流体流を制御するための調節可能の二方弁構造および限界圧力差を調節する方法
【課題】流体(液体およびガス)のための調整可能な、常閉の外在型スリット弁における流量制御装置および方法を提供する。
【解決手段】スリット102を有するダイヤフラム98が、このダイヤフラム98の両側における差圧によって、患者側の遠位端方向および装置側の近位端方向に撓む。1個またはそれ以上の調整部材82,74を、ダイヤフラム98の一方の側または両側に設け、スリット弁20を開放するに必要な差圧の量を選択的に調整するようにする。
【解決手段】スリット102を有するダイヤフラム98が、このダイヤフラム98の両側における差圧によって、患者側の遠位端方向および装置側の近位端方向に撓む。1個またはそれ以上の調整部材82,74を、ダイヤフラム98の一方の側または両側に設け、スリット弁20を開放するに必要な差圧の量を選択的に調整するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、カニューレ内の医薬液体及びガス流制御の精度の改善に関し、更に詳細には、圧力作動される限界値(thresholds)及びスリットを1方向又は両方向に開閉する程度を変化させる選択的に設定可能の制御器を含み、外在型スリット弁が中空のカテーテルチューブ又は針の如き、或いはガスの場合には通気チューブの如き液体搬送用カニューレと関連させられて成る医薬液体流の極めて精密な外在型の選択的スリット弁作動用構造及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療患者に入ったり出たりする流体流(液体及びガス流)に関係する従来の有用な医学的発明は幾つか知られている。それにもかかわらず、液体又はガス流が患者に入ったり出たりすることが許される時と程度を制御することは或る医療適用において長い間必要とされてきた。ガスと液体流の制御は患者の介護にとって重大である。患者へ入ったり出たりする液体流は心臓血管系内への静脈内液体の注入や血液サンプルの除去を含むが、これらに限定されない。また、ガス流は典型的には、肺内の空気袋を部分的膨張状態に保って、それ故連続的に開いたままに保つよう呼気の間に肺内のすべてのガスが排出しないようになすが、これには限定されない患者の呼吸系に関係するものである。ガスと液体流の制御は患者の介護にとって重大なことである。
【0003】
更に詳細には、患者に送入する液体流に関して、予定の液体を患者からのサンプル血液又は他の液体内に静脈内で注入することは長い間医療的に望ましいことと認められてきた。典型的にはカテーテルチューブ又はIV針の如きカニューレを含む注入投与セットを通して患者へIV溶液を送入する間に、IV溶液の供給が枯渇してくる時点を精密に予測することは困難である。流れがカテーテルチューブ又は針を通るIV供給を間もなく干上がらせることのないようにするため、IV投与セットを丁度よい時に不能化するために看護人の利用可能性を調整することは更に困難である。その結果、カニューレの遠位の先端は時々逆流(bleed-back)を起こし、凝固を起こす。また、IV溶液の容器が徐々に空になるにつれて、それに応じて液圧ヘッドが変化する。その結果、所望の良く調整された点滴速度は慣例通りには得られなくなる。
【0004】
更に詳細には、慣例のIV投与セットが患者に連結されたとき、持ち上げられた容器内の溶液にかかる重力の力が手動制御された点滴機構によって許される程度まで患者の心臓血管系内の血圧を超えるために、IV溶液の流れが起こるのである。IV溶液の供給が空になるまで徐々になされるにつれて、IV溶液からもたらされる圧力成分がなくなるまで、圧力差は変化する。
【0005】
IV溶液の有効性が望ましくない程に消失するか又は低下したとき、心臓血管圧力が優勢となり、情況に依存して変化する距離にわたりIVカテーテルチューブ内に血液を流入させる。時には、この血液流はIVフィルタに到達し、汚しそしてIV投与セットの一部をなすIVフィルタの交換を必要となす。何れの場合にも、カテーテル内の上記血液は短時間内に凝固する。その後の血液流内への凝塊の不注意な導入は危険であり、もし発見されなければ、患者を危機に陥れる。もし折よく発見されたならば、IV系の交換が要求される。
【0006】
また、患者が静脈穿刺部位をIV容器より上に上げた場合、カニューレの遠位端内への血液の逆流又は還流が時には起こる。この還流はIV投与セットのフィルタに到達するかも知れず、又は到達しないかも知れないが、何れの場合にもIV流を停止させ、この結果、カテーテルとフィルタの何れか内で又はこれら両方内で凝固を起こすことになる。このことは患者の精神的外傷、出費及び危険性を伴うため不利益である。凝塊をカテーテルチューブから血流内に押し込むことは患者にとって不良な行為、許容出来ない危険事であるが、これは不注意に因り時には起こるものである。
【0007】
カテーテルチューブ又はIV針の如き内在カニューレの遠位端内へ入る望ましくない血流を防止するために標準の外在型(患者の外にある)一方弁を使用することは既知である。この標準の一方弁がカテーテルチューブと試料採取部位間に置かれたときにはこの標準の一方弁は血液試料採取を不可能にするだろう。
【0008】
また、外在型二方スリット弁(共有する米国特許第5,205,834号に開示された如きもの)を使用することも提案されている。大きな医学的価値を有するかかる外在型二方スリット弁では、スリット弁を開くのに要する圧力要求量は実質上固定されており、即ち製造時に弁に組み込まれている。スリット弁を1流れ方向に開くのに必要な圧力要求量はそれを他の流れ方向に開くためのものとは異ならせることができる。
容易に調節することができない従来の外在型スリット弁は典型的には、結果として出来る弁が所望の限界で所定の方向に開くことを確実ならしめるため、比較的高度の製造精度を要求する。
【0009】
或る一定の医療適用分野では、米国特許第5,205,834号に開示した形式の外在型スリット弁にとって、該弁の特性を制御及び調節の目的で変えることができる状態にまで発明的手法によって拡張されることは望ましいことが見出された。例えば、機械的点滴制御器の代わりに可変の特性をもつ外在型スリット弁を使用すれば、もし発明的手法で行われるならば、IV投与セットに関する上記問題点を克服するか又は実質上解決することができる。
【0010】
ガスの流れについてみれば、患者のための適切な呼吸介護は同様に、挿管された患者の呼吸系に送入されそしてその呼吸系からから放出されるガスの種類と量を精密に制御することを必要とする。患者が或る形式の肺病に苦しめられているとき、患者は典型的には呼吸器又は通気器上に置かれる。時には、患者に純粋酸素の制御された量が周期的に送入される。同様に、ガス担持型(gas-born)医薬が時には制御又は計量された基準で肺内に導入される。肺内の空気袋(air sacks) の潰れを防止するために、過去においては、C−PAP弁が呼気を制限しそして肺からの完全なガス排出を防止するために使用された。
【0011】
患者の呼吸系に使用するためのC−PAP弁の如きガス流制御装置の信頼性と精度はしつこい問題を提供した。かかる従来技術のガス流制御装置のエラーや不調が患者の最良の利益に不利に働かないことを確実となすために、殆ど一定の又は規則的な断続的監視がしばしば医薬提供者によって要求された。
【0012】
精密な、信頼性がありかつ現存のC−PAP弁とは異なっている、例えば看護婦によって又は他の医療教育を受けた人による、実質上継続的モニタリングを必要としないガス流制御の必要性が長い間存在してきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
簡単に要約すれば、本発明は従来技術の問題点を克服するか又は実質上解決し、重大な医療目的のために外在型可変スリット弁の技術を可変特性の範囲に拡張するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
新規な外在型の、常閉の圧力応答性医療スリット弁組立体であって、流れ特性を選択的に変えることを可能となした組立体が、患者に入ったり出たりする一定の種類の液体とガスの流れを制御するために提供される。各スリット弁組立体は、スリット弁が1方向又は両方向に開閉する単数又は複数の圧力差限界値と、与えられる撓みの程度を選択的に設定しかつ変えるために容易に調節可能な制御器を含む。またこれに関連する方法も提供される。本発明の1実施例では、制御器はダイヤフラム撓み調節機構として特徴付けることができる。従って、本発明によれば、弁のスリットを所定方向に開くのに必要な圧力要求量は医療的に適切に迅速に変えることができる。従って、本発明は新規なスリット弁機構と、関連する方法を提供し、この場合各弁機構は1方向又は両方向におけるその流れ特性を選択的に、直ちにかつ便利に変えることができる制御器を含む。
【0015】
上記を考慮して、本発明の主目的は、医療患者に入り及び/又は患者から出る液体及び/又はガス流のための従来の医薬液体及びガス流制御器に係わる問題点を克服するか又は実質上解決することにある。
【0016】
重要な他の目的は、二方スリット弁と、関連する方法を提供することにあり、前記弁は流れ特性を選択的にかつ便利に変えることができる調節可能の制御器を含む。
【0017】
更に主要な目的は、流れ特性を選択的に変えることができる外在型二方スリット弁を提供することにある。
【0018】
相当価値のある目的は、可撓性ダイヤフラムの撓みの程度が選択的に調節可能の制御器によって選択的に制限されるようになした外在型スリット弁機構を提供することにある。
【0019】
最も有力な他の目的は、比較的単純なデザインを有しかつその流れ特性を変えるように調節可能とした外在型二方弁構造を提供することにある。
【0020】
重要な他の目的は、その流れ特性を変化させることができる常閉の外在型スリット弁を提供することにある。
【0021】
更に価値ある目的は、IV点滴を制御するためのIV投与セットに使用するための外在型スリット弁制御器を提供することにある。
【0022】
更に主要な目的はその流れ及び/又は非流れ特性を変えるための選択的に設定可能の制御器を含む常閉の外在型スリット弁機構を提供することにある。
【0023】
他の重要な目的は、スリットに隣接した内部ガス又は液体が、全体的に又は部分的に或いは両様式の何れかで、ほぼ軸方向にあるか又は逸らされて非軸方向にあるかの何れかとなした調節可能の外在型スリット弁を提供することにある。
【0024】
他の価値ある目的は、医療患者に関して呼吸ガス流を制御するのに使用できる外在型限界値調節可能のスリット弁を提供することにある。
【0025】
本発明の追加の主要な目的は、挿管された患者の肺からのガスの完全排出を防止するために、C−PAP弁の代わりに使用するための常閉のスリット弁を提供することにある。
【0026】
本発明のこれらの及び他の目的と特徴は添付図面を参照した以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、同様の部品を示すために同じ数字を使用している図を参照して説明すれば、図1、2、6には本発明原理に従った調節可能の、圧力応答式の外在型スリット弁と、制御機構又は組立体の1実施例が示されている。この実施例は特に医療患者の心臓血管系に使用するためのものである。図3、7は本発明原理による調節可能のスリット弁制御機構又は組立体の第2実施例を示す。この実施例は特に医療患者の呼吸系に使用するものである。図4、5は2つの追加の調節可能の弁の実施例を示す。これらの実施例はスリット弁制御機構又は組立体の圧力要求値の2方向調節を可能にする。図8乃至13は種々の制御設定と、スリットダイアフラムを横切る色々な圧力差の効果を示し、一方、図14、15は制御−逸らしされた内部流をもつ本発明の他の実施例を示す。
【0028】
弁組立体20は操作状態にある又は“使用中”の液体制御状態において、(IV投与セットの一部分として)図1に示されている、即ちここではスリット弁組立体20は一般的に24で示すカテーテルチューブの形のカニューレと、一般的に26で示すIVチューブとの間に操作可能に介挿されている。図1に示したIV投与セットの使用は実施例に過ぎず、本発明は、医療患者内の適切な内部場所に対して液体又は気体を選択的に入れたり出したりするための調節可能の外在型スリット弁制御を意図するものであることは理解されるべきである。
【0029】
図1に示されるカテーテルチューブ24は入手可能の任意の型式のものでよく図には遠位端部分28をもつものとして示されている。この遠位端部分は医療患者の心臓血管系内に即ち患者静脈32内に内在するよう配置された遠位ポート30を備える。カテーテルチューブ24は近位端部分34を備える。調節可能のスリット弁組立体20の一部内に圧力嵌合されるか又は別法としてその一部と液体連通する関係に適切に配置される。
【0030】
同様に、チューブ26は任意の所望型式のものとすることができ、そのチューブによって外在する医薬液体が選択的にスリット弁組立体20に流入可能となされる。チューブ26は遠位端部分36を備えるものとして図示されており、この遠位端部分は調節可能のスリット弁組立体20内に圧力嵌合されるか又は別法としてこの組立体の他のポートにおいてこの組立体と液体連通する関係に適切に配置される。図1は遠位端44を備えたIVチューブ26を示し、このチューブはIVボトル46に適切に連結された状態で示されている(片持ち式支持アームからブラケット48によって下げられた状態で示されている)。これらはすべて慣用のものである。従って、例えばボトル46中のIV溶液は、静水圧ヘッドによって印加される圧力に応答して、選択的にかつ制御方式で弁組立体20を通過して所望速度でカテーテルチューブ24を経て静脈32中へ流入する。
【0031】
図2、6及び8乃至10を参照して以下、調節可能のスリット弁制御組立体20を詳述する。調節可能のスリット弁制御組立体20は図示の如く、露出した外部ハウジング52と、調節又は制御部材74と、露出した取っ手82と、ガスケット又はシール81と、スリットダイヤフラム98と、雄型コネクタ素子88を一般的に備える。
【0032】
ハウジング52は任意の適切な材料から形成されるが、このハウジングは医学グレードの合成樹脂材料又はプラスチックから形成されているものとして図示されている。ハウジング52はほぼ均一な厚さをもつものとして図示されている比較的大きな環状又は円筒形壁54からなり、これは円筒形外面56と、隠れた内面58を含み、隠れた内面は内部空洞部68を画成する。好都合に、環状保持壁又は内向き径方向フランジ62が内面58を中断し、かつ第1の径方向面55と、第2の径方向面57と、環状のオリフィス画成用の縁面63を含み、前記縁面内に開口61が形成される(図8乃至10)。面63の直径は壁54のハウジング面58の内径より小さい。ねじ山60はハウジング内面58の一部に形成され、このねじ山は環状保持壁又はフランジの第2面57に直接隣接して形成されそして前記第2面から離れるよう延在する。ねじ山60及び環状保持壁又はフランジ62の目的と機能につき以下詳述する。
【0033】
ハウジング52の円筒形外面56は円筒形の液体流ポート画成用ボス64によって中断される。ボス64は中空でかつ一体に形成され、かつハウジング52の長手方向軸に対して実質上直角方向に向いているものとして示されている。ボス64はボス外面69と、ボス内面67によって画成された中空内部66を含み、この内部を通って液体が選択的に流れる。ボス外面69は外部環状コーナー65で中断し、そしてこのコーナーで外面56と併合する。同様に、ボス内面67は内部環状コーナー59でハウジング内面58と交差する。図示の如く、中空内部66はハウジング内部空洞部68と直接開放連通している。
【0034】
円筒形外面56は一端において、外部環状コーナー38でハウジング52の環状縁面44と交差する。外面56はその他端において、外部環状コーナー71で環状肩部70の径方向面41と併合する。同様にハウジング内面58は環状内部コーナー51において、肩部内面49と交差する。
【0035】
ハウジング52の縮小直径の又は段付きの円筒形延長部72は環状壁70から延在し、かつ内面73と外面45を含み、中空で、円筒形として図示されており、ハウジング52と一体に形成されている。内面73は中空の円筒形内部39を画成し、そしてハウジング内面58の直径より実質上小さい直径を含むとして図示されれいる。図示の如く、内面73は環状コーナー47において、内面49と交差する。同様に、外面45は環状外部コーナー43において、肩部外面41と交差する。壁71は平坦な縁40で終端し、この縁は環状内部コーナー39において内面73と交差し、環状外部コーナー42において外面45と交差する。ハウジング壁延長部72はハウジング52と整列している又は同軸であるとして図示されている。
【0036】
スリットダイアフラム98を開くのに必要な圧力差要求量を調節するために、調節部材又は可変制御器74がハウジング52内に調節可能に配置される。調節部材74は、ねじ山付き端部84と、細長い部分80、ねじ山79をもつ拡大したねじ山付き部分78と、接触又は衝合延長部76をもつものとして図示されている。接触延長部76は円筒形内面85と、外面89と、径方向接触面77を備えた環状リングを含むものとして図示されている。接触面77は内面85に対して直角方向に向き、かつ環状コーナー93においてその内面と交差し、そして環状外部コーナー95において外面89と交差する。内面85は液体が選択的に通って流れる中空部分又はチャンバ75を画成する。図2に示す如く、中空部分75は接触延長部76の面77から実質的距離だけ延在して細長い部分80に入り、平らな面61で終端する。
【0037】
拡大した直径のねじ山付き部分78は接触延長部76に隣接して形成されたものとして図示されている。拡大部78は接触延長部76及び調節部材74の拡大部分80と一体に形成されたものとしてかつ前壁面101及び後壁面102をもつものとして図示されている。壁面101と102は接触延長部外面89に対して実質上直角をなすものとして図示されている。壁面101は環状外部コーナー103において接触延長面89と交差する。同様に、壁面102は環状外部コーナー105において拡大部分80の外面104と交差する。環状ねじ山79は壁101と102の間でねじ山付き部分78上に形成される。ねじ山付き部分78の直径とねじ山79の構成は図2に示す如く、ハウジングねじ山60と調節部材ねじ山79との適切なねじ山掛合が起こるようなものとする。
【0038】
図2に示す組み立てられた動作可能な状態において、調節部材ねじ山79はハウジング内面58上に形成されたねじ山60にねじ山掛合させられる。ねじ山79、60はかかる掛合をなすので、ハウジング52内の調節部材74の長手方向位置は手動で調節部材又は制御器74をハウジング52に関して回すことによって選択的に設定する又は変化させることができる。
【0039】
更に、調節部材74とハウジング延長部72間からの漏れを防止するためにOリングの形をなすガスケット81又はシールを面104と面73の間に配置する。ガスケット又はOリング81は面104と73間に圧縮嵌合される。
【0040】
調節部材74の細長い部分80は2つの対向する開口部87をもち、これらの開口部は中空内部75と空洞部68間の細長い部分80を横に貫通して延在する。各横開口部87は円筒形面106によって画成されて、チャンバ75と空洞部68間を流体連通させる。
【0041】
図示の如く、調節部材74はまた、取っ手又はノブ82を備え、その中に調節部材74のねじ山付き端部84が、ハウジング62内における調節部材74の位置の手動による再設定を可能ならしめるよう非回転状に固着されている。図示の取っ手82は内面38′と外面99を含む平坦な横端壁を含む。面99は、細長い部分80のねじ山付き端部84を非回転状に受け入れるようねじ山付き盲穴86を備えている。平坦な端壁38′は円筒形壁111と一体に併合して、カップ状部材を形成する。壁111は円筒形内面83と円筒形外面53を含み、図示の如く均一の厚さをもっている。円筒形内面83は環状コーナーで環状前面99と接合する。取っ手前面53と縁38は環状コーナー107で交差する。円筒形外面53は適切な掴み場所を提供し、この場所でユーザーは取っ手82を時計回り又は半時計回りに選択的に回すことができ、従って調節部材74を回すことができる。かかる手動調節はダイヤフラム98中のスリット102を図2で右方へ開く圧力を変えて、ダイヤフラム98と面55間のスペース量を、弁組立体20を分離又は分解する必要なしに、変化させる。面53は手で確実に掴めるよう刻み付けされるか又は別法で成形される。
【0042】
雄型コネクタ88は平面基部92をもち、この基部は径方向に配列され、外縁108をもつ。図示の流れポートを画成する環状穴90は平面基部92と一体に形成され、平面基部から環状コーナー94で軸方向外方に延在している。環状ボス90は外面105と流路画成内面109をもつ。この内面は中空内部91を包囲する。図2に示した組み立て配置では、コーナー縁108は封止されて、内面96で環状ハウジング52内に固着される。コネクタ88は結合剤、接着剤、圧力嵌着法又は任意の適当な手法で内面96内に固着することができる。
【0043】
図2に示す組み立て配置では、スリットダイヤフラム98はコネクタ88と環状保持壁62の間に介挿される。ダイヤフラムはフランジ62と隣接しているが、基部92からは面55で離間している。スリットダイヤフラム98はディスク形であり、好都合にシリコンゴムの如き適切なエラストマー材料から作られる。シリコンゴムはダイヤフラムの制御された中心撓みに容易に順応するという利点を与え、かつ良好なメモリー特性をもつ。ダイヤフラム98は無応力状態で図2に示されている。ダイヤフラム98は平らであり、均一厚さをもち、周縁100を含み、その無応力状態の直径は内面96の直径より僅かに小さい。
【0044】
ダイヤフラム98は更に、中心配置の常閉の横向きの直線スリット102を備える。スリット102はダイヤフラムを貫通して一様に延在するものとして図示されていて、組み立てられたとき、中空内部91、75と直接整列するよう弁組立体20の長手方向出入り路に沿って置かれる。スリット102の径方向長さは、例えばIV溶液をIV静水圧の下で患者内に導入するために、又は試料血液を負圧下で患者から除去するために、又は薬物を血液流内へ導入するために、撓んで開いたスリット102を通る選択的2方向の液体流を受け入れるため所望範囲の遠位と近位の撓みに順応するよう選択される。スリット102の長さ、ダイヤフラム98を形成するのに使用される材料、ダイヤフラムの厚さ、及び前述の各直径に加えて、中空内部75、91は、スリット102を遠位又は近位で撓ませて開かせる圧力差の範囲の決定について当業者に周知の手段によって設定されるよう個別にかつひとまとめにして変化させることができる。
【0045】
本発明の外在型流体制御装置は、使用時にカテーテル又は針の如きカニューレに付加するために自立型構造とするか、又は製造時にIVカニューレ系の1構成成分として構成することができる。
【0046】
作業を説明すれば、図8乃至10に示す如く、制御器74の回転によって一定の面77はスリットダイヤフラム98の近くへ動かされるにつれて、スリットダイヤフラムの撓みは接触面77の方向にますます制限されてくるようになる。例えば、図9では、圧力差P2 がスリットダイヤフラム98に作用するにつれて、スリットダイヤフラム98は左から右へ撓まされる。しかし、かかる撓みはスリットダイヤフラム98に掛合する調節部材74の接触面77によって制限される。従って、スリットダイヤフラム98の撓みがこのように制限されると、スリット102をスリットダイヤフラムが制限なしで撓まされるときよりも十分に開かせるようスリット弁を撓ませるために、より大きな大きさの圧力差P2 が要求される。かくして、接触面77が、例えば図10に示す如く、スリットダイヤフラム98の応力を受けない位置からさらに遠くへ動かされたとき、スリットダイヤフラム98が受ける制限はより小さくなり、それによってスリット102のリップを大きく広げて圧力差P2 を与えられたときより大きな距離離間することになる。これはスリット102を通して左から右へより大きな流量の通過を可能ならしめる。
【0047】
図9、10はスリットダイヤフラム98が圧力差P2 に起因して1方向に(右に向かって)開いていることを示すが、スリットダイヤフラム98は図8に示す如く圧力差P1 によって反対方向に開くこともできる。図9、10に示す如く(制御器74の選択的設定に基づいて)左から右へのスリットダイヤフラムの開きとは対照的に、調節部材又は制御器74から離れる方向にスリットダイヤフラム98を開くための圧力要求量はそれ自体調節可能ではない。というのは基部92の位置はダイヤフラム98に関して固定しているからである。
【0048】
スリット98が両方向に開いている時にダイヤフラム98を横切って行く液体流はダイヤフラム98の両側で一般的に軸方向である。しかし、チャンバ75と空洞部68間の流れは幾分径方向であるか又は横方向であり、空洞部68内へ入ったり出たりする流入液又は流出液はボス64内で径方向又は横方向である。
【0049】
図3、7はガス流を制御するために設計された本発明のもう1つの実施例、即ち調節可能のスリット弁制御機構110を示す。この機構もまた、弁機構110を開くために必要なガス圧力限界値(threshold) 又はガス圧力差の調節を可能ならしめる。調節可能のスリット弁制御機構110は図示の如く、中空円筒形のハウジング 112と、調節部材又は手動制御器134、スリットダイヤフラム128、リテーナ124、及びOリングシール又はガスケット138を含む。
【0050】
ハウジング112は図示の如く、円筒形壁113を含み、この円筒形壁は外面114と内面118をもつ。内面118は壁113と一体に形成された環状保持壁又はフランジ116によって中断される。環状保持壁又はフランジ116は径方向内向きに延在し、かつ径方向前面115、径方向後面117、縁内面119をもつ。前記内面119は開口又はオリフィス121を画成し、その直径は図示の如く、ハウジング内面118の直径より小さい。
【0051】
図示の如く、ハウジング壁113と一体に形成されているのは内ねじ山120である。ハウジングねじ山120は図示の如く環状面117に隣接した場所で始まり、図3に示す如く左から右へハウジング内面118に沿って比較的長い距離にわたって延在する。ハウジングねじ山120の目的と機能は以下に詳述する。
【0052】
ハウジング112は円筒形壁セグメント122を含み、これはフランジ116から右から左へ延びかつ壁延長部113を含む。壁セグメント122はハウジング112の残部と一体に形成されているものとして図示されている。延長部又は壁セグメント122は中空で、均一厚さをもち、内面126を含む。延長部122は径方向向きの平坦な縁127で終端する。
【0053】
図3に示す組み立て状態で、スリットダイヤフラム128はその周囲で内向きのフランジ116の面115と接触している。保持リング124はダイヤフラム128の対向側面と周囲で接触するよう環状ハウジング延長部122内に置かれる。これは保持リング124と保持フランジ116間でハウジング112内にスリットダイヤフラム128を定着する。保持リング124は内縁面125と外縁面123を含み、均一厚さをもつものとして図示されている。内面125の直径は面119の直径とほぼ同じであるとして図示されている。保持リング外面123の直径は環状ハウジング延長部内面126の直径とほぼ同じであるとして図示されている。保持リングは結合剤又は接着剤、プレス嵌め関係でプラスチック溶接、又は他の適切な手法によってハウジング延長部122内に定着することができる。
【0054】
スリットダイヤフラム128は保持壁116と保持器124間に分離しないよう圧縮介挿されるものとして図示されている。スリットダイヤフラム128はその中心に形成されたスリット129を含み、かつスリットダイヤフラム98に関連して上述した種類の特性と特徴をもつ。従ってスリットダイヤフラム128についてはこれ以上説明する必要はない。
【0055】
調節部材又は制御器134はハウジング112内にそれと同軸となるようねじ山結合により配置される。調節部材134は拡大ねじ山結合部分137と、細長い円筒形壁部分139と、接触延長部、ノーズ部分又は衝合壁141を含むものとして図示されている。接触延長部141は内向き、径方向向きの環状リングを含み、このリングは環状オリフィス形成内面130と、平面131と、周囲縁面131′と、ダイヤフラム接触面136を含む。接触面136は環状コーナー133で内面130に対して、環状コーナー135で正面131′に対して直角に向きかつ交差するものとして図示されている。内面130は液体が選択的に貫流する開口143を画成する。
【0056】
図2に明示する如く、開口又はオリフィス143は接触延長部141を軸方向に通って細長い部分の内部空洞部154内に延び入る。この空洞部は壁139の内面156によって画成される。内面156は壁139の平坦な環状縁158から環状コーナー160まで延在し、そこで内面156は内部の環状肩面162と交差する。図示の如く、径方向向きの環状肩面162はコーナー166で壁164′円筒形の内部延長面164と交差する。
【0057】
拡大直径のねじ山付き部分137は壁164′によって接触延長部141に隣接して連結されるものとして図示されている。ねじ山付き部分137は接触延長部141、壁164′及び調節部材134の細長い部分139と一体に形成されるものとして図示されている。ねじ山付き部分137は径方向向きの前壁面145と径方向向きの後壁面146を含む。壁面145、146は弁組立体110の長手方向軸線に実質上直角をなすものとして図示されている。壁面145は環状コーナー147で接触延長面131′と交差する。同様に、壁面146は環状コーナー148で細長い部分139の外面153と交差する。ねじ山132は壁145と146間で拡大直径のねじ山付き部分137上に形成されかつハウジング内面118と平行となるように向けられる。
【0058】
調節部材ねじ山132の直径、寸法、形状、場所及び向きは、図3に示す如く、ハウジングねじ山120と調節部材ねじ山132間に適切な、調節可能のねじ山掛合が生じるようなものとする。ねじ山132、120のかかる掛合においては、ハウジング112内の調節部材134の長手方向位置はハウジング112に対して時計回り又は反時計回りに調節部材134を手動で回すことによって選択的に変えることができる。拡大部分の外面153とハウジング内面118間の液体の空気圧漏れを防止するために、Oリング138がそれらの間に配置される。図3に示す如く、Oリング型式のガスケット138が外面153と面118間に圧縮嵌めされる。
【0059】
調節部材接触面136の主な機能はスリットダイヤフラム128と選択的に掛合することである。接触面136は接触面136の方向におけるスリットダイヤフラム128の撓みを選択的に制限する。ダイヤフラム128と面136間のスペースの調節(制御器134の回転による)はダイヤフラム128のスリット129を開くのに必要な空気圧要求量を調節する。これは図12、13に示されている。図12では、接触面136はスリットダイヤフラム128により近く、それ故、接触面136の方向のスリットダイヤフラム128の撓みはますます制限されてくる。
【0060】
例えば図12では、圧力差P2 がスリットダイヤフラム128に作用するにつれて、スリットダイヤフラム128は制限される方式で、圧力差方向に撓まされる。前述の如く、この撓みはダイヤフラム128の調節部材134の接触面136との急速な掛合によって制限される。従って、スリットダイヤフラムの撓みがこのように制限されると、撓みスリットダイヤフラム128が制限されないか又はより小さく制限されるときよりも大きい大きさの圧力差が、スリット129を開かせるためにスリットダイヤフラム128を十分に撓ませるために要求される。これと対照的に、図13に示す如く、調節部材134がスリットダイヤフラム128の応力を受けない閉鎖位置からより遠くへ動かされると、このスリットダイヤフラム128は、図12に示す如く制限されたときにスリットダイヤフラム128を開くのに必要な圧力差よりかなり小さい量の予定圧力差によって開くのに十分に、より実質的に撓まされることができる。
【0061】
図11に示す如く、スリットダイヤフラム128は、予定の限界値の反対向きの圧力差P1 に起因して、調節部材134から離れる方向に撓むことによってスリット129で開かれることもできる。制御器134の場所設定は、圧力差が図11に示す如く左に向かうときは、実質上重要でない。図11では調節部材134はダイヤフラム128の一側のみに配置されているので、スリットダイヤフラムを調節部材から離れる方向に開くための圧力差はそれ自体調節することはできない。
【0062】
弁を両方向に開くのに必要な圧力の大きさを制御するために、調節部材又は制御器はスリットダイヤフラムの各側に置くことができる。こうすれば、、スリットダイヤフラムを各方向に開くのに必要な圧力量を選択的に調節するために複式制御器を使用することができる。図4、5には、調節可能のスリット弁組立体が示されており、これらの組立体は二方向流を提供し、二方向の圧力要求量の調節をなすものとして示されている。明らか如く、図4、5の弁組立体の実施例の左側と右側は夫々、図2、3に夫々示しかつ上述した実施例のスリットダイヤフラムの対向する側に鏡像関係の構成を含む。実質的同一性に因って、図4、5に示す実施例の部品は図2、3に夫々示す対応する部品と同じ数字で示される。図4の実施例は二方向可変の制御液体流に対して設計されたものであるが、図5の実施例は二方向可変の制御ガス流に対して設計されたものである。
【0063】
図4に示すように、二方向圧力要求量調節弁制御組立体140は図では、一体に形成された2つの反対方向に延在するハウジング52を含む単一ハウジングを含み、2つの対向する調節部材74が各ハウジング52の各々内に1つづつ、反対方向に調節可能に配置されている。調節部材74間に介挿しているのはスリットダイヤフラム98であり、このダイヤフラムは2つの環状保持壁62間に定着されている。円筒形液体流ポートを画成するボス64のうちの1方はカテーテルチューブ24に連通可能に取り付けられているが、他方はIVチューブ26に取り付けられている(図1に示す如く)。図4の実施例の2つの半部と図2の上述の実施例間には構造的及び作用的同一性があるため、図4の実施例の構造についはこれ以上説明する必要がない。
【0064】
作用を説明すれば、二方向弁制御組立体140のスリットダイヤフラム98を開くのに必要な圧力要求量は例えば各方向でそれら要求量が異なるような任意の所望の手法で選択的に調節することができる。図4に示す如く左方向にスリットダイヤフラムを撓ませることによってスリットダイヤフラムを開かせるのに必要な圧力差を増すために、左側の調節部材74はスリットダイヤフラム98に更に接近するよう変位させられ、それによって左方向へのスリットダイヤフラムの撓みを制限する程度を増す。有利には、調節部材74はハウジング52に関して調節部材74を回すことによって、スリットダイヤフラム98に更に接近させられ、その結果調節部材74はハウジング112に対して長手方向にねじ進められるようになす。
【0065】
同様に、弁140のスリットダイヤフラム98を左方向に撓ませることによってこのスリットダイヤフラムを開くのに必要な圧力差要求量を減らすことが望まれるならば、左側の調節部材74がスリットダイヤフラム98から離れるよう動かされて、左方向のスリットダイヤフラム98の撓みの制限量を減少又は除去し、そのために、接触面77がスリットダイヤフラムの近くに配置されたときよりもより少ない圧力差によってスリットダイヤフラム98が左方向に撓んで開かれるようになす。前述の如く、右方向の撓みによってスリットダイヤフラムを開くのに必要な圧力要求量差を調節するために、同様の調節を弁制御組立体140の右側でなすことができる。
【0066】
従って、調節部材74の選択的調節によって、スリットダイヤフラム98に関して、左又は右方向の何れか又は両方向にスリット弁を開くのに必要な圧力差要求量は容易に調節することができる。更に、弁制御器140は、スリット弁を1方向に開くのに必要な圧力要求量がそれを他方向に開くのに必要な圧力要求量と異なるように調節することができる。例えばもし左方向の撓みによってスリットダイヤフラム98を開くための圧力要求量が右方向にスリットダイヤフラムを開くのに必要な圧力要求量より大きくなることが望まれるならば、左側の調節部材74は右側の調節部材74よりもスリットダイヤフラム98に近い位置に置かれる。このように構成されるので、スリットダイヤフラム98の左方向の撓みは右方向の撓みより大きく制限され、それ故調節部材内面85が同じ直径をもつと仮定すれば、左方向にスリット弁を開くためには右方向におけるよりは大きな圧力差が必要とされる。
【0067】
前述の如く、図5は本発明の更に他の空気圧式の実施例を示す。特に、図5は二方向の圧力要求量の調節可能な弁組立体を示す。前述の如く弁制御組立体142の左側は図3の調節可能の流量制御機構110の、スリットダイヤフラム128に関してとった鏡像関係の構成を含む。従って弁制御組立体142の左側と右側の特徴は前述の如く図3中の特徴と同じ数字で示している。図5の実施例と図3の実施例の2つの半部の各々の構造は同一性を有するため、図4の実施例の構造上の特徴についてのこれ以上説明する必要なない。
【0068】
図示の如く、弁制御組立体142はスリットダイヤフラム128の両側でハウジング112内に可動状に配置された2つの調節部材又は制御器134を含む。スリットダイヤフラム128はハウジング内面118上に一体に形成された2つの保持壁116間に円周上で定着されているものとして図示されている。弁制御器142からの漏れを防止するため、Oリングガスケット138が調節部材外面153とハウジング内面118間に設けられる。
【0069】
図4に示す実施例のものと同様な仕方で、弁制御組立体142は調節部材134を用いてスリットダイヤフラムに得られる撓みを選択的に変えることによって両方向にスリットダイヤフラム128を開くのに必要な圧力要求量の二方向調節を可能にする。一方の調節部材134の中空内部は通気チューブに液体流通可能に取り付けられるが、他方の調節部材134の中空内部は呼吸チューブに液体連通可能に取り付けられる。左方向に得られる撓みの程度を制御することによってスリットダイヤフラム128を開くのに要求される圧力差を増すために左側の調節部材134はスリットダイヤフラム128に更に接近させられる。調節部材はハウジング12に対して調節部材134をねじ回転させることによってスリットダイヤフラム128に更に接近させられ、その結果調節部材134はハウジング112を通して長手方向にねじ進められる。同じ手法で、スリットダイヤフラム128の撓みは右方向で制限される。右方向の撓みによってスリット弁128のスリット129を開くのに必要な圧力要求量を増すために右側の調節部材134はスリットダイヤフラム128に更に接近させられる。かくして、ダイヤフラムは右方向におけるその撓みを制限する部材134に一層急速に掛合し、従ってスリット弁を開くために、調節部材134がダイヤフラム128からより大きな距離離間している場合のものよりも大きい圧力差を右方向に必要とする。
【0070】
流量制御弁組立体142は左方向にスリット弁を開くための圧力要求量がスリットダイヤフラム128を右方向に開くのに必要な圧力要求量とは異なるように調節することができる。これは、左側と右側の調節部材をスリットダイヤフラム128から色々な距離の所に選択的に置くことによってなすことができる。
【0071】
本発明によって形成した弁構造又は組立体の調節を助けるために、マーキングが都合良く設けられて、種々の調節部材の相対的位置をハウジング内でかつ色々な実施例のスリットダイヤフラムに関して測定できるようにする。このことは、調節部材とスリットダイヤフラムの相対的位置が所定の方向にスリット弁を開くのに必要な圧力差を確定するという弁制御の特色のために有利である。これらの相対的位置を測定することによって、ユーザーはスリットダイヤフラムと調節部材の相対的位置を予定位置に調節することによって、所望の圧力差を選択的に選択することができる。
【0072】
かかるマーキング又はしるしは図6、7に示される。図6では、マーキング144はハウジング延長部72上に設けられ、ユーザーがハウジング延長部72に関して取っ手82の位置を測定できるようになす。同様に、図7ではマーキング150は調節部材134の外面上に設けられ、ユーザーがハウジング112に関して調節部材の位置を測定できるようになす。
【0073】
図2乃至13を調べれば、そこに示された本発明原理を含む実施例はスリット弁ダイヤフラムの各側に隣接してほぼ軸方向に向いた液体又はガス流を受け入れることは明らかである。図3、5の実施例の場合、ダイヤフラムの各側の流れはほぼ軸方向向きであって、逸らされていない。図2、4の実施例の場合、ダイヤフラムの一側に隣接した軸方向流は制御又は調節部材のチャンバ内にある。このチャンバ流は軸方向から、関連した弁ハウジング内で幾分横向きのかつ回り道の通路内に逸らされ、そして最後に、ポート66で径方向又は横向きの流れとなる。
【0074】
夫々170、172で一般的に示された2つの他のスリット弁/制御組立体を示す図14、15につき以下説明する。図14、15の実施例は特に液体流の可変制御用のものであるが、本発明の同じ基本原理はガス流の可変制御に適用される。これら2つの実施例の各々では、ダイヤフラムの制御側の流れはダイヤフラムに隣接してかつすべて弁組立体の内部中でそれを越えて回り道して多少とも径方向に逸らされる。換言すれば、ダイヤフラムに隣接した制御又は調節部材内に直接入る線形流は妨げられ、そして制御器はダイヤフラム中のスリットを制御方向に開くために圧力差限界値を変えるために役立つのみならず、流れ逸らせ部材としても役立つ。
【0075】
特に図14に示すように、組立体170は一般的に174で示す円筒形ハウジングを含む。管状ハウジング174は一般的に176で示す端部キャップをその一端に担持する。円筒形ハウジング174の他端は環状開口180を含み、この開口を通してダイヤフラム限界値制御/流れ逸らせ部材が組み立て中に中空円筒形ハウジング174の内部に挿入される。限界値制御/流れ逸らせ器182は手動ノブ184を備え、このノブによって前記制御/流れ逸らせ器182の位置を円筒形ハウジング174の中空内部の中で軸方向に変えることができる。
【0076】
ハウジング174は円筒形壁186を含む。この壁186は全体にわたって均一直径をもつものとして示された、円筒形又は環状の外面188を含む。壁186はまた、予定の直径寸法をもつ円滑な円筒形又は環状の内面190を含む。内面190は溝191によって中断され、そして環状開口180に隣接したねじ山192を含む。ねじ山192は径方向向きの面又は肩部196とコーナー194で併合する。肩部196はコーナー198で環状面180と併合する。環状面180は環状コーナー200で壁186の平坦な端縁202と併合する。
【0077】
外面188は径方向向きのボス204によって予定の場所で中断される。ボス204は円筒形壁を含み、この壁は平坦な縁206で終端し、内部円筒形面208で中空流路を画成し、かつ外部円筒面又は環状面210を含む。環状面210は環状内部コーナー212で面188と併合する。
【0078】
壁186の前端178は肩部214で段付けされて縮小した直径寸法にされている。肩部面214はコーナー216で円筒形面218と併合している。円筒形面218はコーナー220で壁186の平坦な径方向向きの端面222と併合する。縁面222は外側コーナー224で中空の内部円筒形面190と併合する。
【0079】
平らなダイヤフラム226はダイヤフラム226の周囲近くで平坦な端面222上に接触状に重ね合わされる。ダイヤフラム226はシリコンゴムの如き適当なエラストマー材料から形成されているものとして示されており、円形又はディスク形の外形をなしている。ダイヤフラム226は、偶発的に離脱しないよう圧縮保持されている周縁228と、対向した径方向向きの面230と232と、予定長さの中心スリット234を含む。スリット234はその閉鎖位置で、対向するリップを含み、これらのリップは互いに接触している。
【0080】
ダイヤフラム226は端部キャップ176によって面222と接触関係に圧縮定着されている。端部キャップ176は環状の径方向向きの壁240を含む。この壁は面214と同一平面となるよう寸法定めされかつ形作られている端縁面242を含む。環状壁240は壁214の径方向長さと実質上同じ厚さをもち、この厚さは壁240全体にわたって均一であるとして示されている。壁240は外部環状面241と内面を含み、この内面は面218に結合、接着、又はプラスチック溶接されている。壁240は径方向向きの環状壁244と併合しており、この環状壁は均一厚さをもちかつ対向する径方向向きの面246、248を含むものとして示されている。壁244は内側と外側のコーナー250と252で壁240と一体に併合するものとして示されている。
【0081】
径方向向きの環状壁244は径方向向きのボス254によって中断されている。ボス254はコーナー256、258で壁244と併合する円筒形壁を含む。円筒形壁254は内部円筒形面260と外部円筒形面262を含む均一厚さをもつものとして示されている。壁260はダイヤフラム226の一側に液体流路を画成する。壁254は平坦な端縁面264で終端する。
【0082】
ボス204、254は圧縮嵌合関係でチュービングを受け入れるよう寸法定めされかつ形作られ、液体は前記チュービングを通して図1に関して例解しかつ記載した仕方で選択的に流れる。
【0083】
図14を見れば分かるように、円筒形ハウジング174と端部キャップ176は当業者の技術を使用して適当な医学グレードの合成樹脂材料から別々に形成される。
【0084】
スリット234が予定の圧力差(正味圧力)に応答して開かれるようになされたときにのみ、流れがダイヤフラム226を横切って選択的に起こることは認められるべきである。この流れはボス204と254の中空の円筒形面208と260によって夫々画成された内部チャンバの間にある。
【0085】
前述の如く、制御/逸らせ器182はハウジング174から偶発的に離脱しないよう定着されるが、詳細に後述する仕方でかつ目的でハウジング174に関して軸方向に調節可能とする。制御/逸らせ器182はほぼ円筒形でありかつその外形が段付き形状をなしている。遠位の円筒形部分270は円筒形面272を含み、その直径寸法は実質上面190の直径より実質上小さいが、面260の直径より大きい。制御/逸らせ器182の遠位の円筒形端部270は内部が固体状でありかつ平坦な不透過性の径方向向きの遠位端面274を含むものとして示されている。面272、274は、なかんずく、面208、260によって画成されたボス通路間で段付きパターンに液体流を逸らせる働きをする。
【0086】
軸方向向きの円筒形面272は外向き、径方向向きの円筒形肩部278と環状の内側コーナー276で併合している。肩部278は環状外側コーナー280で拡大直径の固体状円筒形本体282と併合し、この円筒形本体は面284を含む。直径面284は面190の直径よりほんの僅か小さく、面190と284の間の軸方向変位と回転変位を可能にしている。面190と284間の小さいスペースは環状溝191内に配置された圧縮Oリング286によってそれを横切る液体流を防止するようシールされる。
【0087】
円筒形本体282の近位端は面284にねじ山288を含み、このねじ山はねじ山192にきちんと適合して噛み合うように寸法決めされ、形作られかつ配列されている。ねじ山付き部分288は環状外側コーナー290で径方向向きの肩部又は面292と併合し、この面292は内側コーナー294で円筒形セグメント296と併合する。円筒形セグメント296は固体状でありかつ外側円筒形面298を含むものとして示されている。面296は肩部面300で段付きにされており、面298と面300間の併合は環状内側コーナー302でなされる。
【0088】
肩部面300は外側環状コーナー306で環状ノブ面304と併合する。ノブ184の環状面304は外側環状コーナー310で平坦な遠位端面308と併合し、表面肌合い(texture) をもつことができ、かつ外側環状コーナー310で平坦な近位端面308と併合する。
【0089】
スリット弁/制御組立体170が使用のため図1に示す仕方で配置されると、ダイヤフラム226中のスリットが、精密に所望の正味圧力又は圧力差限界値で下向きに開くよう平坦な遠位面274がダイヤフラム226から所望の距離離間させられるまで、医療付添人が手で制御ノブを回す。医療付添人は、患者にとって望ましくかつ適切なようにスリット234を下向きに開く圧力差限界値を変えるために、何時でもノブ184を回すことによって平坦な面274とダイヤフラム226間の距離を変えることができる。
【0090】
図示していないが、2つの弁組立体170は対向する関係で使用することができ(図4、5の配置と同様に)、その結果、ダイヤフラム226を横切る両方向の流れのための圧力限界値は医療付添人によって選択的に、患者に適切なように変えることができる。ダイヤフラム226中のスリット234を開く圧力差限界値の変化はノブ184を適切に操作することによって手動で制御されるのであり、1つ又は複数の組立体を分離したり又は分解したりする必要はない。
【0091】
上述のダイヤフラム制御/流れ逸らせスリット弁組立体172を示す図15につき以下説明する。よく見れば、組立体172は前述のダイヤフラム226、端キャップ176、僅かに変形した円筒形ハウジングを含むことが認められる。図15の円筒形ハウジング174′は、ボス204がハウジング174′では除かれていて、円筒形壁186が径方向向きの液体流を提供しないことのみで図14のハウジング174とは異なっている。従って、ダイヤフラム226、円筒形ハウジング174′、及び端キャップ176の種々の部品と特徴部分は図15では図14のものと同様な数字を付されている。これらの構成部分は図14に関して上述したので、図15に関してこれ以上説明する必要なない。
【0092】
組立体172は図14に関して前述した制御/逸らせ器182を含むが、一般的に320で示す幾分異なったダイヤフラム制御/流れ逸らせ部材を含む。前記制御/逸らせ器320はほぼ円筒形であり、後述する仕方でかつ目的で、直径方向で段付きにされている。制御/逸らせ器320は遠位の減少直径のほぼ円筒形部分322を含む。部分322は遠位の平坦な流れ逸らせ端縁面324を含み、この端縁面はダイヤフラム226の向きにほぼ平行である。面324は円形であり、環状外側コーナー326で外側円筒形面328と併合する。ほぼ円筒形の部分322は平坦な径方向向きの内壁面330で終わる内部盲穴を画成する。面330は円形であり、面324と平行であるものとして図示されている。円形面320は内部円筒形面334と環状内側コーナー332で併合する。円筒形面334は軸方向向きでありかつ中空内部を画成し、この中空内部は液体用流路として役立つ。面324と334は円筒形壁336の外面と内面を含み、この円筒形壁は対向する開口部又はオリフィス338によって中断される。オリフィス338は同じ直径をもつものとして図示されており、かつ壁334によって画成された中空チャンバ340と、遠位チャンバ342間にほぼ径方向向きの流れを提供するよう方位付けされており、前記遠位チャンバは制御/逸らせ器320の遠位の円筒形部分322と、円筒形ハウジング174′と、ダイヤフラム226の面232の間に配置されている。
【0093】
制御/逸らせ器320の円筒形部分322は環状コーナー344で径方向向きの環状面346と併合する。肩部面346は、外側環状コーナー348で、主円筒形本体350と一体に併合する。主円筒形本体350は外側のほぼ円筒形の面352と、前述の内側の、チャンバ画成用の面334を含む。本体部分350は中空チャンバ340を除いては固体状であるとして図示されている。面352はその近位部分にねじ山354を含む。ねじ山付きの外側コーナー356は径方向向きの肩部面358と併合し、今度は、この肩部面が内側環状コーナー360で減少直径の円筒形面362と併合する。この円筒形面362は円筒形壁364の外側を含む。壁364の内面は前述の面334を含む。環状壁364は径方向向きの平坦な端縁面366で終端する。この端縁面は環状コーナー368で面362と、コーナー367で面334と併合する。
【0094】
組立体172は使用に際して、2つの流れチューブによって供給され、一方のチューブはボス254上に圧力嵌合又は圧縮定着され、他方のチューブは面362上に圧縮嵌合される。2つのチューブ間の流れはボス254の面260によって画成された通路に沿って、空洞部342を通してそしてチャンバ340に沿って生じる。ダイヤフラム226を横切って空洞部342に入ったり出たりする流れは面324に沿い、面328を横切り、開口部又はオリフィス338を通りそしてチャンバ342に沿って行く。
【0095】
ダイヤフラム226と面324間の間隔は、医療管理人によって望まれる如くスリット234を精密に開くのに必要な圧力差限界値応答を作るために、制御/逸らせ器320の手動回転によって調節することができる。制御/逸らせ器320の回転は面362上に圧力嵌合された液体連通チュービングの逆回転を含み、又は別法として、チュービングは面362から一時的に除去され、制御/逸らせ器320が回され、チュービングが再度チュービング面362上に圧力嵌合されることができる。勿論、かかる処置が患者に対して不適切な医療環境やリスクを作り出さないことを確実にするために、適切な医療介護がなされなければならない。
【0096】
2つの弁組立体172はダイヤフラムを横切る両方向の流れのための圧力限界値を上述の仕方で選択的に変えることができるよう対向する関係で使用することができる。
【0097】
本発明はその中心的特徴の精神から離脱することなく他の特定形態に具現することができる。それ故、例示であってそれらに限定されるものでないと考えられる本発明の実施例、上述の説明によってではなく請求項によって規定された発明の範囲、請求項と同等な意味と範囲内に包含されるすべての変更は本発明内に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の原理を具備する外在型調節可能の、常閉の圧力応答性二方スリット弁流体流制御器の斜視図で、IV投与セットの一部として設置状態で示した図である。
【図2】例えば医療患者の心臓血管系に関連して使用できるほぼ軸方向及び逸らされ非軸方向の両方の内部流体流をもつ図1の装置の線2−2に沿った拡大横断面図である。
【図3】ガス用の近位と遠位の流入及び流出ポートが直接整列しており、かつ内部ガス流がほぼ軸方向であって、例えば患者の肺からのガスの完全排出を防止するために使用可能である形式の本発明の原理を具現する常閉の弁構造のの横断面図である。
【図4】液体流を二方向において調節しかつ調整するための制御器特徴部分を含み、軸方向と逸らされた非軸方向の両方の内部液体流をもつ本発明の原理を具現する常閉の弁構造を示す図2に類似の横断面図である。
【図5】内部ガス流がほぼ軸方向である場合の、ガス流を二方向において調節しかつ調整するための制御器特徴部分を含む、本発明の原理を具現する常閉の弁構造の図3に類似の横断面図である。
【図6】図2の弁構造の分解斜視図である。
【図7】図3の弁構造の分解斜視図である。
【図8】図1の弁組立体のダイヤフラムの中心スリットを示す拡大部分横断面図で、限界値圧力差P1 によって開き状態に左方に撓まされた図1の弁組立体のダイヤフラムの中心スリットを示す図である。
【図9】限界値圧力差P2 によって開き状態に右方に撓まされた図1の弁組立体のダイヤフラムの中心スリットを示す拡大部分横断面図で、スリットダイヤフラムの撓みが調節可能の制御器によって部分的に抑制されている状態を示す図である。
【図10】ダイヤフラムからより大きい距離離間した調節可能の制御器がダイヤフラム中のスリットの右側により大きな撓みを与えている図9と同様の拡大部分横断面図である。
【図11】制御器がダイヤフラムに接近して置かれていて、圧力差P1 によって撓まされて左方に開いた、図3のスリット弁の拡大部分横断面図である。
【図12】圧力差P2 によって撓まされて右方に開いた、図3のスリット弁の拡大部分横断面図で、スリットダイヤフラムの撓みがダイヤフラムに接近して置かれている制御器によって部分に拘束されている状態を示す図である。
【図13】圧力差P2 によって撓まされて右方に開いた、図3のスリット弁の図12に類似の拡大部分横断面図で、制御器がダイヤフラムからより大きい距離離間していて、スリットダイヤフラムの撓みが図12のものより小さく拘束されている状態を示す図である。
【図14】逸らされた内部流を提供する他の選択的に設定可能の外在型スリット弁組立体の縦断面図である。
【図15】逸らされた内部流を提供する更に他の選択的に設定可能の外在型スリット弁組立体の縦断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、カニューレ内の医薬液体及びガス流制御の精度の改善に関し、更に詳細には、圧力作動される限界値(thresholds)及びスリットを1方向又は両方向に開閉する程度を変化させる選択的に設定可能の制御器を含み、外在型スリット弁が中空のカテーテルチューブ又は針の如き、或いはガスの場合には通気チューブの如き液体搬送用カニューレと関連させられて成る医薬液体流の極めて精密な外在型の選択的スリット弁作動用構造及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療患者に入ったり出たりする流体流(液体及びガス流)に関係する従来の有用な医学的発明は幾つか知られている。それにもかかわらず、液体又はガス流が患者に入ったり出たりすることが許される時と程度を制御することは或る医療適用において長い間必要とされてきた。ガスと液体流の制御は患者の介護にとって重大である。患者へ入ったり出たりする液体流は心臓血管系内への静脈内液体の注入や血液サンプルの除去を含むが、これらに限定されない。また、ガス流は典型的には、肺内の空気袋を部分的膨張状態に保って、それ故連続的に開いたままに保つよう呼気の間に肺内のすべてのガスが排出しないようになすが、これには限定されない患者の呼吸系に関係するものである。ガスと液体流の制御は患者の介護にとって重大なことである。
【0003】
更に詳細には、患者に送入する液体流に関して、予定の液体を患者からのサンプル血液又は他の液体内に静脈内で注入することは長い間医療的に望ましいことと認められてきた。典型的にはカテーテルチューブ又はIV針の如きカニューレを含む注入投与セットを通して患者へIV溶液を送入する間に、IV溶液の供給が枯渇してくる時点を精密に予測することは困難である。流れがカテーテルチューブ又は針を通るIV供給を間もなく干上がらせることのないようにするため、IV投与セットを丁度よい時に不能化するために看護人の利用可能性を調整することは更に困難である。その結果、カニューレの遠位の先端は時々逆流(bleed-back)を起こし、凝固を起こす。また、IV溶液の容器が徐々に空になるにつれて、それに応じて液圧ヘッドが変化する。その結果、所望の良く調整された点滴速度は慣例通りには得られなくなる。
【0004】
更に詳細には、慣例のIV投与セットが患者に連結されたとき、持ち上げられた容器内の溶液にかかる重力の力が手動制御された点滴機構によって許される程度まで患者の心臓血管系内の血圧を超えるために、IV溶液の流れが起こるのである。IV溶液の供給が空になるまで徐々になされるにつれて、IV溶液からもたらされる圧力成分がなくなるまで、圧力差は変化する。
【0005】
IV溶液の有効性が望ましくない程に消失するか又は低下したとき、心臓血管圧力が優勢となり、情況に依存して変化する距離にわたりIVカテーテルチューブ内に血液を流入させる。時には、この血液流はIVフィルタに到達し、汚しそしてIV投与セットの一部をなすIVフィルタの交換を必要となす。何れの場合にも、カテーテル内の上記血液は短時間内に凝固する。その後の血液流内への凝塊の不注意な導入は危険であり、もし発見されなければ、患者を危機に陥れる。もし折よく発見されたならば、IV系の交換が要求される。
【0006】
また、患者が静脈穿刺部位をIV容器より上に上げた場合、カニューレの遠位端内への血液の逆流又は還流が時には起こる。この還流はIV投与セットのフィルタに到達するかも知れず、又は到達しないかも知れないが、何れの場合にもIV流を停止させ、この結果、カテーテルとフィルタの何れか内で又はこれら両方内で凝固を起こすことになる。このことは患者の精神的外傷、出費及び危険性を伴うため不利益である。凝塊をカテーテルチューブから血流内に押し込むことは患者にとって不良な行為、許容出来ない危険事であるが、これは不注意に因り時には起こるものである。
【0007】
カテーテルチューブ又はIV針の如き内在カニューレの遠位端内へ入る望ましくない血流を防止するために標準の外在型(患者の外にある)一方弁を使用することは既知である。この標準の一方弁がカテーテルチューブと試料採取部位間に置かれたときにはこの標準の一方弁は血液試料採取を不可能にするだろう。
【0008】
また、外在型二方スリット弁(共有する米国特許第5,205,834号に開示された如きもの)を使用することも提案されている。大きな医学的価値を有するかかる外在型二方スリット弁では、スリット弁を開くのに要する圧力要求量は実質上固定されており、即ち製造時に弁に組み込まれている。スリット弁を1流れ方向に開くのに必要な圧力要求量はそれを他の流れ方向に開くためのものとは異ならせることができる。
容易に調節することができない従来の外在型スリット弁は典型的には、結果として出来る弁が所望の限界で所定の方向に開くことを確実ならしめるため、比較的高度の製造精度を要求する。
【0009】
或る一定の医療適用分野では、米国特許第5,205,834号に開示した形式の外在型スリット弁にとって、該弁の特性を制御及び調節の目的で変えることができる状態にまで発明的手法によって拡張されることは望ましいことが見出された。例えば、機械的点滴制御器の代わりに可変の特性をもつ外在型スリット弁を使用すれば、もし発明的手法で行われるならば、IV投与セットに関する上記問題点を克服するか又は実質上解決することができる。
【0010】
ガスの流れについてみれば、患者のための適切な呼吸介護は同様に、挿管された患者の呼吸系に送入されそしてその呼吸系からから放出されるガスの種類と量を精密に制御することを必要とする。患者が或る形式の肺病に苦しめられているとき、患者は典型的には呼吸器又は通気器上に置かれる。時には、患者に純粋酸素の制御された量が周期的に送入される。同様に、ガス担持型(gas-born)医薬が時には制御又は計量された基準で肺内に導入される。肺内の空気袋(air sacks) の潰れを防止するために、過去においては、C−PAP弁が呼気を制限しそして肺からの完全なガス排出を防止するために使用された。
【0011】
患者の呼吸系に使用するためのC−PAP弁の如きガス流制御装置の信頼性と精度はしつこい問題を提供した。かかる従来技術のガス流制御装置のエラーや不調が患者の最良の利益に不利に働かないことを確実となすために、殆ど一定の又は規則的な断続的監視がしばしば医薬提供者によって要求された。
【0012】
精密な、信頼性がありかつ現存のC−PAP弁とは異なっている、例えば看護婦によって又は他の医療教育を受けた人による、実質上継続的モニタリングを必要としないガス流制御の必要性が長い間存在してきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
簡単に要約すれば、本発明は従来技術の問題点を克服するか又は実質上解決し、重大な医療目的のために外在型可変スリット弁の技術を可変特性の範囲に拡張するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
新規な外在型の、常閉の圧力応答性医療スリット弁組立体であって、流れ特性を選択的に変えることを可能となした組立体が、患者に入ったり出たりする一定の種類の液体とガスの流れを制御するために提供される。各スリット弁組立体は、スリット弁が1方向又は両方向に開閉する単数又は複数の圧力差限界値と、与えられる撓みの程度を選択的に設定しかつ変えるために容易に調節可能な制御器を含む。またこれに関連する方法も提供される。本発明の1実施例では、制御器はダイヤフラム撓み調節機構として特徴付けることができる。従って、本発明によれば、弁のスリットを所定方向に開くのに必要な圧力要求量は医療的に適切に迅速に変えることができる。従って、本発明は新規なスリット弁機構と、関連する方法を提供し、この場合各弁機構は1方向又は両方向におけるその流れ特性を選択的に、直ちにかつ便利に変えることができる制御器を含む。
【0015】
上記を考慮して、本発明の主目的は、医療患者に入り及び/又は患者から出る液体及び/又はガス流のための従来の医薬液体及びガス流制御器に係わる問題点を克服するか又は実質上解決することにある。
【0016】
重要な他の目的は、二方スリット弁と、関連する方法を提供することにあり、前記弁は流れ特性を選択的にかつ便利に変えることができる調節可能の制御器を含む。
【0017】
更に主要な目的は、流れ特性を選択的に変えることができる外在型二方スリット弁を提供することにある。
【0018】
相当価値のある目的は、可撓性ダイヤフラムの撓みの程度が選択的に調節可能の制御器によって選択的に制限されるようになした外在型スリット弁機構を提供することにある。
【0019】
最も有力な他の目的は、比較的単純なデザインを有しかつその流れ特性を変えるように調節可能とした外在型二方弁構造を提供することにある。
【0020】
重要な他の目的は、その流れ特性を変化させることができる常閉の外在型スリット弁を提供することにある。
【0021】
更に価値ある目的は、IV点滴を制御するためのIV投与セットに使用するための外在型スリット弁制御器を提供することにある。
【0022】
更に主要な目的はその流れ及び/又は非流れ特性を変えるための選択的に設定可能の制御器を含む常閉の外在型スリット弁機構を提供することにある。
【0023】
他の重要な目的は、スリットに隣接した内部ガス又は液体が、全体的に又は部分的に或いは両様式の何れかで、ほぼ軸方向にあるか又は逸らされて非軸方向にあるかの何れかとなした調節可能の外在型スリット弁を提供することにある。
【0024】
他の価値ある目的は、医療患者に関して呼吸ガス流を制御するのに使用できる外在型限界値調節可能のスリット弁を提供することにある。
【0025】
本発明の追加の主要な目的は、挿管された患者の肺からのガスの完全排出を防止するために、C−PAP弁の代わりに使用するための常閉のスリット弁を提供することにある。
【0026】
本発明のこれらの及び他の目的と特徴は添付図面を参照した以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、同様の部品を示すために同じ数字を使用している図を参照して説明すれば、図1、2、6には本発明原理に従った調節可能の、圧力応答式の外在型スリット弁と、制御機構又は組立体の1実施例が示されている。この実施例は特に医療患者の心臓血管系に使用するためのものである。図3、7は本発明原理による調節可能のスリット弁制御機構又は組立体の第2実施例を示す。この実施例は特に医療患者の呼吸系に使用するものである。図4、5は2つの追加の調節可能の弁の実施例を示す。これらの実施例はスリット弁制御機構又は組立体の圧力要求値の2方向調節を可能にする。図8乃至13は種々の制御設定と、スリットダイアフラムを横切る色々な圧力差の効果を示し、一方、図14、15は制御−逸らしされた内部流をもつ本発明の他の実施例を示す。
【0028】
弁組立体20は操作状態にある又は“使用中”の液体制御状態において、(IV投与セットの一部分として)図1に示されている、即ちここではスリット弁組立体20は一般的に24で示すカテーテルチューブの形のカニューレと、一般的に26で示すIVチューブとの間に操作可能に介挿されている。図1に示したIV投与セットの使用は実施例に過ぎず、本発明は、医療患者内の適切な内部場所に対して液体又は気体を選択的に入れたり出したりするための調節可能の外在型スリット弁制御を意図するものであることは理解されるべきである。
【0029】
図1に示されるカテーテルチューブ24は入手可能の任意の型式のものでよく図には遠位端部分28をもつものとして示されている。この遠位端部分は医療患者の心臓血管系内に即ち患者静脈32内に内在するよう配置された遠位ポート30を備える。カテーテルチューブ24は近位端部分34を備える。調節可能のスリット弁組立体20の一部内に圧力嵌合されるか又は別法としてその一部と液体連通する関係に適切に配置される。
【0030】
同様に、チューブ26は任意の所望型式のものとすることができ、そのチューブによって外在する医薬液体が選択的にスリット弁組立体20に流入可能となされる。チューブ26は遠位端部分36を備えるものとして図示されており、この遠位端部分は調節可能のスリット弁組立体20内に圧力嵌合されるか又は別法としてこの組立体の他のポートにおいてこの組立体と液体連通する関係に適切に配置される。図1は遠位端44を備えたIVチューブ26を示し、このチューブはIVボトル46に適切に連結された状態で示されている(片持ち式支持アームからブラケット48によって下げられた状態で示されている)。これらはすべて慣用のものである。従って、例えばボトル46中のIV溶液は、静水圧ヘッドによって印加される圧力に応答して、選択的にかつ制御方式で弁組立体20を通過して所望速度でカテーテルチューブ24を経て静脈32中へ流入する。
【0031】
図2、6及び8乃至10を参照して以下、調節可能のスリット弁制御組立体20を詳述する。調節可能のスリット弁制御組立体20は図示の如く、露出した外部ハウジング52と、調節又は制御部材74と、露出した取っ手82と、ガスケット又はシール81と、スリットダイヤフラム98と、雄型コネクタ素子88を一般的に備える。
【0032】
ハウジング52は任意の適切な材料から形成されるが、このハウジングは医学グレードの合成樹脂材料又はプラスチックから形成されているものとして図示されている。ハウジング52はほぼ均一な厚さをもつものとして図示されている比較的大きな環状又は円筒形壁54からなり、これは円筒形外面56と、隠れた内面58を含み、隠れた内面は内部空洞部68を画成する。好都合に、環状保持壁又は内向き径方向フランジ62が内面58を中断し、かつ第1の径方向面55と、第2の径方向面57と、環状のオリフィス画成用の縁面63を含み、前記縁面内に開口61が形成される(図8乃至10)。面63の直径は壁54のハウジング面58の内径より小さい。ねじ山60はハウジング内面58の一部に形成され、このねじ山は環状保持壁又はフランジの第2面57に直接隣接して形成されそして前記第2面から離れるよう延在する。ねじ山60及び環状保持壁又はフランジ62の目的と機能につき以下詳述する。
【0033】
ハウジング52の円筒形外面56は円筒形の液体流ポート画成用ボス64によって中断される。ボス64は中空でかつ一体に形成され、かつハウジング52の長手方向軸に対して実質上直角方向に向いているものとして示されている。ボス64はボス外面69と、ボス内面67によって画成された中空内部66を含み、この内部を通って液体が選択的に流れる。ボス外面69は外部環状コーナー65で中断し、そしてこのコーナーで外面56と併合する。同様に、ボス内面67は内部環状コーナー59でハウジング内面58と交差する。図示の如く、中空内部66はハウジング内部空洞部68と直接開放連通している。
【0034】
円筒形外面56は一端において、外部環状コーナー38でハウジング52の環状縁面44と交差する。外面56はその他端において、外部環状コーナー71で環状肩部70の径方向面41と併合する。同様にハウジング内面58は環状内部コーナー51において、肩部内面49と交差する。
【0035】
ハウジング52の縮小直径の又は段付きの円筒形延長部72は環状壁70から延在し、かつ内面73と外面45を含み、中空で、円筒形として図示されており、ハウジング52と一体に形成されている。内面73は中空の円筒形内部39を画成し、そしてハウジング内面58の直径より実質上小さい直径を含むとして図示されれいる。図示の如く、内面73は環状コーナー47において、内面49と交差する。同様に、外面45は環状外部コーナー43において、肩部外面41と交差する。壁71は平坦な縁40で終端し、この縁は環状内部コーナー39において内面73と交差し、環状外部コーナー42において外面45と交差する。ハウジング壁延長部72はハウジング52と整列している又は同軸であるとして図示されている。
【0036】
スリットダイアフラム98を開くのに必要な圧力差要求量を調節するために、調節部材又は可変制御器74がハウジング52内に調節可能に配置される。調節部材74は、ねじ山付き端部84と、細長い部分80、ねじ山79をもつ拡大したねじ山付き部分78と、接触又は衝合延長部76をもつものとして図示されている。接触延長部76は円筒形内面85と、外面89と、径方向接触面77を備えた環状リングを含むものとして図示されている。接触面77は内面85に対して直角方向に向き、かつ環状コーナー93においてその内面と交差し、そして環状外部コーナー95において外面89と交差する。内面85は液体が選択的に通って流れる中空部分又はチャンバ75を画成する。図2に示す如く、中空部分75は接触延長部76の面77から実質的距離だけ延在して細長い部分80に入り、平らな面61で終端する。
【0037】
拡大した直径のねじ山付き部分78は接触延長部76に隣接して形成されたものとして図示されている。拡大部78は接触延長部76及び調節部材74の拡大部分80と一体に形成されたものとしてかつ前壁面101及び後壁面102をもつものとして図示されている。壁面101と102は接触延長部外面89に対して実質上直角をなすものとして図示されている。壁面101は環状外部コーナー103において接触延長面89と交差する。同様に、壁面102は環状外部コーナー105において拡大部分80の外面104と交差する。環状ねじ山79は壁101と102の間でねじ山付き部分78上に形成される。ねじ山付き部分78の直径とねじ山79の構成は図2に示す如く、ハウジングねじ山60と調節部材ねじ山79との適切なねじ山掛合が起こるようなものとする。
【0038】
図2に示す組み立てられた動作可能な状態において、調節部材ねじ山79はハウジング内面58上に形成されたねじ山60にねじ山掛合させられる。ねじ山79、60はかかる掛合をなすので、ハウジング52内の調節部材74の長手方向位置は手動で調節部材又は制御器74をハウジング52に関して回すことによって選択的に設定する又は変化させることができる。
【0039】
更に、調節部材74とハウジング延長部72間からの漏れを防止するためにOリングの形をなすガスケット81又はシールを面104と面73の間に配置する。ガスケット又はOリング81は面104と73間に圧縮嵌合される。
【0040】
調節部材74の細長い部分80は2つの対向する開口部87をもち、これらの開口部は中空内部75と空洞部68間の細長い部分80を横に貫通して延在する。各横開口部87は円筒形面106によって画成されて、チャンバ75と空洞部68間を流体連通させる。
【0041】
図示の如く、調節部材74はまた、取っ手又はノブ82を備え、その中に調節部材74のねじ山付き端部84が、ハウジング62内における調節部材74の位置の手動による再設定を可能ならしめるよう非回転状に固着されている。図示の取っ手82は内面38′と外面99を含む平坦な横端壁を含む。面99は、細長い部分80のねじ山付き端部84を非回転状に受け入れるようねじ山付き盲穴86を備えている。平坦な端壁38′は円筒形壁111と一体に併合して、カップ状部材を形成する。壁111は円筒形内面83と円筒形外面53を含み、図示の如く均一の厚さをもっている。円筒形内面83は環状コーナーで環状前面99と接合する。取っ手前面53と縁38は環状コーナー107で交差する。円筒形外面53は適切な掴み場所を提供し、この場所でユーザーは取っ手82を時計回り又は半時計回りに選択的に回すことができ、従って調節部材74を回すことができる。かかる手動調節はダイヤフラム98中のスリット102を図2で右方へ開く圧力を変えて、ダイヤフラム98と面55間のスペース量を、弁組立体20を分離又は分解する必要なしに、変化させる。面53は手で確実に掴めるよう刻み付けされるか又は別法で成形される。
【0042】
雄型コネクタ88は平面基部92をもち、この基部は径方向に配列され、外縁108をもつ。図示の流れポートを画成する環状穴90は平面基部92と一体に形成され、平面基部から環状コーナー94で軸方向外方に延在している。環状ボス90は外面105と流路画成内面109をもつ。この内面は中空内部91を包囲する。図2に示した組み立て配置では、コーナー縁108は封止されて、内面96で環状ハウジング52内に固着される。コネクタ88は結合剤、接着剤、圧力嵌着法又は任意の適当な手法で内面96内に固着することができる。
【0043】
図2に示す組み立て配置では、スリットダイヤフラム98はコネクタ88と環状保持壁62の間に介挿される。ダイヤフラムはフランジ62と隣接しているが、基部92からは面55で離間している。スリットダイヤフラム98はディスク形であり、好都合にシリコンゴムの如き適切なエラストマー材料から作られる。シリコンゴムはダイヤフラムの制御された中心撓みに容易に順応するという利点を与え、かつ良好なメモリー特性をもつ。ダイヤフラム98は無応力状態で図2に示されている。ダイヤフラム98は平らであり、均一厚さをもち、周縁100を含み、その無応力状態の直径は内面96の直径より僅かに小さい。
【0044】
ダイヤフラム98は更に、中心配置の常閉の横向きの直線スリット102を備える。スリット102はダイヤフラムを貫通して一様に延在するものとして図示されていて、組み立てられたとき、中空内部91、75と直接整列するよう弁組立体20の長手方向出入り路に沿って置かれる。スリット102の径方向長さは、例えばIV溶液をIV静水圧の下で患者内に導入するために、又は試料血液を負圧下で患者から除去するために、又は薬物を血液流内へ導入するために、撓んで開いたスリット102を通る選択的2方向の液体流を受け入れるため所望範囲の遠位と近位の撓みに順応するよう選択される。スリット102の長さ、ダイヤフラム98を形成するのに使用される材料、ダイヤフラムの厚さ、及び前述の各直径に加えて、中空内部75、91は、スリット102を遠位又は近位で撓ませて開かせる圧力差の範囲の決定について当業者に周知の手段によって設定されるよう個別にかつひとまとめにして変化させることができる。
【0045】
本発明の外在型流体制御装置は、使用時にカテーテル又は針の如きカニューレに付加するために自立型構造とするか、又は製造時にIVカニューレ系の1構成成分として構成することができる。
【0046】
作業を説明すれば、図8乃至10に示す如く、制御器74の回転によって一定の面77はスリットダイヤフラム98の近くへ動かされるにつれて、スリットダイヤフラムの撓みは接触面77の方向にますます制限されてくるようになる。例えば、図9では、圧力差P2 がスリットダイヤフラム98に作用するにつれて、スリットダイヤフラム98は左から右へ撓まされる。しかし、かかる撓みはスリットダイヤフラム98に掛合する調節部材74の接触面77によって制限される。従って、スリットダイヤフラム98の撓みがこのように制限されると、スリット102をスリットダイヤフラムが制限なしで撓まされるときよりも十分に開かせるようスリット弁を撓ませるために、より大きな大きさの圧力差P2 が要求される。かくして、接触面77が、例えば図10に示す如く、スリットダイヤフラム98の応力を受けない位置からさらに遠くへ動かされたとき、スリットダイヤフラム98が受ける制限はより小さくなり、それによってスリット102のリップを大きく広げて圧力差P2 を与えられたときより大きな距離離間することになる。これはスリット102を通して左から右へより大きな流量の通過を可能ならしめる。
【0047】
図9、10はスリットダイヤフラム98が圧力差P2 に起因して1方向に(右に向かって)開いていることを示すが、スリットダイヤフラム98は図8に示す如く圧力差P1 によって反対方向に開くこともできる。図9、10に示す如く(制御器74の選択的設定に基づいて)左から右へのスリットダイヤフラムの開きとは対照的に、調節部材又は制御器74から離れる方向にスリットダイヤフラム98を開くための圧力要求量はそれ自体調節可能ではない。というのは基部92の位置はダイヤフラム98に関して固定しているからである。
【0048】
スリット98が両方向に開いている時にダイヤフラム98を横切って行く液体流はダイヤフラム98の両側で一般的に軸方向である。しかし、チャンバ75と空洞部68間の流れは幾分径方向であるか又は横方向であり、空洞部68内へ入ったり出たりする流入液又は流出液はボス64内で径方向又は横方向である。
【0049】
図3、7はガス流を制御するために設計された本発明のもう1つの実施例、即ち調節可能のスリット弁制御機構110を示す。この機構もまた、弁機構110を開くために必要なガス圧力限界値(threshold) 又はガス圧力差の調節を可能ならしめる。調節可能のスリット弁制御機構110は図示の如く、中空円筒形のハウジング 112と、調節部材又は手動制御器134、スリットダイヤフラム128、リテーナ124、及びOリングシール又はガスケット138を含む。
【0050】
ハウジング112は図示の如く、円筒形壁113を含み、この円筒形壁は外面114と内面118をもつ。内面118は壁113と一体に形成された環状保持壁又はフランジ116によって中断される。環状保持壁又はフランジ116は径方向内向きに延在し、かつ径方向前面115、径方向後面117、縁内面119をもつ。前記内面119は開口又はオリフィス121を画成し、その直径は図示の如く、ハウジング内面118の直径より小さい。
【0051】
図示の如く、ハウジング壁113と一体に形成されているのは内ねじ山120である。ハウジングねじ山120は図示の如く環状面117に隣接した場所で始まり、図3に示す如く左から右へハウジング内面118に沿って比較的長い距離にわたって延在する。ハウジングねじ山120の目的と機能は以下に詳述する。
【0052】
ハウジング112は円筒形壁セグメント122を含み、これはフランジ116から右から左へ延びかつ壁延長部113を含む。壁セグメント122はハウジング112の残部と一体に形成されているものとして図示されている。延長部又は壁セグメント122は中空で、均一厚さをもち、内面126を含む。延長部122は径方向向きの平坦な縁127で終端する。
【0053】
図3に示す組み立て状態で、スリットダイヤフラム128はその周囲で内向きのフランジ116の面115と接触している。保持リング124はダイヤフラム128の対向側面と周囲で接触するよう環状ハウジング延長部122内に置かれる。これは保持リング124と保持フランジ116間でハウジング112内にスリットダイヤフラム128を定着する。保持リング124は内縁面125と外縁面123を含み、均一厚さをもつものとして図示されている。内面125の直径は面119の直径とほぼ同じであるとして図示されている。保持リング外面123の直径は環状ハウジング延長部内面126の直径とほぼ同じであるとして図示されている。保持リングは結合剤又は接着剤、プレス嵌め関係でプラスチック溶接、又は他の適切な手法によってハウジング延長部122内に定着することができる。
【0054】
スリットダイヤフラム128は保持壁116と保持器124間に分離しないよう圧縮介挿されるものとして図示されている。スリットダイヤフラム128はその中心に形成されたスリット129を含み、かつスリットダイヤフラム98に関連して上述した種類の特性と特徴をもつ。従ってスリットダイヤフラム128についてはこれ以上説明する必要はない。
【0055】
調節部材又は制御器134はハウジング112内にそれと同軸となるようねじ山結合により配置される。調節部材134は拡大ねじ山結合部分137と、細長い円筒形壁部分139と、接触延長部、ノーズ部分又は衝合壁141を含むものとして図示されている。接触延長部141は内向き、径方向向きの環状リングを含み、このリングは環状オリフィス形成内面130と、平面131と、周囲縁面131′と、ダイヤフラム接触面136を含む。接触面136は環状コーナー133で内面130に対して、環状コーナー135で正面131′に対して直角に向きかつ交差するものとして図示されている。内面130は液体が選択的に貫流する開口143を画成する。
【0056】
図2に明示する如く、開口又はオリフィス143は接触延長部141を軸方向に通って細長い部分の内部空洞部154内に延び入る。この空洞部は壁139の内面156によって画成される。内面156は壁139の平坦な環状縁158から環状コーナー160まで延在し、そこで内面156は内部の環状肩面162と交差する。図示の如く、径方向向きの環状肩面162はコーナー166で壁164′円筒形の内部延長面164と交差する。
【0057】
拡大直径のねじ山付き部分137は壁164′によって接触延長部141に隣接して連結されるものとして図示されている。ねじ山付き部分137は接触延長部141、壁164′及び調節部材134の細長い部分139と一体に形成されるものとして図示されている。ねじ山付き部分137は径方向向きの前壁面145と径方向向きの後壁面146を含む。壁面145、146は弁組立体110の長手方向軸線に実質上直角をなすものとして図示されている。壁面145は環状コーナー147で接触延長面131′と交差する。同様に、壁面146は環状コーナー148で細長い部分139の外面153と交差する。ねじ山132は壁145と146間で拡大直径のねじ山付き部分137上に形成されかつハウジング内面118と平行となるように向けられる。
【0058】
調節部材ねじ山132の直径、寸法、形状、場所及び向きは、図3に示す如く、ハウジングねじ山120と調節部材ねじ山132間に適切な、調節可能のねじ山掛合が生じるようなものとする。ねじ山132、120のかかる掛合においては、ハウジング112内の調節部材134の長手方向位置はハウジング112に対して時計回り又は反時計回りに調節部材134を手動で回すことによって選択的に変えることができる。拡大部分の外面153とハウジング内面118間の液体の空気圧漏れを防止するために、Oリング138がそれらの間に配置される。図3に示す如く、Oリング型式のガスケット138が外面153と面118間に圧縮嵌めされる。
【0059】
調節部材接触面136の主な機能はスリットダイヤフラム128と選択的に掛合することである。接触面136は接触面136の方向におけるスリットダイヤフラム128の撓みを選択的に制限する。ダイヤフラム128と面136間のスペースの調節(制御器134の回転による)はダイヤフラム128のスリット129を開くのに必要な空気圧要求量を調節する。これは図12、13に示されている。図12では、接触面136はスリットダイヤフラム128により近く、それ故、接触面136の方向のスリットダイヤフラム128の撓みはますます制限されてくる。
【0060】
例えば図12では、圧力差P2 がスリットダイヤフラム128に作用するにつれて、スリットダイヤフラム128は制限される方式で、圧力差方向に撓まされる。前述の如く、この撓みはダイヤフラム128の調節部材134の接触面136との急速な掛合によって制限される。従って、スリットダイヤフラムの撓みがこのように制限されると、撓みスリットダイヤフラム128が制限されないか又はより小さく制限されるときよりも大きい大きさの圧力差が、スリット129を開かせるためにスリットダイヤフラム128を十分に撓ませるために要求される。これと対照的に、図13に示す如く、調節部材134がスリットダイヤフラム128の応力を受けない閉鎖位置からより遠くへ動かされると、このスリットダイヤフラム128は、図12に示す如く制限されたときにスリットダイヤフラム128を開くのに必要な圧力差よりかなり小さい量の予定圧力差によって開くのに十分に、より実質的に撓まされることができる。
【0061】
図11に示す如く、スリットダイヤフラム128は、予定の限界値の反対向きの圧力差P1 に起因して、調節部材134から離れる方向に撓むことによってスリット129で開かれることもできる。制御器134の場所設定は、圧力差が図11に示す如く左に向かうときは、実質上重要でない。図11では調節部材134はダイヤフラム128の一側のみに配置されているので、スリットダイヤフラムを調節部材から離れる方向に開くための圧力差はそれ自体調節することはできない。
【0062】
弁を両方向に開くのに必要な圧力の大きさを制御するために、調節部材又は制御器はスリットダイヤフラムの各側に置くことができる。こうすれば、、スリットダイヤフラムを各方向に開くのに必要な圧力量を選択的に調節するために複式制御器を使用することができる。図4、5には、調節可能のスリット弁組立体が示されており、これらの組立体は二方向流を提供し、二方向の圧力要求量の調節をなすものとして示されている。明らか如く、図4、5の弁組立体の実施例の左側と右側は夫々、図2、3に夫々示しかつ上述した実施例のスリットダイヤフラムの対向する側に鏡像関係の構成を含む。実質的同一性に因って、図4、5に示す実施例の部品は図2、3に夫々示す対応する部品と同じ数字で示される。図4の実施例は二方向可変の制御液体流に対して設計されたものであるが、図5の実施例は二方向可変の制御ガス流に対して設計されたものである。
【0063】
図4に示すように、二方向圧力要求量調節弁制御組立体140は図では、一体に形成された2つの反対方向に延在するハウジング52を含む単一ハウジングを含み、2つの対向する調節部材74が各ハウジング52の各々内に1つづつ、反対方向に調節可能に配置されている。調節部材74間に介挿しているのはスリットダイヤフラム98であり、このダイヤフラムは2つの環状保持壁62間に定着されている。円筒形液体流ポートを画成するボス64のうちの1方はカテーテルチューブ24に連通可能に取り付けられているが、他方はIVチューブ26に取り付けられている(図1に示す如く)。図4の実施例の2つの半部と図2の上述の実施例間には構造的及び作用的同一性があるため、図4の実施例の構造についはこれ以上説明する必要がない。
【0064】
作用を説明すれば、二方向弁制御組立体140のスリットダイヤフラム98を開くのに必要な圧力要求量は例えば各方向でそれら要求量が異なるような任意の所望の手法で選択的に調節することができる。図4に示す如く左方向にスリットダイヤフラムを撓ませることによってスリットダイヤフラムを開かせるのに必要な圧力差を増すために、左側の調節部材74はスリットダイヤフラム98に更に接近するよう変位させられ、それによって左方向へのスリットダイヤフラムの撓みを制限する程度を増す。有利には、調節部材74はハウジング52に関して調節部材74を回すことによって、スリットダイヤフラム98に更に接近させられ、その結果調節部材74はハウジング112に対して長手方向にねじ進められるようになす。
【0065】
同様に、弁140のスリットダイヤフラム98を左方向に撓ませることによってこのスリットダイヤフラムを開くのに必要な圧力差要求量を減らすことが望まれるならば、左側の調節部材74がスリットダイヤフラム98から離れるよう動かされて、左方向のスリットダイヤフラム98の撓みの制限量を減少又は除去し、そのために、接触面77がスリットダイヤフラムの近くに配置されたときよりもより少ない圧力差によってスリットダイヤフラム98が左方向に撓んで開かれるようになす。前述の如く、右方向の撓みによってスリットダイヤフラムを開くのに必要な圧力要求量差を調節するために、同様の調節を弁制御組立体140の右側でなすことができる。
【0066】
従って、調節部材74の選択的調節によって、スリットダイヤフラム98に関して、左又は右方向の何れか又は両方向にスリット弁を開くのに必要な圧力差要求量は容易に調節することができる。更に、弁制御器140は、スリット弁を1方向に開くのに必要な圧力要求量がそれを他方向に開くのに必要な圧力要求量と異なるように調節することができる。例えばもし左方向の撓みによってスリットダイヤフラム98を開くための圧力要求量が右方向にスリットダイヤフラムを開くのに必要な圧力要求量より大きくなることが望まれるならば、左側の調節部材74は右側の調節部材74よりもスリットダイヤフラム98に近い位置に置かれる。このように構成されるので、スリットダイヤフラム98の左方向の撓みは右方向の撓みより大きく制限され、それ故調節部材内面85が同じ直径をもつと仮定すれば、左方向にスリット弁を開くためには右方向におけるよりは大きな圧力差が必要とされる。
【0067】
前述の如く、図5は本発明の更に他の空気圧式の実施例を示す。特に、図5は二方向の圧力要求量の調節可能な弁組立体を示す。前述の如く弁制御組立体142の左側は図3の調節可能の流量制御機構110の、スリットダイヤフラム128に関してとった鏡像関係の構成を含む。従って弁制御組立体142の左側と右側の特徴は前述の如く図3中の特徴と同じ数字で示している。図5の実施例と図3の実施例の2つの半部の各々の構造は同一性を有するため、図4の実施例の構造上の特徴についてのこれ以上説明する必要なない。
【0068】
図示の如く、弁制御組立体142はスリットダイヤフラム128の両側でハウジング112内に可動状に配置された2つの調節部材又は制御器134を含む。スリットダイヤフラム128はハウジング内面118上に一体に形成された2つの保持壁116間に円周上で定着されているものとして図示されている。弁制御器142からの漏れを防止するため、Oリングガスケット138が調節部材外面153とハウジング内面118間に設けられる。
【0069】
図4に示す実施例のものと同様な仕方で、弁制御組立体142は調節部材134を用いてスリットダイヤフラムに得られる撓みを選択的に変えることによって両方向にスリットダイヤフラム128を開くのに必要な圧力要求量の二方向調節を可能にする。一方の調節部材134の中空内部は通気チューブに液体流通可能に取り付けられるが、他方の調節部材134の中空内部は呼吸チューブに液体連通可能に取り付けられる。左方向に得られる撓みの程度を制御することによってスリットダイヤフラム128を開くのに要求される圧力差を増すために左側の調節部材134はスリットダイヤフラム128に更に接近させられる。調節部材はハウジング12に対して調節部材134をねじ回転させることによってスリットダイヤフラム128に更に接近させられ、その結果調節部材134はハウジング112を通して長手方向にねじ進められる。同じ手法で、スリットダイヤフラム128の撓みは右方向で制限される。右方向の撓みによってスリット弁128のスリット129を開くのに必要な圧力要求量を増すために右側の調節部材134はスリットダイヤフラム128に更に接近させられる。かくして、ダイヤフラムは右方向におけるその撓みを制限する部材134に一層急速に掛合し、従ってスリット弁を開くために、調節部材134がダイヤフラム128からより大きな距離離間している場合のものよりも大きい圧力差を右方向に必要とする。
【0070】
流量制御弁組立体142は左方向にスリット弁を開くための圧力要求量がスリットダイヤフラム128を右方向に開くのに必要な圧力要求量とは異なるように調節することができる。これは、左側と右側の調節部材をスリットダイヤフラム128から色々な距離の所に選択的に置くことによってなすことができる。
【0071】
本発明によって形成した弁構造又は組立体の調節を助けるために、マーキングが都合良く設けられて、種々の調節部材の相対的位置をハウジング内でかつ色々な実施例のスリットダイヤフラムに関して測定できるようにする。このことは、調節部材とスリットダイヤフラムの相対的位置が所定の方向にスリット弁を開くのに必要な圧力差を確定するという弁制御の特色のために有利である。これらの相対的位置を測定することによって、ユーザーはスリットダイヤフラムと調節部材の相対的位置を予定位置に調節することによって、所望の圧力差を選択的に選択することができる。
【0072】
かかるマーキング又はしるしは図6、7に示される。図6では、マーキング144はハウジング延長部72上に設けられ、ユーザーがハウジング延長部72に関して取っ手82の位置を測定できるようになす。同様に、図7ではマーキング150は調節部材134の外面上に設けられ、ユーザーがハウジング112に関して調節部材の位置を測定できるようになす。
【0073】
図2乃至13を調べれば、そこに示された本発明原理を含む実施例はスリット弁ダイヤフラムの各側に隣接してほぼ軸方向に向いた液体又はガス流を受け入れることは明らかである。図3、5の実施例の場合、ダイヤフラムの各側の流れはほぼ軸方向向きであって、逸らされていない。図2、4の実施例の場合、ダイヤフラムの一側に隣接した軸方向流は制御又は調節部材のチャンバ内にある。このチャンバ流は軸方向から、関連した弁ハウジング内で幾分横向きのかつ回り道の通路内に逸らされ、そして最後に、ポート66で径方向又は横向きの流れとなる。
【0074】
夫々170、172で一般的に示された2つの他のスリット弁/制御組立体を示す図14、15につき以下説明する。図14、15の実施例は特に液体流の可変制御用のものであるが、本発明の同じ基本原理はガス流の可変制御に適用される。これら2つの実施例の各々では、ダイヤフラムの制御側の流れはダイヤフラムに隣接してかつすべて弁組立体の内部中でそれを越えて回り道して多少とも径方向に逸らされる。換言すれば、ダイヤフラムに隣接した制御又は調節部材内に直接入る線形流は妨げられ、そして制御器はダイヤフラム中のスリットを制御方向に開くために圧力差限界値を変えるために役立つのみならず、流れ逸らせ部材としても役立つ。
【0075】
特に図14に示すように、組立体170は一般的に174で示す円筒形ハウジングを含む。管状ハウジング174は一般的に176で示す端部キャップをその一端に担持する。円筒形ハウジング174の他端は環状開口180を含み、この開口を通してダイヤフラム限界値制御/流れ逸らせ部材が組み立て中に中空円筒形ハウジング174の内部に挿入される。限界値制御/流れ逸らせ器182は手動ノブ184を備え、このノブによって前記制御/流れ逸らせ器182の位置を円筒形ハウジング174の中空内部の中で軸方向に変えることができる。
【0076】
ハウジング174は円筒形壁186を含む。この壁186は全体にわたって均一直径をもつものとして示された、円筒形又は環状の外面188を含む。壁186はまた、予定の直径寸法をもつ円滑な円筒形又は環状の内面190を含む。内面190は溝191によって中断され、そして環状開口180に隣接したねじ山192を含む。ねじ山192は径方向向きの面又は肩部196とコーナー194で併合する。肩部196はコーナー198で環状面180と併合する。環状面180は環状コーナー200で壁186の平坦な端縁202と併合する。
【0077】
外面188は径方向向きのボス204によって予定の場所で中断される。ボス204は円筒形壁を含み、この壁は平坦な縁206で終端し、内部円筒形面208で中空流路を画成し、かつ外部円筒面又は環状面210を含む。環状面210は環状内部コーナー212で面188と併合する。
【0078】
壁186の前端178は肩部214で段付けされて縮小した直径寸法にされている。肩部面214はコーナー216で円筒形面218と併合している。円筒形面218はコーナー220で壁186の平坦な径方向向きの端面222と併合する。縁面222は外側コーナー224で中空の内部円筒形面190と併合する。
【0079】
平らなダイヤフラム226はダイヤフラム226の周囲近くで平坦な端面222上に接触状に重ね合わされる。ダイヤフラム226はシリコンゴムの如き適当なエラストマー材料から形成されているものとして示されており、円形又はディスク形の外形をなしている。ダイヤフラム226は、偶発的に離脱しないよう圧縮保持されている周縁228と、対向した径方向向きの面230と232と、予定長さの中心スリット234を含む。スリット234はその閉鎖位置で、対向するリップを含み、これらのリップは互いに接触している。
【0080】
ダイヤフラム226は端部キャップ176によって面222と接触関係に圧縮定着されている。端部キャップ176は環状の径方向向きの壁240を含む。この壁は面214と同一平面となるよう寸法定めされかつ形作られている端縁面242を含む。環状壁240は壁214の径方向長さと実質上同じ厚さをもち、この厚さは壁240全体にわたって均一であるとして示されている。壁240は外部環状面241と内面を含み、この内面は面218に結合、接着、又はプラスチック溶接されている。壁240は径方向向きの環状壁244と併合しており、この環状壁は均一厚さをもちかつ対向する径方向向きの面246、248を含むものとして示されている。壁244は内側と外側のコーナー250と252で壁240と一体に併合するものとして示されている。
【0081】
径方向向きの環状壁244は径方向向きのボス254によって中断されている。ボス254はコーナー256、258で壁244と併合する円筒形壁を含む。円筒形壁254は内部円筒形面260と外部円筒形面262を含む均一厚さをもつものとして示されている。壁260はダイヤフラム226の一側に液体流路を画成する。壁254は平坦な端縁面264で終端する。
【0082】
ボス204、254は圧縮嵌合関係でチュービングを受け入れるよう寸法定めされかつ形作られ、液体は前記チュービングを通して図1に関して例解しかつ記載した仕方で選択的に流れる。
【0083】
図14を見れば分かるように、円筒形ハウジング174と端部キャップ176は当業者の技術を使用して適当な医学グレードの合成樹脂材料から別々に形成される。
【0084】
スリット234が予定の圧力差(正味圧力)に応答して開かれるようになされたときにのみ、流れがダイヤフラム226を横切って選択的に起こることは認められるべきである。この流れはボス204と254の中空の円筒形面208と260によって夫々画成された内部チャンバの間にある。
【0085】
前述の如く、制御/逸らせ器182はハウジング174から偶発的に離脱しないよう定着されるが、詳細に後述する仕方でかつ目的でハウジング174に関して軸方向に調節可能とする。制御/逸らせ器182はほぼ円筒形でありかつその外形が段付き形状をなしている。遠位の円筒形部分270は円筒形面272を含み、その直径寸法は実質上面190の直径より実質上小さいが、面260の直径より大きい。制御/逸らせ器182の遠位の円筒形端部270は内部が固体状でありかつ平坦な不透過性の径方向向きの遠位端面274を含むものとして示されている。面272、274は、なかんずく、面208、260によって画成されたボス通路間で段付きパターンに液体流を逸らせる働きをする。
【0086】
軸方向向きの円筒形面272は外向き、径方向向きの円筒形肩部278と環状の内側コーナー276で併合している。肩部278は環状外側コーナー280で拡大直径の固体状円筒形本体282と併合し、この円筒形本体は面284を含む。直径面284は面190の直径よりほんの僅か小さく、面190と284の間の軸方向変位と回転変位を可能にしている。面190と284間の小さいスペースは環状溝191内に配置された圧縮Oリング286によってそれを横切る液体流を防止するようシールされる。
【0087】
円筒形本体282の近位端は面284にねじ山288を含み、このねじ山はねじ山192にきちんと適合して噛み合うように寸法決めされ、形作られかつ配列されている。ねじ山付き部分288は環状外側コーナー290で径方向向きの肩部又は面292と併合し、この面292は内側コーナー294で円筒形セグメント296と併合する。円筒形セグメント296は固体状でありかつ外側円筒形面298を含むものとして示されている。面296は肩部面300で段付きにされており、面298と面300間の併合は環状内側コーナー302でなされる。
【0088】
肩部面300は外側環状コーナー306で環状ノブ面304と併合する。ノブ184の環状面304は外側環状コーナー310で平坦な遠位端面308と併合し、表面肌合い(texture) をもつことができ、かつ外側環状コーナー310で平坦な近位端面308と併合する。
【0089】
スリット弁/制御組立体170が使用のため図1に示す仕方で配置されると、ダイヤフラム226中のスリットが、精密に所望の正味圧力又は圧力差限界値で下向きに開くよう平坦な遠位面274がダイヤフラム226から所望の距離離間させられるまで、医療付添人が手で制御ノブを回す。医療付添人は、患者にとって望ましくかつ適切なようにスリット234を下向きに開く圧力差限界値を変えるために、何時でもノブ184を回すことによって平坦な面274とダイヤフラム226間の距離を変えることができる。
【0090】
図示していないが、2つの弁組立体170は対向する関係で使用することができ(図4、5の配置と同様に)、その結果、ダイヤフラム226を横切る両方向の流れのための圧力限界値は医療付添人によって選択的に、患者に適切なように変えることができる。ダイヤフラム226中のスリット234を開く圧力差限界値の変化はノブ184を適切に操作することによって手動で制御されるのであり、1つ又は複数の組立体を分離したり又は分解したりする必要はない。
【0091】
上述のダイヤフラム制御/流れ逸らせスリット弁組立体172を示す図15につき以下説明する。よく見れば、組立体172は前述のダイヤフラム226、端キャップ176、僅かに変形した円筒形ハウジングを含むことが認められる。図15の円筒形ハウジング174′は、ボス204がハウジング174′では除かれていて、円筒形壁186が径方向向きの液体流を提供しないことのみで図14のハウジング174とは異なっている。従って、ダイヤフラム226、円筒形ハウジング174′、及び端キャップ176の種々の部品と特徴部分は図15では図14のものと同様な数字を付されている。これらの構成部分は図14に関して上述したので、図15に関してこれ以上説明する必要なない。
【0092】
組立体172は図14に関して前述した制御/逸らせ器182を含むが、一般的に320で示す幾分異なったダイヤフラム制御/流れ逸らせ部材を含む。前記制御/逸らせ器320はほぼ円筒形であり、後述する仕方でかつ目的で、直径方向で段付きにされている。制御/逸らせ器320は遠位の減少直径のほぼ円筒形部分322を含む。部分322は遠位の平坦な流れ逸らせ端縁面324を含み、この端縁面はダイヤフラム226の向きにほぼ平行である。面324は円形であり、環状外側コーナー326で外側円筒形面328と併合する。ほぼ円筒形の部分322は平坦な径方向向きの内壁面330で終わる内部盲穴を画成する。面330は円形であり、面324と平行であるものとして図示されている。円形面320は内部円筒形面334と環状内側コーナー332で併合する。円筒形面334は軸方向向きでありかつ中空内部を画成し、この中空内部は液体用流路として役立つ。面324と334は円筒形壁336の外面と内面を含み、この円筒形壁は対向する開口部又はオリフィス338によって中断される。オリフィス338は同じ直径をもつものとして図示されており、かつ壁334によって画成された中空チャンバ340と、遠位チャンバ342間にほぼ径方向向きの流れを提供するよう方位付けされており、前記遠位チャンバは制御/逸らせ器320の遠位の円筒形部分322と、円筒形ハウジング174′と、ダイヤフラム226の面232の間に配置されている。
【0093】
制御/逸らせ器320の円筒形部分322は環状コーナー344で径方向向きの環状面346と併合する。肩部面346は、外側環状コーナー348で、主円筒形本体350と一体に併合する。主円筒形本体350は外側のほぼ円筒形の面352と、前述の内側の、チャンバ画成用の面334を含む。本体部分350は中空チャンバ340を除いては固体状であるとして図示されている。面352はその近位部分にねじ山354を含む。ねじ山付きの外側コーナー356は径方向向きの肩部面358と併合し、今度は、この肩部面が内側環状コーナー360で減少直径の円筒形面362と併合する。この円筒形面362は円筒形壁364の外側を含む。壁364の内面は前述の面334を含む。環状壁364は径方向向きの平坦な端縁面366で終端する。この端縁面は環状コーナー368で面362と、コーナー367で面334と併合する。
【0094】
組立体172は使用に際して、2つの流れチューブによって供給され、一方のチューブはボス254上に圧力嵌合又は圧縮定着され、他方のチューブは面362上に圧縮嵌合される。2つのチューブ間の流れはボス254の面260によって画成された通路に沿って、空洞部342を通してそしてチャンバ340に沿って生じる。ダイヤフラム226を横切って空洞部342に入ったり出たりする流れは面324に沿い、面328を横切り、開口部又はオリフィス338を通りそしてチャンバ342に沿って行く。
【0095】
ダイヤフラム226と面324間の間隔は、医療管理人によって望まれる如くスリット234を精密に開くのに必要な圧力差限界値応答を作るために、制御/逸らせ器320の手動回転によって調節することができる。制御/逸らせ器320の回転は面362上に圧力嵌合された液体連通チュービングの逆回転を含み、又は別法として、チュービングは面362から一時的に除去され、制御/逸らせ器320が回され、チュービングが再度チュービング面362上に圧力嵌合されることができる。勿論、かかる処置が患者に対して不適切な医療環境やリスクを作り出さないことを確実にするために、適切な医療介護がなされなければならない。
【0096】
2つの弁組立体172はダイヤフラムを横切る両方向の流れのための圧力限界値を上述の仕方で選択的に変えることができるよう対向する関係で使用することができる。
【0097】
本発明はその中心的特徴の精神から離脱することなく他の特定形態に具現することができる。それ故、例示であってそれらに限定されるものでないと考えられる本発明の実施例、上述の説明によってではなく請求項によって規定された発明の範囲、請求項と同等な意味と範囲内に包含されるすべての変更は本発明内に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の原理を具備する外在型調節可能の、常閉の圧力応答性二方スリット弁流体流制御器の斜視図で、IV投与セットの一部として設置状態で示した図である。
【図2】例えば医療患者の心臓血管系に関連して使用できるほぼ軸方向及び逸らされ非軸方向の両方の内部流体流をもつ図1の装置の線2−2に沿った拡大横断面図である。
【図3】ガス用の近位と遠位の流入及び流出ポートが直接整列しており、かつ内部ガス流がほぼ軸方向であって、例えば患者の肺からのガスの完全排出を防止するために使用可能である形式の本発明の原理を具現する常閉の弁構造のの横断面図である。
【図4】液体流を二方向において調節しかつ調整するための制御器特徴部分を含み、軸方向と逸らされた非軸方向の両方の内部液体流をもつ本発明の原理を具現する常閉の弁構造を示す図2に類似の横断面図である。
【図5】内部ガス流がほぼ軸方向である場合の、ガス流を二方向において調節しかつ調整するための制御器特徴部分を含む、本発明の原理を具現する常閉の弁構造の図3に類似の横断面図である。
【図6】図2の弁構造の分解斜視図である。
【図7】図3の弁構造の分解斜視図である。
【図8】図1の弁組立体のダイヤフラムの中心スリットを示す拡大部分横断面図で、限界値圧力差P1 によって開き状態に左方に撓まされた図1の弁組立体のダイヤフラムの中心スリットを示す図である。
【図9】限界値圧力差P2 によって開き状態に右方に撓まされた図1の弁組立体のダイヤフラムの中心スリットを示す拡大部分横断面図で、スリットダイヤフラムの撓みが調節可能の制御器によって部分的に抑制されている状態を示す図である。
【図10】ダイヤフラムからより大きい距離離間した調節可能の制御器がダイヤフラム中のスリットの右側により大きな撓みを与えている図9と同様の拡大部分横断面図である。
【図11】制御器がダイヤフラムに接近して置かれていて、圧力差P1 によって撓まされて左方に開いた、図3のスリット弁の拡大部分横断面図である。
【図12】圧力差P2 によって撓まされて右方に開いた、図3のスリット弁の拡大部分横断面図で、スリットダイヤフラムの撓みがダイヤフラムに接近して置かれている制御器によって部分に拘束されている状態を示す図である。
【図13】圧力差P2 によって撓まされて右方に開いた、図3のスリット弁の図12に類似の拡大部分横断面図で、制御器がダイヤフラムからより大きい距離離間していて、スリットダイヤフラムの撓みが図12のものより小さく拘束されている状態を示す図である。
【図14】逸らされた内部流を提供する他の選択的に設定可能の外在型スリット弁組立体の縦断面図である。
【図15】逸らされた内部流を提供する更に他の選択的に設定可能の外在型スリット弁組立体の縦断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流を制御するための調節可能の二方弁構造において、
近位側の流体流ポート(64)、遠位側の流体流ポート(88)、及び流体流を選択的に通過させる内部を有するハウジング(52)と、
前記近位側と遠位側の流体流ポート(64,88)間で前記ハウジング(52)の中空内部を横断する向きに配置した変位可能な圧力応答性スリットダイヤフラム(98)であって、スリット(102)をダイヤフラム(98)の中心に設け、前記スリット(102)は、このダイヤフラム(98)の両側に第1限界圧力差が発生するとき、撓んで開き、前記スリットダイヤフラム(98)の一方の第1側面から他方の第2側面に流体流を流すことができるようにした該スリットダイヤフラム(98)と、更に
ハウジング(52)内で前記スリットダイヤフラム(98)の第2側面の側に配置した第1調節部材(74)であって、中空内部および接触面を有し、この接触面は、前記スリットダイヤフラム(98)に対して近づき、また遠ざかる移動ができ、これにより、限界値圧力差を変えることができる該第1調節部材(74)と
を備えたことを特徴とする二方弁構造。
【請求項2】
前記第1調節部材(74)は更に外ねじ山(79)を有し、前記ハウジング(52)は更に内ねじ山(60)を有し、それによって外ねじ山と内ねじ山は互いにねじ掛合し、ハウジング(52)に対する第1調節部材(74)の相対回転によって、前記第1調節部材(74)の移動を可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項3】
シール(81)を、流体漏れを防止するために前記ハウジング(52)と前記第1調節部材(74)との間に配置したことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項4】
Oリングシール(81)を、流体漏れを防止するために前記ハウジング(52)と前記第1調節部材(74)との間に配置したことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項5】
近位側流体流ポート(64)および遠位側流体流ポート(88)が、実質上互いに直角をなす配置にしたことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項6】
前記スリットダイヤフラム(98)を、エラストマー材料により形成したことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項7】
ハウジング(52)内で、前記スリットダイヤフラム(98)の前記第1側面側に配置した第2調節部材(74)を設け、この第2調節部材(74)は、前記スリットダイヤフラム(98)に対して移動可能にし、これにより、前記スリットダイヤフラム(98)の前記第2側面側から前記第1側面側に流体流が流れるのを可能にするダイヤフラム(98)の開放を生じさせる第2限界値圧力差を変化させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項8】
前記第2調節部材(74)は更に外ねじ山(79)を有し、前記ハウジング(52)は更に前記第2調節部材(74)の外ねじ(79)にねじ掛合する内ねじ山(60)を有し、前記第2調節部材(74)を前記ハウジング(52)に対して相対回転させることにより、前記第2調節部材(74)を前記スリットダイヤフラム(98)に対して相対移動させることができる構成としたことを特徴とする請求項7に記載の弁構造。
【請求項9】
シール(81)を、流体漏れを防止するため前記ハウジング(52)と前記第2調節部材(74)との間に介挿したことを特徴とする請求項7に記載の弁構造。
【請求項10】
Oリング(81)を、流体漏れを防止するため前記ハウジング(52)と前記第2調節部材(74)との間に介挿したことを特徴とする請求項7に記載の弁構造。
【請求項11】
ハウジングに関する第1調節部材(74)の相対的位置を示すために前記第1調節部材(74)に担持した目視可能のしるしを更に設けたことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項12】
前記スリットダイヤフラム(98)を、薄いエラストマー部材により形成したことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項13】
前記ハウジング(52)の内面に内向きの環状フランジ(62)を更に設け、前記スリットダイヤフラム(98)を前記環状フランジに接触配置したことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項14】
ハウジング(52)の内部に環状フランジ(62)を更に設け、前記スリットダイヤフラム(98)を前記環状フランジに接触させたことを特徴とする請求項7に記載の弁構造。
【請求項15】
前記第1調節部材(74)の前記ハウジング(52)に対する相対的位置を示すために前記第1調節部材(74)に担持した目視可能のしるしを更に設けたことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項16】
前記第1調節部材(74)の前記ハウジング(52)に対する相対的位置を示すために前記ハウジング(52)に担持した目視可能のしるしを更に設けたことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項17】
流体は液体からなることを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項18】
流体はガスからなることを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項19】
弁(20)を開くのに必要なスリット弁を横切る限界圧力差を調節する方法において、
貫通する流路をもつハウジング(52)を設けるステップと、
可撓性のスリットダイヤフラム(98)をハウジング内に前記流路を横切るよう介挿するステップと、
第1調節部材(74)を、前記ハウジング(52)内で前記スリットダイヤフラム(98)の第1側面側に隣接する位置であって、前記スリットダイヤフラム(98)が開いて流体流をこのスリットダイヤフラムの第2側面側から第1側面側に通過させる限界圧力差を制御するよう選択した該位置に前記第1調節部材(74)を移動させるステップと
よりなることを特徴とする方法。
【請求項20】
前記第1調節部材(74)の外面に第1の組のねじ山(79)を備えるステップと、
前記ハウジング(52)の内面に第2の組のねじ山(60)を備えるステップと、
前記第1の組のねじ山(79)を前記第2の組のねじ山(60)に掛合させ、前記ハウジング(52)に対して前記第1調節部材(74)を選択的に回転することによって前記スリットダイヤフラム(98)に対する前記第1調節部材(74)を移動させるステップを、更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記流路内に突入する遠位側のフランジ(62)および近位側のフランジ(62)を備えるステップと、
前記近位側のフランジ(62)と遠位側のフランジ(62)間に前記スリットダイヤフラム(98)の周縁を定着するステップを更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第2調節部材(74)を前記スリットダイヤフラム(98)の第2側面に隣接する位置であって、前記スリットダイヤフラム(98)が開いて流体流をこのスリットダイヤフラムの第1側面側から第2側面側に通過させる限界圧力差を制御するよう選択した該位置に移動させるステップを更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第2調節部材(74)の外面に第3の組のねじ山(79)を備えるステップと、
前記ハウジング(52)の内面に第4の組のねじ山(60)を備えるステップと、
前記第3の組のねじ山(79)を第4の組のねじ山(60)に掛合させ、前記ハウジング(52)に対して前記第2調節部材(74)を選択的に回転することによって前記スリットダイヤフラム(98)に対する前記第2調節部材(74)を移動させるステップを更に含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項1】
流体流を制御するための調節可能の二方弁構造において、
近位側の流体流ポート(64)、遠位側の流体流ポート(88)、及び流体流を選択的に通過させる内部を有するハウジング(52)と、
前記近位側と遠位側の流体流ポート(64,88)間で前記ハウジング(52)の中空内部を横断する向きに配置した変位可能な圧力応答性スリットダイヤフラム(98)であって、スリット(102)をダイヤフラム(98)の中心に設け、前記スリット(102)は、このダイヤフラム(98)の両側に第1限界圧力差が発生するとき、撓んで開き、前記スリットダイヤフラム(98)の一方の第1側面から他方の第2側面に流体流を流すことができるようにした該スリットダイヤフラム(98)と、更に
ハウジング(52)内で前記スリットダイヤフラム(98)の第2側面の側に配置した第1調節部材(74)であって、中空内部および接触面を有し、この接触面は、前記スリットダイヤフラム(98)に対して近づき、また遠ざかる移動ができ、これにより、限界値圧力差を変えることができる該第1調節部材(74)と
を備えたことを特徴とする二方弁構造。
【請求項2】
前記第1調節部材(74)は更に外ねじ山(79)を有し、前記ハウジング(52)は更に内ねじ山(60)を有し、それによって外ねじ山と内ねじ山は互いにねじ掛合し、ハウジング(52)に対する第1調節部材(74)の相対回転によって、前記第1調節部材(74)の移動を可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項3】
シール(81)を、流体漏れを防止するために前記ハウジング(52)と前記第1調節部材(74)との間に配置したことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項4】
Oリングシール(81)を、流体漏れを防止するために前記ハウジング(52)と前記第1調節部材(74)との間に配置したことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項5】
近位側流体流ポート(64)および遠位側流体流ポート(88)が、実質上互いに直角をなす配置にしたことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項6】
前記スリットダイヤフラム(98)を、エラストマー材料により形成したことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項7】
ハウジング(52)内で、前記スリットダイヤフラム(98)の前記第1側面側に配置した第2調節部材(74)を設け、この第2調節部材(74)は、前記スリットダイヤフラム(98)に対して移動可能にし、これにより、前記スリットダイヤフラム(98)の前記第2側面側から前記第1側面側に流体流が流れるのを可能にするダイヤフラム(98)の開放を生じさせる第2限界値圧力差を変化させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項8】
前記第2調節部材(74)は更に外ねじ山(79)を有し、前記ハウジング(52)は更に前記第2調節部材(74)の外ねじ(79)にねじ掛合する内ねじ山(60)を有し、前記第2調節部材(74)を前記ハウジング(52)に対して相対回転させることにより、前記第2調節部材(74)を前記スリットダイヤフラム(98)に対して相対移動させることができる構成としたことを特徴とする請求項7に記載の弁構造。
【請求項9】
シール(81)を、流体漏れを防止するため前記ハウジング(52)と前記第2調節部材(74)との間に介挿したことを特徴とする請求項7に記載の弁構造。
【請求項10】
Oリング(81)を、流体漏れを防止するため前記ハウジング(52)と前記第2調節部材(74)との間に介挿したことを特徴とする請求項7に記載の弁構造。
【請求項11】
ハウジングに関する第1調節部材(74)の相対的位置を示すために前記第1調節部材(74)に担持した目視可能のしるしを更に設けたことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項12】
前記スリットダイヤフラム(98)を、薄いエラストマー部材により形成したことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項13】
前記ハウジング(52)の内面に内向きの環状フランジ(62)を更に設け、前記スリットダイヤフラム(98)を前記環状フランジに接触配置したことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項14】
ハウジング(52)の内部に環状フランジ(62)を更に設け、前記スリットダイヤフラム(98)を前記環状フランジに接触させたことを特徴とする請求項7に記載の弁構造。
【請求項15】
前記第1調節部材(74)の前記ハウジング(52)に対する相対的位置を示すために前記第1調節部材(74)に担持した目視可能のしるしを更に設けたことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項16】
前記第1調節部材(74)の前記ハウジング(52)に対する相対的位置を示すために前記ハウジング(52)に担持した目視可能のしるしを更に設けたことを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項17】
流体は液体からなることを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項18】
流体はガスからなることを特徴とする請求項1に記載の弁構造。
【請求項19】
弁(20)を開くのに必要なスリット弁を横切る限界圧力差を調節する方法において、
貫通する流路をもつハウジング(52)を設けるステップと、
可撓性のスリットダイヤフラム(98)をハウジング内に前記流路を横切るよう介挿するステップと、
第1調節部材(74)を、前記ハウジング(52)内で前記スリットダイヤフラム(98)の第1側面側に隣接する位置であって、前記スリットダイヤフラム(98)が開いて流体流をこのスリットダイヤフラムの第2側面側から第1側面側に通過させる限界圧力差を制御するよう選択した該位置に前記第1調節部材(74)を移動させるステップと
よりなることを特徴とする方法。
【請求項20】
前記第1調節部材(74)の外面に第1の組のねじ山(79)を備えるステップと、
前記ハウジング(52)の内面に第2の組のねじ山(60)を備えるステップと、
前記第1の組のねじ山(79)を前記第2の組のねじ山(60)に掛合させ、前記ハウジング(52)に対して前記第1調節部材(74)を選択的に回転することによって前記スリットダイヤフラム(98)に対する前記第1調節部材(74)を移動させるステップを、更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記流路内に突入する遠位側のフランジ(62)および近位側のフランジ(62)を備えるステップと、
前記近位側のフランジ(62)と遠位側のフランジ(62)間に前記スリットダイヤフラム(98)の周縁を定着するステップを更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第2調節部材(74)を前記スリットダイヤフラム(98)の第2側面に隣接する位置であって、前記スリットダイヤフラム(98)が開いて流体流をこのスリットダイヤフラムの第1側面側から第2側面側に通過させる限界圧力差を制御するよう選択した該位置に移動させるステップを更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第2調節部材(74)の外面に第3の組のねじ山(79)を備えるステップと、
前記ハウジング(52)の内面に第4の組のねじ山(60)を備えるステップと、
前記第3の組のねじ山(79)を第4の組のねじ山(60)に掛合させ、前記ハウジング(52)に対して前記第2調節部材(74)を選択的に回転することによって前記スリットダイヤフラム(98)に対する前記第2調節部材(74)を移動させるステップを更に含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−289733(P2007−289733A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178020(P2007−178020)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【分割の表示】特願平10−509215の分割
【原出願日】平成9年10月9日(1997.10.9)
【出願人】(507229951)カテーテル イノヴェイションズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【分割の表示】特願平10−509215の分割
【原出願日】平成9年10月9日(1997.10.9)
【出願人】(507229951)カテーテル イノヴェイションズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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