィス形成溝の形成部分におけるオリフィス部材の撓み変形が補強リブによって効果的に低減されて、オリフィス部材の耐久性の向上が図られる。
【0018】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れか1つの態様に記載された流体封入式筒形防振装置において、前記補強リブが前記オリフィス形成溝の周方向中間部分に形成されているものである。
【0019】
第4の態様によれば、補強リブがオリフィス形成溝の周方向の中間部分に形成されて、周方向の両端までは至っていない。これにより、オリフィス形成溝の周方向両端に設けられた流体室への連通部分においては、補強リブがないことによって流体の流動抵抗が低減されている。それ故、乱流の発生等によって流体の流動が阻害され易いオリフィス通路の流体室への接続部分において、流体のオリフィス通路に対する出入りがよりスムーズに生じるようになっている。その結果、補強リブの形成によるオリフィス通路の流体流動量の減少が抑えられて、流体の流動作用に基づいた防振効果が有効に発揮される。
【0020】
また、オリフィス部材におけるストッパ荷重の入力部位を周方向中間部分に設定すれば、補強リブによってストッパ荷重が支持されてオリフィス部材の変形が抑えられる。しかも、補強リブの形成位置を周方向中間部分だけとすることで、補強リブの形成による重量の増加が低減される。
【0021】
本発明の第5の態様は、第1〜第4の何れか1つの態様に記載された流体封入式筒形防振装置において、前記インナ軸部材と筒状の中間スリーブが前記本体ゴム弾性体によって弾性連結されていると共に、該中間スリーブに形成された一対の窓部を通じて該本体ゴム弾性体に形成された一対の前記ポケット部が外周側に開口していると共に、該中間スリーブに前記アウタ筒部材が外嵌されて該一対の窓部が該アウタ筒部材で覆蓋されることによって一対の前記流体室が形成されている一方、前記オリフィス部材がそれぞれ周方向に略半周の長さで延びる一対とされて各該窓部を周方向に跨いで配設されていると共に、それら一対のオリフィス部材の周方向両端部分が該中間スリーブと該アウタ筒部材の間で挟持されているものである。
【0022】
第5の態様に示された構造の流体封入式筒形防振装置においても、オリフィス部材の強度が補強リブによって高められて、インナ軸部材の当接によるオリフィス部材の損傷が防止される。
【0023】
加えて、オリフィス部材がそれぞれ略半周の長さで延びる一対とされて、各窓部を跨いで配設されていることにより、オリフィス部材の組付け作業が容易であると共に、アウタ筒部材と中間スリーブの間で挟まれることによってオリフィス部材が安定して支持される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、オリフィス部材に対してオリフィス形成溝の底面から突出してアウタ筒部材に当接する補強リブが形成されていることによって、インナ軸部材がオリフィス部材を介してアウタ筒部材に当接することでストッパ効果が発揮される構造において、オリフィス部材の強度が高められて、特にオリフィス形成溝の形成によって薄肉とされた部分における耐久性の向上が図られる。しかも、補強リブは、オリフィス部材を同じ流体流動特性を有する複数の流路に仕切るように設けられることから、オリフィス通路の断面積はそれら複数の流路の断面積の合計となって、補強リブの形成によるチューニング周波数の変化が抑えられる。このように、本発明に係る流体封入式筒形防振装置では、目的とする防振特性を維持しつつ、補強リブによるオリフィス部材の強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのサスペンションブッシュを示す断面図であって、図2中のI−I断面に相当する図。
【図2】図1のII−II断面図。
【図3】図1のIII−III断面図。
【図4】図1に示されたサスペンションブッシュを構成するオリフィス部材の斜視図。
【図5】図4に示されたオリフィス部材の正面図。
【図6】図5に示されたオリフィス部材の平面図。
【図7】図5に示されたオリフィス部材の底面図。
【図8】図5に示されたオリフィス部材の左側面図。
【図9】図5のIX−IX断面図。
【図10】本発明の第2の実施形態としてのサスペンションブッシュを構成するオリフィス部材の斜視図。
【図11】図10に示されたオリフィス部材の平面図。
【図12】図11に示されたオリフィス部材の左側面図。
【図13】図11のXIII−XIII断面図。
【図14】本発明の別の1実施形態としてのサスペンションブッシュを構成するオリフィス部材の平面図。
【図15】本発明のまた別の1実施形態としてのサスペンションブッシュを構成するオリフィス部材の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1〜図3には、本発明に従う構造とされた流体封入式筒形防振装置の第1の実施形態として、自動車用のサスペンションブッシュ10が示されている。サスペンションブッシュ10は、インナ軸部材12とアウタ筒部材14が本体ゴム弾性体16によって弾性連結された構造を有しており、インナ軸部材12が図示しない車両ボデーに取り付けられると共に、アウタ筒部材14が図示しないサスペンションアームに取り付けられることによって、サスペンションアームを車両ボデーに防振連結するようになっている。なお、以下の説明において、原則として、上下方向とは図1中の上下方向を、左右方向とは図1中の左右方向を、それぞれ言う。
【0028】
より詳細には、インナ軸部材12は、小径の略円筒形状を呈する高剛性の部材であって、中央部分が僅かに拡径している。
【0029】
また、インナ軸部材12には、中間スリーブ18が外挿されている。中間スリーブ18は、薄肉大径の略円筒形状を呈する高剛性の部材であって、軸方向の中央部分には外周面に開口して周方向に延びる嵌着凹溝20が設けられている。また、中間スリーブ18には、一対の窓部22a,22bが形成されている。窓部22は、中間スリーブ18の軸方向中央部分を軸直角方向に貫通する孔であって、一対の窓部22a,22bが径方向の両側に設けられている。なお、窓部22a,22bは、各嵌着凹溝20よりも軸方向外側にまで広がって形成されており、嵌着凹溝20が窓部22a,22bによって周方向に二分されている。
【0030】
そして、インナ軸部材12と中間スリーブ18は、本体ゴム弾性体16によって弾性連結されている。本体ゴム弾性体16は、厚肉の略円筒形状を有しており、内周面がインナ軸部材12の外周面に重ね合わされて加硫接着されていると共に、外周面が中間スリーブ18の内周面に重ね合わされて加硫接着されている。なお、本実施形態の本体ゴム弾性体16は、インナ軸部材12と中間スリーブ18を備えた一体加硫成形品として形成されている。
【0031】
また、インナ軸部材12の外周面には、薄肉筒状の緩衝ゴム24が加硫接着されている。この緩衝ゴム24は、後述するポケット部30aの形成側に比して、同じく後述するポケット部30bの形成側が厚肉とされている。
【0032】
また、中間スリーブ18の嵌着凹溝20が本体ゴム弾性体16と一体形成された被覆ゴム層26によってそれぞれ被覆されていると共に、一方の嵌着凹溝20には、被覆ゴム層26と一体形成されて外周側に突出する隔壁部28が、周方向の中央部分に設けられている。
【0033】
さらに、本体ゴム弾性体16には、一対のポケット部30a,30bが形成されている。ポケット部30は、本体ゴム弾性体16の外周面に開口する凹所であって、一対のポケット部30a,30bが径方向でインナ軸部材12を挟んだ両側に位置している。そして、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品において、それら一対のポケット部30a,30bは、中間スリーブ18の窓部22a,22bを通じて外周側に開口している。なお、ポケット部30の開口は中間スリーブ18に設けられた窓部22の開口に比して僅かに小さくされており、ポケット部30の開口周縁部が窓部22の開口周縁部を覆うように中間スリーブ18に加硫接着されている。
【0034】
また、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品には、アウタ筒部材14が取り付けられている。アウタ筒部材14は、薄肉大径の略円筒形状を有しており、内周面にシールゴム層32が被着形成されている。そして、アウタ筒部材14は、中間スリーブ18に外挿された後、八方絞り等の縮径加工が施されることによって、中間スリーブ18に嵌着固定されている。なお、アウタ筒部材14に固着されたシールゴム層32が、アウタ筒部材14と中間スリーブ18の軸方向両端部分との間で狭まれて圧縮されることにより、アウタ筒部材14と中間スリーブ18の嵌着面間が全周に亘って流体密にシールされている。
【0035】
さらに、窓部22a,22bがアウタ筒部材14によって閉塞されており、ポケット部30a,30bの開口部がアウタ筒部材14で流体密に覆われている。これにより、外部空間に対して密閉されて内部に非圧縮性流体が封入された一対の流体室34a,34bが、一対のポケット部30a,30bを利用して形成されている。なお、流体室34に封入される非圧縮性流体は、特に限定されるものではないが、例えば水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油、或いはそれらの混合液等が好適に採用される。更に、封入される非圧縮性流体は、後述する流体の流動作用に基づいた防振効果を効果的に得るために、0.1Pa・s以下の低粘性流体が望ましい。
【0036】
また、アウタ筒部材14の内周側には、オリフィス部材36a,36bが配設されている。オリフィス部材36は、図4〜図9に示されているように、周方向に略半周の長さで延びる略半円筒形状の部材であって、硬質の合成樹脂によって形成されている。また、オリフィス部材36の周方向中央部分には、軸方向外側に突出する一対の突出部38,38が一体形成されている。更に、オリフィス部材36は、周方向の両端部分が中間部分よりも薄肉とされており、内周側が切欠き状に凹んでいる。また、図7に示されているように、突出部38が設けられて軸方向に幅広とされたオリフィス部材36の周方向中央部分には、内周面に突出する凸形状の固着部40が形成されている。
【0037】
また、オリフィス部材36には、分割オリフィス溝41が設けられている。この分割オリフィス溝41は、外周面に開口して周方向に延びる凹溝であって、周方向の一端がオリフィス部材36の周方向端面に開口していると共に、他端がオリフィス部材36の軸方向両端面に開口している。
【0038】
また、オリフィス部材36には、ストッパゴム44が取り付けられている。ストッパゴム44は、図1,図2に示されているように、略湾曲板形状とされており、内周面には軸方向に延びる複数の凹溝46が周方向で所定の間隔をもって形成されている。そして、ストッパゴム44は、オリフィス部材36の内周面に重ね合わされて固着されている。なお、ストッパゴム44は、オリフィス部材36の固着部40を覆うように固着されており、軸方向および周方向で固着部40よりも外側まで達していることで、オリフィス部材36に対して軸方向および周方向で位置決めされている。
【0039】
そして、一対のオリフィス部材36a,36bは、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対して、一対のポケット部30a,30bが位置する径方向一方向で両側から挟み込むように取り付けられており、一対のポケット部30a,30bの各一方を周方向に跨いで配設されている。更に、オリフィス部材36a,36bの周方向両端部は、中間スリーブ18の嵌着凹溝20に嵌め込まれている。
【0040】
なお、オリフィス部材36aとオリフィス部材36bは、互いに同一の形状とされており、上下を反転させることで、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対して径方向の両側から取り付けられている。このように、オリフィス部材36aとオリフィス部材36bが上下反転して配設されていることにより、オリフィス部材36aの分割オリフィス溝41aと、オリフィス部材36bの分割オリフィス溝41bが、周方向端面への開口側において周方向で相互に接続されている。これによって、周方向に一周弱の長さで延びるオリフィス形成溝42が、分割オリフィス溝41aと分割オリフィス溝41bとによって形成されており、オリフィス形成溝42の周方向一方の端部がポケット部30aに連通されていると共に、オリフィス形成溝42の周方向他方の端部がポケット部30bに連通されている。なお、本実施形態では、オリフィス部材36aとオリフィス部材36bによって、オリフィス形成溝42を備えたオリフィス部材が構成されている。
【0041】
このようにしてオリフィス部材36a,36bが本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に取り付けられた後、アウタ筒部材14が本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に外嵌されることにより、オリフィス部材36a,36bの周方向両端部がアウタ筒部材14と中間スリーブ18の間で挟持されている。
【0042】
また、アウタ筒部材14がオリフィス部材36a,36bの外周面に対してシールゴム層32を介して重ね合わされることにより、オリフィス形成溝42の外周側の開口部がアウタ筒部材14によって流体密に覆われて、トンネル状の流路が形成されている。これにより、一対の流体室34a,34bを相互に連通するオリフィス通路48が、オリフィス形成溝42を利用して形成されている。なお、オリフィス通路48は、流体室34a,34bの壁ばね剛性を考慮しつつ、通路断面積:Aと通路長:Lの比(A/L)を調節することによって、オリフィス通路48を通じて流動する流体の共振周波数(チューニング周波数)が調節されており、本実施形態ではエンジンシェイクに相当する10Hz程度の低周波数にチューニングされている。
【0043】
また、一対のポケット部30a,30bが配置された径方向において、インナ軸部材12とアウタ筒部材14がオリフィス部材36およびストッパゴム44を挟んで対向している。そして、荷重の入力によってインナ軸部材12がアウタ筒部材14に対して一対のポケット部30a,30bの配置方向で大きく相対変位すると、インナ軸部材12がオリフィス部材36に対してストッパゴム44を介して緩衝的に当接する。オリフィス部材36は、アウタ筒部材14の内周面に重ね合わされていることから、実質的にインナ軸部材12がアウタ筒部材14に当接することになって、インナ軸部材12とアウタ筒部材14の相対変位量が緩衝的に制限される。これにより、インナ軸部材12とアウタ筒部材14の軸直角方向での相対変位量を制限するストッパ手段が構成されている。
【0044】
また、オリフィス通路48の軸方向中央部分には、オリフィス形成溝42の内周底面から外周側に突出する補強リブ50が設けられている。補強リブ50は、図1〜図4、図6に示されているように、オリフィス部材36a,36bに一体形成されており、オリフィス形成溝42の軸方向(図2中の左右方向)中央部分において突出する中実の突条とされて、略一定の断面形状で周方向に延びている。また、補強リブ50は、基端(内周端)から先端(外周端)まで軸方向で略一定の幅寸法を有しており、突出先端面が軸方向に所定の幅を有する筒状面とされている。
【0045】
また、補強リブ50は、オリフィス形成溝42の長さ方向の中間部分に設けられており、オリフィス形成溝42の長さ方向両端部分までは至らない長さとされている。換言すれば、補強リブ50は、オリフィス通路48の通路長方向の中間部分に対して、周方向にオリフィス通路48の通路長よりも短い所定長さで延びるように部分的に設けられている。
【0046】
さらに、補強リブ50は、オリフィス形成溝42の軸方向両側の壁部と略同じ高さで突出形成されており、先端面がシールゴム層32を介してアウタ筒部材14に当接している。これにより、オリフィス形成溝42の軸方向中央部分がアウタ筒部材14によって当接支持されている。
【0047】
このような補強リブ50がオリフィス部材36に設けられることによって、オリフィス通路48は、周方向の中間部分において軸方向等分に仕切られて上下に二等分されており、補強リブ50を挟んだ両側に同じ流体流動特性を有する一対の流路が形成されている。なお、流路の流体流動特性が同じであるとは、流動抵抗や流動流体の共振周波数等が略同じであって、振動の入力時に各流路において略等量の流体が流動することを言う。本実施形態では、補強リブ50で仕切られた流路の形状が軸方向の中心を通る軸直平面に対して面対称とされていることにより、それら流路の流体流動特性が相互に同じとされている。
【0048】
このような構造とされたサスペンションブッシュ10は、例えば自動車のフロントサスペンションに取り付けられて、図示しないサスペンションアームを同じく図示しない車両ボデーに対して防振連結するようになっている。即ち、インナ軸部材12が車両ボデーにボルト等で取り付けられると共に、アウタ筒部材14がサスペンションアームに形成されたアームアイに圧入固定されることによって、サスペンションブッシュ10が車両ボデーとサスペンションアームの間に介装されるようになっている。
【0049】
そして、エンジンシェイクに相当する低周波大振幅振動がインナ軸部材12とアウタ筒部材14の間に入力されて、インナ軸部材12がアウタ筒部材14に対して一対の流体室34a,34bが位置する径方向一方向で相対変位すると、一対の流体室34a,34bの相対的な圧力差に基づいて、それら流体室34a,34bの間でオリフィス通路48を通じた流体流動が惹起される。これにより、流体の流動作用に基づいて、目的とする防振効果(高減衰効果)が発揮される。
【0050】
また、段差の乗越え時等に大荷重が入力されると、インナ軸部材12がオリフィス部材36に対してストッパゴム44を介して当接する。これにより、インナ軸部材12とアウタ筒部材14の相対変位量が制限されて、本体ゴム弾性体16の変形が抑えられる。これにより、本体ゴム弾性体16に亀裂等の損傷が生じるのを防ぐことができて、耐久性の向上が図られる。なお、ストッパゴム44の内周面に複数の凹溝46が形成されていることによって、初期の当接面積が低減されて、当接時の緩衝作用がより効果的に発揮されるようになっている。加えて、インナ軸部材12の外周面が緩衝ゴム24で被覆されており、当接時の衝撃が緩衝ゴム24によっても緩和されるようになっている。
【0051】
このようにインナ軸部材12がオリフィス部材36に当接すると、インナ軸部材12とオリフィス部材36の間に当接荷重(ストッパ荷重)が及ぼされる。合成樹脂で形成されたオリフィス部材36には、ストッパゴム44を介してオリフィス形成溝42の形成部分に当接荷重が作用する。そこにおいて、オリフィス形成溝42には、内周底面から外周側に突出する補強リブ50が一体形成されており、その突出先端面がアウタ筒部材14の内周面に当接している。これにより、オリフィス形成溝42の内周底面が補強リブ50によって支持されており、オリフィス形成溝42の形成部分におけるオリフィス部材36の変形が低減されている。その結果、オリフィス部材36の過大な変形による損傷が防止されて、耐久性の向上が図られる。
【0052】
特に本実施形態では、補強リブ50がオリフィス形成溝42の軸方向中央部分に設けられていることによって、補強リブ50の軸方向両側でアウタ筒部材14から離隔している部分の軸方向寸法が片側だけ大きくなることはなく、オリフィス形成溝42が補強リブ50によって軸方向等分に仕切られている。それ故、オリフィス形成溝42の形成部分におけるオリフィス部材36の撓み変形が効果的に抑えられて、オリフィス部材36の損傷がより有利に防止される。
【0053】
しかも、補強リブ50は、ストッパゴム44を介してインナ軸部材12と当接するオリフィス部材36の周方向中間部分に設けられており、インナ軸部材12との当接による当接荷重が補強リブ50によって効率的に受け止められるようになっている。それ故、オリフィス部材36の変形が効果的に軽減されて、オリフィス部材36の損傷の回避が図られる。更に、補強リブ50がストッパ荷重の直接的な入力がない周方向両端部分までは至らない長さで形成されていることから、オリフィス通路48の流体室34a,34bへの接続部分で流路断面積が大きく確保されて、流体の流動が乱流等によって出入口付近で妨げられるのを防ぐことができる。更にまた、補強リブ50がストッパ荷重の作用部分だけに設けることで、補強リブ50の形成によるオリフィス部材36の質量の増加が低減される。
【0054】
加えて、補強リブ50は、基端側から先端側まで略一定の軸方向幅寸法で形成された中実の突条とされており、アウタ筒部材14への当接面積が大きく確保されていると共に、補強リブ50自体の剛性も確保されている。それ故、ストッパ荷重によって補強リブ50やアウタ筒部材14が損傷するのも防止されて、目的とするストッパ効果が有効に発揮される。
【0055】
また、オリフィス通路48は、周方向の中間部分において、補強リブ50によって軸方向両側に仕切られており、補強リブ50で仕切られた各流路が互いに略同一形状とされて略同一の流体流動特性を有している。それ故、振動入力時には、各流路において略等量の流体が同時に流動して、それら各流路を含んだオリフィス通路48の全体が1つの流路として機能する。その結果、オリフィス通路48は、補強リブ50の形成による流体流動特性(チューニング周波数等)の変化が防止されて、目的とする防振特性が実現される。
【0056】
さらに、本実施形態では、補強リブ50が略一定の断面形状で周方向に延びており、補強リブ50で仕切られた各流路が蛇行や流路断面積の変化を生じることなく周方向に延びている。それ故、オリフィス通路48の流動抵抗が補強リブ50の形成によって著しく変化するのを回避できて、オリフィス通路48を通じた流体のスムーズな流動によって、目的とする防振効果が有効に発揮される。
【0057】
図10〜図13には、本発明に係る流体封入式筒形防振装置の第2の実施形態としてのサスペンションブッシュを構成するオリフィス部材60が示されている。なお、以下の説明において、本実施形態のサスペンションブッシュは図示されていないが、オリフィス部材60を除いた部分は第1の実施形態と略同一構造とされている。また、オリフィス部材60においても、第1の実施形態のオリフィス部材36と実質的に同一の部分については、図中に同一の符号を付すことによって説明を省略する。
【0058】
より詳細には、オリフィス部材60には分割オリフィス溝62が設けられている。分割オリフィス溝62は、外周面に開口して周方向に延びる凹溝であって、周方向一方の端部(図11の右端)がオリフィス部材60の周方向端面に開口していると共に、周方向他方の端部(図11の左端)がオリフィス部材60の軸方向両端面に開口している。更に、分割オリフィス溝62は、周方向中央部分が周方向両端部分に比して幅広とされており、それら周方向の中央部分と両端部分がテーパ部分を介して滑らかに連続している。
【0059】
また、オリフィス部材60には、補強リブ64が設けられている。補強リブ64は、分割オリフィス溝62の軸方向中央部分において内周底面から外周側に突出する突条であって、周方向で全長に亘って連続的に延びている。また、補強リブ64の周方向の中央部分は、周方向の両端部分に比して軸方向に拡幅されており、幅広の拡幅受圧部66とされている。また、拡幅受圧部66は、軸方向両側に同じ寸法で拡幅されて、軸方向の中心を通る軸直平面に対して面対称な形状とされている。また、補強リブ64は、狭幅とされた周方向の両端部分と、幅広とされた周方向の中央部分(拡幅受圧部66)が、テーパ部分を介してなだらかに連続して設けられている。なお、補強リブ64の拡幅受圧部66の形成部分では、分割オリフィス溝62も拡幅されており、オリフィス通路48における補強リブ64で仕切られた軸方向両側の流路が略一定の断面積で周方向に延びている。
【0060】
なお、オリフィス部材60は、第1の実施形態のオリフィス部材36と同様に、上下反転した一対が組み合わされており、それによって各オリフィス部材60の分割オリフィス溝62が相互に連通されて、オリフィス形成溝が形成されている。このことは、後述するオリフィス部材70,80についても同様である。
【0061】
このようなオリフィス部材60を備えたサスペンションブッシュにおいても、第1の実施形態のサスペンションブッシュ10と同様に、補強リブ64によって分割オリフィス溝62の軸方向中央部分がアウタ筒部材14に当接支持されていることから、ストッパ荷重の入力に対するオリフィス部材60の変形が抑えられて、耐久性の向上が図られる。
【0062】
また、補強リブ64の周方向中央部分に拡幅された拡幅受圧部66が設けられていることによって、インナ軸部材の当接荷重が特に作用し易い周方向中央部分においてオリフィス部材60とアウタ筒部材14の当接面積がより大きく確保される。それ故、オリフィス部材60の変形量が効果的に低減されて、ストッパ荷重の入力によるオリフィス部材60の損傷が有利に防止される。
【0063】
しかも、オリフィス部材60では、補強リブ64の周方向中央部分に拡幅受圧部66が設けられているのに合わせて、オリフィス形成溝の周方向中央部分が拡幅されている。これにより、オリフィス通路48における補強リブ64で仕切られた両側の流路において、拡幅受圧部66の形成による部分的な狭窄が回避されて、オリフィス通路48を通じての流動する流体の量が確保される。
【0064】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、第1の実施形態における補強リブ50は、オリフィス形成溝42の周方向中間部分にのみ形成されていたが、第2の実施形態における補強リブ64と同様に周方向の全長に亘って連続的に設けられていても良い。要するに、図14に示されたオリフィス部材70の補強リブ72のように、分割オリフィス溝74,74で構成されたオリフィス形成溝の周方向の全長に亘って、略単一の断面形状で延びていても良い。
【0065】
また、補強リブは、必ずしもオリフィス形成溝42内に1条だけが設けられた構造とされている必要はなく、複数条の補強リブが設けられていても良い。例えば、図15に示されたオリフィス部材80では、分割オリフィス溝82の底面から突出する2条の補強リブ50,50が、軸方向で相互に離隔して設けられており、それら補強リブ50,50によって分割オリフィス溝82,82で形成されたオリフィス形成溝が軸方向で3等分されるように仕切られている。このように複数条の補強リブが設けられている場合であっても、それら補強リブによって仕切られた流路が相互に略同一の流体流動特性を有していると共に、目的とするオリフィス通路の通路断面積が確保されていれば、目的とする防振特性を維持しつつ、オリフィス部材を補強してストッパ効果を安定して得ることができる。
【0066】
補強リブは全体が周方向に連続している必要はなく、周方向で断続的に複数の補強リブが、それぞれ周方向に延びて設けられていても良い。
【0067】
補強リブの断面形状は特に限定されるものではなく、突出先端側に向かって次第に狭幅となる先細断面や、半円形断面等であっても良い。
【0068】
また、ストッパゴムは、必ずしもオリフィス部材36側に設けられていなくても良く、インナ軸部材12側に設けられていても良い。なお、インナ軸部材12側にストッパゴムを設ける場合には、例えば緩衝ゴム24をより厚肉化してストッパゴムとして利用することも可能である。
【0069】
また、インナ軸部材12に対して軸直角方向で突出するストッパ部材を取り付けて、ストッパ部材がオリフィス部材36に当接することでストッパ手段が構成されていても良い。要するに、許容されるべきインナ軸部材12とアウタ筒部材14の相対変位量に応じて、インナ軸部材12とオリフィス部材36の対向面間距離を調節するための部材を、それらインナ軸部材12とオリフィス部材36の間に配設しても良い。
【0070】
前記実施形態では、本発明をサスペンションブッシュに適用した例が示されているが、本発明に係る流体封入式能動型防振装置は、エンジンマウントやサブフレームマウント等にも好適に採用され得る。また、本発明は、自動車用の流体封入式筒形防振装置に限定されるものではなく、例えば自動二輪車や鉄道用車両、産業用車両等に用いられる流体封入式筒形防振装置としても採用される。
【符号の説明】
【0071】
10:サスペンションブッシュ(流体封入式筒形防振装置)、12:インナ軸部材、14:アウタ筒部材、16:本体ゴム弾性体、18: 中間スリーブ、22:窓部、30:ポケット部、34:流体室、36,60,70,80:オリフィス部材、41,62,74,82:分割オリフィス溝、42:オリフィス形成溝、48:オリフィス通路、50,64,72:補強リブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナ軸部材とアウタ筒部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されており、該本体ゴム弾性体の外周面に開口する複数のポケット部が該アウタ筒部材で覆蓋されて非圧縮性流体を封入された複数の流体室が形成されていると共に、それら流体室を相互に連通するオリフィス通路が形成されている流体封入式筒形防振装置において、
前記ポケット部の開口部を跨いで周方向に延びるオリフィス部材が前記アウタ筒部材の内周側に取り付けられており、該オリフィス部材には外周面に開口して周方向に延びるオリフィス形成溝が形成されて、該オリフィス形成溝の外周側開口部が該アウタ筒部材で覆われることによって前記オリフィス通路が形成されていると共に、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の該オリフィス部材を介した当接によって該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸直角方向での相対変位を制限するストッパ手段が構成されている一方、
該オリフィス部材には該オリフィス形成溝の内周底面から外周側に突出する補強リブが周方向に延びて形成されて、該補強リブの突出先端面が該アウタ筒部材の内周面に当接していると共に、該補強リブによって該オリフィス通路が周上の少なくとも一部で同じ流体流動特性を有する複数の流路に仕切られていることを特徴とする流体封入式筒形防振装置。
【請求項2】
前記オリフィス通路が前記補強リブによって周上の少なくとも一部で軸方向等分に仕切られている請求項1に記載の流体封入式筒形防振装置。
【請求項3】
前記補強リブが前記オリフィス形成溝の軸方向中央部分を周方向に延びて形成されている請求項1又は2に記載の流体封入式筒形防振装置。
【請求項4】
前記補強リブが前記オリフィス形成溝の周方向中間部分に形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の流体封入式筒形防振装置。
【請求項5】
前記インナ軸部材と筒状の中間スリーブが前記本体ゴム弾性体によって弾性連結されていると共に、該中間スリーブに形成された一対の窓部を通じて該本体ゴム弾性体に形成された一対の前記ポケット部が外周側に開口しており、該中間スリーブに前記アウタ筒部材が外嵌されて該一対の窓部が該アウタ筒部材で覆蓋されることによって一対の前記流体室が形成されている一方、
前記オリフィス部材がそれぞれ周方向に略半周の長さで延びる一対とされて各該窓部を周方向に跨いで配設されていると共に、それら一対のオリフィス部材の周方向両端部分が該中間スリーブと該アウタ筒部材の間で挟持されている請求項1〜4の何れか1項に記載の流体封入式筒形防振装置。
【請求項1】
インナ軸部材とアウタ筒部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されており、該本体ゴム弾性体の外周面に開口する複数のポケット部が該アウタ筒部材で覆蓋されて非圧縮性流体を封入された複数の流体室が形成されていると共に、それら流体室を相互に連通するオリフィス通路が形成されている流体封入式筒形防振装置において、
前記ポケット部の開口部を跨いで周方向に延びるオリフィス部材が前記アウタ筒部材の内周側に取り付けられており、該オリフィス部材には外周面に開口して周方向に延びるオリフィス形成溝が形成されて、該オリフィス形成溝の外周側開口部が該アウタ筒部材で覆われることによって前記オリフィス通路が形成されていると共に、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の該オリフィス部材を介した当接によって該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸直角方向での相対変位を制限するストッパ手段が構成されている一方、
該オリフィス部材には該オリフィス形成溝の内周底面から外周側に突出する補強リブが周方向に延びて形成されて、該補強リブの突出先端面が該アウタ筒部材の内周面に当接していると共に、該補強リブによって該オリフィス通路が周上の少なくとも一部で同じ流体流動特性を有する複数の流路に仕切られていることを特徴とする流体封入式筒形防振装置。
【請求項2】
前記オリフィス通路が前記補強リブによって周上の少なくとも一部で軸方向等分に仕切られている請求項1に記載の流体封入式筒形防振装置。
【請求項3】
前記補強リブが前記オリフィス形成溝の軸方向中央部分を周方向に延びて形成されている請求項1又は2に記載の流体封入式筒形防振装置。
【請求項4】
前記補強リブが前記オリフィス形成溝の周方向中間部分に形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の流体封入式筒形防振装置。
【請求項5】
前記インナ軸部材と筒状の中間スリーブが前記本体ゴム弾性体によって弾性連結されていると共に、該中間スリーブに形成された一対の窓部を通じて該本体ゴム弾性体に形成された一対の前記ポケット部が外周側に開口しており、該中間スリーブに前記アウタ筒部材が外嵌されて該一対の窓部が該アウタ筒部材で覆蓋されることによって一対の前記流体室が形成されている一方、
前記オリフィス部材がそれぞれ周方向に略半周の長さで延びる一対とされて各該窓部を周方向に跨いで配設されていると共に、それら一対のオリフィス部材の周方向両端部分が該中間スリーブと該アウタ筒部材の間で挟持されている請求項1〜4の何れか1項に記載の流体封入式筒形防振装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
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【図5】
【図6】
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【図8】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−61029(P2013−61029A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200539(P2011−200539)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
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