説明

流体測定装置

【課題】 一の測定部で、複数の採取箇所における,ある特定の測定項目についての被測定流体の測定を行うことができる流体測定装置を実現する。
【解決手段】 流体測定装置1は、給水ライン2と接続された第一サンプリングライン7および第二サンプリングライン8、並びに濃縮水排水ライン5と接続された第三サンプリングライン9と、サンプリングされた被測定流体を特定の測定項目にしたがって測定する測定部10と、選択されたいずれかの前記各サンプリングライン7,8,9から前記測定部10へ被測定流体を導入する弁装置を構成する第一開閉弁11,第二開閉弁12および第三開閉弁13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体流路からサンプリングされた被測定流体を、たとえば濁度,塩素濃度,硬度分濃度,電気伝導度,溶存酸素濃度,pH,水圧,煤煙濃度などの測定項目にしたがって測定する流体測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体流路からサンプリングされた被測定流体を測定項目にしたがって測定する流体測定装置として、濁度計,塩素濃度計,硬度分濃度計,電気伝導度計,溶存酸素濃度計,pH計等の水質測定装置などが知られており(たとえば、特許文献1)、また水圧測定装置,煤煙濃度測定装置なども知られている。これらの流体測定装置は、様々な用途に用いられており、たとえば前記各種の水質測定装置は、蒸気ボイラ,温水ボイラ,クーリングタワー,給湯器等の熱機器や、洗浄装置等の水使用機器などの機器へ供給される給水の水処理を行う水処理システムにおいて、処理水の水質監視や、前記機器への給水ラインと接続された水処理部の運転条件を決定するデータ収集を行うために、前記給水ラインに設けられている。
【特許文献1】特許第3214400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記水処理システムにおいては、特定の測定項目について、前記給水ラインの複数箇所で被測定水を採取し、測定を行う場合がある。この場合、各採取箇所に、前記測定項目についての測定を行う前記流体測定装置をそれぞれ接続していることから、採取箇所の数に応じて前記流体測定装置が必要になっていた。また、各採取箇所に接続された個々の前記流体測定装置の個体差により、それぞれの前記流体測定装置で測定精度が異なり、各採取箇所での測定値を比較する場合に、正確性を欠くおそれがあった。
【0004】
この発明は、前記の事情に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、一の測定部で、複数の採取箇所における,ある特定の測定項目についての被測定流体の測定を行うことができる流体測定装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、流体流路と接続され、被測定流体をサンプリングする複数のサンプリングラインと、サンプリングされた被測定流体を特定の測定項目にしたがって測定する測定部と、選択されたサンプリングラインから前記測定部へ被測定流体を導入する弁装置とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明では、前記流体流路を流れる被測定流体を、前記複数のサンプリングラインのうち、前記弁装置で選択されたサンプリングラインから前記測定部へ導入する。そして、導入された被測定流体について、前記測定部で特定の測定項目にしたがって測定を行う。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、一の測定部で、複数のサンプリングラインの接続箇所,すなわち複数の採取箇所における,ある特定の測定項目についての被測定流体の測定を行うことができる。これにより、各採取箇所での測定値を比較する場合に、前記流体測定装置の個体差による影響を受けることはなく、正確な比較結果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。
(第一実施形態)
まず、この発明の第一実施形態について説明する。第一実施形態の流体測定装置は、機器への給水ラインに水処理部を接続した水処理システムに設けられる。
【0009】
ここで、前記機器としては、蒸気ボイラ,温水ボイラ,クーリングタワー,給湯器などの熱機器を挙げることができる。また、前記機器としては、半導体製造における電子部品,医療器具等の各種洗浄装置などの水使用機器を挙げることができる。
【0010】
前記水処理部としては、給水中の濁質を濾材によって除去する濁質除去部,給水中の次亜塩素酸ナトリウムなどに由来する酸化剤を活性炭などの吸着剤によって除去する酸化剤除去部,給水中の硬度分をイオン交換樹脂によって除去する軟水化処理部,給水中の不純物(たとえば、溶存塩類など)をナノ濾過膜や逆浸透膜などの濾過膜によって除去する濾過膜部,給水中の溶存気体(たとえば、溶存酸素)を除去する脱気処理部などを挙げることができる。ただし、前記水処理システムは、これらの前記各水処理部を全て備える必要はなく、原水の水質や要求される処理水の水質を考慮して、組合せおよび配列が適宜選択される。
【0011】
前記水処理システムに設けられる前記流体測定装置は、流体流路と接続され、被測定流体をサンプリングする複数のサンプリングラインと、サンプリングされた被測定流体を特定の測定項目にしたがって測定する測定部と、選択されたサンプリングラインから前記測定部へ被測定流体を導入するための弁装置とを備える。
【0012】
前記各サンプリングラインは、一つの流体流路の複数箇所に接続してもよく、また複数の流体流路と接続してもよい。前記各サンプリングラインを複数の流体流路と接続するときには、各流体流路にそれぞれ一箇所ずつ接続してもよいし、各流体流路の複数箇所に接続してもよい。
【0013】
前記流体流路としては、前記給水ラインを挙げることができる。また、前記濾過膜部が、濃縮水の一部のみを排水し、残部を前記濾過膜の上流側へ還流させる構成(クロスフロー濾過)であるときには、前記サンプリングラインを接続する流体流路として、濃縮水の排水ラインも挙げることができる。
【0014】
前記流体測定装置では、流体流路を流れる被測定流体を、前記複数のサンプリングラインのうち、前記弁装置で選択されたサンプリングラインから前記測定部へ導入する。そして、導入された被測定流体について、前記測定部で特定の測定項目にしたがって測定を行う。
【0015】
前記測定部における特定の測定項目としては、たとえば濁度,結合塩素濃度および/または遊離塩素濃度(以下、「塩素濃度」と云う。),硬度分濃度,電気伝導度,溶存酸素濃度,pH,水圧などを挙げることができる。前記測定部は、前記測定項目に応じて周知の測定方法を利用できる。たとえば、前記測定項目が濁度の場合には、透過光式や散乱光式の光学式測定方法が利用できる。また、前記測定項目が塩素濃度,硬度分濃度,あるいは溶存酸素濃度の場合には、発色試薬を用いた比色式の光学的測定方法が利用できる。また、前記測定項目が電気伝導度,pHあるいは溶存酸素濃度の場合には、検出に電極を用いる電気化学的測定方法が利用できる。さらに、前記測定項目が水圧の場合には、圧電式や半導体ゲージ式などの測定方法が利用できる。
【0016】
ここで、前記測定項目が濁度であるとき,すなわち前記流体測定装置を濁度計として用いるときには、前記サンプリングラインを、たとえば前記濁質除去部の上流側と下流側のそれぞれの前記給水ラインと接続する。これにより、前記濁質除去部の上流側と下流側のそれぞれを流れる給水の濁度を測定することができる。ここで、前記濁質除去部の上流側を流れる給水の濁度を測定することにより、この測定値と前記濁質除去部の積算の通水量とに基づいて、前記濁質除去部の洗浄のタイミングを知ることができる。また、前記濁質除去部の上流側と下流側のそれぞれを流れる給水の濁度を測定し、これらの測定値を比較することにより、前記濁質除去部が正常に機能しているか否かを判断し、前記濁質除去部が洗浄のタイミングか否かを判断することができる。
【0017】
また、前記測定項目が塩素濃度であるとき,すなわち前記流体測定装置を塩素濃度計として用いるときには、前記サンプリングラインを、たとえば前記酸化剤除去部の上流側と下流側のそれぞれの前記給水ラインと接続する。これにより、前記酸化剤除去部の上流側と下流側のそれぞれを流れる給水の塩素濃度を測定することができる。ここで、前記酸化剤除去部の上流側を流れる給水の塩素濃度を測定することにより、この測定値と前記酸化剤除去部の積算の通水量とに基づいて、前記酸化剤除去部の前記吸着剤の交換タイミングを決定することができる。また、前記酸化剤除去部の上流側と下流側のそれぞれを流れる給水の塩素濃度を測定し、これらの測定値を比較することにより、前記酸化剤除去部が正常に機能しているか否かを判断し、前記吸着剤が交換タイミングか否かを判断することができる。
【0018】
また、前記測定項目が硬度分濃度であるとき,すなわち前記流体測定装置を硬度計として用いるときには、前記サンプリングラインを、たとえば前記軟水化処理部の上流側と下流側のそれぞれの前記給水ラインと接続する。これにより、前記軟水化処理部の上流側と下流側のそれぞれを流れる給水の硬度分濃度を測定することができる。ここで、前記軟水化処理部の上流側を流れる給水の硬度分濃度を測定することにより、この測定値と前記軟水化処理部の積算の通水量とに基づいて、前記軟水化処理部の再生タイミングを決定することができる。また、前記軟水化処理部の下流側を流れる給水の硬度分濃度を測定することにより、硬度漏れの有無を判断し、前記軟水化処理部が再生タイミングか否かを判断することができる。
【0019】
また、前記測定項目が電気伝導度であるとき,すなわち前記流体測定装置を電気伝導度計として用いるときには、前記サンプリングラインを、たとえば前記濾過膜部の上流側と下流側のそれぞれの前記給水ラインおよび前記排水ラインと接続する。これにより、前記濾過膜部の上流側と下流側のそれぞれを流れる給水および濃縮水の電気伝導度をそれぞれ測定することができる。
【0020】
ここで、前記濾過膜部が、クロスフロー濾過であるときには、前記濾過膜部への給水の水質悪化により、透過水の水質悪化や前記濾過膜の詰まりが発生しやすい。すなわち、前記濾過膜部への給水中に含まれる不純物の濃度が増加すると、前記濾過膜の表面付近で不純物が過度に濃縮しやすく、これにより透過水中へリークする不純物が多くなって、透過水の水質悪化を生じやすい。また、前記濾過膜の表面付近で不純物が過度に濃縮すると、ファウリングやスケーリングといった現象による前記濾過膜の詰まりが発生する。したがって、濃縮水の排水量を前記濾過膜の表面付近で過度の濃縮が生じない量に設定する必要があるが、前記濾過膜部への給水の水質は、地域的な要因,季節的な要因などによって変動する。そこで、前記濾過膜部の上流側を流れる給水の水質に基づいて、透過水の水質を所定範囲に維持し、また前記濾過膜の詰まりを防止するように、濃縮水の排水量を調節する方法が考えられる。したがって、このような方法において、前記濾過膜部の上流側を流れる給水の水質を把握するために、前記濾過膜部の上流側を流れる給水の電気伝導度を測定する。
【0021】
また、前記濾過膜は、長期間使用していると、給水中に含まれる酸化性物質により、前記濾過膜を形成する高分子材料が次第に酸化分解を受け、経時的に膜の劣化が発生する場合がある。ここで、前記濾過膜の劣化は、通常、前記濾過膜が有する細孔を拡大する側へ作用する。したがって、前記濾過膜の劣化が生じると、不純物を阻止しにくくなり、透過水中へリークする不純物が多くなって、透過水の水質が悪化する。そこで、透過水の水質を維持するため、前記濾過膜の劣化状態に基づいて、酸化性物質の濃度を下げて前記濾過膜の劣化の進行を抑制するように、濃縮水の排水量を調節する方法が考えられる。ここで、前記濾過膜が劣化しているか否かは、前記濾過膜部の下流側を流れる給水の電気伝導度を測定し、この測定値に基づいて透過水中の不純物の残存率または残存量を求め、これを運転初期の不純物の残存率または残存量と比較することにより、判断することができる。したがって、前記濾過膜の劣化状態を把握するために、前記濾過膜部の下流側を流れる給水の電気伝導度を測定する。
【0022】
さらに、前記測定項目が水圧であるとき,すなわち前記流体測定装置を水圧測定装置として用いるときには、前記サンプリングラインを、たとえば前記濾過膜部の上流側と下流側のそれぞれの前記給水ラインおよび前記排水ラインと接続する。これにより、前記濾過膜部の上流側と下流側のそれぞれの給水ラインを流れる給水の水圧および前記排水ラインを流れる給水の水圧を測定することができる。そして、前記濾過膜部の上流側と下流側のそれぞれの給水ラインを流れる給水の水圧に基づいて、または前記濾過膜部の上流側を流れる給水の水圧と前記排水ラインを流れる濃縮水の水圧に基づいて、前記濾過膜部の圧力差を演算し、これを運転初期の圧力差と比較することにより、前記濾過膜の詰まりや劣化が生じているか否かを判断することができる。
【0023】
以上のように、第一実施形態の流体測定装置によれば、一の測定部で、複数のサンプリングラインの接続箇所,すなわち複数の採取箇所における,ある特定の測定項目についての被測定流体の測定を行うことができる。これにより、各採取箇所での測定値を正確に比較することができる。
【0024】
ここで、前記流体流路との前記サンプリングラインの接続箇所は、前記各接続箇所に限られるものではなく、前記サンプリングラインは、測定の目的に応じて、前記流体流路の適宜箇所に接続する。また、前記各流体測定装置の説明で述べた測定の目的は一例であり、このほかの目的で測定を行うときがあることは云うまでもない。
【0025】
(第二実施形態)
つぎに、第二実施形態について説明する。第二実施形態の流体測定装置は、複数台のボイラを並列に設置した多缶設置ボイラ装置に設けられる煤煙濃度測定装置である。この第二実施形態の流体測定装置は、前記第一実施形態の流体測定装置と基本的構成は同じとなっているが、前記複数のサンプリングラインが、複数の流体流路,すなわち前記各ボイラの煙道とそれぞれ接続されている。そして、測定部では、前記各サンプリングラインのうち、いずれかのサンプリングラインから導入された排ガス中の煤煙濃度を測定するようになっている。
【0026】
このような第二実施形態の流体測定装置によれば、一の測定部で、前記各煙道を流れる排ガス中の煤煙濃度を測定することができ、これにより前記各ボイラの燃焼状態を知ることができる。そして、それぞれの測定値を比較し、前記各ボイラの燃焼状態が均一になるように、前記各ボイラへの空気量を調節する。
【0027】
以上のように、第二実施形態の流体測定装置によれば、一の測定部で、複数のサンプリングラインの接続箇所,すなわち複数の採取箇所における,ある特定の測定項目についての被測定流体の測定を行うことができる。これにより、各採取箇所での測定値を正確に比較することができる。
【実施例】
【0028】
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施例)
まず、この発明の第一実施例について説明する。図1は、この発明を実施する流体測定装置の第一実施例の構成を示す概略的な説明図である。
【0029】
図1に示す流体測定装置1は、ボイラ(図示省略)へ給水を供給する給水ライン2と接続された濾過膜部3を備えた膜濾過システム4に設けられている。
【0030】
ここで、前記濾過膜部3について説明する。前記濾過膜部3は、前記ボイラの複数の伝熱管や管寄せ(それぞれ図示省略)を形成する非不動態化金属体の腐食を引き起こす腐食促進成分を捕捉し、また前記腐食の抑制に寄与する腐食抑制成分を透過する濾過膜モジュール(図示省略)を備え、この濾過膜モジュールにより給水を濾過処理するように構成されている。
【0031】
前記濾過膜モジュールは、具体的には、ナノ濾過膜(NF膜,NF:Nanofiltration)を使用して形成されている。前記ナノ濾過膜は、ポリアミド系,ポリエーテル系などの合成高分子膜であり、2nm程度より小さい粒子や高分子(分子量が最大数百程度の物質)の透過を阻止できる液体分離膜である。また、前記ナノ濾過膜は、その濾過機能の点において、分子量が1,000〜300,000程度の物質を濾別可能な限外濾過膜(UF膜)と、分子量が数十程度の物質を濾別可能な逆浸透膜(RO膜)との中間に位置する機能を有する液体分離膜である。ちなみに、前記ナノ濾過膜は、各社から市販されており、容易に入手することができる。
【0032】
前記濾過膜部3では、前記給水ライン2を流れる給水が一側から流入し、この給水が前記ナノ濾過膜で濾過されて、他側から透過水と濃縮水とが分離されて流出するようになっている。透過水は、前記給水ライン2を流れ、給水タンク(図示省略)内へ流入して、この給水タンクから前記ボイラへ供給されるようになっている。一方、濃縮水は、その一部が前記濾過膜部3と接続された濃縮水排水ライン5から系外へ排水され、残部が前記濃縮水排水ライン5と前記濾過膜部3の上流側の前記給水ライン2とを接続する循環水ライン6を流れて、前記給水ライン2へ還流されるように構成されている。
【0033】
さて、前記流体測定装置1は、被測定水をサンプリングするサンプリングラインとして、第一サンプリングライン7,第二サンプリングライン8および第三サンプリングライン9を備え、さらにこれらの各サンプリングライン7,8,9のいずれかからサンプリングされた被測定水を、特定の測定項目にしたがって測定する測定部10とを備えている。
【0034】
前記第一サンプリングライン7は、前記濾過膜部3の上流側の前記給水ライン2と接続され、また前記第二サンプリングライン8は、前記濾過膜部3の下流側の前記給水ライン2と接続され、さらに前記第三サンプリングライン9は、前記濃縮水排水ライン5と接続されている。そして、前記各サンプリングライン7,8,9には、それぞれ第一開閉弁11,第二開閉弁12および第三開閉弁13が設けられている。
【0035】
前記各開閉弁11,12,13は、前記各サンプリングライン7,8,9のうちのいずれかを選択し、選択したサンプリングラインから前記測定部10へ被測定水を導入する弁装置(符号省略)を構成している。そして、前記各開閉弁11,12,13は、信号線14,14,14を介して制御部15とそれぞれ接続されている。
【0036】
前記制御部15は、前記各開閉弁11,12,13を開閉させて、前記弁装置を制御する。ここで、前記制御部15による前記弁装置の制御について説明する。前記弁装置により、前記第一サンプリングライン7を選択して、この第一サンプリングライン7から前記測定部10へ被測定水を導入するときには、前記制御部15は、前記第一開閉弁11のみを開状態にし、前記第二開閉弁12および前記第三開閉弁13を閉状態にする。また、前記弁装置により、前記第二サンプリングライン8を選択して、この第二サンプリングライン8から前記測定部10へ被測定水を導入するときには、前記制御部15は、前記第二開閉弁12のみを開状態にし、前記第一開閉弁11および前記第三開閉弁13を閉状態にする。さらに、前記弁装置により、前記第三サンプリングライン9を選択して、この第三サンプリングライン9から前記測定部10へ被測定水を導入するときには、前記制御部15は、前記第三開閉弁13のみを開状態にし、前記第一開閉弁11および前記第二開閉弁12を閉状態にする。
【0037】
前記測定部10における測定項目としては、たとえば電気伝導度や水圧などを挙げることができる。そして、前記測定部10へ導入された被測定水は、測定終了後、前記測定部10と接続された被測定水排水ライン16から排水されるようになっている。
【0038】
さて、前記流体測定装置1では、前記測定部10で測定を行うときには、前記制御部15が前記弁装置を制御し、この弁装置により、前記各サンプリングライン7,8,9のうち、いずれかを選択して前記測定部10へ被測定水を導入する。具体的には、前記濾過膜部3の上流側を流れる濾過処理前の給水を測定するときには、前記弁装置で前記第一サンプリングライン7を選択し、この第一サンプリングライン7から前記測定部10へ被測定水を導入する。また、前記測定部10において、前記濾過膜部3の下流側を流れる透過水を測定するときには、前記弁装置で前記第二サンプリングライン8を選択し、この第二サンプリングライン8から前記測定部10へ被測定水を導入する。さらに、前記測定部10において、前記濃縮水排水ライン5を流れる濃縮水を測定するときには、前記弁装置で前記第三サンプリングライン9を選択し、この第三サンプリングライン9から前記測定部10へ被測定水を導入する。
【0039】
前記測定部10では、前記各サンプリングライン7,8,9のいずれかから導入された被測定水について、特定の測定項目にしたがって測定を行う。そして、測定を終えた被測定水は、前記被測定水排水ライン16から、前記測定部10の外部へ排水される。
【0040】
ここで、前記測定部10の測定結果を用いた前記膜濾過システム4の運転方法について説明する。前記測定部10の測定項目が電気伝導度であるとき,すなわち前記流体測定装置1を電気伝導度計として用いるときには、前記第一サンプリングライン7から被測定水を導入して、前記濾過膜部3の上流側を流れる給水の電気伝導度を測定し、この測定値に基づいて、透過水の水質を所定範囲に維持し、また前記ナノ濾過膜の詰まりを防止するように、濃縮水の排水量を調節する。たとえば、測定値が給水中の不純物濃度の増加を示す値になったときには、濃縮水の排水量を増加する。
【0041】
また、前記第二サンプリングライン8から被測定水を導入して、前記濾過膜部3の下流側を流れる透過水の電気伝導度を測定し、この測定値に基づいて、透過水中の不純物の残存率または残存量を求め、これを運転初期の不純物の残存率または残存量と比較する。そして、運転初期の不純物の残存率または残存量に対し、許容値を超える開きが生じたときには、前記ナノ濾過膜の劣化が生じたと判断し、濃縮水の排水量を増加するよう制御して、前記ナノ濾過膜の劣化の進行を抑制する。
【0042】
さらに、前記測定部10の測定項目が水圧であるとき,すなわち前記流体測定装置1を水圧測定装置として用いるときには、前記第一サンプリングライン7から被測定水を導入して前記濾過膜部3の上流側を流れる給水の水圧を測定し、また前記第二サンプリングライン8から被測定水を導入して前記濾過膜部3の下流側を流れる透過水の水圧を測定し、これらの測定値に基づいて、前記濾過膜部3の圧力差を求める。また、前記濾過膜部3の圧力差は、前記第一サンプリングライン7から被測定水を導入して前記濾過膜部3の上流側を流れる給水の水圧を測定し、また前記第三サンプリングライン9から被測定水を導入して前記濃縮水排水ライン5を流れる濃縮水の水圧を測定し、これらの測定値に基づいて求めることもできる。そして、求めた圧力差を、運転初期の圧力差と比較し、運転初期の圧力差に対し、許容値を超える開きが生じたときには、前記ナノ濾過膜の詰まりまたは劣化が生じたと判断し、濃縮水の排水量を増加するよう制御して、前記ナノ濾過膜の詰まりや劣化の進行を抑制する。
【0043】
つぎに、第二実施例について説明する。図2は、この発明を実施する流体測定装置の第二実施例の構成を示す概略的な説明図である。図2において、図1に示す構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図2に示す流体測定装置17は、多缶設置ボイラ装置18に設けられる煤煙濃度測定装置であり、前記測定部10の測定項目は、煤煙濃度である。前記多缶設置ボイラ装置18は、第一ボイラ19,第二ボイラ20および第三ボイラ21が並列に設置されており、これらの各ボイラ19,20,21の煙道22,23,24に、前記第一サンプリングライン7,前記第二サンプリングライン8および前記第三サンプリングライン9がそれぞれ接続されている。そして、前記弁装置(符号省略)を構成する前記各開閉弁11,12,13で、前記各サンプリングライン7,8,9のいずれかを選択して、前記各ボイラ19,20,21のいずれかで発生した排ガスを前記測定部10へ導入し、煤煙濃度の測定を行うようになっている。前記測定部10へ導入された排ガスは、測定終了後、前記測定部10と接続された排気ライン25から排気されるようになっている。
【0045】
以上、この発明を前記第一実施例および前記第二実施例により説明したが、この発明は、前記各実施例に限定されないことはもちろんである。たとえば、前記各実施例では、前記各サンプリングライン7,8,9は、別々に前記測定部10と接続するように構成されているが、前記各サンプリングライン7,8,9を途中で合流させて合流経路を形成し、この合流経路を前記測定部10と接続するように構成してもよい(図示省略)。この場合、前記各サンプリングライン7,8,9の合流部分に、流路を切替える切替弁を前記弁装置として設けて、この切替弁により、前記測定部10へ被測定水を導入するサンプリングラインを選択するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明を実施する流体測定装置の第一実施例の構成を示す概略的な説明図である。
【図2】この発明を実施する流体測定装置の第二実施例の構成を示す概略的な説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 流体測定装置
2 給水ライン(流体流路)
5 濃縮水排水ライン(流体流路)
7 第一サンプリングライン(サンプリングライン)
8 第二サンプリングライン(サンプリングライン)
9 第三サンプリングライン(サンプリングライン)
10 測定部
11 第一開閉弁(弁装置)
12 第二開閉弁(弁装置)
13 第三開閉弁(弁装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流路と接続され、被測定流体をサンプリングする複数のサンプリングラインと、
サンプリングされた被測定流体を特定の測定項目にしたがって測定する測定部と、
選択されたサンプリングラインから前記測定部へ被測定流体を導入する弁装置とを備える
ことを特徴とする流体測定装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−322777(P2006−322777A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−145234(P2005−145234)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】