説明

流体排出機構を備えた生物反応装置

【課題】生物反応装置の反応室内の流体を自動的に迅速に交換することを可能にし、オペレータの熟練の程度にかかわらず生物反応ないしは化学反応を適切に制御することを可能する手段を提供する。
【解決手段】分離型のカバーと、サンプル領域に配置されたサンプルとを有する少なくとも1つの基材を受け入れるための生物反応装置(10)であって、サンプル領域の上方において、カバーと基材との間に反応室が形成されている。該装置(10)は、基材を配置するための配置手段と、カバーを基材に対して配置するとともに移動させるためのカバー配置手段と、流体を反応室内に分配するための流体分配手段と、流体排出機構とを含んでいる。ここで、流体排出機構はウィッキング手段を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学反応のための反応室を設けるための方法及び装置に関するものである。本発明はまた、反応室に流体を充填する方法及びこの目的のために用いられる流体に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
サンプル上で化学反応を開始させるのが望ましい応用例(application)は多数存在する。一般に、サンプルは、顕微鏡スライドの上に配置される。典型的な反応には、細胞物質の免疫組織化学反応(immuno-histochemical reaction)や、DNA又はRNAの原位置交配(in situ-hybridisation)が含まれる。他の形態においては、DNA、RNA、タンパク質又は小さい化学化合物を含んでいる数千の小さい材料サンプルのマイクロアレー(micro array)が顕微鏡スライドに取り付けられる。この場合、スライド上の材料と他の薬品又は流体との間での化学反応を促進するのが望ましい。これらの反応は、制御された反応時間、温度及び薬品濃度をはじめとする制御された条件を必要とする。スライドにおける反応が均一であり、またスライドからスライドへの反応が一貫している(consistent)ことが重要である。蒸発及び流体の総消費量を最小にすることもまた重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、スライド上で起こる化学反応は、熟練者が試薬を加えて混合することにより制御されている。これは、試薬の量及び時間を、スライドごとに制御することを可能にする。しかしながら、この手法では、時間がかかり、非常に熟練したオペレータを必要とし、かつ、スライドからスライドへの一貫した結果を得ることができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある1つの形態においては、本発明は、サンプル領域に位置決めされたサンプルを有する少なくとも1つの基材(substrate)と、分離型のカバーとを受け入れるための生物反応装置であって、サンプル領域の上方において、カバーと基材との間に反応室が形成され、基材を位置決めする(locate)ための位置決め手段と、カバーを基材に対して位置決めするとともに移動させるためのカバー位置決め手段と、反応室内に流体を分配する(dispense)ための流体分配手段と、流体排出機構(draining mechanism)を含んでいて、流体排出機構がウィッキング手段(wicking means:流体除去手段)を含んでいる生物反応装置である。
【0005】
好ましい態様では、ウィッキング手段は、基材から流体を排出するための流体通路を形成する基材上の当接点(points of contact)を含んでいる。
【0006】
好ましい態様では、基材は、該装置内で下側から担持(support)されている。基材を下側から担持することは、基材の周縁部付近からウィッキング通路(wicking path)を除去する。
【0007】
もう1つの態様では、本発明は、反応室の充填を行うための充填流体であって、基材上の先行する流体に比べて、より高い粘度を有している充填流体を提供する。
【0008】
好ましい態様では、充填流体は水に対して混和性を有する(miscible)ものである。
【0009】
好ましい態様では、充填流体は水に比べて、より高い沸点を有するものである。
【0010】
好ましい態様では、充填流体は上記基材又はサンプルに残留物(residue)を残さないものである。
【0011】
好ましい態様では、充填流体は生物試薬及びサンプルに対して不活性である。
【0012】
好ましい態様では、充填流体はグリセロール(glycerol)を含む溶液である。
【0013】
ある1つの態様では、充填流体はグリセロールと水と緩衝物(buffer)とを含んでいる。緩衝物はトリス緩衝食塩水(tris buffered saline)であってもよい。
【0014】
好ましい態様では、充填流体は、体積で2%から80%までの間のグリセロールを含んでいる。
【0015】
より好ましい態様では、充填流体は、体積で10%から60%までの間のグリセロールを含んでいる。
【0016】
より好ましい態様では、充填流体は、20%から30%までの間のグリセロールを含んでいる。
【0017】
ある1つの態様では、充填流体は、充填サイクル中に上記反応室内に形成される泡の放出を促進する界面活性剤を含んでいる。
【0018】
より好ましい態様では、界面活性剤はツイーン(Tween)である。
【0019】
もう1つの態様では、本発明は、基材及びカバーを位置決めするようになっている受け入れ手段(receiving means)を有する基材のためのレセプタクル(receptacle)に関する。
【0020】
好ましい態様では、受け入れ手段は、基材を配置して担持するためのステーションを含み、カバーが基材上で担持されている。
【0021】
好ましい態様では、受け入れステーションは、基材を、該基材の周縁部付近で担持している。
【0022】
好ましい態様では、受け入れ手段は、基材を担持するための周縁出っ張り部(peripheral ledges)を有するそれぞれの開口部によって形成されている。
【0023】
好ましい態様では、開口部が、反応装置から支持プラットホームを受け入れるようになっていて、反応装置内にロード(load:搭載)されたときにプラットホームが上記基材を担持するようになっている。
【0024】
好ましい態様では、受け入れ手段が、基材からカバーを持ち上げるための持ち上げ手段を有している。
【0025】
より好ましい態様では、持ち上げ手段は、カバー上の突起部と係合するようになっている傾斜面である。
【0026】
好ましい態様では、受け入れ手段は、カバーが該レセプタクル及びスライドに対して移動させられることを可能にするガイド部を有している。
【0027】
もう1つの態様では、本発明は、流体導管と、流体導管に接続されたポンプと、流体導管を、流体源から分配領域に移動させるための位置決め手段とを含んでいる反応装置のためのディスペンサ(dispenser)に関する。
【0028】
好ましい態様では、ディスペンサは、流体源及び基材のタイプを検出するためのバーコードセンサを含んでいる。
【0029】
好ましい態様では、ディスペンサは、流体源内に残っている流体の体積(volume)を決定するための手段を含んでいる。
【0030】
より好ましい態様では、流体源内の流体の体積を決定するための手段は、流体コンテナ内の流体のレベル(level)を計測するようになっているセンサを含んでいる。
【0031】
より好ましい態様では、センサは、上記流体導管のキャパシタンス(電気容量)の変化を測定して、流体コンテナ内への流体の注入を検出するようになっている。
【0032】
もう1つの態様では、本発明は、流体を基材に分配する方法であって、少なくとも1つの流体コンテナを備えた試薬レセプタクルをロードするステップと、試薬レセプタクルを反応装置に取り付けるステップと、試薬レセプタクルを検出するステップと、試薬レセプタクルが検出された後、センサを起動して、少なくとも1つの流体コンテナ内の流体のタイプを検出するステップと、流体のタイプについての情報を格納し、要求があったときに流体が基材上に分配されるのを可能にするステップとを含んでいる方法に関する。
【0033】
好ましい態様では、センサはバーコードを検出する。
【0034】
もう1つの態様では、本発明は、スライドのための支持突起部と、分配手段と、流体除去手段とを有している反応装置であって、支持突起部が下側からスライドを担持するとともに、ウィッキング手段が上記スライドの周縁部と接触し、ウィッキング手段が、スライドの上表面から流体を除去するためのウィッキングキング通路(wicking path:流体除去通路)を形成している反応装置に関する。
【0035】
好ましい態様では、支持突起部は、水平方向に対して0ないし10度傾斜し、流体除去領域を備えたマウント部(mount)を形成している。
【0036】
好ましい態様では、ウィッキング手段がウィッキングポスト(wicking post:流体除去柱)である。
【0037】
好ましい態様では、ウィッキングポストは流体除去領域に配置されている。
【0038】
ある態様では、ウィッキング手段は、スライドの幅の大部分を横切って伸びるようになっている。
【0039】
もう1つの態様では、本発明は、サンプルを含んでいる表面を有する基材と、サンプルを含んでいる表面とで反応室を形成する表面を有するカバーとを位置決めするようになっている反応装置であって、反応室の体積を変化させるようになっているカバー係合手段を含んでいる反応装置に関する。これは、反応室内における流体の混合を促進する。
【0040】
ある態様では、カバー係合手段は、カバーを基材にクランプする(clamp:固定する)ようになっているクランプ機構(clamping mechanism:固定機構)である。
【0041】
もう1つの態様では、本発明は、複数の基材及びカバーを保持するようになっている分離型の基材トレーと、基材トレーを受け入れるための少なくとも1つの受け入れステーションと、基材トレー内の基材の上に流体を分配するための分配手段とを有する反応装置であって、基材とカバーとの間に反応室が形成され、上記基材の上に分配された流体が上記反応室に入るようになっている反応装置に関する。
【0042】
好ましい態様では、反応装置は、それぞれ基材トレーを受け入れるようになっている複数の受け入れステーションを含んでいる。
【0043】
好ましい態様では、反応装置は、他のどの基材トレーとも独立して1つの基材トレーの上の基材の上に上記流体が分配されるのを可能にするコントローラ(制御器)を有している。
【0044】
もう1つの態様では、サンプル領域内に位置決めされたサンプルを有する基材と、該基材から流体を排出するためのウィッキング手段を含んでいる流体排出機構とを受け入れるための反応装置が提供される。
【0045】
もう1つの態様では、反応装置内のスライドの上に反応室を形成する方法であって、空洞部(cavity)を有するカバーをスライドの上に配置して、反応室を形成する過程と、カバー及びスライドをトレーのレセプタクル内に位置決めする過程と、トレー内の各レセプタクルのためのマウント部を有する反応装置内に、受け入れ部を設ける過程と、トレーを、反応装置の受け入れ部内にロードし、上記反応装置の受け入れ部が上記トレーを位置決めする過程と、カバーをスライドに取り外し可能に保持する過程と、スライド及びカバーからトレーを取り外す過程とを含む方法が提供される。
【0046】
もう1つの態様では、複数のスライド及びカバーをロードするための装置であって、スライド及びカバーのための複数のレセプタクルを有するトレーと、トレーを受け入れるための受け入れ部と、受け入れ部内に位置決めされた各レセプタクルのためのマウント部と、各マウント部のためのクランプとを含んでいて、スライド及びカバーを有するトレーが受け入れ部内にロードされたときに、各クランプが、カバーをスライド上に保持してスライドを位置決めし、かつ、トレーがスライドから落ちて、各スライドがマウント部によって担持されるようになっている装置が提供される。
【0047】
もう1つの態様では、複数のステップを含んでいる、スライドの上のサンプルの上で反応を起こさせる方法であって、少なくとも1つのスライドを有する第1のホルダを反応装置内にロードする過程と、スライドを走査して、スライド上で起こる反応における複数のステップを決定する過程と、他のホルダが反応装置内にロードされているかどうかを決定する過程と、第1のホルダに関連する少なくとも1つのスライドで要求される複数のステップを起こさせる過程と、第2のホルダが検出されたときに、第1のホルダ内の少なくとも1つのスライドに関連する反応におけるステップを継続し、この後、第2のホルダに関連するスライドに関連する少なくとも1つのステップを起こさせる過程とを含む方法が提供される。
【0048】
もう1つの態様では、スライド上で反応を行わせるための装置であって、スライド及び関連するカバーを担持するとともに位置決めするようになっている複数のレセプタクルを有するトレーと、トレーの各レセプタクルと関連するマウント部を有する、トレーのための受け入れポートと、カバー及びスライドを所定の位置にクランプするためのクランプ機構と、カバーとスライドとの間に形成された反応室から流体を排出するための流体排出手段と、少なくとも1つの流体が該装置に配置されるのを可能にするための流体レセプタクルと、流体をスライドの上に分配するための流体分配手段とを含んでいて、トレーがロードされてから、スライド及びカバーがクランプされるとともにトレーが移動させられ、これにより、スライド及びカバーがマウント部上に担持され、流体が、分配手段によってスライド上に分配されることができ、かつ流体排出手段によって排出されるようになっている装置が提供される。
【0049】
もう1つの態様では、試薬をサンプルスライドに供給するための装置であって、スライドを受け入れるための複数のポートと、スライドの各々についての識別情報を読み取るための読取器と、スライド上に堆積されるべき試薬を運ぶ試薬コンテナを受け入れるための試薬ラック(reagent rack)とを含んでいて、スライドが、関連するポート(port)に受け入れられたトレーに供給され、各トレーが個別のバッチのスライドに相当し、該装置の動作時におけるバッチ処理に対して、個別のトレーの追加及び除去を可能にするようになっている装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】反応装置の一例を示す図である。
【図2】図1に示す反応装置とともに用いられるトレーの一例を示す図である。
【図3】図1に示す反応装置の受け入れポート内に部分的にロードされた、図2に示すトレーを示す図である。
【図4】反応装置のラック受け入れゾーン及び試薬容器ラックの一例を示す図である。
【図5】図1に示す反応装置の分散機構及びロボットアームを示す図である。
【図6】図1に示す反応装置のステーションにロードされたスライド及びカバーを示す図である。
【図7】図2に示すトレー内にロードされたカバーを示す図である。
【図8】(a)〜(c)は、スライドに対する3つの位置におけるカバーを示す図である。
【図9】図1に示す反応装置の受け入れポート内のカバーのための係合手段の第1の図である。
【図10】カバーとスライドとの間に形成された反応装置の模式的な断面図である。
【図11】反応装置の洗浄ステーションを示す図である。
【図12】トレー受け入れポート及びウィッキング手段のステーションを示す図である。
【図13】スライド上に取り付けられたカバーの切り取られた断面部を示す図である。
【図14】図1に示す反応装置のトレー受け入れポートの上面図である。
【図15】ステーションのマウント上のスライド及びカバーの断面図である。
【図16】図15に示すマウント、スライド及びカバーの切り取られた断面を示す断面図である。
【図17】混合ステーションの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、添付の図面を参照しつつ、非制限的な単なる具体例として本発明を説明する。
図1は、バルク試薬コンテナ受け入れゾーン12(bulk reagent container receiving zone)と、基材トレー受け入れポート14(substrate tray receiving ports)と、ロボットアーム16と、試薬ラック受け入れゾーン18(reagent rack receiving zone)とを有する自動化された反応装置10を示している。
【0052】
バルク試薬コンテナ受け入れゾーン12は、多数のバルク試薬コンテナ20を保持するようになっている。これらのコンテナ20は、典型的には、トリス緩衝食塩水(tris buffered saline)、PBS、クエン酸塩(Citrate)、EDTA、有機溶媒、廃試薬(waste reagent)、脱イオン水、脱ロウ溶液(dewaxing solution)などの流体を保持している。反応装置10のバルク試薬コンテナ20は、1ないし4リットルの流体を保持している。
【0053】
ロボットアーム16は、ガイド部24(guide)に沿って移動することができ、モータ(図示せず)によって駆動され、コンピュータなどのコントローラ(図示せず)によって制御される。図5に示すように、ロボットアーム16には、分配手段26(dispensing means)が移動可能に取り付けられている。分配手段26は、流体を分配する(dispense)ためのピペット28などの流体導管(fluid conduit)を含んでいる。ピペット28は、管路29(tubing)によってポンプ(図示せず)に接続されている。この具体例では、ポンプは、正確な体積の流体を引き抜き、保持し及び供給することができるモータ付きのシリンジポンプ(motorised syringe pump)である。ピペット28は、流体を引き抜き又は分布させるときには下降させることができ、反応装置10を横切って移動するときには上昇させることができる。ロボットアーム16には、バーコードを読み取るためのセンサ33も設けられている。
【0054】
図4に最も明瞭に示されているように、試薬ラック受け入れゾーン18は、4つのラックマウント30(rack mount)と、ラック配置クリップ31(rack locating clip)と、各試薬ラック34の取り付けを検出するためのセンサ35とを含んでいる。各試薬ラック34は、それぞれ試薬コンテナ39を受け入れるようになっている9つのレセプタクル36(receptacle:容器)を含んでいる。試薬ラック34は、コンテナ39を除去し、補充し(refill)又は交換する(change)ことが必要なときには、ラック受け入れゾーン18から除去することができる。
【0055】
図1及び図3においては、それぞれ単一のスライドトレー15を保持するようになっている3つのスライドトレー受け入れポート14(slide tray receiving port)が存在する。
【0056】
スライドトレー15(図2に示されている)は、担持手段38(support means)を有する開口部(aperture)の形態の10個のスライド受け入れ手段37を含んでいる。図3に示すように、スライド1の形態の1つ又はこれより多い基材はスライドトレー15内に配置することができる。かくして、スライド1は、中央部ではなく周縁部付近で担持される。図7に示すように、スライド1の上にカバー2が配置されている。図6に示すとともに、以下でより詳しく説明するように、スライドトレー15がトレー受け入れポート14内に配置されたときに、各スライド受け入れ手段37は、反応装置10内のスライドステーション35aに対応する(correspond)。トレー受入ポート14内の一連のブロック40(block)は、スライドトレー15がレール39aに沿って反応装置10内に完全に挿入されたときにスライド1を担持するようになっている。スライドトレー15は、受入ポート14内に完全に挿入されたときには、スライド1がブロック40に当接して該ブロック40によって担持されるように、下降させることができる。この後、スライドトレー15はスライド1とは当接せず、スライド1はブロック40によって下側から担持された状態となる。図3に示すスライドトレー15では、2つのスライド1とカバー2とがロード(load:搭載)されているだけであるが、スライドトレー15に収容されている受け入れ手段37の数までは、任意の数のスライド及びカバーが存在することができる。
【0057】
図12に示すように、典型的には金属であり、制御可能に(controllably)加熱又は冷却されることができるブロック40は、ウィッキングポスト42(wicking post)の形態のウィッキング手段41(wicking means)と関連しているスライド1を担持する。ブロック40の上面は、反応装置10の動作時にスライド1に沿って流体が流れるのを促進するために、水平方向に対して小さい角度で(典型的には5度)傾斜させられている。
【0058】
カバー2(図8及び図13に最も明確に示されている)は、ここに参照のために組み入れられた、本願出願人に係る「スライド用のカバー」との名称がつけられた同時継続の国際特許出願に記載されている多数の可能な変形例又はその他の変形例のうちの1つである。カバー2は、透明なプラスチック材料でつくられ、これが取り付けられるべきスライド1と実質的に同一幅のものである。図10に模式的に示すように、サンプルと対向しているカバー2の側部に空洞部51(cavity)が配設されている。この空洞部51は、スライド1のサンプル保持面53及びランド部52(land)と連携して反応室32を形成している。ここで、z軸方向は、明瞭化のために誇張されている。図10は、スライド1上のカバー2の断面図であり、反応室32と、サンプル5と、ランド部52と、スライド表面53とを示している。典型的には、スライド1は、幅が25mmであり、長さが76mmであり、空洞部51の高さは100マイクロメータである。図13に示すように、ランド部52は、当接面54に沿って、スライド表面53に極めて接近し、又は当接し、それゆえ、反応室32の外側に反応室32から流体が漏れるのを制限(禁止)する。毛管力は、反応室32内に流体を保持するのを促進する。
【0059】
図9に示すように、ロケータアーム3(locator arm)は、カバー2がロケータ係合手段43(locator engaging means)によってスライド1に沿って移動させられるのを可能にする。各ロケータアーム3は、ブラケット44と係合している。図8には、スライド1に対するカバー2の位置の範囲が示されている。すなわち、図8(a)では完全に開かれ、図8(b)では部分的に開かれ、図8(c)では完全に閉じられている。カバー2が閉じられ又は部分的に開かれた位置にあるときには、スライド1上のサンプル5の上方において、カバー2とスライド1との間に反応室32が形成される。カバー2は、流体が分配されることができる流体容器19を含んでいる。前記の同時継続出願に記載されているように、いくつかの形態の流体容器が存在する。カバー及びスライドは、カバーがスライドに当接しているときには、流体容器19内に流体を保持することができる。
【0060】
カバー2が、図8(a)に示す開かれた位置から、図8(c)に示す閉じられた位置までスライド1上を移動するのに伴って、流体容器内の流体は、カバー2の空洞部51内に引き込まれる。流体容器19は、カバー2が閉じられた位置にあるときにもなお容器内に流体を存在させるのに十分な体積を保持している。これは、反応時間が延長され又は高温が持続しているときに、流体容器の流体補給(fluid top ups)の必要性を低減させる結果となる。毛管力を含む多数の因子によって、流体が空洞部内に引き込まれるものと確信される。
【0061】
図7に示すように、カバー2は、該カバー2から突出している翼部50(wing)を含み、該翼部はスライドトレー15上の斜面部52(ramp)と係合するようになっている。カバー2の翼部50が斜面部52の形態の持ち上げ手段と係合するときに、これらの翼部50は、スライド1からカバー2を離間させて持ち上げる。カバー2を、サンプルは覆われていないがカバー2がガイド部56に沿ってスライドと当接したままである位置に移動させることが可能である。斜面部52及び翼部50の形態(configuration)に依存するが、カバー2がスライド1との当接を解除する前に、反応室を完全に開くことは必要ではない。
【0062】
ロケータアーム3は、位置決め部材45と制御可能に係合するカム機構(図示せず)などのアクチュエータによって移動させられる。その結果、カバー2を、図8に示すx軸に沿う方向に、スライド1に対して正確に位置決めすることができる。図9は、全てのカバーを一度に移動させるものを示しているが、反応装置の他の例では、ロケータアームを個別に移動させることにより、カバーを個別に制御することが可能である。
【0063】
図6においては、バーコード6を有するスライド1が、それぞれのブロック40の上に示されている。この図においては、その明瞭化を目的として、スライドトレー15及び係合手段43は省略されている。処理工程中において、スライド1上の所定の位置にカバー2を確実に保持するためにクランプ60(clamp:固定部)が用いられている。クランプ60は、複数の脚部62(leg)を含んでいる。これらの脚部62は、スライド1の周縁部付近に配置され、カバー2の周縁部付近の力を均等にするために、ばねと類似(同様)の物性を有している。クランプ60は、プラスチック材料でつくることができる。ただし、他の例(図示せず)では、脚部は、金属でつくられたばね(板ばね又はコイルばね)の形態のものである。脚部又はクランプの他の形態として、圧縮可能な発泡体又は空気式クランプなどを用いることも可能である。
【0064】
各カバー2のためのクランプ60は、カバー2を移動させるべきときに上昇させることができ、又は、流体分配動作中にカバー2と係合させるために降下させることができる。この具体例では、特定の受け入れポート14内の全てのクランプ60及びカバー2が一緒に移動させられる。個々の受け入れポート14は、互いに独立して動作してもよい。
【0065】
使用時においては、バルク試薬コンテナ20のバルク試薬(bulk reagents)が反応装置10にロードされる。試薬コンテナ39を有する試薬ラック34は、ラックマウント30にロードされる。センサ35はそれらの存在を検出し、バーコードセンサ33は各試薬コンテナ39のバーコードを読み取り、試薬ラック34内におけるその位置に対する各試薬コンテナ39の内容を識別する。スライド1上のサンプルに対するスライド1のバーコード6に関する情報、及び、それらの各内容に関する試薬コンテナ39のバーコード6に関する情報がコントローラ(図示せず)に入力される。このコントローラは、典型的には、適切なソフトウエアインターフェース及びドライバ(driver)を有するコンピュータワークステーションである。少なくとも1つ、ただし10以下のスライド1を収容しているスライドトレー15は受け入れポート14内に配置される。ここで、センサ(図示せず)は、スライドトレー15を検出し、ステーション35aの走査(scan)を開始させる。走査時には、ロボットアーム16のバーコードセンサ33は各ステーション35aに移動し、バーコード6を読み取ろうと試みる。もしバーコード6を伴ったスライド1が存在すれば、コントローラは、バーコード6を、ユーザによって入力された情報及び既知のスライドのリストと比較し、個々のスライド1にどのプロトコルを適用するかを決定する。あるいは、バーコードが走査された後、ユーザは、スライドを処理するために反応装置に必要とされる情報を入力する。各スライドは、異なるプロトコルを有していてもよい。コントローラは、プロトコルによって指示された反応を実行するのに必要な試薬を、試薬ラック34内のコンテナ39内に配置された試薬と比較する。どのような不一致も、ユーザに送られるべきエラーメッセージを生じさせるであろう。もしコンテナ39が見つからなければ、試薬ラック34が除去され、正しいコンテナ39を試薬ラック34内に配置することができる。ここで、試薬ラック34が検出され、試薬コンテナ39のもう1つの走査が実行される。
【0066】
もしエラーがなければ、ロボットアーム16は、分配手段26のピペット28を適切な試薬コンテナ39のところに移動させ、必要とされる量の流体を引き抜く。このとき、分配手段26は、ピペット28のキャパシタンス(capacitance)をチェックする。このキャパシタンスは、ピペット28が試薬コンテナ39の流体表面に接触したときに変化する。このようにして、試薬コンテナ39内に残留している流体の体積(容量)を決定することができ、ユーザは、必要に応じて試薬コンテナ39を取り換えることができる。この後、ロボットアーム16は、ピペット28を、第1のスライド1のところに移動させ(コントローラによって決定される)、流体をスライド1の表面に分配する。スライド1上のサンプル5に対するピペット28及びカバー2の配置については、いくつかのオプション形態(option)が存在するが、これらは以下でさらに詳しく説明されるであろう。
【0067】
第1のスライド1に対する分配動作が実行された後、さらなるスライドに対してこのプロセスが繰り返される。各スライド1においては、各ステップで同一の流体を充填する(fill)ことは必要ではなく、スライド1に任意の適切な順序で流体を充填することができる。図11に示すように、洗浄ステーション120は、試薬ラック34の近傍に配置され、異なる試薬の引き抜きに先立ってピペット28を清浄にするのに用いることができる。洗浄ステーション120は、ピペット28を受け入れるためのレセプタクル121を含む。ここで、1つのバルク試薬コンテナ20からの洗浄流体は、ピペット28の外側にポンプ輸送され(pumped)、先行する流体の痕跡(trace)を除去する。洗浄流体は、ピペット28の内側表面を洗浄するために、管路(tubing)を経由して、バルク試薬コンテナ20からポンプ輸送してもよい。
【0068】
試薬は、バルク試薬コンテナ20から、配管(piping)及びバルブ(図示せず)を通して、ピペット28にポンプ輸送することができる。バルク試薬コンテナ20からのバルク試薬はまた、洗浄ステーション120にもポンプ輸送することができる。
【0069】
反応装置10の本体部12(body)に含まれている、バルク試薬コンテナ20などのその他の試薬コンテナは、スライド上に分配することができるタイプの試薬に付加することができる。いくつかのバルク試薬コンテナ20は、通常、サンプルの洗浄及び水和(hydrating)に必要とされる流体を収容している。
【0070】
試薬ラック34は、検出キット(detection kit)を収容するために用いることができる。検出キットは、1つ又はこれより多いサンプルに特定の試験を実施するために用いられる分離された試薬コンテナ39内の複数の試薬からなる。このような検出キットは、単一の試験を実行するための9つの試薬コンテナ39を含むことができ、これはその他のスライドに用いることができる試薬コンテナ39の数を27にまで低減する。
【0071】
スライド上のサンプルに添加される典型的な試薬は、ノボカストラ・ラボラトリ社(Novocastra Laboratory Ltd)によって販売されている一次抗体(primary antibody)を含んでいる。これらの試薬は、通常、典型的には7mlから30mlまでの間の体積の試薬コンテナ39に供給される。緩衝液及び脱イオン水などのその他の試薬及び流体は、典型的には1〜4リットルの間の体積を有するバルク貯蔵コンテナ20内に保持することができる。
【0072】
サンプルへの添加(application)のために準備された、いくつかの試薬の貯蔵寿命は比較的短い。それゆえ、試薬は、いつでも使用できる処方(ready-to-use formulation)に予混合されて供給され、この場合、それは発注から短期間内に用いなければならない。あるいは、試薬は、使用に先立って研究スタッフによって準備され、適切な試薬コンテナ内に配置されてもよい。3’,3−ジアミノベンジジン(DAB:3',3-diamino benzidene)などのいくつかの試薬は、最終的な形態にあるときには、準備後すぐに劣化し始め、最初の準備の後24時間を超えると使用不可能となるであろう。これは、毎日新たにバッチ(batch)を準備することを必要とし、古いバッチは使用後に確実に廃棄することになる。さらに、プロテアーゼ(protease)などの酵素を、組織の型(tissue type)や、添加されるべきその他の試薬などの因子に依存して濃度を変化させるのに添加することが必要であろう。これは、サンプルへの添加の前に多数のバッチの試薬を準備することを必要とする結果となるであろう。この場合、正確な添加、有効期限、正確な混合、追跡及び追跡可能性などといった関連する問題を伴うであろう。
【0073】
濃縮された一次抗体はまた、使用前に準備することが必要であり、サンプルへの添加前に希釈することが必要であろう。一次抗体は、濃縮された形態、又は予め希釈されたいつでも使用できる形態のいずれかで供給することができる。しかしながら、単一の反応装置10で、同一の抗体に、いくつかの異なる希釈を行うことが必要であろう。そうでなければ、これは、試薬ラック34内にいくつかの場所を占めるであろう。それゆえ、抗体について単一の試薬コンテナ39を用いるのが有利であろう。ここで、抗体試薬の希釈は、試薬をサンプルに添加する前に行うことができる。一次抗体は、ビジョン・バイオシステムズ社(Vision BioSystems Ltd)によって販売されているABDIL9352などの一次抗体希釈剤によって希釈することができる。
【0074】
図11に示すように、この実施の形態に係る反応装置10では、混合ステーション122が設けられている。図17に示すように、混合ステーション122は、複数の混合バイアル瓶132(vial)を有する挿入部材130(insert)を含んでいる。挿入部材130は、6つのバイアル瓶132を有し、各バイアル瓶132は異なる試薬を保持することができる。図示されたバイアル瓶132は、全て同一の体積であるが、必要に応じて体積を変えてもよい。典型的な体積は、1つのバイアル瓶132につき7mlである。
【0075】
また、挿入部材130には、タブ134(tab)も取り付けられている。タブ134は、バーコードなどにより挿入部材130を識別(特定)するのに用いられる。挿入部材130は使い捨てであると予想されるが、反応装置10のいくつかの運転(run)にわたって、複数の異なる試薬を収容することができる。
【0076】
挿入部材130のバーコードは、挿入部材130を識別するのに用いることができる。これにより、コントローラは、挿入部材130をいつ破棄すべきかを知り、新たな挿入部材を混合ステーション122にロードすることを要求する。これは、ある一連の期間又は使用の後に予め設定することができる。
【0077】
挿入部材130には、任意のバイアル瓶132から溢流(オーバーフロー)する余剰の流体を該挿入部材から排出するのを可能にする溢流開口部135(overflow aperture)も設けられている。
【0078】
使用時には、スライドのバーコードの情報はコントローラ内のデータベースと照合され、どのシリーズの試薬を各スライドに添加すべきかを定めることができる。この後、反応装置10は、要求された試薬を、現在ロードされている試薬と比較する。もしある試薬があるサンプルに対して添加すべき最終的な形態ではないと識別されれば、準備ステップが、反応装置10で実行すべき作業の指示計画に組み入れられる(計画される)。
【0079】
ある具体例においては、それぞれDABの成分A、B及びCを有する3つの試薬コンテナ(試薬ラック34内に配置された試薬コンテナ39と同一)を、反応装置10に配置することができる。この具体例においては、DABを、Aが1部であり、Bが25部であり、Cが1部である比率で混合するであろう。使える状態である1バッチのDABを混合するために、ロボットアーム16は、まず、成分Aを収容している試薬コンテナのところに移動し、設定された体積の成分Aの試薬を抜き出す。この後、ロボットアーム16は、混合ステーション122で1つのバイアル瓶132のところに移動し、1つのバイアル瓶132内に上記体積の試薬を落とす。この後、ピペット28は、混合ステーション122の次に配置されている洗浄ステーション120に移動させられ、ここでピペット28の外側及び内側が洗浄処理される(rinse)。清浄化の後、ロボットアーム16は、ピペット28を、成分Bの試薬を収容している試薬コンテナのところに移動させる。ピペット28は、試薬(成分Aの体積の25倍)を引き抜き、成分Aを収容しているバイアル瓶のところへ移動する。試薬をバイアル瓶内に落とした後、ピペット28は、成分Cの試薬を保持している試薬コンテナのところへの移動の前に、洗浄ステーションのところに移動し、再び洗浄される。成分Aを保持しているコンテナから除去されたのと同一の体積(volume)が除去され、そしてピペット28は元のバイアル瓶のところに移動し、該試薬をその他の試薬とともに落とす。最初に試薬を混合バイアル瓶内へ落とす(deposit)ことにより、いくらかの混合が生じるが、試薬の一部又は全部をバイアル瓶132からピペット28内に引き抜き、この後試薬をバイアル瓶132内に再び落とすことにより、さらなる混合を実現することができる。ピペット28は、試薬を落とすときに、その先端部が流体レベルの上方に位置することを確実化して混合プロセスを促進するために、上下方向に移動することができる。再度落とすことによるエネルギは、試薬をより容易に混合させる結果となる。この混合プロセスは、所望の回数実行することができる。試薬が十分に混合された後、もしサンプルに添加すべき次の試薬がDABでなければ、ピペット28を洗浄ステーション120に進めることができる。バイアル瓶のこの体積及びピペット28によって引き抜かれた量は、サンプルに対する多くの添加(application)に対して十分な量のDABを供給する。DABが必要なときはいつでも、ロボットアーム16は、ピペット28を特定の試薬の混合がコントローラによって記録されるバイアル瓶である、DABが混合されたところのバイアル瓶に移動させる。準備の時間もまた記録され、これにより、予め設定された期間の後、混合された試薬を廃棄することができる。これは、準備された試薬が使用期限後に用いられるのを防止する。
【0080】
その日の試験の完了後、又はDABの使用期限が到来したときに、DAB(又は、使用期限が到来したその他の試薬)を収容しているバイアル瓶132を、以下で説明するように清浄化することができる。
【0081】
1バッチにおける混合計画の作成手法に関して、2003年2月24日に本願出願人によって出願され、その内容が参照のためにここに編入されている、「計画作成方法(Method of Scheduling)」と題されたオーストラリア仮特許出願に、特定の詳細な計画作成手法が開示されている。
【0082】
上記プロセスは自動化されているが、用いられる手段(resources)、すなわちロボットアーム16及びピペット28は、サンプルへの一般的な試薬の添加におけるかなりの期間にわたって利用されることができる。それゆえ、1日に数バッチの試薬を準備する必要をなくす(低減する)のが望ましいであろう。この理由により、反応装置10は、該反応装置10内にロードされたサンプルが存在しないとき、又は通常の処理時に試薬を準備するようプログラムを組むことができ、体積及び濃度は、ユーザインターフェース(図示せず)により、ユーザが決定することができる。
【0083】
上記の具体例においては、各バイアル瓶132内の各試薬の準備の時間及び濃度は、反応装置10のコントローラのメモリ内に記憶される。このため、古い又は不正に混合された試薬がサンプルに添加される機会がなくなり、オペレータのミスを低減することができる。
【0084】
ピペット28による混合は、準備された試薬が、サンプルへの添加の前に十分に混合されることを確実にする。これにより、例えば試薬の成分をサンプルに直接添加してサンプル上で混合するよりも、より均一な混合を行うことができる。
【0085】
反応装置10での混合によって恩恵を受ける試薬のその他の例は、多数の濃度で添加することが必要とされるプロテアーゼである。上記の具体例では、プロテアーゼについては1つの試薬コンテナだけが必要とされ、プロテアーゼのいくつかの濃度は、試薬コンテナ39又はバルク試薬コンテナ20に貯留されている希釈剤を用いて反応装置10によって準備することができる。これらの異なる濃度のものは、後の使用のために異なるバイアル瓶132内に配置されてもよい。
【0086】
上記の具体例では、混合作業(mixing task)を、サンプルへの試薬添加ステップに組み入れさせることが可能である。例えば、ロボットアームに必要な作業が存在しない場合、スライドの試験中にしばしば時間が存在する。これらの時間は、空き時間(open time)と称されるが、これは典型的には、次のステップを実行する前にスライドに添加される流体が反応時間を必要とするときに起こる。もし空き時間が十分に長ければ、混合ステップに計画を組み入れることが可能であろう。これは、サンプルへの流体の添加を完了するのに必要な時間を最小にする一方、オペレータを試薬の準備から解放する。
【0087】
試薬が準備されてサンプルに添加された後、残っているか又は使用期限が切れた準備試薬(prepared reagent)は、アスピレータ(aspirator)により吸い上げられて消耗される。この後、バイアル瓶132が清浄化される。清浄化は、必要とされる準備試薬が分配された後、残っている準備試薬を排出することにより実施される。流体の排出はピペット28で行われ、排出された流体は、内部でポンプ輸送されバルク廃棄コンテナに送られる。実質的に空になれば、すすぎサイクルが実施される。すすぎサイクルでは、例えばバイアル瓶132内に分配されたIMSなどのアルコールを含むことも可能である洗浄液を用いることができる。この後、洗浄液は、ピペット28を経由して排出される。複数のすすぎサイクルを実施してもよい。最後のすすぎについて洗浄液を除去した後、残っている洗浄液を蒸発させて、バイアル瓶を完全に空にすることが可能である。
【0088】
最初の準備から予め設定された時間が経過した後、混合バイアル瓶に戻って(revisit)試薬を再混合することも可能である。これは、準備試薬の一部をピペット28内に引き抜いて、同一のバイアル瓶132に分配することにより行うことができる。これは、準備試薬の成分が時間後も滞留し、又は時間後に混合された状態で滞留しないときには重要であろう。最初の混合に伴って、ロボットアーム及びアスピレータの非動作時に、再混合ステップを組み入れてもよい。
【0089】
スライドトレー15が反応装置10にロードされたときには、各ブラケット44は、スライドトレー15内の各カバー2のロケータアーム3(locator arm)と係合している。開かれた充填(open fill)が必要な場合、すなわち、カバー2がスライド1から実質的に又は十分に引き出されている場合、ロケータ係合手段43は、スライドから離れているスライドトレー15上の全てのカバー2を、図8(a)中のカバー2で示されている位置に移動させる。この開かれたカバー2の位置はサンプル5を露出させ、この場合、ピペット28を、種々の位置に位置決めすることができる。図8に示すように、ピペット28の位置は、流体をピペット28に直接分配するためのサンプル5の上方の位置、あるいは、流体を流体容器19に戻すためのカバー2の前部に隣り合う位置を含む。各位置についての理由は、以下で説明される。
【0090】
開かれた充填位置においては、流体が全てのスライドに分配されると、ロケータ係合手段43が、スライド上のサンプルの上方の反応室32の位置に移動する。スライド1の表面の上方のカバー2の移動及び毛管作用は、分配された流体に、カバー2とスライド1との間の領域内への流れを生じさせる。クランプ60は、カバー2を所定の位置に保持するのに用いることができ、カバー2とスライド1との間の液体の膜上にカバー2が浮遊する(浮かぶ)のを防止することができる。
【0091】
図14及び図15に示すように、スライド1は、ブロック40の上にあるときには、ウィッキングポスト42と当接することができる。スライド長が変わる(vary)ので、ブロック40上でのスライド1の移動が可能である。そして、スライドの上方のカバー2の移動は、スライド1を移動させることができる。通常、この移動は、1〜2mmのオーダーにすぎない。もう1つの具体例(図示せず)では、アクチュエータを用い、スライドをウィッキングポストから遠ざかるように移動させて反応室からの流体のウィッキング(漏出)を低減することが可能である。
【0092】
図15は、スライド1及びその上のカバー2を示し、両者ともブロック40の上に配置されている。ウィッキングポスト42はスライドと当接し、したがって流体のためのウィッキング通路を形成する。反応室は、スライドとカバーとの間に位置するが、図15がほぼ縮尺どおりであるので、この図では明確にはみることができない。流体容器19に入った流体は反応室内に流入し、反応室からウィッキングポスト42につながる排出部55(drain)に流下することができる。ファン(図示せず)などのポンプにより排出部55から空気を引き抜くことにより、ウィッキングポストのまわりの空気圧を低下させて流体の除去を助勢することができる。これは、もし必要であれば、反応室を通って排出部55外への流体の流れを促進するであろう。スライドからカバーを引き出すこともまた、排出部55への流体の流下を促進するであろう。
【0093】
ウィッキングポストからの流体圧力が存在する場合、又は該領域の空気圧が低下している場合、流体のメニスカス(meniscus)がウィッキングポスト近傍のスライドのエッジ(edge)から伸びているので、ウィッキングポストがスライドに当接していなくても、ウィッキングポストは流体をウィックする(除去する)であろう。
【0094】
しかしながら、培養時(incubation period)などにおいてもし必要であれば、ロケータアーム3を操作することによりウィッキング作用を中断することができる。これにより、カバー2を、ウィッキングポスト42から離れる方向に、反応室からの流体のさらなる排出を防止するのに十分な距離だけ移動させることができる。
【0095】
分配された流体が反応室32を充填したときに、反応室内の流体とウィッキングポスト42との間に流体接触が生じるであろう。ブロック40の上面は、水平方向に対してほぼ5度の角度で傾斜している。ここで、ウィッキングポストと隣り合うスライド端部は、スライドのバーコード端より低い位置にある。この角度は、ウィッキングポスト42に向かう流体の流れを促進し、これはブロック40から離れてスライド1との接触だけを生じさせる。ウィッキングポスト42がスライド1の上面又はその近傍でスライド1と当接するので、スライド上面の最も低い端部では、流体はウィッキングポスト42と隣り合うスライドの上の反応室内の領域からウィックする(wick)傾向があるが、それ以外にはウィッキングポイント(wicking point)は存在しないのでその他の領域からウィックする傾向はないであろう。
【0096】
ディスペンサ26(dispenser)を制御し、流体を種々の位置でスライド上に分配することが可能である。流体は、スライドのバーコード端に向かって、又はカバーが開かれた位置にある場合はスライドのウィッキングポスト側の端部に向かって、分配することができる。ディスペンサを、流体がスライド上で複数の位置に分配される「ねじれた滝(staggered waterfall)」の形態(arrangement)で分配することも可能である。カバーを、ディスペンサがスライドを上向きに移動するのに伴って閉じてもよい。
【0097】
流体は、制御された体積でスライド1上に分配される。現在の配置構造(arrangement)においては、次の2つの条件のうちの1つが満足されない限り、流体は、反応室32からウィッキングポスト42に下向きにウィック(流出、漏出)しないということが見出された。第1に、容器19内の流体は、反応室32を通して流体を押圧することが必要である。追加の流体は、先行する流体を移動させてこれを反応室から除去する。先行する流体は、ウィッキングポストを経由して反応室から除去される。かくして、流体を流体容器内に配置することにより、反応室内の流体を交換することが可能である。第2に、ポンプは、ウィッキングポストのまわりに低減された大気圧を生成して、反応室から流体を引き出す圧力差を惹起することができる。反応室の流体はまた、ウィッキングポストのまわりの空気圧を低減することにより排出することができる。
【0098】
反応室に新たな流体が加えられることになっていない場合、反応室を開くことにより、反応室から流体を排出することが可能である。これは、サンプルが覆われなくなるまでスライド1に沿ってカバーを滑動させること(sliding)により実現される。反応室内の流体は、サンプルから離れたカバーに追従する傾向があり、これにより流体がウィッキングポストを経由して排出されるであろう。あるいは、ファンを動作させて反応室から流体を引き出すことが可能である。この場合、カバーは、閉じられた位置のままでいることができる。上記の組み合わせも可能である。
【0099】
供給されている流体又は反応室内の流体がとくに粘度が高い場合などにおいては、ポンプを利用して流体を容器に供給し、反応室を通しての流体流れを生じさせることが必要であろう。このようにして、流体を制御された方法で切り替える(change over)ことが可能である。
【0100】
カバー2及びスライド1は、反応が完了したときに反応装置10から除去され、それゆえ、反応室32は各反応に対して固有(unique)である。これは、他の反応装置で必要とされる固定的な(static)反応室を完全に清浄化する必要性をなくす。さらに、反応室は、環境に対して実質的にシールされ、蒸発を低減するとともにサンプルの乾燥(drying out)の可能性を低減する。
【0101】
反応室が、スライドと、交換可能なカバーとで形成されているので、反応室の形成は比較的安価であり、各反応に対して新しく清浄な反応室が形成され、清浄化に要するコスト及び時間が低減されるとともに、先行する反応又は洗浄流体による汚染の可能性が除去される。
【0102】
カバーの引き出しを伴った最初の充填(開放充填)は、反応室内での空洞(void)又は泡の生成を最小にしつつ反応室に流体を充填する方法をもたらす。反応室がほぼ100ミクロンの深さを有するものであるので、反応室を形成しているスライドの上方にカバーが存在する場合、反応室から泡又は空洞を流し出す(flush)ことは困難である。反応に用いられるいくつかの流体は、極端に高価であったり、有害であったりするかもしれず、それゆえそれらの消費を最小限にとどめるのが望ましい。
【0103】
適切な最初の充填流体は、25ないし30%のグリセロールを含む、水とグリセロールの混合物であるということが見出された。少量のグリセロールは、大量のグリセロールと同様に、泡の形成・発生の低減を助勢する。しかしながら、ある環境では、体積で25%のグリセロールが良好に作用するということが見出された。表面張力を低減するために、洗浄剤(例えば、ツイーン(Tween))などの添加物(additive)が含まれていてもよく、かかる添加物はまた、ある環境では空洞を除去するのに有益であるということも証明された。
【0104】
グリセロールの使用は、流体が外部のウィッキング通路を経由してスライド表面からウィックする傾向を低減する。これは、最初の充填時に生成する大きな泡の数を低減する。
【0105】
最初の充填の後に反応室内に存在するかもしれない空洞の除去を助勢するために、表面張力及び粘度が低く水と混和する(miscible)、イソプロパノールのようなアルコールなどの流体が洗い流し流体(flushing fluid)として有用であるということが見出された。
【0106】
典型的には、洗い流し(flushing)は加熱段階(heating phase)の後に起こり、反応室内の温度の上昇に伴って泡又は空洞の形成が生じるであろう。イソプロパノールなどの低粘度の流体の使用は、泡又は空洞の移動を促進する。
【0107】
反応室に流体が充填された(満たされた)後、追加の空気を閉じ込める(entrap)ことなく、さらなる流体を加えることが可能である。かくして、場合によっては、単に流体容器を満たすこと(topping up)により、流体を変えてウィッキングポスト近傍の空気圧を低減することが可能である。このように形成された反応室は、新たな流体が交換している流体と混合する傾向はないであろうといった望ましい流れ特性を呈する。反応室の毛管特性は、さほど乱流混合を生じさせず、それゆえ、反応室又はスライド表面の洗い流しをさほど必要とせず、流体の変化を正確に決める(time)ことが可能である。これは、反応の開始及び終了を、流体及び反応のある範囲にわたって十分な正確さでもって決定することを可能にする。
【0108】
圧力の低下及びカバー移動の速度は、背後に残っている残留流体の体積に影響を及ぼす(effect)であろう。
【0109】
サンプル上の反応室内での反応を促進するために、クランプ60の負荷(load)を調節することにより、カバーをスライド上で上下方向に(図8に示すz軸方向)移動させることが可能である。この上下方向の移動は、上下方向の流体の混合に加えて、スライドの長手方向ではなく、スライドと交差する方向(y軸方向)の流体の混合を促進する。反応室に対する流体の充填(注入)及び排出は、流体をスライドの長手方向(x軸方向)に沿って移動させ、これは、アーム44を移動させることにより、カバーをスライドのx軸に沿って移動させることにより、促進することができる。ブロック40は、反応を促進するために加熱してもよい。
【0110】
例えば原位置交配(in situ-hybridisation)、エピトープリトリーバル(epitope retrieval)、脱ロウ(dewaxing)をはじめとする多くの反応においては、反応室内の流体をセ氏100度に近い温度まで加熱するのが望ましい。この場合、気泡を生成することが知られているが、かかる気泡は、移動させるのは困難であろう。泡がサンプル上で生じた場合、それらはサンプルにさらされる流体の量を低減し、それゆえサンプル内に加えて、異なるスライド上のサンプル間にも、結果の一致を生じさせることができる。この場合、1つ又はこれより多いコーティング(coating)を有するカバーを用いることが泡の形成・発生を低減するということが見出された。
【0111】
反応装置10のもう1つの特徴は、反応室の寸法を変えることができることである。典型的には、閉じられた位置と称されている、カバーが完全にスライドの上方にある状態では、反応室の体積は150マイクロリットルである。しかしながら、カバーが完全に閉じられていない場合、カバーとスライドとの間に形成された反応室の体積は低減されたものとなるであろう。図8(b)においては、カバーは部分的に閉じられた位置で示され、この場合、反応室の体積はかなり低減され、例えば80マイクロリットルまで低減されるであろう。この具体例は、サンプルが小さい場合、あるいはサンプルがスライド端部に向かって置かれている場合に有用であり、カバーが、サンプルを覆いつつ、より小さい反応室を形成することを可能にする。より小さい反応室は、より小さい体積の流体しか必要とせず、これは、用いられる流体が高価な場合、又は入手が困難な場合に有利である。反応室のこれらの具体例は、流体をスライド上に分配するときに、カバーの位置を参照することを可能にする。それゆえ、カバーが開かれた位置にあるときには、流体を、組織サンプルの頂部、又は組織サンプルとカバーとの間のいずれかに分配することが可能である。これにより、閉じられた位置に向かうカバーの移動が、反応室に流体を充填しつつサンプルを横切って流体を押圧する。流体をスライドに沿う方向の複数の位置に分配し、又は、流体をカバーの前側エッジ又はその近傍に分配することも可能である。
【0112】
以下、上記反応装置のセットアップ(set up)及び使用について説明を行う。
1. スライドのロード
ガラスのスライドの上に取り付けられたパラフィン包埋組織(paraffin-embedded tissue)の切片(サンプル5)を、カバー2を伴ったスライドトレー15内にロードし、反応装置10の受け入れゾーン14に挿入する。ユーザは、所望のプロトコルと実行タイプ[すなわち、100μL(エコノミタイプ、スライドの2/3)又は150μL(標準タイプ、全スライド)])とを選択し、必要な試薬コンテナ39を収容している試薬トレー34が反応装置10にロードされるのを確実にする。
【0113】
2. 脱ロウ
染色処理(staining procedures)の実施に先立って、切片化(sectioning)に続いて組織の切片(section)からのロウ(wax)の除去を行うことが必要である。機器(instrument)で脱ロウを行うために、カバーを閉じられた位置にとどめる一方、脱ロウ溶液(dewaxing solution)を分配手段26によりスライド上に分配し、このスライドを取り付けブロック40により70°Cまで予熱する。スライドを、ポンプ(図示せず)によって惹起されたウィッキングポストまわりの低減された空気圧により、過剰の脱ロウ溶液の除去に先立って、70°Cで4分間培養する(incubate)。さらに4分間の70°Cでの培養のために、スライド上に新しい脱ロウ溶液を分配する。典型的には、このプロセスを、脱ロウを必要とするトレー内の全てのスライドに対してもう1回繰り返す。スライドを周囲温度まで冷却し、残りの溶解しているロウを含んでいる過剰の脱ロウ溶液を除去するために、カバーを開閉する。全てのスライドを、残留している脱ロウ溶液を除去するために、1つずつ、分配手段によって供給されたイソプロパノールで洗浄し、この後、全てのスライドに対して、分配手段によって分配された蒸留水で再び水分補給を行う。
【0114】
3. エピトープリトリーバル(抗原性賦活化)
IHC処理及びISH処理を行う前に、固定処理(fixation process)中に隠されてしまう(hidden)かもしれない組織内のエピトープ(タンパク質、DNA、RNA)を露出させることが必要である。この機器では、2つのプロトコルを備えることができる。
【0115】
a. 熱誘発型エピトープリトリーバル(HIER、heat-induced epitope retrieval)
脱ロウに続いて、全てのスライドは、カバーが開かれた位置でリトリーバルバッファ(最初の充填流体)(10mM、クエン酸ナトリウム/30%、グリセロール/0.05%、ツイーン)の最初の充填を受け入れ、スライドへの溶液の下降移動を促進して、泡の形成を低減する。カバーを閉じ、取り付けブロック40によりスライドを、必要なリトリーバル時間だけ100°Cに加熱する。リトリーバルが終了した後、スライドを、分配手段により、リトリーバルバッファでの個々の洗い流しで冷却する。
【0116】
b. 酵素誘発型エピトープリトリーバル(EIER、enzyme-induced epitope retrieval)
プロテアーゼ溶液(すなわち、プロテイナーゼK(proteinase K)、ペプシン(pepsin)、及びトリプシン(trypsin))を、分配手段により各スライド上に分配し、所望のリトリーバル温度(例えば、周囲温度〜50°C、又は、室温)で10〜30分間培養する。リトリーバルが完了した後、各スライドを、分配手段によって分配された蒸留水で洗浄する。
【0117】
4. 免疫ヒソケミストリ(IHC、immunohisochemistry)
IHCは、組織の生体検査(biopsies)及び標本(specimens)における、抗原(タンパク質)に対する抗体(タンパク質)の特異結合(specific binding)に基づいている。エピトープリトリーバル段階に続いて、各スライドは、分配手段から、ツイーン−20を含んでいるバッファを受け入れる。各スライドを、過酸化水素でもって、周囲温度で8分間処理して組織切片内の内生ペルオキシダーゼ活性(endogenous peroxidase activity)をブロックする(block)し、ツイーン−20を含んでいるTWBバッファで洗浄し、再び分配手段により分配する。特定のターゲットのタンパク質に向けられた一次抗体を、分配手段により組織サンプルに供給し、15〜60分間培養する。この後に続いて、第2のビオチン標識抗体(secondary biotin-labelled antibody)の培養を行う。結合抗体(bound antibody)を、各スライド上に、ストレプタビジン―又はアルカリ性ホスファターゼ―共役ペルオキシダーゼ(streptavidin-or alkaline phosphatase-conjugated peroxidase)を分配することにより検出する。これらを、すべて分配手段よって分配された色原体(chromogen)、すなわちDAB、BCIP/NBTの添加により可視化する。切片を、分配手段によって分配されたヘマトキシリン(hematoxylin)で対比染色する(counterstained)。
【0118】
5. 原位置交配(ISH)
ISHは、細胞内における特定の核酸配列の検出を可能にする。EIER段階に続いて、組織切片を、イソプロパノールを各スライドの反応室内に分配することにより脱水し、カバーを開かれた位置に移動させて組織を乾燥させる。蛍光色素又はビオチン標識核酸のプローブ(probe)をスライドに供給し、カバーを緩慢に閉じてプローブを、該組織と交差する方向に均一となるように分布させる。このプローブを、組織切片中のその相補的DNA/RNAターゲットと、37〜55°Cで1.5〜2時間交配させることが可能である。ターゲットがDNAである場合、組織切片及びプローブを、まず、交配に先立って5〜10分間、高温で(すなわち、95°C)変性させる(denature)。スライドを、ねじれた滝のすすぎを用いて、分配手段からのTWBを分配することにより洗浄し、非結合プローブを穏やかに除去する。洗浄に続いて、カバーを、残りの処理のために、閉じられた位置に移動させる。結合プローブを、分配手段から分配されたアンチフルオレセイン又はアンチビオチンの共役抗体をアルカリ性ホスフォターゼに供給することにより検出する。これを、分配手段から分配された酵素基質(BCIP/NBT)の添加により可視化する。
【0119】
6. 除去
特定のスライドトレーに対してプロトコルが完了した後、このスライドトレーを、他のスライドトレーの状態にかかわりなく除去することができる。このスライドトレーは、それぞれ、利用される異なるプロトコルを有しているスライドを収容することができるので、このスライドトレーは、この特定のスライドトレーに対するすべてのプロトコルが完了するまで、反応装置内に残さなければならない。光などの表示手段(indicator)は、スライドトレー上のスライドに適用されるべきすべてのプロトコルが完了したときに、これをユーザに報知する。
【0120】
反応室に流体を充填した後、サンプルを、ある延長された期間、バッファ内に保持することが可能である。反応室内の流体は、例えば、あるいくつかのスライドの反応は完了されているが、スライドトレー上の他のスライドはさらなる処理を必要とする場合に、補充する(top up)ことができる。3つのスライドトレーを有するので、時間集中処理(time intensive processing)を必要とするサンプルが1つのスライドトレー内に配置される一方、より速い処理が個別のスライドトレーで実施される場合に、ある程度の柔軟性(a certain amount of flexibility)がある。追加のスライドトレーを導入する一方、1つ又はこれより多いスライドトレーで処理を開始することができる。そして、終了したスライドトレーを除去する一方、他のスライドトレーを処理することが可能である。試薬ラック34を、例えばコンテナが空になった場合には、処理の実行中に除去することができる。試薬ラック34を交換した後、バーコードセンサ33で、再び試薬コンテナ上のバーコードを走査し、正しい試薬のみの供給を確実にする。
【0121】
分配機構は、試薬コンテナ内の流体のレベルを検出するためのセンサを用いている。それゆえ、コンテナの中身が残り少なくなっているときには、ユーザに警告を発する。試薬が適切に貯留されていない場合、有効期間が短くかつ試薬が高価であるときには、消費の低減はかなり有利であるので、これは重要である。
【0122】
センサは、ピペットが試薬コンテナ内の流体の表面に到達したときにこれを検出するために、ピペットに取り付けてもよい。これは、コンテナの体積を決定し、流体レベルが予め設定されたレベルまで低下したときに、オペレータに警報を送ることを可能にする。この後、試薬ラックを反応装置から除去し、コンテナを交換することができる。ここで、スキャナは、試薬コンテナ上のバーコードを読み取ることにより、正しい試薬に交換されたかどうかを決定するであろう。このようにして、オペレータのミスが低減される。
【0123】
以上で説明されたように多数の変形例が存在するが、反応装置は、流体の供給、反応時間及び温度に対して柔軟な取り組みが可能となるような仕様となっている。それゆえ、反応装置は、流体の供給、カバーの位置及び移動についての変形例である、可能な手法の中の特定の例に限定することを意図しているのではない。
【0124】
利用することができるプロトコルを変えることができ、単一のラック内のスライドの上の各サンプルに対して、異なるプロトコルを適用することが可能である。さらに、反応装置は、新たなスライドのトレーをロードし、又は完了したスライドのトレー除去する一方、他のスライドのトレーを処理することが可能である。
【0125】
前記の説明に制限されることなく、本発明のいくつかの特定の態様が、いくつかの利点の簡単な説明とともに、以下に記載されている。
【0126】
反応装置内のスライドの上に反応室を形成する方法であって、
空洞部を有するカバーをスライドの上に配置し、反応室を形成する過程と、
カバー及びスライドをトレーのレセプタクル内に配置する過程と、
トレー内の各レセプタクルのためのマウントを有する反応装置内に、受け入れ部を設ける過程と、
トレーを、反応装置の受け入れ部内にロードし、反応装置の受け入れ部がトレーを配置する過程と、
カバーをスライドに取り外し可能に保持する過程と、
スライド及びカバーからトレーを取り外す過程とを含む方法。
【0127】
上記方法は、スライド及びカバーがトレー内のレセプタクルに容易に配置されることを可能にする。このトレーは、ここに開示された実施の形態の図面中に示されているように、複数のレセプタクル、例えば1トレー当たり10のレセプタクルを有していてもよい。この後、トレーは、反応装置の受け入れ部内にロードされることができ、これにより、例えば、スライド及びカバーで形成された10までの反応室が、反応装置内に配置されることができる。トレーはロードに際して反応装置によって配置され、そしてスライド及びカバーはトレーによって配置されるので、10までの反応室の正確な位置は反応装置内で容易に決定されることができる。スライドの寸法が製造上の不正確さに起因して変化するとすれば、カバーはスライドの側部に当接せず(外部のウィッキングポイントをなくすために)、かくしてカバーは、他の手段によって拘束されなければスライドの頂部上で自由に移動することができ、一度に10の反応室を配置することは困難となるであろう。
【0128】
トレーがロードされ、かつスライド及びカバーがクランプによって所定の位置に固定された後、トレーは除去されることができる。この例においては、トレーは下へ落とされ、これによりマウントはスライド及びカバーを担持する。これは、ウィッキングポストを別にすれば、スライドのエッジのまわりのすべての当接(接触)を除去する。かくして、この配置構造でもって、複数(多数)のスライド及びカバーを、スライドの側部と何ら当接させることなく、容易にかつ迅速に配置することが可能である。カバーは能動的なシール構造(positive sealing arrangement)を備えず、かつ反応室は一般に流体で満たされるので、この配置構造は、流体の損失を招くことなく、複数のスライドをロードすることを助勢し、これにより反応室内での泡の形成を最小化する。
【0129】
複数の(multiple)スライド及びカバーをロードするための装置であって、
スライド及びカバーのための複数のレセプタクルを有するトレーと、
トレーを受け入れるための受け入れ部と、
受け入れ部内に配置された各レセプタクルのためのマウントと、
各マウントのためのクランプ(clamp:固定具)とを含んでいて、
スライド及びカバーを有するトレーが受け入れ部内にロードされたときに、各クランプが、カバーをスライド上に保持してスライドを配置し、かつ、トレーがスライドから落ちて、各スライドがマウントによって担持されるようになっている装置。
【0130】
好ましい態様では、流体排出手段が設けられる。
好ましい態様では、流体排出手段がウィッキング手段を含む。
上記装置は、スライド及びカバーが、必要があればバッチ単位で、オペレータによって容易にロードされるのを可能にする。
【0131】
複数のステップを含んでいるスライド上のサンプルでの反応を行わせる方法であって、
少なくとも1つのスライドを有する第1のホルダを反応装置内にロードする過程と、
スライドを走査して、スライド上で起こる反応における複数のステップを決定する過程と、
他のホルダが反応装置内にロードされているかどうかを決定する過程と、
第1のホルダに関連する少なくとも1つのスライドで要求される複数のステップを行わせる過程と、
第2のバッチが検出されたときに、第1のホルダ内の少なくとも1つのスライドに関連する反応におけるステップを継続し、この後、第2のホルダに関連するスライドに関連する少なくとも1つのステップを行わせる過程とを含む方法。
【0132】
これは、反応を開始もしくは停止させ、又はその他の作業(ピペットのロボットアームへの取り付けなど)を行わせるのに用いられる装置が常時利用されるわけではないギャップが一般に存在するといった状況で可能である。
【0133】
もし装置が常時用いられるのであれば、第2のホルダと関連する少なくとも1つのスライドの上で起こる反応のステップは、第1のバッチ(bath)が終了するまで始まらないであろう。
【0134】
スライド上で反応を実施するための装置であって、
スライド及び関連するカバーを担持するとともに配置するようになっている複数のレセプタクルを有するトレーと、
トレーの各レセプタクルと関連するマウントを有する、トレーのための受け入れポートと、
カバー及びスライドを所定の位置に固定するための固定機構と、
カバーとスライドとの間に形成された反応室から流体を排出するための流体排出手段と、
少なくとも1つの流体が該装置に配置されるのを可能にするための流体レセプタクルと、
流体を上記スライド上に分配するための流体分配手段とを含んでいて、
トレーがロードされた後、スライド及びカバーが固定されるとともにトレーが移動させられ、
これにより、スライド及びカバーがマウント上で担持され、流体が、分配手段によってスライド上に分配されることができ、かつ排出手段によって排出されるようになっている装置。
【0135】
好ましい態様では、該装置が、スライドに対してカバーを配置するとともに移動させるための配置手段を含んでいる。
好ましい態様では、トレー内の各レセプタクルに関連する配置手段が存在する。
好ましい態様では、1つの特定のトレーと関連する全ての配置手段がすべて同時に移動して、スライドに関連するカバーを移動させ、トレー上の全てのスライドの流体の分配又は排出を促進するようになっている。
【0136】
試薬をサンプルスライドに供給するための装置であって、
スライドを受け入れるための複数のポートと、
スライドの各々についての識別情報を読み取るための読取器と、
スライド上に落とされるべき試薬を運ぶ試薬コンテナを受け入れるための試薬ラックとを含んでいて、
スライドが、関連するポートに受け入れられたトレーに供給され、各トレーが個別の1バッチのスライドに相当し、該装置の動作時におけるバッチ処理に対して、個別のトレーの追加及び除去を可能にするようになっている装置。
【0137】
バッチのロードは、再び、検査及び計画が関係する範囲において、オペレータに対して実質的な柔軟性を与える。
【符号の説明】
【0138】
10 反応装置、12 バルク試薬容器受け入れゾーン、14 基材トレー受け入れポート、15 スライドトレー、16 ロボットアーム、18 試薬ラック受け入れゾーン、20 バルク試薬容器、24 ガイド、26 分散手段、28 ピペット、30 ラックマウント、31 ラック配置クリップ、33 センサ、34 試薬ラック、35 センサ、37 受け入れ手段、38 支持手段、39 試薬容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル領域に位置決めされたサンプルを有する少なくとも1つの基材と、分離型のカバーとを受け入れるための生物反応装置であって、
上記サンプル領域の上方において、上記カバーと上記基材との間に反応室が形成されていて、
上記基材を位置決めするための位置決め手段と、
上記カバーを上記基材に対して位置決めするとともに移動させるためのカバー位置決め手段と、
上記反応室内に流体を分配するための流体分配手段と、
流体排出機構とを備えていて、
上記流体排出機構が流体除去手段を有していることを特徴とする生物反応装置。
【請求項2】
上記流体除去手段が、上記基板から流体を排出するための流体通路を形成する上記基板上の当接点を有していることを特徴とする、請求項1に記載の生物反応装置。
【請求項3】
上記基材が、該生物反応装置内で下側から担持されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の生物反応装置。
【請求項4】
基材及びカバーを位置決めするようになっている受け入れ手段を有する基材のためのレセプタクル。
【請求項5】
上記受け入れ手段が、上記基材を配置して担持するためのステーションを含み、上記カバーが上記基材上で担持されている、請求項4に記載のレセプタクル。
【請求項6】
上記受け入れステーションが、上記基材を、該基材の周縁部付近で担持している請求項4又は5に記載のレセプタクル。
【請求項7】
上記受け入れ手段が、上記基材を担持するための周縁出っ張り部を有するそれぞれの開口部によって形成されている、請求項4〜6のいずれかに記載のレセプタクル。
【請求項8】
上記開口部が、反応装置から支持プラットホームを受け入れるようになっていて、反応装置内にロードされたときに上記プラットホームが上記基材を担持するようになっている、請求項7に記載のレセプタクル。
【請求項9】
上記受け入れ手段が、上記基材から上記カバーを持ち上げるための持ち上げ手段を有している、請求項4〜8のいずれかに記載のレセプタクル。
【請求項10】
上記持ち上げ手段が、上記カバー上の突起部と係合するようになっている傾斜面である、請求項9に記載のレセプタクル。
【請求項11】
上記受け入れ手段が、上記カバーが該レセプタクル及びスライドに対して移動させられることを可能にするガイド部を有している、請求項4〜10のいずれかに記載のレセプタクル。
【請求項12】
流体導管と、
上記流体導管に接続されたポンプと、
上記流体導管を、流体源から分配領域に移動させるための位置決め手段とを含んでいる反応装置のためのディスペンサ。
【請求項13】
該ディスペンサが、流体源及び基材のタイプを検出するためのバーコードセンサを含んでいる、請求項12に記載のディスペンサ。
【請求項14】
該ディスペンサが、流体源内に残っている流体の体積を決定するための手段を含んでいる、請求項12又は13に記載のディスペンサ。
【請求項15】
上記センサが、上記流体導管のキャパシタンスの変化を測定して、流体コンテナ内への流体の注入を検出するようになっている、請求項12に記載のディスペンサ。
【請求項16】
流体を基材に分配する方法であって、
少なくとも1つの流体コンテナを備えた試薬レセプタクルをロードするステップと、
上記試薬レセプタクルを反応装置に取り付けるステップと、
上記試薬レセプタクルを検出するステップと、
上記試薬レセプタクルが検出された後、センサを起動して、上記の少なくとも1つの流体コンテナ内の流体のタイプを検出するステップと、
流体のタイプについての情報を格納し、要求があったときに上記流体が基材上に分配されるのを可能にするステップとを含んでいる方法。
【請求項17】
上記センサがバーコードを検出する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
スライドのための支持突起部と、分配手段と、流体除去手段とを有している反応装置であって、
上記支持突起部が下側からスライドを担持するとともに、ウィッキング手段が上記スライドの周縁部と接触し、
上記ウィッキング手段が、上記スライドの上表面から流体を除去するためのウィッキングキング通路を形成している反応装置。
【請求項19】
上記支持突起部が、水平方向に対して0ないし10度傾斜し、流体除去領域を備えたマウント部を形成している、請求項18に記載の反応装置。
【請求項20】
上記ウィッキング手段がウィッキングポストである、請求項18又は19に記載の反応装置。
【請求項21】
上記ウィッキングポストが上記流体除去領域に配置されている、請求項20に記載の反応装置。
【請求項22】
上記ウィッキング手段が、上記スライドの幅の大部分を横切って伸びるようになっている、請求項20又は21に記載の反応装置。
【請求項23】
サンプルを含んでいる表面を有する基材と、サンプルを含んでいる上記表面とで反応室を形成する表面を有するカバーとを位置決めするようになっている反応装置であって、
上記反応室の体積を変化させるようになっているカバー係合手段を含んでいる反応装置。
【請求項24】
上記カバー係合手段が、上記カバーを上記基材にクランプするようになっているクランプ機構である、請求項23に記載の反応装置。
【請求項25】
複数の基材及びカバーを保持するようになっている分離型の基材トレーと、
上記基材トレーを受け入れるための少なくとも1つの受け入れステーションと、
上記基材トレー内の基材の上に流体を分配するための分配手段とを有する反応装置であって、
上記基材とカバーとの間に反応室が形成され、上記基材の上に分配された流体が上記反応室に入るようになっている反応装置。
【請求項26】
それぞれ基材トレーを受け入れるようになっている複数の受け入れステーションを含んでいる、請求項25に記載の反応装置。
【請求項27】
該反応装置が、他のどの基材トレーとも独立して1つの基材トレーの上の基材の上に上記流体が分配されるのを可能にするコントローラを有している、請求項26に記載の反応装置。
【請求項28】
サンプル領域内に位置決めされたサンプルを有する基材と、該基材から流体を排出するためのウィッキング手段を含んでいる流体排出機構とを受け入れるための反応装置。
【請求項29】
反応装置内のスライドの上に反応室を形成する方法であって、
空洞部を有するカバーをスライドの上に配置して、反応室を形成する過程と、
上記カバー及びスライドをトレーのレセプタクル内に位置決めする過程と、
上記トレー内の各レセプタクルのためのマウント部を有する反応装置内に、受け入れ部を設ける過程と、
上記トレーを、上記反応装置の受け入れ部内にロードし、上記反応装置の受け入れ部が上記トレーを位置決めする過程と、
上記カバーを上記スライドに取り外し可能に保持する過程と、
上記スライド及びカバーから上記トレーを取り外す過程とを含む方法。
【請求項30】
複数のスライド及びカバーをロードするための装置であって、
スライド及びカバーのための複数のレセプタクルを有するトレーと、
トレーを受け入れるための受け入れ部と、
上記受け入れ部内に位置決めされた各レセプタクルのためのマウント部と、
各マウント部のためのクランプとを含んでいて、
スライド及びカバーを有するトレーが上記受け入れ部内にロードされたときに、各クランプが、上記カバーを上記スライド上に保持して上記スライドを位置決めし、かつ、上記トレーが上記スライドから落ちて、各スライドが上記マウント部によって担持されるようになっている装置。
【請求項31】
流体排出手段が設けられている、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
上記流体排出手段がウィッキング手段を含んでいる、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
複数のステップを含んでいる、スライドの上のサンプルの上で反応を起こさせる方法であって、
少なくとも1つのスライドを有する第1のホルダを反応装置内にロードする過程と、
上記スライドを走査して、上記スライド上で起こる反応における上記複数のステップを決定する過程と、
他のホルダが上記反応装置内にロードされているかどうかを決定する過程と、
上記第1のホルダに関連する上記少なくとも1つのスライドで要求される上記複数のステップを起こさせる過程と、
第2のホルダが検出されたときに、上記第1のホルダ内の上記少なくとも1つのスライドに関連する反応における上記ステップを継続し、この後、上記第2のホルダに関連するスライドに関連する上記少なくとも1つのステップを起こさせる過程とを含む方法。
【請求項34】
上記第2のホルダに関連する上記少なくとも1つのスライドの反応の上記第1のステップが、上記第1のホルダに関連する上記少なくとも1つのスライドの反応の最後のステップが終了する前に開始される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
スライド上で反応を行わせるための装置であって、
スライド及び関連するカバーを担持するとともに位置決めするようになっている複数のレセプタクルを有するトレーと、
上記トレーの各レセプタクルと関連するマウント部を有する、上記トレーのための受け入れポートと、
上記カバー及びスライドを所定の位置にクランプするためのクランプ機構と、
上記カバーと上記スライドとの間に形成された反応室から流体を排出するための流体排出手段と、
少なくとも1つの流体が該装置に配置されるのを可能にするための流体レセプタクルと、
流体を上記スライドの上に分配するための流体分配手段とを含んでいて、
上記トレーがロードされてから、上記スライド及びカバーがクランプされるとともに上記トレーが移動させられ、
これにより、上記スライド及びカバーが上記マウント部上に担持され、流体が、上記分配手段によって上記スライド上に分配されることができ、かつ上記流体排出手段によって排出されるようになっている装置。
【請求項36】
該装置が、上記スライドに対して上記カバーを位置決めするとともに移動させるための位置決め手段を含んでいる、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
トレー内の各レセプタクルに関連する位置決め手段が存在する、請求項35に記載の装置。
【請求項38】
1つの特定のトレーと関連する全ての位置決め手段がすべて同時に移動して、上記スライドに関連する上記カバーを移動させ、トレー上の全てのスライドの流体の分配又は排出を促進するようになっている、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
試薬をサンプルスライドに供給するための装置であって、
上記スライドを受け入れるための複数のポートと、
上記スライドの各々についての識別情報を読み取るための読取器と、
上記スライド上に堆積されるべき試薬を運ぶ試薬コンテナを受け入れるための試薬ラックとを含んでいて、
上記スライドが、上記の関連するポートに受け入れられたトレーに供給され、各トレーが個別のバッチのスライドに相当し、該装置の動作時におけるバッチ処理に対して、個別のトレーの追加及び除去を可能にするようになっている装置。
【請求項40】
サンプルスライドの上に試薬をのせるための装置であって、
複数の試薬コンテナを保持するための試薬ラックと、
上記コンテナから上記スライドに試薬を輸送するための流体導管と、
上記流体導管用いて、異なるコンテナからの試薬を組み合わせて混合させる混合ステーションとを含んでいる装置。
【請求項41】
複数の試薬コンテナからの試薬を混合してサンプルスライドに供給する方法であって、
各コンテナからの試薬を、流体導管を用いて混合ステーションに輸送する過程と、
組み合わせられた試薬を流体導管内に引き戻すとともに、該試薬を上記混合ステーションに再びのせることにより上記混合ステーションで上記試薬を混合し、サンプルへの供給に先立って、上記試薬の攪拌混合を生じさせる過程とを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−117976(P2011−117976A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48799(P2011−48799)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【分割の表示】特願2009−12244(P2009−12244)の分割
【原出願日】平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願人】(504466373)ビジョン・バイオシステムズ・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】VISION BIOSYSTEMS LIMITED
【Fターム(参考)】