説明

流体生成装置および成分抽出方法

【課題】超臨界または亜臨界の洗浄流体を所定の温度に保持した状態で、その流体を二酸化炭素に戻すことができる流体生成装置および成分抽出方法を提供する。
【解決手段】流体生成装置10は、昇圧ポンプ14を利用して二酸化炭素を昇温昇圧し、二酸化炭素を超臨界または亜臨界の洗浄流体に変え、洗浄流体を利用してフィルタの汚れ成分を抽出した後、洗浄流体を減圧してその流体を二酸化炭素に戻す。洗浄流体を二酸化炭素に戻す流体の減圧時では、洗浄流体を第1ルートに流入させるとともに循環ポンプ16を利用して流体を第2ルートに循環させ、加熱器15を利用して流体を所定の温度に加熱しつつ減圧分離ユニット12を利用して流体を減圧し、流体を二酸化炭素に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の物質を超臨界または亜臨界のいずれかの流体に変え、その流体をその流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻す流体生成装置および超臨界または亜臨界のいずれかの流体を利用して被収容物から所定の成分を抽出した後、その流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻す成分抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超臨界の二酸化炭素洗浄流体を供給する流体供給流路と、二酸化炭素洗浄流体が循環する洗浄流路と、それら流路につながって二酸化炭素洗浄流体が流入する洗浄容器と、流体供給流路に設置された昇圧ポンプと、洗浄流路に設置された循環ポンプと、洗浄容器の下流側に延びる洗浄流路に設置された濾過フィルタとから形成された洗浄装置がある(特許文献1参照)。昇圧ポンプは、洗浄容器に流入する二酸化炭素を所定の温度に昇温するとともに所定の圧力に昇圧する。循環ポンプは、被洗浄物の洗浄中に洗浄容器内部に流通する二酸化炭素洗浄流体の圧力を一定に保持しつつ、その洗浄流体を洗浄流路に循環させる。濾過フィルタは、洗浄流体に含まれる不純物を濾過する。この洗浄装置は、超臨界の二酸化炭素洗浄流体を洗浄流路に循環させ、洗浄容器の内部に収容された被洗浄物を洗浄するから、被洗浄物の洗浄時間を短縮することができる。また、濾過フィルタを洗浄流路に設置することで、洗浄流体に含まれる微細な不純物を取り除くことができ、洗浄流体を清浄に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−206485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公報に開示の洗浄システムは、昇圧ポンプを利用して二酸化炭素を超臨界の二酸化炭素洗浄流体に変え、その流体を流体供給流路から洗浄容器に供給し、その流体を利用して洗浄容器の内部に収容された被洗浄物を洗浄した後、流体を二酸化炭素に戻す必要がある。洗浄流体を二酸化炭素に戻すには、流体を一定の減圧速度で減圧して大気圧にする必要があるが、流体の減圧中に流体の温度が一気に低下し、洗浄容器の内部がマイナス温度になる場合がある。洗浄流体の減圧中に洗浄容器の内部がマイナス温度になると、被洗浄物が過酷な温度環境に曝され、被洗浄物を痛める原因となり、流体の減圧過程において被洗浄物がダメージを受ける場合がある。また、洗浄流体の減圧中に流体が気液混合領域を通って二酸化炭素に戻る場合があり、洗浄流体が気液混合領域を通ると、流体の減圧中に二酸化炭素が凍結して洗浄容器の内部にドライアイスが発生する場合がある。洗浄容器の内部にドライアイスが発生すると、そのドライアイスが消滅するまで減圧運転を中断しなければならず、洗浄流体を二酸化炭素に戻すまでに長時間を要するから、次の洗浄を実施することができず、洗浄回数を増やすことができない。
【0005】
本発明の目的は、超臨界または亜臨界の流体を所定の温度に保持した状態で、その流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる流体生成装置および成分抽出方法を提供することにある。本発明の目的は、被収容物にダメージを与えることなく、超臨界または亜臨界の流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる流体生成装置および成分抽出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の前提は、所定容積の気密容器と、気密容器の後に設置されて第1管路を介して気密容器につながる減圧分離ユニットと、減圧分離ユニットの後に設置されて第1管路を介して減圧分離ユニットにつながる回収供給ユニットと、回収供給ユニットと気密容器との間に延びる第1管路に設置された昇圧ポンプと、昇圧ポンプと気密容器との間に延びる第1管路に設置された加熱器とを備え、昇圧ポンプと加熱器とを利用して所定の物質を昇温昇圧し、物質を超臨界または亜臨界の流体に変えるとともに、減圧分離ユニットを利用して超臨界または亜臨界の流体を減圧し、その流体を物質に戻す流体生成装置である。
【0007】
前記前提における本発明の流体生成装置の特徴は、流体生成装置が、気密容器と減圧分離ユニットとの間に延びる第1管路から分岐して昇圧ポンプと加熱器との間に延びる第1管路につながる第2管路と、第2管路に設置された循環ポンプとを含み、流体を物質に戻す流体の減圧時では、流体を第1管路に流入させるとともに循環ポンプを利用して流体を第2管路に流入させ、加熱器を利用して流体を所定の温度に加熱しつつ減圧分離ユニットを利用して流体を減圧し、流体を物質に戻すことにある。
【0008】
本発明の流体生成装置の一例として、流体生成装置では、所定の成分を含有した被収容物を気密容器に収容し、超臨界または亜臨界の流体を気密容器に流入させて被収容物に含まれる成分を抽出した後、流体を前記物質に戻す。
【0009】
本発明の流体生成装置の他の一例としては、循環ポンプの流量が昇圧ポンプのそれよりも大きく、流体の減圧時では、循環ポンプを利用して第2管路に流入させる流体の流量を第1管路に流入させる流体の流量よりも多くし、流体を気密容器と循環ポンプと加熱器とを通る循環ルートに循環させつつ、流体を減圧分離ユニットを利用して減圧して物質に戻し、回収供給ユニットを利用して物質を回収する。
【0010】
本発明の流体生成装置の他の一例として、流体の減圧時では、流体の減圧時間を複数の時間に区分し、流体を各減圧時間毎に設定した減圧幅で段階的に減圧する。
【0011】
本発明の流体生成装置の他の一例として、流体の減圧時では、流体の臨界点を挟んだその近傍における減圧時間を臨界点とその近傍とを除く他の減圧時間よりも長くしている。
【0012】
本発明の流体生成装置の他の一例として、流体の減圧時では、流体が臨界領域から気相領域を通って物質に戻る。
【0013】
本発明の流体生成装置の他の一例としては、流体生成装置が、循環ポンプと加熱器との間に延びる第2管路から分岐して加熱器と気密容器との間に延びる第1管路につながるバイパス管路を含み、流体の減圧時では、流体を気密容器と循環ポンプと加熱器とを通る循環ルートに循環させるとともに、流体をバイパス管路を介して気密容器と循環ポンプとを通るバイパスルートに循環させる。
【0014】
本発明にかかる成分抽出方法の特徴は、所定の成分を含有した被収容物を収容する所定容積の気密容器と、気密容器の後に設置されて第1管路を介して気密容器につながる減圧分離ユニットと、減圧分離ユニットの後に設置されて第1管路を介して減圧分離ユニットにつながる回収供給ユニットと、回収供給ユニットの後に設置されて第1管路を介して回収供給ユニットにつながる昇圧ポンプと、昇圧ポンプの後に設置されて第1管路を介して昇圧ポンプにつながる加熱器と、気密容器と減圧分離ユニットとの間に延びる第1管路から分岐して昇圧ポンプと加熱器との間に延びる第1管路につながる第2管路と、第2管路に設置された循環ポンプとを備え、昇圧ポンプと加熱器とを利用して所定の物質を昇温昇圧し、物質を超臨界または亜臨界の流体に変え、流体を気密容器に流入させて被収容物に含まれる成分を抽出した後、流体を第1管路に流入させるとともに循環ポンプを利用して流体を第2管路に流入させ、加熱器を利用して流体を所定の温度に加熱しつつ減圧分離ユニットを利用して流体を減圧し、流体を物質に戻すことにある。
【0015】
本発明の成分抽出方法の一例として、成分抽出方法では、循環ポンプの流量が昇圧ポンプのそれよりも大きく、流体の減圧時では、循環ポンプを利用して第2管路に流入させる流体の流量を第1管路に流入させる流体の流量よりも多くし、流体を気密容器と循環ポンプと加熱器とを通る循環ルートに循環させつつ、流体を減圧分離ユニットを利用して減圧して物質に戻し、回収供給ユニットを利用して物質を回収する。
【0016】
本発明の成分抽出方法の他の一例として、成分抽出方法では、流体の減圧時において流体の減圧時間を複数の時間に区分し、流体を各減圧時間毎に設定した減圧幅で段階的に減圧する。
【0017】
本発明の成分抽出方法の他の一例として、成分抽出方法では、流体の減圧時において流体の臨界点を挟んだその近傍における減圧時間を前記臨界点とその近傍とを除く他の減圧時間よりも長くしている。
【0018】
本発明の成分抽出方法の他の一例として、成分抽出方法では、流体の減圧時において流体が臨界領域から気相領域を通って物質に戻る。
【0019】
本発明の成分抽出方法の他の一例としては、成分抽出方法が、循環ポンプと加熱器との間に延びる第2管路から分岐して加熱器と気密容器との間に延びる第1管路につながるバイパス管路を含み、流体の減圧時では、流体を気密容器と循環ポンプと加熱器とを通る循環ルートに循環させるとともに、流体をバイパス管路を介して気密容器と循環ポンプとを通るバイパスルートに循環させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる流体生成装置によれば、超臨界または亜臨界の流体を第1管路に流入させるとともに循環ポンプを利用してその流体を第2管路に流入させ、加熱器を利用して流体を所定の温度に加熱しつつ、減圧分離ユニットを利用して流体を減圧するから、流体の減圧中に第2管路に流入した流体が加熱器によって加熱され、流体の減圧中における流体温度の急激な低下を防ぐことができ、気密容器の内部がマイナス温度になることはなく、流体を所定の温度に保持した状態でその流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。
【0021】
所定の成分を含有した被収容物を気密容器に収容し、超臨界または亜臨界の流体を気密容器に流入させて被収容物に含まれる成分を抽出した後、流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻す流体生成装置は、超臨界または亜臨界の流体を利用して被収容物からそれに含まれる各種の成分を抽出することができ、被収容物に含まれる成分を抽出した後、流体を加熱器によって加熱しつつ減圧するから、流体の減圧中における流体温度の急激な低下を防ぐことができ、気密容器の内部がマイナス温度になることはなく、流体を所定の温度に保持した状態でその流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。流体生成装置は、流体を減圧する過程において気密容器の内部の温度がマイナスになることはなく、被収容物を過酷な温度環境に曝すことはないから、被収容物にダメージを与えることなく、流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。
【0022】
循環ポンプの流量が昇圧ポンプのそれよりも大きく、流体の減圧時において、循環ポンプを利用して第2管路に流入させる流体の流量を第1管路に流入させる流体の流量よりも多くし、流体を気密容器と循環ポンプと加熱器とを通る循環ルートに循環させつつ、流体を減圧分離ユニットを利用して減圧して物質に戻し、回収供給ユニットを利用して物質を回収する流体生成装置は、循環ポンプを利用して第1管路に流入させる流体の流量よりも多くの流量の流体を第2管路に流入させ、循環ポンプおよび加熱器を利用することで多量の流体を加熱しつつ、減圧分離ユニットを利用して流体を減圧するから、流体の減圧中にその流体が加熱器によって確実に加熱され、流体の減圧中における流体温度の急激な低下を防ぐことができ、気密容器の内部がマイナス温度になることはなく、流体を所定の温度に保持した状態でその流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。
【0023】
超臨界または亜臨界の流体の減圧時において流体の減圧時間を複数の時間に区分し、流体を各減圧時間毎に設定した減圧幅で段階的に減圧する流体生成装置は、流体を減圧する場合に流体を一定の減圧幅で連続的に減圧すると、流体の密度が短時間に大きく変化し、流体の温度が一気に低下して気密容器の内部がマイナス温度になる場合があるが、流体を各減圧時間毎に設定した減圧幅で段階的に減圧するから、流体の密度変化を緩やかにすることができ、流体の減圧中に流体の温度が一気に低下することはなく、流体を所定の温度に保持した状態で気密容器の内部がマイナス温度になることを防ぎつつ、その流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。
【0024】
超臨界または亜臨界の流体の減圧時において、流体の臨界点を挟んだその近傍における減圧時間を臨界点とその近傍とを除く他の減圧時間よりも長くしている流体生成装置は、臨界点とその近傍とにおける流体の密度変化が激しく、臨界点とその近傍において流体を短時間に減圧すると、流体の密度が短時間に大きく変化し、流体の温度が一気に低下して気密容器の内部がマイナス温度になる場合があるが、流体を各減圧時間毎に設定した減圧幅で段階的に減圧するから、流体の密度変化を緩やかにすることができ、流体の減圧中に流体の温度が一気に低下することはなく、流体を所定の温度に保持した状態で気密容器の内部がマイナス温度になることを防ぎつつ、その流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。
【0025】
超臨界または亜臨界の流体の減圧時において、流体が臨界領域から気相領域を通って物質に戻る流体生成装置は、流体が気液混合領域を通って物質に戻ると、流体の減圧中に流体が凍結して気密容器の内部にドライアイスが発生する場合があり、気密容器の内部にドライアイスが発生すると、そのドライアイスが消滅するまで減圧運転を中断しなければならず、流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すまでに長時間を要するが、流体が臨界領域から気相領域を通って物質に戻るから、気密容器の内部にドライアイスが発生することはなく、流体の減圧を中断せずに流体の減圧を継続することができ、流体を短時間に物質に戻すことができる。この流体生成装置は、それが被収容物に含まれる成分の抽出に利用される場合、成分を抽出した後、流体を素早く物質に戻すことができるから、単位時間当たりの成分抽出回数を増やすことができる。
【0026】
循環ポンプと加熱器との間に延びる第2管路から分岐して加熱器と気密容器との間に延びる第1管路につながるバイパス管路を含み、超臨界または亜臨界の流体の減圧時において、流体を気密容器と循環ポンプと加熱器とを通る循環ルートに循環させるとともに、流体をバイパス管路を介して気密容器と循環ポンプとを通るバイパスルートに循環させる流体生成装置は、流体の減圧時に流体を循環ルートのみならずバイパスルートにも循環させることで、流体の温度を加熱器のみで調節するよりも流体の温度を速やかに調節することができるから、流体の減圧中における流体温度の急激な低下を防ぐことができ、流体を所定の温度に保持した状態で気密容器の内部がマイナス温度になることを防ぎつつ、その流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。
【0027】
本発明にかかる成分抽出方法によれば、昇圧ポンプと加熱器とを利用して所定の物質を昇温昇圧し、物質を超臨界または亜臨界の流体に変え、その流体を気密容器に流入させて被収容物に含まれる成分を抽出した後、流体を第1管路に流入させるとともに循環ポンプを利用して流体を第2管路に流入させ、加熱器を利用して流体を所定の温度に加熱しつつ減圧分離ユニットを利用して流体を減圧し、流体を物質に戻すから、流体の減圧中に第2管路に流入する流体が加熱器によって加熱され、流体の減圧中における流体温度の急激な低下を防ぐことができ、流体を利用して被収容物に含まれる成分を抽出した後、流体を所定の温度に保持した状態で気密容器の内部がマイナス温度になることを防ぎつつ、その流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。成分抽出方法は、流体を減圧する過程において気密容器の内部がマイナス温度になることはなく、被収容物を過酷な温度環境に曝すことはないから、被収容物にダメージを与えることなく、流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。
【0028】
循環ポンプの流量が昇圧ポンプのそれよりも大きく、超臨界または亜臨界の流体の減圧時において、循環ポンプを利用して第2管路に流入させる流体の流量を第1管路に流入させる流体の流量よりも多くし、流体を気密容器と循環ポンプと加熱器とを通る循環ルートに循環させつつ、流体を減圧分離ユニットを利用して減圧して物質に戻し、回収供給ユニットを利用して物質を回収する成分抽出方法は、循環ポンプを利用して第1管路に流入させる流体の流量よりも多くの流量の流体を第2管路に流入させ、循環ポンプおよび加熱器を利用することで多量の流体を加熱しつつ、減圧分離ユニットを利用して流体を減圧するから、流体の減圧中にその流体が加熱器によって確実に加熱され、流体の減圧中における流体温度の急激な低下を防ぐことができ、流体を利用して被収容物に含まれる成分を抽出した後、流体を所定の温度に保持した状態で気密容器内がマイナス温度になることを防ぎつつ、その流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。成分抽出方法は、流体を減圧する過程において気密容器の内部がマイナス温度になることはなく、被収容物を過酷な温度環境に曝すことはないから、被収容物にダメージを与えることなく、流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。
【0029】
超臨界または亜臨界の流体の減圧時において流体の減圧時間を複数の時間に区分し、流体を各減圧時間毎に設定した減圧幅で段階的に減圧する成分抽出方法は、流体を減圧する場合に流体を一定の減圧幅で連続的に減圧すると、流体の密度が短時間に大きく変化し、流体の温度が一気に低下して気密容器内がマイナス温度になる場合があるが、流体を各減圧時間毎に設定した減圧幅で段階的に減圧するから、流体の密度変化を緩やかにすることができ、流体の減圧中に流体の温度が一気に低下することはなく、流体を利用して被収容物に含まれる成分を抽出した後、流体を所定の温度に保持した状態で気密容器の内部がマイナス温度になることを防ぎつつ、その流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。成分抽出方法は、流体を減圧する過程において気密容器の内部がマイナス温度になることはなく、被収容物を過酷な温度環境に曝すことはないから、被収容物にダメージを与えることなく、流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。
【0030】
超臨界または亜臨界の流体の減圧時において、流体の臨界点を挟んだその近傍における減圧時間を臨界点とその近傍とを除く他の減圧時間よりも長くしている成分抽出方法は、臨界点とその近傍とにおける流体の密度変化が激しく、臨界点とその近傍において流体を短時間に減圧すると、流体の密度が短時間に大きく変化し、流体の温度が一気に低下して気密容器の内部がマイナス温度になる場合があるが、流体を各減圧時間毎に設定した減圧幅で段階的に減圧するから、流体の密度変化を緩やかにすることができ、流体の減圧中に流体の温度が一気に低下することはなく、流体を利用して被収容物に含まれる成分を抽出した後、流体を所定の温度に保持した状態で気密容器の内部がマイナス温度になることを防ぎつつ、その流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。成分抽出方法は、流体を減圧する過程において気密容器の内部がマイナス温度になることはなく、被収容物を過酷な温度環境に曝すことはないから、被収容物にダメージを与えることなく、流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。
【0031】
超臨界または亜臨界の流体の減圧時において、流体が臨界領域から気相領域を通って物質に戻る成分抽出方法は、流体が気液混合領域を通って物質に戻ると、流体の減圧中に流体が凍結して気密容器の内部にドライアイスが発生する場合があり、気密容器の内部にドライアイスが発生すると、そのドライアイスが消滅するまで減圧運転を中断しなければならず、流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すまでに長時間を要するが、流体が臨界領域から気相領域を通って物質に戻るから、気密容器の内部にドライアイスが発生することはなく、流体の減圧を中断せずに流体の減圧を継続することができ、流体を短時間に物質に戻すことができる。この成分抽出方法は、被収容物に含まれる成分を抽出した後、流体を素早く物質に戻すことができるから、単位時間当たりの成分抽出回数を増やすことができる。
【0032】
循環ポンプと加熱器との間に延びる第2管路から分岐して加熱器と気密容器との間に延びる第1管路につながるバイパス管路を含み、超臨界または亜臨界の流体の減圧時において、流体を気密容器と循環ポンプと加熱器とを通る循環ルートに循環させるとともに、流体をバイパス管路を介して気密容器と循環ポンプとを通るバイパスルートに循環させる成分抽出方法は、流体の減圧時に流体を循環ルートのみならずバイパスルートにも循環させることで、流体の温度を加熱器のみで調節するよりも流体の温度を速やかに調節することができるから、流体の減圧中における流体温度の急激な低下を防ぐことができ、流体を利用して被収容物に含まれる成分を抽出した後、流体を所定の温度に保持した状態で気密容器の内部がマイナス温度になることを防ぎつつ、その流体を超臨界または亜臨界になる前の物質に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】一例として示す流体生成装置の構成図。
【図2】洗浄運転から減圧運転までの手順の一例を示すフローチャート。
【図3】減圧手段の一例を説明するフローチャート。
【図4】減圧時における洗浄流体の流れの一例を示す図。
【図5】減圧幅と減圧時間との関係の一例を示す図。
【図6】圧力(MPa)とエンタルピー(kj/kg)との関係を示すモリエ線図。
【図7】洗浄流体を加熱しつつ減圧した場合の圧力変化と温度変化との関係の一例を示す図。
【図8】洗浄流体を加熱せずに減圧した場合の圧力変化と温度変化との関係の一例を示す図。
【図9】減圧時における二酸化炭素の流れの他の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
一例として示す流体生成装置の構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる流体生成装置および成分抽出方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。この流体生成装置10およびそれを利用した成分抽出方法は、気体を濾過した後の使用済のエアフィルタ(被収容物)(被洗浄物)の洗浄(汚れ成分(不純物)の抽出)や液体を濾過した後の使用済のリキッドフィルタ(被収容物)(被洗浄物)の洗浄(汚れ成分(不純物)の抽出)に好適に利用される。それらフィルタの洗浄には、二酸化炭素(物質)(なお、物質は、気体状態の場合や液体状態の場合、気液混合状態の場合がある。)を所定の温度および圧力に昇温昇圧させることによって得られた超臨界または亜臨界のいずれかの洗浄流体(流体)が使用される。
【0035】
被洗浄物であるエアフィルタには、セパレータ型エアフィルタやミニプリーツ型エアフィルタ等がある。エアフィルタは、主に空調用フィルタや空気清浄用フィルタ、排気処理用フィルタ、車両用エアフィルタとして使用される。被洗浄物であるリキッドフィルタは、浄水装置用フィルタや浸透圧を利用する膜装置用フィルタとして使用される。エアフィルタやリキッドフィルタは、ガラス繊維や吸着剤、合成樹脂繊維を濾材とし、フィルタカートリッジに収納して使用される。それらフィルタは、蛇腹に折り畳まれた四角柱状の立体構造を有する。なお、この装置10で洗浄されるフィルタには、立体構造を有するそれの他に、略扁平のものも含まれ、さらに、円柱状や多角柱状のものも含まれる。
【0036】
超臨界や亜臨界のいずれかの洗浄流体は、気体と液体との性質を有し、エアフィルタやリキッドフィルタを形成する濾材の微細な間隙に容易に進入し、濾材表面に付着した不純物を溶かし込むとともに、濾材内部に浸透して濾材内部に滲入した不純物を溶かし込む。洗浄流体は、それを利用することで、濾材表面に付着した不純物を落とすことができるのみならず、濾材内部に滲入した不純物を落とすことができる。
【0037】
この流体生成装置10および成分抽出方法で洗浄される被洗浄物は、フィルタのみならず、超臨界や亜臨界の洗浄流体によって洗浄可能なすべての被洗浄物が含まれる。また、超臨界や亜臨界の流体は被収容物の内部に容易に進入し、対象物(被収容物)の内部に浸透して対象物に含まれる成分を溶かし込むから、流体を利用することで、対象物に含まれる成分を抽出することができる。ゆえに、流体生成装置10および成分抽出方法は、フィルタの洗浄のみならず、たとえば、コーヒー豆(対象物)からカフェイン(成分)を抽出したり、タバコからニコチンを抽出するように、対象物から所定の成分を抽出する場合にも利用することができる。流体生成装置10および成分抽出方法において成分を抽出する対象物(被収容物)に特に限定はなく、超臨界や亜臨界の流体によって成分を抽出可能なすべての対象物が含まれる。
【0038】
流体生成装置10および成分抽出方法は、所定容積の洗浄容器11(気密容器)(なお、洗浄容器11(気密容器)としては、その容積が100リットル以上のものが利用される。)、減圧分離ユニット12、回収供給ユニット13、昇圧ポンプ14、加熱器15、循環ポンプ16、コントローラ17から構成されている。洗浄容器11や減圧分離ユニット12、回収供給ユニット13、昇圧ポンプ14、加熱器15は、第1管路18を介して接続されている。洗浄容器11や加熱器15、循環ポンプ16は、第1管路18および第2管路19を介して接続されている。洗浄容器11の内部には、気密構造洗浄室(図示せず)が作られている。
【0039】
洗浄容器11には、図示はしていないが、温度センサや圧力センサが取り付けられている。温度センサや圧力センサは、インターフェイス(有線または無線)(図示せず)を介してコントローラ17に接続されている。温度センサは、洗浄容器11の出口の温度を計測する。計測された洗浄容器11の出口の温度は、温度センサからコントローラ17に入力される。圧力センサは、洗浄容器11の内部の圧力を計測する。計測された洗浄容器11の内部の圧力は、圧力センサからコントローラ17に入力される。
【0040】
減圧分離ユニット12は、気密容器11の後に設置されて第1管路18を介して気密容器11につながっている。減圧分離ユニット12は、図示はしていないが、圧力制御弁、気液分離器、濾過器から形成されている。圧力制御弁や気液分離器、濾過器は、第1管路18を介して接続されている。
【0041】
圧力制御弁は、その弁機構の開度を変更することで、洗浄容器11の内部の二酸化炭素または洗浄流体の圧力を調節可能であり、その弁機構を開閉することで、洗浄容器11と気液分離器との間に延びる第1管路18を開閉可能である。圧力制御弁は、インターフェイス(図示せず)を介してコントローラ17に接続されている。圧力制御弁の弁機構の開度は、圧力制御弁からコントローラ17に入力される。コントローラ17は、圧力制御弁の弁機構の開度設定信号を圧力制御弁に出力する。
【0042】
減圧分離ユニット12の気液分離器は、不純物の蒸気圧の差を利用して洗浄流体に含まれる不純物を洗浄流体から分離する。気液分離器には、回収タンク(図示せず)が取り付けられている。気液分離器は、インターフェイス(図示せず)を介してコントローラ17に接続されている。気液分離器の内部温度および内部圧力は、気液分離器からコントローラ17に入力される。回収タンクには、気液分離器によって分離された不純物(液体)が回収される。
【0043】
減圧分離ユニット12の濾過器は、気液分離器から流出した洗浄流体に微量の不純物が含まれている場合、その不純物を除去(濾過)し、洗浄流体を浄化する。濾過器は、ハウジングとフィルタとフィルタを固定するフィルタカートリッジとから形成されている。濾過装置では、フィルタカートリッジにフィルタを取り付けた後、そのカートリッジをハウジングに装着する。濾過器に使用するフィルタには、活性炭等の多孔性物質を使用することが好ましい。
【0044】
回収供給ユニット13は、減圧分離ユニット12の後に設置されて第1管路18を介して減圧分離ユニット12につながっている。回収供給ユニット13は、図示はしていないが、液化器(冷却器および凝縮器)、圧力制御弁、バッファータンクから形成され、液化二酸化炭素貯留タンクが附属している。液化器や圧力制御弁、バッファータンクは、第1管路18を介して接続されている。
【0045】
圧力制御弁は、その弁機構の開度を変更することで、液化器の内部の洗浄流体の圧力を調節可能であり、その弁機構を開閉することで、液化器とバッファータンクとの間に延びる第1管路17を開閉可能である。圧力制御弁は、インターフェイス(図示せず)を介してコントローラ17に接続されている。圧力制御弁の弁機構の開度は、圧力制御弁からコントローラ17に入力される。コントローラ17は、圧力制御弁の弁機構の開度設定信号を圧力制御弁に出力する。
【0046】
回収供給ユニット13の液化器は、洗浄流体を冷却・凝縮して液化二酸化炭素に戻し、バッファータンクは、液化二酸化炭素を一時的に貯留する。液化器やバッファータンクは、インターフェイス(図示せず)を介してコントローラ17に接続されている。コントローラ17は、液化器の出力設定信号(冷却温度設定信号)を液化器に出力する。コントローラ17は、バッファータンクの二酸化炭素供給量設定信号をバッファータンクに出力する。
【0047】
液化二酸化炭素貯留タンクは、図示はしていないが、予備管路を介してバッファータンクに接続されている。液化二酸化炭素貯留タンクは、液化二酸化炭素を貯留し、洗浄開始時に液化二酸化炭素をバッファータンクに供給する。また、装置10の稼動終了後に液化二酸化炭素を回収する。予備管路には、移送ポンプ(図示せず)が設置されている。移送ポンプは、インターフェイス(図示せず)を介してコントローラ17に接続されている。コントローラ17は、移送ポンプの出力設定信号を移送ポンプに出力する。
【0048】
昇圧ポンプ14は、回収供給ユニット13の後に設置されて第1管路18を介して回収供給ユニット13につながっている。昇圧ポンプ14は、回収供給ユニット13(バッファータンク)から供給された二酸化炭素を所定圧力に昇圧する。加熱器15は、昇圧ポンプ14の後に設置されて第1管路18を介して昇圧ポンプ14につながっている。加熱器15は、二酸化炭素を所定温度に加熱する。昇圧ポンプ14や加熱器15は、インターフェイス(図示せず)を介してコントローラ17に接続されている。コントローラ17は、昇圧ポンプ14の出力設定信号を昇圧ポンプ14に出力し、加熱器15の出力設定信号(加熱温度)を加熱器15に出力する。
【0049】
昇圧ポンプ14と加熱器15との間に延びる第1管路18には、遮断弁27とそこを流れる二酸化炭素や洗浄流体の流量を計測する流量計20とが設置されている。遮断弁27は、その弁機構を開閉することで第1管路18を開閉可能である。遮断弁27や流量計20は、インターフェイス(図示せず)を介してコントローラ17に接続されている。遮断弁27の弁機構の開度は、遮断弁27からコントローラ17に入力される。コントローラ17は、遮断弁27の弁機構の開度設定信号を遮断弁27に出力する。第1管路18の流量信号(昇圧ポンプの流量)は、流量計20からコントローラ17に入力される。
【0050】
加熱器15と洗浄容器11との間に延びる第1管路18には、そこを流れる二酸化炭素や洗浄流体の流量を計測する流量計21が設置されている。流量計21は、インターフェイス(図示せず)を介してコントローラ17に接続されている。第1および第2管路18,19の流量信号(昇圧ポンプ14と循環ポンプ16との流量)は、流量計21からコントローラ17に入力される。
【0051】
循環ポンプ16は、第1管路18から分岐した第2管路19に設置されている。循環ポンプ16は、インターフェイス(図示せず)を介してコントローラ17に接続されている。コントローラ17は、循環ポンプ16の出力設定信号を循環ポンプ16に出力する。循環ポンプ16は、単位時間当たりの流量が昇圧ポンプ14の単位時間当たりのそれよりも大きい。第2管路19は、気密容器11と減圧分離ユニット12との間に延びる第1管路18から分岐して昇圧ポンプ14と加熱器15との間に延びる第1管路18につながっている。
【0052】
循環ポンプ16と加熱器15との間に延びる第2管路19には、そこを流れる二酸化炭素や洗浄流体の流量を計測する流量計22が設置されている。流量計22は、インターフェイス(図示せず)を介してコントローラ17に接続されている。
第2管路19の流量信号(循環ポンプ16の流量)は、流量計22からコントローラ17に入力される。第2管路19には、バイパス管路23が設置されている。バイパス管路23は、循環ポンプ16と加熱器15との間に延びる第2管路19から分岐して加熱器15と気密容器11との間に延びる第1管路18につながっている。
【0053】
第1管路18と循環ポンプ16との間に延びる第2管路19には、切替弁24が設置されている。循環ポンプ16と加熱器15との間に延びる第2管路19には、切替弁25が設置されている。バイパス管路23には、切替弁26が設置されている。それら切替弁24〜26は、その弁機構の開度を調整することで、第2管路19やバイパス管路23に流れる洗浄流体の流量を調整することができる。また、その弁機構を開閉することで第2管路19やバイパス管路23を開閉可能であり、二酸化炭素や洗浄流体の経路を変えることができる。それら切替弁24〜26は、インターフェイス(図示せず)を介してコントローラ17に接続されている。それら切替弁24〜26の弁機構の開度は、各切替弁24〜26からコントローラ17に入力される。コントローラ17は、それら切替弁24〜26の弁機構の開度設定信号を切替弁24〜26に出力する。
【0054】
この流体生成装置10では、気密容器11→減圧分離ユニット12→回収供給ユニット13→昇圧ポンプ14→加熱器15が第1ルートを形成し、気密容器11→循環ポンプ16→加熱器15が第2ルート(循環ルート)を形成するとともに、気密容器11→循環ポンプ16が第3ルート(バイパスルート)を形成している。第1ルートを形成するそれら機器は、第1管路18を介して接続され、第2ルートを形成するそれら機器は、第1および第2管路18,19を介して接続されている。第3ルートを形成するそれら機器は、第1および第2管路18,19とバイパス管路23とを介して接続されている。
【0055】
コントローラ17は、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリとを備えたコンピュータである。コントローラ17は、フィルタの洗浄において、昇温昇圧・洗浄・減圧の運転サイクルを繰り返し実行する。コントローラ17の中央処理部は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリに格納されたアプリケーションを起動し、そのアプリケーションに従って以下の各手段を実行する。コントローラ17の中央処理部は、二酸化炭素を超臨界または亜臨界の洗浄流体に変える流体生成手段を実行し、洗浄対象のフィルタに含まれる汚れ成分(不純物)を抽出する成分抽出手段を実行するとともに、成分抽出手段を実行してから所定時間経過後に洗浄容器11に流入する洗浄流体を大気圧にまで減圧する減圧手段を実行する。
【0056】
コントローラ17は、液化器の温度、バッファータンクや二酸化炭素貯留タンクからの二酸化炭素供給量、昇圧ポンプ14や循環ポンプ16の出力、加熱器15の出力、圧力制御弁や切替弁24〜26や遮断弁27の開度を監視する。コントローラ17は、温度センサや圧力センサ、流量センサ20〜22から出力される計測結果に基づいて、二酸化炭素供給量、それら機器の温度や出力、圧力制御弁や切替弁24〜26や遮断弁27の開度をコントロールする。なお、コントローラ17には、図示はしていないが、ON/OFFスイッチやキーユニット等の入力装置、プリンタやディスプレイ等の出力装置がインターフェイスを介して接続されている。
【0057】
図2は、流体生成装置10における洗浄運転から減圧運転までの手順の一例を示すフローチャートである。最初にコントローラ17を利用して洗浄運転パターンを選択するとともに(S−10)、減圧運転パターンを選択する(S−11)。なお、洗浄運転パターンには、第1ルートにおいて洗浄流体を循環させる第1洗浄運転パターン、第1ルートおよび第2ルート(循環ルート)において洗浄流体を循環させる第2洗浄運転パターン、第2ルートにおいて洗浄流体を循環させる第3洗浄運転パターン、第2ルートおよび第3ルート(バイパスルート)において洗浄流体を循環させる第4洗浄運転パターンがある。洗浄運転パターンの選択では、コントローラ17の入力装置を利用して第1〜第4洗浄運転パターンのいずれかを選択する。コントローラ17は、選択された洗浄運転パターンをメモリに格納する。
【0058】
減圧運転パターンには、第1ルートおよび第2ルートを利用して洗浄流体を減圧する第1減圧運転パターン、第1ルートと第2ルートと第3ルートとを利用して洗浄流体を減圧する第2減圧運転パターンがある。減圧運転パターンの選択では、コントローラ17の入力装置を利用し、第1,第2減圧運転パターンのいずれかを選択し、選択した減圧運転パターンにおける減圧時間の区分数を入力するとともに、それら区分数毎の減圧時間と減圧幅(減圧値)とを入力する。コントローラ17は、選択された減圧運転パターン、区分数、減圧時間、減圧幅をメモリに格納する。
【0059】
コントローラ17は、選択された洗浄運転パターンをメモリから抽出し、その運転パターンで装置10を運転する。洗浄運転では、バッファータンクから供給された二酸化炭素が昇圧ポンプ14と加熱器15とによって所定温度に昇温されるとともに、所定圧力に昇圧される(なお、減圧分離ユニット12の圧力制御弁の弁機構の開度が調整され、それによって二酸化炭素の昇圧が調節される)。コントローラ17は、洗浄容器11に取り付けられた温度センサや圧力センサからの計測温度、計測圧力によって二酸化炭素が設定温度、設定圧力に昇温昇圧したことを確認した後(昇温昇圧時間が経過した後)(S−12)、洗浄運転を開始する(S−13)。なお、二酸化炭素は、昇圧ポンプ14によって5.0〜30.0MPaの範囲の圧力に加圧され、加熱器15によって30〜50℃の温度に加熱され、超臨界または亜臨界のいずれかの洗浄流体に変わる。
【0060】
第1ルートにおいて洗浄流体を循環させる第1洗浄運転パターンの場合、コントローラ17は、減圧分離ユニット12や回収供給ユニット13の圧力制御弁の弁機構を開放し、遮断弁27の弁機構を開放するとともに、切替弁24〜26の弁機構を閉鎖した後、昇圧ポンプ14によって洗浄流体を強制的に洗浄容器11に供給し、洗浄運転を開始する(S−13)。洗浄流体は、洗浄容器11の気密構造洗浄室に流入し、洗浄室に収容されたフィルタを洗浄する。この洗浄運転において洗浄流体は、昇圧ポンプ14によって第1ルートを循環する。
【0061】
第1ルートにおいて洗浄流体は、洗浄容器11から第1管路18を通って減圧分離ユニット12に流入し、減圧分離ユニット12から第1管路18を通って回収供給ユニット13に流入した後、回収供給ユニット13から第1管路18を通って昇圧ポンプ14に流入する。さらに、昇圧ポンプ14から第1管路18を通って加熱器15に流入し、加熱器15から第1管路18を通って再び洗浄容器11に流入する。洗浄流体は、フィルタに含まれる汚れ成分を落とす(成分抽出手段)。汚れ成分は、洗浄流体に混入する。
【0062】
減圧分離ユニット12において洗浄流体は、気液分離器を流入するとともに、気液分離器から濾過器に流入する。減圧分離ユニット12では、気液分離器や濾過器によって洗浄流体に含まれる汚れ成分(不純物)が分離され、洗浄流体から分離された汚れ成分が回収器に回収される。回収供給ユニット13において洗浄流体は、液化器からバッファータンクに流入する。フィルタの洗浄運転中、コントローラ17は、加熱器15の加熱温度を設定温度に保持しつつ、第1ルートを循環する洗浄流体を一定温度に保持する。
【0063】
第1および第2ルートにおいて洗浄流体を循環させる第2洗浄運転パターンの場合、コントローラ17は、減圧分離ユニット12や回収供給ユニット13の圧力制御弁の弁機構を開放し、切替弁24,25や遮断弁27の弁機構を開放するとともに、切替弁26の弁機構を閉鎖した後、昇圧ポンプ14および循環ポンプ16によって洗浄流体を強制的に洗浄容器11に供給し、洗浄運転を開始する(S−13)。洗浄流体は、洗浄容器11の気密構造洗浄室に流入し、洗浄室に収容されたフィルタを洗浄する。この洗浄運転において洗浄流体は、昇圧ポンプ14によって第1ルートを循環するとともに、循環ポンプ16によって第2ルートを循環する。
【0064】
第1ルートにおいて洗浄流体は、洗浄容器11から第1管路18を通って減圧分離ユニット12に流入し、減圧分離ユニット12から第1管路18を通って回収供給ユニット13に流入した後、回収供給ユニット13から第1管路18を通って昇圧ポンプ14に流入する。さらに、昇圧ポンプ14から第1管路18を通って加熱器15に流入し、加熱器15から第1管路18を通って再び洗浄容器11に流入する。
【0065】
減圧分離ユニット12において洗浄流体は、気液分離器を流入するとともに、気液分離器から濾過器に流入する。減圧分離ユニット12では、気液分離器や濾過器によって洗浄流体に含まれる汚れ成分(不純物)が分離され、洗浄流体から分離された汚れ成分が回収器に回収される。回収供給ユニット13において洗浄流体は、液化器からバッファータンクに流入する。
【0066】
第2ルートにおいて洗浄流体は、洗浄容器11から第1管路18および第2管路19を通って循環ポンプ16に流入し、循環ポンプ16から第2管路19および第1管路18を通って加熱器15に流入した後、加熱器15から第1管路18を通って再び洗浄容器11に流入する。循環ポンプ16を通過する洗浄流体の単位時間当たりの流量は昇圧ポンプ14を通過する洗浄流体の単位時間当たりのそれよりも多く、第2ルートを循環する洗浄流体の量が第1ルートを循環する洗浄流体のそれよりも多くなっている。フィルタの洗浄運転中、コントローラ17は、加熱器15の加熱温度を設定温度に保持しつつ、第1ルートや第2ルートを循環する洗浄流体を一定温度に保持する。
【0067】
第2ルートにおいて洗浄流体を循環させる第3洗浄運転パターンの場合、コントローラ17は、切替弁24,25の弁機構を開放し、遮断弁27の弁機構を閉鎖するとともに、切替弁26の弁機構を閉鎖した後、循環ポンプ16によって洗浄流体を強制的に洗浄容器11に供給し、洗浄運転を開始する(S−13)。洗浄流体は、洗浄容器11の気密構造洗浄室に流入し、洗浄室に収容されたフィルタを洗浄する。第3洗浄運転パターンにおいて洗浄流体は、循環ポンプ16によって第2ルートを循環する。コントローラ17は、第2ルートにおいて単位時間当たりに多量の洗浄流体を環流させる。
【0068】
第2ルートにおいて洗浄流体は、洗浄容器11から第1管路18および第2管路19を通って循環ポンプ16に流入し、循環ポンプ16から第2管路19および第1管路18を通って加熱器15に流入した後、加熱器15から第1管路18を通って再び洗浄容器11に流入する。フィルタの洗浄運転中、コントローラ17は、加熱器15の加熱温度を設定温度に保持しつつ、第2ルートを循環する洗浄流体を一定温度に保持する。
【0069】
第2ルートおよび第3ルートにおいて洗浄流体を循環させる第4洗浄運転パターンの場合、コントローラ17は、切替弁24〜26の弁機構を開放し、遮断弁27の弁機構を閉鎖した後、循環ポンプ16によって洗浄流体を強制的に洗浄容器11に供給し、洗浄運転を開始する(S−13)。洗浄流体は、洗浄容器11の気密構造洗浄室に流入し、洗浄室に収容されたフィルタを洗浄する。この洗浄運転において洗浄流体は、循環ポンプ16によって第2ルートおよび第3ルートを循環する。コントローラ17は、第2ルートおよび第3ルートにおいて単位時間当たりに多量の洗浄流体を循環させる。
【0070】
第2ルートにおいて洗浄流体は、洗浄容器11から第1管路18および第2管路19を通って循環ポンプ16に流入し、循環ポンプ16から第2管路19および第1管路18を通って加熱器15に流入した後、加熱器15から第1管路18を通って再び洗浄容器11に流入する。さらに、第3ルートにおいて洗浄流体は、洗浄容器11から第1管路18および第2管路19を通って循環ポンプ16に流入し、循環ポンプ16からバイパス管路23および第1管路18を通って再び洗浄容器11に流入する。洗浄流体は、フィルタに含まれる汚れ成分を落とす(成分抽出手段)。汚れ成分は、洗浄流体に混入する。フィルタの洗浄運転中、コントローラ17は、加熱器15の加熱温度を設定温度に保持しつつ、第2および第3ルートを環流する洗浄流体の混合比を制御し、洗浄流体を一定温度に保持する。
【0071】
フィルタの洗浄運転中、コントローラ17には、各流量計20〜22から各ルートを流れる二酸化炭素の流量が入力され、温度センサや圧力センサから洗浄容器11の温度、圧力が入力される。フィルタの洗浄運転中、コントローラ17は、フィードバック制御を実行しつつ、洗浄容器11、減圧分離ユニット12、回収供給ユニット13、昇圧ポンプ14、循環ポンプ16を最適な運転状態(フィルタを最も効率よく洗浄し得る状態)に保持する。洗浄運転においてコントローラ17は、昇圧ポンプ14や循環ポンプ16の流量(出力)を調節し、第1〜第3ルートを流れる洗浄流体の流量を調節するとともに、洗浄流体の洗浄容器11への流入量や洗浄容器11からの流出量を調節する。また、コントローラ17は、減圧分離ユニット12の圧力制御弁の弁機構を調節し、第1〜第3ルートを流れる洗浄流体の圧力を調節するとともに、洗浄容器11に流入する洗浄流体の圧力を調節する。
【0072】
洗浄運転を開始してから所定時間(洗浄時間)が経過すると(S−14)、コントローラ17は、洗浄が完了したと判断する(S−15)。洗浄が完了したと判断すると、コントローラ17は、洗浄容器11に流入する洗浄流体を大気圧にまで減圧する減圧運転(減圧手段)を開始する(減圧手段)(S−16)。減圧運転において洗浄流体は、減圧分離ユニット12の圧力制御弁によって減圧、冷却され、回収供給ユニット13の液化器によって凝縮・冷却され、液化二酸化炭素(物質)に戻り、バッファータンクに貯留される。減圧運転を開始してから所定時間が経過し、洗浄容器11内部の圧力が大気圧になったことを確認すると(S−17)、コントローラ17は、減圧が完了したと判断する(S−18)。流体生成手段と成分抽出手段と減圧手段とが終了すると、1回の洗浄サイクルが終了する。
【0073】
図3は、減圧手段の一例を説明するフローチャートであり、図4は、減圧時における洗浄流体の流れの一例を示す図である。図5は、減圧幅と減圧時間との関係の一例を示す図である。図4は、第1および第2ルートを利用して洗浄流体を減圧する第1減圧運転パターンを示す。図3〜5に基づいて、この流体生成装置10が実行する減圧手段の一例を説明すると、以下のとおりである。フィルタの洗浄が終了した後、コントローラ17は、図4に示す第1減圧運転パターンによる洗浄流体の減圧運転(減圧手段)を行う。
【0074】
減圧運転においてコントローラ17は、選択された減圧運転パターン(第1減圧運転パターン)をメモリから抽出し、入力された区分数、減圧時間、減圧幅(減圧値)をメモリから抽出するとともに、減圧時間と減圧幅とに対応する減圧分離ユニット12の圧力制御弁の弁機構の開度(第1〜第3設定開度)をメモリから抽出する。コントローラ17は、第1減圧運転パターンに区分数、減圧時間、減圧幅を設定するとともに(S−30)、第1減圧運転パターンに対応する減圧ルートを設定する(S−31)。
【0075】
第1減圧運転パターンでは、図5に示すように、減圧開始から減圧終了までの時間(全減圧時間)が3段階(第1減圧時間t1〜第3減圧時間t3)に区分され、洗浄流体を各減圧時間t1〜t3毎に設定した減圧幅(減圧値)で段階的に減圧する。たとえば、第1減圧時間t1では、減圧開始から30分までの間に洗浄流体を20MPa〜10MPa(減圧幅(減圧値):10MPa)まで減圧する。第2減圧時間t2では、第1減圧時間t1終了から40分まで間に洗浄流体を10MPa〜8MPa(減圧幅(減圧値):2MPa)まで減圧する。第3減圧時間t3では、第2減圧時間t2終了から30分まで間に洗浄流体を8MPa〜2.0MPa(減圧幅(減圧値):6MPa)まで減圧する。
【0076】
第2減圧時間t2は、洗浄流体の臨界点を挟んだその近傍における減圧時間であり、第1減圧時間t1や第3減圧時間t3よりも長くなっている。なお、第1減圧運転パターンでは、減圧開始から減圧終了までの全減圧時間を3段階に区分しているが、全減圧時間の区分数を3段階に限定するものではなく、全減圧時間を4段階以上に区分してもよい。なお、全減圧時間を4段階以上に区分した場合でも、洗浄流体の臨界点を挟んだその近傍における減圧時間を臨界点とその近傍とを除く他の減圧時間よりも長くすることが好ましい。
【0077】
コントローラ17は、減圧分離ユニット12の圧力制御弁の弁機構を第1設定開度(第1減圧時間t1およびその時間t1の減圧幅に対応する開度)に調整しつつ(S−32)、圧力制御弁の弁機構を開放する。コントローラ17は、切替弁24,25の弁機構を開放するとともに、切替弁26や遮断弁27の弁機構を閉鎖する。さらに、昇圧ポンプ14の稼動を停止し、循環ポンプ16を継続して稼動させる(第1ルートのみで洗浄を行った場合は、循環ポンプ16を稼動させる。)(S−33)。コントローラ17は、第1減圧運転パターンにおける洗浄流体の減圧ルートを第1および第2ルートに設定する(S−34)。
【0078】
第1減圧運転パターンにおいて洗浄流体は、図4に矢印L1,L2で示すように、第1ルート(矢印L1で示すルート)に流入するとともに、循環ポンプによって第2ルート(矢印L2で示すルート)を循環する(S−34)。コントローラ17は、第1減圧時間t1の間、圧力制御弁の弁機構を第1設定開度に保持する。なお、第1減圧運転パターンでは、循環ポンプ16を利用して第2ルートに循環させる流体の流量を第1ルートに流入させる流体の流量よりも多くしている。
【0079】
第2ルートにおいて洗浄流体は、洗浄容器11から第1管路18および第2管路19を通って循環ポンプ16に流入し、循環ポンプ16から第2管路19および第1管路18を通って加熱器15に流入した後、加熱器15から第1管路18を通って再び洗浄容器11に流入する。この装置10では、循環ポンプ16を介して第2ルートを循環する洗浄流体が加熱器15によって所定温度に加熱されつつ第2ルートを循環するとともに(S−35)、その循環中にそのうちの所定量の流体が第2ルートよりも圧力の低い第1ルートに徐々に流入する。
【0080】
第1ルートに流入した洗浄流体は、洗浄容器11から第1管路18を通って減圧分離ユニット12に流入し、減圧分離ユニット12から第1管路18を通って回収供給ユニット13に流入する。第1ルートに流入した洗浄流体は、減圧分離ユニット12の圧力制御弁によって減圧、冷却されるとともに(S−36)、回収供給ユニット13の液化器によって凝縮・冷却されて液化二酸化炭素に戻り、バッファータンクに貯留される。
【0081】
第1減圧時間t1が経過し、第1減圧時間t1が終了すると(S−37)、コントローラ17は、減圧分離ユニット12の圧力制御弁の弁機構を第2設定開度(第2減圧時間t2およびその時間t2の減圧幅に対応する開度)に調整する(S−38)。循環ポンプ16を介して第2ルートを循環する洗浄流体は、第1減圧時間t1と同様に、加熱器15によって所定温度に加熱されつつ第2ルートを循環するとともに(S−39)、その循環中にそのうちの所定量の流体が第2ルートよりも圧力の低い第1ルートに徐々に流入する。
【0082】
コントローラ17は、第2減圧時間t2の間、圧力制御弁の弁機構を第2設定開度に保持する。洗浄流体は、第2ルートを循環しつつ第1ルートに流入し、減圧分離ユニット12の圧力制御弁によって減圧、冷却されるとともに(S−40)、回収供給ユニット13の液化器によって凝縮・冷却されて液化二酸化炭素に戻り、バッファータンクに貯留される。
【0083】
第2減圧時間t2が経過し、第2減圧時間t2が終了すると(S−41)、コントローラ17は、減圧分離ユニット12の圧力制御弁の弁機構を第3設定開度(第3減圧時間t3およびその時間t3の減圧幅に対応する開度)に調整する(S−42)。循環ポンプ16を介して第2ルートを循環する洗浄流体は、第1減圧時間t1や第2減圧時間t2と同様に、加熱器15によって所定温度に加熱されつつ第2ルートを循環するとともに(S−43)、その循環中にそのうちの所定量の流体が第2ルートよりも圧力の低い第1ルートに徐々に流入する。
【0084】
コントローラ17は、第3減圧時間t3の間、圧力制御弁の弁機構を第3設定開度に保持する。洗浄流体は、第2ルートを循環しつつ第1ルートに流入し、減圧分離ユニット12の圧力制御弁によって減圧、冷却されるとともに(S−44)、回収供給ユニット13の液化器によって凝縮・冷却されて液化二酸化炭素に戻り、バッファータンクに貯留される。コントローラ17は、第1〜第3減圧時間t1〜t3が経過し、圧力センサから入力された洗浄容器11内の圧力が大気圧になった場合、減圧が終了したと判断し、装置10の稼動を一時停止する。
【0085】
なお、図示はしていないが、第1ルートのみを利用して洗浄流体を加熱せずに減圧する場合がある。この場合、コントローラ17は、減圧分離ユニット12や回収供給ユニット13の圧力制御弁の弁機構を開放し、切替弁24〜26や遮断弁27の弁機構を閉鎖するとともに、昇圧ポンプ14の稼動を停止する。洗浄流体は、圧力の低い減圧分離ユニット12に流入し、減圧分離ユニット12の圧力制御弁によって減圧、冷却されるとともに、回収供給ユニット13の液化器によって凝縮・冷却されて液化二酸化炭素に戻り、バッファータンクに貯留される。
【0086】
図6は、圧力(MPa)とエンタルピー(kj/kg)との関係を示すモリエ線図である。図7は、洗浄流体を加熱しつつ減圧した場合の圧力変化と温度変化との関係の一例を示す図であり、図8は、洗浄流体を加熱せずに減圧した場合の圧力変化と温度変化との関係の一例を示す図である。図6では、洗浄流体を加熱せずに(第2ルートを利用せずに)洗浄流体を減圧した場合の流体の圧力変化を点線で示し、洗浄流体を加熱して(第2ルートを利用して)洗浄流体を減圧した場合の流体の圧力変化を一点鎖線で示す。
【0087】
第1減圧運転パターンにおいて洗浄流体は、図6に一点鎖線で示すように、その減圧中に臨界領域から気相領域を通って二酸化炭素気体(物質)に戻る。なお、第1ルートのみを利用し、第2ルートを利用せずに減圧した場合は、図6に点線で示すように、超臨界領域と気相領域(液相領域)との境界である臨界点とその近傍において洗浄流体が気液混合領域を通って二酸化炭素気体(物質)に戻る。
【0088】
第1減圧運転パターンを行う流体生成装置10や成分抽出方法において洗浄流体を加熱しつつ減圧した場合、図7に示すように、洗浄流体の臨界点近傍まで流体の温度が下がらず、流体が高い温度を保持しており、洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)の圧力(洗浄流体の圧力)が大気圧になったときの洗浄容器11の内部の温度(洗浄流体の温度)が約12℃に保持されている。第1減圧運転パターンにおいて洗浄流体を加熱しつつ減圧した場合は、洗浄容器11の内部がマイナス温度になることはなく、洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)に収容されたフィルタが過酷な温度環境に曝されることはない。
【0089】
これに対し、第1ルートのみを利用して洗浄流体を加熱せずに減圧した場合、図8に示すように、洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)の圧力低下(洗浄流体の圧力低下)と略同期して洗浄容器11の内部の温度(洗浄流体の温度)が低下し、洗浄容器11の内部の圧力(洗浄流体の圧力)が大気圧になったときの洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)の温度(洗浄流体の温度)が約−5℃にまで下がっている。第1ルートのみを利用して洗浄流体を加熱せずに減圧した場合は、洗浄容器11の内部がマイナス温度になり、洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)に収容されたフィルタが過酷な温度環境に曝されることになる。
【0090】
図4に示す第1減圧運転パターンを行う流体生成装置10および成分抽出方法は、フィルタ(被収容物)に含まれる汚れ成分(成分)を抽出した後、超臨界または亜臨界の洗浄流体(流体)を第1ルートに流入させるとともに循環ポンプ16を利用して流体を第2ルートに流入させ、加熱器15を利用して流体を所定の温度に加熱しつつ、圧力制御弁を利用して流体を減圧するから、流体の減圧中における流体温度の急激な低下を防ぐことができ、洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)がマイナス温度になることはなく、流体を所定の温度に保持した状態で洗浄流体を液化二酸化炭素(物質)に戻すことができる。
【0091】
流体生成装置10および成分抽出方法は、洗浄流体を減圧する過程において洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)の温度がマイナスになることはなく、フィルタを過酷な温度環境に曝すことはないから、フィルタにダメージを与えることなく、洗浄流体を液化二酸化炭素に戻すことができる。流体生成装置10および成分抽出方法は、循環ポンプ16を利用して第1ルートに流入させる洗浄流体の流量よりも多くの流量の流体を第2ルートに流入させ、循環ポンプ16および加熱器15を利用することで多量の洗浄流体を加熱するから、洗浄流体の減圧中にその流体を加熱器15によって確実に加熱することができ、流体の減圧中における流体温度の急激な低下を確実に防ぐことができる。
【0092】
洗浄流体を減圧する場合に流体を一定の減圧幅で連続的に減圧すると、流体の密度が短時間に大きく変化し、流体の温度が一気に低下して洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)がマイナス温度になる場合があるが、この流体生成装置10および成分抽出方法は、洗浄流体の減圧時において流体の減圧時間を第1〜第3減圧時間t1〜t3に区分し、洗浄流体を第1〜第3減圧時間t1〜t3毎に設定した減圧幅(減圧値)で段階的に減圧するから、流体の密度変化を緩やかにすることができ、流体の減圧中に流体の温度が急激に低下することはなく、流体を所定の温度に保持した状態で洗浄容器11の内部がマイナス温度になることを防ぎつつ、洗浄流体を液化二酸化炭素に戻すことができる。
【0093】
臨界点とその近傍とにおける流体の密度変化が激しく、臨界点とその近傍において流体を短時間に減圧すると、流体の密度が短時間に大きく変化し、流体の温度が一気に低下して洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)がマイナス温度になる場合があるが、この流体生成装置10および成分抽出方法は、洗浄流体の減圧時において、流体の臨界点を挟んだその近傍における減圧時間(第2減圧時間t2)を臨界点とその近傍とを除く他の減圧時間(第1および第3減圧時間t1,t3)よりも長くしているから、流体の密度変化を緩やかにすることができ、流体の減圧中に流体の温度が急激に低下することはなく、流体を所定の温度に保持した状態で洗浄容器11の内部がマイナス温度になることを防ぎつつ、洗浄流体を液化二酸化炭素に戻すことができる。
【0094】
減圧運転中に洗浄流体が気液混合領域を通って物質に戻ると、洗浄流体の減圧中に二酸化炭素が凍結して洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)にドライアイスが発生する場合があり、気密容器の内部にドライアイスが発生すると、そのドライアイスが消滅するまで減圧運転を中断しなければならず、流体を超臨界または亜臨界になる前の二酸化炭素(物質)に戻すまでに長時間を要するが、この流体生成装置10および成分抽出方法は、流体の減圧時において、流体が臨界領域から気相領域を通って二酸化炭素に戻るから、洗浄容器11の内部にドライアイスが発生することはなく、流体の減圧を中断せずに流体の減圧を継続することができ、流体を短時間に二酸化炭素に戻すことができる。流体生成装置10および成分抽出方法は、フィルタを洗浄した後、洗浄流体を素早く二酸化炭素に戻すことができるから、単位時間当たりの洗浄回数(成分抽出回数)を増やすことができる。
【0095】
図9は、減圧時における洗浄流体(二酸化炭素)の流れの他の一例を示す図である。図9は、第1〜第3ルートを利用して洗浄流体を減圧する第2減圧運転パターンを示す。図3,5を援用するとともに、図9に基づいて、この流体生成装置10が実行する減圧手段の他の一例を説明すると、以下のとおりである。洗浄が終了した後、コントローラ17は、図9に示す第2減圧運転パターンによる洗浄流体の減圧運転(減圧手段)を行う。
【0096】
減圧運転においてコントローラ17は、選択された減圧運転パターン(第2減圧運転パターン)をメモリから抽出し、入力された区分数、減圧時間、減圧幅(減圧値)をメモリから抽出するとともに、減圧時間と減圧幅とに対応する減圧分離ユニット12の圧力制御弁の弁機構の開度(第1〜第3設定開度)をメモリから抽出する。コントローラ17は、第2減圧運転パターンに区分数、減圧時間、減圧幅を設定するとともに(S−30)、第2減圧運転パターンに対応する減圧ルートを設定する(S−31)。
【0097】
第2減圧運転パターンでは、第1減圧運転パターンと同様に、減圧開始から減圧終了までの全減圧時間が3段階(第1減圧時間t1〜第3減圧時間t3)に区分され、洗浄流体を各減圧時間t1〜t3毎に設定した減圧幅で段階的に減圧する(図5援用)。第2減圧運転パターンでは、減圧開始から30分までを第1減圧時間t1(20MPaから10MPまで減圧、減圧幅(減圧値):10MPa)とし、第1減圧時間t1終了から40分までを第2減圧時間t2(10MPaから8MPまで減圧、減圧幅(減圧値):2MPa)とするとともに、第2減圧時間t2終了から30分までを第3減圧時間t3(8MPaから2.0MPまで減圧、減圧幅(減圧値):6MPa)とする。なお、第2減圧時間t2は、洗浄流体の臨界点を挟んだその近傍における減圧時間であり、第1減圧時間t1や第3減圧時間t3よりも長い。なお、第2減圧運転パターンでは、減圧開始から減圧終了までの全減圧時間を3段階に区分しているが、全減圧時間を4段階以上に区分してもよい。
【0098】
コントローラ17は、減圧分離ユニット12の圧力制御弁の弁機構を第1設定開度(第1減圧時間t1およびその時間の減圧幅に対応する開度)に調整しつつ(S−32)、圧力制御弁の弁機構を開放する。コントローラ17は、切替弁24,25,26の弁機構を開放するとともに、遮断弁27の弁機構を閉鎖する。さらに、昇圧ポンプ14の稼動を停止し、循環ポンプ16を稼動させる(S−33)。コントローラ17は、第2減圧運転パターンにおける洗浄流体の減圧ルートを第1〜第3ルートに設定する(S−34)。
【0099】
第2減圧運転パターンにおいて洗浄流体は、図9に矢印L1,L2,L3で示すように、第1ルート(矢印L1で示すルート)に流入するとともに、循環ポンプ16によって第2ルート(矢印L2で示すルート)および第3ルート(矢印L3で示すルート)を循環する(S−34)。コントローラ17は、第1減圧時間t1の間、減圧分離ユニット12の圧力制御弁の弁機構を第1設定開度に保持する。なお、第2減圧運転パターンでは、循環ポンプ16を利用して第2ルートおよび第3ルートに循環させる流体の流量を第1ルートに流入させる流体の流量よりも多くなっている。
【0100】
第2減圧運転パターンにおいてコントローラ17は、切替弁25,26の弁機構の弁開度を調整し、第2ルートに流入する洗浄流体の流量と第3ルートに流入する洗浄流体の流量とを調整することで、第2ルートおよび第3ルートを循環する洗浄流体の混合比を制御し、洗浄流体を設定温度に速やかに調節する。具体的には、第2ルートに流入する洗浄流体の流量と第3ルートに流入する洗浄流体の流量とを同一にする場合、第2ルートに流入する洗浄流体の流量を第3ルートに流入する洗浄流体の流量よりも多くする場合、第3ルートに流入する洗浄流体の流量を第2ルートに流入する洗浄流体の流量よりも多くする場合がある。
【0101】
第2ルートにおいて洗浄流体は、洗浄容器11から第1管路18および第2管路19を通って循環ポンプ16に流入し、循環ポンプ16から第2管路19および第1管路18を通って加熱器15に流入した後、加熱器15から第1管路18を通って再び洗浄容器11に流入する。さらに、第3ルートにおいて洗浄流体は、洗浄容器11から第1管路18および第2管路19を通って循環ポンプ16に流入し、循環ポンプ16からバイパス管路23および第1管路18を通って再び洗浄容器11に流入する。
【0102】
流体生成装置10では、循環ポンプ16を介して洗浄流体が第3ルートを循環するとともに、第2ルートを循環し、第2ルートを循環する洗浄流体が加熱器15によって所定温度に加熱されつつそれらルートを循環するとともに(S−35)、その循環中にそのうちの所定量の流体が第2ルートや第3ルートよりも圧力の低い第1ルートに徐々に流入する。
【0103】
第1ルートに流入した洗浄流体は、洗浄容器11から第1管路18を通って減圧分離ユニット12に流入し、減圧分離ユニット12から第1管路18を通って回収供給ユニット13に流入する。第1ルートに流入した洗浄流体は、減圧分離ユニット12の圧力制御弁によって減圧、冷却されるとともに(S−36)、回収供給ユニット13の液化器によって凝縮・冷却されて液化二酸化炭素に戻り、バッファータンクに貯留される。
【0104】
第1減圧時間t1が経過し、第1減圧時間t1が終了すると(S−37)、コントローラ17は、減圧分離ユニット12の圧力制御弁の弁機構を第2設定開度(第2減圧時間t2およびその時間t2の減圧幅に対応する開度)に調整する(S−38)。循環ポンプ16を介して第2ルートを循環する洗浄流体は、加熱器15によって所定温度に加熱されつつ第2ルートを循環する(S−39)。さらに、洗浄流体は、第3ルートを循環し、その循環中にそのうちの所定量の流体が第2ルートや第3ルートよりも圧力の低い第1ルートに徐々に流入する。
【0105】
コントローラ17は、第2減圧時間t2の間、減圧分離ユニット12の圧力制御弁の弁機構を第2設定開度に保持する。洗浄流体は、第2および第3ルートを循環しつつ第1ルートに流入し、減圧分離ユニット12の圧力制御弁によって減圧、冷却されるとともに(S−40)、回収供給ユニット13の液化器によって凝縮・冷却されて液化二酸化炭素に戻り、バッファータンクに貯留される。
【0106】
第2減圧時間t2が経過し、第2減圧時間t2が終了すると(S−41)、コントローラ17は、減圧分離ユニット12の圧力制御弁の弁機構を第3設定開度(第3減圧時間t3およびその時間t3の減圧幅に対応する開度)に調整する(S−42)。循環ポンプ16を介して第2ルートを循環する洗浄流体は、加熱器15によって所定温度に加熱されつつ第2ルートを循環する(S−43)。さらに、洗浄流体は、第3ルートを循環し、その循環中にそのうちの所定量の流体が第2ルートや第3ルートよりも圧力の低い第1ルートに徐々に流入する。
【0107】
コントローラ17は、第3減圧時間t3の間、減圧分離ユニット12の圧力制御弁の弁機構を第3設定開度に保持する。洗浄流体は、第2および第3ルートを循環しつつ第1ルートに流入し、減圧分離ユニット12の圧力制御弁によって減圧、冷却されるとともに(S−44)、回収供給ユニット13の液化器によって凝縮・冷却されて液化二酸化炭素に戻り、バッファータンクに貯留される。コントローラ17は、第1〜第3減圧時間t1〜t3が経過し、圧力センサから入力された洗浄容器11の内部の圧力が大気圧になった場合、減圧が終了したと判断し、流体生成装置10の稼動を一時停止する。
【0108】
第2減圧運転パターンにおいて洗浄流体は、その減圧中に臨界領域から気相領域を通って液化二酸化炭素(物質)に戻る(図6援用)。なお、第1ルートのみを利用し、第2ルートおよび第3ルートを利用せずに減圧した場合は、超臨界領域と気相領域(液相領域)との境界である臨界点とその近傍において洗浄流体が気液混合領域を通って液化二酸化炭素に戻る(図6援用)。
【0109】
第2減圧運転パターンを行う流体生成装置10や成分抽出方法において洗浄流体を加熱しつつ減圧した場合、洗浄流体の臨界点近傍まで流体の温度が下がらず、流体が高い温度を保持しており、洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)の圧力(洗浄流体の圧力)が大気圧になったときの洗浄容器11の内部の温度(洗浄流体の温度)が約12℃に保持されている(図7援用)。第2減圧運転パターンにおいて洗浄流体を加熱しつつ減圧した場合は、洗浄容器11の内部がマイナス温度になることはなく、洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)に収容されたフィルタが過酷な温度環境に曝されることはない。
【0110】
図9に示す第2減圧運転パターンを行う流体生成装置10および成分抽出方法は、フィルタ(被収容物)に含まれる汚れ成分(成分)を抽出した後、超臨界または亜臨界の洗浄流体(流体)を第1ルートに流入させるとともに循環ポンプ16を利用して流体を第2ルートおよび第3ルートに流入させ、加熱器15を利用して流体を所定の温度に加熱しつつ、圧力制御弁を利用して流体を減圧するから、流体の減圧中における流体温度の急激な低下を防ぐことができ、洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)がマイナス温度になることはなく、流体を所定の温度に保持した状態で洗浄流体をまたは液化二酸化炭素に戻すことができる。
【0111】
流体生成装置10および成分抽出方法は、洗浄流体を減圧する過程において洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)の温度がマイナスになることはなく、フィルタを過酷な温度環境に曝すことはないから、フィルタにダメージを与えることなく、洗浄流体を非超臨界または非亜臨界の流体(物質)または二酸化炭素(物質)に戻すことができる。流体生成装置10および成分抽出方法は、循環ポンプ16を利用して第1ルートに流入させる洗浄流体の流量よりも多くの流量の流体を第2ルートおよび第3ルートに流入させ、循環ポンプ16および加熱器15を利用することで第2ルートにおいて多量の洗浄流体を加熱するから、洗浄流体の減圧中にその流体を加熱器15によって確実に加熱することができ、流体の減圧中における流体温度の急激な低下を確実に防ぐことができる。
【0112】
図9に示す第2減圧運転パターンを行う流体生成装置10および成分抽出方法は、図4に示す第1減圧運転パターンを行う流体生成装置10および成分抽出方法が有する効果に加え、以下の効果を有する。洗浄流体を第2ルートに循環させて加熱器15のみによって流体の温度を制御する場合、加熱器15の出力を下げたとしても流体の温度が直ちに下がることはなく、必要以上の上昇した流体の温度を制御することが難しいが、流体生成装置10および成分抽出方法は、減圧運転中に洗浄流体を第2ルート(循環ルート)のみならず第3ルート(バイパスルート)にも循環させ、それらルートを循環する洗浄流体の混合比を制御し、洗浄流体の温度を制御するから、加熱器15と第3ルートとを利用して必要以上に上昇した流体の温度を直ちに下げることができ、減圧運転時に流体の温度を設定温度に速やかに調節することができる。
【0113】
流体生成装置10および成分抽出方法は、洗浄流体の減圧時に流体を第2ルートのみならず第3ルートにも循環させることで、流体の温度を加熱器15のみで調節するよりも流体の温度を設定温度に調節し易く、流体の減圧中における流体温度の急激な低下を防ぐことができ、流体を利用してフィルタに含まれる汚れ成分(成分)を抽出した後、流体を所定の温度に保持した状態で洗浄容器11の内部(気密構造洗浄室)がマイナス温度になることを防ぎつつ、その流体を超臨界または亜臨界になる前の二酸化炭素に戻すことができる。
【符号の説明】
【0114】
10 流体生成装置
11 洗浄容器(気密容器)
12 減圧分離ユニット
13 回収供給ユニット
14 昇圧ポンプ
15 加熱器
16 循環ポンプ
17 コントローラ
18 第1管路
19 第2管路
23 バイパス管路
27 遮断弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定容積の気密容器と、前記気密容器の後に設置されて第1管路を介して該気密容器につながる減圧分離ユニットと、前記減圧分離ユニットの後に設置されて前記第1管路を介して該減圧分離ユニットにつながる回収供給ユニットと、前記回収供給ユニットと前記気密容器との間に延びる前記第1管路に設置された昇圧ポンプと、前記昇圧ポンプと前記気密容器との間に延びる第1管路に設置された加熱器とを備え、前記昇圧ポンプと前記加熱器とを利用して所定の物質を昇温昇圧し、前記物質を超臨界または亜臨界の流体に変えるとともに、前記減圧分離ユニットを利用して前記超臨界または亜臨界の流体を減圧し、その流体を前記物質に戻す流体生成装置において、
前記流体生成装置が、前記気密容器と前記減圧分離ユニットとの間に延びる第1管路から分岐して前記昇圧ポンプと前記加熱器との間に延びる第1管路につながる第2管路と、前記第2管路に設置された循環ポンプとを含み、
前記流体を前記物質に戻す該流体の減圧時では、前記流体を第1管路に流入させるとともに前記循環ポンプを利用して該流体を第2管路に流入させ、前記加熱器を利用して前記流体を所定の温度に加熱しつつ前記減圧分離ユニットを利用して該流体を減圧し、前記流体を前記物質に戻すことを特徴とする流体生成装置。
【請求項2】
前記流体生成装置では、所定の成分を含有した被収容物を前記気密容器に収容し、前記超臨界または亜臨界の流体を前記気密容器に流入させて被収容物に含まれる成分を抽出した後、前記流体を前記物質に戻す請求項1記載の流体生成装置。
【請求項3】
前記循環ポンプの流量が、前記昇圧ポンプのそれよりも大きく、前記流体の減圧時では、前記循環ポンプを利用して第2管路に流入させる前記流体の流量を前記第1管路に流入させる該流体の流量よりも多くし、前記流体を前記気密容器と前記循環ポンプと前記加熱器とを通る循環ルートに循環させつつ、前記流体を前記減圧分離ユニットを利用して減圧して前記物質に戻し、前記回収供給ユニットを利用して前記物質を回収する請求項1または請求項2に記載の流体生成装置。
【請求項4】
前記流体の減圧時では、該流体の減圧時間を複数の時間に区分し、該流体を各減圧時間毎に設定した減圧幅で段階的に減圧する請求項1ないし請求項3いずれかに記載の流体生成装置。
【請求項5】
前記流体の減圧時では、該流体の臨界点を挟んだその近傍における減圧時間を前記臨界点とその近傍とを除く他の減圧時間よりも長くしている請求項4記載の流体生成装置。
【請求項6】
前記流体の減圧時では、該流体が臨界領域から気相領域を通って前記物質に戻る請求項1ないし請求項5いずれかに記載の流体生成装置。
【請求項7】
前記流体生成装置が、前記循環ポンプと前記加熱器との間に延びる第2管路から分岐して前記加熱器と前記気密容器との間に延びる第1管路につながるバイパス管路を含み、前記流体の減圧時では、該流体を前記気密容器と前記循環ポンプと前記加熱器とを通る循環ルートに循環させるとともに、前記流体を前記バイパス管路を介して前記気密容器と前記循環ポンプとを通るバイパスルートに循環させる請求項1ないし請求項6いずれかに記載の流体生成装置。
【請求項8】
所定の成分を含有した被収容物を収容する所定容積の気密容器と、前記気密容器の後に設置されて第1管路を介して該気密容器につながる減圧分離ユニットと、前記減圧分離ユニットの後に設置されて前記第1管路を介して該減圧分離ユニットにつながる回収供給ユニットと、前記回収供給ユニットの後に設置されて前記第1管路を介して該回収供給ユニットにつながる昇圧ポンプと、前記昇圧ポンプの後に設置されて前記第1管路を介して該昇圧ポンプにつながる加熱器と、前記気密容器と前記減圧分離ユニットとの間に延びる第1管路から分岐して前記昇圧ポンプと前記加熱器との間に延びる第1管路につながる第2管路と、前記第2管路に設置された循環ポンプとを備え、
前記昇圧ポンプと前記加熱器とを利用して所定の物質を昇温昇圧し、前記物質を超臨界または亜臨界の流体に変え、前記流体を前記気密容器に流入させて被収容物に含まれる成分を抽出した後、前記流体を第1管路に流入させるとともに前記循環ポンプを利用して該流体を第2管路に流入させ、前記加熱器を利用して前記流体を所定の温度に加熱しつつ前記減圧分離ユニットを利用して該流体を減圧し、前記流体を前記物質に戻すことを特徴とする成分抽出方法。
【請求項9】
前記成分抽出方法では、前記循環ポンプの流量が前記昇圧ポンプのそれよりも大きく、前記流体の減圧時では、前記循環ポンプを利用して第2管路に流入させる前記流体の流量を前記第1管路に流入させる該流体の流量よりも多くし、前記流体を前記気密容器と前記循環ポンプと前記加熱器とを通る循環ルートに循環させつつ、前記流体を前記減圧分離ユニットを利用して減圧して前記物質に戻し、前記回収供給ユニットを利用して前記物質を回収する請求項8記載の成分抽出方法。
【請求項10】
前記成分抽出方法では、前記流体の減圧時において該流体の減圧時間を複数の時間に区分し、前記流体を各減圧時間毎に設定した減圧幅で段階的に減圧する請求項8または請求項9に記載の成分抽出方法。
【請求項11】
前記成分抽出方法では、前記流体の減圧時において該流体の臨界点を挟んだその近傍における減圧時間を前記臨界点とその近傍とを除く他の減圧時間よりも長くしている請求項10記載の成分抽出方法。
【請求項12】
前記成分抽出方法では、前記流体の減圧時において該流体が臨界領域から気相領域を通って前記物質に戻る請求項8ないし請求項11いずれかに記載の成分抽出方法。
【請求項13】
前記成分抽出方法が、前記循環ポンプと前記加熱器との間に延びる第2管路から分岐して前記加熱器と前記気密容器との間に延びる第1管路につながるバイパス管路を含み、前記流体の減圧時では、該流体を前記気密容器と前記循環ポンプと前記加熱器とを通る循環ルートに循環させるとともに、前記流体を前記バイパス管路を介して前記気密容器と前記循環ポンプとを通るバイパスルートに循環させる請求項8ないし請求項12いずれかに記載の成分抽出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−86125(P2012−86125A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233532(P2010−233532)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(591023479)ダイダン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】