説明

流体混合装置

【課題】 2種の流体を高い効率で混合する。
【解決手段】 ベンチュリ管内の小径部67で加速された第1の流体中に、ベンチュリ管内に開口したインジェクタパイプ41から第2の流体を噴出させて、第1の流体と第2の流体とを混合する第1の混合機11と、第1の混合機11から流出する第1の流体と第2の流体の混合液を所定距離だけ空走させて、この混合液全体の流れの方向を整えるほぼ一定の太さのパイプにより構成された整流用流路19と、流路の断面積が整流用流路19の断面積以上になるように内径を拡大した拡径部を持つパイプにより構成され、この拡径部45の内部に、上流側に円錐の尖端を向け下流側に底面を向けて、周面には流れの方向にほぼ垂直な、混合液が衝突する面を持つ階段状の凹凸が形成された略円錐状のブロック46を配置した第2の混合機12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水を高濃度に維持して供給するオゾン水供給装置等に適する流体混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン水は、殺菌消毒作用があり、洗浄処理後に対象物上に残留するのは水だけで毒性がないという特徴を持つ。このため、オゾン水は、食品や医療機器関係の除菌用として広く利用されている。人工透析装置は、患者の血液を取り出して装置内で透析処理をしてから患者に戻すという機能を持つ。従って、使用後の透析装置を十分に殺菌洗浄するようにして、例えば、C型肝炎といった血液を介して感染する感染症の拡大を防止している(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−149469号公報
【特許文献2】登録実用新案第3048023号公報
【特許文献3】特開2001−255271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
殺菌消毒効果を高めるには、オゾン濃度の高いオゾン水を製造することが好ましい。そこで、本願発明者等は、高濃度のオゾン水を製造することができるオゾン混合機(特許文献2)を開発した。この混合機は、ベンチュリ管を通過する水の最大流速部分にオゾンガス噴出口を配置して、オゾンガスを減圧雰囲気から一気に高速水流中に噴出させて、例えば、6PPM程度の高濃度のオゾン水を製造することができる。
【0004】
しかしながら、オゾン水は放置すると急激にオゾン濃度が低下するから、殺菌洗浄のために使用する場合には、その濃度を安定に管理し、かつ、使用中に殺菌洗浄効果を確認できる装置の提供が要求される。本発明者は、以上の点に着目し、オゾン水を蓄積している場合や殺菌洗浄のために使用する場合に、オゾン濃度の低下を防止し、その濃度を安定に管理し得るオゾン水供給装置を開発した。本発明は、上記の装置を応用した流体混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は次の構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉
ベンチュリ管内の小径部で加速された第1の流体中に、前記ベンチュリ管内に開口したインジェクタパイプから第2の流体を噴出させて、前記第1の流体と前記第2の流体とを混合する第1の混合機と、前記第1の混合機から流出する第1の流体と第2の流体の混合液を所定距離だけ空走させて、この混合液全体の流れの方向を整えるほぼ一定の太さのパイプにより構成された整流用流路と、流路の断面積が前記整流用流路の断面積以上になるように内径を拡大した拡径部を持つパイプにより構成され、この拡径部の内部に、上流側に円錐の尖端を向け下流側に底面を向けて、周面には流れの方向にほぼ垂直な、前記混合液が衝突する面を持つ階段状の凹凸が形成された略円錐状のブロックを配置した第2の混合機とを備えたことを特徴とする構成1に記載の流体混合装置。
【0006】
〈構成2〉
前記第2の混合機を通過した混合液が、戻りパイプ63を用いて浄化槽60に戻されることを特徴とする構成1に記載の流体混合装置。
【0007】
〈構成3〉
前記第1の流体が、浄化槽60から取り出しパイプとポンプを通じて取り出された汚水であって、前記第2の流体がオゾンであることを特徴とする汚水処理のための構成1に記載の流体混合装置。
【0008】
〈構成4〉
前記第1の流体が酵素を含む浄化槽60から取り出しパイプとポンプを通じて取り出された汚水であって、前記第2の流体が空気であることを特徴とする汚水処理のための構成1または3に記載の流体混合装置。
【0009】
〈構成5〉
前記第2の混合機を通過した汚水が、戻りパイプ63を用いて浄化槽60に戻されることを特徴とする構成3または4に記載の流体混合装置。
【発明の効果】
【0010】
例えば、第1の流体が水で第2の流体がオゾンであったとき、ベンチュリ管内で加速された水中にオゾンを含むガスを噴出させて水中にオゾンを混入させると、オゾンが水と爆発的に混合されて高濃度のオゾン水が生成できる。しかしながら、水に溶け込まないオゾンも同時に出口側に排出される。この出口側に、第2の混合機を配置すると、オゾン水とオゾンとを流路に設けた壁に衝突させて攪拌するので、第1の混合機で水に溶け込まなかったオゾンが新たに水に溶け込むため、非常に高濃度のオゾン水が得られる。また、ベンチュリ管から噴出した高エネルギのオゾン水の流れを、第2の混合機で整えてから排出するので、騒音が抑止できる。
【0011】
第1の流体と第2の流体の種類は任意である。流体は液体でも気体でもよい。第1の流体と第2の流体の混合液は、所定長の整流用流路を空走する間に流れの方向が整えられる。即ち、渦等が消滅して、全体が上流から下流に向かう方向に流れるようになる。こうして流れの方向をそろえることで、階段状の凹凸を備えた壁ブロックに衝突したときの衝突エネルギが高まり、第2の混合機中で、高い混合効果が発揮される。壁ブロックは流れの方向にほぼ垂直な面を持つ階段状の凹凸を備えればよく、その形状は任意である。流路上で流路の断面積が整流用流路の断面積以上になるようにパイプの内径を拡大することで、流れの抵抗を少なくし、第1の混合機の混合作用を妨げないようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。
図1は本発明に係る流体混合装置の縦断面と配管接続系統図である。
この図1(a)の実施例では、汚水に空気を混入させて、酵素の働きを助長する。この汚水と空気とを混合するために、図の混合機を使用する。また、この図の(b)の実施例では、汚水にオゾンを混入させて、オゾンの力で直接汚水を浄化する。
【0013】
一般に、浄化槽に蓄積された汚水の処理では、汚水中に曝気装置を用いて空気の泡を吹き込み、酵素の働きを助長して、浄化処理を促進する。このために、気泡を吹き込むためのパイプを汚水中に配置して、コンプレッサにより加圧空気を送る。ところが、この種の構造の曝気装置で浄化槽中に多くの空気の泡を供給しても、大部分がそのまま浮き上がり、ごくわずかしか汚水中にとけ込むことがない。従って、長時間コンプレッサを駆動するために多くの電力を消費するものの、きわめて効率の悪い装置であった。
【0014】
一方、図1(a)の実施例では、後で詳述するような混合機を用いて、空気と汚水とを混合し、極めて効率よく多量の空気を水の中に混入することができる。もちろん、汚水中に予め混ぜ合わせておいた酵素も同時に均一に混ざり合う。これにより、汚水全体に分散した酵素に充分な空気を接触させ、酵素の働きを助長することが可能になる。
【0015】
図1(a)に示す装置は、浄化槽60から取り出しパイプ61とポンプ62を通じて、汚水65を取り出す。この汚水65は、第1の混合機11と、整流用流路19と、第2の混合機12を通過し、多量の空気と混合される。その後、戻りパイプ63を用いて浄化槽60に戻される。第1の混合機11は、後で詳述するようなベンチュリ管からなり、その小径部67で加速された汚水65にこのベンチュリ管内に開口したインジェクタパイプ41から空気を噴出させて、汚水65中に空気を混合する。この第1の混合機11から流れ出る汚水65は、後で詳述するとおり、多数の渦を発生した乱流になっている。ほぼ均一な内径を持つ整流用流路19を所定長流れると、汚水65の流れは全体として、下流方向、すなわち、図の左側の方向に向くように整えられる。そして、第2の混合機12に流入する。
【0016】
第2の混合機12では、後で詳述するような階段状の凹凸を持つブロック46が流路上に配置されている。従って、空気の泡と汚水との混合液が階段状の凹凸に衝突し、さらに攪拌される。この時、ブロック46に妨げられて汚水の流れ全体に逆方向の抵抗が加わると、第1の混合機11のベンチュリ管の機能が低下する。そこで、第2の混合機の流路の断面積は、いずれの場所も十分に広く選定されている。すなわち、整流用流路19によって、下流方向に流れの向きを整えられた汚水が、勢いよくブロック46の階段状の凹凸に衝突することによって、十分に混ざり合わなかった空気が汚水中にさらに多量にとけ込む。このようにしてとけ込んだ多量の空気が、酵素の働きを助ける。従って、従来の曝気装置を使用した浄化槽に比べて、高い効率ですみやかに浄化処理が進む。
【0017】
図1(b)の装置では、第1の混合機へ汚水とオゾンを導入し、第1の混合機11と整流用流路19と第2の混合機12とを用いて、汚水中に多量のオゾンをとけ込ませる。第1の混合機のインジェクタパイプ41には、オゾン発生器66が接続されている。即ち、オゾンの力によって汚水を直接浄化し、無害化して排出する。従って、汚水を蓄積する浄化槽を不要にする。もちろん、汚水の性質に応じて、図1(b)の装置が適する場合と図1(a)の装置が適する場合とがある。もし、この図1(b)に示すような装置が採用できると、従来、汚水処理のために使用していた浄化槽を大型化することなく、その浄化槽の内部にオゾン発生装置と上記のような混合機とを据え付けて、十分に小さいスペースで、従来以上の汚水処理能力を付与することが可能になる。従って、工場などから排出される汚水の処理基準が法律によって改定され、これまで以上の処理能力を要求されるようになった場合に、これまでの設備を大型化させることなく、低いコストで高い機能の汚水処理装置に切り替えることが可能になる。
【0018】
汚水処理設備を新設する場合には、大型の浄化槽が不要になるから、経済的な汚水処理設備が提供できる。なお、図1(b)に示したような装置は、汚水とオゾンとの混合だけでなく、混ざり合い難い様々な種類の第1の流体と第2の流体とを混合する目的に利用できる。また、流れの方向にほぼ垂直な面を持つ階段状の凹凸を備えたブロックを利用すると、第1の流体、あるいは、第2の流体中の流れを滞留させたり逆流させることなく両者を混合できる。従って、これらの流体に混入した様々な物質が管の内部に付着したりするおそれがなく、汚水処理等に最適な構造といえる。
【0019】
図2はオゾン水供給装置具体例を示す系統図である。
以下、上記の流体混合装置の使用例や作用効果をオゾン水供給装置を例にして説明する。
図2においてオゾン水を貯留する貯留タンク10は、第1タンク1と第2タンク2を備える。第1タンク1と第2タンク2は、隔壁3により区切られている。隔壁3には、適当な数の透孔4を備える。これらの透孔4は、いわゆるオリフィスの効果を奏するものである。この貯留タンク10に蓄えられたオゾン水5の濃度を保つために、循環系統の配管14が設けられている。この配管14には、ポンプ15が設けられており、第1タンク1や第2タンク2から取り出したオゾン水をオゾン混合機13に案内して、オゾンと混合し、再び貯留タンク10に戻す。
【0020】
オゾン混合機13は、後で説明する第1の混合機11と第2の混合機12とを備えている。第1の混合機11には、ガス状のオゾンとオゾン水とが供給される。図示しない酸素ボンベや酸素発生器から供給される酸素は、放電装置7を通って、オゾン混合機13に送り込まれる。放電装置7では、酸素を放電によって活性化し、多量のオゾンを含んだガスにして、オゾン混合機13に供給する。なお、放電装置7は、ブロア8によって適宜冷却されるように構成されている。オゾン混合機13の具体的な構成や作用は、後で説明する。
【0021】
循環系統の配管14には、調整バルブ18を介して第1タンク1からオゾン水を取り出す配管17と、第2タンク2からオゾン水を取り出す配管16とがそれぞれ連結されている。調整バルブ18は、配管16と配管17を通じて循環系統の配管14に取り出されるオゾン水の混合比を決めるためのものである。また、貯留タンク10に蓄えられた高濃度のオゾン水は、洗浄系統の配管21を通じて洗浄される対象物30、例えば、人口透析装置に送り込まれる。ポンプ22は、オゾン水を洗浄対象物30に送り込むためのもので、逆止弁23を通じてオゾン水を送り出す。なお、洗浄系統の配管21には、分岐配管25が接続されている。
【0022】
この分岐配管25からミニマムフローバルブ26を経て、戻り配管28が接続されている。この戻り配管28は、第1タンク1に開口している。また、戻り配管28には、オゾン濃度測定部31が設けられている。このオゾン濃度測定部31は、例えば、特許文献3に記載されたように紫外線を照射し、紫外線の吸収量に基づいてオゾン濃度を定量的に測定する機能を持つ。なお、オゾン水を供給して、殺菌洗浄を行う対象物30から排出されたオゾン水は、オゾン濃度測定部31と全く同様の構成のオゾン濃度測定部32によってオゾン濃度が測定された後、廃棄処理される。洗浄対象物30が人工透析装置の場合に、オゾン水による洗浄処理が終了した後は、人工透析装置にRO水が供給される。これは、配管37から電磁弁35を経て人工透析装置に送り込まれる。
【0023】
洗浄系統の配管21からオゾン水が送り出されると、第1タンク1に蓄えられたオゾン水5が減少する。これを補うために、配管37、電磁弁34、及び配管36が設けられている。この配管36の終端は、第2タンク2の配管16が開口している部分の近くに配置されている。なお、この他に貯留タンク10には、水位センサ39が設けられており、貯留タンク10の内部に蓄えられたオゾン水5の水位を監視している。この水位が基準値以下になった場合には、自動的に電磁弁34を開放し、配管37と36を通じて新しいRO水(reverse osmosis )が第2タンク2に供給される。このRO水のかわりに、純水その他の殺菌精製された水が供給されても構わない。
【0024】
上記したオゾン水供給装置は、貯留タンク10中の水を第1の混合機11に導いてオゾンガスを混入し、再び貯留タンク10へ戻す循環系統の配管14が設けられて、貯留タンク10内部のオゾン水を常時、高濃度に維持する。この貯留タンク10から、循環系統の配管14とは別の洗浄系統の配管21を通じてオゾン水を洗浄対象物である人工透析装置30に供給して、殺菌洗浄を行う。このとき、人工透析装置30へ供給されるオゾン水のオゾン濃度が常に基準値を越える高濃度であることを確認する手段が必要になる。さらに、人工透析装置の内部で有効にオゾン水が殺菌消毒処理に寄与していることを確認する手段が必要になる。
【0025】
既知のオゾン水の濃度測定方法には、ヨウ化カリウム等の試薬を用いた方法と、照射する紫外線の吸収量を測定する方法がある。前者の方法は、所定のタイミングでサンプリングをしたオゾン水のオゾン濃度を測定するので、ライン上を流れるオゾン水のオゾン濃度を連続的に監視するという目的には不向きである。後者の方法は、オゾン水の流路でオゾン濃度を連続的に監視することができるという点で、前者の方法よりも適しているが、紫外線の照射によって、せっかく高濃度に生成したオゾン水のオゾン濃度が使用前に低下してしまうという問題がある。また、殺菌洗浄能力が常に安定していることが求められる。
【0026】
そこで、上記循環系統の配管14により、貯留タンク内部のオゾン水を継続的にオゾン混合機13に戻して高濃度に維持する。また、循環系統の配管14では洗浄系統の配管21の、人工透析装置へ供給される直前のオゾン水の一部を分岐管25を通じて貯留タンク10へ戻し、この分岐管25中に紫外線吸収式の第1のオゾン濃度測定部31を設ける。この部分を流れるオゾン水は、測定に必要な最小限の流量に調整する。また、測定後のオゾン水は、貯留タンク10に戻し、殺菌洗浄の対象物である人工透析装置30には供給しない。人工透析装置30には、貯留タンク10の第1タンク1で高濃度に維持されたオゾン水がそのままの状態で配管21を通じて供給される。
【0027】
図3は、上記のオゾン混合機13の具体的な内部構造を示す縦断面図である。
図に示したのオゾン混合機は直線状のものであった、この実施例のオゾン混合機はL字状に構成されている。いずれも本発明の流体混合装置として適用できる。
図3に示す第1の混合機11は、加圧された水が流入する流入口47と流入した水を排出する排出口44との間にベンチュリ管43を有するオゾン水生成パイプ42と、オゾン水生成パイプ42のベンチュリ管43の細径部に一端が開口し、オゾン水生成パイプ42内を流れる水の吸引作用を利用してオゾンガスを水に混合させるイジェクタパイプ41とを備えた構成になっている。流入口47には、図2に示したポンプ15が接続されている。流入口47からオゾン水が供給される。また、オゾンを含んだガスは、イジェクタパイプ41から供給される。オゾン水がベンチュリ管43に流れ込むと、オゾン水の流れが急激に速くなる。このベンチュリ管43に開口しているイジェクタパイプ41の内部は、このオゾン水の流れによって、減圧され、マイナス1気圧程度の負圧が発生する。これによって、強制的にオゾンを含んだガスが、ベンチュリ管43中に吹き出される。オゾン水とオゾンを含んだガスが混合された液体は、ベンチュリ管出口の大径部において急激に膨張するから、この部分で爆発的な衝撃を受け、一気に混合される。こうして、高い濃度のオゾン水が生成される。なお、この構造は、上記特許文献2に記載されている。
【0028】
既存の技術では、ここで生成されたオゾン水をそのまま利用し、混合できなかったオゾンを含むガスは分離して無害化し排出される。しかしながら、この実施例では、生成されたオゾン水と混合しきれなかったオゾンを含むガスとをさらに次の第2の混合機12に導く。第2の混合機12は、拡径部45を備える。また、この拡径部45の内部には、略円錐状のブロック46を配置している。このブロック46は、上流側に円錐の尖端を向け、下流側に底面46aを向けて配置され、周面には階段状の凹凸46bが形成されている。従って、階段状の凹凸46bは下流に向かうほど大径化する円板を重ね合わせたような形状になる。管に拡径部45を設け、略円錐状のブロック46を使用したのは、管内を流れるオゾン水の流れを大きく妨げず、この部分が抵抗になって逆方向の水圧が発生しないようにするためである。
【0029】
以上の構成にすると、階段状の凹凸46bに衝突したオゾン水は、図3のように複雑な渦流を発生する。オゾン水と共に階段状凹凸46bに衝突したオゾンを含むガスの気泡は、微細に砕かれてオゾン水と混ざり合う。この動作を階段状凹凸46bに沿って何度も繰り返すことにより、オゾンを含むガスがオゾン水に溶け込んで、オゾン濃度の高いオゾン水が生成される。その後このオゾン水は、出口49を通じてオゾン水を蓄える第1タンクに排出される。実験によれば、第1の混合機11を用いて生成したオゾン水の濃度が6PPMであったとき、第2の混合機12を接続して混合すると、約2倍の12PPM、又は、それ以上までオゾン濃度を高めることができた。なお、第2の混合機12のみを単独で用いた場合には、生成したオゾン水の濃度は3PPM程度にしかならない。第1の混合機11を2台連結したときは、中間でオゾン水の水圧を高めるようにしないと、2台目のほうの混合機能が低下する。いずれにしても、図3に示した組み合わせが著しく混合効率がよいことが実証された。
【0030】
また、以上の性能を発揮させるには、第1の混合機11と第2の混合機12との間に、所定長の整流用流路を設ける必要がある。第1の混合機11から出た直後のオゾン水は多数の渦を含む乱流である。一方、第2の混合機12では、下流の方向に流れの方向が向いたオゾン水等が勢いよく衝突するほど、混合効果が高まる。このためには、上記整流用流路でオゾン水を空走させて流れの方向を整えることが好ましい。この整流用流路はほぼ一定の太さのパイプにより構成できる。その長さは、実験的に選定するとよい。透明体で実験機を制作し、気泡の流れが整った位置以降に第2の混合機12を設けるとよい。なお、図2において、貯留タンク10の上部空間には、オゾン水に溶け込まなかったオゾンが貯まる。貯留タンク10の内部を負圧にしないようにして、ガス圧力の異常上昇を防止するいわゆる安全弁でも設けておけば、万一、オゾンガスの供給が一時的に停止したような場合でも、オゾン水の濃度をしばらくの間、実用濃度に維持することができる。従って、オゾン水を供給して洗浄する対象装置の洗浄効果を確実に保持できる。また、貯留タンク10の上部空間がオゾンガスで満たされていれば、この空間に雑菌も侵入しないという効果がある。
【0031】
図4(a)は、貯留タンク10に新しい水を供給する機構を示す縦断面図である。図4(b)は、洗浄系統の配管の一部を示す側面図である。
図4(a)に示すように貯留タンク10の第2タンク2の底部には、配管36が突き出しており、その先端部分は、U字形に湾曲されて一方の循環系統の配管16の開口部近くに配置されている。第1タンク1側に開口している他方の循環系統の配管17の調整バルブ18を調整すると、配管17から取り出すオゾン水の量と配管16から取り出すオゾン水の量の比を調整できる。これによって、オゾン混合機13に送り出すオゾン水の濃度を最適化する。すなわち、オゾン混合機13で最大の濃度のオゾン水が一定の条件で生成できるように循環系統の配管14の供給オゾン水の濃度を調整しておく。配管36は、配管16の開口部付近に新しい水を供給するので、配管16からは比較的濃度の薄いオゾン水が循環系統の配管14に送り込まれることになる。なお、図4(a)の矢印に示すように、配管36から供給された新しい水は、第2タンク2の内部にも供給される。また、第2タンク2の内部のオゾン水の一部は、配管16に供給される。
【0032】
図4(b)に示すように、洗浄系統21の配管には、分岐部28が設けられており、ここに分岐配管25が接続されている。この分岐配管25からは、オゾン水の濃度測定に必要な最小限のオゾン水が取り出される。そしてこれが、既に図2で説明した要領で、オゾン水濃度測定部31に送り出される。
【0033】
図5は、上記の貯留タンクにおけるオゾン水の処理状態と濃度変化を説明するための図である。
図5(a)において、例えば、第1タンク1の内部のオゾン水5が配管21、14に供給したために水位が低下した場合の動作を説明する。なお、図5(a)における矢印51から55は、いずれもオゾン水の流れとその方向を示す。まず、矢印52に示すように第1タンク1からオゾン水が洗浄系統の配管21へ供給される。一方、第1タンク1と第2タンク2から矢印53と矢印54に示すように、オゾン水5が循環系統の配管14から取り出され、オゾン混合機13によりさらに高濃度にされて第1タンク1に戻る。一方、第1タンク1の水位が低下すると、第2タンク2から透孔4を通じて矢印51に示すようにオゾン水が第1タンク1に流れ込む。なお、この透孔4の口径を十分に小さくしておけば、オリフィス効果により、第1タンク1の内部のオゾン水の濃度を著しく低下させない状態で第2タンク2から少しずつオゾン水を供給し、水位を基準値に維持することができる。また、配管36から新しい水が第2タンク2に供給されると、その一部は矢印55に示すように第2タンク2の中に流れ込む。第1タンク1側には、流れ込みにくくなっているため、第1タンク1の内部に蓄えられたオゾン水の濃度の低下が防止される。なお、配管36から供給された新しい水の一部は、配管16を通じて矢印54に示すようにして、オゾン混合機13へ供給される。
【0034】
図5(b)に示すように、上記のような制御をすれば、第1タンク1のオゾン濃度は設定した非常に高い水準で安定に維持される。一方、第2タンク2に蓄えられたオゾン水は、洗浄系統の配管21へ送り出されるオゾン水の量に応じて若干濃度変動を生じる。また、循環系統の配管14に流れるオゾン水は、第2タンク2のオゾン水と第1タンク1のオゾン水を混合すると共に、配管36から供給される新たな水を多く含むので、若干オゾン濃度が低いものになる。なお、この濃度でオゾン混合機13にオゾン水が供給されたとき、オゾン混合機13では、目的とする第1タンク1の濃度以上の濃度のオゾン水を生成できる、という条件で循環系統の配管14に供給されるオゾン水の濃度を定めておくとよい。この濃度は、既に説明したように調整バルブ18の調整により選択できる。また、この他に、図2に示した分岐配管25と配管28を通じて測定用に取り出されるオゾン水の濃度は、オゾン濃度測定部31を通過した後、非常に低下する。この濃度は、図5(b)に示す程度のレベルになる。しかしながら、この水量が極めて少ないので、そのまま第1タンク1に戻しても第1タンク1の内部のオゾン水の実質的な濃度低下を招くおそれはない。
【0035】
一方、図2に示したように、人工透析装置30で殺菌洗浄処理を終えたオゾン水の流路に、紫外線吸収式の第2のオゾン濃度測定部32を設ける。これは、使用済みのオゾン濃度を連続的に監視するためのものである。第1のオゾン濃度測定部31は、人工透析装置へ供給されるオゾン水の品質管理用で、一定以上の濃度があることを確認するために、測定値を表示する。例えば、オゾン濃度が6PPM以上ならば十分な濃度であるという、基準を設けておけばよい。一方、第2のオゾン濃度測定部32は、人工透析装置へ供給されたオゾン水が実際に有効に機能したかどうかを確認するために、測定値を表示する。例えば、オゾン濃度が2PPM以上ならばよいという、基準を設けておく。もしオゾン濃度が1PPM以下であれば、人工透析装置内で殺菌洗浄に必要なオゾンが不足しているおそれがあると判断する。オゾン濃度が4PPM以上ならば、人工透析装置内で殺菌洗浄がほぼ終了して、オゾンが消費されなくなったと判断するとよい。
【0036】
なお、第1のオゾン濃度測定部31と第2のオゾン濃度測定部32のオゾン濃度の差分は、人工透析装置の内部で殺菌洗浄に寄与したオゾンの量と関連性がある。従って、この差分を表示することにより、殺菌洗浄効果の確認もできる。同時に、所定時間を経過して差分が減少したときには、殺菌洗浄処理がほぼ終了したことを確認できる。
【0037】
以上のような制御によって本発明のオゾン水供給装置は、貯留タンクに常に高い濃度のオゾン水を蓄えると共にその濃度を維持したまま、洗浄系統の配管にオゾン水を送り出すことができる。また、極めて効率のよいオゾン混合機を使用することによって、高濃度のオゾン水の状態を維持できる。また、貯留タンクを隔壁によって第1タンクと第2タンクとに分離し、不足した新たな水を第2タンクに供給するようにしたので、第1タンクのオゾン水濃度を高い水準に維持できる。また、第2タンクに供給された新たな水は、循環系統の配管を通ってオゾン混合機に相当部分が送られるようにしたので、第2タンクのオゾン濃度を大きく低下させるという問題も解消されている。
【0038】
なお、上記のオゾン水供給装置は、実施例では、人工透析装置の消毒洗浄に用いる例を説明したが、食品関係や医療器関係、その他様々な分野においてオゾン水が利用されている。こうした分野においてこのオゾン水供給装置は、広く活用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る流体混合装置の縦断面と配管接続系統図である。
【図2】図1に示した流体混合装置の内部構造例を示す縦断面図である。
【図3】図に示した配管の一部を拡大して示す図で、(a)は貯留タンクに新しい水を供給する機構を示す縦断面図、(b)は洗浄系統の配管の一部を示す側面図である。
【図4】本発明に係る貯留タンクにおけるオゾン水の変動状況を示す図で、(a)はオゾン水の水位の変化の説明図、(b)はオゾン水のオゾン濃度の変化を説明する説明図である。
【図5】上記の貯留タンクにおけるオゾン水の処理状態と濃度変化を説明するための図である。
【符号の説明】
【0040】
1 第1タンク
2 第2タンク
3 隔壁
4 透孔
5 オゾン水
7 放電管
8 ブロア
10 貯留タンク
11 第1の混合機
12 第2の混合機
13 オゾン混合機
14 循環系統の配管
15 ポンプ
16、17 配管
18 調整バルブ
19 整流用流路
21 洗浄系統の配管
22 ポンプ
23 逆止弁
25 分岐配管
26 ミニマムフローバルブ
27 サンプリングバルブ
28 配管
30 洗浄対象物
31 第1の濃度測定部
32 第2の濃度測定部
34、35 電磁弁
36、37 配管
41 インジェクタパイプ
45 拡径部
46 ブロック
60 浄化槽
61 取り出しパイプ
62 ポンプ
65 汚水
66 オゾン発生器
67 小径部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンチュリ管内の小径部で加速された第1の流体中に、前記ベンチュリ管内に開口したインジェクタパイプから第2の流体を噴出させて、前記第1の流体と前記第2の流体とを混合する第1の混合機と、
前記第1の混合機から流出する第1の流体と第2の流体の混合液を所定距離だけ空走させて、この混合液全体の流れの方向を整えるほぼ一定の太さのパイプにより構成された整流用流路と、
流路の断面積が前記整流用流路の断面積以上になるように内径を拡大した拡径部を持つパイプにより構成され、この拡径部の内部に、上流側に円錐の尖端を向け下流側に底面を向けて、周面には流れの方向にほぼ垂直な、前記混合液が衝突する面を持つ階段状の凹凸が形成された略円錐状のブロックを配置した第2の混合機とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の流体混合装置。
【請求項2】
前記第2の混合機を通過した混合液が、戻りパイプ63を用いて浄化槽60に戻されることを特徴とする請求項1に記載の流体混合装置。
【請求項3】
前記第1の流体が、浄化槽60から取り出しパイプとポンプを通じて取り出された汚水であって、前記第2の流体がオゾンであることを特徴とする汚水処理のための請求項1に記載の流体混合装置。
【請求項4】
前記第1の流体が酵素を含む浄化槽60から取り出しパイプとポンプを通じて取り出された汚水であって、前記第2の流体が空気であることを特徴とする汚水処理のための請求項1または3に記載の流体混合装置。
【請求項5】
前記第2の混合機を通過した汚水が、戻りパイプ63を用いて浄化槽60に戻されることを特徴とする請求項3または4に記載の流体混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−687(P2009−687A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260338(P2008−260338)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【分割の表示】特願2003−127976(P2003−127976)の分割
【原出願日】平成15年5月6日(2003.5.6)
【出願人】(391045934)株式会社リガルジョイント (14)
【Fターム(参考)】