説明

流体洗濯洗剤組成物

付着助剤ポリマー及び多価の水溶性ビルダー及び/又はキレート剤を含むコンパクト流体洗濯組成物は、外部構造材系を使用することで安定化させることができる。このようなコンパクト流体洗濯組成物は、投与単位形態にパッケージ化することができる。これらのコンパクト流体洗濯組成物は、理想的には洗濯基材を処理するのに好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相が安定しており、注ぎやすく、構造化されたコンパクト流体洗濯組成物に関し、この洗濯組成物は良好な洗浄性能、染み除去性能及び柔軟化性能をもたらすことができる。本発明は、このような構造化されたコンパクト流体洗濯組成物により布地を処理するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
液体やジェルのような流体洗濯製品は、固形状の洗剤よりも、多くの消費者に好まれる。また、多くの消費者は、その洗濯洗剤製品の性能を犠牲にしないことを望みつつ、資源を保護し無駄をなくそうと努める。更に、ある国においては、大きいごみのパッケージ(例えば、プラスチック容器など)の処理には、ごみ分類などの面倒なリサイクル工程が必要であり、消費者にとっては費用がかかるものである。
【0003】
濃縮された洗濯製品、すなわちいわゆるコンパクト洗濯製品に高い関心が寄せられているが、流体洗濯洗剤のコンパクト化は技術的な課題である。コンパクトレベルが高いと、染み除去及び柔軟化性能に必要とされる濃度の付着助剤ポリマーは相分離する恐れがある。同様に理想的には、洗剤組成物のコンパクト化は、良好な洗浄のために必要とされる、多価の水溶性ビルダー及びキレート剤の濃度を増加させることを意味する。しかしながら、高濃度のビルダー及びキレート剤が溶解性に劣る付着助剤ポリマーを塩析するのを防止するのは非常に難しい。付着助剤ポリマーを安定化させるための1つのアプローチは、高濃度の界面活性剤に固有の構造化特性と、非アミノ官能性溶媒の使用とによるものである。しかしながら、このアプローチは、界面活性剤を浪費し、コストを増加させ、ひいては処方の柔軟性を制限する恐れがある。更なる問題は、付着助剤ポリマーの濃度が増加するにつれ組成物の粘度が増加し、注ぐのが困難になることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、組成物を安定化させるために過剰な界面活性剤又は溶媒を必要とすることなく、並びに処方の柔軟性を制限することのない、付着助剤ポリマーを含む安定な濃縮流体洗濯洗剤すなわちコンパクト流体洗濯洗剤が、依然として必要とされている。理想的には、このような濃縮流体洗濯洗剤すなわちコンパクト流体洗濯洗剤は、消費者に適した注ぎ特性を備えている、使いやすい様式で提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、アニオン性界面活性剤と、付着助剤ポリマーと、外部構造化と、流体洗濯洗剤組成物の0.6重量%〜10重量%の多価の水溶性有機ビルダー及び/又はキレート剤と、1重量%〜45重量%の水と、を含む、流体洗濯洗剤組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、高濃度の多価の水溶性ビルダー及び/又はキレート剤の存在下で通常なら相分離を誘導し得る濃度の付着助剤ポリマーを含有しているコンパクト流体洗濯洗剤を安定化させることに関する、技術的な問題を解決する。外部構造化系により、このような組成物をボトルから分注する間の糸引きが軽減される追加の利益は、同様に全く予想外のものである。
【0007】
用語の定義
本明細書で使用するとき、「流体洗濯洗剤組成物」とは、家庭用洗濯機で、布地(例えば衣類)を濡らしかつ洗浄することが可能な流体を含む、任意の洗濯処理組成物を意味する。組成物は、固体又は気体を好適に細分された形態で含むことができるが、組成物全体は、全体として非流動性の例えば、錠剤又は顆粒物の製品形態を除外する。コンパクト流体洗剤組成物には、任意の固形の添加物は除外されるが、存在する場合、任意の泡は含まれ、好ましくは1立方センチメートルあたり、0.9グラム〜1.3グラム、更に具体的には、1.00グラム〜1.10グラムの範囲の密度を有する。
【0008】
本明細書で使用するとき、用語「外部構造化系」は、組成物の洗浄性界面活性剤の何らかの構造化効果から独立して、すなわち洗浄性界面活性剤以外により、流体洗濯洗剤組成物を安定化させるのに十分な降伏応力又は低せん断粘度のいずれかをもたらす、選択された化合物又は化合物の混合物を指す。「内部構造化」により、必要な降伏応力又は低せん断粘度を提供するために、洗濯成分の主要な部類を形成する洗剤界面活性剤に依存することを意味する。
【0009】
本明細書で用いられる全ての百分率、比率、及び割合は、特に指定しない限り、組成物の重量百分率による。全ての平均値は、特に明確に指示がない限り、組成物又はその構成成分の「重量により」計算される。
【0010】
本発明の流体洗濯洗剤組成物は、アニオン性界面活性剤と、付着助剤ポリマーと、外部構造化系と、多価の水溶性有機ビルダー及び/又はキレート剤と、水と、を含む。好ましくは、これらはまた、石鹸ではないアニオン性界面活性剤を含み、特にアルキル(ポリアルコキシ)硫酸塩;その他の界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤;非アミノ官能性有機溶媒及び次のものからなる群から選択される洗濯助剤:酵素、酵素安定化剤、光学的増白剤、クレイ及びカプセル化した高反応性材料(sensitive materials)などの粒子材料、ヒドロトロープ、香料及びその他の臭気抑制剤、汚れ懸濁ポリマー及び/又は汚れ剥離ポリマー、泥懸濁剤、シリコーン、pH調整剤、移染防止剤、保存剤、非織物直接染料及びこれらの混合物が含まれる。
【0011】
アニオン性界面活性剤:
本発明の流体洗濯洗剤組成物は、1種以上のアニオン性界面活性剤を含む。W.M.Linfield編「Surfactant Science Series」,Vol.7(Marcel Dekker)に開示されるものなどの、洗剤組成物の技術分野において既知の各アニオン性界面活性剤を本質的に使用することができる。しかしながら、本発明の組成物は、好ましくは少なくともスルホン酸界面活性剤(線状アルキルベンゼンスルホン酸など)を含むが、水溶性の塩形態も使用することができる。アニオン性界面活性剤は、典型的には布地処理組成物の1.0重量%〜70重量%、好ましくは5.0重量%〜50重量%、及びより好ましくは10重量%〜30重量%の濃度で存在する。
【0012】
本明細書に用いるのに好適なアニオン性スルホン酸塩又はスルホン酸界面活性剤としては、酸及び塩形態の、線状又は分岐鎖のC5〜C20、より好ましくはC10〜C16、より好ましくはC11〜C13アルキルベンゼンスルホン酸塩、C5〜C20アルキルエステルスルホン酸塩、C6〜C22一級又は二級アルカンスルホン酸塩、C5〜C20スルホン化ポリカルボン酸、及びこれらの任意の混合物が挙げられるが、好ましくはC11〜C13アルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。上記界面活性剤は、2−フェニル異性体含有率が幅広く異なり得る。
【0013】
本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性硫酸塩としては、9〜22個の炭素原子を有する又はより好ましくは12〜18個の炭素原子を有する線状又は分岐鎖アルキル又はアルケニル部分を有する、第一級及び二級アルキル硫酸塩が挙げられる。
【0014】
(界面活性剤又は混合物の)重量平均分岐度が少なくとも50%である、β−分岐型アルキル硫酸塩界面活性剤、又は市販の物質の混合物も同様に有用である。
【0015】
中鎖分岐アルキル硫酸塩又はスルホン酸塩もまた、本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤である。好ましいものはC5〜C22の、好ましくはC10〜C20の中鎖分岐アルキル一級硫酸塩である。混合物を使用する場合、アルキル部分の炭素原子の好適な平均合計数は、好ましくは14.5超〜17.5の範囲内である。好ましいモノ−メチル−分岐型一級アルキル硫酸塩は、3−メチル〜13−メチルペンタデカノール硫酸塩、対応するヘキサデカノール硫酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。ジメチル誘導体、又は軽度に分岐を有する他の生分解性のアルキル硫酸塩も同様に使用することができる。
【0016】
本明細書で使用するための他の好適なアニオン性界面活性剤としては、脂肪族メチルエステルスルホン酸塩及び/又はアルキルエトキシ(alkyl ethyoxy)硫酸塩(AES)及び/又はアルキルポリアルコキシル化カルボン酸塩(AEC)が挙げられる。アニオン性界面活性剤の混合物を使用することもできる(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩とAESとの混合物)。
【0017】
アニオン性界面活性剤は、典型的にはアルカノールアミン又はアルカリ金属(ナトリウム及びカリウムなど)との塩形態で存在する。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルカノールアミン(モノエタノールアミン又はトリエタノールアミンなど)で中和化され、液相中に完全に可溶性である。
【0018】
付着助剤ポリマー:
好ましくは、流体洗濯洗剤組成物は、0.1%〜7%の、より好ましくは0.2%〜3%の付着助剤ポリマーを含む。本明細書で使用するとき、「付着助剤ポリマー」は、洗濯時の、布地ケア有益剤の布地への付着を有意に増加させる、任意のカチオン性ポリマー又はカチオン性ポリマーの混合物を指す。好適な付着助剤ポリマーは、カチオン性多糖及び/又はコポリマーを含むことができる。本明細書で使用するとき、「布地ケア有益剤」は、布地ケア効果をもたらすことのできる、任意の物質を指す。布地ケア効果の非限定例としては、布地の柔軟化、色保護、色復元、毛玉/毛羽立ちの軽減、抗摩擦、抗しわが挙げられるが、これらに限定されない。布地ケア有益剤の非限定例としては、シリコーン誘導体、油性糖誘導体、分散性ポリオレフィン、ポリマーラテックス、カチオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0019】
有効な付着助剤は、好ましくはファンデルワールス力のような物理的力又は水素結合及び/若しくはイオン結合のような非共有性の化学結合によって、非水溶性の布地ケア有益剤と強力に結合する能力を有する。それは、好ましくは、天然の紡織繊維、特に綿繊維に対して非常に強い親和力を有する。
【0020】
付着補助剤は水溶性であり、非水溶性の布地ケア有益剤の粒子表面を被覆するか、又は数個の粒子を結束させることができるように柔軟な分子構造を有する必要がある。したがって、付着補助剤は架橋されないことが好ましく、網目構造を有さないことが好ましいが、それはこれらはどちらも分子の柔軟性を欠く傾向があるからである。
【0021】
布地ケア有益剤を布地上に推進させるためには、付着補助剤の正味電荷は布地と布地ケア有益剤との間の反発に打ち勝つために好ましくは正である。これは大抵の布地が水性の環境中で僅かに負電荷を有する紡織繊維を含むためである。水中で僅かに負の電荷を示す繊維の例としては、限定するものではないが、綿、レーヨン、絹、羊毛などが挙げられる。
【0022】
好ましくは、付着助剤はカチオン性又は両性ポリマーである。本発明の両性ポリマーは、好ましくはカチオン性の正味電荷を有する。すなわち、これらのポリマー上にあるカチオン性の電荷の合計は、好ましくはアニオン性の電荷の合計を上回る。ポリマーのカチオン性の電荷密度は、0.05ミリ当量/g〜6ミリ当量/gの範囲にある。電荷密度は、繰り返し単位当りの正味電荷数を繰り返し単位の分子量で除算して計算される。一実施形態では、電荷密度は0.1ミリ当量/g〜3ミリ当量/gの間で変化する。正電荷は、ポリマーの主鎖又はポリマーの側鎖上に存在することができる。
【0023】
本発明の付着助剤ポリマーの好ましい例としては、以下のものが挙げられる:
I.カチオン性多糖
カチオン性多糖としては、限定するものではないが、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性グアーガム誘導体、キトサン及び誘導体、並びにカチオン性デンプンが挙げられる。カチオン性多糖は、50,000〜2,000,000、好ましくは100,000〜1,000,000の分子量を有する。最も好ましくは、カチオン性セルロースは約200,000〜約800,000の分子量を有し、カチオン性グアーは約500,000〜1,500,000の分子量を有する。
【0024】
好適なカチオン性多糖の一群はカチオン性セルロース誘導体であり、好ましくはカチオン性セルロースエーテルである。これらのカチオン性の物質は、以下の一般構造式Iに従う、置換型の無水グルコース繰り返し単位を有する
【化1】

構造式I
式中、R、R、Rはそれぞれ独立して、H、CH、C8〜24アルキル(線状又は分岐鎖)、
【化2】

又はこれらの組み合わせであり;nは1〜10であり;RxはH、CH、C8〜24アルキル(線状又は分岐鎖)、
【化3】

又はこれらの組み合わせであり、Zは水溶性アニオンであり、好ましくは塩素イオン及び/又は臭素イオンであり;RはH、CH、CHCH、又はこれらの組み合わせであり;RはCH、CHCH、フェニル基、C8〜24アルキル基(線状又は分岐鎖)、又はこれらの組み合わせであり;並びに
及びRは、それぞれ独立してCH、CHCH、フェニル又はこれらの混合物であり、
はH、
【化4】

又はこれらの混合物であり、Pは、
【化5】

などのカチオン性モノマーのラジカル重合によって形成される付加ポリマーの繰り返し単位であり、Z’は、水溶性アニオンであり、好ましくは、塩素イオン、臭素イオン又はこれらの混合物であり、qは約1〜約10である。
【0025】
ポリマーの無水グルコース環上のアルキル置換の範囲は、高分子系物質のグルコース単位1個当り約0.01%〜5%、より好ましくはグルコース単位1個当り約0.05%〜2%である。
【0026】
構造式Iのカチオン性セルロースエーテルには、同様に、市販のものが包含され、市販物質を従来の化学修飾によって調製できる物質が更に包含される。構造式I型の市販のセルロースエーテルとしては、JR 30M、JR 400、JR 125、LR 400及びLK 400ポリマー(これら全ては、Amerchol Corporation(Edgewater NJ)から市販されている)、並びにCelquat H200及びCelquat L−200(National Starch and Chemical Company(Bridgewater,NJ)から入手可能)が挙げられる。
【0027】
本発明において有用なカチオン性デンプンは、Modified Starches,Properties and Uses(D.B.Solarek,CRC Press(1986))に記載されている。カチオン性デンプンは、National Starch and Chemical Companyから商品名Catoで市販されている。
【0028】
本発明に好適なカチオン性グアー誘導体は、次のように例示される:
【化6】

式中、Gはガラクトマンナン主鎖であり、RはCH、CHCH、フェニル基、C8〜24アルキル基(線状又は分岐鎖)、又はこれらの混合物であり、R及びRは、それぞれ独立して、CH、CHCH、フェニル、又はこれらの混合物であり、Zは好適なアニオンである。好適なグアー誘導体はグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドである。カチオン性グアーガムの例は、Rhodia(Cranburry NJ)から入手可能なJaguar C13及びJaguar Excelである。
【0029】
II.カチオン性合成ポリマー
一般にカチオン性ポリマー及びその製造方法は、文献において知られている。例えば、カチオン性ポリマーの詳細な説明は、Journal of Macromolecular Science−Chemistry,A4(6),pp 1327〜1417,October,1970に記載の、M.Fred Hooverによる記事に見出すことができる。他の好適なカチオン性ポリマーは、紙の製造で歩留まり向上剤として使用されるものである。これらのポリマーは、James Casey編「Pulp and Paper,Chemistry and Chemical Technology Volume III」(1981)に記載されている。これらのポリマーの分子量は2,000〜5,000,000の範囲内である。
【0030】
本発明で使用される合成カチオン性ポリマーは、Hooverの記事及びCaseyの本、本開示及び実施例に照らし合わせて読まれる際により良く理解されるであろう。合成ポリマーとしては、限定するものではないが、次の一般化学構造式を有するポリマーが挙げられる:
【化7】

式中、R、R、及びZは本明細書において以下に定義される。好ましくは線状ポリマー単位は、線状重合するモノマーから形成される。線状重合モノマーは、本明細書において、標準的な重合条件下で線状ポリマー鎖を生じるモノマー、あるいは線状に重合を伝播するモノマーとして定義される。特定の実施形態では、本発明に使用される線状重合するモノマーは以下の式を有する:
【化8】

【0031】
但し、当業者であれば、多くの有用な線状モノマー単位、とりわけ、ビニルアミン単位、ビニルアルコール単位が、線状重合モノマーを介さずに、間接的に導入されることは理解されるであろう。例えば、主鎖に一旦導入された酢酸ビニルモノマーが、加水分解されてビニルアルコール単位を形成する。線状ポリマー単位は直接的に(すなわち、線状重合単位を介して)組み込まれても、又は間接的に(すなわち、上記のビニルアルコールの場合は前駆体を介して)組み込まれてもよい。
【0032】
各Rはそれぞれ独立して、水素、C〜Cアルキル、置換又は非置換フェニル、置換又は非置換ベンジル、炭素環式、複素環式、及びこれらの混合物である。Rは、好ましくは、水素、C〜Cアルキル、フェニル、及びこれらの混合物であり、より好ましくは水素及びメチルである。
【0033】
各Rはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、置換又は非置換フェニル、置換又は非置換ベンジル、炭素環式、複素環式、及びこれらの混合物である。好ましいRは、水素、C〜Cアルキル、及びこれらの混合物である。
【0034】
Zはそれぞれ独立して、水素;ヒドロキシル;ハロゲン;−(CHR、式中、Rは水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトリロ、−OR、−O(CHN(R、−O(CH(R、−C(O)O(CHN(R、−C(O)O(CH(R、−OCO(CHN(R、−OCO(CH(R、−C(O)NH−(CHN(R、−C(O)NH(CH(R、−(CHN(R、−(CH(R、四級アンモニウムイオンを含む非芳香族性の窒素複素環、N−オキシド部分を含む非芳香族性の窒素複素環、1つ以上の又は窒素原子が四級化されている窒素含有芳香族複素環、少なくとも1つの窒素がN−オキシドである窒素含有芳香族複素環;−NHCHO(ホルムアミド)、又はこれらの混合物;ここで各々のRは独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、及びこれらの混合物;Xは水溶性陰イオンであり;添え字nは1〜6であり;炭素環式、複素環式、又はこれらの混合物;−(CHCOR’、式中、R’は−OR、−O(CHN(R、−O(CH(R、−NR(CHN(R、−NR(CH(R、−(CHN(R、−(CH(R、又はこれらの混合物であり、式中、R、X、及びnは上記で規定したものと同様である。好ましいZは、−O(CH(Rであり、添え字nは2〜4である。添え字mは0〜6であり、好ましくは0〜2、より好ましくは0である。
【0035】
複素環式Z単位を含む別の重合モノマーの非限定的な例としては、1−ビニル−2−ピロリジノン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、4−ビニル−1−シクロヘキセン1,2−エポキシド、及び2−ビニルピリジンが挙げられる。
【0036】
好ましいポリマー及びコポリマーは、カチオン電荷を有するZ単位か、又はカチオン電荷をその場で形成する単位を生じるZ単位を含む。コポリマーが、例えば、Z、Z、...Z単位の1を超えるZ単位を含む場合、コポリマーを含むモノマーの少なくとも1%はカチオン単位を含む。カチオン電荷をその場で形成するように作製可能なZ単位の非限定的な例としては、−NHCHO単位、ホルムアミドが挙げられる。配合者は、一部が次工程で加水分解されてビニルアミン等価物を形成するホルムアミド単位を含むポリマー又はコポリマーを調製できる。
【0037】
本発明で使用されるポリマー又はコポリマーは、環状重合モノマーから誘導された1つ以上の環状ポリマー単位を含有してもよい。環状重合モノマーは、本明細書において、標準的な重合条件下で環状ポリマー残基を生じ、並びに線状に重合を拡大するように働くモノマーとして定義される。本発明での使用に好ましい環状重合モノマーは、次の式を有する。
【化9】

式中、各Rはそれぞれ独立して、重合を拡大可能で、更に隣接するR単位と環状残基を形成可能なオレフィン含有単位であり、RはC〜C12の線状又は分岐鎖アルキル、ベンジル、置換ベンジル、及びこれらの混合物であり、Xは水溶性アニオンである。
【0038】
単位の非限定的な例としては、アリル及びアルキル置換アリル単位が挙げられる。形成される環状残基は、四級窒素原子を含む六員環であることが好ましい。
【0039】
は好ましくはC〜Cアルキルであり、好ましくはメチルである。
【0040】
環状重合モノマーの例は、次の式を有するジメチルジアリルアンモニウムである。
【化10】

この化合物は、次の式を有する単位を含むポリマー又はコポリマーを生じる。
【化11】

式中、好ましくは添え字zは10〜50,000である。
【0041】
非限定例としてはコポリマーが挙げられ、このコポリマーは以下のモノマーを含む:
a)以下のものからなる群から選択される、カチオン性モノマー:N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、これらの四級化誘導体、ビニルアミン及びその誘導体、アリルアミン及びその誘導体、ビニルイミダゾール、四級化ビニルイミダゾール及びジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、並びにこれらの混合物;
b)以下のものからなる群から選択される、第二モノマー:アクリルアミド(AM)、N,N−ジアルキルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、C1〜C12アルキルアクリレート、C1〜C12ヒドロキシアルキルアクリレート、C1〜C12ヒドロキシエーテルアルキルアクリレート、C1〜C12アルキルメタクリレート、C1〜C12ヒドロキシアルキルメタクリレート、ビニルアセテート、ビニルアルコール、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルアルキルエーテル、ビニルブチレート、及びこれらの誘導体並びに混合物。
【0042】
好適なカチオン性モノマーとしては、N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAM)、[2−(メタクリロイルアミノ)エチル]トリ−メチルアンモニウムクロリド(QDMAM)、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPA)、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、四級化ビニルイミダゾール、及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0043】
好ましい第二モノマーとしては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、C1〜C4アルキルアクリレート、C1〜C4ヒドロキシアルキルアクリレート、ビニルホルムアミド、ビニルアセテート、及びビニルアルコールが挙げられる。最も好適な非イオン性モノマーは、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート及びその誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドプロピルメタンスルホン酸(AMPS)及びこれらの塩である。
【0044】
ポリマーは場合により架橋されてもよい。架橋モノマーとしては、エチレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ブタジエンが挙げられるが、それらに限定されない。最も好ましいポリマーは、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アクリルアミド−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アクリルアミド−コ−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(アクリルアミド−コ−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート−コ−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルアクリレート−コ−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルアクリレート−コ−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)である。
【0045】
付着助剤ポリマーを処方可能にし、組成物中で安定にさせるためには、好ましくは、モノマーはポリマーに組み込まれてコポリマーを形成しており、これは大きく異なった反応性比を有するモノマーを使用する場合に特に当てはまる。市販のコポリマーとは異なり、本明細書の付着助剤ポリマーの遊離モノマー含量は、モノマーの10重量%未満、好ましくは5重量%未満である。
【0046】
付着助剤ポリマーは、ランダム型、ブロック型又はグラフト型であり得る。それらは線状又は分岐状であることができる。このような付着助剤ポリマーは、1〜60モルパーセントの、好ましくは1〜40モルパーセントのカチオン性モノマー繰り返し単位と、98〜40モルパーセントの、60〜95モルパーセントの非イオン性モノマー繰り返し単位と、を含む。
【0047】
付着助剤ポリマーは、好ましくは乾燥ポリマー1gあたり0.1〜6.0ミリ当量(meq/g)の、好ましくは0.1〜3meq/gの電荷密度を有する。これはポリマー自体の電荷密度を指し、原料モノマーのものとは異なることが多い。例えば、モノマー仕込み比(monomer feed ratio)が70:30であるアクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリドのコポリマーに関しては、仕込みモノマーの電荷密度は約3.05meq/gである。しかし、ジアリルジメチルアンモニウムの50%だけが重合した場合、ポリマーの電荷密度は約1.6meq/gだけである。ポリマーの電荷密度は、透析膜によるポリマーの透析又はNMRによって測定される。アミンモノマーを用いたポリマーでは、電荷密度はキャリアのpHに依存する。これらのポリマーについて、電荷密度はpH7で測定される。
【0048】
RI(示差屈折率)検出器を用いたサイズ排除クロマトグラフィーによってポリエチレンオキシド標準に対して測定した場合で、ポリマーの重量平均分子量は一般的に10,000〜5,000,000であり、好ましくは100,000〜2,00,000、更に好ましくは200,000〜1,500,000である。移動相は、0.4モルのMEA、0.1モルのNaNO、3%の酢酸の20%メタノール溶液であり、Waters Linear Ultrahdyrogelカラムを2本直列接続して用いる。カラムと検出器は40℃に保持した。流量設定は、0.5mL/分である。
【0049】
他の有用な付着助剤ポリマーとしては、ポリエチレンイミン及びその誘導体が挙げられる。これらのポリマーは、例えばBASF AG(Ludwigschaefen,Germany)から商品名Lupasolで市販される。他の好適な助剤としては、ポリアルキレンポリアミンとポリカルボン酸との縮合生成物である、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン(PAE)樹脂が挙げられる。最も一般的なPAE樹脂は、エピクロロヒドリンと後続反応する、ジエチレントリアミンとアジピン酸との縮合生成物である。これらはHercules Inc.(Wilmington DE)から商品名Kymeneとして、又はBASF A.G.から商品名Luresinとして市販されている。これらのポリマーは、Wet Strength resins、及びL.Chan,TAPPAI Press(1994)によって編集された説明書に記載されている。
【0050】
外部構造化系:
本発明の組成物は、好ましくは0.05重量%〜2重量%の、好ましくは0.1重量%〜1重量%の外部構造化系を含む。外部構造化系は、好ましくは次のi及び/又はiiからなる群から選択される:
i.非高分子系結晶質のヒドロキシ官能性構造材;
ii.高分子系構造材。
【0051】
先述のように、このような外部構造化系は、組成物の洗浄性界面活性剤の任意の構造化効果とは独立して、すなわちこのような効果以外により、流体洗濯洗剤組成物を安定化させるのに十分な降伏応力又は低せん断粘度を付与するものである。好ましくは、外部構造化系は、流体洗濯洗剤組成物に21℃、20sec−1にて1〜1500cpsの高せん断粘度及び5000cpsを超える低せん断粘度(21℃、0.05sec−1にて)を付与する。粘度は、直径40mm及びギャップサイズ500μmで、平板の鋼製スピンドルを用いるTA instruments製のAR 550レオメータを使用して測定される。20秒−1での高せん断粘度及び0.5−1での低せん断粘度は、21℃で3分間の0.1−1〜25−1の対数せん断速度掃引で得られる。
【0052】
好ましい外部構造材としては、次のものが挙げられる:
I.非高分子系結晶質でヒドロキシ官能性構造材
好ましい実施形態では、組成物は、非高分子系結晶質でヒドロキシ官能性の構造材を含む。このような非高分子系結晶質でヒドロキシル官能性の構造材は、結晶化可能なグリセリドを一般に含んでもよく、最終的な流体洗濯洗剤組成物への分散を補助するために、このグリセリドを予め乳化することもできる。前乳化された外部構造化系の非限定例には次のものが含まれる:(a)結晶化可能なグリセリド;(b)アニオン性界面活性剤;及び(c)水、並びに場合により非アミノ官能性有機溶媒。これらの構成成分のそれぞれについては、以下に詳細に論じる。
【0053】
a.結晶化可能なグリセリド
本発明のいくつかの実施形態では、高分子系結晶質でヒドロキシ官能性の構造材には、結晶化可能なグリセリド、好ましくは水添ヒマシ油すなわち「HCO」が含まれる。本明細書で使用するとき、最も一般的なHCOとしては、非高分子系結晶質でヒドロキシ官能性の構造材のプレミックスを結晶化させることができるものであるという条件で、任意の水添ヒマシ油又はこれらの誘導体であってよい。ヒマシ油としては、ヒドロキシ基を組み込むC10〜C22アルキル又はアルケニル部分を含む、グリセリド、特にトリグリセリドが挙げられる。HCOを生成するために、ヒマシ油を水素化して、開始油中でリシノレイル部分として存在し得る二重結合を転化する。その結果、リシノレイル部分は飽和ヒドロキシアルキル部分、例えば、ヒドロキシステアリルへと転化される。本明細書のHCOは、いくつかの実施形態では:トリヒドロキシステアリン;ジヒドロキシステアリン;及びこれらの混合物から選択されてもよい。HCOは、任意の好適な開始形態で加工することができ、開始形態としては、限定するものではないが固形、溶解物及びこれらの混合物から選択されたものが挙げられる。HCOは、外部構造化系中に典型的には2重量%〜10重量%、3重量%〜8重量%、又は4重量%〜6重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、最終的な洗濯洗剤製品に供給される水添ヒマシ油に相当する百分率は、1.0%未満、典型的には0.1%〜0.8%である。
【0054】
有用なHCOは以下の特性を有し得る:40℃〜100℃、又は65℃〜95℃の融点;及び/又は0〜5、0〜4又は0〜2.6の範囲のヨウ素価。HCOの融点は、ASTM D3418又はISO 11357のいずれかを用いて測定できる;いずれの試験にも、DSC(示差走査熱量測定)を用いる。
【0055】
本発明で使用されるHCOとしては、市販のものが挙げられる。本発明で使用される市販のHCOの非限定例としては:THIXCIN(登録商標)(Rheox,Inc.)が挙げられる。有用なHCOの更なる例は、米国特許第5,340,390号に見出すことができる。
【0056】
水添ヒマシ油の使用が好ましいものの、任意の結晶化可能なグリセリドを本発明の範囲内で使用できる。好ましい結晶化可能なグリセリドは、40℃〜100℃の融点を有する。
【0057】
b.アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤は、本発明に使用される、非高分子系結晶質で、ヒドロキシ官能性の構造材系に存在してよく、並びに、系の合計内の任意の好適な重量パーセントで存在し得る。理論に束縛されるものではないが、アニオン性界面活性剤は、HCO溶解物、及び他の結晶化可能なグリセリドの乳化剤として作用すると考えられる。非高分子系結晶質で、ヒドロキシ官能性の構造材には、任意の好適なアニオン性界面活性剤が使用される。本明細書で使用する好適なアニオン性界面活性剤の非限定例としては:線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキル硫酸塩(AS)、アルキルエトキシスルホン酸塩(AES)、ラウレス硫酸塩及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、アニオン性界面活性剤は、外部構造化系の5重量%〜50重量%の濃度で外部構造化系中に存在し得る。但し、構造材系の25重量%超のアニオン性界面活性剤を使用する場合、典型的には、水に加えて非アミノ官能性有機溶媒を用いて界面活性剤を薄める必要がある。
【0058】
アニオン性界面活性剤は、典型的にはアルカノールアミン又はアルカリ金属(ナトリウム及びカリウムなど)との塩形態で存在する。好ましくは、アニオン性乳化剤は、アルカノールアミン(モノエタノールアミン又はトリエタノールアミンなど)で中和し、外部構造化系の液相中に完全に可溶性である。
【0059】
c.水及び場合により非アミノ官能性有機溶媒
非高分子系結晶質のヒドロキシ官能性構造材は、一般的に5重量%〜90重量%、好ましくは10重量%〜80重量%、より好ましくは30重量%〜70重量%の濃度で水を含む。しかしながら、典型的には、C、H及びOから本質的になる(すなわちシリコーン不含でかつヘテロ原子不含である)有機的に非アミノ官能性有機溶媒は、粘度を制御又は低減させるための溶媒として、特に加工時に、非高分子系結晶質で、ヒドロキシ官能性の構造材中に存在してもよい。
【0060】
II.高分子系構造材
本発明の流体洗濯洗剤組成物は、天然由来の及び/又は合成の高分子系構造材を含み得る。
【0061】
本発明で使用する、天然由来の高分子系構造材の例としては:微小繊維状セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体及びこれらの混合物が挙げられる。微小繊維状セルロースの非限定例は、国際公開第2009/101545(A1)号に記載されている。好適な多糖誘導体としては:ペクチン、アルギン酸塩、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム及びこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
本発明で使用する合成高分子系構造材の例としては:ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシル化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0063】
好ましくは、ポリカルボキシレートポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はこれらの混合物である。別の好ましい実施形態では、ポリアクリレートは、不飽和モノ−又はジ−炭酸と、(メタ)アクリル酸の1〜30Cアルキルエステルとのコポリマーである。そのようなコポリマーは、Noveon Incから商品名Carbopol Aqua 30で入手可能である。
【0064】
多価水溶性有機ビルダー及び/又はキレート剤:
本発明の流体洗濯洗剤組成物は、0.6重量%〜10重量%、好ましくは2〜7重量%の多価水溶性有機ビルダー及び/又はキレート剤を含む。好ましくは、本発明の多価水溶性有機ビルダー及び/又はキレート剤は、次のものからなる群から選択される:MEAクエン酸塩、クエン酸、アミノアルキレンポリ(アルキレンホスホン酸塩)、アルカリ金属エタン1−ヒドロキシビスホスホン酸塩(disphosphonate)、及びニトリロトリメチレン、ホスホン酸塩、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(DDTMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシ−エチレン1,1ジホスホン酸(HEDP)、ヒドロキシエタンジメチレンホスホン酸、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩(HEDTA)、ニトリロ三酢酸塩(NTA)、メチルグリシン二酢酸塩(MGDA)、イミノ二コハク酸塩(IDS)、ヒドロキシエチルイミノ二コハク酸塩(HIDS)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸塩(HEIDA)、グリシン二酢酸塩(GLDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、カテコールスルホン酸塩(Tiron(商標)など)及びこれらの混合物。
【0065】
水:
本明細書のコンパクト流体洗濯洗剤組成物は、濃縮された、水性液体形態の又はゲル形態の洗濯洗剤組成物であり得る。本発明の流体洗濯洗剤組成物の含水量は、1重量%〜45重量%、好ましくは10重量%〜40重量%である。
【0066】
非アミノ官能性有機溶媒:
本発明の流体洗濯洗剤組成物は、1重量%〜15重量%の有機的に非アミノ官能性の有機溶媒を含み得る。本明細書で使用するとき、「非アミノ官能性有機溶媒」は、アミノ官能基を不含で、更には窒素も不含の任意の溶媒を指す。非アミノ官能性溶媒としては、例えば、C〜Cアルカノール、例えばメタノール、エタノール及び/若しくはプロパノール並びに/又は1−エトキシペンタノール;C〜Cジオール;C〜Cアルキレングリコール;C〜Cアルキレングリコールモノ低級アルキルエーテル;グリコールジアルキルエーテル;低分子量ポリエチレングリコール;グリセロールなどのC〜Cトリオール;及びこれらの混合物が挙げられる。より具体的には、非アミノ官能性溶媒は、周囲温度及び周囲圧力(すなわち21℃及び1気圧)にて液体であり、炭素、水素及び酸素を含む。
【0067】
有機的に非アミノ官能性の有機溶媒は、外部構造化系プレミックスの調製時に、あるいは最終的な流体洗濯洗剤組成物中に存在し得る。好ましい非アミノ官能性有機溶媒としては、一価アルコール、二価アルコール、多価アルコール、グリセロール、グリコール、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの混合物が挙げられる。溶媒混合物は非常に好ましく、特にエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、及び/又はジオール(例えば、1,2−プロパンジオール若しくは1,3−プロパンジオール)などの低級脂肪族アルコールの混合物;又はこれらとグリセロールとの混合物が好ましい。特に好適なアルコールとしては、C1〜C4アルコールが挙げられる。1,2−プロパンジオール若しくはエタノール、及びこれらの混合物、あるいはプロパンジオール及びこれらとジエチレングリコールとの混合物は好ましく、この場合、混合物はメタノール又はエタノールを不含である。したがって、本発明の流体洗濯洗剤組成物の実施形態としては、プロパンジオールは使用されるが、メタノール及びエタノールは使用されない実施形態が含まれ得る。
【0068】
洗濯助剤:
本発明の流体洗濯洗剤組成物は、次のものからなる群から選択された従来の洗濯洗剤成分を含んでもよい:追加の界面活性剤、酵素、酵素安定剤、光学的増白剤、粒子材料、ヒドロトロープ、香料及び他の臭気抑制剤、汚れ懸濁ポリマー及び/又は汚れ剥離ポリマー、泥懸濁剤、布地ケア有益剤、pH調整剤、移染防止剤、保存剤、非織物直接染料、及びこれらの混合物。使用することのできる一部の追加成分を、以下の通りに更に詳細に記載する。
【0069】
a.追加の界面活性剤
本発明の流体洗濯洗剤組成物は、好ましくは以下のものからなる群から選択された追加の界面活性剤を含有する:アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤及びこれらの混合物。
【0070】
カチオン性界面活性剤:本発明で使用するカチオン性界面活性剤は、水溶性、水分散性又は非水溶性であり得る。このようなカチオン性界面活性剤は、少なくとも1個の四級化窒素と、少なくとも1個の長鎖ヒドロカルビル基を有する。2個、3個又は更には4個の長鎖ヒドロカルビル基を含む化合物もまた含まれる。例としては、C12アルキルトリメチルアンモニウムクロリドなどのアルキルトリメチルアンモニウム塩、又はそれらのヒドロキシアルキル置換された類似体が挙げられる。当該技術分野において既知の組成物、例えば、1%以上のカチオン性界面活性剤(例えばC12アルキルトリメチルアンモニウムクロリドなど)も含んでもよい。このようなカチオン性界面活性剤は、カチオン性に帯電した有機部分である。理論に束縛されることを意図するものではないが、カチオン性界面活性剤は、組成物中のアニオン性界面活性剤とイオン対を形成する能力を有し、かつ付着助剤に干渉する。本発明の好ましい実施形態では、カチオン性に帯電した有機部分の、特にカチオン性界面活性剤の使用は回避される。
【0071】
非イオン性界面活性剤:好適な非イオン性界面活性剤としては、限定するものではないが、いわゆるピークの狭いアルキルエトキシレートを含むC12〜C18アルキルエトキシレート(「AE」)、及びC6〜C12アルキルフェノールアルコキシレート(特にエトキシレート及びエトキシ/プロポキシ混合物)、C6〜C12アルキルフェノールのブロック型アルキレンオキシド縮合体、C8〜C22アルカノールのアルキレンオキシド縮合体、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー(Pluronic−BASF Corp.)が挙げられ、並びに半極性の非イオン性物質(例えば、アミンオキシド及びホスフィンオキシド)を本発明の組成物に使用することができる。これらの種の界面活性剤の広範囲の開示が、米国特許第3,929,678号(Laughlinら、1975年12月30日発行)に見出される。
【0072】
米国特許第4,565,647号(Llenado)に開示されているようなアルキル多糖もまた本発明の組成物で有用な非イオン性界面活性剤である。
【0073】
アルキルポリグルコシド界面活性剤もまた好適である。
【0074】
いくつかの実施形態では、使用される非イオン性界面活性剤としては、式R1(OC2H4)nOHのものが挙げられ、式中、R1はC10〜C16のアルキル基又はC8〜C12のアルキルフェニル基であり、nは3〜約80である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、アルコール1モル当たり約5〜約20モルのエチレンオキシドと縮合されたC12〜C15アルコール縮合生成物であってもよく、例えば、アルコール1モル当たり約6.5モルのエチレンオキシドと縮合されたC12〜C13アルコールである。
【0075】
別の好適な非イオン性界面活性剤としては、次の式のポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。
【化12】

式中、RはC9〜17アルキル又はアルケニルであり、R1はメチル基であり、Zは還元糖又はそのアルコキシル化誘導体由来のグリシジルである。実施例としては、N−メチルN−1−デオキシグリシチルココアミド及びN−メチルN−1−デオキシグリシチルオレアミドが挙げられる。ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの製造プロセスは既知であり、米国特許第2,965,576号(Wilson)及び同第2,703,798号(Schwartz)に見出すことができる。
【0076】
両性及び/又は双性イオン性界面活性剤:
本発明の流体洗濯洗剤組成物で使用するのに好適な両性又は双性イオン性洗浄界面活性剤としては、ヘアケア又は他のパーソナルケアクレンジングでの使用が既知のものが挙げられる。好適な双性イオン性又は両性界面活性剤の非限定例は、米国特許第5,104,646号(Bolich Jr.ら)、及び第5,106,609号(Bolich Jr.ら)に記載されている。
【0077】
組成物に使用するのに好適な両性洗浄界面活性剤としては、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として幅広く記載される界面活性剤が挙げられ、この界面活性剤では、脂肪族ラジカルは線状又は分岐状であってよく、かつ脂肪族置換基のうちの1つは8〜18個の炭素原子を含有し、1つはアニオン性の基(例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基又はホスホン酸基)を含有する。本発明での使用に好適な両性洗浄界面活性剤としては、限定するものではないが:ココアンホアセテート、ココアンホジアセテート、ラウロアンホアセテート、ラウロアンホジアセテート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0078】
本組成物に用いるのに好適な双性イオンの洗浄性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記述される界面活性剤が挙げられ、脂肪族ラジカルは線状又は分岐状であることができ、脂肪族置換基の1つは、約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つはカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性の基を含有する。ベタインなどの双性イオン性界面活性剤は本発明に好適である。
【0079】
更に、以下の式を有するアミンオキシド界面活性剤も本発明の組成物に有用である:R(EO)(PO)(BO)N(O)(CHR’)2・qHO(I)。Rは、飽和又は不飽和の、線状又は分岐鎖であることができる比較的長鎖のヒドロカルビル部分であり、8〜20個、好ましくは10〜16個の炭素原子を含有することができ、より好ましくはC12〜C16一級アルキルである。R’は短鎖部分であり、好ましくは水素、メチル及び−CHOHから選択される。x+y+zが0と異なる場合、EOはエチレンオキシ、POはプロピレンオキシ、BOはブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤は、C12〜14アルキルジメチルアミンオキシドにより例示されるものである。
【0080】
本組成物に用いるのに好適な他のアニオン性、双性イオン性、両性、又は任意の追加の界面活性剤の非限定的な例は、McCutcheon’s,Emulsifiers and Detergents(1989年刊,M.C.Publishing Co.出版)、並びに米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、同第2,528,378号に記載されている。
【0081】
b.酵素
本発明の流体洗濯洗剤組成物は、クリーニング性能及び/又は布地ケア効果を提供する1種以上の洗浄性酵素を含み得る。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ(malanases)、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及び既知のアミラーゼ、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい酵素の組み合わせは、アミラーゼと共に、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼのような従来の洗浄性酵素のカクテルを含むものである。洗浄性酵素は、米国特許第6,579,839号でより詳細に記載されている。
【0082】
c.酵素安定剤
酵素は、カルシウム及び/又はマグネシウム化合物、ホウ素化合物及び置換されたホウ酸、芳香族ホウ酸エステル、ペプチド及びペプチド誘導体、ポリオール、低分子量カルボン酸塩、比較的疎水性の有機化合物[例えば、特定のエステル、ジアルキルグリコールエーテル、アルコール、又はアルコールアルコキシレート]、カルシウムイオン源に加えてアルキルエーテルカルボン酸塩、ベンズアミジン次亜塩素酸塩、低脂肪族アルコール及びカルボン酸、N,N−ビス(カルボキシメチル)セリン塩;(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルコポリマー及びPEG;リグニン化合物、ポリアミドオリゴマー、グリコール酸又はその塩;ポリヘキサメチレンビグアニド又はN,N−ビス−3−アミノ−プロピル−ドデシルアミン又は塩;及びこれらの混合物のようなあらゆる既知の安定剤系を使用して安定化できる。
【0083】
d.光学的増白剤
紡織製品用の蛍光増白剤としても既知の増白剤は、本発明の流体洗濯洗剤組成物に有用な洗濯助剤である。好適な使用濃度は、流体洗濯洗剤組成物の0.001重量%〜1重量%である。増白剤は、例えば、欧州特許第686691(B)号に開示され、疎水性の種類のものと、並びに親水性の種類のものとが挙げられる。増白剤49(Brightener 49)は本明細書に用いるのに好ましい。
【0084】
e.色相染料
色相染料、シェーディング染料若しくは布地シェーディング又は色相剤は、流体洗濯洗剤組成物に有用な洗濯助剤である。洗濯におけるこれらの物質の歴史は古く、使用の起源は長年を遡る「洗濯用青味剤」である。より最近の開発物としては、亜鉛又はアルミニウム中心原子を持つスルホン化フタロシアニン染料の使用が挙げられる。更により最近では、非常に多様なその他の青色及び/又はバイオレット染料が、それらの持つ色相又はシェーディング効果のために使用されている。例えば、国際公開第2009/087524(A1)号、国際公開第2009/087034(A1)号及びこれらの公開に含まれる参照文献を参照されたい。本明細書の流体洗濯洗剤組成物は、典型的には、0.00003重量%〜0.1重量%、0.00008重量%〜0.05重量%、又は更には0.0001重量%〜0.04重量%の布地色相剤を含む。
【0085】
f.粒子材料
流体洗濯洗剤組成物は、クレイ、泥懸濁剤、カプセル化された高反応性成分(sensitive ingredients)、例えば、カプセル形態の香料、漂白剤及び酵素;又は審美的な補助成分、例えば、真珠光沢剤、顔料粒子、マイカ又は同様物などの、粒子材料を含有し得る。好適な使用濃度は、流体洗濯洗剤組成物の0.0001重量%〜5重量%、又は0.1重量%〜1重量%である。
【0086】
g.香料及び臭気抑制剤
一実施形態では、流体洗濯洗剤組成物は香料を含む。存在する場合、香料は、典型的には、本組成物中に、0.001〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜3重量%の濃度で組み込まれる。
【0087】
一実施形態では、本発明の流体洗濯洗剤組成物の香料は、250℃以上の沸点と、3.0以上のClogPとを有する1種以上の持続性香料成分を、より好ましくは香料の少なくとも25重量%の濃度で含む。好適な香料、香料成分、及び香料キャリアは、米国特許第5,500,138号、及び米国特許出願公開第20020035053(A1)号に記載されている。
【0088】
別の実施形態では、香料は、香料マイクロカプセル及び/又は香料ナノカプセルを含む。好適な香料マイクロカプセル及び香料ナノカプセルには、以下の文献に記載されているものが挙げられる:米国特許出願公開第2003215417(A1)号、同第2003216488(A1)号、同第2003158344(A1)号、同第2003165692(A1)号、同第2004071742(A1)号、同第2004071746(A1)号、同第2004072719(A1)号、同第2004072720(A1)号、欧州特許第1393706(A1)号、米国特許出願公開第2003203829(A1)号、同第2003195133(A1)号、同第2004087477(A1)号、同第20040106536(A1)号、米国特許第6645479号、同第6200949号、同第4882220号、同第4917920号、同第4514461号、米国再発行特許第32713号、米国特許第4234627号。
【0089】
更に別の実施形態では、流体洗濯洗剤組成物は、米国特許第5942217号「臭気抑制用の未複合シクロデキストリン組成物(Uncomplexed cyclodextrin compositions for odor control)」(1999年8月24日登録)に記載されているもののような臭気抑制剤を含む。臭気抑制剤に好適な他の剤としては、以下に記載されているものが挙げられる。米国特許第5968404号、同第5955093号、同第6106738号、同第5942217号、及び同第6033679号。
【0090】
h.ヒドロトロープ
流体洗濯洗剤組成物は、場合により有効量の、すなわち0%〜15%、又は1%〜10%、又は3%〜6%のヒドロトロープを含み、その結果、流体洗濯洗剤組成物は水に相溶性である。本明細書で使用するのに好適なヒドロトロープとしては、米国特許第3,915,903号に開示されているような、アニオン型のヒドロトロープ、特にキシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸カリウム、及びキシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム及びトルエンスルホン酸アンモニウム、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸カリウム及びクメンスルホン酸アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0091】
i.洗浄ポリマー
本明細書の洗剤組成物は、表面及び布地の多種多様な汚れを洗浄し、並びに/あるいは汚れを懸濁する、洗浄ポリマーを場合により含有してもよい。任意の好適な洗浄ポリマーを使用することができる。有用な洗浄ポリマーは、係属する米国特許出願公開第2009/0124528(A1)号に記載されている。有用な洗浄ポリマーの非限定例としては:両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー;粘土汚れ洗浄ポリマー;汚れ剥離ポリマー;及び汚れ懸濁ポリマーが挙げられる。
【0092】
単位用量洗剤製品:
本発明のいくつかの実施形態では、流体洗濯洗剤組成物を、ポリビニルアルコールなどの水溶性フィルム材料で取り囲み、単位用量のパウチを形成する。いくつかの実施形態では、単位用量のパウチには1区画又は多区画パウチを含み、本発明の液体洗濯洗剤組成物を任意の他の従来の粉末又は液体洗剤組成物と組み合わせて使用することができる。好適なパウチ及び水溶性フィルム材料の例は、米国特許第6,881,713号、同第6,815,410号並びに同第7,125,828号に提供されている。
【0093】
パウチ材料として使用するのに好適な、好ましいポリマー、コポリマー又はこれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを包含する多糖、キサンタン及びカラゴム(carragum)などの天然ゴムから選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0094】
本発明の流体洗濯洗剤組成物による布地処理法並びに同組成物の使用法:
本発明の流体洗濯洗剤組成物と基材を接触させることにより、基材を処理する方法を、本発明に組み込む。本明細書で使用するとき、「流体洗濯洗剤組成物」は、手洗い用、機械洗浄用及び他の手段用の、布地処理組成物及び液体洗濯洗剤組成物を包含し、布地ケア用添加剤組成物と、染みの付いた布地を浸漬及び/又は前処理するために使用するのに好適な組成物とを含む。
【0095】
液体布地ケア製品(例えば、布地柔軟化製品)として使用する場合、組成物を用い、500ppm〜5.000ppmの布地処理組成物を含有する水性の布地処理槽を形成することができる。洗濯洗剤製品として使用する場合、組成物を用い、5.000ppm〜20.000ppmの流体洗濯洗剤組成物を含有する水性の洗浄溶液を形成することができる。
【0096】
流体洗濯洗剤組成物の相安定性の評価方法:
300mLの組成物を、21℃にて最大で21日間にわたってガラス製のジャーに配置することにより、流体洗濯洗剤組成物の相安定性を評価した。上記期間内で、(i)2つ以上の層へと分離しない場合、あるいは(ii)複数の層に分離するが、組成物の少なくとも90重量%、好ましくは95重量%を含む主要層が存在する場合、組成物は相分離に対し安定である。
【実施例】
【0097】
実施例1〜3は、本発明の非限定的な例示的実施形態である。別途明記しない場合、百分率は重量によるものである。実施例4は、本明細書に開示される試験方法に定義されるようには相が安定していない比較組成物である。
【表1】

−NHあたり20個のエトキシレート基で置換された、重量平均分子量600g/モルのポリエチレンイミン
PAM−MAPTACコポリマー:88モル%のポリアクリルアミドと12モル%のMAPTACとのランダムコポリマー
【0098】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体洗濯洗剤組成物であって、
a)アニオン性界面活性剤と、
b)付着助剤ポリマーと、
c)外部構造化系と、
d)前記流体洗濯洗剤組成物の0.6重量%〜10重量%の多価水溶性有機ビルダー及び/又はキレート剤と、
e)1重量%〜45重量%の水と、を含む、流体洗濯洗剤組成物。
【請求項2】
前記付着助剤ポリマーを、0.1重量%〜7重量%、好ましくは0.2重量%〜3重量%含む、請求項1に記載の流体洗濯洗剤組成物。
【請求項3】
前記付着助剤ポリマーがカチオン性多糖及び/又はコポリマーを含み、
前記コポリマーが、
a.N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、これらの四級化誘導体、ビニルアミン及びその誘導体、アリルアミン及びその誘導体、ビニルイミダゾール、四級化ビニルイミダゾール及びジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、カチオン性モノマー、
b.アクリルアミド(AM)、N,N−ジアルキルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、C1〜C12アルキルアクリレート、C1〜C12ヒドロキシアルキルアクリレート、C1〜C12ヒドロキシエーテルアルキルアクリレート、C1〜C12アルキルメタクリレート、C1〜C12ヒドロキシアルキルメタクリレート、ビニルアセテート、ビニルアルコール、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルアルキルエーテル、ビニルブチレート、及びこれらの誘導体並びに混合物からなる群から選択される、第2モノマー、を含む、請求項1又は2に記載の流体洗濯洗剤組成物。
【請求項4】
前記外部構造化系を、0.05重量%〜2重量%、好ましくは0.1重量%〜1重量%含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体洗濯洗剤組成物。
【請求項5】
前記外部構造化系が、非高分子系結晶質でヒドロキシ官能性の構造材、及び/又はポリマー性構造材からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体洗濯洗剤組成物。
【請求項6】
前記高分子系結晶質でヒドロキシ官能性の構造材が、結晶化可能なグリセリド、好ましくは水添ヒマシ油を含む、請求項5に記載の流体洗濯洗剤組成物。
【請求項7】
前記ポリマー性構造材が、微小繊維状セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシ化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の流体洗濯洗剤組成物。
【請求項8】
前記多価水溶性有機ビルダー及び/又はキレート剤を2〜7重量%含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の流体洗濯洗剤組成物。
【請求項9】
前記多価水溶性有機ビルダー及び/又はキレート剤が、MEAクエン酸塩、クエン酸、アミノアルキレンポリ(アルキレンホスホン酸塩)、アルカリ金属エタン1−ヒドロキシビスホスホン酸塩、及びニトリロトリメチレン、ホスホン酸塩、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(DDTMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシ−エチレン1,1ジホスホン酸(HEDP)、ヒドロキシエタンジメチレンホスホン酸、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩(HEDTA)、ニトリロ三酢酸塩(NTA)、メチルグリシン二酢酸塩(MGDA)、イミノ二コハク酸塩(IDS)、ヒドロキシエチルイミノ二コハク酸塩(HIDS)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸塩(HEIDA)、グリシン二酢酸塩(GLDA)、ジエチレントリアミン五酢酸塩(DTPA)、カテコールスルホン酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の流体洗濯洗剤組成物。
【請求項10】
更に非アミノ官能性有機溶媒を1重量%〜15重量%含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の流体洗濯洗剤組成物。
【請求項11】
水を10〜40重量%含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の流体洗濯洗剤組成物。
【請求項12】
前記流体洗濯洗剤組成物が水溶性フィルムで取り囲まれる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の流体洗濯洗剤組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の流体洗濯洗剤組成物と基材を接触させることにより、基材を処理する方法。

【公表番号】特表2013−503948(P2013−503948A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528122(P2012−528122)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/048065
【国際公開番号】WO2011/031712
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】